JP7464967B2 - 食品素材又は飼料用素材の製造方法、食品素材又は飼料用素材、食品又は飼料の製造方法、食品又は飼料、及び、バニリンの製造方法 - Google Patents

食品素材又は飼料用素材の製造方法、食品素材又は飼料用素材、食品又は飼料の製造方法、食品又は飼料、及び、バニリンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、食品素材又は飼料用素材の製造方法、食品素材又は飼料用素材、食品又は飼料の製造方法、食品又は飼料、及び、バニリンの製造方法に関するものである。
ラン科バニラ属植物から得られる天然バニリンは、特有の甘い香気をもつためバニラフレーバーとしての用途が極めて広く、チョコレート、アイスクリーム等各種の食品香料として使用されている。近年、欧米や中国での天然バニリンの需要が高まったことから、天然バニリンの材料となるバニラ豆の取引価格が高騰している。このため、天然バニリンに比較して安価な合成バニリンの需要が高まっている。
合成バニリンは、その製造過程の相違から、化学合成バニリンと生物学的合成バニリンに分けられる。化学合成バニリンについては、1874年にドイツのティーマンらが球科植物の細胞壁のリグニン中間体からバニリンを生産したのが最初であり、これにより合成バニリンの工業的生産が可能になった。現在では、サフロール(サッサフラスの精油)、オイゲノール(チョウジの精油)、リグニン(亜硫酸パルプの廃液)、グアイヤコール等を原料として、バニリンの化学合成が行われている。
化学合成バニリンに関して、非特許文献1には、トウモロコシ茎、ポプラから抽出したリグニン分画を、有機溶媒中でオゾン処理したところ、バニリンが検出されたことが開示されている。非特許文献2には、バーミューダグラス及びその細胞壁分画、トールフェスキュ及びその細胞壁分画をオゾン処理したところ、バニリンが検出されたことが開示されている。トウモロコシ茎やバーミューダグラスの細胞壁には、リグニンが含まれている。このリグニンは、2つのフェルラ酸からなるジフェルラ酸によって補強されている。このジフェルラ酸からバニリンが生成されるが、ジフェルラ酸は、多糖とも強く結合しているため、バニリンに変換するには高いエネルギーを必要とする。
一方、バイオマス由来化合物からの生物学的合成バニリンに関して、非特許文献3には、フェルラ酸やフェニルアラニンを原料として、微生物や遺伝子工学的に代謝を変換した酵母を用いてバニリンを製造することが開示されている。
ところで、米ぬか等に含まれるオリザノール(米オリザノール、γ-オリザノールと呼ばれることがある。)は、抗酸化剤として、また神経作動薬として食品や医療品に広く利用されている。米オリザノールは、各種植物ステロールのフェルラ酸のエステルである。近年、小麦、ライ麦、トウモロコシ、粟等にも同様の成分が含まれていることがわかってきている。しかし、米オリザノール以外の産業的な利用は殆どない。
このオリザノールからバニリンを生成する技術も開示されている(特許文献1、2参照)。特許文献1には、米サラダ油製造の際に排出されるオリザノール含有の廃棄物や副産物をアルカリ加水分解し、さらにアルカリ水溶液をニトロベンゼンやオゾン等の酸化剤で酸化させることでバニリンを製造する方法が開示されている。特許文献2には、オリザノール含有油脂を加熱することで、オリザノールの一部をバニリンに変換させ、バニリンを含有する食用油脂を製造する方法が開示され、バニリンを含有することでフライ調理された食品の風味が向上することも開示されている。
しかしながら、特許文献1では、オリザノール含有の廃棄物等をアルカリ処理してフェルラ酸の金属エステル物を生成し、高圧かつ高温下で酸化処理を行うことで、バニリンのアルカリ金属塩を生成し、析出している。そして、析出したバニリンのアルカリ金属塩を、再度、水に溶解し、硫酸等を添加して水溶液を酸性にし、バニリンを析出させたの後、水から再結晶することによりバニリンを精製している。このため、バニリンの生成に多くの工程が必要で、処理も容易ではなく、効率的ではない。また、特許文献2の技術では、加熱により高温化したオリザノール含有油脂の取り扱いに注意する必要がある。
また、バニリンを生成することが目的の場合には、オリザノールのバニリンへの変換効率が高いことが望ましいが、食品素材等とする場合は、バニリン香を付与しつつも、オリザノール等の有効成分も十分な量を残存させたいという要望があった。また、何れの場合も、高温化や高圧化等の処理を必要とせず、簡単な手順で効率的にバニリンを生成できる技術の開発が望まれていた。
バニラの甘い香り成分の新しい製法、古谷俊樹 生物工学会誌 第95巻、第5号、P272 Ozonation Products of Organosolvolytic Extracts from Vegetal Materials. Quesada J et al. Journal of Agricultural and Food Chemistry Vol.46 No2. Page. 692-697(1998.02) Water-soluble reaction products from ozonolysis of grasses. Morrison W. Herbert III et al. Journal of Agricultural and Food Chemistry Vol. 3 Page. 678-681(1990.03)
特開平6-325530号公報 特開2006-325530号公報
本発明は、上記課題を解決し、簡易かつ効率的にバニリンを生成することを目的とするものである。
上記課題を解決するため、本発明者らは、鋭意研究した結果、食用又は飼料用のイネ科植物の果実や分画を、オゾン処理することで、これらに含有されるオリザノールを、簡易かつ効率的にバニリンに変換できることを知見した。更にはオリザノール試薬をオゾン処理することで、高効率でバニリンに変換できることを知見した。発明者は、これらの知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明に係る食品素材又は飼料用素材の製造方法は、食用又は飼料用のイネ科植物の果実及びその分画から選択される少なくとも1種を含む原料に、オゾンを作用させる工程を含む、ことを特徴とする。
また、本発明に係る食品素材又は飼料用素材は、上記食品素材又は飼料用素材の製造方法により得られる、バニリン香が付与された食品素材又は飼料用素材である。
また、本発明に係る食品又は飼料の製造方法は、上記食品素材又は飼料用素材の製造方法により得られた食品素材又は飼料用素材を、食品又は飼料の原料として用いる、ことを特徴とする。
また、本発明に係る食品又は飼料は、上記食品又は飼料の製造方法により得られる、バニリン香が付与された食品又は飼料である。
また、本発明に係るバニリンの製造方法は、オリザノール、前記オリザノールを含有する植物分画の少なくとも何れかを、10~35%エタノールに分散させて分散液を得る工程と、前記分散液に、オゾンを通気させる工程と、を含み、前記分散液を得る工程では、前記原料にエタノールを添加し、次いで水を添加することで、10%~35%エタノール溶液とし、前記オゾンを通気させる工程では、前記分散液水のpHが2~8となるように、pH調整剤を添加する、ことを特徴とする。
本発明によれば、原料にオゾンを作用させることで、原料中のオリザノール等のフェルラ酸エステル類をバニリンに変換できる。したがって、簡易かつ効率的にバニリンを生成することができる。
実験例1のバニリン生成実験の結果を示すグラフである。 実験例2のバニリンの生成実験の結果を示すグラフである。 実験例3の実験結果を示し、(a)は調製直後の分散液の画像であり、(b)は2日後の分散液の画像であり、(c)はバニリンの生成率を示すグラフである。 実験例4のバニリン生成実験の結果を示すグラフである。 実験例5-1のバニリン生成実験において、オゾンをバブリングしたときの米ぬか、小麦ふすま、生トウモロコシ果皮の液体高速クロマトグラムである。 実験例6のバニリンの生成実験において、オゾンを直接吹き付けたときの小麦ふすまのオリザノール量の変化を示す液体高速クロマトグラムである。 実験例6のバニリンの生成実験において、オゾンを直接吹き付けたときの米ぬかのオリザノール量の変化を確認するための液体高速クロマトグラムである。 実験例6のバニリンの生成実験において、オゾンを直接吹き付けたときの生トウモロコシ果皮のオリザノール量の変化を確認するためのクロマトグラムである。 実験例6のバニリンの生成実験において、オゾンを直接吹き付けたときの小麦ふすまのバニリン量の変化を確認するための液体高速クロマトグラムである。 実験例6のバニリンの生成実験において、オゾンを直接吹き付けたときの玄殻つきアワのバニリン量の変化を確認するための液体高速クロマトグラムである。 実験例6のバニリンの生成実験において、オゾンを直接吹き付けたときのキヌアのバニリン量の変化を確認するための液体高速クロマトグラムである。 実験例6のバニリンの生成実験において、オゾンを直接吹き付けたときの玄ソバのバニリン量の変化を確認するための液体高速クロマトグラムである。 実験例6のバニリンの生成実験において、オゾンを直接吹き付けたときの生西洋芝のバニリン量の変化を確認するための液体高速クロマトグラムである。 実験例6のバニリンの生成実験において、オゾンをバブリングしたときの生西洋芝のバニリン量の変化を確認するための液体高速クロマトグラムである。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<食品素材又は飼料用素材の製造方法、食品素材又は飼料用素材、食品又は飼料の製造方法、及び、食品又は飼料>
本実施の形態に係る食品素材又は飼料用素材の製造方法は、食用又は飼料用のイネ科植物の果実及びその分画から選択される少なくとも1種を含む原料に、オゾンを作用させる工程を含む。本実施の形態に係る食品素材又は飼料用素材は、上記本実施の形態に係る食品素材又は飼料用素材の製造方法により得られ、バニリン香が付与された食品素材又は飼料用素材である。
ところで、このような食品素材又は飼料用素材の特徴を、物の構造又は特性により直接特定することは、不可能又は非実際的である。つまり、食品素材又は飼料用素材の原料であるイネ科植物の果実やその分画は、オリザノール、タンパク質、糖質、脂質、ビタミン、カルシウム等、多種多様な化学成分を含有している。そして、このような原料を、アルカリ加水分解処理、高温加熱処理、高圧処理等を行うことなく、オゾンを作用させることで、オリザノール等の成分をバニリンに変換し、食品素材又は飼料用素材にバニリン香を付与するものである。これに対して、特許文献1、2等の従来技術では、原料に対してアルカリ加水分解処理、高温加熱処理、高圧処理等を行ってバニリンを生成しているため、原料中の化学成分に大きな影響を及ぼし、オリザノール等以外の成分にも様々な化学変化が生じている可能性がある。このため、本実施の形態の製造方法で製造された食品素材又は飼料用素材と、従来技術により製造された食品素材又は飼料用素材では、含有される化学成分やその含有量が異なる。しかし、これらのすべての化学成分を解析し、種類や含有量を特定することは、不可能であるか、又は著しく過大な経済的支出や時間を要するものであって、およそ非実際的である。このため、本実施の形態の食品素材又は飼料用素材を、食品素材又は飼料用素材の製造方法により得られる、バニリン香が付与された食品素材又は飼料用素材と特定している。
本実施の形態に係る食品又は飼料の製造方法は、上記本実施の形態に係る食品素材又は飼料用素材の製造方法により得られた食品素材又は飼料用素材を、食品又は飼料の原料として用いるものである。本実施の形態に係る食品又は飼料は、上記本実施の形態に係る食品又は飼料の製造方法により得られる、バニリン香が付与された食品又は飼料である。本実施の形態の食品又は飼料に関しても、本実施の形態の食品素材又は飼料用素材と同様に、その特徴を、物の構造又は特性により直接特定することは、不可能又は非実際的であるため、食品又は飼料の製造方法により得られる、バニリン香が付与された食品又は飼料と特定している。
本実施の形態の各製造方法では、原料にオゾン(O3)を作用させることで、原料中のオリザノールやフェルラ酸エチル等のフェルラ酸エステル類(以下、「オリザノール等」と省略することがある。)がバニリンに変換される。これにより、バニリン香が付与された食品素材や飼料用素材、及びこれらを用いた食品や飼料が得られる。この結果、風味(香りや味わい)がよく、美味であり、ヒトの嗜好性を向上できる食品素材及びこれを用いた食品を提供できる。また、風味がよく、美味であり、豚等の家畜の食いつきがよく食欲を増進できる飼料用素材及びこれを用いた飼料を提供できる。ちなみに、オリザノールやフェルラ酸エチル等のフェルラ酸エステル類にオゾンを作用させてバニリンを生成する方法について、発明者がSciFindern(サイファインダー、登録商標)で検索したところ、検索数は0件であり、科学的にも報告されていない。
なお、「バニリン香が付与された」とは、オリザノール等がバニリンに変換されることで、原料、食品素材、飼料用素材、食品、飼料(以下「原料等」ということがある。)がバニリンを含有するものとなり、原料等からバニリン香が空気中に放出されるようになったことを意味する。また、原料等に既にバニリンが含まれている場合は、オリザノール等がバニリンに変換されることで原料中のバニリンの含有量が増加し、バニリン香が増強される。よって、「バニリン香が増強された」ことも、「バニリン香が付与された」ことに含まれるものとする。
ところで、バニリンは、バニラ豆から抽出されるバニラ香料の主成分であり、甘い(スイート)香りを有している。バニラ香料は、バニリンの他にも様々な香気成分を含んでいるため、バニリン香と、他の様々な香気成分の香りとが複雑に絡み合うことで、甘さだけでなく、スパイシーさ、酸っぱさ、苦さ等も含む独特の「バニラ香」を有している。このため、本実施の形態で用いる原料についても、バニリン香が付与される(バニリンが生成又は増強される)ことで、バニリン香、又はバニリン香と原料が有する他の香気成分とが絡み合った独特な香りが放出される。よって、この「独特な香り」が付与された場合も、「バニリン香が付与された」ことに含まれるものとする。
また、オゾンを作用させる際の条件(時間、オゾン濃度、温度等)を適宜調整することで、原料中のオリザノール等のバニリンへの変換効率(バニリンの生成率)を適宜調整できる。このため、例えば、オゾンの処理時間を長くしたり、オゾン濃度を高くしたりすることで、オリザノールを高効率でバニリンへ変換でき、より多くのバニリンを生成できる。これに対して、オリザノール等の含有量を適切に確保しつつ、バニリン香を付与することを目的とする場合は、ヒトや家畜が感じられる程度に、オリザノール等の一部のみをバニリンに変換することもできる。オリザノール含有量は、例えば、米ぬかは150~200mg/100g、玄米は35~40mg/100g、小麦は10~15mg/100g、トウモロコシ粒は6~8mg/100gである。これらの一部をバニリンに変換できればよい。バニリンに対するヒトの匂いの閾値は、0.000000032ppm、或いは10-6ppmと極めて低いため、原料中のオリザノール等の極一部のみをバニリンに変換するだけで、食品素材等に十分なバニリン香を付与できる。
したがって、本実施の形態のバニリン香が付与された食品素材、飼料用素材、食品、飼料のバニリンの含有量としては、70μg/1g以上が望ましい。より詳細には、50%メタノール溶液に試料を浸漬したときに、70μg/1g以上のバニリンが溶出することが望ましい。若しくは、バニリンに対するヒトの匂いの感受性の閾値以上のバニリン香を放出する程度の含有することが望ましい。閾値としては、例えば、0.000000032ppm以上が望ましく、10-6ppm以上がより望ましく、ヒトや家畜等の嗜好性を向上できる製品を提供できる。
また、オゾンの作用は、大気圧の下、0℃以上30℃以下の室温下で行うことが望ましく、より安定した反応が可能となる。また、高圧、高温にならないので、大掛かりな冷却設備や、防護設備等が不要で、簡易な機器や設備で、容易に、かつ高いエネルギーを必要とすることなくバニリンの生成が可能となる。
また、オゾンを作用させる工程は、具体的には、以下の(1)~(3)の何れかの工程を採用できる。又はこれらの工程を複数組み合わせることもできる。これにより、原料の種類、形態、性質等に対応して適切にオゾンを作用させることができ、オリザノール等のバニリンへの変換を、より適切かつ効率的に行える。
(1)原料を溶媒に投入した溶液中にオゾンを通気する工程。
この工程では、原料を溶媒に投入し、溶液中にオゾンを通気(バブリング)させる。この工程は、果実にも分画にも適用できる。特に、分画の場合は、溶媒中に分散させることで、オゾンとの接触性を向上できる。原料を食品素材、飼料用素材、食品又は飼料の製造に用いることから、溶媒として水、アルコール(エタノール)を用いることが望ましい。
また、オゾンの通気は、大気圧の下、0℃以上30℃以下の室温下で行うことが望ましい。さらには、温度が低い程、オゾンの溶解度が高くなることを考慮して、原料と溶媒が収容された容器を氷水等で冷却し、溶液温度を0℃程度とすることがより望ましい。
(2)原料をオゾン水に浸漬する工程。
この工程では、オゾン水に原料を浸漬し、静置する。オゾン水は、水にオゾンを通気(バブリング)することで生成できる。この通気時間は、オゾン発生器からの単位時間当たりのオゾン発生量等によって適宜設定できるが、オゾンの半減期が20分であることを考慮して、30分~60分程度が好適である。また、オゾン水の生成時、及び、原料のオゾン水への浸漬時の何れも、氷水等によって容器を冷却し、溶液温度を0℃程度としながら行うことが望ましい。バブリング時間30分ではオゾン濃度が0.5~1.0ppmとなるように、バブリング時間60分ではオゾン濃度が1.0~1.5ppmとなるようにオゾン水を調製することが望ましい。
(3)原料に直接にオゾンを吹き付ける工程。
この工程では、容器等に収容された原料に、直接にオゾンを吹き付け、容器を密閉した状態で、原料をオゾンに暴露させる。吹き付け時間や暴露時間は、原料の状態や必要なバニリンの量などによって異なるが、例えば、大気圧の下、室温(0℃以上30℃以下)下で、容器を氷水中で冷却して内部温度を0℃としつつ、容器内の原料にオゾンを5分間吹き付ける。次いで、容器を密封した後、30分間、室温中で静止して原料をオゾンに暴露させる。
オゾンを作用させる原料としては、特に限定されないが、例えば、オリザノールやフェルラ酸エチル等のフェルラ酸エステル類を含む植物の果実やその分画が好適である。この中でも、オリザノールを含有するイネ科植物の果実やその分画が望ましい。これらは、食品素材や飼料用素材にもなり得るとともに、そのまま摂取することも可能であることから、食品や飼料そのものともなり得る。
イネ科植物としては、果実やその分画がオリザノールを含有しているものであればよく、特に限定されることはない。具体的には、例えば、イネ、ムギ(コムギ、オオムギ、カラスムギ、ライムギ等)、トウモロコシ等の穀類、アワ、キビ、ヒエ等の雑穀類、等が好適に挙げられる。この中でも、イネ、ムギ、トウモロコシ、アワ、ヒエ等がより好適に挙げられる。米、小麦、トウモロコシ等の穀類には、オリザノールが含有されていることは公知であり、また、発明者の研究の結果、アワ、キビ、ヒエ等の雑穀類にもオリザノールが含有されていることが分かっている。
果実の分画とは、果実を粉砕し、成分ごとに分級したものである。例えば、胚乳、胚芽、外皮(果皮)等に分画でき、これらも成分ごとにさらに細かく分画される。原料としては、これらの分画の中から少なくとも1成分を含んでいればよく、複数成分を含んでいてもよいし、すべて含んでいてもよい。
これら分画の中でも、外皮(米ぬか、ふすま、トウモロコシ果皮等)は、穀物等を精製、製粉した際、油等を製造した際の副産物として大量に産出され、従来は家畜の飼料や肥料に用いるか、又は廃棄せざるを得なかった。しかしながら、外皮にはオリザノールが多く含まれているため、バニリンを生成する原材料に外皮を利用することで、バニリンを効率的に生成できる上に、副産物を有効活用(処理)できるという新たな効果が得られる。また、バニリン香を付与することで、ヒトが好んで摂取し得る食品素材や食品、家畜等が好んで摂取し得る飼料用素材や飼料を提供でき、需要も増大するという格別の効果も得られる。
オリザノールは、ファイトケミカルの一種であり、24種類以上の成分の混合体で構成されているため、「植物ステロールまたはトリテルペンアルコールにフェルラ酸がエステル結合した成分の総称」とされる。また、オリザノールは、「ステリルフェルレイト」も呼ばれる。
オリザノールは、抗酸化作用を始めとして、高脂血症や高コレステロール血症の改善作用、血糖値を下げる効果、抗炎症作用、抗アレルギー作用等の様々な生理機能があるということが知られている。さらに、オリザノールは、神経作動薬として有効なことも判明し、向精神薬、中枢作動薬、抗うつ薬等の医薬品としても使用されており、その需要は高まっている。ヒトでは、1日当たり9mgのオリザノールの摂取が推奨されている。
オリザノールは、例えば、下記のような構造を有し、フェルラ酸部分が共通で、ステリルフェルレイトの分子種によって、植物ステロール部分が異なる。
本明細書では、このような構造を有し、「植物ステロールまたはトリテルペンアルコールに、フェルラ酸がエステル結合した成分」を有するものを、「オリザノール」と定義する。そして、米やその分画に含まれるオリザノールを「米オリザノール(γ-オリザノール)」、小麦やその分画に含まれるオリザノールを「小麦オリザノール」、トウモロコシに含まれるオリザノールを「トウモロコシオリザノール」等と、穀類又は雑穀類の名称を付与して呼び、単に「オリザノール」というときは、「米オリザノール」、「小麦オリザノール」等を含む、総称として用いるものとする。
オリザノールにオゾンを作用させることで、オリザノールがオゾン酸化され、下記のようにフェルラ酸の二重結合が切断されることで、バニリンが生成される。
以下に、オリザノールを含有し、バニリン香を付与するのに好適な果実及びその分画の具体例を挙げる。
・玄米粒:穀類、脱穀後、食用米を保存するときの状態のもの、現代人の中には、そのまま食べるヒトもいる。炊けば「玄米ご飯」になる。
・玄米粉:玄米を粉砕したもの。
・米ぬか:精米時に出るもの、それ以上の粉砕はしていない。
・白米:穀類、粒、通常食べる米粒。
・白米粉:白米粒をミキサーで粉にしたもの。
・玄小麦粒:穀類、小麦全粒、粉にしていない。
・全粒粉:小麦全粒を粉にミキサーで挽いたもの。
・小麦ふすま:通常の製粉方法ではなく、米を精米器で精米するようにして、小麦全粒を外側から削り取りながら、分けたもの、粉状、小麦粒の白い部分(いわゆる小麦粉)以外の茶色い部分。
・トウモロコシ粒:穀類、黄色いトウモロコシの粒。
・トウモロコシ果皮:コーンピール、トウモロコシの黄色い粒の周りの薄皮、コーンスターチを作る際の副産物、離乳食を作る際の副産物。家畜の餌に混ぜて使うこともあり。乾燥前のものと乾燥後のものがあり、本明細書では、乾燥前のものを「生トウモロコシ果皮」という。
・玄アワ:雑穀類、アワの外皮(玄殻)もついたもの、通常、外皮は取ってからヒトの食用となる。小鳥の餌として外皮がついた玄アワも市販あり。
・アワ:雑穀類、ヒトの食用として市販されている、外皮はついていない。
以上、本実施の形態によれば、食用又は飼料用のイネ科植物の果実及びその分画から選択される少なくとも1種を含む原料に、オゾンを作用させることで、原料中のオリザノール等がバニリンに変換され、原料にバニリン香が付与される。この結果、簡易かつ効率的にバニリンを生成できる食品素材又は飼料用素材の製造方法、及び、食品又は飼料の製造方法を提供できる。また、これらの製造方法によって得られる、バニリン香が付与された食品素材又は飼料、及び、食品又は飼料を提供できる。また、オゾンを作用させる条件を変えることで、原料中のオリザノール等の一部又は全部をバニリンに変換できる。よって、目的に応じて必要な分量だけ、オリザノール等をバニリンに変換できる。
<バニリンの製造方法>
本実施の形態のバニリンの製造方法は、オリザノール、フェルラ酸エチル、及びその他のフェルラ酸エステル類、並びにこのようなフェルラ酸エステル類を含有する植物分画から選択される少なくとも1種を含む原料を、エタノール溶液に分散させて分散液を得る工程と、分散液に、オゾンを通気させる工程と、を含む。本実施形態のバニリンの製造方法は、フェルラ酸エステル類やこれを含む植物分画の中でも、オリザノールやオリザノールを含有する植物分画からバニリンを製造するのに好適である。
以下、それぞれの工程について詳述する。分散液を得る工程では、原料を、エタノール溶液に分散させる。エタノールの濃度が高ければ高いほど、水に不溶性のオリザノール等を良好に溶液中に抽出でき、バニリンへの変換効率を高めることができる。一方で、10%~35%エタノールを用いることで、エタノールの使用量を抑えつつ、水に不溶性のオリザノール等を、溶液中に良好に分散させることができる。また、植物分画に含有されるオリザノール等を、10%~35%エタノール中に抽出させ、溶液中に分散させることができる。
10%~35%エタノールを用いた分散液では、長時間(例えば2日)経過しても沈殿が生じず、安定したミセルが得られる。このため、オゾンの作用によるバニリンの生成率を向上できる。
また、この分散液を得る工程では、原料にエタノール原液を添加し、次いで水を添加することで、10%~35%エタノール溶液とすることが好ましい。より具体的には、まず原料にエタノール原液を添加して、攪拌又は超音波処理によってオリザノールをエタノール中に溶解させる。次に、エタノールの濃度が10%以上35%以下となるように水を添加し、攪拌又は超音波処理する。これにより、低濃度エタノール溶液であっても、オリザノール等を良好に分散できるとともに、オゾン酸化による影響を抑制できる。また、有機溶媒の使用を低減して、食品用又は飼料用のバニリンの製造に用いる溶媒としてより好適である。エタノール原液としては、99.5%エタノール(無水エタノール)が好適に用いられるが、95%エタノールを用いることもできる。
また、上記分散液を得る工程の前処理工程として、原料にn-ヘキサンを添加する工程を行うことが望ましい。これにより、オリザノール等の原料の配向性を変えることができる。この結果、エタノールへの分散性をより向上でき、バニリンの生成率を更に向上できる。また、n-ヘキサンを添加後に、超音波処理を行うことで、n-ヘキサンの作用効果を向上できる。超音波処理後に、窒素を導入してn-ヘキサンを留去することで、原料のエタノールへの分散性にn-ヘキサンが影響することがない。
また、オゾンを通気させる工程では、オゾン発生器等を用いて分散液中にオゾンを通気させる。この工程により、オリザノール等がバニリンに変換される。なお、オゾン酸化によって分散液のpHが低下すると、バニリンの生成が阻害されることがある。このため、本工程では、pHが2以上8以下となるように、pH調整剤を添加することが望ましい。
具体的には、オゾンの通気中にpH検出器や検査薬等によって分散液のpHを測定し、pHが低下したときは、pHが2未満にならないように、適宜のタイミングでpH調整剤として弱アルカリを添加し、pHを上げてアルカリ性に傾ける。このとき、pHが8以上となった場合でも、バニリンの生成が生じないため、pHが8未満を保つように、アルカリの添加量等を調整する。弱アルカリとしては、特に限定されないが、NaHCO3(重曹)を用いることで、食品素材や飼料用素材として適したバニリンを生成できる。
以上、本実施の形態によれば、原料を10%~35%の低濃度エタノール溶液に分散させて、オゾンを通気するだけで、高効率でオリザノール等をバニリンに変換できる。したがって、簡易かつ効率的にバニリンを生成できる。さらに、オゾンの酸化力による影響を抑制できる。また、本実施の形態のバニリンの製造方法によって得られるバニリンを、食品素材、飼料用素材として好適に用いることができる。
以下、各種実験例(実施例)について説明する。
<実験例1:バニリンの生成実験>
オリザノール(富士フイルム和光純薬株式会社製;152-01272 生化学用γ-オリザノール)、フェルラ酸(Combi-Blocks社製;QA-0504 97% Ferulic acid)、フェルラ酸エチル(Combi-Blocks社製:OR-1951 98% Ferulic acid ethyl ester)の粉末状の各試薬を用いて、オゾン分解によるバニリンの生成実験を行った。下記表1に、溶液のエタノール濃度、試薬(試料)の種類と使用した分量を示す。
実験手順を説明する。上記表1に示す溶液及び試薬を各々容器内に入れ、室温下で、容器内にオゾンを通気してバブリングした。オゾンのバブリングは、容器を氷水で冷却しながら行った。オゾン発生器として、有限会社マルコー電器の「Soec300」を使用し、オゾン発生量300mg/hrにてバブリングを行った。なお、以降で説明する各実験でも、同じオゾン発生器を用いている。
所定のオゾン処理時間経過後、溶液中にn-ヘキサンを添加してステロール等を分離した後、90%エタノールを添加して試料及びバニリンをエタノール中に抽出させた後、試料及び生成されたバニリンを再結晶化し、回収した。表1のNo.1~9の各条件でのバニリンの生成実験の結果を示すグラフを、図1の(a)~(i)に示す。各グラフの横軸は、オゾンバブリング時間(オゾン処理時間)であり、縦軸は試薬中のオリザノール及びバニリンのミリモル濃度である。
この実験例1の結果より、エタノール濃度が高いほど、バニリンの生成率が向上することがわかる。特に99.5%エタノールを用いた場合には、オリザノール、フェルラ酸、フェルラ酸エチルの何れも、ほぼ100%バニリンに変換できることがわかった。これに対して、10%エタノールを用いた場合には、フェルラ酸とフェルラ酸エチルのバニリン生成率は高いが、オリザノールの生成率は低かった。これは、オリザノールが水への溶解性が低いことに起因すると考えられる。しかしながら、低濃度エタノールであってもオリザノールがバニリンに変換されることは確認された。また、オゾン処理後の試料の匂いを、3人の被検者が実際に嗅いでみたところ、バニリン香が確認された。以上の実験結果及びバニリンのヒトの匂いの閾値が、0.000000032ppmであることから、バニリンの生成率が低い場合であっても、ヒトが匂える程度に十分なバニリン香を材料に付与できることがわかった。また、低濃度エタノールを用いる場合はエタノールの使用量が少なくて済み、オゾンの酸化力への影響が少なく、かつ食品用、飼料用の溶媒として、より好適である。
<実験例2:エタノール水溶液でのオリザノールの分散及びバニリン生成実験>
n-ヘキサンによる前処理を行ったオリザノール試薬(粉末)と、前処理を行わなかったオリザノール試薬(粉末)に、エタノール水溶液を添加して、バニリンの生成量を調べた。具体的な実験手順を以下に示す。以降の実験例では、特に断りのない場合は、「エタノール原液」として、99.5%エタノールを用いている。
(1)n-ヘキサンによる前処理あり
オリザノール試薬600mgに、n-ヘキサンを5.0~10.0mL添加し、超音波処理により攪拌した。超音波処理には、イワキ超音波洗浄機「IWAKI ULTRASONICCLEANER」(型式:USC-100Z38S-22)を用いた。以降の実験の超音波処理も同様の機器を用いて行った。その後、窒素を導入してn-ヘキサンを留去し、残留したオリザノールに、エタノール原液50mLを先に添加し、超音波処理した後、水150mLを添加してエタノールの濃度を25%に調整し、超音波処理してサンプル溶液Bを調製した。また、対照実験として、オリザノールに水150mLを先に添加し、超音波処理した後、エタノール原液50mLを添加してエタノールの濃度を25%に調整し、超音波処理してサンプル溶液Cを調製した。水のみを添加したサンプル溶液A(0%エタノール)も調製した。また、比較実験として、エタノール溶液に代えて、アルカリ性水、水に1モノラウリン(界面活性剤)を加えた溶液(2.0%)を各々溶媒として添加し、超音波処理してサンプル溶液D,Eを調製した。また、エタノール原液を先に添加し、超音波処理した後、アルカリ性水、水+1モノラウリンをそれぞれ添加し、超音波処理してサンプル溶液F,Gを調製した。
(2)n-ヘキサンによる前処理なし
オリザノール試薬600mgに、エタノール原液50mLを先に添加し、超音波処理した後、水150mLを添加してエタノールの濃度を25%に調整し、超音波処理してサンプル溶液Hを調製した。また、オリザノール試薬に水150mLを先に添加し、超音波処理した後、エタノール原液50mLを添加してエタノールの濃度を25%に調整し、超音波処理してサンプル溶液Iを調製した。
上述のように調製した各サンプル溶液A~Iに、オゾンを30分間バブリングした。その後、サンプル溶液A~Iにの各々に、メタノールを480μL添加し、ろ過装置(アドバンティック社製、DISMIC-13HP 型番:13HP045AN)によりろ過した。次いで、ろ液20μLを、HPLCに供与し、生成されたバニリン量(ピーク強度)を測定した。図2に、測定結果を示す。この図2の結果から、オリザノールにエタノール原液を添加し、その後水を添加することで、バニリンの高い生成率が得られることがわかった。また、n-ヘキサンで前処理を行うほうが、バニリンの生成率が高いことがわかった。これは、前処理によってオリザノールの分子の配向性が変わり、エタノール水溶液に分散し易くなった結果と思われる。
<実験例3:異なる濃度のエタノールを用いたオリザノールの分散性及びバニリン生成実験>
粉末状のオリザノール試薬2.0mgに対してn-ヘキサン0.1mLで前処理を行った後に、0%~99.5%の各濃度のエタノールを溶媒として20mL添加し、超音波処理によって攪拌し、分散液を調製した。エタノールの濃度を調整する際には、先にエタノール原液を添加して超音波処理し、次いで水を添加して超音波処理した。分散液の調製直後と、2日後におけるオリザノールの分散性を調べた。図3(a)に、水(0%)、10%、25%、50%エタノールを用いたときの、調製直後の分散液の画像を示し、図3(b)に、2日後の分散液の画像を示す。
図3(a)に示すように、調製直後は、オリザノールが溶液中に分散し、エタノールを含有する溶液では、ミセルを形成している。オリザノールは水には不溶性のため、水(0%)を用いた場合は、攪拌によってオリザノールが一時的に分散はするが、ミセルは形成されない。図3(b)に示すように、調製から2日経過後は、0%、50%エタノール中のオリザノールは沈殿したが、10%、25%エタノール中では、ミセルが確認され、安定したミセルが得られることがわかった。
また、オリザノール試薬に0%~99.5%エタノールを添加して調製した各サンプル溶液に、30分間オゾンをバブリングしたときのバニリンの生成率を、図3(c)に示す。同図の横軸はエタノール濃度(%)であり、縦軸は、バニリン生成率(%)である。バニリン生成率の算出は、下記手順で行った。図3(c)に、下記手順により算出した0%~99.5%エタノールでのバニリン生成率を示す。
(1)0.1ng-10ngの範囲で、既知濃度のバニリン/メタノール溶液を作製する。
(2)各溶液10μLをHPLCで分析する。例えば、1ng/mLの溶液を10μL注入したときは、HPLC中に、0.01ngのバニリンが供与されている。
(3)各HPLCチャートよりバニリンのピーク面積を算出する。
(4)供した溶液の各バニリン量とピーク面積で検量線を書く。
(5)オゾン処理した試料及びオゾン処理前の試料より、バニリンをメタノールで抽出し、抽出した溶液10μをHPLCで分析する。
(6)(5)の分析結果と、(4)の検量線に基づいて、バニリン生成率を算出する。
具体的には、例えば、1gの試料を2mLのメタノール溶媒に浸して、超音波装置でバニリンを試料から溶液に抽出する。抽出した溶液のうち、10μLをHPLCで分析する。分析結果と検量線に基づいて、各溶液のバニリン生成率を算出する。具体的には、試料1g×10μL/2mL=0.005g分の試料、つまり、5mg分の試料から抽出されたバニリン量を算出する。それには、HPLCのバニリンのピーク面積を出して、検量線を用いて、5mgの試料に含まれるバニリン量を算出する。例えば、HPLCに供した10μL中のバニリン量が、1ngと算出されたとき、この試料(5mg相当)中から抽出されたバニリン量は、1ng/5mg=1μg/5g=20μg/100gとなる。つまり、100gの試料からは、20μLのバニリンが抽出されたことになる。
実験3の結果によれば、オリザノールに添加する溶媒が水だけの場合でもバニリンは生成され、99.5%エタノールの場合は、ほぼ100%のオリザノールをバニリンに変換できることがわかった。また、溶媒のエタノール濃度を10%~35%とすることで、安定したミセルが得られ、水だけの場合に比べて、オリザノールのバニリンへの変換効率が高いことが確認された。また、エタノール濃度が高い場合でも、エタノール濃度が10%~35%の場合よりも、バニリンへの変換効率が低くなる場合もあることが確認された。以上を鑑みて、オリザノールを分散させる溶媒を、10%~35%エタノールとすることで、有機溶媒の使用をできるだけ少なくしつつ、バニリンへの優れた変換効率が得られることがわかった。
<実験例4:pH調整剤の添加によるバニリンの生成実験>
粉末状のオリザノール試薬600mgに、n-ヘキサンを5.0~10.0mL添加し、超音波処理した。窒素でn-ヘキサンを留去後、オリザノール試薬にエタノール原液を50mL添加し、超音波処理し、次いで水を150mL添加してエタノール濃度を25%に調整し、サンプル溶液を調製した。このサンプル溶液内に、オゾンをバブリングして、バニリンを生成した。また、オゾンの酸化力によってpHが2未満とならないように、バブリングから40分、60分、80分経過時に、pH調整剤としてNaHCO3を20mgずつサンプル溶液中に添加した。生成されたバニリンを実験例1と同様の手順で回収し、生成量を測定した。また、対照実験として、溶媒として水だけを用いて、同じ手順でバニリン生成実験を行い、バニリン量を測定した。すべての実験結果を、図4に示す。横軸はオゾンバブリング時間(分)であり、縦軸はバニリン生成量(ミリモル)である。
図4の実験結果から、水だけを用いた場合に比べて、25%エタノール水溶液を用いた場合はバニリンへの変換効率が顕著に高いことが確認された。また、pH調整剤を添加することで、バニリン生成が阻害されるのを抑制できることが確認された。
<実験例5:果実及び植物分画を用いたバニリン生成実験>
後述の表2~表8に示す果実及び植物分画を試料として、以下のA、B、Cの何れかの方法を用いて、バニリン生成実験を行った。
A:試料を水に浸漬し、水中にオゾンを通気(バブリング)する方法
B:オゾン水に試料を浸漬させる方法
C:試料にオゾンを直接吹き付ける方法
<実験例5-1>
A:試料を水に浸漬し、水中にオゾンを通気(バブリング)する方法
下記表2に示す種類及び状態(粒、粉等)の試料1gに、水を20mL添加した。内部の温度が0℃になるまで、容器を氷水中で冷却した。その後、0℃又は室温20℃の雰囲気下で、オゾン発生量300mg/hrで、表2に示す時間(0分~60分)溶液中にオゾンをバブリングして、オゾン処理を行った。
オゾン処理完了後、バニリンの生成状態を確認するため、各溶液に20mLのメタノールを添加し、5分間超音波処理した後、ろ過装置(13HP045AN)によりろ過した。次いで、ろ液20μLを、HPLCに供与し、成分を分析した。分析結果に基づき、ろ液中に溶出されたバニリン量を、下記表2に示す。また、小麦ふすま、米ぬか、生トウモロコシ果皮については、オリザノールの相対量を算出した。相対量は、オゾン処理前の試料にメタノールと水を、50wt%:50wt%の割合で添加し、ろ過したろ液中に溶出されてくるオリザノール量を100%としたときの、オゾン処理後にろ液中に溶出されてくるオリザノール量の相対値(%)である。
表2の結果から、各試料にオゾンを作用させなくても(オゾンバブリング時間0分)でもバニリンが検出されたが、これは各試料が多少のバニリンを含有しているためである。そして、オゾンの作用によって、試料中のバニリン含有量が増大することが確認された。つまり、オゾン処理によってバニリンが生成されたことが確認された。また、小麦全粒、玄米、乾燥トウモロコシでは、粒のままでもバニリンを生成でき、小麦ふすま、米ぬか、生トウモロコシ果皮のような植物分画では、バニリンの生成率がより高いことが確認された。また、これらの植物分画のオゾン処理前後のオリザノールの相対量を比較すると、オゾン処理後では、オリザノールの相対量が減っていることから、オリザノールがバニリンに変換されたことが証明された。また、比較実験(比較例)として、同条件でオゾンに代えて窒素をバブリングしてみたが、バブリング前後でのバニリン量の変化はなかった。
また、上記実験の中から、米ぬか、小麦ふすま、及び生トウモロコシ果皮に、0分間(オゾン処理前)、30分間、及び60分間オゾンをバブリングしたときの液体高速クロマトグラムを図5に示す。図5に矢印で示すように、オゾンの作用によってバニリンのピークの増大が確認された。
また、上記と同様の手順で、オリザノールを殆ど含有しない生西洋芝(バーミューダグラス、オリザノール含有量:0.12mg/100g)について、バニリンの生成実験を行った。この実験では、生西洋芝を1gに水20mLを添加し、0℃に冷却した状態で、0分、30分、60分間、溶液中にオゾンをバブリングして、オゾン処理を行い、上記と同様の手順でバニリン量を測定した。測定結果を下記表3に示す。
<実験例5-2>
B:オゾン水に原料を浸漬させる方法
20mLの蒸留水を氷水中で0℃まで冷却した。冷却後の蒸留水中に、オゾン発生量300mg/hrで、30分間、又は60分、オゾンをバブリングしてオゾン水を調製した。調製したオゾン水を用いて、以下の実験を行った。なお、対照実験(比較例)には蒸留水を使用した。オゾン水のオゾン濃度を簡易オゾン水チェッカー「DOC-05A」(荏原実業株式会社製)で測定したところ、30分間バブリングしたオゾン水では0.5~1.0ppmであり、60分間バブリングしたオゾン水では1.0~1.5ppmであった。
下記表4に示す試料4~5gに、20mLのオゾン水を添加した。対照実験の試料には同量の蒸留水を添加した。オゾン水添加後、容器を蓋で密閉して30分間、超音波処理することで試料とオゾンとを接触させた(オゾン処理)。オゾン処理後、上記試料に20mLのメタノールを添加し、5分間超音波処理し、ろ過装置(13HP045AN)によりろ過した後、ろ液20mLをHPLCに供与し、成分の含有量を測定した。ろ液のバニリン量を、下記表3に示す。
表4の結果から、オゾン水への浸漬によっても、試料中のバニリン量が増加し、バニリンが生成されることが確認された。なお、超音波処理に代えて、マグネチックスターラーで攪拌して同様の実験を行った場合も、オゾン処理後のバニリン量が増加し、同様の結果が得られた。また、オゾン処理後の玄米、米ぬかの匂いを嗅いでみたところ、バニリン香が感じられるだけでなく、いわゆる「ぬか臭さ」が消え、バニリン香がより引き立つという、格別の効果が得られた。これは、ぬか臭さ等の匂い成分が、オゾン処理によって分解消臭されたためと推測される。したがって、バニリン香の付与に加え、ぬか臭さ等の消臭効果によって、ヒトや家畜等が、より好む食品材料等を提供できることが確認された。
<実験例5-3>
C:原料にオゾンを直接吹き付ける方法
下記表5に示す試料を用意し、粉末試料の場合は100mgを、粒試料の場合は20-30粒を、各々20mL用ガラスバイアルに収容した。室温(20℃前後)の下、容器を氷水で冷却しながら、容器内の各試料に、オゾン発生量300mg/hrでオゾンを5分間吹き付けた。その後、容器を蓋で密封し、室温下で30分間、静止した(以上、オゾン処理)。
上記30分の静置後、蓋に小さな穴を開口し、メタノールを1mL注入して超音波処理を5分間行った後、遠心分離処理を5分間行った。次いで、上清を100μL取り出し、油脂を除去するため、固相分離カラム(Phenomenex社製、8B-S001-EAK)に供与した。分離物にメタノールを300μL添加し、分画400μLから20μLを取り出してHPLCに供与し、各成分の量を測定した。測定したバニリン量を、下記表5に示す。また、小麦ふすま、米ぬか、生トウモロコシ果皮については、オリザノールの相対量を算出した。
表5の結果から、試料に直接オゾンを吹き付けた場合も、バニリンを生成できることが確認された。また、オリザノールの相対量の変化から、オゾン処理によってオリザノールがバニリンに変換されたことが確認された。また、玄殻つきアワ、キビ、ヒエのような雑穀類でも、バニリンの含有量が増えたことが確認され、結果的にこれら雑穀類もオリザノールを含有していることが証明された。また、オゾン処理後の各試料の香りを確認したところ、バニリン香が確認された。この中でも、米ぬか、小麦ふすま、生トウモロコシ果皮については、試料に水を添加したときに、試料からバニリン香が立ち昇るなど、よい香りがすることを確認した。また、試料のぬか臭さや生臭さが減少したことも確認された。
なお、表5によれば、雑穀類では、アワが最もバニリン生成率が高く、ヒエ、キビの順で生成率が減少しているが、これはオリザノールの含有量がアワ、ヒエ、キビの順で少ないためと考えられる。下記表6に、アワ、ヒエ、キビのオリザノールの含有量を示す。
次に、オゾンの吹き付け時間を変えて、バニリンの生成実験を行った。下記表7に示す試料20-30粒を、各々20mL用ガラスバイアルに収容し、室温で、又は氷水(0℃)で冷却しながら、オゾン発生量300mg/hrでオゾンを1分間、5分間、10分間、吹き付けた。その後、上記と同様の手順で、バニリン量を測定した。測定結果を、下記表7に示す。
また、上記と同様の手順で、オリザノールを殆ど含有しない玄ソバ(オリザノール含有量:0.08mg/100g)、生西洋芝(バーミューダグラス、オリザノール含有量:0.12mg/100g)に、室温にて1分間、5分間、10分間オゾンを直接吹き付けて、バニリンの生成実験を行い、バニリン量を測定した。測定結果を下記表8に示す。
表7の結果から、室温、氷水中の何れの処理温度でも、オゾンの吹き付け時間にバニリン生成量が依存し、オゾンの吹き付け時間が長いほど、バニリンの生成量が増えることが確認された。オリザノールは、穀類等の果実の外側に局在化するので、粒のままオゾンを吹き付けることにより、内包される油脂成分等よりもオリザノールが優先的にオゾンで分解されると推測できる。このため、粒のままでもバニリンを生成でき、バニリン香を有する様々な食品素材、飼料用素材、食品、飼料を提供でき得る。また、オゾンのバブリングやオゾン水への浸漬の場合と比較して、溶媒の除去や乾燥等の工程を省き、バニリン香の減少も抑制可能である。これに対して、表8に示すように、オリザノールを殆ど含まない玄ソバや生西洋芝では、オゾン吹き付け前と比較して、オゾン吹き付け後ではいずれもバニリン量が増えなかった。
<実験例6:試料中のオリザノール量とバニリン量の変化の確認実験>
オリザノールを含有する小麦ふすま、米ぬか、及び生トウモロコシ果皮について、オゾン処理前と、上記実験例5-3と同様の手順で10分間オゾンを直接吹き付けてオゾン処理を行った後に、各々測定した液体高速クロマトグラムを、図6~図8に示す。これらの図に示す結果から、各試料にオゾン処理を行うことで、オリザノール(小麦ふすまオリザノール、米ぬかオリザノール、生トウモロコシ果皮オリザノール)のピークが低下したことが確認された。つまり、試料中のオリザノールがバニリンに変換されたため、オリザノール量が減少したことが確認された。
また、オリザノールを含有する小麦ふすま及び玄殻つきアワ(玄アワ)について、オゾン処理前と、上記実験例5-3と同様の手順で5分間又は10分間オゾンを直接吹き付けてオゾン処理を行った後に、各々測定した高速液体クロマトグラムを図9、図10に示す。また、比較実験(比較例)として、オリザノールを殆ど含有しないキヌア(Chenopodium quinoa,ペルー産キヌア、オリザノール含有量:0.06mg/100g)、玄殻つきソバ(玄ソバ)、生西洋芝(バーミューダグラス)についても、オゾンを直接吹き付けて、同様の実験を行った。生西洋芝は、300mgずつ使用した。キヌア、玄ソバ、生西洋芝の高速液体クロマトグラムを、図11~図13に各々示す。さらに、生西洋芝については、水に生西洋芝を1g入れ、溶液中に10分間オゾンをバブリングした(上記実験例5-1の手順参照)。この実験での高速液体クロマトグラムを、図14に示す。
図6~図14の結果から、オリザノールを含有する小麦ふすま及び玄殻つきアワでは、オゾン処理を行うことで、バニリンピーク(溶出時刻11.5-7分)が増大し、バニリン(小麦ふすまバニリン、アワバニリン)が生成されたことが確認された。これに対して、オリザノールを殆ど含有しないキヌア、玄ソバ、生西洋芝では、オゾン処理を行ってもバニリンピークの変化がなく、バニリンが生成されなかったことが確認された。これらの実験結果、及び図6に示す結果(小麦ふすまのオリザノールピークが低下した)から、オゾン処理によってオリザノールからバニリンが生成されることが確認された。また、オリザノールを殆ど含有しないキヌア、玄ソバ、生西洋芝からバニリンが生成されなかったことから、オゾン処理によって生成されたバニリンが、細胞壁のリグニンのジフェルラ酸から生成されたものではなく、オリザノールから生成されたものであることが確認された。
<実験例7:官能評価試験>
下記の試料にオゾン処理を行い、官能評価試験を行った。
・米ぬか:100mg(オゾン処理時間:0分、1分、5分)
・生トウモロコシ果皮:100mg(オゾン処理時間:0分、1分、5分)
・玄米粒:30粒(オゾン処理時間:0分、1分)
・玄麦粒(玄小麦粒):20粒(オゾン処理時間:0分、1分)
・トウモロコシ粒:10粒(オゾン処理時間:0分、1分)
上記試料を各々ガラスバイアルに入れ、オゾン処理前(0分)の試料、上記処理時間オゾンを直接吹き付けた試料を各々用意した。その後、ガラスバイアルを蓋で密閉し、米ぬか、生トウモロコシ果皮については3時間、玄米粒、玄麦粒、トウモロコシ粒については2時間、室温下で静止した。静止後、3名のパネリストにより、ガラスバイアルの蓋を開けて、各試料の香りを確認した。次いで、ガラスバイアル内に水を1mL添加し、香りを確認した。結果を、下記表9に示す。
表9の結果から、オゾン処理することで、試料にバニリン香、又は、よい香りを付与できることが確認された。このよい香りは、オゾン処理によって生成されたバニリンと、試料が有する他の香気成分とが絡み合った結果、放出された独特な香りであると推測される。さらには、ぬか臭さや生臭さなど、試料独特の臭いも解消でき、全体的に好印象を与える香りとなったことが確認された。
以上、本発明の実施の形態及び実施例(実験例)を詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。

Claims (9)

  1. 食用又は飼料用のイネ科植物の果実及びその分画から選択される少なくとも1種を含む原料に、オゾンを作用させる工程を含み、
    前記オゾンを作用させる工程は、前記原料を水、アルコール、又は水とアルコールの混合液に投入した溶液中に前記オゾンを通気する工程、前記原料をオゾン水に浸漬する工程、及び、前記原料に直接に前記オゾンを吹き付ける工程、から選択される少なくとも何れかであることを特徴とする食品素材又は飼料用素材の製造方法。
  2. 前記イネ科植物が、イネ、ムギ、トウモロコシ、アワ、及びヒエの何れかであって、これらの果実又はその分画がフェルラ酸エステル類を含有する、請求項に記載の食品素材又は飼料用素材の製造方法。
  3. 前記オゾンを作用させる工程は、大気圧下で、0℃以上、30℃以下の温度下で行う、請求項1又は2に記載の食品素材又は飼料用素材の製造方法。
  4. 請求項1~の何れか一項に記載の食品素材又は飼料用素材の製造方法により得られる、バニリン香が付与された食品素材又は飼料用素材。
  5. 70μg/1g以上のバニリンを含む、請求項に記載のバニリン香が付与された食品素材又は飼料用素材。
  6. 請求項1~の何れか一項に記載の食品素材又は飼料用素材の製造方法により得られた食品素材又は飼料用素材を、食品又は飼料の原料として用いる、
    ことを特徴とする食品又は飼料の製造方法。
  7. 請求項に記載の食品又は飼料の製造方法により得られる、バニリン香が付与された食品又は飼料。
  8. オリザノール、前記オリザノールを含有する植物分画から選択される少なくとも1種を含む原料を、10%~35%エタノール溶液に分散させて分散液を得る工程と、
    前記分散液に、オゾンを通気させる工程と、を含み、
    前記分散液を得る工程では、前記原料にエタノールを添加し、次いで水を添加することで、10%~35%エタノール溶液とし、
    前記オゾンを通気させる工程では、前記分散液のpHが2以上、8以下となるように、pH調整剤を添加する、
    ことを特徴とするバニリンの製造方法。
  9. 前記オリザノールが、前記植物分画から抽出され、前記植物分画が、米ぬか、トウモロコシ果皮、小麦ふすま及び玄アワの何れかである、請求項に記載のバニリンの製造方法。
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