JP7484897B2 - 光学部材 - Google Patents

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Description

本発明は、光学部材に関する。
最近、各種の自動走行移動サービスの実現に向け、自動運転に関する技術開発が活発化している。自動運転技術において、車両と周囲の物体との距離を測定することは必須であり、そのために、赤外域の光を用いたLiDAR(Light Detection and Ranging)センサの技術が利用されている。
LiDARセンサ等の光を利用したセンサは、例えば車両ボディー、Aピラー、Bピラーのピラー部、バンパー等の車両の外側に配置することも想定される。車両の外側に配置される場合、センサを保護するためカバーが必要となり、耐傷付き性の点からはガラスが優位である。カバーにはセンサに用いる光に対して高い透過率が求められる一方、センサ精度の観点から不必要な光を入れないことや高温にならないようにしたい点、また意匠性の点からカバーを黒色もしくはシルバーとすることが好ましい。
例えば、特許文献1には、可視域から赤外域の光を利用したセンサに対応した材料として、ガラスを、鉄、クロムの含有量を所定量以下としたものとし、黒色インクで加飾したものが開示されている。また、特許文献2には、可視域から赤外域の光を利用した黒色のガラスが開示されている。
国際公開第2018/178286号 日本国特開平7-126036号公報
しかしながら、特許文献1のガラスは、インクの厚みムラが生じやすいこと、使用中における劣化から光学的な歪みによるセンサの誤検知が発生したり、センサを正常に動作させるためにガラスの曇りや氷を除去するために使用されるヒーターによる加熱により樹脂が変質したり、光学的に歪みが生じたりする懸念がある。
また、特許文献2のガラスは、光干渉膜を有さない構成の透過率を対象としているため、LiDARセンサに対して十分な透過率を有していない。すなわち、自動運転技術に用いられるLiDARセンサにおいては、赤外域の光(以下、「赤外光」という。)の高い透過性は、光干渉膜を有した構成における、高い透過率が求められており、特許文献2のガラスでは、このような高い要求特性には応えられない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、可視光の透過率を下げることでセンサを秘匿し、熱によるセンサの誤動作を抑制し、かつLiDARセンサに使用される赤外光を歪むことなく十分に透過する光学部材の提供を主な目的とする。
本発明の光学部材は、非晶質のガラス基板と、前記ガラス基板の少なくとも一方の主面に配置された光干渉膜と、を備えるセンサカバー用の光学部材であって
入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光に対して、400nm以上700nm以下の波長域内における最大透過率が10%以下であり、800nm以上1800nm以下の波長域内の所定の波長λsにおける光の透過率の最小値が86.5%以上であり、
前記光学部材を大気下、温度200℃で24時間加熱した前後の前記波長λsにおける入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光の最大透過率の差が3%以下の領域を備え
前記ガラス基板は、400nm以上700nm以下の波長域において、入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光に対して、光の透過率の最大値が60%以下であり、
前記ガラス基板を構成するガラスは、Fe 換算で1質量ppm以上120質量ppm以下の割合でFeを含有し、Cr 換算で500質量ppm以上20000質量ppm以下の割合でCrを含有する。
本発明によれば、可視光の透過率を下げることでセンサを秘匿し、熱によるセンサの誤動作を抑制し、かつLiDARセンサに使用される赤外光を歪むことなく十分に透過する光学部材が提供できる。
実施形態の光学部材の一例を概略的に示す断面図である。 実施形態の光学部材の別の一例を概略的に示す断面図である。 実施例における例6の光学部材の分光透過率曲線である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本明細書において、特定の波長域について、透過率が例えば78%以上とは、その波長域の全域において透過率が78%を下回らないことをいい、同様に透過率が例えば1%以下とは、その波長域の全域において透過率が1%を超えないことをいう。
本明細書において、数値範囲を表す「~」では、上下限を含む。
本発明の実施形態の光学部材(以下、「本光学部材」ともいう。)は、非晶質のガラス基板と、前記ガラス基板の少なくとも一方の主面に配置された光干渉膜と、を備えるセンサカバー用の光学部材であって、以下の(1)~(3)の要件を満たす領域を備える。
(1)入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光に対して、400nm以上700nm以下の波長域内における最大透過率(以下、「Tmax400-700」ともいう。)が10%以下である。(2)入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光に対して、800nm以上1800nm以下の波長域内の所定の波長λsにおける光の透過率の最小値(以下、「Tmin(2)」ともいう。)が86.5%以上である。(3)光学部材を大気下、温度200℃で24時間加熱した前後の上記波長λsにおける入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光の最大透過率の差(以下、「ΔT200℃λs」ともいう。)が3%以下である。
本光学部材が適用されるセンサとしては、LiDARセンサ等の赤外域の光を用いてセンシングを行うセンサが挙げられる。
(1)~(3)において、入射角は光学部材の主面に対する入射角である。本発明において、光学特性の記載は、特に断りがない場合、光学部材のいずれか一方の主面から入射される光における特性であり、入射面は限定されない。本光学部材は主面の少なくとも、センサが赤外光の送受信を行う箇所に対応する所定の領域で(1)~(3)の要件を満たせばよい。本光学部材は主面の全領域で(1)~(3)の要件を満たしてもよい。
本明細書において、ガラス基板および光学部材における特定波長、例えば、700nm以上1800nm以下の光の透過率および反射率は、入射角が可変な分光光度計、例えば、日本分光社製V-780等で測定できる。
本光学部材は、(1)の要件を満たすことで、求められる可視光遮蔽性を有し、(2)の要件を満たすことで、センサに使用される赤外光を十分に透過し、(3)の要件を満たすことで、熱により該赤外光の透過性に歪みが発生するのを抑制できる。
(2)において所定の波長λsは、例えば、本光学部材とともに用いるLiDARセンサ等のセンサがセンシングに用いるレーザー光の波長である。本光学部材は、(2)の要件を満たす所定の波長を1以上有すればよく、2以上の所定の波長で(2)の要件を満たしてもよい。λsとして、具体的には、800nm、905nm、950nm、1050nm、1550nm等が挙げられ、800nm、905nm、950nm、1050nm、および1550nmから選ばれる1波長以上が好ましく、2波長以上がより好ましい。
(1)において、Tmax400-700は、10%以下である。可視光遮蔽性をより高める観点から、Tmax400-700は、3%以下が好ましく、1.0%以下がより好ましい。
(2)において、Tmin(2)は、86.5%以上である。波長λsにおける赤外光透過性をより高める観点から、Tmin(2)は、87%以上が好ましく、89%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
(3)において、ΔT200℃λsは3%以下である。赤外光透過性の熱による影響をより抑える観点から、ΔT200℃λsは、1.5%以下が好ましく、0.8%以下がより好ましい。
本光学部材は、さらに、上記所定の領域において、以下の(4)、および(5)の特性の少なくとも一方を有することが好ましく、両方の特性を有することがより好ましい。
(4)光学部材のセンサと反対側の主面から入射する、ISO9050:2003に規定される可視光(光源としてD65光源を使用。以下、特に断りのない限り、光源はD65光源である。)の入射角が5度から60度に変化したときの反射色において、CIE1976L色度座標における色度空間の色度差のΔEが8以下である。(4)の要件を満たすことで、外部からセンサを見たときに認識される反射光の色調が幅広い入射角に亘って変化が少なく、部材の質感と周囲の部材との色の調和が保たれるため好ましい。ΔEは、7以下が好ましく、5以下がより好ましく、2.5以下がさらに好ましい。
(5)波長λsにおける波面収差が1.0λRMS以下である。波面収差は、表面形状の測定装置、例えば、レーザー干渉式の平坦度計(例えば、Zygo社製;Verifire、Mark IV;フジノン社製、G310S、ToeI社製;Fiat Master)やレーザー変位計、超音波変位計、接触式変位計等により表面形状を測定した結果から算出できる。各種測定装置を用いて得られた結果からチル卜成分を除いた残さが表面形状であり、表面形状の最大値と最小値の差が波面収差である。
本光学部材は主面の少なくとも、センサが赤外光の送受信を行う箇所に対応する所定の領域で波面収差が(5)の要件を満たせばよい。本光学部材は主面の全領域で(5)の要件を満たしてもよい。λsにおける波面収差は、0.9λRMS以下が好ましく、0.6λRMS以下がより好ましい。0.3λRMS以下がよりさらに好ましい。
本光学部材は、さらに、センサと反対側の主面から入射角5度で入射する、ISO9050:2003に規定される可視光の平均反射率(以下、「Rv1ave」ともいう。)によって、用途に応じた使用が可能である。
例えば、外部からセンサを見たときに低反射性が求められる場合、具体的には、センサが暗色系の車両のボディーに装着される場合等には、本光学部材はRv1aveが6%未満であるのが好ましい。これにより、車両の外観を損なうことが殆どない。
また、外部からセンサを見たときに滑らかな表面のガラス等に類する光沢性が求められる場合、具体的には、センサが滑らかな表面のガラスやセラミックス等の部材の近傍に装着される場合等には、本光学部材はRv1aveが6%以上35%未満であるのが好ましい。
さらに、外部からセンサを見たときに金属質の光沢性が求められる場合、具体的にはメタリックカラーの車両のボディーに装着される場合等には、本光学部材はRv1aveが35%以上であるのが好ましい。これにより、車両の外観を損なうことが殆どない。さらに必要に応じて、Rv1aveを60%以上としてもよく、70%以上としてもよい。
また、本光学部材は、ISO9050:2003に規定される可視光を照射して得られる透過光について、CIE1976L色度座標によるLが0~25、aが-13~13、bが-13~13、であることが好ましい。このような範囲とすることにより、光学部材の色味が、暗色系でもより黒色に近いものとなる。Lは5~0がより好ましく、3~0がさらに好ましい。aは-10~10がより好ましく、-5~5がさらに好ましい。bは-10~10がより好ましく、-5~5がさらに好ましい。
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本光学部材の実施形態の一例の断面図を図1Aに概略的に示す。図1Aに示す光学部材10Aは、互いに対向する第1の主面1aおよび第2の主面1bを有するガラス基板1と光干渉膜2とを備える。ガラス基板1は非晶質のガラスからなり、光干渉膜2はガラス基板1の第1の主面1aの全面に配置されている。
光学部材10Aは、例えば、光干渉膜2のガラス基板1と反対側の主面2aがセンサへの取り付け面であり、ガラス基板1の光干渉膜2と反対側の主面1bが、センサに取り付けた際に外部から見える面(以下、「外表面」ともいう。)である。外部からセンサを見たときに滑らかな表面のガラス等に類する光沢性が求められる場合は、光干渉膜2のガラス基板1と反対側の主面2aが外表面であってもよい。
光学部材10Aは、ガラス基板1と光干渉膜2を備えることで、上記(1)~(3)の要件を満たしている。光干渉膜2は、例えば、ガラス基板1側から順に、高屈折率層と低屈折率層が交互に積層された多層膜である。なお、本光学部材において、非晶質のガラスからなるガラス基板と組み合わせて、要件(1)~(3)を満たす光干渉膜であれば、積層数および積層構成は制限されない。
本光学部材の実施形態の別の一例の断面図を図1Bに概略的に示す。図1Bに示す光学部材10Bは、互いに対向する第1の主面1aおよび第2の主面1bを有するガラス基板1と第1の光干渉膜2および第2の光干渉膜3とを備える。ガラス基板1は非晶質のガラスからなり、第1の光干渉膜2はガラス基板1の第1の主面1aの全面に、第2の光干渉膜3はガラス基板1の第2の主面1bの全面に、それぞれ配置されている。光学部材10Bにおいては、例えば、第2の光干渉膜3のガラス基板1と反対側の主面3bが外表面であり、第1の光干渉膜2のガラス基板1と反対側の主面2aが、センサへの取り付け面である。
光学部材10Bは、ガラス基板1と第1の光干渉膜2および第2の光干渉膜3を備えることで、上記(1)~(3)の要件を満たしている。第1の光干渉膜2および第2の光干渉膜3は、例えば、ガラス基板1側から順に、高屈折率層と低屈折率層が交互に積層された多層膜であり、両者の構成は同じであっても異なってもよい。
さらに、光学部材10Bの変形例として、ガラス基板1の第1の主面上1a上に第1の光干渉膜2を有さず、第2の主面1b上に第2の光干渉膜3を有する構成例が挙げられる。該例においては、例えば、第2の光干渉膜3のガラス基板1と反対側の主面3bが外表面であり、第1の光干渉膜2のガラス基板1と反対側の主面2aがセンサへの取り付け面である。この例も要件(1)~(3)を満たす限り本光学部材の範疇に含まれる。
以下に、本光学部材を構成するガラス基板および光干渉膜について説明する。
[ガラス基板]
本実施形態において、ガラス基板1は互いに対向する第1の主面1aおよび第2の主面1bを有する。ガラス基板1を構成するガラスは非晶質のガラスである。
本光学部材が(1)および(2)の要件を満足するために、ガラス基板は、以下の(G-1)~(G-3)の要件を満足することが好ましい。
(G-1)400nm以上700nm以下の波長域において、入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光に対して、光の透過率の最大値(以下、「TGmax400-700」ともいう。)が60%以下である。ガラス基板が(G-1)を満たせば、本光学部材は、組み合せる光干渉膜の層数を大きく増やすことなく、(1)の要件を達成しやすい。すなわち、可視光を十分に遮蔽しやすい。
本光学部材においてガラス基板のTGmax400-700が55%より大きい場合、(1)の要件を満たすために、光干渉膜の層数を増加させることにより、波長400nmから700nmの帯域の光に対する光学部材の透過率を低くすると、外表面における反射色がグレーもしくは黒になりにくくなり、可視光の反射色の角度依存性も大きくなり好ましくない。ガラス基板のTGmax400-700は、より好ましくは55%以下、さらに好ましくは50%以下、最も好ましくは45%以下、さらに好ましくは30%以下である。
(G-2)400nm以上700nm以下の波長域において、入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光に対して、光の透過率が25%以上である波長域の幅(以下、「波長域幅(25%以上)」ともいう。)が250nm以下である。ガラス基板が(G-2)を満たせば、本光学部材は、組み合せる光干渉膜の層数を大きく増やすことなく、(1)の要件を達成しやすい。
波長域幅(25%以上)が250nm超となると、光干渉膜が光を遮蔽するための反射もしくは吸収する波長域が広くなり、可視光の遮蔽に必要な光干渉膜の層数が増えてしまう。それにより、外表面における反射色の入射光の角度依存性が大きくなり、斜めから見たときの反射色が黒以外に見え、意匠的に好ましくない。
本光学部材のガラス基板における波長域幅(25%以上)は、好ましくは225nm以下、さらに好ましくは200nm以下、さらにより好ましくは150nm以下,さらによりもっとも好ましくは100nm以下、最も好ましくは50nm以下である。
また、400nm以上700nm以下の波長域において、光の透過率が3%以上である波長域の幅(以下、「波長域幅(3%以上)」ともいう。)が10nm以上であることが好ましい。10nm以下にしようとすると、ガラス中のCr、Co量が多くなりガラスの製造特性が低下する。さらに800nm以上1800nm以下の透過率が低下する。波長域幅(3%以上)は50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがよりさらに好ましい。
さらに、400nm以上700nm以下の波長域において、光の透過率が30%以上である波長域の幅(以下、「波長域幅(30%以上)」ともいう。)が200nm以下であるのが好ましく、90nm以下がより好ましい。波長域幅(30%以上)は最も好ましくは40nm以下である。
(G-3)波長λsにおける光の透過率(以下、「TGλs」ともいう。)が78.5%以上である。ガラス基板が(G-3)を満たせば、本光学部材は、(2)の要件を達成しやすく、センサ精度を十分としやすい。ガラス基板のTGλsは、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは83%以上、よりさらに好ましくは84.5%以上、最も好ましくは87%以上である。
なお、λsは800nm、905nm、950nm、1050nmおよび1550nmから選択され、これらのうちの2波長以上でTGλsが78.5%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは83%以上、よりさらに好ましくは84.5%以上、最も好ましくは87%以上である。これにより、本光学部材は、幅広い2波長以上でセンサ精度を十分としやすい。
ガラス基板1の形状は、平板でもよいし、全面または一部に曲率を有してもよい。なお、ガラス基板1が曲率を有する場合、該ガラス基板1と同等の構成となるように平らなガラス基板を作製して透過率等の光学特性が測定される。曲率を有するガラス基板1を用いた光学部材においては、当該光学部材と同等の構成となるように平らなガラス基板を使用した光学部材を作製して光学特性が測定される。
ガラス基板1の厚みは、用途に応じて適宜調整できる。ガラス基板1の厚みは、飛び石による安全性確保による強度(グラベロ試験により評価)と重量バランスの観点から0.5~8mmが好ましく、1~6mmがより好ましく、2~5mmがさらに好ましく、2.5~4mmが特に好ましい。特に2.5mm以上とすることで物理強化をすることができ、400nm以上の十分深い圧縮応力層を入れる事により、十分な飛び石耐性を得る事が可能となる。
ガラス基板1を構成する非晶質のガラスとしては、(G-1)~(G-3)の光学特性を満たす観点から、クロム(Cr)を含有するガラスが好ましい。具体的には、Cr換算で10質量ppm以上20000質量ppm以下の割合でCrを含有するガラスが好ましい。なお、Crは酸化物としてガラスに含有されるのが好ましい。ガラスが上記範囲でCrを含有することで、該ガラスを用いた光学部材は、(1)および(2)の特性を満たしやすい。また、Cr6+の含有量を以下の範囲に調整しやすい。
Crの含有割合は、Cr換算で、好ましくは100~11000質量ppm、より好ましくは500~9500質量ppm、さらにより好ましくは800~8000質量ppm、最も好ましくは1000~7500質量ppmである。
Crを含有するガラスにおいて、Cr6+の人体への影響が指摘されている。したがって、Rohs規制に対応して、ガラス中のCr6+の含有量は1000質量ppm未満が好ましい。より好ましくは800質量ppm未満、さらに好ましくは600質量ppm未満、よりさらに好ましくは400質量ppm未満、最も好ましくは200質量ppm未満である。Cr6+の含有量は、ガラス溶解時の雰囲気に応じてCを添加することで調整できる。
ここで、ガラスの製造時に混入が不可避のFe成分は赤外光透過率を低下させてしまう。本実施形態においては、このようなFe成分を含有しても高い赤外光透過性が得られるガラスが求められる。上記Crを含有するガラスは、Feを所定量含有しても高い赤外光透過性を維持できるため、本実施形態における使用が好ましいガラスである。
Feは酸化鉄としてガラスに含有し、Fe換算で1質量ppm以上500質量ppm以下とすることが好ましい。Feが1質量ppm未満であると、ガラス溶融時の輻射熱による温度安定性が不十分となる。一方、Feの含有量が、Fe換算で500質量ppm超となると近赤外領域の透過率が低下する場合がある。Feの含有量は、Fe換算で、好ましくは5~200質量ppm、より好ましくは15~120質量ppm、さらに好ましくは25~75質量ppm、最も好ましくは30~55質量ppmである。
Crが含有されるガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、アルミノシリケートガラス、無アルカリアルミノシリケートガラス、石英ガラス等の二酸化ケイ素を主成分とするガラスが好ましい。
Crを含有するガラスは、例えば、酸化物基準の質量%表記で、以下の組成を有するソーダライムガラスが好ましい。また、ホウケイ酸ガラスやアルミノシリケートガラスであってもよい。
Crを含有するガラスAは、例えば、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを60~73.0%、Alを0~20%、RO(ここで、RはMg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種以上である)を5~30%、LiOを0~5%、RO(ここで、RはLi、Na、Kから選ばれる1種以上である)を3~25%、CrをCr換算で10質量ppm以上20000質量ppm以下、FeをFe換算で1質量ppm以上500質量ppm以下含有する。
Crを含有するガラスBは、例えば、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを70~86.0%、Alを0~10%、Bを5~20%、RO(ここで、RはMg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種以上である)を0~10%、LiOを0~5%、RO(ここで、RはLi、Na、Kから選ばれる1種以上である)を0.5~7.5%、CrをCr換算で10質量ppm以上20000質量ppm以下、FeをFe換算で1質量ppm以上500質量ppm以下含有する。
ここで用いられるガラス材料は、強化処理によりガラス表面に圧縮応力層の形成が可能な材料であり、物理強化処理により圧縮応力層を形成できる材料が好ましい。
なお、ガラスの組成は、簡易的には蛍光エックス線法による半定量分析によって求められるが、より正確には、ICP発光分析等の湿式分析法により測定できる。なお、各成分の含有量は、酸化物基準の質量百分率(質量%)表示で表し、特に断りのない限り、以下「%」で表す。ガラス組成A,Bについて構成する成分を、以下、具体的に説明する。
ここでAはガラスの溶融性、赤外透過率にすぐれた組成であり、Bは波面収差と飛び石強度にすぐれた組成である。
まずガラスAについて説明する。ガラスAの説明において、%は質量%を意味する。また、ガラスAの説明において、割合が外割である旨の説明がある場合を除き、割合は内割である。
SiOはガラスの骨格を構成する成分であり必須である。また、化学的耐久性を上げる成分であり、ガラス表面に傷(圧痕)がついた時のクラックの発生を低減させる成分である。
SiOの含有量は60%以上である。上記特性を有効に発揮するため、SiOの含有量は、64%以上が好ましく、67%以上がより好ましい。一方、SiOの含有量が73%超であると溶融性が低下する傾向にあるため、SiOの含有量は73%以下であり、71%以下が好ましく、70%以下がより好ましい。
Alは耐酸性、ヤング率、硬度を向上させる成分であり、含まれると好ましい成分である。また、Alはガラスのガラス転移点(Tg)を高くする成分でありガラス転移点の調整のために含有してもよい。
Alの含有量は0.1%以上が好ましい。上記特性を有効に発揮するため、Alの含有量は、0.3%以上が好ましい。一方、Alの含有量が20%超であるとガラスの耐酸性が低下し、または失透温度が高くなる傾向にあるため、Alの含有量は20%以下である。また、ガラスの粘性が増大し溶融性が低下するおそれがある。そのため、Alの含有量は、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、8%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
RO(ここで、RはMg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種以上である)は、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、ヤング率を向上させる成分でもあり、膨張係数を調整する成分でもあって、必須の成分である。ROの含有量は、以下に説明するMgO、CaO、SrO、BaOの含有量の合計量を示す。ROの含有量は、5~30%であり、好ましくは15~25%であり、より好ましくは17~23%であり、さらに好ましくは19~22%である。
MgOは、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、ヤング率を向上させる成分でもあり、膨張係数を調整する成分でもあり、含有させてもよい。MgOを含有させる場合の含有量は、0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、2%以上がさらに好ましく、2.4%以上が特に好ましく、3%以上が最も好ましい。一方、MgOの含有量が10%超となると失透特性が低下するため、MgOの含有量は10%以下が好ましい。MgOの含有量は、7.5%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましく、4%以下が最も好ましい。
CaOは、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、ヤング率を向上させる成分でもあり、膨張係数を調整する成分でもあり含有させてもよい。CaOを含有させる場合の含有量は、0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、2%以上がさらに好ましく、3%以上が特に好ましく、4%以上が最も好ましい。一方、CaOの含有量が12%超となると失透特性が低下するため、CaOの含有量は12%以下が好ましい。CaOの含有量は、10%以下がより好ましく、8%以下がさらに好ましく、6%以下が特に好ましく、4.5%以下が最も好ましい。
SrOは、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、ヤング率を向上させる成分でもあり、膨張係数を調整する成分でもあり含有させてもよい。SrOを含有させる場合の含有量は、0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、2%以上がさらに好ましく、3%以上が特に好ましく、5%以上が最も好ましい。一方、SrOの含有量が15%超となると失透特性が低下するため、SrOの含有量は15%以下が好ましい。SrOの含有量は、12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、8%以下が特に好ましく、7%以下が最も好ましい。脆さを低減させるためには、5%以下が好ましく、含有しないことがより好ましい。
BaOは、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、ヤング率を向上させる成分でもあり、膨張係数を調整する成分でもあり含有させてもよい。BaOを含有させる場合の含有量は、0.5%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、4%以上がさらに好ましく、6%以上が特に好ましく、7%以上が最も好ましい。一方、BaOの含有量が20%超となると失透特性が低下するため、BaOの含有量は20%以下が好ましい。BaOの含有量は、15%以下がより好ましく、12%以下がさらに好ましく、10%以下が特に好ましく、8%以下が最も好ましい。脆さを低減させるためには、5%以下が好ましく、含有しないことが好ましい。
O(ここで、RはLi、Na、Kから選ばれる1種以上である)は、ガラスの粘性を調整し溶融性を改善する成分であり必須である。ROの含有量は、これら成分の合量(LiO+NaO+KO)である。ROの含有量は、3%以上であり、4%以上が好ましく、6%以上がより好ましく、8%以上がさらに好ましい。一方、ROの含有量が25%超ではガラスの耐酸性が低下し、膨張係数が大きくなる傾向にあるため、ROの含有量は25%以下である。ROの含有量は、20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、12%以下が最も好ましい。
LiOは、軽量で、絶縁性を有し、十分な強度を有する赤外線透過ガラスを実現するため、密度を低く維持したままヤング率を大きくするために有用な成分である。また、膨張係数を維持したまま、溶融粘性を低下させることができる。さらに赤外域の透過率を向上させるために含有させることが好ましい。
特にCrを0.2%以上含有させながら、赤外域の透過率を向上させたい場合は、LiOの含有量は、1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、3%以上がさらに好ましく、3.5%以上が特に好ましい。一方、LiOの含有量が5%超ではガラスの失透特性が低下し、ガラスの耐酸性が低下する傾向にあるため、LiOの含有量は5%以下であり、4%以下が好ましく、3.5%以下がより好ましい。
また、Crを0.2%未満含有させながら、赤外域の透過率を向上させたい場合は、LiOは含有させた方が好ましい。LiOの含有量は、0.1%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましく、1%以上がさらに好ましく、1.3%以上が特に好ましい。一方、LiOの含有量が5%超ではガラスの失透特性が低下し、ガラスの耐酸性が低下する傾向にあるため、LiOの含有量は5%以下であり、4%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下が最も好ましい。
NaOは、膨張係数を調整し、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、含有させた方が好ましい。NaOの含有量は、1%以上が好ましく、2%以上がさらに好ましい。一方、NaOの含有量が20%超では膨張係数が大きくなりすぎ、耐酸性が低下する。NaOの含有量は、15%以下が好ましく、12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、7%以下が特に好ましく、4%以下が最も好ましい。
Oは、膨張係数を調整し、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、含有させてもよい。KOを含有させる場合の含有量は、0.1%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、3%以上がよりさらに好ましくい。一方、KOの含有量が10%超であると、膨張係数が大きくなり、失透特性が低下し、ヤング率が低下するため、KOの含有量は10%以下が好ましい。KOの含有量は、8%以下がより好ましく、7%以下がさらに好ましく、6%以下が特に好ましく、5%以下が最も好ましい。
Crは酸化物として含有され、Cr換算で10質量ppm以上20000質量ppm以下の割合で含有することで、ガラスに上記の光学特性を付与する。Crの含有割合は、Cr換算で、好ましくは100~11000質量ppm、より好ましくは500~9500質量ppm、さらにより好ましくは800~8000質量ppm、最も好ましくは1000~7500質量ppmである。
Rohs規制に対応して、ガラス中のCr6+の含有量は1000質量ppm未満が好ましい。より好ましくは800質量ppm未満、さらに好ましくは600質量ppm未満、よりさらに好ましくは400質量ppm未満、最も好ましくは200質量ppm未満である。
Feは酸化物として含有され、Fe換算で1質量ppm以上500質量ppm以下の割合で含有することで、ガラスに赤外透過率を維持しつつ溶解性改善を両立させることができる。Feの含有量は、Fe換算で、好ましくは5~200質量ppm、より好ましくは15~120質量ppm、さらに好ましくは25~75質量ppm、最も好ましくは30~55質量ppmである。
また、このガラスAのガラス組成としては、上記成分の他、本実施形態の効果を阻害しない範囲で、種々の任意成分を含有できる。ここで任意成分としては、例えば、以下の成分が挙げられる。
Coは、可視領域の光を吸収し、800~1100nmの近赤外波長域の光を透過させ、清澄性を改善する成分であり1000質量ppm以下の割合で含有させてもよい。1000質量ppm超であると、赤外透過率が低下する。好ましくは10質量ppm以上700質量ppm以下であり、さらに好ましくは100質量ppm以上600質量ppm以下である。
MnOは可視領域の光を吸収し、近赤外領域の光を透過させる成分であり、2000質量ppm以下の割合で含有させてもよい。2000質量ppm超であると、赤外透過率が低下する。好ましくは1500質量ppm以下であり、さらに好ましくは1000質量ppm以下、さらに好ましくは800質量ppm以下である。
は、赤外線透過ガラスの脆さを低減させ、耐衝撃性を改善させ、また溶融性を向上させる成分である。Bは必須ではないが、Bを含有させる場合の含有量は、溶融性と耐衝撃性を向上させる為0.5%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、5%以上がさらに好ましい。一方、Bの含有量は15%を超えると耐酸性が悪化しやすいため、12%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、8%以下がさらに好ましい。
は、ガラスを安定化させると共に脆さを低減させる成分である。Pは含有させなくてもよいが、Pを含有させる場合の含有量は、0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、2%以上がさらに好ましい。一方、Pの含有量が6%超では、失透性が低下し、さらに耐酸性が低下するため、Pの含有量は、6%以下が好ましく、4%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましい。また、溶融時に脈理が発生し、ガラスの品質を低下しにくくするためには含有しないことが好ましい。
ZnOはガラスの溶融性を向上させる成分であり、含有させてもよい。ZnOを含有させる場合の含有量は、0.5%以上が好ましく、2%以上がより好ましい。一方、ZnOの含有量が15%超となるとガラスの耐候性が著しく低下するため、ZnOの含有量は15%以下が好ましい。ZnOの含有量は、10%以下がより好ましく、8%以下がさらに好ましく、6%以下が特に好ましく、5%以下が最も好ましい。
TiOは、ヤング率を向上させる成分であり、含有させてもよい。TiOを含有させる場合の含有量は、0.1%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましく、1%以上がさらに好ましい。一方、TiOの含有量が7%超であると溶融時に失透しやすくなり、ガラスの品質が低下するおそれがあるため、TiOの含有量は7%以下が好ましい。TiOの含有量は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下がさら好ましく、1.5%以下が特に好ましい。
ZrOは、ヤング率を向上させる成分でもあり、含有させてもよい。ZrOを含有させる場合の含有量は、0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。一方、ZrOの含有量が8%超であると溶融時に失透しやすくなり、ガラスの品質が低下するおそれがあるため、ZrOの含有量は8%以下が好ましい。ZrOの含有量は、6%以下がより好ましく、4%以下がさらに好ましく、2%以下が特に好ましく、1.2%以下が最も好ましい。
La、Nbは、ヤング率を向上させる成分であり、含有させてもよい。これらの成分を含有させる場合のそれぞれの含有量は、0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、2%以上がさらに好ましく、2.5%以上が特に好ましく、3%以上が最も好ましい。一方、La、Nbの含有量はそれぞれ15%超であると溶融時にガラスが失透しやすくなり、化学強化ガラスの品質が低下するおそれがあるため、La、Nbの含有量はそれぞれ、15%以下が好ましい。La、Nbの含有量はそれぞれ、12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、8%以下が特に好ましく、5%以下が最も好ましい。
Ta、Gdは、ヤング率を向上させるために少量含有してもよいが、溶融時に失透しやすくなり、ガラスの品質が低下するおそれがあるため、これらの成分を含有させる場合のそれぞれの含有量は3%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、含有しないことがさらに好ましい。
さらに、ガラスをより可視域の色調を調整して使用する際は、所望の透過率特性の達成を阻害しない範囲において着色成分を添加してもよい。着色成分としては、例えば、NiO、CuO、V、Bi、SeO、TiO、CeO、Er、Nd等が好適なものとして挙げられる。
これら着色成分の含有量は、合計で7%以下の範囲が好ましい。7%を超えるとガラスが失透しやすくなり望ましくない。この含有量は5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。ガラスの赤外透過率を優先させる場合は、これらの成分は実質的に含有しないことが好ましい。
Asは含有しないことが好ましい。Asを含有する場合は、0.3%以下が好ましく、0.1%以下がより好ましく、含有しないことが最も好ましい。
ガラスの溶融の際の清澄剤として、SO、塩化物、フッ化物などを適宜含有してもよい。その場合の各成分のガラスへの添加量は、それぞれ外割で0.01~0.5%が好ましく、0.07~0.2%がより好ましい。
Cは、Crを含有するガラスにおけるCr6+の含有量を調整するために、ガラスの溶融の際の雰囲気に応じて任意に添加される。Cの添加量は、Cr6+の含有量を上記範囲とする量として、外割で0.01~0.1%が好ましく、0.02~0.06%がより好ましい。
次にガラスBについて説明する。ガラスBの説明において、%は質量%を意味する。また、ガラスBの説明において、割合が外割である旨の説明がある場合を除き、割合は内割である。
SiOはガラスの骨格を構成する成分であり必須である。また、化学的耐久性を上げる成分であり、ガラス表面に傷(圧痕)がついた時のクラックの発生を低減させる成分である。
SiOの含有量は70%以上である。上記特性を有効に発揮するため、SiOの含有量は、74%以上が好ましく、77%以上がより好ましい。一方、SiOの含有量が86%超であると溶融性が低下する傾向にあるため、SiOの含有量は86%以下であり、84%以下が好ましく、82%以下がより好ましい。
Alは耐酸性、ヤング率、硬度を向上させる成分であり、含まれると好ましい成分である。また、Alはガラスのガラス転移点(Tg)を高くする成分でありガラス転移点の調整のために含有してもよい。
Alの含有量は0.1%以上が好ましい。上記特性を有効に発揮するため、Alの含有量は、0.3%以上が好ましい。一方、Alの含有量が10%超であるとガラスの溶融性を低下させ、さらに失透温度が高くなる傾向にあるため、Alの含有量は10%以下である。そのため、Alの含有量は、7.5%以下が好ましく、6%以下がより好ましく、4%以下がさらに好ましく、2.5%以下が特に好ましい。
は赤外線透過ガラスの脆さを低減させることにより、耐衝撃性を改善させ、さらにグラベロ試験時の傷深さを小さくさせ、また溶融性を向上させる成分であり必須である。含有量は5%以上である。上記特性を有効に発揮するため、Bの含有量は、7%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。一方、Bの含有量が20%超であると化学耐久性が低下する傾向にあるため、Bの含有量は20%以下であり、18%以下が好ましく、16%以下がより好ましく、14%以下がさらに好ましい。
RO(ここで、RはMg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種以上である)は、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、ヤング率を向上させる成分でもあり、膨張係数を調整するために10%以下の範囲で含有してもよい。好ましくは7.5%以下、最も好ましくは5%以下である。ROの含有量は、MgO、CaO、SrO、BaOの含有量の合計量である。
O(ここで、RはLi、Na、Kから選ばれる1種以上である)は、ガラスの粘性を調整し溶融性を改善する成分であり必須である。ROの含有量は、これら成分の合量(LiO+NaO+KO)である。ROの含有量は、0.5%以上であり、1.5%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、3%以上がさらに好ましい。一方、ROの含有量が7.5%超ではガラスの耐酸性が低下し、膨張係数が大きくなる傾向にあるため、ROの含有量は7.5%以下である。ROの含有量は、6%以下が好ましく、5.5%以下がより好ましく、5%以下が最も好ましい。
LiOは、軽量で、絶縁性を有し、十分な強度を有する赤外線透過ガラスを実現するため、密度を低く維持したままヤング率を大きくするために有用な成分であり、5%以下の範囲で含有させることが好ましい。5%超となると失透温度が高くなる恐れがある。また、膨張係数を維持したまま、溶融粘性を低下させることができる。さらに赤外域の透過率を向上させるために含有させることが好ましい。
NaOは、膨張係数を調整し、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、含有させた方が好ましい。NaOの含有量は、1%以上が好ましく、2%以上がさらに好ましい。一方、NaOの含有量が7.5%超では膨張係数が大きくなりすぎ、耐酸性が低下する。NaOの含有量は、7%以下が好ましく、6%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。
Oは、膨張係数を調整し、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、含有させてもよい。KOを含有させる場合の含有量は、0.1%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましく、2.5%以上がよりさらに好ましくい。一方、KOの含有量が7.5%超であると、膨張係数が大きくなり、失透特性が低下し、ヤング率が低下するため、KOの含有量は7.5%以下が好ましい。KOの含有量は、6%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましく、4%以下が特に好ましく、3%以下が最も好ましい。
Crは酸化物として含有され、Cr換算で10質量ppm以上20000質量ppm以下の割合で含有することで、ガラスに上記の光学特性を付与する。Crの含有割合は、Cr換算で、好ましくは100~10000質量ppm、より好ましくは200~8500質量ppm、さらにより好ましくは300~7000質量ppm、最も好ましくは500~5000質量ppmである。
Rohs規制に対応して、ガラス中のCr6+の含有量は1000質量ppm未満が好ましい。より好ましくは800質量ppm未満、さらに好ましくは600質量ppm未満、よりさらに好ましくは400質量ppm未満、最も好ましくは200質量ppm未満である。
Feは酸化物として含有され、Fe換算で1質量ppm以上500質量ppm以下の割合で含有することで、ガラスに赤外透過率を維持しつつ溶解性改善を両立させることができる。Feの含有量は、Fe換算で、好ましくは5~200質量ppm、より好ましくは15~120質量ppm、さらに好ましくは25~75質量ppm、最も好ましくは30~55質量ppmである。
また、このガラスBのガラス組成としては、上記成分の他、本実施形態の効果を阻害しない範囲で、種々の任意成分を含有できる。ここで任意成分としては、例えば、以下の成分が挙げられる。
Coは、可視領域の光を吸収し、800~1100nmの近赤外波長域の光を透過させ、清澄性を改善する成分であり1500質量ppm以下の割合で含有させてもよい。1500質量ppm超であると、赤外透過率が低下する。好ましくは10質量ppm以上1300質量ppm以下であり、さらに好ましくは500質量ppm以上1000質量ppm以下である。
MnOは可視領域の光を吸収し、近赤外領域の光を透過させる成分であり、2000質量ppm以下の割合で含有させてもよい。2000質量ppm超であると、赤外透過率が低下する。好ましくは1500質量ppm以下であり、さらに好ましくは1000質量ppm以下、さらに好ましくは800質量ppm以下である。
は、ガラスを安定化させ脆さを低減させる成分である。Pは含有させなくてもよいが、Pを含有させる場合の含有量は、0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、2%以上がさらに好ましい。一方、Pの含有量が6%超では、失透性が低下し、さらに耐酸性が低下するため、Pの含有量は、6%以下が好ましく、4%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましい。また、溶融時に脈理が発生し、ガラスの品質を低下しにくくするためには含有しないことが好ましい。
ZnOはガラスの溶融性を向上させる成分であり、含有させてもよい。ZnOを含有させる場合の含有量は、0.5%以上が好ましく、2%以上がより好ましい。一方、ZnOの含有量が15%超となるとガラスの耐候性が著しく低下するため、ZnOの含有量は15%以下が好ましい。ZnOの含有量は、10%以下がより好ましく、8%以下がさらに好ましく、6%以下が特に好ましく、5%以下が最も好ましい。
TiOは、ヤング率を向上させる成分であり、含有させてもよい。TiOを含有させる場合の含有量は、0.1%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましく、1%以上がさらに好ましい。一方、TiOの含有量が7%超であると溶融時に失透しやすくなり、ガラスの品質が低下するおそれがあるため、TiOの含有量は7%以下が好ましい。TiOの含有量は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下がさら好ましく、1.5%以下が特に好ましい。
ZrOは、ヤング率を向上させる成分でもあり、含有させてもよい。ZrOを含有させる場合の含有量は、0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。一方、ZrOの含有量が8%超であると溶融時に失透しやすくなり、ガラスの品質が低下するおそれがあるため、ZrOの含有量は8%以下が好ましい。ZrOの含有量は、6%以下がより好ましく、4%以下がさらに好ましく、2%以下が特に好ましく、1.2%以下が最も好ましい。
La、Nbは、ヤング率を向上させる成分であり、含有させてもよい。これらの成分を含有させる場合のそれぞれの含有量は、0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、2%以上がさらに好ましく、2.5%以上が特に好ましく、3%以上が最も好ましい。一方、La、Nbの含有量はそれぞれ15%超であると溶融時にガラスが失透しやすくなり、化学強化ガラスの品質が低下するおそれがあるため、La、Nbの含有量はそれぞれ、15%以下が好ましい。La、Nbの含有量はそれぞれ、12%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、8%以下が特に好ましく、5%以下が最も好ましい。
Ta、Gdは、ヤング率を向上させるために少量含有してもよいが、溶融時に失透しやすくなり、ガラスの品質が低下するおそれがあるため、これらの成分を含有させる場合のそれぞれの含有量は3%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、含有しないことがさらに好ましい。
さらに、ガラスをより可視域の色調を調整して使用する際は、所望の透過率特性の達成を阻害しない範囲において着色成分を添加してもよい。着色成分としては、例えば、NiO、CuO、V、Bi、SeO、TiO、CeO、Er、Nd等が好適なものとして挙げられる。
これら着色成分の含有量は、合計で7%以下の範囲が好ましい。7%を超えるとガラスが失透しやすくなり望ましくない。この含有量は5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。ガラスの赤外透過率を優先させる場合は、これらの成分は実質的に含有しないことが好ましい。
Asは含有しないことが好ましい。Asを含有する場合は、0.3%以下が好ましく、0.1%以下がより好ましく、含有しないことが最も好ましい。
ガラスの溶融の際の清澄剤として、SO、塩化物、フッ化物などを適宜含有してもよい。その場合の各成分のガラスへの添加量は、それぞれ外割で0.01~1.5%が好ましく、0.5~1.2%がより好ましい。
Cは、Crを含有するガラスにおけるCr6+の含有量を調整するために、ガラスの溶融の際の雰囲気に応じて任意に添加される。Cの添加量は、Cr6+の含有量を上記範囲とする量として、外割で0.01~0.1%が好ましく、0.02~0.06%がより好ましい。
CdS-CdSe系の赤外線透過ガラスの含有成分であるカドミウム(Cd)が人体に対して毒性を有し、さらに、カドミウムは発がん性を有するとの報告もなされている。また、カドミウムは人体への蓄積性も指摘され、一度カドミウムに暴露されると、長期間その毒性にさらされる危険性があり、上記ガラスはCdを含有しない。
本光学部材に用いるガラス基板は、例えば、ガラス組成が所望の範囲、好ましくは上記Crを含有するガラスの組成となるように種々の原料を適量調合し、加熱し溶融した後、脱泡、撹拌などにより均質化し、周知の、フロート法、ダウンドロー法、プレス法またはロールアウト法などによって板状等に、またはキャストしてブロック状に成形し、徐冷後、板状に加工して得られる。
上記ガラス基板としては、例えば、フロート法により成形されたガラス板を用いることが好ましい。また、ガラス基板は風冷強化(物理強化)や化学強化により強化処理がなされていることが好ましい。強化処理により、ガラス基板の表面に圧縮応力層が形成され、傷や衝撃に対する強度が向上する。
物理強化による圧縮応力層を形成しやすい観点から、ガラス基板を構成するガラスの線膨張係数は、30×10-7/℃以上が好ましく、35×10-7/℃以上がより好ましく、60×10-7/℃以上がさらに好ましい。また、ガラスの線膨張係数は、物理強化後の寸法精度の観点から、100×10-6/℃以下が好まく、95×10-6/℃以下がより好ましく、90×10-6/℃以下がさらに好ましい。なお、本明細書における線膨張係数は、50℃~350℃での平均線膨張係数である。
物理強化による圧縮応力層を形成する場合に、さらに波面収差を例えば1.0λRMSと小さくしたい場合、もしくは飛び石によるチッピング耐性を確保したい場合は、ガラス基板を構成するガラスの線膨張係数は、20×10-7/℃以上が好ましく、25×10-7/℃以上がより好ましく、30×10-7/℃以上がさらに好ましい。また、ガラスの線膨張係数は、物理強化後の寸法精度や波面収差の観点から、50×10-6/℃以下が好まく、40×10-6/℃以下がより好ましく、31×10-6/℃以下がさらに好ましい。なお、本明細書における線膨張係数は、50℃~350℃での平均線膨張係数である。
また、ガラス基板を構成するガラスのTgは、物理強化時の耐熱性および作業性の観点から470~630℃が好ましい。Tgは、より好ましくは500~600℃、さらに好ましくは535~580℃である。既存の物理強化炉を用いて750℃以下の温度域で物理強化をすることが可能となる。
強化処理されたガラス基板は、例えば、表面圧縮応力(CS)が10MPa以上であることが好ましい。表面圧縮応力は30MPa以上がより好ましく、50MPa以上がさらに好ましく、100MPa以上が特に好ましい。物理強化後の寸法精度を精度良く制御したい場合は70MPa以下とすることが好ましい。
ガラス基板に圧縮応力層を入れる部合に、さらに波面収差を例えば0.5λRMSとより小さくしたい場合は、表面圧縮応力(CS)が90MPa以下とすることが好ましい。表面圧縮応力は65MPa以下がより好ましく、50MPa以下がさらに好ましく、40MPa以下が特に好ましい。
ガラス基板に圧縮応力層を入れる部合は、その深さが300μm以上であることが好ましい。圧縮応力層の深さは350μm以上であることがより好ましく、400μm以上であることがさらに好ましく、500μm以上であることが最も好ましい。深さが300μm未満であると十分な飛び強度を確保できない。
なお、表面圧縮応力(CS)と圧縮応力層の深さ(DOL)は、次のようにして測定できる。
圧縮応力層を形成する前のガラス基板から、全面が鏡面である円板を作製する。作製した円板を用いて、円板圧縮法により、光弾性定数を求める。次いで、強化処理されたガラス基板を切断した後、切断面を光学研磨し、レターデーションを複屈折測定装置により測定する。そして、測定されたレターデーションの値を上記光弾性定数とガラス基板の厚みで除することで、発生応力(表面の圧縮応力(CS))を求めることができる。
また表面から圧縮応力がゼロとなるまでの距離を算出し、圧縮応力層の深さ(DOL)を求める事ができる。ただし典型的には板厚の1/6である。
ガラス基板は、グラベロ試験 条件Aにおいて破損しないことが好ましい。破損しないことで内部のセンサー部品等を保護することが可能となる。
ガラス基板は、グラベロ試験 条件Bにおいて任意の3点の平均傷深さが小さいことが好ましい。傷深さが500μm以下であることが好ましく、さらには300μm以下であることが好ましく、さらに150μm以下であることが好ましく、100μm以下であることが最も好ましい。
本光学部材に用いるガラス基板の大きさは用途に応じて適宜調整できる。例えば、フロート法等で得られたガラス板が所定のサイズに切断して用いられる。ガラス基板の第1の主面と第2の主面を繋ぐ端面は、端部やその近傍の割れを防止する等の目的で面取り加工されていることが好ましい。
ガラス基板としては、熱に対する形状安定性、特に(3)の要件を満足させる観点から単板のガラス板を用いることが好ましい。ただし、本光学部材が(1)~(3)の要件を満足する限りにおいて、ガラス基板は必要に応じて合わせガラスであってもよい。
[光干渉膜]
光干渉膜は、ガラス基板の主面上に形成され、得られる光学部材が(1)~(3)の要件を達成するように機能する。例えば、図1Aに示す光学部材10Aにおいては、ガラス基板1の第1の主面1a上に形成された光干渉膜2が上記機能を有し、図1Bに示す光学部材10Bにおいては、ガラス基板1の第1の主面1a上に形成された光干渉膜2および第2の主面1b上に形成された光干渉膜3の機能の組み合わせにおいて上記機能を有する。光学部材が第2の主面上にのみ光干渉膜を有する場合も同様である。
光干渉膜は、例えば、得られる光学部材において、入射角0度~5度の範囲で、ガラス基板を単独で使用した場合に比べてTmax400-700を低下させるとともに、波長λにおいて、ガラス基板を単独で使用した場合に比べて反射率を低下させることで、(1)および(2)の要件を達成するように機能する。光干渉膜は耐熱性の材料で構成されることで(3)の要件を達成できる。光干渉膜は、さらに、得られる光学部材が(4)および(5)の要件の1以上を満たすように機能することが好ましい。
光干渉膜は、光学部材が(1)~(3)の要件を満足する、好ましくは、さらに、(4)および(5)の要件の1以上を満足するように機能するものであれば、これらに加えて、例えば、可視光遮蔽性、紫外線遮蔽性、防汚性、防塵性等の付与、耐久性の向上等の他の機能を併せもつ膜でもよい。
光干渉膜をガラス基板の両主面上に設ける場合、それぞれの光干渉膜については、これを単独で用いた場合に光学部材が(1)~(3)の要件を満たすものでなくともよい。好ましくは、単独で用いた場合に、光学部材が(1)~(3)の要件を満たし、好ましくは(4)および(5)の要件の1以上を満たす光干渉膜を、ガラス基板の両主面上に設ける。この場合、それぞれの光干渉膜を単独で用いる場合に比べて、Tmax400-700は低下し、Tmin(2)は向上する傾向にある。光干渉膜の構成は、光学部材に求められる光学特性に応じて、適宜選択される。
光干渉膜は、1層のみで構成される単層膜であってもよく、2層以上が積層された多層膜であってもよく、多層膜が好ましい。光干渉膜が多層膜である場合、低屈折率層と高屈折率層を含む2層以上で構成される多層膜が好ましい。多層膜の合計の層数は、製造コストおよび薄層化の観点から32層以下が好ましく、20層以下が特に好ましい。
多層膜が低屈折率層と高屈折率層を含む場合、低屈折率層と高屈折率層は、好ましくは、互いに隣接して積層される。低屈折率層は屈折率の低い材料(低屈折率材料)から、高屈折率層は屈折率の高い材料(高屈折率材料)からそれぞれ構成される。低屈折率層と高屈折率層の屈折率差、すなわち、低屈折率材料と高屈折率材料の屈折率差は、0超であればよく、0.1以上が好ましい。なお、本明細書中での光干渉膜を構成する光学薄膜の屈折率についての記述は、全て設定波長λsにおける各々の材料の屈折率のことを意味している。
低屈折率層と高屈折率層を有する多層膜は、さらに中間屈折率層を有する構成であってもよい。中間屈折率層は屈折率が低屈折率材料の屈折率より高く、高屈折率材料の屈折率より低い中間屈折率材料から構成される。多層膜が低屈折率層、高屈折率層、および中間屈折率層を有する場合、好ましくは、低屈折率層と高屈折率層は互いに隣接して積層され、中間屈折率層は、高屈折率層の低屈折率層に接する主面と反対側の主面に接するように積層される、または、低屈折率層の高屈折率層に接する主面と反対側の主面に接するように積層される。
低屈折率層を構成する低屈折率材料の屈折率は、1.35以上1.55未満が好ましい。低屈折率材料としては、例えば、酸化ケイ素、フッ化マグネシウム等の低屈折率物質を主成分とする材料が挙げられる。なお、各屈折率層において主成分とは、該物質を90%以上含有することを表す。低屈折率材料は、屈折率が低く、好ましくは屈折率が上記範囲に調整される限り、低屈折率物質の少なくとも1種を主成分とし、さらに、中間屈折率物質、高屈折率物質を含有する構成でもよい。低屈折率材料は、好ましくは低屈折率物質のみから構成され、より好ましくは低屈折率物質の1種のみで構成される。成膜性における再現性、安定性、経済性等の点から、低屈折率物質として酸化ケイ素を用いることが好ましい。
高屈折率層を構成する高屈折率材料の屈折率は、1.90以上5.00以下が好ましい。高屈折率材料としては、例えば、水素化ケイ素、ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化セリウム、ケイ素、酸化銅、ゲルマニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル等の高屈折率物質を主成分とする材料が挙げられる。
なお、これらの高屈折率物質には、窒化物、酸化物や酸窒化物を構成する金属以外の金属がドープされていてもよい。ドープされた金属を含む高屈折率物質としては、例えば、ジルコニウムドープ酸化チタン、ジルコニウムドープ酸化ケイ素、アルミドープ酸化ジルコニウム、ジルコニウムドープ酸化ニオブ、ハフニウムドープ酸化ジルコニウム、アルミドープ酸化亜鉛、アルミドープ窒化ケイ素、アルミドープ酸窒化ケイ素等が挙げられる。高屈折率材料は、屈折率が高く、好ましくは屈折率が上記範囲に調整される限り、高屈折率物質の少なくとも1種を主成分とし、さらに、低屈折率物質、中間屈折率物質を含有する構成でもよい。高屈折率材料は、好ましくは高屈折率物質のみから構成され、より好ましくは高屈折率物質の1種のみで構成される。
これらのうち、多層膜とした際に所望の光学特性が得られる点から、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化セリウム、ケイ素、酸化銅、水素化ケイ素、酸化ニオブ、酸化タンタル、ジルコニウムドープ酸化チタン、ジルコニウムドープ酸化ケイ素が好ましい。さらに、多層膜とした際に所望の硬度が得られる点から、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化セリウム、ケイ素、水素化ケイ素、酸化ニオブ、酸化タンタル、ジルコニウムドープ酸化チタン、ジルコニウムドープ酸化ケイ素が好ましく、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、窒化アルミニウム、酸化スズ、ケイ素、水素化ケイ素、酸化ニオブ、酸化タンタル、ジルコニウムドープ酸化チタン、ジルコニウムドープ酸化ケイ素がより好ましく、熱に対する形状安定性の観点から、窒化ケイ素、酸化ニオブ、水素化ケイ素、ケイ素、ジルコニウムドープ酸化チタンが特に好ましい。
中間屈折率層を構成する中間屈折率材料の屈折率は、1.55以上1.90未満が好ましい。中間屈折率材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸窒化ケイ素、酸窒化アルミニウム、酸化ケイ素と酸化ジルコニウムの混合物、酸化ケイ素と窒化アルミニウムの混合物等の中間屈折率物質を主成分とする材料が挙げられる。中間屈折率材料は、屈折率が高屈折率材料の屈折率と低屈折率材料の屈折率の間にあり、好ましくは屈折率が上記範囲に調整される限り、中間屈折率物質の少なくとも1種を主成分とし、さらに、低屈折率物質、高屈折率物質を含有する構成でもよい。好ましい、中間屈折率物質として、酸化ケイ素と窒化アルミニウムの混合物が挙げられる。中間屈折率材料は、好ましくは中間屈折率物質のみから構成され、より好ましくは中間屈折率物質の1種のみで構成される。
中間屈折率物質としては、多層膜とした際に所望の光学特性および硬度が得られる点から、酸化アルミニウム、酸窒化ケイ素、酸窒化アルミニウムが好ましく、酸化アルミニウムが特に好ましい。
なお、上に説明した各屈折率層に用いる金属化合物において、例えば、窒化ケイ素は、必ずしも化学量論的な組成比の窒化ケイ素(Si:N=3:4)からなる必要はなく、例えば組成比がこれからずれた非化学量論的な組成比の窒化ケイ素からなるものでもよい。本明細書において、窒化+金属名、酸化+金属名、酸窒化+金属名で表記される金属の窒化物、酸化物や酸窒化物は、特に断りのない限り化学量論的な組成比または非化学量論的な組成比の窒化物、酸化物や酸窒化物を示す。必要に応じて、例えば、窒化ケイ素であればSiNのように記載することもある。
好ましい高屈折率層、中間屈折率層、低屈折率層の組み合わせとして、ジルコニウムドープ酸化チタン(以下、TiZrOで示す。)層とSiO層、SiN層とAl層とSiO層、ジルコニウムドープ酸化ケイ素(以下、SiZrOで示す。)層とSiO層、Si層とSiO層、Ta層とSiO層、TiO層とSiO層、Nb層とSiO層、ZrO層とSiO層、SnO層とSiO層が挙げられ、TiZrO層とSiO層、SiN層とAl層とSiO層、SiZrO層とSiO層、Si層とSiZrO層とSiO層、Si層とSnO層とSiO層、Si層とTiZrO層とSiO層、Si層とSiN層とSiO層、Si層とTa層とSiO層の組み合わせが特に好ましい。
光干渉膜が多層膜である場合の各層の幾何学的厚みは、用いる材料や求められる光学特性に応じて適宜設定される。光干渉膜において、主たる目的の波長域が赤外域であることから、光干渉膜を構成する層の少なくとも1層は幾何学的厚みが50nm以上であることが好ましい。光干渉膜を構成する各層の幾何学的厚み(1層あたりの膜厚)は、それぞれ、1nm~500nmに設定することができる。各層の幾何学的厚みは1~400nmがより好ましく、1~400nmがさらに好ましい。
光干渉膜においては、1層あたりの膜厚の上限を500nmとすることにより、光散乱による透過率減少を抑制することができる。なお、光干渉膜の1層あたりの膜厚を1nm以上とするのは、光干渉膜が実際に連続膜として存在し、その機能を充分に発揮させるようにするためである。
また、主たる目的の波長域が赤外域であることから、光干渉膜の幾何学的総膜厚は、300nm以上が好ましく、400nm以上がより好ましく、500nm以上がさらに好ましい。一方、光散乱による透過率低下防止およびガラス基板の反り防止の点から、光干渉膜の幾何学的総膜厚は、2000nm以下が好ましく、1500nm以下がより好ましく、1200nm以下がさらに好ましい。
なお、光干渉膜がガラス基板の両主面上に設けられる場合、個々の光干渉膜について上記と同様の構成とできる。ただし、光干渉膜の幾何学的総膜厚の上限は、2つの光干渉膜の合計で、4000nmが好ましい。光干渉膜をガラス基板の両主面上に設けることで、光干渉膜の内部応力によりガラス基板に反りが生じるのを抑制する効果がある。
光干渉膜における層数、層の構成材料、積層順、層の厚み等の積層構造は、求められる光学特性に応じて適宜変更可能である。例えば、光干渉膜が中間屈折率層、高屈折率層、および低屈折率層の積層体で構成される場合、各層の幾何学的厚みは、各層を構成する材料や求められる光学特性に応じて適宜設定される。
光干渉膜がガラス基板の両方の主面に設けられる場合の例として、例えば、図1Bに示す光学部材10Bを例に説明する。光学部材10Bにおいて、ガラス基板1は第1の主面1aがセンサ側、第2の主面1bが外部側に向かって位置する。ガラス基板1の第1の主面1a上に設けられた第1の光干渉膜2は、第1の主面1a側から高屈折率層と低屈折率層が交互に積層した構成が好ましい。また、ガラス基板1の第2の主面1b上に設けられた第2の光干渉膜3は、第2の主面1b側から高屈折率層と低屈折率層が交互に積層した構成が好ましい。
第1の光干渉膜2は、例えば、高屈折率層としてのTiZrO層もしくはTaと、低屈折率層としてのSiO層が交互に積層された多層膜が好ましい。また、高屈折率層としてのTiZrO層もしくはTa層の一部が水素化ケイ素(以下、SHで示す。)層またはケイ素Siに置換された構成も好ましい。この場合の第2の光干渉膜3としては、例えば、高屈折率層としてのTiZrO層、SiN層またはTa層と、低屈折率層としてのSiO層が交互に積層された多層膜が多層膜の耐熱性の観点から好ましい。
上記において、第1の光干渉膜2の層数は6~20が好ましく、6~16がより好ましい。また各層の膜厚は1~300nmが好ましく、1~250nmがより好ましい。第1の光干渉膜2の総膜厚は400~1000nmが好ましく、400~600nmがより好ましい。また、第2の光干渉膜3の層数は6~16が好ましく、6~112がより好ましい。また各層の膜厚は1~400nmが好ましく、1~300nmがより好ましい。第2の光干渉膜3の総膜厚は300~1200nmが好ましく、300~700nmがより好ましい。
本光学部材は、使用される環境、部位に応じて、その外観を周囲と調和するように可視光領域の反射率が調整されていることが好ましく、Rv1aveに応じて、第1の光干渉膜2および第2の光干渉膜3を以下のように設計してもよい。
例えば、光学部材のRv1aveを6%未満とするには、第1の光干渉膜2と第2の光干渉膜3のどちらかの光干渉膜、もしくは両方の光干渉膜中に波長400~700nmの光に対して吸収を有する層が1層以上ある状態のガラス物品を、センサと反対側の主面から入射角5度で入射したISO9050:2003に規定される可視光の反射率の最大値が12%未満になるように、第1の光干渉膜とガラス基板を設計することが好ましい。
また、本光学部材のRv1aveを6%以上35%未満とするには、第1の光干渉膜2と第2の光干渉膜3を成膜した状態のガラス物品を、センサと反対側の主面から入射角5度で入射したISO9050:2003に規定される可視光の反射率の最大値がRv1ave+5%未満になるように、第1の光干渉膜とガラス基板を設計することが好ましい。
さらに、本光学部材のRv1aveを35%以上とするには、第2の光干渉膜3について、高屈折率層を3~10層、低屈折率層を3~10層として、層数を6~20、各層の膜厚を10~200nm、総膜厚を300~1000nmとした多層膜を用いることが好ましい。
光干渉膜は、ガラス基板に公知の成膜方法で形成することができる。具体的には、加熱蒸着法やスパッタリング法、イオンアシスト蒸着(IAD:Ion Assisted Deposition)法などの成膜法を用いて形成する。特に、光干渉膜として耐擦傷性の高い膜を形成する場合は、緻密な膜が得られるように、スパッタリング法やイオンアシスト蒸着法を用いることが好ましい。
以上、図1Bを参照しながらガラス基板1、第1の光干渉膜2および第2の光干渉膜3からなる光学部材10Bについて説明した。光学部材10Bは、本発明の効果を損なわない範囲で、ガラス基板1、第1の光干渉膜2および第2の光干渉膜3の設計を変更可能である。また、光学部材10Bは、本発明の効果を損なわない範囲で、ガラス基板1、第1の光干渉膜2および第2の光干渉膜3以外の任意の構成要素を有してもよい。任意の構成要素として、撥水機能、親水機能、防曇機能、防汚機能等を付与するコーティング、低放射性コーティング、赤外線遮光コーティング、導電性コーティング等が挙げられる。例えば、撥水機能、防汚機能等を付与するコーティングは、光学部材の外表面の最表層として、光学部材10Bにおいては第2の光干渉膜3の主面3b上に5~20nmの厚みで設けられることが好ましい。
本光学部材は、(3)の要件を満たすことで、熱により該赤外光の透過性に歪みが発生するのを抑制している。また、本光学部材は、より高い温度での耐熱性が要求される場合、光学部材を大気下、温度600℃で24時間加熱した前後の上記波長λsにおける入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光の最大透過率の差(以下、「ΔT600℃λs」ともいう。)が3%以下であるのが好ましい。赤外光透過性の熱による影響をより抑える観点から、ΔT600℃λsは、1.0%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。
本光学部材は、耐光性、特に紫外線耐性(以下、「耐UV性」)の観点から、光学部材を40℃にて300w/mにてキセノンランプを24時間照した前後の上記波長λsにおける入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光の最大透過率の差(以下、「ΔTuvλs」ともいう。)が2%以下であるのが好ましい。赤外光透過性の紫外線による影響をより抑える観点から、ΔTuvλsは、1%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。
本光学部材は、耐薬品性、特に耐酸性の観点から、光学部材を1mol、20℃のHCl溶液中に入れ、6時間放置した前後の上記波長λsにおける入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光の最大透過率の差(以下、「ΔTHClλs」ともいう。)が2%以下であるのが好ましい。赤外光透過性の酸性雨による影響をより抑える観点から、ΔTHClλsは、1%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。
本光学部材において、光干渉膜の表面で測定される押込み深さ50nmのマルテンス硬度は、ガラス基板の表面に対して測定される押込み深さ50nmのマルテンス硬度よりも大きいことが好ましい。本明細書における、マルテンス硬度は、微小硬さ試験機により、ビッカース圧子を用い、最大荷重到達時間を10秒、クリープ時間を5秒、押し込み荷重を0.05mNから500mN、負荷速度を1mmN/10s、除荷速度を1mmN/10sとして、負荷-除荷試験を行った際の、押込み深さ50nmにおけるマルテンス硬度である。以下、上記測定条件で測定される押込み深さ50nmのマルテンス硬度を、単に「マルテンス硬度」という。
本光学部材においてガラス基板の表面で測定されるマルテンス硬度は、4N/mm以上が好ましく、4.5N/mm以上がより好ましく、5N/mm以上がさらに好ましい。光干渉膜の表面で測定されるマルテンス硬度は、ガラス基板の表面で測定されるマルテンス硬度より大きい条件を満たした上で、4N/mm以上が好ましく、4.5N/mm以上がより好ましく、5N/mm以上がさらに好ましい。該マルテンス硬度は、光干渉膜を構成する材料の一部に上記において硬度の点で好ましいとした材料とすることで、達成できる。好ましい材料としてSiN、AlN、Al、ZrOを含む材料が上げられる。
本光学部材において波長λsにおける入射角60度の光の透過率が70%以上であるとより高角度(広範囲)におけるセンサ精度を維持することが可能になり好ましい。より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、よりさらに好ましくは85%以上、最も好ましくは87%以上である。
本光学部材においては、少なくとも一面から入射角5度で入射する、ISO9050:2003に規定される可視光の平均反射率が75%以上であることが、ミラー効果があり、不必要な光を入れないことや高温にならないようにすることや、見栄えの点で好ましい。該平均反射率は80%以上がより好ましく、85%以上がさらに好ましい。
本光学部材は、光干渉膜の表面において測定される水接触角は、例えば、車両に使用するセンサカバーとして車両の外側に施される場合には、水の赤外線吸収による透過率低下を防止するという観点と汚れを防止する観点から90度以上が好ましく、100度以上がより好ましい。光干渉膜の水接触角を高めるには光干渉膜の最表面にフッ素系防汚剤やダイヤモンドライクカーボンを1から15nmの厚みでコーティングすることにより実現できる。
LiDARセンサ等のセンサに本光学部材をカバーとして取り付ける方法としては、例えば、赤外光を透過する接着剤を介して直接貼付する方法、LiDARセンサ等のセンサの筐体に取り付ける方法等が挙げられる。
LiDARセンサは、輸送機、例えば、電車、自動車、船舶、航空機に搭載されて使用される。本光学部材は、特に、自動車に搭載される、LiDARセンサのカバーとして好適である。LiDARセンサは自動車に搭載される際に、例えば、バンパー、サイドミラー、ピラー、室内ミラーの背面部分等に取り付けられる場合がある。本光学部材は、適用箇所に応じて、強度や意匠性を調整できる点で有利である。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。図1Bに示すのと同様の構成、ただし、第1の光干渉膜2および第2の光干渉膜3の構成が、各例により適宜変更された、光学部材を作製し評価した。例1~11、14が実施例であり、例12、13が比較例である。
[ガラス基板の作製]
ガラス基板として表1~3に組成および特性を示すG1~G24のガラス基板を準備した。ガラス基板G1~G15、G17~G24については以下の方法で作製した。ガラス基板G16は、ショット社製のRG780(商品名)である。
酸化物基準の質量百分率表示で、表1~3に記載の組成となるように原料を調製し、白金製るつぼに入れ、1550℃の抵抗加熱式電気炉に投入し、2時間溶融し、脱泡、均質化した。なお、表1~3に示される組成については、有効数字を四捨五入して記載しているため、ガラス組成における各成分の含有量の合計が100%にならない場合がある。
得られたガラスを型材に流し込み、Tg+50℃の温度で1時間保持した後、1℃/分の速度で室温まで冷却し、ガラスブロックを得た。次いで、ガラスブロックを切断、研磨し、両面を鏡面加工することにより、表1~3に示される厚み(単位:mm)を有する各例のガラス基板を得た。
ガラス基板G1~G18、G20~G24は単板であり、ガラス基板G19はガラス基板G18と同じ組成のガラスからなる2.1mm厚のガラス板を2枚(ただし、内1枚は合わせガラスとする際の中間膜と接する主面に赤外透過黒色インク層を有する)を中間膜(ポリビニルブチラール製、0.75mm厚)で接着した合わせガラスである。
(物性)
(1)密度
得られたガラス基板を構成するガラスについて、自動比重測定装置(ASG-320K)関東メジャー(株)を用いて、JIS Z8807に従って測定した。なお、表2及び表3において()の数値は、自動比重測定装置で測定した密度の実測値と、自動比重測定装置で密度を測定した各ガラスと密度を計算するガラスとのガラス組成差とから、線形回帰法で求めた計算値である。
(2)Tg
得られたガラス基板を構成するガラスについて、熱機械分析装置(TMA)(NETZSCH製 TD5000SA)を用いて測定した。なお、表2及び表3において()の数値は、熱機械分析装置で測定したTgの実測値と、熱機械分析装置でTgを測定した各ガラスとTgを計算するガラスとのガラス組成差とから、線形回帰法で求めた計算値である。
(3)線膨張係数
得られたガラス基板を構成するガラスについて、熱機械分析装置(TMA)(NETZSCH製 TD5000SA)を用いて、50~350℃における熱膨張曲線を昇温速度5℃/分の条件で測定し、線熱膨張係数(単位:10-7/℃)を測定した。なお、表2及び表3において()の数値は、熱機械分析装置で測定した線膨張係数の実測値と、熱機械分析装置で線膨張係数を測定した各ガラスと線膨張係数を計算するガラスとのガラス組成差とから、線形回帰法で求めた計算値である。また、表2において「*1」の数値は、200~300℃における線膨張係数の実測値である。
(4)光学特性
光学特性は、分光光度計(V-780自動絶対反射率測定システム、日本分光社製)を用いて、で以下の項目について測定した。
(Tv、Tmax400-700
入射角0度における波長400~700nmの平均透過率をTvとした。入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光に対して、波長400~700nmの透過率の最大値をTmax400-700とした。
(波長域幅(3%以上)、(25%以上)、(30%以上))
波長400~700nmの波長域において、入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光に対して、光の透過率が3%以上、25%以上および30%以上である波長域の幅をそれぞれ求めた。
(T365、T800、T905、T1050、T1550
入射角0°における波長365nm、800nm、905nm、1050nm、1550nmの透過率をそれぞれ、T365、T800、T905、T1050、T1550で示した。
(透過L、透過a、透過b
ISO9050:2003に規定される可視光を照射して得られる透過光について、CIE1976L色度座標を、透過L、透過a、透過bで示した。
(T800-60deg、T905-60deg、T1050-60deg、T1550-60deg
入射角60°における波長800nm、905nm、1050nm、1550nmの透過率をそれぞれ、T800-60deg、T905-60deg、T1050-60deg、T1550-60degで示した。
Figure 0007484897000001
Figure 0007484897000002
Figure 0007484897000003
また、ガラス基板G9、G17、G20、G22について、異なる冷却条件において強化した表面の圧縮応力(発生応力)を以下のようにして測定した。また、後述の光学部材と同様の方法で波面収差を測定した。結果を表4に示す。
(表面の圧縮応力)
まず、圧縮応力層を形成する前のガラス基板から、全面が鏡面である円板を作製した。作製した円板を用いて、円板圧縮法により、光弾性定数を求めた。次いで、全面が鏡面である50×50×4mmのサイズのガラスを準備し、SUS製のジグを用いてガラスを所望の温度(物理強化温度)まで140秒で昇温後、70秒保持した。その後所望の風圧にて圧縮空気を吹き付け急冷した。作製した急冷ガラスを切断した後、切断面を光学研磨し、レターデーションを複屈折測定装置により測定した。そして、測定されたレターデーションの値を光弾性定数とガラス厚みにて除することで、発生応力(表面の圧縮応力(単位:MPa))を求めた。
飛び石耐性はグラベロ試験を行う事によって評価した。まず、ガラス基板から、全面が鏡面であるガラス基板50×50×4mmを作成した。この基板を45×45の孔があいているSUSジグに貼り付け、ガラス基板の周辺端部のみがジグに接するように張り付けた。さらにガラス端部が露出しないように両面テープを用いて保護を行った。このガラス基板に対して飛び石が45°の角度でぶつかるようにセットし、下記条件にてグラベロ試験を実施した。なお、グラベロ試験はスガ試験機株式会社製の飛び石試験機JA400を用いて実施した。
条件A:射出圧 0.5MPa 投射材 玄武岩6号 投射量 500ml
条件B:射出圧 0.2MPa 投射材 玄武岩7号 投射量 50g
これによりガラスが破損した場合×、ガラスが破損しなかった場合を〇とした。
上記グラベロ試験により破損しなかった場合、ガラス表面上の任意の3点の傷深さをレーザー顕微鏡で測定し、最も深い部分を傷深さとし、平均値を算出し、傷深さとした。
Figure 0007484897000004
[例1~14]
上記で得られたガラス基板G1、G2、G4、G5、G9、G10、G15、G16、G20を用いて、以下の方法で各層を成膜して、表5、6に積層構成を示す光学部材を作製した。表5、6において、表の最上段の層がセンサ側に位置する層であり、最下段の層が外部から見た際に最表層とされる層である。基板より上側に積層構造を示す積層体が第1の光干渉膜2であり、基材より下側に積層構造を示す積層体が第2の光干渉膜3である。表中には、各層の膜厚とともに第1の光干渉膜2の合計膜厚を「合計膜厚1」、第2の光干渉膜3の合計膜厚を「合計膜厚2」、これらの合計を「総膜厚(1+2)」として記載した。
<成膜方法>
スパッタリング装置(RAS1100BII、シンクロン社製)を用いて、ガラス基板の主面上に各層を表5、6に示す順および厚みで積層した。高屈折率層として、TiZrO層、Ta層、SiN層、SH層、を使用した。中間屈折率層としてAl層を使用し、低屈折率層として、SiO層を使用した。なお、表中、各層の構成材料をそれぞれ、TiZrOx、Ta2O5、SiNx、SHx、Al2O3、SiO2と表記した。
TiZrO層は成膜にはターゲットに原子比でTi/(Ti+Zr)=0.8のTiZrOx-a(aは正の数)の導電性のある低級酸化物ターゲットを用い成膜室の放電ガスとして350sccmのアルゴンを導入し、ターゲットに5kWの電力を印加し、反応室の放電ガスとして90sccmの酸素導入し、ラジカル源に4kWの電力を印加し成膜を行った。
Ta層の成膜には純Taターゲットを用い、成膜室の放電ガスとしてアルゴンを250sccm導入し、ターゲットに5kWの電力を印加し、反応室の放電ガスとして90sccmの酸素を導入しラジカル源に3kWの電力を印加し成膜を行った。
SiN層の成膜にはBドープの多結晶Siターゲットを用い、成膜室の放電ガス室の放電ガスとして90sccm窒素を導入し、ラジカル源に1kWの電力を印加し成膜を行った。
SiH層の成膜にはBドープの多結晶Siターゲットを用い、基板の温度を200℃に昇温し温度を保持した状態で成膜室の放電ガスとして350sccmの水素が原子比で7%添加されたアルゴンの混合ガスを導入し、ターゲットに5kWの電力を印加し、反応室の放電ガスとして150sccmの水素が原子比で7%添加されたアルゴンの混合ガスを導入し、ラジカル源に4kWの電力を印加し成膜を行った。
SiO層の成膜にはBドープの多結晶Siターゲットを用い、成膜室の放電ガスとしてアルゴンを250sccm導入し、ターゲットに7kWの電力を印加し、反応室の放電ガスとして90sccmの酸素を導入しラジカル源に3kWの電力を印加し成膜を行った。
Al層の成膜には純Alターゲットを用い、成膜室の放電ガスとしてアルゴンを250sccm導入し、ターゲットに7kWの電力を印加し、反応室の放電ガスとして80sccmの酸素を導入しラジカル源に1.5kWの電力を印加し成膜を行った。
Figure 0007484897000005
Figure 0007484897000006
<評価>
得られた例1~14の光学部材の特性を以下のとおり評価した。結果を表7、8に示す。また、図2に、例6の光学部材の入射角0度における分光透過率曲線(実線)およびガラス基板G4の入射角0度における分光透過率曲線(破線)を示す。
[分光光度測定]
分光光度計(V-780自動絶対反射率測定システム、日本分光社製)を用い、絶対透過、絶対反射測定で角度可変ユニットを用いて反射率および透過率を測定した。入射角度が5度を超える場合は、S偏光、P偏光の光源で透過率、反射率の測定をそれぞれ行い、S偏光とP偏光を光源とした測定値の平均値を、透過率、反射率とした。透過率については、測定光を、光学部材の第1の光干渉膜2に対して照射して測定した。反射率については、測定光を、光学部材の第1の光干渉膜2に対して照射して測定した場合をR2、光学部材の第2の光干渉膜3に対して照射して測定した場合をR1とした。
(Tv、Tmax400-700
入射角0度以上5度以下の範囲で入射する波長400~700nmの光の平均透過率をTvとした。入射角0度以上5度以下の範囲で入射する波長400~700nmの光の透過率の最大値をTmax400-700とした。
(Tmin(2);Tmin(2)800、Tmin(2)905、Tmin(2)1050、Tmin(2)1550
λsが800nm、905nm、1050nm、1550nmのときの入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光の透過率の最小値をそれぞれ、Tmin(2)800、Tmin(2)905、Tmin(2)1050、Tmin(2)1550で示した。
(ΔE)
光学部材の第2の光干渉膜3側の主面から入射する、ISO9050:2003に規定される可視光の入射角が5度から60度に変化したときの反射色の、CIE1976L色度座標における色度空間の色度差ΔEを測定した。
(Rv1ave、Rv2ave
測定面に対して入射角5度で入射するISO9050:2003に規定される可視光の平均反射率を測定した。第1の光干渉膜2に対して照射して測定した場合をRv2ave、光学部材の第2の光干渉膜3に対して照射して測定した場合をRv1aveとした。
[波面収差]
レーザー干渉式の平坦度計(Zygo社製、Verifire MarkIV)により表面形状を測定した結果からチル卜成分を除いた残さが表面形状を求め、表面形状の最大値と最小値の差を波面収差とした。測定波長は633nmを用い、測定箇所は、φ30mmとした。
[ΔT200℃λs
耐熱性の測定はまず、光学部材の入射角0度以上5度以下の範囲の400nm~1800nmの波長域における透過率を測定し、その後、バッチ炉にて200℃まで1hで昇温し200℃にて24h保持をし、そのまま室温まで1hで降温し光学部材を取り出した。再度光学部材の入射角0度以上5度以下の範囲の400nm~1800nmの波長域における透過率を測定し、波長λs(本評価では、905nm)における光の入射角0度以上5度以下の範囲の最大透過率の変化ΔT200℃λsを算出した。
[ΔT600℃λs
耐熱性の測定はまず入射角0度以上5度以下の範囲で入射する400nm~1800nmの波長域の光における透過率を測定し、その後バッチ炉にてサンプルを600℃まで30分で昇温し600℃にて10分保持をし、そのまま室温まで30分で降温しサンプルを取り出した。再度入射角0度以上5度以下の範囲で入射する400nm~1800nmの波長域における透過率を測定し、波長λs(本評価では、905nm)における光の入射角0度以上5度以下の範囲の最大透過率の変化ΔT600℃λsを算出した。
[耐UV性;ΔTuvλs
光学部材を300w/mのキセノンランプにて40℃で24h照射した前後の上記波長λs(本評価では、905nm)における入射角0度以上5度以下の範囲の光の最大透過率の差ΔTuvλsを得た。ΔTuvλsが2%以下である場合を〇とし2%を超える場合を×とした。
[耐酸性;ΔTHClλs
耐薬品性を確認するため1mol、20℃のHCl溶液中に光学部材を入れ、6時間放置した(耐酸性試験)。光学部材の試験前と試験後に400nm~1800nmの波長域における透過率を測定し、波長λs(本評価では、905nm)における入射角0度以上5度以下の範囲の光の透過率変化ΔTHClλsを算出した。ΔTHClλsが2%以下である場合を〇とし2%を超える場合を×とした。
Figure 0007484897000007
Figure 0007484897000008
さらに、例8および例11の光学部材について、入射角60°における波長800nm、905nm、1050nm、1550nmの透過率、T800-60deg、T905-60deg、T1050-60deg、T1550-60degをそれぞれ測定した。結果を、ガラス基板G1、G2、G4、G9の透過率と併せて表9に示す。
Figure 0007484897000009
本発明によれば、センサカバーとして用いて、可視光の透過率を下げることでセンサを秘匿し、熱によるセンサの誤動作を抑制し、かつLiDARセンサに使用される赤外光を歪むことなく十分に透過する光学部材が得られる。本発明の光学部材は、上記特徴を有することから、車両、特に、自動車に搭載される、LiDARセンサのカバーとして好適である。
本出願は、2019年4月3日に日本国特許庁に出願された特願2019-071501号に基づく優先権を主張するものであり、特願2019-071501号の全内容を本出願に援用する。
10A,10B…光学部材、1…ガラス基板、2,3…光干渉膜。

Claims (24)

  1. 非晶質のガラス基板と、前記ガラス基板の少なくとも一方の主面に配置された光干渉膜と、を備えるセンサカバー用の光学部材であって、
    入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光に対して、400nm以上700nm以下の波長域内における最大透過率が10%以下であり、800nm以上1800nm以下の波長域内の所定の波長λsにおける光の透過率の最小値が86.5%以上であり、
    前記光学部材を大気下、温度200℃で24時間加熱した前後の前記波長λsにおける入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光の最大透過率の差が3%以下の領域を備え
    前記ガラス基板は、400nm以上700nm以下の波長域において、入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光に対して、光の透過率の最大値が60%以下であり、
    前記ガラス基板を構成するガラスは、Fe 換算で1質量ppm以上120質量ppm以下の割合でFeを含有し、Cr 換算で500質量ppm以上20000質量ppm以下の割合でCrを含有する、光学部材。
  2. 前記ガラス基板は、400nm以上700nm以下の波長域において、入射角0度以上5度以下の範囲で入射する光に対して光の透過率が25%以上である波長域の幅が250nm以下であり、かつ前記波長λsにおける光の透過率が78.5%以上である請求項1に記載の光学部材。
  3. 前記所定の波長λsは、800nm、905nm、950nm、1050nmおよび1550nmから選択され、前記ガラス基板は、800nm、905nm、950nm、1050nmおよび1550nmから選択される2波長以上の所定の波長λsにおける光の透過率が78.5%以上である請求項1または2に記載の光学部材。
  4. 前記ガラス基板を構成するガラスは、Cr換算で9500質量ppm以下の割合でCrを含有する請求項1~3のいずれか1項記載の光学部材。
  5. 前記ガラス基板を構成するガラスは、Fe換算で15質量ppm以上の割合でFeを含有する請求項4記載の光学部材。
  6. 前記ガラス基板を構成するガラスは、Cr6+の含有量が1000質量ppm未満である請求項4または5記載の光学部材。
  7. 前記ガラス基板を構成するガラスは、LiOを0.1質量%以上5.0質量%以下の割合で含有する請求項4~6のいずれか1項記載の光学部材。
  8. 前記ガラス基板を構成するガラスは、50~350℃における線膨張係数が30×10-7/℃以上100×10-7/℃以下である請求項1~7のいずれか1項記載の光学部材。
  9. 前記ガラス基板は、表面圧縮応力が10MPa以上である請求項1~8のいずれか1項記載の光学部材。
  10. 前記ガラス基板は、板厚が2mm以上5mm以下である請求項1~9のいずれか1項記載の光学部材。
  11. 前記光学部材は、センサを保護するセンサカバー用であって、前記センサと反対側の主面から入射角5度で入射する、ISO9050:2003に規定される可視光の平均反射率が6%未満である請求項1~10のいずれか1項記載の光学部材。
  12. 前記光学部材は、センサを保護するセンサカバー用であって、前記センサと反対側の主面から入射角5度で入射する、ISO9050:2003に規定される可視光の平均反射率が6%以上35%未満である請求項1~10のいずれか1項記載の光学部材。
  13. 前記光学部材は、センサを保護するセンサカバー用であって、前記センサと反対側の主面から入射角5度で入射する、ISO9050:2003に規定される可視光の平均反射率が35%以上である請求項1~10のいずれか1項記載の光学部材。
  14. 前記光学部材は、センサを保護するセンサカバー用であって、前記センサと反対側の主面から入射する、ISO9050:2003に規定される可視光の入射角が5度から60度に変化したときの反射色において、CIE1976L色度座標における色度空間の色度差のΔEが8以下である請求項1~13のいずれか1項記載の光学部材。
  15. 前記光干渉膜は、低屈折率層と高屈折率層を含む2層以上からなる請求項1~14のいずれか1項記載の光学部材。
  16. 前記低屈折率層と前記高屈折率層は互いに隣接し、隣接する前記低屈折率層と前記高屈折率層との屈折率差は0.1以上である請求項15に記載の光学部材。
  17. 前記低屈折率層は、酸化ケイ素およびフッ化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種を主成分とする請求項15または16記載の光学部材。
  18. 前記高屈折率層は、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化セリウム、ケイ素、酸化銅、水素化ケイ素、酸化ニオブ、酸化タンタル、ジルコニウムドープ酸化チタンおよびジルコニウムドープ酸化ケイ素から選ばれる少なくとも1種を主成分とする請求項15~17のいずれか1項記載の光学部材。
  19. 前記光干渉膜を構成する層の少なくとも1層は幾何学的厚みが50nm以上である請求項15~18のいずれか1項記載の光学部材。
  20. 前記光干渉膜の幾何学的総膜厚が300nm以上である請求項1~19のいずれか1項記載の光学部材。
  21. 前記光干渉膜は、前記ガラス基板の2つの主面上に配置される請求項1~20のいずれか1項に記載の光学部材。
  22. 前記光学部材は、少なくとも一面から入射角5度で入射する、ISO9050:2003に規定される可視光の平均反射率が75%以上である請求項1~21のいずれか1項記載の光学部材。
  23. 前記波長λsにおける波面収差が1.0λRMS以下である請求項1~22のいずれか1項記載の光学部材。
  24. 前記ガラス基板が合わせガラスである請求項1~23のいずれか1項記載の光学部材。
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