JP7437178B2 - 積層シート - Google Patents

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Description

本発明は、積層シート等に関する。
繊維基材、炭素質基材や、これらの表面凹凸等がエンボス加工により付与された樹脂基材等の基材が、意匠性が要求される各種分野において利用されている。例えば、これらの基材は、樹脂と共に複合材料(炭素繊維強化プラスチック等)を構成し、航空機のボディー等の比較的大型のものから、スポーツ用品、車の内外装材等の比較的小型の身近なものまで、幅広く利用されている。このため、これらの基材は、その意匠性を高めるために着色されることがある。
従来、これらの基材の着色は、染料や顔料等を含む塗料を塗布することにより行うことが一般的であった(特許文献1)。
特開第2010-229587号公報
本発明者は、研究を進める中で、基材上に金属元素又は半金属元素含有層を配置することにより、着色しつつも金属光沢を付与できることを見出し、意匠性をより高められることを見出した。しかし、さらに研究を進めていく中で、この着色技術においては、金属光沢、色彩等が、高温において変化が生じることが判明した。
そこで、本発明は、金属光沢を付与することができ、且つ高温における色変化がより低減された着色技術を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題に鑑みて鋭意研究を進める中で、色変化が、金属元素又は半金属元素含有層における酸化に起因することを見出した。そして、特定の酸化促進環境化(加熱環境下)における色差に着目し、これを一定以内とすることにより、色変化をより低減することに着目した。
これらの知見に基づいてさらに研究を進めた結果、基材と、該基材上に配置されている2層以上の金属元素又は半金属元素含有層とを有し、且つ105℃で240時間熱処理前後の色差ΔE00が5以下である、積層シート、であれば、上記課題を解決できることを見出した。本発明者はこれらの知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1. 基材と、該基材上に配置されている2層以上の金属元素又は半金属元素含有層とを有し、且つ105℃で240時間熱処理前後の色差ΔE00が5以下である、積層シート。
項2. 前記金属元素又は半金属元素含有層が、アルミニウム、銅、鉄、銀、金、白金、クロム、ニッケル、モリブデン、チタン、ケイ素、パラジウム、ゲルマニウム、及びガリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む、項1に記載の積層シート。
項3. 前記金属元素又は半金属元素含有層の少なくとも1層の上側に、インジウム、錫、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、銀、金、白金、クロム、ニッケル、モリブデン、チタン、ケイ素、ゲルマニウム、及びガリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む酸化物層を有する、項1又は2に記載の積層シート。
項4. 前記金属元素又は半金属元素含有層の少なくとも1層が、アルミニウム、銅、鉄、銀、金、白金、クロム、ニッケル、モリブデン、チタン、シリコン、パラジウム、ゲルマニウム及びガリウムからなる群から選択される少なくとも2種を含む合金を含む金属層である、項1~3のいずれかに記載の積層シート。
項5. 少なくとも基材、金属層、半金属層を有し、これらがこの順に積層されている、項1~4のいずれかに記載の積層シート。
項6. 温度85℃湿度85%で240時間湿熱処理した前後の色差ΔE00が10以下である、請求項1~5いずれか記載の積層シート。
項7. 前記金属層が2層以上の層を有する、請求項5又は6記載の積層シート。
項8. 前記基材が炭素質基材又はその表面形状を模したエンボス基材である、項1~7のいずれかに記載の積層シート。
項9. 項1~8のいずれかに記載の積層シート及び樹脂を有する、複合材料。
項10. 自動車用内外装用材料として用いるための、項9に記載の複合材料。
本発明によれば、金属光沢を有し、且つ色変化の問題がより低減された着色積層シート、さらにはこれと樹脂を含有する複合材料を提供することができる。
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
1.積層シート
本発明は、その一態様において、基材と、該基材上に配置されている2層以上の金属元素又は半金属元素含有層とを有し、且つ105℃で240時間熱処理前後の色差ΔE00が5以下である、積層シート(本明細書において、「本発明の積層シート」と示すこともある。)、に関する。以下に、これについて説明する。
<1-1.特性>
本発明の積層シートは、105℃で240時間熱処理前後の色差ΔE00が5以下である、という特性を有する。該色差は、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、よりさらに好ましくは1以下である。該色差の下限は、特に制限されず、例えば0、0.01、0.1、0.2である。
105℃で240時間熱処理前後の色差ΔE00は、以下のようにして測定される:分光色彩計(日本電色工業製「SD 7000」)を用い、JIS Z8781-4(2013)に準拠して、積層シートの金属元素又は半金属元素含有層側の表面、及び繊維基材の表面のL表色系におけるL、a、bを求める。105℃で240時間熱処理した色差(ΔE00)は、熱処理前後の(L)を元に、CIE DE2000に規定されるΔE00式を用いて算出する。
上記特性は、様々な方法によって調整することができる。調整方法としては、金属元素又は半金属元素含有層(特に金属層)の組成を選択する(特に、合金を採用する)方法、金属元素又は半金属元素含有層の酸化を防ぐ層(例えば、後述の酸化物層)を配置する方法等が挙げられる。これらの詳細については後述する。
本発明の積層シートは、好ましくは、温度85℃湿度85%で240時間湿熱処理した前後の色差ΔE00が10以下である、という特性を有する。該色差は、好ましくは8以下、より好ましくは7以下、さらに好ましくは6以下、よりさらに好ましくは5以下である。該色差の下限は、特に制限されず、例えば0、0.01、0.1、0.2である。
湿熱処理前後の色差ΔE00は、以下のようにして測定される:分光色彩計(日本電色工業製「SD 7000」)を用い、JIS Z8781-4(2013)に準拠して、積層シートの金属元素又は半金属元素含有層側の表面、及び繊維基材の表面のL表色系におけるL、a、bを求める。湿熱処理として高温高湿チャンバーにて、85℃85%の条件下、240時間静置する。湿熱処理後の表面のL表色系におけるL、a、bを同様に求める。湿熱処理した前後の色差(ΔE00)は、熱処理前後の(L)を元に、CIE DE2000に規定されるΔE00式を用いて算出する。
上記特性は、様々な方法によって調整することができる。調整方法としては、金属元素又は半金属元素含有層の組成を選択する方法、金属元素又は半金属元素含有層の酸化を防ぐ層(例えば、後述の酸化物層)を配置する方法、後述の金属層を複数の層にする方法等が挙げられる。これらの詳細については後述する。
<1-2.基材>
基材は、シート状のものである限り、特に制限されない。基材としては、特に制限されないが、例えば繊維基材、炭素質基材、樹脂基材、紙基材、ゴム基材等が挙げられる。
意匠性の観点から、基材は表面に凹凸形状を有することが好ましい。この場合の表面凹凸は、特に制限されないが、例えば0.5~300μm、1~200μm、2~150μmである。なお、表面凹凸は、白色干渉計(例えば、三菱化学アナリテック製「Vertscan R550G」、又はその同等品)にて1mm×1mmの範囲を測定した際の、最大高さと最低高さの差である。
また、同様に意匠性の観点から、基材としては、好ましくは繊維基材、炭素質基材、樹脂基材等が挙げられ、より好ましくは炭素質基材、樹脂基材等が挙げられ、さらに好ましくは炭素繊維基材、樹脂基材等が挙げられる。樹脂基材は、意匠性の観点から、繊維基材及び/又は炭素質基材(好ましくは炭素質基材、より好ましくは炭素繊維基材)の表面形状を模したものであることが好ましい。「繊維基材及び/又は炭素質基材の表面形状を模した」樹脂基材としては、例えば、表面に、繊維基材及び/又は炭素質基材の表面の凹凸と同じ又は類似の凹凸を有する、樹脂基材(例えばエンボス基材(シート))が挙げられる。
基材の層構成は特に制限されない。基材は、1種単独の基材から構成されるものであってもよいし、2種以上の基材が複数組み合わされたものであってもよい。
基材の厚みは、基材の種類に応じて異なり得るものであり、特に制限されない。基材の厚みは、例えば0.01~10mm、好ましくは0.05~5mmである。
以下、好ましい基材である繊維基材、炭素質基材、及び樹脂基材について詳述する。
<1-2-1.繊維基材>
繊維基材は、繊維又は繊維束を素材として含む基材であって、シート状のものである限り、特に制限されない。繊維基材は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、繊維及び繊維束以外の成分が含まれていてもよい。その場合、繊維基材中の繊維及び繊維束の合計量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。繊維基材としては、例えば、織物(例えば、平織、綾織(斜文織)、繻子織等)、編物、不織布、紙等が挙げられる。これらの中でも、表面の凹凸形状が比較的大きく、本発明の積層シートの意匠性がより高くなるという観点から、好ましくは織物、編物等が挙げられ、より好ましくは織物が挙げられる。
繊維基材を構成する繊維としては、特に制限されず、例えば炭素繊維(例えばPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、カーボンナノチューブ等)、ガラス繊維(例えばグラスウール、グラスファイバー等)、鉱物繊維(例えば温石綿、白石綿、青石綿、茶石綿、直閃石綿、透角閃石綿、陽起石綿等)、人造鉱物繊維(例えばロックウール、セラミックファイバー等)、金属繊維(例えば、ステンレス繊維、アルミニウム繊維、鉄繊維、ニッケル繊維、銅繊維等)等の無機繊維; 合成繊維(例えばナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維等)、再生繊維(例えばレーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル、アセテート等)、植物繊維(例えば綿繊維、麻繊維、亜麻繊維、レーヨン繊維、ポリノジック繊維、キュプラ繊維、リヨセル繊維、アセテート繊維等)、動物繊維(例えば羊毛、絹、天蚕糸、モヘヤ、カシミア、キャメル、ラマ、アルパカ、ビキューナ、アンゴラ、蜘蛛糸等)等の有機繊維等を広く用いることができる。これらの中でも、好ましくは無機繊維が挙げられ、より好ましくは炭素繊維が挙げられ、さらに好ましくはPAN系炭素繊維が挙げられる。
繊維基材は、繊維基材を構成する繊維として、或いは繊維基材を構成する繊維以外の成分として、炭素材料を含有することが好ましい。炭素材料としては、特に制限されず、例えば炭素繊維(例えばPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、カーボンナノチューブ等)、カーボンブラック、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソポーラスカーボン、グラフェン、カーボンナノチューブ、フラーレン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、炭素繊維又は炭素繊維束が挙げられ、より好ましくはPAN系炭素繊維又はその束が挙げられる。繊維基材を構成する繊維以外の成分として炭素材料を含有する場合、制限されないが、例えば繊維表面をコーティングする成分、繊維同士を連結させる成分として炭素材料を含有する。
繊維のサイズは、繊維の種類に応じて異なり得るものであり、特に制限されない。炭素繊維の場合、例えば平均直径が1,000~30,000nm程度(特に1,000~10,000nm程度)が好ましい。
繊維の形態は、連続長繊維や連続長繊維をカットした短繊維、粉末状に粉砕したミルド糸等、いずれでもよい。
繊維は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
繊維束は、複数の繊維からなるものである限り、特に制限されない。繊維束を構成する繊維の本数は、例えば500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは1000~50000、さらに好ましくは1500~40000、よりさらに好ましくは2000~30000である。
<1-2-2.炭素質基材>
炭素質基材は、炭素材料を素材として含む基材であって、シート状のものである限り、特に制限されない。炭素質基材は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、炭素材料以外の成分が含まれていてもよい。その場合、炭素質基材中の炭素材料量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
炭素材料としては、特に制限されず、例えば炭素繊維(例えばPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、カーボンナノチューブ等)、カーボンブラック、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソポーラスカーボン、グラフェン、カーボンナノチューブ、フラーレン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、炭素繊維又は炭素繊維束が挙げられ、より好ましくはPAN系炭素繊維又はその束が挙げられる。
炭素繊維のサイズは、特に制限されないが、例えば平均直径が1,000~30,00
0nm程度(特に1,000~10,000nm程度)が好ましい。
炭素繊維の形態は、連続長繊維や連続長繊維をカットした短繊維、粉末状に粉砕したミルド糸等、いずれでもよい。
炭素繊維束は、複数の繊維からなるものである限り、特に制限されない。繊維束を構成する繊維の本数は、例えば500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは1000~50000、さらに好ましくは1500~40000、よりさらに好ましくは2000~30000である。
炭素材料は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
炭素質基材の具体例としては、例えば炭素繊維基材(例えば、平織、綾織(斜文織)、繻子織等の織物、編物、不織布、紙等)、グラフェンシート等が挙げられる。これらの中でも、凹凸をより多く残すことができる本発明の着色技術における効果を発揮できるという観点から、炭素質基材は、凹凸を有するものが好ましく、具体的には、炭素繊維基材が好ましく、炭素繊維の織物、編物等がより好ましく、炭素繊維の織物がさらに好ましい。
<1-2-3.樹脂基材>
樹脂基材は、樹脂を素材として含む基材であって、シート状のものである限り、特に制限されない。樹脂基材は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、樹脂以外の成分が含まれていてもよい。その場合、樹脂基材中の樹脂の合計量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
樹脂としては、特に制限されず、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリサルホン(PSF)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、繊維基材及び/又は炭素質基材(好ましくは炭素質基材、より好ましくは炭素繊維基材)の表面形状を模すことに適しているという観点から、好ましくはポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、及び、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
<1-3.金属元素又は半金属元素含有層>
金属元素又は半金属元素含有層は、基材上(好ましくは、基材の表面上)に配置されている層である。本発明の積層シートは、金属元素又は半金属元素含有層を2層以上有する。金属元素又は半金属元素含有層の層数の上限は特に制限されないが、例えば5層、4層、3層である。
金属元素又は半金属元素含有層は、金属元素又は半金属元素を素材として含む層である限り、特に制限されない。金属元素又は半金属元素含有層は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、金属元素又は半金属元素以外の成分が含まれていてもよい。その場合、金属元素又は半金属元素含有層中の金属元素又は半金属元素の含有量は、例えば30質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上、非常に好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
金属元素又は半金属元素含有層を構成する金属元素及び半金属元素としては、特に制限されず、例えばアルミニウム、銅、鉄、銀、金、白金、クロム、ニッケル、モリブデン、チタン、ケイ素、パラジウム、ゲルマニウム、ガリウム、等が挙げられる。これらの中でも、色調又は明度を調整する観点等から、好ましくはアルミニウム、銅、銀、金、白金、チタン、ケイ素、パラジウム等が挙げられ、より好ましくはアルミニウム、銅、金、チタン、ケイ素、パラジウム等が挙げられる。
金属元素及び半金属元素は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
金属元素又は半金属元素含有層の厚みは、特に制限されず、例えば1~500nmである。該厚みは、金属光沢感に優れる観点等から、好ましくは20~300nm、より好ましくは30~150nmである。
金属元素又は半金属元素含有層の少なくとも1層は金属層であることが好ましい。また、金属元素又は半金属元素含有層の少なくとも1層は色調調整層(好ましくは半金属層)であることが好ましい。本発明の好ましい一態様において、本発明の積層シートは、少なくとも基材、金属層、色調調整層(好ましくは半金属層)を有し、これらがこの順に積層されている。以下に、これらについて説明する。
<1-3-1.金属層>
金属層は、繊維基材上に配置される、換言すれば繊維基材の有する2つの主面の少なくとも1方の表面上に配置される。金属層により、光沢感、耐変色性、色彩の鮮やかさ等をより向上させることができる。金属層は、光学干渉や光の反射により、主に色彩における明度を調整することができる。金属層と繊維基材との間には、他の層が備えられていてもよい。
金属層は、金属を素材として含む層である限り、特に制限されない。金属層は、金属以外の成分が含まれていてもよい。その場合、金属層中の金属量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
金属層を構成する金属としては、特に制限されず、例えばアルミニウム、銅、鉄、銀、金、白金、クロム、ニッケル、モリブデン、チタン、パラジウム、ガリウム、等が挙げられる。これらの中でも、色調又は明度を調整する観点等から、好ましくはアルミニウム、銅、銀、金、白金、チタン等が挙げられ、より好ましくはアルミニウム、銅、銀、金、白金等が挙げられる。
金属は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
金属層は、色変化をより低減できるという観点、明度変化をより低減できるという観点等から、アルミニウム、銅、鉄、銀、金、クロム、ニッケル、モリブデン、チタン、シリコン、パラジウム、ゲルマニウム及びガリウムからなる群から選択される少なくとも2種を含む合金を含む金属層であることが好ましい。合金を構成する金属としては、色変化をより低減できるという観点から、好ましくはアルミニウム、銅、銀、金、クロム、ニッケル、チタン、パラジウム等が挙げられ、より好ましくは銅、銀、クロム、ニッケル、パラジウム等が挙げられる。
金属層の厚みは、特に制限されず、例えば1~500nmである。該厚みは、金属光沢感に優れる観点等から、好ましくは20~300nm、より好ましくは30~150nmである。
金属層の層構成は特に制限されない。金属層は、1層からなる単層であってもよいし、同一又は異なる組成を有する複数の層であってもよい。また、金属層は、その2つの主面の一方或いは両方において、表面が酸化皮膜等の皮膜で構成されていてもよい。
耐久性の観点から、金属層は同一又は異なる組成を有する複数の層を有することが好ましい。色変化(特に湿熱環境下における色変化)をより低減できるという観点、明度変化をより低減できるという観点等から、金属層の繊維基材側の層は、インジウム、錫、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、銀、金、クロム、ニッケル、モリブデン、チタン、シリコン、パラジウム、ゲルマニウム、ガリウム及びこれらを含む合金を含む金属層であることが好ましく、AZO、Tiを含有することがより好ましい。
<1-3-2.色調調整層>
色調調整層は、通常、金属層上に配置される。換言すれば金属層の基材とは反対側の表面上に配置される。色調調整層層と金属層との間には、他の層が備えられていてもよい。
色調調整層は、金属元素又は半金属元素を素材として含む層であることが好ましい。色調調整層は、金属元素及び半金属元素以外の成分が含まれていてもよい。その場合、色調調整層中の金属元素及び半金属元素の含有量は、例えば30質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上、非常に好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
色調調整層を構成する金属及び/又は半金属としては、特に制限されず、例えばアルミニウム、銅、鉄、銀、金、白金、クロム、ニッケル、モリブデン、チタン、ケイ素、パラジウム、ゲルマニウム、ガリウム、等が挙げられる。これらの中でも、色彩の彩度を大きくする観点等から、好ましくはアルミニウム、銅、クロム、ニッケル、モリブデン、チタン、ケイ素、パラジウム、ゲルマニウム等が挙げられ、より好ましくはケイ素、ゲルマニウム等が挙げられる。
金属元素及び半金属元素は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
色調調整層は、金属元素又は半金属元素から構成される金属、半金属若しくは合金から構成されてもよく、金属元素又は半金属元素を含む化合物から構成されてもよく、またはこれらの混合物から構成されてもよい。金属元素又は半金属元素を含む化合物としては、例えば酸化物、窒化物、及び窒化酸化物等が挙げられる。
上記酸化物としては、例えばMO[式中、Xは式:n/100≦X<n/2(nは半金属の価数である)を満たす数であり、Mは金属元素又は半金属元素である。]で表される化合物が挙げられる。
上記窒化物としては、例えばMN[式中、Yは式:n/100≦Y<n/3(nは半金属の価数である)を満たす数であり、Mは金属元素又は半金属元素である。]で表される化合物が挙げられる。
上記窒化酸化物としては、例えばMO[式中、XとYは、n/100≦X、n/100≦Y、かつ、X+Y<n/2(nは金属又は半金属の価数である)であり、Mは金属元素又は半金属元素である。]で表される化合物が挙げられる。
上記酸化物又は窒化酸化物の酸化数Xに関しては、例えばMO又はMOを含む層の断面を、FE-TEM-EDX(例えば、日本電子社製「JEM-ARM200F」)により元素分析し、MO又はMOを含む層の断面の面積当たりのMとOとの元素比率からXを算出することにより、酸素原子の価数を算出することができる。
上記窒化物又は窒化酸化物の窒素化数Yに関しては、例えばMN又はMOを含む層の断面を、FE-TEM-EDX(例えば、日本電子社製「JEM-ARM200F」)により元素分析し、MN又はMOを含む層の断面の面積当たりのMとNとの元素比率からYを算出することにより、窒素原子の価数を算出することができる。
色調調整層はMO又はMNを含む層(MOxの場合には、Mはn価の金属又は半金属を示し、かつXは0以上n/2未満の数を示す。MNの場合には、Mはn価の金属又は半金属を示し、かつYは0以上n/3未満の数を示す。)を有することが好ましい。この場合において、Mは、それぞれ、チタン、ケイ素、又はゲルマニウムであることが好ましく、ケイ素であることがより好ましい。
MOにおけるx、及びMNにおけるxはそれぞれ、0でもよく、0を超えてもよい。xが0の場合、MOを含む層は半金属単体を含む層を表す。xが0の場合、MNを含む層は半金属単体を含む層を表す。xが0を超える場合、MOを含む層は半金属の酸化物を含む層を表す。xが0を超える場合、MNを含む層は半金属の窒化物を含む層を表す。MOにおけるxは、色彩の彩度を大きくする観点等から、好ましくはn/4以下、より好ましくはn/8以下、更に好ましくはn/16以下である。
色彩の彩度を大きくする観点等から、MO中のMがケイ素である場合、Xは、1未満の数を表すことが好ましく、0.5未満の数を表すことがより好ましい。MNy中のMがケイ素である場合、Yは、4/3以下の数を表すことが好ましい。
半金属層は、MO及びMNの両方を含む層であってもよい。この場合、MO及びMNにおけるMは、それぞれ、同一の半金属であってもよく、異なる半金属であってもよい。MO及びMNにおける2つのMは、同一の半金属であってもよく、異なる半金属であってもよい。また、MO及びMNにおけるxは、それぞれ、同一の数であってもよく、異なる数であってもよい。MO及びMNにおける2つのxは、同一の数であってもよく、異なる数であってもよい。
色調調整層は、半金属元素を含有することが好ましく、半金属が主成分(例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上)である半金属層であることがより好ましい。
色調調整層の厚みは、特に制限されないが、例えば1~500nmである。該厚みは、色彩の明度・彩度を大きくする観点等から、好ましくは3~300nm、より好ましくは3~150nmである。
色調調整層の層構成は特に制限されない。色調調整層は、1層からなる単層であってもよいし、同一又は異なる組成を有する複数の層であってもよい。色調調整層は、その2つの主面の一方或いは両方において、表面が酸化皮膜等の皮膜で構成されていてもよい。
<1-4.酸化物層>
本発明の積層シートは、色変化をより低減できるという観点、色彩の調整が容易であるという観点等から、酸化物層を有することが好ましい。
酸化物層の位置は、金属元素又は半金属元素含有層の酸化を抑制することができる位置である限り特に制限されない。色変化をより抑制する観点から、酸化物層は、好ましくは金属元素又は半金属元素含有層の少なくとも1層(例えば、金属層、色調調整層等)の上側(基材側とは反対側)に配置され、少なくとも積層シートの最表層に酸化物層を有すること(すなわち基材/金属層/色調調整層/酸化物層)がより好ましい。
色変化(特に湿熱環境下における色変化)をより抑制する観点等から、さらに金属層を二層以上有すること(すなわち基材/金属層2/金属層1/色調調整層/酸化物層)がさらに好ましい。
酸化物層は、金属または半金属の酸化物を素材として含む層である限り、特に制限されない。酸化物層は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、該酸化物以外の成分が含まれていてもよい。その場合、酸化物層中の該酸化物量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
酸化物を構成する金属及び半金属としては、例えばインジウム、錫、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、銀、クロム、ニッケル、モリブデン、チタン、ケイ素、ゲルマニウム、ガリウム等が挙げられる。これらの中でも、色変化をより低減できるという観点、酸化膜で透明であり、色彩の調整が容易であるという観点等から、好ましくはインジウム、錫、亜鉛、アルミニウム、チタン、ケイ素、ゲルマニウム、ガリウム等が挙げられ、より好ましくはインジウム、錫、亜鉛、アルミニウム、ガリウム等が挙げられる。
上記酸化物としては、例えばMO[式中、Xは式:n/100≦X≦n/2(nは半金属の価数である)を満たす数であり、Mは金属元素又は半金属元素である。]で表される化合物が挙げられ、MOにおけるxは、色変化を抑制する観点等から、好ましくはn/4以上、より好ましくはn/4より大きく、更に好ましくはn/3以上、特に好ましくはn/2である。Mとしては上記酸化物を構成する金属及び半金属等を用いることができる。
酸化物を構成する金属及び半金属は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
酸化物は、製造が容易であるという観点等から、透明導電酸化物であることが好ましい。透明導電酸化物としては、例えばZnO、AZO、GZO等のZnO系透明導電酸化物; In、ITO、IZO等のIn系透明導電酸化物;SnO、ATO、FTO等のSnO系透明導電酸化物等が挙げられる。これらの中でも、色変化をより低減できるという観点等から、好ましくはAZO、ITO等が挙げられる。色変化(特に湿熱環境下における色変化)を効果的に抑制する観点、色彩の調整が容易であるという観点等から、積層シートの最表層に酸化物層を有する場合、最表層の酸化物層はAZOを含有することが好ましい。AZOは耐久性の観点、可視光領域で吸収が小さく、積層シート全体の色の設計が容易である観点から好ましい。
酸化物層は特に限定されないが、水分や酸素の侵入を阻害し、より色変化を抑制する観点から、ドーパントをドープしたものを含む層であることが好ましい。特定の理論に束縛されないが、ドーパントを含有することで、酸化物層中にアモルファス構造が形成されやすくなり、結果、耐久性が向上し、色変化をより抑制することができると考えられる。色変化(特に湿熱環境下における色変化)を効果的に抑制する観点から、積層シートの最表層に酸化物層を有する場合、少なくとも最表層の酸化物層がドーパントを含む層であることがより好ましい。
ドーパントとしては、特に限定されないが、例えばSn、Zn、La、Nd、Zr、Al、Si、Ti及びそれらの混合物等を用いることができる。色変化をより抑制する観点から、Zn、Zr、Al、Siが好ましく、Al、Siがより好ましい。
ドーパントの含有量は本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、特に限定されず、酸化物層中の該ドーパント量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上である。ドーパント含有量が0.5質量%以上であると、色変化(特に湿熱環境下における色変化)を効果的に抑制することができる。ドーパント含有量は、例えば15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
酸化物層の厚みは、特に制限されず、例えば1~200nmである。該厚みは、色調を損なわず、色変化をより抑制するという観点、色彩の調整が容易であるという観点等から、好ましくは3~100nm、より好ましくは5~100nmである。
酸化物層の層構成は特に制限されない。酸化物層は、1層からなる単層であってもよいし、同一又は異なる組成を有する複数の層であってもよい。酸化物層は、結晶体若しくは非晶質体、又はそれらの混合体であってもよい。
<1-5.製造方法>
本発明の積層シートは、基材の表面に金属元素又は半金属元素含有層を形成する工程を含む方法により得ることができる。また、酸化物層を含む場合は、例えば、基材又は金属元素又は半金属元素含有層の表面に酸化物層を形成する工程を含む方法により、得ることができる。
特に限定されないが、前記形成は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、パルスレーザーデポジション法等により行うことができる。これらの中でも、膜厚制御性の観点から、スパッタリング法が好ましい。
スパッタリング法としては、特に限定されないが、例えば、直流マグネトロンスパッタ、高周波マグネトロンスパッタ及びイオンビームスパッタ等が挙げられる。また、スパッタ装置は、バッチ方式であってもロール・ツー・ロール方式であってもよい。
2.用途
本発明の積層シートは、色彩の角度依存性に優れているので、意匠性がより高められた積層シート、特徴的な意匠性を発揮する積層シートとして、各種分野において、例えば樹脂との複合材料として利用することができる。
この観点から、本発明は、その一態様において、本発明の積層シート及び樹脂を含有する、複合材料(本明細書において、「本発明の複合材料」と示すこともある。)に関する。以下に、これについて説明する。
本発明の複合材料は、本発明の積層シートと樹脂を含有する限りにおいて、特に制限されない。好ましくは、本発明の複合材料は、本発明の積層シートが母材である樹脂中に含有されてなる、繊維強化プラスチックである。
樹脂としては、特に制限されず、種々様々な樹脂を採用することができる。なお、樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン)、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルイミドやポリエーテルサルホン、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
本発明の複合材料は、常法にしたがって製造することができ、自動車(特に、自動車の内外装)、航空機、スポーツ関連製品(ゴルフシャフト、テニスラケット、バドミントンラケット、釣り竿、スキー板、スノーボード、バット、アーチェリー、自転車、ボート、カヌー、ヨット、ウィンドサーフィン等)、医療器具、建築部材、電気機器(パソコン等の筐体、スピーカーコーン)等を製造するための構造材料等、様々な用途において活用することができる。これらの中でも、本発明の複合材料は、好適には、自動車用内外装用材料として用いることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(1)積層シートの製造
(実施例1)
基材として、炭素繊維(目付量240g/m2、フィラメント径7μm、密度15本/インチ)が綾織で織られた織物(三菱ケミカル社製「TR3524 M」)を用いた。
基材を真空装置内に設置し、5.0×10-4Pa以下となるまで真空排気した。続いて、アルゴンガスを導入して、DCマグネトロンスパッタリング法により、基材の表面上に、金属層としてCu層(平均厚み10nm)を形成して、基材、金属層の順に積層されてなる積層体1を得た。
積層体1を真空装置内に設置し、5.0×10-4Pa以下となるまで真空排気した。続いて、アルゴンガスを導入して、DCマグネトロンスパッタリング法により、金属層の基材側とは反対側の表面上に、半金属層としてSi層(平均厚み10nm)を形成して、基材、金属層、半金属層の順に積層されてなる積層体2を得た。
積層体2を真空装置内に設置し、5.0×10-4Pa以下となるまで真空排気した。続いて、アルゴンガスを導入して、DCマグネトロンスパッタリング法により、半金属層の基材側とは反対側の表面上に、酸化物層としてAZO層(Al:2wt%、平均厚み8nm)を形成して、基材、金属層、半金属層、酸化物層の順に積層されてなる積層シートを得た。
(実施例2)
金属層の平均厚みを30nmとする以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
(実施例3)
酸化物層の積層位置を変えて、基材、金属層、酸化物層、半金属層の順に積層する以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
(実施例4)
金属層の平均厚みを30nmとし、且つ酸化物層の積層位置を変えて、基材、金属層、酸化物層、半金属層の順に積層する以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
(比較例1)
酸化物層を形成しない以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
(比較例2)
金属層の平均厚みを30nmとし、且つ酸化物層を形成しない以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
(実施例5)
基材として、炭素繊維(表面凹凸:50μm、目付量240g/m、フィラメント径7μm、密度15本/インチ)が綾織で織られた織物(三菱ケミカル社製「TR3524M」)を用いた。
基材を真空装置内に設置し、5.0×10-4Pa以下となるまで真空排気した。続いて、アルゴンガスを導入して、DCマグネトロンスパッタリング法により、基材の表面上に、金属層としてCu-Ni合金層(平均厚み10nm、銅含有率60質量%、ニッケル含有率40質量%)を形成して、基材、金属層の順に積層されてなる積層体Aを得た。
積層体Aを真空装置内に設置し、5.0×10-4Pa以下となるまで真空排気した。続いて、アルゴンガスを導入して、DCマグネトロンスパッタリング法により、金属層の基材側とは反対側の表面上に、半金属層としてSi層(平均厚み10nm)を形成して、基材、金属層、半金属層の順に積層されてなる積層シートを得た。
(実施例6)
金属層の平均厚みを30nmとする以外は、実施例5と同様にして積層シートを得た。
(実施例7)
金属層としてmonel層(平均厚み10nm、銅含有率65質量%、ニッケル含有率33質量%、Fe含有率2質量%)を形成する以外は、実施例5と同様にして積層シートを得た。
(実施例8)
金属層としてmonel層(平均厚み30nm、銅含有率65質量%、ニッケル含有率33質量%、Fe含有率2質量%)を形成する以外は、実施例5と同様にして積層シートを得た。
(実施例9)
金属層としてAg-Ni合金層(平均厚み10nm、銀含有率99.8質量%、ニッケル含有率0.2質量%)を形成する以外は、実施例5と同様にして積層シートを得た。
(実施例10)
金属層としてAg-Ni合金層(平均厚み30nm、銀含有率99.8質量%、ニッケル含有率0.2質量%)を形成する以外は、実施例5と同様にして積層シートを得た。
(実施例11)
金属層としてAg-Pd合金層(平均厚み10nm、銀含有率98質量%、パラジウム含有率2質量%)を形成する以外は、実施例5と同様にして積層シートを得た。
(実施例12)
金属層としてAg-Pd合金層(平均厚み30nm、銀含有率98質量%、パラジウム含有率2質量%)を形成する以外は、実施例5と同様にして積層シートを得た。
(比較例3)
金属層としてCu層(平均厚み10nm)を形成する以外は、実施例5と同様にして積層シートを得た。
(比較例4)
金属層としてCu層(平均厚み30nm)を形成する以外は、実施例5と同様にして積層シートを得た。
(実施例13)
基材の表面上に、金属層2としてAZO層(平均厚み8nm)を形成し、次いで金属層1Cu層(平均厚み30nm)を形成する以外は、実施例2と同様にして、基材、金属層2、金属層1、半金属層、酸化物層2の順に積層されてなる積層シートを得た。
(実施例14)
金属層2の平均厚みを23nm、酸化物層の平均厚みを23nmとする以外は、実施例13と同様にして積層シートを得た。
(実施例15)
金属層2の平均厚みを35nm、酸化物層の平均厚みを35nmとする以外は、実施例13と同様にして積層シートを得た。
(実施例16)
金属層2としてTi層(平均厚み35nm)を形成する以外は実施例14と同様にして積層シートを得た。
(実施例17)
酸化物層の平均厚みを35nmとする以外は、実施例16と同様にして積層シートを得た。
(2)熱処理前後での色変化の評価
本発明の積層シートの色測定は、分光色彩計(日本電色工業製「SD 7000」)を用い、JIS Z8781-4(2013)に準拠して、積層シートの金属元素又は半金属元素含有層側の表面、及び繊維基材の表面のL表色系におけるL、a、bを求めた。
加熱オーブンを用い、大気条件下、105℃で240時間熱処理した前後の色を元に、CIE DE2000に規定されるΔE00式を用いて色差を算出した。
色変化の程度は以下の基準により判定した。
◎:8人/10人以上が試験前後での色変化がないと判定した。
○:5~7人/10人が試験前後での色変化がないと判定した。
×:0~4人/10人が試験前後での色変化がないと判定した。
(3)湿熱処理前後での色変化の評価
分光色彩計(日本電色工業製「SD 7000」)を用い、JIS Z8781-4(2013)に準拠して、積層シートの金属元素又は半金属元素含有層側の表面、及び繊維基材の表面のL表色系におけるL、a、bを求めた。湿熱処理として高温高湿チャンバーにて、85℃85%の条件下、240時間静置した。湿熱処理後の表面のL表色系におけるL、a、bを同様に求めた。湿熱処理した前後の色差(ΔE00)は、熱処理前後の(L)を元に、CIE DE2000に規定されるΔE00式を用いて算出した。
(4)結果
熱処理前後での色変化の評価結果について、実施例1~4及び比較例1~2の結果を表1に示し、実施例5~12及び比較例3~4の結果を表2に示す。実施例2、4、及び13~17について、熱処理前後及び湿熱処理前後での色変化の評価結果を表3に示す。
Figure 0007437178000001
Figure 0007437178000002
Figure 0007437178000003
また、実施例1~17の積層シートの表面を目視にて観察した結果、基材が有する表面凹凸が視認され、且つ金属光沢性があった。

Claims (9)

  1. 基材と、該基材上に配置されている2層以上の金属元素又は半金属元素含有層とを有し、
    前記金属元素又は半金属元素含有層として金属層と半金属層を有し、
    金属層の基材側とは反対側の表面上に、半金属層が形成されており、
    基材、金属層、半金属層の順に積層されてなり、且つ
    105℃で240時間熱処理前後の色差ΔE00が5以下である、
    積層シート。
  2. 前記金属元素又は半金属元素含有層が、アルミニウム、銅、鉄、銀、金、白金、クロム、ニッケル、モリブデン、チタン、ケイ素、パラジウム、ゲルマニウム、及びガリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の積層シート。
  3. 前記金属元素又は半金属元素含有層の少なくとも1層の上側に、インジウム、錫、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、銀、金、白金、クロム、ニッケル、モリブデン、チタン、ケイ素、ゲルマニウム、及びガリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む酸化物層を有する、請求項1又は2に記載の積層シート。
  4. 前記金属元素又は半金属元素含有層の少なくとも1層が、アルミニウム、銅、鉄、銀、金、白金、クロム、ニッケル、モリブデン、チタン、シリコン、パラジウム、ゲルマニウム及びガリウムからなる群から選択される少なくとも2種を含む合金を含む金属層である、請求項1~3のいずれかに記載の積層シート。
  5. 温度85℃湿度85%で240時間湿熱処理した前後の色差ΔE00が10以下である、請求項1~いずれか記載の積層シート。
  6. 前記金属層が2層以上の層を有する、請求項1~5のいずれかに記載の積層シート。
  7. 前記基材が炭素質基材又はその表面形状を模したエンボス基材である、請求項1~のいずれかに記載の積層シート。
  8. 請求項1~のいずれかに記載の積層シート及び樹脂を有する、複合材料。
  9. 自動車用内外装用材料として用いるための、請求項に記載の複合材料。
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