JP7468088B2 - 画像処理システム、及び画像処理プログラム - Google Patents
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Description
このような画像処理アルゴリズムの自動生成において、検出対象の種類によっては、学習で使用する画像枚数が多くなり、学習時間が長くなってしまうという問題があった。
一方で、バリエーションの網羅が必要となる検出対象の学習用画像を単に減らした場合には、生成する画像処理アルゴリズムの性能が低下するという問題が生じる。このため、画像処理アルゴリズムの性能を維持したままで学習用画像を削減することは、容易ではなかった。
この装置では、初期学習時に画像の特徴量にもとづいてクラスタリングを行い、各クラスタから代表的な画像を選択することによって、画像を削減することが記載されている。
このため、バリエーションの網羅が必要となる検出対象を見つけ出す画像処理アルゴリズムの自動生成にあたり、画像処理アルゴリズムの性能を維持したままで、学習用画像をより効果的に削減することが可能な画像処理システムが求められていた。
まず、本発明の第一実施形態に係る画像処理システム、及び画像処理プログラムについて、図1及び図2A~Dを参照して説明する。図1は、本実施形態の画像処理システムに対応する画像処理装置の構成を示すブロック図である。図2A~Dは、それぞれ当該画像処理装置における学習用画像削減部による定数を用いた選択、一次関数を用いた選択、シグモイド関数を用いた選択、及びルールを用いた選択の説明図である。
本実施形態の画像処理装置1におけるこれらの各構成は、図1に示すように一個の情報処理装置に全て備えることができる。また、これらの各構成は、複数の情報処理装置からなる画像処理システムの各装置に分散して備えてもよい。これは、後述する第二実施形態についても同様である。
また、これらのノードは、それぞれの処理の実行に用いるパラメータが存在する場合には、そのパラメータと共に機能単位記憶部10に記憶される。
またこのとき、個体生成部11は、個体情報において、直線構造、木構造、又はネットワーク状に複数のノードの実行順序を定義することができる。ネットワークは、向きが付いたリンクにより構成される有向ネットワークであり、フィードバックを含むものとすることができる。
なお、後述する評価値計算部19は、世代ごと又は設定された世代ごとに個体情報を順位付けして、順位付け情報を評価結果記憶部20に記憶させることができる。
学習用画像は、全ての個体情報(画像処理アルゴリズム)により処理して出力情報を得るため、またその出力情報と教師情報を比較して評価値を計算するため、及び評価値を用いて個体の順位付けを実施するために用いることができる。
検証用画像は、所定の個体情報の中で一番良い個体情報により処理して出力情報を得るため、またその出力情報と教師情報を比較して評価値を計算するため、及びその評価値を用いて解析モデルの妥当性や過学習が発していなかなどを検証するために用いることができる。
この教師情報としては、複数の学習用画像に対応する教師画像、及び複数の検証用画像に対応する教師画像などを用いることができる。
なお、本実施形態の画像処理システムにおいて、教師情報は、画像に限定されず、画像における検出対象の個数や位置、あるいは検出対象が存在する範囲などを教師情報として用いることもできる。
なお、検出対象判定処理において、非検出対象候補をラベリングしてその特徴量を計算し、閾値などにもとづきその特徴量を備えていないことにより、検出対象でないことを判定する処理を行うこともできる。
そして、この出力情報を個体情報ごと且つ画像ごとに出力情報記憶部18に記憶させることができる。
そして、出力情報と教師情報を比較して評価値を計算し、得られた評価値を個体情報ごと且つ画像ごとに評価結果記憶部20に記憶させることができる。
また、評価値計算部19は、評価値にもとづき個体情報ごとに学習用画像を順位付け(ランキング)して、得られた順位付け情報を評価結果記憶部20に記憶させることもできる。
進化が発生していない場合とは、評価値が、比較対象の時点よりも改善されていない場合である。
なお、評価値計算部19からこの終了判定の機能を分離して、本実施形態の画像処理装置1において終了判定を行うための終了判定部を備えてもよい。
これによって、個体群記憶部12に新たな世代の個体群の個体情報を順次追加することができる。
個体選択部は、各世代の個体群において、評価値の順位の高い個体情報を高い確率で選択して、次世代に残す処理等を行うことができる。
そこで、学習初期では多様性を持たせるために、同系列以外の個体を増やすように突然変異部による処理を行い、学習中期では効率的な進化を実施するために、個体選択部により同系列を増やすことが好ましい。また、進化が止まった場合には、再度多様性を持たせるために突然変異部により同系列以外を増やすことなどを好適に行うことができる。
学習用画像削減部22は、学習用画像の削減処理において、各学習用画像の評価値にもとづいて、各種方法により学習用画像を選択することができる。
具体的には、学習用画像の削減方法として、「1.評価値の順位による削減」、「2.評価値の相関係数を用いた削減」、「3.クラスタリングによる削減」を挙げることができる。
次式及び図2Bに示すように、評価値の順位に対して重みを付けて選択する。この場合、直線の傾きが+の場合は悪い画像が多く削減され、-の場合には評価値の良い画像が多く削減される。また、定数bにより選択しない順位を設定することもできる。
次式及び図2Cに示すように、評価値の順位に対してシグモイド関数による重みを用いて削減する。1次関数による選択と同様に、評価値の良い画像、又は評価値の悪い画像を有意に選択することができる。
その他にも指数関数、対数関数などを使用することもできる。また、図2Dに示すように、所定のルールを用いて、ある順位以上又は以下、その間などを任意に選択可能にすることもできる。
画像の評価値に対して相関係数を計算し、相関係数が高い画像の一方を削減することによって、学習に使用する画像枚数を削減する。
画像の評価値に対して相関係数を計算するためには、各画像に複数の評価値が必要となるが、各世代又は複数世代の全個体若しくは上位個体による画像の評価値を用いることによって、相関係数を計算することができる。例えば、所定の世代及び個体を設定することにより相関行列を計算して、各相関係数が閾値以上の画像を選択し、他方を選択しないようにすることができる。
評価値をクラスタリングして、各クラスより設定した枚数だけ画像を選択する。クラスに属する画像枚数に偏りが発生した場合は、少ない枚数に合わせることなどもできる。
クラスタリングの手法としては、判別分析法や、ウォード法,群平均法,最短距離法などの階層的クラスタ分析、又はk-means法などの非階層クラスタ分析などを用いることができる。
(1)評価値のヒストグラムを計算する
(2)ヒストグラムから最小値、最大値、平均値を計算する
(3)最小値~最大値の範囲で、ある閾値Tを選択する
(4)閾値Tにてヒストストグラムを2つのクラスに分ける
(5)クラス1の分散、平均値、画素数を計算する
(6)クラス2の分散、平均値、画素数を計算する
(7)クラス内の分散、クラス間の分散を計算する
(10)分離度Sが最大となる閾値Tを最終的に用いる閾値とする
(11)各クラスから設定した削減率になるように学習に用いる画像の選択を行う
具体例として、150枚の学習用画像と150枚の検証用画像が画像記憶部14に記憶され、これらに対応する教師画像がそれぞれ150枚ずつ教師情報記憶部16に記憶されたとする。
具体的には、個体生成部11は、機能単位記憶部10からノードをランダムに選択して配列することにより個体情報を生成し、識別情報ごとに個体群記憶部12に記憶させることができる。
具体例として、初期個体群として個体情報を100個生成したとする。
なお、ステップ10~12の各ステップの実行順序は、入れ替えてもよい。
なお、新たな世代の個体群は、個体群記憶部12に記憶されている個体情報に対して、遺伝子操作部21が遺伝子操作を行うことによって作成することができる。すなわち、新たな世代の個体群は、遺伝子操作部21により個体情報の選択又は変更が行われ、個体群記憶部12が更新されることによって作成することができる。
このように、個体群記憶部12における世代は、ステップ13に示す世代ループの実行に従って順次追加されるようにすることができる。
具体例として、世代ループの世代数を5000世代に設定したとする。
この判断基準は、適宜設定することができる。例えば、所定の設定値を設定し、その設定値以降の全ての世代について、学習用画像の削減処理を実行することができる。また、一定の世代数ごとに、削減処理を実行することもできる。
この場合、1世代目の第1回目のループにおいて、学習用画像削減部22により、学習用画像の削減処理を実行しないと判定される(ステップ14のNO)。
具体例では、第1回目の個体群ループにおいて、100個の個体情報のそれぞれについて、ステップ17とステップ18が繰り返して実行される。
具体例では、画像処理部17は、150枚の学習用画像の各々に対して、個体情報を構成する複数の機能単位をそれぞれ順次実行し、各学習用画像に対応する出力情報としての画像等を作成して、出力情報記憶部18に記憶させることができる。
このとき、評価値計算部19は、出力情報と教師情報とを用いて、例えば最小二乗法により、平均二乗誤差を評価値として算出することができる。
そして、評価値計算部19は、得られた評価値を評価結果記憶部20に個体情報ごと及び学習用画像ごとに記憶させることができる。
なお、評価値計算部19により、個体情報ごとに評価値の統計値を計算して記憶させることもできる。評価値の統計値としては、例えば平均値や標準偏差などを用いることができる。
図5に、評価結果記憶部20に記憶された順位付けデータの例を示す。同図に示すように、個体情報の順位付けは、評価値の統計値などにもとづいて行うことができる。
終了条件が満たされていない場合、遺伝子操作部21は、遺伝子操作処理を実行する(ステップ21)。
これにより、遺伝子操作部21は、個体群記憶部12に新たな世代の個体群を追加更新することができる。
また、遺伝子操作部21における個体選択部は、評価値の順位の高い個体情報ほど高い確率で次世代の個体群の個体情報として選択する(ステップ31)。
また、遺伝子操作部21における突然変異部は、個体選択部により選択された個体情報にもとづいて、またはこれらの個体情報を用いることなく、突然変異処理等を行い、新たな個体情報を生成する(ステップ33)。
なお、エリート個体保存部、個体選択部、交叉部、突然変異部による各処理の順序を、各処理を実行可能な順序の範囲で入れ替えて実行してもよい。
このように、世代ループを繰り返すことで、個体群記憶部12において、新たな世代の個体群の個体情報を順次追加することができる。
そして、第10世代目の世代ループが終了すると、図7に示すように、評価結果記憶部20において、個体情報ごと及び学習用画像ごとに、評価値データが10世代分記憶されている。
具体例では、設定値を10としているため、学習用画像削減部22は、学習用画像の削減処理を実行すると判定し(ステップ14のYES)、学習用画像の削減処理を実行する(ステップ15)。
すなわち、学習用画像削減部22は、評価結果記憶部20に記憶されている各学習用画像の評価値にもとづいて、画像処理部17により画像処画される学習用画像を削減する。
具体的には、学習用画像削減部22は、上述した「1.評価値の順位による削減」、「2.評価値の相関係数を用いた削減」、又は「3.クラスタリングによる削減」にしたがって、学習用画像を削減することができる。
なお、世代間の評価値を用いる場合は、評価値の範囲(最小値~最大値)が異なるため、最小値0、最大値1などとして、評価値を正規化してから順位を計算することもできる。
具体例として、削減率を80%とする場合、150枚の学習用画像から30枚が選択されて、当該世代ループにおいて、30枚の学習用画像が個体群ループで使用され、これら選択された学習用画像に対してのみ画像処理と評価値の計算が繰り返して実行される。
すなわち、本実施形態の画像処理システムでは、学習が進むにつれて学習用画像の評価値が変化し、その評価値にもとづいて学習用画像削減部22により学習用画像が削減されるため、学習に使用される学習用画像が固定されず、世代ループにより進化する画像処理アルゴリズム(個体情報)に応じて変化するという特徴がある。
また、上記の所定のタイミングとして、設定世代ごと(例えば10世代ごと)とすることもでき、ステップ19の個体情報の順位付け後、一番良い個体情報を用いて、同様に行うこともできる。
なお、第二実施形態においても、検証用画像についての処理を、同様のタイミングで行うことができる。
次に、本発明の第二実施形態に係る画像処理システム、及び画像処理プログラムについて、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態の画像処理システムに対応する画像処理装置の構成を示すブロック図である。
親個体群記憶部121aは、個体生成部11aによって生成された複数の個体情報からなる親個体群を記憶する。また、1つの世代又は複数の世代の親個体群を記憶させることができ、世代番号ごとに各個体情報を記憶させることができる。
子個体群記憶部122aは、遺伝子操作部21aによって生成された複数の個体情報からなる子個体群を記憶する。また、親個体群に対応する1つの世代又は複数の世代の子個体群を記憶させることができ、世代番号ごとに各個体情報を記憶させることができる。
なお、後述する評価値計算部19aは、世代ごと又は設定された世代ごとに子個体情報を順位付けして、順位付け情報を評価結果記憶部20aに記憶させることができる。
そして、出力情報と教師情報を比較して評価値を計算し、得られた評価値を子個体情報ごと且つ画像ごとに評価結果記憶部20aに記憶させることができる。
さらに、評価値計算部19aは、画像処理部17aによる画像処理を終了するか否かを判定するための終了判定を行うことができる。
具体的には、遺伝子操作部21aは、まず、親個体群記憶部121aにおける親個体群からランダムに、子個体情報を生成する親個体情報を選択する。次に、選択した親個体情報と同一の子個体情報からなる子個体群を子個体群記憶部122aに記憶させる。また、選択された親個体情報に対して交叉処理を実行して複数の子個体情報を生成し、これら子個体情報からなる子個体群を子個体群記憶部122aに記憶させる。
これにより、遺伝子操作部21aは、個体群記憶部12aにおける親個体群記憶部121aに新たな親個体群の個体情報を追加することができる。
そして、後述する世代ループを繰り返すことで、個体群記憶部12aにおいて、新たな世代の親個体群の個体情報を順次追加することができる。
また、学習用画像削減部22aは、削減処理を実行すると判定すると、評価結果記憶部20aに記憶されている各学習用画像の評価値にもとづいて、画像処理部17aにより画像処画される学習用画像を削減する。
学習用画像削減部22aは、学習用画像の削減処理において、各学習用画像の評価値にもとづいて、第一実施形態と同様の各種方法により学習用画像を減率することができる。
次に、個体生成部11aが、初期の親個体群を生成する(ステップ42)。
なお、ステップ40~42の各ステップの実行順序は、入れ替えてもよい。
この親個体群記憶部121aにおける親個体群は、後述する親個体群の更新処理によって更新され、世代ループにおいて、設定された世代について以下の処理が繰り返し行われる(ステップ43)。
この判断基準は、適宜設定することができる。例えば、所定の設定値を設定し、その設定値以降の全ての世代について、学習用画像の削減処理を実行することができる。また、一定の世代数ごとに、削減処理を実行することもできる。
すなわち、学習用画像削減部22aは、評価結果記憶部20aに記憶されている各学習用画像の評価値にもとづいて、画像処理部17aにより画像処画される学習用画像を削減する。
また、学習用画像削減部22aは、学習用画像の削減処理を実行しないと判定すると(ステップ44のNO)、学習用画像の削減処理を実行せずに、ステップ46を実行する。
そして、遺伝子操作部21aは、ランダムに選択された親個体情報に対して交叉処理や突然変異処理を実行して、複数の子個体情報を生成し、これら子個体情報からなる子個体群を子個体群記憶部122aに記憶させる。
このとき、画像処理部17aは、出力情報としての画像などを作成して、子個体情報ごと且つ画像ごとに出力情報記憶部18aに記憶させることができる。またこのとき、画像処理部17aは、学習用画像と検証用画像において検出対象が存在する場合、検出対象が存在する領域を示す情報を付加した画像を作成して、出力情報記憶部18aに記憶させることができる。
そして、子個体群記憶部122aにおける全ての子個体情報について、画像処理から評価値の計算及び記憶までの処理を繰り返し実行する。
そして、世代ループを繰り返すことで、個体群記憶部12aにおいて、新たな世代の親個体群の個体情報を順次追加することができる。
また、このような進化の多様性をより保った状態において、生成される画像処理アルゴリズムの性能を維持し、学習時間を短縮することが可能となっている。
また、プログラムを格納する記録媒体は、例えば半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、その他任意のコンピュータで読取り可能な任意の記録手段により構成できる。
また、学習が進むにつれて画像に対する評価値が変化するため、学習に使用される画像が固定されず、評価値は進化的計算により生成された画像処理アルゴリズムの特徴を表すことから、生成される画像処理アルゴリズムの性能向上を期待することも可能である。
実施例として、本発明の第二実施形態に係る画像処理システムに対応する画像処理装置を使用した。
また、参考例として、実施例の画像処理装置の一部を変更したものを使用した。具体的には、参考例1では学習用画像削減部により、世代ループに先立って、学習用画像を一定の割合でランダムに選択するように変更し、参考例2では学習用画像削減部による処理を実行せず、学習用画像の削減率0%とした。
256pixel×256pixel,8bit,輝度0の画像(真っ黒の画像)を準備し、この画像に対して直径22~24,幅3~5,輝度71~149の円を10個描画した。そして、得られた画像の各ピクセルに輝度0~20をランダムに決定して足し合わせ、背景画像とした。
背景画像の任意の位置を、64pixel×64pixel,8bitの画像にコピーして、600枚の背景画像のコピー画像を作成した。
実施例及び参考例で使用した学習用画像及び検証用画像における背景画像を図10Aに、及びその背景画像の任意の位置のコピー画像を図10Bに示す。
手順2で作成した画像No.1~200のコピー画像をサンプル画像1とした。また、各画像に対応する教師画像を作成した。サンプル画像1には検出対象が描かれていないため、各教師画像は真っ黒となる。
実施例及び参考例で使用した学習用画像又は検証用画像としてのサンプル画像1を図11Aに示す。
手順2で作成した画像No.201~400のコピー画像に検出対象を描画して、サンプル画像2とした。このとき、各画像の任意の位置に、太さ:2~4pixel,枠線:0~2pixel,輝度:125~275,長さ32~64pixelの直線を1本描き、これを検出対象とした。また、各画像に対応する教師画像を、検出対象に対応する箇所を白く塗り潰すことにより作成した。
実施例及び参考例で使用した学習用画像又は検証用画像としてのサンプル画像2を図11Bに示す。
手順2で作成した画像No.401~600のコピー画像に非検出対象を描画して、サンプル画像3とした。このとき、各画像の任意の位置に、直径:8~16,輝度:155~205の円を描画して、これを非検出対象とした。サンプル画像3には検出対象が描かれていない(非検出対象物を描画した)ため、各教師画像は真っ黒となる。
実施例及び参考例で使用した学習用画像又は検証用画像としてのサンプル画像3を図11Cに示す。
そして、これらの親個体情報に対して遺伝子操作を実行し、62個の子個体情報を生成した(親と同一:2個、一様交叉:20個、突然変異個体:30個体情報、パラメータ変異10個)。
また、参考例1でも5種類の削減率(20%、60%、80%、90%、95%)を設定して、世代ループの実行に先立ってランダムに学習用画像の削減を行い、学習画像の削減以外については実施例と同様にして、それぞれにつき試験を行った。
また、参考例2は、削減率を0%として、学習用画像の削減を行うことなく、学習画像の削減以外については実施例と同様にして試験を行った。
このとき、判別分析法により評価値にもとづき学習用画像を2クラスに分け、学習用画像が設定した削減率になり、かつ各クラスから選択される学習用画像が同数になるように選択した。
一方のクラスに画像がない場合には、評価値の順位に対して均等に選択を行い、一方のクラスの画像が少なく同数を選択すると設定した削減率を満たさない場合は、特に操作せずにそのまま学習を行った。
なお、検証用画像を用いた画像処理の実行、評価値の計算は、学習用画像を用いた学習が終了したタイミングで、評価値が一番良い個体情報を用いて行った。
その結果を、図14A、図14B、及び図15に示す。図14Aは、実施例(削減率20%、60%、80%、90%、95%)と参考例2(削減率0%)による学習時間、学習結果(評価値)、及び検証結果(評価値)を表すグラフを示す図であり、図14Bは、参考例1(削減率20%、60%、80%、90%、95%)及び参考例2(削減率0%)による学習時間、学習結果(評価値)、及び検証結果(評価値)を表すグラフを示す図である。また、図15は、実施例と参考例による学習結果(評価値)と検証結果(評価値)を比較したグラフを示す図である。
また、実施例と参考例1を比較すると、学習用画像の選択率が同一のものについては、概ね同程度の学習時間となっている。
これに対して、参考例1では、学習結果において削減率60%で参考例2と同等の性能が得られているが、検証結果では削減率が20%になっても、参考例2と同等の性能が得られていない。
このことから、削減する学習用画像を実施例のように評価値を用いて選択するのではなく、参考例1のようにランダムに選択すると、画像処理アルゴリズムの性能を維持して時間を短縮することが、難しいことが示唆された。
さらに、性能のより良い画像処理アルゴリズムを、約63%短縮された学習時間で得ることができた。
このように、学習用画像の評価値にもとづいて、各世代の画像処理において使用する学習用画像を選択することによって、画像処理アルゴリズムの性能を維持又は改善した状態で、学習時間を大幅に低減できることが分かった。
例えば、画像処理装置における各構成を複数の情報処理装置に分散して持たせたり、ノードとして実施例で用いたもの以外のものを含めて使用したりすることができる。
また、評価値を用いて削減する画像を選択する方法として、均等に削減する方法や、シグモイド関数を用いて削減する確率を変化させる方法など適宜変更することが可能である。
10,10a 機能単位記憶部
11,11a 個体生成部
12,12a 個体群記憶部
121a 親個体群記憶部
122a 子個体群記憶部
13,13a 画像入力部
14,14a 画像記憶部
15,15a 教師情報入力部
16,16a 教師情報記憶部
17,17a 画像判定部
18,18a 出力情報記憶部
19,19a 評価値計算部
20,20a 評価結果記憶部
21,21a 遺伝子操作部
22,22a 学習用画像削減部
Claims (10)
- 生物の進化を数学的に模擬した最適化手法である遺伝的操作を用いて、画像処理を最適化する画像処理システムであって、
直線構造、木構造、又はネットワーク状に複数の機能単位の実行順序を定義する複数の個体情報を記憶する個体群記憶部と、
複数の学習用画像を記憶する画像記憶部と、
前記個体情報にもとづいて前記学習用画像を処理し、前記学習用画像に対応する出力情報を生成する画像処理部と、
前記出力情報を評価するための前記学習用画像に対応する教師情報を記憶する教師情報記憶部と、
前記出力情報と前記教師情報を比較して、前記個体情報ごと及び前記学習用画像ごとに評価値を計算し、前記個体情報ごとの評価値にもとづき前記個体情報を順位付けする評価値計算部と、
前記個体情報の順位付け情報にもとづき前記個体情報の選択又は変更を行って、前記個体群記憶部を更新する遺伝子操作部と、
前記学習用画像ごとの評価値にもとづいて、前記画像処理部により処理される学習用画像を削減する学習用画像削減部と、を備えた
ことを特徴とする画像処理システム。 - 前記遺伝子操作部が、前記個体群記憶部を更新することにより、新たな世代の複数の個体情報を作成し、
前記画像処理部が、前記遺伝子操作部により新たな世代の個体情報が作成されると、当該新たな世代の個体情報を前記個体情報として使用し、
学習用画像削減部が、設定された世代後、又は設定された世代ごとに、前記学習用画像ごとの評価値にもとづいて、前記画像記憶部に記憶されている前記学習用画像から一部の画像を選択し、
前記画像処理部が、選択された前記一部の画像を前記学習用画像として使用する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理システム。 - 前記学習用画像削減部が、設定された世代後、又は設定された世代ごとに、前記学習用画像の評価値にもとづいて、前記学習用画像をクラスタリングし、各クラスから一部の学習用画像を選択することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理システム。
- 前記学習用画像削減部が、判別分析法、階層的クラスタ分析、又は非階層クラスタ分析を用いて、前記学習用画像を分類することを特徴とする請求項3記載の画像処理システム。
- 前記学習用画像削減部が、設定された世代後、又は設定された世代ごとに、前記学習用画像の評価値の順位又は相関係数にもとづいて、一部の学習用画像を選択することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理システム。
- 前記画像記憶部が、前記学習用画像と共に、複数の検証用画像を記憶し、
教師情報記憶部が、前記出力情報を評価するための前記検証用画像に対応する教師情報を記憶し、
前記画像処理部が、所定のタイミングで、特定の個体情報にもとづいて前記検証用画像を処理し、前記検証用画像に対応する出力情報を生成し、
前記評価値計算部が、前記検証用画像に対応する前記出力情報と前記教師情報を比較して、前記特定の個体情報ごと及び前記検証用画像ごとに評価値を計算する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の画像処理システム。 - 検査用の画像を記憶する検査用画像記憶部と、
最も評価値の高い個体情報にもとづき前記画像処理部によって前記検査用の画像を処理して得られた処理結果情報を記憶する処理結果記憶部と、をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の画像処理システム。 - 生物の進化を数学的に模擬した最適化手法である遺伝的操作を用いて、画像処理を最適化する画像処理プログラムであって、
コンピュータを、
直線構造、木構造、又はネットワーク状に複数の機能単位の実行順序を定義する複数の個体情報を記憶する個体群記憶部、
複数の学習用画像を記憶する画像記憶部、
前記個体情報にもとづいて前記学習用画像を処理し、前記学習用画像に対応する出力情報を生成する画像処理部、
前記出力情報を評価するための前記学習用画像に対応する教師情報を記憶する教師情報記憶部、
前記出力情報と前記教師情報を比較して、前記個体情報ごと及び前記学習用画像ごとに評価値を計算し、前記個体情報ごとの評価値にもとづき前記個体情報を順位付けする評価値計算部、
前記個体情報の順位付け情報にもとづき前記個体情報の選択又は変更を行って、前記個体群記憶部を更新する遺伝子操作部、及び、
前記学習用画像ごとの評価値にもとづいて、前記画像処理部により処理される学習用画像を削減する学習用画像削減部として機能させる
ことを特徴とする画像処理プログラム。 - 前記遺伝子操作部に、前記個体群記憶部を更新することにより、新たな世代の複数の個体情報を作成させ、
前記画像処理部に、前記遺伝子操作部により新たな世代の個体情報が作成されると、当該新たな世代の個体情報を前記個体情報として使用させ、
学習用画像削減部に、設定された世代後、又は設定された世代ごとに、前記学習用画像ごとの評価値にもとづいて、前記画像記憶部に記憶されている前記学習用画像から一部の画像を選択させ、
前記画像処理部に、選択された前記一部の画像を前記学習用画像として使用させる
ことを特徴とする請求項8記載の画像処理プログラム。 - 前記学習用画像削減部に、設定された世代後、又は設定された世代ごとに、前記学習用画像の評価値にもとづいて、前記学習用画像をクラスタリングさせ、各クラスから一部の学習用画像を選択させる
ことを特徴とする請求項8又は9記載の画像処理プログラム。
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長門 毅,肥塚 哲男,研究開発最前線,FUJITSU,日本,富士通株式会社,2015年09月01日,第66巻,第5号,第27-33頁 |
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