JP7446358B2 - 交流回転電機の制御装置 - Google Patents

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Description

本願は、交流回転電機の制御装置に関するものである。
交流回転電機を駆動力源とする電気自動車が知られており、この電気自動車では、走行時に交流回転電機を力行運転して走行駆動トルクを発生させ、制動時に交流回転電機を回生運転して回生制動トルクを発生させている。
電気自動車の回転電機駆動システムは、リチウムイオン蓄電装置等の二次電池からなる直流電源と、直流電源に接続される電力変換回路と、電力変換回路に負荷として接続された交流回転電機と、を備えている。
電力変換回路は、複数のスイッチング素子を備えており、複数のスイッチング素子を所定のスイッチング周波数でオンオフすることにより、直流電源の直流電力を所定の交流電力に変換して、交流回転電機のトルク又は回転速度を制御する。また、交流回転電機は、発電機として動作し、発電によって生じる回生電力を直流電源に充電する。なお、電気自動車に適用される交流回転電機として、効率が良い永久磁石式の3相の交流回転電機がよく用いられる。
3相の交流回転電機を用いた駆動システムの場合、電力変換回路は、高電位側のスイッチング素子と低電位側のスイッチング素子とが直列に接続された直列回路を3組備えている。3組の直列回路のそれぞれの中点と3相の巻線のそれぞれの端子とが接続される。
電力変換回路の各相のスイッチング素子をオンオフ制御することにより、3相の交流回転電機の各相の巻線に互いに位相が120度ずつ異なる交流電力を供給して、3相の交流回転電機を駆動する。
この電気自動車の回転電機駆動システムには、直流電源である蓄電装置を過電圧及び過電流から保護するために、必要に応じて蓄電装置と電力変換回路とを切り離す開閉器が設けられる。この開閉器の開放条件としては、交流回転電機の回生運転時に蓄電装置の電圧が所定値以上になった場合、蓄電装置の消耗により蓄電装置の電圧が所定値以下になった場合、蓄電装置に流れる電流が所定値以上になった場合等がある。また、車両の故障、又は衝突等によって、開閉器が開放されることもある。
このような開閉器を備えた回転電機機駆動システムでは、交流回転電機の回生運転中に開閉器が開放され、電力変換回路が蓄電装置から切り離されることがある。また、開閉器を有しない駆動システムであっても、蓄電装置と電力変換回路との間の電力線が断線することにより、電力変換回路が蓄電装置から切り離されることがある。
このように電力変換回路が直流電源から切り離された場合、通常の制御方法で交流回転電機を駆動し続けると、交流回転電機から電力変換回路に流入する回生電力を蓄電装置に充電することができず、回生電力により電力変換回路の母線直流電圧が上昇し、平滑コンデンサ及びスイッチング素子に過電圧がかかって、平滑コンデンサ及びスイッチング素子が故障する可能性がある。母線直流電圧は、直流電源に接続される電力変換回路の接続線(母線)の直流電圧である。
このような過電圧を避ける対策として、電力変換回路の全てのスイッチング素子をオフする全スイッチオフ制御が実施されることがある。ところが、この全スイッチオフ制御が実施された場合、交流回転電機の巻線に蓄積された電力、及び交流回転電機の回転エネルギーが変換された電力が、スイッチング素子に逆並列接続されたフリーホイールダイオード(FWD)を介して、母線に供給されることにより、母線直流電圧が急峻に上昇することがある。
このとき、母線直流電圧の上昇に備えて平滑コンデンサを大容量化、高耐圧化すると、平滑コンデンサ体格の増大につながる。また、スイッチング素子等の電力変換回路の構成部品の高耐圧化も必要となり、電力変換回路の小型化及び低コスト化の障害となる。限られた車両スペースに配置する必要がある電気自動車用の電力変換回路にとって、小型化への障害は大きな課題である。
そこで、上述した課題を解決するために、交流回転電機から電力変換回路に流入する回生電力を発熱させて消費する放電回路を接続し、母線に供給される回生電力を放電回路で消費する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。この方法によれば、母線直流電圧の上昇は抑制できるが、放電回路を設ける分、電力変換回路のサイズが大きくなる。特に、放電回路で消費すべき回生電力が大きいと、その電力に見合う大型の素子、抵抗、放熱装置が必要となり、電力変換回路の大型化及び高コスト化につながる。
また、電力変換回路が直流電源から切り離された場合に、過電圧を避けるための異なる対策として、電力変換回路の全ての相の高電位側のスイッチング素子、又は全ての相の低電位側のスイッチング素子のオンし、3相の巻線の端子を互いに短絡させる3相短絡制御を実施することで、母線に回生電力を供給しない方法がある(例えば、特許文献2)。
ところが、この3相短絡制御が実行されると、3相の巻線に蓄積されたエネルギー等によって、3相の巻線に流れる電流が急峻に上昇し、3相の巻線に過電流が流れる場合がある。このような過電流は、スイッチング素子の故障、導体の発熱による故障、永久磁石の不可逆減磁などを生じ得る。
この問題を解決するために、例えば、特許文献3においては、交流回転電機の回転速度に基づいて、全スイッチオフ制御と3相短絡制御を使い分けることが提案されている。
或いは、この問題を解決するために、特許文献4においては、巻線電流の最大電流値を設定し、巻線電流が最大電流値未満になるように制御する方法が提案されている。この特許文献4の制御では、永久磁石温度に対応する不可逆減磁の発生電流値、及び3相短絡時に発生する過渡的な電流の第1の組と、永久磁石温度に対応する不可逆減磁の発生磁界の強さ、及び3相短絡時に発生する永久磁石の減磁界の強さの第2の組と、のいずれか一方の組に基づいて、巻線電流の最大電流値が、回転速度ごとに設定される。
或いは、この問題を解決するために、特許文献5においては、3相短絡制御の実行前に3相短絡制御の実行後の電流値を見積もり、その見積もり値が永久磁石を減磁させないと判定した場合に、3相短絡制御を実施する方法が提案されている。
特開2010-110099号公報 特開平9-47055号公報 特開2017-147806号公報 特開2014-54064号公報 特開2019-062589号公報
特許文献3の技術では、前述したように、母線直流電圧の上昇、及び各相の相電流の上昇を抑制し、電力変換回路及び交流回転電機の故障を防止するために、回転速度に基づいて、全スイッチオフ制御と3相短絡制御とを選択して使い分けている。このような使い分けは、そのいずれかにより、過電流と過電圧の双方を回避可能な場合にのみ実行できるものである。そのため、全スイッチオフ制御を実行すると、母線直流電圧の上昇が過大となり、かつ、3相短絡制御を実行すると各相の相電流の上昇が過大となる場合では、いずれの処理を選択しても、過電圧及び過電流の一方を、避けることができないといった課題があった。
特許文献4の技術では、前述したように、第1の組と第2の組とのうちのいずれか一方の組に基づいて、巻線電流の最大電流値が、回転速度ごとに設定されており、巻線電流が最大電流値未満になるように電流が制御されるため、交流回転電機が所望の要求トルクを出力できなくなり、その結果、この装置を電気自動車に適用した場合には、所望の加減速特性が得られないといった課題があった。
特許文献5の技術では、前述したように、3相短絡制御の実行前に3相短絡制御の実行後の電流値を見積もり、その見積もり値が永久磁石を減磁させないと判定した場合に、3相短絡制御を実施する。しかし、この判定により、3相短絡制御の実行開始が遅れる。そのため、交流回転電機の回生電力を直流電源に回生できない回生異常状態においては、3相短絡制御の実行開始を遅らせている間に、母線直流電圧が上昇し、過電圧により平滑コンデンサ及びスイッチング素子などの電力変換回路が故障する可能性がある。そのため、3相短絡制御の実行開始を遅らせている間に、母線直流電圧が上限値を超えた場合は、3相短絡制御によって永久磁石が減磁するような状況であっても、母線直流電圧の上昇による装置の故障を防止するため、3相短絡制御を開始せざるを得ず、永久磁石の減磁などを十分に防止できないといった課題があった。
そこで、本願は、装置の大型化及び高コスト化を抑制しつつ、母線直流電圧が増加した場合に、母線直流電圧の増加及び各相の相電流の増加を同時に抑制することができる交流回転電機の制御装置を提供することを目的とする。
本願に係る第1の交流回転電機の制御装置は、
直流電源と交流回転電機との間に接続された電力変換回路を介して、前記交流回転電機を制御する交流回転電機の制御装置であって、
前記交流回転電機が発生した回生電力を、前記直流電源に回生させることができない回生異常状態であるか、回生させることができる回生正常状態であるかを判定する回生異常判定部と、
前記回生正常状態であると判定された場合に、電圧指令値を算出する基本制御値演算部と、
前記回生異常状態であると判定された場合に、前記交流回転電機に供給される交流電圧と交流電流との位相差の余弦値である力率が、目標力率になる前記電圧指令値、電流検出値に基づいて算出する力率調整部と、
前記電圧指令値に基づいて前記電力変換回路のスイッチング素子をオンオフ制御するスイッチング制御部と、
を備えたものである。
本願に係る第2の交流回転電機の制御装置は、
直流電源と交流回転電機との間に接続された電力変換回路を介して、前記交流回転電機を制御する交流回転電機の制御装置であって、
前記直流電源に接続される前記電力変換回路の接続線の直流電圧を検出する電圧検出部と、
前記直流電圧の検出値に基づいて目標力率又は力率の目標範囲を設定し、前記交流回転電機に供給される交流電圧と交流電流との位相差の余弦値である力率が、前記目標力率又は前記力率の目標範囲内になる電圧指令値、電流検出値に基づいて算出する力率調整部と、
前記電圧指令値に基づいて前記電力変換回路のスイッチング素子をオンオフ制御するスイッチング制御部と、
を備えたものである。
本願に係る第1の交流回転電機の制御装置によれば、交流回転電機が発生した回生電力を直流電源に回生させることが不可能な回生異常状態である場合に、力率を、回生異常状態に適した目標力率に変化させることができ、直流電源に回生させることができない回生電力により、母線直流電圧が増加することを抑制できると共に、各相の相電流が増加することを抑制できる。よって、過電圧及び過電流の対策のために、装置が大型化及び高コスト化することを抑制できる。
本願に係る第2の交流回転電機の制御装置によれば、母線直流電圧の検出値に適した力率に変化させることができる。例えば、高調波成分又はセンサ誤差等の何らかの要因で、母線直流電圧の検出値が上昇している場合に、力率を0よりも増加させることより、消費電力を増加させて、母線直流電圧を低下させることができる。逆に、母線直流電圧の検出値が低下している場合に、力率を0よりも減少させることより、回生電力を増加させて母線直流電圧を増加させることができる。力率を調整することで、母線直流電圧の増加、及び各相の相電流の増加を抑制できる。よって、過電圧及び過電流の対策のために、装置が大型化及び高コスト化することを抑制できる。
実施の形態1に係る交流回転電機、電力変換回路、及び交流回転電機の制御装置の概略構成図である。 実施の形態1に係る交流回転電機の制御装置の概略ブロック図である。 実施の形態1に係る交流回転電機の制御装置のハードウェア構成図である。 実施の形態1に係る位相進み側及び位相遅れ側の力率を説明する図である。 実施の形態1に係る位相進み側の力率ゼロを説明する図である。 実施の形態1に係る位相遅れ側の力率ゼロを説明する図である。 実施の形態1に係る力率ゼロ制御と他の制御とを説明するための図である。 実施の形態1に係る力率ゼロ制御と他の制御とを説明するための図である。 実施の形態1に係る力率調整部の処理を説明するためのフローチャートである。 実施の形態1に係る特殊指令生成部の処理を説明するためのフローチャートである。 実施の形態2に係る力率調整部の処理を説明するためのフローチャートである。 実施の形態2に係る目標力率の設定を説明するための図である。 実施の形態3に係る力率上限値及び力率下限値の設定を説明するための図である。 実施の形態3に係る力率の設定を説明するための図である。 実施の形態3に係る力率調整部の処理を説明するためのフローチャートである。
1.実施の形態1
以下、実施の形態1に係る交流回転電機の制御装置60(以下、単に、制御装置60と称す)について図面を参照して説明する。図1は、交流回転電機10、電力変換回路20、及び制御装置60の概略構成図である。図2は、制御装置60の概略ブロック図である。
1-1.交流回転電機10
交流回転電機10は、複数相の巻線を設けたステータと、ロータと、を有している。本実施の形態では、U相、V相、W相の3相の巻線Cu、Cv、Cwが設けられている。3相巻線Cu、Cv、Cwは、スター結線とされている。なお、3相巻線は、デルタ結線とされてもよい。交流回転電機10は、永久磁石式の同期交流回転電機とされており、ロータに永久磁石が設けられている。なお、交流回転電機10は、ロータに電磁石が設けられた界磁巻線型の同期交流回転電機であってもよく、ロータに鉄心が設けられた誘導交流回転電機であってもよい。交流回転電機10は、少なくとも、回生動作をするように構成されている。本実施の形態では、交流回転電機10は、回生動作及び力行動作の双方をするように構成されている。
ロータには、ロータの回転角度を検出するための回転センサ30が設けられている。回転センサ30の出力信号は、制御装置60に入力される。回転センサ30には、ホール素子、レゾルバ、又はエンコーダ等の各種のセンサが用いられる。回転センサ30が設けられず、後述する電流指令値に高調波成分を重畳することによって得られる電流情報等に基づいて、回転角度(磁極位置)を推定するように構成されてもよい(いわゆる、センサレス方式)。
1-2.電力変換回路20
電力変換回路20は、直流電源71と交流回転電機10との間に接続されている。電力変換回路20は、直流電力と交流電力とを変換する電力変換器である。電力変換回路20は、交流の1相分について、高電位側のスイッチング素子31と低電位側のスイッチング素子32との直列回路を有している。具体的には、電力変換回路20は、直流電力が流れる高電位側の母線1aに接続された高電位側のスイッチング素子31と直流電力が流れる低電位側の母線1bに接続された低電位側のスイッチング素子32とが直列に接続された直列回路を各相の巻線に対応して3組備えている。各組の直列回路では、高電位側のスイッチング素子31と低電位側のスイッチング素子32との接続点が、各相の巻線に接続される交流電線2に接続されている。
高電位側の母線1aは、直流電源71の高電位側に接続され、低電位側の母線1bは、直流電源71の低電位側に接続されている。また、3相の巻線に対応して、3組の直列回路が設けられている。
具体的には、U相の直列回路では、U相の高電位側のスイッチング素子31uとU相の低電位側のスイッチング素子32uとが直列に接続され、2つのスイッチング素子の接続点が、U相の交流電線2uを介してU相の巻線Cuに接続されている。V相の直列回路では、V相の高電位側のスイッチング素子31vとV相の低電位側のスイッチング素子32vとが直列に接続され、2つのスイッチング素子の接続点がV相の交流電線2vを介してV相の巻線Cvに接続されている。W相の直列回路では、Wの高電位側のスイッチング素子31wとW相の低電位側のスイッチング素子32wとが直列に接続され、2つのスイッチング素子の接続点がW相の交流電線2wを介してW相の巻線Cwに接続されている。
スイッチング素子には、ダイオードが逆並列接続されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、逆並列接続されたダイオードの機能を有するMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、ダイオードが逆並列接続されたバイポーラトランジスタ等が用いられる。各スイッチング素子のゲート端子は、ゲート駆動回路等を介して、制御装置60に接続されている。各スイッチング素子は、制御装置60から出力される制御信号によりオン又はオフされる。
本実施の形態では、スイッチング素子は、ワイドバンドギャップ半導体を用いて形成されている。例えば、ワイドバンドギャップ半導体は、SiC(シリコンカーバイド、炭化珪素)系材料、GaN(窒化ガリウム)系材料、ダイヤモンド系材料などである。なお、スイッチング素子は、従来のSi(シリコン)半導体を用いて形成されてもよい。
平滑コンデンサ21が、高電位側の母線1aと低電位側の母線1bとの間に接続されている。直流電源71に接続される電力変換回路20の接続線(母線)の直流電圧Vpn(以下、母線直流電圧Vpnと称す)を検出する電圧センサ24が備えられている。電圧センサ24は、高電位側の母線1aと低電位側の母線1bとの間に接続されている。なお、母線直流電圧Vpnは、平滑コンデンサ21の両端子の電圧に相当する。電圧センサ24の出力信号は、制御装置60に入力される。
各組の直列回路(本例では、各相の直列回路)を流れる電流を検出する電流センサ26が備えられている。本実施の形態では、各相の電流センサ26u、26v、26wは、各相の直列回路と各相の巻線とをつなぐ各相の交流電線2u、2v、2w上に設けられている。電流センサ26は、シャント抵抗又はホール素子等の電流センサとされる。各相の電流センサ26の出力信号は、制御装置60に入力される。なお、各相の電流センサ26は、各相の直列回路に備えられてもよい。
直流電源71には、充放電可能な蓄電装置(例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、電気二重層キャパシタ)が用いられる。なお、直流電源71には、直流電圧を昇圧したり降圧したりする直流電力変換器であるDC-DCコンバータが設けられてもよい。また、直流電源71には、交流電源の交流電力を直流電力に変換する整流器又はAC/DCコンバータが設けられてもよい。
直流電源71と電力変換回路20(母線1a、1b)との接続経路には、接続をオンオフする電源開閉器70が設けられている。
1-3.制御装置60
制御装置60は、電力変換回路20を介して、交流回転電機10を制御する。図2に示すように、制御装置60は、電流検出部61、電圧検出部62、回転検出部63、基本制御値演算部64、力率調整部65、スイッチング制御部66、及び回生異常判定部67等を備えている。制御装置60の各機能は、制御装置60が備えた処理回路により実現される。具体的には、制御装置60は、図3に示すように、処理回路として、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置90(コンピュータ)、演算処理装置90とデータのやり取りする記憶装置91、演算処理装置90に外部の信号を入力する入力回路92、及び演算処理装置90から外部に信号を出力する出力回路93等を備えている。
演算処理装置90として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、IC(Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、各種の論理回路、及び各種の信号処理回路等が備えられてもよい。また、演算処理装置90として、同じ種類のもの又は異なる種類のものが複数備えられ、各処理が分担して実行されてもよい。記憶装置91として、演算処理装置90からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(Random Access Memory)、演算処理装置90からデータを読み出し可能に構成されたROM(Read Only Memory)等が備えられている。入力回路92は、電圧センサ24、電流センサ26、及び回転センサ30等の各種のセンサが接続され、これらセンサの出力信号を演算処理装置90に入力するA/D変換器等を備えている。出力回路93は、スイッチング素子をオンオフ駆動するゲート駆動回路等の電気負荷が接続され、これらの電気負荷に演算処理装置90から制御信号を出力する駆動回路等を備えている。
そして、制御装置60が備える図2の各制御部61~67等の各機能は、演算処理装置90が、ROM等の記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行し、記憶装置91、入力回路92、及び出力回路93等の制御装置60の他のハードウェアと協働することにより実現される。なお、各制御部61~67等が用いる各設定データは、ROM等の記憶装置91に記憶されている。以下、制御装置60の各機能について詳細に説明する。
1-3-1.電流検出部61
電流検出部61は、3相の巻線に流れる電流Ius、Ivs、Iwsを検出する。本実施の形態では、電流検出部61は、電流センサ26の出力信号に基づいて、各相の直列回路から各相の巻線Cu、Cv、Cwに流れる電流Ius、Ivs、Iwsを検出する。ここで、Iusが、U相の電流検出値であり、Ivsが、V相の電流検出値であり、Iwsが、W相の電流検出値である。なお、電流センサ26が2相の電流を検出するように構成され、残りの1相の電流が、2相の電流の検出値に基づいて算出されてもよい。例えば、電流センサ26が、V相及びW相の電流Ivs、Iwsを検出し、U相の電流Iusが、Ius=-Ivs-Iwsにより算出されてもよい。
1-3-2.電圧検出部62
電圧検出部62は、直流電源71から電力変換回路20の接続線(母線)に供給される母線直流電圧Vpnを検出する。本実施の形態では、電圧検出部62は、電圧センサ24の出力信号に基づいて、母線直流電圧Vpnを検出する。
1-3-3.回転検出部63
回転検出部63は、電気角でのロータの回転角度θ(ロータの磁極位置θ)及び回転角速度ωを検出する。本実施の形態では、回転検出部63は、回転センサ30の出力信号に基づいて、電気角での回転角度θ(磁極位置θ)及び回転角速度ωを検出する。回転角度θは、U相の巻線を基準にした、電気角でのN極(磁極)の角度(位置)である。
なお、回転検出部63は、電流指令値に高調波成分を重畳することによって得られる電流情報等に基づいて、回転センサを用いずに、回転角度θ(磁極位置θ)を推定するように構成されてもよい(いわゆる、センサレス方式)。
1-3-4.基本制御値演算部64
基本制御値演算部64は、回生正常状態である場合の制御値を算出する。本実施の形態では、基本制御値演算部64は、制御値として、d軸の電圧指令値Vdo及びq軸の電圧指令値Vqoを算出する。d軸は、ロータのN極(磁極位置θ)の方向に定められ、q軸は、d軸より回転方向に電気角で90度進んだ方向に定められる。d軸及びq軸の回転座標系は、電気角でのロータの磁極位置θ(回転角度θ)に同期して回転する、d軸及びq軸からなる2軸の回転座標である。
基本制御値演算部64は、電流指令算出部64a、電流変換部64b、及び電流制御部64cを備えている。
電流指令算出部64aは、d軸の電流指令値Ido及びq軸の電流指令値Iqoを算出する。例えば、電流指令算出部64aは、最大トルク電流制御、弱め磁束制御、Id=0制御等のベクトル制御を用い、トルク指令値To、回転角速度ω、及び母線直流電圧の検出値Vpns等に基づいて、d軸の電流指令値Ido及びq軸の電流指令値Iqoを算出する。
電流変換部64bは、3相の電流検出値Ius、Ivs、Iwsを、磁極位置θに基づいて、公知の3相2相変換及び回転座標変換を行って、d軸の電流検出値Ids及びq軸の電流検出値Iqsに変換する。
電流制御部64cは、d軸の電流検出値Idsがd軸の電流指令値Idoに近づき、q軸の電流検出値Iqsがq軸の電流指令値Iqoに近づくように、d軸の電圧指令値Vdo及びq軸の電圧指令値Vqoを、PI制御等により変化させる電流フィードバック制御を行う。なお、d軸電流とq軸電流の非干渉化のため等のフィードフォワード制御が行われてもよい。また、電流制御部64cは、d軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoに基づいて、公知のフィードフォワード制御によりd軸の電圧指令値Vdo及びq軸の電圧指令値Vqoを算出してもよい。
1-3-5.スイッチング制御部66
スイッチング制御部66は、制御値に基づいて電力変換回路20のスイッチング素子をオンオフ制御する。後述するように、回生異常判定部67により回生異常状態であると判定された場合は、力率調整部65により算出された制御値に基づいて、スイッチング素子をオンオフ制御する。一方、回生異常判定部67により回生正常状態であると判定された場合は、基本制御値演算部64により算出された制御値に基づいて、スイッチング素子をオンオフ制御する。
本実施の形態では、上述したように、制御値として、d軸の電圧指令値Vdo及びq軸の電圧指令値Vqoが用いられる。スイッチング制御部66は、電圧変換部66a、PWM制御部66b、及び特殊指令生成部66cを備えている。
<電圧変換部66a>
電圧変換部66aは、力率調整部65から出力された調整後のd軸の電圧指令値Vdoadj及びq軸の電圧指令値Vqoadjを、磁極位置θに基づいて、公知の固定座標変換及び2相3相変換を行って3相の交流電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoを算出する。なお、3相の交流電圧指令値に対して2相変調、3次高調波重畳等の公知の変調が加えられてもよい。
<特殊指令生成部66c>
特殊指令生成部66cは、電流変換部64bが算出したd軸の電流検出値Ids及びq軸の電流検出値Iqs、及び回生異常判定部67が判定した回生異常判定結果に基づいて、特殊スイッチ処理指令を生成する。
具体的には、特殊指令生成部66cは、回生異常判定結果が回生正常状態である場合は、特殊スイッチ処理指令として特殊スイッチ処理不実行指令を生成し、回生異常判定結果が回生異常状態である場合は、特殊スイッチ処理不実行指令、全スイッチオフ制御実行指令、及び3相短絡制御実行指令のいずれかを、後述の方法に従って選択し、選択した指令を特殊スイッチ処理指令として生成する。
<特殊スイッチ処理不実行時のPWM制御部66b>
PWM制御部66bは、特殊指令生成部66cから特殊スイッチ処理指令として特殊スイッチ処理不実行指令が出力されている場合は、各相の交流電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoに基づいて、PWM制御により、各相の直列回路の高電位側のスイッチング素子31及び低電位側のスイッチング素子32をオンオフする。PWM制御部66bは、PWM制御として、公知のキャリア比較PWM制御、又は空間ベクトルPWM制御等を用いる。
キャリア比較PWM制御が用いられる場合は、PWM制御部66bは、キャリア波と各相の交流電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoとを比較し、比較結果に基づいて、各相の高電位側及び低電位側のスイッチング素子をオンオフする制御信号を生成する。キャリア波は、PWM周期で、母線直流電圧の中心値Vpn/2を中心に母線直流電圧の中心値Vpn/2の振幅で振動する三角波とされている。
例えば、スイッチング制御部66は、各相について、キャリア波が電圧指令値を下回った場合は、高電位側のスイッチング素子31の制御信号をオンし、低電位側のスイッチング素子32の制御信号をオフし、キャリア波が電圧指令値を上回った場合は、高電位側のスイッチング素子31の制御信号をオフし、低電位側のスイッチング素子32の制御信号をオンする。
空間ベクトルPWM制御が用いられる場合は、スイッチング制御部66は、3相の交流電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoから電圧指令ベクトルを生成し、電圧指令ベクトルに基づいて、PWM周期における7つの基本電圧ベクトルの出力時間配分を決定し、7つの基本電圧ベクトルの出力時間配分に基づいて、PWM周期で各スイッチング素子をオンオフする制御信号を生成する。
<特殊スイッチ処理実行時のPWM制御部66b>
PWM制御部66bは、特殊指令生成部66cから特殊スイッチ処理指令として全スイッチオフ制御実行指令が出力されている場合は、全ての相の直列回路について高電位側のスイッチング素子31及び低電位側のスイッチング素子32をオフする。
PWM制御部66bは、特殊指令生成部66cから特殊スイッチ処理指令として3相短絡制御実行指令が出力されている場合は、全ての相の直列回路について高電位側のスイッチング素子31をオフすると共に低電位側のスイッチング素子32をオンする、又は全ての相の直列回路について高電位側のスイッチング素子31をオンすると共に低電位側のスイッチング素子32をオフする。
1-3-6.回生異常判定部67
回生異常判定部67は、交流回転電機10が発生した回生電力を、直流電源71に回生させることができない回生異常状態であるか、回生させることができる回生正常状態であるかを判定する。回生異常判定部67は、回生正常状態又は回生異常状態の回生異常判定結果を出力する。
本実施の形態では、回生異常判定部67は、電圧センサ24により検出された母線直流電圧の検出値Vpnsに基づいて、回生異常状態であるか、回生正常状態であるかを判定する。例えば、回生異常判定部67は、母線直流電圧の検出値Vpnsが、異常判定値以上である場合は、回生異常状態であると判定し、母線直流電圧の検出値Vpnsが、異常判定値未満である場合は、回生正常状態であると判定する。異常判定値は、直流電源71の定格電圧よりも高い電圧に設定される。直流電源71にDC-DCコンバータが設けられ、直流電源71の直流電圧が可変である場合は、異常判定値は、DC-DCコンバータの目標電圧よりも高い電圧に設定される。
ここで、回生異常状態には、直流電源71に全く回生させることができない状態だけではなく、直流電源71にいくらか回生させることができるが、十分に回生させることができず、母線直流電圧Vpnが異常に増加する状態も含まれる。回生正常状態には、母線直流電圧Vpnが異常に増加しないように、直流電源71に回生させることができる状態が含まれ、直流電源71にいくらか回生させることができていても、母線直流電圧Vpnが異常に増加する状態は含まれない。
例えば、回生異常状態には、直流電源71と電力変換回路20との間に設けられた電源開閉器70が開放状態であり、交流回転電機が発生した回生電力を直流電源71に全く回生(供給)させることができない状態がある。また、回生異常状態には、電源開閉器70が閉状態であるが、直流電源71の蓄電装置が満充電に近い状態である、供給される回生電力が蓄電装置に充電可能な電力を上回っている状態である、蓄電装置に異常があり回生電力を回生できない状態である等がある。
1-3-7.力率調整部65
力率調整部65は、回生異常判定部67により回生異常状態であると判定された場合に、交流回転電機10に供給される交流電圧と交流電流との位相差の余弦値である力率λが、目標力率λoになる制御値を算出する。一方、力率調整部65は、回生異常判定部67により回生異常状態であると判定された場合は、基本制御値演算部64により算出された制御値を変化させずに、そのまま出力する。すなわち、基本制御値演算部64は、回生正常状態であると判定された場合に、制御値を算出する。
力率λをゼロに近づければ、交流回転電機10が発生する回生電力が低下する。この構成によれば、交流回転電機10が発生した回生電力を直流電源71に回生させることが不可能な回生異常状態である場合に、力率λを回生異常状態に適した目標力率λoに変化させることができ、直流電源71に回生させることができない回生電力により、母線直流電圧Vpnが増加することを抑制できる。
本実施の形態では、目標力率λoは、直流電源71に接続される電力変換回路20の接続線(母線1a、1b)の母線直流電圧Vpnが許容上限値より上昇しないような力率λに設定されている。
回生異常状態である場合に、母線直流電圧Vpnが許容上限値より上昇しないようなゼロに近い目標力率λoに変化されるので、力率λの絶対値の低下により交流回転電機10が発生する回生電力を低下させることができ、直流電源71に回生させることができない回生電力により、母線直流電圧Vpnが増加することを抑制できる。よって、高電位側の母線1aと低電位側の母線1bとの間に接続された、平滑コンデンサ21及びスイッチング素子などの故障を抑制できる。また、従来技術のような、3相の巻線の端子を相互に短絡させる3相短絡制御では、発生した回生電力は、電力変換回路20を介して3相の巻線を循環するため、母線直流電圧Vpnの増加を抑制できるが、3相の巻線を電流が循環するため、過電流により交流回転電機10又は電力変換回路20が故障する可能性がある。一方、本願に係る力率λの低減では、回生電力そのものを低減し、交流回転電機10及び電力変換回路20に流れる電流を低減することができるため、過電流により交流回転電機10又は電力変換回路20が故障すること抑制できる。
母線直流電圧Vpnの許容上限値は、平滑コンデンサ21及びスイッチング素子などの故障が発生しない電圧であり、母線1a、1bに接続された各部品(例えば、平滑コンデンサ21、スイッチング素子、直流電源71等)の耐電圧以下に予め設定された電圧である。
本実施の形態では、目標力率λoは、0に設定されている。
この構成によれば、回生異常状態である場合に、力率λがゼロに変化されるので、回生電力をゼロ付近まで低下させることができ、回生電力による母線直流電圧Vpnの上昇を大幅に抑制できる。よって、高電位側の母線1aと低電位側の母線1bとの間に接続された、平滑コンデンサ21及びスイッチング素子などの故障をより確実に抑制できる。
なお、目標力率λoは、必ずしもゼロまで低下されなくてもよく、目標力率λoは、母線直流電圧Vpnが許容上限値より上昇しないような範囲内の力率λに設定されてもよい。
本実施の形態では、上述したように、制御値として、d軸の電圧指令値Vdo及びq軸の電圧指令値Vqoが用いられる。力率調整部65は、回生異常判定部67により回生異常状態であると判定された場合に、力率λが、目標力率λoになる調整後のd軸の電圧指令値Vdoadj及びq軸の電圧指令値Vqoadjを算出する。一方、力率調整部65は、回生異常判定部67により回生正常状態であると判定された場合に、基本制御値演算部64により算出されたd軸及びq軸の電圧指令値Vdo、Vqoを、そのまま、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjとして算出する。
以下では、回生異常状態であると判定された場合の処理について説明する。
<力率λ>
上記のように、力率λは、交流回転電機10に供給される交流電圧と交流電流との位相差の余弦値である。ここで、交流電圧及び交流電流は、電気角の回転周波数の交流成分を指す。よって、交流回転電機10に供給される交流電圧及び交流電流に高調波成分が含まれる場合であっても、力率λは、電気角の回転周波数の交流電圧成分と、電気角の回転周波数の交流電流成分との位相差の余弦値である。
d軸及びq軸の電流とd軸及びq軸の電圧は、電気角でのロータの磁極位置θ(回転角度θ)に同期して回転するd軸及びq軸の回転座標系上の値であり、電気角の回転周波数の交流成分が直流成分で表される。d軸及びq軸の電流とd軸及びq軸の電圧とに高調波成分が含まれない場合は、交流電圧及び交流電流に高調波成分が含まれないことを表す。高調波成分が含まれない場合は、d軸及びq軸の電流のベクトルと、d軸及びq軸の電圧のベクトルとのなす角度(位相差)は、電気角の回転周波数の交流電流成分と電気角の回転周波数の交流電圧成分との位相差に一致し、d軸及びq軸の電流のベクトルとd軸及びq軸の電圧のベクトルと内積が力率λに一致する。
<位相進み側と位相遅れ側の選択>
図4に示すように、力率λが1又は-1である場合を除き、力率λには、位相遅れ側の力率と位相進み側の力率がある。位相進み側の力率は、交流電流の位相(d軸及びq軸の電流のベクトルIvtの位相)に対して、電気角で0度から+180度の範囲で、交流電圧の位相(d軸及びq軸の電圧のベクトルVvtの位相)が進んでいる力率λであり、位相進みが+90度である場合に、力率λがゼロになる(位相進み側の力率ゼロと称す)。位相遅れ側の力率は、交流電流の位相(d軸及びq軸の電流のベクトルIvtの位相)に対して、電気角で0度から-180度の範囲で、交流電圧の位相(d軸及びq軸の電圧のベクトルVvtの位相)が遅れている力率λであり、位相遅れが-90度である場合に、力率λがゼロになる(位相遅れ側の力率ゼロと称す)。
力率調整部65は、力率λを目標力率λoに変化させるために、交流電流の位相に対して交流電圧の位相を位相進みさせる変化方向と、交流電流の位相に対して交流電圧の位相を位相遅れさせる変化方向との、いずれか過電流がより減少するほうを選択して、選択した変化方向の目標力率λoになる制御値を算出する。また、力率調整部65は、過電流をより減少できる電圧振幅を決定する。位相進み側の力率と位相遅れ側の力率とのいずれが適切であるかと、適切な電圧振幅は、回転速度、d軸の電流値、q軸の電流値等の運転状態によって定まる。
例えば、力率調整部65は、回転速度、d軸の電流値、及びq軸の電流値を含む運転状態と、位相進み側の力率と位相遅れ側の力率とのいずれか最適な方との関係が予め設定された選択マップデータを参照し、現在の回転速度、現在のd軸の電流検出値Ids、及び現在のq軸の電流検出値Iqsに対応する、位相進み側の力率と位相遅れ側の力率とのいずれか最適な方を決定する。力率調整部65は、回転速度、d軸の電流値、及びq軸の電流値を含む運転状態と、適切な電圧振幅との関係が予め設定された電圧振幅マップデータを参照し、現在の回転速度、現在のd軸の電流検出値Ids、及び現在のq軸の電流検出値Iqsに対応する、適切な電圧振幅を決定する。
これらのマップデータは、予めFEM解析などの手法を用いて設定され、ROM等の記憶装置91に記憶される。マップデータとして、近似式が用いられてもよい。
回転速度が、交流回転電機10の巻線抵抗とインダクタンスに応じて定まる所定の回転速度に比べて極端に遅い場合を除き、位相進み側の力率と位相遅れ側の力率のうち、過電流が減少する側は、固定子鎖交磁束が減少する側と概ね一致する。よって、力率調整部65は、力率λを目標力率λoに変化させるために、位相進みさせる変化方向と、位相遅れさせる変化方向との、いずれか電機子鎖交磁束がより減少するほうを選択して、選択した変化方向の目標力率λoになる制御値を算出する。
具体的には、力行状態である場合には、位相進み側の力率が適切であり、回生状態である場合には位相遅れ側の力率が適切である。ここで、力行状態であるとは、回転方向に対して正のトルクを出力するような電磁力が発生している場合であり、q軸電流が正である。回生状態であるとは、回転方向に対して負のトルクを出力するような電磁力が発生している場合であり、q軸電流が負である。なお、q軸は、d軸より回転方向に電気角で90度進んだ方向に定められる。
本実施の形態では、力率調整部65は、電流検出値の位相に対して電圧指令値の位相が、目標力率λoに対応する角度だけ進む又は遅れる電圧指令値を算出する。この構成によれば、電流検出値に基づいて、実際の力率λが目標力率λoになる電圧指令値を精度よく算出することができる。本実施の形態では、目標力率λoがゼロに設定されているので、電流検出値の位相に対して電圧指令値の位相が、+90度だけ進む、又は-90度だけ遅れる電圧指令値が算出される。
力率調整部65は、q軸の電流検出値Iqsが正であり、力行状態である場合は、位相進み側の力率を選択する。そして、図5に示すように、力率調整部65は、d軸及びq軸の電流検出値Ids、Iqsの電流ベクトルIvtsの位相に対して、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjの電圧ベクトルVvtadjの位相が、ゼロの目標力率λoに対応する+90度だけ進むd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjを算出する。
例えば、力率調整部65は、式(1)を用い、d軸及びq軸の電流検出値Ids、Iqs、及び母線直流電圧の検出値Vpnsに基づいて、位相遅れ側の力率ゼロになる調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjを算出する。式(1)からわかるように、q軸の電流検出値Iqsの正負反転値に応じた値が、調整後のd軸の電圧指令値Vdoadjに設定され、d軸の電流検出値Idsに応じた値が、調整後のq軸の電圧指令値Vqoadjに設定される。よって、図5に示すように、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値のベクトルVvtadjは、d軸及びq軸の電流検出値のベクトルIvtsに対して、位相が+90度だけ進み、位相進み側の力率ゼロが設定される。また、式(1)からわかるように、力率調整部65は、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値の電圧ベクトルの大きさ(交流電圧の電圧振幅に対応)が、母線直流電圧の検出値Vpnsになるように、d軸の電流検出値Ids、q軸の電流検出値Iqs、及び母線直流電圧の検出値Vpnsに基づいて、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjを算出している。
Figure 0007446358000001
本実施の形態では、力率調整部65は、q軸の電流検出値Iqsが負であり、回生状態である場合は、位相遅れ側の力率を選択する。そして、図6に示すように、力率調整部65は、d軸及びq軸の電流検出値Ids、Iqsの電流ベクトルIvtsの位相に対して、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjの電圧ベクトルVvtadjの位相が、ゼロの目標力率λoに対応する-90度だけ遅れるd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjを算出する。
例えば、力率調整部65は、式(2)を用い、d軸及びq軸の電流検出値Ids、Iqs、及び母線直流電圧の検出値Vpnsに基づいて、位相遅れ側の力率ゼロになる調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjを算出する。式(2)からわかるように、q軸の電流検出値Iqsに応じた値が、調整後のd軸の電圧指令値Vdoadjに設定され、d軸の電流検出値Idsの正負反転値に応じた値が、調整後のq軸の電圧指令値Vqoadjに設定される。よって、図6に示すように、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値のベクトルVvtadjは、d軸及びq軸の電流検出値のベクトルIvtsに対して、位相が-90度だけ遅れ、位相遅れ側の力率ゼロが設定される。また、式(2)からわかるように、力率調整部65は、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値の電圧ベクトルの大きさ(交流電圧の電圧振幅に対応)が、母線直流電圧の検出値Vpnsになるように、d軸の電流検出値Ids、q軸の電流検出値Iqs、及び母線直流電圧の検出値Vpnsに基づいて、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjを算出している。
Figure 0007446358000002
なお、位相進み側又は位相遅れ側で力率λがゼロになれば、式(1)及び式(2)以外の演算方法により、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjが算出されてもよい。また、調整後の電圧指令値の電圧ベクトルの大きさ(交流電圧の電圧振幅に対応)が、母線直流電圧の検出値Vpnsに設定されなくてもよく、適切な任意の値に設定されてもよい。また、目標力率λoの絶対値が0よりも大きい値に設定されてもよい。この場合は、実施の形態2の式(5)及び式(6)が用いられればよい。
<制御挙動>
図7に、回生異常状態において、本実施の形態に係る力率低減制御を行った場合と、従来の3相短絡制御及び全スイッチオフ制御を行った場合とについて、d軸の電流値Id及びq軸の電流値Iqの時間変化を、d軸及びq軸の回転座標系上に示す。また、図8に、図7に対応する母線直流電圧Vpnの時間変化を示す。
3相短絡制御時では、母線直流電圧Vpnの上昇は抑制できているものの、電流は、発生した回生電力が3相の巻線を電流が循環し、d軸の電流値Idに負方向の大電流が流れている。負方向のd軸の大電流による交流回転電機10の永久磁石の減磁、大電流による巻線の故障、及び大電流によるスイッチング素子の故障などを生じ得る。
全スイッチオフ制御時では、3相短絡制御よりも電流の増加が抑制できているものの、電力変換回路20は全波整流器として機能し、回生電力が直流電源71側に供給され、母線直流電圧Vpnが上昇している。電圧上昇により、平滑コンデンサ21、直流電源71、及びスイッチング素子等の故障を生じ得る。
このように、3相短絡制御及び全スイッチオフ制御では、電流の増加抑制と、電圧の上昇抑制とが両立しない。
本実施の形態に係る力率ゼロ制御では、回生電力そのものをゼロ付近まで低減できるため、他の制御に比べて、電流の増加を大幅に抑制できており、母線直流電圧Vpnの上昇も抑制できている。すなわち、電流の増加抑制と、電圧の上昇抑制とを両立できている。よって、大電流及び電圧上昇による交流回転電機10、電力変換回路20、及び直流電源71の故障の発生を抑制できる。
<フローチャート>
図9のフローチャートを参照しながら、本実施の形態に係る力率調整部65等の詳細な処理について説明する。図9のフローチャートの処理は、例えば、所定の演算周期ごとに繰り返し実行される。
ステップS101で、上述したように、力率調整部65は、回生異常判定部67により回生正常状態であると判定されている場合は、ステップS102に進み、回生正常状態であると判定されている場合は、ステップS105に進む。ステップS105で、力率調整部65は、基本制御値演算部64により算出されたd軸の電圧指令値Vdo及びq軸の電圧指令値Vqoを、そのまま調整後の電圧指令値Vdoadj及びq軸の電圧指令値Vqoadjとして出力する。
一方、ステップS102で、上述したように、力率調整部65は、位相進み側の力率と位相遅れ側の力率とのいずれを選択するかを判定する。本実施の形態では、力率調整部65は、q軸の電流検出値Iqsが正である場合は、位相進み側の力率を選択し、ステップS103に進み、q軸の電流検出値Iqsが負である場合は、位相遅れ側の力率を選択し、ステップS104に進む。
ステップS103では、上述したように、力率調整部65は、位相進み側の力率(本例では、位相進み側の力率ゼロ)になるように、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjを設定する。本実施の形態では、式(1)が用いられる。
ステップS104では、上述したように、力率調整部65は、位相遅れ側の力率(本例では、位相遅れ側の力率ゼロ)になるように、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjを設定する。本実施の形態では、式(2)が用いられる。
<力率低減制御と、他の異常時制御との切り替え>
交流回転電機10の用途によっては、本実施の形態に係る力率低減制御と、従来の3相短絡制御及び全スイッチオフ制御とを、運転状態に応じて切り替えると、過電圧及び過電流とは異なる観点からさらに好適となる。以下では、その内容を切り替え方も含めて説明する。
交流回転電機10の用途の一例として、主たる動力源が内燃機関であるハイブリッド車両において、内燃機関と常時回転連結された補助的な動力源としての交流回転電機10が挙げられる。この用途の交流回転電機10では、回生電力を直流電源71側に回生させることができない回生異常状態において、なるべく交流回転電機10に制動トルク(負トルク、回生トルク)を出力させず、かつ、できるかぎりトルク脈動も少なくすることが求められる。
この用途において、車両速度の停止間際など、交流回転電機10の回転速度が十分に遅いという運転状態を考える。交流回転電機10の回転速度が十分に遅いので、回転速度に比例する交流回転電機10の誘起電圧も十分に小さく、全スイッチオフ制御であっても母線直流電圧Vpnの上昇が許容可能な程度に小さいことがある。また、全スイッチオフ制御の開始後、交流回転電機10に流れる電流は速やかにゼロになる。
一方、3相短絡制御、及び力率低減制御では、交流回転電機10に流れる電流は小さいもののゼロにはならず、この電流によって発生するジュール熱などの散逸エネルギーに相当する制動トルクが発生する。また、制動トルクが発生するのみならず、トルク脈動が大きくなることもある。
そのため、交流回転電機10の回転速度が十分に遅い場合、過電圧の観点でも過電流の観点でも、いずれの制御も利用可能であるが、制動トルクをなるべく小さくしたいという観点では、全スイッチオフ制御が好適である。また、トルク脈動をできる限り小さくする観点でも、全スイッチオフ制御が好適である場合がある。
あるいは、最高速度での巡航中など交流回転電機10の回転速度が十分に速いという運転状態を考える。高速で回転する交流回転電機10は誘起電圧が大きくなるため、その誘起電圧を打ち消すために弱め磁束制御が行われることが多い。弱め磁束制御は、d軸の負方向に電機子鎖交磁束を小さくすることで誘起電圧を小さくする制御である。3相短絡制御による最大電流量は、3相短絡制御の開始時の電機子鎖交磁束に概ね比例して大きくなるので、弱め磁束制御により電機子鎖交磁束を十分に小さくしている運転状態では、3相短絡制御により過渡的に流れる最大電流量が永久磁石の減磁などを招かない程度にまで小さく、3相短絡制御が許容可能であることがある。
一方、本実施の形態における力率低減制御では、過渡的に流れる最大電流量は3相短絡制御する場合よりさらに小さくなるものの、力率λを低下させるためにスイッチング素子のオンとオフを高速で切り替え続ける必要がある。このスイッチング切り替えにより電力損失が発生して発熱するため、3相短絡制御よりも損失及び発熱が大きくなることがある。
そのため、電機子鎖交磁束が十分に小さい場合、過電圧の観点でも過電流の観点でも、3相短絡制御及び力率低減制御のいずれの制御も利用可能であるが、3相短絡制御の方が損失及び発熱が小さくなることがあり、この観点で好適となることがあり得る。
上述したような力率低減制御と従来の異常時制御を、運転状態に応じて切り替える方法の一例を、以下で説明する。
回生異常状態における力率低減制御と従来の異常時制御との切り替えの判断は、特殊指令生成部66cで行われる。特殊指令生成部66cは、回生正常状態と判定されている場合、又は力率低減制御を実行したほうが良いと判断する場合には、特殊スイッチ処理指令として特殊スイッチ処理不実行指令を生成する。特殊指令生成部66cは、全スイッチオフ制御を実行したほうが良いと判断する場合には、特殊スイッチ処理指令として全スイッチオフ制御実行指令を生成する。特殊指令生成部66cは、3相短絡制御を実行したほうが良いと判断する場合には、特殊スイッチ処理指令として3相短絡制御実行指令を生成する。
上述したように、PWM制御部66bは、特殊指令生成部66cから出力された特殊スイッチ処理指令に基づいて、スイッチング素子のオンオフ制御方法を切り替える。具体的には、PWM制御部66bは、特殊指令生成部66cから特殊スイッチ処理指令として特殊スイッチ処理不実行指令が出力されている場合は、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjに基づいて算出された各相の交流電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoに基づいて、スイッチング素子をオンオフする。PWM制御部66bは、特殊指令生成部66cから特殊スイッチ処理指令として全スイッチオフ制御実行指令が出力されている場合は、全ての相の直列回路について高電位側のスイッチング素子31及び低電位側のスイッチング素子32をオフする。PWM制御部66bは、特殊指令生成部66cから特殊スイッチ処理指令として3相短絡制御実行指令が出力されている場合は、全ての相の直列回路について高電位側のスイッチング素子31をオフすると共に低電位側のスイッチング素子32をオンする、又は全ての相の直列回路について高電位側のスイッチング素子31をオンすると共に低電位側のスイッチング素子32をオフする。
以下、図10のフローチャートを参照しながら、特殊指令生成部66cの詳細な処理について説明する。図10のフローチャートの処理は、例えば、所定の演算周期ごとに繰り返し実行される。
ステップS201で、特殊指令生成部66cは、回生異常判定部67により回生異常状態であると判定されている場合は、ステップS202に進み、回生異常判定部67により回生正常状態であると判定されている場合は、ステップS206に進む。ステップS206で、特殊指令生成部66cは、特殊スイッチ処理指令として特殊スイッチ処理不実行指令を生成する。
ステップS202で、特殊指令生成部66cは、全スイッチオフ制御を実行するほうが良いか否かを判定する。本実施の形態では、特殊指令生成部66cは、交流回転電機10の回転速度が、回転判定値以下であるか否かを判定し、回転判定値以下である場合は、ステップS203に進み、回転判定値以下でない場合は、ステップS204に進む。回転判定値は、固定値に設定されてもよく、母線直流電圧の検出値Vpns及び永久磁石の温度等に基づいて設定されてもよい。或いは、特殊指令生成部66cは、母線直流電圧の検出値Vpnsが電圧判定値以下である場合は、ステップS203に進み、電圧判定値以下でない場合は、ステップS204に進むように構成されてもよい。或いは、特殊指令生成部66cは、交流回転電機10の回転速度が、回転判定値以下であり、且つ、母線直流電圧の検出値Vpnsが電圧判定値以下である場合に、ステップS203に進み、それ以外の場合は、ステップS204に進むように構成されてもよい。
ステップS203で、特殊指令生成部66cは、特殊スイッチ処理指令として、全スイッチオフ制御実行指令を出力する。
ステップS204で、特殊指令生成部66cは、3相短絡制御を実行するほうが良いか否かを判定する。本実施の形態では、特殊指令生成部66cは、交流回転電機10に流れる電流が電流判定範囲内であるか否かを判定し、電流判定範囲内である場合は、ステップS205に進み、電流判定範囲内でない場合は、ステップS206に進む。或いは、ステップS202の回転速度の条件が用いられず、ステップS204の電流の条件のみにより、3相短絡制御の実行の有無が判定されてもよい。
ステップS205で、特殊指令生成部66cは、特殊スイッチ処理指令として、3相短絡制御実行指令を出力する。ステップS206で、上述したように、特殊指令生成部66cは、特殊スイッチ処理指令として特殊スイッチ処理不実行指令を出力する。
本実施の形態では、ステップS204で、特殊指令生成部66cは、d軸の電流検出値Ids及びq軸の電流検出値Iqsに基づいて、固定子鎖交磁束の大きさ(絶対値)|φ|を算出し、固定子鎖交磁束の大きさ|φ|が、磁束判定値以下である場合に、電流が電流判定範囲内であると判定し、磁束判定値以下でない場合に、電流が電流判定範囲内でないと判定する。
Figure 0007446358000003
ここで、φdは、d軸の固定子鎖交磁束であり、φqは、q軸の固定子鎖交磁束であり、Ldは、d軸のインダクタンスであり、Lqは、q軸のインダクタンスであり、Φmは、磁石磁束である。
<まとめ>
以上のように、本実施の形態によれば、交流回転電機10が発生した回生電力を、直流電源71に回生させることができない回生異常状態であるか否かが判定され、回生異常状態である場合に、力率低減制御が実行されることで、従来の3相短絡制御及び全スイッチオフ制御では、電流の増加抑制と電圧の上昇抑制とが両立しない運転状態であっても、電流の増加抑制と電圧の上昇抑制とを両立させることができる。よって、回生異常状態において、過電流又は過電圧により、平滑コンデンサ21、スイッチング素子、及び交流回転電機10などの故障が発生することを抑制できる。
また、母線直流電圧Vpnの放電抵抗を備える必要がない。また、高い耐電圧を有する高価な平滑コンデンサ及びスイッチング素子を用いる必要がなく、安価で小型な低耐圧品を用いることできる。よって、電力変換回路20の小型化及び低コスト化を図れる。
また、過電流を想定する必要がなくなるため、交流回転電機10の磁石の減磁設計要件が緩和されて、交流回転電機10の小型化及び低コスト化が図れる。スイッチング素子も、過電流を想定する必要がなくなるため、必要なチップ面積、モジュールサイズ、及び放熱部品を小さくでき、小型化及び低コスト化を図れる。
<転用例>
また、上記の実施の形態では、特殊指令生成部66cは、回転速度が回転判定値以下である場合に、全スイッチオフ制御実行指令を生成したが、上記の特定の用途を想定した場合であり、この処理は省略されてもよい。また、特殊指令生成部66cは、電流が電流判定範囲内である場合に、3相短絡制御実行指令を生成したが、上記の特定の用途を想定した場合であり、この処理は省略されてもよい。
また、上記の実施の形態では、回生異常判定部67は、電圧センサ24により検出された母線直流電圧の検出値Vpnsに基づいて、回生異常状態であるかを判定したが、他の方法により、回生異常状態であるかを判定してもよい。例えば、回生異常判定部67は、不図示の車両制御装置などの外部の制御装置から電源開閉器70の開放状態が伝達され、電源開閉器70が開放状態である場合に回生異常状態であると判定してもよい。
スイッチング素子には、各種の素子を用いることができるが、ワイドバンドギャップ半導体を用いて形成されてもよい。例えば、ワイドバンドギャップ半導体は、SiC(シリコンカーバイド、炭化珪素)系材料、GaN(窒化ガリウム)系材料、ダイヤモンド系材料などである。ワイドバンドギャップ半導体を用いたスイッチング素子は、従来のSi(シリコン)半導体を用いたスイッチング素子と比較して、高耐電圧、低損失であり、高周波駆動が可能である特徴がある。この特徴により、例えば高周波駆動により出力電圧の精度を高めるとともに高調波を低減することで、より理想的な力率ゼロに近づけることができ、力率ゼロにするために、高周波のスイッチングを継続してもスイッチング損失を小さくできる。なお、スイッチング素子は、従来のSi(シリコン)半導体を用いて形成されてもよい。
2.実施の形態2
実施の形態2に係る制御装置60について図面を参照して説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る制御装置60、交流回転電機10、及び電力変換回路20の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、力率調整部65の処理の一部が実施の形態1と異なる。
交流回転電機10の電力の主要な周波数成分は、電気角の回転周波数の成分であり、この周波数成分について、力率をゼロにすれば、通常は回生電力が生じない。しかし、相対的に小さいとはいえ、交流回転電機10の電気角の回転周波数の整数倍の成分など、電気角の回転周波数成分とは異なる周波数の電力が生じることがある。そのため、電気角の回転周波数成分の力率をゼロに制御しているにもかかわらず、回生電力が生じる場合がある。或いは、電流センサの検出誤差、又は電圧センサの検出誤差により、力率がゼロにならない場合もある。
そこで、本実施の形態では、力率調整部65は、母線直流電圧の検出値Vpnsに基づいて目標力率λoを設定し、力率λが目標力率λoになる制御値を算出する。
この構成によれば、母線直流電圧の検出値Vpnsに適した力率λに変化させることができる。例えば、高調波成分又はセンサ誤差等の何らかの要因で、母線直流電圧の検出値Vpnsが上昇している場合に、力率λを0よりも増加させることより、消費電力を増加させて、母線直流電圧Vpnを低下させることができる。逆に、母線直流電圧の検出値Vpnsが低下している場合に、力率λを0よりも減少させることより、回生電力を増加させて母線直流電圧Vpnを増加させることができる。
本実施の形態では、回生異常判定部67により回生異常状態であると判定された場合に、母線直流電圧の検出値Vpnsに基づいて目標力率λoを設定し、力率λが目標力率λoになる制御値を算出する。一方、力率調整部65は、回生異常判定部67により回生異常状態であると判定された場合は、基本制御値演算部64により算出された制御値を変化させずに、そのまま出力する。制御値として、d軸の電圧指令値及びq軸の電圧指令値が算出される。
また、力率調整部65は、電流検出値の位相に対して電圧指令値の位相が、目標力率λoに対応する角度だけ進む又は遅れる電圧指令値を算出する。本実施の形態では、力率調整部65は、d軸及びq軸の電流検出値Ids、Iqsの電流ベクトルの位相に対して、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjの電圧ベクトルの位相が、目標力率λoに対応する角度だけ進む又は遅れるd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjを算出する。
以下、図11のフローチャートを参照しながら、本実施の形態に係る力率調整部65の詳細な処理について説明する。図11のフローチャートの処理は、例えば、所定の演算周期ごとに繰り返し実行される。
ステップS301で、上述したように、力率調整部65は、回生異常判定部67により回生正常状態であると判定されている場合は、ステップS302に進み、回生正常状態であると判定されている場合は、ステップS306に進む。ステップS306で、力率調整部65は、基本制御値演算部64により算出されたd軸の電圧指令値Vdo及びq軸の電圧指令値Vqoを、そのまま調整後の電圧指令値Vdoadj及びq軸の電圧指令値Vqoadjとして出力する。
ステップS302で、力率調整部65は、母線直流電圧の検出値Vpnsに基づいて目標力率λoを設定する。力率調整部65は、母線直流電圧の検出値Vpnsが基準値Vpn0よりも増加するに従って、目標力率λoを0から増加させ、母線直流電圧の検出値Vpnsが基準値Vpn0よりも減少するに従って、目標力率λoを0から減少させる。目標力率λoは、-1から+1の範囲に制限される。基準値Vpn0は、目標とする母線直流電圧Vpnであり、予め設定される。
この構成によれば、高調波成分又はセンサ誤差等の何らかの要因で、母線直流電圧の検出値Vpnsが基準値Vpn0よりも増加している場合に、力率λを0よりも増加させることより、消費電力を増加させて、母線直流電圧Vpnを基準値Vpn0に近づくように低下させることができる。逆に、母線直流電圧の検出値Vpnsが基準値Vpn0よりも減少している場合に、力率λを0よりも減少させることより、回生電力を増加させて母線直流電圧Vpnを基準値Vpn0に近づくように増加させることができる。
力率調整部65は、母線直流電圧の検出値Vpnsと基準値Vpn0との電圧差に基づいて、目標力率λoを算出する。例えば、次式に示すように、力率調整部65は、母線直流電圧の検出値Vpnsから、予め設定された基準値Vpn0を減算して電圧差を算出し、電圧差にゲインKλを乗算した値を、目標力率λoとして設定する。ゲインKλは、正値に設定されている。
Figure 0007446358000004
なお、力率調整部65は、式(4)とは異なる数式又はマップデータを用い、母線直流電圧の検出値Vpnsに基づいて目標力率λoを設定してもよい。また、図12に示すように、基準値Vpn0付近に不感帯が設けられてもよい。また、ゲインKλによる比例動作だけではなく、電圧差に応じた積分動作が加えられてもよい。すなわち、比例積分制御が行われてもよい。
ステップS303で、実施の形態1で説明したように、力率調整部65は、力率調整部65は、位相進み側の力率と位相遅れ側の力率とのいずれを選択するかを判定する。力率調整部65は、q軸の電流検出値Iqsが正であり力行状態である場合は、位相進み側の力率を選択し、ステップS304に進み、q軸の電流検出値Iqsが負であり回生状態である場合は、位相遅れ側の力率を選択し、ステップS305に進む。
ステップS304で、力率調整部65は、d軸及びq軸の電流検出値Ids、Iqsの電流ベクトルの位相に対して、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjの電圧ベクトルの位相が、目標力率λoに対応する角度だけ進むd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjを算出する。本実施の形態では、次式が用いられる。90度だけ進める力率ゼロの式(1)と比べて、目標力率λoに対応する角度だけ進めるように変形されている。
Figure 0007446358000005
ステップS305で、力率調整部65は、d軸及びq軸の電流検出値Ids、Iqsの電流ベクトルの位相に対して、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjの電圧ベクトルの位相が、目標力率λoに対応する角度だけ遅れるd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjを算出する。本実施の形態では、次式が用いられる。-90度だけ遅らせる力率ゼロの式(2)と比べて、目標力率λoに対応する角度だけ遅らせるように変形されている。
Figure 0007446358000006
なお、位相進み側又は位相遅れ側で力率λが目標力率λoになれば、式(5)及び式(6)以外の演算方法により、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjが算出されてもよい。また、調整後の電圧指令値の電圧ベクトルの大きさ(交流電圧の電圧振幅に対応)が、母線直流電圧の検出値Vpnsに設定されなくてもよく、適切な任意の値に設定されてもよい。
以上の本実施の形態の処理によれば、高調波成分又はセンサ誤差等により、理想的に回生電力をゼロとすることができない場合であっても、回生異常状態と判定された場合に、過電流により永久磁石を減磁させることがなく、かつ、母線直流電圧Vpnが過大となって、平滑コンデンサ21、スイッチング素子の故障が発生することを抑制し、回生異常状態に対処することができる。
電気角の回転周波数成分とは異なる周波数の電力が生じる場合、及び電流センサの検出誤差又は電圧センサの検出誤差が大きい場合など、電気角の回転周波数成分の力率をゼロにするだけでは、回生電力がゼロにならない場合であっても、母線直流電圧の検出値Vpnsに応じて力率λを変化させ、回生電力を適切に減少させることができる。
3.実施の形態3
実施の形態3に係る制御装置60について図面を参照して説明する。上記の実施の形態1又は2と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る制御装置60、交流回転電機10、及び電力変換回路20の基本的な構成は実施の形態1又は2と同様であるが、力率調整部65の処理の一部が実施の形態1又は2と異なる。
本実施の形態では、力率調整部65は、母線直流電圧の検出値Vpnsに基づいて力率の目標範囲を設定し、力率λが、力率の目標範囲内になる制御値を算出する。
この構成によれば、実施の形態2と同様に、母線直流電圧の検出値Vpnsに適した力率の範囲に変化させることができる。例えば、高調波成分又はセンサ誤差等の何らかの要因で、母線直流電圧の検出値Vpnsが上昇している場合に、力率λを0よりも増加させることより、消費電力を増加させて、母線直流電圧Vpnを低下させることができる。逆に、母線直流電圧の検出値Vpnsが低下している場合に、力率λを0よりも減少させることより、回生電力を増加させて母線直流電圧Vpnを増加させることができる。
力率調整部65は、母線直流電圧の検出値Vpnsに基づいて力率上限値λmax及び力率下限値λminを設定し、力率上限値λmaxと力率下限値λminとの間を、力率の目標範囲として設定する。
力率調整部65は、母線直流電圧の検出値Vpnsが増加するに従って、力率上限値λmaxが減少しないように設定し、母線直流電圧の検出値Vpnsが減少するに従って、力率下限値λminが増加しないように設定する。すなわち、母線直流電圧の検出値Vpnsが増加するに従って、力率上限値λmaxが増加又は変化しないように設定され、母線直流電圧の検出値Vpnsが減少するに従って、力率下限値λminが減少又は変化しないように設定される。例えば、図13に示すように設定される。なお、図13は例であり、上記の傾向を有する他の設定がされてもよい。
図14を用いて、力率の設定方法を説明する。図14には、d軸及びq軸の電流検出値Ids、Iqsの電流ベクトルと、この電流ベクトルの逆向き方向を示している。電流ベクトルとして、d軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoの電流ベクトルが用いられもよい。また、位相遅れの力率上限方向は、電流ベクトルから、力率上限値λmaxに相当する角度だけ位相を遅らせた方向である。位相進みの力率上限方向は、電流ベクトルから、力率上限値λmaxに相当する角度だけ位相を進めた方向である。位相遅れの力率下限方向は、電流ベクトルから、力率下限値λminに相当する角度だけ位相を遅らせた方向である。位相進みの力率下限方向は、電流ベクトルから、力率下限値λminに相当する角度だけ位相を進めた方向である。
領域1は、位相遅れの力率下限方向と位相遅れの力率上限方向とが成す内角に相当する領域と、位相進みの力率上限方向と位相進みの力率下限方向とが成す内角に相当する領域と、を合わせた領域である。領域2は、電流ベクトルの逆向き方向と位相遅れの力率下限方向とが成す内角に相当する領域である。領域3は、位相進みの力率下限方向と電流ベクトルの逆向き方向とが成す内角に相当する領域である。領域4は、位相遅れの力率上限方向と電流ベクトルの方向とが成す内角に相当する領域である。領域5は、電流ベクトルの方向と位相進みの力率上限方向とが成す内角に相当する領域である。
基本制御値演算部64によって算出されたd軸及び軸の電圧指令値Vdo、Vqoの電圧指令ベクトル(以下、基本電圧指令ベクトルと称す)が、領域1に存在するときは、電流ベクトルに対する基本電圧指令ベクトルの力率λが、力率上限値λmaxから力率下限値λminの範囲内にあり、基本電圧指令ベクトルの力率λを制限する必要がない。よって、力率調整部65は、基本制御値演算部64によって算出されたd軸及び軸の電圧指令値Vdo、Vqoを、そのまま、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjとして設定する。
基本電圧指令ベクトルが、領域2に存在するときは、電流ベクトルに対する基本電圧指令ベクトルの力率λが力率下限値λmin以下であり、基本電圧指令ベクトルの力率λを制限する必要があり、かつ、その制限方向は位相遅れの力率下限方向側である。位相遅れの力率下限方向への基本電圧指令ベクトルの正射影ベクトルを、調整後の電圧指令ベクトルとして、そのd軸成分を調整後のd軸の電圧指令値Vdoadjとし、そのq軸成分を、調整後のq軸の電圧指令値Vqoadjとする。
基本電圧指令ベクトルが、領域3に存在するときは、電流ベクトルに対する基本電圧指令ベクトルの力率λが力率下限値λmin以下であり、基本電圧指令ベクトルの力率λを制限する必要があり、かつ、その制限方向は位相進みの力率下限方向側である。位相進みの力率下限方向への基本電圧指令ベクトルの正射影ベクトルを、調整後の電圧指令ベクトルとして、そのd軸成分を調整後のd軸の電圧指令値Vdoadjとし、そのq軸成分を、調整後のq軸の電圧指令値Vqoadjとする。
基本電圧指令ベクトルが、領域4に存在するときは、電流ベクトルに対する基本電圧指令ベクトルの力率λが力率上限値λmax以上であり、基本電圧指令ベクトルの力率λを制限する必要があり、かつ、その制限方向は位相遅れの力率上限方向側である。位相遅れの力率上限方向への基本電圧指令ベクトルの正射影ベクトルを、調整後の電圧指令ベクトルとして、そのd軸成分を調整後のd軸の電圧指令値Vdoadjとし、そのq軸成分を、調整後のq軸の電圧指令値Vqoadjとする。
基本電圧指令ベクトルが、領域5に存在するときは、電流ベクトルに対する基本電圧指令ベクトルの力率λが力率上限値λmax以上であり、基本電圧指令ベクトルの力率λを制限する必要があり、かつ、その制限方向は位相進みの力率上限方向側である。位相進みの力率上限方向への基本電圧指令ベクトルの正射影ベクトルを、調整後の電圧指令ベクトルとして、そのd軸成分を調整後のd軸の電圧指令値Vdoadjとし、そのq軸成分を、調整後のq軸の電圧指令値Vqoadjとする。
上記の処理では、力率調整部65は、力率λを力率の目標範囲内に変化させるために、交流電流(本例では、電流ベクトル)の位相に対して交流電圧(本例では、基本電圧指令ベクトル)の位相を位相進みさせる変化方向と、交流電流(電流ベクトル)の位相に対して交流電圧(基本電圧指令ベクトル)の位相を位相遅れさせる変化方向との、いずれか、変化前後の位相変化量の絶対値がより小さくなるほうを選択して、選択した変化方向の力率の目標範囲内になる制御値(本例では、電圧指令値)を算出する。
以下、図15のフローチャートを参照しながら、本実施の形態に係る力率調整部65等の詳細な処理について説明する。図15のフローチャートの処理は、例えば、所定の演算周期ごとに繰り返し実行される。
ステップS401で、上述したように、力率調整部65は、母線直流電圧の検出値Vpnsに基づいて、力率上限値λmax及び力率下限値λminを設定する。
ステップS402で、力率調整部65は、基本制御値演算部64による基本電圧指令ベクトルの力率λが、力率上限値λmax以上であるか否かを判定し、力率上限値λmax以上である場合は、ステップS403に進み、力率上限値λmax以上でない場合は、ステップS404に進む。具体的には、力率調整部65は、上述した電流ベクトルと基本電圧指令ベクトルの成す角度の余弦値が、力率上限値λmax以上である場合、すなわち、領域4又は領域5に基本電圧指令ベクトルが存在するか否かを判定する。
ステップS403で、上述したように、力率調整部65は、基本電圧指令ベクトルの力率λを力率上限値λmaxにより制限したベクトルのd軸成分及びq軸成分を、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjとして設定する。詳細には、力率調整部65は、基本電圧指令ベクトルの力率λが領域4に存在する場合には、位相遅れの力率上限方向への基本電圧指令ベクトルの正射影ベクトルを調整後の電圧指令ベクトルとし、そのd軸成分及びq軸成分を、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjとして設定する。力率調整部65は、基本電圧指令ベクトルの力率λが領域5に存在する場合には、位相進みの力率上限方向への基本電圧指令ベクトルの正射影ベクトルを調整後の電圧指令ベクトルとし、そのd軸成分及びq軸成分を、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjとして設定する。
なお、基本電圧指令ベクトルが領域4と領域5のいずれにあるかは、位相遅れの力率上限方向への基本電圧指令ベクトルの正射影ベクトルの大きさと、位相進みの力率上限方向への基本電圧指令ベクトルの正射影ベクトルの大きさとを比較し、前者が大きい場合は領域4にあり、後者が大きい場合はそうでない場合は領域5にあると判定する。
ステップS404で、力率調整部65は、基本制御値演算部64による基本電圧指令ベクトルの力率λが、力率下限値λmin以下であるか否かを判定し、力率下限値λmin以下である場合は、ステップS405に進み、力率下限値λmin以下でない場合は、ステップS406に進む。具体的には、力率調整部65は、上述した電流ベクトルと基本電圧指令ベクトルの成す角度の余弦値が、力率下限値λmin以下である場合、すなわち、領域2又は領域3に基本電圧指令ベクトルが存在するか否かを判定する。
ステップS405で、上述したように、力率調整部65は、基本電圧指令ベクトルの力率λを力率下限値λminにより制限したベクトルのd軸成分及びq軸成分を、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjとして設定する。詳細には、力率調整部65は、基本電圧指令ベクトルの力率λが領域2に存在する場合には、位相遅れの力率下限方向への基本電圧指令ベクトルの正射影ベクトルを調整後の電圧指令ベクトルとし、そのd軸成分及びq軸成分を、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjとして設定する。力率調整部65は、基本電圧指令ベクトルの力率λが領域3に存在する場合には、位相進みの力率下限方向への基本電圧指令ベクトルの正射影ベクトルを調整後の電圧指令ベクトルとし、そのd軸成分及びq軸成分を、調整後のd軸及びq軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjとして設定する。
なお、基本電圧指令ベクトルが領域2と領域3のいずれにあるかは、位相遅れの力率下限方向への基本電圧指令ベクトルの正射影ベクトルの大きさと、位相進みの力率下限方向への基本電圧指令ベクトルの正射影ベクトルの大きさとを比較し、前者が大きい場合は領域2にあり、後者が大きい場合はそうでない場合は領域3にあると判定する。
ステップS406は、基本電圧指令ベクトルが領域1に存在する場合に到達するステップであり、上述したように、力率調整部65は、基本制御値演算部64によって算出されたd軸及び軸の電圧指令値Vdo、Vqoをそのまま、調整後のd軸及び軸の電圧指令値Vdoadj、Vqoadjとして設定する。
<まとめ>
以上のように、本実施の形態によれば、回生異常状態であっても、母線直流電圧Vpnの変動が小さい場合は、基本制御値演算部64による通常制御を継続でき、かつ、母線直流電圧Vpnの変動が大きくなった場合に、力率λを制限することにより、母線直流電圧Vpnが更に変動することを抑制できる。
過電流及び過電圧を招くことなく、可能な限り通常制御を継続することができる。よって、通常制御の継続により、回生異常状態であると判定された直後に通常制御を中止する場合よりも、例えばトルクの急変を抑制するなど、システムとしてより適切な異常時の処理を行うことができる。
<転用例>
なお、上記の本実施の形態では、領域1から6のいずれに基本電圧指令ベクトルの力率λが存在するかを、ベクトル演算により判定する方法を説明したが、同様の判定結果が得られれば、他の判定方法が用いられてもよい。例えば、三角関数及び逆三角関数を用いて算出した角度差によって判定されてもよい。
また、上記の本実施の形態では、力率調整部65の処理には、実施の形態1及び2とは異なり、回生異常判定部67による回生異常状態の判定結果が用いられていない。これは、本実施の形態では、図13に示すように、回生正常状態に対応する母線直流電圧Vpnの正常範囲では、力率上限値λmaxが+1に設定され、力率下限値λminが-1に設定されているので、この正常範囲内では、力率の制限処理が行われず、基本制御値演算部64による通常制御が行われ、この正常範囲外で、力率の制限処理が有効になる。よって、回生異常判定部67の処理が省略されても、回生異常判定部67の判定結果を用いる処理と同様の結果を得ることができる。なお、実施の形態3において、実施の形態1又は2のように、回生異常判定部67の判定結果を用いる力率調整部65の処理が行われてもよい。
上記の各実施の形態では、力率調整部65は、電機子鎖交磁束の減少、力行状態又は回生状態に応じて、位相進みさせる変化方向と位相遅れさせる変化方向とのいずれか一方を選択するように構成されていた。しかし、力率調整部65は、力率λを目標力率λo又は力率の目標範囲内に変化させるために、交流電流の位相に対して交流電圧の位相を位相進みさせる変化方向と、交流電流の位相に対して交流電圧の位相を位相遅れさせる変化方向との、いずれか、実電流が目標電流に近くなるほうを選択して、選択した変化方向の目標力率λo又は力率の目標範囲内になる制御値を算出してもよい。
或いは、力率調整部65は、力率λを目標力率λo又は力率の目標範囲内に変化させるために、交流電流の位相に対して交流電圧の位相を位相進みさせる変化方向と、交流電流の位相に対して交流電圧の位相を位相遅れさせる変化方向との、いずれか、変化前後の位相変化量の絶対値がより小さくなるほうを選択して、選択した変化方向の目標力率λo又は力率の目標範囲内になる制御値を算出してもよい。
上記の各実施の形態では、動力源として内燃機関及び交流回転電機10を備えるハイブリッド自動車を例として説明したが、内燃機関を備えず交流回転電機10を備える電気自動車に適用されてもよい。或いは、交流回転電機10は、自動車以外の各種の装置に用いられてもよい。
また、上記の各実施の形態では、3相の巻線が設けられる場合を例として説明した。しかし、巻線の相数は、複数相であれば、2相、4相等の任意の数に設定されてもよい。
本願は、例示的な実施の形態が記載されているが、実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
10 交流回転電機、20 電力変換回路、21 平滑コンデンサ、60 交流回転電機の制御装置、62 電圧検出部、64 基本制御値演算部、65 力率調整部、66 スイッチング制御部、67 回生異常判定部、71 直流電源、Vpns 母線直流電圧の検出値、Vpn0 基準値、λmax 力率上限値、λmin 力率下限値、λo 目標力率、λ 力率

Claims (22)

  1. 直流電源と交流回転電機との間に接続された電力変換回路を介して、前記交流回転電機を制御する交流回転電機の制御装置であって、
    前記交流回転電機が発生した回生電力を、前記直流電源に回生させることができない回生異常状態であるか、回生させることができる回生正常状態であるかを判定する回生異常判定部と、
    前記回生正常状態であると判定された場合に、電圧指令値を算出する基本制御値演算部と、
    前記回生異常状態であると判定された場合に、前記交流回転電機に供給される交流電圧と交流電流との位相差の余弦値である力率が、目標力率になる前記電圧指令値、電流検出値に基づいて算出する力率調整部と、
    前記電圧指令値に基づいて前記電力変換回路のスイッチング素子をオンオフ制御するスイッチング制御部と、
    を備えた交流回転電機の制御装置。
  2. 前記目標力率は、前記直流電源に接続される前記電力変換回路の接続線の直流電圧が許容上限値より上昇しないような力率に設定されている請求項1に記載の交流回転電機の制御装置。
  3. 前記目標力率は、0に設定されている請求項1に記載の交流回転電機の制御装置。
  4. 直流電源と交流回転電機との間に接続された電力変換回路を介して、前記交流回転電機を制御する交流回転電機の制御装置であって、
    前記直流電源に接続される前記電力変換回路の接続線の直流電圧を検出する電圧検出部と、
    前記直流電圧の検出値に基づいて目標力率又は力率の目標範囲を設定し、前記交流回転電機に供給される交流電圧と交流電流との位相差の余弦値である力率が、前記目標力率又は前記力率の目標範囲内になる電圧指令値、電流検出値に基づいて算出する力率調整部と、
    前記電圧指令値に基づいて前記電力変換回路のスイッチング素子をオンオフ制御するスイッチング制御部と、
    を備えた交流回転電機の制御装置。
  5. 前記力率調整部は、前記直流電圧の検出値が増加するに従って、前記目標力率を減少させる請求項4に記載の交流回転電機の制御装置。
  6. 前記力率調整部は、前記直流電圧の検出値が基準値よりも増加するに従って、前記目標力率を0から増加させ、前記直流電圧の検出値が前記基準値よりも減少するに従って、前記目標力率を0から減少させる請求項4に記載の交流回転電機の制御装置。
  7. 前記力率調整部は、前記直流電圧の検出値と前記基準値との電圧差に基づいて、前記目標力率を設定する請求項6に記載の交流回転電機の制御装置。
  8. 前記力率調整部は、前記直流電圧の検出値に基づいて力率上限値及び力率下限値を設定し、前記力率上限値と前記力率下限値との間を、前記力率の目標範囲として設定する請求項4に記載の交流回転電機の制御装置。
  9. 前記力率調整部は、前記直流電圧の検出値が増加するに従って、前記力率上限値が減少しないように設定し、前記直流電圧の検出値が減少するに従って、前記力率下限値が増加しないように設定する請求項8に記載の交流回転電機の制御装置。
  10. 前記交流回転電機が発生した回生電力を、前記直流電源に回生させることができない回生異常状態であるか、回生させることができる回生正常状態であるかを判定する回生異常判定部と、
    前記回生正常状態であると判定された場合に、前記電圧指令値を算出する基本制御値演算部と、を更に備え、
    前記力率調整部は、前記回生異常状態であると判定された場合に、力率が前記目標力率又は前記力率の目標範囲内になる前記電圧指令値前記電流検出値に基づいて算出する請求項4に記載の交流回転電機の制御装置。
  11. 前記力率調整部は、前記電流検出値に基づいて、前記電流検出値の位相に対して前記電圧指令値の位相が、前記目標力率に対応する角度だけ進む又は遅れる前記電圧指令値を算出する請求項1又は4に記載の交流回転電機の制御装置。
  12. 前記力率調整部は、力率を前記目標力率に変化させるために、前記交流電流の位相に対して前記交流電圧の位相を位相進みさせる変化方向と、前記交流電流の位相に対して前記交流電圧の位相を位相遅れさせる変化方向との、いずれか電機子鎖交磁束がより減少するほうを選択して、選択した変化方向の前記目標力率になる前記電圧指令値を算出する請求項1又は4に記載の交流回転電機の制御装置。
  13. 前記力率調整部は、力行状態である場合に、力率を前記目標力率に変化させるために、前記交流電流の位相に対して前記交流電圧の位相を位相進みさせる変化方向を選択し、回生状態である場合に、力率を前記目標力率に変化させるために、前記交流電流の位相に対して前記交流電圧の位相を位相遅れさせる変化方向を選択し、選択した変化方向の前記目標力率になる前記電圧指令値を算出する請求項1又は4に記載の交流回転電機の制御装置。
  14. 前記力率調整部は、力率を前記目標力率又は前記力率の目標範囲内に変化させるために、前記交流電流の位相に対して前記交流電圧の位相を位相進みさせる変化方向と、前記交流電流の位相に対して前記交流電圧の位相を位相遅れさせる変化方向との、いずれか、実電流が目標電流に近くなるほうを選択して、選択した変化方向の前記目標力率又は前記力率の目標範囲内になる前記電圧指令値を算出する請求項1又は4に記載の交流回転電機の制御装置。
  15. 前記力率調整部は、力率を前記目標力率又は前記力率の目標範囲内に変化させるために、前記交流電流の位相に対して前記交流電圧の位相を位相進みさせる変化方向と、前記交流電流の位相に対して前記交流電圧の位相を位相遅れさせる変化方向との、いずれか、変化前後の位相変化量の絶対値がより小さくなるほうを選択して、選択した変化方向の前記目標力率又は前記力率の目標範囲内になる前記電圧指令値を算出する請求項1又は4に記載の交流回転電機の制御装置。
  16. 前記電力変換回路は、交流の1相分について、高電位側のスイッチング素子と低電位側のスイッチング素子との直列回路を有し、
    前記スイッチング制御部は、前記交流回転電機の回転速度が回転判定値以下である条件、前記直流電源に接続される前記電力変換回路の接続線の直流電圧の検出値が電圧判定値以下である条件の、一方又は双方が満たされる場合に、全ての相の前記直列回路について前記高電位側のスイッチング素子及び前記低電位側のスイッチング素子をオフする請求項1又は4に記載の交流回転電機の制御装置。
  17. 前記電力変換回路は、交流の1相分について、高電位側のスイッチング素子と低電位側のスイッチング素子との直列回路を有し、
    前記スイッチング制御部は、前記交流回転電機の回転速度が回転判定値以上であり、且つ、前記交流回転電機に流れる電流が電流判定範囲内である場合に、全ての相の前記直列回路について前記高電位側のスイッチング素子をオフすると共に前記低電位側のスイッチング素子をオンする、又は全ての相の前記直列回路について前記高電位側のスイッチング素子をオンすると共に前記低電位側のスイッチング素子をオフする請求項1又は4に記載の交流回転電機の制御装置。
  18. 前記電力変換回路は、交流の1相分について、高電位側のスイッチング素子と低電位側のスイッチング素子との直列回路を有し、
    前記スイッチング制御部は、前記交流回転電機を流れる電流が電流判定範囲内である場合に、全ての相の前記直列回路について前記高電位側のスイッチング素子をオフすると共に前記低電位側のスイッチング素子をオンする、又は全ての相の前記直列回路について前記高電位側のスイッチング素子をオンすると共に前記低電位側のスイッチング素子をオフする請求項1又は4に記載の交流回転電機の制御装置。
  19. d軸の電流検出値をIdsとし、q軸の電流検出値をIqsとし、調整係数をKampとし、前記直流電源に接続される前記電力変換回路の接続線の直流電圧をVpnとし、d軸の電圧指令値をVdoadjとし、q軸の電圧指令値をVqoadjとし、
    前記力率調整部は、前記目標力率を0に設定し、
    Figure 0007446358000007
    の演算式を用いて、前記d軸の電流検出値及び前記q軸の電流検出値に基づいて、前記電圧指令値としての前記d軸の電圧指令値及び前記q軸の電圧指令値を算出する請求項1又は4に記載の交流回転電機の制御装置。
  20. d軸の電流検出値をIdsとし、q軸の電流検出値をIqsとし、前記目標力率をλoとし、調整係数をKampとし、前記直流電源に接続される前記電力変換回路の接続線の直流電圧をVpnとし、d軸の電圧指令値をVdoadjとし、q軸の電圧指令値をVqoadjとし、
    前記力率調整部は、
    Figure 0007446358000008
    の演算式を用いて、前記d軸の電流検出値及び前記q軸の電流検出値に基づいて、前記電圧指令値としての前記d軸の電圧指令値及び前記q軸の電圧指令値を算出する請求項1又は4に記載の交流回転電機の制御装置。
  21. 前記力率調整部は、前記電流検出値の電流ベクトルの位相に基づいて、力率が前記力率の目標範囲内になる電圧ベクトルの範囲を設定し、前記電圧ベクトルの範囲内に前記電圧指令値を制限する請求項4に記載の交流回転電機の制御装置。
  22. 前記交流回転電機が発生した回生電力を、前記直流電源に回生させることができない回生異常状態であるか、回生させることができる回生正常状態であるかを判定する回生異常判定部と、
    前記回生正常状態であると判定された場合に、前記電圧指令値を算出する基本制御値演算部と、を更に備え、
    前記力率調整部は、前記回生異常状態であると判定された場合に、前記基本制御値演算部により算出される前記電圧指令値を、前記電流検出値に基づいて、力率が前記力率の目標範囲内になるように制限し、制限後の電圧指令値を、前記回生異常状態であると判定された場合の前記電圧指令値として算出する請求項4に記載の交流回転電機の制御装置。
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