JP7466801B1 - 制御装置、工作機械システム、および加工方法 - Google Patents

制御装置、工作機械システム、および加工方法 Download PDF

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Abstract

制御装置(3)は、送り駆動系および主軸駆動系(11)のうちの少なくとも1つである駆動系の発熱に起因する駆動系の変形量である第1の変形量を、駆動系の状態量を表す運転情報と駆動系の温度を示す温度情報との少なくとも一方を第1の変形量推定モデルへ入力することによって算出する第1の変形量推定部(21)と、工作機械(2)の運動学的な構成情報を用いて、第1の変形量を、工具とワークとの間の相対的な変位量である熱変位量に変換する熱変位量算出部(23)と、送り駆動系へ指令される位置を熱変位量に基づいて補正させる補正指令を生成する補正指令生成部(25)と、を備える。

Description

本開示は、工作機械を制御する制御装置、工作機械システム、および加工方法に関する。
工作機械の構造または工作機械の構成要素が熱により変形することで、ワークに対する工具の位置またはワークに対する工具の姿勢が変化することは、工作機械の熱変位と称される。工作機械の熱変位には、工作機械の駆動に起因する熱変位と、工作機械の外部要因に起因する熱変位とが含まれる。工作機械の熱変位は加工誤差の要因となり得ることから、従来、工作機械の熱変位を補正する種々の技術が提案されている。
特許文献1には、工作機械の外部の熱源に起因する熱変位量である環境温度系熱変位量と工作機械に備わる熱源に起因する熱変位量である駆動系熱変位量とを計算し、環境温度系熱変位量を補償する補正量と駆動系熱変位量を補償する補正量とを足し合わせた合計補正量に基づいて、熱変位を補正するための制御を実行する工作機械が開示されている。特許文献1に記載の工作機械は、環境温度系熱変位量に補正倍率を乗算することによって、環境温度系熱変位量を補償する補正量を求める。特許文献1に記載の工作機械では、環境温度系熱変位量に乗算される補正倍率の調整が可能とされている。
国際公開第2016/067874号
工作機械の駆動系が熱により変形した場合において、駆動系の変形が工作機械の熱変位に及ぼす影響は、工作機械に備わる機構、あるいは、駆動系の位置または角度によって異なる。特許文献1に記載されるような従来の技術によると、駆動系の発熱に起因する変形については、当該駆動系の駆動方向の熱変位量のみが算出される。このため、従来の技術では、工具とワークとの相対的な位置または姿勢によらずに一定の熱変位量が算出されるという課題があった。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、熱変位を高精度に補正可能とする制御装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる制御装置は、工具とワークとを互いに相対的に動作させる1または複数の送り駆動系と、工具またはワークを回転させる主軸駆動系とを備える工作機械を制御する制御装置である。本開示にかかる制御装置は、送り駆動系および主軸駆動系のうちの少なくとも1つである駆動系の発熱に起因する駆動系の変形量である第1の変形量を、駆動系の状態量を表す運転情報と駆動系の温度を示す温度情報との少なくとも一方を第1の変形量推定モデルへ入力することによって算出する第1の変形量推定部と、工作機械の運動学的な構成情報を用いて、第1の変形量を、工具とワークとの間の相対的な変位量である熱変位量に変換する熱変位量算出部と、送り駆動系へ指令される位置を熱変位量に基づいて補正させる補正指令を生成する補正指令生成部と、を備える。熱変位量算出部は、駆動系の位置と、工作機械のうち駆動系を位置決めさせる別の送り駆動系の幾何誤差とに応じて、第1の変形量を熱変位量に変換する。工作機械の運動学的な構成情報は、工作機械における工具に固定された座標系である工具座標系から工作機械におけるワークに固定された座標系であるワーク座標系への座標変換を表す。別の送り駆動系の幾何誤差は、別の送り駆動系の位置と別の送り駆動系の温度とに依存する誤差である。
本開示にかかる制御装置は、熱変位を高精度に補正できる、という効果を奏する。
実施の形態1にかかる工作機械システムの構成例を示すブロック図 実施の形態1にかかる工作機械の外観を模式的に示す図 実施の形態1における第1の変形量推定モデルの構成例を示す図 実施の形態1における工作機械の運動学的な構成情報について説明するための図 実施の形態1の変形例1にかかる工作機械の外観を模式的に示す図 実施の形態1の変形例1にかかる工作機械の運動学的な構成情報について説明するための図 実施の形態1の変形例2にかかる工作機械の外観を模式的に示す図 実施の形態1の変形例2にかかる工作機械の運動学的な構成情報について説明するための図 実施の形態1にかかる工作機械システムの動作手順の例を示すフローチャート 実施の形態1の変形例にかかる工作機械システムの構成例を示すブロック図 実施の形態1にかかる制御回路の構成例を示す図 実施の形態1にかかる専用のハードウェア回路の構成例を示す図
以下に、実施の形態にかかる制御装置、工作機械システム、および加工方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
実施の形態1の具体的な説明に先立ち、実施の形態1の説明に使用される用語について説明する。実施の形態1において、工作機械システムは、工作機械と、工作機械を制御する制御装置とを備えるシステムである。
工作機械の駆動系は、主軸駆動系と送り駆動系とに分類される。送り駆動系は、直線送り駆動系と回転送り駆動系とに分類される。直線送り駆動系は、被駆動体に直線運動を与え、直線方向において被駆動体を位置決めする。回転送り駆動系は、被駆動体に回転運動を与え、回転方向において被駆動体を位置決めする。
工作機械の構成要素のうち駆動系以外の構成要素を、構造部材と称する。構造部材の例は、ベッド、コラム、サドル、およびテーブルなどである。工作機械に備わる駆動系の構成要素には、モータ、エンコーダ、ボールねじ、およびシャフトなどが含まれる。上記の被駆動体とは、駆動系によって駆動される別の駆動系、または、上記の構造部材である。以下の説明では、駆動系の構成要素を、機械要素とも称する。
実施の形態1において、工作機械には、1つ以上の温度センサが設置される。温度センサは、構造部材の温度を検出する。工作機械には、駆動系の温度を検出する温度センサが設置されても良い。
工作機械に備わる駆動系の各々は、制御装置に接続されている。制御装置は、各駆動系を制御するための指令をNC(Numerical Control)プログラムである加工プログラムに従って生成し、各駆動系へ指令を送る。各駆動系は、指令に従って被駆動体を駆動する。
実施の形態1では、構造部材の形状または駆動系の形状が熱の影響により変形することを熱変形と称する。構造部材の形状における基準点が熱変形によって移動した量、または、駆動系の形状における基準点が熱変形によって移動した量を、熱変形量と称する。実施の形態1では、構造部材の熱変形量は、当該構造部材に固定された座標系により当該構造部材の基準点の変位を表したものとする。駆動系の熱変形量は、当該駆動系に固定された座標系により当該駆動系の基準点の変位を表したものとする。
実施の形態1では、構造部材の熱変形または駆動系の熱変形によって、ワークに対する工具の相対的な位置またはワークに対する工具の相対的な姿勢が変化することを、工具およびワークの間の熱変位と称する。また、工具およびワークの間の熱変位の量を、熱変位量と称する。熱変位量は、ワークに固定された座標系における工具の熱変位を表すものとする。
次に、実施の形態1にかかる工作機械システムについて説明する。図1は、実施の形態1にかかる工作機械システム1の構成例を示すブロック図である。工作機械システム1は、工作機械2と、数値制御装置である制御装置3とを備える。制御装置3は、工作機械2を制御する。工作機械2と制御装置3とは、互いに通信可能に接続されている。
図2は、実施の形態1にかかる工作機械2の外観を模式的に示す図である。工作機械2は、送り軸である複数の軸を駆動することによって工具35とワーク36とを相対的に移動させながらワーク36を加工する。
図2に示す工作機械2は、いわゆる立形のマシニングセンタである。工作機械2は、工作機械2のベースであるベッド30と、ベッド30上に配置されているコラム31と、ワーク36が固定されるテーブル32と、コラム31に支持されているヘッド33と、ヘッド33に取り付けられている主軸34とを備える。工具35は、主軸34に取り付けられる。ベッド30、コラム31、テーブル32、およびヘッド33の各々は、構造部材である。
図1に示すように、工作機械2は、複数の温度センサ10と、主軸駆動系11と、X軸駆動系12と、Y軸駆動系13と、Z軸駆動系14とを備える。複数の温度センサ10の各々は、構造部材または駆動系の温度を検知する。各温度センサ10は、温度の検知結果を制御装置3へ出力する。
主軸駆動系11は、主軸34を備える。主軸駆動系11は、主軸34に取り付けられた工具35を回転させる。工具35は、主軸駆動系11に備わるモータの駆動力により回転する。X軸駆動系12、Y軸駆動系13、およびZ軸駆動系14の各々は、直線送り駆動系である。工作機械2は、3軸の直線送り駆動系を備える。なお、図1では、工作機械2のうち温度センサ10および各駆動系以外の構成の図示を省略する。
X軸駆動系12は、ボールねじと、ボールねじを回転させるモータと、ボールねじの回転運動をX軸方向の直線運動へ変換する機構とを備える。X軸駆動系12は、X軸方向へテーブル32を移動させる。Y軸駆動系13は、ボールねじと、ボールねじを回転させるモータと、ボールねじの回転運動をY軸方向の直線運動へ変換する機構とを備える。Y軸駆動系13は、Y軸方向へテーブル32を移動させる。Z軸駆動系14は、ボールねじと、ボールねじを回転させるモータと、ボールねじの回転運動をZ軸方向の直線運動へ変換する機構とを備える。Z軸駆動系14は、Z軸方向へヘッド33を移動させる。
このように、工作機械2は、工具35とワーク36とを互いに相対的に移動させる3つの送り駆動系と、工具35を回転させる主軸駆動系11とを備える。図2において、「X」と付した両矢印は、X軸駆動系12の駆動方向を表す。「Y」と付した両矢印は、Y軸駆動系13の駆動方向を表す。「Z」と付した両矢印は、Z軸駆動系14の駆動方向を表す。なお、各駆動系の詳細については図示を省略する。
制御装置3は、変形量推定モデル記憶部20と、第1の変形量推定部21と、第2の変形量推定部22と、熱変位量算出部23と、構成情報記憶部24と、補正指令生成部25と、制御部26とを備える。
変形量推定モデル記憶部20は、第1の変形量推定モデルと第2の変形量推定モデルとを記憶する。第1の変形量推定モデルと第2の変形量推定モデルとの各々は、入力された情報から熱変形量を推定するための変形量推定モデルである。変形量推定モデルは、入力された情報に基づいて熱変形量を算出する過程を数学的に記述したものである。制御装置3は、変形量推定モデル記憶部20において第1の変形量推定モデルと第2の変形量推定モデルとを保持する。
第1の変形量推定モデルは、送り駆動系および主軸駆動系のうちの少なくとも1つである駆動系の発熱に起因する駆動系の変形量である熱変形量を推定するための変形量推定モデルである。以下の説明では、駆動系の発熱に起因する駆動系の変形量である熱変形量を、第1の変形量と称する。
第2の変形量推定モデルは、工作機械2が設置されている環境の温度変化に起因する構造部材の変形量である熱変形量を推定するための変形量推定モデルである。以下の説明では、工作機械2が設置されている環境の温度変化に起因する構造部材の変形量である熱変形量を、第2の変形量と称する。
第1の変形量推定部21は、変形量推定モデル記憶部20から第1の変形量推定モデルを読み出す。第1の変形量推定部21は、駆動系の状態量を表す運転情報と駆動系の温度を示す温度情報との少なくとも一方を第1の変形量推定モデルへ入力することによって、第1の変形量を算出する。第1の変形量推定部21は、第1の変形量の算出結果を熱変位量算出部23へ出力する。駆動系の温度を示す温度情報は、駆動系の温度を検出する温度センサ10から制御装置3へ入力される情報である。以下の説明では、駆動系の温度を示す温度情報を、駆動系の温度情報と称する。なお、運転情報の詳細については後述する。
第2の変形量推定部22は、変形量推定モデル記憶部20から第2の変形量推定モデルを読み出す。第2の変形量推定部22は、構造部材の温度を示す温度情報を第2の変形量推定モデルへ入力することによって、第2の変形量を算出する。第2の変形量推定部22は、第2の変形量の算出結果を熱変位量算出部23へ出力する。構造部材の温度を示す温度情報は、構造部材の温度を検出する温度センサ10から制御装置3へ入力される情報である。
構成情報記憶部24は、工作機械2の運動学的な構成情報(kinematic configuration)を記憶する。工作機械2の運動学的な構成情報の詳細については、後述する。以下の説明では、工作機械2の運動学的な構成情報を、単に構成情報とも称する。熱変位量算出部23は、構成情報記憶部24から構成情報を読み出す。
熱変位量算出部23は、工作機械2の運動学的な構成情報を用いて、第1の変形量を、工具35とワーク36との間の相対的な変位量である熱変位量に変換する。また、熱変位量算出部23は、第1の変形量から変換された熱変位量に第2の変形量を合成する。これにより、熱変位量算出部23は、第2の変形量が合成された熱変位量を算出する。熱変位量算出部23は、算出された熱変位量を補正指令生成部25へ出力する。
補正指令生成部25は、送り駆動系へ指令される位置である指令位置を、熱変位量算出部23により算出された熱変位量に基づいて補正させる補正指令を生成する。すなわち、補正指令生成部25は、第2の変形量が合成された熱変位量に基づいて指令位置を補正させる補正指令を生成する。補正指令生成部25は、生成された補正指令を制御部26へ出力する。
制御部26は、加工プログラムに従って工作機械2の各駆動系に対する指令を生成する。制御部26は、各駆動系へ指令を送ることによって、各駆動系を制御する。制御部26は、各駆動系の指令位置を、補正指令に基づいて補正する。制御部26は、例えば、熱変位量に相当する長さを指令位置の座標から差し引く補正を、補正指令に基づいて行う。制御部26は、指令位置が補正された指令を各駆動系へ出力する。
第1の変形量推定モデルは、駆動系の運転情報と駆動系の温度情報との少なくとも一方を入力とし、駆動系の熱変形量である第1の変形量を出力とした場合における、入力と出力との関係を表す。ここでは、第1の変形量推定モデルへの入力は、駆動系の運転情報および駆動系の温度情報とする。
ここで、第1の変形量推定モデルへ入力される運転情報について説明する。運転情報は、例えば、駆動系のサーボ制御に使用される値であって、位置、速度、または電流などの状態量を示す。この場合、運転情報は、制御装置3から各駆動系へ出力される指令値、または、各駆動系の状態を示す位置、速度、または電流などの値である。運転情報は、モーダル情報であっても良い。モーダル情報は、加工プログラムに記述されている運転モード情報である。運転情報は、制御装置3で指令値を算出する過程において求まる値でも良い。または、運転情報は、駆動系のサーボ制御のための構成とは別に設置されたセンサによって得られる状態量の値でも良い。第1の変形量推定モデルには、上記する複数種類の運転情報のうちの2つ以上が入力されても良い。
次に、第1の変形量推定モデルの例について説明する。第1の変形量推定モデルの例の1つは、機械学習の手法に基づくモデルである。以下に、第1の変形量推定モデルが、機械学習の手法に基づくモデルであるニューラルネットワークであるケースについて説明する。ニューラルネットワークである第1の変形量推定モデルは、教師あり学習によって、運転情報および温度情報と第1の変形量との関係を学習した結果である。教師あり学習とは、入力および結果の組を学習装置に与えることで、学習用データの特徴を学習し、入力から結果を推論する手法である。学習用データは、入力と、入力に対応する結果を表すラベルとを含む。運転情報および温度情報は、入力に相当する。第1の変形量は、教師データであって、ラベルに相当する。
図3は、実施の形態1における第1の変形量推定モデルの構成例を示す図である。図3には、ニューラルネットワークの構成例を示す。ニューラルネットワークは、複数のニューロンからなる入力層と、複数のニューロンからなる中間層である隠れ層と、複数のニューロンからなる出力層とで構成される。
図3に示す例では、出力層は、3個のニューロンからなる。出力層は、3個のニューロンにより、X軸方向の熱変位量と、Y軸方向の熱変位量と、Z軸方向の熱変位量とを出力する。なお、入力層のニューロンの数は、入力データとして選定された情報である運転情報または温度情報の数により定まる。中間層のニューロンの数は、任意であるものとする。
入力層には、駆動系の運転情報と駆動系の温度情報とのうち少なくとも一方の情報が時系列データとして入力される。すなわち、入力層に入力される情報である運転情報または温度情報は、特定の時刻を起点として所定の期間だけ遡った時刻までの情報である。例えば、入力層へ入力される情報が温度情報であって、時刻tにおける温度がT(t)と表される場合、入力層には、「T(t-NΔt),・・・,T(t-Δt),T(t)」の組からなる温度情報が入力される。T(t-NΔt),・・・,T(t-Δt),T(t)は、(N+1)個のニューロンにそれぞれ入力される。ここで、Δtは、サンプリング周期を表す。Nは、所定の期間だけ遡って情報を参照するための定数を表す。
入力層へ入力された複数の値の各々は、入力層のニューロンごとに重みが乗算されて、中間層へ入力される。中間層へ入力された複数の値の各々は、中間層のニューロンごとに重みが乗算されて、出力層へ入力される。出力層へ入力された複数の値の各々は、出力層のニューロンごとに重みが乗算される。出力層からは、第1の変形量である、時刻tにおけるX軸方向の熱変位量とY軸方向の熱変位量とZ軸方向の熱変位量とが出力される。ニューラルネットワークは、入力に対する出力がラベルに近づくように重みを調整することによって生成される。
第1の変形量推定モデルは、上記するようなニューラルネットワークに限られない。第1の変形量推定モデルは、例えば、再帰構造を含むリカレントニューラルネットワークでも良い。リカレントニューラルネットワークは、ネットワークの内部に時系列処理が含まれることで、入力情報と出力情報との時系列な対応関係を表現することができる。
第1の変形量推定モデルは、機械学習以外の手法に基づくモデルであっても良い。第1の変形量推定モデルは、時系列の運転情報を入力とし、各時刻の変形量を算出する回帰モデルであっても良い。回帰モデルである第1の変形量推定モデルの1つの例は、次の式(1)で表される。
Figure 0007466801000001
式(1)において、ddrv,xはX軸方向における駆動系の熱変形量、tは時刻、a,b,cの各々は係数、Ωは主軸34の回転速度、N1,N2,N3の各々は次数、NTは温度センサ10の個数、Tは駆動系の温度情報、および、Δtはサンプリング周期を表す。
式(1)は、ある時刻から1つのサンプリング周期が経過したときにおける熱変形量が、現在時刻以前における熱変形量と、現在時刻以前における主軸34の回転速度と、現在時刻以前における温度とに依存することを表す。式(1)により表される回帰モデルには、入力情報の時間遅れ項が含まれる。式(1)において、「-kΔt」は時間遅れを表す。式(1)の右辺の各項は、「-kΔt」を含む時間遅れ項である。式(1)は、時系列信号を入力とする計算式でもある。第1の変形量推定モデルが式(1)で表される回帰モデルである場合、運転情報である回転速度と駆動系の温度情報とが第1の変形量推定モデルへ入力され、第1の変形量推定モデルから熱変形量が出力される。
なお、式(1)の右辺の各項は、状態量の線形和を表している。式(1)の右辺の各項には、状態量の2乗以上の項が追加されても良い。式(1)は、駆動系のX軸方向における熱変形量の算出式を表す。駆動系のY軸方向における熱変形量、および、駆動系のZ軸方向における熱変形量も、駆動系のX軸方向における熱変形量の場合と同様の計算によって算出することができる。
上記のモデル以外の例として、第1の変形量推定モデルは、駆動系の軸方向のみの熱変形量を算出する場合には、駆動系を構成する複数の機械要素の各々の変形量の和を求めるモデルであっても良い。この場合、第1の変形量推定モデルは、シャフト、ベアリング、およびボールねじといった、機械要素の各々の温度情報を入力とし、各機械要素の和を求めることによって、軸方向の熱変形量を算出する。この場合、Z軸駆動系14の第1の変形量推定モデルは、次の式(2)で表される。
Figure 0007466801000002
式(2)において、dzはZ軸方向の熱変形量、tは時刻、iは駆動系の機械要素を表す番号、αは機械要素の熱膨張係数、Lは駆動系の軸方向長さ、およびΔTは機械要素の温度変化を表す。式(2)は、時系列信号を入力とする計算式である。式(2)は、Z軸駆動系14のZ軸方向における熱変形量の算出式を表す。X軸駆動系12のX軸方向における熱変形量、および、Y軸駆動系13のY軸方向における熱変形量も、Z軸駆動系14のZ軸方向における熱変形量の場合と同様の計算によって算出することができる。
ここまで、第1の変形量推定モデルのいくつかの具体例を説明したが、第1の変形量推定モデルは、上記のものに限られない。また、各駆動系の熱的な特性、または各駆動系の仕様に応じて、駆動系ごとに異なる第1の変形量推定モデルが適用されることとしても良い。第1の変形量推定モデルには、駆動系の運転情報および駆動系の温度情報のうちの一方が入力されるものとしても良い。
第2の変形量推定モデルは、構造部材の温度情報を入力とし、構造部材の熱変形量である第2の変形量を出力とした場合における、入力と出力との関係を表す。第2の変形量推定モデルには、第1の変形量推定モデルと同様に、ニューラルネットワークを適用できる。または、第2の変形量推定モデルは、時系列の温度情報を入力とし、各時刻の変形量を算出する回帰モデルであっても良い。回帰モデルである第2の変形量推定モデルの1つの例は、次の式(3)で表される。
Figure 0007466801000003
式(3)において、dstr,xはX軸方向における構造部材の熱変形量、tは時刻、a,cの各々は係数、NTは温度センサ10の個数、Tは構造部材の温度情報、および、Δtはサンプリング周期を表す。式(3)の右辺の各項は、「-kΔt」を含む時間遅れ項である。式(3)は、ある時刻から1つのサンプリング周期が経過したときにおける熱変形量が、現在時刻以前における熱変形量と、現在時刻以前における温度とに依存することを表す。式(3)により表される回帰モデルには、入力情報の時間遅れ項が含まれる。式(3)は、時系列信号を入力とする計算式でもある。第2の変形量推定モデルが式(3)で表される回帰モデルである場合、構造部材の温度情報が第2の変形量推定モデルへ入力され、第2の変形量推定モデルから熱変形量が出力される。
なお、第2の変形量推定モデルは、有限要素法を用いたモデルでも良い。有限要素法を用いたモデルでは、構造部材は複数の微小要素に分割され、複数の微小要素の各々に対して予め回帰モデルが設定される。この場合、温度センサ10で検出した温度情報が第2の変形量推定モデルへ入力されることによって、構造部材に含まれる微小要素の熱変形量の合計が最終的な熱変形量として第2の変形量推定モデルから出力される。
上記するように、実施の形態1では、第1の変形量推定モデルと第2の変形量推定モデルとの少なくとも一方は、ニューラルネットワークモデルであっても良い。また、実施の形態1では、第1の変形量推定モデルと第2の変形量推定モデルとの少なくとも一方は、時系列信号を入力とする計算式、または、入力情報の時間遅れ項が含まれる回帰モデルであっても良い。
次に、熱変位量算出部23における処理の詳細について説明する。熱変位量算出部23は、工作機械2の運動学的な構成情報を用いて、第1の変形量を、工具35とワーク36との間の相対的な変位量である熱変位量に変換する。
図4は、実施の形態1における工作機械2の運動学的な構成情報について説明するための図である。実施の形態1において、工作機械2の運動学的な構成情報とは、工作機械2において工作機械2の構造に対して各駆動系が連結された構成を運動学的に表現した情報である。図4において、「Machine tool bed」は、ベッド30を表す。「X axis」は、X軸駆動系12を表す。「Y axis」は、Y軸駆動系13を表す。「Z axis」は、Z軸駆動系14を表す。「Spindle」は、主軸駆動系11を表す。「Tool」は、主軸34に取り付けられている工具35を表す。「Workpiece」は、テーブル32に固定されているワーク36を表す。なお、図4では、テーブル32は省略されている。
図4には、構造部材であるベッド30と、駆動系である主軸駆動系11、X軸駆動系12、Y軸駆動系13、およびZ軸駆動系14との連結の態様を模式的に表している。図4は、工具35とワーク36との間における運動学的な連結関係を表現したものともいえる。図4には、主軸駆動系11がZ軸駆動系14によって位置決めされること、ワーク36がX軸駆動系12によって位置決めされること、および、X軸駆動系12がY軸駆動系13によって位置決めされることが示されている。
互いに連結されている構成要素同士について、一方の構成要素に固定された座標系の位置から他方の構成要素に固定された座標系の位置への変換は、同次変換行列により表すことができる。図4に示す構成において、ワーク座標系における工具35の先端位置は、次の式(4)により表される。
Figure 0007466801000004
式(4)は、工具座標系からワーク座標系への座標変換を表す。工具座標系とは、工具35に固定された座標系である。ワーク座標系とは、ワーク36に固定された座標系である。式(4)における座標変換の順序が、図4で示される工作機械2の運動学的な構成情報に対応している。熱変位量算出部23は、式(4)を用いた座標変換によって、第1の変形量を、工具35およびワーク36の間の熱変位量へ変換する。
式(4)において、太字の「P」の左上に添え字「T」が付された記号である「TP」は、工具座標系における工具35の先端位置を表す。太字の「P」の左上に添え字「W」が付された記号である「WP」は、ワーク座標系における工具35の先端位置を表す。
ここで、説明のため便宜上、式(4)における太字の「T」の左下の添え字を「m」、および、式(4)における太字の「T」の左上の添え字を「n」と表す。「m」および「n」の各々は、工作機械2の構成要素を表す。太字の「T」に「m」および「n」が付された記号である「m nT」は、DH行列(Denavit-Hartenberg matrix)であって、「m」で表される1つの構成要素から、「n」で表される他の構成要素に固定された座標系への座標変換を表す。ただし、太字の「T」の右上に添え字「-1」が付されている場合は、当該記号は、「n」で表される1つの構成要素から、「m」で表される他の構成要素に固定された座標系への座標変換を表す。式(4)において、「m」または「n」である、「M」、「S」、「T」、「W」、「X」、「Y」、および「Z」は、それぞれ、ベッド30、主軸駆動系11、工具35、ワーク36、X軸駆動系12、Y軸駆動系13、およびZ軸駆動系14を表す。
以下の説明では、各駆動系において生じた第1の変形量の、ワーク座標系での表現を考える。説明を簡易にするため、各座標系の原点は一致しているものとする。この仮定により、「W XT」および「T ST」の各々は、単位行列となる。「W XT」は、ワーク36から、X軸駆動系12に固定された座標系への座標変換を表すDH行列である。「T ST」は、工具35から、主軸駆動系11に固定された座標系への座標変換を表すDH行列である。さらに、「X YT」、「Y MT」、「Z MT」、および「S ZT」は、それぞれ次の式(5)、式(6)、式(7)、および式(8)により表される。「X YT」は、X軸駆動系12から、Y軸駆動系13に固定された座標系への座標変換を表すDH行列である。「Y MT」は、Y軸駆動系13から、ベッド30に固定された座標系への座標変換を表すDH行列である。「Z MT」は、Z軸駆動系14から、ベッド30に固定された座標系への座標変換を表すDH行列である。「S ZT」は、主軸駆動系11から、Z軸駆動系14に固定された座標系への座標変換を表すDH行列である。
Figure 0007466801000005
Figure 0007466801000006
Figure 0007466801000007
Figure 0007466801000008
式(5)-(8)において、x,y,zは、それぞれ、X軸駆動系12の位置、Y軸駆動系13の位置、および、Z軸駆動系14の位置を表す。θs,θx,θy,θzは、それぞれ、主軸駆動系11の温度、X軸駆動系12の温度、Y軸駆動系13の温度、および、Z軸駆動系14の温度を表す。Sj(i)は、i軸駆動系の位置に依存する量であり、j軸方向への位置誤差を表す。εj(i)は、i軸駆動系の位置に依存する量であり、j軸方向への角度誤差を表す。さらに、δで表される量は、各駆動系における熱変形量に相当する。具体的には、δj(i,θi)は、i軸駆動系の位置とi軸駆動系の温度とに依存する量であり、j軸方向の位置誤差を表す。δj(θs)は、主軸駆動系11の温度のみに依存する量であり、j軸方向の位置誤差を表す。ここでの説明において、iおよびjの各々は、X軸駆動系12を表す符号xと、Y軸駆動系13を表す符号yと、Z軸駆動系14を表す符号zとのうちいずれか任意の符号を表す。i軸駆動系とは、X軸駆動系12とY軸駆動系13とZ軸駆動系14とのうちいずれか任意の駆動系を表す。
式(5)-(8)を利用することにより、ワーク座標系における工具35の先端位置である「WP」に生じるX軸方向の誤差量である「ΔWx」は、次の式(9)により算出できる。「WP」に生じるY軸方向の誤差量である「ΔWy」は、次の式(10)により算出できる。「WP」に生じるZ軸方向の誤差量である「ΔWz」は、次の式(11)により算出できる。なお、誤差量である「ΔWx」、「ΔWy」、および「ΔWz」の各々は、ワーク座標系における工具35およびワーク36の間の熱変位量に相当する。
Figure 0007466801000009
Figure 0007466801000010
Figure 0007466801000011
式(9)-(11)において、Sx(y),Sx(z),Sy(z)は、直角度誤差を表す。式(9)-(11)により、熱変位量算出部23は、ワーク座標系における工具35およびワーク36の間の熱変位量を、位置と温度とに依存する量として算出することができる。言い換えると、駆動系の発熱によって生じた第1の変形量から熱変位量への座標変換を運動学的な構成情報に基づいて実行するため、熱変位量算出部23は、駆動系の発熱に起因する熱変位量を精度良く算出することができる。
工作機械2では、1つの送り駆動系であるZ軸駆動系14によって主軸駆動系11が位置決めされる。工作機械2における第1の変形量は、主に、主軸駆動系11の発熱に起因して主軸駆動系11に生じる変形量である。熱変位量算出部23は、式(4)に示される構成情報を用いた座標変換によって、主軸駆動系11の位置と、主軸駆動系11を位置決めさせる送り駆動系であるZ軸駆動系14の幾何誤差とに応じて、第1の変形量を熱変位量に変換する。制御装置3は、送り駆動系の幾何誤差を加味しながら主軸駆動系11の位置に応じた座標変換を行うことで、主軸駆動系11に生じた変形量を、工具35およびワーク36の間の熱変位量へ正確に変換することができる。
また、工作機械2において、X軸駆動系12は、Y軸駆動系13によって位置決めされる。工作機械2に備えられる3つの送り駆動系には、第1の送り駆動系であるX軸駆動系12と、第1の送り駆動系を位置決めする第2の送り駆動系であるY軸駆動系13とが含まれる。工作機械2における第1の変形量には、主軸駆動系11に生じる変形量のほかに、第1の送り駆動系の発熱に起因して第1の送り駆動系に生じる変形量が含まれる。すなわち、第1の変形量には、X軸駆動系12の発熱に起因してX軸駆動系12に生じる変形量が含まれる。熱変位量算出部23は、式(4)に示される構成情報を用いた座標変換によって、X軸駆動系12の位置と、第2の送り駆動系であるY軸駆動系13の幾何誤差とに応じて、第1の変形量を熱変位量に変換する。制御装置3は、第2の送り駆動系の幾何誤差を加味しながら第1の送り駆動系の位置に応じた座標変換を行うことで、第1の送り駆動系に生じた変形量を、工具35およびワーク36の間の熱変位量へ正確に変換することができる。
実施の形態1において、熱変位量算出部23は、駆動系の発熱に起因する駆動系の熱変形量を工具35とワーク36との間の熱変位量に変換する。これにより、制御装置3は、駆動系の発熱に起因する熱変位を高精度に補正することができる。工作機械システム1は、駆動系の発熱に起因する加工誤差を低減できる。
上記説明では、工作機械システム1は、3軸の直線送り駆動系を有する工作機械2を備えるものとし、その運動学的な構成は図4に示されるものとした。工作機械システム1に備えられる工作機械は、上記の工作機械2に限定されない。次に、工作機械システム1に備えられる工作機械の変形例を説明する。
図5は、実施の形態1の変形例1にかかる工作機械2Aの外観を模式的に示す図である。工作機械2Aは、2軸の直線送り駆動系を有する旋盤である。工作機械2Aは、工具35とワーク36とを互いに相対的に動作させるX軸駆動系12およびZ軸駆動系14と、ワーク36を回転させる主軸駆動系11とを備える。ワーク36は、主軸34に取り付けられる。工作機械2Aは、構造部材であるベッド30を備える。
工作機械2Aは、X軸駆動系12およびZ軸駆動系14によりX軸方向およびZ軸方向へ工具35を移動させる。図5において、「X」と付した両矢印は、X軸駆動系12の駆動方向を表す。「Z」と付した両矢印は、Z軸駆動系14の駆動方向を表す。工作機械2AのX軸駆動系12およびZ軸駆動系14の図示は省略する。図5では、主軸駆動系11のうち主軸34のみを示す。
図6は、実施の形態1の変形例1にかかる工作機械2Aの運動学的な構成情報について説明するための図である。図6において、「Machine tool bed」は、ベッド30を表す。「X axis」は、X軸駆動系12を表す。「Z axis」は、Z軸駆動系14を表す。「Spindle」は、主軸駆動系11を表す。「Tool」は、X軸駆動系12に取り付けられている工具35を表す。「Workpiece」は、主軸34に取り付けられているワーク36を表す。
図6には、構造部材であるベッド30と、駆動系である主軸駆動系11、X軸駆動系12、およびZ軸駆動系14との連結の態様を模式的に表している。図6は、工具35とワーク36との間における運動学的な連結関係を表現したものともいえる。図6には、ベッド30に対する主軸駆動系11の位置が固定であること、工具35がX軸駆動系12によって位置決めされること、および、X軸駆動系12がZ軸駆動系14によって位置決めされることが示されている。
工作機械2Aにおいて、X軸駆動系12は、Z軸駆動系14によって位置決めされる。工作機械2Aに備えられる2つの送り駆動系には、第1の送り駆動系であるX軸駆動系12と、第1の送り駆動系を位置決めする第2の送り駆動系であるZ軸駆動系14とが含まれる。
熱変位量算出部23は、工作機械システム1に工作機械2Aが備えられる場合も、工作機械2の場合と同じ要領により、熱変位量算出部23は、駆動系の発熱に起因する駆動系の熱変形量を工具35とワーク36との間の熱変位量に変換する。熱変位量算出部23は、工作機械2の場合と同じ要領の座標変換によって、X軸駆動系12の位置と、第2の送り駆動系であるZ軸駆動系14の幾何誤差とに応じて、第1の変形量を熱変位量に変換する。制御装置3は、工作機械システム1に工作機械2Aが備えられる場合も、駆動系の発熱に起因する熱変位を高精度に補正することができる。
図7は、実施の形態1の変形例2にかかる工作機械2Bの外観を模式的に示す図である。工作機械2Bは、3軸の直線送り駆動系と2軸の回転送り駆動系とを有する。工作機械2Bは、工具35とワーク36とを互いに相対的に動作させるX軸駆動系12、Y軸駆動系13、Z軸駆動系14、A軸駆動系、およびC軸駆動系と、工具35を回転させる主軸駆動系11とを備える。工具35は、主軸34に取り付けられる。ワーク36は、テーブル32に固定される。ベッド30、テーブル32、およびヘッド33の各々は、構造部材である。
工作機械2Bは、X軸駆動系12、Y軸駆動系13およびZ軸駆動系14により、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向へ工具35を移動させる。工作機械2Bは、A軸駆動系によりA軸方向へテーブル32を回転させる。A軸方向は、A軸を中心に回転する方向である。A軸は、X軸方向に平行な軸である。工作機械2Bは、C軸駆動系によりC軸方向へテーブル32を回転させる。C軸方向は、C軸を中心に回転する方向である。C軸は、Z軸方向に平行な軸である。図7において、「X」と付した両矢印は、X軸駆動系12の駆動方向を表す。「Y」と付した両矢印は、Y軸駆動系13の駆動方向を表す。「Z」と付した両矢印は、Z軸駆動系14の駆動方向を表す。「A」と付した両矢印は、A軸駆動系の駆動方向を表す。「C」と付した両矢印は、C軸駆動系の駆動方向を表す。工作機械2BのX軸駆動系12、Y軸駆動系13、Z軸駆動系14、A軸駆動系、およびC軸駆動系の図示は省略する。図7では、主軸駆動系11のうち主軸34のみを示す。
図8は、実施の形態1の変形例2にかかる工作機械2Bの運動学的な構成情報について説明するための図である。図8において、「Machine tool bed」は、ベッド30を表す。「X axis」は、X軸駆動系12を表す。「Y axis」は、Y軸駆動系13を表す。「Z axis」は、Z軸駆動系14を表す。「A axis」は、A軸駆動系を表す。「C axis」は、C軸駆動系を表す。「Spindle」は、主軸駆動系11を表す。「Tool」は、主軸34に取り付けられている工具35を表す。「Workpiece」は、テーブル32に固定されているワーク36を表す。
図8には、構造部材であるベッド30と、駆動系である主軸駆動系11、X軸駆動系12、Y軸駆動系13、Z軸駆動系14、A軸駆動系、およびC軸駆動系との連結の態様を模式的に表している。図8は、工具35とワーク36との間における運動学的な連結関係を表現したものともいえる。図8には、主軸駆動系11がZ軸駆動系14によって位置決めされること、Z軸駆動系14がY軸駆動系13によって位置決めされること、および、Y軸駆動系13がX軸駆動系12によって位置決めされることが示されている。また、図8には、ワーク36の姿勢がC軸駆動系によって決められること、および、C軸駆動系の姿勢がA軸駆動系によって決められることが示されている。
工作機械システム1に工作機械2Bが備えられる場合、熱変位量算出部23は、工作機械2の場合における座標変換にA軸駆動系およびC軸駆動系についての変換を追加して、第1の変形量を熱変位量へ変換する。熱変位量算出部23は、回転送り駆動系であるA軸駆動系によって与えられる角度と、回転送り駆動系であるC軸駆動系によって与えられる角度とに応じて、第1の変形量を熱変位量へ変換する。これにより、熱変位量算出部23は、回転送り駆動系によって与えられる角度に応じて、駆動系の熱変形量を工具35およびワーク36の間の熱変位量に変換する。制御装置3は、工作機械システム1に工作機械2Bが備えられる場合も、駆動系の発熱に起因する熱変位を高精度に補正することができる。
工作機械システム1に備えられる工作機械は、実施の形態1で説明する工作機械2,2A,2Bに限定されない。工作機械システム1に備えられる工作機械は、工具35とワーク36とを互いに相対的に動作させる1または複数の送り駆動系と、工具35またはワーク36を回転させる主軸駆動系とを備えるものであれば良い。
次に、工作機械システム1の動作手順について説明する。図9は、実施の形態1にかかる工作機械システム1の動作手順の例を示すフローチャートである。ここでは、工作機械システム1には、図1および図2に示す工作機械2が備えられているものとする。
ステップS1において、工作機械2は、ワーク36を加工する。ステップS2において、第1の変形量推定部21は、運転情報と温度情報との少なくとも一方を第1の変形量推定モデルへ入力することによって、第1の変形量を算出する。第1の変形量推定部21は、駆動系の状態量を表す運転情報と駆動系の温度を示す温度情報との少なくとも一方を第1の変形量推定モデルへ入力する。
ステップS3において、第2の変形量推定部22は、温度情報を第2の変形量推定モデルへ入力することによって、第2の変形量を算出する。第2の変形量推定部22は、構造部材の温度を示す温度情報を第2の変形量推定モデルへ入力する。
ステップS4において、熱変位量算出部23は、ステップS2において算出された第1の変形量を、工具35とワーク36との間の相対的な変位量である熱変位量に変換する。熱変位量算出部23は、工作機械2の運動学的な構成情報を用いて、第1の変形量を熱変位量に変換する。
ステップS5において、熱変位量算出部23は、ステップS4により得られた熱変位量に、ステップS3において算出された第2の変形量を合成する。これにより、熱変位量算出部23は、第2の変形量が合成された熱変位量を算出する。
ステップS6において、補正指令生成部25は、算出された熱変位量に基づいて指令位置を補正させる補正指令を生成する。補正指令生成部25は、生成された補正指令を制御部26へ出力する。制御部26は、各駆動系の指令位置を、補正指令に基づいて補正する。制御部26は、指令位置が補正された指令を各駆動系へ出力する。
図1に示す工作機械システム1では、制御装置3に接続される工作機械2は1つである。工作機械システム1において、制御装置3には、複数の工作機械2が接続されても良い。この場合、制御装置3は、複数の工作機械2を制御する。制御装置3は、複数の工作機械2の各々における熱変位を高精度に補正することができる。なお、互いに同一の機種である複数の工作機械2を備える生産ラインでは、生産ラインの全ての工作機械2を1つの制御装置3により制御することとしても良い。工作機械システム1は、生産ラインの全ての工作機械2を1つの制御装置3により制御することで、生産ラインの各工作機械2における熱変位を高精度に補正することができる。
実施の形態1によると、制御装置3は、駆動系の状態量を表す運転情報と駆動系の温度を示す温度情報との少なくとも一方を第1の変形量推定モデルへ入力することによって第1の変形量を算出する第1の変形量推定部21と、工作機械2の運動学的な構成情報を用いて、第1の変形量を熱変位量に変換する熱変位量算出部23とを備える。制御装置3は、駆動系の発熱に起因する熱変位を高精度に補正することができる。これにより、制御装置3は、熱変位を高精度に補正することができるという効果を奏する。工作機械システム1は、駆動系の発熱に起因する加工誤差を低減できる。
また、制御装置3は、構造部材の温度を示す温度情報を第2の変形量推定モデルへ入力することによって第2の変形量を算出する第2の変形量推定部22を備える。熱変位量算出部23は、第1の変形量から変換された熱変位量に第2の変形量を合成する。制御装置3は、駆動系の発熱に起因する熱変位と環境の温度変化に起因する熱変位との各々を、変形量推定モデルに基づいて推定して、熱変位量を算出する。これにより、制御装置3は、熱変位量を高い精度で推定可能とし、熱変位を高精度に補正することができる。工作機械システム1は、駆動系の発熱に起因する加工誤差と環境の温度変化に起因する加工誤差とを高い精度で補正することができる。
上記説明では、制御装置3は、変形量推定モデル記憶部20に記憶されている変形量推定モデルを使用して熱変形量を算出することとした。制御装置3は、制御装置3の外部の装置から読み出された変形量推定モデルを使用して熱変形量を算出することとしても良い。次に、制御装置3の外部の装置から読み出された変形量推定モデルが使用される場合の例について説明する。
図10は、実施の形態1の変形例にかかる工作機械システム1Aの構成例を示すブロック図である。工作機械システム1Aは、工作機械2と、数値制御装置である制御装置3Aと、記憶装置4とを備える。制御装置3Aは、工作機械2を制御する。記憶装置4は、制御装置3Aの外部の装置である。なお、図10には、工作機械システム1Aには工作機械2が備えられる例を示すが、工作機械2以外の工作機械が備えられても良い。図10に示す工作機械システム1Aでは、制御装置3Aには1つの工作機械2が接続されるものとしたが、制御装置3Aには複数の工作機械2が接続されても良い。
制御装置3Aは、変形量推定モデル記憶部20が省かれ、かつ変形量推定モデル取得部27を有する点が、図1に示す制御装置3とは異なる。記憶装置4は、複数の変形量推定モデルを記憶する。工作機械2と制御装置3Aとは、互いに通信可能に接続されている。制御装置3Aと記憶装置4とは、互いに通信可能に接続されている。記憶装置4は、ネットワークを介して制御装置3Aに接続されても良い。ネットワークは、例えば、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)であるが、LAN(Local Area Network)であっても良い。記憶装置4は、クラウド環境に構築されたサーバによって構成されても良い。
変形量推定モデル取得部27は、記憶装置4に記憶されている複数の変形量推定モデルの中から、第1の変形量推定モデルとして使用する変形量推定モデルと、第2の変形量推定モデルとして使用する変形量推定モデルとを選択する。変形量推定モデル取得部27は、選択されたこれらの変形量推定モデルを記憶装置4から読み出す。これにより、変形量推定モデル取得部27は、第1の変形量推定モデルと第2の変形量推定モデルとを取得する。変形量推定モデル取得部27は、取得された第1の変形量推定モデルを第1の変形量推定部21へ出力する。変形量推定モデル取得部27は、取得された第2の変形量推定モデルを第2の変形量推定部22へ出力する。
制御装置3Aは、第1の変形量推定モデルとして使用する変形量推定モデルを、工作機械2における各駆動系の駆動パターンに応じて切り換えることができる。制御装置3Aは、駆動パターンに適した第1の変形量推定モデルを使用して第1の変形量を算出することができる。これにより、制御装置3Aは、駆動系の発熱に起因する熱変位を高精度に補正することができる。
制御装置3Aは、第2の変形量推定モデルとして使用する変形量推定モデルを、工作機械2が設置されている環境に応じて切り換えることができる。制御装置3Aは、環境に適した第2の変形量推定モデルを使用して第2の変形量を算出することができる。これにより、制御装置3Aは、環境の温度変化に起因する熱変位を高精度に補正することができる。制御装置3Aに複数の工作機械2が接続される場合、複数の工作機械2の各々では、工作機械2が設置されている環境に応じた変形量推定モデルを、第2の変形量推定モデルとして使用することとしても良い。これにより、制御装置3Aは、複数の工作機械2の各々における熱変位を高精度に補正することができる。
次に、実施の形態1にかかる制御装置3を実現するハードウェア構成について説明する。制御装置3は、処理回路により実現される。処理回路は、プロセッサがソフトウェアを実行する回路であっても良いし、専用の回路であっても良い。制御装置3Aを実現するハードウェア構成も、制御装置3Aを実現するハードウェア構成と同様であるものとする。
処理回路がソフトウェアにより実現される場合、処理回路は、例えば、図11に示す制御回路50である。図11は、実施の形態1にかかる制御回路50の構成例を示す図である。制御回路50は、入力部51、プロセッサ52、メモリ53、および出力部54を備える。入力部51は、制御回路50の外部から入力されたデータを受信してプロセッサ52に与えるインターフェース回路である。出力部54は、プロセッサ52またはメモリ53からのデータを制御回路50の外部に送るインターフェース回路である。
処理回路が図11に示す制御回路50である場合、制御装置3は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ53に格納される。処理回路は、メモリ53に記憶されたプログラムをプロセッサ52が読み出して実行することにより、制御装置3の各機能を実現する。すなわち、処理回路は、制御装置3の処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ53を備える。また、これらのプログラムは、制御装置3の手順および方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
プロセッサ52は、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ52は、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、またはDSPでも良い。メモリ53は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVD(Digital Versatile Disc)等が該当する。
制御装置3の処理部である、第1の変形量推定部21、第2の変形量推定部22、補正指令生成部25、および制御部26は、プロセッサ52およびメモリ53により実現される。制御装置3の記憶部である、変形量推定モデル記憶部20および構成情報記憶部24は、メモリ53により実現される。
図11は、制御装置3の処理部を汎用のプロセッサ52およびメモリ53により実現する場合のハードウェアの例であるが、制御装置3の処理部は、専用のハードウェア回路により実現されても良い。図12は、実施の形態1にかかる専用のハードウェア回路55の構成例を示す図である。
専用のハードウェア回路55は、入力部51、出力部54、および処理回路56を備える。処理回路56は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせた回路である。制御装置3の各機能を機能別に処理回路56で実現しても良いし、各機能をまとめて処理回路56で実現しても良い。なお、制御装置3は、制御回路50とハードウェア回路55とが組み合わされて実現されても良い。
なお、図10に示す制御装置3Aの処理部である、第1の変形量推定部21、第2の変形量推定部22、補正指令生成部25、制御部26、および変形量推定モデル取得部27は、プロセッサ52およびメモリ53により実現される。制御装置3Aの記憶部である構成情報記憶部24は、メモリ53により実現される。図10に示す記憶装置4は、図11に例示するハードウェア構成と同様のハードウェア構成、または、図12に例示するハードウェア構成と同様のハードウェア構成により実現される。
以上の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。実施の形態の構成は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。
1,1A 工作機械システム、2,2A,2B 工作機械、3,3A 制御装置、4 記憶装置、10 温度センサ、11 主軸駆動系、12 X軸駆動系、13 Y軸駆動系、14 Z軸駆動系、20 変形量推定モデル記憶部、21 第1の変形量推定部、22 第2の変形量推定部、23 熱変位量算出部、24 構成情報記憶部、25 補正指令生成部、26 制御部、27 変形量推定モデル取得部、30 ベッド、31 コラム、32 テーブル、33 ヘッド、34 主軸、35 工具、36 ワーク、50 制御回路、51 入力部、52 プロセッサ、53 メモリ、54 出力部、55 ハードウェア回路、56 処理回路。

Claims (11)

  1. 工具とワークとを互いに相対的に動作させる1または複数の送り駆動系と、前記工具または前記ワークを回転させる主軸駆動系とを備える工作機械を制御する制御装置であって、
    前記送り駆動系および前記主軸駆動系のうちの少なくとも1つである駆動系の発熱に起因する前記駆動系の変形量である第1の変形量を、前記駆動系の状態量を表す運転情報と前記駆動系の温度を示す温度情報との少なくとも一方を第1の変形量推定モデルへ入力することによって算出する第1の変形量推定部と、
    前記工作機械の運動学的な構成情報を用いて、前記第1の変形量を、前記工具と前記ワークとの間の相対的な変位量である熱変位量に変換する熱変位量算出部と、
    前記送り駆動系へ指令される位置を前記熱変位量に基づいて補正させる補正指令を生成する補正指令生成部と、を備え、
    前記熱変位量算出部は、前記駆動系の位置と、前記工作機械のうち前記駆動系を位置決めさせる別の送り駆動系の幾何誤差とに応じて、前記第1の変形量を前記熱変位量に変換し、
    前記工作機械の運動学的な構成情報は、前記工作機械における前記工具に固定された座標系である工具座標系から前記工作機械における前記ワークに固定された座標系であるワーク座標系への座標変換を表し、
    前記別の送り駆動系の幾何誤差は、前記別の送り駆動系の位置と前記別の送り駆動系の温度とに依存する誤差である
    ことを特徴とする制御装置。
  2. 1または複数の前記送り駆動系の少なくとも1つによって前記主軸駆動系が位置決めされ、
    前記第1の変形量は、前記主軸駆動系の発熱に起因して前記主軸駆動系に生じる変形量であって、
    前記熱変位量算出部は、前記主軸駆動系の位置と、前記主軸駆動系を位置決めさせる前記送り駆動系の幾何誤差とに応じて、前記第1の変形量を前記熱変位量に変換する
    ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記工作機械は、第1の送り駆動系と、前記第1の送り駆動系を位置決めする第2の送り駆動系とを含む複数の前記送り駆動系を備え、
    前記第1の変形量は、前記第1の送り駆動系の発熱に起因して前記第1の送り駆動系に生じる変形量であって、
    前記熱変位量算出部は、前記第1の送り駆動系の位置と、前記第2の送り駆動系の幾何誤差とに応じて、前記第1の変形量を前記熱変位量に変換する
    ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
  4. 1または複数の前記送り駆動系には、前記工具と前記ワークとを互いに相対的に回転動作させる前記送り駆動系である回転送り駆動系が含まれており、
    前記熱変位量算出部は、前記回転送り駆動系によって与えられる角度に応じて、前記第1の変形量を前記熱変位量に変換する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の制御装置。
  5. 前記工作機械の構成要素のうち前記送り駆動系および前記主軸駆動系以外の構成要素である構造部材の温度を示す温度情報を第2の変形量推定モデルへ入力することによって、前記工作機械が設置されている環境の温度変化に起因する前記構造部材の変形量である第2の変形量を算出する第2の変形量推定部を備え、
    前記熱変位量算出部は、前記第1の変形量から変換された前記熱変位量に前記第2の変形量を合成し、
    前記補正指令生成部は、前記送り駆動系へ指令される位置を、前記第2の変形量が合成された前記熱変位量に基づいて補正させる前記補正指令を生成する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の制御装置。
  6. 前記第1の変形量推定モデルと前記第2の変形量推定モデルとの少なくとも一方は、ニューラルネットワークモデルである
    ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
  7. 前記第1の変形量推定モデルと前記第2の変形量推定モデルとの少なくとも一方は、時系列信号を入力とする計算式、または、入力情報の時間遅れ項が含まれる回帰モデルである
    ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
  8. 工具とワークとを互いに相対的に動作させる1または複数の送り駆動系と、前記工具または前記ワークを回転させる主軸駆動系とを備える工作機械と、
    前記工作機械を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記送り駆動系および前記主軸駆動系のうちの少なくとも1つである駆動系の発熱に起因する前記駆動系の変形量である第1の変形量を、前記駆動系のサーボ制御に関わる前記駆動系の状態量を表す運転情報と前記駆動系の温度を示す温度情報との少なくとも一方を第1の変形量推定モデルへ入力することによって算出する第1の変形量推定部と、
    前記工作機械の運動学的な構成情報を用いて、前記第1の変形量を、前記工具と前記ワークとの間の相対的な変位量である熱変位量に変換する熱変位量算出部と、
    前記送り駆動系へ指令される位置を前記熱変位量に基づいて補正させる補正指令を生成する補正指令生成部と、を備え、
    前記熱変位量算出部は、前記駆動系の位置と、前記工作機械のうち前記駆動系を位置決めさせる別の送り駆動系の幾何誤差とに応じて、前記第1の変形量を前記熱変位量に変換し、
    前記工作機械の運動学的な構成情報は、前記工作機械における前記工具に固定された座標系である工具座標系から前記工作機械における前記ワークに固定された座標系であるワーク座標系への座標変換を表し、
    前記別の送り駆動系の幾何誤差は、前記別の送り駆動系の位置と前記別の送り駆動系の温度とに依存する誤差である
    ことを特徴とする工作機械システム。
  9. 前記制御装置は、
    前記工作機械の構成要素のうち前記送り駆動系および前記主軸駆動系以外である構造部材の温度を示す温度情報を第2の変形量推定モデルへ入力することによって、前記工作機械が設置されている環境の温度変化に起因する前記構造部材の変形量である第2の変形量を算出する第2の変形量推定部を備え、
    前記熱変位量算出部は、前記第1の変形量から変換された熱変位量に前記第2の変形量を合成し、
    前記補正指令生成部は、前記送り駆動系へ指令される位置を、前記第2の変形量が合成された前記熱変位量に基づいて補正させる前記補正指令を生成する
    ことを特徴とする請求項8に記載の工作機械システム。
  10. 複数の変形量推定モデルを記憶する記憶装置を備え、
    前記第1の変形量推定モデルと前記第2の変形量推定モデルとの少なくとも一方が、複数の前記変形量推定モデルの中から選択された前記変形量推定モデルである
    ことを特徴とする請求項9に記載の工作機械システム。
  11. 工具とワークとを互いに相対的に動作させる1または複数の送り駆動系と、前記工具または前記ワークを回転させる主軸駆動系とを備える工作機械によって、前記ワークを加工するステップと、
    前記送り駆動系および前記主軸駆動系のうちの少なくとも1つである駆動系の発熱に起因する前記駆動系の変形量である第1の変形量を、前記駆動系の状態量を表す運転情報と前記駆動系の温度を示す温度情報との少なくとも一方を第1の変形量推定モデルへ入力することによって算出するステップと、
    前記工作機械の運動学的な構成情報を用いて、前記第1の変形量を、前記駆動系の位置と、前記工作機械のうち前記駆動系を位置決めさせる別の送り駆動系の幾何誤差とに応じて、前記工具と前記ワークとの間の相対的な変位量である熱変位量に変換するステップと、
    前記送り駆動系へ指令される位置を前記熱変位量に基づいて補正させる補正指令を生成するステップと、を含み、
    前記工作機械の運動学的な構成情報は、前記工作機械における前記工具に固定された座標系である工具座標系から前記工作機械における前記ワークに固定された座標系であるワーク座標系への座標変換を表し、
    前記別の送り駆動系の幾何誤差は、前記別の送り駆動系の位置と前記別の送り駆動系の温度とに依存する誤差である
    ことを特徴とする加工方法。
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