JP7463228B2 - 列車制御システム及び列車制御方法 - Google Patents
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Description
そこで本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、進路を停止にする進路制御が、自列車の在線に起因すると判定される場合には、停止限界点の引き戻しを抑止し、安定した運用が可能な列車制御システム及び列車制御方法を提供することを目的とする。
軌道回路に基づいて列車検知情報を生成し、前記列車検知情報が在線を示す場合には、走行路上の進路を停止にする進路制御を行なう地上システムと
列車の位置情報を生成し、前記位置情報を前記地上システムに送信する車上システムを有する列車制御システムであって、
前記地上システムは、前記列車制御情報を生成する際に、前記進路を停止にする進路制御が、自列車の在線に起因すると判定される場合には、前記進路を停止にする進路制御を停止限界点の生成のための支障要因から除外して列車制御情報を生成し、前記列車制御情報を車上システムに送信する。
地上装置が自列車の走行路上の支障を検索する工程、
前記自列車の先頭位置が進路の外方にあるか否かを判定する工程、
前記自列車の先頭位置が前記進路の外方にある場合、前記進路が停止であるか否かを判定する工程、
前記進路が停止である場合、前回周期の停止限界点が前記進路の内方にあったか否かを判定する工程、
前記前回周期の停止限界点が前記進路の内方にあった場合、前記進路を停止にする進路制御を停止限界点の生成のための支障要因から除外して列車制御情報を生成する工程を有する。
上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
まず、図1を参照して、本開示の実施形態を実施するための列車制御システムの例について説明する。なお、図1に記載されているシステム構成はシステムの構成内容を簡略に説明したものであり、それぞれの装置の配置や数、接続関係などは例として記載したものであり、これに限定されるものではない。
さらに「車上システム」とは、車上ATP装置、車上無線装置等の列車の車上に設置された列車制御に係る装置やシステムを意味し、その内容は上記した個々の装置であってもよいし、これら以外の列車の車上に設置された列車制御に係る装置を含んでもよい。
例えば、車両11に設置された車上ATP装置12が演算した自列車の位置情報を地上システムに送信することによって、地上ATP装置14は、列車同士が近づきすぎたり、路線の制限速度を超過したりしないように、停止限界点などの列車制御情報を作成することができる。これを地上システムから各列車のATP12に送信すると、車上ATP12は、地上ATP14から受信した列車制御情報に基づき、速度制御パターンを作成し、列車速度を制御することが可能となる。
図2においては、走行路をある距離で区切った進路Aの外方の区間A25、進路Aの内方の区間B26が設置されており、区間B26には、軌道回路が敷設されている。列車20は、区間Aに在線しており、その進路Aを進行としている状態を示している。また、図2においては、同じく軌道回路が敷設された区間Cに停止限界点28が設定された状態となっている。
まず、列車20は、車上ATPが算出した自列車の位置情報などの列車位置情報を無線通信装置21を介して地上ATP22に送信する。地上ATP22は、列車位置情報を基に区間Aが在線であること含むATP表示情報を作成し、CBI23に送信する。
一方、列車検知部24は、区間B及び区間Cの軌道回路から、軌道回路状態情報として「非在線」の情報を得て、CBI23に伝達する。これによって、CBI23は、区間B26が非在線であることを認識する。
図3においては、列車30が、列車位置情報を無線通信装置31を介して地上ATP32に送信した際には、地上ATP32は、列車が点線で示した列車30の位置に存在すると認識することとなる。しかし、列車30が送信した列車位置情報が地上ATP32に到達するまでには、時間を要するので、実際に地上ATP32が列車位置を点線で示した列車30の位置を認識したときには、列車位置は図3に実線で示した列車38である場合がある。
この場合、区間B36は、列車38自体の進入によって軌道回路が在線となる。そうすると、CBI33は、列車検知部34から取得した区間B36の軌道回路に基づく列車検知情報によって区間B36が在線であることを認識することとなる。
そうすると、進路外方の位置が停止限界点39であるとの列車制御情報を受信した列車38は、列車先頭が停止限界点39を超過していることを検知して、異常を検知する。
その結果、通常走行中に異常を検知することになるので、緊急停止などの措置が取られることとなり、列車の安定運行を妨げられることとなる。
図4は、第1の実施態様における列車制御システムを適用した場合の情報の流れの例を示したものである。図4の場合も、走行路やその他の列車制御システムの構成は、概ね図2、図3の場合と同様である。
図4において、列車40が、車上ATPに基づいて算出した列車位置情報を無線通信装置41を介して地上ATP42に送信した際には、地上ATP42は、列車が点線で示した列車40の位置に存在すると認識することとなる。しかし、図3の場合と同様に、列車40が送信した列車位置情報が地上ATP42に到達するまでには、時間を要するので、実際に地上ATP42が列車位置を点線で示した列車40の位置を認識したときには、列車位置は図4に実線で示した列車48である場合がある。
この場合、区間B46は、列車48自体の進入によって軌道回路が在線となる。そうすると、CBI43は、列車検知部44から取得した区間B46の軌道回路に基づく列車検知情報によって区間B46が在線であることを認識することとなる。
CBTCにおいては、このような列車位置の確認とこれに基づく停止限界点の設定などが数百ミリ秒ごとに周期的に行われており、この結果が地上ATP42の記憶部に格納されている。
これにより、地上ATP42は、進路A47の内方に停止限界点を作成することが可能となり、列車制御情報を無線通信装置41を介して列車48へ送信する。そうすると、当該列車制御情報を受信した列車48は、停止限界点の引き戻しが抑止されるので、緊急停止などの措置をとることなく、停止限界点49を超過しないように安定して走行することが可能となる。
さらに具体的には、自列車の過去の列車制御情報、つまり、前回周期においては、自列車が自列車の位置から停止限界点までの移動権限を有しており、他列車はその間に存在しえないという情報に基づいて判断している。このため、新たに発生した軌道回路状態情報に基づく「在線」の情報が、自列車の走行に起因するものであることを確実に判断できるので、安全度を高く保ちつつ、CBTCの安定した運用を確保することができる。
まず、地上システムである地上ATPは、CBI装置からの情報などに基づいて、列車の走行路上の支障を検索する(50)。
次に、列車先頭位置が走行路上の進路の外方にあるか否かを判定する(51)。列車先頭位置が進路の外方にある場合には、当該進路が停止か進行かが停止限界点作成の判断の要素となる。つまり、進路の外方にある場合に、当該進路が停止である場合には、自列車の移動権限である停止限界点の支障となるため、まず、自列車が当該進路の外方にあるか否かを確認する必要がある。その結果、列車先頭位置が進路の外方にある場合には、次のステップ52に進むこととなる。
一方、列車先頭位置が当該進路の内方にある場合には、当該進路については考慮する必要はないので、ステップ55に進みその他の情報を考慮して、停止限界点作成処理に進むこととなる。
列車先頭位置が走行路上の進路の外方にある場合、当該進路が停止であるか否かを判定する(52)。当該進路が停止である場合には、ステップ53に進み前回周期の停止限界点の位置を確認することとなる。
一方、当該進路が進行である場合には、特段の処理は不要なので、ステップ55に進みその他の情報を考慮して、停止限界点作成処理に進むこととなる。
当該進路が停止である場合、前周期の停止限界点が当該進路の内方にあったか否かを判定する(53)。
前周期の停止限界点が当該進路の内方にあった場合には、ステップ54に進み、当該進路の停止を停止限界点の作成に考慮しないことする。
一方、前周期の停止限界点が当該進路の外方にあった場合には、当該進路の停止は、自列車に起因しない可能性が高いので、ステップ55において、この進路の停止の情報及びその他の情報を考慮して、停止限界点作成処理を行うこととなる。
前回周期の停止限界点が当該進路の内方にあった場合、当該進路の停止を停止限界点の支障から除外する(54)。前周期の停止限界点が当該進路の内方にあった場合は、当該進路の停止は、自列車に起因するものと判断し、停止限界点を作成する上で支障要因として取り扱わないこととする。
ステップ55においては、地上ATPは、装置の故障、逆方向からの他列車の進入などの不正な在線による当該進路の停止、先行列車の情報、停止禁止エリアの情報など様々な停止限界点策定上の要素(支障要因)を検討し、列車に最も近い支障要因を停止限界点の要因として、停止限界点を作成し(S55)停止限界点作成のフローを終了する。
第2の実施態様においては、自列車による列車検知情報によって進路が停止現示であることの検知方法として、当該進路の接近鎖錠があることを判定に用いてもよい。
つまり、列車検知情報が進路内方1区間に在線を示した場合には、進路の鎖錠状態を照合し、前記進路の接近鎖錠が鎖錠されているときには、前記進路を停止にする進路制御は、前記自列車に起因する在線であると判定することとしてもよい。
接近鎖錠の情報はCBI装置から得ることができ、その判定は、地上ATP、CBIのどちらが実施してもよく、CBIが実施した場合は判定結果を地上ATPへ送信することとすればよい。
第3の実施態様においては、自列車による列車検知情報によって進路が停止現示であることの検知方法として、当該進路の進路鎖錠があることを判定に用いてもよい。
つまり、地上システムは、列車検知情報が進路内方1区間に在線を示した場合には、前記進路の鎖錠状態を照合し、前記進路の進路鎖錠が鎖錠されているときには、前記進路を停止にする進路制御は、前記自列車に起因する在線であると判定することとしてもよい。
進路鎖錠の情報はCBI装置から得ることができ、その判定は、地上ATP、CBIのどちらが実施してもよく、CBIが実施した場合は判定結果を地上ATPへ送信することとすればよい。
第4の実施態様においては、自列車による列車検知情報によって進路が停止現示であることの検知方法として、当該進路の外方1区間は位置情報によって在線を認識し、当該進路内方1区間は列車検知情報によって在線を認識し、進路を挟んだ外方1区間・内方1区間の順番に時間間隔をあけて在線を検知していることを判定してもよい。
つまり、地上システムは、列車検知情報が進路内方1区間に在線を示した場合には、前記進路の外方1区間に前記自列車が生成した前記位置情報によって在線を確認し、前記外方1区間の在線の確認に続いて、所定の時間範囲において前記進路内方1区間の在線を確認したときには、前記進路を停止にする進路制御は、前記自列車に起因する在線であると判定することとしてもよい。
このように、進路を挟んだ外方1区間と内方1区間の間で情報に矛盾がないことが確認され、より確実に判定することが可能となる。
その判定は、地上ATP、CBIのどちらが実施してもよく、CBIが実施した場合は判定結果を地上ATPへ送信することとすればよい。
第5の実施態様においては、自列車による列車検知情報によって進路が停止現示であることの検知方法として、当該進路の外方1区間と当該進路内方1区間の列車検知情報が順番に時間間隔をあけて在線を検知していることを判定してもよい。
この場合は、図6に示すように、区間A60と区間B61に軌道回路が敷設されていることを前提としている。CBI63は、列車検知部62を介して区間A60と区間B61の列車検知情報を取得し、区間A60と区間B61が在線であることを認識する。ここで、列車64が走行することで軌道回路が在線状態になった場合、区間A60と区間B61はその順番に時間間隔をあけて在線となる。
つまり、地上システムは、列車検知情報が前記進路内方1区間に在線を示した場合には、前記進路の外方1区間は前記列車検知情報によって在線を確認し、前記外方1区間の在線の確認に続いて、所定の時間範囲において内方1区間の在線を確認したときには、前記進路を停止にする進路制御は、前記自列車に起因する在線であると判定することとしてもよい。
そして、CBI63は、列車検知情報に基づいて判定を実施し、結果を地上ATP65に通知する。
第6の実施態様においては、自列車による列車検知情報によって進路が停止現示であることの検知方法として、上述した第1から第5の実施態様を組み合わせて用いてもよい。
例えば、地上システムは、前記列車検知情報が前記進路内方1区間に在線を示した場合には、以下の(ア)かつ(イ)、又は、(ア)かつ(ウ)の条件を満たしたときに、前記進路を停止にする進路制御は、前記自列車に起因する在線であると判定することとしてもよい。
(ア)前回周期において、停止限界点が前記進路の内方区間に存在する
(イ)前記進路の接近鎖錠が鎖錠である
(ウ)前記進路の進路鎖錠が鎖錠である
このような実施態様によれば、進路を停止にする進路制御が、前記自列車に起因する在線であることをより確実に判定することが可能となる。
第7の実施態様においては、上述の第1から第6の実施態様によって、進路を停止にする進路制御が、自列車に起因する在線であることを判定した後、地上システムは、さらに、自列車による列車検知情報によって進路が停止であることの検知方法として、前記列車検知情報が前記地上システムの列車検知手段の故障や逆方向からの他列車の進入などの不正な在線検出ではないことをさらに判定することとしてもよい。
第8の実施態様においては、地上システムは、列車検知情報が進路内方1区間に在線を示した場合に、前記進路を停止にする進路制御が、前記自列車に起因する在線ではないと判定した場合は、前記進路の停止を停止限界点の支障とするものである。
これによって、安全性を更に高めることが可能となる。
第9の実施態様においては、進路の停止を停止限界点の支障から除外することを、所定の時間経過した後に終了し、その後は、当該進路の停止を停止限界点の支障としてもよい。
これによって、安全性を更に高めることが可能となる。
第10の実施態様においては、
地上システムは、進路制御機能を備えた連動機能と停止限界点を作成する地上ATP機能を一体化した地上連動統合制御装置を持つ構成としてもよい。
図7の構成の場合、地上連動統合制御装置70は、無線通信装置71を介して列車位置情報を取得し、列車検知部72を介して軌道回路の列車検知情報を取得する。
13、21、31、41、71:無線通信装置
14、22、32、42、65:地上ATP装置(地上ATP)
15、23、33、43、63:連動装置(CBI)
16:運行制御装置(PTC)
17、24、34、44、62、72:列車検知部
18:軌道回路 20:区間Aに在線する列車
25、35、45、60:進路Aの外方の区間A
26、36、46、61:進路Aの内方の区間B
27、37、47:進路A
28、39、49:区間Aに在線する列車の停止限界点
30、40:地上ATPが認識する列車の位置
38、48、64:実際の位置を示す列車
70:地上連動統合制御装置
Claims (8)
- 軌道回路に基づいて列車検知情報を生成し、前記列車検知情報が在線を示す場合には、走行路上の進路を停止にする進路制御を行なう地上システムと、
列車の位置情報を生成し、前記位置情報を前記地上システムに送信する車上システムを有する列車制御システムであって、
前記地上システムは、列車制御情報を生成する際に、
前記列車検知情報が前記進路の内方1区間に在線を示した場合には、前回周期における列車制御情報を照合し、
前回周期において、停止限界点が前記進路の内方区間に存在したときには、前記進路を停止にする進路制御は、前記在線が自列車に起因する在線であると判定し、
前記進路を停止にする進路制御を停止限界点の生成のための支障要因から除外して列車制御情報を生成し、前記列車制御情報を
車上システムに送信する
ことを特徴とする列車制御システム。 - 請求項1に記載の列車制御システムにおいて、
前記地上システムは、前記列車検知情報が前記進路の内方1区間に在線を示した場合には、さらに、前記列車検知情報が前記地上システムの故障や逆方向からの他列車の進入などの不正な在線検出ではないことをさらに判定する
ことを特徴とする列車制御システム。 - 請求項1または2に記載の列車制御システムにおいて、
前記地上システムは、前記列車検知情報が前記進路の内方1区間に在線を示した場合に、前記進路を停止にする進路制御が、前記自列車に起因する在線ではないと判定した場合は、前記進路の停止を停止限界点の支障とする
ことを特徴とする列車制御システム。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の列車制御システムにおいて、
前記進路を停止にする進路制御を停止限界点の生成のための支障要因から除外することを、所定の時間経過した後に終了し、前記所定の時間の経過後は、前記進路の停止を停止限界点の支障とする
ことを特徴とする列車制御システム。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載の列車制御システムにおいて、
地上システムは、進路制御機能を備えた連動装置と停止限界点を作成する地上ATP装置を有する
ことを特徴とする列車制御システム。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載の列車制御システムにおいて、
地上システムは、進路制御機能を備えた連動機能と停止限界点を作成する地上ATP機能を一体化した地上連動統合制御装置を有する
ことを特徴とする列車制御システム。 - 請求項1に記載の列車制御システムにおいて、
前記地上システムが前記自列車の走行路上の支障を検索する工程、
前記自列車の先頭位置が前記進路の外方にあるか否かを判定する工程、
前記自列車の先頭位置が前記進路の外方にある場合、前記進路が停止であるか否かを判定する工程、
前記進路が停止である場合、前回周期の停止限界点が前記進路の内方にあったか否かを判定する工程、
前記前回周期の停止限界点が前記進路の内方にあった場合、前記進路を停止にする進路制御を停止限界点の生成のための支障要因から除外して列車制御情報を生成する工程
を有する列車制御方法。 - 請求項7に記載の列車制御方法において、
前記列車制御情報を生成する工程は、他列車の不正在線、先行列車の情報、停止禁止エリアなどの支障要因を検討して、停止限界点を作成する
ことを特徴とする列車制御方法。
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