JP7481564B1 - ガスバリア性コーティング剤、積層体、およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、高湿度下においても優れたガスバリア性を示し、透明性、耐水摩擦性、基材密着性を備えるガスバリア性コーティング剤および積層体を提供することを目的とする。【解決手段】上記課題は、水溶性多糖類(A)、アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する、分子量50以上300未満の化合物(B)、および、アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する分子量50以上300未満の化合物を配位子として有する、金属塩(C)を含むガスバリア性コーティング剤により解決する。【選択図】なし

Description

ガスバリア性コーティング剤および積層体に関する。
食品や医薬品等の包装に用いられる包装材料には、内容物の変質を防止することが求められる。内容物の変質は、主として、包装材料を透過する酸素あるいは内容物と反応するような他のガスにより引き起こされている。そのため、食品や医薬品等の包装に用いられる包装材料に対しては、酸素などのガスを透過させない性質、いわゆるガスバリア性が求められる。特に、食品包装においては、賞味期限や消費期限を延ばすことで一般家庭やスーパーやコンビニ等の商業施設から大量に発生する廃棄物の削減に繋がることが期待されている(非特許文献1)。
包装材へのバリア性付与には、アルミニウムなどの金属やアルミナ、シリカ等を含む無機材料をバリア層に用いることが有効である。具体的には、アルミニウム箔をラミネートした構成の積層体とすることや、無機層をCVDや蒸着などの真空プロセスによってプラスチックフィルム基材上に形成する手法により高ガスバリア性を確保している。しかしながら、アルミニウム箔をラミネートする工程は省エネルギー化やリサイクル性の観点から排除されることが望まれており、一方で、無機層を含む構成ではクラック等の欠陥に起因する耐性などの課題がある。
このような課題に対し、比較的ガスバリア性が高く、柔軟性のあるガスバリア性重合体で構成されるガスバリア性フィルムやこれを基材フィルムとして用いた積層体が提案されており、従来、酸素バリア性重合体としてポリ(メタ)アクリル酸やエチレン・ビニルアルコール共重合体、あるいはこれらの混合物といった分子内に水素結合性基を含有する重合体が用いられてきた(特許文献1、2)。しかしながら、これら重合体からなるガスバリア材料は、乾燥条件下においては、非常に優れた酸素バリア性を有する一方で、高湿度条件下においては、その親水性に起因して酸素バリア性が大きく低下するという問題や、該フィルムは耐水摩擦性や熱水に対する耐性が劣るという問題があった。当然ながらそのような耐水性の低いフィルムを包装材の最外層(トップコート)とすることは実用上困難である。
これらの問題を解決するために、多価金属化合物を基材そのものに含ませる、もしくは基材上にポリカルボン酸系重合体層と多価金属化合物含有層とを隣接させて積層し、層間反応により、ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩とすることが知られている(特許文献3、4)。このようにして得られるガスバリア性包装材料は、高湿度下でも高い酸素ガスバリア性を有することが示されている。しかしながら、上記特許文献3,4に記載されているガスバリア性包装材料では、150℃以上の熱処理や架橋剤の浸漬処理、またはレトルト処理が必要であり、生産性が低下する。さらには、高バリア性を実現するためには多価金属塩を不溶状態で高濃度に含有する層を形成する必要があり、透明性が低下するといった課題がある。
近年、環境問題への関心の高まりからバイオマス原料や生分解性材料を積極的に活用する製品開発が活発化しており、包装材分野においても同様の社会的ニーズは非常に大きいと言える。石油原料由来のポリ(メタ)アクリル酸やポリビニルアルコールに代わる天然材料由来の高水素結合性を有するガスバリア性材料として、自然界に多量に存在するセルロース原料に対してTEMPO酸化処理や硫酸処理を施すことで分子内に多数の水素結合性基とアニオン性親水基を有する多糖類が報告されている(特許文献5、6)。特許文献6では、金属塩を含有するアンダーコート層上に、架橋剤や層状無機化合物と併用した水溶性ナノセルロース塗工膜を形成することで高湿度下において比較的高い酸素バリア性を実現しているが、そのバリア性は十分とは言えず、透明性も低い。さらには、変性処理セルロースは比較的高価なこと、粘度や保存安定性の問題で水溶化する際の固形分を高くすることが困難なことから、印刷、塗工時の生産性が低いことが問題となる。
上述したように、環境に配慮した原料を用い、高湿度下におけるガスバリア性や透明性、基材密着性を備え、さらには十分な耐水性を有し、トップコート可能な酸素バリアコーティング剤は未だ報告されていない
成形加工 第34巻 第4号 2022
特開昭60-157830号公報 特許第3203287号公報 特開2019-178130号公報 特開2003-171419号公報 特開2016-159576号公報 特開2021-113244号公報
本発明は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやポリプロピレン(OPP、CPP)フィルム、紙等の汎用的な基材を使用しても、基材上に塗工し、紫外線や電子線のような活性エネルギー線照射により硬化させることで、高湿度下においても優れたガスバリア性を示し、さらに透明性、耐水摩擦性、基材密着性を備える積層体を作製することが可能な、ガスバリア性コーティング剤を提供することである。
本発明者は、前記諸問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、水溶性多糖類(A)、アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する、分子量50以上300未満の化合物(B)、および、アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する分子量50以上300未満の化合物を配位子として有する、金属塩(C)を含む包装材用ガスバリア性コーティング剤によって、上記課題を解決することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、水溶性多糖類(A)、アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する、分子量50以上300未満の化合物(B)、および、アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する分子量50以上300未満の化合物を配位子として有する、金属塩(C)を含むガスバリア性コーティング剤に関する。
また、本発明は水溶性多糖類(A)が、キトサンを含む前記のガスバリア性コーティング剤に関する。
また、本発明は、金属塩(C)の中心金属が、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む前記のガスバリア性コーティング剤に関する。
また、本発明は、前記ガスバリア性コーティング剤の固形分100質量%中、水溶性多糖類(A)の含有率が、20~70質量%であり、
化合物(B)の含有率が、10~60質量%であり、
金属塩(C)の含有率が、10~70質量%である、
前記のガスバリア性コーティング剤に関する。
また、本発明は、包装材用である前記のガスバリア性コーティング剤に関する。
また、本発明は、基材上に、前記の包装材用ガスバリア性コーティング剤を用いて形成されてなるガスバリア層を有する積層体に関する。
また、本発明はガスバリア性コーティング剤を基材に塗工し塗工物を得る工程と、塗工物に紫外線照射または電子線照射し、基材上にガスバリア層を形成する工程とを有する積層体の製造方法であって、
該ガスバリア性コーティング剤が、水溶性多糖類(A)、アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する、分子量50以上300未満の化合物(B)、および、アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する分子量50以上300未満の化合物を配位子として有する、金属塩(C)を含むガスバリア性コーティング剤である、積層体の製造方法に関する。
本発明により、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやポリプロピレン(OPP、CPP)フィルム、紙等の汎用的な基材を使用しても、基材上に塗布し紫外線や電子線のような活性エネルギー線照射により硬化させることで、高湿度下においても優れたガスバリア性を示し、さらに透明性、耐水摩擦性、基材密着性を備える積層体を作成可能な、ガスバリア性コーティング剤を提供することができる。
以下に例を挙げて本発明の実施形態を詳細に説明するが、以下に記載する事項は本発明の実施形態の一例ないし代表例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
本発明のガスバリア性コーティング剤は、水溶性多糖類(A)、アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する、分子量50以上300未満の化合物(B)、および、アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する分子量50以上300未満の化合物を配位子として有する、金属塩(C)を含むことを特徴とし、包装材用途として、好適に使用することができる。
[水溶性多糖類(A)]
多糖類とは、グリコシド結合によって単糖分子が鎖状に多数重合した物質の総称である。本発明で用いる水溶性多糖類は、水または熱水と任意の割合で混することにより溶解する、もしくは水中で安定的にコロイド状態または懸濁状態を示す化合物を指す。鎖状の多糖類としては、直鎖状多糖類でも分岐鎖状多糖類でもよいが、水溶解性や水溶液にした際の粘度の観点から直鎖状多糖類が好ましい。鎖状水溶性多糖類としては、例えば、アミロース、キチン、キトサン、アガロース、寒天、デキストラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デンプン、イヌリン、セルロース、チューベロース多糖体、クインスシードエキス、ジェランガム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、カラギーナン等のアニオン性水溶性多糖類;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、グアーガム、アガロース、プルラン、ローカストビーンガム、ガラクタン、アラビアガム、タラガム、タマリンドシードガム、寒天等が挙げられる。上記の中でも、塗工性とバリア性の観点で、キトサンが好ましい。
キトサンはエビやカニといった甲殻類の殻に多く含まれるキチンを強塩基で処理することでキチンの分子構造に含まれるアセトアミド基を脱アセチル化し、アミノ基に変換することで得られる。この脱アセチル化処理を完全に進行させるには多くのエネルギーとコストがかかるため、上市されている多くのキトサンはアセトアミド残基が含まれていることが一般的であり、品質規格書には脱アセチル化率が70%以上や80%以上等と表記される。本発明においても同様の脱アセチル化率のキトサンを使用することを想定しているが、十分な硬化塗膜が得られる配合組成等があればその限りではない。
上記水溶性多糖類は、分子中に複数の水素結合性官能基、つまりは水酸基やカルボキシル基、アミノ基、スルホ基等を有することから優れた酸素バリア性を呈しやすい。また、高分子量体であることにより、塗工適性や基材への濡れ性、密着性、折り曲げても割れない柔軟性を付与することができる点で、バインダー樹脂として好適である。
[アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物]
本発明で用いるアニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物は、分子量50以上300未満の化合物(B)を含む。アニオン性親水基とは、pH7の水中において半数以上の水素イオンが乖離する官能基を示し、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基等が挙げられる。いずれも、水素結合性を有していることで、上記水溶性多糖類の酸素バリア性を補完する。さらに、エチレン性不飽和二重結合を含有するモノマーであることから、熱重合や光重合、電子線等による架橋により塗膜強度の向上や耐水性の向上、高湿度下における酸素バリア性の低下を抑制できる。上記水溶性多糖類がカチオン性親水基を有する場合、例えばキトサンはアニオン性モノマーとイオン結合により修飾され、反応性バインダーとなることから好適である。
本発明で用いるアニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物は、分子量50以上300未満であり、分子運動性、立体障害に由来する反応性の観点から、分子量50以上200未満が好ましく、分子量50以上120未満がより好ましい。また、ラジカル重合反応性の観点から、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、(メタ)アクリレート化合物が最も好ましい。
化合物(B)の具体例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、けい皮酸、クロトン酸、セネシオ酸、チグリン酸、ソルビン酸、イタコン酸、マレイン酸、アンゲリカ酸、アコニット酸、シトラコン酸、メサコン酸、3-シクロペンテン-1-カルボン酸、2-メチル-4-ペンテン酸、2-アミノ-4-ペンテン酸、2-ヒドロキシ-3-ブテン酸、trans-2-ペンテン酸、trans-3-ヘキセン二酸、スルホアルキル(メタ)アクリレート、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルホスホン酸、シンナミルホスホン酸等が挙げられ、アクリル酸及びメタアクリル酸がより好ましく、ガスバリア性等の特性とコストの面でアクリル酸が特に好ましい。上記の化合物は。それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
[金属塩]
本発明で用いる金属塩は、アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する分子量50以上300未満の化合物を配位子として有する、金属塩(C)を含む。金属塩(C)の中心金属としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等の二価以上の多価金属が挙げられる。上記の中でも、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウムが好ましい。二価以上の金属を用いた金属塩は、バインダー樹脂の水溶性多糖類およびアニオン性親水基およびエチレン性不飽和二重結合含有化合物と同時に用いることで、熱重合や光重合、電子線等による架橋をより高密度にし、硬化性を向上させる。これにより塗膜への水や水蒸気の侵入を抑制し、耐水性や高湿度下でのガスバリア性が改善される。なお、金属塩の種類は、1種のみの使用であっても、2種以上を併用してもよい。
また、配位子としてのアニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する分子量50以上300未満の化合物は、前述の化合物(B)と同義であり、金属塩(C)の配位子としての化合物と、前述の化合物(B)は、同一であっても、異なっていても良い。
上記水溶性多糖類(A)、化合物(B)、金属塩(C)を含むコーティング剤を用いて、硬化塗膜(ガスバリア層)を形成させることで、酸素バリア性、基材密着性、耐水性を高いレベルで実現することができる。各成分の含有割合としては、ガスバリア性コーティング剤の固形分100質量%中、水溶性多糖類(A)の含有割合(質量%)としては、20~70質量%が好ましく、30~60質量%がより好ましい。化合物(B)の含有割合(質量%)としては、10~60質量%が好ましく、15~60質量%がより好ましく、20~50質量%がさらに好ましい。金属塩(C)の含有割合(質量%)としては、10~70質量%が好ましく、15~60質量%がより好ましく、20~50質量%がさらに好ましい。
[溶媒]
本発明のガスバリア性コーティング剤は、溶媒を含んでいることが好ましい。溶媒として水を使用し、水系組成物とすることが好ましいが、基材への濡れ性を向上するためや各成分の均一な溶解または分散を実現する場合において、重合反応を阻害しない範囲内で、少量の有機溶媒(例えば、アルコール類) を添加してもよい。
[開始剤]
本発明のガスバリア性コーティング剤は、重合性基としてエチレン性不飽和二重結合を有するため、紫外線照射または電子線照射により架橋反応させ硬化塗膜を得る方法が好ましい。電子線照射は重合開始剤を使用せずに架橋反応を行うことが可能であるため、より好ましいが、必要に応じて、重合開始剤を含有させることもできる。重合開始剤としては、光重合開始剤と熱重合開始剤とが代表的なものである。光重合開始剤と熱重合開始剤とを組み合わせて使用してもよい。熱重合開始剤には、電離放射線の照射により活性化するアゾ化合物や過酸化物を用いても良い。
ガスバリア性コーティング剤を基材に塗布した後の重合反応は、溶媒をオーブンにて十分に留去した後でも良いし、乾燥前の湿潤状態で実施しても良く、湿潤状態の塗膜に紫外線を照射する場合には、ガスバリア性コーティング剤に光重合開始剤を含有させることが好ましい。光重合開始剤は、単に光開始剤または増感剤と呼ばれることがある。光重合開始剤には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、チオキサントン類、及びこれらの2種以上の混合物が含まれる。
光重合開始剤の好ましい具体例としては、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、m-クロロアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、4-ジアルキルアセトフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オンなどのアセトフェノン類; ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類; ミヒラーケトンなどのミヒラーケトン類; ベンジル、ベンジルメチルエーテルなどのベンジル類; ベンゾイン、2-メチルベンゾインなどのベンゾイン類; ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテルなどのベンゾインエーテル類; ベンジルジメチルケタールなどのベンジルジメチルケタール類; チオキサントンなどのチオキサントン類; プロピオフェノン、アントラキノン、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンゾイルベンゾエート、α-アシロキシムエステル; などのカルボニル化合物を挙げることができる。
光重合開始剤としては、上記カルボニル化合物以外に、テトラメチルチウラムジスルフ
ィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、チオキサンソン、2-クロロチオキサンソンなどの硫黄化合物; アゾビスイソブチロニトリ
ル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイドなどの過酸化物が挙げられる。
これらの光重合開始剤をガスバリア性コーティング剤中に添加する場合には、化合物(B)を含む重合性化合物に対して、通常0.001 ~10質量% 、好ましくは0.01~5質量%の割合で添加する。光重合開始剤は、必ずしも添加する必要はないが、紫外線の照射による重合を行う場合には、重合効率を高める上で光重合開始剤を添加することが好ましい。ベンゾフェノンなどの水素引抜き型の光重合開始剤を使用すると、α,β-不飽和カルボン酸単量体の一部が、基材として使用するプラスチックフィルムにグラフトして、該基材とイオン架橋ポリカルボン酸重合体フィルム層との間の層間密着性を高めることができる。光重合開始剤とともに、その他の増感剤、光安定剤などの汎用の添加剤を添加してもよい。
湿潤状態の塗膜を加熱して、熱重合を行う場合には、熱解離して開始剤としての機能を
発揮する熱重合開始剤を使用することが好ましい。熱重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩; 2,2′-アゾビス〔2-メチル- N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2′-アゾビス[2-メチル-N-〔1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオンアミド]、2,2′-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、4,4′-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2′-アゾビス(メチルイソブチレート)、1,2′-アゾビス(N,N′-ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリド、2,2′-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド、1,1′-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリルなどのアゾ系重合開始剤;tert-アルキルヒドロパーオキサイドなどのヒドロパーオキサイド; ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシ-2- エチルヘキサノエート、tert-ヘキシルパーオキシ- 2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシピバレート、ジ-イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-tert-ブチルパーオキシイソフタレート、1,1′, 3,3′-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシブチレートなどの過酸化物が含まれる。熱重合開始剤を使用する場合には、ガスバリア性コーティング剤固形分中に、通常0.001~10質量%、好ましくは0.01~5質量%の割合で添加する。
[増感剤]
本発明におけるガスバリア性コーティング剤には、光重合開始剤に増感剤を併用できる。増感剤は、アミン系増感剤、アントラセン系増感剤、チオキサントン系増感剤等が挙げられる。増感剤は、単独または2種類以上を併用できる。
アミン系増感剤は、例えばトリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、N,N-ジメチルベンジルアミン、4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
アントラセン系増感剤は、例えば9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ビス(2-エチルヘキシルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
チオキサントン系増感剤は、例えば2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系増感剤を挙げることができる。市販品の代表例としては、アミン系増感剤では、EPA(日本化薬社製)、アントラセン系増感剤では、DBA、DEA(川崎化成工業社製)、チオキサントン系増感剤では、DETX、ITX(Lambson社製)等が例示できる。増感剤は、チオキサントン系増感剤等で好ましい。
[樹脂(D)]
本発明におけるガスバリア性コーティング剤は、ガスバリア性や耐水性等の性能を損ねない程度で非重合性の樹脂を含むことができ、水性樹脂が好ましい。ガスバリア性コーティング剤に非重合性の樹脂を含むことで塗工物の柔軟性や基材への濡れ性、硬化時に生じる塗膜の硬化収縮を緩和することで基材のカールを抑制し、さらに、基材への密着性が向上する場合がある。樹脂は、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、(変性)スチレン無水マレイン酸共重合体、(変性)塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、(変性)塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体、ケトンアルデヒド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ乳酸樹脂、セルロースアセテート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、エステル化セルロース樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。これら樹脂は、単独または2種類以上を併用できる。
[架橋剤(E)]
本発明におけるガスバリア性コーティング剤は、高湿度下のガスバリア性や耐水性の向上を図る目的で水溶性または水分散型の架橋剤を使用しても良く、ガスバリア性コーティング剤に含まれる化合物の分子中の水酸基やカルボキシル基、アミノ基等の官能基と反応し得る架橋剤が良い。上記官能基と反応し得る架橋剤は、イソシアネート基やエポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基等を有する化合物が代表的に挙げられ、チタンやジルコニウム等の金属キレートを用いても良い。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋剤(E)の具体例としては、旭化成(株)製水分散型イソシアネートのデュラネートWB40-100やデュラネートWT20-100、ナガセケムテックス(株)製水溶性多官能エポキシ化合物のデナコールEX-313やデナコールEX-321、日清紡(株)製カルボジイミド化合物のカルボジライトE-02、カルボジライトE-05、日本触媒(株)製オキサゾリン化合物のWS-500やK2020E、松本ファインケミカル(株)製チタンキレートのオルガチックスTC-300やTC-310、松本ファインケミカル(株)製ジルコニウムキレートのZC-126やZC-300等が挙げられる。
本発明におけるガスバリア性コーティング剤には、必要に応じてその他添加剤を含むことができる。その他添加剤は、例えば、表面調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、ワックス、無機化合物等が挙げられる。
[表面調整剤]
表面調整剤は、レベリング性やハジキ防止等の表面調整機能を有する材料であり、表面調整機能を有するとしては、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン、アクリル基を有するポリエステル変性ジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン等のシリコーン系表面調整剤が好適に用いられる。その他、アクリル系表面調整剤、フッ素系表面調整剤、アセチレングリコール系表面調整剤等が挙げられる。これらは、単独または2種類以上を併用でき、成分(A)~(C)の合計100質量%に対して、0.001質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上1.0質量%以下であることがより好ましい。
[紫外線吸収剤]
紫外線吸収剤は、太陽光や照明から発せられる紫外線による積層体の劣化防止を目的として用いられる。例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系等が挙げられ、水系用途向けに水分散型の製品が数多く上市されている。これらは、単独または2種類以上を併用でき、成分(A)~(C)の合計100質量%に対して、0.001質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
[酸化防止剤]
酸化防止剤は、上記紫外線吸収剤と同様に劣化防止を目的として使用され、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系の酸化防止剤等が挙げられる。これらは、単独または2種類以上を併用でき、成分(A)~(C)の合計100質量%に対して、0.001質量%以上0.5質量%以下であることが好ましい。
[重合禁止剤]
本発明におけるガスバリア性コーティング剤は、保存安定性を向上する点から、重合禁止剤を用いてもよい。重合禁止剤は、公知のものの中から適宜選択して用いることができる。重合禁止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、キノン類、ニトロソアミン類、フェノチアジン類、ピペリジン-1-オキシル類などが挙げられる。重合禁止剤を用いる場合、その含有割合は、保存安定性と光硬化性を両立する点から、成分(A)~(C)の合計100質量%に対して、0.001質量%以上0.2質量%以下であることが好ましい。
[ワックス]
本発明のガスバリア性コーティング剤が、水系である場合には、ワックスは水分散体、つまりエマルションであることが好ましい。ワックスエマルションとしては、ポリオレフィン系ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等を含むワックスエマルションが挙げられる。ポリオレフィン系ワックスは、オレフィン系モノマーを主成分とする重合体又は共重合体である。パラフィンワックスは、炭素数20~30の鎖式飽和炭化水素の混合物からなる石油系ワックスである。また、サゾールワックスは、フィッシャー・トロプシュ法により一酸化炭素と水素を原料に製造されるほぼ飽和直鎖状炭化水素からなる合成ワックスである。ポリオレフィン系ワックス及びパラフィンワックスから選ばれる1種以上を含むワックスエマルションが好ましく、ポリオレフィン系ワックスを含むワックスエマルションがより好ましい。上記のワックスを含むワックスエマルションは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[無機化合物]
本発明のガスバリア性コーティング剤は、より高いガスバリア性を付与する目的で、さらに無機化合物を含有しても良い。無機化合物の形態としては、迷路効果を発揮しやすい板状であることが好ましいが、塗工性や経時安定性の観点から一概に最適であるとは言えず、球状、または不定形であっても構わない。本発明で好適に用いられる板状無機化合物としては、例えば、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリナイト-蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴ
ライト、クリソタイル等)、パイロフィライト-タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライト等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等)、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウム、ベーマイト、ポリリン酸アルミニウムが挙げられる。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。
<ガスバリア性コーティング剤の製造方法>
本発明のガスバリア性コーティング剤は、上述の水溶性多糖類(A)、アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する、分子量50以上300未満の化合物(B)、および、アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する分子量50以上300未満の化合物を配位子として有する、金属塩(C)を含んでいれば良く、特に製造方法は限定されない。具体的な製造方法としては、各原料および水を混合して、ローラー式撹拌機で時間をかけて溶解させる方法や、ホモディスパー等の撹拌機で撹拌してコーティング剤を調製する方法等があり、ダマにならず均一な溶液を得られれば任意の方法で良いが、上記の観点で水溶性多糖類(A)および金属塩(C)は、それぞれ任意の比率で水溶化した状態または分散状態に調製してから混合することが好ましい。また、水溶性多糖類(A)を水溶化する際に、アニオン性親水基を有する化合物(B)が必要な場合(例えばキトサン)は、先に混合、溶解を済ませてから金属塩(C)水溶液と混合する必要がある。その他、添加剤を配合する場合は、添加時のショックを予防する観点から水またはアルコール等で希釈してから使用することが望ましい。
<ガスバリア積層体>
本発明のガスバリア積層体は、基材の片面または両面に上に、本発明のガスバリア性コーティング剤を塗工および必要に応じて硬化することにより形成されるガスバリア層を有しており、包装材用途で好適に用いることができる。
[基材]
基材またはフィルム基材は、樹脂シート、紙、アルミニウムシート(アルミ箔)からなる群より選ばれる。例えば、樹脂シートとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポオリノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂などの樹脂から形成される樹脂シートが挙げられる。また、これらのシートに金属が積層した積層体であってもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに金属が積層した積層体であってもよい。前記基材の中で、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン等が、延伸性、透光性、および剛性が良好な積層シートが得られるので好ましい。基材は、本発明の効果を損ねない範囲で、1種または2種以上の任意成分を含有してもよい。本発明で用いられる基材は、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、顔料、および蛍光増白剤等を含有してもよい。基材は、シリカ、炭酸カルシウム、または酸化チタン等を含む無機粒子、あるいは、アクリル樹脂またはスチレン樹脂等を含む有機粒子を含有してもよい。
[ガスバリア性コーティング剤の塗工方法]
ガスバリア性コーティング剤の塗工方法は、印刷方法も含まれ、特に限定されず、公知の塗工方法を活用することができる。塗工方法としてはワイヤーバー塗工法、ダイコート塗工法、キャスト塗工法、スロット塗工法、オメガ塗工法、スパイラル塗工法、コントロールシーム塗工法、スロット塗工法、ドット塗工法、ホットメルトアプリケーター塗工法、ホットメルトコーター塗工法、ブレードコート塗工法、ディップ塗工法、グラビアコート塗工法、マイクログラビア塗工法、カーテンスプレー塗工法、ビード塗工法、ホットメルトロールコーター塗工法、スピンコート塗工法が挙げられ、印刷方法としてはインクジェット印刷法、スプレー印刷法、ロールコート印刷法、ドクターロール印刷法、ドクターブレード印刷法、カーテンコート印刷法、スリットコート印刷法、スクリーン印刷法、反転印刷法、プッシュコート印刷法、スリットコーター印刷法等を挙げることができる。酸素バリア積層体はこれらの方法により基材へ塗工した後、溶剤を除去したり、架橋を促進する目的で、必要に応じて加熱乾燥したり、減圧乾燥したりしてもよい。乾燥条件としては、膜厚や基材そして選択した有機溶剤にもより、基材が劣化しない範囲であれば特に限定されないが、好ましくは40~200℃程度の熱風加熱が用いられる。
ガスバリア性コーティング剤層(塗工物)の厚みは、特に限定されないが、折り曲げ時のクラック発生等を抑止する目的で薄膜であることが好ましく、乾燥状態で0.1~200μmが好ましく、0.5~20μmがより好ましく、1.0~10.0μmがさらに好ましい。
また、ここで形成されるガスバリア性コーティング剤層は、基材の片面または両面に対して、1層または複数層を積層してもよい。複数層のガスバリア性コーティング層を設ける場合は、それらの組成が同一であっても、異なっていても良い。例えば、基材の片面に対して、ガスバリア性コーティング剤を塗工した後に、乾燥工程を経て、さらに同様の工程で同一の水蒸気バリア層を形成して2層としても良いし、さらに異なるガスバリア性コーティング剤を形成して3層としても良い。
[ガスバリア性コーティング剤層の硬化方法]
本発明のガスバリア性コーティング剤は、各種塗工方法によって塗工された後、電子線照射機を通って硬化塗膜(ガスバリア層)を得る方法が最も好ましい。電子線照射の場合、照射線量としては、膜厚や求める硬化度により異なるが、10μm以下の膜厚であれば、加速電圧80~150kVにおいて10~100kGy、好ましくは100~120kVの加速電圧において30~80kGyで照射することが望まれる。電子線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の促進を図ることもできる。
本発明のガスバリア性コーティング剤は、電子線硬化以外にも紫外線照射により硬化塗膜を得る方法も好適である。紫外線照射方法を用いる場合、ガスバリア性コーティング剤に上述した光重合開始剤や光増感剤等の添加が必要となる。紫外線照射手段として、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザーランプ、キセノンランプ、紫外線発光ダイオード(UV-LED)などを使用することができる。
紫外線照射手段のうち、UV-LEDは、照射される紫外線波長幅が狭い、小型化が容易である、などの特徴を有する。そのためガスバリア性コーティング剤中の光重合開始剤の特性に合わせて、UV-LEDの照射波長及び使用方法をある程度任意に調整することができる。使用するUV-LEDのピーク波長は、280~420nmであることが好ましく、320~400nmであることが特に好ましい。
また、紫外線照射手段として、UV-LED以外の紫外線照射手段(紫外線ランプ)を使用する場合、UV-A領域の紫外線を効率的に発光させインキ被膜の内部まで十分に照射光を到達させることができるという観点から、メタルハライドランプが好ましく使用される。なお、上述したUV-LEDと組み合わせて使用することもできる。
紫外線の最高照度は80mW/cm2以上であることが好ましく、120mW/cm2以上であることがより好ましい。また、照射する際の積算光量は、重合性モノマー及び光重合開始剤の種類並びに含有量などによって異なるが、100mJ/cm2以上とすることが好ましく、150mJ/cm2以上とすることがより好ましく、200mJ/cm2以上とすることが更に好ましい
本発明のガスバリア層は、電子線または紫外線硬化方法を使用する場合において、塗工工程から溶媒の乾燥工程を経て、電子線または紫外線照射工程により硬化塗膜を得る方法が通常であるが、使用するバインダー樹脂が高分子量の場合は、分子運動性が制限されることから湿潤状態での重合反応を優先することで架橋度が向上する場合がある。つまり、溶媒の乾燥工程において、溶媒がある程度残留するくらいの予備乾燥に留めておいて、電子線または紫外線照射をし、その後に完全乾燥させる工程とすることでより高度な架橋塗膜を得られ、バリア性や耐水性が向上する可能性がある。
ガスバリア積層体は、基材とガスバリア層以外に、任意の有機層または無機層を設けることができ、任意の層としてアンカーコート層、印刷インキ層、接着剤層、トップコート層またはオーバーコート層などが挙げられる。これらの層は、1層または複数層含むことができる。ここでいう任意の層は、特に限定されないが基材層上に直接形成されたものであってもよく、ガスバリア層を介して形成されたものであってもよいが、例えば、酸素バリア組成物層の保護または耐摩耗性向上の観点から必要に応じてガスバリア層の上に保護層および接着層を設けても良い。また、アンカーコート層はガスバリア層と基材層の間に形成されるのが好ましく、トップコート層は基材を介して形成されたガスバリア層上に形成されたものが好ましい。任意の層を設けた際の積層体の厚みは特に限定されないが、乾燥状態で0.1~200μmが好ましく、0.5~20μmがより好ましく、1.0~10.0μmがさらに好ましい。
有機層または無機層の積層方法については特に限定されず、例えば、塗工などのウェットプロセスで積層しても良く、フィルムや押出加工、ラミネートで上から重ねて積層してもよく、蒸着やCVDなどの真空工程によって形成した層を含む積層体であっても良い。
有機層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、およびポリブテン等)、環状オレフィンポリマー、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレート等、ポリアミド(ナイロン-6、ナイロン-66、およびポリメタキシレンアジパミド等)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンイミン、およびポリイミド等を挙げることができる。これらは単独で使用しても2種以上使用してもよい。無機層の材料としては、クロム、亜鉛、コバルト、アルミニウム、錫および珪素などの金属および半金属、あるいはシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、窒化ケイ素など前述の金属および半金属の酸化物、窒化物、窒酸化物、硫化物、およびリン化物等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上使用してもよい。
基材の片面または両面に対して、1層または複数層の酸素バリア組成物層と1層または複数層の有機層または無機層とを含む場合、これらの積層順序は任意である。
また、本発明の積層体は、必要に応じてヒートシール可能な熱融着層をさらに有していてもよい。積層体が熱融着層を有することにより、熱シールによって密封可能なものとなり、好適に包装材用途に使用することができる。
本発明の積層体は、食品や医薬品などの保護を目的とする多層包装材料として使用することができる。多層包装材料として使用する場合には、内容物や使用環境、使用形態に応じてその層構成は変化し得る。
用途としては、特に制限はないが、食品・日用品・電子材料・医療用等は高いバリア性を必要とすることから、本発明の積層体を好適に使用可能である。
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例
に限定されない。また、下記実施例および比較例中、「部」および「%」は、それぞれ「っ質量部」および「質量%」を表す。
<金属塩(C)水溶液の調製>
[アクリル酸カルシウム水溶液]
水酸化カルシウム粉末10部(富士フイルム和光純薬(株)製、特級、0.135mol)とイオン交換水64部を225mlマヨネーズ瓶(マヨ瓶)に入れ、ホモディスパーでダマができない程度に軽く混合した。撹拌しながら、発熱反応により系中の温度が50℃以上にならないようにアクリル酸20部(0.278mol)を徐々に滴下した。アクリル酸滴下により白濁の分散状態から透明な液体に変化し、引き続き10分ほど撹拌を続け反応を終了させた。#200の濾布で濾過した後、固形分が30.0%となるようにイオン交換水を追加し、アクリル酸カルシウム水溶液を得た。なお、アクリル酸の分子量は、分子量72.1g/molである。
[アクリル酸マグネシウム水溶液]
水酸化マグネシウム粉末10部(富士フイルム和光純薬(株)製、特級、0.171mol)とイオン交換水74部を225mlマヨ瓶に入れ、ホモディスパーでダマができない程度に軽く混合した。撹拌しながら、発熱反応により系中の温度が50℃以上にならないようにアクリル酸25部(0.347mol)を徐々に滴下した。アクリル酸滴下により白濁の分散状態から透明な液体に変化し、引き続き10分ほど撹拌を続け反応を終了させた。#200メッシュの濾布で濾過した後、固形分が30.0%となるように調整し、アクリル酸マグネシウム水溶液を得た。
[アクリル酸亜鉛水溶液]
酸化亜鉛粉末10部(富士フイルム和光純薬(株)製、特級、0.123mol)とイオン交換水60部を225mlマヨ瓶に入れ、ホモディスパーでダマができない程度に軽く混合した。撹拌しながら、発熱反応により系中の温度が50℃以上にならないようにアクリル酸18.2部(0.253mol)を徐々に滴下した。アクリル酸滴下により白濁の分散状態から透明な液体に変化し、引き続き10分ほど撹拌を続け反応を終了させた。#200メッシュの濾布で濾過した後、固形分が30.0%となるように調整し、アクリル酸亜鉛水溶液を得た。
[2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸亜鉛水溶液]
酸化亜鉛粉末5.0部(富士フイルム和光純薬(株)製、特級、0.061mol)とイオン交換水60部を225mlマヨ瓶に入れ、ホモディスパーでダマができない程度に軽く混合した。撹拌しながら、発熱反応により系中の温度が50℃以上にならないように2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸25.7部(0.124mol)を徐々に滴下した。2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸滴下により白濁の分散状態から透明な液体に変化し、引き続き10分ほど撹拌を続け反応を終了させた。#200メッシュの濾布で濾過した後、固形分が30.0%となるように調整し、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸亜鉛水溶液を得た。なお、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の分子量は、207.3g/molである。
[水性ポリウレタン水溶液]
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、温度計を備えた4ツ口の2000mlフラスコにPTG-2000SN(保土ヶ谷化学工業(株)製、数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール)240部、PEG2000(数平均分子量2000のポリエチレングリコール)24部、ジメチロールブタン酸(ハイケム(株)製)35部、イソホロンジイソシアネート(エボニックデグサジャパン(株)社製)75部、MEK(メチルエチルケトン)94部を入れ、乾燥窒素で置換し、撹拌下にて、温度を徐々に85℃まで昇温し、5時間反応させた。次に、冷却しながら、28%アンモニア水8.9部とイオン交換水900部とイソプロピルアルコール119部の混合溶液を上記溶剤型ポリウレタン樹脂に徐々に滴下して中和することにより水溶化させた。その後、溶剤を減圧留去し、留去分をイオン交換水で置換することで固形分24%の水性ポリウレタン樹脂水溶液(PU-1)を得た。PU-1はポリエチレングリコール由来の構造単位6.4%、重量平均分子量は30,000、ガラス転移温度は-80℃、酸価35mgKOH/gであった。
<ガスバリア性コーティング剤の作製>
[実施例1]
225mlマヨ瓶にキトサン粉末10部(富士フイルム和光純薬(株)製、キトサン10)、イオン交換水110部、アクリル酸10部を入れ、蓋をしてローラー式撹拌機で2時間撹拌することでキトサンを溶解させた。濾布を用いて僅かに残った不溶物を取り除いた後、アクリル酸カルシウム水溶液33.3部を入れ、再度ローラー式撹拌機で30分撹拌することで透明粘調なガスバリア性コーティング剤を得た。
[実施例2~15、17、18]
表1記載の化合物、配合量を変更した以外は、実施例1と同様の操作によりガスバリア性コーティング剤を得た。
ただし、実施例8、9、17、18は参考例である。
[実施例16]
450mlマヨ瓶に高分子量キトサン粉末(富士フイルム和光純薬(株)製、キトサン100)10部、イオン交換水250部、アクリル酸5部、ライトエステルP-1M(共栄社化学(株)製)5部を入れ、蓋をしてローラー式撹拌機で2時間撹拌することでキトサンを溶解させた。濾布を用いて残った不溶物を取り除いた後、アクリル酸亜鉛水溶液20部を入れ、再度ローラー式撹拌機で30分撹拌した。アクリル酸アルミニウム粉末(浅田化学工業(株)製)2部、ガラスビーズ(5μm)を80部追加し、湿式メディア分散機スキャンデックスで1時間振とう撹拌して分散を完了させた。濾布によりガラスビーズを取り除き、ガスバリア性コーティング剤を得た。
[比較例1~4]
表1記載の化合物、配合量を変更した以外は、実施例1と同様の操作によりコーティング剤を得た。
[比較例5]
450mlマヨ瓶にエチレン―ビニルアルコール共重合体(PVOH)粉末((株)クラレ製、AQ-4104)10部、イオン交換水200部を入れ、蓋をして95℃オーブンに入れ1時間加温した。室温に戻した後、アクリル酸10部を追加し、ローラー式撹拌機により撹拌し、濾布を用いて濾過した。30%アクリル酸亜鉛水溶液33.3部を入れ、再度ローラー式撹拌機で30分撹拌することでコーティング剤を得た。
[比較例6]
225mlマヨ瓶に水性ポリウレタン(PU-1)10部、イオン交換水20部、カルボジライトE-02(日清紡(株)製)5部を入れ、ホモディスパーにて撹拌して混合してコーティング剤を得た。
[比較例7]
225mlマヨ瓶にポリアクリル酸(和光純薬(株)製、平均分子量2.5万)10部、イオン交換水40部、デナコールEX-313(ナガセケムテックス(株)製)5部を入れ、ホモディスパーにて撹拌して混合してコーティング剤を得た。
表1、2中の記載原料の略称および性状は以下のとおりである。表中に記載した化合物の配合量は固形量を表している。
(水溶性多糖類(A))
・キトサン10:富士フイルム和光純薬(株)製、低分子量品、脱アセチル化率80.0mol%以上
・キトサン100:富士フイルム和光純薬(株)製、高分子量品、脱アセチル化率80.0mol%以上
・グァーガム :白色粉末、製品名グアパックPF-20 MP五協フード&ケミカル(株)
・キサンタンガム:白色粉末、製品名ラボールガムGS-C MP五協フード&ケミカル(株)
(アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物)
・アクリル酸:富士フイルム和光純薬(株)製、分子量72.1g/mol
・メタアクリル酸:富士フイルム和光純薬(株)製、分子量86.1g/mol
・AAmSA(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸):富士フイルム和光純薬(株)製、分子量207.3g/mol
・ライトエステルP-1M: 2-メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート、共栄
社化学(株)製、分子量210g/mol
・ライトエステルP-2M: 2-メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート、共栄
社化学(株)製、分子量322g/mol
※ライトエステルP-1MおよびライトエステルP-2Mは主成分の化学構造から分子量を算出
(金属塩(C))
・アクリル酸カルシウム:上記で調整した30%アクリル酸カルシウム水溶液
・アクリル酸マグネシウム:上記で調整した30%アクリル酸マグネシウム水溶液
・アクリル酸亜鉛:上記で調整した30%アクリル酸亜鉛水溶液
・AAmSA亜鉛:上記で調整した30%2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸亜鉛
・アクリル酸アルミニウム:白色粉末、和光純薬(株)製
(樹脂(D))
・エチレン―ビニルアルコール共重合体(EVOH):AQ-4104((株)クラレ製)
・水性ポリウレタン(PU-1):上記で調整した水性ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、固形分24%、平均分子量30,000、酸価35mgKOH/g
(架橋剤(E))
・カルボジライトE-02:カルボジイミド架橋剤、日清紡(株)製、カルボジイミド当量445g/eq.固形分40%
・デナコールEX-313:グリセロールポリグリシジルエーテル(エポキシ架橋剤)、ナガセケムテックス(株)製、エポキシ当量141g/eq.
[積層体の作製]
実施例1~18及び比較例1~7において、調製したサンプルをメイヤーバーにてPET基材(東洋紡(株)製 E-5102、膜厚25μm)に塗工した。塗布膜厚は複数箇所測定した際に3~5μmに収まるようにメイヤーバーの番手を選定した。塗工後、塗工物を乾燥オーブンで75℃3分間かけ溶媒を留去し、岩崎電気(株)電子線照射機EC250/15/180Lを使用し、加速電圧110kV、電子線量70kGyにて硬化させ、表1、2に記載の通り、積層体を作製し、塗膜物性評価試料とした。
<酸素透過度測定>
実施例1~18、比較例1~7で得られた積層体について、温度23℃、65%RH条件および温度23℃、90%RH条件における酸素透過度を測定した。なお、RHは相対湿度を示す。
酸素透過度の測定は、MOCON社製酸素透過率測定装置 OX-TRAN2/22を用い、JIS K 7126に準拠して、等圧法にて行った。測定セルにセットする積層体の測定部面積は50cmとした。一般的な包装材に求められる酸素バリア性として、温度23℃、相対湿度65%RH条件において酸素透過度が1cc/m・day・atm未満であれば十分な性能であり、加えて、高湿度条件下でのバリア性低下が抑制できるほど優秀と言える。上記条件において、20cc/m・day・atm以上となるバリアフィルムは酸素透過度の再現性が低くなるため、OVERと表記した。常湿下酸素透過度測定値および高湿下酸素透過度測定値を以下の基準に従い、評価結果を表1、2に記載した。

(常湿下酸素透過度)
A :優秀 1.0cc/m・day・atm 未満
B :良好 1.0cc/m・day・atm以上5.0cc/m・day・atm未満
C :実用可能レベル 5.0cc/m・day・atm以上20.0cc/m・day・atm未満
D :不良 20.0cc/m・day・atm以上

(高湿下酸素透過度)
A :優秀 3.0cc/m・day・atm 未満
B :良好 3.0cc/m・day・atm以上10.0cc/m・day・atm未満
C :実用可能レベル 10.0cc/m・day・atm以上20.0cc/m・day・atm未満
D :不良 20.0cc/m・day・atm以上
<耐水摩擦性>
実施例1~18、比較例1~7で得られた積層体を用いて耐水摩擦性の評価を実施した。未塗工の基材部分から塗工部分にかけて、水で十分に濡らした綿棒で片側から一定回数擦り、塗工端部の溶解の程度や擦り上げた部分の膨潤度合い、積層体表面の削れ具合を目視で評価した。評点は下記の基準で判断し、表1、2に記載した。
(評価基準)
A :優秀 200回以上擦っても外観変化なし
B :良好 200回擦ると膨潤や塗膜表面の削れ等の外観変化あり
C :実用可能レベル 100回以上200回未満で端部溶解が発生
D :不良 100回未満で端部または擦り部分全域で溶解し基材暴露
<基材密着性>
実施例1~18、比較例1~7で得られた積層体を用いて基材密着性の評価を実施した。測定は粘着テープ(ニチバン(株)社製セロハンテープ(幅12mm))を用いて、塗工面にテープを貼り、180度の角度で引き剥がした際に、塗工基材側に残存した塗膜の面積%を以下の基準に従い、評価結果を表1、2に記載した。
(評価基準)
A :優秀 剥がれなし
B :良好 剥がれ有り(40%未満)
C :実用可能レベル 剥がれ有り(40%以上90%未満)
D :不良 剥がれ有り(90%以上)
<HAZE>
実施例1~18、比較例1~7で得られた積層体の透明性について分光HazeメーターSH7000(日本電色工業(株)社製)を用いてその濁度値(Haze値)を以下の基準に従い、評価結果を表1、2に記載した。
(評価基準)
A:優秀 Haze値が3.0%未満である
B:良好 Haze値が3.0%以上6.0%未満である
C:実用可能レベル Haze値が6.0%以上10.0%未満であるD:不良 Haze値が10.0%以上
表1のとおり、実施例のコーティング剤塗工物は、23℃65%RHの温和な湿度条件において優れた酸素バリア性を示すだけでなく、23℃90%RHの高湿度下におけるバリア性低下を抑制可能であることが示された。また、基材密着性や透明性、耐水性を高いレベルで実現しており、包装材のトップコーティングも可能であることが示された。

Claims (5)

  1. 水溶性多糖類(A)、
    アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する、分子量50以上300未満の化合物(B)、
    および、アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する分子量50以上300未満の化合物を配位子として有する、金属塩(C)
    を含むガスバリア性コーティング剤であって、
    該水溶性多糖類(A)が、キトサンを含み、
    該ガスバリア性コーティング剤の固形分100質量%中、
    水溶性多糖類(A)の含有率が、20~70質量%であり、
    化合物(B)の含有率が、10~60質量%であり、
    金属塩(C)の含有率が、10~70質量%である、
    ガスバリア性コーティング剤。
  2. 金属塩(C)の中心金属が、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む請求項1記載のガスバリア性コーティング剤。
  3. 包装材用である請求項1記載のガスバリア性コーティング剤。
  4. 基材上に、請求項1~いずれか1項記載のガスバリア性コーティング剤を用いて形成されてなるガスバリア層を有する積層体。
  5. ガスバリア性コーティング剤を基材に塗工し塗工物を得る工程と、塗工物に紫外線照射または電子線照射し、基材上にガスバリア層を形成する工程とを有する積層体の製造方法であって、
    該ガスバリア性コーティング剤が、
    水溶性多糖類(A)、
    アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する、分子量50以上300未満の化合物(B)、
    および、アニオン性親水基とエチレン性不飽和二重結合とを有する分子量50以上300未満の化合物を配位子として有する、金属塩(C)を含み、
    該水溶性多糖類(A)が、キトサンを含み、
    該ガスバリア性コーティング剤の固形分100質量%中、
    水溶性多糖類(A)の含有率が、20~70質量%であり、
    化合物(B)の含有率が、10~60質量%であり、
    金属塩(C)の含有率が、10~70質量%である、
    ガスバリア性コーティング剤である、積層体の製造方法。
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