JP7433434B2 - 光学異方性膜、光学素子、光学システム - Google Patents

光学異方性膜、光学素子、光学システム Download PDF

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Description

本発明は、光学異方性膜、光学素子、および、光学システムに関する。
多くの光学デバイスおよび光学システム等において、偏光が利用されている。これに対応して、偏光の反射、集光および発散等の制御を行う光学素子の開発が進められている。
例えば、特許文献1には、ブラッグ条件に従って、内部を通過する光の伝搬の方向を変更するように構成されている複数の積層複屈折副層を備え、積層複屈折副層は、それぞれの格子周期を画定するように積層複屈折副層の隣接するものの間のそれぞれの境界面に沿って変化する局所光学軸を備える、光学素子が記載されている。
特許文献1に記載される光学素子は、液晶化合物を含む光学異方性の薄膜(光学異方性膜に該当)を有する。具体的には、特許文献1に記載される光学素子は、面内において、液晶化合物由来の光学軸の向きを一方向に向かって変化させることにより、光を回折する光学異方性膜を有する回折素子である。
このような液晶化合物を用いる回折素子は、例えば、AR(Augmented Reality(拡張現実))グラス等の映像投影装置等の光学部材としての利用が期待される。
特表2017/522601号公報
回折素子に求められる性能として、入射する光の角度が所定の角度よりもずれた際にも、優れた回折効率を示すことが求められる。
本発明者らは、特許文献1に記載の回折素子においては、上記特性が十分でなく、更なる改良が必要であることを知見した。
本発明は、上記実情に鑑みて、入射光の入射角度が変わった際にも優れた回折効率を示す光学異方性膜を提供することを課題とする。
また、本発明は、光学素子および光学システムも提供することを課題とする。
本発明者らは、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
(1) 液晶化合物を含む液晶組成物を用いて形成された光学異方性膜であって、光学異方性膜が、液晶化合物由来の光学軸の向きが光学異方性膜の面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、
後述する要件Xと、後述する要件Y1または要件Y2とを満たす、光学異方性膜。
(2) 液晶配向パターンが延びる方向に沿って、液晶組成物由来の光学軸の向きが面内で180°回転する長さを1周期とした際に、
液晶配向パターンにおける光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向に向かって、液晶配向パターンの1周期の長さが、漸次、短くなり、
要件Y2を満たす、(1)に記載の光学異方性膜。
(3) 光学異方性膜が、液晶配向パターンが延びる方向に沿って、第1領域および第2領域を交互に有する、(1)または(2)に記載の光学異方性膜。
(4) 液晶配向パターンが延びる方向に沿って、液晶組成物由来の光学軸の向きが面内で180°回転する長さを1周期とした際に、
光学異方性膜が、液晶配向パターンが延びる方向に沿って、第1領域および第2領域を交互に有し、かつ、1周期のうちに、第1領域と第2領域とを少なくとも2つずつ有する、(1)~(3)のいずれかに記載の光学異方性膜。
(5) 液晶配向パターンが延びる方向に沿って、液晶組成物由来の光学軸の向きが面内で180°回転する長さを1周期とした際に、
1周期の長さの最小値が20μm以下である、(1)~(4)のいずれかに記載の光学異方性膜。
(6) 液晶配向パターンが延びる方向に沿って、液晶組成物由来の光学軸の向きが面内で180°回転する長さを1周期とした際に、
光学異方性膜の厚みが、1周期の長さの最小値の1/4倍よりも大きい、(1)~(5)のいずれかに記載の光学異方性膜。
(7) 液晶配向パターンが、液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンである、(1)~(6)のいずれかに記載の光学異方性膜。
(8) 光学異方性膜が、液晶化合物由来の光学軸の向きが厚み方向に沿って捩れて回転する領域Aと、液晶化合物由来の光学軸の向きが厚み方向に沿って捩れて回転する領域Bとを有し、
領域Aにおける液晶化合物由来の光学軸の捩れ方向と領域Bにおける液晶化合物由来の光学軸の捩れ方向とが逆向きである、(1)~(7)のいずれかに記載の光学異方性膜。(9) (1)~(8)のいずれかに記載の光学異方性膜を有する光学素子。
(10) (1)~(8)のいずれかに記載の光学異方性膜または(9)に記載の光学素子と、光源または検出器を有する光学システム。
本発明によれば、入射光の入射角度が変わった際にも優れた回折効率を示す光学異方性膜を提供できる。
また、本発明は、光学素子および光学システムも提供できる。
本発明の光学素子の一例を概念的に示す図である。 図1に示す光学素子の光学異方性膜の平面図である。 光配向膜を作製するための露光装置の一例を概念的に示す図である。 図1に示す光学素子の光学異方性膜の作用を示す概念図である。 図1に示す光学素子の光学異方性膜の作用を示す概念図である。 要件Xを説明するための光学異方性膜の一例を概念的に示す断面図である。 図6に示す光学異方性膜の平面図である。 光学軸同士の関係を説明するための図である。 暗線のパターンを説明するための図である。 要件Y1において作成されるプロット図の一例である。 光配向膜の配向パターンを説明するための図である。 光学異方性膜の別の例を概念的に示す平面図である。 図12に示す光学異方性膜を形成する光配向膜を露光する露光装置の一例を概念的に示す図である。 光学異方性膜の別の例を概念的に示す断面図である。 図14に示す光学素子の光学異方性膜の平面図である。 暗線のパターンを説明するための図である。 要件Y2において作成されるプロット図の一例である。 光学異方性膜の別の例を概念的に示す断面図である。 光学軸同士の関係を説明するための図である。 光学異方性膜の別の例を概念的に示す断面図である。 光学異方性膜の別の例を概念的に示す断面図である。 比較例1の光配向膜が有する配向パターンを説明するための図である。 実施例1の光配向膜が有する配向パターンを説明するための図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に制限されるものではない。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、各成分は、各成分に該当する物質を1種単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上の物質を併用する場合、その成分についての含有量とは、特段の断りが無い限り、併用した物質の合計の含有量を指す。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
本明細書において、可視光は、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380~780nmの波長域の光を示す。非可視光は、380nm未満の波長域および780nmを超える波長域の光である。
またこれに制限されるものではないが、可視光のうち、420~490nmの波長域の光は青色光であり、495~570nmの波長域の光は緑色光であり、620~750nmの波長域の光は赤色光である。
本発明の光学異方性膜の特徴点としては、後述する要件X、および、要件Y1または要件Y2を満たす点が挙げられる。要件Xは、後段で詳述するように、光学異方性膜の一方の表面と他方の表面とで液晶化合物由来の光学軸同士のなす角度が3°未満の領域と、3°以上の領域との両方を有することを意味する。また、要件Y1および要件Y2は、後段で詳述するように、光学異方性膜の厚み方向における液晶化合物由来の光学軸の向きの平均に該当する暗線の向きの基準に対する回転角度のバラツキが、所定の範囲であることを意味する。光学異方性膜が要件X、および、要件1またはY2を満たすことにより、入射光の入射角度が変わった際にも高い回折効率を示す。
図1に、本発明の光学素子の一例を概念的に表す側面図を示す。図2に、図1に示す光学素子の平面図を示す。なお、平面図とは、図1において、光学素子10を上方から見た図であり、すなわち、図1は、光学素子10を厚さ方向(=各層(膜)の積層方向)から見た図である。言い換えれば、図1は、光学異方性膜16を主面と直交する方向から見た図である。
なお、図2では、本発明の光学素子10の構成を明確に示すために、液晶化合物30は光学異方性膜16の光配向膜14側とは反対側の液晶化合物30のみを示している。しかしながら、光学異方性膜16は、厚さ方向には、図1に示されるように、液晶化合物30が積み重ねられた構造を有する。
図1に示す光学素子10は、支持体12と、光配向膜14と、光学異方性膜16と、を有する。光学異方性膜16は、液晶化合物を含む組成物を用いて形成された、液晶化合物由来の光学軸の向きが、面内の一方向において回転する所定の液晶配向パターンを有する。
なお、図示例の光学素子10は、支持体12と、光配向膜14と、光学異方性膜16とを有するが、本発明の光学素子は、この構成には制限はされない。
以下、光学素子10を構成する各部材について詳述する。
<支持体>
支持体12は、光配向膜14および光学異方性膜16を支持するものである。
支持体12は、光配向膜14および光学異方性膜16を支持できるものであれば、各種のシート状物(フィルム、板状物)が利用可能である。
なお、支持体12は、対応する光に対する透過率が50%以上であるのが好ましく、70%以上であるのがより好ましく、85%以上であるのがさらに好ましい。
支持体12の厚さには、制限はなく、光学素子10の用途および支持体12の形成材料等に応じて、光配向膜14、光学異方性膜16を保持できる厚さを、適宜、設定すればよい。
支持体12の厚さは、1~1000μmが好ましく、3~250μmがより好ましく、5~150μmがさらに好ましい。
支持体12は単層であっても、多層であってもよい。
単層である場合の支持体12としては、ガラス、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリレート、および、ポリオレフィン等で形成される支持体12が例示される。多層である場合の支持体12の例としては、前述の単層の支持体のいずれかを基板として含み、この基板の表面に他の層を設けたもの等が例示される。
<光配向膜>
光配向膜14は、光学素子10の光学異方性膜16を形成する際に、液晶化合物30を所定の液晶配向パターンに配向させるための配向膜である。
後述するが、光学異方性膜16は、液晶化合物30に由来する光学軸30Aの向きが、面内の一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する。従って、光配向膜14は、光学異方性膜16が、この液晶配向パターンを形成できるように、形成される。
以下の説明では、『光学軸30Aの向きが回転』を単に『光学軸30Aが回転』ともいう。
光配向膜14に用いられる光配向材料としては、例えば、特開2006-285197号公報、特開2007-076839号公報、特開2007-138138号公報、特開2007-094071号公報、特開2007-121721号公報、特開2007-140465号公報、特開2007-156439号公報、特開2007-133184号公報、特開2009-109831号公報、特許第3883848号公報および特許第4151746号公報に記載のアゾ化合物、特開2002-229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002-265541号公報および特開2002-317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミドおよび/またはアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号および特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003-520878号公報、特表2004-529220号公報および特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、光架橋性ポリアミドおよび光架橋性ポリエステル、ならびに、特開平9-118717号公報、特表平10-506420号公報、特表2003-505561号公報、国際公開第2010/150748号、特開2013-177561号公報および特開2014-012823号公報に記載の光二量化可能な化合物、特にシンナメート化合物、カルコン化合物およびクマリン化合物等が、好ましい例として例示される。
中でも、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、光架橋性ポリアミド、光架橋性ポリエステル、シンナメート化合物、および、カルコン化合物は、好適に利用される。
光配向膜14の形成方法は特に制限されず、所定の光配向材料を含む光配向膜形成用組成物を支持体12の表面に塗布して乾燥させた後、得られた塗膜(光配向膜前駆体)をレーザー光によって露光して、配向パターンを形成する方法が例示される。
図3に、配向パターンを形成する露光装置の一例を概念的に示す。
図3に示す露光装置60は、レーザー62を備えた光源64と、レーザー62が出射したレーザー光Mを光線MAおよびMBの2つに分離するビームスプリッター68と、分離された2つの光線MAおよびMBの光路上にそれぞれ配置されたミラー70Aおよび70Bと、λ/4板72Aおよび72Bと、を備える。
なお、図示は省略するが、光源64は直線偏光P0を出射する。λ/4板72Aは、直線偏光P0(光線MA)を右円偏光PRに、λ/4板72Bは直線偏光P0(光線MB)を左円偏光PLに、それぞれ変換する。
配向パターンを形成される前の塗膜18を有する支持体12が露光部に配置され、2つの光線MAと光線MBとを塗膜18上において交差させて干渉させ、その干渉光を塗膜18に照射して露光する。
この際の干渉により、塗膜18に照射される光の偏光状態が干渉縞状に周期的に変化するものとなる。これにより、配向状態が周期的に変化する配向パターンを有する光配向膜14が得られる。
露光装置60においては、2つの光線MAおよびMBの交差角αを変化させることにより、配向パターンの周期を調節できる。すなわち、露光装置60においては、交差角αを調節することにより、液晶化合物30に由来する光学軸30Aの向きが一方向に沿って連続的に回転する配向パターンにおいて、光学軸30Aの向きが回転する1方向における、光学軸30Aの向きが180°回転する1周期の長さ(1周期Λ)を調節できる。
このような配向状態が周期的に変化した配向パターンを有する光配向膜上に、光学異方性膜を形成することにより、後述するように、液晶化合物30に由来する光学軸30Aの向きが一方向に向かって連続的に回転する液晶配向パターンを有する、光学異方性膜16を形成できる。
また、λ/4板72Aおよび72Bの光学軸を各々90°回転することにより、光学軸30Aの回転方向を逆にすることができる。
なお、上記では配向膜の一例として光配向膜について述べたが、本発明の光学素子において、光配向膜の代わりに、他の配向膜(例えば、ラビング処理が施された配向膜)を用いてもよい。
また、配向膜を設けずに、支持体上に配向パターンを設けてもよい。具体的には、支持体12にラビング処理する方法、および、支持体12をレーザー光等で加工する方法等によって、支持体12に配向パターンを形成することにより、支持体12上に直接光学異方性膜16を形成してもよい。
<光学異方性膜>
光学異方性膜16は、液晶化合物を含む液晶組成物を用いて形成されたものである。
図2に示すように、光学異方性膜16は、光学異方性膜16の面内において、液晶化合物30に由来する光学軸30Aの向きが、矢印Xで示す一方向に反時計回りに連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する。なお、図2では、液晶化合物30に由来する光学軸30Aの向きが反時計回りに回転しているが、本発明はこの態様には限定されず、時計回りに回転していてもよい。
なお、液晶化合物30に由来する光学軸30Aとは、液晶化合物30において屈折率が最も高くなる軸である。例えば、液晶化合物30が棒状液晶化合物である場合には、光学軸30Aは、棒形状の長軸方向に沿っている。
以下の説明では、『矢印Xで示す一方向』を単に『矢印X方向』ともいう。また、以下の説明では、液晶化合物30に由来する光学軸30Aを、『液晶化合物30の光学軸30A』または『光学軸30A』ともいう。
光学異方性膜16において、液晶化合物30は、それぞれ、光学異方性膜16において、矢印X方向と、この矢印X方向と直交するY方向とに平行な面内に二次元的に配向している。なお、図1、後述する図4、図5、図6、図14、図18、図20、および、図21では、Y方向は、紙面に垂直な方向となる。
図2に、光学異方性膜16の平面図を概念的に示す。
光学異方性膜16は、光学異方性膜16の面内において、液晶化合物30に由来する光学軸30Aの向きが、矢印X方向に沿って連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する。
液晶化合物30の光学軸30Aの向きが矢印X方向(所定の一方向)に連続的に回転しながら変化しているとは、具体的には、矢印X方向に沿って配列されている液晶化合物30の光学軸30Aと、矢印X方向とが成す角度が、矢印X方向の位置によって異なっており、矢印X方向に沿って、光学軸30Aと矢印X方向とが成す角度がθからθ+180°あるいはθ-180°まで、順次、変化していることを意味する。
なお、矢印X方向に互いに隣接する液晶化合物30の光学軸30Aの角度の差は、45°以下であるのが好ましく、15°以下であるのがより好ましく、より小さい角度であるのがさらに好ましい。
一方、光学異方性膜16を形成する液晶化合物30は、矢印X方向と直交するY方向、すなわち光学軸30Aが連続的に回転する一方向と直交するY方向では、光学軸30Aの向きが等しい液晶化合物30が等間隔で配列されている。
言い換えれば、光学異方性膜16を形成する液晶化合物30において、Y方向に配列される液晶化合物30同士では、光学軸30Aの向きと矢印X方向とが成す角度が等しい。
光学素子10においては、このような液晶化合物30の液晶配向パターンにおいて、面内で光学軸30Aの向きが連続的に回転して変化する矢印X方向において、液晶化合物30の光学軸30Aが180°回転する長さ(距離)を、液晶配向パターンにおける1周期の長さΛとする。言い換えれば、液晶配向パターンにおける1周期の長さは、液晶化合物30の光学軸30Aと矢印X方向とのなす角度がθからθ+180°となるまでの距離により定義される。
すなわち、矢印X方向に対する角度が等しい2つの液晶化合物30の、矢印X方向の中心間の距離を、1周期の長さΛとする。具体的には、図2に示すように、矢印X方向と光学軸30Aの方向とが一致する2つの液晶化合物30の、矢印X方向の中心間の距離を、1周期の長さΛとする。以下の説明では、この1周期の長さΛを『1周期Λ』ともいう。
本発明の光学素子10において、光学異方性膜16の液晶配向パターンは、この1周期Λを、矢印X方向、すなわち光学軸30Aの向きが連続的に回転して変化する一方向に繰り返す。
前述のように光学異方性膜16において、Y方向に配列される液晶化合物30は、光学軸30Aと矢印X方向(液晶化合物30の光学軸の向きが回転する1方向)とが成す角度が等しい。この光学軸30Aと矢印X方向とが成す角度が等しい液晶化合物30が、Y方向に配置された領域を、領域Rとする。
この場合に、それぞれの領域Rにおける面内レタデーション(Re)の値は、半波長すなわちλ/2であるのが好ましい。これらの面内レタデーションは、領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差Δnと光学異方性膜の厚さとの積により算出される。ここで、光学異方性膜における領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差とは、領域Rの面内における遅相軸の方向の屈折率と、遅相軸の方向に直交する方向の屈折率との差により定義される屈折率差である。すなわち、領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差Δnは、光学軸30Aの方向の液晶化合物30の屈折率と、領域Rの面内において光学軸30Aに垂直な方向の液晶化合物30の屈折率との差に等しい。つまり、上記屈折率差Δnは、液晶化合物の屈折率差に等しい。
このような光学異方性膜16に円偏光が入射すると、光は、屈折され、かつ、円偏光の方向が変換される。
この作用を、図4に光学異方性膜16を例示して概念的に示す。なお、光学異方性膜16は、液晶化合物の屈折率差と光学異方性膜の厚さとの積の値がλ/2であるとする。なお、図4においては、図面を簡略化にするために、光学異方性膜16中の液晶化合物30の数を減らして表す。
図4に示すように、光学異方性膜16の液晶化合物の屈折率差と光学異方性膜の厚さとの積の値がλ/2の場合に、光学異方性膜16に左円偏光である入射光L1が入射すると、入射光L1は、光学異方性膜16を通過することにより180°の位相差が与えられて、透過光L2は、右円偏光に変換される。
また、入射光L1は、光学異方性膜16を通過する際に、それぞれの液晶化合物30の光学軸30Aの向きに応じて絶対位相が変化する。このとき、光学軸30Aの向きは、矢印X方向に沿って回転しながら変化しているため、光学軸30Aの向きに応じて、入射光L1の絶対位相の変化量が異なる。さらに、光学異方性膜16に形成された液晶配向パターンは、矢印X方向に周期的なパターンであるため、光学異方性膜16を通過した入射光L1には、図4に示すように、それぞれの光学軸30Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q1が与えられる。これにより、矢印X方向に対して逆の方向に傾いた等位相面E1が形成される。
そのため、透過光L2は、等位相面E1に対して垂直な方向に向かって傾くように屈折され、入射光L1の進行方向とは異なる方向に進行する。このように、左円偏光の入射光L1は、入射方向に対して矢印X方向に一定の角度だけ傾いた、右円偏光の透過光L2に変換される。
一方、図5に概念的に示すように、光学異方性膜16の液晶化合物の屈折率差と光学異方性膜の厚さとの積の値がλ/2のとき、光学異方性膜16に右円偏光の入射光L4が入射すると、入射光L4は、光学異方性膜16を通過することにより、180°の位相差が与えられて、左円偏光の透過光L5に変換される。
また、入射光L4は、光学異方性膜16を通過する際に、それぞれの液晶化合物30の光学軸30Aの向きに応じて絶対位相が変化する。このとき、光学軸30Aの向きは、矢印X方向に沿って回転しながら変化しているため、光学軸30Aの向きに応じて、入射光L4の絶対位相の変化量が異なる。さらに、光学異方性膜16に形成された液晶配向パターンは、矢印X方向に周期的なパターンであるため、光学異方性膜16を通過した入射光L4は、図5に示すように、それぞれの光学軸30Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q2が与えられる。
ここで、入射光L4は、右円偏光であるので、光学軸30Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q2は、左円偏光である入射光L1とは逆になる。その結果、入射光L4では、入射光L1とは逆に矢印X方向に傾斜した等位相面E2が形成される。
そのため、入射光L4は、等位相面E2に対して垂直な方向に向かって傾くように屈折され、入射光L4の進行方向とは異なる方向に進行する。このように、入射光L4は、入射方向に対して矢印X方向とは逆の方向に一定の角度だけ傾いた左円偏光の透過光L5に変換される。
光学異方性膜16において、複数の領域Rの面内レタデーションの値は、半波長であるのが好ましいが、波長が550nmである入射光に対する光学異方性膜16の複数の領域Rの面内レタデーションRe(550)=Δn550×dが下記式(1)に規定される範囲内であるのが好ましい。ここで、Δn550は、入射光の波長が550nmである場合の、領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差であり、dは、光学異方性膜16の厚さである。
200nm≦Δn550×d≦350nm・・・(1)
すなわち、光学異方性膜16の複数の領域Rの面内レタデーションRe(550)=Δn550×dが式(1)を満たしていれば、光学異方性膜16に入射した光の十分な量の円偏光成分を、矢印X方向に対して順方向または逆方向に傾いた方向に進行する円偏光に変換することができる。面内レタデーションRe(550)=Δn550×dは、225nm≦Δn550×d≦340nmがより好ましく、250nm≦Δn550×d≦330nmがさらに好ましい。
なお、上記式(1)は波長550nmである入射光に対する範囲であるが、波長がλnmである入射光に対する光学異方性膜の複数の領域Rの面内レタデーションRe(λ)=Δnλ×dは下記式(1-2)に規定される範囲内であるのが好ましく、適宜設定することができる。
0.7λnm≦Δnλ×d≦1.3λnm・・・(1-2)
また、光学異方性膜16における、複数の領域Rの面内レタデーションの値は、上記式(1)の範囲外で用いることもできる。具体的には、Δn550×d<200nmまたは350nm<Δn550×dとすることで、入射光の進行方向と同一の方向に進行する光と、入射光の進行方向とは異なる方向に進行する光に分けることができる。Δn550×dが0nmまたは550nmに近づくと入射光の進行方向と同一の方向に進行する光の成分は増加し、入射光の進行方向とは異なる方向に進行する光の成分は減少する。
さらに、波長が450nmの入射光に対する光学異方性膜16の領域Rのそれぞれの面内レタデーションRe(450)=Δn450×dと、波長が550nmの入射光に対する光学異方性膜16の領域Rのそれぞれの面内レタデーションRe(550)=Δn550×dは、下記式(2)を満たすのが好ましい。ここで、Δn450は、入射光の波長が450nmである場合の、領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差である。
(Δn450×d)/(Δn550×d)<1.0・・・(2)
式(2)は、光学異方性膜16に含まれる液晶化合物30が逆分散性を有していることを表している。すなわち、式(2)が満たされることにより、光学異方性膜16は、広帯域の波長の入射光に対応できる。
ここで、光学異方性膜16に形成された液晶配向パターンの1周期Λを変化させることにより、透過光L2およびL5の屈折の角度を調節できる。具体的には、液晶配向パターンの1周期Λが短いほど、互いに隣接した液晶化合物30を通過した光同士が強く干渉するため、透過光L2およびL5を大きく屈折させることができる。
また、入射光L1およびL4に対する透過光L2およびL5の屈折の角度は、入射光L1およびL4(透過光L2およびL5)の波長によって異なる。具体的には、入射光の波長が長いほど、透過光は大きく屈折する。すなわち、入射光が赤色光、緑色光および青色光である場合には、赤色光が最も大きく屈折し、青色光の屈折が最も小さい。
さらに、矢印X方向に沿って回転する、液晶化合物30の光学軸30Aの回転方向を逆方向にすることにより、透過光の屈折の方向を、逆方向にできる。
光学異方性膜における上記180°回転周期は全面に亘って一様である必要はない。すなわち、面内において、180°回転周期の長さ(1周期の長さΛ)が異なる領域を有していてもよい。
液晶組成物由来の光学軸の向きが面内で180°回転する長さを1周期の長さの最小値は、20μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、2μm以下であることがさらに好ましい。下限は特に制限されないが、0.5μm以上の場合が多い。
また、光学異方性膜の面内の少なくとも一方向に光学軸の向きが回転している液晶配向パターンを一部に有していればよく、光学軸の向きが一定の部分を備えていてもよい。
光学異方性膜の厚みは特に制限されないが、液晶組成物由来の光学軸の向きが面内で180°回転する1周期の長さの最小値の1/4倍よりも大きいことが好ましい。上限は特に制限されないが、上記1周期の長さの最小値の2倍以下の場合が多い。
光学異方性膜の厚みは特に制限されないが、後述する第2領域を形成しやすい点で、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、1.5μm以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。
光学異方性膜16は、以下の要件Xを満たす。
要件X:液晶配向パターンが延びる方向に沿った光学異方性膜の断面において、光学異方性膜の一方の表面における任意の位置を位置P1とし、位置P1から光学異方性膜の他方の表面に向かって、位置P1における液晶化合物由来の光学軸の向きと同じ方向の向きの液晶化合物由来の光学軸を示す位置を結んで作成した線と光学異方性膜の他方の表面とが交わる位置を位置P2とし、位置P1と位置P2との光学異方性膜の面内方向の距離を距離Dとした際に、光学異方性膜の一方の表面における位置Xでの液晶化合物由来の光学軸と、位置Xよりも液晶配向パターンが延びる方向に沿って距離D離れた光学異方性膜の他方の表面における位置Yでの液晶化合物由来の光学軸とがなす角度が3°未満を示す第1領域、および、上記なす角度が3°以上の第2領域を光学異方性膜が有する。
以下、上記要件Xについて詳述する。
図6は、光学異方性膜16を液晶配向パターンに沿った方向(液晶配向パターンが延びる方向ともいう)で切断した断面(垂直断面)に該当する。図7は、図6の光学異方性膜16の他方の表面16Bの平面図であり、図6は図7中のA線-A線での断面図である。
なお、図6においては、光学異方性膜16の一方の表面16Aに最も隣接して記載される液晶化合物30の光学軸30Aの向き(方向)は、一方の表面16Aにおける液晶化合物30の光学軸30Aの向きを表すものとする。また、図6においては、光学異方性膜16の他方の表面16Bに最も隣接して記載される液晶化合物30の光学軸30Aの向きは、他方の表面16Bにおける液晶化合物30の光学軸30Aの向きを表すものとする。
この断面において、光学異方性膜16の一方の表面16Aにおける、ある位置(任意との位置)を位置P1とする(図6参照)。この位置P1における液晶化合物30由来の光学軸30Aの向きは、図6および7に示すように、Y方向に沿っている。次に、図6に示す断面において、位置P1から光学異方性膜16の他方の表面16Bに向かって、位置P1における液晶化合物30由来の光学軸30Aの向きと同じ方向の向きの液晶化合物30由来の光学軸30Aを示す位置を線で結ぶ。図6においては、位置P1で示す液晶化合物30由来の光学軸30Aの向きは厚み方向に沿って同じであるため、図6の白抜き矢印に向かって線が作製される。この作製された線と、光学異方性膜16の他方の表面16Bとが交わる点を位置P2とする。次に、位置P1と位置P2との光学異方性膜16の面内方向(言い換えれば、液晶配向パターンが延びる方向)での距離Dを算出する。図6において、位置P1と位置P2とは、面内方向において同じ場所に位置するため、距離Dは0と算出される。
なお、光学異方性膜の断面において液晶化合物由来の光学軸の方向を特定する方法は特に制限されず、光学異方性膜の断面を原子間力顕微鏡(AFM)にて観察して、その形状から解析する方法が挙げられる。
次に、光学異方性膜16の一方の表面16Aにおける位置Xでの液晶化合物由来の光学軸と、他方の表面16Bにおける位置Yでの液晶化合物由来の光学軸とのなす角度を求める。上記位置Xは、光学異方性膜16の一方の表面16Aの任意の場所に位置していてもよい。また、位置Yは、位置Xから液晶配向パターンに沿って距離D離れた光学異方性膜の他方の表面における場所に位置する。
上記位置Xと位置Yとの関係を図6および7に示す。図6および7に示すように、位置Xとして位置X1を選択した場合、光学異方性膜16において距離Dは0であることから、位置Yは位置X1と対向する表面側にある位置Y1に該当する。
次に、位置X1での液晶化合物30由来の光学軸30Aと、位置Y1での液晶化合物30由来の光学軸30Aとのなす角度を算出する。図6に示すように、位置X1および位置Y1が位置する領域R1においては、液晶化合物30由来の光学軸は同じ方向を向いている。つまり、領域R1においては、光学異方性膜16の一方の表面16Aでの液晶化合物30由来の光学軸30Aと、他方の表面16Bでの液晶化合物30由来の光学軸30Aとのなす角度は0°を示す。よって、位置X1での液晶化合物30由来の光学軸30Aと位置Y1での液晶化合物30由来の光学軸30Aとのなす角度は0°となる。
以下において、上記のように、位置Xでの液晶化合物30由来の光学軸と位置Yでの液晶化合物由来の光学軸とのなす角度が3°未満の領域を第1領域ともいう。
次に、位置Xとして位置X2を選択した場合、光学異方性膜16において距離Dは0であることから、位置Yは位置X2と対向する表面側にある位置Y2に該当する。
次に、位置X2での液晶化合物30由来の光学軸30Aと、位置Y2での液晶化合物30由来の光学軸30Aとのなす角度を算出する。図6に示すように、位置X2および位置Y2が位置する領域R2においては、液晶化合物30が捩れ配向している。つまり、厚み方向の位置によって、液晶化合物30由来の光学軸の向きが変わっている。図8に、厚み方向から観察した際の、位置X2での液晶化合物30の光学軸30AX2と、位置Y2での液晶化合物30の光学軸30AY2とを重ねた図を示す。図8に示すように、光学軸30AX2と光学軸30AY2とは所定の角度をなし、その角度は3°以上となる。つまり、位置X2および位置Y2が位置する領域R2においては、光学異方性膜16の一方の表面16Aでの液晶化合物30由来の光学軸30AX2と、他方の表面16Bでの液晶化合物30由来の光学軸30AY2のなす角度が、3°以上を示す。
以下において、上記のように、位置Xでの液晶化合物30由来の光学軸と位置Yでの液晶化合物由来の光学軸とのなす角度が3°以上の領域を第2領域ともいう。
光学異方性膜16において、第1領域は、光学異方性膜16の表面の法線方向から観察した際に、一方の表面16Aでの液晶化合物由来の光学軸と他方の表面16Bでの液晶化合物由来の光学軸とのなす角度が3°未満の領域である。
また、光学異方性膜16において、上記第2領域は、光学異方性膜16の表面の法線方向から観察した際に、一方の表面16Aでの液晶化合物由来の光学軸と他方の表面16Bでの液晶化合物由来の光学軸とのなす角度が3°以上の領域である。
言い換えれば、光学異方性膜16は、厚み方向に沿って液晶化合物が捩れ配向していない、または、厚み方向に沿って液晶化合物が捩れ配向し、捩れ角が3°未満である第1領域と、厚み方向に沿って液晶化合物が捩れ配向し、捩れ角が3°以上である第2領域とを有する。
上述したように、光学異方性膜16は、第1領域および第2領域の両方を有する。
図6および7においては、光学異方性膜16の一部の領域に関して第1領域および第2領域のいずれかであることを示したが、図6に示すように、光学異方性膜16においては液晶化合物30由来の光学軸30Aの向きが液晶配向パターンに略平行または略直交である場合には、主に、第1領域に該当し、それ以外の領域は第2領域に該当しやすい。
そのため、光学異方性膜16においては、液晶配向パターンにおける1周期の間に、第1領域、第2領域、第1領域、および、第2領域がこの順に現れる。つまり、光学異方性膜16においては、第1領域と第2領域とが交互に現れ、1周期の間に少なくとも2つの第1領域と少なくとも2つの第2領域とが現れる。
なかでも、液晶配向パターンが延びる方向に対して、液晶化合物30由来の光学軸30Aがなす角度が0~20°の範囲は第1領域となりやすく、液晶化合物30由来の光学軸30Aがなす角度が20°超70未満の範囲は第2領域となりやすく、液晶化合物30由来の光学軸30Aがなす角度が70~90°の範囲は第1領域となりやすい。
また、上記説明においては、液晶化合物30由来の光学軸30Aの向きがY方向に沿っている位置を位置P1として距離Dを算出しているが、他の場所を位置P1として距離Dを算出してもよい。
例えば、図6における位置X2の場所を「位置P1」とした場合、図8に示すように、領域R2の他方の表面16Bにおける液晶化合物30由来の光学軸30Aは、一方の表面16Aにおける液晶化合物30由来の光学軸30AよりもY方向に傾いていることから、位置P2は位置Y1と位置Y2との間に位置することになり、距離Dとしては所定の値αをとることになる。
次に、「位置X」として図6における位置X2を採用した場合を考える。距離Dとして値αをとる場合を考えると、位置X2と、位置X2に対して液晶配向パターンが延びる方向に沿って距離Dずらした、他方の表面16Bでの位置は、上述した位置P1と位置P2との同じ関係になるため、両者の位置では液晶化合物30由来の光学軸30Aの向きは同じとなり、この場合には「第1領域」に該当する。
それに対して、「位置X」として図6における位置X1を採用した場合、距離Dとして値αをとると、位置X1と、位置X1に対して液晶配向パターンが延びる方向に沿って距離Dずらした、他方の表面16Bでの位置とでは、液晶化合物30由来の光学軸30Aの向きが3°以上異なる領域となり、この場合には「第2領域」に該当する。
なお、上記のように距離Dが0以外である場合、位置P1から位置P2に向かう方向と同様の方向に沿って、光学異方性膜の一方の表面での位置Xから距離D離れた他方の表面での位置を位置Yとする。
第1領域においては、光学異方性膜の一方の表面における位置Xでの液晶化合物由来の光学軸、および、位置Xよりも液晶配向パターンが延びる方向に沿って距離D離れた光学異方性膜の他方の表面における位置Yでの液晶化合物由来の光学軸がなす角度が3°以上であればよい。上記なす角度は5°以上が好ましく、7°以上がより好ましい。上記なす角度の上限は、20°以下が好ましく、10°以下がより好ましい。
第2領域においては、光学異方性膜の一方の表面における位置Xでの液晶化合物由来の光学軸、および、位置Xよりも液晶配向パターンが延びる方向に沿って距離D離れた光学異方性膜の他方の表面における位置Yでの液晶化合物由来の光学軸がなす角度が3°未満であればよい。上記なす角度は2°以下が好ましく、1°以下がより好ましい。上記なす角度の上限は、0°が好ましい。
上記のような要件Xを満たす光学異方性膜の作製方法は特に制限されないが、例えば、光学異方性膜の厚みを調整することにより達成できる。液晶配向パターンは、上述したように、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化する。上記のような液晶配向パターンを形成する際には、配向膜(特に、光配向膜)を用いる場合が多い。配向膜を用いて光学異方性膜を作製する場合には、配向膜側に位置する液晶化合物は配向膜の配向規制力に従って所定の方向を向いて配向するが、配向膜側から遠ざかるに従って配向膜の配向規制力が弱くなり液晶化合物の配向がしづらくなる。特に、液晶化合物の性質として、液晶配向パターンが延びる方向と略平行および略直交する方向においては配向膜で規定する方向に配列しやすいが、それ以外の領域では一方の表面と他方の表面とで液晶化合物由来の光学軸の向きがずれる場合がある。そこで、例えば、液晶化合物を含む液晶組成物を用いて光学異方性膜を作製する際に、液晶化合物を含む液晶組成物の塗膜を厚くして、光学異方性膜の一方の表面側での配向膜の配向規制力が弱くなるようにすれば、光学異方性膜の一部の領域(液晶配向パターンが延びる方向と略平行および略直交する方向以外の方向に液晶化合物を配向させる領域)において、光学異方性膜の一方の表面と他方の表面とで液晶化合物由来の光学軸の向きが異なるような領域(上述した第2領域)を形成できる。
上記では、光学異方性膜の厚みを調整して第1領域および第2領域を有する光学異方性膜を作製する方法について述べたが、それ以外の方法であってもよい。例えば、液晶化合物の種類によっては、液晶配向パターンが延びる方向と略平行および略直交する方向においては配向膜で規定する方向に配列しやすいが、それ以外の領域では一方の表面と他方の表面とで液晶化合物由来の光学軸がずれる場合があるため、液晶化合物の種類を選択することにより、所定の光学異方性膜を作製してもよい。
また、光学異方性膜16は、以下の要件Y1を満たす。
要件Y1:偏光顕微鏡にてクロスニコル下で光学異方性膜を観察して、液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置における最も暗くなる暗線の向きをそれぞれ特定し、各位置における暗線のうち液晶配向パターンが延びる方向と平行な暗線のうち偏光顕微鏡観察領域内において最も端に位置する暗線を基準暗線とする。基準暗線から液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置における暗線の基準暗線に対する回転角度を求め、基準暗線から液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置までの距離を横軸とし、各位置における暗線の基準暗線に対する回転角度を縦軸とした直交座標に、各位置での距離および回転角度に対応する点をプロットし、プロットした複数の点を用いて最小二乗法により回帰直線を作成し、プロットされた各点での回転角度と、プロットされた各点の距離における回帰直線の回転角度との差がそれぞれ5°以内である。
以下、上記要件Y1について詳述する。
要件Y1においては、まず、偏光顕微鏡にてクロスニコル下で光学異方性膜を観察して、液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置における最も暗くなる暗線の向き(方向)をそれぞれ特定する。偏光顕微鏡で光学異方性膜を観察する際には、光学異方性膜を回転させながら観察する。
例えば、図6および7に示す、光学異方性膜16の他の表面16B側からクロスニコル下で偏光顕微鏡観察を行うと、光学異方性膜16の厚み方向の液晶化合物30由来の光学軸30Aの向きを平均した方向において暗線が観察される。より具体的には、領域R1では、厚み方向において液晶化合物30由来の光学軸30Aの向きが同じ方向を向いており、クロスニコル下にて偏光顕微鏡観察を行うと液晶化合物30由来の光学軸30Aの向きと平行な暗線が観察される。また、領域R2では、位置X2から位置Y2の間に存在する液晶化合物30由来の光学軸30Aの向きを平均した方向に沿った暗線が観察される。よって、クロスニコル下で光学異方性膜16を回転させながら偏光顕微鏡にて光学異方性膜16を観察すると、液晶配向パターンに沿って、暗線が連続的に回転しながら変化しているパターン(以下、暗線パターンともいう)が観察される。
なお、偏光顕微鏡観察を行う際の観察領域の大きさは、縦100μm×横100μmが好ましい。なお、偏光顕微鏡の種類によっては、上記観察領域を1回で観察してもよいし、上記観察領域を区分けして(例えば、2区分け)してそれぞれ区分けした領域をそれぞれ観察して上記暗線の位置を特定してもよい。
次に、各位置における暗線のうち液晶配向パターンが延びる方向と平行な暗線のうち偏光顕微鏡観察領域内において最も端に位置する暗線を基準暗線とする。一例として、図9に、光学異方性膜16を上記偏光顕微鏡観察して得られる観察図を示す。図9においては、上述したように、暗線50が液晶配向パターンに沿って連続的に回転しながら変化している。
図9に示す、偏光顕微鏡観察領域内において、液晶配向パターンが延びる方向と平行な暗線のうち最も端に位置する暗線は、領域R10内に位置する暗線が該当し、この領域内に位置する暗線を基準暗線とする。
次に、基準暗線から液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置における暗線の基準暗線に対する回転角度を求め、基準暗線から液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置までの距離を横軸とし、各位置における暗線の基準暗線に対する回転角度を縦軸とした直交座標に、各位置での距離および回転角度に対応する点をプロットする。
一例として、図9に示すように、領域R10に対して液晶配向パターンが延びる方向に沿って隣接する領域R11内の暗線と、基準暗線との距離D1を求めると共に、領域11内の暗線の基準暗線に対する回転角度A1を求める。なお、図9においては、液晶配向パターンが延びる方向に沿って、暗線が反時計回りに回転しながら変化していることから、反時計回りの回転を正の値として回転角度を算出する。上記のように、基準暗線から液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置における暗線までの距離、および、各位置における暗線の基準暗線に対する回転角度をそれぞれ算出して、図10中の黒点で示すように、距離を横軸に、回転角度を縦軸とした直交座標に、各位置での対応する点をプロットする。
なお、図9中の領域R12内の暗線の基準暗線に対する回転角度は、180+A2°として示される。上記A2は、領域R12内の暗線と基準暗線とを重ねた際に両者がなす角度に該当する。つまり、暗線の基準暗線に対する回転角度は、液晶配向パターンが延びる方向に沿って、基準暗線からその位置の暗線に至るまでに暗線が回転した角度に該当する。
次に、プロットした複数の点を用いて最小二乗法により回帰直線を作成し、プロットされた各点での回転角度と、プロットされた各点の距離における回帰直線の回転角度との差がそれぞれ5°以内である。
図10において、プロットされた黒点を用いて最小二乗法にて得られる回帰直線を実線で表す。次に、プロットされた各点での回転角度と、その各点での距離における回帰直線が示す回転角度との差を求める。例えば、図10に示す、プロットPを一例として挙げると、プロットPにおける回転角度A3と、プロットPの距離における回帰直線が示す回転角度A4とを差DAを算出し、その差が5°以内である。上記では一つのプロットPを例に挙げたが、光学異方性膜16においては、直交座標上のいずれのプロット点においても、上記差が5°以内である。
上記のような要件Y1を満たす光学異方性膜の作製方法は特に制限されないが、例えば、光学異方性膜を作製する際の光配向膜の配向パターンを調整する方法が挙げられる。
通常、光学異方性膜の回折効率が優れる点から、液晶配向パターンの1周期中において、液晶化合物由来の光学軸は、一定の回転速度で回転することが好ましい。例えば、1/2周期の位置においては液晶化合物由来の光学軸が90°回転し、3/4周期の位置においては液晶化合物由来の光学軸が145°回転することを意味する。
一方で、上述したように、光学異方性膜の厚みおよび液晶化合物の種類によっては、光学異方性膜の一方の表面と他方の表面とで液晶化合物由来の光学軸がずれる場合がある。特に、液晶配向パターンが延びる方向と略平行および略直交する方向以外の領域では、光学異方性膜の一方の表面と他方の表面とで液晶化合物由来の光学軸の向きがずれやすい。そのため、例えば、図11の実線で示すような、理想的な配向パターンを有する光配向膜を作製して、その光配向膜上に液晶化合物を配向させても、配向膜に近い位置の液晶化合物は所定の方向に配向しているが、配向膜から遠ざかるに従って、図11中の白抜き矢印の方向に液晶化合物の配向方向がずれてくる。光学異方性膜の特性としては、厚み方向での液晶化合物由来の光学軸の向きが平均化されるため、配向膜に近い位置での液晶化合物由来の光学軸の向きと、配向膜から遠い位置での液晶化合物由来の光学軸の向きを平均化すると、理想的な配向パターンから大きくずれる形になり、光学異方性膜の回折効率の特性が悪化する。
それに対して、図11の破線で示すように、液晶化合物由来の光学軸のずれが大きい部分において、光配向膜の配向パターンの配向方向を一部ずらして配置することにより、その上に形成される液晶化合物由来の光学軸が厚み方向においてずれていても、厚み方向にて平均化した際には、理想的な液晶配向パターンを示す角度となるように調整できる。つまり、光配向膜の配向パターンを調整することにより、要件Y1を達成できる。
上記のように配向膜(特に、光配向膜)の配向パターンを調整する方法としては、例えば、出射するレーザー光の偏光状態を調整することにより、配向パターンを調整する方法が挙げられる。
なお、図11においては、配向パターンの配向方向の一部を理想的な液晶配向パターンに対して反時計回りに回転させているが、本発明はこの態様に限定されず、使用する材料などによっては配向パターンの配向方向の一部を理想的な液晶配向パターンに対して時計回りに回転させてもよい。
光学異方性膜の製造方法は特に制限されないが、例えば、支持体12上に光配向膜14を形成し、光配向膜上に液晶組成物を塗布して、硬化することにより、液晶組成物の硬化層からなる光学異方性膜16を得ることができる。つまり、この場合、光学異方性膜は、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を含む液晶組成物の硬化層からなり、棒状液晶化合物由来の光学軸または円盤状液晶化合物由来の光学軸が、上記のように配向された液晶配向パターンを有している。
なお、いわゆるλ/2板として機能するのは光学異方性膜16であるが、本発明は、支持体12および光配向膜14を一体的に備えた積層体がλ/2板として機能する態様を含む。
光学異方性膜16を形成するための液晶組成物は、棒状液晶化合物および円盤状液晶化合物等の液晶化合物(特に、重合性基を有する液晶化合物)を含み、さらに、レベリング剤、配向制御剤、重合開始剤、架橋剤および配向助剤等のその他の成分を含んでいてもよい。また、液晶組成物は、溶媒を含んでいてもよい。
また、光学異方性膜は、入射光の波長に対して広帯域であることが望ましく、複屈折率が逆分散となる液晶化合物を用いて構成されていることが好ましい。
棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が挙げられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。
棒状液晶化合物を重合によって配向を固定することがより好ましく、重合性棒状液晶化合物としては、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開第95/022586号、同95/024455号、同97/000600号、同98/023580号、同98/052905号、特開平1-272551号公報、同6-016616号公報、同7-110469号公報、同11-080081号公報、および、特願2001-064627号公報等に記載の化合物を用いることができる。
さらに、棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報および特開2007-279688号公報に記載のものも好ましく用いることができる。
円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報および特開2010-244038号公報に記載のものを好ましく用いることができる。
なお、光学異方性膜に円盤状液晶化合物を用いた場合には、光学異方性膜において、液晶化合物は厚さ方向に立ち上がっており、液晶化合物に由来する光学軸は、円盤面に垂直な軸として定義される。
液晶組成物の調製は従来公知の方法で行えばよい。また、液晶組成物の塗布は、バーコート、グラビアコート、および、スプレー塗布等の液体の塗布に用いられている公知の各種の方法が利用可能である。
また、液晶組成物の塗布厚みは、液晶組成物の組成等に応じて、目的とする厚さの光学異方性膜が得られる塗布厚を、適宜、設定すればよい。
なお、上述したように、液晶組成物を塗布して形成される塗膜の厚みが大きいほど、塗膜の一方の表面と配向膜(特に、光配向膜)との距離が大きくなり、第2領域を形成しやすくなる。そのため、上記液晶組成物を塗布して得られる塗膜の厚みは、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、1.5μm以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。
液晶組成物を塗布して得られる塗膜は、必要に応じて乾燥および/または加熱され、その後、硬化される。硬化処理は、光重合、および、熱重合等の公知の方法で行えばよい。重合は、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いるのが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2~50J/cm2が好ましく、50~1500mJ/cm2がより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射する紫外線の波長は250~430nmが好ましい。
液晶組成物を硬化することで、液晶組成物中の液晶化合物は、配向膜の配向パターンに沿って配向された状態(液晶配向パターン)で固定される。これによって、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する光学異方性膜が形成される。
なお、光学異方性膜が完成した時点では、液晶化合物は液晶性を示さなくてもよい。例えば、重合性基を有する液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、液晶性を失っていてもよい。
図1および図2に示す光学素子は、光学異方性膜16の液晶配向パターンにおける液晶化合物30の光学軸30Aの向きは、矢印X方向のみに沿って、連続して回転している。
本発明は、これに制限はされず、光学異方性膜において、液晶化合物30の光学軸30Aの向きが一方向に沿って連続して回転するものであれば、各種の構成が利用可能である。
一例として、図12の平面図に概念的に示すような、液晶配向パターンが、液晶化合物30の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンである、光学異方性膜34が例示される。言い換えれば、図12に示す光学異方性膜34の液晶配向パターンは、液晶化合物30の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向が、光学異方性膜34の中心から放射状に設けられた液晶配向パターンである。
なお、図12においても、図2と同様、光配向膜の表面の液晶化合物30のみを示すが、光学異方性膜34においては、図1に示されるように、この光配向膜の表面の液晶化合物30から、液晶化合物30が積み重ねられた構造を有するのは、前述のとおりである。
図12に示す光学異方性膜34において、液晶化合物30の光学軸(図示省略)は、液晶化合物30の長手方向である。
光学異方性膜34では、液晶化合物30の光学軸の向きは、光学異方性膜34の中心から外側に向かう多数の方向、例えば、矢印A1で示す方向、矢印A2で示す方向、矢印A3で示す方向…に沿って、連続的に回転しながら変化している。
この液晶配向パターンを有する光学異方性膜34に入射した円偏光は、液晶化合物30の光学軸の向きが異なる個々の局所的な領域において、それぞれ、絶対位相が変化する。
この際に、それぞれの絶対位相の変化量は、円偏光が入射した液晶化合物30の光学軸の向きに応じて異なる。
このような、同心円状の液晶配向パターン、すなわち、放射状に光学軸が連続的に回転して変化する液晶配向パターンを有する光学異方性膜34は、液晶化合物30の光学軸の回転方向および入射する円偏光の方向に応じて、入射光を、発散光または集束光として透過できる。
すなわち、光学異方性膜の液晶配向パターンを同心円状とすることにより、本発明の光学素子は、例えば、凸レンズまたは凹レンズとして機能を発現する。
図12に示す光学異方性膜34におけるそれぞれの液晶配向パターンは上述した光学異方性膜16と同様の構成の液晶配向パターンであるため、光学異方性膜34は上述した要件XおよびY1を満たす。要件XおよびY1の詳細については、上述した通りである。
なお、放射状に光学軸が連続的に回転し変化する液晶配向パターンを有する光学異方性膜においては、要件Y1における基準暗線は、液晶配向パターンが延びる方向と平行な暗線のうち偏光顕微鏡観察領域内において最も同心円状の中心側に位置する暗線を基準暗線とする。
図13に、光配向膜に、このような同心円状の配向パターンを形成する露光装置の一例を概念的に示す。
露光装置80は、レーザー82を備えた光源84と、レーザー82からのレーザー光MをS偏光MSとP偏光MPとに分割する偏光ビームスプリッター86と、P偏光MPの光路に配置されたミラー90AおよびS偏光MSの光路に配置されたミラー90Bと、S偏光MSの光路に配置されたレンズ92と、偏光ビームスプリッター94と、λ/4板96とを有する。
偏光ビームスプリッター86で分割されたP偏光MPは、ミラー90Aによって反射されて、偏光ビームスプリッター94に入射する。他方、偏光ビームスプリッター86で分割されたS偏光MSは、ミラー90Bによって反射され、レンズ92によって集光されて偏光ビームスプリッター94に入射する。
P偏光MPおよびS偏光MSは、偏光ビームスプリッター94で合波されて、λ/4板96によって偏光方向に応じた右円偏光および左円偏光となって、支持体12上の塗膜(光配向膜前駆体)18に入射する。
ここで、右円偏光と左円偏光の干渉により、塗膜18に照射される光の偏光状態が干渉縞状に周期的に変化するものとなる。同心円の内側から外側に向かうにしたがい、左円偏光と右円偏光の交差角が変化するため、内側から外側に向かってピッチが変化する露光パターンが得られる。これにより、塗膜18において、配向状態が周期的に変化する同心円状の配向パターンが得られる。
上記図1および2に示す光学異方性膜16では液晶配向パターンの1周期の長さが一定である態様について述べたが、図14および15に示すように、液晶配向パターンにおける光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向に向かって、液晶配向パターンの1周期の長さが、漸次、短くなる態様であってもよい。液晶配向パターンの1周期Λを、漸次、短くすることにより、集光するように光を透過する光学異方性膜を得ることができる。
図14は光学異方性膜36の液晶配向パターンが延びる方向に沿った断面であり、図15は図14の光学異方性膜36の他方の表面36Bの平面図である。図14は、図15中のB線-B線での断面図である。
なお、図14においては、光学異方性膜36の一方の表面36Aに最も隣接して記載される液晶化合物30の光学軸30Aの向き(方向)は、一方の表面36Aにおける液晶化合物30の光学軸30Aの向きを表すものとする。また、図14においては、光学異方性膜36の他方の表面36Bに最も隣接して記載される液晶化合物30の光学軸30Aの向きは、他方の表面36Bにおける液晶化合物30の光学軸30Aの向きを表すものとする。
図14および図15に示す光学異方性膜36は、図6および7に示す光学異方性膜16と液晶配向パターンの1周期の長さが異なる点以外は、同様の構成を有する。光学異方性膜36においては、液晶配向パターンの1周期の長さが漸次短くなっている。より具体的には、図14および図15に示すように、図中の右側の液晶配向パターンの1周期Λ2が、図中の左側の液晶配向パターンの1周期Λ1よりも短くなっている。
光学異方性膜36は、液晶配向パターンの1周期の長さが異なる以外は、光学異方性膜16と同様の構成を有しており、上述した要件Xを満たす。
つまり、光学異方性膜36において、第1領域は、光学異方性膜36の表面の法線方向から観察した際に、一方の表面36Aでの液晶化合物由来の光学軸と他方の表面での液晶化合物由来の光学軸とのなす角度が3°未満の領域である。
また、光学異方性膜36において、第2領域は、光学異方性膜36の表面の法線方向から観察した際に、一方の表面36Aでの液晶化合物由来の光学軸と他方の表面36Bでの液晶化合物由来の光学軸とのなす角度が3°以上の領域である。
言い換えれば、光学異方性膜36は、厚み方向に沿って液晶化合物が捩れ配向していない、または、厚み方向に沿って液晶化合物が捩れ配向し、捩れ角が3°未満である第1領域と、厚み方向に沿って液晶化合物が捩れ配向し、捩れ角が3°以上である第2領域とを有する。
また、光学異方性膜36は、以下の要件Y2を満たす。
要件Y2:クロスニコル下で光学異方性膜を回転させながら偏光顕微鏡にて光学異方性膜を観察して、液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置における最も暗くなる暗線の方向をそれぞれ特定し、各位置における暗線のうち液晶配向パターンが延びる方向と平行な暗線のうち偏光顕微鏡観察領域内において最も端に位置する暗線を基準暗線とする。基準暗線から液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置における暗線の基準暗線に対する回転角度を求め、基準暗線から液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置までの距離を横軸とし、各位置における暗線の基準暗線に対する回転角度を縦軸とした直交座標に、各位置での距離および回転角度に対応する点をプロットする。プロットした複数の点を用いて最小二乗法による二次関数近似したときの近似曲線を作成し、プロットされた各点での回転角度と、プロットされた各点の距離における近似曲線の回転角度との差がそれぞれ5°以内である。
以下、上記要件Y2について詳述する。
要件Y2においては、上述した要件Y1で説明したように、クロスニコル下で光学異方性膜を回転させながら偏光顕微鏡にて光学異方性膜を観察して、液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置における最も暗くなる暗線の向き(方向)をそれぞれ特定する。例えば、図14および15に示す、光学異方性膜36の他の表面36Bからクロスニコル下で偏光顕微鏡観察を行うと、光学異方性膜36の厚み方向の液晶化合物30由来の光学軸30Aの方向を平均した方向において暗線が観察される。
偏光顕微鏡観察を行う際の観察領域の大きさは、縦100μm×横100μmが好ましい。
次に、各位置における暗線のうち液晶配向パターンが延びる方向と平行な暗線のうち偏光顕微鏡観察領域内において最も端に位置する暗線を基準暗線とする。一例として、図16に、光学異方性膜36を上記偏光顕微鏡観察して得られる観察図を示す。図16においては、上述したように、暗線50が液晶配向パターンに沿って連続的に回転しながら変化している。
図16に示す、偏光顕微鏡観察領域内においても最も端に位置する暗線は、領域R20内に位置する暗線が該当し、この領域内に位置する暗線を基準暗線とする。
次に、基準暗線から液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置における暗線の基準暗線に対する回転角度を求め、基準暗線から液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置までの距離を横軸とし、各位置における暗線の基準暗線に対する回転角度を縦軸とした直交座標に、各位置での距離および回転角度に対応する点をプロットする。具体的には、図17の黒点で示すように、距離を横軸に、回転角度を縦軸とした直交座標に、各位置での対応する点をプロットする。
次に、プロットした複数の点を用いて最小二乗法による二次関数近似したときの近似曲線を作成し、プロットされた各点での回転角度と、プロットされた各点の距離における近似曲線の回転角度との差がそれぞれ5°以内である。
図17において、プロットされた黒点を用いて最小二乗法による二次関数近似したときの近似曲線を実線で表す。次に、プロットされた各点での回転角度と、その各点での距離における回帰直線が示す回転角度との差を求める。例えば、図17に示す、プロットPを一例として挙げると、プロットPにおける回転角度B1と、プロットPの距離における近似曲線が示す回転角度B2とを差DBを算出し、その差が5°以内である。上記では一つのプロットPを例に挙げたが、光学異方性膜36においては、直交座標上のいずれのプロット点においても、上記差が5°以内である。
光学異方性膜36において、液晶配向パターンにおける液晶化合物30の光学軸30Aの向きは、矢印X方向のみに沿って、連続して回転している。
本発明は、これに制限はされず、例えば、液晶配向パターンが、液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンであり、かつ、液晶配向パターンにおける1周期Λを、中心から、光学軸が連続的に回転する1方向の外方向に向かって、漸次、短くする、光学異方性膜(以下、単に「特定光学異方性膜1」ともいう。)であってもよい。
このような光学異方性膜は、入射する光の偏光によって、凸レンズまたは凹レンズとしての機能を有する。
なお、特定光学異方性膜1において、上記のように液晶配向パターンの1周期Λ1を調整する方法としては、レンズ92の屈折力(レンズ92のFナンバー)を調節することによって、液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転する一方向において、液晶配向パターンの1周期の長さΛを変更できる。
特定光学異方性膜1におけるそれぞれの液晶配向パターンは上述した光学異方性膜36と同様の構成の液晶配向パターンであるため、特定光学異方性膜1は上述した要件XおよびY2を満たす。要件XおよびY2の詳細については、上述した通りである。
なお、放射状に光学軸が連続的に回転し変化する液晶配向パターンを有する光学異方性膜においては、要件Y2における基準暗線は、液晶配向パターンが延びる方向と平行な暗線のうち偏光顕微鏡観察領域内において最も同心円状の中心側に位置する暗線を基準暗線とする。
本発明において、光学異方性膜を凸レンズまたは凹レンズとして作用させる場合には、下記の式を満たすのが好ましい。
Φ(r)=(π/λ)[(r2+f21/2-f]
ここで、rは同心円の中心からの距離で次式r=(x2+y21/2で表される。x、yは面内の位置を表し、(x、y)=(0、0)は同心円の中心を表す。Φ(r)は中心からの距離rにおける光学軸の角度、λは波長、fは設計の焦点距離を表す。
また、光学異方性膜は、厚み方向において液晶化合物の配向がねじれ性をもっていてもよい。また、光学異方性膜は、コレステリック配向を有していてもよい。
図18に示す例は、液晶化合物の配向が捩れ性を有する例である。
図18に示す、光学異方性膜38は、液晶化合物由来の光学軸の向きが厚み方向に沿って捩れて回転する領域を有する(言い換えれば、厚さ方向において液晶化合物30が捩れ配向している)以外は、図1に示す光学異方性膜16と同様の構成を有する。すなわち、図18に示す光学異方性膜38を厚さ方向からみると、図2に示す例と同様に、光学異方性膜38の面内において、液晶化合物30の光学軸30Aの向きが連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する。
なお、図18は、光学異方性膜38を液晶配向パターンに沿った方向で切断した断面に該当する。また、図18においては、光学異方性膜38の一方の表面38Aに最も隣接して記載される液晶化合物30の光学軸30Aの向き(方向)は、一方の表面38Aにおける液晶化合物30の光学軸30Aの向きを表すものとする。また、図18においては、光学異方性膜38の他方の表面38Bに最も隣接して記載される液晶化合物30の光学軸30Aの向き(方向)は、他方の表面38Bにおける液晶化合物30の光学軸30Aの向きを表すものとする。
光学異方性膜38は、上述した要件Xを満たす。以下、図18を用いて説明する。
この断面において、光学異方性膜38の一方の表面38Aにおける、ある位置を位置P11とする。この位置P11における液晶化合物30由来の光学軸30Aの向きは、Y方向に沿っている。次に、図18に示す断面において、位置P11から光学異方性膜38の厚み方向(図38中のZ方向)に沿って、位置P11における液晶化合物30由来の光学軸30Aの向きと同じ方向の向きの液晶化合物30由来の光学軸30Aを示す位置を線で結ぶ。図18においては、液晶化合物30が捩れ配向しているため、位置P11で示す液晶化合物30由来の光学軸30の向きと同じ方向の向きの液晶化合物30由来の光学軸30Aは、図18において位置P11から斜め方向に沿って配置されるため、図18の白抜き矢印に向かって線が作製される。この作製された線と、光学異方性膜38の他方の表面38Bとが交わる点を位置P12とする。次に、位置P11と位置P12との光学異方性膜36の面内方向(言い換えれば、液晶配向パターンが延びる方向)の距離Dを算出する。
次に、光学異方性膜38の一方の表面38Aにおける位置Xでの液晶化合物由来の光学軸と、他方の表面38Bにおける位置Yでの液晶化合物由来の光学軸とのなす角度を求める。上記位置Xは、光学異方性膜38の一方の表面38Aの任意の場所に位置していてもよい。また、位置Yは、位置Xから液晶配向パターンに沿って距離D離れた光学異方性膜の他方の表面における場所に位置する。
図18に示すように、位置Xとして位置X11を選択した場合、位置X11よりも液晶配向パターンに沿って距離D離れた光学異方性膜38の他方の表面38Bにおける場所は、位置Y11に該当する。
次に、位置X11での液晶化合物30由来の光学軸30Aと、位置Y11での液晶化合物30由来の光学軸30Aとのなす角度を算出する。位置X11での液晶化合物30由来の光学軸30Aの向き、および、位置Y11での液晶化合物30由来の光学軸30Aの向きは、いずれもY方向を向いている。よって、位置X11での液晶化合物30由来の光学軸30Aと位置Y11での液晶化合物30由来の光学軸30Aとのなす角度は、0°となる。つまり、図18に示す、位置X11および位置Y11が位置する領域においては、光学異方性膜38の一方の表面38Aでの液晶化合物30由来の光学軸30Aと、他方の表面38Bでの液晶化合物30由来の光学軸30Aとのなす角度は0°を示し、光学異方性膜36は、第1領域を有する。
次に、位置Xとして位置X12を選択した場合、位置X12よりも液晶配向パターンに沿って距離D離れた光学異方性膜38の他方の表面38Bにおける場所は、位置Y12に該当する。
次に、位置X12での液晶化合物30由来の光学軸30Aと、位置Y12での液晶化合物30由来の光学軸30Aとのなす角度を算出する。図19に、厚み方向から観察した際の、位置X12での液晶化合物30の光学軸30AX12と位置Y12での液晶化合物30の光学軸30AY12とを重ねた図を示す。図19に示すように、光学軸30AX12と光学軸30AY12とは所定の角度をなし、その角度は3°以上となる。つまり、位置X12および位置Y12が位置する領域においては、光学異方性膜38の一方の表面38Aでの液晶化合物30由来の光学軸30AX12と、他方の表面38Bでの液晶化合物30由来の光学軸30AY12とが、3°以上を示す。つまり、光学異方性膜38は、第2領域を有する。
上述したように、光学異方性膜38は、第1領域および第2領域の両方を有する。
図18においては、光学異方性膜38の一部の領域に関して第1領域および第2領域のいずれかであることを示したが、光学異方性膜38の一方の表面38A側に配向膜を配置して光学異方性膜38を形成する場合には、光学異方性膜38においては、一方の表面38Aでの液晶化合物30由来の光学軸が液晶配向パターンに略平行または略直交である場合には、主に、第1領域に該当し、それ以外の領域は第2領域に該当しやすい。
そのため、光学異方性膜38においては、液晶配向パターンにおける1周期の間に、第1領域、第2領域、第1領域、および、第2領域がこの順に現れる。つまり、光学異方性膜16においては、第1領域と第2領域とが交互に現れる。
また、光学異方性膜38は、上述した要件Y1を満たす。
光学異方性膜38は液晶配向パターンを有することから、上述した光学異方性膜16と同様に、液晶配向パターンに沿って、暗線が連続的に回転しながら変化している暗線パターンが観察される。そこで、上述した手順に従って、要件Y1を満たすことを確認できる。
このように、光学異方性膜を、厚さ方向において液晶化合物がねじれ配向している構成とするためには、光学異方性膜を形成するための液晶組成物にキラル剤を含ませる方法が挙げられる。
キラル剤(キラル剤)は液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル剤は、化合物によって誘起する螺旋の捩れ方向および螺旋誘起力(Helical twisting power:HTP)が異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4-3項、TN(twisted nematic)、STN(Super Twisted Nematic)用キラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、および、イソマンニド誘導体等を用いることができる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン、および、これらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であるのが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であるのが好ましく、不飽和重合性基であるのがより好ましく、エチレン性不飽和重合性基であるのがさらに好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
キラル剤が光異性化基を有する場合には、塗布、配向後に活性光線等のフォトマスク照射によって、発光波長に対応した所望のねじれ配向を形成することができるので好ましい。光異性化基としては、フォトクロッミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ基、アゾキシ基、または、シンナモイル基が好ましい。具体的な化合物として、特開2002-080478号公報、特開2002-080851号公報、特開2002-179668号公報、特開2002-179669号公報、特開2002-179670号公報、特開2002-179681号公報、特開2002-179682号公報、特開2002-338575号公報、特開2002-338668号公報、特開2003-313189号公報、および、特開2003-313292号公報等に記載の化合物を用いることができる。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、液晶化合物の含有モル量に対して0.01~200モル%が好ましく、1~30モル%がより好ましい。
図18においては、液晶配向パターンの1周期の長さが一定である態様について述べたが、液晶配向パターンにおける光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向に向かって、液晶配向パターンの1周期の長さが、漸次、短くなる態様であってもよい。
以下、光学異方性膜38において、さらに液晶配向パターンにおける光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向に向かって、液晶配向パターンの1周期の長さが、漸次、短くなる場合を特定光学異方性膜2と呼ぶ。
特定光学異方性膜2は、液晶配向パターンの1周期の長さが異なる以外は、光学異方性膜38と同様の構成を有しており、上述した要件Xを満たす。
また、特定光学異方性膜2は、上述した光学異方性膜36と同様の暗線パターンを示すことから、要件Y2を満たす。
また、図18においては、液晶化合物30の捩じり方向が1方向である態様について説明したが、本発明ではこの態様には制限されない。
本発明においては、例えば、図20に示す光学異方性膜40のように、厚み方向に沿って捩れ方向が互いに異なる領域を有していてもよい。光学異方性膜40においては、図中の下側の領域(一方の表面40A側の領域)である領域401における液晶化合物30の捩れ方向と、図中の上側の領域(他方の表面40B側の領域)である領域402における液晶化合物30の捩れ方向とが逆になっている。つまり、光学異方性膜40は、液晶化合物30由来の光学軸の向きが厚み方向に沿って捩れて回転する領域A(領域401に相当)と、液晶化合物30由来の光学軸の向きが厚み方向に沿って捩れて回転する領域B(領域402に相当)とを有し、領域Aにおける液晶化合物30由来の光学軸の捩れ方向と領域Bにおける液晶化合物30由来の光学軸の捩れ方向とが逆向きである態様に該当する。
なお、図20は、光学異方性膜40を液晶配向パターンに沿った方向で切断した断面に該当する。また、図20においては、光学異方性膜40の一方の表面40Aに最も隣接して記載される液晶化合物30の光学軸の向き(方向)は、一方の表面40Aにおける液晶化合物30の光学軸の向きを表すものとする。また、図20においては、光学異方性膜40の他方の表面40Bに最も隣接して記載される液晶化合物30の光学軸の向き(方向)は、他方の表面40Bにおける液晶化合物30の光学軸の向きを表すものとする。
光学異方性膜40においては、上述した要件Xを満たす。
要件Xについては、上述した通りであるが、光学異方性膜40における距離Dの算出方法を図20に示す。
この断面において、光学異方性膜40の一方の表面40Aにおける、ある位置を位置P21とする。この位置P21における液晶化合物30由来の光学軸は、Y方向に沿っている。次に、図20に示す断面において、位置P21から光学異方性膜40の厚み方向(図40中のZ方向)に沿って、位置P21における液晶化合物30由来の光学軸の向きと同じ方向の向きの液晶化合物30由来の光学軸を示す位置を線で結ぶ。図20においては、液晶化合物30が捩れ配向しているため、位置P21で示す液晶化合物30由来の光学軸の向きと同じ方向の向きの液晶化合物30由来の光学軸は図20において位置P21から斜め方向に沿って配置されるため、図20の白抜き矢印に向かって線が作製される。この作製された線と、光学異方性膜40の他方の表面40Bとが交わる点を位置P22とする。次に、位置P21と位置P22との光学異方性膜40の面内方向(言い換えれば、液晶配向パターンが延びる方向)の距離Dを算出する。
算出された距離Dをもとに、上述した手順に従って、光学異方性膜40が第1領域および第2領域を有することが確認される。
また、光学異方性膜40は、上述した要件Y1を満たす。
光学異方性膜40は液晶配向パターンを有することから、上述した光学異方性膜16と同様に、液晶配向パターンに沿って、暗線が連続的に回転しながら変化している暗線パターンが観察される。そこで、上述した手順に従って、要件Y1を満たすことを確認できる。
図20においては、液晶化合物の捩れ方向が逆である2つの領域を有する態様について述べたが、光学異方性膜は、液晶化合物が捩れ配向している領域と、液晶化合物が捩れ配向していない領域とを有していてもよい。
例えば、図21に示すように、光学異方性膜42は、2つの液晶化合物が捩れ配向している領域(領域421および領域423)の間に、液晶化合物が捩れ配向していない領域(領域422)が配置されていてもよい。より具体的には、光学異方性膜42においては、図中の下側の領域(一方の表面42A側の領域)である領域421においては液晶化合物30が捩れ配向しており、図中の真ん中の領域422では液晶化合物30が捩れ配向しておらず、図中の上側の領域(他方の表面42B側の領域)である領域423においては液晶化合物30が捩れ配向している。なお、領域421における液晶化合物30の捩れ方向と、領域423における液晶化合物30の捩れ方向とは逆向きである。
また、上記では液晶化合物が捩れ配向する態様について述べたが、捩れ角度が360°以上となって、コレステリック配向していてもよい。
上述した光学異方性膜および光学素子は、種々の用途に適用できる。例えば、光学装置における光路変更部材、光集光素子、所定方向への光拡散素子、および、回折素子等の、入射方向とは異なる方向に光を透過する各種の用途に利用可能である。
また、上述した光学異方性膜および光学素子は、光源または検出器と組み合わせて、光学システム(例えば、光センサーの発信部または受光部)として用いることもできる。
なお、本発明の光学異方性膜は、可視光を透過して屈曲させる光学素子に好適に利用できるが、可視光以外にも紫外光または/および赤外光を透過して屈曲させる光学素子にも好適に利用できる。
以上、本発明の光学異方性膜について詳細に説明したが、本発明は上述の例に制限はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、使用量、物質量、割合、処理内容、および、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により制限的に解釈されるべきものではない。
<比較例1>
(配向膜の形成)
支持体としてガラス基材を用意した。
支持体上に、下記の光配向膜形成用組成物を、スピンコータを用いて、2500rpmにて30秒間塗布した。光配向膜形成用組成物が塗膜された支持体を60℃のホットプレート上で60秒間乾燥し、塗膜を形成した。
光配向膜形成用組成物
――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記光配向用素材 1.00質量部
水 16.00質量部
ブトキシエタノール 42.00質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 42.00質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
-光配向用素材-
(光配向膜の作製)
図3に示す露光装置を用いて塗膜を露光して、図21で示すような配向パターン(図中、右方向に行くにしたがって、一定の回転速度で矢印が回転しているパターン(理想パターン))を有する光配向膜P-1を形成した。
露光装置において、レーザーとして波長(325nm)のレーザー光を出射するものを用いた。干渉光による露光量を300mJ/cm2とした。なお、2つのレーザー光およびの干渉により形成される配向パターンの1周期Λ(光学軸が180°回転する長さ)が、2μmとなるように、2つの光の交差角(交差角α)を調節した。
(光学異方性膜の形成)
液晶組成物として、下記の液晶組成物LC-1を調製した。
液晶組成物LC-1
――――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶化合物L-1 100.00質量部
重合開始剤(BASF製、Irgacure907) 3.00質量部
メチルエチルケトン 330.60質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶化合物L-1(以下の化合物の混合物)
なお、液晶化合物L-1の相転移温度は、液晶化合物をホットステージ上で加熱し、偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって求めた。その結果、結晶相-ネマチック相転移温度は79℃、ネマチック相-等方相転移温度は144℃であった。
また、液晶化合物L-1のΔnは、液晶化合物を、くさび型セルに注入し、これに波長550nmのレーザー光を照射し、透過光の屈折角を測定することで測定した。測定温度は60℃とした。液晶化合物L-1のΔnは0.16であった。
光配向膜P-1上に、上記の液晶組成物LC-1を、スピンコータを用いて、800rpmで10秒間塗布した。液晶組成物LC-1の塗膜をホットプレート上で80℃にて2分間(120sec)加熱した。
その後、80℃にて、窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を300mJ/cm2の照射量で塗膜に照射することにより、液晶組成物LC-1を硬化して液晶化合物の配向を固定化し、光学異方性膜C1a(膜厚:0.4μm)を形成した。
同様の手順で、得られた光学異方性膜C1a上に、液晶組成物の塗布、加熱および紫外線照射を複数回繰り返すことで、光学異方性膜C1(膜厚:2.5μm)を得た。
<実施例1>
配向膜露光におけるレーザー光の偏光状態を調整し、配向パターンを図22の実線で示すような配向パターンに調整した以外は、比較例1と同様の手順に従って、光学異方性膜1を形成した。図22中の破線パターンは図21中の矢印のパターンを表しており、図22の実線で示すように、実施例1で使用した配向パターンは距離に応じて一定の回転速度で回転する比較例1のパターン(理想パターン)に対して、ずれていた。
<比較例2>
図13に示す露光装置を用いて、光配向膜に図21で示すような配向パターンが得られるように調整した以外は、比較例1と同様の手順に従って、光学異方性膜C2を形成した。なお、同パターンは同心円状に広がり(図12参照)、さらに、液晶配向パターンの1周期の長さが、外周側に近づくに従って漸次、短くなっていた。
<実施例2>
配向膜露光におけるレーザー光の偏光状態を調整し、配向パターンを図22で示すような配向パターンに調整した以外は、比較例2と同様の手順に従って、光学異方性膜2を形成した。なお、同パターンは同心円状に広がり(図12参照)、さらに、液晶配向パターンの1周期の長さが、外周側に近づくに従って漸次、短くなっていた。
<要件Xの適否判定>
各実施例および比較例にて得られた光学異方性膜に対して、液晶配向パターンに沿ってウルトラミクロトーム加工を行い、光学異方性膜の断面を露出させた。得られた光学異方性膜の断面試料の表面をAFMにより観察し、得られた像から液晶化合物由来の光学軸の方位角分布を算出した。
次に、上述した要件Xの手順に従って、第1領域および第2領域の両方が含まれるか否かを確認した。要件Xを満たす場合(光学異方性膜が第1領域および第2領域の両方を含む場合)を「A」、要件Xを満たさない場合(光学異方性膜が第1領域および第2領域のいずれか一方のみしか含まない場合)を「B」とした。
なお、実施例1および2においては、液晶配向パターンが延びる方向に沿って、第1領域および第2領域が交互に現れることが確認された。なお、液晶配向パターンの1周期において、第1領域および第2領域がそれぞれ少なくとも2つ確認された。
<要件Y1および要件Y2の適否判定>
各実施例および比較例にて得られた光学異方性膜に対して、上述した要件Y1または要件Y2の手順に従って、クロスニコル下にて偏光顕微鏡観察(観察領域:縦100μm×横100μm)を行い、要件Y1または要件Y2を満たすか否か確認した。要件Y1または要件Y2を満たす場合を「A」、要件Y1および要件Y2のいずれも満たさない場合を「B」とした。
なお、上記偏光顕微鏡観察の具体的な方法としては、以下の通りである。
まず、偏光顕微鏡に100倍の対物レンズ(NA値0.9)および顕微鏡デジタルカメラ(ニコン社製DS-Ri2)を取り付け、クロスニコル下で光学異方性膜を撮影した。光学異方性膜を0°から180°まで5°刻みに回転し、各々の角度で撮影することで、37枚の画像データを得た。得られた画像データから、光学異方性膜の面内各箇所における輝度変化が得られ、画像が一番暗くなる角度として消光角度を得て、その角度の線を暗線として特定した。得られた暗線は、液晶配向パターンに沿って、暗線が連続的に回転しながら変化していた。
なお、比較例1および実施例1においては、作成した直交座標中の複数のプロット点を用いて最小二乗法により回帰直線を作成し、その回帰直線を用いて上述したように各位置での回転角度との差を求めた。
また、比較例2および実施例2においては、作成した直交座標中の複数のプロット点を用いて最小二乗法による二次関数近似したときの近似曲線を作成し、その近似曲線を用いて上述したように各位置での回転角度との差を求めた。
<回折効率評価>
光源としてレーザーポインタ(波長650nm)を用意し、光源の出射光を偏光板および4分の1波長板を介して、本発明の光学異方性膜に対して表に記載の入射角度θinから入射し、1次回折透過光の強度をパワーメーターで測定した。
次に、光学異方性膜に対する入射角度を表に記載の入射角度θinから5°変化させたうえで、同様の測定を行った。
回折効率の変化率、つまり、入射角度θin+5°における回折効率と、入射角度θinにおける回折効率との比に関して以下の評点をつけた。
表1においては、以下の通り。
A:比較例1に対して回折効率の変化率が小さい
B:比較例1に対して回折効率の変化率と同じまたは大きい
表2においては、以下の通り。
A:比較例2に対して回折効率の変化率が小さい
B:比較例2に対して回折効率の変化率が同じまたは大きい
表1に示すように、本発明の光学異方性膜は所望の効果を示した。
10 光学素子
12 支持体
14 光配向膜
16,34,36,38,40,42 光学異方性膜
18 塗膜
30 液晶化合物
30A 光学軸
50 暗線
60,80 露光装置
62,82 レーザー
64,84 光源
68 ビームスプリッター
70A,70B,90A,90B ミラー
72A,72B,96 λ/4板
86,94 偏光ビームスプリッター
92 レンズ
Q1,Q2 絶対位相
E1,E2 等位相面

Claims (10)

  1. 重合性基を有する液晶化合物を含む液晶組成物の硬化層からなる光学異方性膜であって、
    前記光学異方性膜の厚みが、1.5μm以上であり、
    前記光学異方性膜が、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが前記光学異方性膜の面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、
    以下の要件Xと、要件Y1または要件Y2とを満たす、光学異方性膜。
    要件X:前記液晶配向パターンが延びる方向に沿った前記光学異方性膜の断面において、前記光学異方性膜の一方の表面における任意の位置を位置P1とし、前記位置P1から前記光学異方性膜の他方の表面に向かって、前記位置P1における前記液晶化合物由来の光学軸の向きと同じ方向の向きの前記液晶化合物由来の光学軸を示す位置を結んで作成した線と前記光学異方性膜の他方の表面とが交わる位置を位置P2とし、前記位置P1と前記位置P2との前記光学異方性膜の面内方向の距離を距離Dとした際に、前記光学異方性膜の前記一方の表面における位置Xでの前記液晶化合物由来の光学軸と、前記位置Xよりも前記液晶配向パターンが延びる方向に沿って距離D離れた前記光学異方性膜の前記他方の表面における位置Yでの前記液晶化合物由来の光学軸とがなす角度が3°未満を示す第1領域、および、前記なす角度が3°以上の第2領域を前記光学異方性膜が有する。
    要件Y1:偏光顕微鏡にてクロスニコル下で前記光学異方性膜を観察して、前記液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置における最も暗くなる暗線の向きをそれぞれ特定し、前記各位置における前記暗線のうち前記液晶配向パターンが延びる方向と平行な暗線のうち前記偏光顕微鏡観察領域内において最も端に位置する暗線を基準暗線とする。前記基準暗線から前記液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置における前記暗線の前記基準暗線に対する回転角度を求め、前記基準暗線から前記液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置までの距離を横軸とし、前記各位置における前記暗線の前記基準暗線に対する回転角度を縦軸とした直交座標に、各位置での前記距離および前記回転角度に対応する点をプロットし、前記プロットした複数の点を用いて最小二乗法により回帰直線を作成し、プロットされた各点での前記回転角度と、プロットされた各点の距離における回帰直線の回転角度との差がそれぞれ5°以内である。
    要件Y2:偏光顕微鏡にてクロスニコル下で前記光学異方性膜を観察して、前記液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置における最も暗くなる暗線の向きをそれぞれ特定し、前記各位置における前記暗線のうち前記液晶配向パターンが延びる方向と平行な暗線のうち前記偏光顕微鏡観察領域内において最も端に位置する暗線を基準暗線とする。前記基準暗線から前記液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置における前記暗線の前記基準暗線に対する回転角度を求め、前記基準暗線から前記液晶配向パターンが延びる方向に沿った各位置までの距離を横軸とし、前記各位置における前記暗線の前記基準暗線に対する回転角度を縦軸とした直交座標に、前記各位置での前記距離および前記回転角度に対応する点をプロットし、前記プロットした複数の点を用いて最小二乗法による二次関数近似したときの近似曲線を作成し、プロットされた各点での前記回転角度と、プロットされた各点の距離における近似曲線の回転角度との差がそれぞれ5°以内である。
  2. 前記液晶配向パターンが延びる方向に沿って、前記液晶組成物由来の光学軸の向きが面内で180°回転する長さを1周期とした際に、
    前記液晶配向パターンにおける前記光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する前記一方向に向かって、前記液晶配向パターンの1周期の長さが、漸次、短くなり、
    前記要件Y2を満たす、請求項1に記載の光学異方性膜。
  3. 前記光学異方性膜が、前記液晶配向パターンが延びる方向に沿って、前記第1領域および前記第2領域を交互に有する、請求項1または2に記載の光学異方性膜。
  4. 前記液晶配向パターンが延びる方向に沿って、前記液晶組成物由来の光学軸の向きが面内で180°回転する長さを1周期とした際に、
    前記光学異方性膜が、前記液晶配向パターンが延びる方向に沿って、前記第1領域および前記第2領域を交互に有し、かつ、1周期のうちに、前記第1領域と前記第2領域とを少なくとも2つずつ有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学異方性膜。
  5. 前記液晶配向パターンが延びる方向に沿って、前記液晶組成物由来の光学軸の向きが面内で180°回転する長さを1周期とした際に、
    前記1周期の長さの最小値が20μm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学異方性膜。
  6. 前記液晶配向パターンが延びる方向に沿って、前記液晶組成物由来の光学軸の向きが面内で180°回転する長さを1周期とした際に、
    前記光学異方性膜の厚みが、前記1周期の長さの最小値の1/4倍よりも大きい、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学異方性膜。
  7. 前記液晶配向パターンが、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンである、請求項1~6のいずれか1項に記載の光学異方性膜。
  8. 前記光学異方性膜が、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが厚み方向に沿って捩れて回転する領域Aと、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが厚み方向に沿って捩れて回転する領域Bとを有し、
    前記領域Aにおける前記液晶化合物由来の光学軸の捩れ方向と前記領域Bにおける前記液晶化合物由来の光学軸の捩れ方向とが逆向きである、請求項1~7のいずれか1項に記載の光学異方性膜。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の光学異方性膜を有する光学素子。
  10. 請求項1~8のいずれか1項に記載の光学異方性膜または請求項9に記載の光学素子と、光源または検出器を有する光学システム。
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