本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1を参照して、上送り装置2及び上送り装置2を装着したミシン1の物理的構成を説明する。図1の上下方向、左下側、右上側、左上側、及び右下側が各々、上送り装置2及びミシン1の上下方向、前方、後方、左方、及び右方である。つまり、上送り装置2がミシン1に装着された状態において押え足5及び図3を参照して後述の開口61、62の短手方向M(以下、単に方向Mともいう。)が上送り装置2の左右方向である。押え足5及び開口61、62の長手方向N(以下、単に方向Nともいう。)が上送り装置2の前後方向である。上送り装置2が装着される押え棒21の伸長方向が上送り装置2の上下方向である。
図1に示すように、ミシン1は、ベッド部11、脚柱部12、アーム部13、頭部14を備える。ベッド部11は、左右方向に延びるミシン1の土台部であり上面に針板15を備える。ベッド部11は針板15の下方に、送り歯18を駆動することで被縫製物を後方又は前方に搬送する送り機構を備える。脚柱部12は、ベッド部11の右端部から上方へ立設される。脚柱部12の前面には、LCD26が設けられる。アーム部13は、ベッド部11に対向して脚柱部12の上端から左方へ延びる。アーム部13の前面には、スタート/ストップスイッチ29を含む各種スイッチが設けられている。スタート/ストップスイッチ29は、ミシン1の運転を開始又は停止させる、即ち、縫製開始又は停止の指示を入力するのに使用される。頭部14は、アーム部13の左先端部に連結する部位である。頭部14には、針棒20、押え棒21、針棒上下動機構、及び揺動機構等が設けられる。針棒20の下端には、縫針23が取り外し可能に装着される。針棒20は、下端部に右方に突出する軸部27を備える。押え棒21は針棒20の後方において上下方向に延び、押え棒21の下端には、上送り装置2が取り外し可能に装着される。針棒上下動機構は針棒20を上下動させる。揺動機構は針棒20を左右動させる。
図1から図4を参照し、上送り装置2がミシン1に装着された場合を基準に上送り装置2を説明する。図1に示すように、上送り装置2は、押え棒21の下端に固定ビス28により取り外し可能に装着される。上送り装置2は、ベッド部11上に載置された被縫製物を押え足5で針板15上面側に押えながら、ベッド部11に設けられた送り歯18と協働して上送り歯30により上下に重ね合わされた複数枚の被縫製物を移送する。上送り装置2は、例えば、二枚の被縫製物の間に綿を挟んで縫い合わせるキルティングを行う場合に使用される。上送り装置2には押え足5の他、図5を参照して後述する押え足7等複数種類が準備されている。ユーザは、所望の押え足を装着して被縫製物を縫製する。押え足5は、ジグザク縫いを行う場合に用いられる。図示しないが、被縫製物との摩擦を小さくする為に布押え面に表面加工を施した押え足、縫針23の針落ち位置をより視認し易くする為に透明樹脂で形成した押え足等がある。以下、本体部3に押え足5が装着された場合を例に上送り装置2の構成を説明する。
図2に示すように、上送り装置2は、本体部3及び押え足5を備える。本体部3は、ミシン1の押え棒21に装着される。本体部3は、上送り歯30、第一装着部31、第二装着部32、付勢部材41、42、揺動レバー35、及び装着部37を備える。上送り歯30は、ミシン1の針棒20の上下動に連動して被縫製物を搬送する。上送り歯30は、平面視で前側へ開放された略U字形状であり、上送り歯30の後端部300と、後端部300の左端部及び右端部から前方側へ延出された腕部301、302とを有する。左右方向において、腕部301、302は、第一装着部31と、第二装着部32との間に配置される。腕部301の下面には、複数の歯303が前後方向に並んで配置されている。腕部302の下面には、複数の歯304が前後方向に並んで配置されている。上送り歯30の後端部300は、伝達レバー(図示略)に連結される。伝達レバーは、揺動レバー35の揺動に応じて、上送り歯30を相対的に移動させる。上送り歯30は付勢部材(図示略)により上方に付勢されている。
第一装着部31は、腕部301の左方において本体部3の左面前下部から前方に延びる板状である。第一装着部31は、第一装着部31の前端部に下方に向けて開口した第一溝33を有する。第二装着部32は、腕部302の右方において本体部3の右面前下部から前方に延びる板状である。第一装着部31と、第二装着部32とは左右方向において互いに対向する。第二装着部32は、第二装着部32の前端部に下方に向けて開口した第二溝34を有する。
付勢部材41は、第一装着部31の左面、上面、及び右面に沿って折り曲げられた、前後方向に延びる薄い板状の板バネである。付勢部材41の後端部は、第一溝33の後方において、ネジ43により第一装着部31の左面に固定されている。付勢部材41の前端部は第一装着部31の右面の右方に配置され、第一溝33の前側部に対向する。付勢部材41は、第一装着部31の第一溝33に嵌合された後述の第一ピン53を下方に交差する方向(後方)に付勢する。付勢部材42は、付勢部材41と互いに左右対称の構成を有する。付勢部材42は、第二装着部32の右面、上面、及び左面に沿って折り曲げられた、前後方向に延びる薄い板状の板バネである。付勢部材42の後端部は、第二溝34の後方において、ネジ44により第二装着部32の右面に固定されている。付勢部材42の前端部は第二装着部32の左面の左方に配置され、第二溝34の前側部に対向する。付勢部材42は、第二装着部32の第二溝34に嵌合された後述の第二ピン54を下方に交差する方向(後方)に付勢する。
揺動レバー35は、本体部3の後部に設けられた左右方向に延びる揺動軸周りに揺動可能に本体部3に支持されている。揺動レバー35の前端部は、前側が開放した溝状の係合部36を備える。係合部36は、第二装着部32の上方に設けられる。係合部36の溝状の部分には、針棒20(図1参照)の下端部に設けられた軸部27(図1参照)が挿入される。これにより、針棒20が上下動した場合、揺動レバー35が揺動軸回りを上下に揺動する。
装着部37は、ミシン1の押え棒21に上送り装置2の本体部3を取り外し可能に装着する。装着部37は、左右方向において、第一装着部31と、第二装着部32との間に設けられる。装着部37は、前後方向において、第一装着部31の第一溝33及び第二装着部32の第二溝34よりも後方に設けられる。装着部37は平面視右方が開放する溝状である。装着部37は、上下方向の中心部に、前端から後方に凹む凹部38を備える。ユーザは押え棒21の左側から装着部37の溝状の部分に押え棒21の下端を配置した状態で、左側から固定ビス28を凹部38に挿通し、押え棒21のネジ孔に固定ビス28を螺合させることで、ミシン1の押え棒21に上送り装置2の本体部3を取り外し可能に装着する。
押え足5は、本体部3に対して取り外し可能に装着される。図3(A)に示すように、押え足5は、押え板50、第一対向部51、第二対向部52、第一ピン53、第二ピン54、第一突出部55、及び第二突出部56を備える。
押え板50は、平面視前後方向に長い矩形板状である。押え板50は、水平に延びる。図2に示すように、押え板50の前端部と後端部とは各々上方に湾曲している。上下方向において、押え板50の底面65から押え板50の前端までの長さは、押え板50の底面65から押え板50の後端までの長さよりも長い。図3(A)に示すように、押え板50は、左右方向の中心Jを基準として左右対称の形状である。押え板50には、開口61、62、切欠き部63及び開口64が形成される。開口61、62は各々、平面視前後方向に長い矩形状の、上下方向に貫通する孔である。開口61は、開口62の左方に形成される。図3(B)に示すように、押え足5が本体部3に装着された場合、開口61、62には各々、上送り歯30の腕部301、302が挿通される。
図3(A)に示すように、切欠き部63及び開口64は、左右方向において、開口61、62の間に形成される。切欠き部63は、押え板50の左右方向の中心において、押え板50の前端から後方に向かって平面視T字状に形成された切欠きである。切欠き部63は、後端部631、直線部632、及び前端部633を有する。後端部631は、左右方向に延びる。上送り装置2が押え棒21の下端に装着され、ミシン1が駆動された場合、後端部631には、縫針23が挿通される。直線部632は、後端部631の左右方向に中心から前方に直線状に延びる。前端部633は、直線部632の前端と連結し、押え板50の前端から後方に向けて左右方向の幅が短くなるように切欠かれた部分である。後端部631の左右方向の幅W1は、直線部632の左右方向の幅W2よりも長い。開口64は、切欠き部63の後方に形成された平面視矩形状の、上下方向に貫通する孔である。開口61、62の後端は、開口64の後端よりも後方にある。開口61、62の前端は、切欠き部63の後端よりも前方にある。押え板50の底面65は水平に延びる。押え板50の底面65は、押え足5の底面65でもある。
図2(B)に示すように、第一対向部51は、方向Mにおいて、開口61、62の一方側(左側)で押え板50から上方に延出される。第一対向部51は、左右方向に対して垂直な対向面511と、把持面512とを有する板状である。対向面511は、第二対向部52と対向する側の面、即ち、第一対向部51の右面である。把持面512は、第二対向部52から離れる側の面、即ち、第一対向部51の左面である。第一対向部51には、方向Mに貫通する第一孔57が形成される。第一孔57の下端は、押え板50の底面65よりも上方に位置する。
第二対向部52は、方向Mにおいて、開口61、62の他方側(右側)で押え板50から上方に延出され、第一対向部51と対向する。第二対向部52は、左右方向に対して垂直な対向面521と、把持面522とを有する板状である。対向面521は、第一対向部51と対向する側の面、即ち、第二対向部52の左面である。把持面522は、第一対向部51から離れる側の面、即ち、第二対向部52の右面である。第二対向部52には、方向Mに貫通する第二孔58が形成される。第二孔58の下端は、押え板50の底面65よりも上方に位置する。上下方向において、押え板50の底面65から第一対向部51の上端及び第二対向部52の上端までの長さは、押え板50の底面65から押え板50の前端までの長さと略同じである。
図3(A)に示すように、第一ピン53は、第一対向部51から開口61、62の側(右側)に突出し、第一装着部31の第一溝33に回動可能に嵌合する。第一ピン53は、第一挿通部531と第一嵌合部532とを備える。第一挿通部531は、第一ピン53の左端部であり、第一対向部51の第一孔57に挿通される。第一嵌合部532は、第一ピン53の右端部を含み、第一装着部31の第一溝33に嵌合する部分である。第一ピン53の第一嵌合部532は、第一対向部51の対向面511から右方に、直径が略一定の円柱状に突出する。第一ピン53(第一嵌合部532)の右端は、開口61の左端よりも左方にある。第一ピン53の外周には、ネジ山等の凹凸が形成されておらず、第一ピン53の外周は方向Mにおいて平滑に延びる。方向Mに直交する径方向における、第一嵌合部532の最大長さ(第一嵌合部532の直径)は、第一挿通部531の最大長さ(第一挿通部531の直径)と互いに同じである。
第二ピン54は、第二対向部52から開口61、62の側(左側)に突出し、第二装着部32の第二溝34に回動可能に嵌合する。第二ピン54は、第二挿通部541と第二嵌合部542とを備える。第二挿通部541は、第二ピン54の右端部であり、第二対向部52の第二孔58に挿通される。第二嵌合部542は、第二ピン54の左端部を含み、第二装着部32の第二溝34に嵌合する部分である。第二ピン54の第二嵌合部542は、第二対向部52の対向面521から左方に、直径が略一定の円柱状に突出する。第二ピン54(第二嵌合部542)の左端は、開口62の右端よりも右方にある。第二ピン54の外周には、ネジ山等の凹凸が形成されておらず、第二ピン54の外周は方向Mにおいて平滑に延びる。方向Mに直交する径方向における、第二嵌合部542の最大長さ(第二嵌合部542の直径)は、第二挿通部541の最大長さ(第二挿通部541の直径)と互いに同じである。
第一突出部55は、第一対向部51から開口61、62の側とは反対側(左側)に突出する。第一突出部55は、把持面512から左方に突出する。第一突出部55の把持面512からの突出量は、第一ピン53の対向面511からの突出量よりも小さい。第二突出部56は、第二対向部52から開口61、62の側とは反対側(右側)に突出する。第二突出部56は、把持面522から右方に突出する。第二突出部56の把持面522からの突出量は、第二ピン54の対向面521からの突出量よりも小さい。第一突出部55の下端及び第二突出部56の下端は各々、押え板50の底面65よりも上方に位置する。
方向Nにおいて、第一突出部55の延設範囲D1は、第一ピン53の延設範囲D2と互いに重なる。第二突出部56の延設範囲D1は、第二ピン54の延設範囲D2と互いに重なる。方向Nにおいて、第一突出部55の延設範囲D1は、第二突出部56の延設範囲D1と互いに同じである。方向Nにおいて、第一ピン53の延設範囲D2は、第二ピン54の延設範囲D2と互いに同じである。延設範囲D1は、延設範囲D2を含む。第一突出部55、第一ピン53、第二突出部56、及び第二ピン54は、方向Mに延びる同一直線(例えば、直線E)上に設けられる。本実施形態の第一ピン53と、第一突出部55とは、一体に形成された頭部を有するピン59をなし、第二ピン54と、第二突出部56とは一体に形成された頭部を有するピン60をなす。第一突出部55はピン59の頭部であり、第一ピン53はピン59の軸部である。第二突出部56はピン60の頭部であり、第二ピン54はピン60の軸部である。直線Eは例えば、左右方向に延びる第一突出部55、第一ピン53、第二突出部56、及び第二ピン54に共通する軸心である。図示しないが、ピン59、60には、ピン59、60を第一対向部51、第二対向部52に固定するためのワッシャ等の固定部材が取り付けられる。
上記構成の上送り装置2において、上送り装置2が押え棒21の下端に装着された状態で、本体部3に押え足5を装着する場合、図2(B)に示すように、ユーザは、押え足5の第一ピン53が、本体部3の第一装着部31の第一溝33の下方に配置され、押え足5の第二ピン54が、本体部3の第二装着部32の第二溝34の下方に配置される針板15(図1参照)上の位置に、押え足5を配置する。図2(B)では、説明の都合上、上送り装置2が押え棒21の下端に装着された状態の本体部3と、針板15上に配置された押え足5との上下間隔を実際の間隔よりも大きく図示している。ユーザは、第一突出部55、第二突出部56を摘まんで押え足5を上方に移動させる。これにより、図2(A)に示すように、押え足5の第一ピン53は、本体部3の第一装着部31の第一溝33に嵌合され、押え足5の第二ピン54は、本体部3の第二装着部32の第二溝34に嵌合される。押え足5の第一ピン53が、付勢部材41により後方に付勢され、押え足5の第二ピン54が、付勢部材42により後方に付勢されることで、押え足5は、本体部3に第一ピン53、第二ピン54を中心に揺動可能に支持される。
図2(A)及び図3(B)に示すように、本体部3が押え足5に装着された状態では、上送り歯30の腕部301は開口61に上方から挿通され、上送り歯30の腕部302は開口62に上方から挿通される。第一装着部31は第一対向部51の対向面511の右方に配置される。第一ピン53の右端は、第一装着部31の右端よりも僅かに右方に突出し、且つ腕部301の左端よりも左方にある。第二装着部32は第二対向部52の対向面521の左方に配置される。第二ピン54の左端は、第二装着部32の左端よりも僅かに左方に突出し、且つ腕部302の右端よりも右方にある。
図4(A)に示すように、針棒20が上死点に配置された場合、揺動レバー35は揺動範囲の上端に位置し、上送り歯30の下端、即ち、複数の歯303、304は押え足5の底面65よりも下方に配置される。これにより、押え足5は被縫製物と上下に離隔する一方、上送り歯30は送り歯18と共に被縫製物を搬送方向(後方)に送る。図4(B)に示すように、針棒20が下死点に配置された場合、揺動レバー35は揺動範囲の下端に位置し、上下方向において上送り歯30の下端は押え足5の底面65よりもやや上方に配置される。これにより、上送り歯30は被縫製物と上下に離隔する一方、押え足5は被縫製物を上方から針板15側に押える。
図2(A)に示すように、上送り装置2が押え棒21の下端に装着された状態で、本体部3から押え足5を取り外す場合、ユーザは押え棒21を押え棒21の移動範囲の内の上端に配置し、押え足5と針板15とを離隔させる。ユーザは第一突出部55、第二突出部56を摘まんで押え足5を下方に移動させる。これにより、押え足5の第一ピン53と、本体部3の第一装着部31との嵌合、及び押え足5の第二ピン54と、本体部3の第二装着部32との嵌合が解除され、ユーザは本体部3から押え足5を取り外すことができる。図2(B)に示すように、本体部3から押え足5が取り外され、押え足5が針板15上に配置された状態において、第一装着部31の下端は第一ピン53の上端よりも上方にあり、第二装着部32の下端は第二ピン54の上端よりも上方にある。故に、ユーザは、本体部3から取り外れた押え足5を、前方又は後方にスライドさせて、針板15上から取り除くことができる。
上記実施形態の上送り装置2の押え足5は、方向Mにおいて開口61、62を挟んで配置される第一突出部55、第二突出部56を備える。ユーザは第一突出部55、第二突出部56を摘まんで押え足5を持ち上げることで、押え足5の第一ピン53、第二ピン54の各々を、本体部3の第一装着部31、第二装着部32に嵌合させ、押え足5を本体部3に装着できる。ユーザは第一突出部55、第二突出部56を摘まんで押え足5を下方に移動させることで、押え足5の第一ピン53、第二ピン54と、本体部3の第一装着部31、第二装着部32との嵌合を解除させ、本体部3から押え足5を取り外すことができる。このため、上送り装置2は、本体部3を押え足5に取り付けたままで、本体部3に対し押え足5を交換できる。故に、上送り装置2は、押え足5を交換する場合にミシン1の押え棒21から上送り装置2を取り外す必要がある従来の装置に比べ、押え足5を交換する作業を簡単にできる。
方向Nにおいて、第一突出部55の延設範囲D1は、第一ピン53の延設範囲D2と互いに重なり、第二突出部56の延設範囲D1は、第二ピン54の延設範囲D2と互いに重なる。上送り装置2では、ユーザが第一突出部55、第二突出部56を摘まんで押え足5を装着する場合に、第一ピン53、第二ピン54に対し、第一突出部55、第二突出部56が回動しにくい。詳細には、ユーザが押え足5を本体部3に装着する場合、ユーザによって摘ままれる第一突出部55、第二突出部56は力点となり、第一ピン53、本体部3(第一溝33、第二溝34、付勢部材41、42)に当接する第二ピン54は、支点となる。方向Nにおいて、支点である第一ピン53、第二ピン54の延設範囲D2と、力点である第一突出部55、第二突出部56の延設範囲D1とが互いに重なるので、第一ピン53、第二ピン54を支点とする第一突出部55、第二突出部56の回動が抑制される。このため上送り装置2では、第一ピン53、第二ピン54に対し、第一突出部55、第二突出部56が回動しやすい装置に比べ、押え足5を着脱する操作が容易である。
第一突出部55、第一ピン53、第二突出部56、及び第二ピン54は、方向Mに延びる同一直線E上に設けられる。上送り装置2では、ユーザが第一突出部55、第二突出部56を摘まんで押え足5を着脱する場合に、第一ピン53、第二ピン54に対し、第一突出部55、第二突出部56が回動しにくい。このため上送り装置2では、第一突出部55、第二突出部56及び第一ピン53、第二ピン54が、方向Mに延びる同一直線上に設けられない装置に比べ、押え足5を着脱する操作が容易である。
第一対向部51は、方向Mに貫通する第一孔57を有する。第一ピン53と、第一突出部55とは一体に形成される。第一ピン53は、第一孔57に挿通される第一挿通部531と、第一溝33に嵌合する第一嵌合部532とを有する。第二対向部52は、方向Mに貫通する第二孔58を有する。第二ピン54と、第二突出部56とは一体に形成される。第二ピン54は、第二孔58に挿通される第二挿通部541と、第二溝34に嵌合する第二嵌合部542とを有する。上送り装置2は第一ピン53と第一突出部55とが個別に第一対向部51に対して配置され、第二ピン54と第二突出部56とが個別に第二対向部52に対して配置される装置に比べ、第一対向部51に対して第一ピン53と第一突出部55とを精度よく配置でき、第二対向部52に対して第二ピン54と第二突出部56とを精度よく配置できる。
第一突出部55の下端及び第二突出部56の下端は各々、押え板50の底面65よりも上方に位置する。上送り装置2は、第一突出部55の下端及び第二突出部56の下端の各々が押え板50の底面65と同じ高さに設けられた装置に比べ、ユーザが第一突出部55、第二突出部56を摘まみやすい。
本体部3は、第一装着部31の第一溝33に嵌合された第一ピン53を下方に交差する方向に付勢する付勢部材41と、第二装着部32の第二溝34に嵌合された第二ピン54を下方に交差する方向に付勢する付勢部材42を備える。上送り装置2は、比較的簡単な構成で、第一ピン53、第二ピン54が各々第一溝33、第二溝34に回動可能に嵌合した状態を安定して維持しやすい。
図5を参照して、上送り装置2の本体部3に取り外し可能に装着される押え足7を説明する。図5において、押え足5と同様の構成には同じ符号を付与している。図5に示すように、押え足7は、押え足5の押え板50に替えて押え板70を有する点、第一ピン53及び第二ピン54に替えて第一ピン153及び第二ピン163を備える点、第一孔57及び第二孔58がネジ孔である点で、押え足5と互いに異なり、他の構成は押え足5と互いに同じである。押え板70には、押え板50の切欠き部63に替えて、切欠き部71が形成されており、他の構成は押え板50と互いに同じである。押え足5と同様の構成については説明を省略し、以下、押え足5と互いに異なる切欠き部71について説明する。
押え足7は、オープントウ型押え足であり、切欠き部71は、縫針23の針落ち位置を視認し易くする為に針穴の前側を開放する形状である。切欠き部71は、押え板70の左右方向の中心において、押え板70の前端から後方に向かって平面視T字状に形成された切欠きである。切欠き部71は、後端部711、直線部712、及び前端部713を有する。後端部711は後端部631と同様であり、左右方向に延びる。直線部712は、後端部711の左右方向に中心から前方に直線状に延びる。前端部713は、直線部712の前端部と連結し、押え板70の前端から後方に向けて左右方向の幅が短くなるように切欠かれた部分である。後端部711の左右方向の幅W1は、直線部712の左右方向の幅W3よりも長い。具体的には、押え足7の直線部712の幅W3は、図3(A)に示す、押え足5の直線部632の幅W2よりも長い。
第一ピン153及び第一突出部55は一体に形成された頭部を有するネジ150をなす。ネジ150の頭部が第一突出部55であり、ネジ150の軸部が第一ピン153である。第一ピン153は、第一挿通部151と第一嵌合部152とを備える。第一挿通部151は、第一ピン153の左端部であり、外周にネジ山が形成される。第一挿通部151は、第一対向部51の第一孔57に螺合する。第一嵌合部152は、第一ピン153の右端部を含み、第一装着部31の第一溝33に嵌合する部分である。第一ピン153の第一嵌合部152は、第一対向部51の対向面511から右方に、直径が略一定の円柱状に突出する。第一ピン153(第一嵌合部152)の右端は、開口61の左端よりも左方にある。第一ピン153の外周には、ネジ山等の凹凸が形成されておらず、第一ピン153の外周は方向Mにおいて平滑に延びる。方向Mに直交する径方向における、第一挿通部151の最大長さ(第一挿通部151の外径)は、第一嵌合部152の最大長さ(第一嵌合部152の直径)よりも長い。第二ピン163及び第二突出部56は一体に形成された頭部を有するネジ160をなす。ネジ160の頭部が第二突出部56であり、ネジ160の軸部が第二ピン163である。ネジ160は、ネジ150と互いに同じ形状を有する。第二ピン163は、第二挿通部161と第二嵌合部162とを備える。第二挿通部161は、第二ピン163の右端部であり、外周にネジ山が形成される。第二挿通部161は、第二対向部52の第二孔58に螺合する。第二嵌合部162は、第二ピン163の左端部を含み、第二装着部32の第二溝34に嵌合する部分である。
上記実施形態において、押え足7では、第一孔57と、第二孔58とは各々ネジ孔であり、第一挿通部151と、第二挿通部161とは各々ネジ孔に螺合するネジ山を有する。第一突出部55は、ネジ150の頭部であり、第二突出部56は、ネジ160の頭部である。故に、押え足7を有する上送り装置2は、第一孔57に、第一挿通部151を螺合させ、第二孔58に、第二挿通部161を螺合させるという簡単な工程により、第一対向部51に第一ピン153と第一突出部55とを設け、第二対向部52に第二ピン163と第二突出部56とを設けることができる。
押え足7では、方向Mに直交する径方向における、第一嵌合部152の最大長さは、第一挿通部151の最大長さよりも短い。径方向における、第二嵌合部162の最大長さは、第二挿通部161の最大長さよりも短い。径方向における最大長さが、第一嵌合部152よりも大きい第一挿通部151が第一対向部51の第一孔57に挿通されるので、径方向における最大長さが、第一嵌合部152と等しい又は第一嵌合部152よりも小さい第一挿通部151が第一対向部51の第一孔57に挿通される場合に比べ、強固に第一ピン153を第一対向部51に固定できる。径方向における最大長さが、第二嵌合部162よりも大きい第二挿通部161が第二対向部52の第二孔58に挿通されるので、径方向における最大長さが、第二嵌合部162と等しい又は第二嵌合部162よりも小さい第二挿通部161が第二対向部52の第二孔58に挿通される場合に比べ、強固に第二ピン54を第二対向部52に固定できる。
図6を参照して、上送り装置2の本体部3に取り外し可能に装着される押え足8を説明する。図6において、押え足5(図3参照)及び押え足7(図5参照)と同様の構成には同じ符号を付与している。図6に示すように、押え足8は、押え足5の押え板50に替えて押え足7と同様の押え板70を有し、押え足5の第一突出部55及び第二突出部56に替えて、第一突出部83及び第二突出部86を備える点で、押え足5と互いに異なり、他の構成は押え足5と互いに同じである。押え足5、7と同様の構成については説明を省略し、以下、押え足5、7と互いに異なる、第一突出部83及び第二突出部86について説明する。
第一突出部83は、方向Nにおいて、第一ピン53を間にして配置される第一凸部81、82を有する。第一凸部81は、前後方向において、第一ピン53よりも後方位置で、第一対向部51の把持面512から左方に突出する。第一凸部82は、前後方向において、第一ピン53よりも前方位置で、第一対向部51の把持面512から左方に突出する。方向Nにおいて、第一ピン53の延設範囲と、各第一凸部81、82の延設範囲とは互いに重ならない。第一凸部81、82は、第一ピン53と別体に形成される。第二突出部86は、第一突出部83と互いに左右対称の構成を有し、第二突出部86は、方向Nにおいて、第二ピン54を間にして配置される第二凸部84、85を有する。第一突出部83及び第二突出部86の下端は各々、押え板70の底面よりも上方に位置する。
第一突出部83は、方向Nにおいて、第一ピン53を間にして配置される第一凸部81、82を有する。第二突出部86は、方向Nにおいて、第二ピン54を間にして配置される第二凸部84、85を有する。押え足8を有する上送り装置2では、ユーザが第一突出部83、第二突出部86を摘まんで押え足8を装着する場合に、第一ピン53、第二ピン54に対し、第一突出部83、第二突出部86が回動しにくい。詳細には、ユーザが押え足8を装着する場合、ユーザによって摘ままれる第一凸部81、82、第二凸部84、85は力点になり、本体部3(第一溝33、第二溝34、付勢部材41、42)に当接する第一ピン53、第二ピン54は支点となる。方向Nにおいて、支点である第一ピン53の延設範囲D2は、力点である第一凸部81、82の延設範囲の間にあり、支点である第二ピン54の延設範囲D2は、力点である第二凸部84、85の延設範囲の間にある。このため、第一ピン53、第二ピン54を支点とする第一突出部83、第二突出部86の回動が抑制される。このため上送り装置2では、第一突出部83、第二突出部86に対し、第一ピン53、第二ピン54が回動しやすい装置に比べ、押え足8を着脱する操作が容易である。
図7及び図8を参照して、上送り装置2の本体部3に取り外し可能に装着される押え足9を説明する。図7及び図8において、押え足5と同様の構成には同じ符号を付与している。図7及び図8に示すように、押え足9は、押え足5の第一突出部55及び第二突出部56に替えて、第一突出部87及び第二突出部88を備える点で、押え足5と互いに異なり、他の構成は押え足5と互いに同じである。押え足5と同様の構成については説明を省略し、以下、押え足5と互いに異なる、第一突出部87及び第二突出部88について説明する。
図8に示すように、第一突出部87は、第一対向部51から開口61、62の側とは反対側(左側)に突出する。上下方向において、第一ピン53の延設範囲と、第一突出部87の延設範囲とは互いに重なる。第一突出部87における第一対向部51から開口61、62の側とは反対側(左側)に最も突出した第一部分89は、第一ピン53の上端よりも上方に位置する。第一突出部87は、第一部分89よりも上方ほど第一対向部51の把持面512からの突出量が小さい。第一突出部87の第一部分89よりも下方の部分は、背面視で右方に凸となるように円弧状に湾曲している。第一突出部87の下端部は、把持面512よりも左方に突出し、押え足9の底面65と面一である。方向Nにおいて、第一ピン53の延設範囲と、第一突出部87の延設範囲とは互いに重なる。第一突出部87は、第一ピン53と別体に形成される。第二突出部88は、第一突出部87と互いに左右対称の構成を有するので、説明を簡略化する。図7及び図8に示すように、第二突出部88は、第二対向部52から開口61、62の側とは反対側(右側)に突出する。第二突出部88における第二対向部52から開口61、62の側とは反対側(右側)に最も突出した第二部分90は、押え板50の底面65よりも上方に位置する。押え板50の底面65から第一部分89までの高さH1と、押え板50の底面65から第二部分90までの高さH2とは互いに等しい。
上記実施形態において、押え足9では、第一突出部87における第一対向部51から開口61、62の側とは反対側に最も突出した第一部分89、及び、第二突出部88における第二対向部52から開口61、62の側とは反対側に最も突出した第二部分90は各々、押え板50の底面65よりも上方に位置する。押え足9を有する上送り装置2は、第一突出部87の内の第一部分89及び第二突出部88の内の第二部分90の各々が押え板50の底面65と同じ高さに設けられた装置に比べ、ユーザが第一突出部87、第二突出部88を摘まみやすい。第一突出部87、第二突出部88の形状は適宜変更されてよい。例えば、第一突出部87の下端は、仮想線99で示すように、第一対向部51の把持面512の下端部と同一になっていてもよいし、第二突出部88の下端は、仮想線100で示すように、第二対向部52の把持面522の下端部と同一になっていてもよい。
図9及び図10を参照し、上送り装置2の本体部3に取り外し可能に装着される押え足105を説明する。図9及び図10において、押え足5(図3参照)と同様の構成には同じ符号を付与している。図9及び図10に示すように、押え足105は、押え足5の第一ピン53及び第一突出部55に替えて、第一ピン93及び第一突出部95を備え、押え足5の第二ピン54及び第二突出部56に替えて、第二ピン94及び第二突出部96を備える点、並びに第一孔57及び第二孔58がネジ孔である点において、押え足5と互いに異なる。押え足105は、第二対向部52の右面に、前後方向に長い矩形状の標識75が描画され、第一対向部51の左面に標識75と同様の、図示しない標識が描画される点で押え足5と互いに異なり、他の構成は押え足5と互いに同じである。押え足5と同様の構成については説明を省略し、以下、押え足5と互いに異なる、第一ピン93、第一突出部95、第二ピン94、及び第二突出部96について説明する。
第一ピン93及び第一突出部95は、一体に形成された偏心ネジ91をなす。第一ピン93は、偏心ネジ91の偏心軸部であり、第一挿通部931と第一嵌合部932とを備える。第一挿通部931は、第一ピン93の左端部であり、第一対向部51の第一孔57に挿通される。第一挿通部931の外周にはネジ山が形成され、第一挿通部931は、第一孔57と螺合する。第一嵌合部932は、第一ピン93の右端部を含み、第一装着部31の第一溝33に嵌合する部分である。第一嵌合部932は左右方向に長い、直径が略一定の円柱状であり、第一嵌合部932の外周にはネジ山等の凹凸が形成されていない。このため、第一嵌合部932の外周は、方向Mに平滑に延びる。方向Mに直交する径方向における、第一嵌合部932の最大長さ(第一嵌合部932の直径)は、第一挿通部931の最大長さ(第一挿通部931の外径)よりも短い。方向Mに延びる第一挿通部931の軸心Bは、方向Mに延びる第一嵌合部932の軸心Cと互いに異なる。第一突出部95は、偏心ネジ91の頭部であり、第一挿通部931の左端と連結する円盤状である。第一突出部95の左面には、径方向に直線状に延び、右方に凹む溝部97が形成されている。偏心ネジ91には弾性部材77が外挿される。弾性部材77はリング状の板バネであり、第一突出部95を左方に付勢することで、偏心ネジ91が第一対向部51に対して回動ことを抑制する。
第二ピン94及び第二突出部96は、第一ピン93及び第一突出部95と互いに左右対称の構成を有する。第二ピン94及び第二突出部96は、一体に形成された偏心ネジ92をなす。第二ピン94は、第二挿通部941と第二嵌合部942とを備える。第二挿通部941は、第二ピン94の右端部であり、第二対向部52の第二孔58に挿通される。第二挿通部941の外周にはネジ山が形成され、第二挿通部941は第二孔58と螺合する。第二嵌合部942は、第二ピン94の左端部を含み、第二装着部32の第二溝34に嵌合する部分である。方向Mに直交する径方向における、第二嵌合部942の最大長さは、第二挿通部941の最大長さよりも短い。方向Mに延びる第二挿通部941の軸心Bは、方向Mに延びる第二嵌合部942の軸心Cと互いに異なる。第二突出部96は、偏心ネジ92の頭部であり、第二挿通部941の左端と連結する円盤状である。第二突出部96の右面には、径方向に直線状に延び、左方に凹む溝部98が形成されている。第一突出部95の下端及び第二突出部96の下端は各々、押え板50の底面65よりも上方に位置する。偏心ネジ92には弾性部材78が外挿される。弾性部材78はリング状の板バネであり、第二突出部96を右方に付勢することで、偏心ネジ92が第二対向部52に対して回動ことを抑制する。第二突出部96の右面には右側面視黒い円状の標識76が描画されている。図示しないが、第一突出部95の左面には標識76と同様の左側面視黒い円状の標識が描画されている。
ユーザは、溝部97と係合するドライバ等の治具を用い偏心ネジ91を回転させることにより、押え足105の底面65から第一嵌合部932の高さを変更できる。ユーザは、溝部98と係合するドライバ等の治具を用い偏心ネジ92を回転させることにより、押え足105の底面65から第二嵌合部942の高さを変更できる。これにより、押え足105は、押え足105が本体部3に装着され、ミシン1で使用される場合の、押え足105の底面65からの上送り歯30の最大突出量を変更できる。
図10(A)は、偏心ネジ91の第一挿通部931の軸心Bに対して第一嵌合部932の軸心Cを上方に配置し、偏心ネジ92の第二挿通部941の軸心Bに対して第二嵌合部942の軸心Cを上方に配置した状態を示す。図10(A)の状態では、第二突出部96の溝部98は上下方向に延び、第二突出部96に描画された標識76は、溝部98に対して、第二対向部52に描画された標識75側(前側)に位置する。標識76の上下位置は、標識75の上下位置と略同じである。図10(B)は、偏心ネジ91の第一挿通部931の軸心Bに対して第一嵌合部932の軸心Cを下方に配置し、偏心ネジ92の第二挿通部941の軸心Bに対して第二嵌合部942の軸心Cを下方に配置した状態を示す。図10(B)の状態では、第二突出部96の溝部98は上下方向に延び、第二突出部96に描画された標識76は、溝部98に対して、第二対向部52に描画された標識75側とは反対側(後側)に位置する。標識76の上下位置は、標識75の上下位置と略同じである。図10(A)及び図10(B)共に、上送り装置2が押え棒21(図1参照)の下端に装着され、針棒20(図1参照)が上死点に位置する場合に対応する。図10(A)の場合の底面65からの上送り歯30の最大突出量H3は、図10(B)の場合の底面65からの上送り歯30の最大突出量H4よりも小さい。
上記実施形態において、押え足105では、方向Mに延びる第一挿通部931の軸心Bは、方向Mに延びる第一嵌合部932の軸心Cと互いに異なる。方向Mに延びる第二挿通部941の軸心Bは、方向Mに延びる第二嵌合部942の軸心Cと互いに異なる。押え足105を備える上送り装置2は、第一挿通部931の軸心Bに対する、第一嵌合部932の軸心Cの位置を変更し、第二挿通部941の軸心Bに対する、第二嵌合部942の軸心Cの位置を変更することで、押え足105の底面65から、第一嵌合部932、第二嵌合部942までの長さを調節できる。このため、上送り装置2では、ユーザは被縫製物の厚さ、材質等に応じて、押え足105の底面65から、第一嵌合部932、第二嵌合部942までの長さを変更することで、押え足105の底面65から下方に突出する上送り歯30の最大突出量を変更することができる。ユーザは、第二突出部96に描画された標識76と、第二対向部52の右側面に描画された標識75とを目印として、押え足105の底面65から第二嵌合部942の高さを調整しやすい。押え足105の底面65から第一嵌合部932の高さを調整する場合も同様である。押え足105に描画された標識75、76等の標識は省略されてもよいし、形状、配置等が変更されてもよい。
図11を参照し、上送り装置2の本体部3に取り外し可能に装着される押え足205を説明する。図11において、押え足5(図3参照)と同様の構成には同じ符号を付与している。図11に示すように、押え足205は、押え足5の第一ピン53及び第一突出部55に替えて、第一ピン220及び第一突出部230を備え、押え足5の第二ピン54及び第二突出部56に替えて、第二ピン260及び第二突出部270を備える点において、押え足5と互いに異なる。押え足205は、押え足5の第一対向部51に替えて、第一対向部251を備え、押え足5の第二対向部52に替えて、第二対向部252を備える点において、押え足5と互いに異なる。更に押え足205は、位置決め板240、280を備える点で押え足5と互いに異なり、その他の構成は、押え足5と互いに同じである。押え足5と同様の構成については説明を省略し、以下、押え足5と互いに異なる、第一対向部251、第二対向部252、第一ピン220、第一突出部230、第二ピン260、第二突出部270、及び位置決め板240、280について説明する。
第一対向部251は、方向Mにおいて、開口61、62の一方側(左側)で押え板50から上方に延出される。第一対向部251には、方向Mに貫通する第一孔257、固定孔255が形成される。第一孔257、固定孔255の下端は、押え板50の底面65よりも上方に位置する。第一孔257は、固定孔255よりも前方に設けられる。第二対向部252は、方向Mにおいて、開口61、62の他方側(右側)で押え板50から上方に延出され、第一対向部251と対向する。第二対向部252には、方向Mに貫通する第二孔258、固定孔256が形成される。第二孔258、固定孔256の下端は、押え板50の底面65よりも上方に位置する。第二孔258は、固定孔256よりも前方に設けられる。
第一ピン220及び第一突出部230は一体に形成された頭部を有する偏心ピン210をなす。第一ピン220は、第一挿通部221と第一嵌合部222とを備える。第一挿通部221は、第一ピン220の左端部であり、第一対向部251の第一孔257に挿通される。第一嵌合部222は、第一ピン220の右端部を含み、第一装着部31の第一溝33に嵌合する部分である。第一挿通部221、第一嵌合部222は左右方向に長い円柱状であり、第一挿通部221、第一嵌合部222の外周にはネジ山等の凹凸が形成されていない。このため、第一挿通部221、第一嵌合部222の外周は、方向Mに平滑に延びる。方向Mに直交する径方向における、第一嵌合部222の最大長さは、第一挿通部221の最大長さよりも短い。方向Mに延びる第一挿通部221の軸心Bは、方向Mに延びる第一嵌合部222の軸心Cと互いに異なる。第一突出部230は第一挿通部221の左端と連結し、第一挿通部221の軸心Bと同じ軸心を有する円盤状である。第一突出部230の外周には、軸心B並行に延びる複数の凹部(ノッチ)231が等間隔で形成されている。
第二ピン260及び第二突出部270は、第一ピン220及び第一突出部230と互いに左右対称の構成を有するので、説明を簡略化する。第二ピン260及び第二突出部270は、一体に形成された偏心ピン250をなす。第二ピン260は、第二挿通部261と第二嵌合部262とを備える。第二挿通部261は、第二ピン260の右端部であり、第二対向部252の第二孔258に挿通される。第二嵌合部262は、第二ピン260の左端部を含み、第二装着部32の第二溝34に嵌合する部分である。方向Mに直交する径方向における、第二嵌合部262の最大長さは、第二挿通部261の最大長さよりも短い。方向Mに延びる第二挿通部261の軸心Bは、方向Mに延びる第二嵌合部262の軸心Cと互いに異なる。第二突出部270は第二挿通部261の右端と連結し、第二挿通部261の軸心Bと同じ軸心を有する円盤状である。第二突出部270の外周には、軸心B並行に延びる複数の凹部271が等間隔で形成されている。第一突出部230の下端及び第二突出部270の下端は各々、押え板50の底面65よりも上方に位置する。第二突出部270の右面には右側面視黒い矩形状の標識79が描画されている。標識79は、第二嵌合部262の軸心Cの上下位置を示す。図示しないが、第一突出部230の左面には標識79と同様の左側面視黒い矩形状の標識が描画されている。
位置決め板240、280は互いに同じ構成を有し、樹脂等の可撓性を有する材料で形成される。位置決め板240は、側面視前面を底面とする台形状の板である。位置決め板240は、前面に後方に凹む凹部242を有する。凹部242の上下方向の長さは、第一突出部230の直径よりも小さく、第一挿通部221の直径よりも大きい。位置決め板240には、左右方向に貫通する孔241が形成されている。位置決め板240を第一対向部251の左方において位置決め板240の凹部242に第一突出部230の後部が当接するように配置し、左方からネジ291を孔241に挿通し、固定孔255に螺合させることで、位置決め板240は第一対向部251の左面に固定される。位置決め板240は、第一突出部230と当接することで、偏心ピン210の軸心B周りの位置を固定する一方、ユーザが偏心ピン210を軸心B周りに回動することを許容する。位置決め板280は、位置決め板240の凹部242、孔241に対応する、凹部282、孔281を有し、ネジ292により第二対向部252の右面に固定される。位置決め板280は、第二突出部270と当接することで、偏心ピン250の軸心B周りの位置を固定する一方、ユーザが偏心ピン250を軸心B周りに回動することを許容する。
ユーザは、第一突出部230に描画された標識を目印として偏心ピン210を回動することにより、押え足205の底面65から第一嵌合部222の高さを変更できる。ユーザは、標識79を目印として偏心ピン250を回動することにより、押え足205の底面65から第二嵌合部262の高さを変更できる。これにより、押え足205は、押え足105と同様に、押え足205が本体部3に装着されてミシン1で使用される場合の、押え足205の底面65からの上送り歯30の最大突出量を変更できる。故に上記実施形態の押え足205は、押え足105(図9、図10参照)と同様の効果を奏する。押え足205の標識79等の標識は省略されてもよいし、形状、配置等が変更されてもよい。
図12を参照し、上送り装置2の本体部3に取り外し可能に装着される押え足305を説明する。図12において、押え足5(図3参照)と同様の構成には同じ符号を付与している。図12に示すように、押え足305は、押え足5の第一対向部51に替えて、第一対向部351を備え、押え足5の第二対向部52に替えて、第二対向部352を備える点において、押え足5と互いに異なる。押え足305は、押え足5の第一ピン53及び第一突出部55に替えて、第一ピン313及び第一突出部314を備え、押え足5の第二ピン54及び第二突出部56に替えて、第二ピン323及び第二突出部324を備える点において、押え足5と互いに異なり、その他の構成は、押え足5と互いに同じである。押え足5と同様の構成については説明を省略し、以下、押え足5と互いに異なる、第一対向部351、第二対向部352、第一ピン313、第一突出部314、第二ピン323、第二突出部324について説明する。
第一対向部351は、方向Mにおいて、開口61、62の一方側(左側)で押え板50から上方に延出される。第一対向部351には、方向Mに貫通する第一孔353、354が形成される。第一孔353、354は側面視互いに同じ形状のネジ孔であり、上下に並ぶ。第一孔353は、第一孔354の上方に形成される。第一対向部351の上端部は、左方に屈曲され、第一対向部351の左端をなす突出部355である。突出部355は、第一対向部351の下端部よりも左方に突出する。第二対向部352は、方向Mにおいて、開口61、62の他方側(右側)で押え板50から上方に延出され、第一対向部351と対向する。第二対向部352には、方向Mに貫通する第二孔356、357が形成される。第二孔356、357は側面視互いに同じ形状のネジ孔であり、上下に並ぶ。第二孔356は、第二孔357の上方に形成される。第二対向部352の上端部は、右方に屈曲され、第二対向部352の右端をなす突出部358である。突出部358は、第二対向部352の下端部よりも右方に突出する。
図12(B)に示すように、第一ピン313及び第一突出部314は一体に形成され、ネジ150と同様のネジ310をなす。ネジ310の頭部が第一突出部314であり、ネジ310の軸部が第一ピン313である。第一ピン313は、第一挿通部311と第一嵌合部312とを備える。第一挿通部311は、第一対向部351の第一孔353、354の何れかに挿通される。つまり、第一ピン313は、第一孔353、354の何れかに挿通される。第二ピン323及び第二突出部324は、一体に形成され、ネジ160と同様のネジ320をなす。第二ピン323は、第二挿通部321と第二嵌合部322とを備える。第二挿通部321は、第二対向部352の第二孔356、357の何れかに挿通される。つまり、第二ピン323は、第二孔356、357の何れかに挿通される。
ユーザは、第一ピン313を挿通する第一孔353、354を変更し、第二ピン323を挿通する第二孔356、357を変更することで、押え足305の底面65から、第一嵌合部312、第二嵌合部322までの長さを調節できる。これにより、押え足305は、押え足305が本体部3に装着されてミシン1で使用される場合の、押え足305の底面65からの上送り歯30の最大突出量を変更できる。図12(A)のように第一ピン313が第一孔353に挿通され、第二ピン323が第二孔356に挿通された場合、図12(C)に示すように、第一ピン313が第一孔354に挿通され、第二ピン323が第二孔357に挿通された場合よりも、押え板50の底面65から第一嵌合部312、第二嵌合部322までの長さが大きく、且つ、上送り歯30(図10参照)の押え板50の底面65からの最大突出量が小さい。
上記実施形態の押え足305では、第一対向部351は、方向Mに貫通し、押え足305の底面65からの距離が互いに異なる第一孔353、354を有する。第二対向部352は、方向Mに貫通し、押え足305の底面65からの距離が互いに異なる第二孔356、357を有する。第一挿通部311は、第一孔353、354の何れかに挿通される。第二挿通部321は、第二孔356、357の何れかに挿通される。押え足305を有する上送り装置2は、第一ピン313を挿通する第一孔353、354を変更し、第二ピン323を挿通する第二孔356、357を変更することで、押え足305の底面65から、第一嵌合部312、第二嵌合部322までの長さを調節できる。このため、上送り装置2では、ユーザは被縫製物の厚さ、材質等に応じて、押え足305の底面65から、第一嵌合部312、第二嵌合部322までの長さ、及び底面65からの上送り歯30の最大突出量を変更できる。ユーザは押え足305を本体部3に対して着脱する場合、第一突出部314及び第二突出部324を摘まんでもよいし、突出部355、358又はそれらの下方を摘まんでもよい。
図13から図15を参照し、上送り装置2の本体部3に取り外し可能に装着される押え足405を説明する。図13から図15において、押え足5(図3参照)と同様の構成には同じ符号を付与している。図13から図15に示すように、押え足405は、押え足5の第一対向部51に替えて、第一対向部481を備え、押え足5の第二対向部52に替えて、第二対向部482を備える点において、押え足5と互いに異なる。押え足405は、押え足5の第一ピン53及び第一突出部55に替えて、第一ピン463及び第一突出部465を備え、押え足5の第二ピン54及び第二突出部56に替えて、第二ピン466及び第二突出部468を備える点において、押え足5と互いに異なり、その他の構成は、押え足5と互いに同じである。押え足5と同様の構成については説明を省略し、以下、押え足5と互いに異なる、第一対向部481、第二対向部482、第一ピン463、第一突出部465、第二ピン466、及び第二突出部468について説明する。
第一対向部481は、第一支持部451と、第一調整板461とを備える。第一対向部481の第一支持部451は、方向Mにおいて、開口61、62の一方側(左側)で押え板50から上方に延出される。第一支持部451は、方向Mに貫通する第一挿通孔454と、方向Mに貫通し、上下方向に延びる長孔である第一案内孔453とを有する。第一挿通孔454は、第一案内孔453の後方に設けられた、左右方向に貫通する孔である。第一調整板461の後部には、左右方向に貫通する孔464が設けられる。第一調整板461は、孔464、第一挿通孔454に挿通されたピン471により、第一調整板461の一端部(後端部)が第一支持部451に対し揺動可能に支持される。ピン471の頭部473は第一調整板461の左側に配置される。第一調整板461は、第一支持部451に対し左側に配置される。第二対向部482は、第二支持部452と、第二調整板462とを備える。第二対向部482の第二支持部452は、方向Mにおいて、開口61、62の他方側(右側)で押え板50から上方に延出され、第一対向部481と対向する。第二支持部452は、方向Mに貫通する第二挿通孔456と、方向Mに貫通し、上下方向に延びる長孔である第二案内孔455とを有する。第二調整板462の後部には、左右方向に貫通する孔467が設けられる。第二調整板462は、孔467、第二挿通孔456に挿通されたピン472により、第二調整板462の一端部(後端部)が第二支持部452に対し揺動可能に支持される。ピン472の頭部474は第二調整板462の右側に配置される。第二調整板462は、第二支持部452に対し右側に配置される。図示しないが、ピン471、472には、ピン471、472を第一支持部451、第二支持部452に対して揺動しないように固定するためのワッシャ等の固定部材が取り付けられる。
第一ピン463は、孔464の前方において、第一調整板461の右面から右方に突出する。第一ピン463は直径が略一定の左右方向に長い円柱状であり、外周にはネジ山等の凹凸が形成されていない。第一調整板461が第一支持部451に支持された状態では、第一ピン463は、第一案内孔453に左方から挿通され、第一対向部481(第一支持部451)から開口61、62の側(右側)に突出し、第一装着部31の第一溝33に回動可能に嵌合する。第一突出部465は、第一調整板461の上端に設けられた開口61、62の側とは反対に折り曲げられた部分である。第二ピン466は、孔467の前方において、第二調整板462の左面から左方に突出する。第二ピン466は直径が略一定の左右方向に長い円柱状であり、外周にはネジ山等の凹凸が形成されていない。第二調整板462が第二支持部452に支持された状態では、第二ピン466は、第二案内孔455に右方から挿通され、第二対向部482(第二支持部452)から開口61、62の側に突出し、第二装着部32の第二溝34に回動可能に嵌合する。第二突出部468は、第二調整板462の上端に設けられた開口61、62の側とは反対に折り曲げられた部分である。ユーザは押え足405を本体部3に対して着脱する場合、第一突出部465及び第二突出部468又はそれらの下方、すなわち第一調整板461及び第二調整板462の何れかの部分を摘まんでもよいし、ピン472の頭部473、ピン472の頭部474を摘まんでもよい。
ユーザは、第一調整板461をピン471周りに回動させることにより、押え足405の底面65から第一ピン463までの高さを変更できる。第一ピン463の位置が調整された後、第一調整板461はピン471により、第一支持部451に対して揺動しないように固定される。ユーザは、第二調整板462をピン472周りに回動させることにより、押え足405の底面65から第二ピン466までの高さを変更できる。第二ピン466の位置が調整された後、第二調整板462はピン472により、第二支持部452に対して揺動しないように固定される。これにより、押え足105と同様に、押え足405は、押え足405が本体部3に装着されてミシン1で使用される場合の、押え足405の底面65からの上送り歯30の最大突出量を変更できる。図15(A)では、第一ピン463が第一案内孔453の上端部に配置され、第二ピン466が第二案内孔455の上端部に配置されている。図15(B)では、第一ピン463が第一案内孔453の下端部に配置され、第二ピン466が第二案内孔455の下端部に配置されている。図15(A)の場合の底面65からの上送り歯30の最大突出量H3は、図15(B)の場合の底面65からの上送り歯30の最大突出量H4よりも小さい。
上記実施形態の押え足405の第一対向部481は、第一支持部451及び第一調整板461を有する。第一支持部451は、方向Mに貫通し、上下方向に延びる長孔である第一案内孔453を有する。第一調整板461は、後端部が第一支持部451に対し揺動可能に支持される。第二対向部482は、第二支持部452及び第二調整板462を有する。第二支持部452は、方向Mに貫通し、上下方向に延びる長孔である第二案内孔455を有する。第二調整板462は、後端部が第一支持部451に対し揺動可能に支持される。第一ピン463は、第一調整板461の前端部から開口61、62の側に突出し、第一案内孔453に挿通され、第一調整板461の揺動に応じて、上下方向の位置が変更される。第二ピン466は、第二調整板462の前端部から開口61、62の側に突出し、第二案内孔455に挿通され、第二調整板462の揺動に応じて、上下方向の位置が変更される。押え足405を備えた上送り装置2は、第一支持部451に対して第一調整板461を揺動させ、第二支持部452に対して第二調整板462を揺動させることで、押え足405の底面65から、第一ピン463、第二ピン466までの長さを調節できる。このため、押え足405を備えた上送り装置2では、ユーザは被縫製物の厚さ、材質等に応じて、押え足405の底面65から、第一ピン463、第二ピン466までの長さを変更することで、押え足405の底面65から下方に突出する上送り歯30の最大突出量を変更することができる。ピン471、472は、ネジであってもよく、その場合、第一挿通孔454、第二挿通孔456はネジ孔であればよい。
上記実施形態において、上送り装置2、本体部3、上送り歯30、第一装着部31、第二装着部32、第一溝33、及び第二溝34は各々、本発明の上送り装置、本体部、上送り歯、第一装着部、第二装着部、第一溝、及び第二溝の一例である。付勢部材41、42は、本発明の付勢部材の一例である。押え足5、7、8、9、105、205、305、405は各々、本発明の押え足の一例である。押え板50、70は各々、本発明の押え板の一例である。第一対向部51、251、351、481は各々、本発明の第一対向部の一例である。第二対向部52、252、352、482は各々、本発明の第二対向部の一例である。第一ピン53、93、153、220、313、463は各々、本発明の第一ピンの一例である。第二ピン54、94、163、260、323、466は各々、本発明の第二ピンの一例である。第一突出部55、83、87、95、230、314、465は各々、本発明の第一突出部の一例である。第二突出部56、86、88、96、270、324、468は各々、本発明の第二突出部の一例である。第一孔57、257、353、354は各々、本発明の第一孔の一例である。第二孔58、258、356、357は各々、本発明の第二孔の一例である。開口61、62は各々、本発明の開口の一例である。底面65は各々、本発明の底面の一例である。第一凸部81、82は、本発明の一対の第一凸部の一例である。第二凸部84、85は、本発明の一対の第二凸部の一例である。第一部分89及び第二部分90は各々、本発明の第一部分及び第二部分の一例である。第一挿通部151、221、311、531、931は各々、本発明の第一挿通部の一例である。第一嵌合部152、222、312、532、932は各々、本発明の第一嵌合部の一例である。第二挿通部161、261、321、541、941は各々、本発明の第二挿通部の一例である。第二嵌合部162、262、322、542、942は各々、本発明の第二嵌合部の一例である。
本発明の上送り装置は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の変形が適宜加えられてもよい。
上送り装置2が装着されるミシン1の構成は適宜変更されてよい。上送り装置2の構成は適宜変更されてよい。押え板50、70の形状は適宜変更されてよい。押え板50、70が備える開口61、62の形状、大きさ、配置、及び数は適宜変更されてよい。押え板50には前方が解放するU字状の開口が設けられてもよいし、一つ、又は三以上の開口を備えてもよい。第一対向部51は、方向Mの一端側にあればよく、押え板50の左端と開口61との間に設けられてもよい。同様に第二対向部52は、方向Mの他端側にあればよく、押え板50の右端と開口62との間に設けられてもよい。
押え足5は左右方向の中心Jを基準に左右対称でなくてもよい。第一ピン53及び第一突出部55は別体に形成されてもよい。第一ピン53の外周、及び第二ピン54の外周の少なくとも何れかは、少なくとも一部にネジ山が形成されてもよい。第一ピン53及び第二ピン54は、多角柱状、多角錐状であってもよい。第一突出部55、83、95、314、第二突出部56、86、96、324は方向Mに延びる円柱形状でなくてもよく、例えば方向Mに延びる多角柱状であってもよい。
第一突出部55の下端及び第二突出部56の下端は、押え足5の底面65と同じであってもよい。第一ピン53及び第一突出部55の少なくとも何れかは、第一対向部51と一体に形成されてもよい。第二ピン54及び第二突出部56の少なくとも何れかは、第二対向部52と一体に形成されてもよい。
方向Nにおいて、第一ピン53の延設範囲D2と、第一突出部55の延設範囲D1とは互いに重ならなくてもよい。方向Nにおいて、第二ピン54の延設範囲D2と、第二突出部56の延設範囲D1とは互いに重ならなくてもよい。第一ピン53、第二ピン54、第一突出部55、及び第二突出部56の少なくとも何れかは方向Mに延びる同一直線E上に設けられなくともよい。第一装着部31、第二装着部32が弾性を有する部材で形成される場合等には、付勢部材41、42は省略されてもよい。付勢部材41、42は一体に形成されてもよい。押え足5、7、8、9、105、205、305、405の内の互いに異なる構成は、矛盾を生じない範囲で他の押え足に適用してもよい。例えば、押え足5、7、8、9、105、205の第一対向部、第二対向部に対し、押え足305の突出部355、突出部358が形成されてもよい。突出部355、突出部358の形成位置、形状等は適宜変更されてよく、例えば、突出部355、突出部358は、第一対向部351、第二対向部352の前後方向の一部分のみに形成されてもよい。
押え足405において、第一調整板461を第一支持部451に対し揺動可能に支持する構成及び第二調整板462を第二支持部452に対し揺動可能に支持する構成の各々は適宜変更されてよい。例えば第一支持部451が第一挿通孔454に替えて、左方に突出するピンを備える場合、当該ピンが孔464に挿通されることで第一調整板461が第一支持部451に対し揺動可能に支持されてもよい。押え足405は、第一調整板461の上端部に設けられた第一突出部465を省略し、ピン471の頭部473を第一突出部としてもよい。