JP7456128B2 - 構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、構造物に関する。
上下方向に延びる吹き抜け空間が複数階にわたって設けられた建物などの構造物は知られている。このような構造物は、吹き抜け空間を形成する構造部の構造耐力が小さくなるため、例えば、吹き抜け空間を形成する構造部内の壁体を連層耐震壁とすることにより建物の剛性が高められている。この場合、剛性が高められている階層間に生じる層間変位は小さいため、各階に振動エネルギーを吸収する制振部材(例えばダンパー)を設けても、制振部材による制振効果が得られにくくなる。
そこで、例えば特許文献1に記載の構造物では、最下階よりも下の躯体で支持されるとともに上記構造部のうちの剛性の高い部位(高剛性構造部)を上下に貫く剛体部を設け、高剛性構造部と剛体部をダンパーで連結することにより制振効果を高めている。
特開2019-85786号公報
しかしながら、上述した構造物の場合、剛体部として非常に剛性の高い部材が必要であった。このため、例えば、剛体部のサイズ(厚さ等)を小さくすることが困難であった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、剛体部に必要な剛性の低減を図りつつ制振性能の高い構造物を提供することにある。
上記目的を達成するための主たる発明は、複数階にわたるボイド空間を形成し、前記ボイド空間を有していない所定階より剛性が低い低剛性構造部と、前記複数階において前記低剛性構造部と繋がり前記所定階より剛性が高い高剛性構造部と、を有し、前記所定階より剛性が高い剛性複合階層が、前記所定階と繋がって設けられている構造物であって、前記剛性複合階層における最上階と最下階との間の1階からなる中間階の躯体に相対変位不能に支持されるとともに前記高剛性構造部内を上下方向に貫き前記高剛性構造部より剛性が高い剛体部と、前記高剛性構造部と前記剛体部とを前記中間階よりも下方階及び上方階において連結し、前記高剛性構造部と前記剛体部とが前記中間階よりも下方階及び上方階において相対変位することにより制振する制振部材と、を有することを特徴とする構造物である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、必要な剛性の低減を図りつつ制振性能の高い構造物を提供することができる。
図1Aは、本発明に係る構造物(高層建物1)の左右方向に沿った断面を概念的に示した断面図である。図1Bは、図1AのA-A断面図である。 図2Aは、図1Aにおける剛体部4周辺の拡大図である。図2Bは、図1Bにおける剛体部4周辺の拡大図である。 高層建物1の1階の床上部分の水平断面図である。 高層建物1の2階の床部分の水平断面図である。 高層建物1の3階の床部分の水平断面図である。 高層建物1の4階の床部分の水平断面図である。 高層建物1の5階の床部分の水平断面図である。 高層建物1の6階の床部分の水平断面図である。 高層建物1の7階の床部分の水平断面図である。 高層建物1の8階の床下部分の水平断面図である。 本実施形態の概略モーメント図である。 第1比較例の概略モーメント図である。 第2比較例の概略モーメント図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
複数階にわたるボイド空間を形成し、前記ボイド空間を有していない所定階より剛性が低い低剛性構造部と、前記複数階において前記低剛性構造部と繋がり前記所定階より剛性が高い高剛性構造部と、を有し、前記所定階より剛性が高い剛性複合階層が、前記所定階と繋がって設けられている構造物であって、前記剛性複合階層における最上階と最下階との間の中間階の躯体に支持されるとともに前記高剛性構造部内を前記上下方向に貫き前記高剛性構造部より剛性が高い剛体部と、前記高剛性構造部と前記剛体部とを連結し、前記高剛性構造部と前記剛体部とが相対変位することにより制振する制振部材と、を有することを特徴とする構造物が明らかとなる。
このような構造物によれば、支持部分(中間階)から上下に離れるほど剛体部と高剛性構造部の相対変位が大きくなる。これにより、制振部材による制振性能を高めることができる。また、剛体部の端部で支持した場合と比べ、剛体部に必要な剛性が小さくなる。よって、剛体部に必要な剛性の低減を図りつつ、制振性能を高めることができる。
かかる構造物であって、前記制振部材は、前記中間階の上方及び下方にそれぞれ設けられていることが望ましい。
このような構造物によれば、より高い制振性能を備えることが可能である。
かかる構造物であって、前記高剛性構造部内は、前記上下方向と直交する前後方向及び左右方向に形成された空間を有し、前記制振部材は、前記高剛性構造部と前記剛体部とを前記前後方向に連結するものと、前記高剛性構造部と前記剛体部とを前記左右方向に連結するものとが、それぞれ設けられていることが望ましい。
このような構造物によれば、全ての方向(水平方向)の制振に対応することができる。
かかる構造物であって、前記高剛性構造部内は、前記上下方向と直交する前後方向及び左右方向に形成された空間を有し、前記剛体部は、前記前後方向に延出する前後延出部と前記左右方向に延出する左右延出部とを有することが望ましい。
このような構造物によれば、剛体部の面外変形を抑制することができる。
かかる構造物であって、前記上下方向の少なくとも一方の端部における前記剛体部の断面係数は、前記中間階における前記剛体部の断面係数よりも小さいことが望ましい。
このような構造物によれば、さらにサイズのコンパクト化を図ることができる。
===実施形態===
以下、本発明にかかる構造物の一実施形態について図を用いて詳細に説明する。
図1Aは、本発明に係る構造物(高層建物1)の左右方向に沿った断面を概念的に示した断面図であり、図1Bは、図1AにおけるA-A断面図である。また、図2Aは、図1Aにおける剛体部4周辺の拡大図であり、図2Bは、図1Bにおける剛体部4周辺の拡大図である。また、図3~図10は、高層建物1の各階における水平断面図である。なお、図3は1階の床上部分の水平断面、図4~図9はそれぞれ2階~7階の床部分の水平断面、図10は8階の床下部分の水平断面を示している。
なお、本実施形態において、鉛直方向に沿った方向を上下方向とし、鉛直方向の上側を「上」、鉛直方向の下側を「下」とする。また、上下方向と直交する方向(水平方向)のうち高層建物1の奥行となる方向を前後方向とし、手前(正面)側を「前」、その反対側を「後」とする。また、上下方向及び前後方向と直交する方向を左右方向とし、高層建物1を正面から見たときの右側(ボイド空間S1のある側)を「右」、その反対側を「左」とする。
本実施形態の構造物は、図1に示すように、地上1階(1FL)から7階(7FL)に、吹き抜けとなるボイド空間S1を有する高層建物1である。
本実施形態の高層建物1には、図3~図10に示すように、左右方向に、互いに間隔を隔てて設けられた6本の柱2が、前後方向に間隔を隔てて2列立設されており、最も左、及び、左から4番目に位置する2本の柱2の間には、前後方向における中央の位置に1本の柱(以下、中央柱という)2aが設けられている。
以下の説明においては、中央柱2a以外の柱を、左から第1柱2、第2柱2、第3柱2・・・第6柱2と称して説明する。
各柱2における8階以上の階を構成する部位には、左右方向に隣り合う柱2同士及び前後方向に対向する柱2同士を各階において連結する梁3が各々架け渡されて接合されている。
一方、高層建物1の1階から7階までの階においては、第5柱2を前後方向に連結する梁が設けられておらず、第4柱2から右側に、上下方向に延びる吹き抜け空間(以下、ボイド空間S1とする)が形成されている。ボイド空間S1を囲む梁3及び柱2により構成される構造部は、8階以上の階よりも梁3が少ないので、ボイド空間S1を有していない階(例えば8階(所定階))よりも剛性が低い構造部(以下、低剛性構造部という)1aとなる。このため、高層建物1では、低剛性構造部1aと繋がる構造部、より具体的には、1階から7階までの階において第4柱2から左側の構造部に、耐力壁(不図示)等が設置されて8階等の所定階よりも剛性が高められている。このように、低剛性構造部1aと繋がって剛性が高められている構造部を、以下、高剛性構造部1bという。ここで、低剛性構造部1aと高剛性構造部1bとが左右方向に繋がっている1階から7階までの階層が、所定階より剛性が高い剛性複合階層1cに相当する。
剛性複合階層1cにおける高剛性構造部1b内には、剛体部4が設けられている。より具体的には、高剛性構造部1bは内部に、上下方向、前後方向、及び、左右方向に形成された空間S2を有しており、剛体部4は空間S2に設けられている
剛体部4は、複数階(具体的には、地面5とほぼ同じレベルの1階から7階まで)の高剛性構造部1bの内部を上下方向に貫いて設けられている。また、剛体部4は、1階床をなすスラブ(不図示)及び8階床をなすスラブ(不図示)に当接することなく設けられている。
剛体部4は、SRC構造などの剛性の高い部材であり、例えば、複数のH形鋼(不図示)をはしご状等に接続した骨組みにコンクリートを打設して形成されている。剛体部4の剛性は、高剛性構造部1bの剛性より高く、高剛性構造部1bと比べて、地震等が発生しても変形しにくい。本実施形態の剛体部4は、芯部4aと、左右延出部4bと、前後延出部4cとを有している。
芯部4aは、剛体部4の本体を構成するパネル状の部位であり、上下方向に細長く、1階から7階に亘って配置されている。また、芯部4aは、パネル状の表面が前後方向に垂直となるように配置されている。また、図2Aに示すように、本実施形態の芯部4aは、1階と2階、および、6階と7階において、上下方向の端(上端、下端)に向かうにつれて、左右方向の長さが短くなるような斜め形状に形成されている。
左右延出部4bは、4階において、芯部4aから左右方向の右側と左側にそれぞれ延出している。そして、各左右延出部4bの先端(右端及び左端)は、それぞれ、高剛性構造部1bの中央柱2aに接続されている。また、本実施形態の左右延出部4bは左右方向の端に向かうにつれて、上下方向の長さが短く(高さが低く)なるような斜め形状に形成されている。
前後延出部4cは、芯部4aの左端部において前後方向に延出している。より具体的には、図2Bに示すように、前後延出部4cは、1階と2階では芯部4aの後側に延出しており、3階から5階では芯部4aの後側と前側の両方に延出しており、6階、7階では芯部4aの前側に延出している。そして前後延出部4cの先端は、高剛性構造部1bの4階の梁3に接続されている。また、前後延出部4cは、1階及び7階において、剛体部4の上下方向の端に向かうにつれて前後方向の長さが短くなるような斜め形状に形成されている。
このように剛体部4は、4階において床(スラブ)を支持する梁3又は中央柱2aに接続されている。すなわち、剛体部4は、高層建物1の剛性複合階層1cにおける最上階(7階)と最下階(1階)との間の中間階である4階の躯体に支持されている。また、剛体部4は、上下方向の端に向かうにつれて水平断面が小さくなるような形状に形成されている。すなわち、剛体部4において、上下方向の端部の断面係数は、支持部分の断面係数よりも小さくなっている。
また、剛体部4が支持されている4階を除いて、上下方向の各位置における剛体部4の左右方向及び前後方向の幅は、空間S2の幅よりも狭い幅をなしている。すなわち、剛体部4の左右方向及び前後方向における各端部と高剛性構造部1b(梁3など)との間には空隙Sが設けられている。
空隙Sは、設計で想定する地震時には衝突しない幅に設定されている。そして、剛体部4は、高剛性構造部1bが剛体部4に衝突した後に当該高剛性構造部1bが剛体部4に当接した状態で高層建物1に生じる地震力を負担する構造材として機能する。また、空隙Sは、高剛性構造部1bが剛体部4に衝突した場合であっても、オイルダンパー10(後述)が損傷しない幅に設定されている。
なお、剛体部4と高剛性構造部1bとの間に衝撃を緩和する緩衝材(不図示)を設けてもよい。ここで、緩衝材は剛体部4側に設けてもよいし、高剛性構造部1b側に設けてもよい。これにより衝突による衝撃を緩和させることができる。
また、剛体部4と高剛性構造部1b(梁3)との間にはオイルダンパー10が複数設けられている。オイルダンパー10は、オイル(油)の粘性を利用して振動エネルギーを吸収する装置(制振部材)である。この複数のオイルダンパー10は、剛体部4と高剛性構造部1bとの相対変位に応じて制振する。
オイルダンパー10は、高剛性構造部1bにおいて剛体部4を支持している階(4階)よりも下方(1階~3階)と、上方(6階~8階)とにそれぞれ設けられている。これにより、制振性能をより高めることができる。また、本実施形態では、オイルダンパー10として、剛体部4と高剛性構造部1bを前後方向に連結するものと、剛体部4と高剛性構造部1bを左右方向に連結するものとがそれぞれ設けられている。これにより、全ての方向(水平方向)の制振に対応することができる。
剛体部4と梁3との間にオイルダンパー10を直接接続できない箇所には、剛体部4に剛体部突出部8、あるいは、梁3に梁突出部9が設けられており、これらの突出部(剛体部突出部8、梁突出部9)を介してオイルダンパー10が接続されている。
例えば、1階(図2A、図2B、図3を参照)では、剛体部4よりも右側及び後側において、それぞれ、梁3から上方に突出する梁突出部9が設けられている。そして、後側の梁突出部9と前後延出部4c(剛体部4)との間にオイルダンパー10が設けられている。換言すると、当該オイルダンパー10は、剛体部4と高剛性構造部1b(梁3)を前後方向に連結している。
また、右側の梁突出部9と芯部4a(剛体部4)との間にオイルダンパー10が設けられている。換言すると、当該オイルダンパー10は、剛体部4と高剛性構造部1b(梁3)を左右方向に連結している。
また、2階(図2A、図2B、図4を参照)では、後側の第2柱2から前方に延びる梁3の前端部の右側に、前方に突出する梁突出部9が設けられている。また、図4に示すように、剛体部4には断面L字状の内側角部に、梁突出部9と前後方向に対向する剛体部突出部8が設けられている。そして、この剛体突出部8と梁突出部9との間にオイルダンパー10が設けられている。換言すると、当該オイルダンパー10は、剛体部4と高剛性構造部1bを前後方向に連結している。
また、芯部4a(剛体部4)の右端と、中央柱2aから左に延びる梁3の左端との間には直接オイルダンパー10が設けられている。換言すると、当該オイルダンパー10は、剛体部4と高剛性構造部1bを左右方向に連結している。
他の階についても同様であるので説明を省略する。なお、4階では、剛体部4が高剛性構造部1bと前後方向及び左右方向に接続されている(4階の躯体に支持されている)ので、オイルダンパー10は設けられていない(図6参照)。また、その上下階においてもオイルダンパー10の数が少ない。例えば、3階では、オイルダンパー10が前後方向にのみ設けられており(図5参照)、5階では、オイルダンパー10は設けられていない(図7参照)。これは、支持部分の近くでは、剛体部4と高剛性構造部1bとの相対変位が小さいため、オイルダンパー10を設けても制振効果が得られにくいからである。ただし、これには限られず、3階や5階にもオイルダンパー10を2方向に設けてもよい。
高層建物1の8階以上の階においては、水平方向に間隔を隔てて配置された柱2および上下方向に間隔を隔てて配置された梁3によって形成される矩形状の架構の内側に、オイルダンパー10が設けられている。矩形状の架構の内側には、上側の両端角部またはその角部近傍に、それぞれの一端が固定されてV字状に配置される1対のブレース11(以下、Y型ブレース11)が設けられている。オイルダンパー10は、Y型ブレース11の下端と左または右の柱2の下部とを連結して水平に配置されている。
8階以上の階において、Y型ブレース11と柱2との間に設けられているオイルダンパー10は、剛性複合階層1cにて剛体部4と梁3との間に設けられているオイルダンパー10と同一のものであり、各階に同数設けられている。本実施形態では、各階に2つずつ設けられている場合を例に挙げて説明する。
本実施形態の高層建物1は、1階から7階(剛性複合階層1c)において、耐力壁等を設置して剛性を高めた高剛性構造部1bが、ボイド空間S1を形成する低剛性構造部1aと繋がって設けられている。例えば、高剛性構造部1bの剛性が、所定階となる8階に対して1.5倍高く設計されているとする。このとき、地震動が高層建物1に入力されたときの、1階から7階までの高剛性構造部1bにおける各階の層間変位量は、8階の層間変位量よりも1.5倍小さい。このため、仮に、高剛性構造部1bにおいても、8階以上の階と同様にY型ブレース11と柱2との間にオイルダンパー10が設けられていると、高剛性構造部1bにおけるオイルダンパー10の制振性能が、8階以上の階よりも小さくなってしまう。
より具体的には、8階の層間変位量xによる各オイルダンパー10の単位変位量あたりの減衰力Fとすると、このときの8階の2本のオイルダンパー10による所定階減衰力Gaは、式1により表される。
Ga=2×x×F (式1)
そして、仮に、高剛性構造部1bにY型ブレース11を設け、Y型ブレース11と柱2との間にオイルダンパー10が設けられている場合、高剛性構造部1bの各階の2本のオイルダンパー10による減衰力Gbは、高剛性構造部1bの各階の層間変位量がx/1.5なので、式2により表される。
Gb=2×(x/1.5)×F (式2)
このように、高剛性構造部1bに、8階以上の階と同様にY型ブレース11と柱2との間にオイルダンパー10を設けた場合には、低剛性構造部1aと繋がる高剛性構造部1bにおける制振性能は、所定階の制振性能より低くなる。
これに対し、本実施形態の高層建物1は、高剛性構造部1b内の空間S2に剛体部4を設け、各階の躯体(梁3など)と、剛体部4との間にオイルダンパー10を設けている。すなわち、高剛性構造部1bに設けられているオイルダンパー10は、高剛性構造部1bの各階の層間変位ではなく、剛体部4と高剛性構造部1bとの相対変位により減衰力が生じる(制振する)ように設けられている。剛体部4と高剛性構造部1bの相対変位は、支持部分(ここでは4階)から上下に離れるほど大きくなるので、これにより、制振性能を高めることができる。
また、図11は、本実施形態の概略モーメント図であり、図12は第1比較例の概略モーメント図であり、図13は、第2比較例の概略モーメント図である。ここでは、便宜上、剛体部4(芯部4aに相当部分)を矩形状に示している。また、建物本体(高剛性構造部1b)と剛体部4との間には、オイルダンパー10が適宜設けられていることとする。
第1比較例(図12)では、剛体部4の下端は1階の躯体に固定されている。すなわち、第1比較例の剛体部4は、下端が1階の躯体に支持された状態(片持ち梁の状態)となっている。この場合、上階に行くほど剛体部4と建物本体(高剛性構造部1b)との変位差が大きくなるため、オイルダンパー10による高効率のエネルギー吸収が期待できる(制振効果が高くなる)。ただし、この第1比較例の場合、剛体部4の下端においてモーメント(曲げモーメント)が最大となり、剛体部4にはこのモーメントの最大値に見合う剛性が必要になる。
これに対し、本実施形態(図11)では、剛体部4は、中間階(ここでは4階)の躯体(梁3や中央柱2a)に支持されている。前述したように、中間階(4階)から上下方向に離れるほど、剛体部4と建物本体(高剛性構造部1b)との変位差が大きくなるので、オイルダンパー10による高効率のエネルギー吸収が期待できる。また、本実施形態では、中間階でモーメントが最大となり、この最大値は第1比較例のモーメントの最大値よりも小さい。すなわち、本実施形態では、第1比較例よりも剛体部4に必要な剛性が小さくなる。これにより、第1比較例と比べて、剛体部4のサイズのコンパクト化を図ることができる。また、本実施形態では、剛体部4のモーメントに応じて、剛体部4の上下方向の端部の断面係数を、他の部位よりも小さくしている。これにより、さらにサイズのコンパクト化を図ることができる。また、剛体部4として左右延出部4bと、前後延出部4cを設けることで、芯部4aの面外変形を抑制することができる。
第2比較例(図13)では、剛体部4の下端は、前後方向の移動が拘束されつつ、左右方向には移動可能に設けられている。さらに中間階(ここでは4階)と1階との間にはブレース12が斜めに設けられている。これにより、剛体部4は、1階の躯体に支持されている。
この第2比較例の場合も、中間階でモーメントが最大となっており、第1比較例と比べて剛体部4に必要な剛性を小さくできる。ただし、第2比較例では、ブレース12を斜めに配置しているため、低層階のエリアの設計の自由度が低下する。これに対し、本実施形態では、剛体部4は、中間階(4階)の躯体に支持されており、ブレース12を設けなくても良い。これにより、低層階のエリアの設計の自由度を高めることができる。
以上説明したように、本実施形態の高層建物1によれば、高剛性構造部1b内を上下方向に貫く剛体部4は、剛性複合階層1cの中間階(4階)の躯体に支持されている。これにより、剛体部4に必要な剛性の低減を図ることができ、剛体部4のサイズのコンパクト化を図ることができる。また、中間階から上下に離れるほど高剛性構造部1bと剛体部4との相対変位が大きくなるため、8階以上の各階毎に設けられて階層間に生じる層間変位により制振するオイルダンパー10よりも大きな制振性能を得ることが可能である。よって、剛体部4に必要な剛性の低減を図りつつ、制振性能を高めることができる。
また、オイルダンパー10は、中間階の上方及び下方にそれぞれ設けられている。これにより、より高い制振性能を備えることが可能である。
また、高剛性構造部1b内は、上下方向、前後方向、及び、左右方向に形成された空間S2を有しており、オイルダンパー10は、高剛性構造部1bと剛体部4とを前後方向に連結するものと、高剛性構造部1bと剛体部4とを左右方向に連結するものとが、それぞれ設けられている。これにより、全ての方向(水平方向)の制振に対応することができる。
また、剛体部4は、芯部4aから前後方向に延出する前後延出部4cと、芯部4aから左右方向に延出する左右延出部4bと有している。これにより、剛体部4の面外変形を抑制することができる。
また、上下方向の端部(上端部、下端部)における剛体部4の断面係数は、中間階における剛体部4の断面係数よりも小さい。これにより、さらにサイズのコンパクト化を図ることができ、高剛性構造部1b内の空間(空間S2)を有効利用できる。
===その他の実施形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
前述の実施形態においては、制振部材をオイルダンパーとしたが、これには限られず、オイルダンパー以外の粘弾性ダンパーや、摩擦ダンパー等であっても構わない。
また、前述の実施形態では、剛性複合階層1cは、高層建物1の1階と7階の間に設けられていたがこれには限られず、他の階の間に設けられていてもよい。その場合、剛性複合階層1cの最上階と最下階との間の階(中間階)の躯体で剛体部4を支持すればよい。
また、剛体部4の各部(芯部4a、左右延出部4b、前後延出部4c)の平面形状は、前述の実施形態には限られない。例えば、各部の平面形状が矩形であってもよい。また、左右延出部4b、及び、前後延出部4cが、芯部4aに対して一方側のみに設けられていてもよいし、あるいは、左右延出部4b、及び、前後延出部4cが設けられていなくてもよい。
また、前述の実施形態では、高剛性構造部1bにおける各階のオイルダンパー10は同じもの(同じ制振効果)であるとしたが、これには限られず、制振効果の異なるものであってもよい。例えば、中間階(4階)から上下に離れるほど、制振効果の高いものを用いてもよい。中間階(4階)から上下に離れるほど剛体部4と高剛性構造部1bとの相対変位が大きくなるので、これにより、より高い制振性能を備えることができる。
1 高層建物(構造物)、1a 低剛性構造部、1b 高剛性構造部、
1c 剛性複合階層、2 柱(躯体)、2a 中央柱(躯体)、3 梁(躯体)、
4 剛体部、4a 芯部、4b 左右延出部、4c 前後延出部、
5 地面、8 剛体部突出部、9 梁突出部、10 オイルダンパー(制振部材)、
11 ブレース(Y型ブレース)、12 ブレース、
S 空隙、S1 ボイド空間、S2 空間

Claims (5)

  1. 複数階にわたるボイド空間を形成し、前記ボイド空間を有していない所定階より剛性が低い低剛性構造部と、
    前記複数階において前記低剛性構造部と繋がり前記所定階より剛性が高い高剛性構造部と、
    を有し、前記所定階より剛性が高い剛性複合階層が、
    前記所定階と繋がって設けられている構造物であって、
    前記剛性複合階層における最上階と最下階との間の1階からなる中間階の躯体に相対変位不能に支持されるとともに前記高剛性構造部内を上下方向に貫き前記高剛性構造部より剛性が高い剛体部と、
    前記高剛性構造部と前記剛体部とを前記中間階よりも下方階及び上方階において連結し、前記高剛性構造部と前記剛体部とが前記中間階よりも下方階及び上方階において相対変位することにより制振する制振部材と、
    を有することを特徴とする構造物。
  2. 請求項1に記載の構造物であって、
    前記制振部材は、前記中間階の上方及び下方にそれぞれ設けられている、
    ことを特徴とする構造物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の構造物であって、
    前記高剛性構造部内は、前記上下方向と直交する前後方向及び左右方向に形成された空間を有し、
    前記制振部材は、前記高剛性構造部と前記剛体部とを前記前後方向に連結するものと、前記高剛性構造部と前記剛体部とを前記左右方向に連結するものとが、それぞれ設けられている、
    ことを特徴とする構造物。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の構造物であって、
    前記高剛性構造部内は、前記上下方向と直交する前後方向及び左右方向に形成された空間を有し、
    前記剛体部は、
    前記前後方向に延出する前後延出部と、
    前記左右方向に延出する左右延出部と、
    を有することを特徴とする構造物。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れかに記載の構造物であって、
    前記上下方向の少なくとも一方の端部における前記剛体部の断面係数は、前記中間階における前記剛体部の断面係数よりも小さい、
    ことを特徴とする構造物。
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