JP7483515B2 - 液相の流況を計測する計測装置 - Google Patents

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Description

本発明は液相の流況を計測する計測装置に関るものである。さらに詳述すると、本発明は、例えば原子力発電所や化学プラントにおける気体と液体が混合して流れる二相流体を測定対象とする場合に適用して有用な液相の流況を計測する計測装置に関するものである。
原子炉内や化学プラントにおける冷却水や溶液の流況(主に液相内の速度分布や気液の存在率など)を把握することはプラントの設計上肝要である。かかる設計を最適に行うためには、冷却水や溶液の流況を的確に把握することが前提となる。冷却水や溶液の流況を的確に把握するには、流体の流れ方向に直交する断面内のなるべく多くの点における液相と気相の情報を収集する必要がある。
液相の流れ場の計測には、トレーサー粒子を流れの中に注入してレーザ光で可視化する技術などが一般的である。例えば、流体の断面内の多点における気液二相流中の気液の存在量の時系列情報を得るための計測手法として粒子画像流速測定法(Particle Imaging Velocimetry:以下、PIVと呼ぶ)が知られている(非特許文献1)。かかるPIVは、流体に蛍光粒子を分散させ、流体に蛍光を誘起するレーザを照射し、蛍光粒子が流れに乗って移動する様子をカメラで撮影することで、流体の速度場を計測する手法である。PIVでは、カメラで撮影するため画像分析から気液の存在率も同時に計測することができる。
また、液相中の気泡の流況を計測する手段として、計測対象となる流体が流れる管路の軸直角平面に沿って平行なワイヤ群が互いに交わるように2層配置され、気相(気泡)と液相とではコンダクタンスが違うことを利用して気液二相流の気相側例えば空気の気泡の大きさや流れなどを捉える技術(ワイヤメッシュセンサと呼ばれる)もある(非特許文献2)。例えばX軸に平行なワイヤ群と、Y軸に平行なワイヤ群とを二層配置したものであり、いずれか一方のワイヤ群を送信側のワイヤ(トランスミッター側ワイヤと呼ぶ)と、他方のワイヤ群を受信側のワイヤ(レシーバー側ワイヤと呼ぶ)として、直交するように流路断面に張って配置される。
Raffel, M. et al. Particle image velocimetry: a practical guide. (Springer, 2007). 電力中央研究所報告 報告書番号L10003,ワイヤメッシュセンサの流れ場への影響と適用範囲の評価,平成23年5月発行
しかしながら、PIVは光学的な視野が確保される場合に限定され、光学的なパス(覗き窓など)を設けることができない原子炉や化学プラントといった高温高圧な条件である圧力容器内を流れる流体の計測には適用できない。さらに、常温温常圧の流体であっても、非透明な管路あるいは容器内に流れる、光学的なパスが設定できない環境下では適用できない。
また、非特許文献2のワイヤメッシュセンサによっても、気液二相流の中の気相の流れから液相中における気相の存在比率の二次元分布などを計測できるが、気相側の状況(気泡の流れなど)を計測することによって間接的に液相の流況を推定しているにしか過ぎず、液相のみの単相の流体の流況を計測することはできない。
高温高圧な条件下などといった光学的なパスが設定できない環境下では、いずれの計測方法も気液二相流中で液相の流況を直接的に計測することはできない。つまり、液相の流況に関しては直接的に計測することはできずに間接的に気相の流れから液相の流況を推測することしかできない。加えて、気液二相流体の主流の流れ方向と直交する断面内のなるべく多くの点における液相と気相の双方の流況を直接的にリアルタイムに的確に計測する計測装置は存在しない。
本発明は、液相の流況を直接的に計測し得る計測装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するための液相の流況を計測する計測装置は、計測対象となる液相を含む流体の主流に対して直交させるように一定間隔を空けて相互に立体交差させて配置される2層のワイヤ群と、前記流体の流路の外側において前記2層のワイヤ群及びその間の前記計測対象となる流体に時間変動する磁場を与える外部磁場付与装置と、前記2層のワイヤ群から出力される各ワイヤの立体交差部分の間に発生する起電力に基づいて前記液相のクロスフローの速度情報を得る演算処理装置とを備え、空間分布として流体中の液相のクロスフローの流速場を直接的に求めるようにしている。
ここで、外部磁場付与装置は電磁石であり、前記流路に対して直交する方向に少なくとも二対配置して、磁束の向きを周期的に交互に切り替えて与えることで、前記液相のクロスフローの直交する2方向の速度成分に関連する起電力を交互に連続的に取得するようにすることが好ましい。
また、2層のワイヤ群の一方をトランスミッター側ワイヤとして、他方をレシーバー側ワイヤとして用い、前記トランスミッター側ワイヤの各ワイヤに任意の信号を各ワイヤに任意の信号を全てのワイヤ間で一定の遅れ時間が生ずるようにずらして送信すると共に、前記レシーバー側ワイヤで前記立体交差部分のワイヤ間の電気伝導率を検出して、前記電気伝導率の変化からインピーダンスが異なる複数種類の物質の存在量に関する情報も同時に得ることが好ましい。
さらに、ワイヤに流す信号はバイポーラ信号であることが好ましい。
さらに、計測対象となる流体は気液二相流であることが好ましい。
また、本発明にかかる液相の流況を計測する計測方法は、計測対象となる液相を含む流体の主流に対して直交させるように一定間隔を空けて相互に立体交差させて2層のワイヤ群を配置し、前記2層のワイヤ群及びその間の前記計測対象となる流体に時間変動する外部磁場を与え、前記2層のワイヤ群から取得される各ワイヤの立体交差部分の間に発生する起電力から前記液相のクロスフローの速度情報を得るようにしている。
ここで、外部磁場の磁束の向きを直交する2方向に周期的に交互に切り替えて与えることで、液相のクロスフローの直交する2方向の速度成分に関連する起電力を交互に連続的に取得することが好ましい。
また、本発明にかかる液相の流況を計測する計測方法は、2層のワイヤ群の一方をトランスミッター側ワイヤとして、他方をレシーバー側ワイヤとして用い、前記トランスミッター側ワイヤの各ワイヤに任意の信号を全てのワイヤ間で一定の遅れ時間が生ずるようにずらして送信すると共に、前記レシーバー側ワイヤで前記立体交差部分のワイヤ間の電気伝導率を検出して、前記電気伝導率の変化からインピーダンスが異なる複数種類の物質の存在量に関する情報も同時に得ることが好ましい。
ここで、ワイヤに流す信号はバイポーラ信号であることが好ましい。
さらに、計測対象となる流体は気液二相流であることが好ましい。
本発明によれば、液相単体であろうと、気液二相流であろうと、計測対象流体の主流の流れ方向に直交する断面内の多くの点における液相の流況をリアルタイムでかつ直接的に的確に計測することができる。
本発明の液相の流況計測装置の一実施形態を示す原理図である。 本発明の液相の流況計測装置の原理を説明する図であり、(A)は原理図、(B)は縦ワイヤと横ワイヤとの関係を示す説明図、(C)は磁場パターン2の時のファラデーの電磁誘電法則を示す図、(D)は磁場パターン1の時のファラデーの電磁誘電法則を示す説明図である。 ワイヤメッシュセンサの他の実施例を示す説明図である。 ワイヤメッシュセンサのさらに他の実施例を示す説明図である。 ワイヤメッシュセンサの入力信号と出力信号と気泡との関係を説明する説明図である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1に、本発明の液相の流況計測装置の一実施形態を示す。この実施形態にかかる液相流況計測装置は、計測対象となる液相7を含む流体の主流に対して直交させるように一定間隔を空けて相互に立体交差(つまり、主流の流れと直交する同一平面上で交差せずに互いに主流の流れ方向には交わる)させて配置される2層のワイヤ群2,3と、流路1の外側において2層のワイヤ群2,3及びその間の計測対象となる流体7に磁場を与える外部磁場付与装置8と、2層のワイヤ群2,3から出力される各ワイヤ2’,3’の立体交差部分11の間に発生する起電力E(E,E,E,…,E)に基づいて液相7のクロスフローの速度情報を得る演算処理装置9とを備え、空間分布として流体中の液相7のクロスフローの流速場を直接的に求めるようにしている。
つまり、計測対象となる液相7を含む流体、つまり液体単独あるいは気液二相流などの液相の主流の流れ方向に一定間隔を空けて配置される2層のワイヤ群2,3から成る格子状のセンサ(以下、このような構造をワイヤメッシュセンサ4と呼ぶ)と、ワイヤメッシュセンサ4の外部から時間変動する磁場(以下、外部磁場と呼ぶ)を印加する外部磁場装置8を備え、ワイヤメッシュセンサ4とその間の計測対象となる流体・液相の流れ場に外部磁場を与え、ワイヤメッシュセンサ4の立体交差部分のワイヤ2’とワイヤ3’との間に発生する誘導起電力E(E,E,E,…,E)を検出して図示していない演算処理装置9で流速を求める。
2層のワイヤ群2,3は、例えば図2の原理図においては、X軸に平行なワイヤ群2と、Y軸に平行なワイヤ群3とを計測対象となる流体・液相7の主流12の流れ方向に一定間隔をあけて主流12に対して直交するように張り巡らされ、主流12の流れ方向に向かって立体交差部分(主流の流れと直交する平面上で交差せずに互いに主流の流れ方向に交わる)11が形成されるように交差するように二層に配置されたものである。例えば、本実施形態の場合、計測対象となる流体7が流れる管路1の軸直角平面に沿って平行なワイヤ群2,3が一定間隔を空けて互いに交わるように2層配置されている。
ここで、ワイヤ2’,3’は、流れを大きく乱さない細い金属ワイヤを用い、適度な間隔で配置することが好ましい。例えば本実施形態の場合には、二相流動への影響を最小に抑えるため、ワイヤ間隔は3.5mm、ワイヤ直径を0.25mmとしているが、これらの値に特に限定されるものでないことは言うまでもない。
尚、本実施形態では、2層のワイヤ群2,3は、図1及び図2に示すように、直交するように流路断面に張ったものが一例として挙げられているが、このメッシュ構造に特に限られるものではなく、交差する位置関係(即ち、立体交差部分11が分布される関係)を有しているものであれば良く、例えば図3に示すように斜めに交差するように配置されていても良いし、場合によっては図4に示すように多重の環状のワイヤと放射状に配置されるワイヤとの組み合わせでも良い。
さらに、ワイヤメッシュセンサ4の外側には外部磁界が与えられる外部磁場付与装置8が設けられている。例えば、管路1の外即ちワイヤメッシュ4の外側に、外部磁場を与える電磁石8が配置される。外部磁場としては少なくとも一次独立である2軸方向の磁束を交互に与える(変動させる)必要がある。つまり、2次元平面における速度(2成分)なので、一次独立である磁束が最低2本必要となる。本実施形態の場合には、2組の電磁石が互いに直交するように配置されている。図1に示すような円管流路の場合には、例えば、90°置きに電磁石が配置され、第1の磁場パターン5と第2の磁場パターン6とが交互に印加されるように設けられる。この2組の電磁石の切替タイミングは、特定の周期に限られるものでは無いが、例えば商用周波数(50Hzあるいは60Hz)の周期で交互に磁化されるように設けられている。一次独立である2軸方向の磁束を周期的に連続的に交互に与えることで、同時に2方向の起電力E(E,E,E,…,E)を取得することとなる。これによって、クロスフロー(主流12の流れ方向を鉛直方向としたときに水平方向の流れとなるもの)13のVyとVx成分の起電力E(E,E,E,…,E)が出力できる。
ここで、一次独立な磁束を3つ以上与えること、即ち3対の電磁石を例えば120°置き(1つの単位の電磁石では60°置き)に管路の周囲に設置するようにしても良いが、その場合、3つ目の磁束は計測原理上は過剰となるので、補助的な役割(計測上の精度向上など)になると想定されるが、これを否定するものでは無い。
尚、外部磁場の本数に応じて計測できる速度成分の数は増える。本実施形態の場合、計測する対象である速度は二次元ベクトル量なので、与える磁束は一次独立である必要がある。しかし、2軸方向の磁束は直交する必要は必ずしもない。
本実施形態にかかる液相流況計測装置によれば、2層のワイヤ群2,3及びその間の計測対象となる流体に時間変動する外部磁場が与えられることで、導体とみなされる液体の動きに伴って磁束の変化を打ち消す方向に誘導起電力E(E,E,E,…,E)が発生する(レンツの法則)。流体が速ければ導体を速く動かすこととなるので誘導起電力E(E,E,E,…,E)が大きくなり、流速がなければ導体の動きを止めたこととなるので誘導起電力E(E,E,E,…,E)は0となる。つまり、誘導起電力E(E,E,E,…,E)の大きさは液相の動く速さ(流速)に比例する。尚、電圧差(起電力E(E,E,E,…,E))は一方のワイヤ群(例えば、レシーバー側ワイヤ2)から取り出される。
ここで、流体の速度変化はファラデーの電磁誘導の法則から、式1のように起電力として表される。
E=k×D×B×v (式1)
ただし、Eは誘導起電力、
kはパラメータ(定数)
Dはメッシュの間の間隔
Bは磁束密度
vは液体の流速である。
即ち、本実施形態にかかる液相流況計測装置は、導体とみなされる液体7の動きをワイヤメッシュセンサ4の各立体交差部分11のワイヤ2’,3’間に発生する誘導起電力E(E,E,E,…,E)として検出してから例えばマイコンやパソコンなどの演算処理装置9で上述の式1を演算して液相の流速に換算する計測システムである。
以上のように構成された本実施形態の計測装置によれば、外部磁場発生装置8例えば電磁石を作動させて外部磁場を与えることで発生する液体7のクロスフロー13に起因する誘導起電力E(E,E,E,…,E)をワイヤメッシュセンサ4の各立体交差部分11で多点計測することにより、空間分布として液相の中の流速場情報を取得することができる。
つまり、2層配置されたワイヤ群2,3の各立体交差部分11は局所的には2つの電極となる。そして、2つの電極間を流れる液体・液相は導体であるため、外部磁場が与えられるとファラデーの法則に従った起電力E(E,E,E,…,E)が発生する。したがって、2層配置されたワイヤ群2,3からは誘導起電力E(E,E,E,…,E)が電圧差となって検出される。ここで、ファラデーの電磁誘導の法則を用いて、外部磁場・磁束を鎖交する液相の流れ(導体の移動と考えられる)の速度に応じて各立体交差部分11のワイヤ2’,3’間にそれぞれ発生する起電力E(E,E,E,…,E)から、液相のクロスフロー13の流速v,vが求められる(図2参照)。2層のワイヤ群2,3の間で形成される各立体交差部分11は二次元的に分布されるため、得られる誘導起電力E(E,E,E,…,E)も多点で計測することとなり、空間分布として液相の中の流速場を取得することができる。これにより、主流12の流れと直交する断面と平行な方向の水平流れ(クロスフロー)の速度場即ちクロスフロー13の速度場・流況に関する情報を取得することができる。
本実施形態の計測方法によれば、光学的パスを必要とせず、不可視環境でも流況を検出可能である。つまり、流体そのものが見えない環境(水や非透明の液体も含まれる)での液相の流況を計測することが可能であることから、光学的なパス(覗き窓など)を設ける必要がないので、原子炉や化学プラントといった高温高圧な条件である圧力容器内を流れる流体の計測は勿論のこと、さらには常温温常圧の流体で非透明な管路あるいは容器内に流れる、光学的なパスが設定できない環境下での液相流況計測への適用が可能である。
また、上述の実施形態の液相の流況計測装置において、ワイヤメッシュセンサ4のいずれか一方のワイヤ群を送信側のワイヤ群(トランスミッター側ワイヤ群3と呼ぶ)として、また他方のワイヤ群を受信側のワイヤ群(レシーバー側ワイヤ群2と呼ぶ)として用い、例えば図5に示すように、励起電極と呼ばれるトランスミッター側ワイヤ群3の各ワイヤに一定の遅延時間を与えて任意の信号例えば矩形波(パルス信号14)を送出すれば、気泡(気相)10と液相7とではコンダクタンスが異なるので、例えばワイヤメッシュの立体交差部分11のワイヤ2’,3’間に気相(例えば、気泡10)が通過することでワイヤ2’,3’間の電気伝導率が変化することから、レシーバー側ワイヤ群2から取り出される電気信号15にも影響がでる。つまり、レシーバー側ワイヤ群2からは、気泡10の通過に伴って各立体交差部分11におけるワイヤ2’,3’間のインピーダンスが変化することで電圧降下を引き起こして信号波形がなまることから、気相・気泡の情報を取得することができる。これにより、ワイヤ2’,3’が交差する近接点の電気伝導率の変化から気泡の有無の二次元分布換言すれば気液の存在量を高速・高空間分解能で計測できる。即ち、インピーダンスが異なる複数種類の物質の存在量例えば気相と液相との二次元分布計測を実現できる。
具体的には、トランスミッター側ワイヤ群3から例えば矩形波の信号を流すと、レシーバー側ワイヤ群2との立体交差部分11に例えば気泡10が存在すれば電圧降下(波形が歪んで)が起きた信号が検出され、液相7が存在する場合には電圧降下の起きない(波形に歪みのない、綺麗な波形)信号が検出される。
尚、信号の発信側即ちトランスミッター側ワイヤ群3でどのような信号を送出しているかは予め分かるので、アウトプット側即ちレシーバー側ワイヤ群2の信号を見ていれば気相・気泡の情報を取得することができる。
同時に、ワイヤメッシュセンサ4を含む流れ場に対し外部磁場を与えることで、ワイヤメッシュセンサ4の各立体交差部分11のワイヤ2’,3’間に起電力E(E,E,E,…,E)が生ずる。液相の流れに起因する誘導起電力E(E,E,E,…,E)を多点で計測することができる。各立体交差部分11の誘導起電力E(E,E,E,…,E)が電圧差としてレシーバー側ワイヤ群2から出力される。
本実施形態にかかる計測装置によれば、外部磁場を少なくとも一次独立的に直交する2軸方向に交互に印加しながら、トランスミッター側ワイヤには信号を一定の遅れ時間下に全てのトランスミッター側ワイヤに常時流し続けることで、インピーダンスが異なる複数種類の物質の相を含む流体中の導電性物質相の速度場と導電性物質相と非導電性物質(導電性物質相に比べて非導電性である物質)との存在量、例えば液相の速度場と気液存在量をリアルタイムに同時計測することが可能になる。この場合、レシーバー側ワイヤに流れる信号と起電力E(E,E,E,…,E)とは、重畳した形態で取得される。したがって、レシーバー側ワイヤから出力される信号を適宜分離して処理することで、気液二相流における液相と気相との流況例えば気液の存在量および液相内の速度分布等をリアルタイムで適格に計測し得る。
ここで、トランスミッター側ワイヤ群3に与える信号は、バイポーラ信号であることが好ましい。バイポーラ信号は、1つの波形に正・負で対称な形をもつ信号である。この信号が与えられたとき、例えば気泡が通過したときはおおよそ正・負で対称に信号が小さくなる。一方で、或る方向に液相が流れた場合には、各立体交差部分11のワイヤ2’,3’間に生じる電圧の方向は入力信号の正負に依存しないので、正負に対称ではない信号が受信できる。これらの受信波形の特徴の違いから、気相に起因する信号と液相に起因する信号とを判別することができる。
また、コンダクタンスの変化(例えば気泡の通過)に起因する信号と液相の流速の変化に伴う起電力E(E,E,E,…,E)の変化に起因する信号とが重畳した形で信号を取得する際には、信号電圧のレンジが大きく異なると片方の信号が埋もれてしまう可能性が危惧される。その場合には、外部磁場の印加とトランスミッター側ワイヤ群3への信号印加とを回路によって瞬時に交互に切替ることにより、即ち気液存在量計測→液相速度場計測→気液存在量計測→…と交互に切り替えることで、信号が分離された形式で実質的にほぼ同時に計測することも可能である。この場合、外部磁場の印加の時にはトランスミッター側ワイヤ群3に信号は流されないと共に、トランスミッター側ワイヤ群3への信号印加時には外部磁場を与えない。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態においては、計測対象となる液体の主流12の流れ方向が上下方向となる場合のクロスフロー13に関する液相内の速度分布及び複数種類の物質の存在量の情報の収集について言及したが、これに特に限定されるものでも無く、ワイヤメッシュセンサ4並びに外部磁場装置8の配置の変更によってスワール流れの速度場、乱流や障害物による流れの変化などの液相の情報が得られるし、また液相の流速に起因する渦や気泡の合体または***などの分析にも適用できることは言うまでもない。
また、上述の実施形態では、誘導起電力E(E,E,E,…,E)を主とする計測により、液相または気液二相流体の流況を計測するようにしているので、光学的パスを必要とせず、非透明な容器や管路の内部を流れる流れのクロスフローの速度場を計測するようにしているが、これに特に限られず、オープンな流路や容器内でのスワール流れの速度場などを計測することなども可能であることは言うまでもない。
また、ファラデーの電磁誘導の法則を用いて空間分布として液相の中の流速場情報を取得することから、導電性を有する流体であれば、測定対象とすることが可能であり、さらには測定原理にはインピーダンスが異なる複数種類の物質の相例えば気泡の存在は必須ではないことから、つまり、液相のみの単相の流体の液相の流況を計測することが可能である。
さらには、上述の実施形態においては、外部磁場付与装置として電磁石8を用いた例を挙げて説明しているが、これに特に限られるものではなく、永久磁石を用いて計測対象となる流体に時間変動する磁場を与えるようにしても良い。例えば、図示していないが、真ん中に流路・管路を通すための孔が空いている回転テーブルに流体を横切る磁場を形成するように永久磁石を設置し、あるいは流体を横切る磁場を形成するように着磁された環状永久磁石を設置し、これらを流路の周りで回転させることによって一次独立である少なくとも2軸方向の磁束を交互に与えるようにしても良い。また、流路・管路の周りを回転させるだけでなく、流路・管路の外周面に接する接線と平行な軸周りに永久磁石を回転させて、一次独立である2軸方向の磁束を周期的に連続的に交互に与えるようにしても良い。例えば、90°置きに配置された永久磁石が回転することで、第1の磁場パターン5と第2の磁場パターン6とが交互に印加されるように設けても良い。
1 流路(管路)
2 一方のワイヤ群(レシーバー側ワイヤ群)
2’ 一方のワイヤ(レシーバー側ワイヤ)
3 他方のワイヤ群(トランスミッター側ワイヤ群)
3’ 他方のワイヤ(トランスミッター側ワイヤ)
4 ワイヤメッシュセンサ
5 第1の磁場パターン
6 第2の磁場パターン
7 計測対象流体である液体・液相
8 外部磁場付与装置(電磁石)
9 演算処理装置
10 気相(気泡)
11 立体交差部分
12 主流
13 クロスフロー
14 トランスミッター側ワイヤ群から送信される信号(パルス信号)
15 レシーバー側ワイヤ群から出力される信号

Claims (10)

  1. 計測対象となる液相を含む流体の主流に対して直交させるように一定間隔を空けて相互に立体交差させて配置される2層のワイヤ群と、
    前記流体の流路の外側において前記2層のワイヤ群及びその間の前記計測対象となる流体に時間変動する磁場を与える外部磁場付与装置と、
    前記2層のワイヤ群から出力される各ワイヤの立体交差部分の間に発生する起電力に基づいて前記液相のクロスフローの速度情報を得る演算処理装置とを備え、
    空間分布として流体中の液相のクロスフローの流速場を直接的に求める
    ことを特徴とする液相の流況を計測する計測装置。
  2. 前記外部磁場付与装置は電磁石であり、前記流路に対して直交する方向に少なくとも二対配置して、磁束の向きを周期的に交互に切り替えて与えることで、前記液相のクロスフローの直交する2方向の速度成分に関連する起電力を交互に連続的に取得することを特徴とする請求項1記載の液相の流況を計測する計測装置。
  3. 前記2層のワイヤ群の一方をトランスミッター側ワイヤとして、他方をレシーバー側ワイヤとして用い、前記トランスミッター側ワイヤの各ワイヤに任意の信号を全てのワイヤ間で一定の遅れ時間が生ずるようにずらして送信すると共に、前記レシーバー側ワイヤで前記立体交差部分のワイヤ間の電気伝導率を検出して、前記電気伝導率の変化からインピーダンスが異なる複数種類の物質の存在量に関する情報も同時に得ることを特徴とする請求項1または2記載の計測装置。
  4. 前記ワイヤに流す信号はバイポーラ信号であることを特徴とする請求項3記載の計測装置。
  5. 前記計測対象となる流体は気液二相流であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の計測装置。
  6. 計測対象となる液相を含む流体の主流に対して直交させるように一定間隔を空けて相互に立体交差させて2層のワイヤ群を配置し、
    前記2層のワイヤ群及びその間の前記計測対象となる流体に時間変動する外部磁場を与え、
    前記2層のワイヤ群から取得される各ワイヤの立体交差部分の間に発生する起電力から前記液相のクロスフローの速度情報を得る
    ことを特徴とする液相の流況を計測する計測方法。
  7. 前記外部磁場の磁束の向きを直交する2方向に周期的に交互に切り替えて与えることで、前記液相のクロスフローの直交する2方向の速度成分に関連する起電力を交互に連続的に取得することを特徴とする請求項6に記載の液相の流況を計測する計測方法。
  8. 前記2層のワイヤ群の一方をトランスミッター側ワイヤとして、他方をレシーバー側ワイヤとして用い、前記トランスミッター側ワイヤの各ワイヤに任意の信号を全てのワイヤ間で一定の遅れ時間が生ずるようにずらして送信すると共に、前記レシーバー側ワイヤで前記立体交差部分のワイヤ間の電気伝導率を検出して、前記電気伝導率の変化からインピーダンスが異なる複数種類の物質の存在量に関する情報も同時に得ることを特徴とする請求項6または7記載の液相の流況を計測する計測方法。
  9. 前記ワイヤに流す信号はバイポーラ信号であることを特徴とする請求項6から8のいずれか1つに記載の液相の流況を計測する計測方法。
  10. 前記計測対象となる流体は気液二相流であることを特徴とする請求項6から9のいずれか1つに記載の液相の流況を計測する計測方法。
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