JP7490011B2 - 加工液噴射装置及び加工液噴射方法 - Google Patents
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Description
従来技術において、給油装置にフレキシブルケーブルを介して噴射部を接続し、電極が装着されている可動主軸部の位置に応じて噴射部の位置を調整し、かつ、電極と被加工部品に加工液を噴射することにより、被加工部位を冷却すると共にスラッジを除去していた。ここで、噴射部はクーラントノズルから成る。この際、加工液が電極とワークとの間隙に適切に噴射されるように、噴射部において噴射位置及び噴射方向を加工前及び加工中に都度調整していた。
また、従来技術において、加工液を噴射する噴射孔は1箇所のみに設けられているためにスラッジの排出性が悪い。そのため、2次放電による不具合が生じることがあった。また、スラッジの排出が容易ではない深溝形状を被加工部位が有する場合、加工を中断してスラッジを排出するための清掃作業を実施していた。そのため、多大な加工時間を要していた。
形彫放電加工機において加工液を噴射する加工液噴射装置であって、
前記形彫放電加工機が備える電極の周囲において前記電極に向けて加工液を噴射する複数の噴射孔が放射状に形成されており、前記形彫放電加工機が備える可動主軸部に連動して動く噴射部
を備える。
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る形彫放電加工機10の構成例を示している。図1に示すように、形彫放電加工機10の外観は従来の形彫放電加工機の外観と同様である。
図3は、本実施の形態に係る加工液噴射装置100の構成例を示している。図3の(a)は、加工液噴射装置100を形彫放電加工機10に取り付けた様子を示している。図3の(b)は、図3の(a)に対応する正面断面図を示している。当該正面断面図は、電極50の中心軸を通る断面の様子を示している。
図4は、本実施の形態に係る加工液噴射装置100の構成例を示している。
図5は、本実施の形態に係る給油装置300の構成例を示している。
以下、図2から図5を用いて加工液噴射装置100を説明する。
形彫放電加工機10は、図4に示すように、可動主軸部11及び可動主軸部12と、可動主軸部12に着脱可能に装着された電極ホルダ51と、電極ホルダ51に装着された電極50と、給油装置300と、液受け部600とから構成される。可動主軸部11はX軸方向及びY軸方向に可動する。可動主軸部12はZ軸方向に可動する。液受け部600に設けられたホース650は給油装置300の油流入口に接続される。
加工液噴射装置100は、加工液噴射治具200と、給油装置300が備える吐出孔305に取り付けられた配管ホース400とから構成される。
噴射部210は、円環形状部211と支持部212とから構成される。円環形状部211及び支持部212は一体的に構成されている。
円環形状部211は円環形状を成している。円環形状部211の環状内面216は、間隙を有して電極50の周囲を囲んでいる。円環形状部211には、複数の噴射孔215が形成されている。噴射孔215は、噴射孔215a及び噴射孔215bの総称である。噴射孔215aは、環状内面216に設けられており、また、上側噴射孔とも呼ばれる。噴射孔215bは、底面217に設けられており、また、下側噴射孔とも呼ばれる。
支持部212は、円環形状部211に取り付けられており、円環形状部211を支持する。
取付部220は、噴射部210を可動主軸部12に取り付ける。この際、取付部220に支持部212が締結される。支持部212と取付部220とが締結される位置を変更することにより、円環形状部211の鉛直方向における位置を変更することができてもよい。取付部220は、形彫放電加工機10が備える可動主軸部12に着脱可能に取り付けられてもよい。取付部220を可動主軸部12に取り付ける際に磁力が利用されてもよい。
噴射部210と取付部220とは、具体例として、可動主軸部12に負荷を与えない比重を有する樹脂材料を用いて、3D(3-Dimension)プリンタによる樹脂の一体成型によって形成される。
支持部212の一部である取付部側面213には、加工液流入孔214が形成されている。
加工液流入孔214には、加工液流入孔214に合う加工液流入管230が着脱可能に取り付けられる。
加工液流入管230は、配管ホース400を通じて吐出孔305に接続される。加工液流入管230には配管ホース400を介在して給油装置300から加工液310が供給される。即ち、加工液流入管230には加工液310が流入する。加工液310は加工油とも呼ばれる。
配管ホース400は、具体例としてフレキシブルケーブルである。
給油装置300には加工液310が格納されている。給油装置300は、ポンプにより吸い上げて加工液310を設備内タンク301から回収する。また、設備内タンク301には、回収した加工液310を循環させて加工粉等の不純物を濾過するフィルター302が設けられている。
環状内面216は、電極ホルダ51を囲む領域であり、円環形状部211の面のうち電極50に対向する面である。
環状外面241は、円環形状部211の面のうち環状内面216に対向する面である。
底面217は、円環形状部211の面のうち鉛直方向における底面である。
上面242は、円環形状部211の面のうち鉛直方向における上面である。
形彫放電加工機10が備える電極50の周囲において、複数の噴射孔215の各々から電極50に向けて加工液310が噴射される。複数の噴射孔215は、複数の上側噴射孔と、複数の下側噴射孔とから成ってもよい。環状内面216において、複数の上側噴射孔は電極50の周囲に放射状に形成されている。底面217において、複数の下側噴射孔が電極50の周囲に放射状に形成されている。複数の上側噴射孔の各々が加工液310を噴射する方向と中心軸910とが成す角度は40度以上60度以下である。中心軸910は、円環形状部211の中心軸であり、可動主軸部12の軸線と同軸であり、電極50の中心軸と同軸である。複数の下側噴射孔の各々が加工液310を噴射する方向と中心軸910とが成す角度は20度以上40度以下である。
噴射孔215の断面の形状は、具体例として、円形、矩形、又はその他の多角形状である。噴射孔215の断面における直径又は短辺の長さは、2mmから7mm程度の間で適宜設定される。各噴射孔215の断面は、各噴射孔215における加工液310が噴射される方向に直交する面である。
環状内面216において、環状内面216の円周に沿って8箇所に均等に噴射孔215が配置されていることが好ましい。即ち、複数の上側噴射孔の数は8個であり、複数の上側噴射孔は、環状内面216に等間隔に形成されていることが好ましい。また、各噴射孔215は、電極下部52の外周面を向いて電極50の周囲に形成されていることが好ましい。
底面217において、底面217の円周に沿って8箇所に均等に噴射孔215が配置されていることが好ましい。即ち、複数の下側噴射孔の数は8個であり、複数の下側噴射孔は、底面217に等間隔に形成されていることが好ましい。また、各噴射孔215は、狭幅の深溝形状が形成される被加工部位を向いて形成されていることが好ましい。被加工部位は、ワーク500のうち形彫放電加工機10によって加工されている部分である。
図2の(b)に示すように、各噴射孔215の流路中心軸は中心軸910に対して傾いている。また、噴射孔215aの流路中心軸と、噴射孔215bの流路中心軸とは互いに異なる傾斜角を成す。噴射孔215の流路中心軸は噴射孔215から加工液310が噴射される方向を示す。各流路中心軸が成す傾斜角は、各流路中心軸と、中心軸910とが成す角度である。各噴射孔215の流路は、各噴射孔215から加工液310が噴射される角度を定める。図2の(b)において、噴射孔215aの流路中心軸と円環形状部211の中心軸とが成す角度であるθ1は45度であり、噴射孔215bの流路中心軸と円環形状部211の中心軸とが成す角度であるθ2は30度である。噴射孔215aの流路中心軸と円環形状部211の中心軸とが成す角度は、噴射孔215bの流路中心軸と円環形状部211の中心軸とが成す角度よりも大きい。なお、複数の噴射孔215aの各噴射孔215aの傾斜角は一定ではなくてもよい。複数の噴射孔215bの各噴射孔215bの傾斜角は一定ではなくてもよい。また、環状内面216の法線と中心軸910とは直交し、環状外面241の法線と中心軸910とは直交する。
これにより、噴射部210に設けられた全16か所の噴射孔215は、電極50の軸線に沿って互いに異なる少なくとも2つの高さから、電極50の周囲及び被加工部位に向かって加工液310を噴射する。そのため、図2の(a)に示すように大流量の加工液310が噴流となって加工溝内に侵入する。その結果、図3の(b)に示すように、加工溝内面に乱流が生じるとともに、加工溝内の底部から上部まで間断なく加工液310が循環対流することにより、スラッジが加工溝内に溜まることなく排出される。
加工液噴射治具200は、取付部220によって可動主軸部12に固定されている。そのため、電極50が鉛直方向上下に移動しても、加工液噴射治具200は電極50に連動して動かない。このため、前述の構成によれば複数個のワーク500の連続加工を安定的に実施することができる。
このとき、加工液噴射治具200を用いて複数の噴射孔215から電極50と被加工部位とに加工液310の噴流を当てることにより、溝の形成時に発生するスラッジの溝表面への付着を抑制しながら、高精度な加工寸法の溝を従来に比して短時間で加工することができる。
なお、図3の(b)は、円筒形状である溝を形成するために、加工時間に応じて溝内の底面方向に円筒形状である電極50を数μm単位で移動させている状態を例示している。本例に限らず、電極50の形状を円環状とすることにより、幅が数mmである円環形状の溝を数μmの寸法精度で形成することが好適に可能である。また、電極50の形状は、多角形状であってもよく、多角形状よりもさらに複雑な形状であってもよい。
図6は、本実施の形態の効果を説明する図であり、従来技術である加工液噴射装置110を示している。加工液噴射装置110では、1つのクーラントノズルのみを用いて加工液310を噴射する。従って、加工液310が一方向からのみ噴射されるため、加工溝において、スラッジは、加工液310の噴射地点の反対側に移動する。また、加工液310の流量が足りないため、製品と電極50の間に滞留しているスラッジが排出されない。
一方、本実施の形態によれば、複数の噴射孔215が電極50の周囲に加工液310を十分な流量で噴射するため、スラッジは加工溝から排出される。従って、本実施の形態によれば、スラッジが被加工部位に溜まりにくいため、2次放電のリスクを減らすことができ、形彫放電加工機10に発生する不具合のリスクを減らすことができる。また、2次放電を予防するための清掃作業を減らすことができるため、加工時間を大幅に減らすことができる。具体例として、ある加工の1回あたりの加工時間は、従来技術を用いた場合において0.4時間であったが、本実施の形態を用いた場合において0.1時間であった。
一方、本実施の形態によれば、噴射部210は取付部220を介して可動主軸部12に取り付けられている。従って、本実施の形態によれば、可動主軸部11及び可動主軸部12が動いた場合に電極ホルダ51に連動して噴射部210が動くため、噴射部210と電極50との位置関係は電極ホルダ51が動くことによっては変わらない。
実施の形態1について説明したが、本実施の形態のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、本実施の形態を部分的に実施しても構わない。その他、本実施の形態は、必要に応じて種々の変更がなされても構わず、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施されても構わない。
なお、前述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示と、その適用物と、用途の範囲とを制限することを意図するものではない。説明した手順は適宜変更されてもよい。
Claims (9)
- 形彫放電加工機において加工液を噴射する加工液噴射装置であって、
前記形彫放電加工機が備える電極の周囲において前記電極に向けて加工液を噴射する複数の噴射孔が放射状に形成されており、前記形彫放電加工機が備える可動主軸部に連動して動く噴射部
を備える加工液噴射装置であって、
前記噴射部は、前記電極の周囲を囲む円環形状部を備え、
前記複数の噴射孔は、複数の上側噴射孔と、複数の下側噴射孔とから成り、
前記円環形状部の前記電極に対向する環状内面には、前記複数の上側噴射孔が前記電極の周囲に放射状に形成されており、
前記円環形状部の鉛直方向における底面には、前記複数の下側噴射孔が前記電極の周囲に放射状に形成されている加工液噴射装置。 - 前記複数の噴射孔の各々が加工液を噴射する方向は、前記電極の中心軸に対して傾いている請求項1に記載の加工液噴射装置。
- 前記複数の上側噴射孔の各々が加工液を噴射する方向と、前記円環形状部の中心軸とが成す角度は40度以上60度以下であり、
前記複数の下側噴射孔の各々が加工液を噴射する方向と、前記円環形状部の中心軸とが成す角度は20度以上40度以下である請求項1又は2に記載の加工液噴射装置。 - 前記複数の上側噴射孔の数は8個であり、
前記複数の上側噴射孔は、前記環状内面に等間隔に形成されており、
前記複数の下側噴射孔の数は8個であり、
前記複数の下側噴射孔は、前記底面に等間隔に形成されている請求項1から3のいずれか1項に記載の加工液噴射装置。 - 前記噴射部は前記円環形状部を支持する支持部を備え、
前記加工液噴射装置は、さらに、
前記支持部が締結される取付部
を備え、
前記取付部は、前記形彫放電加工機が備える可動主軸部に着脱可能に取り付けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の加工液噴射装置。 - 前記取付部は、磁力により前記可動主軸部に着脱可能に取り付けられている請求項5に記載の加工液噴射装置。
- 前記支持部と前記取付部とが締結される位置を変更することにより、前記円環形状部の鉛直方向における位置を変更することができる請求項5又は6に記載の加工液噴射装置。
- 前記噴射部の内部には複数の流路が形成されており、
前記複数の噴射孔の各々は前記複数の流路のいずれかと接続しており、
前記支持部の内部には、加工液の流路が形成されており、
前記支持部には、加工液が流入する加工液流入管が着脱可能に取り付けられており、
前記噴射部の内部において、前記加工液流入管から前記支持部の内部を介して前記噴射部の内部に流入した加工液は、前記複数の流路に従って複数に分岐する請求項5から7のいずれか1項に記載の加工液噴射装置。 - 形彫放電加工機において、噴射部に形成されている複数の噴射孔から前記形彫放電加工機が備える電極に向けて加工液を噴射する加工液噴射方法であって、
前記複数の噴射孔は、前記電極の周囲に放射状に形成されており、
前記噴射部は、前記形彫放電加工機が備える可動主軸部に連動して動く加工液噴射方法であって、
前記噴射部は、前記電極の周囲を囲む円環形状部を備え、
前記複数の噴射孔は、複数の上側噴射孔と、複数の下側噴射孔とから成り、
前記円環形状部の前記電極に対向する環状内面には、前記複数の上側噴射孔が前記電極の周囲に放射状に形成されており、
前記円環形状部の鉛直方向における底面には、前記複数の下側噴射孔が前記電極の周囲に放射状に形成されている加工液噴射方法。
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