JP7437768B2 - 診断用血液検査 - Google Patents

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Description

本発明は、診断の分野、特に血液サンプルにおける診断、より具体的には、細胞外マトリックスの分解を検出することによる癌及び動脈瘤の診断及び予後に関する。
癌は、一般的な、増加している死因である。世界保健機関は、今後20~30年の間に、癌が世界の主要な死因になると推定している。癌による死亡率の増加と戦うための最も効果的な武器は、早期診断である。多くの種類の癌は、初期段階で検出された場合、効果的に治療することができる。この現実は、発癌の開始段階で癌を検出するための、シンプルで信頼性が高く費用効果の高い分子マーカのセットを開発する必要性を強調する。癌と効果的に戦うための別の重要な戦略は、転移を発症するリスクのある患者を早期に特定して、より頻繁にフォローアップし、この下位群の患者にさらに積極的な治療的介入を適用することである。
最近の進歩はまた、癌の進行中の局所微小環境の非細胞成分、又はニッチ、特に細胞外マトリックス(ECM)の重要性を浮き彫りにした。ECMは、支持細胞から分泌される細胞外分子の集合であり、周囲の細胞に構造的及び生化学的支持を提供する。哺乳類のECMには、間質マトリックス及び基底膜が含まれる。間質マトリックスは、様々な哺乳類の細胞間(すなわち、細胞間隙)に存在する。多糖類及び線維状タンパク質のゲルが間質腔を満たし、ECMにかかる引張応力に対する圧縮緩衝液として作用する。基底膜は、様々な上皮細胞が載っているECMのシート状の沈着物である。哺乳類の各種の結合組織は、ある種のECMを有し、コラーゲン線維及び骨ミネラルは骨組織のECMを構成し、細網線維及び粉砕物質は疎性結合組織のECMを構成し、血漿は血液のECMである。
組織形態の維持に主に支持的な役割を果たす安定した構造として長い間見られてきたが、ECMは、常在細胞の環境の重要な部分であり、驚くほど動的で用途が広く、細胞生物学の基本的な側面に影響を与える。細胞接着、細胞間伝達及び分化は、ECMの一般的な機能である。ECM機能のこの多面的な側面は、ECMの非常に動的な構造と、多様な細胞の挙動を制御できる効果的なメカニズムとしてのそのリモデリングとに依存している。ECM生物学における主要な課題は、正常な発達におけるECMの役割と、ECMダイナミクスの崩壊が癌などの疾患にどのように寄与するかを理解することである。
ECMの変化によって大きく影響を受ける可能性のある疾患の別の例は、大動脈瘤である。大動脈瘤では、大動脈壁のECMが分解され、最初に大動脈の拡張が起こり、次に動脈瘤が形成される。
大動脈瘤は重要な臨床的実体を表しており、破裂又は解離が発生するまで無症状で進行する。これは、先進国におけるかなりの主要な死因である。通常、最初の症状であると同時に最後の症状である大動脈瘤の破裂は、75%の死亡率をもたらす。大動脈瘤の発生率は、一般人口の高齢化により、今後数年間で、世界中で増加し続けると推定されている。動脈瘤形成につながる病因及び分子メカニズムは調査中であり、現在、大動脈瘤を確実に検出する能力を備えた簡単な臨床検査はない。
上記の疫学データを考慮すると、癌及び大動脈瘤の早期診断のための簡単で信頼性の高い検査、並びに転移を発症するリスクのある患者又は再発患者を早期に特定するための患者の効率的なフォローアップのための方法を提供する緊急の必要性がある。さらに、癌及び動脈瘤患者の治療計画を最適化するには、一般により良い戦略が必要である。
発明の詳細な説明
本発明者らは、驚くべきことに、末梢血における特定の遺伝子の発現レベルを決定することにより、ECMの異常な機能又は分解を正確に検出できることを発見した。末梢血におけるこれらの特定の遺伝子セットの過剰発現は、癌及び動脈瘤の進行を示唆するECMのリモデリングを促進する分子メカニズムの活性化レベルを明らかにする。
ECMの分解又は異常機能を検出するための指紋は、表1に示される遺伝子で構成されている。
したがって、本発明の第1の態様は、対象における細胞外マトリックス(ECM)の分解を決定するためのインビトロ方法を提供し、この方法は、対象から単離されたサンプルにおいて、表1に列挙された遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含み、発現産物のレベルが参照値よりも高い場合、これは、無秩序な/分解されたECMを示す。
本発明の意味において、「ECMの分解」という表現はまた、無秩序なECM又は異常なECMの機械的及び動的特性をもたらすリモデリングとして理解される。
「診断」という用語は、当業者に知られている。本明細書で使用される場合、「診断」は、特定の医学的状態、合併症に気付くこと、又は状態を別の状態と区別することと理解される。これは、考えられる状態を決定又は特定しようとするプロセスと、このプロセスによって到達した意見との両方を指す。診断は、診断手順の意味で、個人の状態を、治療及び予後に関する医学的決定を可能にする別個の異なるカテゴリーに分類する試みと見なすことができる。その後、診断意見はしばしば状態の観点から説明される。本明細書で使用される「予後」とは、疾患の予想される進行及び結果の予測、並びに疾患の進行のモニタリングを指す。
本発明において、遺伝子の「発現産物」という用語は、使用される検出技術に応じて、mRNA産物、完全長タンパク質産物、又はそれらのタンパク質分解フラグメントを包含すると理解されるべきである。したがって、「発現産物のレベル」が決定される場合、それは、mRNAのレベル、又はコードされた完全長タンパク質のレベル、又はそのタンパク質分解フラグメントのレベルを指し得る。
本発明の文脈における「参照値」という用語は、サンプル又はサンプル群における遺伝子の事前定義されたレベルの発現産物として理解されるべきである。この値は、分析される状態が存在する対象と、そのような状態が存在しない対象とを区別するための閾値として使用される。サンプルは、ECMの分解がなく、その正常な機能を有する、明確に定義されたコントロール対象又はコントロール対象群から採取され、これは、コントロール対象が、ECMの異常機能及び/又は分解に関連する状態を患っていないことも意味する。当業者は、一般的な知識を利用して、参照値を取得するためにより適切な対象又は対象群を選択することができる。選択された対象群から参照値を取得するための方法は、最先端技術でよく知られている。本発明の一実施形態では、参照値は、癌又は動脈瘤に罹患していない対象又は対象群から決定される。特定の実施形態では、参照値は、健康な対象又は健康な対象の群から決定される。
本発明の意味において、「参照値よりも高い」という表現は、発現産物のレベルの任意の増加、例えば、参照値に対して少なくとも1.2倍、又は1.5倍の発現産物の増加として理解される。特定の実施形態において、「参照値よりも高い」とは、参照値に対して発現産物が少なくとも2倍増加したと理解される。
本発明の方法の特定の実施形態では、少なくともCOL11A1及び/又はCOL5A2の発現産物のレベルが決定される。別の特定の実施形態では、本方法は、COL5A1、TGFB1、ITGA4、ITGB1、MMP2、MMP9及びBMP1からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含み、少なくとも1つの遺伝子は、任意選択的にCOL11A1及びCOL5A2の一方又は両方と組み合わせて決定され、発現産物のレベルが参照値よりも高い場合、これは分解されたECMを示す。一実施形態では、COL11A1及びCOL5A2の両方の発現産物が決定される。
一実施形態では、ECMの分解を検出することは、表1に開示された遺伝子のうちの少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、又は少なくとも9つの発現産物のレベルを決定することによって行われる。特定の実施形態では、少なくともCOL11A1、COL5A2、及びMMP2の発現産物が決定される。他の特定の実施形態では、少なくとも以下の遺伝子、COL11A1、COL5A2、MMP2及びMMP9、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9及びBMP1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1及びITGA4、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4及びITGB1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4、ITGB1及びCOL5A1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4、ITGB1、COL5A1及びTGFB1の発現産物が決定される。別の特定の実施形態では、9つの遺伝子の発現産物が決定される。
したがって、本発明者らは、上記の遺伝子セットが、ECMのリモデリングを制御する分子メカニズムを適切に分析できることを見出した。理論に拘束されることを望まないが、本発明者らは、マイナーな原線維形成コラーゲン(コラーゲンVアルファ2、コラーゲンVアルファ1及びコラーゲンXIアルファ1)の発現及び合成の増加が、主要な原線維形成コラーゲン(コラーゲンI及びコラーゲンIII)のより小さなサイズ及び直径の異型原線維の形成に寄与すると仮定する。マイナーな原線維形成コラーゲンは、最終的なタンパク質複合体に部分的に保持される大きな球状アミノ末端ドメインとの立体障害を介して、主要な原線維形成コラーゲンの集合を阻害する能力を有する。さらに、放出された大きな球状アミノ末端ドメインは、特定のインテグリン受容体と相互作用できるよく特徴付けられたヘパリン結合ドメインを含み、これは、次に、ECMの構成成分の分解を招くマトリックスメタロプロテイナーゼの発現及び活性を制御する。この分子メカニズムにより、ECMが薄くなり、無秩序になり、分解するため、拡張及び大動脈瘤の形成、さらには癌の増殖及び転移を招きやすくなる。
本発明者らによって実施された広範な研究はまた、ECMの分解に関する追加の診断情報を提供し得るさらなる遺伝子マーカを特定することをもたらした。これらの遺伝子は表1-2に列挙されている。したがって、本発明の特定の実施形態では、ECMの分解を検出することは、表1-2の遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルをさらに決定することによって実行される。いくつかの実施形態では、ECMの分解を検出することは、表1に開示される少なくとも1つの遺伝子又は上記で定義されるそれらの組み合わせのいずれかに加えて、表1-2の遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することによって行われる。
対象から単離された生物学的サンプルは、任意の組織、又は血液、血漿、唾液、尿、脳脊髄液、若しくは***などの体液であり得る。しかしながら、本発明の好ましい一実施形態では、生物学的サンプルは末梢血である。これは、検出方法を大幅に高速化及び簡素化するだけでなく、非侵襲的であるため、重要である。表1に開示されている遺伝子セットの差次的発現が、ECMが分解された対象の末梢血に見られることは確かに驚くべきことである。
一実施形態では、本発明の文脈で決定される遺伝子の発現産物は、mRNAである。好ましい実施形態において、検査された対象のmRNAの量は、定量化され、コントロール対象の同じmRNAの量又はコントロール対象群のmRNAの平均量である参照値と比較される。本発明の指紋を含む遺伝子の既知のmRNA配列は表2に開示されており、同じ遺伝子の既知のタンパク質配列は表2pに開示されている。一部の遺伝子、例えばCOL11A1についていくつかの転写物が可能であることに留意されたい。しかしながら、本発明の方法は、好ましくは、遺伝子のすべての可能な転写物を決定し、その結果、特定の遺伝子からのすべての転写されたmRNAが決定される。
mRNAの量の決定は、上記方法が生物学的サンプル中のmRNAの検出及び定量化を可能にするという条件で、当業者に知られている任意の方法によって実施することができる。これらの手順の例には、PCR、定量的リアルタイムPCR(QPCR)、マルチプレックスPCR、NASBA、LCR、RT-PCR、RNAシーケンシング、アレイハイブリダイゼーション、「ノーザン」トランスファー、又はこれらの組み合わせが含まれる。上記のRNAの検出及び定量化のほとんどの方法では、この手順を実行する前に、RNAを相補DNA(cDNA)に変換する必要がある。この変換は、とりわけ、逆転写などの当業者に知られている技術によって達成される。
本発明の特定の実施形態では、遺伝子の発現産物のレベルは、逆転写とそれに続くリアルタイム定量的PCRによるmRNAの定量化によって決定される。この技術、及び遺伝子発現を検出/定量化するための他の多くの技術では、増幅プライマーの使用が必要である。本発明の好ましい実施形態では、プライマー配列は、表2に開示されている遺伝子の転写配列に由来する。特定の実施形態では、遺伝子の発現産物、すなわちmRNAのレベルを決定するために使用されるプライマーは、表3に示されるものから選択される。逆転写とそれに続くリアルタイム定量的PCRによる上記遺伝子のmRNAのレベルの決定は、以下の実施例で詳細に説明される。
本発明は、遺伝子の発現産物の発現レベルを参照値と比較することを必要とする。上記のように、参照値は、コントロール対象又はコントロール対象群から得られる。当業者は、記載された比較を確立するために任意の利用可能な方法を使用することができる。例えば、相対的定量化の方法として、Livak及びSchmittgenの2_ΔΔCtを使用することができる(Methods,2001 vol.25,issue4,p.402-8)。
別の実施形態では、表2に特定された1つ又は複数のバイオマーカに対応する1つ又は複数のプローブを含むマイクロアレイが使用される。この方法により、アレイ表面に標識された標的核酸のハイブリダイゼーションパターンが生成される。標識された核酸の結果として生じるハイブリダイゼーションパターンは、標的核酸の特定の標識に基づいて選択された特定の検出様式で、様々なやり方で視覚化又は検出され得る。代表的な検出手段としては、シンチレーションカウンティング、オートラジオグラフィー、蛍光測定、熱量測定、発光測定、光散乱などが挙げられる。
他の実施形態では、本発明の文脈で決定される遺伝子の発現産物は、遺伝子によってコードされる完全長タンパク質、又は上記タンパク質のフラグメントである。本発明によって提供される方法の特定の実施形態では、タンパク質マーカ又はそのフラグメントのレベルは、免疫学的検査、生物発光、蛍光、化学発光、電気化学及び質量分析からなる群から選択される定量的検査によって決定される。いくつかの実施形態では、決定されるタンパク質は、表2pに示されるものである。
一実施形態では、コードされたタンパク質又はそのフラグメントのレベルは、質量分析、例えば、ショットガン液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS/MS)又は多重反応モニタリング(MRM)質量分析によって検出される。
代替の実施形態では、発現のレベルは、免疫化学によって決定される。
本明細書で使用される「免疫化学」という用語は、標的タンパク質に特異的に結合する抗体の原理を利用することによって、サンプル中の抗原(この場合、上記の遺伝子又はその抗原フラグメントによってコードされるタンパク質のいずれか)を検出するための様々な技術を指す。次に、抗体と抗原との相互作用を視覚化することは、通常、抗体を、発色反応を触媒することができるペルオキシダーゼなどの酵素、又はフルオレセイン若しくはローダミンなどのフルオロフォアに結合させることによって、いくつかの方法で達成することができる。免疫化学技術は直接的又は間接的であり得る。
適切なイムノアッセイ手順としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA、マルチプレックスELISAなど)、酵素イムノドットアッセイ、凝集アッセイ、抗体-抗原-抗体サンドイッチアッセイ、抗原-抗体-抗原サンドイッチアッセイ、免疫クロマトグラフィー、又はラジオイムノアッセイなどの当業者によく知られている他のイムノアッセイ形式、及びタンパク質マイクロアレイ形式が挙げられる。一実施形態では、タンパク質のレベルは、イムノアッセイによって決定される。別の実施形態では、タンパク質の発現のレベルは、ELISAによって決定される。
「標的タンパク質に結合することができる抗体又はそのフラグメント」という用語は、本発明の態様及び実施形態で言及される標的タンパク質に選択的に結合することができる任意の免疫グロブリン又はそのフラグメントとして理解されるべきである。モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体が含まれる。「そのフラグメント」という用語は、標的タンパク質のエピトープに結合するのに適したサイズ及びコンフォメーションを有する抗体の任意の部分を包含する。適切なフラグメントには、F(ab)、F(ab’)、及びFvが含まれる。「エピトープ」は、免疫系(B細胞、T細胞、又は抗体)によって認識される抗原の一部である。
本発明の別の態様は、上記で定義されたECMの分解を検出するための方法において、表1の遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定するための手段の使用に関する。特定の実施形態では、手段は、少なくともCOL11A1及び/又はCOL5A2の発現産物のレベルを決定するためのものである。別の特定の実施形態では、手段は、任意選択的に、COL11A1及びCOL5A2の一方又は両方と組み合わせて、COL5A1、TGFB1、ITGA4、ITGB1、MMP2、MMP9及びBMP1からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定するためのものである。好ましくは、手段は、COL11A1及びCOL5A2の両方のためのものである。特定の実施形態では、手段は、表1に開示されている遺伝子の群から選択される、少なくとも3つの遺伝子、少なくとも4つの遺伝子、少なくとも5つの遺伝子、少なくとも6つの遺伝子、少なくとも7つの遺伝子、少なくとも8つ又は少なくとも9つの遺伝子の発現産物のレベルを決定するためのものである。他の特定の実施形態では、手段は、少なくとも以下の遺伝子、COL11A1、COL5A2、及びMMP2、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2及びMMP9、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9及びBMP1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1及びITGA4、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4及びITGB1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4、ITGB1及びCOL5A1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4、ITGB1、COL5A1及びTGFB1の発現産物のレベルを決定するための手段を含む。別の実施形態では、手段は、表1に開示されているすべての遺伝子の発現産物のレベルを決定するためのものである。別の実施形態では、手段は、表1に開示された少なくとも1つの遺伝子又は上記で定義されたそれらの組み合わせのいずれかに加えて、表1-2に開示されている少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定するためのものである。
特定の実施形態では、手段は、mRNAを決定するためのものである。一実施形態では、手段は増幅プライマーを含む。特定の実施形態では、プライマーは、いずれの場合も、表3に示されるものである。
他の実施形態では、手段は、タンパク質又はそのフラグメントを決定するためのものである。特定の実施形態では、手段は、標的タンパク質に特異的に結合する抗体又はそのフラグメントである。
別の実施形態では、手段はキットの一部を形成する。さらに、本発明はまた、本明細書で提供される方法のいずれかを実行するために、上記で定義された発現産物のレベルを決定するための手段を含むキットの使用を提供する。キットは、対象におけるECMの分解を検出する際にそれらを使用するための上記手段及び指示を含み得る。指示は、ECMの分解を決定するための閾値、そのような分解の程度、及び/又は参照値に関する情報を含み得る。
本発明の別の態様では、対象におけるECMの分解を検出するために、表1の遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物の使用を提供する。いくつかの実施形態では、少なくともCOL11A1及び/又はCOL5A2が、選択されたバイオマーカである。別の実施形態では、対象のECMの分解を検出するためのインビトロバイオマーカとして、任意選択的にCOL11A1及びCOL5A2の一方又は両方と組み合わせて、COL5A1、TGFB1、ITGA4、ITGB1、MMP2、MMP9及びBMP1からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物を使用する。好ましくは、COL11A1及びCOL5A2の両方が、選択されたバイオマーカの中にある。
一実施形態では、対象におけるECMの分解を検出するためのバイオマーカは、表1に開示された遺伝子の少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、又は少なくとも9つの遺伝子の発現産物である。特定の実施形態では、少なくともCOL11A1、COL5A2、及びMMP2が選択される。他の特定の実施形態では、以下の遺伝子、COL11A1、COL5A2、MMP2及びMMP9、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9及びBMP1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1及びITGA4、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4及びITGB1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4、ITGB1及びCOL5A1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4、ITGB1、COL5A1及びTGFB1が選択される。別の特定の実施形態では、9つの遺伝子が選択される。別の実施形態では、対象におけるECMの分解を検出するためのバイオマーカは、表1に開示された少なくとも1つの遺伝子又は上記で定義されたそれらの組み合わせのいずれかに加えて、表1-2に開示された少なくとも1つの遺伝子の発現産物である。
ECMの分解は、癌、特に腫瘍及び転移の悪性発生に関連していることが見出されている。ECMの分解は、動脈瘤の成長及び破裂のリスクに密接に関連していることも見出されている。したがって、本発明の追加の実施形態は、上記で定義された対象におけるECMの分解を検出するための方法に関し、ECMの分解は、癌、動脈瘤、又は癌及び動脈瘤の両方に罹患している患者を示す。

実施例1に示されるように、非常に驚くべきことに、本発明者らは、表1に列挙された遺伝子の一部が、参照値と比較した場合、癌患者の末梢血において有意にアップレギュレートされ、癌の迅速かつ容易な診断を可能にすることを見出した。本発明者らは、非小細胞肺癌の患者とコントロール(悪性腫瘍のない対象)とを、感度0.98(95%信頼区間:0.89~1.00、P<0.001)及び特異性1.00(95%信頼区間:0.61~1.00、P<0.001)で区別することが可能であることを示した。これらの結果は、本発明の方法が、高い特異性及び感度で末梢血から癌を正確に診断し得ることを示す。
癌を診断するための指紋は、表4及び表4-2に示される遺伝子で構成されている。
したがって、本発明の別の態様は、対象における癌を診断するためのインビトロ方法に関し、この方法は、対象から単離されたサンプルにおいて、表4に列挙された遺伝子の群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含み、発現産物のレベルが参照値よりも高い場合、これは、対象が癌に罹患していることを示す。
「参照値」及び「参照値より高い」とは、上記で説明したように理解される。癌に関連する本発明の態様の好ましい実施形態では、参照値は、癌の悪性腫瘍を有さない対象又は対象群から得られる。癌に関連する本発明の態様のいくつかの好ましい実施形態では、「参照値よりも高い」とは、参照値に対する各遺伝子発現産物の発現レベルの以下の倍増(過剰発現)、
COL11A1の参照値に対して少なくとも5倍の過剰発現、
COL5A2の参照値に対して少なくとも2倍の過剰発現、
COL5A1の参照値に対して少なくとも2倍の過剰発現、
MMP2の参照値に対して少なくとも5倍の過剰発現、
MMP9の参照値に対して少なくとも7倍の過剰発現、
BMP1の参照値に対して少なくとも2倍の過剰発現、
ITGA4の参照値に対して少なくとも1倍の過剰発現、又は
ITGB1の参照値に対して少なくとも2倍の過剰発現として理解される。
本発明者らはまた、表4に開示された遺伝子の末梢血中のmRNAのレベルと癌の病期との間に直接的な相関関係があることを見出した。
ほとんどの種類の癌には、I~IVの番号が付けられた4つの病期がある。I期は通常、癌のサイズが比較的小さく、発生した臓器内に含まれていることを意味する。II期は通常、腫瘍がI期よりも大きいが、癌が周囲の組織に拡がり始めていないことを意味する。II期は、癌細胞が腫瘍に近いリンパ節に拡がっていることを意味する場合がある。これは、特定の種類の癌によって異なる。III期は通常、癌がより大きく、周囲の組織に拡がり始めている可能性があり、その領域のリンパ節に癌細胞があることを意味する。IV期とは、癌が発生した場所から別の離れた組織又は臓器に拡がっていることを意味する。
表4の遺伝子の過剰発現と癌の病期との相関関係は、実施例1に示されている。表4のすべての遺伝子は、参照群と比較した場合、mRNAのレベルとして測定して過剰発現しているが、I期の非小細胞肺癌の患者では、統計的に有意ではあるが、遺伝子の過剰発現がより低いことが観察される場合があり、II期、III期、及びIV期を通じて着実に成長する。本発明者らは、進行した転移性非小細胞肺癌(ステージIII及びIV)の患者を、感度0.95(95%信頼区間:0.78~0.99、P<0.001)及び特異性0.96(95%信頼区間:0.80~0.99、P<0.001)で、初期段階の非小細胞肺癌(病期I及びII)の患者と差次的に診断できることを実証した。
したがって、本発明はまた、癌の病期に応じた患者の差次的診断のためのインビトロ方法にも関し、この方法は、対象から単離されたサンプルにおいて、表4に列挙された遺伝子の群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含む。発現産物のレベルの増加は、癌の病期の進行と相関している。III期又はIV期の癌の患者は、進行癌の患者と呼ばれることがよくある。特に、発現産物が、以下のレベル、
COL11A1の参照値に対して少なくとも10倍の過剰発現、
COL5A2の参照値に対して少なくとも5倍の過剰発現、
COL5A1の参照値に対して少なくとも5倍の過剰発現、
MMP2の参照値に対して少なくとも8倍の過剰発現、
MMP9の参照値に対して少なくとも11倍の過剰発現、
BMP1の参照値に対して少なくとも5倍の過剰発現、
ITGA4の参照値に対して少なくとも6倍の過剰発現、又は
ITGB1の参照値に対して少なくとも8倍の過剰発現
を有する場合、これは、対象がIII期又はIV期の転移性癌(進行癌)に罹患していることを示す。
本発明の方法はまた、進行癌(III期及びIV期)の患者及び初期段階癌(I期及びII期)の患者のインビトロ差次的診断のためであり、発現産物が上記で定義されたレベルを有する場合、これは患者が進行した癌段階を有することを示し、一方、発現産物が上記で定義された閾値を下回るレベルを有する場合、これは患者が早期癌段階にあることを示す。
癌のIII期及びIV期はまた、転移のリスクが高いことを示唆していると見なされることがよくある。本発明の意味での「転移」とは、当技術分野では通常、癌細胞が原発性癌部位とは異なる身体の新しい領域に(しばしばリンパ系又は血流を介して)拡がるプロセスとして理解される。拡がった細胞から形成された腫瘍は、二次腫瘍と呼ばれる。癌は、原発部位の近くの領域(局所転移)又はより遠い身体の部分(遠隔転移)に拡がっている可能性がある。本発明の方法は、転移を発症するリスクが高い、又は転移プロセスの初期段階にある癌患者を特定するための信頼できる検査を提供する。これは、進行に応じて最も適切な治療を受け、転移のリスクが高い場合に必要に応じて厳格なフォローアップスケジュールが適用される可能性がある癌患者の臨床管理にとって大きな利点である。
したがって、本発明はまた、対象における癌転移のリスクを決定するための方法を提供し、この方法は、対象から単離されたサンプルにおいて、表4に列挙された遺伝子の群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含む。高レベルの発現産物は、転移のリスクが高いことを示す。特に、発現産物が、以下のレベル、
COL11A1の参照値に対して少なくとも10倍の過剰発現、
COL5A2の参照値に対して少なくとも5倍の過剰発現、
COL5A1の参照値に対して少なくとも5倍の過剰発現、
MMP2の参照値に対して少なくとも8倍の過剰発現、
MMP9の参照値に対して少なくとも11倍の過剰発現、
BMP1の参照値に対して少なくとも5倍の過剰発現、
ITGA4の参照値に対して少なくとも6倍の過剰発現、又は
ITGB1の参照値に対して少なくとも8倍の過剰発現
を有する場合、これは、対象が癌転移のリスクが高いことを示す。
したがって、上記のすべてによれば、本発明の方法を使用することにより、癌の病期に応じた癌患者の分類が可能である。したがって、本発明の別の態様は、癌患者を癌の病期に従って分類するためのインビトロ方法に関し、この方法は、対象から単離されたサンプルにおいて、表4に列挙された遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定し、上記発現産物のレベルを癌の病期と相関させることを含む。
本方法はまた、癌の治療を受け、病気を克服した患者の再発のリスクに関する早期の情報を提供し得る。「再発」とは、当技術分野で一般的に理解されているように、一時的な改善後の健康状態の悪化である。癌患者の再発の早期発見及びその後の管理は、再発した患者の予後を大きく改善する可能性があるため、これは臨床的に非常に重要である。
したがって、本発明の別の態様は、癌の治療を受けた対象の再発を検出するためのインビトロ方法に関し、この方法は、対象から単離されたサンプルにおいて、表4の遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含み、発現産物のレベルが参照値よりも高い場合、これは、患者が再発するリスクが高いことを示す。
本発明のさらなる一態様は、癌患者の予後のためのインビトロ方法に関し、この方法は、患者から単離されたサンプルにおいて、表4に列挙された遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含む。高レベルの発現産物は、予後不良を示す。特に、発現産物が、以下のレベル、
COL11A1の参照値に対して少なくとも10倍の過剰発現、
COL5A2の参照値に対して少なくとも5倍の過剰発現、
COL5A1の参照値に対して少なくとも5倍の過剰発現、
MMP2の参照値に対して少なくとも8倍の過剰発現、
MMP9の参照値に対して少なくとも11倍の過剰発現、
BMP1の参照値に対して少なくとも5倍の過剰発現、
ITGA4の参照値に対して少なくとも6倍の過剰発現、又は
ITGB1の参照値に対して少なくとも8倍の過剰発現
を有する場合、これは、予後不良を示す。
本発明の方法は、特定の種類の癌に限定されない。ECMの分解に関連した、転移を引き起こす癌の進行及び拡がりの全体的なメカニズムは、ある程度、ほとんどすべての種類の癌に共通している。組織レベルで起こっている遺伝子の発現レベルの変化は、非小細胞肺癌患者をコントロールと比較した場合、感度98%及び特異性100%で、初期段階(I期及びII期)の肺癌患者と後期転移段階(III期及びIV期)の患者とを比較した場合、感度95%及び特異性96%で、末梢血で明確に検出された。乳癌と診断された女性患者で、同様の組織発現パターンが確認された。したがって、これらの検出された変化は実際にはECMの変化を反映しているため、他の種類の癌、特にECMの分解によって転移する能力を有する癌の患者の識別に使用することができる。
特定の実施形態では、癌は、非小細胞肺癌、乳癌、結腸癌、直腸癌、小腸癌、前立腺癌、小細胞肺癌、中皮腫、腎臓癌、膵臓癌、胃癌、食道癌、喉頭癌、口腔咽頭癌、肝癌、胆管癌、胆嚢癌、膀胱癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膣癌、尿道癌、精巣癌、骨腫瘍、脳腫瘍、皮膚癌、黒色腫、肉腫、血管肉腫、脂肪肉腫などである。特定の実施形態では、癌は、非小細胞肺癌又は乳癌、例えば非小細胞肺癌である。
疾患及び転移の進行に関する患者の分類を含む、癌の信頼できる早期診断を提供する一方で、本診断方法は、臨床医が患者を治療するために最も適切な決定を行うことができるという意味で、臨床医にとって有用である。抗癌治療計画は癌の病期、特に転移があるか、又は転移のリスクが高いかに大きく依存する可能性があるため、臨床医は、上記で説明したように行われる差次的診断を考慮して、最も適切な(保守的又は積極的な)抗癌治療を推奨することができる。
したがって、別の態様では、本発明は、対象における抗癌治療を推奨するためのインビトロ方法に関し、この方法は、(a)上記で定義された方法により、対象が癌に罹患しているかどうかを診断すること、又は癌に罹患している対象の予後不良を決定すること、及び(b)対象が癌に罹患しているか、又は癌の予後不良であると診断された場合、抗癌治療を推奨することを含む。この態様はまた、(a)又は上記で定義された方法により、対象が癌に罹患しているかどうかを診断すること、癌に罹患している対象の予後不良を決定すること、及び(b)対象が癌に罹患しているか、又は癌の予後不良であると診断された場合、患者に抗癌治療を適用することを含む、癌患者を治療するための方法として企図され得る。患者が癌と診断されていない場合、臨床医は対象のフォローアップを勧めることがある。
いくつかの実施形態では、この方法は、対象が転移性癌を有することを診断が示した場合に、対象における転移性癌の治療を推奨するためのものである。
抗癌治療には、外科手術、化学治療、放射線治療、免疫治療、標的治療、及びホルモン治療が含まれる。ほとんどの癌患者は、癌の種類及び診断時の進行状況に応じて、様々な治療法を組み合わせている。好ましくは、抗癌治療は、癌の種類及び病期、臨床試験の結果、並びに組織病理学的所見に基づいて、上記の選択肢から選択される。転移性癌を治療するための治療計画は、原発性癌の種類、転移部位、過去に使用された治療、及び患者の一般的な健康状態に依存する。ほとんどの場合、転移性癌を治療するための治療計画は、外科手術、化学治療、放射線治療、免疫治療、標的治療、及びホルモン治療から選択される少なくとも2つの治療の組み合わせを、最も積極的な形態で含む。一部の種類の転移性癌は現在の治療法で治癒できるが、ほとんどの場合は治癒できない。ほとんどの転移性癌では、これらの治療の目標は、癌の成長を停止又は遅らせること、又は症状を緩和すること(緩和治療)であるが、場合によっては、転移性癌の治療が寿命を延ばすのに役立つことがある。ほとんどの場合、転移性癌の治療的介入には、治療サイクルが完了するまでかなりの数の患者が耐えることができない重大な副作用を伴う化学治療及び/又は放射線治療が含まれることに言及することも重要であり、したがって、転移が発生した場合でも早期診断の必要性は極めて高い。
さらに、本発明によれば、特定の治療を受けた癌患者は、治療的介入の有効性を確実にするために、又は再発又は転移性疾患の発生を早期に警告するためにモニタリングされ得る。本方法は、癌患者の便利なフォローアップ及び改善された管理を可能にし、したがって、不必要な苦痛を回避し、及び/又は副作用を最小限に抑える。治療的介入が成功すると、例えば、これらの遺伝子の発現レベルはコントロールに近くなり、再発又は転移性疾患がない限り、この効果は維持されるはずである。
したがって、本発明のさらなる一態様は、抗癌治療に対する癌患者の応答を決定するためのインビトロ方法を提供し、この方法は、患者から単離されたサンプルにおいて、表4の遺伝子からなる群から選択された少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することと、上記発現産物のレベルを、治療の開始前又は治療の初期段階で同じ患者について決定された同じ遺伝子の発現産物のレベルと比較することとを含み、治療の開始又は治療の初期段階に対する遺伝子の発現産物の減少は、良好な応答を示す。
別の態様は、癌患者において代替的及び/又は補完的治療を推奨するためのインビトロ方法として定義することができ、この方法は、患者から単離されたサンプルにおいて、表4の遺伝子からなる群から選択された少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することと、上記発現産物のレベルを、治療の開始前又は治療の初期段階で同じ患者について決定された同じ遺伝子の発現産物のレベルと比較することとを含み、遺伝子の発現産物は、治療の開始又は治療の初期段階に対して増加した場合、これは、代替的及び/又は補完的治療を推奨することを示す。これはまた、抗癌治療に応答しない癌患者を治療するための方法としても策定することができ、この方法は、患者から単離されたサンプルにおいて、表4の遺伝子からなる群から選択された少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することと、上記発現産物のレベルを、治療の開始前又は治療の初期段階で同じ患者について決定された同じ遺伝子の発現産物のレベルと比較することと、遺伝子の発現産物が治療の開始又は治療の初期段階に対して増加した場合、代替的及び/又は補完的治療を適用することとを含む。遺伝子の発現産物が治療の開始又は治療の初期段階に対して変化しない場合、臨床医は、代替的及び/又は補完的治療を推奨又は適用することもあり得る。
癌に関する上記のすべての方法において、少なくともCOL11A1及び/又はCOL5A2の発現産物のレベルが好ましくは決定される。特定の実施形態では、本方法は、COL5A1、ITGA4、ITGB1、MMP2、MMP9及びBMP1からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含み、少なくとも1つの遺伝子は、任意選択的にCOL11A1及びCOL5A2の一方又は両方と組み合わせて決定され、発現産物のレベルが参照値よりも高い場合、これは、対象が癌に罹患していることを示す。好ましくは、COL11A1及びCOL5A2の両方の発現産物が決定される。他の実施形態では、本方法は、表4に開示された遺伝子のうちの少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は少なくとも8つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含む。特定の実施形態では、少なくともCOL11A1、COL5A2、及びCOL5A1の発現産物が決定される。他の特定の実施形態では、少なくとも以下の遺伝子、COL11A1、COL5A2、COL5A1及びMMP2、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、COL5A1、MMP2及びMMP9、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、COL5A1、MMP2、MMP9及びBMP1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、COL5A1、MMP2、MMP9、BMP1及びITGA4、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、COL5A1、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4及びITGB1の発現産物が決定される。別の特定の実施形態では、8つの遺伝子の発現産物が決定される。本発明の他の実施形態では、表4-2の遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルがさらに決定される。いくつかの実施形態では、癌に関する上記の方法は、表4に開示された少なくとも1つの遺伝子又は上記で定義されたそれらの組み合わせのいずれかに加えて、表4-2の遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含む。
患者から得られる生物学的サンプルは、すでに上記で開示されているように、任意の組織、又は血液、血漿、唾液、尿、脳脊髄液、若しくは***などの体液、好ましくは末梢血であり得る。末梢血のサンプルに基づく診断検査は、非常に単純で、侵襲性が低く、一般集団の幅広い適用に費用効果がある。より具体的には、三次診断センターへのアクセスが制限されている高齢の患者は、簡単で費用効果の高い血液検査で診断及びモニタリングを行うことができる。最初の2年間は半年ごとに、その後は毎年、コンピュータ断層撮影スキャンによって、治療的介入後に癌患者をモニタリングすることは、臨床現場で十分に確立されている。同様に、本発明の診断用血液検査は、治療的介入後の癌患者の信頼できるモニタリングのための有望な可能性をもたらす。血液検査は比較的簡単で、便利で費用効果が高く、連続的なコンピュータ断層撮影スキャンがもたらす放射線の悪影響がないため、より頻繁に使用することができる。本発明の診断検査は、悪性腫瘍の早期再発を検出するために、また、コンピュータ断層撮影による患者のスキャンの前に、3か月ごとに使用することもでき、それによって、それらが悪性腫瘍及び転移性疾患に関連する遺伝子の発現レベルが低レベル又は正常レベルであることを示している場合、潜在的な再発診断への貢献が十分に正当化され得る将来の時点に向けてコンピュータ断層撮影スキャンの延期を指示することもできる。
遺伝子の発現産物のレベルは、上記で開示されたように決定される。いくつかの実施形態では、発現産物はmRNAであり、好ましくは、逆転写とそれに続くリアルタイム定量的PCRによって決定される。増幅プライマーは、表4及び4-2に開示された遺伝子の転写mRNA配列に由来し(表2に示されるように)、転写配列を増幅するための適切なプライマーが表3に提供されている。他の実施形態では、発現産物は、コードされたタンパク質であり、上記で説明したように、質量分析又は免疫化学によって決定される。
本発明の別の態様は、上記で定義された癌に関連する方法において、表4の遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定するための手段の使用に関する。特定の実施形態では、手段は、少なくともCOL11A1及び/又はCOL5A2の発現産物のレベルを決定するためのものである。別の特定の実施形態では、手段は、任意選択的に、COL11A1及びCOL5A2の一方又は両方と組み合わせて、COL5A1、ITGA4、ITGB1、MMP2、MMP9及びBMP1からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定するためのものである。好ましくは、手段は、COL11A1及びCOL5A2の両方の発現産物を決定するためのものである。特定の実施形態では、手段は、表4に開示されている遺伝子の群から選択される、少なくとも3つの遺伝子、少なくとも4つの遺伝子、少なくとも5つの遺伝子、少なくとも6つの遺伝子、少なくとも7つの遺伝子、又は少なくとも8つの遺伝子の発現産物のレベルを決定するためのものである。他の特定の実施形態では、手段は、少なくとも以下の遺伝子、COL11A1、COL5A2及びCOL5A1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、COL5A1及びMMP2、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、COL5A1、MMP2及びMMP9、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、COL5A1、MMP2、MMP9及びBMP1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、COL5A1、MMP2、MMP9、BMP1及びITGA4、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、COL5A1、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4及びITGB1の発現産物のレベルを決定するための手段を含む。別の実施形態では、手段は、表4に開示されているすべての遺伝子の発現産物のレベルを決定するためのものである。別の実施形態では、手段は、表4に開示された少なくとも1つの遺伝子又は上記で定義されたそれらの組み合わせのいずれかに加えて、表4-2に開示されている少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定するためのものである。
特定の実施形態では、手段は、mRNAを決定するためのものである。一実施形態では、手段は増幅プライマーを含む。特定の実施形態では、プライマーは、いずれの場合も、表3に示されるものである。他の実施形態では、手段は、タンパク質又はそのフラグメントを決定するためのものである。特定の実施形態では、手段は、標的タンパク質に特異的に結合する抗体又はそのフラグメントである。
別の実施形態では、手段はキットの一部を形成する。本発明のキットは、発現産物のレベルを決定するための上記手段、及び上記で定義された病期による癌の診断/予後/転移のリスク/分類において使用するための指示を含み得る。指示は、上記で定義された病期及び/又は参照値に従って、癌の診断/予後/転移のリスク/分類を決定するための閾値に関する情報を含み得る。
本発明はまた、別の態様において、対象における癌をインビトロで診断するためのバイオマーカとして、表4に列挙された遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物の使用を提供する。本発明はまた、癌の病期に応じた癌患者のインビトロ差次的診断のための上記バイオマーカの使用に関する。いくつかの実施形態は、III期又はIV期の癌を有する癌患者の差次的診断のための上記バイオマーカの使用に関する。他の実施形態は、進行癌(III期及びIV期)の患者及び初期段階の癌(I期及びII期)の患者の差次的診断のための上記バイオマーカの使用に関する。特定の実施形態は、対象における癌転移の高リスクを診断するための上記バイオマーカの使用に関する。別の態様は、癌の治療介入をすでに受けた患者の再発を診断するためのバイオマーカとして、表4の遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物の使用を提供する。
本発明の別の態様は、対象における癌のインビトロ予後のためのバイオマーカとして、表4に列挙された遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物の使用を提供する。別の態様は、癌に罹患している対象に抗癌治療を推奨するためのバイオマーカとして、表4の遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物の使用を提供する。一実施形態では、使用は、転移のリスクが高い対象に転移性癌の治療を推奨するためのものである。
さらなる態様は、特定の抗癌治療に対する癌患者の応答を決定するためのバイオマーカとして、表4に列挙された遺伝子からなる群から選択される遺伝子の発現産物の使用を提供する。
上記の態様のいくつかの実施形態では、少なくともCOL11A1及び/又はCOL5A2が選択されたバイオマーカである。別の実施形態は、インビトロバイオマーカとして、任意選択的にCOL11A1及びCOL5A2の一方又は両方と組み合わせて、COL5A1、ITGA4、ITGB1、MMP2、MMP9及びBMP1からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物を使用することを提供する。好ましくは、COL11A1及びCOL5A2の両方が、選択されたバイオマーカの中にある。他の実施形態では、選択されたバイオマーカは、表4に開示された遺伝子のうちの少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は少なくとも8つの遺伝子の発現産物である。特定の実施形態では、少なくともCOL11A1、COL5A2及びCOL5A1の発現産物が選択される。他の特定の実施形態では、少なくとも以下の遺伝子、少なくともCOL11A1、COL5A2、COL5A1及びMMP2、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、COL5A1、MMP2及びMMP9、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、COL5A1、MMP2、MMP9及びBMP1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、COL5A1、MMP2、MMP9、BMP1及びITGA4、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、COL5A1、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4及びITGB1の発現産物が選択される。別の特定の実施形態では、8つの遺伝子の発現産物が選択される。他の実施形態では、バイオマーカは、表4に開示された少なくとも1つの遺伝子又は上記で定義されたそれらの組み合わせのいずれかに加えて、表4-2に開示された少なくとも1つの遺伝子の発現産物である。
動脈瘤
表1に開示された、いくつかの遺伝子の発現レベルは、動脈瘤と密接に関連していることも見出されている。動脈瘤を診断するための遺伝的指紋は、表5及び表5-2に示される遺伝子で構成されている。
実施例2に示されるように、非常に驚くべきことに、本発明者らは、参照値と比較した場合、胸部大動脈瘤を患う患者の末梢血においてこれらの遺伝子のいくつかが有意にアップレギュレートされ、この状態の迅速かつ容易な診断を可能にすることを見出した。本発明者らはまた、胸部大動脈瘤を有する患者とコントロール(胸部大動脈瘤又は癌のない対象)とを、感度0.95(95%信頼区間:0.89~1.00、P<0.001)及び特異性は0.92(95%信頼区間:0.78~1.00、P<0.001)で区別することが可能であることを示した。これらの結果は、本発明の方法が末梢血サンプルから動脈瘤を正確に診断し得ることを示す。
したがって、本発明の別の態様は、対象における動脈瘤を診断するためのインビトロ方法に関し、この方法は、対象から単離されたサンプルにおいて、表5に開示された遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含み、発現産物のレベルが参照値よりも高い場合、これは、対象が動脈瘤に罹患していることを示す。
「参照値」及び「参照値より高い」とは、上記で説明したように理解される。動脈瘤に関連する本発明の態様の好ましい実施形態では、参照値は、動脈瘤を有さない対象又は対象群から得られる。動脈瘤に関連する本発明の態様のいくつかの好ましい実施形態では、「参照値よりも高い」とは、参照値に対する各遺伝子発現産物の発現レベルの以下の倍増(過剰発現)、
COL11A1の参照値に対して少なくとも5倍の過剰発現、
COL5A2の参照値に対して少なくとも1.5倍の過剰発現、
TGFB1の参照値に対して少なくとも3倍の過剰発現、
MMP2の参照値に対して少なくとも3倍の過剰発現、
MMP9の参照値に対して少なくとも2.5倍の過剰発現、
BMP1の参照値に対して少なくとも5倍の過剰発現、
ITGA4の参照値に対して少なくとも1.5倍の過剰発現、又は
ITGB1の参照値に対して少なくとも3倍の過剰発現として理解される。
さらに、実施例2の結果によって示されるように、本発明者らは、表5に示される遺伝子の末梢血中のmRNAのレベルと胸部大動脈瘤のサイズとの間に直接的な相関関係があることを見出した。
動脈瘤は通常、そのサイズと症状とに応じて分類される。体内の血管の動脈瘤は、一般に、性別及び年齢の正常値に基づいて、健康な個人の正常な直径の50%を超える血管外径の増加として定義される。成人の胸部大動脈の通常の直径は2~3cmである。直径4.5cm(3cmと比較して50%増加)の胸部大動脈は、大動脈瘤と見なされる。胸部大動脈瘤の破裂又は解離のリスクは、大動脈の直径が5cmを超えるとかなり高くなり、破裂のリスクは直径が大きくなるとさらに高くなると推定されている。臨床的観点から、直径5~6cmの胸部大動脈瘤は介入を検討する必要がある。より大きな胸部大動脈瘤(直径6~7cm)又はさらには非常に大きな胸部大動脈瘤(直径>7cm)では、介入の必要性はそれぞれ緊急及び危急と見なされる。
表5の遺伝子の過剰発現と大動脈瘤のサイズとの相関関係は、実施例2に示されている。mRNAの発現レベルとして測定された遺伝子の過剰発現は、統計的に有意ではあるが、より小さなサイズの大動脈瘤(すなわち、大動脈径5~6cm対大動脈径6~7cm対大動脈直径>7cm)を有する患者においてより低いことが観察され得る。対照的に、遺伝子の過剰発現は、非常に大きな大動脈瘤(大動脈外径が7cmを超える)を有する患者で有意に上昇する。本発明者らは、本発明の方法により、比較的大きな大動脈瘤(大動脈直径が6cm以上)を有する患者を、感度0.95(95%信頼区間:0.86~1.00、P<0.001)及び特異性0.86(95%信頼区間:0.71~1.00、P<0.001)で、比較的小さなサイズの大動脈瘤(大動脈直径が4.5~6cm)を有する患者と差次的に診断できることを実証した。
一実施形態では、本発明の方法は、動脈瘤のサイズに応じた患者の差次的診断のためのものであり、この方法は、対象から単離されたサンプルにおいて、表5に列挙された遺伝子の群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含む。発現産物のレベルの増加は、動脈瘤のサイズの増加と相関している。別の実施形態では、この方法は、大きなサイズの動脈瘤を有する患者の差次的診断のためのものである。別の実施形態では、この方法は、大きな動脈瘤を有する患者と小さなサイズの動脈瘤を有する患者との差次的診断のためのものである。特に、発現産物が、以下のレベル、
COL11A1の参照値に対して少なくとも15倍の過剰発現、
COL5A2の参照値に対して少なくとも5倍の過剰発現、
TGFB1の参照値に対して少なくとも10倍の過剰発現、
MMP2の参照値に対して少なくとも10倍の過剰発現、
MMP9の参照値に対して少なくとも12倍の過剰発現、
BMP1の参照値に対して少なくとも10倍の過剰発現、
ITGA4の参照値に対して少なくとも5倍の過剰発現、又は
ITGB1の参照値に対して少なくとも8倍の過剰発現
を有する場合、これは、患者が大きな動脈瘤、例えば大きな大動脈瘤(直径6cm以上)を有することを示す。発現産物のレベルが参照値よりも高いもののこれらの閾値を下回っている場合、これは、患者の動脈瘤が比較的小さいサイズの動脈瘤であり、特に大動脈瘤の場合、直径が6cm未満であることを示す。
動脈瘤、特に大径動脈瘤は、破裂のリスクがあると考えられる。大動脈などの血管の破裂は、大量の内出血を生じ、すぐに治療しない限り、ショック及び死に至る可能性がある。動脈瘤のサイズが特定の直径に達している場合(すなわち、上行胸部大動脈では直径5cmを超える、下行胸部大動脈では直径6cmを超える)、及び/又は動脈瘤が急速に成長している場合(年に0.5cmを超える)、破裂を避けるために手術が推奨される。これまで、患者が破裂のリスクのある動脈瘤を有するかどうかを決定するための最も費用効果の高いスクリーニング検査は、コンピュータ断層撮影研究によって行われてきた。本発明の方法は、破裂のリスクがある患者を特定するための、信頼性が高く、便利で、より費用効果の高い検査を構成する。単純な採血後の表5の遺伝子の発現パターンを考慮して、外科手術などの適切な医学的介入が臨床医によって推奨される場合がある。さらに、必要に応じて、患者に厳格なフォローアップスケジュールが適用される場合がある。したがって、本発明はまた、対象における動脈瘤の破裂のリスクを診断するためのインビトロ方法に関し、この方法は、対象から単離されたサンプルにおいて、表5の遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含む。高レベルの発現産物は、破裂のリスクを示す。特に、発現産物が、以下のレベル、
COL11A1の参照値に対して少なくとも15倍の過剰発現、
COL5A2の参照値に対して少なくとも5倍の過剰発現、
TGFB1の参照値に対して少なくとも10倍の過剰発現、
MMP2の参照値に対して少なくとも10倍の過剰発現、
MMP9の参照値に対して少なくとも12倍の過剰発現、
BMP1の参照値に対して少なくとも10倍の過剰発現、
ITGA4の参照値に対して少なくとも5倍の過剰発現、又は
ITGB1の参照値に対して少なくとも8倍の過剰発現
を有する場合、これは、動脈瘤の破裂のリスクが高いことを示す。
表5の遺伝子の過剰発現は、動脈瘤のサイズに正比例する。したがって、本発明の方法を使用することにより、動脈瘤のサイズに応じた、又は破裂のリスクが高い若しくは低いことに応じた動脈瘤患者の分類が可能である。したがって、本発明の別の態様は、動脈瘤のサイズに従って動脈瘤患者を分類するためのインビトロ方法に関し、この方法は、対象から単離されたサンプルにおいて、表5の遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定し、上記レベルを動脈瘤のサイズ及び破裂のリスクと相関させることを含む。このような分類の適切な閾値は、上記で定義されているとおりである。
本発明のさらなる一態様は、患者における動脈瘤の予後のためのインビトロ方法に関し、この方法は、患者から単離されたサンプルにおいて、表5の遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含み、発現産物のレベルは、予後不良と直接相関している。したがって、高レベルの発現産物は、予後不良を示す。特に、発現産物が破裂のリスクについて上記で定義されたレベルを有する場合、これは予後不良を示す。
本発明の方法は、特定の種類の動脈瘤に限定されない。ECMの分解に関連する動脈瘤進行の全体的なメカニズムは、すべての動脈瘤に共通している。特定の実施形態では、動脈瘤は、胸部(上行胸部又はアーチ又は下行胸部大動脈瘤)又は腹部又は胸腹部大動脈瘤のいずれかであり得る大動脈瘤から選択される。進行した段階で予後不良の動脈瘤性疾患を経験している他の血管は、脳動脈血管、腸骨動脈及び鎖骨下動脈である。好ましい実施形態では、動脈瘤は胸部大動脈瘤である。
疾患の進行及び破裂のリスクに関する患者の分類を含む、動脈瘤の信頼できる早期診断を提供する一方で、本診断方法は、本方法によって臨床医が患者を治療するために最も適切な決定を行うことができるという意味で、臨床医にとって有用である。治療計画は動脈瘤の大きさ、特に破裂のリスクがあるかどうかに依存する可能性があるため、臨床医は、上記で説明したように行われる差次的診断を考慮して、外科的介入を含む最も適切な治療を推奨することができる。まれではあるが破裂しやすい小さな動脈瘤があり、比較的小さな直径で破裂した動脈瘤の散発的な症例があるという事実を考えると、外科的介入の推奨は、本発明で提案された分子指標が高レベルに発現している場合、小径動脈瘤でも助言され得る。本発明のバイオマーカは、全体として、動脈瘤の破裂のリスクに関する予後の優れた指標である。したがって、散発的な症例では、小さな動脈瘤は、開示されたマーカの高レベルの発現産物をもたらす可能性があり、小さいにもかかわらず、予後不良及び破裂のリスクが高いことを示し、したがって、特定の患者の臨床管理に非常に有用な情報を提供する。
したがって、別の態様では、本発明は、対象における動脈瘤の治療計画を推奨するためのインビトロ方法に関し、(a)対象が動脈瘤に罹患しているかどうかを診断すること、又は上記で定義された方法によって予後不良を決定すること、及びb)対象が動脈瘤に罹患していると診断された場合、又は予後不良であると判断された場合、動脈瘤の治療計画を推奨することを含む。この態様はまた、動脈瘤を有する患者を治療するための方法として企図することもでき、(a)対象が動脈瘤に罹患しているかどうかを診断すること、又は上記で定義された方法によって予後不良を決定すること、及び(b)対象が動脈瘤を有するか又は予後不良であることを本方法が示している場合、動脈瘤を治療するための治療計画を患者に適用することを含む。患者が動脈瘤を有すると診断されていない場合、臨床医は対象のフォローアップを勧めることがある。
動脈瘤を治療するための治療計画には、合成グラフト又は血管内アプローチによる動脈瘤の外科的置換、及び血管の動脈瘤部分を血液の循環から隔離する試みにおけるステントグラフトが含まれる。好ましくは、動脈瘤を治療するための計画は、動脈瘤の解剖学的構造及び位置(血管内アプローチの可能性を完全に排除する特定の解剖学的制限がある)、並びに患者の年齢及び全身状態に基づいて選択される。
いくつかの実施形態では、本方法は、診断によってそのようなリスクが存在すること示されたときに、血管破裂のリスクが高い患者に適切な治療計画を推奨するためのものである。通常、これらの場合の適切な治療は、開腹手術又は最小限の侵襲的アプローチによるステントグラフト移植を伴う血管内治療のいずれかの外科的介入である。他の補助的な薬理学的介入には、治療的処置ではないが、スタチン、ベータ遮断薬、及び積極的な降圧薬の投与を含む。
さらに、本発明によれば、特定の治療を受けた動脈瘤を有する患者は、治療的介入の有効性を確実にするために、又は病変血管の破裂のリスクを早期に警告するためにモニタリングされ得る。本方法は、動脈瘤を有する患者の容易なフォローアップ及び改善された管理を可能にし、したがって、不必要な苦痛を回避し、及び/又は副作用を最小限に抑える。例えば、治療的介入が成功すると、これらの遺伝子の発現レベルはコントロールに近くなる。
したがって、本発明のさらなる一態様は、動脈瘤に罹患している患者の動脈瘤治療計画に対する応答を決定するためのインビトロ方法を提供し、この方法は、患者から単離されたサンプルにおいて、表5から選択された少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することと、上記発現産物のレベルを、治療の開始前又は治療の初期段階で同じ患者について決定された同じ遺伝子の発現産物のレベルと比較することとを含み、治療の開始又は治療の初期段階に対する遺伝子の発現産物の減少は、良好な応答を示す。
別の態様は、動脈瘤を有する患者について代替的及び/又は補完的治療計画を推奨するためのインビトロ方法として定義することができ、この方法は、患者から単離されたサンプルにおいて、表5から選択された少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することと、上記発現産物のレベルを、治療の開始前又は治療の初期段階で同じ患者について決定された同じ遺伝子の発現産物のレベルと比較することとを含み、治療の開始又は治療の初期段階に対する遺伝子の発現産物の増加は、代替的及び/又は補完的治療計画が必要であることを示す。これはまた、特に動脈瘤が体内に残る血管内アプローチの場合に、動脈瘤の治療計画に応答しない動脈瘤を有する患者を治療するための方法として策定することができ、この方法は、患者から単離されたサンプルにおいて、表5から選択された少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することと、上記発現産物のレベルを、治療の開始前又は治療の初期段階で同じ患者について決定された同じ遺伝子の発現産物のレベルと比較することと、遺伝子の発現産物が治療の開始又は治療の初期段階に対して増加した場合、動脈瘤の代替的及び/又は補完的治療計画を適用することとを含む。遺伝子の発現産物が治療の開始又は治療の初期段階に対して変化しない場合、臨床医は、代替的及び/又は補完的治療を推奨又は適用することもあり得る。
本発明の方法はまた、動脈瘤の治療を受けた患者における再発のリスクに関する早期の情報を提供し得る。治療的介入が成功すると、遺伝子の発現レベルはコントロールに近くなる。しかしながら、大動脈瘤を発症した患者は、本来の大動脈の別の部位で別の大動脈瘤を発症するリスクがある。再発の早期発見及びその後の管理は、動脈瘤に罹患している患者の予後を大きく改善する可能性がある。
したがって、本発明の別の態様は、動脈瘤の治療を受けた対象の再発を検出するためのインビトロ方法に関し、この方法は、対象から単離されたサンプルにおいて、表5の遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含み、発現産物のレベルが参照値よりも高い場合、これは、対象の再発するリスクが高いことを示す。
動脈瘤に関する上記のすべての方法において、少なくともCOL11A1及び/又はCOL5A2の発現産物のレベルが好ましくは決定される。特定の実施形態では、本方法は、TGFB1、ITGA4、ITGB1、MMP2、MMP9及びBMP1からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含み、少なくとも1つの遺伝子は、任意選択的にCOL11A1及びCOL5A2の一方又は両方と組み合わせて決定され、発現産物のレベルが参照値よりも高い場合、これは、対象が動脈瘤に罹患していることを示す。好ましくは、COL11A1及びCOL5A2の両方の発現産物が決定される。他の実施形態では、本方法は、表5に開示された遺伝子のうちの少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は少なくとも8つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含む。特定の実施形態では、少なくともCOL11A1、COL5A2、及びMMP2の発現産物が決定される。他の特定の実施形態では、少なくとも以下の遺伝子、COL11A1、COL5A2、MMP2及びMMP9、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9及びBMP1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1及びITGA4、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4及びITGB1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4、ITGB1及びTGFB1の発現産物が決定される。別の特定の実施形態では、8つの遺伝子の発現産物が決定される。本発明の他の実施形態では、表5-2の遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルがさらに決定される。いくつかの実施形態では、動脈瘤に関する上記の方法は、表5に開示された少なくとも1つの遺伝子又は上記で定義されたそれらの組み合わせのいずれかに加えて、表5-2の遺伝子から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定することを含む。
患者から得られる生物学的サンプルは、すでに上記で開示されているように、任意の組織、又は血液、血漿、唾液、尿、脳脊髄液、若しくは***などの体液であり得る。好ましくは、サンプルは末梢血である。
手術前の6か月ごと(大動脈径が外科的介入のポイントに達するまで)、及び外科的介入後の最初の1年間は術後6か月ごと、その後は毎年、コンピュータ断層撮影スキャンによって、動脈瘤、例えば、大動脈瘤の患者をモニタリングすることは、臨床現場で十分に確立されている。同様に、本発明の診断用血液検査は、血管内ステント留置介入の場合も含む治療的介入後の動脈瘤、例えば大動脈瘤を有する患者の信頼できるモニタリングのための有望な可能性をもたらす。血管内介入の場合、循環及び血圧の影響からの隔離にもかかわらず、大動脈瘤の直径が拡大し続け、ステントの移動などの壊滅的な合併症を引き起こす場合が多くある。本発明の血液診断検査は、血管内処置の合併症に関する良好な予後指標となる可能性がある。血液検査は比較的より便利で費用効果が高く、連続的なコンピュータ断層撮影スキャンがもたらす放射線の悪影響がないため、より頻繁に使用することができる。本発明の診断用血液検査は、大動脈径の変化を早期に検出するために、また、コンピュータ断層撮影による患者のスキャンの前に、3か月ごとに使用することもでき、それによって、それらが大動脈瘤拡大に関連する遺伝子の発現レベルが低レベル又は正常レベルであることを示している場合、より大きい大動脈瘤の診断の可能性への貢献が十分に正当化され得る将来の時点に向けてコンピュータ断層撮影スキャンの延期を指示することもできる。
遺伝子の発現産物のレベルは、上記で開示されたように決定される。いくつかの実施形態では、発現産物はmRNAであり、好ましくは、逆転写とそれに続くリアルタイム定量的PCRによって決定される。増幅プライマーは、表5及び5-2に開示された遺伝子の転写mRNA配列に由来し(表2に示されるように)、転写配列を増幅するための適切なプライマーが表3に提供されている。他の実施形態では、発現産物は、コードされたタンパク質であり、上記で説明したように、質量分析又は免疫化学によって決定される。
本発明の別の態様は、上記で定義された動脈瘤に関連する方法において、表5の遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定するための手段の使用に関する。特定の実施形態では、手段は、少なくともCOL11A1及び/又はCOL5A2の発現産物のレベルを決定するためのものである。別の特定の実施形態では、手段は、任意選択的に、COL11A1及びCOL5A2の一方又は両方と組み合わせて、TGFB1、ITGA4、ITGB1、MMP2、MMP9及びBMP1からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定するためのものである。好ましくは、手段は、COL11A1及びCOL5A2の両方の発現産物を決定するためのものである。特定の実施形態では、手段は、表5に開示されている遺伝子の群から選択される、少なくとも3つの遺伝子、少なくとも4つの遺伝子、少なくとも5つの遺伝子、少なくとも6つの遺伝子、少なくとも7つの遺伝子、又は少なくとも8つの遺伝子の発現産物のレベルを決定するためのものである。特定の実施形態では、少なくともCOL11A1、COL5A2、及びMMP2の発現産物が選択される。他の特定の実施形態では、少なくとも以下の遺伝子、COL11A1、COL5A2、MMP2及びMMP9、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9及びBMP1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1及びITGA4、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4及びITGB1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4、ITGB1及びTGFB1の発現産物が選択される。別の実施形態では、手段は、表5に開示されているすべての遺伝子の発現産物のレベルを決定するためのものである。別の実施形態では、手段は、表5に開示された少なくとも1つの遺伝子又は上記で定義されたそれらの組み合わせのいずれかに加えて、表5-2に開示されている少なくとも1つの遺伝子の発現産物のレベルを決定するためのものである。
特定の実施形態では、手段は、mRNAを決定するためのものである。一実施形態では、手段は増幅プライマーを含む。特定の実施形態では、プライマーは、いずれの場合も、表3に示されるものである。別の実施形態では、手段はキットの一部を形成する。本発明のキットは、発現産物のレベルを決定するための上記手段、及び上記で定義されたサイズによる動脈瘤の診断/予後/破裂のリスク/分類において使用するための指示を含み得る。指示は、上記で定義されたサイズ及び/又は参照値に従って、動脈瘤の診断/予後/破裂のリスク/分類を決定するための閾値に関する情報を含み得る。
本発明はまた、別の態様において、対象における動脈瘤をインビトロで診断するためのバイオマーカとして、表5の遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物の使用を提供する。いくつかの実施形態では、上記バイオマーカは、動脈瘤のサイズに応じた患者の差次的診断のためのものである。他の実施形態では、上記バイオマーカは、大きな動脈瘤、例えば、大動脈瘤の場合は6cmを超えるサイズの動脈瘤を有する患者の差次的診断のためのものである。別の実施形態では、本方法は、破裂のリスクがある動脈瘤を有する患者の診断のためのものである。別の実施形態では、本方法は、大きな動脈瘤を有する患者及び小又は中サイズの動脈瘤を有する患者の差次的診断、例えば、大動脈瘤の場合、直径6cmを超える動脈瘤を有する患者及び直径6cm未満の動脈瘤を有する患者の差次的診断のためのものである。
本発明の別の態様は、動脈瘤を有する患者のインビトロ予後のためのバイオマーカとして、表5の遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物の使用を提供する。本発明の別の態様は、動脈瘤に罹患している患者の動脈瘤の治療計画に対する応答を決定するためのバイオマーカとして、表5の遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物の使用を提供する。
上記の態様のいくつかの実施形態では、少なくともCOL11A1及び/又はCOL5A2が選択されたバイオマーカである。別の実施形態は、インビトロバイオマーカとして、任意選択的にCOL11A1及びCOL5A2の一方又は両方と組み合わせて、TGFB1、ITGA4、ITGB1、MMP2、MMP9及びBMP1からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現産物を使用することを提供する。好ましくは、COL11A1及びCOL5A2の両方が、選択されたバイオマーカの中にある。他の実施形態では、選択されたバイオマーカは、表5に開示された遺伝子のうちの少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は少なくとも8つの遺伝子の発現産物である。特定の実施形態では、少なくともCOL11A1、COL5A2、及びMMP2の発現産物が選択される。他の特定の実施形態では、少なくとも以下の遺伝子、COL11A1、COL5A2、MMP2及びMMP9、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9及びBMP1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1及びITGA4、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4及びITGB1、又は少なくともCOL11A1、COL5A2、MMP2、MMP9、BMP1、ITGA4、ITGB1及びTGFB1の発現産物が選択される。別の特定の実施形態では、8つの遺伝子の発現産物が選択される。他の実施形態では、バイオマーカは、表5に開示された少なくとも1つの遺伝子又は上記で定義されたそれらの組み合わせのいずれかに加えて、表5-2に開示された少なくとも1つの遺伝子の発現産物である。
本発明のインビトロ方法は、治療に対する診断的予後的及び/又は応答の(モニタリング)情報を提供する。一実施形態では、本発明の方法は、(i)治療に対する診断、予後、及び/又は応答の(モニタリング)情報を収集するステップ、並びに(ii)情報をデータキャリアに保存するステップをさらに含む。
本発明の意味において、「データキャリア」とは、対象におけるECMの分解、癌又は動脈瘤の診断及び/又は予後のための意味のある情報データを含む、紙などの任意の手段として理解されるべきである。そのような手段は、キャリアと見なすことができる。キャリアはまた、予後データを保有することができる任意のエンティティ又はデバイスであり得る。例えば、キャリアは、ROM、例えば、CD ROM若しくは半導体ROM、又は磁気記録媒体、例えば、フロッピーディスク若しくはハードディスクなどの記憶媒体を含み得る。さらに、キャリアは、電気信号又は光信号などの伝達可能なキャリアであってもよく、電気信号又は光信号は、電気ケーブル若しくは光ケーブルを介して、又は無線若しくは他の手段によって伝達され得る。治療に対する診断/予後/応答のデータが、ケーブル又は他のデバイス又は手段によって直接伝達され得る信号に具体化される場合、キャリアは、そのようなケーブル又は他のデバイス又は手段によって構成され得る。他のキャリアは、USBデバイス及びコンピュータアーカイブに関する。適切なデータキャリアの例は、紙、CD、USB、PCのコンピュータアーカイブ、又は同じ情報を使用した音声登録である。
最後に、本発明の別の態様は、上記の態様で定義された治療に対する診断、予後、及び/又は応答の方法のいずれかを実行するためのアルゴリズムを提供する。本発明の意味において、「アルゴリズム」という用語はまた、個々のサンプルを正しく分類するためのパネル又は決定図、予測子、及びデータの組み合わせの同義語である。
本発明の態様及び実施形態によれば、ECM分解、癌又は動脈瘤の治療に対する診断、予後、及び/又は応答は、生体分子、タンパク質、タンパク質のフラグメント、抗体、及び/又はmRNAの検出可能なレベルを評価する数学的アルゴリズムを使用して実施することができ、数学的アルゴリズムは、他の臨床パラメータと組み合わせて、又は他の臨床パラメータとは独立して、上記で定義された1つ又は複数のバイオマーカを含み、個々のサンプルを健康な患者、ECMが分解した患者、癌(特定の癌の病期及び転移のリスクを含む)、又は動脈瘤(動脈瘤のサイズ及び破裂のリスクを含む)に由来するものとして正しく分類することができる。
分類アルゴリズムは、測定された特定のバイオマーカ又はバイオマーカのサブセットの量が特定の閾値(参照値)を上回っているか下回っているかを決定するのと同じくらい簡単であり得る。複数のバイオマーカが使用される場合、分類アルゴリズムは線形回帰式であり得る。あるいは、分類アルゴリズムは、いくつかの学習アルゴリズムのいずれかの積であり得る。複雑な分類アルゴリズムの場合、データに対してアルゴリズムを実行する必要があり、それにより、コンピュータ、例えば、プログラム可能なデジタルコンピュータを使用して分類を決定する。いずれの場合も、ステータスを有形の媒体に記録することができ、例えば、メモリドライブ又はディスクなどのコンピュータ可読形式で記録するか、又は単に紙に印刷することができる。結果は、コンピュータ画面に報告することもできる。このアルゴリズムは、診断及び/又は予後の方法として使用され、特に、前の態様で開示された方法を実行するためのキットの一部である。
本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、「含む」という単語及びその単語の変形は、他の技術的特徴、追加物、構成要素、又はステップを除外することを意図するものではない。さらに、「含む」という単語は、「からなる」の場合を包含する。本出願の本明細書で使用されるすべての用語は、特に明記しない限り、当技術分野で知られている通常の意味で理解されるものとする。本出願で使用される特定の用語の他のより具体的な定義は、上記のとおりであり、他に明示的に定められた定義がより広い定義を提供しない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体に等しく適用されることを意図している。
本発明の追加の目的、利点、及び特徴は、説明を検討することで当業者に明らかになるか、又は本発明の実施によって学ぶことができる。以下の実施例及び図面は、例示として提供されており、本発明を限定することを意図するものではない。さらに、本発明は、本明細書に記載の特定の好ましい実施形態のすべての可能な組み合わせを網羅する。
癌患者におけるリアルタイム定量的RT-PCR反応。パネルA~Fは、コラーゲンXIアルファ1、コラーゲンVアルファ2、コラーゲンVアルファ1、コラーゲンIアルファ1、コラーゲンIアルファ2、及びコラーゲンIIIアルファ1のリアルタイム定量増幅曲線を示す。 癌患者におけるリアルタイム定量的RT-PCR反応。パネルA~Dは、インテグリン受容体アルファ4、インテグリン受容体ベータ1、インテグリン受容体アルファ3、及びインテグリン受容体アルファ6のリアルタイム定量増幅曲線を示す。 癌患者におけるリアルタイム定量的RT-PCR反応。パネルA~Fは、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、マトリックスメタロプロテイナーゼ9、マトリックスメタロプロテイナーゼの組織阻害剤1、骨形成タンパク質1、トランスフォーミング増殖因子ベータ1及びベータアクチンのリアルタイム定量増幅曲線を示す。 動脈瘤患者におけるリアルタイム定量的RT-PCR反応。パネルA~Fは、コラーゲンXIアルファ1、コラーゲンVアルファ2、コラーゲンVアルファ1、コラーゲンIアルファ1、コラーゲンIアルファ2、及びコラーゲンIIIアルファ1のリアルタイム定量増幅曲線を示す。 動脈瘤患者におけるリアルタイム定量的RT-PCR反応。パネルA~Dは、インテグリン受容体サブユニットアルファ4、インテグリン受容体サブユニットベータ1、インテグリン受容体サブユニットアルファ3、及びインテグリン受容体サブユニットアルファ6のリアルタイム定量増幅曲線を示す。 動脈瘤患者におけるリアルタイム定量的RT-PCR反応。パネルA~Fは、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、マトリックスメタロプロテイナーゼ9、マトリックスメタロプロテイナーゼの組織阻害剤1、骨形成タンパク質1、トランスフォーミング増殖因子ベータ1及びベータアクチンのリアルタイム定量増幅曲線を示す。
実施例1 癌患者の発現パターン
方法:全RNAは、コンピュータ断層撮影スキャンによって確認された非小細胞肺癌患者(合計46人の患者:I期13人、II期11人、III期13人、IV期9人)及び悪性腫瘍のない患者(コントロール、n=6)の末梢血サンプルから抽出した。
インカラム組換えDNase処理によりDNAを除去した。全RNAをRNaseフリー水で溶出し、さらに使用するまで-80℃で保存した。RNA濃度は、DNAではなくRNAに特異的な色素を使用する、Qubit1.0Fluorometer(Invitrogen/Thermo Fisher社、米国)のQuant-iT RNAアッセイキットによって決定した。すべてのRNAは十分な量であった。
サーマルサイクラーPrimus25(MWG-Biotech社、ドイツ)のRT First Strand Kit(Qiagen社、ドイツ)に従って、1pgの全RNAとランダムヘキサマーとから20mIの総量でcDNAを合成した。RT First Strand Kitには、逆転写の前にRNAサンプルの残留汚染を除去する独自のゲノムDNA除去ステップが含まれ、それにより、偽陽性シグナルが除去される。RNA陰性コントロール(ブランク)も使用した。cDNA濃度は、RNAではなくDNAに特異的な色素を使用する、Qubit1.0Fluorometer(Invitrogen/Thermo Fisher社、米国)のQuant-iT DNAアッセイキットによって決定した。次に、cDNAサンプルをリアルタイム定量的PCR分析まで-20℃で保存した。
COL11A1(すべてのバリアント)、COL5A2、COL5A1(すべてのバリアント)、TGFB1、ITGA4(すべてのバリアント)、ITGB1(すべてのバリアント)、MMP2(すべてのバリアント)、MMP9、BMP1(すべてのバリアント)、ITGA3、ITGA6(すべてのバリアント)、TIMP1、COL1A1、COL3A1、及びCOL1A2のmRNA発現レベルを研究するため、適切なRT2 qPCR Primer Assays(Qiagen社、ドイツ)及びRT2 SYBR Green Mastermix(Qiagen社、ドイツ)を使用して、リアルタイムRT qPCRアッセイを、Rotor-Gene Q MDX(Qiagen社、ドイツ)リアルタイムサーマルサイクラーで、総量20μLで検証した。すべての転写産物(バリアント)は、遺伝子ごとに決定した。プライマーは、上記の表3に開示されたものであった。参照遺伝子として、ベータアクチンを使用した。増幅を行うために、製造業者の指示に従った。
2%w/vアガロースゲルでの電気泳動と融点分析とにより、すべての産物のサイズ及び純度を確認した。すべての実行内で、各cDNAサンプルは一度に1つの遺伝子について増幅した。また、当実験室の内部品質管理のために、ランダムなcDNAサンプルがすべての実行に含まれるように選択した。研究した遺伝子の同定は、以下の通りである。
1.COL11A1[ホモサピエンス(ヒト)]、本明細書ではコラーゲンXIアルファ1とも呼ばれる
遺伝子ID:1301
位置:1p21.1
エクソン数:71
2.COL5A2[ホモサピエンス(ヒト)]、本明細書ではコラーゲンVアルファ2とも呼ばれる
遺伝子ID:1290
位置:2q32.2
エクソン数:55
3.COL5A1[ホモサピエンス(ヒト)]、本明細書ではコラーゲンVアルファ1とも呼ばれる
遺伝子ID:1289
位置:9q34.3
エクソン数:68
4.COL3A1[ホモサピエンス(ヒト)]、本明細書ではコラーゲンIIIアルファ1とも呼ばれる
遺伝子ID:1281
位置:2q32.2
エクソン数:51
5.COL1A1[ホモサピエンス(ヒト)]、本明細書ではコラーゲンIアルファ1とも呼ばれる
遺伝子ID:1277
位置:17q21.33
エクソン数:51
6.COL1A2[ホモサピエンス(ヒト)]、本明細書ではコラーゲンIアルファ2とも呼ばれる
遺伝子ID:1278
位置:7q21.3
エクソン数:52
7.ITGA3[ホモサピエンス(ヒト)]、本明細書ではインテグリン受容体サブユニットアルファ3とも呼ばれる
遺伝子ID:3675
位置:17q21.33
エクソン数:26
8.ITGA4[ホモサピエンス(ヒト)]、本明細書ではインテグリン受容体サブユニットアルファ4とも呼ばれる
遺伝子ID:3676
位置:2q31.3
エクソン数:29
9.ITGA6[ホモサピエンス(ヒト)]、本明細書ではインテグリン受容体サブユニットアルファ6とも呼ばれる
遺伝子ID:3655
位置:2q31.1
エクソン数:28
10.ITGB1[ホモサピエンス(ヒト)]、本明細書ではインテグリン受容体サブユニットベータ1とも呼ばれる
遺伝子ID:3688
位置:10p11.22
エクソン数:18
11.MMP2[ホモサピエンス(ヒト)]、本明細書ではインテグリン受容体サブユニットベータ1マトリックスメタロペプチダーゼ2とも呼ばれる
遺伝子ID:4313
位置:16q12.2
エクソン数:17
12.MMP9[ホモサピエンス(ヒト)]、本明細書ではマトリックスメタロペプチダーゼ9とも呼ばれる
遺伝子ID:4318
位置:20q13.12
エクソン数:13
13.TIMP1[ホモサピエンス(ヒト)]、本明細書ではTIMPメタロペプチダーゼ阻害剤1とも呼ばれる
遺伝子ID:7076
位置:Xp11.3
エクソン数:6
14.BMP1[ホモサピエンス(ヒト)]、本明細書では骨形成タンパク質1とも呼ばれる
遺伝子ID:649
位置:8p21.3
エクソン数:25
15.TGFB1[ホモサピエンス(ヒト)]、本明細書ではトランスフォーミング増殖因子ベータ1とも呼ばれる
遺伝子ID:7040
位置:19q13.2
エクソン数:7
16.ACTB[ホモサピエンス(ヒト)]、本明細書はアクチンベータとも呼ばれる
遺伝子ID:60
位置:7p22.1
エクソン数:6
ACTB遺伝子のNCBI参照配列はNG_007992.1(その転写物はNG_007992.1)である。
ベータアクチン遺伝子アッセイ用のキャリブレータ(標準)を準備するために、いくつかのPCR産物を結合し、PureLink PCR Purification Kit(Invitrogen/Thermo Fisher社)で精製した後、Qubit 1.0 Fluorometer(Invitrogen/Thermo Fisher社、米国)のQuant-iT dsDNA Broad range Assay kitで濃度を測定した。コピー/pLは以前に記載されたように計算した(Kroupis C.et al,Clin Biochem.2005,vol.38,issue 1,p.50-57)。高濃度キャリブレータを段階希釈し、両方の遺伝子の検量線を取得した。相対的定量化の方法として、Livak及びSchmittgenの2_ΔΔCt(上記参照)を使用した(RQ=2_ΔΔCt、式中、RQはmRNA発現である)。
統計方法:遺伝子の組み合わせに対するqRT-PCRの感度及び特異性は、95%の信頼区間で計算した。感度/特異性の結果は、非小細胞肺癌患者群内でアップレギュレートされた転写物バイオマーカ(n=46、感度)及びコントロール患者内でダウンレギュレートされた転写物バイオマーカ(n=6、特異性)として測定した。さらに、感度/特異性の結果は、非小細胞肺癌の進行した転移段階の患者の下位群内でアップレギュレートされた転写物バイオマーカ(n=22、III期及びIV期の患者-感度)、及び非小細胞肺癌の初期段階の患者の下位群内でダウンレギュレートされた(又はコントロールと比較してアップレギュレートが少ない)転写物バイオマーカ(n=24、I期及びII期の患者-特異性)として測定した。P値は、比較された下位群間の比率を比較するフィッシャーの直接確率検定によって与えられた。
結果:
図1は、非小細胞肺癌患者の様々なコラーゲン型からの代表的なリアルタイムRT-PCR曲線を示す。コントロールと比較して、非小細胞肺癌の患者では、コラーゲンXI型アルファ1、V型アルファ2及びV型アルファ1のmRNA発現のレベルが高かったことが明確に示されている。これらのマイナーな原線維形成コラーゲンの発現レベルは、非小細胞肺癌の進行及び転移段階(III期及びIV期)でさらに過剰発現したことも示されている。表6は、参照群(非癌患者)に対する倍率変化発現パターンを示す。
図2は、非小細胞肺癌患者の様々な型のインテグリン受容体からの代表的なリアルタイムRT-PCR曲線を示す。コントロールと比較して、非小細胞肺癌の患者では、インテグリン受容体アルファ4、ベータ1、アルファ3、及びアルファ6のmRNA発現のレベルが高かったことが明確に示されている。これらのインテグリン受容体の発現レベルはII期でより高く、非小細胞肺癌の進行及び転移段階(III期及びIV期)でさらに過剰発現したことは留意すべきである。表7は、参照群(非癌患者)に対する倍率変化発現パターンを示す。
図3は、非小細胞肺癌の患者における、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、マトリックスメタロプロテイナーゼ9、マトリックスメタロプロテイナーゼの組織阻害剤1、骨形成タンパク質1、トランスフォーミング増殖因子ベータ1、及びベータアクチンの参照遺伝子からの代表的なリアルタイムRT-PCR曲線を示す。非小細胞肺癌患者では、コントロールと比較して、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、マトリックスメタロプロテイナーゼ9、マトリックスメタロプロテイナーゼの組織阻害剤1、骨形成タンパク質1、トランスフォーミング増殖因子ベータ1のmRNA発現レベルが高かったことが明確に示されている。ECMのリモデリングを制御しているこれらのmRNAの発現レベルは、非小細胞肺癌の進行及び転移段階(III期及びIV期)でさらに過剰発現したことも示されている。コントロール群と非小細胞肺癌患者の異なる病期との間でベータアクチンの発現レベルに変化はなかった。表8は、参照群(非癌患者)に対する倍率変化発現パターンを示す。
RT-PCR反応のすべての産物は、アガロース電気泳動ゲルでテストした。すべての増幅産物は、予想される分子量位置で単一の産物によって表した。さらなるDNAシーケンシング分析により、増幅されたPCR産物の予想される配列を確認した。
結論として、遺伝子コラーゲンXIアルファ1、コラーゲンVアルファ2、コラーゲンVアルファ1、インテグリン受容体アルファ4、インテグリン受容体ベータ1、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、マトリックスメタロプロテイナーゼ9及び骨形成タンパク質1の発現パターンは、末梢血中の癌、この場合は特に非小細胞肺癌の信頼できる診断情報を提供することが見出された。これらの遺伝子の過剰発現と癌の病期との間にも相関関係がある。この遺伝子セットは、上記で説明したようにECMのリモデリング/分解を制御する新規の分子メカニズムを適切に分析することができる。より具体的には、これらの8つのコア遺伝子を使用することにより、非小細胞肺癌患者とコントロールとを、感度0.98(95%信頼区間:0.89~1.00、P<0.001)及び特異性1.00(95%信頼区間:0.61~1.00、P<0.001)で区別することが可能であった。最後に、8つの遺伝子の発現パターンは、進行した転移性非小細胞肺癌(III期及びIV期)の患者と、初期段階の非小細胞肺癌患者(I期及びII期)とを、感度0.95(95%信頼区間:0.78~0.99、P<0.001)及び特異性0.96(95%信頼区間:0.80~0.99、P<0.001)で区別することができた。
遺伝子セットは、コントロール患者と癌患者、及び初期段階の癌患者と後期転移段階の癌患者とを区別する際に高い感度及び特異性を示しただけでなく、初期段階と転移段階との間を定量化することも可能であった。より具体的には、表6~表8及び図1~図3から導出され得るように、初期段階と転移段階との間の定量化の目的で、遺伝子の発現レベルの倍数変化を提供することができた(表9)。
遺伝子のパネルは、特に治療介入後の患者のモニタリング及びフォローアップに不可欠なECMのリモデリングの反映である。治療的介入が成功すると、これらの遺伝子の発現レベルはコントロールに近くなる。上記の実験的測定では、詳細に提示されているように、マイナーな原線維形成コラーゲンのレベル、並びに(コンピュータ断層撮影スキャンによって確認された)癌のない患者のECMの分解に関与する遺伝子のレベルが、末梢血では有意により低いレベルで発現していることが見出された。上記の実験は非小細胞肺癌の患者で行ったが、乳癌と診断された女性患者でも同様の発現パターンが確認された。したがって、これらの検出された変化は実際にはECMの変化を反映しているため、ECMの分解を通じて転移する能力を有する他の種類の癌の患者の識別に使用できる可能性がある。
実施例2;動脈瘤患者の発現パターン
方法:全RNAは、胸部大動脈瘤、すなわち上行胸部大動脈の動脈瘤の患者(合計42人の患者:大動脈径が5~6cmの胸部大動脈瘤の患者21人、大動脈径が6~7cmの胸部大動脈瘤の患者13人、及び大動脈径が7cmを超える胸部大動脈瘤の患者8人)と、コンピュータ断層撮影スキャンによって確認された大動脈動脈瘤のない患者(コントロール、n=13)との末梢血サンプルから抽出した。
方法論は例1と同じであった。
結果:
図4は、コントロール、並びに小(大動脈径5~6cm)、中(大動脈径6~7cm)、及び大(大動脈径>7cm)サイズの胸部大動脈瘤の患者における様々なコラーゲン型からの代表的なリアルタイムRT-PCR曲線を示す。胸部大動脈瘤の患者では、コントロールと比較して、XI型コラーゲンアルファ1、V型アルファ2及びV型アルファ1のmRNA発現のレベルが高かったことが明確に示されている。これらのマイナーな原線維形成コラーゲンの発現レベルは、大きなサイズの胸部大動脈瘤(大動脈径>7cm)でさらに過剰発現していることも示されている。表10は、参照群(2.5~3.0 cmの範囲の正常な直径の胸部大動脈を有する患者)に対する倍率変化発現パターンを示す。
図5は、胸部大動脈瘤患者の様々な型のインテグリン受容体からの代表的なリアルタイムRT-PCR曲線を示す。胸部大動脈瘤の患者では、コントロールと比較して、インテグリン受容体サブユニットアルファ4、ベータ1、アルファ3、及びアルファ6のmRNA発現のレベルが高かったことが明確に示されている。これらのインテグリンサブユニット受容体の発現レベルの増加は、比較的小さなサイズの動脈瘤(大動脈径5~6cm)で示され、より大きなサイズの胸部大動脈瘤(大動脈径6~7cm及び>7cm)でさらに過剰発現したことに留意すべきである。表11は、参照群(正常な直径の胸部大動脈を有する患者)に対する倍率変化発現パターンを示す。
図6は、胸部大動脈瘤患者における、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、マトリックスメタロプロテイナーゼ9、マトリックスメタロプロテイナーゼの組織阻害剤1、骨形成タンパク質1、トランスフォーミング増殖因子ベータ1、及びベータアクチンの参照遺伝子からの代表的なリアルタイムRT-PCR曲線を示す。胸部大動脈瘤患者では、コントロールと比較して、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、マトリックスメタロプロテイナーゼ9、マトリックスメタロプロテイナーゼの組織阻害剤1、骨形成タンパク質1、トランスフォーミング増殖因子ベータ1のmRNA発現レベルが高かったことが示されている。ECMのリモデリングを制御しているこれらのmRNAの発現レベルが、より大径の胸部大動脈瘤においてさらに過剰発現したことも示されている。コントロールと、異なるサイズの胸部大動脈瘤患者との間でベータアクチンの発現レベルに変化はなかった。表12は、参照群(正常な直径の胸部大動脈を有する患者)に対する倍率変化発現パターンを示す。
RT-PCR反応のすべての産物は、アガロース電気泳動ゲルでテストした。すべての増幅産物は、予想される分子量位置で単一の産物によって表した。さらなるDNAシーケンシング分析により、増幅されたPCR産物の予想される配列を確認した。
結論として、遺伝子コラーゲンXIアルファ1、コラーゲンVアルファ2、インテグリン受容体アルファ4、インテグリン受容体ベータ1、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、マトリックスメタロプロテイナーゼ9、トランスフォーミング増殖因子ベータ1及び骨形成タンパク質1の発現パターンは、末梢血の動脈瘤、この場合は特に胸部大動脈瘤の信頼できる診断情報を提供することが見出された。これらの遺伝子の過剰発現と動脈瘤のサイズとの間にも相関関係がある。この遺伝子のセットは、ECMのリモデリングを制御する提案された新規の分子メカニズムを適切に分析することができる。より具体的には、これらの遺伝子(胸部大動脈瘤の患者ではすべてが有意にアップレギュレートされ、より大径の胸部大動脈瘤では有意なアップレギュレーションがあった)を使用することにより、胸部大動脈瘤の患者とコントロールとを、感度0.95(95%信頼区間:0.89~1.00、P<0.001)及び特異性0.92(95%信頼区間:0.78~1.00、P<0.001)で区別することが可能であった。最後に、これらの遺伝子を使用することにより、より大きい大動脈瘤の患者(直径が6cmを超える)と、より小さいサイズの大動脈瘤の患者(直径5~6cm)とを、感度0.95(95%信頼区間:0.86~1.00、P<0.001)及び特異性0.86(95%信頼区間:0.71~1.00、P<0.001)で区別することが可能であった。
設定された遺伝子は、コントロールと胸部大動脈瘤の患者、及び比較的小さいサイズの大動脈瘤の患者と比較的大きいサイズの胸部大動脈瘤の患者とを区別する際に高い感度及び特異性を示しただけでなく、コントロールと比較して、小さいサイズ(大動脈径5~6cm)とより大きなサイズ(大動脈径>6cm)の胸部大動脈瘤との間で定量化することが可能であった。より具体的には、表10~表12及び図4~図6から導出され得るように、小さいサイズとより大きいサイズの胸部大動脈瘤との間の定量化の目的で、遺伝子の発現レベルの倍数変化を提供することができた(表13)。
選択された遺伝子のパネルは、ECMのリモデリング/分解の反映であり、これは、特に治療介入の前後の患者のモニタリング及びフォローアップに不可欠である。大動脈瘤を発症した患者は、大動脈の別の部位で別の大動脈瘤を発症するリスクがある。治療的介入が成功すると、これらの遺伝子の発現レベルはコントロールに近くなる。実験的測定では、マイナーな原線維形成コラーゲンのレベル、並びに(コンピュータ断層撮影スキャンによって確認された)大動脈瘤のない患者のECMの分解に関与する遺伝子のレベルが、末梢血では有意により低いレベルで発現していることが見出された。上記の結果は胸部大動脈瘤に罹患している患者から得られたものであるが、腹部又は胸腹部大動脈瘤の患者でも同様の発現パターンが検出され得る。したがって、上記の遺伝子の差次的発現は、他の種類の動脈瘤を有する患者の識別に潜在的に使用することができる。
最後に、他の大規模な臨床データセットによって確認されている発明者らの臨床シリーズでは、胸部大動脈瘤と診断された患者の約19%が、以前に悪性腫瘍を治療した病歴を有していたことは非常に重要であり、この悪性腫瘍には通常、以下の悪性腫瘍、男性患者における非小細胞肺癌、結腸癌及び前立腺癌、並びに女性患者における非小細胞癌、結腸癌及び乳癌のうちの1つが含まれていた。逆に、悪性腫瘍と診断された患者では、コンピュータ断層撮影スキャンで、約24%の割合で大動脈瘤(主に胸部大動脈瘤)の存在も検出された。大動脈瘤とともに悪性腫瘍が共存すること、及びその逆は、これらの疾患が実際にECMのリモデリングのための共通の分子メカニズムを共有していることを示しており、なぜなら、どちらの場合も、それらの進行(大動脈の拡大又は転移性疾患)がECMの組成及び生理学的/生物学的特性の変化に基づいているためである。
引用文献
非特許文献
Livak and Schmittgen,“Analysis of relative gene expression data using real-time quantitative PCR and the2(-Delta Delta C(T))Method”.Methods,2001,vol.25,issue 4,p.402-8
Kroupis C.et al,“Development and applications of a real-time quantitative RT-PCR method(QRT-PCR)for BRCA1 mRNA”.Clin Biochem,2005,vol.38,issue 1,p.50-57

Claims (3)

  1. 少なくともCOL11A1、COL5A2、TGFB1、ITGA4、ITGB1、MMP2、MMP9及びBMP1の発現産物の発現レベルを決定するための手段を含み、前記手段が、プライマー又はハイブリダイゼーションプローブから選択される、動脈瘤を診断するための、動脈瘤の破裂のリスクを決定するための、動脈瘤に罹患した患者へ治療計画を推奨するための、又は動脈瘤の治療計画に基づく治療に対する動脈瘤患者の応答を決定するためのキット。
  2. 少なくともCOL11A1、COL5A2、COL5A1、ITGA4、ITGB1、MMP2、MMP9及びBMP1の発現産物の発現レベルを決定するための手段を含み、前記手段が、プライマー又はハイブリダイゼーションプローブから選択される、癌を診断するための、癌の転移のリスクを決定するための、癌に罹患した患者へ抗癌治療を推奨するための、又は抗癌治療に対する癌患者の応答を決定するためのキット。
  3. 前記発現産物がmRNAであり、且つ各遺伝子のための前記手段が、表3のプライマーである、請求項又はに記載のキット。
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