JP7439561B2 - ポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤及び粘着シート - Google Patents

ポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤及び粘着シート Download PDF

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Description

本発明は、ポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤及び粘着シートに関し、さらに詳しくは、耐薬品性に優れ、さらには金属やポリオレフィン部材等の様々な被着体に対する接着性に優れたポリエステル系粘着剤組成物及びポリエステル系粘着剤、粘着シートに関するものである。
従来、ポリエステル系樹脂は、耐熱性、耐薬品性、耐久性、機械的強度に優れているため、フィルム、ペットボトル、繊維、トナー、電機部品、および、接着剤や粘着剤等、幅広い用途で用いられている。
また、近年では、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等の表示装置や、タッチパネル等の上記表示装置と組み合わせて用いられる入力装置が広く用いられるようになっており、これらの製造においては、光学フィルムや基材等の光学部材の貼り合わせに、粘着シートが使用されている。
かかる粘着シートとして、例えば、水添ポリブタジエン骨格を有するポリエステル系粘着剤組成物を用いた粘着剤付きフィルムを用いて、金属板に貼り付けた際の粘着性と凝集性との両立を図った粘着シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、粘着力と耐熱性の改善を目的として、ガラス転移温度の高い共重合ポリエステルセグメントと、脂肪族セグメントを含有するブロックポリエステル樹脂と硬化剤を含有する粘着剤が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平3-167284号公報 特開2019-23277号公報
しかしながら、上記特許文献1は、金属板への接着性は得られるものの、一般的に接着性に劣るポリオレフィン基材への接着性については全く考慮されておらず、また、耐薬品性の点でも満足のいくものではなかった。
さらに、近年では、ポリオレフィン基材を被着体とする用途、例えば、自動車内装・外装材や建材等の用途が増えており、ポリオレフィン基材への接着性の要望が非常に高くなっている。
また、上記特許文献2は、耐熱性は良好であるものの、ポリエステル樹脂とした際のガラス転移温度が低いため、耐薬品性の点で満足のいくものではなかった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、耐薬品性に優れ、さらには金属やポリオレフィン部材等の様々な被着体に対する接着性に優れたポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤及び粘着シートを提供することを目的とする。
しかるに、本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ポリエステル系樹脂中に、ガラス転移温度の高いポリエステル系オリゴマー由来のポリエステルブロック構造単位とガラス転移温度の低いポリマー由来のポリマーブロック構造単位を繰り返し含有するポリエステル系樹脂を用いることにより、相分離を生じさせることができ、耐薬品性に優れ、接着性にも優れたポリエステル系粘着剤組成物となることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位及びポリオール(a2)由来の構造単位を含有するポリエステル系オリゴマー(x)由来のポリエステルブロック(X)と、ポリマー(y)由来のポリマーブロック(Y)からなる下記式(1)の構造単位を繰り返し含有し、
X-Y ・・・(1)
上記ポリマー(y)のガラス転移温度(Tgβ)が-80~-15℃であり、
上記ポリエステル系オリゴマー(x)のガラス転移温度(Tgα)がポリマー(y)のガラス転移温度(Tgβ)よりも高い
ポリエステル系樹脂(A)を含有するポリエステル系粘着剤組成物を第1の要旨とするものである。
また、本発明は、上記ポリエステル系粘着剤組成物が、架橋されてなるポリエステル系粘着剤を第2の要旨とし、かかるポリエステル系粘着剤を含有する粘着剤層を有する粘着シートを第3の要旨とする。
一般的に、ポリエステル系粘着剤組成物の耐薬品性の改善のためには、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度を高くすることが考えられる。その場合には、樹脂が固くなってしまい、粘着剤としての使用が困難になってくる。
本発明においては、ガラス転移温度の高いポリエステルブロックと、ガラス転移温度の低いポリマーブロックを繰り返し含有させるという意外な組合せ、更に好ましくはポリエステルブロックと相溶性の悪いポリマーブロックを選択し含有させるという意外な組合せを特徴とするものであり、通常は相溶性が悪くなるような設計は行わないようにするものであるところ、本発明ではあえて分子内で相分離を生じさせることにより、相反する物性である耐薬品性と接着性を両立できることを見出したのである。
なお、上記特許文献2においては、樹脂中での相分離構造をとっておらず均一なポリマー構造となっているものであり、これでは本発明の目的である耐薬品性と接着性の両立は達成できないものであると推察される。
本発明のポリエステル系粘着剤組成物は、ポリエステル系樹脂中に、ガラス転移温度の高いポリエステル系オリゴマー由来のポリエステルブロック構造単位とガラス転移温度の低いポリマー由来のポリマーブロック構造単位を繰り返し含有するものであることから、耐薬品性に優れ、さらには金属やポリオレフィン部材等の様々な被着体に対する接着性に優れた効果を有するものである。
実施例1で用いたポリエステル系樹脂(A-1)を示差走査熱量計で測定した際のチャート図を示す。 実施例2で用いたポリエステル系樹脂(A-2)を示差走査熱量計で測定した際のチャート図を示す。 実施例3で用いたポリエステル系樹脂(A-3)を示差走査熱量計で測定した際のチャート図を示す。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本発明において、「カルボン酸類」との用語は、カルボン酸に加え、カルボン酸塩、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸エステル等のカルボン酸誘導体も含むものである。
<<ポリエステル系樹脂(A)>>
本発明で用いるポリエステル系樹脂(A)は、下記式(1)のようなポリエステルオリゴマー(x)由来のポリエステルブロック(X)と、ポリマー(y)由来のポリマーブロック(Y)からなる構造単位を繰り返し含有するものであり、かつ、上記ポリマー(y)が特定範囲の低いガラス転移温度(Tgβ)を有し、上記ポリエステル系オリゴマー(x)のガラス転移温度(Tgα)が上記ポリマー(y)のガラス転移温度(Tgβ)よりも高いことを特徴とするものである。
X-Y ・・・(1)
以下、上記ポリエステルブロック(X)を構成するポリエステル系オリゴマー(x)および、ポリマーブロック(Y)を構成するポリマー(y)について詳しく述べる。
<ポリエステル系オリゴマー(x)>
上記ポリエステル系オリゴマー(x)は、多価カルボン酸類(a1)とポリオール(a2)とをエステル化反応させることにより得られるものであり、上記ポリエステル系オリゴマー(x)は、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位、及びポリオール(a2)由来の構造単位を含有するようになる。
〔多価カルボン酸類(a1)〕
上記ポリエステル系オリゴマー(x)の構成原料として用いられる上記多価カルボン酸類(a1)としては、例えば、二価カルボン酸類、三価以上の多価カルボン酸類があり、ポリエステル系樹脂(A)を安定的に得られる点から二価カルボン酸類が好ましく用いられる。
上記二価カルボン酸類としては、例えば、マロン酸類、ジメチルマロン酸類、コハク酸類、グルタル酸類、アジピン酸類、トリメチルアジピン酸類、ピメリン酸類、2,2-ジメチルグルタル酸類、アゼライン酸類、セバシン酸類、フマル酸類、マレイン酸類、イタコン酸類、チオジプロピオン酸類、ジグリコール酸類、1,9-ノナンジカルボン酸類、オレイン酸やエルカ酸などから誘導されるダイマー酸類等の脂肪族ジカルボン酸類;
フタル酸類、テレフタル酸類、イソフタル酸類、ベンジルマロン酸類、ジフェン酸類、4,4’-オキシジ安息香酸類、さらに1,8-ナフタレンジカルボン酸類、2,3-ナフタレンジカルボン酸類、2,7-ナフタレンジカルボン酸類等のナフタレンジカルボン酸類等の芳香族ジカルボン酸類(a1-1);
1,3-シクロペンタンジカルボン酸類、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸類、1,3-シクロペンタンジカルボン酸類、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸類、2,5-ノルボルナンジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸類等の脂環式ジカルボン酸類;
等が挙げられる。
上記三価以上のカルボン酸類としては、例えば、トリメリット酸類、ピロメリット酸類、アダマンタントリカルボン酸類、トリメシン酸類、等が挙げられる。
また、多価カルボン酸類(a1)としては、水添ポリブタジエン構造含有化合物を用いてもよく、例えば、1,2-ポリブタジエンジカルボン酸類、1,4-ポリブタジエンジカルボン酸類、1,4-イソプレンジカルボン酸類等のポリブタジエン系多価カルボン酸類あるいはこれらのポリブタジエン系多価カルボン酸類の二重結合を水素またはハロゲン等で飽和化した飽和炭化水素系多価カルボン酸類等が挙げられる。さらには、ポリブタジエン系多価カルボン酸類にスチレン、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン化合物を共重合させた多価カルボン酸類やその水素化した多価カルボン酸類等も使用できる。なかでも好ましくは、飽和度の高い炭化水素系ポリブタジエン多価カルボン酸類であり、特に好ましくは数平均分子量が300~30,000、より好ましくは500~10,000、更に好ましくは800~5,000、カルボキシ基の平均官能数が1.5~3のものである。
上記水添ポリブタジエン構造含有化合物としては、水添ポリブタジエン構造中における1,2結合部位、および1,4結合部位において、1,2結合部位の割合が多い方がポリオレフィン基材への接着性に優れる点で好ましい。また、水添ポリブタジエン構造中に占める1,2結合部位が25~100%であることが好ましく、特には50~100%であることが好ましく、殊には75~100%であることが好ましい。
これらの多価カルボン酸類(a1)は単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記の多価カルボン酸類(a1)のなかでも、耐薬品性に優れる点から、好ましくは芳香族ジカルボン酸(a1-1)である。
さらに、上記芳香族ジカルボン酸類(a1-1)のなかでも、ポリエステル系樹脂(A)の結晶性を下げる点から、非対称の芳香族ジカルボン酸類(a1-1-1)を含ませることが好ましく、非対称の芳香族ジカルボン酸類(a1-1-1)としては、例えば、フタル酸類、イソフタル酸類、1,8-ナフタレンジカルボン酸類、2,3-ナフタレンジカルボン酸類、2,7-ナフタレンジカルボン酸類等が挙げられ、なかでも反応性の点でイソフタル酸類が特に好ましい。
かかる非対称の芳香族ジカルボン酸類(a1-1-1)の含有量としては、多価カルボン酸類(a1)全体に対して、5~100モル%であることが好ましく、特に好ましくは20~98モル%、さらに好ましくは40~95モル%、殊に好ましくは50~93モル%、より好ましくは60~90モル%である。かかる含有量が少なすぎると、樹脂が結晶化し、充分な接着性能が得られなくなる傾向があり、多すぎると相溶性、および初期密着性(タック)が低下する傾向がある。
さらに、上記多価カルボン酸類(a1)として脂肪族ジカルボン酸類を含ませることも接着性の点から好ましく、特に好ましくはセバシン酸類、アジピン酸類である。
かかる脂肪族ジカルボン酸類の含有量としては、多価カルボン酸類(a1)全体に対して、80モル%以下であることが好ましく、2~60モル%がより好ましく、5~50モル%が特に好ましく、さらに好ましくは7~45モル%、殊に好ましくは10~40モル%である。かかる含有量が少なすぎると、初期密着性(タック)が低下する傾向があり、多すぎると耐薬品性が低下する傾向がある。
なお、ポリエステル系樹脂(A)中に分岐点を増やす目的で、三価以上の多価カルボン酸類を用いることもでき、なかでも、比較的ゲル化が発生しにくい点でトリメリット酸類を用いることが好ましい。
かかる三価以上の多価カルボン酸類の含有量としては、粘着剤の凝集力を高めることができる点で、多価カルボン酸類(a1)全体に対して、好ましくは10モル%以下、特に好ましくは0.1~5モル%であり、かかる含有量が多すぎるとポリエステル系樹脂(A)の製造時にゲル化が生じやすい傾向がある。
〔ポリオール(a2)〕
ポリエステル系オリゴマー(x)の構成原料として用いられるポリオール(a2)としては、二価アルコール、三価以上のポリオールがある。ポリオール(a2)は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2,4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-イソブチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、オレイン酸やエルカ酸等から誘導されるダイマージオール等の脂肪族ジオール;
1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール等の脂環族ジオール;
4,4’-チオジフェノール、4,4’-メチレンジフェノール、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、o-,m-およびp-ジヒドロキシベンゼン、2,5-ナフタレンジオール、p-キシレンジオール、およびそれらのエチレンオキサイド付加体やプロピレンオキサイド付加体等の芳香族ジオール等が挙げられる。
さらに、ヒマシ油から誘導される脂肪酸エステルや、グリセロールモノステアレート等が挙げられる。
また、上記三価以上のポリオールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,3,6-ヘキサントリオール、アダマンタントリオール等が挙げられる。
また、上記ポリオール(a2)のなかでも、分岐構造含有ポリオール(a2-1)を含有することが分岐点を増やし、結晶性を崩す点から好ましい。分岐構造含有ポリオール(a2-1)としては、例えば、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,3,5-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。なかでも、ネオペンチルグリコールが特に好ましい。
上記分岐構造含有ポリオール(a2-1)の含有量は、ポリオール(a2)全体〔後述するポリマー(y)がポリオールである場合にはポリマー(y)も含める〕に対して5~95モル%であることが好ましく、特には10~90モル%、さらには15~80モル%であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると、ポリエステル系樹脂(A)が結晶化し充分な接着性能が得られにくい傾向があり、多すぎると、ポリエステル系樹脂(A)の製造において反応時間が長くなる傾向がある。
また一方、上記ポリオール(a2)のなかでも、直鎖ポリオール(a2-2)を含有することが反応性の点から好ましく、更には炭素数2~40の直鎖ポリオールがより好ましい。かかる直鎖ポリオール(a2-2)としては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール等の脂肪族グリコールが挙げられる。なかでも、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールが特に好ましい。
直鎖ポリオール(a2-2)の含有量は、ポリオール(a2)全体〔後述するポリマー(y)がポリオールである場合にはポリマー(y)も含める〕に対して、5~95モル%であることが好ましく、さらには10~90モル%、特には15~80モル%であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると、安定した樹脂形成が得られ難くなる傾向がある。
また、ポリエステル系樹脂(A)中に分岐点を増やす目的で三価以上のポリオールを用いることもでき、三価以上のポリオールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,3,6-ヘキサントリオール、アダマンタントリオール等が挙げられる。
かかる三価以上のポリオールの含有量としては、ポリオール(a2)全体〔後述するポリマー(y)がポリオールである場合にはポリマー(y)も含める〕に対して、20モル%以下であることが好ましく、さらには0.1~10モル%であることが好ましく、特には0.5~5モル%が好ましく、かかる含有量が多すぎるとポリエステル系樹脂(A)の製造が困難となる傾向がある。
本発明で用いられるポリエステル系オリゴマー(x)は、上記多価カルボン酸類(a1)とポリオール(a2)とを任意に選び、これらを触媒存在下、公知の方法によりエステル化反応させることにより得られる。
多価カルボン酸類(a1)とポリオール(a2)の配合割合としては、多価カルボン酸類(a1)1当量あたり、ポリオール(a2)が1~3当量であることが好ましく、特に好ましくは1.1~2.0当量である。ポリオール(a2)の配合割合が少なすぎると、酸価が高くなり高分子量化が困難となる傾向があり、多すぎると収率が低下する傾向がある。
かかるエステル化反応においては、触媒が用いられ、具体的には、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン系触媒、三酸化アンチモン等のアンチモン系触媒、二酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム系触媒等の触媒や、リン酸、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、ジブチル錫オキサイド等の触媒を挙げることができる。これらの触媒は、単独でもしくは2種以上を併用してもよい。なかでも、触媒活性の高さと色相のバランスから、三酸化アンチモン、テトラブチルチタネート、二酸化ゲルマニウム、酢酸亜鉛が好ましく、酢酸亜鉛が特に好ましい。
上記触媒の配合量は、全エステル化反応成分に対して1~10,000ppmであることが好ましく、特に好ましくは10~5,000ppm、さらに好ましくは20~3,000ppmである。かかる配合量が少なすぎると、エステル化反応が充分に進行しにくい傾向があり、多すぎても反応時間短縮等の利点はなく副反応が起こりやすい傾向がある。
エステル化反応時の反応温度については、200~300℃が好ましく、特に好ましくは210~280℃、さらに好ましくは220~260℃である。かかる反応温度が低すぎると反応が充分に進みにくい傾向があり、高すぎると分解等の副反応が起こりやすい傾向がある。また、反応時の圧力は通常、常圧である。
かくして、ポリエステル系オリゴマー(x)が得られる。
上記ポリエステル系オリゴマー(x)のガラス転移温度(Tgα)は、-15~80℃が好ましく、-10~50℃がより好ましく、-8~40℃が特に好ましく、-5~30℃がさらに好ましい。ポリエステル系オリゴマー(x)のガラス転移温度(Tgα)が低すぎると、耐薬品性が低下する傾向があり、ガラス転移温度(Tgα)が高すぎると、接着性が低下する傾向がある。
本発明において、ガラス転移温度は示差走査熱量計を用いて測定することにより得られる値であり、測定条件は、測定温度範囲-90~100℃、温度上昇速度10℃/分である。
<ポリマー(y)>
上記ポリマー(y)は、特定範囲の低いガラス転移温度を有するものである。
また、上記ポリマー(y)としては、ポリエステル系オリゴマー(x)と共重合できるものであれば、その構造は、特に限定されないが、水酸基を2個以上有するポリマーポリオールであることが好ましく、主鎖の両末端に水酸基を有するポリマーポリオールであることが特に好ましい。
上記ポリマー(y)の具体例としては、共役ジエン構造含有化合物、水添共役ジエン構造含有化合物、ポリオキシアルキレン構造含有化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらは単独でもしくは2種以上を併用してもよい。
ポリエステル系オリゴマー(x)は、芳香族構造含有化合物由来の構造単位を比較的多く含むものであり、このようなポリエステル系オリゴマー(x)と相溶性が悪い、上記の構造を有するポリマー(y)を共重合させることにより、ポリエステル系樹脂(A)の分子内で相分離が生じ、接着性と耐薬品性に優れるものとなる。
上記共役ジエン構造含有化合物としては、例えば、1,2-ポリブタジエンポリオール、1,4-ポリブタジエンポリオール、1,4-ポリイソプレンポリオール等のポリブタジエン系ポリオール等が挙げられる。
また、ポリブタジエン系ポリオールにスチレン、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン化合物を共重合させたポリオール等も使用することができる。
上記水添共役ジエン構造含有化合物としては、例えば、1,2-ポリブタジエンポリオール、1,4-ポリブタジエンポリオール、1,4-ポリイソプレンポリオール等のポリブタジエン系ポリオールの二重結合を水素またはハロゲン等で飽和化した飽和炭化水素系ポリオール等が挙げられる。さらには、ポリブタジエン系ポリオールにスチレン、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン化合物を共重合させたポリオールを水素化したポリオール等も使用することができる。
上記水添共役ジエン構造含有化合物としては、水添共役ジエン構造中における1,2結合部位、および1,4結合部位において、1,2結合部位の割合が多い方がポリオレフィン基材への接着性に優れる点で好ましい。また、水添共役ジエン構造中に占める1,2結合部位が25~100%であることが好ましく、特には50~100%であることが好ましく、殊には75~100%であることが好ましい。
上記ポリオキシアルキレン構造含有化合物としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコールやこれらの共重合体等のポリオキシアルキレンジオール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等とグリセリン、トリメチロールプロパン等を付加重合させたもの等のポリオキシアルキレントリオール等のポリオキシアルキレンポリオール、テトラヒドロフランの開環重合により得られるポリオキシテトラメチルグリコール等を挙げることができる。
なかでも、粘着力の点から、好ましくは共役ジエン構造含有化合物、水添共役ジエン構造含有化合物であり、より好ましくは水添共役ジエン構造含有化合物であり、特に好ましくは飽和度の高い炭化水素系ポリブタジエンポリオールであり、殊に好ましくは、数平均分子量が300~30,000、より好ましくは500~10,000、更に好ましくは800~5,000、水酸基の平均官能数が1.5~3の飽和度の高い炭化水素系ポリブタジエンポリオールである。
上記ポリマー(y)のガラス転移温度(Tgβ)は、-80~-15℃であることが必要である。好ましくは、-75~-20℃、より好ましくは-70~-25℃、さらに好ましくは-60~-30℃である。上記ガラス転移温度(Tgβ)が高すぎると、密着性(タック)が低下する。なお、上記ガラス転移温度(Tgβ)は、前記ポリエステル系オリゴマー(x)と同様の方法により測定して得られた値である。
また、本発明においては、粘着力および耐薬品性の点から、前記ポリエステル系オリゴマー(x)のガラス転移温度(Tgα)が上記ポリマー(y)のガラス転移温度(Tgβ)よりも高いことが必要である。
上記ポリエステル系オリゴマー(x)のガラス転移温度(Tgα)とポリマー(y)のガラス転移温度(Tgβ)の差(Tgα-Tgβ)は、通常5℃以上であり、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上である。両者の差が小さすぎると 耐薬品性、初期密着性(タック)が低下する傾向がある。なお、上限は、通常100℃である。
上記ポリマー(y)の数平均分子量は、300~30,000であることが好ましく、500~10,000であることがより好ましく、800~5,000であることが特に好ましい。かかる数平均分子量が小さすぎると初期密着性が低下する傾向があり、大きすぎると耐薬品性が低下する傾向がある。
なお、本発明において数平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による数平均分子量であり、高速液体クロマトグラフ(東ソー社製、「HLC-8320GPC」)に、カラム:TSKgel SuperMultipore HZ-M(排除限界分子量:2×106、理論段数:16,000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:4μm)の2本直列を用いることにより測定されるものであり、重量平均分子量も同様の方法を用いることができる。
本発明で用いるポリエステル系樹脂(A)は、前記ポリエステル系オリゴマー(x)と上記ポリマー(y)とを、共重合させることによって得られる。
上記共重合の反応条件としては、触媒を用いて、反応温度を好ましくは220~280℃、特に好ましくは230~270℃として、反応系を徐々に減圧して最終的には5hPa以下で、1~10時間反応させることが好ましい。かかる反応温度が低すぎると反応が充分に進行しにくい傾向があり、高すぎると分解等の副反応が起こりやすい傾向がある。
上記触媒としては、前記多価カルボン酸類(a1)とポリオール(a2)とのエステル化反応で例示した触媒と同様のものを用いることができる。なかでも、テトラブチルチタネート、リン酸が好ましく、テトラブチルチタネートとリン酸を併用することが特に好ましい。
また、上記触媒の配合量は、全共重合成分に対して1~10,000ppmであることが好ましく、特に好ましくは10~5,000ppm、さらに好ましくは20~3,000ppmである。かかる配合量が少なすぎると、重合反応が充分に進行しにくい傾向があり、多すぎても反応時間短縮等の利点はなく副反応が起こりやすい傾向がある。
かくして本発明で用いられるポリエステル系樹脂(A)が得られる。
かかるポリエステル系樹脂(A)は、下記式(1)のようなポリエステル系オリゴマー(x)由来のポリエステルブロック(X)と、ポリマー(y)由来のポリマーブロック(Y)からなる構造単位を繰り返し含有するものである。
X-Y ・・・(1)
上記ポリエステル系樹脂を構成するポリマーブロック(Y)の含有割合は、密着性および耐薬品性のバランスの点から、ポリエステル系樹脂(A)に対して0.1~80重量%であることが好ましく、より好ましくは2~70重量%であり、特に好ましくは5~60重量%であり、殊に好ましくは15~40重量%である。ポリマーブロック(Y)の含有割合が少なすぎると、密着性が低下する傾向があり、含有割合が多すぎると、耐薬品性が低下する傾向がある。
また、上記ポリエステル系樹脂を構成するポリエステルブロック(X)は、芳香族構造含有化合物由来の構造単位を20モル%以上含有することが好ましく、より好ましくは40モル%以上、特に好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上である。なお、上限は、通常100モル%である。芳香族構造含有化合物由来の構造単位が少なすぎると、耐薬品性が低下する傾向がある。
また、ポリエステル系樹脂(A)中の芳香環構造含有化合物由来の構造単位の含有量は、通常1~70重量%であり、好ましくは10~65重量%、特に好ましくは20~60重量%、さらに好ましくは25~55重量%である。芳香環構造含有化合物由来の構造単位の含有量が上記範囲内であると、耐薬品性に優れるものとなる。
また、ポリエステル系樹脂(A)中の芳香環構造含有化合物由来の構造単位は、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位の少なくとも一方として含まれることが耐薬品性の点から好ましく、さらに好ましくは多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位として含まれることである。
さらに、前記芳香族ジカルボン酸類(a1-1)由来の構造単位が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位として含まれる場合は、芳香族ジカルボン酸類(a1-1)由来の構造単位が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位中に20~100モル%含有することが耐薬品性の点から好ましく、さらに好ましくは40~98モル%、特に好ましくは50~95モル%、殊に好ましくは55~93モル%、より好ましくは60~90モル%である。
また、前記非対称の芳香族ジカルボン酸類(a1-1-1)由来の構造単位が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位として含まれる場合は、非対称の芳香族ジカルボン酸類(a1-1-1)由来の構造単位が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位中に5~100モル%含有することが好ましく、特に好ましくは20~98モル%、さらに好ましくは40~95モル%、殊に好ましくは50~93モル%、より好ましくは60~90モル%である。
一方、前記分岐構造含有ポリオール(a2-1)由来の構造単位が、ポリオール(a2)由来の構造単位として含まれる場合は、分岐構造含有ポリオール(a2-1)由来の構造単位が、ポリオール(a2)由来の構造単位中〔ポリマー(y)がポリオールである場合にはポリマー(y)も含める〕に5~95モル%含有することが結晶性を崩す点で好ましく、特には10~90モル%、さらには15~80モル%であることが好ましい。
また、前記直鎖ポリオール(a2-2)由来の構造単位が、ポリオール(a2)由来の構造単位として含まれる場合は、直鎖ポリオール(a2-2)由来の構造単位が、ポリオール(a2)由来の構造単位中〔ポリマー(y)がポリオールである場合にはポリマー(y)も含める〕に5~95モル%含有することが安定した樹脂形成の点から好ましく、さらに好ましくは10~90モル%、特に好ましくは15~80モル%である。
ここで、上記ポリエステル系樹脂(A)の各成分由来の構造単位割合(組成割合)は、例えば、NMRにより求めることができる。
上記ポリエステル系樹脂(A)は、示差走査熱量計を用いて、測定温度範囲-90~100℃、温度上昇速度10℃/分の測定条件で測定した際にガラス転移温度(Tg)のピークを少なくとも2つ以上、好ましくは2つ有することが、粘着力および耐薬品性の点から好ましい。
上記2つ以上のガラス転移温度のピークは、ポリエステル系オリゴマー(x)およびポリマー(y)に由来するものである。すなわち、通常ポリエステル系オリゴマーとポリマーとの相溶性が高い場合は、ガラス転移温度のピークは1つであるのに対し、上記ポリエステル系樹脂(A)は、あえてポリエステル系オリゴマー(x)と相溶性の低いポリマー(y)をポリエステル系オリゴマー(x)と共重合させることにより、分子内で相分離が生じることから、2つ以上、好ましくは2つのピークを有することとなる。そして、上記ポリエステル系樹脂(A)は、耐薬品性に優れるポリエステル系オリゴマー(x)由来のポリエステルブロック(X)と、接着性に優れるポリマー(y)由来のポリマーブロック(Y)からなる前記式(1)の構造単位を繰り返し含有することから、耐薬品性と接着性とを両立することができるものとなる。
上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度のピークが2つの場合においては、高いほうのガラス転移温度は-15℃以上であることが好ましく、より好ましくは-15~80℃、更に好ましくは-10~50℃、特に好ましくは-8~40℃、殊に好ましくは-5~30℃である。一方、低いほうのガラス転移温度は-80~-15℃であることが好ましく、より好ましくは-75~-20℃、更に好ましくは-70~-25℃、特に好ましくは-60~-30℃である。
上記ポリエステル系樹脂(A)の重量平均分子量は、粘着剤の凝集力の点から3,000~300,000であることが好ましく、より好ましくは5,000~200,000であり、特に好ましくは10,000~150,000である。かかる重量平均分子量が小さすぎると、粘着剤として充分な凝集力が得られず、耐薬品性や機械的強度が低下しやすくなる傾向があり、大きすぎるとポリエステル系樹脂(A)の製造時にゲル化しやすくなり、樹脂が得られにくい傾向がある。なお、上記重量平均分子量は、前述の方法で測定した値である。
上記ポリエステル系樹脂(A)は結晶化しないことが保存安定性の点から好ましいが、結晶化する場合においても、ポリエステル系樹脂(A)の結晶化エネルギーができるだけ低いことが好ましく、通常35J/g以下、好ましくは、20J/g以下、特に好ましくは10J/g以下、殊に好ましくは5J/g以下である。
上記ポリスエテル系樹脂(A)の酸価は10mgKOH/g以下であることが好ましく、特には3mgKOH/g以下、さらには1mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が高すぎると、粘着剤層の一方の面に、金属等の層を積層した場合に腐食してしまう傾向がある。例えば、金属酸化物薄膜層となる構成とした際に、腐食が起こり、金属酸化物薄膜の導電性が低下する傾向がある。なお、酸価は低ければ低いほど好ましいが、下限値としては通常0.001mgKOH/gである。
ここで、上記ポリエステル系樹脂(A)の酸価は、JIS K 0070に基づき中和滴定により求められるものである。
<加水分解抑制剤(B)>
本発明のポリエステル系粘着剤組成物(以下、「粘着剤組成物」と略すことがある)は、上記ポリエステル系樹脂(A)と共に、加水分解抑制剤(B)を含有することが好ましい。かかる加水分解抑制剤(B)は、長期耐久性を担保させるために含有されるものである。
上記加水分解抑制剤(B)としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、上記ポリエステル系樹脂(A)のカルボキシ基末端基と反応して結合する化合物が挙げられ、具体的には、例えば、カルボジイミド基、エポキシ基、オキサゾリン基、等の官能基を含有する化合物等が挙げられる。これらのなかでもカルボジイミド基含有化合物が、カルボキシ基末端基由来のプロトンの触媒活性を消失させる効果が高い点で好ましい。
上記カルボジイミド基含有化合物としては、通常、カルボジイミド基(-N=C=N-)を分子内に1個以上有する公知のカルボジイミドを用いればよいが、より高温高湿下での耐久性を上げる点でカルボジイミド基を分子内に2個以上含有する化合物、すなわち多価カルボジイミド系化合物であることが好ましく、特には3個以上、さらには5個以上、殊には7個以上含有する化合物であることが好ましい。なお、分子内に有するカルボジイミド基の数は通常50個以下であり、カルボジイミド基が多すぎると分子構造が大きくなりすぎるため相溶性が低下する傾向がある。また、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させることによって生成する高分子量ポリカルボジイミドを用いることも好ましい。
さらに、高分子量ポリカルボジイミドは末端イソシアネート基が封止剤によって封止されているものが、保存安定性の点で好ましい。封止剤としては、イソシアネート基と反応する活性水素を有する化合物、またはイソシアネート基を有する化合物が挙げられる。例えば、カルボキシ基、アミノ基、およびイソシアネート基から選ばれる置換基を1個有するモノアルコール類、モノカルボン酸類、モノアミン類、及びモノイソシアネート類等が挙げられる。
このような高分子量ポリカルボジイミドとしては、以下のジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させたものが挙げられる。
かかるジイソシアネートとしては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1-メトキシフェニル-2,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上を併用することができる。このような高分子量ポリカルボジイミドは、合成してもよいし市販品を使用してもよい。
上記カルボジイミド基含有化合物の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製のカルボジライト(登録商標)シリーズが挙げられ、それらのなかでも、カルボジライト(登録商標)V-01、V-02B、V-03、V-04K、V-04PF、V-05、V-07、V-09、V-09GBは有機溶剤との相溶性に優れる点で好ましい。
上記エポキシ基含有化合物としては、例えば、グリシジルエステル化合物やグリシジルエーテル化合物等が好ましい。
上記グリシジルエステル化合物の具体例としては、例えば、安息香酸グリシジルエステル、t-Bu-安息香酸グリシジルエステル、p-トルイル酸グリシジルエステル、シクロヘキサンカルボン酸グリシジルエステル、ペラルゴン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、ベヘン酸グリシジルエステル、バーサチック酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル、リノール酸グリシジルエステル、リノレン酸グリシジルエステル、ベヘノール酸グリシジルエステル、ステアロール酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、メチルテレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸ジグリシジルエステル、オクタデカンジカルボン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステル等を挙げられ、これらを単独でもしくは2種以上を併用することができる。
上記グリシジルエーテル化合物の具体例としては、例えば、フェニルグリシジルエ-テル、o-フェニルグリシジルエ-テル、1,4-ビス(β,γ-エポキシプロポキシ)ブタン、1,6-ビス(β,γ-エポキシプロポキシ)ヘキサン、1,4-ビス(β,γ-エポキシプロポキシ)ベンゼン、1-(β,γ-エポキシプロポキシ)-2-エトキシエタン、1-(β,γ-エポキシプロポキシ)-2-ベンジルオキシエタン、2,2-ビス-[р-(β,γ-エポキシプロポキシ)フェニル]プロパンおよび2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンや2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン等のビスフェノールとエピクロルヒドリンの反応で得られるビスグリシジルポリエーテル等が挙げられ、これらを単独でもしくは2種以上を併用することができる。
上記オキサゾリン基含有化合物としては、ビスオキサゾリン化合物等が好ましい。具体的には、例えば、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-エチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4,4’-ジエチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-プロピル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-ブチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-ヘキシル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-シクロヘキシル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-ベンジル-2-オキサゾリン)、2,2’-p-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-o-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-p-フェニレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-p-フェニレンビス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレンビス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-エチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-テトラメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-ヘキサメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-オクタメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-デカメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-エチレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-テトラメチレンビス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-9,9’-ジフェノキシエタンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-シクロヘキシレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-ジフェニレンビス(2-オキサゾリン)等を例示することができ、これらのなかでは、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)が、ポリエステル系樹脂との反応性の観点から最も好ましい。また、これらを単独でもしくは2種以上を併用することができる。
これら加水分解抑制剤(B)としては、揮発性が低い方が好ましく、そのために数平均分子量は高いものを用いる方が好ましく、通常、300~10,000、好ましくは1,000~5,000である。
また、加水分解抑制剤(B)としては、耐加水分解性の観点から重量平均分子量が高いものを用いる方が好ましい。加水分解抑制剤(B)の重量平均分子量は、500以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましく、2,000以上であることがさらに好ましく、3,000以上であることが特に好ましい。なお、重量平均分子量の上限は通常50,000である。
加水分解抑制剤(B)の分子量が小さすぎると、耐加水分解性が低下する傾向がある。なお、分子量が大きすぎると、ポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下する傾向がある。
加水分解抑制剤(B)のなかでも、カルボジイミド基含有化合物を使用することが好ましく、その際の、カルボジイミド当量は、好ましくは、50~10,000、特には100~1,000、さらには150~500であることが好ましい。なお、カルボジイミド当量とは、カルボジイミド基1個あたりの化学式量を示す。
上記加水分解抑制剤(B)の含有量は、上記ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して、0.01~10重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.1~5重量部、さらに好ましくは0.2~3重量部である。かかる含有量が、多すぎるとポリエステル系樹脂(A)との相溶性不良により濁りが発生する傾向があり、少なすぎると充分な耐久性が得られにくい傾向がある。
また、上記加水分解抑制剤(B)の含有量は、上記ポリエステル系樹脂(A)の酸価に応じて、含有量を最適化させることが好ましく、粘着剤組成物中のポリエステル系樹脂(A)の酸性官能基のモル数合計(a)に対する、粘着剤組成物中の加水分解抑制剤(B)の官能基のモル数合計(b)のモル比〔(b)/(a)〕が、0.5≦(b)/(a)であることが好ましく、特に好ましくは1≦(b)/(a)≦1,000、さらに好ましくは1.5≦(b)/(a)≦100である。
(a)に対する(b)のモル比が低すぎると、耐湿熱性能が低下する傾向がある。なお、(a)に対する(b)のモル比が高すぎると、ポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下したり、粘着力、凝集力、耐久性能が低下する傾向がある。
<架橋剤(C)>
本発明の粘着剤組成物には、架橋剤(C)をさらに含有することが好ましく、架橋剤(C)を含有させることにより、ポリエステル系樹脂(A)を架橋剤(C)で架橋させ凝集力に優れたものとなり、粘着剤としての性能を向上させることができる。
かかる架橋剤(C)としては、例えば、ポリイソシアネート系化合物、ポリエポキシ系化合物等、ポリエステル系樹脂(A)に含まれる水酸基およびカルボキシ基の少なくとも一方と反応する官能基を有する化合物が挙げられる。これらのなかでも初期接着性と機械的強度、耐熱性をバランスよく両立できる点から、特にポリイソシアネート系化合物を用いることが好ましい。
かかるポリイソシアネート系化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、等のポリイソシアネートが挙げられ、また、上記ポリイソシアネートと、トリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体や、これらポリイソシアネート系化合物のビュレット体、イソシアヌレート体、等が挙げられる。なお、上記ポリイソシアネート系化合物は、フェノール、ラクタム等でイソシアネート部分がブロックされたものでも使用することができる。これらの架橋剤(C)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。
かかる架橋剤(C)の含有量は、ポリエステル系樹脂(A)の分子量と用途目的により適宜選択できるが、通常は、ポリエステル系樹脂(A)に含まれる水酸基およびカルボキシ基の少なくとも一方の1当量に対して、架橋剤(C)に含まれる反応性基が、0.2~10当量となる割合で架橋剤(C)を含有することが好ましく、特に好ましくは0.5~5当量、さらに好ましくは0.5~3当量である。
かかる架橋剤(C)に含まれる反応性基の当量数が小さすぎると凝集力が低下する傾向があり、大きすぎると柔軟性が低下する傾向がある。
また、ポリエステル系樹脂(A)と架橋剤(C)との反応においては、これら(A)および(C)成分と反応する官能基を有しない有機溶剤、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等の有機溶剤を用いることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
<ウレタン化触媒(D)>
本発明の粘着剤組成物には、反応速度の点からウレタン化触媒(D)を含有することがより好ましい。
ウレタン化触媒(D)としては、例えば、有機金属系化合物、3級アミン化合物等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記有機金属系化合物としては、例えば、ジルコニウム系化合物、鉄系化合物、錫系化合物、チタン系化合物、鉛系化合物、コバルト系化合物、亜鉛系化合物等を挙げることができる。
ジルコニウム系化合物としては、例えば、ナフテン酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトネート等が挙げられる。
鉄系化合物としては、例えば、鉄アセチルアセトネート、2-エチルヘキサン酸鉄等が挙げられる。
錫系化合物としては、例えば、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
チタン系化合物としては、例えば、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライド等が挙げられる。
鉛系化合物としては、例えば、オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛等が挙げられる。
コバルト系化合物としては、例えば、2-エチルヘキサン酸コバルト、安息香酸コバルト等が挙げられる。
亜鉛系化合物としては、例えば、ナフテン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛等が挙げられる。
また、上記3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザビシクロ-(5,4,0)-ウンデセン-7等が挙げられる。
これらウレタン化触媒(D)のなかでも、反応速度と粘着剤層のポットライフの点で、有機金属系化合物が好ましく、特にジルコニウム系化合物が好ましい。さらにウレタン化触媒(D)は触媒作用抑制剤としてアセチルアセトンを併用することが好ましい。アセチルアセトンを含むことで、低温における触媒作用を抑制し、ポットライフを長くする点で好ましい。
本発明の粘着剤組成物においては、上記の、ポリエステル系樹脂(A)、加水分解抑制剤(B)、架橋剤(C)、ウレタン化触媒(D)の他にも、本発明の効果を損なわない範囲において、ヒンダードフェノール類等の酸化防止剤、軟化剤、紫外線吸収剤、安定剤、耐電防止剤、粘着付与剤、等の添加剤やその他、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料等の粉体、粒子状等の添加剤を配合することができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
また、本発明にかかるポリエステル系粘着剤(以下、「粘着剤」と略すことがある)は、上記粘着剤組成物が架橋されてなるものである。
そして、本発明の粘着シートは、支持基材の片面または両面に、上記粘着剤を含有する粘着剤層を有するものである。
なお、本発明において「シート」とは、「フィルム」や「テープ」をも含めた意味として記載するものである。
<粘着シート>
粘着シートは、例えば、つぎのようにして作製することができる。
かかる粘着シートの製造方法としては、公知一般の粘着シートの製造方法にしたがって製造することができ、例えば、基材上に、上記粘着剤組成物を塗工、乾燥し、反対側の粘着剤組成物層面に離型シートを貼合し、必要により養生することで基材上に、粘着剤を含有する粘着剤層を有する本発明の粘着シートが得られる。
また、離型シート上に、上記粘着剤組成物を塗工、乾燥し、反対側の粘着剤組成物層面に基材を貼合し、必要により養生することでも、本発明の粘着シートが得られる。
また、離型シートに粘着剤層を形成し、反対側の粘着剤層面に離型シートを貼り合わせることにより、基材レス両面粘着シートを製造することができる。
得られた粘着シートや基材レス両面粘着シートは、使用時には、上記離型シートを粘着剤層から剥離して粘着剤層と被着体を貼合する。
上記基材としては、例えば、ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ボリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミド;シクロオレフィンポリマー等からなる群から選ばれた少なくとも1種の合成樹脂からなるシート;アルミニウム、銅、鉄の金属箔;上質紙、グラシン紙等の紙;硝子繊維、天然繊維、合成繊維等からなる織物や不織布が挙げられる。これらの基材は、単層体としてまたは2種以上が積層された複層体として用いることができる。
これらのなかでも特にポリエチレンテレフタレート、ポリイミドからなる基材が好ましく、特には粘着剤との接着性に優れる点でポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、上記基材としてフォーム基材、例えば、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリアクリレートフォーム等の合成樹脂の発泡体からなる発泡体シートを用いることができる。これらのなかでも、被着体への追従性、接着強度のバランスに優れる点から、ポリエチレンフォーム、ポリアクリレートフォームが好ましい。
上記基材の厚みとしては、例えば、1~1,000μmであることが好ましく、特に好ましくは2~500μm、さらに好ましくは3~300μmである。
上記離型シートとしては、例えば、上記基材で例示した各種合成樹脂からなるシート、紙、布、不織布等に離型処理したものを使用することができる。離型シートとしては、シリコン系の離型シートを用いることが好ましい。
上記粘着剤組成物の塗工方法としては、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター等を用いればよい。
上記養生処理の条件としては、温度は通常、室温(23℃)~70℃、時間は通常1~30日間であり、具体的には、例えば23℃で1~20日間、好ましくは23℃で3~14日間、40℃で1~10日間等の条件で行なえばよい。
また、乾燥条件として、乾燥温度は60~140℃が好ましく、特に好ましくは80~120℃であり、乾燥時間は0.5~30分間が好ましく、特に好ましくは1~5分間である。
上記粘着シート、基材レス両面粘着シートの粘着剤層の厚みは、2~500μmであることが好ましく、特に好ましくは5~200μm、さらに好ましくは10~100μmである。かかる粘着剤層の厚みが薄すぎると、粘着力が低下する傾向があり、厚すぎると均一に塗工することが困難となるうえ、塗膜に気泡が入る等の不具合が発生しやすい傾向がある。なお、衝撃吸収性を考慮する際には、50μm以上とすることが好ましい。
なお、上記粘着剤層の厚みは、ミツトヨ社製「ID-C112B」を用いて、粘着シート全体の厚みの測定値から、粘着剤層以外の構成部材の厚みの測定値を差し引くことにより求められる。
上記粘着シートの粘着剤層のゲル分率については、耐久性能と粘着力の点から10重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは30~90重量%、さらに好ましくは50~85重量%である。ゲル分率が低すぎると凝集力が低下することにより耐薬品性が低下する傾向がある。なお、ゲル分率が高すぎると凝集力の上昇により粘着力が低下する傾向がある。
上記ゲル分率は、架橋度の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。すなわち、基材となる高分子シート(例えば、PETフィルム等)に粘着剤層が形成されてなる粘着シート(離型シートを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃×24時間浸漬し、浸漬前の粘着剤成分の重量に対する、浸漬後の金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。ただし、基材の重量は差し引いておく。
さらに、かかる粘着シートは、必要に応じて、粘着剤層の外側に離型シートを設け保護されていてもよい。また、粘着剤層が基材の片面に形成されている粘着シートでは、基材の粘着剤層とは反対側の面に剥離処理を施すことにより、該剥離処理面を利用して粘着剤層を保護することも可能である。
本発明の粘着剤は、種々の部材の貼り合わせに用いることができるが、なかでも、有機溶媒等の薬品と接する部材の貼り合せに用いることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
また、下記実施例中におけるガラス転移温度の測定に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
実施例に先立って、ポリエステル系樹脂(A)を調製した。
<ポリエステル系樹脂(A)の製造>
以下の製造例で記載する多価カルボン酸類(a1)の出来上がり成分由来の構造単位比のモル%とは、多価カルボン酸類(a1)の合計量を100モル%とした場合のモル比を示す。
また、以下の製造例で記載するポリオール(a2)、ポリマー(y)の出来上がり成分由来の構造単位比のモル%とは、ポリオール(a2)とポリマー(y)との合計量を100モル%とした場合のモル比を示す。
〔ポリエステル系樹脂(A-1)の製造〕
加熱装置、温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸(IPA)327.7部(70モル%)およびアジピン酸(AdA)123.6部(30モル%)、ポリオール(a2)としてエチレングリコール(EG)96.2部(55モル%)、1,6-ヘキサンジオール(1.6HG)183.1部(55モル%)、およびネオペンチルグリコール(NPG)117.4部(40モル%)、触媒として酢酸亜鉛0.05部を仕込み、内温250℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行い、ポリエステル系オリゴマー(x)(ガラス転移温度(Tgα)-4℃)〔後に得られるポリエステル系樹脂のポリエステルブロック(X)部分に相当〕を調製した。
その後、上記で得られたポリエステル系オリゴマー(x)に、ポリマー(y)〔後に得られるポリエステル系樹脂のポリマーブロック(Y)に相当〕として水添ポリブタジエンポリオール(日本曹達社製、「GI-1000」、ガラス転移温度(Tgβ)-42.3℃、数平均分子量1,500)を152.1部(3.6モル%)加え、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.05部、リン酸0.1部を仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A-1)〔重量平均分子量42,000〕を製造した。
得られたポリエステル系樹脂(A-1)のガラス転移温度は-4℃、-32℃であり、ガラス転移温度のピークが2つあった(図1参照)。
上記ガラス転移温度-4℃のピークは、ポリエステル系オリゴマー(x)に由来するものであり、-32℃のピークは、ポリマー(y)に由来するものである(なお、上記ガラス転移温度は、重合後のポリエステル系樹脂を測定したものであり、重合前のポリエステル系オリゴマー(x)及びポリマー(y)のガラス転移温度に起因するものである。また、ポリエステル系オリゴマー(x)においては、上記測定に基づくピークから得られるガラス転移温度と完全に一致するものではないが近似の値を示すものである。)。このことから得られたポリエステル系樹脂(A-1)は、分子内で相分離しており、ポリエステル系オリゴマー(x)由来のポリエステルブロック(X)とポリマー(y)由来のポリマーブロック(Y)とを含有することがわかる。
上記ポリエステル系樹脂(A-1)の出来上がり成分由来の構造単位比(以下、「出来上がり成分比」と略すことがある。)は、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸/アジピン酸=70モル%/30モル%、ポリオール〔(a2)+ポリマー(y)〕としてエチレングリコール/1,6-ヘキサンジオール/ネオペンチルグリコール/水添ポリブタジエンポリオール=33.2モル%/38モル%/25.2モル%/3.6モル%であった。また、ポリエステルブロック(X)に含まれる芳香族構造含有化合物由来の構造単位は、35.6モル%であり、ポリマーブロック(Y)の含有割合はポリエステル系樹脂(A-1)に対して20.0%であった。
〔ポリエステル系樹脂(A-2)の製造〕
加熱装置、温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸(IPA)311.8部(70モル%)およびアジピン酸(AdA)117.6部(30モル%)、ポリオール(a2)としてエチレングリコール(EG)91.5部(55モル%)、1,6-ヘキサンジオール(1.6HG)174.3部(55モル%)、およびネオペンチルグリコール(NPG)111.67部(40モル%)、触媒として酢酸亜鉛0.05部を仕込み、内温250℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行い、ポリエステル系オリゴマー(x)(ガラス転移温度(Tgα)-4℃)〔後に得られるポリエステル系樹脂のポリエステルブロック(X)に相当〕を調製した。
その後、上記で得られたポリエステル系オリゴマー(x)に、ポリマー(y)〔後に得られるポリマーブロック(Y)に相当〕として水添ポリブタジエンポリオール(日本曹達社製、「GI-1000」、ガラス転移温度(Tgβ)-42.3℃、数平均分子量1,500)を193.1部(4.8モル%)加え、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.05部、リン酸0.1部を仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A-2)〔重量平均分子量47,000〕を製造した。
得られたポリエステル系樹脂(A-2)のガラス転移温度は-4℃、-33℃であり、ガラス転移温度のピークが2つあった(図2参照)。
上記ポリエステル系樹脂(A-2)の出来上がり成分比は、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸/アジピン酸=70モル%/30モル%、ポリオール〔(a2)+ポリマー(y)〕としてエチレングリコール/1,6-ヘキサンジオール/ネオペンチルグリコール/水添ポリブタジエンポリオール=32.7モル%/37.6モル%/24.9モル%/4.8モル%であった。また、ポリエステルブロック(X)に含まれる芳香族構造含有化合物由来の構造単位は、35.9モル%であり、ポリマーブロック(Y)含有割合はポリエステル系樹脂(A-2)に対して25.1%であった。
〔ポリエステル系樹脂(A-3)の製造〕
加熱装置、温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸(IPA)295.2部(70モル%)およびアジピン酸(AdA)111.3部(30モル%)、ポリオール(a2)としてエチレングリコール(EG)86.7部(55モル%)、1,6-ヘキサンジオール(1.6HG)165部(55モル%)、およびネオペンチルグリコール(NPG)105.8部(40モル%)、触媒として酢酸亜鉛0.05部を仕込み、内温250℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行い、ポリエステル系オリゴマー(x)(ガラス転移温度(Tgα)-5℃)〔後に得られるポリエステル系樹脂のポリエステルブロック(X)に相当〕を調製した。
その後、上記で得られたポリエステル系オリゴマー(x)に、ポリマー(y)〔後に得られるポリマーブロック(Y)に相当〕として水添ポリブタジエンポリオール(日本曹達社製、「GI-1000」、ガラス転移温度(Tgβ)-42.3℃、数平均分子量1,500)を236.1部(6.2モル%)仕込み、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.05部、リン酸0.1部を仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A-3)〔重量平均分子量51,000〕を製造した。
得られたポリエステル系樹脂(A-3)のガラス転移温度は、-5℃、-33℃であり、ガラス転移温度のピークが2つあった(図3参照)。
上記ポリエステル系樹脂(A-3)の出来上がり成分比は、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸/アジピン酸=70モル%/30モル%、ポリオール〔(a2)+ポリマー(y)〕としてエチレングリコール/1,6-ヘキサンジオール/ネオペンチルグリコール/水添ポリブタジエンポリオール=32.1モル%/37.2モル%/24.5モル%/6.2モル%であった。ポリエステルブロック(X)に含まれる芳香族構造含有化合物由来の構造単位は、36.1モル%であり、ポリマーブロック(Y)含有割合はポリエステル系樹脂(A-3)に対して30.3%であった。
〔ポリエステル系樹脂(A’-1)の製造〕
加熱装置、温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸(IPA)96.1部(20モル%)およびセバシン酸(SebA)467.8部(80モル%)、ポリオール(a2)として1,6-ヘキサンジオール(1.6HG)29.7部(8.7モル%)、ネオペンチルグリコール(NPG)271部(90モル%)、1,4-ブタンジオール(1.4BG)130.3部(50モル%)、およびトリメチロールプロパン(TMP)5部(1.3モル%)、触媒として酢酸亜鉛0.05部を仕込み、内温250℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行った。
その後、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.05部、リン酸0.1部を仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A’-1)を製造した。
得られたポリエステル系樹脂(A’-1)のガラス転移温度は-50℃、出来上がり成分比は、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸/セバシン酸=20モル%/80モル%、ポリオール(a2)として1,6-ヘキサンジオール/ネオペンチルグリコール/1,4-ブタンジオール/トリメチロールプロパン=6.2モル%/58.5モル%/34モル%/1.3モル%であった。
〔ポリエステル系樹脂(A’-2)の製造〕
加熱装置、温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸(IPA)386.5部(70モル%)およびアジピン酸(AdA)145.7部(30モル%)、ポリオール(a2)としてエチレングリコール(EG)113.4部(55モル%)、1,6-ヘキサンジオール(1.6HG)216部(55モル%)、およびネオペンチルグリコール(NPG)138.4部(40モル%)、触媒として酢酸亜鉛0.05部を仕込み、内温250℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行った。
その後、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.05部を仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A’-2)を製造した。
得られたポリエステル系樹脂(A’-2)のガラス転移温度は-5℃、出来上がり成分比は、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸/アジピン酸=70モル%/30モル%、ポリオール(a2)としてエチレングリコール/1,6-ヘキサンジオール/ネオペンチルグリコール=34.6モル%/39.2モル%/26.2モル%であった。
得られたポリエステル系樹脂(A)または(A’)の樹脂組成(出来上がり成分比)およびガラス転移温度(Tg)の結果を下記表1に併せて示す。
Figure 0007439561000001
<ポリエステル系粘着剤組成物の製造>
上記で得られた各ポリエステル系樹脂を用いて下記実施例および比較例のポリエステル系粘着剤組成物を製造した。
(実施例1)
上記で得られたポリエステル系樹脂(A-1)をトルエンで固形分濃度50%に希釈し、このポリエステル系樹脂(A-1)溶液200部(固形分として100部)に対し、加水分解抑制剤(日清紡ケミカル社製、「カルボジライトV-09GB」)1部(固形分)、および架橋剤としてトリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(東ソー社製、「コロネートL55E」)4部(固形分)、ウレタン化触媒としてアセチルアセトンで固形分濃度1%に希釈したジルコニウム系化合物(マツモトファインケミカル社製、「オルガチックスZC-150」)0.02部(固形分)配合し、撹拌、混合することにより、ポリエステル系粘着剤組成物を得た。
(実施例2)
実施例1において、ポリエステル系樹脂(A-1)をポリエステル系樹脂(A-2)に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系粘着剤組成物を得た。
(実施例3)
実施例1において、ポリエステル系樹脂(A-1)をポリエステル系樹脂(A-3)に、架橋剤を5部に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系粘着剤組成物を得た。
(比較例1)
実施例1において、ポリエステル系樹脂(A-1)をポリエステル系樹脂(A’-1)に、架橋剤を1.25部に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系粘着剤組成物を得た。
(比較例2)
実施例1において、ポリエステル系樹脂(A-1)をポリエステル系樹脂(A’-2)に、架橋剤を3部に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系粘着剤組成物を得た。
得られたポリエステル系粘着剤組成物を用いて、以下の通り評価を行った。その結果を後記の表2に示す。
<片面離型フィルム付き粘着シートの作製>
実施例1~3および比較例1、2で得られたポリエステル系粘着剤組成物を、厚み38μmのPETフィルム(東レ社製、「ルミラーT60」)上にアプリケータを用いて塗布し、100℃で3分間乾燥し、粘着剤組成物層の厚みが25μmのPETフィルム付き粘着シートを得た。
次いで、得られたPETフィルム付き粘着シートの粘着剤組成物層表面を厚み38μmのPET製離型フィルムで覆い、40℃で4日間エージング処理を行い、片面離型フィルム付き粘着シートを得た。
<粘着シート評価>
[粘着力]
上記で得られた片面離型フィルム付き粘着シートを、23℃、50%RHの環境下で25mm×200mmに裁断した後、離型フィルムを剥がし、粘着剤層側を、鏡面仕上げステンレス鋼板(SUS-BA板)、および、ポリプロピレン(PP)板に、それぞれ2kgローラーを往復させ加圧貼付し、同雰囲気下で30分間静置した後に、オートグラフ(島津製作所社製、「オートグラフAG-X 50N」)を用いて、剥離速度300mm/minで180度剥離度(N/25mm)を測定した。
[耐薬品性]
上記で得られた片面離型フィルム付き粘着シートを200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃の環境下で30分間浸漬し、浸漬前の粘着剤成分の重量に対する、浸漬後の金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率を求め、これを30分間浸漬後ゲル分率(G1)とした。ただし、PETフィルムの重量は差し引いておく。
また、同様に、片面離型フィルム付き粘着シートを200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃の環境下で24時間浸漬し、浸漬前の粘着剤成分の重量に対する、浸漬後の金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率を求め、これを24時間浸漬後ゲル分率(G2)とした。ただし、PETフィルムの重量は差し引いておく。
上記ゲル分率(G1)及び(G2)を用いて、下式により維持率(%)を算出し、下記評価基準にて耐薬品性を評価した。
維持率(%)=100-(〔100-30分浸漬ゲル分率(G1)〕/〔100-24時間浸漬ゲル分率(G2)〕)×100
(評価基準)
◎・・・維持率が60%以上
○・・・維持率が40%以上60%未満
△・・・維持率が30%以上40%未満
×・・・維持率が30%未満
Figure 0007439561000002
上記表2の結果より、実施例1~3のポリエステル系粘着剤組成物は、SUS-BA板に対する接着性だけでなく、PP板のようなポリオレフィン基材に対する接着性にも優れるものであり、さらに耐薬品性にも優れたものであった。
これに対して、比較例1はポリエステル系樹脂のガラス転移温度が低く接着性には優れるものの、ガラス転移温度の低いポリマーブロックを含有せず、ガラス転移温度も低いため、耐薬品性に劣るものであった。また、比較例2はポリエステル系樹脂のガラス転移温度が高いため、耐薬品性には良好であるものの、ガラス転移温度の低いポリマーブロックを含有しないため密着性が低く、SUS-BA基材に対する剥離にてジッピングが生じ、またポリオレフィン基材に対する接着性に劣るものであった。
したがって、実施例は、金属やポリオレフィン基材に対する接着性と耐薬品性とを両立する優れたポリエステル系粘着剤組成物であることが分かる。
本発明のポリエステル系粘着剤組成物は、金属やポリオレフィン基材等の被着体に対する接着性に優れ、さらに耐薬品性にも優れるため、それを用いた粘着剤や粘着シートは、ディスプレイやそれを構成する光学フィルム、基材等の光学部材において、その光学部材の貼り合わせ用途に好適に用いることができる。

Claims (14)

  1. 多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位及びポリオール(a2)由来の構造単位を含有するポリエステル系オリゴマー(x)由来のポリエステルブロック(X)と、ポリマー(y)由来のポリマーブロック(Y)からなる下記式(1)の構造単位を繰り返し含有し、
    X-Y ・・・(1)
    上記ポリエステル系オリゴマー(x)のガラス転移温度(Tgα)が-15~30℃であり、
    上記ポリマー(y)のガラス転移温度(Tgβ)が-80~-15℃であり、上記ポリマー(y)の数平均分子量が300~30,000であり、
    上記ポリエステル系オリゴマー(x)のガラス転移温度(Tgα)がポリマー(y)のガラス転移温度(Tgβ)よりも高いポリエステル系樹脂(A)を含有することを特徴とするポリエステル系粘着剤組成物。
  2. 多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位及びポリオール(a2)由来の構造単位を含有するポリエステル系オリゴマー(x)由来のポリエステルブロック(X)と、ポリマー(y)由来のポリマーブロック(Y)からなる下記式(1)の構造単位を繰り返し含有し、
    X-Y ・・・(1)
    上記ポリマー(y)のガラス転移温度(Tgβ)が-80~-15℃であり、上記ポリマー(y)が、共役ジエン構造含有化合物、及び水添共役ジエン構造含有化合物から選ばれる少なくとも1種であり、
    上記ポリエステル系オリゴマー(x)のガラス転移温度(Tgα)がポリマー(y)のガラス転移温度(Tgβ)よりも高いポリエステル系樹脂(A)を含有することを特徴とするポリエステル系粘着剤組成物。
  3. 上記ポリマー(y)の数平均分量が300~30,000であることを特徴とする請求項2記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  4. 上記ポリエステル系樹脂(A)が、上記ポリエステル系オリゴマー(x)とポリマー(y)が共重合されたポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  5. 上記ポリエステル系樹脂(A)が、示差走査熱量計を用いて、測定温度範囲-90~100℃、温度上昇速度10℃/分の測定条件で測定した際にガラス転移温度(Tg)のピークを少なくとも2つ以上有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  6. 上記ポリエステル系オリゴマー(x)のガラス転移温度(Tgα)が-15~80℃であることを特徴とする請求項~5のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  7. 上記ポリエステルブロック(X)が芳香族構造含有化合物由来の構造単位を20モル%以上含有することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  8. 上記ポリエステル系樹脂(A)の重量平均分子量が3,000~300,000であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  9. 上記ポリマーブロック(Y)の含有割合が、ポリエステル系樹脂(A)に対して0.1~80重量%であることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  10. さらに、加水分解抑制剤(B)を含有することを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  11. さらに、架橋剤(C)を含有することを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  12. さらに、ウレタン化触媒(D)を含有することを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物が、架橋されてなることを特徴とするポリエステル系粘着剤。
  14. 請求項13記載のポリエステル系粘着剤を含有する粘着剤層を有することを特徴とする粘着シート。
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