JP7473945B2 - グラフェンを含むゴルフボール - Google Patents

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Description

本発明は、グラフェンを含むゴルフボールに関する。
ゴルフボールは通常、ゴム又は合成エラストマーのコアと、打撃の際のクラブの衝撃に耐えるのに適したポリマー材料で作られた、ディンプルを備えた外層とからなる。ボールの種類及びアマチュア向け又はプロ向けの用途に応じて、ボールの構造は、コアと外層との間に1つ以上の中間層を含むことができる。これらの中間層は、ポリマー又はポリマー配合物及び/又はポリマー複合材料でできており、典型的にはゴム又は合成エラストマーも含む。
現在使用されているゴルフボールの大部分において、ゴムのコアはポリブタジエンでできており、外層はアイオノマー樹脂でできている。アイオノマー外層は、より長い範囲、例えば高い飛距離、及び長い有効寿命を保証する。しかし、インパクトに対する感覚は硬さであり、そしてクラブとの短い接触時間を考慮すると、ボールを制御する可能性は限られている。
それゆえ、柔らかさの感覚を得てショットの制御を改善するために、近年ゴルフボールもまた、柔らかい材料の1つ以上の中間層、又は比較的柔らかい材料で形成された外層を備えることが提案されている。
したがって、ゴルフボールに要求される特性は、インパクトの際の柔らかさの感覚、ショットの制御可能性及び長い飛距離を含む。
各層に柔らかい材料を使用すると、インパクトの際の柔らかさの感覚は改善されるが、飛距離は減少する。反対に、硬い材料を使用すると、飛距離は増加するが、インパクトの際の感覚は硬い。
さらに、ゴルフボールは、厳しい使用条件に耐えるのに適切な耐用年数を有さなければならない。強い衝撃のために、表面の裂け目又はひび割れが生じる可能性があり、それはディンプルを劣化させるか又は平らにすることを広げ、そしてせいぜい表面層を破壊させる。表面への裂け目又は他の損傷の広がりを防ぐために、高い引張強度及び破断点伸びを有する材料、又は硬い材料を使用することができるが、それらはインパクトの際に硬さの感覚を与える。
そのため、柔らかいインパクトと長距離を両立したゴルフボールを製造することは困難である。
多数の特許が、ゴルフボールの構造ならびにゴルフボールのコア及び/又は中間層及び/又は外層の組成及び特徴を記載している。
US7,220,191B2は、コア、1つ以上の中間層及び外層を含み、カーボンナノチューブがこれらの部分の少なくとも1つに含まれる高強度ゴルフボールを記載している。しかし、カーボンナノチューブの使用者にはいくつかの問題が生じる可能性がある。
第一に、それらはナノメートルサイズを有しており、それゆえ細胞を透過して炎症反応を誘発し得るナノファイバーのように挙動するという事実のため毒物学的危険性を示す。
第二に、ナノチューブは安定に凝集するので加工が困難であり、これらをマトリックス中に正しく分散させることは極めて達成が困難である。
第三に、ナノチューブはマトリックスの粘度を急激に上昇させ、それらが高濃度で含まれている材料の加工を困難にするので、ナノチューブは実質的に低濃度(約1wt%)でしか使用できない。
WO2015/058190A1には、有機又は無機強化相を含む複合ポリマー材料でできた、高い剛性を示すコアを有するゴルフボールが記載されている。この強化相を構成することができる様々な物質の中には、炭素繊維、カーボンナノチューブ及びグラフェンも挙げられている。 この後者の場合、この出願のためにグラフェンが有する必要のある特徴に関して情報は提供されていない。
Jang B Zら、「ナノグラフェン・プレートレット(NPG)及びNPGナノ複合材料の処理:総説」、Journal of Material Science、Kluwer Academic Publishers、BO、vol.43、2008年1月1日、p.5092-5101は、NPGナノ複合材料がゴルフボールの製造に使用されてきたことを開示している。この出願のためにグラフェン・プレートレットが有する、又は有するべきである特徴に関して情報は提供されていない。
US2015/0375062A1には、グラフェンから形成された少なくとも1つの層を含む水蒸気バリア(MVB)層を有するゴルフボールを記載されている。グラフェンフィルムを製造する方法が開示されており、典型的には酸化グラフェン(GO)から出発して、次に還元されるが、いくつかの酸素基が還元後に表面上に残る。GOの薄膜は、ラングミュア・ブロジェット法、ドロップキャスティング法、ディップコーティング法、スプレー法、電気泳動法、真空濾過法及びスピンコーティング法で調製できる。グラフェン又はグラフェン酸化物の連続的な薄膜の形成は、ゴルフボールのMVB特性を改善するための良い方法であり得るが、ボールの機械的特性を改善するための効果的な方法ではない。
したがって、柔らかいインパクトを提供することができ、ひいては特に熟練していないプレーヤーによるボールの良好なコントロール、及び長い範囲、すなわち長い飛距離を提供することができるゴルフボールを得るという問題は、未だ解決されていないか又は満足のいく手法で解決されていない。
また、長期にわたる厳しい使用条件に耐えることができるゴルフボールを得ることも望ましいであろう。
よって、本発明の目的は、インパクトを制御する特性とプレーヤーにより与えられる軌道との間の改善されたバランス、及び長い飛距離を得る性能を示すゴルフボールを提供することである。
本発明の他の目的は、損傷を受けることなく、長期にわたる繰り返しの衝撃から生じる特定の環境条件及び厳しい使用条件に耐えることができるゴルフボールを提供することである。
本発明の上記及び他の目的と利点は、
a) 少なくともエラストマー重合体と、少なくとも補強剤とを含む内側部分、及び
b) ディンプルを備えた被覆層を含む外側部分
からなるゴルフボールであって、
前記補強剤が、以下の特徴を有するグラフェン・ナノプレートレットを含むことを特徴とし、
i. 前記グラフェン・ナノプレートレットの少なくとも90%が、50~50,000 nmの横方向サイズ(x、y)及び0.34~45 nmの厚さ(z)を有し、横方向サイズが常に厚さよりも大きく(x、y>z)、
ii. 前記グラフェン・ナノプレートレットにおけるC/O比が≧100:1、より好ましくは≧200:1である、
ゴルフボールによって達成される。
内側部分は、球状コアのみからなるか、又は球状コアと、該球状コア及び外側部分の間に位置する1つ又は複数の中間層とからなることができる。
本発明の一態様によれば、グラフェン・ナノプレートレットを含む補強剤は、ゴルフボールの内側部分のエラストマー重合体内に分散している。したがって、グラフェン・ナノプレートレットは、前記ゴルフボールの前記内側部分内に分散している。
次に、添付の図面を参照しながら本発明を説明する。
ゴルフボールの概略断面図である。 従来技術及び本発明によるゴルフボール用エラストマー組成物の特性を示すグラフである。 従来技術及び本発明によるゴルフボール用エラストマー組成物の特性を示すグラフである。 従来技術及び本発明によるゴルフボール用エラストマー組成物の特性を示すグラフである。 従来技術及び本発明によるゴルフボール用エラストマー組成物の特性を示すグラフである。 従来技術及び本発明による、グラフェンを組み込んだゴルフボール用エラストマー組成物の特性を示す他のグラフである。
図1を参照すると、球状コア12及び2つの中間層14、16を含む内側部分10と、ディンプル22を備えたシェル20を含む外側部分とからなるゴルフボールが示されている。よって、これは、当該技術分野で知られているように4つの構成要素を有するボールである。3つの構成要素、すなわち単一の中間層を有するボール、及び2つの構成要素、すなわち外殻で覆われた球状コアを有するボールも知られている。4つより多い構成要素を有するゴルフボールも知られており、且つ/又は記載されている。
ディンプル22を備えたシェル20を含む外側部分は、従来技術によって製造される。典型的には、それはアイオノマー、すなわちイオン基を備えたコポリマーを含む。この出願に適したアイオノマーの種類は、エチレン・メタクリル酸コポリマーである。このコポリマーの例は、デュポン社から商品名Surlyn(登録商標)で市販されている。
当該技術分野で知られているように、内側部分10は少なくともエラストマー重合体及び補強剤を含む。
エラストマー重合体は、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン(EPDM)ゴム及びそれらの混合物からなる群より選択される。
好ましいエラストマー重合体は、ポリブタジエンである。より好ましくは、ポリブタジエンは、高含有量の1,4シス単位を有するタイプ、ネオジム触媒を用いて得られるタイプ、すなわち40~98%の1,4-シス単位を含有するポリブタジエンである。
内側部分10がコア12及び少なくとも中間層14を含む場合、該コアはエラストマー重合体を含み、該中間層は、他のポリマーと任意に混合されたエラストマー重合体を含むことができるか、あるいは、エラストマー特性を有するか若しくは有さない又は限られたエラストマー特性を有する、1種以上の異なるポリマーを含むことができる。これらのポリマーの例は、当該技術分野で知られているように、アイオノマー、ポリエーテルアミド、ポリウレタンである。
別の実施形態によれば、内側部分10は、第2の中間層16をさらに含み、これは、第1の中間層14の場合と同様に、他のポリマーと任意に混合されたエラストマー重合体を含むことができるか、あるいは、エラストマー特性を有するか若しくは有さない又は限られたエラストマー特性を有する、1種以上の異なるポリマーを含むことができる。
当然に、3つ以上の中間層を有する実施形態も可能である。いずれにせよ、エラストマー重合体を含む1つ以上の中間層があるとき、本発明による補強剤はこれらの層中に存在できる。
内側部分10の剛性は、ゴルフボールの性能を決定する上で重要な役割を果たす。したがって、ボールの性能のための実質的パラメータは、Paで表される弾性率Eである。このため、エラストマー重合体は、その剛性を改善するために選択された補強剤と混合される。
補強剤は、グラフェン・ナノプレートレット、及び任意で従来の補強剤として知られる1つ以上の化合物を含む。しかし、補強剤はグラフェン・ナノプレートレットのみからなることもできる。
エラストマー重合体中に補強剤を混合すると、ゴルフボールの内側部分内に補強剤の分散及び分布がもたらされる。
本発明によれば、補強剤は、以下の特徴を有するグラフェン・ナノプレートレットを含む:
i. 前記グラフェン・ナノプレートレットの少なくとも90%が、50~50,000 nmの横方向サイズ(x、y)及び0.34~45 nmの厚さ(z)を有し、横方向サイズが常に厚さより大きく(x、y>z);
ii. 前記グラフェン・ナノプレートレットにおけるC/O比が、≧100:1、より好ましくは≧200:1である。
本発明の一態様によれば、グラフェン・ナノプレートレットは、エラストマー重合体の重量に対して1~50 phrの量、好ましくは前記エラストマー重合体に対して2~30 phrの量、より好ましくは前記エラストマー重合体に対して2~20 phrの量で存在する。
エラストマー重合体中に補強剤を混合した結果として、グラフェン・ナノプレートレットはエラストマー重合体中に分散して分布している。エラストマー重合体中のグラフェン・ナノプレートレットの均一な分散は、ゴルフボールの内層の機械的特性、及びゴルフボールそれ自体の性能を向上させる。グラフェンは、sp2混成炭素原子の単一原子層によって形成される材料である。これらは、グラファイト、カーボンナノチューブ及びフラーレンの基本構造要素を形成する六方最密充填ハニカム構造に配置されている。
グラフェンは、ユニークな特性を持つ材料である:それは、高い電荷キャリア移動度(最大200,000 cm2/Vs)、非常に高い機械的強度(引張強度~40 N/m、ヤング率~1.0 TPa)、卓越した熱伝導率(~5000 W/km)及び高い電流容量(~1.2 mA/μm)を有するゼロバンドギャップ半導体である。これらの特性により、グラフェンは、先端材料の使用を必要とする市場区分の用途に使用することが可能になる。したがって、グラフェン系材料は、電子工学、光起電力学、電池、センサー、光電子工学及びナノコンポジットなどの市場における応用のために科学的及び工業的観点から研究されている。
科学文献及び特許文献には、化学気相成長、エピタキシャル成長、化学的剥離及び酸化型酸化グラフェン(GO)の化学的還元などのグラフェンの調製のための様々な方法が記載されている。
同じ出願人によるEP2038209B1には、とりわけ、グラファイトの挿入及びその後の膨張/剥離により得られる、グラフェン層を含む構造を製造する方法が記載されている。
同じ出願人によるWO2015/193267A1には、純粋なグラフェンの水性分散液を製造する方法が記載されており、そこから、≧1:100、さらには≧1:200のC/O比を有するグラフェン・ナノプレートレットを得ることができる。この比は、グラフェンを形成する炭素に結合した酸素の最大量を規定するので重要である。実際、その高い結晶学的品質に由来するグラフェンの最良の特性は、酸素の量が最小のときに得られることが知られている。
純粋なグラフェン(すなわちC/O比が≧100:1であり、ラマン分光法を用いて検出される網状欠陥がないか又は最小限に存在し、界面活性剤又は官能化剤又はグラフェンのカップリング剤を含む異物が最小限に存在するか又は存在しない)は、本発明によるゴルフボールの内側部分を形成するエラストマー重合体の強化組成物の特性を改良するための基本成分を形成する。
本発明による強化組成物に使用されるグラフェンにおけるC/O比は、種々の元素の重量百分率を与える元素分析装置(Elementa Analyzer)(CHNS O)により行われる元素分析によって決定される。C及びO種の原子量について得られた値を正規化し、それらの比を見出すことによって、C/O比が得られる。
ナノプレートレットの網状欠陥は、1350 cm-1の位置にあるピークDの強度及び形状を分析することによるラマン分光法を用いて評価することができる。
本出願人のDirecta Plus S.p.Aによる上記特許文献に記載された好ましい実施形態によれば、純粋なグラフェンの製造方法は、グラファイトフレークを高温膨張工程に連続的に供給し、そのようにして得られた膨張化グラファイトを水性媒体中に連続的に排出し、水性媒体中に分散した膨張化グラファイトに、超音波処理法及び/又は高圧均質化法で行われる剥離及びサイズ減少処理を連続的に行うことによる連続的方法で行われる。
純粋なグラフェンを製造するためのこの方法はいくつかの工程を含む。
本方法の第一工程は、インターカレート・グラファイトから出発する膨張及び/又は剥離したグラファイトの製造からなる。
インターカレート・グラファイトは、当業者に知られている方法で製造するか又は市場で購入できる。インターカレート・グラファイトの膨張工程は、≦500μmの横方向サイズを有するインターカレート・グラファイトのフレーク(グラファイト・インターカレーション化合物、GICs)を1300~12000℃の温度に2秒未満の時間暴露することによって行われる。この処理は、EP2038209B1に記載されているように、すなわち、好ましくは電気アーク、マイクロ波又は高周波誘導炉を用いてGIC内で熱を発生させることによって又はプラズマを形成することによって行われる。この最後の処理は、高い乱流に関連して必要とされる温度に達することが可能であるので、特に好ましい。
本方法の第二工程は、第一工程で得られた膨張化グラファイトを回収し、その形成直後に、それを水性媒体中に分散させることを含む。
好ましくは、膨張化グラファイトは、界面活性剤の非存在下又は該グラファイトの重量の1重量%未満の量の界面活性剤の存在下で水性媒体を含む容器内で重力により沈殿する。
先行技術の教示とは反対に、形成されたばかりの膨張化グラファイトを水性媒体に添加すると、界面活性剤の使用を要さずに最適な分散液を得ることができる。
界面活性剤の補助なしに膨張化グラファイトの優れた水性分散液を得ることは、以下で詳述するように、界面活性剤を省くことによるコストの削減と、最終製品の改善された特性との両方のために重要な利点を表す。しかし、1重量%未満の少量の界面活性剤は、最終製品の品質を著しく低下させることなく、使用することができる。
膨張化グラファイトの分散を界面活性剤の存在下で行う場合、界面活性剤は、好ましくはアニオン性界面活性剤、より好ましくは親水性極性基を形成するアニオンがスルホネート、スルフェート、カルボキシレートから選択され、且つ疎水性非極性部分が、ベンゼン、ナフタレン、ピレンなどの芳香環を含む構造、又はコール酸の誘導体などの環状脂肪族構造を含む構造から選択されるアニオン性界面活性剤である。好ましい界面活性剤はベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
分散液は軽く攪拌することによって得られる。
膨張化グラファイトは、0.5~5重量%、好ましくは1~4重量%、より好ましくは2~3重量%の濃度で水中に分散される。
本方法の第三工程は、膨張化グラファイトの剥離及びサイズ縮小を達成して、少なくとも90%が50~50,000 nmの横方向サイズ(x、y)及び0.34~45 nmの厚さ(z)を有し、横方向サイズが厚さより大きい(x、y>z)、純粋なグラフェン・ナノプレートレットを得ることを目的とする。
この剥離及びサイズ縮小は、界面活性剤が存在しないか又は1重量%未満の量の界面活性剤を含む水中のグラファイトの分散液に超音波処理又は高圧均質化処理をして、膨張化グラファイトの粒子を衝突させることによって得られる。
超音波処理は、前の工程で得られた膨張化グラファイト1グラム当たり10~200 Whのエネルギーレベルで行われる。
好ましくは、超音波による膨張化グラファイトの水性分散液の処理は、1グラム当たり10~100 Whのエネルギーレベルで行われる。超音波処理は、液体を処理するための市販の超音波装置のような装置を用いて行われ、音響エネルギーは、約24 kHzの周波数及び上で定義される出力で液体に浸されたソノトロードを用いたキャビテーション(気泡の形成及び破裂)によって系に伝達される。
インターカレート・グラファイトの高温での膨張処理とその後の水媒体中での超音波処理の組み合わせは、グラファイトの剥離とそのサイズの縮小の両方を行うことを可能にし、比較的早い時間で、水中に直接分散したグラフェン・ナノプレートレットを得る。
高圧均質化処理は、膨張化グラファイトの分散液が1つ以上のマイクロチャネル又はネック中を35 MPaを超える圧力でポンプ注入されるホモジナイザーを用いて行われる。ここで、分散液中の粒子は、急激な圧力低下から生じる非常に高い剪断応力を受けて、互いに及びこれらのマイクロチャネル又はネックの表面と衝突する。
用語「ネック」は、分散液を流入させる実質的に一点における管の断面の縮小として解され、用語「マイクロチャネル」は、粒子の分散液の流れる方向に延伸するネックとして解されることを明記しなければならない。
この処理は、前述の軸x、y及びzに従った値まで、膨張化グラファイトの実質的なサイズ縮小を可能にする。これらネックは、500μmの最大サイズを有する流路などの静的タイプ、又は500μmの最大サイズを有するネックを画定するように調節可能な部分を有する弁などの動的タイプであり得る。
静的タイプのネックを使用する高圧均質化装置は、Microfluidics International Corporation(Newton、MA、USA)により商品名Microfluidizer(登録商標)で市販されている。これらの装置では、膨張化グラファイトの分散液を、最大サイズが500μmの複数の流路中に35 MPaを超える圧力でポンプ注入して、その中で膨張化グラファイトの粒子を衝突させる。好ましくは、最大圧力は500 MPaである。この装置の構造及び操作は、とりわけ、US8,367,004B2にも記載されている。
動的タイプのネックを使用する高圧均質化装置は、とりわけ、GEA NIRO-Soavi(Parma、イタリア)によって市販されている。これらの装置の構造及び動作は、とりわけ、US4,773,833にも記載されている。
必要とするサイズ縮小の量に従って、膨張化グラファイトの水性分散液をホモジナイザー中で数回処理することが可能である。これは、ホモジナイザーを通る様々なサイクルで、連続的に実施できる。
好ましくは、高圧均質化処理は、膨張化グラファイトの分散液が1つ以上のマイクロチャネル又はネック中を100 MPaを超える圧力でポンプ注入されるホモジナイザー中で行われる。
前述したように、上で定義された方法のうちの1つ以上で行われる剥離及びサイズ縮小処理の後に得られるグラフェン・ナノプレートレットの最終分散液は、グラフェンに要求される最終形態に応じて、濃縮又は乾燥することができる。
分散液の濃縮は、蒸発、濾過又は遠心分離による水の除去などの当業者に公知の技術で実施できる。界面活性剤が存在しないか又は存在が最小限(1%未満)であることにより、その可能性のある重合の問題を回避することができ、また、より高い温度で操作することが可能となる他、固液分離の実現可能性も保証され得る。
上記の技術を使用して、分散液の濃度を最大30重量%まで増加させることが可能である。 6~30重量%の濃度範囲で得られる生成物は、高い粘度及びペーストの粘稠度を有し、そして水性製剤用のマスターバッチとして有利に使用できる。
6~30重量%の範囲の濃縮分散液の使用から得られる利点は、1)配合の自由度、すなわち生成物を所望の濃度に希釈できること、及び特定の用途に最適な界面活性剤を選択できること、2)グラフェン・ナノプレートレット間に介在し、それらの間に確立されたファンデルワールス結合を弱める残留水の存在による高い分散性、3)所望の基材上に広げることにより生成物を直接使用できること、4)グラフェン・ナノプレートレットをマトリックス内に閉じ込め、それらの取り扱い及び輸送を容易にすることである。
分散液を濃縮する特に有利な方法は、フィルター上で所望の範囲の濃度を有する分散液を得るまで水を除去しながら濾過することである。濾過システムは、処理時間と濾過圧力を調整することによって制御される。フィルターは、フィルターの表面積に従って定義される。適切なフィルターシステムは、Mavag AGにより商品名Funda(登録商標)で市販されているものである。
分散液を乾燥する目的は、プロセスレベルで液体が望ましくないか又は管理できない場合、あるいは化学的不適合性のために水を使用することができない場合に、様々なマトリックス、溶媒及びポリマーの両方に容易に再分散できる乾燥粉末を得ることである。
分散液は、凍結乾燥、回転蒸発器中での蒸発又は噴霧乾燥などの先行技術を用いて蒸発乾固できる。いずれにせよ、界面活性剤の非存在下で製造されたグラフェン・ナノプレートレットは高度の分散性を示す。さらに、一方では、低い酸素含有量及び網状欠陥の欠如は、高い物理的及び化学的特性を確実にし、そして他方で、共有結合型の化学的相互作用のために、ナノプレートレットの安定な再凝集を永続的になくすことを保証する。高アスペクト比(横方向サイズが大きく、厚さが薄い)は、電気伝導率、熱伝導率、バリア性の面で最適な性能を確保する。
記載された方法の非常に重要な利点は、界面活性剤なしで操作できることにある。実際、このようにして得られたグラフェン・ナノプレートレットは、C/O比が高いことと、界面活性剤などの最終的に夾雑物となる外来物質が存在しないことの両方により、非常に純粋である。事実、界面活性剤の非存在下では、界面活性剤を使用する方法で得られるグラフェンよりも実質的に高い電気伝導率を有するグラフェンを得ることができることが見出された。これにより、複数の用途におけるグラフェンの性能が向上する。
純粋なグラフェン・ナノプレートレット、少なくとも90%が50~50,000 nmの横方向サイズ(x、y)及び0.34~45 nmの厚さ(z)を有し、横方向サイズが厚さより大きく(x、y>z)、C/O比が≧100:1であるグラフェン・ナノプレートレットは、高い電気伝導率を有する。電気伝導率は、ガラス基板上に前記ナノプレートレットの水性分散液を堆積させ、1cm×1cmのフィルムを形成し、加熱プレートを用いて100℃で15分間乾燥することにより得られるフィルム上で測定され、ファンデルポー(Van der Pauw)構成で評価される。このフィルムは、≧1500 S/m、好ましくは≧2000 S/mの電気伝導率を有する。
界面活性剤の存在下でグラフェン・ナノプレートレットの分散液を形成すると、これがその表面に堆積し、その凝集を促進する傾向があることも分かった。
本明細書では、グラフェン・ナノプレートレットのサイズは、直交軸x、y、zの系を基準にして定義され、粒子は実質的に平坦なプレートレットであるが、不規則な形状を有してもよいことが理解される。いずれにせよ、方向x、y及びzを基準にして与えられた横方向サイズ及び厚さは、前述の各方向における最大サイズとして解されなければならない。
グラフェン・ナノプレートレットの横方向サイズ(x、y)は、最終分散液を脱イオン水で1:1000の比率に希釈し、それを一滴ずつ、100℃に加熱したプレート上に配置した酸化ケイ素基板に添加した後、走査型電子顕微鏡(SEM)での直接測定により、及び、実施例に記載されているようにMalvernレーザー回折粒度分析器を用いる統計的測定により決定される。
グラフェン・ナノプレートレットの厚さ(z)は、原子間力顕微鏡(AFM)で決定され、これは本質的にサブナノメートルの分解能を有する側面計であり、表面及びナノ材料の(主に形態学的)特徴付けに広く用いられる。この種の分析は、任意の方法で製造されたグラフェンフレークの厚さを評価し、そしてフレークを形成する層の数(単層=0.34 nm)を検出するために、(学術目的及び工業的R&Dの両方で)一般的に使用される。
SEM分析について記載したように堆積させた最終分散液のナノプレートレットをAFMチップで直接スキャンし、測定によりグラフェンフレークのトポグラフィー像及び基板に対するそれらのプロファイルが提供され、厚さの正確な測定を可能にする。
上記で定義された方法b1)及びb2)の1つ以上で行われる剥離及びサイズ縮小処理の後に得られるグラフェン・ナノプレートレットの最終分散液は、グラフェンに必要な最終形態に応じて有利に濃縮又は乾燥され得る。
濃縮された最終分散液において、又は乾燥後に得られる乾燥形態において、グラフェン・ナノプレートレットの少なくとも90%は、好ましくは100~25,000 nm、より好ましくは500~15,000 nmの横方向サイズ(x、y)と、好ましくは0.34~20 nm、より好ましくは0.34~8 nmの厚さ(z)を有する。
本明細書において、用語「乾燥形態のグラフェン・ナノプレートレット」は、2wt%未満の液体、好ましくは1wt%未満の液体、より好ましくは0.5 wt%未満の液体を含むグラフェン・ナノプレートレットを意味する。
前述のサイズ及び純度の特徴を有し、よって前述のC/O比によって定義されるように非常に低い酸素含有量を有し、他の分子で官能化されていないグラフェン・ナノプレートレットは、ゴルフボールの1つ以上の内側部分用のエラストマー重合体のための強化組成物における成分としての使用に特に適していることが証明された。グラフェン・ナノプレートレットを含有するか、又はグラフェン・ナノプレートレットからなる補強剤は、エラストマー重合体中に均一に分散して分布している。この出願において、以下の実施例に示すように、従来の補強剤を有する組成物(配合物)に関して良好な動的挙動、及び加硫エラストマーの良好な特徴、特に硬度及び反発弾性を維持する動的機械的特性の改善を達成することが可能である。
ゴルフボールの内側部分のための組成物の調製
エラストマー組成物(「配合物」とも呼ばれる)を、当該技術分野で知られるように、二段階プロセス及び30~40 rpmのローター速度により3.2リットル密閉式実験室用ミキサー内で調製した。
第一工程は、合計5~6分間続き、放出時に50℃~100℃の温度範囲であり、促進剤及び架橋剤を除く全ての成分を含むマスターの調製であった。
第二工程は、再び閉鎖型密閉式ミキサー内で、放出時に50℃~80℃の温度で促進剤及び架橋剤を90秒間添加し、続いてロールミルミキサー内で再加工して、圧縮プレス内で加硫することであった。
実施例1~4
補強剤が焼成カオリンであり、ゴルフボール用の典型的な市販配合物からなり、グラフェンを含まない参照組成物(Ex.1、REFと示される)と、焼成カオリンが不足すること以外は参照組成物と同じ組成を有し、焼成カオリンが乾燥形態のナノプレートレットの形態にあるグラフェンで置換された本発明による3つの対応する組成物(Ex.2、3及び4、それぞれP4、P8及びP12と示される)を調製した。それらは、D90として表される、5000~10000 nmの間に含まれる横方向サイズ(x-y)、及び0.34~4nmの厚さ(z)を有する。横方向サイズは、Malvern 3000レーザー回折粒度分析器で測定した。このグラフェンは、Directa Plus S.p.A.により製造され、商品名G+(登録商標)で市販された。
二段階製法の最後に得られた組成物を表1に示す。表中、成分は、ゴム100部当たりの重量部(phr)として表される。
Ex.1の参照組成物(REF)を参照すると、これは、ゴルフボールの内側部分用の典型的な市販配合物であり、それにおいてエラストマー重合体はポリブタジエンからなることが注目される。
亜鉛ジアクリレート(又はジメタクリレート)は、最終的な複合材料に高い剛性/硬度を与える補強充填剤及び自己架橋性硬化剤である。
ステアリン酸と酸化亜鉛の組み合わせは、促進/架橋系の活性化剤である。これら2つの物質の適切なブレンドは、エラストマー組成物のより速くそしてより容易に制御された調製を可能にする。
他の成分は、ゴム用配合物において一般的に存在する。
Figure 0007473945000001
上記の組成物に対して実施された特徴付けは、未加硫配合物に対して実施された試験を含み、これはAlpha Technologiesによる「Moving Die Rheometer」と呼ばれる機器のモデルMDR2000を使用して加硫キネティクスを決定する。加硫キネティクスを決定した後、目的とする試験に適したサンプルを製造した。特別な機器を備えた専門の実験室で実施された動的試験を除いて、全ての試験は、同じ認証された実験室の中で実施された。
製造した全ての配合物のキネティクスを表2に示す。
Figure 0007473945000002
表中、
ML:加硫キネティクス間のdNmで表されるトルクの最小値。
MH:加硫キネティクス間のdNmで表されるトルクの最大値。
ts2:MLの値について0.2 dNmの増加であり、分で表される。
T90:[(MH - ML)*0.9]+ML、架橋度90%に対応する最適加硫時間。
UM:測定値の単位。
表から、基本的に、参照配合物REFに対して本発明によるグラフェン含有配合物の挙動には実質的な違いがないことが分かる。
加硫エラストマーの特徴に関して、図2に示されるように、硬度試験(ショアD)及び反発弾性(ゼルビニ振子(Zerbini Pendulum)を使用)に関するデータは、参照配合物に対して合致していると考えられるべきであることが分かる。
加硫キネティクスは、方法ISO 3417を用いて測定した。
硬度は、方法ISO 868で測定した。
反発弾性は、方法ISO 4662を用いて測定した。
「スイング」の全段階における挙動に関連する動的機械的特性の分析、すなわちボールを標的に向けて打ち出して浮揚させるための全ての打撃において使用される運動のペインによる動的テストでの分析は、「ペイン効果」と呼ばれた。
ペイン効果は、試験振動数及び温度で設定された、百分率(%)で表される変形の関数としての動的弾性率(MPaで表される「貯蔵弾性率」E'又はG')の傾向を分析する。低い変形速度での高い弾性率値は、スイングの長距離での改善された挙動を確実にする一方で、高い変形速度での弾性率は、低い変形速度での値と比較して値が低く、ショット中のボール自体の制御に相関し得る。
動的機械分析(DMA)は、機器TA Q800を用いた軽い一定の予荷重を伴う3点曲げ試験により、以下の操作条件で行った:60℃の一定温度、1Hzに等しい周波数、0~1%の動的変形。
図3及び4は、強化組成物のナノプレートレットの形態にあるグラフェンとエラストマー重合体との間の特定の相互作用による注目すべき現象を示す。
実施例1~4の種々の配合物に関する曲線/ヒストグラムを観察すると、グラフェンを含有する配合において弾性率(貯蔵弾性率)の漸進的増加が見られる。この現象は、12 phrのグラフェンを含むEx.4においてより明白である。実際、低変形でのE'の値は、参考例1REFに対して16%~42%増加している。これにより、本発明によるグラフェンを含有するゴルフボールを用いてショットのより大きな距離を得ることが可能になる。
より高い変形(1%に近い)での弾性率の値を分析すると、別の興味深い現象が観察される:変形0%から1%に等しい変形までの弾性率の降下の値(ΔE')は、ナノプレートレットの形態にあるグラフェンを含む実施例2~4において、より大きくなる(図5)。この結果は、スイング中のゴルフボールのより良い制御を確実にする。
上記の結果は、ゴルフボールの製造のための配合物における本発明によるナノプレートレットの形態にあるグラフェンの使用が、プロ用にもアマチュア用にも新しいタイプのボールを製造することを可能にすることを示す。実際、コントロールを失うことなくショットの良好な距離を得るために、グラフェンを使用して非常に硬いコアを有するプロ用ボールを製造できる。また同時に、良好なコントロールを伴う効果的なスイングを確実にするために、多量のグラフェン、例えば12 phrの量を使用して、アマチュア用ボールを製造できる。これは、ショットの終わりにグラフェンがエラストマー組成物の弾性率を低下させることができることによる。
実施例5~7
これらの実施例では、様々な特別な添加剤を含有する天然ゴムに基づく配合中の異なる種類のグラフェンの挙動を比較した。
様々な種類のグラフェンの比較研究に適した配合を、それらの形態及び/又は構造に関連する性能におけるあらゆる差異を示すために選択した。
先の実施例と同様に、「配合物」とも呼ばれるエラストマー組成物を、二段階プロセス及び30~40 rpmのローター速度により3.2リットル密閉式実験室用ミキサー内で調製した。第一工程は、合計5~6分間続き、放出時に50℃~100℃の温度範囲であり、促進剤及び架橋剤を除く全ての成分を含むマスターの調製である。
第二工程は、再び閉鎖型密閉式ミキサー内で、放出時に50℃~80℃の温度で促進剤及び架橋剤を90秒間添加し、続いてロールミルミキサー内で再加工して、圧縮プレス内で加硫することである。
続いて、予定されている試験に適したサンプルを製造した。
表3は、分析された組成物を示す。表中、成分は、ゴム100部当たりの重量部(phr)で表される。
Figure 0007473945000003
Ex.5は、補強剤を用いなかった参考例である。
Ex.6では、Directa Plus S.p.Aにより製造され、商品名G+で市販されている、D90として表される5000~10000 nmの横方向サイズ(x-y)及び0.34~4nmの厚さ(z)を有する本発明によるグラフェン10 phrからなる補強剤を用いた。横方向サイズは、Malvern 3000レーザー回折粒度分析器を用いて測定した。
Ex.7では、グラフェンCと称する、購入した市販のグラフェン10 phrからなる補強剤を用いた。製造業者により提供された技術データシート(TDS)に明記されているように、それはD90として表される5000~7000 nmの横方向サイズ(x-y)及び50~100 nmの厚さ(z)を有していた。
動的機械分析(DMA)は、機器TA Q800を用いた軽い一定の予荷重を伴う、ねじり試験により、以下の操作条件で行った:60℃の一定温度、1Hzに等しい周波数、0~10%の動的変形。
図6は、動的機械試験(ペイン効果)を示す。グラフから、グラフェンG+(登録商標)を含む組成物の変形範囲の全体における弾性率が、参照組成物と、市販のグラフェンCを含む組成物(グラフェンを含まない参照試料のものと実質的に等しい性能を提供する)との両方に対してより高いことがわかる。

Claims (7)

  1. a) 少なくともエラストマー重合体と、少なくとも補強剤とを含む内側部分、
    b) 少なくとも、ディンプルを備えた被覆層を含む外側部分、及び
    c) グラフェン・ナノプレートレット
    からなるゴルフボールであって、
    前記グラフェン・ナノプレートレットが、前記ゴルフボールの前記内側部分の前記補強剤内に分散し、前記グラフェン・ナノプレートレットが以下の特徴:
    i. 前記グラフェン・ナノプレートレットの少なくとも90%が、500010000 nmの横方向サイズ(x、y)及び0.34~20 nmの厚さ(z)を有し、横方向サイズが常に厚さよりも大きく(x、y>z)、
    ii. 前記グラフェン・ナノプレートレットにおけるC/O比が、下記の式:
    C/O比≧100/1
    で表される
    を有することを特徴とするゴルフボール。
  2. 前記グラフェン・ナノプレートレットにおけるC/O比が、下記の式:
    C/O比≧200/1
    で表されることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 前記グラフェン・ナノプレートレットが、前記内側部分の前記エラストマー重合体に対して412 phrの量で存在することを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフボール。
  4. 前記内側部分が、前記エラストマー重合体と、前記補強剤とを含む球状コアからなり、前記グラフェン・ナノプレートレットを含む前記補強剤が、前記球状コア内にあることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール。
  5. 前記内側部分が、球状コアと、前記球状コア及び前記外側部分の間に位置する1又は2の中間層とからなり、前記グラフェン・ナノプレートレットを含む前記補強剤が、前記1又は2の中間層内にあることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール。
  6. 前記エラストマー重合体が、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、エチレン・プロピレン・ジエン(EPDM)ゴム及びそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のゴルフボール。
  7. 前記エラストマー重合体が、ポリブタジエンであることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のゴルフボール。
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