添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、被加工物等の物品の搬送先となる複数の加工装置がいずれも切削装置である場合について説明するが、搬送システムは、任意の種類の加工装置に対して物品を搬送できるように構成されていれば良い。すなわち、被加工物等の搬送先は、切削装置以外の加工装置でも良い。
例えば、搬送システムは、複数のレーザー加工装置に対して被加工物等を搬送できるように構成されることがある。また、搬送システムは、一連の加工に使用される複数の種類の加工装置に対して順に被加工物等を搬送できるように構成されることもある。更に、搬送システムは、被加工物等の加工に付随する任意の処理で使用される様々な装置に被加工物を搬送できるように構成されても良い。つまり、被加工物等の搬送先には、被加工物の加工を目的としないテープ貼付装置、紫外線照射装置、洗浄装置等が含まれ得る。
図1は、本実施形態にかかる搬送システム2の構成例を示す平面図であり、図2は、搬送システム2の接続関係の例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、本実施形態にかかる搬送システム2は、加工装置(切削装置)4によって加工される板状の被加工物11(図7等参照)等の物品を搬送するための搬送路6を含んでいる。
被加工物11は、例えば、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハである。この被加工物11の表面側は、互いに交差する複数の分割予定ライン(ストリート)によって複数の小領域に区画されており、各小領域には、IC(Integrated Circuit)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等のデバイスが形成されている。
被加工物11の裏面側には、被加工物11よりも径の大きいテープ(ダイシングテープ)13が貼付されている。テープ13の外周部分は、被加工物11を囲む環状のフレーム15に固定されている。このように、本実施形態にかかる搬送システム2では、テープ13を介してフレーム15に支持された被加工物ユニット17の状態で被加工物11が加工装置4へと搬送される。
なお、本実施形態の被加工物11は、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハであるが、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる基板等を被加工物11として用いることもできる。
同様に、デバイスの種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。被加工物11には、デバイスが形成されていなくても良い。更に、本実施形態では、被加工物11がテープ13を介してフレーム15に支持された被加工物ユニット17を搬送の対象としているが、テープ13が貼付されていない被加工物11や、フレーム15に支持されていない被加工物11等が搬送の対象となることもある。
上述したフレーム15の大きさは、被加工物11の大きさ(被加工物11の径等)に応じて設定される。例えば、約300mmの径の被加工物11を支持するフレーム15の外径は、約200mmの径の被加工物11を支持するフレーム15の外径に比べて大きい。つまり、大きな被加工物11が使用される場合には、被加工物ユニット17の外径も大きくなる。
また、本実施形態に係る搬送システム2では、被加工物11以外の物品が搬送されてもよい。例えば、加工装置(切削装置)4で被加工物11を加工する際に使用される工具や、加工装置(切削装置)4で消費される消耗品等が搬送されてもよい。
例えば、被加工物11を切削する切削装置では、円環状の砥石を含む切削ブレード234(図7参照)が工具として使用される。切削装置で被加工物11の切削を次々に実施していると砥石が消耗するため、切削ブレード234は定期的に交換する必要がある。搬送システム2では、被加工物11以外の物品として、切削ブレード234等の新品の工具を加工装置(切削装置)4に搬送してもよい。そして、使用されて取り外された工具を加工装置(切削装置)4から搬送してもよい。
また、例えば、被加工物11を切削する切削装置では、被加工物11の切削を実施している間に目詰まり等が生じて、切削ブレード234の切削能力が低下することがある。そこで、各切削装置は、切削ブレード234の再生に使用されるドレッサーボード(不図示)を備えている。そして、切削ブレード234の切削能力が低下したとき、該切削ブレード234にドレッサーボードを切削させて砥石を積極的に消耗させることで切削ブレード234の切削能力を回復させるドレッシングと呼ばれる作業が該切削装置で実施される。
また、例えば、切削装置で新品の切削ブレード234の使用を開始する際、切削装置に装着された円環状の切削ブレード234の外周縁の各所が回転軸に対して等距離となるように真円出しと呼ばれる作業が実施される。真円出しでは、切削ブレード234にドレッサーボードを切削させることで実施される。ドレッサーボードは消耗品であり、定期的に交換される。
さらに、搬送システム2では、物品として、切削ブレード234を使用して実施されるテスト加工に供されるシリコンボードを搬送してもよい。切削ブレード234で該シリコンボードに切削溝を形成し該切削溝を顕微鏡等で観察すると、切削ブレード234の状態や加工条件が適切であるか等の評価できる。また、回転する切削ブレード234を上方から所定の高さ位置まで下降させてシリコンボードに切り込ませて溝を形成し、顕微鏡等で該溝を観察して溝の長さを精密に測定する。すると、切削ブレード234の径と、切り込み量と、を導出でき、切削ブレード234の切り込み深さを極めて精密に調整できる。
搬送システム2では、物品としてドレッサーボードやシリコンボード等の消耗品が搬送されてもよい。以下、搬送システム2で搬送される物品が被加工物11である場合を中心に本実施形態について説明するが、物品は被加工物11に限定されない。
また、この被加工物11を加工する加工装置4は、被加工物11等の物品の搬送先として搬送システム2に接続されているが、必ずしも搬送システム2の構成要素ではない。よって、加工装置4は、上述のように、搬送システム2の使用の態様に合わせて変更、省略されても良い。本実施形態では、被加工物11等の物品の搬送先として、2台以上の加工装置4が必要になる。すなわち、搬送システム2に接続される加工装置4の数は、2以上である。
搬送路6は、複数の加工装置4を連結するように、各加工装置4の上部に設置されている。この搬送路6を通じて、各加工装置4に物品が搬送される。なお、搬送路6は、加工装置4の上方に設置されているので、各加工装置4の側面に接続される配管20等に対して搬送路6が干渉することはない。
搬送路6の下方には、加工装置4の他に、加工前の被加工物11や加工後の被加工物11が収容されるローダー・アンローダー(搬送装置)8が設けられている。ローダー・アンローダー8に収容されている加工前の被加工物11は、任意のタイミングで搬送車10へと搬入される。なお、ローダー・アンローダー8には、被加工物11の他に切削ブレード234等の工具やドレッサーボード等の消耗品が収容されていてもよい。
搬送車10は、搬送路6上を走行し、ローダー・アンローダー8から受け取った加工前の被加工物11、使用前の工具や消耗品等の物品を各加工装置4へと搬送する。また、搬送車10は、加工装置4から加工後の被加工物11、使用済みの工具、消耗品等の物品を受け取ると、搬送路6上を走行し、加工後の被加工物11をローダー・アンローダー8へと搬送する。
ただし、複数の種類の装置(加工装置4等)が搬送システム2に接続されている場合には、搬送車10は、ある加工装置4から加工後の被加工物11を受け取ると、搬送路6上を走行し、加工後の被加工物11を次の工程で使用される装置へと搬送することがある。なお、図1及び図2では、2台の搬送車10a,10bを示しているが、搬送車10の数に制限はない。
図2に示すように、加工装置4、ローダー・アンローダー8、搬送車10には、これらの動作を制御する制御ユニット12が無線で接続されている。ただし、制御ユニット12は、加工装置4、ローダー・アンローダー8、搬送車10等の動作を制御できるように構成されていれば良く、これらに対して有線で接続されることもある。
また、搬送システム2は、各種の情報を表示できる表示ユニット14と、各種の指令の入力に使用できる入力インターフェース16と、をさらに有する。表示ユニット14及び入力インターフェース16は、有線または無線により制御ユニット12に接続される。さらに、搬送システム2は、表示ユニット14として機能するディスプレイパネルと、該入力インターフェース16として機能するタッチパネルと、が積層されたタッチパネル付きディスプレイを備えても良い。
図3は、ローダー・アンローダー8の構成例を模式的に示す側面図である。なお、図3では、一部の構成要素を機能ブロックで示している。図3に示すように、ローダー・アンローダー8は、各種の構成要素を収容する筐体22を含む。なお、図3では、説明の便宜上、筐体22を輪郭だけで示している。
筐体22内の異なる2つの高さの位置には、それぞれ、カセット収容機構24が設けられている。すなわち、ローダー・アンローダー8は、第1カセット収容機構24aと、第1カセット収容機構24aの上方に配置された第2カセット収容機構24bと、を含む。ただし、ローダー・アンローダー8が備えるカセット収容機構24の数に制限はない。ローダー・アンローダー8は、1以上のカセット収容機構24を備えていれば良い。
各カセット収容機構24は、平板状の支持台26を有する。支持台26の上面側には、ガイド機構(不図示)が設けられており、このガイド機構には、筐体22の奥行方向(Y1軸方向)に沿ってスライドできるように平板状のカセット載置台28が装着されている。
カセット載置台28の上面には、複数(例えば、10以上)の被加工物11を収容できるカセット30が載置される。また、カセット載置台28の上面には、搬送の対象となる工具や消耗品等の被加工物11以外の物品を収容するカセットが載置されてもよい。
筐体22の各カセット収容機構24に対応する位置には、搬入出口32が形成されている。カセット30の搬入出時には、カセット30が載置されたカセット載置台28をスライドさせることによって、この搬入出口32をカセット30が通過する。
筐体22の各搬入出口32に対応する位置には、各搬入出口32を閉じることのできる外扉34が配置されている。外扉34の下部は、例えば、水平な回転軸を持つヒンジ等の回転連結部材36を介して支持台26の外側の端部に連結されており、外扉34は、回転連結部材36の回転軸を中心に回転することによって開閉される。外扉34が開かれた状態では、搬入出口32よりも外側にカセット載置台28を引き出すことができる。
例えば、オペレーターは、運んできたカセット30を、外部に引き出されたカセット載置台28の上に載置する。その後、オペレーターがカセット載置台28を筐体22の内部へ押し込むと、カセット載置台28及びカセット30は、筐体22の内部に移動する。
各カセット収容機構24の搬入出口32と反対側の位置には、高さ方向に沿って移動できる態様の内扉40が設けられている。第1カセット収容機構24aの内扉40は、上方の閉位置と下方の開位置との間で移動し、第2カセット収容機構24b側の内扉40は、上方の開位置と下方の閉位置との間で移動する。よって、2つの内扉40が互いに干渉することはない。
内扉40を昇降させる昇降機構(不図示)は、例えば、空気圧を利用して対象を移動させるエアアクチュエーター(エアシリンダー)であり、シリンダーチューブと、該シリンダーチューブに対して移動できるピストンロッドと、を有する。なお、昇降機構は、ロッドレスエアシリンダー等の他の機構により実現されても良い。
ローダー・アンローダー8は、各構成要素を制御する制御装置46を備える。制御装置46には、外扉34及び内扉40の開閉状態を検知できるセンサーが接続されている。制御装置46は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成されている。補助記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御装置46の機能が実現される。
制御装置46は、ローダー・アンローダー8の安全機構としての機能を備えている。外扉34が閉じていると判断し、且つ、内扉40が開いていると判断した場合に、制御装置46は、外扉34が開かないようにロック機構で外扉34を固定する。すなわち、外扉34と、内扉40と、が同時開かないように制御することにより、動作中の可動部等にオペレーターが誤ってアクセスすることを防止できる。
図3に示すように、ローダー・アンローダー8は、内扉40の支持台26とは反対側に配置された昇降機構56を備えている。昇降機構56は、高さ方向に長い支持柱56aを有している。支持柱56aの内扉40側には、支持柱56aの長手方向に沿う一対のガイドレール(不図示)が設けられている。一対のガイドレールには、板状の昇降台58が高さ方向にスライドできる態様で取り付けられている。
支持柱56aの下部には、モーター(不図示)と、モーターの回転軸に連結された駆動プーリー(不図示)と、が設けられている。また、支持柱56aの上部には、従動プーリー(不図示)が設けられている。駆動プーリーと従動プーリーとには、1本の歯付無端ベルト(不図示)が架けられており、この歯付無端ベルトの一部は、昇降台58に固定されている。そのため、モーターの回転軸を一方向に回転させると、昇降台58は上昇し、モーターの回転軸を他方向に回転させると、昇降台58は下降する。
昇降台58の上面側には、被加工物11等の物品が仮置きされる仮置きユニット60が設けられている。仮置きユニット60は、カセット収容機構24側に開口が形成された角筒状の筐体62を有する。筐体62の内部には、物品をそれぞれ把持して奥行方向に移動できる複数の搬送ユニット(搬送機構)64が配置されている。
仮置きユニット60と第1カセット収容機構24aの第1カセット30aとの間で被加工物ユニット17を受け渡す際には、仮置きユニット60の高さを第1カセット収容機構24aの高さに合わせる。そして、第1カセット収容機構24aの内扉40が開かれる。
例えば、搬送ユニット64は、第1カセット30aに収容されている被加工物ユニット17を把持して、仮置きユニット60に引き出す。また、搬送ユニット64は、仮置きユニット60に仮置きされている被加工物ユニット17を把持して、第1カセット30aに収容する。同様に、搬送ユニット64は、仮置きユニット60と、第2カセット30bとの間で、被加工物11を搬送できる。
第2カセット収容機構24bの更に上方には、載置台66が設けられている。また、載置台66の直上の領域には、筐体22の天井22aを上下に貫通する開口22bが設けられている。更に、載置台66及び開口22bの直上の領域には、搬送路6を上下に貫通する開口6aが設けられている。
搬送車10と仮置きユニット60との間で被加工物ユニット17を搬送する際には、まず、被加工物ユニット17を収容できる容器(カセット)102を備えた搬送車10を、開口6aの上方に移動させる。そして、容器102を吊り下げ部材112で吊り下げるように降下させて、載置台66の上面に容器102を載置する。また、仮置きユニット60の高さを、載置台66に載置された容器102の高さに合わせる。
例えば、搬送ユニット64は、容器102に収容されている被加工物ユニット17を把持して、仮置きユニット60に引き出す。また、搬送ユニット64は、仮置きユニット60に仮置きされている被加工物ユニット17を把持して、容器102に収容する。このように、搬送ユニット64は、仮置きユニット60と、載置台66に載置された容器102との間で、被加工物11を搬送できる。
なお、仮置きユニット60を昇降させる昇降機構56や、仮置きユニット60内の搬送ユニット64は、上述の制御装置46に接続されている。昇降機構56や搬送ユニット64の動作は、この制御装置46によって制御される。
制御装置46には、外部からの制御信号を受信して制御装置46に送る受信機68と、制御装置46から受け取った通知信号を外部に送信する送信機70と、が更に接続されている。受信機68は、例えば、搬送システム2の制御ユニット12から送信される制御信号を受信して制御装置46に送る。
制御装置46は、例えば、受信機68から受け取った制御信号に基づき、ローダー・アンローダー8の各構成要素の動作を制御する。また、制御装置46は、例えば、通知信号を生成して送信機70に送る。送信機70は、例えば、制御装置46から受け取った通知信号を搬送システム2の制御ユニット12に送信する。
ローダー・アンローダー8は、仮置きユニット60を介して、カセット30と、搬送車10の容器102と、の間で被加工物ユニット17を搬送できる。よって、各加工装置4に対して適時に被加工物ユニット17を搬送でき、また、各加工装置4で加工された被加工物ユニット17を適時に回収できる。
また、仮置きユニット60の筐体62は、例えば、2つの被加工物ユニット17を同時に収容できても良い。この場合、搬送車10の容器102又はカセット30と、仮置きユニット60と、の間で被加工物ユニット17を効率良く搬送できる。各搬送ユニット64は、上下に配置された2枚の板部材を含む把持部を備えている。2枚の板部材は、上側の板部材の下面と下側の板部材の上面とが概ね平行になるように配置されている。
各搬送ユニット64の把持部は、2枚の板部材の間隔を調整するアクチュエーター(不図示)を更に含んでいる。このアクチュエーターによって2枚の板部材の間隔を狭めることにより、被加工物ユニット17のフレーム15が把持される。また、2枚の板部材の間隔を広げることにより、被加工物ユニット17のフレーム15が2枚の板部材から放される。
このように、ローダー・アンローダー8は、被加工物11や工具、消耗品等の物品を収容する物品ストッカーとして機能する筐体22と、搬送車10に物品を搬送する物品搬送部として機能する搬送ユニット64と、を備える。そして、ローダー・アンローダー8は、制御ユニット12から送信される制御信号等を受信する受信機68と、制御ユニット12に情報を含む信号等を送信する送信機70と、を含む。
図4(A)は、搬送路6上を走行して被加工物ユニット17等の物品を搬送する搬送車10の上面側を示す斜視図であり、図4(B)は、搬送車10の底面側を示す斜視図である。図4(A)及び図4(B)に示すように、搬送車10は、各種の構成要素が搭載される板状のフレーム82を備える。
フレーム82の前方側の両側端部には、一対の車軸84が配置されている。車軸84は、一端側がフレーム82の側面から突出するように、フレーム82の下面側に装着される。一対の車軸84の一端側には、それぞれ、車輪(前輪)86が固定されている。また、フレーム82の後端部の幅方向に離れた2つの位置には、一対の車輪(後輪)88が配置されている。車輪88は、例えば、高さ方向に沿う回転軸の周りに360°回転できるキャスターであり、フレーム82の下面側に装着されている。
フレーム82の前端部には、一対の車輪86を駆動する駆動ユニット90が搭載されている。駆動ユニット90は、それぞれ、車軸84等を介して車輪86に連結された一対のモーター92を備える。モーター92は、回転軸(出力シャフト)92aを備え、車輪86を回転させる動力を生成する。
図4(B)に示すように、車軸84の他端側には、プーリー94が設けられている。モーター92の回転軸92aとプーリー94とには、ベルト、チェーン等の無端の連結部材(不図示)が架けられている。モーター92の回転軸92a、プーリー94、及び連結部材によって動力伝達機構が構成され、車軸84とモーター92とが連結される。これにより、モーター92によって生成された動力(回転力)が車輪86に伝達され、車輪86が回転する。
駆動ユニット90は、一対のモーター92によって一対の車輪86の回転する方向を独立に制御する。一対の車輪86を同方向に回転させることにより、搬送車10が前進又は後退する。また、一対の車輪86を互いに逆方向に回転させることにより、高さ方向に沿う回転軸の周りに搬送車10を回転させて、搬送車10の進行する方向を制御できる。なお、車輪86及び車輪88の構造に制限はない。例えば、車輪86及び車輪88として、傾斜した樽状(筒状)の複数の回転体が搬送路6と接触する外周面に取り付けられた、いわゆる、メカナムホイールを用いることもできる。
駆動ユニット90には、モーター92等に電力を供給するバッテリー(二次電池)96が接続される。バッテリー96は、例えば、フレーム82の前端部に装着され、車輪86を回転させるための電力をモーター92に供給する。バッテリー96としては、リチウムイオン電池等が用いられる。
図4(A)及び図4(B)に示すように、フレーム82の下側には、被加工物ユニット17等の物品を収容する容器(カセット)102が格納される格納領域104が設けられている。格納領域104は、一対の車輪86と一対の車輪88とによって周りを囲まれており、且つ、車輪86及び車輪88の下端よりも上方に位置する。この格納領域104には、1又は複数の被加工物ユニット17等の物品を収容できる容器102が配置される。
図5には、容器102を示す斜視図が含まれている。容器102は、例えば、平面視で六角柱状に形成され、その内部に物品を収容可能な収容部(収容空間)102aを備える。容器102の一側面側には、開口102bが設けられている。物品は、開口102bを通過して収容部102aに搬出入される。
容器102は、例えば、大きさの異なる2種類の被加工物ユニット17を収容できるように構成されていても良い。容器102の収容部102aには、一対の第1ガイドレール106と、一対の第2ガイドレール108とが設けられている。
一対の第1ガイドレール106は、所定の間隔で収容部102aの上壁102cの下面に固定されており、被加工物ユニット17の下面側を下側から保持する保持面と、被加工物ユニット17の水平方向の位置を規定する側面と、を備える。また、一対の第2ガイドレール108は、所定の間隔で収容部102aの底壁102dの上面に固定されており、被加工物ユニット17の下面側を下側から保持する保持面を備える。なお、被加工物ユニット17の水平方向の位置は、容器102の内側の側面によって規定される。
一対の第1ガイドレール106の間隔は、一対の第2ガイドレール108の間隔よりも狭い。そのため、一対の第1ガイドレール106は、第2ガイドレール108によって保持される被加工物ユニット17よりも小さい被加工物ユニット17を保持できる。例えば、一対の第1ガイドレール106によって約200mm(8インチ)の径の被加工物11が保持され、一対の第2ガイドレール108によって約300mm(12インチ)の径の被加工物11が保持される。
ただし、容器102や収容部102aの構造に制限はない。例えば、収容部102aは、1又は3以上の被加工物ユニット17を収容できるように構成されることがある。また、収容部102aは、同じ種類の複数の被加工物ユニット17を収容できるように構成されても良い。
また、容器102の収容部102aは、切削ブレード等の工具や、ドレッサーボード等の消耗品等の物品を収容する場合においても、該物品の形状に対応した構造を有する支持機構が設けられるとよい。また、容器102には、複数の物品を載置可能で開口102bから外部に引き出し可能なトレー(不図示)を収容部102aとして備えても良い。搬送車10は、容器102で物品を支持して搬送路6を走行することで該物品を搬送する。
被加工物ユニット17等の物品を搬送車10によって搬送する際には、図4(A)に示すように、容器102が格納領域104に格納される。このとき、容器102の下面は、車輪86の下端や車輪88の下端よりも上方に位置付けられる。そのため、搬送車10の走行中に容器102が搬送路6と接触することはない。
格納領域104の上方に位置するフレーム82の上面側の領域には、容器102を吊り下げて昇降させる昇降ユニット(昇降機構)110が設けられている。昇降ユニット110は、格納領域104に格納された容器102を降下させて、所定の載置領域に載置する。また、昇降ユニット110は、所定の載置領域に載置された容器102を上昇させて、容器102を格納領域104に格納する。
図5は、容器102が載置領域Aに載置された状態の搬送車10を示す斜視図である。昇降ユニット110は、一端側(下端側)が容器102に接続された吊り下げ部材112と、吊り下げ部材112の巻き取り及び送り出しを行う駆動機構114とを備える。なお、載置領域Aは、例えば、ローダー・アンローダー8の載置台66の上面(図3参照)、または、後述する加工装置4の昇降台204の上面(図6参照)である。
図5に示すように、昇降ユニット110は、4本の吊り下げ部材112を備える。吊り下げ部材112としては、例えば、所定の幅を有するベルトが用いられる。4本の吊り下げ部材112の先端部(下端部)は、それぞれ、容器102の上面側の4つの位置に接続されている。
容器102が格納領域104に格納された状態で、駆動機構114によって吊り下げ部材112が送り出されると、容器102が下降して載置領域Aに載置される。また、容器102が載置領域Aに載置された状態で、駆動機構114によって吊り下げ部材112が巻き取られると、容器102が上昇して格納領域104に格納される。
吊り下げ部材112としてベルトを用いる場合には、図5に示すように、収容部102aから物品が搬出される際に該物品が開口102bを通過する向きに対して、ベルトの幅方向が沿うように、容器102に対するベルトの向きを調整しておくことが好ましい。容器102はベルトの幅方向に揺れ動き難いので、この態様では、容器102の昇降中に物品が開口102bから飛び出る可能性を低く抑えられる。なお、吊り下げ部材112としては、ワイヤロープ等のベルト以外の部材を用いても良い。
図4(B)に示すように、フレーム82の下面側には、容器102の上面側に接触する複数の接触部材116が設けられている。複数の接触部材116は、それぞれ、概ね同じ高さの柱状に形成され、フレーム82の下面から下方に突出するようにフレーム82に固定されている。容器102が格納領域104に格納されると、この容器102の上面側が複数の接触部材116の下端部に接触して各接触部材116を上向きに押す。
接触部材116は、例えば、容器102が押し当てられると弾性変形を生じる弾性部材により形成される。接触部材116に弾性部材を用いると、例えば、容器102が接触部材116と接触した際の衝撃が緩和され、容器102や容器102内の物品が破損し難くなる。また、搬送車10が搬送路6を走行する際にも、接触部材116が緩衝材となり、フレーム82の振動が容器102や物品に伝わり難くなる。
接触部材116として、例えば、ゴム(ウレタンゴム、シリコーンゴム等)、スポンジ等でなる柱状の部材を用いることができる。特に、容器102との間に作用する摩擦力が大きいゴムで構成される接触部材116を用いることによって、搬送中の容器102の位置ずれを抑制できる。
また、接触部材116は、容器102の上面側に対して3以上の位置で接触することが好ましい。ただし、接触部材116の形状、数、配置等の条件は任意に変更され得る。例えば、互いに概ね平行に配置された一対の線状(帯状)の接触部材116がフレーム82に設けられても良い。
フレーム82の後端部の下側には、カバー120が設けられている。カバー120は、容器102が格納領域104に格納される際に、容器102の開口102bを覆う。開口102bがカバー120によって覆われると、搬送車10の走行中に容器102の収容部102aに異物が入り込むことを防止でき、搬送されている物品への異物の付着が防止される。また、搬送車10の走行中に容器102が傾いたり振動したりしても、物品の開口102bからの飛び出しがカバー120によって防止される。
フレーム82の前端部及び後端部には、一対の第1センサー122が設けられている。すなわち、一対の第1センサー122は、フレーム82の長さ方向(車長方向)に離れた2つの位置に設けられている。また、フレーム82の両側端部には、一対の第2センサー124が設けられている。すなわち、一対の第2センサー124は、フレーム82の幅方向(車幅方向)に離れた2つの位置に配置されている。
第1センサー122と第2センサー124とは、それぞれ、搬送車10が走行する搬送路6と対向するように装着され、搬送路6に設けられたマークを検出する。第1センサー122及び第2センサー124によるマークの検出結果に基づいて、搬送車10の走行、旋回、停車等が制御される。第1センサー122及び第2センサー124を用いた搬送車10の制御の詳細については後述する。
さらに、図4(A)等に示すように、フレーム82の前端部には、搬送車10が障害物に衝突したことを検知する第3センサー126が設けられている。例えば、フレーム82の前端部の両端側に、一対の第3センサー126が装着される。第3センサー126としては、例えば、押しボタン式のスイッチが用いられる。
搬送車10の前端部が障害物に衝突すると、第3センサー126が作動して搬送車10の衝突が検知される。そして、第3センサー126によって搬送車10の衝突が検知されると、搬送車10は動作を停止する。搬送車10は、例えば、衝突等に起因する衝撃を弱めることのできる柔軟な外装カバーによって覆われることがある。この場合には、搬送車10の前端側を覆う外装カバーが障害物に衝突すると、外装カバーが変形して第3センサー126に接触し、搬送車10の衝突が検知される。
図4(A)及び図4(B)に示すように、昇降ユニット110の上側には、フレーム82に固定された板状の支持台128が設けられている。この支持台128の上面には、搬送車10の動作を制御する制御部(制御ユニット)130が固定されている。制御部130は、搬送車10の各構成要素(駆動ユニット90、昇降ユニット110、第1センサー122、第2センサー124、第3センサー126等)に接続されており、各構成要素の動作を制御する。
制御部130は、例えば、CPU等の処理装置と、DRAM等の主記憶装置と、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成されている。補助記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御部130の機能が実現される。
また、支持台128上には、外部からの制御信号(情報)を受信して制御部130に送る受信機132と、制御部130から受け取った通知信号(情報)を外部に送信する送信機134と、が固定されている。受信機132と送信機134とは、それぞれ、制御部130に接続されている。
受信機132は、例えば、搬送システム2の制御ユニット12(図2参照)から送信される制御信号を受信して制御部130に送る。制御部130は、例えば、受信機132から受け取った制御信号に基づき、搬送車10の動作を制御する。また、制御部130は、例えば、通知用の信号(通知信号)を生成して送信機134に送る。送信機134は、例えば、制御部130から受け取った通知信号を搬送システム2の制御ユニット12に送信する。
なお、搬送車10の各構成要素(昇降ユニット110、第1センサー122、第2センサー124、第3センサー126、制御部130、受信機132、送信機134等)は、給電用の配線を介してバッテリー96に接続されており、このバッテリー96から供給される電力によって動作する。
容器102の昇降時には、昇降ユニット110のモーター等の回転が、制御部130によって制御される。容器102を載置領域Aに載置する際には、駆動機構114から吊り下げ部材112が任意の速度で送り出されるように、モーターの回転方向及び回転数が制御される。例えば、制御部130は、モーターの回転数が維持されるように、モーター142の電流値を制御する。
容器102が下降して載置領域Aに到達すると、容器102が載置領域Aで下側から支持される。その結果、モーターに作用する負荷が弱まり、モーターの電流値が減少する。制御部130は、容器102が載置領域Aに載置された際のモーターの電流値の変化に基づいて、モーターの回転を停止させる。これにより、載置領域Aへの容器102の載置が完了する。
容器102が上昇して格納領域104に到達すると、フレーム82の下面側に設けられた複数の接触部材116に容器102が押し付けられる。その結果、モーターに作用する負荷が強まり、モーターの電流値が増加する。制御部130は、容器102が接触部材116と接触した際のモーターの電流値の変化に基づいて、モーターの回転を停止させる。これにより、格納領域104への容器102の格納が完了する。
ただし、モーターの制御方法に制限はない。例えば、フレーム82の下面側や載置領域Aの上面側には、容器102が配置されたことを検知するセンサー(押しボタン式のスイッチ等)が設けられても良い。この場合には、センサーによって容器102が検知されると、制御部130は、モーターの回転を停止させる。なお、センサーによる検知と、モーターの電流値による検知と、を併用することもできる。
図6は、加工装置4や搬送路6の外観を示す斜視図であり、図7は、加工装置4の内部の構造を示す斜視図である。なお、図6では、一部の構成要素を機能ブロックで示している。図6及び図7に示すように、加工装置4は、各構成要素を支持する基台202を備えている。
基台202の角部には、凹部202aが形成されており、この凹部202aには、昇降機構(不図示)によって昇降する昇降台204が配置されている。昇降台204の上面の載置領域Aには、上述した搬送車10の容器102が載せられる。なお、昇降台204の上面には、容器102の水平方向の位置を規定する複数の位置規定部材(不図示)が設けられており、搬送車10から降下した容器102は、複数の位置規定部材によって決まる載置領域Aに載せられる。
各位置規定部材は、例えば、降下する容器102を載置領域Aに向かってガイドする曲面状のガイド面を備え、昇降台204上の容器102の側面に対応する位置に固定されている。容器102を昇降台204に向けて下降させる際には、各位置規定部材のガイド面によって容器102がガイドされる。そのため、仮に、容器102が水平方向に揺動したとしても、容器102を載置領域Aに載せることができる。
なお、昇降台204の載置領域Aより下方の領域には、収容領域の他にも、紫外線を照射する照射ユニット、ノッチの位置を検出する検出ユニット、バーコード等を読み取る読み取りユニット等が配置されることがある。
凹部202aの側方には、X2軸方向(前後方向、加工送り方向)に長い凹部202bが形成されている。凹部202b内には、X軸移動テーブル(不図示)をX2軸方向に移動させるボールねじ式のX軸移動機構(加工送りユニット)206が配置されている。X軸移動テーブルの上方には、テーブルカバー206aが配置されている。また、テーブルカバー206aの前後には、蛇腹状の防塵防滴カバー206bが取り付けられている。
X軸移動テーブルの上部には、被加工物11を保持するチャックテーブル208がテーブルカバー206aから露出する態様で配置されている。チャックテーブル208は、モーター等の回転駆動源(不図示)に連結されており、Z2軸方向(鉛直方向、切り込み送り方向)に概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、チャックテーブル208は、上述したX軸移動機構206によってX2軸方向に移動する(加工送り)。
チャックテーブル208の上面は、テープ13を介して被加工物11を保持するための保持面208aになっている。保持面208aは、チャックテーブル208の内部に形成された吸引路(不図示)等を介して吸引源(不図示)に接続されている。また、チャックテーブル208の周囲には、被加工物11を支持するフレーム15を四方から固定するための4個のクランプ210が設けられている。
凹部202bの上方には、Y2軸方向(左右方向、割り出し送り方向)に平行な状態を維持しながら接近、離隔される一対のガイドレール212が設けられている。一対のガイドレール212は、それぞれ、フレーム15を下方から支持する支持面と、支持面に概ね垂直な側面とを備え、載置領域Aの容器102から引き出された被加工物ユニット17(フレーム15)をX2軸方向において挟み込んで所定の位置に合わせる。
基台202の上方には、門型の第1支持構造214が凹部202bを跨ぐように配置されている。第1支持構造214の前面(ガイドレール212側の面)には、Y2軸方向に沿う第1レール216が固定されており、この第1レール216には、第1移動機構218等を介して第1保持ユニット220が連結されている。
第1保持ユニット220は、例えば、フレーム15の上面に接触してこのフレーム15を吸着し、第1移動機構218によって昇降するとともに、第1レール216に沿ってY2軸方向に移動する。第1保持ユニット220の昇降台204側には、フレーム15を把持するための把持機構220aが設けられている。
例えば、把持機構220aでフレーム15を把持して第1保持ユニット220をY2軸方向に移動させれば、載置領域Aの容器102から被加工物ユニット17を一対のガイドレール212に引き出し、又は、一対のガイドレール212上の被加工物ユニット17を載置領域Aの容器102に挿入できる。なお、一対のガイドレール212でフレーム15の位置を合わせた後には、第1保持ユニット220でこのフレーム15を吸着して、被加工物ユニット17をチャックテーブル208へと搬入する。
また、第1支持構造214の前面には、Y2軸方向に沿う第2レール222が第1レール216の上方に固定されている。この第2レール222には、第2移動機構224等を介して第2保持ユニット226が連結されている。第2保持ユニット226は、例えば、フレーム15の上面に接触してこのフレーム15を吸着し、第2移動機構224によって昇降するとともに、第2レール222に沿ってY2軸方向に移動する。
第1支持構造214の後方には、門型の第2支持構造228が配置されている。第2支持構造228の前面(第1支持構造214側の面)には、それぞれ、Y軸Z軸移動機構(割り出し送りユニット、切り込み送りユニット)230を介して2組の加工ユニット(切削ユニット)232が設けられている。各加工ユニット232は、対応するY軸Z軸移動機構230によってY2軸方向に移動する(割り出し送り)とともに、Z2軸方向に移動する(切り込み送り)。
各加工ユニット232は、Y2軸方向に概ね平行な回転軸となるスピンドル(不図示)を備えている。各スピンドルの一端側には、円環状の切削ブレード234が装着されている。各スピンドルの他端側には、モーター等の回転駆動源(不図示)が連結されている。また、切削ブレード234の傍には、被加工物11や切削ブレード234に純水等の切削液を供給するためのノズルが配置されている。
このノズルから切削液を供給しながら、回転させた切削ブレード234をチャックテーブル208に保持された被加工物11に切り込ませることで、被加工物11を加工(切削)できる。加工ユニット232に隣接する位置には、チャックテーブル208に保持された被加工物11等を撮像するための撮像ユニット(カメラ)236が設けられている。この撮像ユニット236も、Y軸Z軸移動機構230によってY2軸方向に移動するとともに、Z2軸方向に移動する。
凹部202bに対して昇降台204と反対側の位置には、洗浄ユニット238が配置されている。洗浄ユニット238は、筒状の洗浄空間内で被加工物11を保持するスピンナテーブル240を備えている。スピンナテーブル240の下部には、スピンナテーブル240を所定の速さで回転させる回転駆動源(不図示)が連結されている。
スピンナテーブル240の上方には、スピンナテーブル240により保持された被加工物11に向けて洗浄用の流体(代表的には、水とエアーとを混合した混合流体)を噴射する噴射ノズル242が配置されている。被加工物11を保持したスピンナテーブル240を回転させて、噴射ノズル242から洗浄用の流体を噴射することで、被加工物11を洗浄できる。
加工ユニット232で被加工物11を切削した後には、例えば、第2保持ユニット226でフレーム15を吸着して被加工物ユニット17を洗浄ユニット238へと搬入する。洗浄ユニット238で被加工物11を洗浄した後には、例えば、第1保持ユニット220でフレーム15を吸着して被加工物ユニット17を一対のガイドレール212に載せ、その後、このフレーム15を把持機構220aで把持して被加工物ユニット17を載置領域Aの容器102に収容する。
図6に示すように、基台202の上面側は、カバー244によって覆われており、上述した各構成要素は、カバー244の内側に収容される。凹部202aの直上の領域には、カバー244の天井244aを上下に貫通する開口(不図示)が設けられている。搬送車10の容器102は、この開口を通じてカバー244の外部から内部へと移動し、この開口を通じてカバー244の内部から外部へと移動する。開口の形状や大きさに制限はないが、この開口は、少なくとも容器102を通過できるように構成される必要がある。
上述した加工装置4の各構成要素は、制御装置246に接続されている。制御装置246は、例えば、CPU等の処理装置と、DRAM等の主記憶装置と、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成されている。補助記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御装置246の機能が実現される。
制御装置246には、外部からの制御信号(情報)を受信して制御装置246に送る受信機248と、制御装置246から受け取った通知信号(情報)を外部に送信する送信機250と、が更に接続されている。受信機248は、例えば、搬送システム2の制御ユニット12から送信される制御信号を受信して制御装置246に送る。
制御装置246は、例えば、受信機248から受け取った制御信号に基づき、加工装置4の各構成要素の動作を制御する。また、制御装置246は、例えば、通知信号を生成して送信機250に送る。送信機250は、例えば、制御装置246から受け取った通知信号を搬送システム2の制御ユニット12に送信する。
基台202の側壁には、各種の配管20が接続される配管接続部202cが設けられている。また、カバー244の側壁には、メンテナンス等の際に開閉される扉244bが設けられている。なお、カバー244の側壁には、制御装置246に対する指示等が入力される操作パネル(不図示)等の入力インターフェースや、加工装置4に関する各種の情報が表示されるディスプレイ(不図示)等の表示ユニットが設けられていても良い。
この加工装置4は、本実施形態の搬送システム2に連動して動作する。例えば、搬送車10は、搬送路6上の停車領域に停車して、被加工物ユニット17が収容された容器102を、加工装置4の昇降台204の上面(載置領域A)に載置する。昇降台204に容器102が載置されると、搬送車10の制御部130は、その旨を通知するための通知信号を生成し、送信機134に発信させる。この信号は、送信機134から搬送システム2の制御ユニット12に送信される。
制御ユニット12は、搬送車10の送信機134から送信された通知信号に基づいて、容器102から加工前の被加工物ユニット17を搬出し、加工後の被加工物ユニット17を容器102へと搬入する旨を加工装置4に指示するための制御信号を生成する。
該制御信号を加工装置4の受信機248が受信し、この制御信号に基づく指示を制御装置246が受けると、制御装置246は、昇降台204の上面(載置領域A)に載置された容器102から加工前の被加工物ユニット17を第1保持ユニット220に搬出させる。これにより、被加工物ユニット17が一対のガイドレール212に引き出され、被加工物11の加工が開始される。
例えば、被加工物11の加工が開始されると、制御装置246は、昇降台204の高さを調整し、載置領域Aの下方に設けられている収容領域から加工後の被加工物ユニット17を一対のガイドレール212に引き出す。そして、一対のガイドレール212上の加工後の被加工物ユニット17を昇降台204上の容器102に収容する。
加工後の被加工物ユニット17が容器102に収容されると、加工装置4の制御装置246は、その旨を通知するための通知信号を生成し、送信機250から搬送システム2の制御ユニット12に送信する。制御ユニット12は、加工装置4の送信機250から送信された通知信号に基づいて、次の目的地へと向かう旨を搬送車10に指示するための制御信号を生成する。
制御ユニット12からの制御信号を搬送車10の受信機132が受信し、この信号に基づく指示を制御部130が受けると、制御部130は、次の目的地へと向けて搬送車10を走行させる。このように、搬送システム2を利用することで、加工装置4は、加工前の被加工物ユニット17を適時に受け取り、加工後の被加工物ユニット17を適時に回収させることができる。
加工装置(切削装置)4は、さらに、被加工物11を加工する工具である切削ブレード234を加工ユニット(切削ユニット)232に着脱するオートブレードチェンジャー(不図示)と呼ばれる機構を備えても良い。オートブレードチェンジャーは、加工ユニット232に装着された古い切削ブレード234を取り外し、新しい切削ブレード234を加工ユニット232に装着する機能を有する。
加工装置(切削装置)4は、交換用の新しい切削ブレード234を保管するため複数のブレードホルダーを有してもよい。本実施形態に係る搬送システム2は、工具として切削ブレード234を搬送車10で加工装置4に搬送してもよい。この場合、加工装置4は、新しい切削ブレード234を載置領域Aに置かれた容器102から取り出してブレードホルダーに搬入し、古い切削ブレード234をブレードホルダーから取り出して容器102に搬送するブレード搬送機構をさらに備える。
さらに、加工装置4は、テーブルカバー206a上のチャックテーブル208に隣接する位置にサブチャックテーブル252を備えても良い。サブチャックテーブル252は、例えば、切削ブレード234の真円出しやドレッシングに使用されるドレッサーボードを保持する。本実施形態に係る搬送システム2は、消耗品としてドレッサーボードを加工装置4に搬送してもよい。この場合、加工装置4は、載置領域Aに置かれた容器102からサブチャックテーブル252へドレッサーボードを搬送するためのドレッサーボード搬送機構をされに備える。
図1や図6等に示すように、搬送システム2を構成する搬送路6は、各加工装置4がそれぞれ備えるカバー244の天井244aの上面側や、ローダー・アンローダー8が備える筐体22の天井22aの上面側等に設置される。すなわち、搬送路6は、複数の加工装置4やローダー・アンローダー8等の間を接続するように、加工装置4やローダー・アンローダー8等の真上に配置されている。
そのため、加工装置4の側面に設けられている配管接続部202cや扉244b等の構造に対して、搬送路6が干渉することはない。つまり、搬送路6を設計する際に、加工装置4の側面の構造を考慮する必要がなくなる。これにより、搬送システム2を容易に構築できる。また、工場の天井等に比べて低い場所に搬送路6が配置されるので、搬送路6の設置にかかる作業も容易になる。
そして、例えば、複数の加工装置4等が既に設置されている環境で搬送路6を構築する場合には、工場の天井等に搬送路を設ける場合のように、加工装置4等を移動させて作業スペースを確保する必要がない。更に、既に設置されている加工装置4等が搬送路6の土台になるので、新たに土台を設ける場合等に比べて作業の工数も少なくなる。
図8は、加工装置4及びローダー・アンローダー8の上方に設置された搬送路6を模式的に示す上面図である。なお、ローダー・アンローダー8の上方に設置される搬送路6の構造等は、加工装置4の上方に設置される搬送路6の構造等と概ね同じである。複数の加工装置4の天井244aやローダー・アンローダー8の天井22a等には、ねじやボルト、フレーム262(図6参照)等により搬送路6が固定される。
フレーム262は、例えば、アルミニウム等の金属を含む材料で形成された棒状のフレーム部材の複合体であり、例えば、隣接する加工装置4やローダー・アンローダー8との間を連結するような形状に組み上げられている。このフレーム262を、各加工装置4の天井244aやローダー・アンローダー8の天井22a等に対して固定することで、搬送路6の土台が形成される。
なお、各加工装置4やローダー・アンローダー8等に対してフレーム262を固定する際には、フレーム262の上面が概ね水平になり、また、フレーム262の上面の高さが概ね等しくなるように、各加工装置4やローダー・アンローダー8等に対するフレーム262の高さが調整される。
これにより、各加工装置4の天井244aやローダー・アンローダー8の天井22a等の高さが完全に等しくない場合でも、水平に、且つ、同じ高さに搬送路6を形成できるようになる。加工装置4やローダー・アンローダー8等に対してフレーム262の高さを調整する方法に制限はないが、例えば、各加工装置4の天井244aやローダー・アンローダー8の天井22a等と、フレーム262の下面と、の間に高さ調整用の部材を配置する方法を用いることができる。
もちろん、加工装置4やローダー・アンローダー8の高さを調整しても良い。例えば、加工装置4やローダー・アンローダー8の下端部(脚部)には、高さ調整用の調整機構が設けられている。よって、この調整機構を用いて加工装置4やローダー・アンローダー8の高さを調整し、各加工装置4の天井244aやローダー・アンローダー8の天井22a等の高さを等しくすれば、搬送路6の土台に適したフレーム262を実現できる。なお、フレーム262は、複数の階層を有する階層構造で構築されてもよい。
フレーム262の上面側には、搬送路6が設けられる。搬送路6は、例えば、平板状の複数の路面パネル266を水平な方向に並べることによって形成される。このように、複数の路面パネル266を組み合わせて搬送路6を形成することで、複数の加工装置4やローダー・アンローダー8の配置等に応じた様々な搬送路6が容易に実現される。
路面パネル266は、例えば、ポリアミドやポリカーボネート、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化プラスチック)等の軽量で強度の高い材料を用いて平面視で矩形状に形成され、搬送車10の走行に適した平坦な上面を有している。
フレーム262は、例えば、それぞれが複数の棒状のフレーム部材を含む複数のフレームユニットを組み合わせることにより形成される。複数のフレームユニットを用いてフレーム262を形成する場合には、加工装置4が設置される工場等に対して、フレームユニットの形態でフレーム部材が運び込まれる。
つまり、安定した環境で生産される高品質なフレームユニットを用いて、高品質なフレーム262が形成される。また、棒状のフレーム部材を加工装置4の上方で連結する場合のような煩雑な作業も発生しない。よって、高品質な搬送路6を短期間で形成することができる。
図8は、複数の路面パネル266を並べて構成される搬送路6を模式的に示す平面図である。図8では、隣接する路面パネル266の境界を破線で示している。搬送路6を形成する際には、例えば、フレーム262に対して、路面パネル266を固定する。また、路面パネル266間の隙間を埋めるように、平板状の橋渡しパネル274a,274bが使用される。
橋渡しパネル274a,274bは、例えば、搬送路6に形成される隙間や段差を十分に小さくするように、フレーム262に固定される。これにより、走行中の搬送車10への衝撃を小さく抑えて、被加工物11等の破損を防ぐことができる。なお、搬送路6に小さな隙間が残る場合には、例えば、搬送車10が進行する方向に沿う心材を備えたテープ等を用いて、この隙間を塞ぐと良い。
このように構成される搬送路6を搬送車10が走行すると、例えば、搬送車10の車輪86等と、搬送路6と、の摩擦により静電気が生じ、搬送車10の容器102に収容された物品に悪影響が及ぶことがある。例えば、搬送される物品である被加工物11に半導体デバイスが形成されている場合には、この半導体デバイスが静電気によって破壊されるおそれがある。
そこで、搬送路6となる路面パネル266の上面の車輪86等が接触する部分には、導電性部材を露出させておくことが好ましい。導電性部材としては、例えば、アルミニウムや銅等の金属の他に、CFRP等が用いられる。なお、路面パネル266がCFRPで構成されている場合には、その上面にもCFRPが露出する。つまり、路面パネル266の上面に導電性部材が露出した状態が実現される。
このように、路面パネル266の上面に導電性部材を露出させておくことで、摩擦による静電気の発生と、その蓄積と、を抑制して、被加工物11に悪影響が及ぶのを防ぐことができる。なお、路面パネル266の上面に露出した導電性部材は、導線(不図示)等を介して接地されても良い。この場合には、車輪86等と路面パネル266との接触により生じた静電気が導線を通じて放電するので、路面パネル266に蓄積しない。よって、被加工物11は、搬送車10によって、より安全に搬送される。
本実施形態の搬送システム2では、原則として、搬送路6の端部に搬送車10が到達しないように、搬送車10の動作が制御される。しかしながら、搬送車10や制御ユニット12等に何らかのトラブルが発生した場合には、搬送路6の端部に搬送車10が到達し、この搬送路6の端部から搬送車10が落下する可能性もある。
そこで、搬送路6の端部には、図6に示すように、搬送路6からの搬送車10の落下を防止するための障壁となるガード部276を設けることが望ましい。このガード部276は、例えば、アルミニウム等の金属を含む材料で形成され、フレーム262や路面パネル266に固定される。路面パネル266の上面からガード部276の上端までの高さは、例えば、搬送車10の車輪86の半径より大きくなっている。好ましくは、車輪86の直径より大きくなっている。
なお、このガード部276は、搬送車10の第3センサー126や外装カバーに接触する高さに形成されても良い。この場合には、搬送車10の第3センサー126や外装カバーにガード部276が接触すると、搬送車10は障害物との衝突を検知して停車する。そのため、より安全に搬送車10を走行させることができる。
図8に示すように、搬送路6は、主に搬送車10の走行に使用される走行領域278と、主に搬送車10の停車に使用される停車領域280と、主に搬送車10の待機に使用される待機領域284とを含む。停車領域280に停車した搬送車10と、停車領域280の下方に位置する加工装置4やローダー・アンローダー8等と、の間で被加工物ユニット17等の物品が搬送される。
走行領域278は、例えば、加工装置4やローダー・アンローダー8等の配置に沿う環状に形成される。搬送車10は、例えば、この環状の走行領域278に沿う一方の向きに走行し、他方の向きには走行しない(つまり、一方通行)。これにより、搬送車10を簡単な制御で安全に走行させることができる。
ただし、走行領域278の形状、搬送車10の走行の態様等に制限はない。例えば、走行領域278は、搬送車10の双方向への走行を許容するように構成されることがある。また、走行領域278は、終端のない環状に形成されている必要はなく、例えば、終端を持つ直線状に形成されても良い。
一方で、停車領域280には、路面パネル266を上下に貫通する開口282が設けられている。開口282は、例えば、容器102の上面及び下面より僅かに大きく形成されており、容器102の上下への通過を許容する。一方で、搬送車10が停車領域280に進入する際の進入の方向に対して垂直な方向での開口282の幅は、搬送車10の一対の車輪86の間隔よりも狭くなっている。これにより、搬送車10が停車領域280に進入する際の進入の方向が適切な場合には、車輪86は開口282に脱落しない。
待機領域284は、例えば、搬送車10を待機させる可能性の高い領域に配置される。待機領域284に搬送車10を待機させることで、他の搬送車10は、待機中の搬送車10を追い越すことができる。また、搬送車10の双方向への走行が許容されている場合には、この待機領域284で一時的に搬送車10を待機させることで、2台の搬送車10を行き違わせることができる。なお、搬送路6は、必ずしも待機領域284を含まなくて良い。
搬送路6を構成する路面パネル266、橋渡しパネル274a、橋渡しパネル274b等の上面には、搬送車10が備えるセンサーによって検出される複数の種類の誘導用のマーク286(図6参照)が設けられている。搬送車10は、センサーによって検出される各種のマーク286に基づいて、走行、旋回、停車等の制御を行う。
マーク286は、例えば、路面パネル266等の上面の他の領域とは異なる色彩を持つ直線状に構成される。本実施形態では、このマーク286として、図8に示すように、第1マーク286a、第2マーク286b、第3マーク286c、及び第4マーク286dが使用される。
ただし、マーク286の態様に制限はない。マーク286は、例えば、曲線を含んでも良いし、破線によって構成されても良い。また、マーク286として、文字、数字、図柄等を用いることもできる。更に、マーク286の色彩等にも制限はない。例えば、異なる色彩の複数のマーク286を用いるとともに、このマーク286の色彩に基づき各種の制御を行うように搬送車10を構成しても良い。
走行領域278には、搬送車10が進行する方向に沿う第1マーク286aが設けられている。第1マーク286aは、例えば、走行領域278を走行する搬送車10が通過すべき領域に形成される。より具体的には、第1マーク286aは、走行領域278を走行する搬送車10の一対の第1センサー122の直下に設けられる。搬送車10は、一対の第1センサー122で第1マーク286aを検出し、この第1マーク286aに沿って搬送路6上を走行できる。
図8に示すように、走行領域278の所定の部分では、2つの直線状の第1マーク286aが交差している。搬送車10は、一方の第1マーク286aに沿って進行する間に、この一方の第1マーク286aと交差する他方の第1マーク286aを第2センサー124で検出する。第2センサー124で他方の第1マーク286aが検出されると、搬送車10は、必要に応じて旋回する。
つまり、2つの直線状の第1マーク286aが交差する任意の交差点で搬送車10の進行する方向が変更される。このように、第2センサー124で検出される上述した他方の第1マーク286aの一部は、搬送車10が旋回する位置を示す第2マーク286bとして機能する。なお、搬送路6には、2つの第1マーク286aが交差する交差点の数に対応する数の第2マーク286bが存在する。つまり、図8の搬送路6には、複数の第2マーク286bが存在している。
搬送車10の制御部130は、第2センサー124に走行領域278等(搬送路6)の上面を監視させて、第2センサー124によって検出された第2マーク286bの数をカウントし、カウントされた第2マーク286bの数に基づいて搬送車10を旋回させる。第2センサー制御部130cは、例えば、第2センサー124が第2マーク286bを検出する度に、その旨を制御部130に通知する。
例えば、搬送システム2の制御ユニット12からの指示に対応する第2マーク286bの数(所定の数)と比較する。そして、第2センサー124により検出された第2マーク286bの数が制御ユニット12からの指示に対応する第2マーク286bの数に達すると、制御部130は駆動ユニット90を制御して、搬送車10を旋回させる。
つまり、制御部130は、検出された第2マーク286bの数に応じて搬送車10の向きを変更する。このように、搬送車10は、第2センサー124で第2マーク286bを検出し、必要に応じて向きを変更できる。なお、第2マーク286bは、例えば、走行領域278の角の部分(搬送路6の角部)や、走行領域278の停車領域280に隣接する部分、走行領域278の待機領域284に隣接する部分等に設けられる。
ところで、一対の車輪86を通る直線上に一対の第2センサー124が配置されている場合には、第2マーク286bを車輪86が通過するのと同時に、この第2マーク286bを一対の第2センサー124によって検出できる。したがって、第2マーク286bが検出されるタイミングで搬送車10を旋回させることで、旋回後に検出すべき第1マーク286aから一対の第1センサー122が大きくずれてしまうことはなくなる。つまり、何らの補正を行わなくとも、搬送車10を適切に旋回させることができるようになる。
図8に示すように、停車領域280には、搬送車10が進入する方向に沿う第3マーク286cが設けられている。すなわち、第3マーク286cは、停車領域280に対して搬送車10が進入する向きを示している。この第3マーク286cは、例えば、搬送車10の進入する方向に対して垂直な方向で開口282を挟む2つの位置に形成され、搬送車10の第2センサー124により検出される。
搬送車10の制御部130は、第2センサー124によって検出された第3マーク286cが示す向きに沿って搬送車10を停車領域280に進入させる。制御部130は、第2センサー124に停車領域280等(搬送路6)の上面を監視させて第3マーク286cを検出させる。
制御部130は、第3マーク286cの情報に基づいて、第3マーク286cが示す向きを特定し、駆動ユニット90を制御して、特定された向きに沿って搬送車10を停車領域280に進入させる。第3マーク286cは、代表的には、搬送車10の車輪86が通るべき領域に設けられる。ただし、第3マーク286cの配置等に制限はない。
図8に示すように、停車領域280(又は待機領域284)に対して搬送車10が進入する方向において停車領域280(又は待機領域284)の後側(手前側)には、第1マーク286aや第3マーク286cに対して交差する第4マーク286dが設けられている。この第4マーク286dは、停車領域280(又は待機領域284)の位置を示す。
制御部130は、搬送車10の進行する方向の後側に位置する第1センサー122(一対の第1センサー122の一方)によって第4マーク286dが検出されたときに搬送車10を停車させる。制御部130は、第1センサー122に走行領域278や停車領域280等(搬送路6)の上面を監視させて第1センサー122に第4マーク286dを検出させる。第1センサー122によって第4マーク286dが検出されると、駆動ユニット90を制御して、搬送車10を迅速に停止させる。
なお、この第4マーク286dは、停車領域280(又は待機領域284)に対して搬送車10が進入する方向において停車領域280(又は待機領域284)の前側(奥側)に設けられても良い。この場合には、搬送車10は、前側の第1センサー122で第4マーク286dを検出すると、直ちに停車することになる。
なお、第4マーク286dは、第2センサー124によって検出できる位置に設けられていても良い。この場合、制御部130は、第2センサー124が第4マーク286dを検出すると、駆動ユニット90を制御して、搬送車10を停車させる。
また、制御部130は、第1センサー122又は第2センサー124により第4マーク286dが検出されてから所定の時間が経過した後に、搬送車10を停車させても良い。第4マーク286dの検出から搬送車10の停車までの時間は、例えば、第4マーク286dと停車領域280との距離や、搬送車10が走行する速度等に基づいて調整される。
図8に示すように、搬送車10が進入する方向において停車領域280及び待機領域284の前側(奥側)の位置には、電源(不図示)に接続された給電用の端子(給電端子)288が配置されている。例えば、停車領域280や待機領域284に搬送車10を停車させて、搬送車10の端子(受電端子)100を端子288に接触させれば、端子100及び充電用の配線(充電配線)98を介して、バッテリー(二次電池)96に充電用の電力が供給される。つまり、バッテリー96を充電できる。
例えば、停車領域280で搬送車10が停車した後には、昇降ユニット110によって容器102が昇降される。停車領域280に給電用の端子288が配置されていると、容器102を昇降させる際にもバッテリー96が充電される。よって、容器102を昇降させる際に昇降ユニット110で消費される大量の電力を十分に賄うことができる。
なお、待機領域284にも端子288が配置されている。よって、例えば、搬送車10を待機領域284で待機させる際にも、バッテリー96が充電される。これにより、搬送車10の稼働できる時間を延ばして、被加工物11の搬送にかかる効率を高めることができる。
また、路面パネル266、橋渡しパネル274a、橋渡しパネル274b、及びフレーム262等は、搬送路6の一部分を構成し得る搬送路モジュールとして組まれても良い。そして、複数の種類の搬送路モジュールを準備し、搬送路モジュールの形態で路面パネル266等を加工装置4等が含まれる工場に搬入し、複数の搬送路モジュールを組み合わせて搬送路6を構築してもよい。この場合、搬送路6の設置や解体に要する時間を短縮化できる。
さらに、この場合、複数の種類の搬送路モジュールの組み合わせ方を決定するだけで搬送路6を設計できる。また、統一された規格の搬送路モジュールは、搬送路6の構築現場の外の安定した環境で製造可能であり、安価かつ高品質に作製できる。そのため、搬送路モジュールを組み合わせて搬送路6を構築すると、コストの低減や搬送路6の品質向上にも寄与する。搬送路6の一部に不具合を生じた場合においても、当該一部を含む搬送路モジュールを交換するだけで容易に修復作業を完了できる。
搬送路6上のある位置(出発地)から別の位置(目的地)まで搬送車10を移動させる際の動作は、例えば、次の通りである。まず、搬送システム2の制御ユニット12は、移動の対象となる搬送車10に対して、出発地から目的地に移動する旨の指示に相当する制御信号を送る。
制御ユニット12の指示を受けた搬送車10の制御部130は、まず、自身の現在の位置を出発地として目的地までの経路を決定し、この経路に沿って、出発地から搬送車10が旋回すべき各位置までの間に存在する第2マーク286bの数と、旋回すべき各位置での旋回の方向と、を求める。そして、搬送車10の制御部130は、自身が求めた第2マーク286bの数及び旋回の方向に基づいて、駆動ユニット90等を制御する。
例えば、搬送車10の制御部130は、第1センサー122及び第2センサー124で搬送路6の上面を監視しながら、搬送車10を走行させる。つまり、制御部130は、第1センサー122によって検出される第1マーク286aの示す方向に沿って搬送車10を走行させながら、第2センサー124が通過する第2マーク286bを、この第2センサー124に検出させる。
制御部130は、第2センサー124が通過した第2マーク286bの数が、自身の求めた第2マーク286bの数に達すると、搬送車10を自身の求めた旋回の方向に旋回させる。その後、制御部130は、第1マーク286aの示す方向に沿って搬送車10を再び走行させる。搬送車10が目的地に到着すると、制御部130は、その旨を通知するための通知信号を制御ユニット12に送る。
なお、停車領域280に搬送車10を進入させる際には、制御部130は、第3マーク286cを第2センサー124に検出させて、搬送車10が進行する方向を細やかに調整する。これにより、搬送車10の車輪86が開口282に脱落することを防止できる。この際には、第1マーク286aの示す方向に沿って搬送車10を走行させる時に比べて、走行にかかる速度を低く抑えると良い。その後、制御部130は、第4マーク286dを第1センサー122に検出させて、搬送車10を停車領域280に停車させる。
搬送車10は、原則として、進行する方向の前方に車輪86が位置し、進行する方向の後方に車輪88が位置するように走行する。ただし、停車領域280や待機領域284から走行領域278へと移動する際には、搬送車10は、進行する方向の後方に車輪86が位置し、進行する方向の前方に車輪88が位置するように走行することになる。
搬送車10が停車領域280に停車すると、容器102が開口282の直上に位置付けられる。また、搬送路6側の端子288に対して搬送車10側の端子100が接触する。これにより、搬送車10は、バッテリー96を充電しながら容器102を降下させて、開口282の下方に位置する載置領域Aに容器102を載せることができる。
なお、上述した動作の態様では、第2マーク286bの数や旋回の方向を制御部130が算出しているが、制御部130による判断を最小限に留めるようにしても良い。例えば、出発地から搬送車10が旋回すべき各位置までの間に存在する第2マーク286bの数と、旋回すべき各位置での旋回の方向に関する情報と、を含む信号が制御ユニット12から送られる。この動作では、第2マーク286bの数や旋回の方向を制御部130が算出しなくて良いので、制御部130を簡略化できる。
次に、本実施形態にかかる搬送システム2の制御方法の例を説明する。図9は、搬送システム2の制御方法の例を説明するための図である。例えば、加工装置4の制御装置246は、加工前の被加工物11が新たに必要な状況になると、その旨を通知するための通知信号(被加工物要求信号)を生成する。制御装置246で生成された通知信号(被加工物要求信号)は、送信機250から制御ユニット12へと送信される。
図9に示すように、制御ユニット12は、各種の制御を行うための信号(制御信号)を生成する制御部(情報処理部・制御信号生成部)302を備えている。この制御部302は、例えば、CPU等の処理装置と、DRAM等の主記憶装置と、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成されている。補助記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御部302の機能が実現される。
制御部302には、加工装置4、ローダー・アンローダー8、搬送車10等から送信される通知信号を受信する受信機304と、加工装置4、ローダー・アンローダー8、搬送車10等に対して制御信号を送信する送信機306とが接続されている。
制御ユニット12の受信機304は、加工装置4の送信機250から送信された通知信号(被加工物要求信号)を受信すると、これを制御部302へと送る。制御部302は、加工装置4からの通知信号(被加工物要求信号)を確認すると、任意の搬送車10に対して、ローダー・アンローダー8の直上の停車領域280に移動し、容器102をローダー・アンローダー8の載置台66の上面に載せるように指示を出す。具体的には、制御部302は、この指示に相当する制御信号(第1載置指示信号)を生成し、送信機306から搬送車10へと送信する。
搬送車10の受信機132は、制御ユニット12からの制御信号(第1載置指示信号)を受信すると、これを制御部130へと送る。制御部130は、この制御信号(第1載置指示信号)に基づき駆動ユニット90等を制御し、搬送車10を搬送路6に沿って走行させる。搬送車10がローダー・アンローダー8の直上の停車領域280で停車すると、容器102が開口282の直上に位置付けられる。
搬送車10を停車領域280に停車させた状態で、制御部130は、昇降ユニット110を制御して、吊り下げ部材112を送り出す。これにより、開口282等を通過するように容器102を下降させて、載置台66の上面に容器102を載せることができる。
載置台66の上面に容器102を載せた後には、制御部130は、載置台66の上面への容器102の載置が完了した旨を通知するための通知信号(第1載置完了信号)を生成する。制御部130で生成された通知信号(第1載置完了信号)は、送信機134から制御ユニット12へと送信される。
制御ユニット12の受信機304は、搬送車10の送信機134から送信された通知信号(第1載置完了信号)を受信すると、これを制御部302へと送る。制御部302は、搬送車10からの通知信号(第1載置完了信号)を確認すると、ローダー・アンローダー8に対して、載置台66の上面への容器102の載置が完了した旨を通知する。具体的には、制御部302は、載置台66の上面への容器102の載置が完了した旨を通知するための制御信号(第2載置完了信号)を生成し、送信機306からローダー・アンローダー8へと送信する。
ローダー・アンローダー8の受信機68は、制御ユニット12からの制御信号(第2載置完了信号)を受信すると、これを制御装置46へと送る。制御装置46は、この制御信号(第2載置完了信号)を受け取ると、各構成要素の動作を制御して加工前の被加工物11を容器102に搬入する。なお、容器102に加工後の被加工物11が収容されている場合には、加工後の被加工物11を容器102から搬出した後に、加工前の被加工物11を容器102に搬入する。
加工前の被加工物11が容器102に搬入されると、制御装置46は、容器102への被加工物11の搬入が完了した旨を通知するための通知信号(第1搬送完了信号)を生成する。制御装置46で生成された通知信号(第1搬送完了信号)は、送信機70から制御ユニット12へと送信される。
制御ユニット12の受信機304は、ローダー・アンローダー8の送信機70から送信された通知信号(第1搬送完了信号)を受信すると、これを制御部302へと送る。制御部302は、ローダー・アンローダー8からの通知信号(第1搬送完了信号)を確認すると、搬送車10に対して、加工装置4の直上の停車領域280に移動し、容器102を加工装置4の昇降台204の上面(載置領域A)に載せるように指示を出す。具体的には、制御部302は、この指示に相当する制御信号(第2載置指示信号)を生成し、送信機306から搬送車10へと送信する。
搬送車10の受信機132は、制御ユニット12からの制御信号(第2載置指示信号)を受信すると、これを制御部130へと送る。制御部130は、この制御信号(第2載置指示信号)に基づき昇降ユニット110を制御し、吊り下げ部材112を巻き取る。これにより、開口282等を通過するように容器102を上昇させて、格納領域104に格納できる。その後、制御部130は、駆動ユニット90等を制御して、搬送車10を搬送路6に沿って走行させる。
搬送車10が加工装置4の直上の停車領域280で停車すると、容器102が開口282の直上に位置付けられる。搬送車10を停車領域280に停車させた状態で、制御部130は、昇降ユニット110を制御して、吊り下げ部材112を送り出す。これにより、開口282等を通過するように容器102を下降させて、加工装置4の昇降台204の上面に容器102を載せることができる。
昇降台204の上面に容器102を載せた後には、制御部130は、昇降台204の上面への容器102の載置が完了した旨を通知するための通知信号(第3載置完了信号)を生成する。制御部130で生成された通知信号(第3載置完了信号)は、送信機134から制御ユニット12へと送信される。
制御ユニット12の受信機304は、搬送車10の送信機134から送信された通知信号(第3載置完了信号)を受信すると、これを制御部302へと送る。制御部302は、搬送車10からの通知信号(第3載置完了信号)を確認すると、加工装置4に対して、昇降台204の上面への容器102の載置が完了した旨を通知する。具体的には、制御部302は、載置台66の上面への容器102の載置が完了した旨を通知するための制御信号(第4載置完了信号)を生成し、送信機306から加工装置4へと送信する。
加工装置4の受信機248は、制御ユニット12からの制御信号(第4載置完了信号)を受信すると、これを制御装置246へと送る。制御装置246は、この制御信号(第4載置完了信号)を受け取ると、各構成要素の動作を制御して加工前の被加工物11を容器102から搬出する。なお、加工装置4内に加工後の被加工物11が存在する場合には、加工前の被加工物11を容器102から搬出した後に、加工後の被加工物11を容器102に搬入する。
加工前の被加工物11が容器102から搬出されると、例えば、制御装置246は、容器102からの被加工物11の搬出が完了した旨を通知するための通知信号(第2搬送完了信号)を生成する。制御装置246で生成された信号(第2搬送完了信号)は、送信機250から制御ユニット12へと送信される。
このような手順により、ローダー・アンローダー8に収容されている加工前の被加工物11を任意の加工装置4に対して搬送できる。なお、ここでは、ローダー・アンローダー8から加工装置4に対して被加工物11を搬送する際の手順について主に説明したが、加工装置4からローダー・アンローダー8に対して被加工物11を搬送する際の手順等も同様である。
なお、上述した手順は、被加工物11を適切に搬送できる範囲内で任意に変更できる。例えば、上述した手順に含まれている複数のステップを同時に行っても良いし、被加工物11の搬送に支障が出ない範囲内でステップの順序を入れ替えても良い。同様に、被加工物11の搬送に支障が出ない範囲内で任意のステップを追加、変更、省略して良い。
以上のように、搬送路6、ローダー・アンローダー(搬送装置)8、搬送車10、カセット収容機構24、及び昇降ユニット(昇降機構)110は、いずれも、被加工物11等の物品を効率良く安全に搬送することができるように構成されている。そのため、これらが組み込まれた搬送システム2を用いることで、被加工物11等の物品を効率良く安全に搬送することができる。
ところで、各加工装置4の筐体に載せるように設置された搬送路6を含む搬送システム2では、工場の床面に立つオペレーター等からは搬送路6上を走行する搬送車10を視認しにくく、各搬送車10の位置や動作状態等を把握することは容易ではない。例えば、各搬送車10がどのような物品を搬送しているのか、搬送先はどの加工装置4であるか、到着時刻はいつであるか等をオペレーター等が把握するのは容易ではない。
また、例えば、搬送車10にエラーが生じ、何らかの対処が必要となる場合においても、エラーの発生に気付きにくい。さらに、搬送路6上を走行する複数の搬送車10のうちエラーが生じている搬送車10がいずれであるのか、エラーが生じた搬送車10がどこに位置しているのか、等の状況把握も容易ではない。
そこで、本実施形態に係る搬送システム2では、搬送路6を走行する搬送車10の位置等をオペレーター等が容易に把握できるように、搬送システム2を構成する表示ユニット14(図2参照)が位置情報画面を表示する。次に、本実施形態に係る搬送システム2の制御ユニット12の位置情報画面の表示に寄与する構成と、該位置情報画面と、等について説明する。
図2には、制御ユニット12の構成を模式的に示すブロック図が含まれている。制御ユニット12は、加工装置4、搬送車10及びローダー・アンローダー8に制御信号を送信する送信機306と、加工装置4及び搬送車10から送信される通知信号を受信する受信機304と、を備える。受信機304は、ローダー・アンローダー8から通知信号を受信してもよい。
制御ユニット12は、さらに、受信機304で受信した通知信号等に基づいて搬送システム2の動作状況を分析するとともに、各構成要素が所定の動作計画通りに動作するように管理する情報処理部12aを備える。該動作状況や該動作計画に関連する具体的な情報としては、例えば、各ローダー・アンローダー8、各搬送車10、各加工装置4、各カセット30、及び各物品等に関する情報である。情報の詳細については後述する。
また、制御ユニット12は、送信機306から送信する制御信号を生成する制御信号生成部12bを備える。制御信号生成部12bは、情報処理部12aによる搬送システム2の動作状況の分析結果と、各構成要素に計画された動作計画と、に基づいて、各構成要素が該動作計画の通りに動作するように制御するための制御信号を生成する。そして、送信機306に該制御信号を送り、送信機306を制御して各構成要素に該制御信号を送信させる。
さらに、制御ユニット12は、表示ユニット14を制御する表示制御部12cを備える。表示制御部12cは、表示ユニット14に表示される画面の内容を決定し、送信機306を制御して表示ユニット14に該画面に関する情報を含む制御信号を送信させる。表示制御部12cは、例えば、搬送システム2の動作状況を説明する画面や、搬送システム2にエラーが生じたことを報知する警告画面を表示ユニット14に表示させる。
ここで、制御ユニット12は、例えば、いずれかのローダー・アンローダー8の制御装置46や、いずれかの加工装置4の制御装置246により機能が実現されても良く、搬送路6が構築された工場の内外に設けられた情報端末により機能が実現されても良い。また、制御ユニット12は単一の機器により実現されもよく、複数の機器を組み合わせることで実現されてもよい。その実施態様に特に限定はない。
具体的には、搬送システム2は制御ユニット12として機能する独立したデスクトップPC、ノートPC、タブレット端末、若しくはスマートフォン等の情報端末を備えても良い。または、2以上の情報端末が組み合わされて制御ユニット12の機能を実現してもよい。
さらに、これらの情報端末は、搬送システム2の制御ユニット12として機能するだけでなく、各加工装置4及びローダー・アンローダー8を制御できてもよく、工場等で実施される被加工物11の加工を統合的に管理する管理装置として機能してもよい。この場合、本実施形態に係る搬送システム2は、工場等で実施される物品の搬送と、各加工装置4で実施される加工と、を実施する加工システムの一機能として考えることもできる。
表示ユニット14は、例えば、ローダー・アンローダー8、または、加工装置4の外表面に据え付けられたディスプレイパネル(不図示)でもよく、該情報端末のディスプレイパネルでもよい。入力インターフェース16は、ローダー・アンローダー8、または、加工装置4の外表面に据え付けられた操作ボタン(不図示)でもよく、該情報端末のキーボードやマウス、タッチパネル等の入力機器でもよい。また、タッチパネル付きディスプレイにより両者の機能が実現されてもよい。
以下、表示ユニット14及び入力インターフェース16として機能するタッチパネル付きディスプレイを備えるタブレット端末が搬送システム2に含まれる場合を例に説明するが、表示ユニット14及び入力インターフェース16はこれに限定されない。図10は、タッチパネル付きディスプレイ312を備えるタブレット端末310を模式的に示す斜視図である。
本実施形態に係る搬送システム2では、表示制御部12cは、搬送路6を表すマップ上に搬送車10の現在地が示された位置情報画面を該表示ユニット14に表示させる。表示ユニット14として機能するタッチパネル付きディスプレイ312には、位置情報画面が表示される。次に、位置情報画面について説明する。
図11は、表示ユニット14として機能するタッチパネル付きディスプレイ312に表示された位置情報画面314を模式的に示す平面図である。位置情報画面314は、搬送路6を表すマップ316を含む。マップ316には、搬送路6を構成する路面パネル266の配置が反映される。なお、マップ316には、各路面パネル266の形状が正確に表現されている必要はない。
さらに、図11に示す通り、マップ316には、路面パネル266に設けられたマーク286の配置、開口282の配置、及び端子288の配置等が再現されていてもよい。マップ316上には、搬送車図318が配されている。搬送車図318は、搬送路6上を走行する搬送車10の現在地に対応する位置でマップ316上に表示される。そのため、位置情報画面314が写る表示ユニット14(タッチパネル付きディスプレイ312)を見たオペレーター等は、搬送路6における搬送車10の位置を容易に把握できる。
さらに、位置情報画面314には、他の様々な情報が含まれていてもよい。例えば、位置情報画面314には、各路面パネル266の位置情報を示す位置番号(Point ID)320が示されても良い。また、位置情報画面314には、各加工装置4、ローダー・アンローダー8、及び搬送車10のシリアルナンバー322が表示されてもよい。
さらに、位置情報画面314に含まれる搬送車図318は、搬送車10の容器102に収容された物品の有無や、容器102が格納領域104に格納されているか否か、等の搬送車10の状態次第で変化してもよい。容器102に物品として被加工物11が収容されている場合は、該被加工物に関する情報と、被加工物11が加工済みか否かを示す状態情報と、等を示すように搬送車図318が変化してもよい。
また、位置情報画面314には、加工装置4の内部に搬送された被加工物11の数等の情報を示す被加工物の絵324が含まれてもよい。被加工物の絵324は、例えば、加工装置4に搬送された被加工物11が加工済みか否かにより変化してもよい。
さらに、位置情報画面314のマップ316に隣接する位置には、表示される情報の種別を選択できる表示情報選択ボタン326が表示されてもよい。表示情報選択ボタン326は、例えば、表示のオンオフを切り替える対象となる情報を示す文字と、表示がオン状態かオフ状態かを示すチェックボックスと、を含む。例えば、入力インターフェース16として機能するタッチパネルを使用して表示情報選択ボタン326のチェックボックスを選択すると、情報のオンオフを切り替えられる。
次に、位置情報画面314において、搬送車10や物品の状態次第で変化する搬送車図318について説明する。搬送車図318を様々に変化させると多種多様な情報を表示できる。
図12(A)は、容器102に物品が収容されていない状態を示す搬送車図318を示す平面図である。搬送車図318には、容器102を模式的に示す図形328と、搬送車10のフレーム82を模式的に示す図形330と、搬送車10の外装カバーを模式的に示す図形332と、が含まれている。ただし、搬送車図318は、これに限定されない。
図12(B)は、容器102に物品として円盤状の被加工物11が収容されている状態を示す搬送車図318である。図12(B)に示す搬送車図318では、被加工物11を円で表現した被加工物の絵334が容器102を示す図形328の内側に描かれることで、被加工物11が容器102に収容されていることが示されている。
図12(C)は、搬送路6の開口282上に位置する搬送車10が容器102を載置領域Aに下降している状態を示す搬送車図318である。図12(C)に示す搬送車図318では、容器102を示す図形328と、被加工物の絵334と、が図12(C)に示す搬送車図318と比較して縮小されて描かれている。これにより、被加工物11を収容する容器102が下降していることが示されている。
なお、位置情報画面314においては、容器102が格納領域104から載置領域Aに下降している間、容器102を示す図形328と、被加工物の絵334と、が徐々に小さくなるように搬送車図318が表示される。すなわち、位置情報画面314では、図12(B)に示す搬送車図318から図12(C)に示す搬送車図318に変化するアニメーションにより容器102の下降が表現される。
図12(D)は、載置領域Aに置かれた容器102から被加工物11が取り出された状態を示す搬送車図318である。図12(D)に示す搬送車図318では、縮小されて表示された容器102を表す図形328の内部に何も描かれないことで容器102が空であることが表現されている。なお、図11に示す通り、位置情報画面314では、容器102から被加工物11が取り出され加工装置4に被加工物11が搬入されたとき、当該加工装置4に近接する位置に被加工物の絵324が加工装置4の収容物として表示される。
図12(E)は、載置領域Aに置かれた容器102に加工装置4で加工された被加工物11が搬入されている状態を示す搬送車図318である。図12(E)に示す搬送車図318では、容器102を表す図形328の内側に位置する被加工物の絵334に互いに交差する複数の線336が付されることにより、被加工物11が加工済みであることが示されている。ここで、該複数の線336は、被加工物11の加工状態を厳密に再現したものである必要はない。
また、搬送路6の下方に配置される複数の加工装置4により段階的に被加工物11が加工される場合、被加工物11に実施される加工の進行段階に応じて線336の形態が変化してもよい。これにより、被加工物11の加工の進行段階を表現できる。
図12(F)は、格納領域104に戻された容器102に加工済みの被加工物11が収容されている状態を示す搬送車図318である。
なお、位置情報画面314においては、容器102が載置領域Aから格納領域104に上昇している間、容器102を示す図形328と、被加工物の絵334と、が徐々に大きくなるように搬送車図318が表示される。すなわち、位置情報画面314では、図12(E)に示す搬送車図318から図12(F)に示す搬送車図318に変化するアニメーションにより容器102の上昇が表現される。
このように、本実施形態に係る搬送システム2では、表示制御部12cは、表示ユニット14として機能するタッチパネル付きディスプレイ312に表示される位置情報画面314において、搬送車10の作業状態に基づいて搬送車図318を変化させる。そのため、オペレーターは、位置情報画面314に含まれる搬送車図318を視認することで搬送車10が物品を搬送中であるか否か等の作業状態を容易に理解できる。
図13(A)は、搬送車10が搬送する物品として工具が容器102に収容されている状態を示す搬送車図318である。図13(A)に示す搬送車図318では、切削ブレード234を模した工具の絵338が容器102を表す図形328の内側に描かれている。すなわち、図13(A)に示す搬送車図318は、切削ブレード234を搬送する搬送さ318を表現している。
表示制御部12cは、このように、搬送車図318で搬送される工具の種別に対応した工具の絵338を搬送車図318に含ませて位置情報画面314に表示することで工具種別情報を表示ユニット14に表示させる。また、表示制御部12cは、工具が使用済みか否かの状態等によって工具の絵338を変化させることで工具状態情報を表示ユニット14に表示できる。
また、表示制御部12cは、位置情報画面314において、工具を搬送する搬送車10の現在地に対応する位置で搬送路6を示すマップ316上に工具の絵338を含む搬送車図318を表示することで工具の現在地を表示できる。すなわち、表示制御部12cは、表示ユニット14に工具位置表示を表示させる。
図13(B)は、搬送車10が搬送する物品として消耗品が容器102に収容されている状態を示す搬送車図318である。図13(B)に示す搬送車図318では、ドレッサーボードを模した消耗品の絵340が容器102を表す図形328の内側に描かれている。すなわち、図13(B)に示す搬送車図318は、ドレッサーボードを搬送する搬送車10を表現している。
図13(C)は、搬送車10が搬送する物品として比較的小径の被加工物11が容器102に収容されている状態を示す搬送車図318である。図13(C)に示す搬送車図318では、図12(B)に示された搬送車図318と比較して被加工物の絵342が小径に描かれている。これにより、図13(C)に示す搬送車図318は、搬送車10が物品として小径の被加工物11を運搬していることを表現している。
表示制御部12cは、このように、搬送車図318で搬送される被加工物11の種別に対応した被加工物の絵342を搬送車図318に含ませて位置情報画面314に表示することで被加工物に関する情報を表示ユニット14に表示させる。また、表示制御部12cは、搬送車10で運搬されている被加工物11が加工済みか否かの状態等によって被加工物の絵342を変化させることで状態情報を表示ユニット14に表示できる。
また、表示制御部12cは、位置情報画面314において、被加工物11を搬送する搬送車10の現在地に対応する位置で搬送路6を示すマップ316上に被加工物の絵342を含む搬送車図318を表示することで被加工物11の現在地を表示できる。すなわち、表示制御部12cは、表示ユニット14に被加工物位置表示を表示させる。
なお、本実施形態に係る搬送システム2では、搬送車10に何らかのエラーが生じたとき、表示ユニット14を制御する表示制御部12cは、表示ユニット14に搬送車警告情報を表示させてもよい。例えば、表示ユニット14に表示される位置情報画面314において、搬送車10にエラー生じたことを表現する搬送車図318を表示するとよい。例えば、図13(D)に示す搬送車図318では、線332及び線330の間の領域344が着色されており、領域344が着色されることで搬送車警告情報が表現される。
なお、領域344の色は、例えば、搬送車10に生じたエラーの種別や緊急性等に応じて選択されてもよい。さらに、エラーの発生を少しでも確実にオペレーター等に報知するために、位置情報画面314において、搬送車図318の着色された領域344が点滅してもよい。この場合、搬送路6を走行する複数の搬送車10のうちいずれの搬送車10にエラーが生じているかを容易に把握できる上、該搬送車10の現在地の把握も容易である。
同様に、本実施形態に係る搬送システム2では、加工装置4に何らかのエラーが生じたとき、表示ユニット14を制御する表示制御部12cは、表示ユニット14に加工装置警告情報を表示させてもよい。例えば、表示ユニット14に表示される位置情報画面314において、エラーが生じた加工装置4が存在する領域を着色することにより加工装置警告情報が表示ユニット14に表示されてもよい。
さらに、表示制御部12cは、その他の情報を表示ユニット14に表示させてもよく、位置情報画面314において、該その他の情報を含ませても良い。例えば、搬送車10のバッテリー96(図4(A)等参照)の状態を示すバッテリー残量情報が表示されてもよい。例えば、バッテリー96の残量割合を示す数字が搬送車図318に重ねて表示されると良い。また、搬送車10のメンテナンスが推奨される時期となるまでの残り稼働時間が搬送車図318に重ねて表示されても良い。このように、表現される情報に制限はない。
なお、位置情報画面314において入力インターフェース16を利用してマップ316上に表示される搬送車図318を選択することで、搬送車10に関する情報及び該搬送車10で搬送される物品に関する情報の詳細が表示ユニット14に表示されてもよい。また、マップ316上の加工装置4やローダー・アンローダー8の位置に対応する領域を選択することで、加工装置4に関する情報やローダー・アンローダー8に関する情報の詳細が表示ユニット14に表示されてもよい。
次に、表示制御部12cが表示ユニット14に表示される位置情報画面314を生成する際に利用する各種の情報の形成過程について説明する。ここで、該各種の情報とは、搬送車10の現在地に関する情報や、工具及び被加工物等の物品の現在地に関する情報等である。また、該各種の情報には、工具及び被加工物の種別情報や状態情報も含まれる。さらに、搬送車10、加工装置4、及びローダー・アンローダー8に関する情報や、これらに関する警告情報も含まれる。
まず、搬送車10の現在地に関する情報の形成過程について説明する。搬送車10の現在地は、例えば、制御ユニット12(図2参照)により割り出される。具体的には、受信機304を通じて制御ユニット12の情報処理部12aに届く搬送車10からの通知信号を利用して、情報処理部12aが搬送車10の現在地を割り出す。
例えば、上述のように、搬送車10が搬送路6上を目的地に向けて走行する際には、搬送システム2の制御ユニット12は、移動の対象となる搬送車10に対して、出発地から目的地に移動する指示に相当する制御信号を送る。搬送車10は、第1センサー122及び第2センサー124により搬送路6に設けられたマーク286を検出し、検出されるマーク286を参照して移動する。
ここで、搬送車10の制御部130は、特定のマーク286が検出された際に、該マーク286が検出されたことを通知する通知信号を送信機134から制御ユニット12の受信機304に送信すると良い。この場合、情報処理部12aは、搬送車10が検出したマーク286の数と、搬送車10の出発地点と、から搬送車10が搬送路6に設けられたいずれのマーク286が検出されたかを割り出し、該マーク286の位置を搬送車10の現在地として割り出す。
さらに、搬送車10の第1センサー122及び第2センサー124により一つのマーク286が検出された後、次のマーク286が検出されるまでの間、情報処理部12aは、搬送車10の移動速度と、現在時刻と、から搬送車10の詳細な現在地を算出する。例えば、統一された規格に従って製造された複数の搬送路モジュールを組み合わせて搬送路6が構築されている場合、各マーク286の位置関係が精密に決まるため、情報処理部12aは、すべての時刻において搬送車10の現在地を高精度に割り出せる。
このように、情報処理部12aは、搬送車10の制御部130が生成した通知信号に基づいて、搬送車10の現在地に関する情報を形成できる。ただし、該搬送車10の現在地に関する情報の形成過程はこれに限定されない。例えば、情報処理部12aは、搬送車10の移動経路及び速度等の搬送車10の移動計画と、搬送車10の出発時刻と、等の情報から搬送車10の現在地を割り出してもよい。すなわち、搬送車10が通知信号を発信しない場合においても、搬送車10の現在地に関する情報を形成できる。
制御ユニット12の情報処理部12aは、搬送車10の現在地に関する情報を表示制御部12cに送り、該表示制御部12cは、送信機306を通じてマップ316上に搬送車10の現在地が示された位置情報画面314を含む制御信号を表示ユニット14に送る。そして、表示ユニット14は、図11に示す通り、搬送車10の現在地に相当するマップ316上の位置に搬送車図318が配された該位置情報画面314を表示する。
このとき、搬送車図318は、搬送車10の移動履歴等により割り出された搬送車10の向きに対応する向きでマップ316上に配される。また、表示制御部12cは、搬送車10の容器102の内容物や位置等の作業状態等に合う種別の搬送車図318を選択して位置情報画面314に該搬送車図318を表示させる。
なお、本実施形態に係る搬送システム2では、搬送車図318が搬送する物品の種別や状態等の物品情報が制御ユニット12の情報処理部12aで判断され、蓄積されると良い。そして、表示される搬送車図318の種別が選択される際には、該物品情報が参照される。また、該物品情報には、搬送車図318の種別の選択に直接的に関連しない内容が含まれても良く、例えば、位置情報画面314に表示された特定の搬送車図318を入力インターフェース16で選択すると、表示ユニット14に該物品情報が表示されると良い。
次に、制御ユニット12に蓄積される物品情報について説明する。該物品情報は、例えば、搬送システム2の外部で生成されて制御ユニット12に送信されても良い。または、制御ユニット12は、情報処理部12aが搬送車10、ローダー・アンローダー8、及び加工装置4等で生成された各通知情報等に基づいて生成及び更新しても良い。
該物品情報には、該物品の種別、形式、状態等の情報が含まれる。例えば、物品を収容したカセット30がローダー・アンローダー8に搬入された際、制御ユニット12はそれぞれの物品にID番号を付与し、該ID番号に基づいて各物品を管理すると良い。該物品情報には、該ID番号も含まれる。さらに、該物品情報には、該物品を収容する搬送車10や加工装置4、ローダー・アンローダー8の固有番号が含まれても良い。
物品が被加工物11である場合、該物品情報には、該被加工物11の材質や大きさ等の情報や、加工済みであるか否か等の加工の進行度等の情報が含まれる。また、ローダー・アンローダー8に搬入された際のカセット30における被加工物11の収容位置(段数)、該カセット30が搬入されたローダー・アンローダー8の固有番号、カセット30が置かれた支持台26の番号等の収容状態の情報が含まれる。
例えば、表示ユニット14に表示された位置情報画面314において、特定の搬送車10等が選択されたとき、該搬送車10で搬送されている物品の該物品情報の一部または全部が表示された物品情報表示画面(不図示)が表示ユニット14に表示されると良い。
このように、本実施形態に係る搬送システム2では、制御ユニット12に多種多様な情報が集められる。そして、制御ユニット12は、各種の通知情報が蓄積されることにより搬送システム2の稼働履歴を形成できる。この稼働履歴を使用すると、例えば、過去の特定の時刻における各搬送車10の位置が表示された位置情報画面314を再現できる。
さらに、制御ユニット12には、本実施形態に係る搬送システム2で実施される物品の搬送や各加工装置4で実施される加工の計画に関する情報が予め登録される。そして、制御ユニット12の情報処理部12aは、該計画に従って搬送車10、ローダー・アンローダー8、及び加工装置4等が稼働するように、制御信号生成部12bに制御信号を生成させ、送信機306に該制御信号を送信させる。
そして、制御ユニット12に登録された該計画に関する情報を使用すると、情報処理部12aは、将来の特定の時刻における各搬送車10の位置が表示された位置情報画面314をシミュレートして形成することもできる。そして、将来の各時刻における位置情報画面314を次々に生成し表示ユニット14に表示させることで、各搬送車10が互いに衝突する等の問題が生じることはないか確認できる。
この場合、制御ユニット12に登録された該計画に関する情報の内容を変化させ、各計画において同様に位置情報画面314をシミュレートすることで、将来において搬送システム2で問題が生じるか否かを確認しながら該計画を改良できる。さらに、様々な条件でシミュレーションを実施することで最適な計画を導出できる。例えば、各被加工物11がカセット30から搬出され加工装置4で加工されてカセット30に再び戻されるまでの所要時間を各計画で算出する。該所要時間が最も短くなる計画が最適な計画といえる。
さらに、本実施形態に係る搬送システム2では、搬送路6の設計時に使用されてもよい。例えば、搬送路モジュールの組み方を様々に変えて搬送路6を構築し、該所要時間を算出することで、最適な搬送路6の構成を導出してもよい。この場合、加工装置4等の配置及び搬送路6の構成を設計するオペレーターは、制御ユニット12を利用することで設計作業を効率的に進行できる。
ここで、本実施形態に係る搬送システム2では、搬送路6の構成の検討を容易にするために、表示ユニット14に表示させる搬送路設計画面(不図示)を表示制御部12cが生成して表示ユニット14に表示させてもよい。該搬送路設計画面は、例えば、設計中の搬送路6をマップ316として表示する設計領域を含む。
例えば、設計領域に表示された設計中の搬送路6を示すマップ316に新たな搬送モジュールを組み合わせる際には、搬送路モジュール選択パレットを表示ユニット14に表示させる。搬送路モジュール選択パレットには、各種の搬送路モジュールが一覧表示されており、オペレーターは新たに組み合わせたい搬送路モジュールを該搬送路モジュール選択パレットから選択する。そして、マップ316の接続したい位置に該搬送路モジュールを表す絵を移動させ、搬送路モジュールの向きを決定してマップ316における配置を決定する。
この場合、搬送路6を容易かつ直感的に設計できる上、位置情報画面314に表示されるマップ316を容易に作成できる。すなわち、制御ユニット12にマップ316を入力するために、専門の知識を有したオペレーターがマップ316に関する情報を含むプログラムコードを作成する必要はない。
以上に説明する通り、本実施形態に係る搬送システム2では、表示制御部12cは搬送路6を表すマップ316上に搬送車10の現在地が示された位置情報画面314を表示ユニット14に表示させる。そのため、複数の加工装置4が設置された工場で作業に従事するオペレーターは、表示ユニット14に表示された位置情報画面314を確認するだけで搬送車10の現在地を把握できる。
なお、上記の実施形態では、表示ユニット14に表示される位置情報画面314において、マップ316と、搬送車図318と、が平面的に表示される場合について説明したが、本発明の一態様に係る搬送システム2はこれに限定されない。すなわち、位置情報画面314では、マップ316及び搬送車図318等が3次元画像で表示されてもよい。この場合、各搬送車10の現在地を把握しやすいように、位置情報画面314においてマップ316の向きを任意の方向に変更できると良い。
さらに、本発明の一態様に係る搬送システム2では、表示ユニット14に表示される位置情報画面314を利用して、加工装置4、搬送車10又はローダー・アンローダー8を操作してもよい。例えば、操作の対象となる要素を入力インターフェース16で位置情報画面314から選択し、入力インターフェース16により特定の指示を入力する。
オペレーターは、例えば、操作の対象となる搬送車10を表す搬送車図318を選択し、該搬送車10を搬送路6の特定の位置に移動させる指示を入力インターフェース16で入力する。この場合、制御ユニット12の制御信号生成部12bが該指示を伝達する制御信号を生成し、該制御ユニット12の送信機306から該搬送車10に該制御信号を送信する。このように、表示ユニット14に表示される位置情報画面314を操作画面として利用して各要素を操作すると、操作が直感的となり誤操作のおそれを低減できる。
その他、上述した実施形態や変形例等にかかる構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。