JP7493250B2 - 画素、固体撮像装置及び画素の製造方法 - Google Patents

画素、固体撮像装置及び画素の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、画素、固体撮像装置及び画素の製造方法に関する。
近赤外光を対象とした画素および固体撮像装置の開発が進められている。近赤外光は、人間の目に感知されることがない、また、近赤外光は、空気中において散乱されにくいといった特徴を有する。そこで、近赤外光を対象とした画素および固体撮像装置は、自動運転技術およびセキュリティ技術などの分野への利用が検討されている。
特開2011-187857号公報
押山到、横川創造、池田晴美、姥子芳樹、平野智之、大井上昴志、斎藤卓、萩本賢哉、岩元勇人、「PSD構造を用いた裏面照射型CMOSイメージセンサの赤外線感度向上」、映像情報メディア学会技術報告、Vol.41、No.10、映像情報メディア学会、2018年3月。
当該技術分野では、近赤外光を対象とした画素および固体撮像装置から良好な画像を得る技術が検討されている。良好な画像を得るためには、第1に受光感度を高める必要があり、第2にノイズを低減する必要がある。
画素および固体撮像装置は、シリコンを素材とする基板を用いて形成されている。シリコンは、光を吸収すると共に吸収した光に対応するキャリアを発生させる。図12に示すように、シリコンが光を吸収する性質は、光の波長に対応する。例えば、シリコンは、波長が360nm以上830nm以下程度である可視光を良好に吸収する。一方、シリコンは、波長が830nm以上である近赤外光を吸収しにくい。そこで、シリコンを用いた画素および固体撮像装置を用いて良好な画像を得るためには、受光感度を向上させる必要がある。
例えば、非特許文献1が開示する撮像装置は、光の入射面に設けられた凹凸構造を有する。この凹凸構造によれば、シリコンの内部における実質的な光の透過距離が延びる。透過距離が延びると光がシリコンに吸収される機会が増加する。その結果、受光感度が向上する。特許文献1が開示する撮像装置は、近赤外光をエバネセント光に変換する構成を有する。エバネセント光は、近赤外光よりもシリコンに吸収されやすい。従って、特許文献1が開示する撮像装置は、受光感度が向上している。
ノイズの要因として、クロストークと暗電流とが挙げられる。クロストークは、第1の画素が、第1の画素に隣接する第2の画素に影響を及ぼす現象をいう。例えば、受光感度を高めるために、シリコンの厚みを増加させた場合には、クロストークが生じやすくなる。また、エバネセント光を生じさせる構成は、金属により形成される。そうすると、撮像装置は、半導体が金属に接触する界面を有する。このような界面は、ショットキバリア接合又はオーミック接合を形成する。これらの接合形態は、暗電流を生じさせる要因となる。
本発明は、良好な画像を得ることが可能な近赤外光を対象とした画素、固体撮像装置及び画素の製造方法を提供する。
本発明の一形態である画素は、光入力面から受けた被吸収光に応じた信号電圧を発生する光電変換部と、入射光を受けて被吸収光を生じさせる光変換部と、を備える。光電変換部は、第1の不純物濃度を有する第1の領域と、第1の不純物濃度よりも大きい第2の不純物濃度を有する第2の領域と、を有する。第2の領域は、光入力面を含むと共に光変換部に直接に接触する。光変換部は、入射光を受けて、エバネセント光を含む被吸収光を発生する。
この画素の光変換部は、入射光を受けて光電変換部に出力される被吸収光を発生する。光電変換部の光入力面は、光変換部に直接に接している。従って、被吸収光は減衰することなく光電変換部に入力される。そして、この被吸収光は、光電変換部において入射光よりも吸収されやすい。従って、受光感度を高めることができる。さらに、光電変換部は、光入力面を含む第2の領域を有する。第2の領域は、第1の領域よりも不純物濃度が大きい。この構成によれば、界面に生じ得る暗電流を抑制することができる。つまり、画素は、受光感度を高めることができると共に暗電流を抑制することができる。その結果、画素によれば、良好な画像を得ることができる。
一形態において、第2の領域における第2の不純物濃度は、第1の領域に近づくに従って減少してもよい。この構成によれば、第2の領域における被吸収光の吸収によって生じた少数キャリアを、第1の領域に速やかに移動させることが可能になる。その結果、少数キャリアに起因する信号電圧は、良好に捉えられる。つまり、被吸収光からの少数キャリアが再結合されずに信号電圧に寄与する割合が高まる。その結果、受光感度をさらに高めることができる。
一形態において、第2の領域は、ドーズ量を1×1014cm-2以上3×1015cm-2以下とするイオン注入によって形成されてもよい。さらに、第2の領域は、注入エネルギを0.2keV以上1keV以下とするイオン注入によって形成されてもよい。1keV以下の低エネルギにすることによって、第2の領域におけるアニール後の濃度プロファイルは、光入射面から光電変換部の内部に向かって単調に減少する。第2の領域は、後述するように、光入力面から発生する暗電流を防ぐためには1×1014cm-2以上のドーズ量としてもよい。第2の領域は、結晶欠陥の発生を防ぐためには、3×1015cm-2以下のドーズ量としてもよい。この構成によれば、第2の領域における結晶欠陥の発生を抑制することが可能である。従って、被吸収光に応じて発生した少数キャリアの寿命を長くすることができる。その結果、少数キャリアに起因する信号電圧を良好に捉えられることができる。つまり、被吸収光から少数キャリアに起因する信号電圧への変換効率が高まる。その結果、受光感度をさらに高めることができる。
本発明の別の形態である固体撮像装置は、二次元状に配置された複数の画素、および、互いに隣接し合う画素の間に設けられた隔離壁を有する画素部と、画素部の動作を制御する制御信号を発生する画素制御部と、画素部が発生する信号電圧を受ける信号処理部と、を備える。画素は、光入力面から受けた被吸収光に応じた信号電圧を発生する光電変換部と、入射光を受けて被吸収光を生じさせるように、光電変換部の光入力面上に設けられた光変換部と、を有する。光電変換部は、第1の不純物濃度を有する第1の領域と、第1の不純物濃度よりも大きい第2の不純物濃度を有する第2の領域と、を有する。第2の領域は、光入力面を含むと共に光変換部に直接に接触する。光変換部は、入射光を受けて、エバネセント光を含む被吸収光を発生する。
この固体撮像装置は、上記の画素と同様の構成を備えた画素を有する。従って、良好な画像を得ることができる。
別の形態において、互いに隣接し合う一方の光変換部は、他方の光変換部から離間してもよい。光変換部の辺部は、光電変換部の光入力面上に形成されていてもよい。この構成によれば、ある画素の光変換部で発生した被吸収光が隣接する別の画素に到達することを抑制できる。従って、クロストークの発生を好適に抑制することができる。
別の形態において、少なくとも画素部は、センサ基板に設けられてもよい。センサ基板は、第2の領域に所定の電位を与える電圧印加部を有してもよい。さらに、電圧印加部は、ダイシングによって形成されたセンサ基板のダイシング面と、ダイシング面に電圧を与える導電部と、を含んでもよい。ダイシング面は、少なくとも第2の領域の端面と、導電部の端面と、を含んでもよい。そして、別の形態において、光電変換部は、被吸収光を吸収することにより信号キャリアとしての電子を発生してもよい。第2の領域は、負の電位を受けてもよい。あるいは、光電変換部は、被吸収光を吸収することにより信号キャリアとしての正孔を発生してもよい。第2の領域は、正の電位を受けてもよい。これらの構成によれば、光電変換部の電界が強くなる。さらに、少数キャリアの収集が円滑になる。その結果、良好な受光感度が得られる。
別の形態において、第2の領域は、光変換部に対して電気的に接続されてもよい。第1の画素が有する第1の光変換部は、第1の画素に隣接する第2の画素が有する第2の光変換部に対して電気的に接続されてもよい。さらに、光変換部は、第2の領域の主面から突出する複数の凸部を含んでもよい。複数の凸部は、互いに電気的に接続されていてもよい。この構成によれば、暗電流を抑制可能な構成を簡易な工程によって得ることができる。
本発明のさらに別の形態である固体撮像装置は、受光領域において、二次元状に配置された複数の画素を備えてもよい。画素は、光入力面から受けた被吸収光に応じた信号電圧を発生する光電変換部と、入射光を受けて被吸収光を生じさせるように、光電変換部の光入力面上に設けられた光変換部と、を有してもよい。光電変換部は、光変換部に直接に接触してもよい。光変換部は、所定の周期に従って配置された複数の凸部を含み、入射光を受けてエバネセント光を含む被吸収光を発生してもよい。所定の周期は、エバネセント光の発生条件と入射光の方向とに基づいて設定されてもよい。
この固体撮像素子によれば、画素ごとに入射光の方向が異なる場合であっても、入射光の方向に応じて、エバネセント光を発生させることが可能になる。したがって、入射光の角度の相違に起因するエバネセント光の減少が抑制される。その結果、入射光から被吸収光を好適に発生させることができる。
さらに別の形態である固体撮像装置において入射光の方向が光変換部の主面の法線方向である場合には、所定の周期(L)であってもよい。入射光の方向が光変換部の主面の法線方向に対して角度(θ)である場合には、所定の周期(LS)は、LS=L/cosθを満たしてもよい。この構成によれば、入射光から被吸収光をさらに好適に発生させることができる。
さらに別の形態である固体撮像装置において、受光領域の辺部に配置された画素の所定の周期は、受光領域の中央部に配置された画素の所定の周期より大きくてもよい。この構成によっても、入射光から被吸収光を好適に発生させることができる。
一形態である画素の光変換部は、光電変換部の光入力面上に設けられていてもよい。この構成によれば、光変換部と光電変換部とを備える画素を容易に製造することができる。
一形態である画素の光変換部は、入射光を受ける受光面を含むと共に、受光面が光電変換部から露出するように光電変換部に埋め込まれていてもよい。この構成によれば、光変換部の底面は、光電変換部と接触する。さらに、光変換部の側面も光電変換部と接触する。従って、光変換部において生じたエバネセント光をさらに効率よく吸収することが可能になる。その結果、光電変換効率がさらに高まる。したがって、さらに良好な画像を得ることができる。
一形態である画素は、光電変換部および光変換部を覆う被覆部をさらに備えてもよい。被覆部の誘電率は、空気の誘電率よりも高くてもよい。エバネセント光を含む被吸収光を発生させる光変換部の構成は、入射光の波長によって定まる。この被覆部によれば、入射光の波長によって一意に定まる光変換部の構成に自由度を与えることができる。
一形態である画素の光変換部は、互いに離間して形成された複数の凸部を含んでもよい。被覆部に覆われた光変換部における複数の凸部の見かけの周期は、被覆部の誘電率及び複数の凸部の実周期により定めてもよい。見かけの周期は、入射光によりエバネセント光を含む被吸収光を発生する共鳴条件を満たしてもよい。この構成によれば、光変換部を構成する複数の凸部の周期を、入射光の波長によって定まる光変換部の周期よりも短くすることが可能である。その結果、共鳴条件を満たすことができる。さらに、より多くの被吸収光を生じさせることができる。従って、光電変換効率がさらに高まるので、さらに良好な画像を得ることができる。
一形態である画素における被覆部の誘電率は、光電変換部の第2の領域の誘電率と等しくてもよい。この構成によれば、光変換部の周囲における誘電率の差異が小さくなる。その結果、光変換部においてエバネセント光を含む被吸収光をさらに効率的に発生させることができる。
一形態である画素の被覆部は、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タンタルのいずれかにより形成されてもよい。これらの材料によれば、上記の被覆部を良好に形成することができる。
一形態である画素は、被覆部上に配置されたマイクロレンズをさらに備えてもよい。この構成によれば、入射光を光変換部に効率的に集めることが可能になる。その結果、光変換部においてエバネセント光を含む被吸収光をさらに効率的に発生させることができる。
本発明のさらに別の形態は、光入力面から受けた被吸収光に応じた信号電圧を発生する光電変換部と、入射光を受けて被吸収光を生じさせる光変換部と、を備え、光電変換部は、第1の不純物濃度を有する第1の領域と、第1の不純物濃度よりも大きい第2の不純物濃度を有する第2の領域と、を有する画素の製造方法である。画素の製造方法は、光変換部を光電変換部に埋め込むための複数の凹部を設ける第1工程と、少なくとも凹部の壁面に対して第2の領域を形成するための処理を行う第2工程と、凹部に光変換部を構成する複数の金属部を設ける第3工程と、有する。
この製造方法の第3工程では、光電変換部から露出するように光電変換部に埋め込まれた光変換部が形成される。そして、光電変換部の底面は、光電変換部と接触する。さらに、光電変換部の側面も光電変換部と接触するような金属部を含んでいる。従って、光変換部において生じたエバネセント光をさらに効率よく吸収することができる画素を製造することができる。
さらに別の形態である画素の製造方法は、第3工程の後に、光電変換部および光変換部を覆うように、空気の誘電率よりも高い誘電率を有する被覆部を設ける第4工程をさらに有してもよい。この工程によれば、入射光を光変換部に効率的に集めることを可能とし、光変換部においてエバネセント光を含む被吸収光をさらに効率的に発生させることができる画素を製造することができる。
一形態である画素の光変換部は、入射光の方向に沿って積層された第1金属層、誘電体層及び第2金属層を含んでもよい。第2金属層は、光入力面上に設けられていてもよい。この構成によれば、光変換部における入射光の吸収ロスを低減できる。従って、光電変換部における光吸収効率をさらに高めることができる。
一形態である画素の光変換部は、入射光を受ける受光面を含むと共に、受光面が光電変換部から露出するように光電変換部に埋め込まれてもよい。光変換部は、入射光の方向に沿って積層された第1金属層、誘電体層及び第2金属層を含んでもよい。第1金属層は、受光面を構成してもよい。この構成によっても、光変換部における入射光の吸収ロスを低減できる。従って、光電変換部における光吸収効率をさらに高めることができる。
本発明の画素、固体撮像装置及び画素の製造方法によれば、良好な画像を得ることができる。
図1は、実施形態に係る固体撮像装置の構成を概略的に示す図である。 図2は、画素の電気的な構成を示す図である。 図3は、画素に提供される制御信号の例示である。 図4は、画素の構造を示す図である。 図5は、図4の一部である光入力面の近傍(S1)を拡大して示す図である。 図6は、画素と隔離壁(S2)とを拡大して示す図である。 図7は、光変換部の構成を示す図である。 図8は、変形例1の固体撮像装置を説明するための図である。 図9は、変形例1の固体撮像装置の一部を拡大して示す図である。 図10は、変形例2の固体撮像装置を説明するための図である。 図11は、変形例2の固体撮像装置を説明するための図である。 図12は、シリコンの光吸収率を示すグラフである。 図13は、シリコン中における光強度の減衰を示すグラフである。 図14は、ピンニング領域における不純物濃度の分布の例示である。 図15は、参考例の画素の構造を示す図である。 図16は、別の参考例の画素の構造を示す図である。 図17は、第1実施形態の固体撮像装置の要部を拡大して示す図である。 図18は、第2実施形態の固体撮像装置の要部を拡大して示す図である。 図19(a)、図19(b)及び図19(c)は、第2実施形態の固体撮像装置を製造する方法の主要な工程を示す図である。 図20(a)及び図20(b)は、図19に続き、第2実施形態の固体撮像装置を製造する方法の主要な工程を示す図である。 図21は、第3実施形態の固体撮像装置の変形例を示す図である。 図22(a)及び図22(b)は、高誘電体膜を有する固体撮像装置の要部を拡大して示す図である。 図23(a)及び図23(b)は、高誘電体膜を有する固体撮像装置の変形例を示す図である。 図24は、第3実施形態の固体撮像装置の変形例を示す図である。 図25は、変形例3の固体撮像装置の要部を拡大して示す図である。 図26は、変形例4の固体撮像装置の要部を拡大して示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
以下の説明は、フォトダイオードまたは個々の画素がフォトダイオードを備えたCMOSイメージセンサの高感度化に関する。特に、以下の説明は、近赤外光領域の高感度化に関する。
図1に示すように、本実施形態の固体撮像装置1は、いわゆる裏面照射型のイメージセンサである。なお、固体撮像装置1は、逆側から光を受けてもよい。換言すると、固体撮像装置1は、後述する支持基板11側から光を受けてもよい。固体撮像装置1は、画素部2と、画素制御部3と、信号処理部4と、複数の水平制御線からなる水平制御線群6と、垂直信号線7と、を有する。画素部2、画素制御部3および信号処理部4などは、後述するセンサ基板12に設けられている。センサ基板12は、支持基板11に張り合わされている。画素部2が形成されたシリコンウェハであるセンサ基板12は、薄い。従って、センサ基板12は、機械的強度が得られない。そこで、支持基板11によって、センサ基板12に機械的強度を持たせる。センサ基板12の受光領域Sに対応する部分には、画素部2が設けられている。画素部2は、二次元状に配置された複数の画素8を有する。画素8は、入射した光に対応する信号電圧を垂直信号線7に出力する。画素制御部3は、水平制御線群6を介してそれぞれの画素8に接続されている。画素制御部3は、画素8の動作を制御するための制御信号φを出力する。信号処理部4は、垂直信号線7を介してそれぞれの画素8に接続されている。信号処理部4は、画素8が出力する信号電圧Δを受ける。信号処理部4は、画素8から出力された信号電圧Δから画像信号を生成する。
図2は、画素8の電気的な構成を示す。画素8は、いわゆる4トランジスタ型のCMOSイメージセンサである。本実施形態の画素8は、Nチャネルタイプである。つまり、画素8の信号は、信号電子が担う。なお、画素8は、Pチャネルタイプであってもよい。
画素8は、フォトダイオードPDと、浮遊拡散層FDと、トランスファゲートTGと、リセットトランジスタRGと、ソースフォロアトランジスタSFと、選択トランジスタSELと、を有する。
フォトダイオードPDは、PN接合型である。フォトダイオードPDは、キャリアとしての信号電子を発生させる。フォトダイオードPDは、発生した信号電子を蓄積する。
トランスファゲートTG、リセットトランジスタRG、ソースフォロアトランジスタSFおよび選択トランジスタSELは、それぞれ電界効果トランジスタである。
トランスファゲートTGのソースは、フォトダイオードPDに接続されている。トランスファゲートTGのドレインは、浮遊拡散層FDに接続されている。トランスファゲートTGのゲートは、水平制御線群6に接続されている。トランスファゲートTGは、水平制御線群6から制御信号φ1を受ける。トランスファゲートTGは、制御信号φ1に基づいて、フォトダイオードPDから浮遊拡散層FDへの信号電子の転送を制御する。
浮遊拡散層FDは、トランスファゲートTGのドレインに接続されている。浮遊拡散層FDは、トランスファゲートTGを介してフォトダイオードPDに接続されている。浮遊拡散層FDは、信号電子を信号電圧に変換する。浮遊拡散層FDは、リセットトランジスタRGのソースに接続されている。浮遊拡散層FDは、ソースフォロアトランジスタSFのゲートにも接続されている。
リセットトランジスタRGのソースは、浮遊拡散層FDに接続されている。リセットトランジスタRGのドレインは、リセットドレインに接続されている。リセットトランジスタRGのゲートは、水平制御線群6に接続されている。リセットトランジスタRGは、水平制御線群6から制御信号φ2を受ける。リセットトランジスタRGは、制御信号φ2に基づいて、浮遊拡散層FDの電位をリセットする。
ソースフォロアトランジスタSFのソースは、選択トランジスタSELに接続されている。ソースフォロアトランジスタSFのドレインは、アナログ電源に接続されている。ソースフォロアトランジスタSFのゲートは、浮遊拡散層FDに接続されている。ソースフォロアトランジスタSFは、ゲートに入力される電圧に対応する信号電圧を選択トランジスタSELを介して出力する。
選択トランジスタSELのソースは、垂直信号線7に接続されている。選択トランジスタSELのドレインは、ソースフォロアトランジスタSFのソースに接続されている。選択トランジスタSELのゲートは、水平制御線群6に接続されている。選択トランジスタSELは、制御信号φ3に基づいて、信号電圧Δを垂直信号線7に出力する。
図3は、画素制御部3が出力する制御信号φ1、φ2、φ3、RS、SSを示す。図3は、第n行の読み出し期間における制御信号φ1、φ2、φ3、RS、SSのタイミングを模式的に示す。以下の説明において「(H)」は、信号が高い(High)、つまりオンであること示す。「(L)」は、信号が低い(Low)、つまりオフであること示す。
まず、画素制御部3は、制御信号φ3(H)を出力する。その結果、制御信号φ3を受けた行が選択される。続いて、画素制御部3は、制御信号φ2(H)を所定期間だけ出力する。その結果、浮遊拡散層FDにリセットドレイン電圧が出力される。続いて、画素制御部3は、制御信号RS(H)を所定期間だけ出力する。その結果、リセットレベルがサンプリングされる。次に、画素制御部3は、制御信号φ1(H)を所定期間だけ出力する。その結果、フォトダイオードPDから浮遊拡散層FDへ信号電子が転送される。次に、画素制御部3は、制御信号SS(H)を所定期間だけ出力する。その結果、浮遊拡散層FDに蓄えられた信号電子に起因する信号レベルが、制御信号SS(H)のタイミングでサンプリングされる。次に、画素制御部3は、制御信号φ2(H)を所定期間だけ再び出力する。その結果、浮遊拡散層FDにリセットドレイン電圧が出力される。つまり、浮遊拡散層FDの電位がリセットされる。そして、画素制御部3は、制御信号φ3(L)を出力する。その結果、第n行の読み出しが終了する。その後、画素制御部3は、制御信号φ3(H)を次の第n+1行に出力する。
なお、信号処理部4では、サンプルされた信号レベルとリセットレベルとの差が作られる。この差は、相関二重サンプリングである。相関二重サンプリングは、雑音低減およびオフセット除去の役割を果たす。レベル差の成分は信号として扱われる。次に、レベル差の成分は、アナログ値からデジタル値に変換される。そして、デジタル値に変換されたレベル差の成分は、固体撮像装置1の外部に出力される。
図4は、画素部2の断面を模式的に示す。画素部2は、センサ基板12に形成されている。センサ基板12は、配線領域13と、素子領域14と、を有する。センサ基板12の配線領域13側の面は、支持基板11に接合されている。また、画素部2は、センサ基板12上に設けられたカラーフィルタ16およびマイクロレンズ17を有する。カラーフィルタ16は、カラー化の役割を担う。マイクロレンズ17は、集光の役割を担う。
配線領域13は、複数の配線18と、複数のビア19と、ゲート21、21Aと、を有する。配線18は、銅又はアルミニウムにより形成されている。ビア19は、配線18同士を電気的に接続する。また、ビア19は、配線18をポリシリコンにより形成されたゲート21、21Aに電気的に接続する。また、配線領域13は、配線18およびビア19を覆う絶縁膜(不図示)も有する。
素子領域14は、隔離壁22と、画素8と、を有する。
隔離壁22は、互いに隣接する画素8の間に設けられている。隔離壁22は、ディープトレンチ23と、p+型のチャネルストップ領域24と、を有する。ディープトレンチ23は、入射側に設けられている。チャネルストップ領域24は、配線領域13側に設けられている。ディープトレンチ23に挟まれた領域には、後述する電荷蓄積部33aおよび浮遊拡散層FDなどが設けられている。ディープトレンチ23は、画素8間の光学的なクロストークを抑制する。また、ディープトレンチ23は、信号電子の拡散によるクロストークを抑制する。チャネルストップ領域24は、画素8同士を電気的に分離する。より詳細には、チャネルストップ領域24は、電荷蓄積部33aおよびN+型領域34dを電気的に分離する。
画素8は、光電変換部26と、光変換部27と、を有する。光電変換部26は、光入力面26aから受けた被吸収光L2に応じた信号電圧を発生する。光変換部27は、光電変換部26の光入力面26aに設けられる。光変換部27は、入射光L1(図5参照)を受けて光電変換部26に出力される被吸収光L2(図5参照)を生じさせる。光入力面26aは、後述するピンニング領域36の主面でもある。
光電変換部26は、第1の領域29と、第2の領域31と、を有する。
第1の領域29は、基体部32と、電荷蓄積部33aと、フォトダイオードピンニング層33bと、読み出し部34と、を有する。基体部32は、P型であって、光入力面26aを構成する。基体部32は、被吸収光L2を吸収する。その結果、信号電子が発生する。電荷蓄積部33aとフォトダイオードピンニング層33bとは、基体部32と配線領域13との間に設けられている。換言すると、電荷蓄積部33aは、配線領域13側の表面の近傍に設けられている。電荷蓄積部33aは、P型の基体部32およびフォトダイオードピンニング層33bと協働してPN接合ダイオードを構成する。P+型であるフォトダイオードピンニング層33bは、電荷蓄積部33aと配線領域13との間に設けられている。フォトダイオードピンニング層33bは、シリコン表面の界面準位からの暗電流の発生を防ぐ。フォトダイオードピンニング層33bは、チャネルストップ領域24に接し、同電位である。
読み出し部34は、閾値調整領域34aと、N+型領域34b、34c、34dと、P型ウェル34eと、を有する。
閾値調整領域34aは、電荷蓄積部33aとフォトダイオードピンニング層33bとに接する。閾値調整領域34aは、ゲート21Aと協働して、トランスファゲートTGを構成する。N+型領域34bは、閾値調整領域34aに接する。N+型領域34bは、浮遊拡散層FDを構成する。換言すると、N+型領域34bは、閾値調整領域34aのフォトダイオードPDとは反対側に設けられている。つまり、閾値調整領域34aは、電荷蓄積部33aと浮遊拡散層FDとの間に設けられている。P型ウェル34eは、電荷蓄積部33aに隣接する。換言すると、P型ウェル34eは、閾値調整領域34aを介して電荷蓄積部33aに隣接する。
N+型領域34cは、P型ウェル34eであるチャネル領域を挟むようにN+型領域34bに隣接する。N+型領域34cは、電荷蓄積部33aからトランスファゲートTGを構成する。信号電子は、閾値調整領域34aを介して浮遊拡散層FDであるN+型領域34bに読み出される。信号電子は、この浮遊拡散層FDにおいて電圧信号に変換される。N+型領域34dは、P型ウェル34eであるチャネル領域を挟むようにN+型領域34cに隣接する。N+型領域34dとN+型領域34cとゲート21とは、ソースフォロアトランジスタSFを構成する。N+型領域34dには、チャネルストップ領域24が接する。図示されていないが、リセットトランジスタRGと選択トランジスタSELが設けられている。
P型ウェル34eは、浮遊拡散層FDと、リセットトランジスタRGと、ソースフォロアトランジスタSFと、選択トランジスタSELと、を含む。P型ウェル34eは、P型の基体部32からの信号電子の流入を防ぐ。また、P型ウェル34eは、リセットトランジスタRGと、ソースフォロアトランジスタSFと、選択トランジスタSELと、の閾値を制御する。
図5は、図4の領域S1の拡大図である。図5に示すように、光電変換部26は、第2の領域31に形成されるピンニング領域36をさらに有する。
<ピンニング領域>
ピンニング領域36は、基体部32の入射側に設けられている。換言すると、ピンニング領域36は、基体部32の配線領域13側とは反対の表面に設けられている。ピンニング領域36の厚みは、3nm以上100nm以下である。ピンニング領域36は、アクセプタ濃度が高い。ピンニング領域36は、中性化している。ピンニング領域36は、正孔を保持する。ピンニング領域36は、暗電流の発生を抑制する。ピンニング領域36について、さらに詳細に説明する。
つまり、本実施形態の固体撮像装置1は、光の吸収に起因する信号電子を発生させる領域(光電変換部)が暗電流の発生を抑制する機能を奏する領域(第2の領域31、ピンニング領域36)を含んでいる。従って、光変換部27から光電変換部26へ出力される被吸収光L2を妨げる層および膜は、光変換部27と光電変換部26との間には実質的に存在しない。
センサをNチャネルタイプとして説明する。すなわち、入射光L1に起因する信号は、信号電子が担うとして説明する。なお、ピンニング領域36は、P型である。
ピンニング領域36は、P+型入射側の表面ピンニング層である。ピンニング領域36のアクセプタ濃度は、高い。ピンニング領域36の光入力面26aの近傍には、常時1×1017cm―3以上の濃度の正孔が存在する。この正孔は、光電変換部26の入射側の光入力面26aに存在する界面準位に起因して発生する暗電流を抑制する。
ピンニング領域36は、少なくとも第1の条件を満たし、さらに、第2の条件および第3の条件を満たすとさらに良好である。
第1の条件は、入射側の光入力面26aに正孔を蓄積させることによって中性化したピンニング領域36が、光入力面26aにおける暗電流の発生を抑制することである。Si/SiOの界面のように、複数のバンドギャップ準位を含む場合、価電子帯の電子は、バンドギャップ準位を介して伝導帯体へ励起される。その結果、暗電流が生じる。暗電流の値は、ショックレー・リード・ホール(Schockley-Read-Hall)モデルに基づく式(1)に示される。
Figure 0007493250000001
式(1)を構成する各パラメータは以下のとおりである。
U:再結合率。
σ=σ=σ:電子および正孔のバンドギャップ準位に対する捕獲断面積。
th:熱運動速度。
:バンドギャップ準位密度。
n:伝導帯の電子密度。
p:価電子帯の正孔密度。
:真性キャリア密度。
k:ボルツマン定数。
T:絶対温度。
なお、再結合率が、正の場合は再結合である。再結合率が、負の場合は暗電流生成レートである。また、Si/SiOの界面が空乏化している場合、n,p<<nである。この条件によれば、式(1)から式(2)が得られる。
Figure 0007493250000002
=Eのとき、Si/SiOの界面が空乏化している場合の再結合率Udepは最大になる。従って、式(2)から式(3)が得られる。
Figure 0007493250000003
この構成によれば、大きな暗電流が発生する。これに対して、界面近傍の正孔濃度が大きい場合、すなわち、p>>ni>>nの場合、かつ、もっとも暗電流の発生に寄与するバンドギャップ準位はE=Eである場合には、式(1)から式(4)が得られる。
Figure 0007493250000004
式(5)は、界面が空乏化しているときと正孔が蓄積しているときの比である。
Figure 0007493250000005
式(5)において、nは1.45×1010cm-3である。従って例えば、p=1017cm-3である場合には、暗電流は10―7倍に低減される。
第2の条件は、少数キャリアを長寿命化させることである。少数キャリアとは、ここでは電子である。換言すると、第2の条件は、発生した電子正孔対のうちの電子がすみやかにP型の光電変換部26をドリフトし、電荷蓄積部33aに到達することである。
少数キャリアの寿命は、ピンニング領域36が含む結晶欠陥の数の影響を受ける。具体的には、ピンニング領域36が含む結晶欠陥の数が減少すると、少数キャリアの寿命が延びる。結晶欠陥は、ピンニング領域36が含む不純物濃度が大きく、かつ、高濃度領域が大きい場合に生じやすい。不純物の原子の大きさは、シリコンの原子の大きさと異なるためである。
ピンニング領域36は、イオン注入により設けられる。注入されるイオンの量は、不純物濃度と不純物分布との積分に相当する。結晶欠陥の発生を抑制し得るイオン注入量として、3×1015cm-2以下が示される。
また、イオン注入は、不純物をシリコンに導入すると同時にエネルギをシリコンに持ち込む。このエネルギも、結晶欠陥を生じさせる要因である。結晶欠陥は、イオン注入後に実施されるアニール処理によって回復される。しかし、結晶欠陥は、完全に消失しない。
ピンニング領域36の形成は、配線領域13を形成した後に行われる。そのため、アニール方法は、レーザアニール法などに限定される。そこで、イオン注入に起因する結晶欠陥の発生を少なくする必要がある。イオン注入によってシリコンに持ち込まれるエネルギは、不純物量とエネルギとに比例する。結晶欠陥の発生を抑制できる条件として、不純物量とエネルギとの積を5×1015keVcm-2以下とすることが示される。
第3の条件は、光電変換によって発生した電子正孔対のうちの電子をすみやかに電荷蓄積部33aに到達させることである。電子は、P型である基体部32を通過した後に、電荷蓄積部33aに到達する。このような動作は、電位勾配に起因するドリフト運動によって電子が移動することによりなされる。
P型である基体部32は、空乏化している。同様に、ピンニング領域36のうちの基体部32側の不純物濃度の低い部分は、空乏化している。つまり、これらの領域では、十分な電界が得られる。一方、ピンニング領域36のうち光入力面26aの近傍は、暗電流を抑制するために正孔が蓄積されている。つまり、光入力面26aの近傍は、中性化している。不純物濃度の差は、空乏化していない領域において電子の移動を円滑にする。
すなわち、ピンニング領域36は、図14に示されるような不純物濃度の分布を有する。その結果、ピンニング領域36は、アクセプタ濃度が大きいほどフェルミレベルと価電子帯端とのエネルギ差が小さくなる。アクセプタである不純物濃度は、ピンニング領域36において入射側の表面から基体部32の方向に向かって減少する。この不純物濃度の分布によれば、ピンニング領域36において正孔が蓄積されている領域においても、信号電子は、ドリフトにより基体部32にすみやかに移動する。
このような不純物濃度の分布は、イオン注入によって得られる。具体的には、不純物濃度の分布のピーク位置を、光入力面26a又は、光入力面26aに設けられた酸化膜中に設定することにより得られる。この工程によれば、光入力面26aから基体部32に向かって単調に減少する不純物濃度の分布が形成される。
なお、不純物濃度の分布は、別の条件によっても実現可能である。まず、イオン注入を0.2keVといった低エネルギで行う。その結果、不純物濃度の分布におけるピーク位置は、0.5nm程度になる。このような分布を有する素子をアニールすると、ピークはほぼ消失する。その結果、入射側の表面から基体部32に向かって、単調に減少する不純物濃度の分布が得られる。注入エネルギは、例えば1keV以下が好ましい。低エネルギのイオン注入を用いる方法はイオン注入後に酸化膜を除去する煩雑さがないという利点がある。以下、低エネルギのイオン注入で形成する方法を中心に記載する。
<光変換部>
光変換部27は、ピンニング領域36の表面に形成された金属膜である。光変換部27は、ピンニング領域36に直接に接している。光変換部27は、アルミニウム、銀、金、銅、窒化チタン(TiN)を含む金属窒化物により形成される。光変換部27の厚みは、10nm以上30nm以下である。
図6は、図4の領域S2の拡大図である。図6に示すように、画素8の光変換部27は、画素8に隣接する別の画素8の光変換部27に対して分離されている。この分離とは、一方の光変換部27において生じたプラズモンが、隣接する他方の光変換部27に到達しないことを意味する。換言すると、画素8の境界部には、ギャップGが設けられている。また、一方の光変換部27において生じたプラズモンが、隣接する他方の光変換部27に到達することを、光変換部27の干渉とも呼ぶ。このギャップGによれば、画素8間で光変換部27の干渉を抑制することできる。
光変換部27のエッジ27eは、電界が強い。その結果、エッジ27eは、強いエバネセント光L2aを放射する。そこで、光変換部27のエッジ27eは、ピンニング領域36上に形成する。つまり、光変換部27のエッジ27eは、光入力面26a上に形成する。換言すると、光変換部27のエッジ27eは、画素8を隔てるディープトレンチ23(隔離壁22)上には形成されない。さらには、ディープトレンチ23は、光変換部27の間に形成されるギャップGに対応する領域に形成される。この構成によれば、エッジ27eにおいて発生する強いエバネセント光L2aを、ピンニング領域36および基体部32において吸収させることが可能になる。その結果、信号電子に変換可能なエバネセント光L2aを増加させることができる。つまり、エバネセント光L2aを有効に利用することが可能になる。また、ギャップGは、隣接する画素8へのプラズモンの伝播を抑制する。その結果、クロストークの発生が抑制される。
なお、ギャップGは、エバネセント光L2aを生じさせる光変換部27の面積を減少させる。固体撮像装置1は、光変換部27の上に設けられたマイクロレンズ17(図4参照)を有する。このマイクロレンズ17によれば、入射光L1を光変換部27に集光することが可能である。その結果、感度の低下を防ぐことができる。
光変換部27は、近赤外光等の入射光L1を受ける。光変換部27は、被吸収光L2を発生する。被吸収光L2は、エバネセント光L2aと、伝搬光L2bと、を含む。光変換部27は、ピンニング領域36および基体部32にエバネセント光L2aを出力する。光変換部27は、グレイン構造を含んでもよい。グレイン構造の大きさは、入射光L1の波長以下である。光変換部27は、図7に示す凹凸構造を含んでもよい。凹凸構造は、複数のリッジ27a(複数の凸部)を含む。リッジ27aの間隔は、例えば100nm以上であり、かつ、波長以下であってもよい。リッジ28aは、光入力面26aから突出する。
さらに、光変換部27として、エバネセント光L2aを発生可能な様々な構造を採用可能である。光変換部27は、周期的構造を含んでもよい。周期的構造として、例えば、複数の球状構造または柱状構造としてもよい。また、このような構造を大別すると、パターン構造体および微粒子構造体が挙げられる。
パターン構造体として、例えば、回折格子、ホールアレイ、ディスクアレイ、スリットアレイ、アンテナアレイおよびブルズアイアレイが例示される。回折格子は、例えばストライプ状の一次元配列構造、正方格子状又は三角格子状の二次元配列構造であってもよい。ホールアレイは、ホールの形状が、円形、矩形および三角形であってもよい。ディスクアレイは、ディスクの形状が、円板形、矩形、三角形および半球形であってもよい。スリットアレイは、スリットの形状が一次元構造、十字型構造及びアスタリスク型構造であってもよい。スリットアレイは、それぞれ正方格子状又は三角格子状に配列されてよい。アンテナアレイは、粒子ペア型構造、ロッドペア型構造およびボウタイ型構造であってもよい。ブルズアイアレイは、開口と同心円状の凹凸構造とを含んだ構造が正方格子状又は三角格子状に配列されてよい。
微粒子構造として、金属材料により形成された微粒子が例示される。金属材料は、例えば、アルミニウム、銀、金、銅、窒化チタンを含む金属窒化物などを採用してよい。微粒子の形状として、球形ナノ粒子、金属ナノシェル、金属ナノロッドおよび金属ナノワイヤが例示される。微粒子構造は、局在型表面プラズモン共鳴を利用する。微粒子構造として球形ナノ粒子を採用する場合には、粒子間に働くギャップモードを適用することにより近赤外共鳴を得ることができる。球形ナノ粒子およびナノシェルの直径は、10nm以上1μm以下としてよい。ナノロッドおよびナノワイヤの直径は、10nm以上300nm以下としてよい。ナノロッドおよびナノワイヤの長さは、50nm以上10μm以下としてよい。また、微粒子構造を形成する材料として、TiNなどのチッ化物系ナノ粒子、およびMie散乱を利用するSiなどの高屈折率ナノ粒子も例示される。これらの微粒子構造は、化学合成法、スパッタ法及び真空蒸着法を用いて形成してもよい。真空蒸着法によれば、グレイン構造である島状の成膜がなされる。
周期性に基づく表面プラズモン共鳴を利用する構造は、周期が100nm以上であり、入射する光の波長以下であることが望ましい。ギャップモードに基づく表面プラズモン共鳴を利用する構造は、粒子ペアなどの金属間距離が入射する光の波長以下であることが望ましい。例えば、金属間距離として、1nm以上100nm以下がより望ましい。これら構造体は、エキシマレーザーリソグラフィ、電子線描画リソグラフィおよび集束イオンビーム加工技術などによって形成してよい。
以下、固体撮像装置1の製造方法を説明する。
まず、シリコンウェハを準備する。次に、固体撮像装置1において配線領域13側となるシリコンウェハの一部に、電荷蓄積部33a、フォトダイオードピンニング層33b、トランジスタ、および配線18などの構成物を形成する。この工程によって、センサ基板12が形成される。次にセンサ基板12を支持基板11に接合する。先の工程において電荷蓄積部33aなどが形成された側の面が支持基板11に接合される。なお、支持基板11は、回路が形成されたウェハを採用してもよい。この場合には、集積度をより高めることができる。
次に、センサ基板12の厚みを調整する。具体的には、センサ基板12を光入力面26a側から削る。センサ基板12の厚みは、通常の可視光用の場合では2μm以上3μm以下である。一方、近赤外光用の場合では、通常この厚みでは十分に光を吸収することができない。しかし、固体撮像装置1の構成によれば、センサ基板12の厚みが3μm以下であっても、十分に近赤外光を検出可能である。
次に、ピンニング領域36を形成する。具体的には、センサ基板12の光入力面26aにボロンをイオン注入する。イオン注入エネルギは、0.2keV以上1keV以下である。イオン注入の後に、活性化のためのレーザアニールを行う。なお、酸化膜を介してイオン注入を行ってもよい。この場合には、不純物濃度の分布は、そのピークが入射側の界面または酸化膜中に形成される。イオン注入量は、1×1014cm―2以上3×1015cm―2以下が望ましい。そして、クロストークを防止するためのディープトレンチ23を形成する。
図14は、所定の条件に基づいて1価のボロンイオンをイオン注入したときの、不純物濃度の分布を示すグラフである。所定の条件とは、イオン注入エネルギが0.2keVであり、かつドーズ量が1×1015cm―2である。グラフG14aは、この条件の基に形成された濃度分布を示す。また、別の所定の条件として、イオン注入エネルギが0.5keVであり、かつドーズ量が1×1015cm―2である。グラフG14bは、この条件の基に形成された濃度分布を示す。
グラフG14a、G14bを確認すると、ピークP14の位置は0.5nmである。ピークP14の濃度は、2×10+21cm―3程度である。測定の限界を考慮すると、ボロンイオンは、10nm程度の深さまで分布していると言える。
次に、イオン注入後、レーザアニールを行う。レーザアニールによれば、配線領域13側に形成されたトランジスタおよび配線に損傷を与えることなくアニールを行うことができる。また、レーザアニールを行う際には、レーザアニールのエネルギを下げる。つまり、シリコンを溶融させない。この条件を満たすことにより、溶融部分の不純物濃度が一定になることを抑制できる。また、非溶融の条件のレーザアニールを複数回行うことにより、不十分な不純物の活性の状態を、十分な不純物の活性の状態に変化させることができる。そして、レーザアニール後、自然酸化膜を除去する。その結果、金属膜である光変換部27が形成される。光変換部27の形成には、上述した構造に応じた手法を用いて形成してよい。そして、光変換部27上にカラーフィルタ16およびマイクロレンズ17を形成する。
<作用効果>
実施形態の固体撮像装置1は、金属膜である光変換部27においてエバネセント光L2aを発生させる。ほぼ全てのエバネセント光L2aは、光電変換部26において吸収される。換言すると、エバネセント光L2aは、光電変換部26における基体部32において吸収されるとともに、ピンニング領域36においても吸収される。つまり、エバネセント光L2aは、基体部32とピンニング領域36とにおいて信号電子に変換される。ここで、光変換部27は、ピンニング領域36に対して直接に接している。換言すると、光変換部27と、シリコンによって構成されると共に光電変換を行う光電変換部26との間に、絶縁膜が存在しない。従って、エバネセント光L2aは、絶縁膜などによって減衰されることなく、光電変換部26に到達する。その結果、エバネセント光L2aを十分に活用することが可能になる。つまり、金属膜である光変換部27とピンニング領域36とを直接に接触させている。この「直接」とは、光変換部27とピンニング領域36との間になんらの膜および層をも挟まない構成のほかに、エバネセント光L2aの減衰を無視できる膜および層を挟む構成も含む。例えば、光変換部27とピンニング領域36との間に自然酸化膜が存在する場合は、実質的に光変換部27とピンニング領域36とが互いに直接に接触しているといえる。
エバネセント光L2aは、シリコン中における強度の減衰が早い。換言すると、エバネセント光L2aは、シリコンに吸収されやすい。従って、近赤外光を検出する場合に、光電変換のためのシリコンの厚みを大きくする必要はない。光電変換のためのシリコンの厚みとして、例えば1μmが例示される。その結果、画素8を微細化したときに生じ得るクロストークの発生を抑制できる。また、クロストークを防止するためのトレンチの深さを浅くすることが可能になる。トレンチの形成が容易になると共にトレンチの幅を小さくすることができる。
さらには、ピンニング領域36の入射側の表面には、正孔が蓄積されている。その結果、Si/SiOの界面に多数存在するバンドギャップ準位に起因する暗電流の発生を抑制できる。
上述の構成を備える固体撮像装置1の内部量子効率は、ほぼ100%である。内部量子効率とは、シリコンに入射した光子数を分母とし、信号電子数を分子とした比率である。内部量子効率は、センサ表面での反射率などの損失を除いたものである。固体撮像装置1は、ピンニング領域36にいわゆるデッドレイヤ(dead layer)が実質的に形成されていないとみなせる。
要するに、実施形態の画素8は、光入力面26aから受けた被吸収光L2に応じた信号電圧を発生する光電変換部26と、入射光L1を受けて光電変換部26に出力される被吸収光L2を生じさせるように、光電変換部26の光入力面26aに設けられた光変換部27と、を備える。光電変換部26は、第1のアクセプタ濃度(第1の不純物濃度)を有する第1の領域29と、第1のアクセプタ濃度よりも大きい第2のアクセプタ濃度(第2の不純物濃度)を有する第2の領域31と、を有する。第2の領域31は、光入力面26aを含むと共に光変換部27に直接に接触する。光変換部27は、入射光L1を受けて、エバネセント光L2aを含む被吸収光L2を発生する。
実施形態の固体撮像装置1は、二次元状に配置された複数の画素8および互いに隣接し合う画素8の間に設けられた隔離壁22を有する画素部2と、画素部2の動作を制御する制御信号を発生する画素制御部3と、画素部2が発生する信号電圧を受ける信号処理部4と、を備える。画素8は、光入力面26aから受けた被吸収光L2に応じた信号電圧を発生する光電変換部26と、入射光L1を受けて光電変換部26に出力される被吸収光L2を生じさせるように、光電変換部26の光入力面26aに設けられた光変換部27と、を有する。光電変換部26は、第1のアクセプタ濃度を有する第1の領域29と、第1のアクセプタ濃度よりも大きい第2のアクセプタ濃度を有する第2の領域31と、を有する。第2の領域31は、光入力面26aを含むと共に光変換部27に直接に接触する。光変換部27は、入射光L1を受ける。光変換部27は、エバネセント光L2aを含む被吸収光L2を発生する。
この画素8の光変換部27は、入射光L1を受ける。光変換部27は、光電変換部26に出力される被吸収光L2を発生する。光電変換部26の光入力面26aは光変換部27に直接に接している。したがって、被吸収光L2は減衰することなく光電変換部26に入力される。そして、この被吸収光L2は、光電変換部26において入射光L1よりも吸収されやすい。従って、受光感度を高めることができる。さらに、光電変換部26は、光入力面26aを含む第2の領域31を有している。したがって、第2の領域31は第1の領域29よりもアクセプタ濃度が大きい。この構成によれば、界面に生じる暗電流を抑制することができる。つまり、画素8によれば、受光感度を高めることができると共に暗電流を抑制することができる。したがって、画素8を用いることにより、良好な画像を得ることができる。
第2の領域31の第2のアクセプタ濃度は、第1の領域29に近づくに従って減少する。この構成によれば、第2の領域31における被吸収光L2の吸収によって生じた少数キャリアを、第1の領域29に速やかに移動させることが可能になる。その結果、少数キャリアが消滅することがないので、少数キャリアに起因する信号電圧を良好に捉えることができる。つまり、被吸収光L2から少数キャリアに起因する信号電圧への変換効率が高まる。したがって、受光感度をさらに高めることができる。
第2の領域31は、ドーズ量を1×1014cm-2以上3×1015cm-2以下とするドーピングによって形成されている。さらに、第2の領域31は、注入エネルギを0.2keV以上1keV以下とするドーピングによって形成されている。この構成によれば、第2の領域31における結晶欠陥の発生を抑制することが可能である。従って、被吸収光L2に応じて発生した少数キャリアの寿命を長くすることができる。その結果、少数キャリアが消滅することがない。したがって、少数キャリアに起因する信号電圧を良好に捉えられる。つまり、被吸収光L2から少数キャリアに起因する信号電圧への変換効率が高まる。したがって、受光感度をさらに高めることができる。
隔離壁22は、互いに隣接し合う画素8における光電変換部26の間に設けられる。互いに隣接し合う一方の光変換部27は、他方の光変換部27から離間する。光変換部27の辺部は、光電変換部26の光入力面26a上に形成されている。この構成によれば、ある画素8の光変換部27で発生した被吸収光L2が隣接する別の画素8に到達することを抑制できる。従って、クロストークの発生を好適に抑制することができる。
本実施形態に係る画素8および固体撮像装置1は、上記実施形態に限定されない。
<変形例1>
図8および図9は、変形例1に係る固体撮像装置1Aを説明するための図である。入射光L1が平行光でないときがあり得る。例えば、固体撮像装置1Aにおいて、中央付近に配置された画素8に対する入射光L1の入射角θと、中心から離れた配置された画素8に対する入射光L1の入射角θと、は互いに異なることがある。つまり、入射光L1の主光線は、カメラレンズ90の中心から固体撮像装置1Aに向かって広がっている。例えば、固体撮像装置1Aの中心付近では、入射角θは0度である。一方、固体撮像装置1Aの周辺部では、入射角θは大きい。例えば、固体撮像装置1Aを備えるカメラユニットの小型化に伴い、カメラレンズ90と固体撮像装置1Aとの間隔は狭くなる。この構成によれば、固体撮像装置1Aの周辺部における入射角θがさらに大きくなる。
画素8に対する入射角θが異なると、光変換部27に対する入射角θが異なる。光変換部27は、入射光L1の波長に応じて、リッジ27aの周期が決まっている。そうすると、固体撮像装置1Aの中央付近の画素8において、光変換部27の周期は、入射光L1の波長に対応する。しかし、固体撮像装置1Aの周辺の画素8において、光変換部27の周期は、入射光L1の波長に対応しない場合が生じ得る。すなわち、入射角θが0度のとき周期をLとした場合に、入射角θであるときの実質的な周期はL×cosθである。この入射角θは、光入力面26aにおける法線方向Aを基準とした角度である。
そこで、画素8の位置に応じて、光変換部27の周期を互いに異ならせる。図9の(a)部は、固体撮像装置1Aにおける受光面の中央付近に配置された画素8と入射光L1との関係および光変換部27を拡大して示す図である。図9の(b)部は、固体撮像装置1Aにおける受光面の右端付近に配置された画素8と入射光L1との関係および光変換部27を拡大して示す図である。画素8の位置が決まると入射光L1の入射角θが決まる。入射角θが決まると、光変換部27の周期が決まる。具体的には、ある位置における画素8の光変換部27の周期LSは、下記式(6)によって得ることができる。式(6)において、Lは、入射角θがゼロであるときの光変換部27の周期である。例えば、受光面の端に配置された画素8が備える光変換部27の周期は、受光面の中央に配置された画素8が備える光変換部27の周期より大きい。
LS=L/cosθ…(6)
さらに、固体撮像装置1Aは、入射光L1の入射角θに対応するようにマイクロレンズ17の位置を調整してもよい。この場合には、入射角θが大きい画素8における光量の減少が抑制される。
なお、固体撮像装置1Aは、後述する変形例2の固体撮像装置1Bが備えている光変換部27に所望の電位を印加する構成を備えてもよい。本技術は、図15や図16に示した固体撮像装置などに広く適用が可能である。
<変形例2>
図10および図11は、変形例2に係る固体撮像装置1Bを説明するための図である。ピンニング領域36と光変換部27Bとは電気的に直接接している。ピンニング領域36と光変換部27Bとの接触状態は、ピンニング領域36の不純物濃度が高いためにオーム接触である。このため、光変換部27Bの電位は、ピンニング領域36の正孔が蓄積された領域との電位と同電位である。例えば、ピンニング領域36の正孔が蓄積された領域の電位は、接地電位としてもよい。また、P型である光電変換部26を完全に空乏化させ、かつ、電荷蓄積部33aへ向けて電界を強くする場合があり得る。この場合には、ピンニング領域36の正孔が蓄積された領域の電位は、負電位とする。正孔を信号キャリアとする場合は正電位を印加する。
そこで、変形例2に係る固体撮像装置1Bは、光変換部27Bに所望の電位を印加する構成を有する。図10はセンサチップの周辺部を模式的に示す断面図である。変形例2に係る固体撮像装置1Bは、固体撮像装置1の構成に加えて、電圧印加部40を備える。電圧印加部40は、配線領域13に設けられた配線18Bと、基体部32に設けられたアクセプタ濃度の大きいダイシング領域41(導電部)と、基体部32の端面に形成されたダイシング面26bと、を含む。
アルミニウムパッドである配線18Bの端部は、ダイシング領域41に電気的に接続されている。配線18Bは、基体部32に設けられたN+型領域42を含むガードリング領域S4に隣接する。ダイシング領域41はP+型である。ダイシング領域41の一端は、ダイシング面26bの一部を構成する。ダイシング領域41は、例えば、イオン注入によってボロンがドープされた領域である。その結果、ダイシング領域41の電気抵抗は、小さい。
ダイシング面26bは、センサチップの端面である。センサチップとは、支持基板11と、画素部2などが形成されたセンサ基板12と、が互いに張り合わされた素子である。固体撮像装置1Bは、シリコンウェハ上に複数形成され、ダイシングによって個片化される。ダイシング面26bは、このダイシングによって形成される面である。つまり、ダイシング面26bは、シリコンウェハから固体撮像装置1Bを切り出したときに生じる切断面である。ダイシングによって、ダイシング面26bには、複数の欠陥が発生する。この欠陥は、電気伝導を助ける。つまり、ダイシング面26bは、電気伝導性を有する。ダイシング面26bは、少なくともダイシング領域41と、基体部32と、基体部32に含まれるピンニング領域36と、を含む。なお、ダイシング面26bは、光変換部27Bを含んでもよい。この構成によれば、ダイシング領域41がピンニング領域36にダイシング面26bを介して電気的に接続される。つまり、ピンニング領域36に負の電位を与えることができる。そして、ピンニング領域36は、光変換部27Bに対してオーミック接触を構成する。そのため、負の電位は、ダイシング領域41、ダイシング面26bおよびピンニング領域36を介して、光変換部27Bにも印加される。
そこで、図11に示すように、光変換部27Bは、リッジ27bが互いに電気的に接続された構成を有することが好ましい。さらに、互いに隣接する画素8が備える光変換部27B同士を電気的に接続してもよい。例えば、固体撮像装置1Bは、互いに隣接する光変換部27Bを電気的に接続するブリッジ45を有する。ブリッジ45は、2個の光変換部27Bを接続するものでもよい。ブリッジ45は、2個以上の光変換部27Bを接続するものでもよい。この結果、隔離壁22がある場合にも、ピンニング領域36と光変換部27Bとが画素8間で電気的に接続される。つまり、すべての画素8のピンニング領域36および光変換部27Bに負電位が供給される。
なお、金属膜である光変換部27Bを形成する直前の自然酸化膜を除去する工程は、工程を短縮するために省略することがあり得る。また、自然酸化膜の膜厚が厚かった場合、例えば1nm程度残った場合、光変換部27Bは電気的に浮遊になる可能性がある。しかし、光変換部27Bが電気的に浮遊であることによる問題は生じない。自然酸化膜では、エバネセント光L2aの損失が僅かながら存在する。しかし、自然酸化膜に起因するエバネセント光L2aの損失は、無視してもよい。
要するに、変形例2の固体撮像装置は、二次元状に配置された複数の画素、および、互いに隣接し合う前記画素の間に設けられた隔離壁を有する画素部と、前記画素部の動作を制御する制御信号を発生する画素制御部と、前記画素部が発生する信号電圧を受ける信号処理部と、を備える。前記画素は、光入力面から受けた被吸収光に応じた信号電圧を発生する光電変換部と、入射光を受けて前記被吸収光を生じさせるように、前記光電変換部の前記光入力面に設けられた光変換部と、を有する。前記光電変換部は、前記光入力面を含むと共に前記光変換部に直接に接触する。前記光変換部は、前記入射光を受けて、エバネセント光を含む前記被吸収光を発生する。前記光変換部は、信号キャリアが電子の場合負の電位を、信号キャリアが正孔の場合負の電位を受ける。
つまり、光変換部27Bは、負の電位を受ける。この構成によれば、光電変換部26の完全空乏化を助ける。さらに、この構成によれば、電荷蓄積部33aへ向かう電界が大きくなる。その結果、信号キャリアが再結合することなく、すみやかに電荷蓄積部33aへドリフト移動する。したがって、感度が向上するとともに、反応速度が高まる。
また、互いに隣接し合う一方の光変換部27Bは、ブリッジ45によって他方の光変換部27Bに対して電気的に接続される。この構成によれば、暗電流を抑制可能な構成を簡易な工程によって得ることができる。
<参考技術>
近年、近赤外光を対象とするフォトダイオードおよびCMOSイメージセンサの開発が進められている。例えば、監視用途に用いるイメージセンサは、可視光および近赤外光の両方を検出対象とする。その結果、イメージセンサの感度が向上する。近赤外光は、人間の眼が検知できない。従って、可視光および近赤外光を検出対象とするイメージセンサは、病室の監視、Time of Flight(いわゆる「TOF」)を用いたジェスチャ入力、距離計測などに利用される。
図12は、シリコンの吸収係数と波長との関係を示すグラフである。グラフG12aに示されるように、シリコンの吸収係数は、可視光の帯域G12b(360nmから830nm)から近赤外光の帯域G12c(830nm以上)に向けて、急激に小さくなる。その結果、近赤外光を十分に吸収するためには、シリコンの厚みを大きくする必要がある。
近赤外光は、シリコンに入射したときにシリコンの内部で減衰する。図13は、入射深さと近赤外光の強度との関係を示すグラフである。図13によれば、シリコンの内部で生じる光吸収による近赤外光の各波長ごとの光強度の減衰の程度がわかる。図13の横軸は、シリコンの内部における深さである。縦軸は、光強度である。図13において、グラフG13aは、波長が800nmであるときの光強度の減衰を示す。グラフG13bは、波長が850nmであるときの光強度の減衰を示す。グラフG13cは、波長が900nmであるときの光強度の減衰を示す。グラフG13dは、波長が950nmであるときの光強度の減衰を示す。グラフG13eは、波長が1000nmであるときの光強度の減衰を示す。グラフG13fは、波長が1050nmであるときの光強度の減衰を示す。
例えば、グラフG13bは、ジェスチャ入力装置に利用される光であり、その波長が850nmであるときの減衰の様子を示す。グラフG13bを参照すると、入射光L1の1/2がシリコンに吸収されるためには、12μmのシリコン層が必要である。また、グラフG13dは、車載用装置に利用される光であり、その波長が950nmであるときの減衰の様子を示す。グラフG13dを参照すると、入射光L1の1/2がシリコンに吸収されるためには、24μmのシリコン層が必要である。入射光L1をさらに吸収させる場合には、シリコン層の厚みをさらに増す必要がある。そうすると、12μmおよび24μmといったシリコン層の厚み、およびこれらよりもさらに大きいシリコン層の厚みは、可視光用のイメージセンサのセンサ厚が3μm程度であることを考えると大きいと言える。同様に、このようなシリコン層の厚みは、監視用途イメージセンサの画素サイズが3μm程度であることを考えても大きいと言える。
フォトダイオードには、PN接合型のダイオードが主に用いられる。フォトダイオードは、逆バイアス状態で光電変換させる。逆バイアス状態では、空乏層は、PN接合面からN型領域およびP型領域に延びる。空乏層には、電界が形成されている。この電界によれば、光吸収で発生した電子正孔対のうち、電子はN型領域へ移動する。そして、正孔はP型領域へ移動する。CMOSイメージセンサでは電子が信号として用いられることが一般的である。近赤外光の領域では、光電変換のための厚いセンサの層を空乏化させることが必要となる。このために、可視光領域とは異なる画素構造およびプロセスが必要になる。また、空乏化した厚いセンサ層は、斜めに入射する光および信号電子の拡散に起因して、クロストークノイズが発生する。
これらの課題を解決するために、いくつかの技術が提案されている。
例えば、非特許文献1は、入射面の表面に設けたピラミッド型の凹凸構造によってほぼ垂直に入射してきた光を屈曲させる技術を開示する。画素内を光線が屈曲することによって、シリコンの厚みを実質的に増加させている。また、画素の間には、ディープトレンチアイソレーション(Deep Trench Isolation :DTI)が形成されている。このDTIは、鏡の役割を果たす。上記の構造によれば、850nm以上950nm以下の波長領域において、量子効率が2倍程度に改善されると報告されている。しかし、量子効率の改善度合いは、2倍程度に留まってしまう。また、ピラミッド型の構造を作成するプロセスおよびDTIを作成するプロセスが必要である。
参考文献1は、別の技術を開示する。参考文献1は、近赤外光の感度を向上させるためにプラズモンを利用する技術を開示する。
<参考文献1>特開2011-187857号公報。
参考文献1に開示された固体撮像装置は、おおむね図15に示す構造を有する。固体撮像装置100は、配線領域101と、フォトダイオードピンニング層102と、N型蓄積層103と、基体部104と、絶縁膜105と、負電荷保持領域106と、微細金属構造層107と、を有する。N型蓄積層103は、フォトダイオードピンニング層102およびP型の基体部104と協働して、PN接合のフォトダイオードPDを構成する。微細金属構造層107は、プラズモンを発生させる。微細金属構造層107は、フォトダイオードPDの上に形成されている。光入力面104aには、絶縁膜105が設けられている。絶縁膜105として、例えば、シリコン酸化膜が挙げられる。絶縁膜105の膜厚は、1nm以上2nm以下程度である。絶縁膜105の上には、負電荷保持領域106が形成されている。負電荷保持領域106として、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition:ALD)で形成された膜厚が11nmである酸化ハフニウム膜が挙げられる。さらに、負電荷保持領域106として、物理蒸着法(Physical Vapor Deposition :PVD)で形成された膜厚が50nmである酸化ハフニウム膜が挙げられる。このような負電荷保持領域106の上には、微細金属構造層107が設けられている。さらにその上には、カラーフィルタとマイクロレンズが形成されている。
負電荷保持領域106に対応して、基体部104の入射側の表面近傍には正孔が蓄積される。この正孔は、基体部104の入射側の表面に存在する界面準位から発生する暗電流を抑制する。微細金属構造層107は、アルミニウム、銀、金、銅、または窒化チタンを含む金属窒化物等により形成される。微細金属構造層107の厚みは、10nm以上30nm以下である。微細金属構造層107は、メッシュ状の周期的な構造またはストライプ状の周期的な構造を呈する。このような微細金属構造層107に光が入射すると、金属構造のエッジ部分に強い電界が発生する。この強い電界により、指数関数的に減衰するエバネセント光と伝搬光とが発生する。エバネセント光は、深さ1μmに到達するまでにほぼすべて吸収される。その結果、基体部104とN型蓄積層103を合わせた受光層の厚みを縮小することができる。
しかし、参考文献1の固体撮像装置100は、1nm以上2nm以下である絶縁膜105を含む。また、負電荷保持領域106として酸化ハフニウムを採用する場合には、負電荷保持領域106の膜厚は、50nm以上になる。絶縁膜105および負電荷保持領域106は、エバネセント光を減衰させてしまう。発生したエバネセント光の80%は、絶縁膜105および負電荷保持領域106の減衰によって失われる。従って、受光層である基体部104の厚みを縮小する効果は、限定的である。さらには、負電荷保持領域106の形成には、高価で成膜速度が遅い原子層堆積法を用いる必要があった。
図16は、プラズモンを利用する別の固体撮像装置200の例示である。固体撮像装置200は、配線領域201と、フォトダイオードピンニング層202と、N型蓄積層203と、基体部204と、絶縁膜205と、微細金属構造層207と、を有する。つまり、固体撮像装置200は、固体撮像装置100から負電荷保持領域106を省略したものである。固体撮像装置200の光入力面204aには、絶縁膜205が形成されている。絶縁膜205の膜厚は、2nmである。絶縁膜205は、シリコン酸化膜およびハフニウム酸化膜からなる。絶縁膜205の上には、微細金属構造層207が設けられている。微細金属構造層207は、アルミニウム、銀、金、銅および窒化チタンを含む金属窒化物などにより形成されている。微細金属構造層207の厚みは、10nm以上30nm以下である。微細金属構造層207は、メッシュ状の周期的な構造またはストライプ状の周期的な構造を呈する。
この微細金属構造層207には、-2V以上-10V以下の負の電圧が印加される。微細金属構造層207、絶縁膜205およびP型の基体部204は、MOS構造を構成する。そうすると、微細金属構造層207に負の電圧を印加した場合には、基体部204における絶縁膜205の近傍の領域に正孔が蓄積される。この正孔は、基体部204の光入力面204aに存在する界面準位から発生する暗電流を抑制する。このような微細金属構造層207に光が入射すると、微細金属構造層207のエッジ部分に強い電界が発生する。この強い電界により、指数関数的に減衰するエバネセント光と伝搬光とが発生する。エバネセント光は、深さ1μmに到達するまでにほぼすべて吸収される。その結果、基体部204とN型蓄積層203を合わせた受光層の厚みを縮小することができる。
しかし、膜厚が2nmである絶縁膜105によって、エバネセント光は、減衰してしまう。
上述した参考例の固体撮像装置100、200は、エバネセント光を発生させる領域と、当該エバネセント光を吸収する領域との間に、絶縁膜105、205が設けられていた。この絶縁膜105、205によって、エバネセント光が減衰されるので、受光感度の向上が妨げられる。その結果、近赤外光を好適に捉えることが難しかった。
さらに、参考例に係るイメージセンサを対象に、感度の改善の程度について考察する。図15および図16に示すような参考例の裏面照射型CMOSイメージセンサは、シリコンにより構成される基体部104、204を有する。基体部104、204の厚みは、3μm程度である。図12のグラフG12aを参照すると、波長が950nmである場合に、基体部104、204の深さが3μmの位置において、光強度は91%に減衰する。換言すると、基体部104、204は、9%の光を吸収する。波長が850nmである場合に、基体部104、204の深さが3μmの位置において、光強度は76%に減衰する。換言すると、基体部104、204は、24%の光を吸収する。吸収されなかった光は、基体部104、204を通過する。固体撮像装置100、200の裏面である光入力面104a、204aには、マイクロレンズおよび反射防止膜などが形成されている。反射防止膜によれば、入射光L1の反射が抑制されている。
例えば、光入力面における反射率が0%と仮定する。さらに、シリコンの内部で吸収された光によって生成された電子の100%が信号として活用されると仮定する。換言すると、内部量子効率が外部量子効率と同じであると仮定する。これらの仮定は、感度を高めに見積もることになる。これらの仮定に基づけば、量子効率(信号電子数/入射した光子数)は、光の波長が950nmである場合には、9%である。また、光の波長が850nmである場合には、24%である。
また、非特許文献1に開示された技術は、入射光を散乱させてシリコン厚を実質的に厚くさせるものである。この技術によれば、非特許文献1の図9および第4頁右欄下方に記載があるとおり、量子効率は波長950nmの場合16%であり、850nmの場合33%に改善されている。非特許文献1の図9および54ページ右蘭下方の段落に記載のように、入射光L1の波長が950nmである場合の量子効率は16%である。また、入射光L1の波長が850nmである場合の量子効率は33%である。
さらに、参考文献1、2に記載された技術を用いたイメージセンサの量子効率を検討する。また、固体撮像装置の諸元は、以下のとおりに仮定する。
<参考文献1>特開2011-187857号公報。
<参考文献2>特開2008-306154号公報。
シリコンの膜厚:3μm。
複合膜の合計膜厚:54nm(シリコン酸化膜(1nm)、ALDで形成した酸化ハフニウム膜(3nm)、PVD(スパッタ)で形成された酸化ハフニウム膜(50nm))
エバネセント光L2aの強度が1/eに減衰する深さ:45nm(波長950nm)、36nm(波長850nm)。
また、エバネセント光は、酸化ハフニウム膜とシリコン酸化膜とで減衰する。さらに、シリコン膜に到達するエバネセント光の比率は、入射光の波長が950nmの場合には23%である。また、入射光の波長が850nmの場合には30%である。そして、シリコンの膜厚が3μmである。エバネセント光は、シリコンにおいてすべて吸収されるとする。入射面における反射は、無視すると仮定する。
上記の諸元および仮定によれば、入射光の波長が950nmである場合のエバネセント光に基づく量子効率は、23%である。また、入射光L1の波長が850nmである場合のエバネセント光に基づく量子効率は、30%である。遠方場の光は、酸化膜および酸化ハフニウムでは吸収されない。その結果、遠方場の光は、シリコン膜に到達する。そして、遠方場の光は、厚さが3μmであるシリコン膜に一部吸収される。この構成において、入射光の波長が950nmの場合の遠方場の量子効率は9%である。また、入射光の波長が850nmの場合の遠方場の量子効率は24%である。エバネセント光と遠方場の光の強度比率は3.5:1である。この比率に基づいて固体撮像装置100、200の量子効率を総合的に評価すると、入射光の波長が950nmの場合の総合量子効率は20%である。入射光の波長が850nmの場合の総合量子効率は29%である。
一方、本実施形態の固体撮像装置1は、エバネセント光L2aを減衰させる絶縁膜を有しない。エバネセント光L2aに基づく量子効率を検討する。入射光L1の波長が950nmである場合に発生するエバネセント光L2aの量子効率は100%である。また、入射光L1の波長が850nmである場合に発生するエバネセント光L2aの量子効率も100%である。さらに、遠方場の光に基づく量子効率を検討する。入射光L1の波長が950nmである場合に発生する遠方場の光の量子効率は9%である。また、入射光L1の波長が850nmである場合に発生する遠方場の光の量子効率は24%である。また、エバネセント光L2aと遠方場の光L1aの強度比率は3.5:1である。この比率に基づいて、固体撮像装置1の量子効率を総合的に評価すると、入射光L1の波長が950nmである場合の総合量子効率は80%である。また、入射光L1の波長が850nmである場合の総合量子効率は83%である。従って、非特許文献1~4などに記載された技術を採用する固体撮像装置と比べると、量子効率が大幅に改善される。
参考文献3は、シリコンに対して直接に設けられた金属膜を有するイメージセンサを開示する。参考文献3が開示する技術は、ショットキバリア型赤外線CCDイメージセンサである。
<参考文献3>木股雅章、上野宗孝、「PtSiショットキバリア赤外線イメージセンサ」、日本赤外線学会誌、第14巻、第2号、pp.17-21、日本赤外線学会、2005年。
参考文献3のFig.2(b)には、ショットキバリア型赤外線CCDイメージセンサの画素の断面図が示されている。以下、ショットキバリア型赤外線CCDイメージセンサを単に「SBIRCCD」と呼ぶ。SBIRCCDは、ショットキバリアを利用した検出部と、トランスファゲートおよびCCDにより構成される読み出し部と、を有する。
検出部は、ショットキバリアを有する。ショットキバリアは、P型の基板と、白金シリサイド(PtSi)からなる膜と、を有する。白金シリサイドの膜厚は、5nm程度である。ショットキバリアの障壁高さは0.2eVである。ショットキバリアの障壁高さが小さい。したがって、検出部は、室温ではオーミックの特性を示す。すなわち、暗電流が大きい。
そこで、暗電流を低減するために、液体窒素を用いてSBIRCCDを冷却する。具体的には、SBIRCCDを-196℃程度にまで冷却する。その結果、暗電流が低減するので、ショットキ特性が確認できる。
SBIRCCDは、裏面側から光を受ける。SBIRCCDが受ける光は、波長が3μm以上5μm以下の中間赤外光である。中間赤外光のエネルギは、シリコンのバンドギャップ1.1eVより小さい。従って、中間赤外光は、シリコンでは吸収されない。中間赤外光の一部は、白金シリサイド膜において吸収される。その結果、白金シリサイド膜が奏する光電効果により、エネルギの高い電子および正孔が発生する。0.2eV以上のエネルギを持つ正孔は、ショットキバリアを越えてシリコンに注入される。つまり、正孔は信号となる。
参考文献3のFig.1には、ポテンシャル図が示されている。ショットキバリア型のイメージセンサは、ショットキバリア接合を実現するために、ピンニング領域を設けることができない。つまり、ピンニング領域を利用した暗電流の低減を行うことができない。白金シリサイド膜は、赤外光の入射側とは反対側のシリコン表面に形成されている。白金シリサイド膜とP型のシリコンからなる基板との間には、逆バイアス電圧が印加されている。また、SBIRCCDは、光変換層に対応する構成を有しない。つまり、SBIRCCDは、プラズモン効果を利用できない。
<第2実施形態>
図17は、上記実施形態(以下「第1実施形態」と称する。)の光変換部27及び光電変換部26の主要部を拡大して示す。第1実施形態の光変換部27は、複数のリッジ27aを含んでいる。当該リッジ27aは、光入力面26aに接するように設けられていた。つまり、リッジ27aのリッジ底面27a1は、光入力面26aに直接に接する。換言すると、リッジ底面27a1は、ピンニング領域36の表面に直接に接する。このような光変換部27の構成では、光変換部27において生じたエバネセント光は、リッジ底面27a1を挟むエッジ27a2に発生する。そして、エバネセント光は、エッジ27a2の近傍に位置するピンニング領域36に直接に入射する。つまり、光変換部27は光電変換部26に対して絶縁層といった層を介することなく直接に接している。その結果、光変換部27から光電変換部26へ至るまでのエバネセント光の減衰が抑制される。従って、受光感度を高めることができる。
画素8に入射光L1が入射する場合を想定する。入射光L1の入射方向は、複数のリッジ27aが互いに離間する方向と直交する。入射光L1は電磁波である。したがって、入射光L1は電場E1を生じさせる。この電場E1の向きは、入射光L1の進む方向に対して直交する。つまり、電場E1の向きは、複数のリッジ27aが互いに離間する方向と一致する。そうすると、金属であるリッジ27aの内部では、電場E1によって自由電子の偏りが生じる。より詳細には、自由電子は、リッジ側面27a3に集まる。その結果、リッジ27aの周囲には、一方のリッジ側面27a3から他方のリッジ側面27a3に向かう強い電場E2が発生する。
表面プラズモンは、いわゆる電場増強効果を有している。この電場増強効果は、電場E2の振動方向に強く依存する。つまり、電場E2の振動方向に並ぶリッジ側面27a3の近傍には、強い電場E2が生じている。その結果、表面プラズモンは、この電場E2によって増強される。つまり、表面プラズモンが生じる領域に重複する電場E2は、表面プラズモンを増強する。このような電場E2の一部を増強電場E2aと称する。図17に示す第1実施形態の画素8では、表面プラズモンが生じる位置はエッジ27a2の近傍である。そうすると、増強電場E2aは、エッジ27a2の近傍に生じる。
発明者らは、表面プラズモンが生じる位置、電場E2が生じる位置、及びエバネセント光を吸収させるピンニング領域36の位置の関係に注目した。表面プラズモンが増強される領域に重複するようにシリコン感度層(ピンニング領域36を含む)を配置すれば、増強された表面プラズモンによるエバネセント光を効率よく吸収できる。つまり、表面プラズモンが生じる位置と電場E2が生じる位置との関係を電場増強効果がより好適に得られるような位置関係とした。さらに、増強された表面プラズモンによるエバネセント光を効率よく吸収させる位置にピンニング領域36を配置した。
以下、図18を参照しながら第2実施形態の固体撮像装置1Cの画素8Cが有する光変換部27Cおよび光電変換部26Cの構造について詳細に説明する。なお、第2実施形態の固体撮像装置1Cの画素8Cが有するその他の構成は、第1実施形態の固体撮像装置1の画素8と同じである。したがって、それらについての詳細な説明は省略する。
図18は、第2実施形態の固体撮像装置1Cの画素8Cの主要部を拡大して示す。図18に示すように、固体撮像装置1Cの画素8Cは、光変換部27Cと光電変換部26Cとを備えている。そして、第1実施形態の固体撮像装置1の画素8と同様に、光変換部27Cは光電変換部26Cに対して直接に接している。一方、第2実施形態の光変換部27Cは、光電変換部26Cに埋め込まれている。
より詳細には、光電変換部26Cは、溝51(凹部)を含む。溝51は、光電変換部26Cを構成する基板において、入射光L1を受ける主面50aに設けられている。溝51は、主面50aに開口している。溝51は、一対の溝壁面52と、溝底面53と、に囲まれている。そして、主面50a、溝壁面52及び溝底面53から所定の深さまでは、不純物濃度が高いピンニング領域36(第2の領域)が形成されている。従って、溝51は、ピンニング領域36の表面である溝壁面52と溝底面53とに囲まれている。
この溝51には、金属ナノ構造である金属層61(金属部)が形成されている。複数の金属層61は、光変換部27Cを構成する。つまり、金属層61は、リッジ27aに相当する。金属層61の側面62は、溝壁面52に接する。金属層61の底面63は、溝底面53に接する。金属層61の上面64は、主面50aと面一である。つまり、金属層61は、上面64を除き、3つの面が囲まれている。
ひとつの溝51の内部にひとつの金属層61が設けられるので、ある溝51と当該溝51に隣接する別の溝51との間隔は、金属層61の間隔と一致する。溝51の間隔は、例えば、ピンニング領域36の厚さよりも大きい。そうすると、入射方向と直交する方向に沿って、金属層61と光電変換部26Cとが交互に配置されているといえる。また、入射方向と直交する方向に沿って、金属層61がピンニング領域36に挟まれているともいえる。
このような構成によれば、光変換部27Cは、金属層61の側面62からエバネセント光が発生する。この側面62の近傍には、電場E2が生じている。従って、表面プラズモンによってエバネセント光が生じる領域と、当該表面プラズモンを増強する増強電場E2aとが重複する。その結果、増強された表面プラズモンに応じたエバネセント光が発生する。そして、エバネセント光は、側面62に接するピンニング領域36に入射する。第2実施形態においては、光電変換部26Cの光入力面とは、溝51の溝壁面52である。
<作用効果>
要するに、第2実施形態の固体撮像装置1Cが備える画素8Cの光変換部27Cは、入射光L1を受ける受光面である上面64を含むと共に、上面64が光電変換部26Cから露出するように光電変換部26Cに埋め込まれている。この構成によれば、光変換部27Cの底面63は光電変換部26Cと接触する。さらに、光変換部27Cの側面62も光電変換部26Cと接触する。そして、側面62の近傍では、増強電場E2aによって表面プラズモンが増強される。従って、増強電場E2aによって増強されたエバネセント光をさらに効率よく吸収することが可能になる。その結果、光電変換効率がさらに高まる。したがって、さらに良好な画像を得ることができる。
なお、図18等において示す第2実施形態では、光変換部27Cは、ストライプ形状の金属層61によって構成されるものとして説明した。しかし、光変換部27Cを構成する金属ナノ構造は、ストライプ形状の金属層61に限定されない。例えば、光変換部27は、格子状に配置された複数の直方体又は立方体である金属層により構成されてもよい。光変換部27は、格子状に配置された複数の円柱である金属層により構成されてもよい。つまり、入射光L1に起因する表面プラズモンによってエバネセント光を発生可能な種々の金属ナノ構造を適宜採用してよい。
<固体撮像装置の製造方法>
次に、図19及び図20を参照しながら、第2実施形態の固体撮像装置1Cを製造する方法について説明する。
図19(a)に示すように、基板50を準備する(工程ST1)。この工程ST1は、電荷蓄積部33a、フォトダイオードピンニング層33b、トランジスタ、および配線18を形成する工程を含んでよい。また、工程ST1は、センサ基板12を支持基板11に接合する工程を含んでもよい。工程ST1は、センサ基板12の厚みを調整する工程を含んでもよい。
次に、図19(b)に示すように、溝51を形成する(工程ST2:第1工程)。溝51の形成には、例えば、エッチング法を用いてよい。
次に、図19(c)に示すように、ピンニング領域36を形成する(工程ST3:第2工程)。ピンニング領域36の形成には、例えば、イオン注入法を用いてよい。イオン注入エネルギおよびイオン注入量といった具体的な条件は、第1実施形態の固体撮像装置1を製造する方法と同等としてよい。この工程ST3において不純物イオンの注入方向は、互いに異なる複数の方向(矢印B1、B2)を含む。例えば、主面50a及び溝底面53を含むピンニング領域36を形成する場合には、不純物イオンの注入方向を、主面50aの法線方向に設定する(矢印B1参照)。また、溝51の溝壁面52を含むピンニング領域36を形成する場合には、不純物イオンの注入方向を、主面50aの法線に対して傾いた斜め方向に設定する(矢印B2参照)。イオン注入処理が完了したのちに、レーザアニールを行う。このレーザアニールによって、イオン注入されたボロンが活性化する。このレーザアニールの具体的な条件も、第1実施形態の固体撮像装置1を製造する方法と同等としてよい。
次に、金属層61を形成する(工程ST4、ST5:第3工程)。まず、図20(a)に示すように金属層61となる中間形成層66を形成する(工程ST4)。中間形成層66の成膜には、メッキ、蒸着及びスパッタといった方法を用いてよい。次に、図20(b)に示すように、溝51の外部に形成された中間形成層66の一部を除去する(工程ST5)。この除去には、ケミカル・メカニカル・ポリシング(chemical mechanical polishing: CMP)を用いてよい。その結果、中間形成層66のうち溝51の部分のみが残り、当該部分が金属層61となる。
以上の工程ST1~ST5によって、固体撮像装置1Cが得られる。
<第3実施形態>
発明者らは、さらに別の側面から、固体撮像装置が備える画素部の光吸収効率を高める構造を見出した。
上述したように、金属層61の側面62からエバネセント光が放出されるならば、金属層61の数を増やすほど、エバネセント光もより多く放出されるように思われる。しかし、金属層61の数を増やすことは、金属層61の間隔(周期)に影響を及ぼす。金属層61の周期は、入射光L1の波長と表面プラズモンの共鳴条件とに応じて決まる。そうすると、金属層61の数を増やして金属層61の周期が変わってしまうと、表面プラズモンの共鳴条件を満たさなくなる場合があり得る。
一方、入射光L1の見かけの波長である実効的な波長は、入射光L1が通る媒体の屈折率の影響を受ける。いま、媒体の屈折率をnとし、入射光L1の波長をλとすれば、媒質中における入射光L1の実効的な波長は、λ/nである。そして、入射光L1の波長と金属層61の周期とは共鳴条件を満たす。つまり、媒質中における入射光L1の実効的な波長(λ/n)と、媒質に覆われた金属層61の周期(p)とが共鳴条件を満たせばよい。そうすると、金属層61の周期(p)と入射光L1の波長(λ)とを所定の値に設定した場合には、実効的な波長(λ/n)と金属層61の周期(p)とが共鳴条件を満たすように、媒質の屈折率(n)を設定すればよい。つまり、金属層61の周囲における入射光L1の媒質の屈折率(n)を調整することにより、表面プラズモンの共鳴条件を満たすと共に金属層61の周期(p)を狭くして光吸収量を増やすことができる。
そこで、図21に示すように、第3実施形態の固体撮像装置1Dの画素8Dは、光変換部27Cを覆う高誘電体膜71(被覆部)を有する。この高誘電体膜71は、上述した工程ST5の後に第4工程(ST6)として成形してもよい。屈折率は、材料の誘電率と関係を有する。屈折率の大きい材料は、誘電率も高い。つまり、高誘電体膜71の屈折率は、空気の屈折率よりも大きい。高誘電体膜71の材料として、例えば、酸化アルミニウム(AlO:10)、酸化ハフニウム(HfO:19)、酸化ジルコニウム(ZrO:12)、酸化タンタル(TaO:22)などが挙げられる。なお、かっこの内部に記載した数値は、各材料におけるおおよその比誘電率である。また、酸化シリコン(SiO:3.9)、窒化シリコン(SiN)、アクリル系の有機物などの材料も高誘電体膜71の材料として採用することができる。つまり、高誘電体膜71の材料は、真空や空気よりも誘電率が高いものを採用してよい。
<第3実施形態の変形例>
上記の作用効果を得るにあたっては、光変換部27Cを埋める高誘電体膜71の屈折率と空気又は真空の屈折率との関係が重要である。一方、上記の作用効果を得るにあたっては、高誘電体膜71の屈折率と、光電変換部26(ピンニング領域36)の屈折率と、の関係については、特に制限はない。例えば、高誘電体膜71の屈折率は、光電変換部26の屈折率よりも大きい場合もあり得るし、小さい場合もあり得る。そして、高誘電体膜71の屈折率は、光電変換部26の屈折率と等しい場合もあり得る。高誘電体膜71の屈折率が光電変換部26の屈折率と等しい場合には、例えば、図22(a)に示すような構造を有する固体撮像装置1Eの画素8Eにおいてさらに有効な効果を奏する。
図22(a)に示すように、固体撮像装置1Eの画素8Eは、第1実施形態の光変換部27及び光電変換部26と同様の構造を有する。さらに、固体撮像装置1Eの画素8Eは、光変換部27を埋め込む高誘電体膜71Eを有する。高誘電体膜71Eは、互いに隣接するリッジ27aの間を埋め込んでいる。さらに、高誘電体膜71は、リッジ上面27a4も覆っている。このような高誘電体膜71Eの厚さは、金属層61の高さよりも厚い。従って、高誘電体膜71Eは、平坦な受光面71Eaを有する。
上述したように、屈折率(n)は、入射光L1の実効的な波長(λ/n)に影響する。リッジ上面27a4の近傍における材料の屈折率と、リッジ底面27a1の近傍における材料の屈折率とに差異がある場合を仮定する。この仮定の下では、リッジ上面27a4の近傍では共鳴条件を満たす。しかし、リッジ底面27a1の近傍では材料の屈折率の差異に起因して実効的な波長が変わる。したがって、共鳴条件を満たさない場合が生じ得る。
一方、図22(a)に示す構造では、リッジ上面27a4の近傍における材料の屈折率と、リッジ底面27a1の近傍における材料の屈折率との差異が小さくなる。その結果、リッジ27aの周囲において、共鳴条件からのずれが抑制されるので、光変換部27において効率よくエバネセント光を発生させることができる。
なお、高誘電体膜は、図22(a)に示す構成に限定されない。つまり、高誘電体膜は、表面プラズモンが生じるリッジ27aの近傍に配置されていればよい。例えば、図22(b)には、図22(a)に示す高誘電体膜とは異なる構成を有する高誘電体膜71Fを備える固体撮像装置1Fを示す。高誘電体膜71Fは、ピンニング領域36の主面36aとリッジ上面27a4とリッジ側面27a3とを覆う。このような高誘電体膜71Fの厚さは、リッジ27aの周期よりも薄い。また、高誘電体膜71Fの厚さは、リッジ27aの高さよりも薄い。この場合には、互いに隣接するリッジ27aの間は、高誘電体膜71Fによって埋め込まれない。従って、画素8Fの受光面は、凹凸形状を有する。
さらに、高誘電体膜を有する固体撮像装置は、さらにマイクロレンズを備えてもよい。図23(a)に示す固体撮像装置1Gの画素8Gは、図22(a)に示す固体撮像装置1Eにさらに、マイクロレンズ72を設けたものである。マイクロレンズ72は、例えば、リッジ27aごとに配置されてもよい。図23(b)に示す固体撮像装置1Hの画素8Hは、図22(b)に示す固体撮像装置1Fにさらに、マイクロレンズ72を設けたものである。固体撮像装置1Hの場合には、高誘電体膜71Fを埋め込み、平坦な面を形成する平坦化膜73をさらに有する。マイクロレンズ72は、平坦化膜73の受光面に設けられる。平坦化膜73の材料は、例えば、ガラスおよび酸化シリコン(SiO)を採用してよい。さらに、図24に示す固体撮像装置1Kの画素8Kは、図21に示す固体撮像装置1Dにさらに、マイクロレンズ72を設けたものである。これらのマイクロレンズ72は画素ごとに設けてもよい。
ところで、上記の固体撮像装置1が備える光変換部27は、金属であるリッジ27aを備えていた。リッジ27aの全体は、金属材料によって形成されていた。例えば、図25に示す変形例3の固体撮像装置1Pの画素8Pのように、光変換部27Pを構成するリッジ81aは、互いに異なる材料からなる層が積層された構造を採用してもよい。
光変換部27Pを構成するリッジ81aは、実施形態のリッジ27aと同様の外形形状を有する。具体的には、リッジ81aの幅は、実施形態のリッジ27aと同じである。また、互いに隣接するリッジ81a同士の間隔も、実施形態のリッジ27aと同じである。一方、変形例3のリッジ81aは、入射光L1の進行方向に金属材料と誘電体材料とが積層された構造を有する。このような積層構造は、いわゆるMIM(metal-insulator-metal:金属-絶縁体-金属)構造と呼ばれる。より詳細には、リッジ81aは、第1金属層82と、誘電体層83と、第2金属層84と、を有する。第2金属層84は、光入力面26aに接する。つまり、第2金属層84の下面は、リッジ底面81a1である。第2金属層84の上面には、誘電体層83の下面が接する。誘電体層83の上面には、第1金属層82の下面が接する。なお、リッジ81aのリッジ側面81a2は、第1金属層82、誘電体層83及び第2金属層84の側面を含む。例えば、第1金属層82の厚みは、第2金属層84の厚みと同じであってもよい。また、第1金属層82及び第2金属層84の厚みは、誘電体層83の厚みより薄くてもよい。
このような積層構造であるリッジ81aは、リッジ81aのうちプラズモン振動に寄与しない中央部分が誘電体層83によって形成されている。その結果、リッジ81aにおいて吸収ロスを生じさせる金属材料が物理的に占める領域が小さくなる。換言すると、リッジ81aにおいて金属材料によって生じる吸収ロスが低減される。さらに、表面プラズモン共鳴による増強電場E2aが光電変換部26に形成される。その結果、シリコン感度層である光電変換部26における吸収効率をさらに高めることができる。
また、図26に示すように、MIM構造を採用するリッジ81aは、図18に示される固体撮像装置1Cが備える光変換部27Cのように、光電変換部26Cに埋め込まれてもよい。つまり、図26に示す変形例4の固体撮像装置1Qは、画素8Qを有しており、当該画素8Qは、光変換部27Qを含んでいる。光変換部27Qは、リッジ81aにより構成されている。
1,1A,1B,1C,1E,1F,1G,1H,1P,1Q,100,200…固体撮像装置、2…画素部、3…画素制御部、4…信号処理部、8,8C,8E,8F,8G…画素、22…隔離壁、26,26C…光電変換部、26a,104a,204a…光入力面、27,27B…光変換部、29…第1の領域、31…第2の領域、L1…入射光、L2…被吸収光、L2a…エバネセント光。

Claims (26)

  1. 光入力面から受けた被吸収光に応じた信号電圧を発生する光電変換部と、
    入射光を受けて前記被吸収光を生じさせる光変換部と、を備え、
    前記光電変換部は、第1の不純物濃度を有する第1の領域と、前記第1の不純物濃度よりも大きい第2の不純物濃度を有する第2の領域と、を有し、
    前記第2の領域は、前記光入力面を含むと共に前記光変換部に直接に接触し、
    前記光変換部は、前記入射光を受けて、エバネセント光を含む前記被吸収光を発生する、画素。
  2. 前記第2の領域における前記第2の不純物濃度は、前記第1の領域に近づくに従って減少する、請求項1に記載の画素。
  3. 前記第2の領域は、ドーズ量を1×1014cm-2以上3×1015cm-2以下とするイオン注入によって形成される、請求項1又は2に記載の画素。
  4. 前記第2の領域は、注入エネルギを0.2keV以上1keV以下とするイオン注入によって形成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の画素。
  5. 二次元状に配置された複数の画素、および、互いに隣接し合う前記画素の間に設けられた隔離壁を有する画素部と、
    前記画素部の動作を制御する制御信号を発生する画素制御部と、
    前記画素部が発生する信号電圧を受ける信号処理部と、を備え、
    前記画素は、
    光入力面から受けた被吸収光に応じた信号電圧を発生する光電変換部と、
    入射光を受けて前記被吸収光を生じさせるように、前記光電変換部の前記光入力面上に設けられた光変換部と、を有し、
    前記光電変換部は、第1の不純物濃度を有する第1の領域と、前記第1の不純物濃度よりも大きい第2の不純物濃度を有する第2の領域と、を有し、
    前記第2の領域は、前記光入力面を含むと共に前記光変換部に直接に接触し、
    前記光変換部は、前記入射光を受けて、エバネセント光を含む前記被吸収光を発生する、固体撮像装置。
  6. 互いに隣接し合う一方の前記光変換部は、他方の前記光変換部から離間し、
    前記光変換部の辺部は、前記光電変換部の前記光入力面上に形成されている、請求項5に記載の固体撮像装置。
  7. 少なくとも前記画素部は、センサ基板に設けられ、
    前記センサ基板は、前記第2の領域に所定の電位を与える電圧印加部を有する、請求項5または6に記載の固体撮像装置。
  8. 前記電圧印加部は、ダイシングによって形成された前記センサ基板のダイシング面と、前記ダイシング面に電圧を与える導電部と、を含み、
    前記ダイシング面は、少なくとも前記第2の領域の端面と、前記導電部の端面と、を含む、請求項7に記載の固体撮像装置。
  9. 前記光電変換部は、前記被吸収光を吸収することにより信号キャリアとしての電子を発生し、
    前記第2の領域は、負の電位を受ける、請求項5~8のいずれか一項に記載の固体撮像装置。
  10. 前記光電変換部は、前記被吸収光を吸収することにより信号キャリアとしての正孔を発生し、
    前記第2の領域は、正の電位を受ける、請求項5~8のいずれか一項に記載の固体撮像装置。
  11. 前記第2の領域は、前記光変換部に対して電気的に接続され、
    第1の前記画素が有する第1の前記光変換部は、第1の前記画素に隣接する第2の前記画素が有する第2の前記光変換部に対して電気的に接続されている、請求項5~10のいずれか一項に記載の固体撮像装置。
  12. 前記光変換部は、前記第2の領域の主面から突出する複数の凸部を含み、
    前記複数の凸部は、互いに電気的に接続されている、請求項11に記載の固体撮像装置。
  13. 受光領域において、二次元状に配置された複数の画素を備え、
    前記画素は、
    光入力面から受けた被吸収光に応じた信号電圧を発生する光電変換部と、
    入射光を受けて前記被吸収光を生じさせるように、前記光電変換部の前記光入力面上に設けられた光変換部と、を有し、
    前記光電変換部は、前記光変換部に直接に接触し、
    前記光変換部は、所定の周期に従って配置された複数の凸部を含み、前記入射光を受けてエバネセント光を含む前記被吸収光を発生し、
    前記所定の周期は、前記エバネセント光の発生条件と前記入射光の方向とに基づいて設定されている、固体撮像装置。
  14. 前記入射光の方向が前記光変換部の主面の法線方向である場合には、前記所定の周期(L)であり、
    前記入射光の方向が前記光変換部の主面の法線方向に対して角度(θ)である場合には、前記所定の周期(LS)は、LS=L/cosθを満たす、請求項13に記載の固体撮像装置。
  15. 前記受光領域の辺部に配置された前記画素の前記所定の周期は、前記受光領域の中央部に配置された前記画素の前記所定の周期より大きい、請求項13または14に記載の固体撮像装置。
  16. 前記光変換部は、前記光電変換部の前記光入力面上に設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の画素。
  17. 前記光変換部は、前記入射光を受ける受光面を含むと共に、前記受光面が前記光電変換部から露出するように前記光電変換部に埋め込まれている、請求項1~4のいずれか一項に記載の画素。
  18. 前記光電変換部および前記光変換部を覆う被覆部をさらに備え、
    前記被覆部の誘電率は、空気の誘電率よりも高い、請求項16又は17に記載の画素。
  19. 前記光変換部は、互いに離間して形成された複数の凸部を含み、
    前記被覆部に覆われた前記光変換部における前記複数の凸部の見かけの周期は、前記被覆部の誘電率及び前記複数の凸部の実周期により定まり、
    前記見かけの周期は、前記入射光によりエバネセント光を含む前記被吸収光を発生する共鳴条件を満たす、請求項18に記載の画素。
  20. 前記被覆部の誘電率は、前記光電変換部の前記第2の領域の誘電率と等しい、請求項19に記載の画素。
  21. 前記被覆部は、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タンタルのいずれかにより形成される、請求項18~20のいずれか一項に記載の画素。
  22. 前記被覆部上に配置されたマイクロレンズをさらに備える、請求項18~21のいずれか一項に記載の画素。
  23. 光入力面から受けた被吸収光に応じた信号電圧を発生する光電変換部と、入射光を受けて前記被吸収光を生じさせる光変換部と、を備え、前記光電変換部は、第1の不純物濃度を有する第1の領域と、前記第1の不純物濃度よりも大きい第2の不純物濃度を有する第2の領域と、を有する画素の製造方法であって、
    前記光変換部を前記光電変換部に埋め込むための複数の凹部を設ける第1工程と、
    少なくとも前記凹部の壁面に対して前記第2の領域を形成するための処理を行う第2工程と、
    前記凹部に前記光変換部を構成する複数の金属部を設ける第3工程と、有する画素の製造方法。
  24. 前記第3工程の後に、前記光電変換部および前記光変換部を覆うように、空気の誘電率よりも高い誘電率を有する被覆部を設ける第4工程をさらに有する、請求項23に記載の画素の製造方法。
  25. 前記光変換部は、前記入射光の方向に沿って積層された第1金属層、誘電体層及び第2金属層を含み、
    前記第2金属層は、前記光入力面上に設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の画素。
  26. 前記光変換部は、前記入射光を受ける受光面を含むと共に、前記受光面が前記光電変換部から露出するように前記光電変換部に埋め込まれ、
    前記光変換部は、前記入射光の方向に沿って積層された第1金属層、誘電体層及び第2金属層を含み、
    前記第1金属層は、前記受光面を構成する、請求項1~4のいずれか一項に記載の画素。
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