JP7494960B1 - 硬化体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温高湿環境下での高加速寿命試験後において、導体層との間の密着性の高い絶縁層を得ることができる硬化体を提供する。【解決手段】熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化体であって;硬化体は、算術平均粗さRaが100nm未満の面を有し;樹脂組成物の層を200℃90分の条件で硬化して硬化試料層を形成した場合に、硬化試料層の表面に対するジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテルの接触角が、30°未満であり、硬化試料層の表面のX線光電子分光分析におけるN1sのスペクトルのピーク面積に基づいて得られる窒素原子濃度が、3.8原子%未満である、硬化体。【選択図】図1

Description

本発明は、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化体及びその製造方法に関する。また、本発明は、前記硬化体を含む回路基板、半導体チップパッケージ及び半導体装置;並びに、前記硬化体を製造できる樹脂シート;に関する。
回路基板及び半導体チップパッケージには、一般に、絶縁層が設けられる。例えば、回路基板の一種としてのプリント配線板には、絶縁層として層間絶縁層が設けられることがある。また、例えば、半導体チップパッケージには、絶縁層として再配線形成層が設けられることがある。これらの絶縁層は、樹脂組成物を硬化させて得られる硬化体によって形成されうる(特許文献1~2)。
国際公開第2020/130100号 特開2020-193365号公報
絶縁層上には、導体層が設けられることがある。この導体層は、一般に、パターニング加工が施されており、適切なパターン形状を有する配線を形成する。このように絶縁層上に設けられる導体層は、通常、絶縁層との間の密着性が高いことが求められる。そこで、高い密着性を得る観点から、絶縁層上に紫外線処理及びシランカップリング剤処理を行った後で、当該絶縁層上に導体層を形成することが提案されている。
ところが、従来の方法では、高温高湿環境下での高加速寿命試験(HAST試験。加速環境試験ともいう。)後における密着性が満足に足るものではなく、更なる改善が求められている。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、高温高湿環境下での高加速寿命試験(HAST試験)後において、導体層との間の密着性の高い絶縁層を得ることができる硬化体;当該硬化体の製造方法;当該硬化体を含む回路基板、半導体チップパッケージ及び半導体装置;並びに、当該硬化体を製造できる樹脂シート;を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、本発明者は、導体層を形成される硬化体の面の表面粗さを特定範囲に収め、かつ、当該硬化体の材料としての樹脂組成物を特定条件で硬化して形成される硬化試料層の表面の性情を特定の要件を満たすように制御することにより、前記の課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
[1] 熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化体であって;
硬化体は、算術平均粗さRaが100nm未満の面を有し;
樹脂組成物の層を200℃90分の条件で硬化して硬化試料層を形成する試験を行った場合に、
硬化試料層の表面に対するジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテルの接触角が、30°未満であり、
硬化試料層の表面のX線光電子分光分析におけるN1sのスペクトルのピーク面積に基づいて得られる窒素原子濃度が、3.8原子%未満である、硬化体。
[2] 硬化試料層の表面のX線光電子分光分析におけるN1sのスペクトルのピーク面積に基づいて得られる窒素原子濃度が、0.1原子%以上である、[1]に記載の硬化体。
[3] 樹脂組成物が、無機充填材を含む、[1]又は[2]に記載の硬化体。
[4] 樹脂組成物中の無機充填材の量が、樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、40質量%以上90質量%以下である、[3]に記載の硬化体。
[5] 熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含む、[1]~[4]のいずれか1項に記載の硬化体。
[6] 熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂を含む、[1]~[5]のいずれか1項に記載の硬化体。
[7] 熱硬化性樹脂が、活性エステル樹脂を含む、[1]~[6]のいずれか1項に記載の硬化体。
[8] 熱硬化性樹脂が、マレイミド樹脂を含む、[1]~[7]のいずれか1項に記載の硬化体。
[9] 樹脂組成物が、硬化促進剤を含む、[1]~[8]のいずれか1項に記載の硬化体。
[10] 樹脂組成物が、窒素原子を含有する樹脂成分を含む、[1]~[9]のいずれか1項に記載の硬化体。
[11] 算術平均粗さRaが100nm未満の前記面に、導体層を形成されるための、[1]~[10]のいずれか1項に記載の硬化体。
[12] [1]~[11]のいずれか1項に記載の硬化体により形成された絶縁層を含む、回路基板。
[13] [1]~[11]のいずれか1項に記載の硬化体と、半導体チップとを含む、半導体チップパッケージ。
[14] [12]に記載の回路基板を備える、半導体装置。
[15] [13]に記載の半導体チップパッケージを備える、半導体装置。
[16] [1]~[11]のいずれか1項に記載の硬化体の製造方法であって、
熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物を硬化して硬化体を得る工程と、
前記硬化体に、紫外線処理を施す工程と、
前記硬化体に、シランカップリング剤処理を施す工程と、を含む、硬化体の製造方法。
[17] 支持体と、支持体上に形成された樹脂組成物の層と、を備える樹脂シートであって;
樹脂組成物が、熱硬化性樹脂を含み;
樹脂組成物の層を硬化して試料硬化体を形成し、試料硬化体の支持体側の面へ紫外線処理及びシランカップリング剤処理を施す第一試験を行った場合、当該支持体側の面の算術平均粗さRaが、100nm未満であり;
樹脂組成物の層を200℃90分の条件で硬化して硬化試料層を形成する第二試験を行った場合、
硬化試料層の支持体側の表面に対するジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテルの接触角が、30°未満であり、
硬化試料層の支持体側の表面のX線光電子分光分析におけるN1sのスペクトルのピーク面積に基づいて得られる窒素原子濃度が、3.8原子%未満である、樹脂シート。
[18] 第一試験において、樹脂組成物の層の硬化が、170℃30分の条件で行われ、
第一試験において、紫外線処理が、試料硬化体に波長172nmの紫外線を10秒間照射することで行われ、
第一試験において、シランカップリング剤処理が、試料硬化体を、3-アミノ-プロピルトリメトキシシラン5g/リットル及びジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテル350g/リットルを含むpH5.0の水溶液に、40℃で10分浸漬することで行われる、[17]に記載の樹脂シート。
本発明によれば、高温高湿環境下での高加速寿命試験(HAST試験)後において、導体層との間の密着性の高い絶縁層を得ることができる硬化体;当該硬化体の製造方法;当該硬化体を含む回路基板、半導体チップパッケージ及び半導体装置;並びに、当該硬化体を製造できる樹脂シート;を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体チップパッケージの一例としてのFan-out型WLPを模式的に示す断面図である。
以下、実施形態及び例示物を示して、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に挙げる実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
<硬化体の概要>
本発明の一実施形態に係る硬化体は、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化体である。この硬化体は、下記の要件(i)~(iii)を満たす。
(i)硬化体が、算術平均粗さRaが100nm未満の面を有する。
(ii)樹脂組成物の層を200℃90分の条件で硬化して硬化試料層を形成する試験を行った場合に、硬化試料層の表面に対するジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテルの接触角Xが、30°未満である。
(iii)樹脂組成物の層を200℃90分の条件で硬化して硬化試料層を形成する試験を行った場合に、硬化試料層の表面のX線光電子分光(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)分析におけるN1sのスペクトルのピーク面積に基づいて得られる窒素原子濃度が、3.8原子%未満である。
硬化体が有する算術平均粗さRaが100nm未満の面を、以下「特定平滑面」ということがある。硬化体が有する特定平滑面に導体層を形成した場合、高温高湿環境下での高加速寿命試験(HAST試験)後において、導体層と硬化体との間に高い密着性を得ることができる。よって、硬化体によれば、HAST試験後において導体層との間の密着性の高い絶縁層を得ることができる。
特定の理論に拘束されるものでは無いが、本発明者は、前記の効果が得られる仕組みを下記のように推察する。ただし、本発明の技術的範囲は、以下に説明する仕組みによって制限されるものではない。
硬化体の特定平滑面は、導体層を形成される時点では、通常、紫外線処理及びシランカップリング剤処理を施された状態となっている。紫外線処理によれば、硬化体の特定平滑面に、-COOH基等の官能基が生成する。また、シランカップリング剤処理によれば、シランカップリング剤が前記の官能基に結合して固定化されるので、当該特定平滑面の無機材料に対する親和性が向上する。一般に、導体層の材料としては、金属等の無機材料が使用されるので、特定平滑面に導体層を形成した場合に、硬化体と導体層との間に高い密着性を得ることができる。
要件(ii)において、硬化試料層の表面の性情は、紫外線処理及びシランカップリング剤処理を施される前の硬化体の特定平滑面の性情と相関を有する。通常は、硬化試料層の表面の性情は、硬化体の特定平滑面の性情に一致する。また、要件(ii)において、硬化試料層の表面に対するジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテルの接触角Xは、硬化試料層の表面とシランカップリング剤処理に用いられる処理液との親和性に相関を有する。よって、要件(ii)が満たされる場合、通常は、硬化体の特定平滑面に対するシランカップリング剤処理の処理液の接触角は十分に小さく、よって、硬化体の特定平滑面はシランカップリング剤処理の処理液に高い親和性を有することができる。したがって、硬化体の特定平滑面に対する処理液の馴染み性を高めることができるので、シランカップリング剤と特定平滑面にある官能基との結合を円滑に進行させたり、当該結合の程度を特定平滑面の面内で高度に均一化したりできる。
また、要件(iii)において、硬化試料層の表面の窒素原子濃度は、紫外線処理及びシランカップリング剤処理を施される前の硬化体の特定平滑面の窒素原子濃度と相関を有する。通常は、硬化試料層の表面の窒素原子濃度は、硬化体の特定平滑面の窒素原子濃度に一致する。窒素原子濃度が前記特定範囲にある場合、紫外線処理によって-COOH基等の官能基を効果的に生成させることができる。また、要件(iii)が満たされる場合、通常は、硬化体の特定平滑面がシランカップリング剤処理の処理液に高い親和性を有することができるので、要件(ii)で説明したのと同じく、硬化体の特定平滑面に対する処理液の馴染み性を高めることができる。
よって、前記の要件(ii)及び要件(iii)が満たされる場合、紫外線処理及びシランカップリング剤処理によって得られる化学的作用により、強力な密着性向上効果が得られる。したがって、HAST試験後において、硬化体と導体層との間で高い密着性を得ることができる。
ただし、本発明者が実験を繰り返して検討したところ、前記の化学的作用を効果的に発揮させるためには、硬化体の特定平滑面に高い平滑性が求められることが判明している。従来、平滑性が低い面の方がアンカー効果によって高い密着性が得られるとの技術常識があったことから判断すると、高い平滑性を有する特定平滑面でHAST試験後に優れた密着性が得られることは、意外なことである。
紫外線処理及びシランカップリング剤処理によっては、一般に、硬化体の表面の算術平均粗さRaに変化は生じない。よって、硬化体の特定平滑面の算術平均粗さRaは、紫外線処理及びシランカップリング剤処理の前に測定してもよく、後に測定してもよい。
例えば、紫外線処理及びシランカップリング剤処理の前に測定した算術平均粗さRaが要件(i)を満たす特定範囲にある特定平滑面を有する硬化体は、その特定平滑面に紫外線処理及びシランカップリング剤処理を施した後で導体層を形成した場合に、硬化体と導体層との間でHAST試験後に高い密着性を得ることができる。よって、このように紫外線処理及びシランカップリング剤処理を施される前の特定平滑面が要件(i)を満たす算術平均粗さRaを有する硬化体は、本実施形態に係る硬化体に包含される。
また、例えば、紫外線処理及びシランカップリング剤処理の後に測定した算術平均粗さRaが要件(i)を満たす特定範囲にある特定平滑面を有する硬化体は、その特定平滑面に導体層を形成した場合に、硬化体と導体層との間でHAST試験後に高い密着性を得ることができる。よって、このように紫外線処理及びシランカップリング剤処理を施された後の特定平滑面が要件(i)を満たす算術平均粗さRaを有する硬化体は、本実施形態に係る硬化体に包含される。
通常、硬化体は、HAST試験後だけでなく、HAST試験の前においても、導体層と硬化体との間に高い密着性を得ることができる。また、硬化体は、低い誘電正接を有することが好ましい。また、硬化体は、高いガラス転移温度を有することが好ましい。
<要件(i).硬化体の特定平滑面の算術平均粗さRa>
本実施形態に係る硬化体は、特定の範囲の算術平均粗さRaを有する特定平滑面を有する。具体的には、特定平滑面の算術平均粗さRaの範囲は、通常100nm未満、好ましくは80nm以下、より好ましくは60nm以下であり、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、更に好ましくは30nm以上である。硬化体の特定平滑面が前記範囲の算術平均粗さRaを有する場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を高くすることができ、更に通常は、HAST試験前の密着性の向上も可能である。
硬化体の特定平滑面の算術平均粗さRaは、日本工業規格(JIS B0601-2001)に準拠して測定しうる。測定は、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製「WYKO NT3300」)を用いて実施しうる。算術平均粗さRaの具体的な測定方法は、後述する実施例の<試験4.表面粗さRa及びRzの測定>の方法を採用しうる。
硬化体の特定平滑面の算術平均粗さRaは、例えば、樹脂組成物の組成によって調整できる。具体例を挙げると、無機充填材を含む樹脂組成物を用いる場合には、当該無機充填材の粒径によって調整できる。また、例えば、樹脂シートが備える樹脂組成物層(樹脂組成物の層)を硬化して硬化体を得る場合、当該樹脂シートが備える支持体の表面粗さ、ラミネート条件によって調整できる。
<要件(ii).硬化試料層の表面の接触角X>
本実施形態に係る硬化体は、樹脂組成物の硬化体である。前記の樹脂組成物によって樹脂組成物の層(以下「樹脂組成物層」ということがある。)を形成し、その樹脂組成物層を200℃90分の条件で硬化して硬化試料層を形成する試験を行った場合、硬化試料層の表面に対するジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテルの接触角Xは、特定の範囲にある。
前記の接触角Xの具体的範囲は、通常30°未満、好ましくは28°以下、より好ましくは25°以下、特に好ましくは20°以下であり、好ましくは0°より大きく、より好ましくは1°以上、更に好ましくは3°以上、特に好ましくは6°以上である。接触角Xが前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を高くすることができ、更に通常は、HAST試験前の密着性の向上も可能である。
硬化試料層は、樹脂組成物層を形成し、200℃90分の硬化条件で硬化して形成できる。こうして形成される硬化試料層の表面は、通常、上述した要件(i)に規定される範囲の算術平均粗さRaを有する。また、接触角Xは、液滴法により、θ/2法を用いて測定できる。具体的には、ジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテルの1.0μLの液滴を硬化試料層の表面に付着させ、液滴が付着して2000ms後に接触角Xを測定しうる。接触角Xの詳細な測定方法は、後述する実施例の<試験1.接触角Xの測定>の方法を採用しうる。
前記の接触角Xは、例えば、樹脂組成物の樹脂成分の組成によって調整できる。樹脂組成物の樹脂成分とは、別に断らない限り、樹脂組成物に含まれる不揮発成分のうち無機充填材を除く成分を表す。具体例を挙げると、シリコーン系樹脂等の無極性樹脂が多いと接触角Xは大きくなる傾向がある。また、極性を有する樹脂を含む場合、接触角Xは小さくなる傾向がある。
ここで、前記の硬化試料層は、樹脂組成物の属性(ひいては、その硬化体の属性)を特定するための測定試験に供される試料を表す。そして、要件(ii)は、この硬化試料層の表面に対するジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテルの接触角Xの範囲を規定するものである。よって、硬化体の特定平滑面は、特定範囲の接触角Xを有していてもよく、有していなくてもよい。
<要件(iii).硬化試料層の表面の窒素原子濃度>
本実施形態に係る硬化体は、前記の通り、樹脂組成物の硬化体である。前記の樹脂組成物の層(樹脂組成物層)を、200℃90分の条件で硬化して、硬化試料層を形成する試験を行った場合、硬化試料層の表面のX線光電子分光分析におけるN1sのスペクトルのピーク面積に基づいて得られる窒素原子濃度は、特定の範囲にある。
前記の窒素原子濃度の具体的範囲は、通常3.8原子%未満、好ましくは3.5原子%以下、より好ましくは3.0原子%以下であり、好ましくは0.1原子%以上、より好ましくは0.5原子%以上、更に好ましくは1.0原子%以上である。窒素原子濃度が前記の範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を高くすることができ、更に通常は、HAST試験前の密着性の向上も可能である。
硬化試料層は、前記の通り、樹脂組成物層を形成し、200℃90分の硬化条件で硬化して形成できる。また、硬化試料層の表面の窒素原子濃度は、X線光電子分光分析を用いて測定できる。具体的には、X線光電子分光分析によって測定されるスペクトルの全ピークの面積に対するN1sのピークの面積の割合として、窒素原子濃度を測定できる。X線光電子分光分析による窒素原子濃度の詳細な測定方法は、後述する実施例の<試験2.XPS測定>の方法を採用しうる。
前記の窒素原子濃度は、例えば、樹脂組成物の樹脂成分の組成によって調整できる。具体例を挙げると、窒素原子を含有する樹脂の量を調整することにより、硬化試料層の表面の前記窒素原子濃度を調整できる。ただし、樹脂組成物層を加熱して硬化するときに、樹脂組成物層中の樹脂が流動して、厚み方向において樹脂組成物層に含まれる樹脂の組成には分布が生じることがありえる。例えば、樹脂組成物層が厚み方向において均一な組成を有する場合であっても、硬化時に樹脂が流動して、窒素原子を含む樹脂が樹脂組成物層の表面近傍に偏在するように含まれることがありえる。前記の流動は、硬化条件に応じて変化しうる。よって、他の硬化条件ではなく、200℃90分の硬化条件で硬化して得られる硬化試料層の表面が前記範囲の窒素原子濃度が得られるように、樹脂組成物の組成を調整することが好ましい。
ここで、前記の通り、硬化試料層は、樹脂組成物の属性(ひいては、その硬化体の属性)を特定するための測定試験に供される試料を表す。そして、要件(iii)は、この硬化試料層の表面のX線光電子分光分析におけるN1sのスペクトルのピーク面積に基づいて得られる窒素原子濃度の範囲を規定するものである。よって、硬化体の特定平滑面は、特定範囲の窒素原子濃度を有していてもよく、有していなくてもよい。
<樹脂組成物>
本実施形態に係る硬化体は、前記の通り、樹脂組成物を硬化して得られる部材である。樹脂組成物は、(A)成分としての(A)熱硬化性樹脂を含む。(A)熱硬化性樹脂としては、熱を加えられた場合に硬化可能な樹脂を用いることができる。(A)熱硬化性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
((A-1)エポキシ樹脂)
(A)熱硬化性樹脂は、(A-1)成分としての(A-1)エポキシ樹脂を含むことが好ましい。(A-1)エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する硬化性樹脂である。(A-1)エポキシ樹脂の例としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、イソシアヌラート型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂等が挙げられる。(A-1)エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A-1)エポキシ樹脂は、耐熱性に優れる硬化体を得る観点から、芳香族構造を含有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。芳香族構造とは、一般に芳香族と定義される化学構造であり、多環芳香族及び芳香族複素環をも含む。芳香族構造を含有するエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビシキレノール型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルアミン型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有する線状脂肪族エポキシ樹脂、芳香族構造を有するブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、芳香族構造を有する脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、芳香族構造を有するスピロ環含有エポキシ樹脂、芳香族構造を有するシクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するトリメチロール型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するテトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
(A-1)エポキシ樹脂は、耐熱性に優れる硬化体を得る観点から、窒素原子を含むエポキシ樹脂を含むことが好ましい。窒素原子を含むエポキシ樹脂としては、例えば、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
(A-1)エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。(A-1)エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。樹脂組成物に含まれる(A-1)エポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂のみでもよく、固体状エポキシ樹脂のみでもよく、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との組み合わせでもよい。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「828EL」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」、「JER630LSD」、「604」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-3950L」、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル化学社製の「ZX-1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」、日本曹達社製の「JP-100」、「JP-200」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂が好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200L」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」、「HP6000L」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3000FH」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」、「ESN4100V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN375」(ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YX4000HK」、「YL7890」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX7700」(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの質量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)の範囲は、好ましくは20:1~1:10、より好ましくは10:1~1:5、特に好ましくは5:1~1:2である。
(A-1)エポキシ樹脂のエポキシ当量の範囲は、好ましくは50g/eq.~5,000g/eq.、より好ましくは60g/eq.~3,000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2,000g/eq.、特に好ましくは90g/eq.~1,000g/eq.である。エポキシ当量は、エポキシ基1当量あたりの樹脂の質量を表す。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
(A-1)エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)の範囲は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
樹脂組成物中の(A-1)エポキシ樹脂の量は、上述した要件(i)~(iii)を満たす範囲で設定しうる。一例において、(A-1)エポキシ樹脂の量の範囲は、樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。(A-1)エポキシ樹脂の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
また、一例において、樹脂組成物中の(A-1)エポキシ樹脂の量の範囲は、樹脂組成物の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。樹脂組成物の樹脂成分とは、前述の通り、樹脂組成物に含まれる不揮発成分のうち無機充填材を除く成分を表す。(A-1)エポキシ樹脂の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
((A-2)フェノール樹脂)
(A)熱硬化性樹脂は、(A-2)成分としての(A-2)フェノール樹脂を含むことが好ましい。(A-2)フェノール樹脂としては、フェノール性水酸基を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上有する化合物を用いうる。フェノール性水酸基とは、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環に結合した水酸基をいう。特に、(A-2)フェノール樹脂は、(A-1)エポキシ樹脂と組み合わせて用いることが好ましい。(A-1)エポキシ樹脂と(A-2)フェノール樹脂とを組み合わせて用いた場合、(A-2)フェノール樹脂は、(A-1)エポキシ樹脂と反応して結合を形成し樹脂組成物を硬化させる硬化剤として機能しうる。
耐熱性及び耐水性の観点から、(A-2)フェノール樹脂としては、ノボラック構造を有するフェノール樹脂が好ましい。また、密着性の観点からは、含窒素フェノール樹脂が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール樹脂がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び密着性を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂が好ましい。
(A-2)フェノール樹脂の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、「MEH-8000」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SN-170」、「SN-180」、「SN-190」、「SN-475」、「SN-485」、「SN-495」、「SN-375」、「SN-395」、DIC社製の「TD-2090」、「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-1356」、「LA-3018」、「LA-3018-50P」、「LA-1356」、「TD2090」、「TD-2090-60M」、「EXB-9500」、「HPC-9500」、「KA-1160」、「KA-1163」、「KA-1165」、群栄化学社製の「GDP-6115L」、「GDP-6115H」等が挙げられる。
(A-2)フェノール樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A-2)フェノール樹脂の水酸基当量の範囲は、好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、より好ましくは100g/eq.~1000g/eq.、更に好ましくは100g/eq.~500g/eq.、特に好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。水酸基当量は、水酸基1当量あたりの樹脂の質量を表す。
(A-2)フェノール樹脂の重量平均分子量の範囲は、(A-1)エポキシ樹脂の重量平均分子量の範囲と同じでありうる。
(A-1)エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合、(A-2)フェノール樹脂の水酸基数の範囲は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.10以上、更に好ましくは0.15以上であり、好ましくは5.0以下、より好ましくは2.0以下、特に好ましくは1.0以下である。「(A-1)エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で割り算した値を全て合計した値を表す。また、「(A-2)フェノール樹脂の水酸基数」とは、樹脂組成物中に存在するフェノール樹脂の不揮発成分の質量を水酸基当量で割り算した値を全て合計した値を表す。
樹脂組成物中の(A-2)フェノール樹脂の量は、上述した要件(i)~(iii)を満たす範囲で設定しうる。一例において、(A-2)フェノール樹脂の量の範囲は、樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。(A-2)フェノール樹脂の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
また、一例において、樹脂組成物中の(A-2)フェノール樹脂の量の範囲は、樹脂組成物の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。(A-2)フェノール樹脂の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
((A-3)活性エステル樹脂)
(A)熱硬化性樹脂は、(A-3)成分としての(A-3)活性エステル樹脂を含むことが好ましい。(A-3)活性エステル樹脂としては、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。特に、(A-3)活性エステル樹脂は、(A-1)エポキシ樹脂と組み合わせて用いることが好ましい。(A-1)エポキシ樹脂と(A-3)活性エステル樹脂とを組み合わせて用いた場合、(A-3)活性エステル樹脂は、(A-1)エポキシ樹脂と反応して結合を形成し樹脂組成物を硬化させる硬化剤として機能しうる。
(A-3)活性エステル樹脂は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル樹脂が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル樹脂がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、(A-3)活性エステル樹脂としては、ジシクロペンタジエン型活性エステル樹脂、ナフタレン構造を含むナフタレン型活性エステル樹脂、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル樹脂、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル樹脂が好ましく、中でもジシクロペンタジエン型活性エステル樹脂、及びナフタレン型活性エステル樹脂から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。ジシクロペンタジエン型活性エステル樹脂としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル樹脂が好ましい。
(A-3)活性エステル樹脂の市販品としては、例えば、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル樹脂として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「EXB-8000L」、「EXB-8000L-65M」、「EXB-8000L-65TM」、「HPC-8000L-65TM」、「HPC-8000」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H」、「HPC-8000H-65TM」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル樹脂として「HP-B-8151-62T」、「EXB-8100L-65T」、「EXB-8150-60T」、「EXB-8150-62T」、「EXB-9416-70BK」、「HPC-8150-60T」、「HPC-8150-62T」、「EXB-8」(DIC社製);りん含有活性エステル樹脂として、「EXB9401」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル樹脂として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル樹脂として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱ケミカル社製);スチリル基及びナフタレン構造を含む活性エステル樹脂として「PC1300-02-65MA」(エア・ウォーター社製)等が挙げられる。
(A-3)活性エステル樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A-3)活性エステル樹脂の活性エステル基当量の範囲は、好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、より好ましくは100g/eq.~1000g/eq.、更に好ましくは100g/eq.~500g/eq.、特に好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。活性エステル基当量は、活性エステル基1当量あたりの樹脂の質量を表す。
(A-3)活性エステル樹脂の重量平均分子量の範囲は、(A-1)エポキシ樹脂の重量平均分子量の範囲と同じでありうる。
(A-1)エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合、(A-3)活性エステル樹脂の活性エステル基数の範囲は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.10以上であり、好ましくは5.0以下、より好ましくは2.0以下、特に好ましくは1.0以下である。「(A-3)活性エステル樹脂の活性エステル基数」とは、樹脂組成物中に存在する活性エステル樹脂の不揮発成分の質量を活性エステル基当量で割り算した値を全て合計した値を表す。
樹脂組成物中の(A-3)活性エステル樹脂の量は、上述した要件(i)~(iii)を満たす範囲で設定しうる。一例において、(A-3)活性エステル樹脂の量の範囲は、樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。(A-3)活性エステル樹脂の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
また、一例において、樹脂組成物中の(A-3)活性エステル樹脂の量の範囲は、樹脂組成物の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。(A-3)活性エステル樹脂の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
((A-4)マレイミド樹脂)
(A)熱硬化性樹脂は、(A-4)成分としての(A-4)マレイミド樹脂を含むことが好ましい。マレイミド樹脂としては、1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上のマレイミド基(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル基)を含有する化合物を用いうる。(A-4)マレイミド樹脂は、マレイミド基が含有するエチレン性二重結合がラジカル重合を生じて結合を形成し、樹脂組成物を熱硬化させることができる。また、(A-4)マレイミド樹脂は、イミダゾール化合物等の適切な触媒の存在下においては、(A-1)エポキシ樹脂と反応して結合を形成し樹脂組成物を硬化させる硬化剤として機能しうる。
(A-4)マレイミド樹脂としては、脂肪族アミン骨格を含む脂肪族マレイミド樹脂を用いてもよく、芳香族アミン骨格を含む芳香族マレイミド樹脂を用いてもよく、これらの組み合わせを用いてもよい。また、(A-4)マレイミド樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A-4)マレイミド樹脂としては、例えば、(1)「BMI-3000」、「BMI-3000J」、「BMI-5000」、「BMI-1400」、「BMI-1500」、「BMI-1700」、「BMI-689」(いずれもデジクナーモレキュールズ社製)、「SLK-6895-T90」(信越化学工業社製)などの、脂肪族骨格(好ましくはダイマージアミン由来の炭素原子数36の脂肪族骨格)を含むマレイミド樹脂;(2)発明協会公開技報公技番号2020-500211号に記載される、インダン骨格を含むマレイミド樹脂;(3)「MIR-3000-70MT」(日本化薬社製)、「BMI-4000」(大和化成社製)、「BMI-80」(ケイアイ化成社製)などの、マレイミド基の窒素原子と直接結合している芳香環骨格を含むマレイミド樹脂;が挙げられる。
(A-4)マレイミド樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A-4)マレイミド樹脂のマレイミド基当量の範囲は、好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、より好ましくは100g/eq.~1000g/eq.、さらに好ましくは100g/eq.~500g/eqである。マレイミド基当量は、マレイミド基1当量あたりの樹脂の質量を表す。
(A-4)マレイミド樹脂の重量平均分子量の範囲は、(A-1)エポキシ樹脂の重量平均分子量の範囲と同じでありうる。
(A-1)エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合、(A-4)マレイミド樹脂のマレイミド基数の範囲は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.10以上であり、好ましくは5.0以下、より好ましくは2.0以下、特に好ましくは1.0以下である。「(A-4)マレイミド樹脂のマレイミド基数」とは、樹脂組成物中に存在するマレイミド樹脂の不揮発成分の質量を活性エステル基当量で割り算した値を全て合計した値を表す。
樹脂組成物中の(A-4)マレイミド樹脂の量は、上述した要件(i)~(iii)を満たす範囲で設定しうる。一例において、(A-4)マレイミド樹脂の量の範囲は、樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。(A-4)マレイミド樹脂の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
また、一例において、樹脂組成物中の(A-4)マレイミド樹脂の量の範囲は、樹脂組成物の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは6質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。(A-4)マレイミド樹脂の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
(任意の熱硬化性樹脂)
(A)熱硬化性樹脂の別の例としては、シアネートエステル樹脂、カルボジイミド樹脂、酸無水物樹脂、アミン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、及び、チオール樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、(A-1)エポキシ樹脂と組み合わせて用いた場合、(A-1)エポキシ樹脂と反応して結合を形成し樹脂組成物を硬化させる硬化剤として機能しうる。硬化剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)熱硬化性樹脂が(A-1)エポキシ樹脂と硬化剤とを組み合わせて含む場合、(A-2)フェノール樹脂、(A-3)活性エステル樹脂、シアネートエステル樹脂、カルボジイミド樹脂、酸無水物樹脂、アミン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、チオール樹脂等の硬化剤の量は、特定の範囲に収まることが好ましい。ここで、(A-1)エポキシ樹脂と(A-4)マレイミド樹脂とが反応して結合しうる系においては、(A-4)マレイミド樹脂も硬化剤に包含される。硬化剤の量の具体的な範囲は、樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。硬化剤の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
また、硬化剤の量の範囲は、樹脂組成物の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。硬化剤の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
さらに、(A-1)エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合、硬化剤の活性基数の範囲は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.3以上であり、好ましくは5.0以下、より好ましくは2.0以下、特に好ましくは1.0以下である。「硬化剤の活性基数」とは、樹脂組成物中に存在する硬化剤の不揮発成分の質量を活性基当量で割り算した値を全て合計した値を表す。また、硬化剤の活性基当量とは、フェノール性水酸基、活性エステル基、マレイミド基等の活性基1当量あたりの樹脂の質量を表す。
また、(A)熱硬化性樹脂の更に別の例としては、(A-4)マレイミド樹脂以外のラジカル重合性樹脂などが挙げられる。このラジカル重合性樹脂は、一般にエチレン性不飽和結合を有し、ラジカル重合によって硬化しうる。ラジカル重合性樹脂としては、例えば、芳香族炭素原子に直接結合した1個以上のビニル基を有するスチレン系ラジカル重合性樹脂、1個以上のアリル基を有するアリル系ラジカル重合性樹脂、などが挙げられる。ラジカル重合性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)熱硬化性樹脂の重量平均分子量の範囲は、(A-1)エポキシ樹脂の重量平均分子量の範囲と同じでありうる。
(窒素原子を含む熱硬化性樹脂の量)
(A)熱硬化性樹脂の一部又は全部は、窒素原子を含有していてもよい。窒素原子を含有する熱硬化性樹脂としては、例えば、(A-4)マレイミド樹脂及びアミン樹脂;並びに、(A-1)エポキシ樹脂、(A-2)フェノール樹脂及び((A-3)活性エステル樹脂)のうち窒素原子を含有する樹脂;などが挙げられる。窒素原子を含有する熱硬化性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物中の窒素原子を含有する熱硬化性樹脂の量は、上述した要件(i)~(iii)を満たす範囲で設定しうる。一例において、樹脂組成物中の窒素原子を含有する熱硬化性樹脂の量の範囲は、(A)熱硬化性樹脂の全量100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。窒素原子を含有する熱硬化性樹脂の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
また、樹脂組成物中の窒素原子を含有する熱硬化性樹脂の量の範囲は、樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。窒素原子を含有する熱硬化性樹脂の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
さらに、樹脂組成物中の窒素原子を含有する熱硬化性樹脂の量の範囲は、樹脂組成物の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。窒素原子を含有する熱硬化性樹脂の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
(熱硬化性樹脂の量)
樹脂組成物中の(A)熱硬化性樹脂の量は、上述した要件(i)~(iii)を満たす範囲で設定しうる。一例において、樹脂組成物中の(A)熱硬化性樹脂の量の範囲は、樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。(A)熱硬化性樹脂の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
また、(A)熱硬化性樹脂の量の範囲は、樹脂組成物の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。(A)熱硬化性樹脂の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
((B)無機充填材)
樹脂組成物は、任意の成分として、更に(B)無機充填材を含んでいてもよい。(B)成分としての(B)無機充填材は、通常、粒子の状態で樹脂組成物及び硬化体に含まれる。
(B)無機充填材の材料としては、通常、無機化合物を用いる。(B)無機充填材の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカ、アルミナが好適であり、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。(B)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)無機充填材の市販品としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」、「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;デンカ社製の「UFP-30」、「DAW-03」、「FB-105FD」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;太平洋セメント社製の「セルフィアーズ」「MGH-005」;日揮触媒化成社製の「エスフェリーク」「BA-1」などが挙げられる。
(B)無機充填材の平均粒径の範囲は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
(B)無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出しうる。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
(B)無機充填材の比表面積の範囲は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは1m/g以上、より好ましくは2m/g以上、特に好ましくは3m/g以上である。上限に特段の制限は無いが、好ましくは60m/g以下、50m/g以下又は40m/g以下である。比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで測定できる。
(B)無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、(B)無機充填材の分散性向上の観点から、特定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量%は、0.2質量%~5質量%の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量%~3質量%の表面処理剤で表面処理されていることがより好ましく、0.3質量%~2質量%の表面処理剤で表面処理されていることがさらに好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上がさらに好ましい。一方、樹脂組成物の溶融粘度の上昇を抑制する観点から、1.0mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下がさらに好ましい。
(B)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
樹脂組成物中の(B)無機充填材の量は、上述した要件(i)~(iii)を満たす範囲で設定しうる。一例において、樹脂組成物中の(B)無機充填材の量の範囲は、樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは86質量%以下、更に好ましくは83質量%以下である。(B)無機充填材の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
((C)硬化促進剤)
樹脂組成物は、任意の成分として、更に(C)硬化促進剤を含んでいてもよい。(C)成分としての(C)硬化促進剤には、上述した(A)~(B)成分に該当するものは含めない。(C)硬化促進剤は、(A-1)エポキシ樹脂の硬化を促進させる硬化触媒としての機能を有する。
(C)硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、ウレア系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤等が挙げられる。中でも、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。(C)硬化促進剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムラウレート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ピロメリテート、テトラブチルホスホニウムハイドロジェンヘキサヒドロフタレート、テトラブチルホスホニウム2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノラート、ジ-tert-ブチルジメチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の脂肪族ホスホニウム塩;メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラp-トリルボレート、トリフェニルエチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(3-メチルフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(2-メトキシフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等の芳香族ホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等の芳香族ホスフィン・ボラン複合体;トリフェニルホスフィン・p-ベンゾキノン付加反応物等の芳香族ホスフィン・キノン付加反応物;トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(2-ブテニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル-2-ブテニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の脂肪族ホスフィン;ジブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル等の芳香族ホスフィン等が挙げられる。
ウレア系硬化促進剤としては、例えば、1,1-ジメチル尿素;1,1,3-トリメチル尿素、3-エチル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロヘキシル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロオクチル-1,1-ジメチル尿素等の脂肪族ジメチルウレア;3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(2-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジメチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-イソプロピルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-ニトロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、N,N-(1,4-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)、N,N-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)〔トルエンビスジメチルウレア〕等の芳香族ジメチルウレア等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。イミダゾール系硬化促進剤の市販品としては、例えば、四国化成工業社製の「1B2PZ」、「2E4MZ」、「2MZA-PW」、「2MZ-OK」、「2MA-OK」、「2MA-OK-PW」、「2PHZ」、「2PHZ-PW」、「Cl1Z」、「Cl1Z-CN」、「Cl1Z-CNS」、「C11Z-A」;三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられる。アミン系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、味の素ファインテクノ社製の「MY-25」等が挙げられる。
樹脂組成物中の(C)硬化促進剤の量は、上述した要件(i)~(iii)を満たす範囲で設定しうる。一例において、樹脂組成物中の(C)硬化促進剤の量の範囲は、樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、0質量%でもよく、0質量%より多くてもよく、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、更に好ましくは0.002質量%以上であり、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
また、(C)硬化促進剤の量の範囲は、樹脂組成物の樹脂成分100質量%に対して、0質量%でもよく、0質量%より多くてもよく、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
((D)高分子樹脂)
樹脂組成物は、任意の成分として、更に(D)高分子樹脂を含んでいてもよい。(D)成分としての(D)高分子樹脂には、上述した(A)~(C)成分に該当するものは含めない。(D)高分子樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)高分子樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。中でも、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリカーボネート樹脂が好ましく、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリブタジエン樹脂及びポリフェニレンエーテル樹脂が更に好ましい。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種類以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「FX280」及び「FX293」;三菱ケミカル社製の「YL7500BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」、「YL7482」及び「YL7891BH30」;等が挙げられる。
アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリレート構造を含有する樹脂が挙げられる。アクリル樹脂は、(メタ)アクリレート構造を、主鎖に含有していてもよく、側鎖に含有していてもよい。ここで、用語「(メタ)アクリレート構造」は、アクリレート構造及びメタクリレート構造の両方を包含する。アクリル樹脂の具体例としては、ナガセケムテックス社製のテイサンレジン「SG-70L」、「SG-708-6」、「WS-023」、「SG-700AS」、「SG-280TEA」、「SG-80H」、「SG-80H-3」、「SG-P3」、「SG-600TEA」、「SG-790」;根上工業社製の「ME-2000」、「W-116.3」、「W-197C」、「KG-25」、「KG-3000」;東亞合成社製の「ARUFON UH-2000」等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、信越化学工業社製「SLK-6100」、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」等が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006-37083号公報記載のポリイミド)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002-12667号公報及び特開2000-319386号公報等に記載のポリイミド)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業社製の「電化ブチラール4000-2」、「電化ブチラール5000-A」、「電化ブチラール6000-C」、「電化ブチラール6000-EP」;積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX-5Z)、KSシリーズ(例えばKS-1)、BLシリーズ、BMシリーズ;等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合樹脂;ポリプロピレン、エチレン-プロピレンブロック共重合体等のポリオレフィン系重合体等が挙げられる。
ポリブタジエン樹脂としては、例えば、水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂、ヒドロキシ基含有ポリブタジエン樹脂、フェノール性水酸基含有ポリブタジエン樹脂、カルボキシ基含有ポリブタジエン樹脂、酸無水物基含有ポリブタジエン樹脂、エポキシ基含有ポリブタジエン樹脂、イソシアネート基含有ポリブタジエン樹脂、ウレタン基含有ポリブタジエン樹脂、ポリフェニレンエーテル-ポリブタジエン樹脂等が挙げられる。ポリブタジエン樹脂のポリブタジエン構造の一部又は全ては、水素添加されていてもよい。ポリブタジエン樹脂の具体例としては、クレイバレー社製の「Ricon 130MA8」、「Ricon 130MA13」、「Ricon 130MA20」、「Ricon 131MA5」、「Ricon 131MA10」、「Ricon 131MA17」、「Ricon 131MA20」、「Ricon 184MA6」(酸無水物基含有ポリブタジエン)、日本曹達社製の「GQ-1000」(水酸基、カルボキシル基導入ポリブタジエン)、「G-1000」、「G-2000」、「G-3000」(両末端水酸基ポリブタジエン)、「GI-1000」、「GI-2000」、「GI-3000」(両末端水酸基水素化ポリブタジエン)、ナガセケムテックス社製の「FCA-061L」(水素化ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂)、等が挙げられる。また、ポリブタジエン樹脂の具体例としては、分子内にポリブタジエン構造、ウレタン構造及びイミド構造を有するポリイミド樹脂が挙げられる。該ポリイミド樹脂は、ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を原料として線状ポリイミド樹脂(特開2006-37083号公報、国際公開第2008/153208号に記載のポリイミド)として製造しうる。該ポリイミド樹脂のブタジエン構造の含有率は、好ましくは60質量%~95質量%、より好ましくは75質量%~85質量%である。該ポリイミド樹脂の詳細は、特開2006-37083号公報、国際公開第2008/153208号の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成社製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルイミド樹脂の具体例としては、GE社製の「ウルテム」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、SABIC製「NORYL SA90」、三菱ガス化学社製のオリゴフェニレンエーテル・スチレン樹脂「OPE-2St 1200」等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、例えば、ヒドロキシ基含有カーボネート樹脂、フェノール性水酸基含有カーボネート樹脂、カルボキシ基含有カーボネート樹脂、酸無水物基含有カーボネート樹脂、イソシアネート基含有カーボネート樹脂、ウレタン基含有カーボネート樹脂等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂の具体例としては、三菱瓦斯化学社製の「FPC0220」、旭化成ケミカルズ社製の「T6002」、「T6001」(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の「C-1090」、「C-2090」、「C-3090」(ポリカーボネートジオール)等が挙げられる。また、ポリカーボネート樹脂の具体例としては、分子内にイミド構造、ウレタン構造およびポリカーボネート構造を有するポリイミド樹脂が挙げられる。該ポリイミド樹脂は、ヒドロキシル基末端ポリカーボネート、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミド樹脂として製造しうる。該ポリイミド樹脂のカーボネート構造の含有率は、好ましくは60質量%~95質量%、より好ましくは75質量%~85質量%である。該ポリイミド樹脂の詳細は、国際公開第2016/129541号の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「スミプロイK」等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート樹脂等が挙げられる。
(D)高分子樹脂は、当該(D)高分子樹脂以外の樹脂成分と相溶して樹脂組成物に含まれていてもよい。このように相溶した(D)高分子樹脂は、通常、(D)高分子樹脂以外の樹脂成分と相溶して硬化体に含まれる。また、(D)高分子樹脂は、当該(D)高分子樹脂以外の樹脂成分と相溶せずに粒子の状態で樹脂組成物に含まれていてもよい。このような粒子状の(D)高分子樹脂は、通常、(D)高分子樹脂以外の樹脂成分と相溶せずに粒子の状態で硬化体に含まれる。さらに、(D)高分子樹脂以外の樹脂成分と相溶しうる(D)高分子樹脂と粒子状の(D)高分子樹脂とを組み合わせて用いてもよい。
粒子状の(D)高分子樹脂としては、例えば、アクリル樹脂粒子が挙げられる。アクリル樹脂粒子の具体例としては、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブタジエンゴム、アクリルゴムなどのゴム弾性を示す樹脂に化学的架橋処理を施し、有機溶剤に不溶かつ不融とした樹脂の微粒子体が挙げられる。その市販品の具体例としては、XER-91(日本合成ゴム社製);スタフィロイドAC3355、AC3816、AC3816N、AC3832、AC4030、AC3364、IM101(以上、アイカ工業社製);パラロイドEXL2655、EXL2602(以上、呉羽化学工業社製);等が挙げられる。
(D)高分子樹脂は、通常、大きい分子量を有する。具体的には、(D)高分子樹脂の重量平均分子量Mwの範囲は、好ましくは5000より大きく、より好ましくは8,000以上、さらに好ましくは10,000以上、更に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは70,000以下、さらに好ましくは60,000以下、更に好ましくは50,000以下である。重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値で測定できる。
樹脂組成物中の(D)高分子樹脂の量は、上述した要件(i)~(iii)を満たす範囲で設定しうる。一例において、樹脂組成物中の(D)高分子樹脂の量の範囲は、樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、0質量%でもよく、0質量%より多くてもよく、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
また、(D)高分子樹脂の量の範囲は、樹脂組成物の樹脂成分100質量%に対して、0質量%でもよく、0質量%より多くてもよく、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは65質量%以下である。
(窒素原子を含有する樹脂成分の量)
樹脂組成物に含まれる樹脂成分の一部又は全部は、窒素原子を含有していてもよい。窒素原子を含有する樹脂成分は、1種類でもよく、2種類以上でもよい。
窒素原子を含有する樹脂成分の量は、上述した要件(i)~(iii)を満たす範囲で設定しうる。一例において、樹脂組成物中の窒素原子を含有する樹脂成分の量の範囲は、樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。窒素原子を含有する樹脂成分の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
また、樹脂組成物中の窒素原子を含有する樹脂成分の量の範囲は、樹脂組成物の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。窒素原子を含有する樹脂成分の量が前記範囲にある場合、特定平滑面に形成される導体層と硬化体との間のHAST試験後における密着性を特に高くすることができる。また、通常は、HAST試験前の密着性を効果的に向上させたり、硬化体の誘電正接、貯蔵弾性率、ガラス転移温度及び架橋密度を良好にしたりできる。
((E)任意の添加剤)
樹脂組成物は、更に任意の不揮発成分として、(E)任意の添加剤を含んでいてもよい。(E)任意の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物、有機コバルト化合物等の有機金属化合物;シリコーン系レベリング剤、アクリルポリマー系レベリング剤等のレベリング剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、フッ素系消泡剤、ビニル樹脂系消泡剤等の消泡剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;尿素シラン等の接着性向上剤;トリアゾール系密着性付与剤、テトラゾール系密着性付与剤、トリアジン系密着性付与剤等の密着性付与剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤;スチルベン誘導体等の蛍光増白剤;フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;リン系難燃剤(例えばリン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸化合物、赤リン)、窒素系難燃剤(例えば硫酸メラミン)、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤(例えば三酸化アンチモン)等の難燃剤;リン酸エステル系分散剤、ポリオキシアルキレン系分散剤、アセチレン系分散剤、シリコーン系分散剤、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤等の分散剤;ボレート系安定剤、チタネート系安定剤、アルミネート系安定剤、ジルコネート系安定剤、イソシアネート系安定剤、カルボン酸系安定剤、カルボン酸無水物系安定剤等の安定剤、が挙げられる。(E)任意の添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
((F)溶剤)
樹脂組成物は、通常、上述した(A)~(E)成分といった不揮発成分に組み合わせて、更に揮発性成分として(F)溶剤を含んでいてもよい。(F)溶剤としては、通常、有機溶剤を用いる。有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤;テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、アニソール等のエーテル系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;酢酸2-エトキシエチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルジグリコールアセテート、γ-ブチロラクトン、メトキシプロピオン酸メチル等のエーテルエステル系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステルアルコール系溶剤;2-メトキシプロパノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等のエーテルアルコール系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶剤;ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤等を挙げることができる。(F)溶剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(F)溶剤の量は、特に限定されるものではない。一例において、樹脂組成物の全成分100質量%に対する(F)溶剤の量の範囲は、60質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下等でありえ、0質量%であってもよい。
(硬化体の特性)
本発明の一実施形態に係る硬化体は、上述した樹脂組成物が硬化して得られる。樹脂組成物が(A)熱硬化性樹脂を含むので、一般的には、樹脂組成物が熱硬化して、硬化体が得られる。通常、樹脂組成物に含まれる成分のうち、(F)溶剤等の揮発性成分は、熱硬化時の熱によって揮発しうるが、(A)~(E)成分といった不揮発成分は、熱硬化時の熱によっては揮発しない。よって、樹脂組成物の硬化体は、樹脂組成物の不揮発成分又はその反応生成物を含みうる。
上述したように、硬化体は、特定平滑面を有する。特定平滑面は、要件(i)を満たす範囲の算術平均粗さRaを有するだけでなく、特定の範囲の最大高さRzを有することが好ましい。具体的には、特定平滑面の最大高さRzの範囲は、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1500nm以下、更に好ましくは1000nm以下であり、好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上である。硬化体の特定平滑面が前記範囲の最大高さRzを有する場合、本発明の所望の効果を顕著に得ることができる。
硬化体の特定平滑面の最大高さRzは、日本工業規格(JIS B0601-2001)に準拠して測定しうる。測定は、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製「WYKO NT3300」)を用いて実施しうる。紫外線処理及びシランカップリング剤処理によっては、一般に、硬化体の特定平滑面の最大高さRzに変化は生じない。よって、硬化体の特定平滑面の最大高さRzは、紫外線処理及びシランカップリング剤処理の前に測定してもよく、後に測定してもよい。最大高さRzの具体的な測定方法は、後述する実施例の<試験4.表面粗さRa及びRzの測定>の方法を採用しうる。
硬化体の特定平滑面には、導体層を形成することができる。例えば、紫外線処理及びシランカップリング剤処理の前に測定した特定平滑面の算術平均粗さRaが要件(i)を満たす場合、その特定平滑面に紫外線処理及びシランカップリング剤処理を施した後で導体層を形成しうる。また、例えば、紫外線処理及びシランカップリング剤処理の後に測定した特定平滑面の算術平均粗さRaが要件(i)を満たす場合、その特定平滑面に導体層を形成しうる。そして、そうして形成された導体層と硬化体との間では、HAST試験後に高い密着性を得ることができる。
一例において、硬化体の特定平滑面にめっきによって導体層を形成し、130℃、85%RHの高温高湿条件で100時間のHAST試験を実施した場合、そのHAST試験後において硬化体と導体層との間に高い密着性を得ることができる。前記の密着性は、硬化体から導体層を引き剥がすために要する力としてのピール強度によって評価できる。前記の例において、HAST試験後のピール強度は、好ましくは0.15kg/cm以上、より好ましくは0.20kg/cm以上、更に好ましくは0.25kg/cm以上である。上限は、高いほど好ましく、例えば2.00kg/cm以下でありうる。
硬化体と導体層との間でHAST試験後に高い密着性を得ることができるので、通常は、HAST試験による前記の密着性の低下は抑制できる。よって、HAST試験後における密着性の維持率を高くできる。前記の維持率は、HAST試験前のピール強度に対するHAST試験後のピール強度の比で表すことができる。前記の例において、ピール強度の維持率の範囲は、好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは45%以上、特に好ましくは50%以上である。上限は、望ましくは100%以下であるが、通常は80%以下である。
通常は、HAST試験後だけでなく、HAST試験前においても、硬化体と導体層との間で高い密着性を得ることができる。一例において、HAST試験前のピール強度は、好ましくは0.30kg/cm以上、より好ましくは0.35kg/cm以上、更に好ましくは0.40kg/cm以上、特に好ましくは0.43kg/cm以上である。上限は、高いほど好ましく、例えば2.00kg/cm以下でありうる。
絶縁層と導体層との間のピール強度の測定は、JIS C6481に準拠して実施しうる。詳細には、硬化体の特定平滑面に形成した導体層に、幅10mm、長さ100mmの矩形部分を囲む切込みを形成する。この矩形部分の一端を、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に引っ張り、35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)をピール強度として測定しうる。ピール強度の具体的な測定方法は、後述する<試験3.絶縁層と導体層との間のピール強度(密着強度)の測定>に記載の方法を採用しうる。
前記のように特定平滑面に高い密着性で導体層を形成できるという利点を活用して、硬化体は、特定平滑面に導体層を形成されるために用いられることが好ましく、特定平滑面に導体層を形成されるための絶縁層として用いられることが更に好ましい。
伝送損失の小さい絶縁層を得る観点から、硬化体は、低い誘電正接Dfを有することが好ましい。硬化体の誘電正接Dfの具体的な範囲は、好ましくは0.0200以下、より好ましくは0.0100以下、更に好ましくは0.0080以下、特に好ましくは0.0060以下である。下限は、低いほど好ましく、例えば0.0010以上でありうる。
硬化体の誘電正接は、空洞共振摂動法により、測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて測定しうる。誘電正接Dfの具体的な測定方法は、後述する実施例の<試験6.誘電正接の測定>に記載の方法を採用しうる。
紫外線処理及びシランカップリング剤処理が施された特定平滑面に導体層を形成するという導体層の形成方法は、特定の物性を有する硬化体に好ましく適用される。よって、前記のように紫外線処理及びシランカップリング剤処理が施された特定平滑面に導体層を形成される用途に用いられる絶縁層には、特定の物性を有することが望まれる。したがって、それらの用途に好適に用いる観点から、本実施形態に係る硬化体は、それら特定の物性を有することが好ましい。
具体的には、本実施形態に係る硬化体は、特定の範囲の貯蔵弾性率を有することが好ましい。硬化体の25℃における貯蔵弾性率の範囲は、好ましくは0.10GPa以上、より好ましくは0.20GPa以上、更に好ましくは0.30GPa以上であり、好ましくは1.30GPa以下、より好ましくは1.20GPa以下、更に好ましくは1.10GPa以下である。紫外線処理及びシランカップリング剤処理が施された特定平滑面に導体層を形成することは、このような範囲の貯蔵弾性率を有する絶縁層を用いる用途で使用されうる。そこで、その用途に適した絶縁層を得る観点から、本実施形態に係る硬化体が前記範囲の貯蔵弾性率を有することが好ましい。
硬化体の貯蔵弾性率は、周波数1Hz、昇温速度5℃/分の測定条件で引張モードにて動的機械分析を行って測定できる。貯蔵弾性率の具体的な測定方法は、後述する<試験7.貯蔵弾性率及びガラス転移温度の測定>に記載の方法を採用しうる。
本実施形態に係る硬化体は、特定の範囲のガラス転移温度Tgを有することが好ましい。硬化体のガラス転移温度Tgの範囲は、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、更に好ましくは150℃以上であり、好ましくは190℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは170℃以下である。紫外線処理及びシランカップリング剤処理が施された特定平滑面に導体層を形成することは、このような範囲のガラス転移温度Tgを有する絶縁層を用いる用途で使用されうる。そこで、その用途に適した絶縁層を得る観点から、本実施形態に係る硬化体が前記範囲のガラス転移温度Tgを有することが好ましい。
硬化体のガラス転移温度Tgは、周波数1Hz、昇温速度5℃/分の測定条件で引張モードにて動的機械分析を行い、tanδが最大となる温度をガラス転移温度Tgとして測定できる。ガラス転移温度Tgの具体的な測定方法は、後述する<試験7.貯蔵弾性率及びガラス転移温度の測定>に記載の方法を採用しうる。
本実施形態に係る硬化体は、特定の範囲の架橋密度を有することが好ましい。硬化体の架橋密度の範囲は、好ましくは0.1×10-3mol/cm以上、より好ましくは1.0×10-3mol/cm以上、更に好ましくは2.0×10-3mol/cm以上であり、好ましくは200×10-3mol/cm以下、より好ましくは150×10-3mol/cm以下、更に好ましくは100×10-3mol/cm以下である。紫外線処理及びシランカップリング剤処理が施された特定平滑面に導体層を形成することは、このような範囲の架橋密度を有する絶縁層を用いる用途で使用されうる。そこで、その用途に適した絶縁層を得る観点から、本実施形態に係る硬化体が前記範囲の架橋密度を有することが好ましい。
硬化体の架橋密度は、下記の方法で測定できる。硬化体に荷重200mN、昇温速度5℃/分の測定条件にて引張加重法にて熱機械分析を行い、貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定する。硬化体のガラス転移温度Tgよりも80K高い温度Tを設定し、この温度Tにおける貯蔵弾性率の測定値E’(単位:GPa、すなわち×10Pa)を取得する。取得した貯蔵弾性率E’(Pa)を、以下の式(M1)に代入することにより、架橋密度n(mol/cm)を算出する。架橋密度の具体的な測定方法は、後述する<試験5.架橋密度nの測定>に記載の方法を採用しうる。架橋密度nは、単位体積あたりに存在する架橋分子の数を示す指標として用いうる。
n=E’/3RT (M1)
(上記式(M1)中、Tは、所定の温度T(K)を表し、E’は、所定の温度T(K)における貯蔵弾性率の測定値(Pa)を表し、Rは、気体定数としての8310000(Pa・cm/mol・K)を表す。なお、E’/3として、所定の温度T(K)におけるせん断弾性率G’の測定値(10Pa)を用いてもよい。)
架橋密度は、樹脂組成物の組成によって調整できる。例えば、適切な活性基当量を有する(A)熱硬化性樹脂を適切な量で用いたり、(B)無機充填材を適切な量で用いたりする方法により、硬化体の架橋密度を調整できる。
硬化体の形状に制限は無い。通常、硬化体は、層状に形成される。層状の硬化体が有する特定平滑面は、通常、硬化体の層の層平面と平行な平面となっている。層状の硬化体の厚さは、薄型化の観点から、好ましくは600μm以下、より好ましくは300μm以下、更に好ましくは100μm以下である。厚さの下限は、特に限定されず、例えば5μm以上、10μm以上、20μm以上などでありうる。
<硬化体の製造方法>
本実施形態に係る硬化体は、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物を硬化する工程を含む製造方法によって、製造できる。通常、硬化体の製造方法は、樹脂組成物を用意する工程を含み、その工程で用意した樹脂組成物を硬化させる。
樹脂組成物は、市場から購入して用意してもよいが、製造して用意してもよい。樹脂組成物は、例えば、上述した成分を混合することによって、製造することができる。上述した成分は、一部又は全部を同時に混合してもよく、順に混合してもよい。各成分を混合する過程で、温度を適宜設定してもよく、よって、一時的に又は終始にわたって、加熱及び/又は冷却してもよい。また、各成分を混合する過程において、撹拌又は振盪を行ってもよい。
用意した樹脂組成物は、必要に応じて、適切な形状に成形してもよい。通常は、特定平滑面を有する硬化体が得られるように、樹脂組成物を成形する。例えば、硬化体として絶縁層を製造する場合、樹脂組成物を層状に成形して、樹脂組成物層を得てもよい。具体例を挙げると、平滑な面上に樹脂組成物を塗布し、必要に応じて乾燥して、樹脂組成物層を得てもよい。また、用意した樹脂組成物層を適切な基板に積層して、当該基板上に樹脂組成物層を得てもよい。
樹脂組成物を用意した後で、その樹脂組成物を硬化させる工程を行う。通常は、加熱によって樹脂組成物を熱硬化させる。樹脂組成物の具体的な硬化条件は、樹脂組成物の組成によって異なりうる。一例において、硬化温度は、好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、さらに好ましくは170℃~210℃である。硬化時間は、好ましくは5分間~120分間、より好ましくは10分間~100分間、さらに好ましくは15分間~100分間でありうる。
硬化体の製造方法は、樹脂組成物の硬化の前に、樹脂組成物を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱することを含んでいてもよい。予備加熱は、例えば、通常50℃~150℃、好ましくは60℃~140℃、より好ましくは70℃~130℃の温度にて、樹脂組成物を、通常5分間以上、好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間の処理時間加熱する条件で行ってもよい。
前記のように樹脂組成物を硬化させることにより、面を有する硬化体が得られる。こうして得られる硬化体の面が要件(i)を満たす算術平均粗さRaを有する場合、当該面は特定平滑面として機能できるので、その特定平滑面には導体層を形成することができる。そして、硬化体と導体層とは、HAST試験後に高い密着性を達成することができる。すなわち、このように紫外線処理及びシランカップリング剤処理を行う前に要件(i)を満たす算術平均粗さRaを有する特定平滑面が得られている場合、その特定平滑面は、通常、紫外線処理及びシランカップリング剤処理を行った後でも要件(i)を満たす算術平均粗さRaを有することができる。よって、当該硬化体の特定平滑面に紫外線処理及びシランカップリング剤処理を行ってから導体層を形成することにより、HAST試験後に高い密着性を達成することができる。
ただし、後述する紫外線処理及びシランカップリング剤処理を行った後で要件(i)を満たす算術平均粗さRaを有する特定平滑面が得られる場合には、樹脂組成物を硬化して得られた直後の硬化体は、必ずしも要件(i)を満たす算術平均粗さRaを有する特定平滑面を有していなくてもよい。
硬化体の製造方法は、必要に応じて硬化体の表面の算術平均粗さRaを調整する工程を含んでいてもよい。例えば、硬化体の製造方法は、硬化体にデスミア処理を施す工程を含んでいてもよい。具体例を挙げると、硬化体としての絶縁層にビアホール等のホールを形成した場合、そのホール内にスミア(樹脂残渣)が形成されうるので、当該スミアの除去のためにデスミア処理が行われることがありうる。このデスミア処理によれば、スミアの除去だけでなく硬化体の表面の粗化も進行することが一般的である。よって、デスミア処理によれば、特定平滑面を含む硬化体表面の算術平均粗さRaを大きくなるように調整することができる。このデスミア処理は、当該デスミア処理後に要件(i)を満たす範囲の算術平均粗さRaを有する特定平滑面が得られるように行うことが好ましい。デスミア処理の方法としては、例えば、硬化体に、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施する方法が挙げられる。
粗化処理に用いる膨潤液としては、例えば、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液である。該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、例えば、30℃~90℃の膨潤液に硬化体を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。硬化体の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に硬化体を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。
粗化処理に用いる酸化剤としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~100℃に加熱した酸化剤溶液に硬化体を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は、5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
硬化体の製造方法は、更に、硬化体に紫外線処理を施す工程を含みうる。硬化体の製造方法がデスミア処理を行う工程を含む場合、通常、紫外線処理は、デスミア処理よりも後に行われる。紫外線処理は、紫外線を硬化体に照射することを含む。具体的には、硬化体の特定平滑面又は当該特定平滑面を形成すべき面に紫外線を照射する。この紫外線処理によって、硬化体の面に官能基を生成させることができる。
照射される紫外線の波長は、好ましくは160nm以上、より好ましくは172nm以上であり、好ましくは350nm以下、より好ましくは300nm以下である。また、紫外線の照射時間は、好ましくは1秒以上、より好ましくは2秒以上であり、好ましくは300秒以下、より好ましくは20秒以下である。
硬化体の製造方法は、更に、硬化体にシランカップリング剤処理を施す工程を含みうる。シランカップリング剤処理は、通常、紫外線処理よりも後に行われる。シランカップリング剤処理は、シランカップリング剤を含む処理液を硬化体に接触させることを含む。具体的には、硬化体の特定平滑面又は当該特定平滑面を形成すべき面に処理液を接触させる。このシランカップリング剤処理によって、硬化体の面にシランカップリング剤を固定化することができる。
シランカップリング剤は、通常、ケイ素原子と、無機材料と反応して結合しうる官能基と、樹脂成分と反応して結合しうる官能基とを含有する。無機材料と反応して結合しうる官能基には、当該官能基が加水分解されることで無機材料と反応して結合しうる基(シラノール基等)を生じるものも包含される。無機材料と反応して結合しうる官能基としては、例えば、アルコキシ基、アセトキシ基、塩素原子などが挙げられる。また、樹脂成分と反応して結合しうる官能基としては、例えば、アミノ基、グリシジル基、メルカプト基等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、アミノ基を含有するアミン系シランカップリング剤が好ましい。アミン系シランカップリング剤によれば、アミノ基が樹脂成分と強く結合できるので、高い密着性を得ることができる。好ましいアミン系シランカップリング剤としては、例えば、脂肪族炭化水素基に結合したアミノ基(脂肪族アミノ基)を含有する脂肪族アミン系シランカップリング剤;芳香族炭化水素基に結合したアミノ基(芳香族アミノ基)を含有する芳香族アミン系シランカップリング剤;などが挙げられる。
脂肪族アミン系シランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-2-イミダゾリンなどが挙げられる。また、芳香族アミン系シランカップリング剤としては、例えば、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
シランカップリング剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
処理液におけるシランカップリング剤の量の範囲は、好ましくは1g/リットル以上、より好ましくは3g/リットル以上、更に好ましくは5g/リットル以上であり、好ましくは500g/リットル以下、より好ましくは300g/リットル以下、更に好ましくは100g/リットル以下である。
処理液は、通常、シランカップリング剤に組み合わせて溶剤を含む。溶剤としては、シランカップリング剤を溶解しうるものが好ましい。この溶剤としては、例えば、水及び有機溶剤が挙げられる。中でも、溶剤は、水を含むことが好ましい。溶剤が水を含む場合、シランカップリング剤の官能基を加水分解して、シラノール基等の反応性の高い基を生成させることができる。
好ましい有機溶剤としては、ケトン系溶剤、グリコール系溶剤が挙げられ、中でもグリコール系溶剤がより好ましい。また、グリコール系溶剤の中でも、グリコールエーテル系溶剤が好ましく、グリコールブチルエーテル系溶剤がより好ましく、エチレン系グリコールブチルエーテル及びプロピレン系グリコールブチルエーテルからなる群より選ばれる1種類以上が更に好ましい。
エチレン系グリコールブチルエーテルとしては、C-(OCn1-OHで表される溶剤が好ましい。ここで、n1は、1以上の整数を表し、好ましくは1~4の整数を表す。エチレン系グリコールブチルエーテルの具体例としては、エチレングリコールブチルエーテル(n1=1)、ジエチレングリコールブチルエーテル(n1=2)、トリエチレングリコールブチルエーテル(n1=3)、テトラエチレングリコールブチルエーテル(n1=4)が挙げられる。
プロピレン系グリコールブチルエーテルとしては、C-(OCn2-OHで現れる溶剤が好ましい。ここで、n2は、1以上の整数を表し、好ましくは1~4の整数を表す。プロピレン系グリコールブチルエーテルの具体例としては、プロピレングリコールブチルエーテル(n2=1)、ジプロピレングリコールブチルエーテル(n2=2)、トリプロピレングリコールブチルエーテル(n2=3)、テトラプロピレングリコールブチルエーテル(n2=4)が挙げられる。
前記の例の中でも、エチレン系グリコールブチルエーテルが好ましく、ジエチレングリコールブチルエーテル(例えば、ジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテルなど)がより好ましい。
また、前記のグリコールブチルエーテル系溶剤において、ブチル基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよい。さらに、グリコールブチルエーテル系溶剤として、末端にブチル基を有するものを用いると、浸透性が向上し、好ましい。
溶剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、水と有機溶剤とを組み合わせて用いてもよい。水とグリコール系溶剤等の有機溶剤とを組み合わせて用いる場合、処理液における有機溶剤の量の範囲は、好ましくは0.1g/リットル以上、より好ましくは10g/リットル以上、更に好ましくは50g/リットル以上であり、好ましくは600g/リットル以下、より好ましくは500g/リットル以下、更に好ましくは400g/リットル以下である。
処理液は、pH調整剤を含んでいてもよい。pH調整剤によれば、処理液のpHを適切な範囲に容易に調整できる。pH調整剤としては、例えば、ジエチレントリアミンなどのアミン化合物;硫酸;NaOHなどのアルカリ溶液;が挙げられる。
pH調整剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
処理液におけるpH調整剤の量は、所望のpHの処理液が得られるように設定しうる。一例において、pH調整剤の量の範囲は、好ましくは3g/リットル以上、より好ましくは5g/リットル以上であり、好ましくは50g/リットル以下、より好ましくは30g/リットル以下である。
処理液は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の添加剤を含んでいてもよい。任意の添加剤としては、例えば、シランカップリング剤の溶解を促進する溶解助剤;フッ素化合物;界面活性剤;などが挙げられる。また、任意の添加剤は、フッ素化合物及び界面活性剤を含まなくてもよい。さらに、任意の添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
処理液は、特定の範囲のpHを有することが好ましい。処理液の具体的な範囲は、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上、更に好ましくは4.5以上であり、好ましくは10.0以下、より好ましくは9.0以下、更に好ましくは7.0以下であり、更に好ましくは5.5以下である。
硬化体と接触させる処理液の温度は、例えば、40℃~80℃である。また、硬化体と処理液との接触時間は、例えば、1分~20分である。硬化体と処理液との接触方法に制限はなく、例えば、処理液に硬化体を浸漬することで接触を行ってもよい。
前記のように紫外線処理及びシランカップリング剤処理を行った場合、当該紫外線処理及びシランカップリング剤処理を施された面として、特定平滑面を得ることができる。この特定平滑面には導体層を形成することができる。そして、硬化体と導体層とは、HAST試験後に高い密着性を達成することができる。
硬化体の製造方法は、上述した工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。例えば、紫外線処理及びシランカップリング剤処理の後で、硬化体に熱処理を施す工程を含んでいてもよい。熱処理によれば、硬化体と導体層との間の密着性を効果的に高めることができる。熱処理の温度条件は、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上、更に好ましくは140℃以上であり、好ましくは180℃以下である。また、熱処理の処理時間は、好ましくは5分~30分の範囲である。
<硬化体の用途>
本実施形態に係る硬化体は、絶縁用途に用いることができ、特に、絶縁層を形成するための硬化体(絶縁層形成用の硬化体)として好適に使用することができる。例えば、本実施形態に係る硬化体は、半導体チップパッケージの絶縁層を形成するための硬化体(半導体チップパッケージの絶縁層用の硬化体)、及び、回路基板(プリント配線板を含む。)の絶縁層を形成するための硬化体(回路基板の絶縁層用の硬化体)として、好適に使用することができる。特に、硬化体は、導体層と導体層との間に設けられる層間絶縁層を形成するために好適である。
半導体チップパッケージとしては、例えば、FC-CSP、MIS-BGAパッケージ、ETS-BGAパッケージ、Fan-out型WLP(Wafer Level Package)、Fan-in型WLP、Fan-out型PLP(Panel Level Package)、Fan-in型PLPが挙げられる。
また、前記の硬化体は、アンダーフィル材として用いてもよく、例えば、半導体チップを基板に接続した後に用いるMUF(Molding Under Filling)の材料として用いてもよい。
さらに、前記の硬化体は、ソルダーレジスト、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め材、部品埋め込み材等、樹脂組成物を硬化して得られる材料が用いられる広範な用途に使用できる。
<樹脂シート>
前記の用途に硬化体を適用するにあたり、当該硬化体の原料としての樹脂組成物は、樹脂シートの形態で用意してもよい。樹脂シートは、支持体と、該支持体上に形成された樹脂組成物層と、を備える。樹脂組成物層は、樹脂組成物を含み、好ましくは樹脂組成物のみを含む。
樹脂組成物層の厚さは、薄型化の観点から、好ましくは600μm以下、より好ましくは300μm以下、更に好ましくは100μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、5μm以上、10μm以上等でありうる。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
支持体として、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
支持体の厚さは、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
ここで、樹脂シートの樹脂組成物層を硬化して硬化体を形成し、その硬化体の支持体側の面へ紫外線処理及びシランカップリング剤処理を施す第一試験を行った場合を説明する。第一試験で形成される硬化体は、樹脂シートの属性を特定するための試料であり、以下「試料硬化体」ということがある。この第一試験を行った場合、試料硬化体の支持体側の面は、好ましくは、要件(i)を満たす算術平均粗さRaを有する特定平滑面を形成する。ここで、試料硬化体の支持体側の面とは、試料硬化体の面のうち、支持体と接合していた側の面を表す。第一試験では、樹脂組成物層の硬化は、樹脂シートの用途に応じた条件で行ってもよく、例えば、170℃30分の条件で行ってもよい。また、紫外線照射処理は、試料硬化体に波長172nmの紫外線を10秒間照射することにより行ってもよい。さらに、シランカップリング剤処理は、試料硬化体を、3-アミノ-プロピルトリメトキシシラン5g/リットル及びジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテル350g/リットルを含むpH5.0の水溶液としての処理液に、40℃で10分浸漬することで行ってもよい。支持体は、樹脂組成物層の硬化前、又は、紫外線処理の前に剥離する。
このように、第一試験を行った場合、試料硬化体の支持体側の面は、要件(i)で説明された特定の範囲の算術平均粗さRaを有する上記の特定平滑面を形成していることが好ましい。また、試料硬化体の支持体側の面は、算術平均粗さRa以外にも、上記の特定平滑面と同じ特性を有することがより好ましい。さらには、試料硬化体は、上述した本実施形態に係る硬化体と同じ特性を有することが更に好ましい。第一試験においてこのような要件を満たすことができる樹脂シートを用いれば、上述した実施形態に係る硬化体としての絶縁層を容易に製造できる。かかる樹脂シートを得る観点から、支持体は、樹脂組成物層と接する面が平滑であることが好ましい。例えば、支持体の樹脂組成物層と接する面の表面粗さの範囲は、特定平滑面の表面粗さの範囲と同じであってもよい。
また、樹脂シートの樹脂組成物層を200℃90分の条件で硬化して硬化試料層を形成する第二試験を行った場合を説明する。この場合、その硬化試料層の支持体側の表面は、好ましくは、要件(ii)を満たす接触角Xを有する。すなわち、前記の支持体側の表面のジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテルの接触角Xは、要件(ii)の項で説明した特定の範囲にあることが好ましい。前記の支持体側の表面とは、硬化試料層の表面のうち、支持体と接合していた側の面を表す。このような樹脂シートを用いれば、上述した実施形態に係る硬化体としての絶縁層を容易に製造できる。
さらに、樹脂シートの樹脂組成物層を200℃90分の条件で硬化して硬化試料層を形成する第二試験を行った場合、その硬化試料層の支持体側の表面は、好ましくは、要件(iii)を満たす窒素原子濃度を有する。すなわち、前記の支持体側の表面のX線光電子分光分析におけるN1sのスペクトルのピーク面積に基づいて得られる窒素原子濃度は、要件(iii)の項で説明した特定の範囲にあることが好ましい。このような樹脂シートを用いれば、上述した実施形態に係る硬化体としての絶縁層を容易に製造できる。
一実施形態において、樹脂シートは、さらに必要に応じて、任意の層を含んでいてもよい。斯かる任意の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムによれば、樹脂組成物層の表面へのゴミの付着及びキズを抑制することができる。
樹脂シートは、例えば、液状(ワニス状)の樹脂組成物をそのまま、或いは溶剤に樹脂組成物を溶解して液状(ワニス状)の樹脂組成物を調製し、これを、ダイコーター等の塗布装置を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
溶剤としては、樹脂組成物の成分として説明した(F)溶剤と同様のものが挙げられる。溶剤は1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の乾燥方法により実施してよい。乾燥条件は、特に限定されないが、樹脂組成物層中の溶剤の含有量が通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂組成物中の溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の溶剤を含む樹脂組成物を用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、通常は、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
<回路基板>
本発明の一実施形態に係る回路基板は、上述した硬化体によって形成された絶縁層を含む。絶縁層は、上述した硬化体を含み、好ましくは上述した硬化体のみを含む。この回路基板は、例えば、下記の工程(I)及び工程(II)を含む製造方法によって、製造できる。
(I)内層基板上に、樹脂組成物層を形成する工程。
(II)樹脂組成物層を硬化して、硬化体としての絶縁層を形成する工程。
工程(I)で用いる「内層基板」とは、回路基板の基材となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、該基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に導体層(回路)が形成された内層基板は「内層回路基板」ということがある。また回路基板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も、前記の「内層基板」に含まれる。回路基板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用してもよい。
内層基板上への樹脂組成物層の形成は、例えば、内層基板と樹脂シートとを積層することによって行いうる。内層基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール等)が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
内層基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施される。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
支持体は、工程(I)と工程(II)の間に除去してもよく、工程(II)の後に除去してもよい。
工程(II)において、樹脂組成物層を硬化して、樹脂組成物の硬化体からなる絶縁層を形成する。こうして形成された絶縁層の表面が、特定平滑面を形成する。この特定平滑面は、通常、回路基板とは反対側の絶縁層の面として得られる。樹脂組成物層の硬化は、通常、熱硬化によって行う。樹脂組成物層の具体的な硬化条件は、硬化体の製造方法で説明した条件を採用しうる。
回路基板の製造方法は、樹脂組成物層の熱硬化の前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱することを含んでいてもよい。予備加熱の条件は、硬化体の製造方法で説明した条件を採用しうる。
回路基板の製造方法は、通常は、(V)絶縁層に紫外線処理を施す工程、(VI)絶縁層にシランカップリング剤処理を施す工程、及び、(VII)導体層を形成する工程を更に含む。また、回路基板の製造方法は、更に、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層にデスミア処理を施す工程、を含んでいてもよい。工程(III)及び工程(IV)は、一般に、工程(V)及び工程(VI)より前に行われる。また、工程(VII)は、一般に、工程(V)及び工程(VI)より後に行われる。支持体を工程(II)の後に除去する場合、該支持体の除去は、工程(II)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)の間、又は工程(IV)と工程(V)との間に実施してよい。
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程である。工程(III)により、絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法及び形状は、回路基板のデザインに応じて適宜決定してよい。
工程(IV)は、絶縁層にデスミア処理を施す工程である。通常、この工程(IV)において、絶縁層の表面の粗化も行われる。よって、前記のデスミア処理は「粗化処理」と呼ばれることがある。デスミア処理は、例えば、硬化体の製造方法で説明した方法によって行いうる。
(V)絶縁層に紫外線処理を施す工程、及び、(VI)絶縁層にシランカップリング剤処理を施す工程は、工程(II)で樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成し、必要に応じて工程(III)及び工程(IV)を行った後で、行われる。通常、導体層は回路基板とは反対側の絶縁層の面に形成されるから、工程(V)では回路基板とは反対側の絶縁層の面に紫外線処理を施し、工程(VI)では回路基板とは反対側の絶縁層の面にシランカップリング剤処理を施す。紫外線処理及びシランカップリング剤処理は、硬化体の製造方法で説明した方法によって行いうる。これら工程(V)及び工程(VI)を行うことにより、紫外線処理及びシランカップリング剤処理を施された特定平滑面を有する硬化体として、絶縁層を得ることができる。
回路基板の製造方法は、紫外線処理及びシランカップリング剤処理の後、導体層を形成する前に、絶縁層に熱処理を施す工程を含んでいてもよい。熱処理は、硬化体の製造方法で説明した方法によって行いうる。
工程(VII)は、導体層を形成する工程であり、絶縁層上に導体層を形成する。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であってもよく、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望の回路基板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
一実施形態において、導体層は、メッキにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の特定平滑面にメッキして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法が好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、絶縁層の表面に、無電解メッキによりメッキシード層(無電解メッキ層)を形成する。次いで、形成されたメッキシード層上に、所望の配線パターンに対応してメッキシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出したメッキシード層上に、電解メッキにより電解メッキ層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なメッキシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
前記のように導体層を形成することにより、上述した硬化体としての絶縁層と、その絶縁層の特定平滑面に形成された導体層と、を含む回路基板を製造できる。こうして製造される回路基板は、絶縁層と導体層との密着性に優れ、特にHAST試験後に高い密着性を達成することができる。
回路基板の製造方法は、必要に応じて、工程(I)~工程(VII)の絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施してもよい。絶縁層及び導体層の形成を繰り返し行うことにより、多層プリント配線板等の多層構造を有する回路基板を製造することができる。
<半導体チップパッケージ>
本発明の一実施形態に係る半導体チップパッケージは、上述した硬化体と半導体チップとを含む。通常、半導体チップパッケージは、硬化体で形成された絶縁層を含む。絶縁層は、上述した硬化体を含み、好ましくは上述した樹脂組成物の硬化体のみを含む。この半導体チップパッケージとしては、例えば、下記のものが挙げられる。
第一の例に係る半導体チップパッケージは、上述した回路基板と、この回路基板に搭載された半導体チップとを含む。この半導体チップパッケージは、回路基板に半導体チップを接合することにより、製造することができる。
回路基板と半導体チップとの接合条件は、半導体チップの端子電極と回路基板の回路配線とが導体接続できる任意の条件を採用できる。例えば、半導体チップのフリップチップ実装において使用される条件を採用できる。また、例えば、半導体チップと回路基板との間に、絶縁性の接着剤を介して接合してもよい。
接合方法の例としては、半導体チップを回路基板に圧着する方法が挙げられる。圧着条件としては、圧着温度は通常120℃~240℃の範囲(好ましくは130℃~200℃の範囲、より好ましくは140℃~180℃の範囲)、圧着時間は通常1秒間~60秒間の範囲(好ましくは5秒間~30秒間の範囲)である。
また、接合方法の他の例としては、半導体チップを回路基板にリフローして接合する方法が挙げられる。リフロー条件は、120℃~300℃の範囲としてもよい。
半導体チップを回路基板に接合した後、半導体チップをモールドアンダーフィル材で充填してもよい。
第二の例に係る半導体チップパッケージは、半導体チップと、硬化体で形成された絶縁層とを含む。第二の例に係る半導体チップパッケージとしては、例えば、Fan-out型WLP、Fan-out型PLP等が挙げられる。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体チップパッケージの一例としてのFan-out型WLPを模式的に示す断面図である。Fan-out型WLPとしての半導体チップパッケージ100は、例えば、図1に示すように、半導体チップ110;半導体チップ110の周囲を覆うように形成された封止層120;半導体チップ110の封止層120とは反対側の面に設けられた、絶縁層としての再配線形成層130;導体層としての再配線層140;ソルダーレジスト層150;及び、バンプ160を備える。
このような半導体チップパッケージの製造方法は、
(i)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(ii)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(iii)半導体チップ上に封止層を形成する工程、
(iv)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(v)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に再配線形成層を形成する工程、
(vi)再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程、並びに、
(vii)再配線層上にソルダーレジスト層を形成する工程、
を含む。また、前記の半導体チップパッケージの製造方法は、
(viii)複数の半導体チップパッケージを、個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程
を含んでいてもよい。
(工程(i))
工程(i)は、基材に仮固定フィルムを積層する工程である。基材と仮固定フィルムとの積層条件は、回路基板の製造方法における内層基板と樹脂シートとの積層条件と同様でありうる。
基材としては、例えば、シリコンウエハ;ガラスウエハ;ガラス基板;銅、チタン、ステンレス、冷間圧延鋼板(SPCC)等の金属基板;FR-4基板等の、ガラス繊維にエポキシ樹脂等をしみこませ熱硬化処理した基板;BT樹脂等のビスマレイミドトリアジン樹脂からなる基板;などが挙げられる。
仮固定フィルムは、半導体チップから剥離でき、且つ、半導体チップを仮固定することができる任意の材料を用いうる。市販品としては、日東電工社製「リヴァアルファ」等が挙げられる。
(工程(ii))
工程(ii)は、半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程である。半導体チップの仮固定は、例えば、フリップチップボンダー、ダイボンダー等の装置を用いて行うことができる。半導体チップの配置のレイアウト及び配置数は、仮固定フィルムの形状、大きさ、目的とする半導体チップパッケージの生産数等に応じて適切に設定できる。例えば、複数行で、かつ複数列のマトリックス状に半導体チップを整列させて、仮固定してもよい。
(工程(iii))
工程(iii)は、半導体チップ上に封止層を形成する工程である。封止層は、例えば、感光性樹脂組成物又は熱硬化性樹脂組成物によって形成しうる。この封止層を、上述した実施形態に係る硬化体によって形成してもよい。封止層は、通常、半導体チップ上に樹脂組成物層を形成する工程と、この樹脂組成物層を硬化させて封止層を形成する工程とを含む方法で形成できる。
(工程(iv))
工程(iv)は、基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程である。剥離方法は、仮固定フィルムの材質に応じた適切な方法を採用することが望ましい。剥離方法としては、例えば、仮固定フィルムを加熱、発泡又は膨張させて剥離する方法が挙げられる。また、剥離方法としては、例えば、基材を通して仮固定フィルムに紫外線を照射して、仮固定フィルムの粘着力を低下させて剥離する方法が挙げられる。
前記のように基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離すると、封止層の面が露出する。半導体チップパッケージの製造方法は、この露出した封止層の面を研磨することを含んでいてもよい。研磨により、封止層の表面の平滑性を向上させることができる。
(工程(v))
工程(v)は、半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程である。通常、この再配線形成層は、半導体チップ及び封止層上に形成される。再配線形成層は、上述した実施形態に係る硬化体によって形成しうる。再配線形成層は、通常、半導体チップ上に樹脂組成物層を形成する工程と、この樹脂組成物層を硬化させて再配線形成層を形成する工程と、再配線形成層に紫外線処理を施す工程と、再配線形成層にシランカップリング剤処理を施す工程と、を含む方法で形成できる。
半導体チップ上への樹脂組成物層の形成は、例えば、内層基板の代わりに半導体チップを用いること以外は、前記の回路基板の製造方法で説明した内層基板上への樹脂組成物層の形成方法と同じ方法で行いうる。
半導体チップ上に樹脂組成物層を形成した後で、この樹脂組成物層を硬化させて、絶縁層としての再配線形成層を得る。樹脂組成物層の硬化条件は、硬化体の製造方法で説明した条件を採用しうる。樹脂組成物層を熱硬化させる場合には、その熱硬化の前に、樹脂組成物層に対して、硬化温度よりも低い温度で加熱する予備加熱を施してもよい。この予備加熱の条件は、硬化体の製造方法で説明した条件を採用しうる。
再配線形成層を形成した後で、再配線形成層の面に紫外線処理及びシランカップリング剤処理を施す。また、シランカップリング剤処理の後で、再配線形成層に熱処理を施してもよい。紫外線処理、シランカップリング剤処理及び熱処理は、硬化体の製造方法で説明した方法によって行いうる。紫外線処理及びシランカップリング剤処理を施された特定平滑面としての再配線形成層の面には、高い密着性で導体層を形成できる。
また、再配線形成層を形成した後、半導体チップと再配線層とを接続するために、再配線形成層にホールを形成してもよい。ホールの形成は、通常、紫外線処理より前に行われる。
(工程(vi))
工程(vi)は、再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程である。再配線形成層上に再配線層を形成する方法は、回路基板の製造方法における絶縁層上への導体層の形成方法と同様でありうる。また、工程(v)及び工程(vi)を繰り返し行い、再配線層及び再配線形成層を交互に積み上げて(ビルドアップ)もよい。
(工程(vii))
工程(vii)は、再配線層上にソルダーレジスト層を形成する工程である。ソルダーレジスト層の材料は、絶縁性を有する任意の材料を用いることができる。中でも、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂組成物が好ましい。ソルダーレジスト層は、上述した実施形態に係る硬化体によって形成してもよい。
また、工程(vii)では、必要に応じて、バンプを形成するバンピング加工を行ってもよい。バンピング加工は、半田ボール、半田めっきなどの方法で行うことができる。また、バンピング加工におけるビアホールの形成は、工程(v)と同様に行ってもよい。
(工程(viii))
半導体チップパッケージの製造方法は、工程(i)~(vii)以外に、工程(viii)を含んでいてもよい。工程(viii)は、複数の半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程である。半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングする方法は特に限定されない。
<半導体装置>
半導体装置は、上述した回路基板又は半導体チップパッケージを備える。半導体装置としては、例えば、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット型デバイス、ウェラブルデバイス、デジタルカメラ、医療機器、及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。以下の説明において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、以下に説明する操作は、別途明示の無い限り、常温常圧(25℃1気圧)大気中で行った。
以下の実施例において、グリシジルアミン型エポキシ樹脂「JER630LSD」、フェノール系硬化剤「LA-3018-50P」、マレイミド化合物「SLK-6895-M90」、ビスマレイミド樹脂「BMI-3000」、硬化促進剤「1B2PZ」、合成例1で合成した高分子樹脂A、及び、合成例2で合成した高分子樹脂Dが、窒素原子を含有する樹脂成分に該当する。
<合成例1.高分子樹脂Aの合成>
撹拌装置、温度計及びコンデンサーを備えたフラスコに、271.7質量部のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMAc)と、14.1質量部(0.064mol)のイソホロンジイソシアネート(IPDI)と、112.2質量部(0.03mol)の両末端OH基ポリブタジエン(日本曹達株式会社製「G-3000」、水酸基価:30mgKOH/g)とを供給して混合溶液を得た。この混合溶液を50℃まで昇温した後、この温度にて1時間保持した。次いで、イソシアネート基の量が所定値以下であることを確認し、上記混合溶液に、145.2質量部(0.09mol)の両末端フェノール性水酸基含有オリゴフェニレンエーテル樹脂(Sabic社製「SA90-100」、水酸基当量:807g/mol)と、1質量部(0.003mol)のベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)とを添加した。その後、混合溶液を140℃まで昇温した後、4時間反応を継続した。赤外スペクトルにて特性吸収を測定し、イソシアネート基の特性吸収である2270cm-1の吸収ピークが完全に消滅したことを確認し、粘度の上昇が収まったところで反応を終了した。
以上のようにして、分子末端がフェノール樹脂(両末端フェノール性水酸基含有オリゴフェニレンエーテル樹脂)で封止された構造を有する高分子樹脂Aを合成して、その高分子樹脂Aの溶液を得た。高分子樹脂Aの重量平均分子量は15000、高分子樹脂Aの溶液の不揮発成分の含有量は50質量%であった。
<合成例2.高分子樹脂Dの合成>
撹拌機、分水器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、芳香族テトラカルボン酸二無水物(SABICジャパン社製「BisDA-1000」、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物)65.0g、シクロヘキサノン266.5g、及びメチルシクロヘキサン44.4gを仕込んで溶液を得た。この溶液を60℃まで加熱した。次いで、ダイマージアミン(クローダジャパン社製「PRIAMINE 1075」)43.7g、及び1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン5.4gを溶液に滴下した後、140℃で1時間かけてイミド化反応させた。これにより、ポリイミド樹脂である高分子樹脂Dを含むポリイミド溶液(不揮発成分30質量%)を得た。高分子樹脂Dの重量平均分子量は25000であった。
<実施例1>
(樹脂ワニスの製造)
ビスフェノール型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ZX-1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品、エポキシ当量169g/eq.)3部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-4032D」、1,6-ビス(グリシジルオキシ)ナフタレン、エポキシ当量約145g/eq.)3部、無機充填材2(アミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C1」、平均粒径0.3μm、比表面積15m/g))65部、高分子樹脂Aの溶液(不揮発成分50質量%)20部、マレイミド化合物(信越化学工業社製液状ビスマレイミド「SLK-6895-M90」、不揮発成分90%質量%のMEK溶液、マレイミド基当量345g/eq.)3.3部、フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、不揮発成分50%、フェノール性水酸基当量151g/eq.)4部、硬化促進剤(四国化成工業社製「1B2PZ」、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール)0.05部、シクロヘキサノン15部、及び、メチルエチルケトン6部を、ミキサーを用いて均一に分散し、樹脂ワニスを得た。
(樹脂シートの製造)
支持体として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製「ルミラー T6AM」、厚さ38μm)を用意した。この支持体上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが50μmとなるように樹脂ワニスを均一に塗布し、80℃~120℃(平均100℃)で6分間乾燥させて、樹脂組成物層を形成した。
粗面を有する保護フィルム(ポリプロピレンフィルム、王子エフテックス社製「アルファンMA-430」、厚さ20μm)を用意した。この保護フィルムの粗面を樹脂組成物層に貼り合わせて、支持体/樹脂組成物層/保護フィルムの層構成を有する樹脂シートを得た。
<実施例2>
ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-4032D」、1,6-ビス(グリシジルオキシ)ナフタレン、エポキシ当量約145g/eq.)3部、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-6000L」、エポキシ当量215g/eq.)3部、無機充填材3(アミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C4」、平均粒径1.0μm、比表面積4.5m/g))90部、活性エステル系硬化剤(DIC社製「EXB8000L-65TM」、活性基当量約220g/eq.、不揮発成分65%のトルエン・MEK溶液)1.54部、高分子樹脂Aの溶液(不揮発成分50質量%)40部、マレイミド化合物(信越化学工業社製液状ビスマレイミド「SLK-6895-M90」、不揮発成分90%質量%のMEK溶液、マレイミド基当量345g/eq.)3.3部、フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、不揮発成分50%)2部、硬化促進剤(四国化成工業社製「1B2PZ」、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール)0.05部、シクロヘキサノン15部、及び、メチルエチルケトン6部を、ミキサーを用いて均一に分散し、樹脂ワニスを得た。
こうして得た樹脂ワニスを実施例1の樹脂ワニスの代わりに用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、樹脂シートを製造した。
<実施例3>
ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-4032D」、1,6-ビス(グリシジルオキシ)ナフタレン、エポキシ当量約145g/eq.)3部、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「JER630LSD」、エポキシ当量95g/eq.)3部、無機充填材1(アミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(DENKA社製「UFP-30」、平均粒径1.0μm、比表面積31m/g))50部、クレゾールノボラック樹脂(DIC社製「KA-1160」、水酸基当量=117g/eq.)3g、高分子樹脂Aの溶液(不揮発成分50質量%)20部、マレイミド化合物(信越化学工業社製液状ビスマレイミド「SLK-6895-M90」、不揮発成分90%質量%のMEK溶液、マレイミド基当量345g/eq.)6.7部、フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、不揮発成分50%)2部、硬化促進剤(四国化成工業社製「1B2PZ」、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール)0.05部、シクロヘキサノン15部、及び、メチルエチルケトン6部を、ミキサーを用いて均一に分散し、樹脂ワニスを得た。
こうして得た樹脂ワニスを実施例1の樹脂ワニスの代わりに用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、樹脂シートを製造した。
<実施例4>
高分子樹脂Aの溶液を、高分子樹脂Bとしての水酸基含有アクリルポリマー(東亞合成社製「ARUFON UH-2000」、重量平均分子量11,000)10部に変更したこと以外は、実施例3と同様の方法で、樹脂ワニス及び樹脂シートの製造を行った。
<実施例5>
高分子樹脂Aの溶液を、高分子樹脂Cとしてのコア-シェル型ポリマー粒子(Dow社「EXL2655」;ブタジエンの重合体で形成されたコア部と、スチレン及びメチルメタクリレートの共重合体で形成されたシェル部とを備えるコアシェル粒子;平均粒径0.2μm)4部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、樹脂ワニス及び樹脂シートの製造を行った。
<実施例6>
高分子樹脂Aの溶液を、高分子樹脂Dを含むポリイミド溶液(不揮発成分30質量%)33.3部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、樹脂ワニス及び樹脂シートの製造を行った。
<実施例7>
高分子樹脂Aの溶液を、ビスマレイミド樹脂(Designer Molecules社製「BMI-3000」、分子量3000、マレイミド基当量1500g/eq.)5部に変更した。また、マレイミド化合物(信越化学工業社製液状ビスマレイミド「SLK-6895-M90」、不揮発成分90%質量%のMEK溶液、マレイミド基当量345g/eq.)の量を6.7部から3.3部に変更した。以上の事項以外は実施例3と同様の方法で、樹脂ワニス及び樹脂シートの製造を行った。
<比較例1>
90部の無機充填材3を、無機充填材4(アミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ粒子、平均粒径2.0μm、比表面積2.0m/g)100部に変更した。また、高分子樹脂Aの溶液(不揮発成分50質量%)の量を40部から26部に変更した。さらに、マレイミド化合物(信越化学工業社製液状ビスマレイミド「SLK-6895-M90」、不揮発成分90%質量%のMEK溶液、マレイミド基当量345g/eq.)を用いなかった。以上の事項以外は実施例2と同様の方法で、樹脂ワニス及び樹脂シートの製造を行った。
<比較例2>
ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-6000L」、エポキシ当量215g/eq.)3部、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「JER630LSD」、エポキシ当量95g/eq.)4部、無機充填材3(アミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C4」、平均粒径1.0μm、比表面積4.5m/g))90部、活性エステル系硬化剤(DIC社製「EXB8000L-65TM」、活性基当量約220g/eq.、不揮発成分65%のトルエン・MEK溶液)1.54部、高分子樹脂Aの溶液(不揮発成分50質量%)14部、フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、不揮発成分50%)8部、硬化促進剤(四国化成工業社製「1B2PZ」、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール)0.05部、シクロヘキサノン15部、及び、メチルエチルケトン6部を、ミキサーを用いて均一に分散し、樹脂ワニスを得た。
こうして得た樹脂ワニスを実施例1の樹脂ワニスの代わりに用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、樹脂シートを製造した。
<比較例3>
ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-4032D」、1,6-ビス(グリシジルオキシ)ナフタレン、エポキシ当量約145g/eq.)3部、エポキシ基含有変性シリコーン樹脂(信越化学工業社製「X-22-2000」、エポキシ当量620/eq.)3部、無機充填材3(アミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C4」、平均粒径1.0μm、比表面積4.5m/g))90部、活性エステル系硬化剤(DIC社製「EXB-8000L-65TM」、活性基当量約220g/eq.、不揮発成分65%のトルエン・MEK溶液)1.54部、高分子樹脂Aの溶液(不揮発成分50質量%)40部、フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、不揮発成分50%)2部、硬化促進剤(四国化成工業社製「1B2PZ」、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール)0.05部、シクロヘキサノン15部、及び、メチルエチルケトン6部を、ミキサーを用いて均一に分散し、樹脂ワニスを得た。
こうして得た樹脂ワニスを実施例1の樹脂ワニスの代わりに用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、樹脂シートを製造した。
<試験1.接触角Xの測定>
(内層回路基板の下地処理)
内層回路基板として、銅によって内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.4mm、パナソニック社製「R1515A」)を用意した。この内層回路基板の両面をマイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行った。
(硬化試料層の形成)
実施例及び比較例で作製した樹脂シートから保護フィルムを剥がして、樹脂組成物層を露出させた。バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が上記内層回路基板と接するように、内層回路基板の両面にラミネートした。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下に調整した後、120℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスを行った。その後、支持体を剥がし、樹脂組成物層を露出させた。
200℃90分の硬化条件で樹脂組成物層を硬化して、内層回路基板上に硬化試料層を形成した。
硬化試料層の表面に対するジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテルの接触角Xを、液滴法によって、自動接触角計(共和界面科学社製「DropMaster DMs-401」)を用いて測定した。具体的には、ジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテルをシリンジに充填し、1.0μLの液滴を作製し、硬化試料層の表面に付着させた。ジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテルが付着して2000ms後の接触角X(°)を、前記の自動接触角計で測定した。
<試験2.XPS測定>
(内層回路基板の下地処理)
内層回路基板として、銅によって内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.4mm、パナソニック社製「R1515A」)を用意した。この内層回路基板の両面をマイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行った。
(硬化試料層の形成)
実施例及び比較例で作製した樹脂シートから保護フィルムを剥がして、樹脂組成物層を露出させた。バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が上記内層回路基板と接するように、内層回路基板の両面にラミネートした。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下に調整した後、120℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスを行った。その後、支持体を剥がし、樹脂組成物層を露出させた。
200℃90分の硬化条件で樹脂組成物層を硬化して、内層回路基板上に硬化試料層を形成した。
(XPS測定)
硬化試料層の表面に対し、走査型X線光電子分光分析装置(アルバックファイ社製「PHI Quantera II」)を用いてXPS測定を行った。測定されたN1sのスペクトルのピーク面積に基づいて、硬化試料層の表面の窒素原子濃度を求めた。XPS測定は、下記の測定条件で行った。
XPS測定条件:
X線ビーム径100μm、エネルギー25W、加速電圧15kV
<試験3.絶縁層と導体層との間のピール強度(密着強度)の測定>
(サンプルの調製)
(1)内層回路基板の下地処理:
内層回路基板として、銅によって内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.4mm、パナソニック社製「R1515A」)を用意した。この内層回路基板の両面を、マイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行った。
(2)樹脂シートの積層:
実施例及び比較例で作製した樹脂シートから保護フィルムを剥がした。この樹脂シートを、バッチ式真空加圧ラミネーター(名機製作所社製「MVLP-500」)を用いて、樹脂組成物層が内層回路基板と接するように、内層回路基板の両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃、圧力0.74MPaにて30秒間ラミネート処理することにより行った。
(3)樹脂組成物層の硬化:
積層された樹脂シートを、100℃で30分間、次いで170℃で30分間加熱し、樹脂組成物層を熱硬化して、硬化体としての絶縁層を形成した。その後、支持体を剥離して、絶縁層/内層回路基板/絶縁層の層構成を有する中間積層体を得た。
(4)紫外線処理:
支持体を剥離して現れた上記絶縁層の面に、波長172nmの紫外線を、25℃にて10秒間照射した。
(5)シランカップリング処理:
水にシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM903」、3-アミノ-プロピルトリメトキシシラン)及びグリコール系溶剤(ジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテル)を溶解したシランカップリング剤溶液(シランカップリング剤の濃度が5g/L、グリコール系溶剤の濃度が350g/L)を用意した。溶液のpHは5.0であった。このシランカップリング剤溶液に、中間積層体を、40℃で10分間浸漬した。その後、中間積層体を60℃10分乾燥して、試料基板Aを得た。
(6)熱処理:
試料基板Aに、160℃10分の熱処理を加えた。
(7)無電解めっき工程:
1.アルカリクリーニング:
熱処理後の試料基板Aの表面を、Cleaning Cleaner Securiganth 902(商品名)を用いて60℃で5分間洗浄した。
2.ソフトエッチング:
続いて試料基板Aの表面を、硫酸酸性ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液を用いて、30℃で1分間処理した。
3.プレディップ(Pd付与のための絶縁層の表面の電荷の調整):
続いて試料基板Aの表面を、Pre. Dip Neoganth B(商品名)を用い、室温で1分間処理した。
4.アクティヴェーター付与(絶縁層の表面へのPdの付与):
続いて試料基板Aの表面を、Activator Neoganth 834(商品名)を用い、35℃で5分間処理した。
5.還元(絶縁層に付与されたPdを還元):
続いて試料基板Aの表面を、Reducer Neoganth WA(商品名)とReducer Acceralator 810 mod.(商品名)との混合液を用い、30℃で5分間処理した。
6.無電解銅めっき工程(Cuを絶縁層の表面(Pd表面)に析出):
続いて試料基板Aの表面を、Basic Solution Printganth MSK-DK(商品名)と、Copper solution Printganth MSK(商品名)と、Stabilizer Printganth MSK-DK(商品名)と、Reducer Cu(商品名)との混合液を用いて、35℃で20分間処理した。以上の操作により、絶縁層の表面に無電解銅めっき層(厚さ0.8μm)が形成された。その後、熱処理を150℃30分実施した。
7.電解めっき工程:
次いで、アトテックジャパン社製の薬液を使用して、電解銅めっき工程を行って電解めっき層を形成した。無電解銅めっき層及び電解めっき層の組み合わせにより、導体層(厚さ25μm)が形成された。次に、アニール処理を200℃にて90分間行って、試料基板Bを得た。
(HAST試験前のピール強度の測定)
絶縁層と導体層との間のピール強度の測定は、試料基板Bについて、JIS C6481に準拠して行った。具体的には、下記の方法によってピール強度を測定した。
試料基板Bの導体層に、幅10mm、長さ100mmの矩形部分を囲む切込みを形成した。この矩形部分の一端を剥がして、つかみ具で掴んだ。つかみ具で矩形部分を、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定し、ピール強度(HAST試験前のピール強度)を求めた。測定には、引っ張り試験機(TSE社製「AC-50C-SL」)を使用した。
(HAST試験後のピール強度の測定)
その後、試料基板Bに、高度加速寿命試験装置(楠本化成社製「PM422」)を用いて、130℃、85%RHの高温高湿条件で100時間のHAST試験を実施した。その後、前記のHAST試験後の試料基板Bの導体層に前記の工程(HAST試験前のピール強度の測定)と同様の方法で、切り込みを形成してピール強度(HAST試験後のピール強度)を測定した。
<試験4.表面粗さRa及びRzの測定>
上記の試験3で得た試料基板A(シランカップリング処理後、熱処理前の試料基板A)の絶縁層の面について、日本工業規格(JIS B0601-2001)で規定された算術平均粗さRa及び最大高さRzを測定した。測定は、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製「WYKO NT3300」)を用いて、VSIモード、50倍レンズにより、測定範囲を121μm×92μmとして行った。
<試験5.架橋密度nの測定>
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン200EN」)をポリイミド基材として用意した。実施例及び比較例で作製した樹脂シートから保護フィルムを剥がした。この樹脂シートを、バッチ式真空加圧ラミネーター(名機製作所社製「MVLP-500」)を用いて、樹脂組成物層がポリイミド基材と接するように、ポリイミド基材の片面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃、圧力0.74MPaにて30秒間ラミネート処理することにより行った。前記の積層により、ポリイミド基材付き樹脂シートを得た。
ポリイミド基材付き樹脂シートを、12インチシリコンウエハ上に、ポリイミド基材側がシリコンウエハに接するように置いた。ポリイミドテープで、ポリイミド基材付き樹脂シート4辺をシリコンウエハに貼り付けた。100℃で30分間、次いで170℃で30分間加熱し、樹脂組成物層を熱硬化して、硬化体としての絶縁層を形成した。その後、支持体を剥離して、絶縁層/ポリイミド基材/シリコンウエハの構成を有する中間積層体を得た。
支持体を剥離して現れた上記絶縁層の面に、波長172nmの紫外線を、25℃にて10秒間照射した。
水にシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM903」、3-アミノ-プロピルトリメトキシシラン)及びグリコール系溶剤(ジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテル)を溶解したシランカップリング剤溶液(シランカップリング剤の濃度が5g/L、グリコール系溶剤の濃度が350g/L)を用意した。溶液のpHは5.0であった。このシランカップリング剤溶液に、中間積層体を、40℃で10分間浸漬した。その後、中間積層体を60℃10分で乾燥し、更に180℃60分の熱処理を加えて、試料基板Cを得た。
熱処理後の試料基板Cから絶縁層を剥ぎ取って、硬化体を得た。この硬化体を幅5mm、長さ15mmに切断して、試験片Dを得た。この試験片Dについて、粘弾性測定装置(日立ハイテクサイエンス社製「DMA7100」)を用いて、引張加重法にて熱機械分析を行った。具体的には、試験片Cを前記熱機械分析装置に装着した後、荷重200mN、昇温速度5℃/分の測定条件にて、貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定した。
測定結果として得られるtanδ(貯蔵弾性率及び損失弾性率の比の温度依存曲線)のピークトップから、ガラス転移温度Tg(℃)を取得した。
続いて、ガラス転移温度Tgよりも80K高い所定の温度T(K)を決定した。具体的には、取得済みのガラス転移温度Tg(℃)を単位Kに換算すべく273Kを加算し、更に、80Kを加算して、所定の温度T(K)を決定した。なお、所定の温度T(K)近傍の温度領域では、貯蔵弾性率の値は大きく変動しない傾向にあることから、決定した所定の温度T(K)に関し、-5℃~+5℃の範囲内において誤差が生じ得ることは許容される。そして、決定した所定の温度T(K)における貯蔵弾性率の測定値E’(単位:GPa、すなわち、×10Pa)を取得した。
取得した貯蔵弾性率E’(Pa)を、以下の式(M1)に代入することにより、架橋密度n(mol/cm)を算出した。ここで、架橋密度nは、単位体積あたりに存在する架橋分子の数を示す指標として考えることが可能である。
n=E’/3RT (M1)
(上記式(M1)において、Tは、所定の温度T(K)を表し;E’は、所定の温度T(K)における貯蔵弾性率の測定値(Pa)を表し;Rは、気体定数としての8310000(Pa・cm/mol・K)を表す。なお、E’/3として、所定の温度T(K)におけるせん断弾性率G’の測定値(10Pa)を用いてもよい。)
<試験6.誘電正接の測定>
上記の試験5で得た試料基板Cから絶縁層を剥ぎ取って、硬化体を得た。この硬化体に対し、アジレントテクノロジーズ社製「HP8362B」を用いて、空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて誘電正接Dfを測定した。3本の試験片について測定を行い、平均値を算出した。
<試験7.貯蔵弾性率及びガラス転移温度の測定>
上記の試験5で得た試料基板Cから絶縁層を剥ぎ取って、硬化体を得た。この硬化体を切断して、幅7mm、長さ40mmの試験片を得た。この試験片について、動的機械分析装置(セイコーインスツルメンツ社製「DMS-6100」)を使用して、引張モードにて動的機械分析を行った。具体的には、試験片を前記装置に装着後、周波数1Hz、昇温速度5℃/分の測定条件にて測定した。かかる測定における25℃のときの貯蔵弾性率(E’)を読み取った。また、tanδが最大となる温度を、ガラス転移温度Tgとして読み取った。
<結果>
上述した実施例及び比較例の結果を、下記の表に示す。下記の表において、各成分の量は、不揮発成分の質量部を表す。また、略称の意味は、以下の通りである。
Ra:算術平均粗さ。
Rz:最大高さ。
Tg:ガラス転移温度。
HAST前のピール強度:HAST試験前の絶縁層と導体層との間のピール強度。
HAST後のピール強度:HAST試験後の絶縁層と導体層との間のピール強度。
Figure 0007494960000002
Figure 0007494960000003
<検討>
比較例1では、硬化体の面の表面粗さが大きく、よって、高い密着性が得られなかった。また、比較例2は、HAST試験前には高い密着性が得られていたが、HAST試験によって導体層に膨れが生じ、HAST試験後のピール強度の測定自体が行えなかった。比較例2では硬化試料層の表面の窒素原子濃度が大きいことから、絶縁層の表面でも窒素原子濃度が大きく、よって吸水が多くなって膨れが生じたものと推察される。さらに、比較例3では、HAST試験前に高い密着性が得られていない。比較例3では硬化試料層の表面の接触角Xが大きいことから、シランカップリング剤処理の処理液と絶縁層との馴染み性が低く、よって密着性の向上効果を十分に得られなかったものと推察される。
これに対し、実施例では、いずれもHAST試験後に高い密着性が得られている。この実施例の結果から、本発明によってHAST試験後の高い密着性を達成できることが確認できる。
100 半導体チップパッケージ
110 半導体チップ
120 封止層
130 再配線形成層
140 再配線層
150 ソルダーレジスト層
160 バンプ

Claims (18)

  1. 熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化体であって;
    硬化体は、算術平均粗さRaが100nm未満の面を有し;
    樹脂組成物の層を200℃90分の条件で硬化して硬化試料層を形成する試験を行った場合に、
    硬化試料層の表面に対するジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテルの接触角が、30°未満であり、
    硬化試料層の表面のX線光電子分光分析におけるN1sのスペクトルのピーク面積に基づいて得られる窒素原子濃度が、3.8原子%未満である、硬化体。
  2. 硬化試料層の表面のX線光電子分光分析におけるN1sのスペクトルのピーク面積に基づいて得られる窒素原子濃度が、0.1原子%以上である、請求項1に記載の硬化体。
  3. 樹脂組成物が、無機充填材を含む、請求項1に記載の硬化体。
  4. 樹脂組成物中の無機充填材の量が、樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、40質量%以上90質量%以下である、請求項3に記載の硬化体。
  5. 熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の硬化体。
  6. 熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂を含む、請求項1に記載の硬化体。
  7. 熱硬化性樹脂が、活性エステル樹脂を含む、請求項1に記載の硬化体。
  8. 熱硬化性樹脂が、マレイミド樹脂を含む、請求項1に記載の硬化体。
  9. 樹脂組成物が、硬化促進剤を含む、請求項1に記載の硬化体。
  10. 樹脂組成物が、窒素原子を含有する樹脂成分を含む、請求項1に記載の硬化体。
  11. 算術平均粗さRaが100nm未満の前記面に、導体層を形成されるための、請求項1に記載の硬化体。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の硬化体により形成された絶縁層を含む、回路基板。
  13. 請求項1~11のいずれか1項に記載の硬化体と、半導体チップとを含む、半導体チップパッケージ。
  14. 請求項12に記載の回路基板を備える、半導体装置。
  15. 請求項13に記載の半導体チップパッケージを備える、半導体装置。
  16. 請求項1~11のいずれか1項に記載の硬化体の製造方法であって、
    熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物を硬化して硬化体を得る工程と、
    前記硬化体に、紫外線処理を施す工程と、
    前記硬化体に、シランカップリング剤処理を施す工程と、を含む、硬化体の製造方法。
  17. 支持体と、支持体上に形成された樹脂組成物の層と、を備える樹脂シートであって;
    樹脂組成物が、熱硬化性樹脂を含み;
    樹脂組成物の層を硬化して試料硬化体を形成し、試料硬化体の支持体側の面へ紫外線処理及びシランカップリング剤処理を施す第一試験を行った場合、当該支持体側の面の算術平均粗さRaが、100nm未満であり;
    樹脂組成物の層を200℃90分の条件で硬化して硬化試料層を形成する第二試験を行った場合、
    硬化試料層の支持体側の表面に対するジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテルの接触角が、30°未満であり、
    硬化試料層の支持体側の表面のX線光電子分光分析におけるN1sのスペクトルのピーク面積に基づいて得られる窒素原子濃度が、3.8原子%未満である、樹脂シート。
  18. 第一試験において、樹脂組成物の層の硬化が、170℃30分の条件で行われ、
    第一試験において、紫外線処理が、試料硬化体に波長172nmの紫外線を10秒間照射することで行われ、
    第一試験において、シランカップリング剤処理が、試料硬化体を、3-アミノ-プロピルトリメトキシシラン5g/リットル及びジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテル350g/リットルを含むpH5.0の水溶液に、40℃で10分浸漬することで行われる、請求項17に記載の樹脂シート。
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