JP7493205B2 - 牡蠣類育成器 - Google Patents

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Description

本発明は、牡蠣類育成器に関する。
牡蠣類の養殖方法としては、複数の牡蠣類の稚貝が収容された籠体を海中に吊下げ支持したり、ある程度成長した牡蠣の殻の頭頂部が固定された支持糸を海中に吊下げ支持したりすること(いわゆる耳吊り式)により、牡蠣類を1個単位で個別に養殖するシングルシード式養殖が従来公知である。
牡蠣類を支持糸側に固定するシングルシード式養殖を行うにあたり、ある程度の大きさまで成長させた稚貝をロープ体に盛られた所定量の水中セメントに埋め込むようにして接着し、該水中セメントに埋め込み固定された状態の稚貝を海中に垂下して養殖を行う特許文献1に記載の牡蠣類育成器と、牡蠣類の育成方法とが従来公知である。
特許文献1によれば、牡蠣類の成長方向を隣接する稚貝に干渉しないように稚貝を支持糸側に固定することができるため、殻の形状が整った牡蠣類をより大きく成長させることできるものであるが、稚貝をロープ体側の水中セメントに接着させた後は稚貝が海中で露出した状態となるため、魚類による食害を受けやすいという課題がある。
また、従来のシングルシード方式において、牡蠣類の頭頂部にV字状の成形器を設けることによって、成長後の牡蠣類の殻の形状がハート型になるようにコントロール可能に構成した特許文献2に記載の牡蠣類育成器が従来公知である。
特許文献2によれば、成長後の牡蠣の殻の一端側の形状をコントロールすることができる一方で、牡蠣の殻の全体形状や、殻厚、殻幅を調整したり均一にすることは困難であるという課題があった。
特開2014-18099号公報 特許第5755457号公報
本発明は、牡蠣類を稚貝から出荷可能な状態まで育成するにあたり、稚貝の食害を効率的に防止することができ、殻の形状をある程度コントロールして全体形状がきれいに整った牡蠣類を大きく育成することのできる牡蠣類育成器を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本願発明は第1に、屈曲変形可能な合成樹脂製のシート体により形成され、内周面に牡蠣類の稚貝を定着させる定着面を形成した定着体を有し、前記定着体は、シート体の一方の端部である基端側を閉じるように屈曲させて左右一対の立上部とするとともに、閉じられたシート体の屈曲形状を保持する固定部をシート体の基端側に設け、さらにシート体は他方側を幅広に開放した開放部とし、前記立上部の内面で定着させた稚貝の左右両側外周をカバーする収容部をし、前記定着面に定着させた稚貝を前記開放部に向って成長するように育成方向及び形状を誘導する構造としたことを特徴としている。
第2に、前記定着面は、平面視で開放側に向かって幅広となるように形成されたことを特徴としている。
第3に、前記定着体は、フレキシブルに変形可能な合成樹脂製のシートにより形成されたことを特徴としている。
第4に、前記シート体は、表面が平滑な部材によって形成されたことを特徴としている。
第5に、前記シート体は、ディンプル状又はメッシュ状に形成されることにより、表面に凹凸が形成されたことを特徴としている。
第6に、前記シート体は、前記シートの縁部同士を固定する固定部として、前記シートの縁部側に形成された一対の固定孔が形成されたことを特徴としている。
第7に、前記定着体は、接着剤を用いて稚貝を定着させたことを特徴としている。
第8に、前記定着体を海中に支持する支持体を備え、前記支持体は、複数の前記定着体を海中に吊下げ支持するロープ体であって、前記定着体を前記ロープ体に沿って複数取付固定することによって、前記定着体を海中に吊下げ支持可能に構成された
ことを特徴としている。
第9に、前記定着体を海中に支持する支持体を備え、前記支持体は、複数の前記定着体が収容可能な籠体であって、前記定着体が収容された状態で海中に吊下げ支持可能に構成されたことを特徴としている。
前記定着体は、一端側が開放されて単一の稚貝を収容する立体的な収容部を形成したものを用いたことにより、特に育成初期で稚貝の周囲が前記収容部にカバーされるため、魚類からの食害を軽減することができる。また、前記収容部によって稚貝が成長する方向を制御して隣接する牡蠣と干渉することを防止できるため、稚貝を形の整った大きい牡蠣に成長させることができるとともに、収容部の形状を調整することによって成長後の牡蠣類の形状をある程度コントロールすることができる。
また、前記定着面は、平面視で開放側に向かって幅広となるように形成されたものによれば、前記収容部内に定着させた牡蠣類を開放側に向けて大きく且つきれいに成長させることができる。
また、前記定着体は、フレキシブルに変形可能な合成樹脂製のシートにより形成されたものによれば、再利用可能となるため前記定着体のコストをより低く抑えることができる。
また、前記シート体は、表面が平滑な部材によって形成されたものによれば、牡蠣以外の付着物が容易に除去できる。
また、前記シート体は、ディンプル状又はメッシュ状に形成されることにより、表面に凹凸が形成されたものによれば、牡蠣類の稚貝を前記定着面側により定着させ易くすることができる。
また、前記シート体は、前記シートの縁部同士を固定する固定部として、前記シートの縁部側に形成された一対の固定孔が形成されたものによれば、簡易な構成で前記定着部に収容部を形成することができる。
また、前記定着体は、接着剤を用いて稚貝を定着させたものによれば、牡蠣類の稚貝を前記定着体に定着させる作業をスムーズに行うことができる。
また、前記定着体を海中に支持する支持体を備え、前記定着体は、前記支持体側に取付けるための取付孔が形成され、前記支持体は、複数の前記定着体を海中に吊下げ支持するロープ体を有し、前記定着体を前記ロープ体に沿って複数取付固定することによって、前記定着体を海中に吊下げ支持可能に構成されたもの(耳吊り式)によれば、稚貝が定着された複数の前記定着体を効率良く海中で吊下げ支持することができる。
また、前記定着体を海中に支持する支持体を備え、前記支持体は、複数の前記定着体が収容可能な籠体であって、前記定着体が収容された状態で海中に吊下げ支持可能に構成されたものによれば、牡蠣類の育成初期段階で前記定着体に設けた稚貝の食害を防止することができる。
本発明を適用した牡蠣類育成器の要部斜視図である。 (A)は、定着体の展開図であり、(B)は、定着体の正面図である。 支持籠を示した図である。 支持籠の使用例を示した図である。 牡蠣類の育成方法を示したフロー図である。 実施例における各工程の岩牡蠣の成長過程を示した写真である。 実施例における出荷可能な大きさまで育成した岩牡蠣を示した写真である。 (A)は、試験区によって育成された実施例における岩牡蠣を定着体から取外した状態を示した写真であり、(B)は、対照区によって育成された岩牡蠣を牡蠣殻やホタテ殻から取外した状態を示した写真である。 (A)は、実施例における岩牡蠣の試験区と対照区における殻高の比較図であり、(B)は、殻重量の比較図であり、(C)は、軟体部重量の比較図である。
図1は、本発明を適用した牡蠣類育成器の要部斜視図であり、図2(A)は、定着体の展開図であり、図2(B)は、定着体の正面図である。図示される牡蠣類育成器は、稚貝を定着させる立体的な収容部3が形成された定着体1と、複数の定着体1を海中で吊下げ支持するための支持体2,16とを備えている。
前記支持体は、複数の定着体1を取付固定する紐状(ロープ状、糸状)に形成された樹脂製の支持糸2と、複数の定着体1を収容した状態で海中に吊下げ支持される支持籠(籠体)16とを有し、前記支持糸2は、その一端側を筏等に固定することによって成長後期の稚貝が定着された前記定着体1を海中に吊下げ支持できるように構成され、前記支持籠16は、成長前期の稚貝が収容されることで食害を防止できるように構成されている。該支持体(支持糸2と、支持籠16)については後述する。
前記定着体1は、フレキシブルに変形可能な方形状のシート体によって形成されており、変形させた前記シート体の形状を保持(維持する)固定部4と、牡蠣類の稚貝(以下、単に稚貝)が定着されるとともに定着された稚貝の外周をカバーする前記収容部3と、前記定着体1を前記支持糸2側に取付ける取付孔6とを備えている。(図1及び図2(B)参照)。
前記シート体は、フレキシブルに変形可能な合成樹脂製の部材であって、図示する例では、方形状の前記シート体として、縦8cm、横9cm、厚さ1mmのポリプロピレン(PP)樹脂製の部材が用いられている(図2(A)参照)。なお、シート体の縦横の長さや比は、目的とする牡蠣の殻の形状や大きさに応じて変えても良い。また、厚さについても必要な強度に応じて全体および部分的にその厚さを変えても良い。
前記シート体が屈曲性・耐久性のある樹脂製の部材によって形成されたことによれば、前記定着体1から育成して成長した牡蠣類が取外された後、前記シート体を屈曲変形させることにより付着したフジツボやその他の付着物をスムーズ且つ容易に取り除くことができる。このため、前記定着体1は繰返し使用することが可能となり経済的である。
また、前記シート体は、図示されるもののように全体が平滑面によって形成されたものの他、表面に凹凸状の突起を並べて配置したディンプル体(図示しない)としたり、透過部が形成されたメッシュ体(図示しない)とすることによって、稚貝の接着力がより強くなるようにしても良い。また、前記シート体は、平滑面と、ディンプル面と、メッシュ面とを部分的に異ならせて複数種類の面を備えた構成としても良い。
前記収容部3は、前記シート体によって形成される前記定着体1の内周面側であって、稚貝を定着させる定着面11と、前記シート体を屈曲形成することで前記定着面11の一方(基端)側を覆う(閉じる)ように立上げ形成された一対の立上部12、12と、前記定着面11の他方(開放)側を開放形成した開放部13とを有しており、前記定着面11は、開放側に向かって幅広となるように形成されている(図2(B)参照)。
また、前記収容部3は、前記定着面11の基端側に設けられた稚貝定着位置Sに、シリコン製等の接着剤を用いて、育成する稚貝を接着することができるように構成されている。前記収容部3は、前記定着面11に定着させた稚貝を前記開放部13側に向けて成長するように育成方向をガイド(誘導)することができる。なお、稚貝は、前記開放部13の縁辺部からはみ出した後も、その成長方向と形状をある程度保持しながら成長させることができる。
このため、定着体1の形状を目的とする形状に合わせて設計することにより、出荷時の牡蠣の形状を商品ニーズに応じた形状に誘導、育成することが可能となる。仮に、収容部3を深く調整した場合は、殻副が厚い、いわゆるカップの深い形状に誘導でき、軟体部重量のより大きい商品価値の高い牡蠣が育成され易くなる。
前記固定部4は、前記シート体の一片(横辺)の左右両端側に一対形成された長方形状の前記固定孔4A,4Aと、該固定孔4Aに挿通可能な結束バンド(インシュロックタイ)等からなる帯状の固定部材(固定部、連結具)4Bとから構成され(図1及び図2等参照)、前記シート体を屈曲形成して前記定着体1に成形した状態を結束具5により固定することができるように構成されている。
なお、前記固定部4は、前記シート体を前記定着体1に成型した状態を固定可能であれば良く、前記シート体側の固定孔4Aと、該固定孔に挿通される固定部材4Bの組み合わせにも限られない。
以下に、本実施例における定着体1の形成方法を具体的に示す。本実施例では、前記シート体を手作業により屈曲して立体形成した後、前記固定部4で仮固定の後、約80℃以上の熱湯中に数秒間浸漬して樹脂を一旦軟化させて形状を所定の形状に整えた後、水道水等の常温水中に再び浸漬して硬化させてその形状を固定した。
なお、本実施例では前記定着体1を前記の手順で手作業により形成したが、本発明を用いて養殖を行う場合は、目的とする定着体1の形に合わせた金型をあらかじめ作製し、定着体1を機械的に大量に成形できる構成した方が、省力的かつ実用的である。
ちなみに、前記金型は、前記定着体1を成形する際に、シートの表面に任意の模様、文字、ロゴマーク、イラスト等を反転印字するように構成しても良い。該構成によれば、前記定着体1を用いて育成される牡蠣の表面に特定の文字、ロゴマーク、イラスト等を浮き上がらせることができる。
前記取付孔6は、前記支持糸2が挿通可能な孔であって前記収容部3を構成する定着面11に形成されており、より具体的には、前記定着面の中で稚貝が定着(接着)される稚貝定着位置Sよりも基端(立上部)側に配置されるように構成されている(図2(B)参照)。すなわち、前記取付孔6に前記支持糸2を挿通することによって、前記定着体1の基端側を前記支持糸2側に取付けることができるように構成されている。
なお、上述の定着体1は、前記取付孔6に代えて、前記収容部3の基端側と、開放部13側とに一体成形された前後一対のフラップ15、15と、各フラップ15に形成した取付孔10とを設け、前記定着体1を複数箇所で前記支持糸2側に取付可能にした構成としても良い(図2等参照)。
また、上述の定着体1は、前記シート体の隅(角部)にアールを形成することによって、前記開放部13側の両端の角にラウンド部14を設けても良い(図2(A)参照)。該構成によれば、前記定着体1を用いて成長する牡蠣の形状がより良好なものとなる。
さらに、上述の定着体1は、前記収容部3(シート体1)の周縁側に、魚類からの食害を軽減するための補助突起8を稚貝の成長に干渉しない部分に設けたり、稚貝が前記開放部13から突出して成長した後に稚貝の形状を良好に維持するための補助突起9を設けたりした構成としても良い(図2等参照)。
前記支持糸2は、前記取付孔6に挿通可能な紐状に形成されており、前記取付孔6に挿通されるとともに、所定間隔毎に設けた所定の取付位置に前記定着体1を固定(結束)することができるように構成されている。具体的には、前記支持糸2として紐状のナイロンテグスや、インシュロックタイ等が用いられている。
該構成によれば、前記定着体1と、前記支持糸(ナイロンテグス)2とは、ともに樹脂製の部材によって形成されるため、育成中に海中での上下動によって互いが擦れて摩耗し、前記支持糸2が切れて前記定着体1が海中に落下する事態を効率的に防止することができる。
さらに、該構成によれば、前記支持糸2の一端側を海面上の筏、幹縄などに連結した前記ロープ体に牡蠣類の育成方向がそれぞれ干渉しないように前記収容部3の開放側が前記支持糸2の外(下)側に向けられた状態で複数の前記定着体1を吊下げ支持することができ、前記定着体1に定着させた稚貝を効率良く育成(養殖)することができる。
次に、図3に基づき、前記支持籠16について説明する。図3(A)及び(B)は、支持籠を用いた育成の前後の状態を示した写真である。
前記支持籠(垂下籠)16は、内部に複数の前記定着体1を格納できるように筒状に形成されており、鉛直方向に沿って複数の仕切部17を形成することによって、複数の前記定着体1を格納する円筒状の格納部18が鉛直方向に沿って複数形成されている(図3参照)。
該構成によれば、前記支持籠16は、その周囲がネットによって覆われることによって、魚類等によって前記定着体1に定着された稚貝が食べられてしまう被害(食害)を防止することができる。このとき、前記支持籠16は、稚貝が仮定着された定着体1をランダムに投入した場合であっても、稚貝が前記収容部3内に収まる範囲内の大きさまでであれば、食害を防止しつつ成長中の稚貝の形状をきれいに保つことができる。
このとき、前記支持籠16は、前記定着体1のサイズに合わせてネットの目合いを大きくすることができるため、育成中にネットが海中で目詰まりすることがなくなるため、清掃や籠替え等のメンテナンス作業が不要となる。
上述の支持体(支持糸2及び支持籠16)の構成によれば、前記定着体1に定着させた稚貝が食害を受けやすい小さい時期は、前記定着体1を前記支持籠16内に格納した状態で育成を行い(育成前期工程)、稚貝がある程度成長して魚類の食害を受けにくくなったら前記定着体1を前記支持糸2に取付けて育成を行う(育成後期工程)ことができる。なお、本願の牡蠣類育成器によって牡蠣類の養殖を行う海域が魚類の食害のない海域の場合には、前記支持籠16を用いることなく、最初から前記支持糸2を用いた耳吊り式での養殖を行う構成としても良い。
次に、図4に基づき、前記支持籠の別実施例について説明する。図4(A)は、支持籠の別実施例1を示した写真であり、図4(B)は、支持籠の別実施例2を示した写真である。
前記支持籠16は、図4(A)に示されるように、棒状の支持部材に前記定着体1の基端側と吊下げて暖簾状に並べて支持し、前記定着体1が吊下げ支持された前記支持部材19を前記支持籠16内に格納(セット)する構成としても良い。
該構成によれば、前記支持部材19に吊下げられた前記定着体1は、全て前記収容部3の開放側が下を向いた状態で支持されるため、隣接する前記定着体1に干渉させることなく、前記定着体1に定着させた稚貝を前記収容部3の内周面に沿って重力方向へときれいに成長させることができる。言い換えると、前記支持籠16を用いて食害を防止しつつ稚貝を成長させる際に、稚貝が前記収容部3から突出する大きさまで成長させる場合であっても、稚貝を他の定着体1等に干渉させることなくきれいに成長させることができる。
また、前記支持部材19を使用する場合は、前記支持籠16は、図4(B)に示されるように、周囲を覆うネットに代えて、弾力のある樹脂製の硬線等の防除部材20を用いて支持籠16の周囲を螺旋状に囲う構成としても良い。
該構成によれば、ネットより開口部が広がることにより前記支持籠16内部への海水の流動性がさらに高まり、餌の植物プランクトンの補給がスムーズになることから、魚類からの食害をある程度防除しながら牡蠣をより良好に成長させることができる。
次に、図5乃至7に基づき、牡蠣類の育成方法の工程について説明する。図5は、牡蠣類の育成方法を示したフロー図である。図6は、実施例における各工程における岩牡蠣の成長過程を示した写真であり、図7は、実施例における出荷可能な大きさまで育成した岩牡蠣を示した写真である。本発明の牡蠣類の育成方法は、稚貝を準備する準備工程S1と、前記定着体1に稚貝を定着させる定着工程S2と、前記定着体1に定着させた稚貝を育成する育成工程S3、S4と、育成された牡蠣類を出荷する出荷工程S5とを有する。
前記準備工程S1は、後述の定着工程で前記定着体1に定着させる稚貝を取得する。種苗の由来は天然採苗でも人工採苗でも良いが、用いる種苗は個別に分離したいわゆるシングルシードを用いる。具体的に説明すると、天然採苗では、牡蠣の産卵期において稚貝の剥離が容易な樹脂製の採苗器を天然の海中に垂下することによって、採苗器に稚貝を付着させて稚貝を採取する。人工採苗では、陸上の水槽内において前述の樹脂製の採苗器を用いる方法や採苗器を用いないいわゆるカルチレスの方法により採取する。本実施例では、天然採苗由来のものを使用し、10月に採苗器を海中に垂下し、採苗器に付着した平均殻高2cmの稚貝を翌2月に採取した。
前記定着工程S2は、種々の方法で取得した稚貝を、接着剤を用いて前記定着面11の稚貝定着位置Sに貼り付けることにより、稚貝を前記定着体1の収容部3内に仮定着させる(図6(A)参照)。本実施例では、定着作業を採苗器に付着した稚貝の採取と同時(2月)に行った。
本実施例では、稚貝を前記定着体1に仮接着させるための接着剤として、シリコン系充填剤を用いたが、稚貝の成長・生残に影響のない毒性の低いもので、稚貝を短時間で半日~1日で仮定着させることができるゲル状の作業性が良く、接着力の高い接着剤であればよい。
ここで、接着剤としてシリコン充填剤を用いたことにより、安価で作業性良く、稚貝を前記定着体1側に仮定着させることができるとともに、出荷工程の前記定着体1から牡蠣類を剥離する作業において、シリコン充填剤は貝殻よりも前記定着体1側により強く接着することから剥離後に牡蠣類の殻にシリコン充填剤が残留することが無く、接着剤を殻から除去する作業が不要となるメリットも大きい。
前記育成工程は、前記支持籠16を用いて前記定着体1を海中に支持する育成前期工程S3と、前記支持糸2を用いて前記定着体1を海中に吊下げ支持する育成後期工程S4とを有している。
前記育成前期工程S3は、定着工程によって稚貝が仮定着された前記定着体1を前記支持籠16内に格納し、前記定着体1が格納された前記支持籠16を海中に吊下げて飼育する。このとき、稚貝の縁辺部が成長して定着体1に確実に定着するまでは1カ月程度の飼育期間を要する。さらに、魚類などの食害生物からの食害を防止するために飼育期間を延長しても良い。本実施例では、2月(図6(A))に育成前期工程を開始し、稚貝が前記収容部3の開放側の近傍に到達する程度に成長した5月(図6(B))に飼育を終了した。
前記育成後期工程S4は、前記支持籠16内に格納された前記定着体1を取り出し、前記定着体1を前記支持糸2に所定間隔毎にして取付けて海中に吊下げ支持することにより、稚貝が出荷可能な牡蠣類に成長するまで育成を行う。本実施例では5月に育成後期工程を開始し、出荷可能な大きさに育つまでの約2年間、前記支持糸2による吊下げ支持(耳吊り式)による育成を行った。図6(C)は、育成後期工程を開始して1年2カ月を経過した岩牡蠣を示した写真である。
前記出荷工程S5では、出荷可能な大きさまで成長した牡蠣類を前記定着体1から取外し、各定着体1から取外された牡蠣類を清掃する。清掃された牡蠣類は、用途に応じて必要な処理を施した後に出荷される。図7は、本実施例において出荷直前における清掃前の岩牡蠣を示した写真である。
ここで、前記定着体1と牡蠣類は、強固に固着されているためそのままでは牡蠣類を剥離させ難い構成となっているが、前記定着体1の形状を固定している結束バンドを取外して、前記定着体1を構成するシート体を屈曲変形させることにより、前記定着体1(シート体)から成長した牡蠣類をスムーズに取外すことができる。
[実証試験]
本実例において、本発明の牡蠣類育成器を用いた牡蠣類の育成方法の効果を確認するために行った試験の内容について説明する。
本発明に基づく試験区では、平成30年10月に海中に垂下した採苗器から岩牡蠣の稚貝を天然採苗して取得した牡蠣の稚貝を用いて、平成31年2月~令和3年6月までの間、牡蠣類育成器を使用して海中で育成することにより、牡蠣を出荷可能な大きさまで育成した。
これに対し、比較対象とする対照区では、試験区と同様に平成30年10月に天然採苗して取得した牡蠣の稚貝を従来の方法と同様にホタテ殻に稚貝を定着させた状態で令和3年6月まで海中で育成を行った。以下、図8及び図9に基づいて、試験区と対照区とで育成された牡蠣の状態を比較する。
図8(A)は、令和3年6月に試験区によって育成された牡蠣を定着体から取外した状態を示した写真の一例であり、図8(B)は、同時期に対照区によって育成された牡蠣をホタテ殻から取外した状態を示した写真の一例である。
図8に示されるように、本発明に基づいて試験区から得られた牡蠣の大部分は、前記収容部3の内周面に沿って開放部13に向けて成長するため、殻の変形が少なく、殻の形状がほぼ均一に整っていることが確認できる(図8(A)参照)。
その一方で、対象区から得られた牡蠣は、採苗器のホタテ殻上で隣接する牡蠣同士が互いに干渉することによって成長が阻害され、殻の形状が不均一であることが確認できる(図8(B)参照)。また、隣接する牡蠣が固着することで、分離作業において殻の一部が欠ける個体(図8(B)の矢印の部分)も見られた。
図9(A)乃至(C)は、試験区と対照区における平均殻高の比較図と、平均殻重量の比較図と、平均軟体部重量の比較図である。図示されるように、本発明に基づく試験区から得られた牡蠣は、対象区から得られた牡蠣と比較して、殻高で約1.2倍、殻重量で約1.6倍、牡蠣内部の軟体部の重量も約1.6倍となったことが確認された。
以上によれば、本発明の牡蠣育成器と、牡蠣類の育成方法を用いることにより、従来法と比較して、育成された牡蠣の形状が良好で均一になるとともに、得られる牡蠣の成長もより促されて良好となることが確認された。
1 定着体
2 支持糸(支持体、ロープ体)
3 収容部
4A 固定孔(固定部)
4B 結束バンド(固定部、連結具)
6 取付孔
16 支持籠(支持体、籠体)

Claims (9)

  1. 屈曲変形可能な合成樹脂製のシート体により形成され、内周面に牡蠣類の稚貝を定着させる定着面を形成した定着体を有し、
    前記定着体は、シート体の一方の端部である基端側を閉じるように屈曲させて左右一対の立上部とするとともに、閉じられたシート体の屈曲形状を保持する固定部をシート体の基端側に設け、さらにシート体は他方側を幅広に開放した開放部とし、前記立上部の内面で定着させた稚貝の左右両側外周をカバーする収容部をし、前記定着面に定着させた稚貝を前記開放部に向って成長するように育成方向及び形状を誘導する構造とした
    牡蠣類育成器。
  2. 前記定着面は、平面視で開放側に向かって幅広となるように形成された
    請求項1に記載の牡蠣類育成器。
  3. 前記定着体は、フレキシブルに変形可能な合成樹脂製のシートにより形成された
    請求項1又は2に記載の牡蠣類育成器。
  4. 前記シート体は、表面が平滑な部材によって形成された
    請求項1乃至3の何れかに記載の牡蠣類育成器。
  5. 前記シート体は、ディンプル状又はメッシュ状に形成されることにより、表面に凹凸が形成された
    請求項1乃至3の何れかに記載の牡蠣類育成器。
  6. 前記シート体は、前記シートの縁部同士を固定する固定部として、前記シートの縁部側に形成された一対の固定孔が形成された
    請求項1乃至5の何れかに記載の牡蠣類育成器。
  7. 前記定着体は、接着剤を用いて稚貝を定着させた
    請求項1乃至6の何れかに記載の牡蠣類育成器。
  8. 前記定着体を海中に支持する支持体を備え、
    前記支持体は、複数の前記定着体を海中に吊下げ支持するロープ体であって、前記定着体を前記ロープ体に沿って複数取付固定することによって、前記定着体を海中に吊下げ支持可能に構成された
    請求項1乃至7の何れかに記載の牡蠣類育成器。
  9. 前記定着体を海中に支持する支持体を備え、
    前記支持体は、複数の前記定着体が収容可能な籠体であって、前記定着体が収容された状態で海中に吊下げ支持可能に構成された
    請求項1乃至7の何れかに記載の牡蠣類育成器。
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