以下、添付図面を参照して本発明の第1実施形態による浴槽装置を説明する。
図1は本発明の第1実施形態による浴槽装置の構造を概略的に示す斜視図であり、図2は本発明の第1実施形態による浴槽装置の構造を概略的に示す側面図であり、図3は本発明の第1実施形態による浴槽装置の構造を概略的に示す平面図である。
図1乃至図3に示すように、本発明の第1実施形態による浴槽装置1は、施設、家庭等の浴場、風呂場又は浴室等に設けられる浴槽装置である。
本発明の第1実施形態による浴槽装置1は、浴槽水を貯留する浴槽2に設けられる浴槽装置である。なお、浴槽装置1は、浴槽水を貯留する浴槽2を備えていてもよい。ここで、「浴槽水」は、浴槽2に貯水される湯又は水である。浴槽水は例えば入浴可能な温度、例えば40度等に設定される。浴槽装置1の給水装置は、使用者が操作部26において設定した温度に温度調節された湯又は水を浴槽水として浴槽2に供給する。外部施設において温度調節された湯又は水が給水装置により浴槽に供給されてもよい。なお、浴槽2に給水装置又は外部施設等において温度調節されずに湯又は水が供給され、これらが使用者によって温度調節されてもよい。
本発明の第1実施形態による浴槽装置1は、浴槽2内の浴槽水を吸い込み且つこの浴槽水を下流側に供給するポンプ4と、吸い込み流路6であって、吸い込み流路6は浴槽2に吸い込み口8を形成すると共に、吸い込み口8からポンプ4まで延びる、吸い込み流路6と、ポンプ4から下流側に延びるポンプ下流側流路10と、ポンプ下流側流路10から分岐される第1流路12と、ポンプ下流側流路10から分岐される第2流路14と、吸い込み流路6上に設けられると共に、通過する浴槽水中の汚れを捕集する汚れ捕集部である捕集部16とを備えている。
本実施形態においては、浴槽2は、例えば大人の使用者(入浴者)が一人で入浴するような比較的小型のサイズの四角形状の浴槽2であるが、浴槽2は、このようなサイズ及び形状のみならず、例えば入浴施設や介護施設等で複数人で入れるような比較的大型のサイズの浴槽であってもよく、さらに、多角形状、丸形状、弓張り月形状、曲線を有した形状等の他の形状を有していてもよい。また、浴槽2は、通常のお風呂のための浴槽のみならず、半身浴のための浴槽、マッサージ等の医療目的に用いられる浴槽として用いられることもできる。浴槽2が、例えば家庭用のユニットバス等に用いられる大人の使用者(入浴者)が一人で入浴するような規格の浴槽である場合には、短辺側に使用者の背中及び頭が近づくようにして使用者が座って入浴することを想定して、短辺側に後述する吐水部等が配置される。浴槽2の長手方向に延びる長辺に沿って使用者の体及び足が延びるようにして使用者が座って入浴する。浴槽2は、使用者の体の大きさにもよるが、例えば、使用者が座った状態、上半身を背中側に傾けて座っている状態、上半身を背中側に傾けて寝転んでいる状態、又は上半身を背中側に大きく傾けて仰向けに近い状態まで寝転んでいる状態等で入浴することができる湯船である。
浴槽2は、入浴している使用者の臀部又は足部が接する底部2aと、底部2aから縦方向に立ち上がるように形成され且つ入浴している使用者の背中が接することが多い縦壁2bと、縦壁2bの上部と接続され且つ浴槽2の上面を形成する上端部2cとを備えている。上端部2cは、入浴している使用者(入浴者)の上半身、例えば頭部、首部、又は肩部に比較的近い高さ位置に形成される。例えば、上端部2cは、入浴している使用者が底部2a上に臀部をつけて座っている状態で使用者の後頭部を上端部2c上に載せてリラックスした状態で座ることができるような高さ位置に形成されている。上端部2cは、ほぼ平坦な面として形成されていてもよく、又は、頭部や首部の曲り形状に合わせやすいように湾曲面として形成されていてもよい。
図3に示すように、上面視で、浴槽2を長手方向に二等分した第1領域A1と第2領域A2とが規定される。第1領域A1は、浴槽2を長手方向に二等分する中心線Bに対して一方側の浴槽2の領域(図3の紙面の左側の領域)である。第2領域A2は、浴槽2を長手方向に二等分する中心線Bに対して他方側の浴槽2の領域(図3の紙面の右側の領域)である。浴槽2において、後述する水中吐水部18及び水面外吐水部22が第2領域A2内に設けられ、吸い込み口8は中心線Bに対して反対側の第1領域A1内に設けられる。なお、水中吐水部18が第1領域A1に設けられる場合には、吸い込み口8は中心線Bに対して反対側の第2領域A2に設けられる。
なお、浴槽2には、使用者の操作部26の操作等に基づいて、温度調節された又は温度調節されていない浴槽水、等を浴槽2内に所定量又は任意の量給水できるような給水装置(図示せず)が設けられている。
浴槽2は、その外側にケーシング21が取付けられている。ケーシング21が浴槽2に取付けられることにより、浴室内において、浴槽2と浴槽装置1とが使用者から見て一体に配置され、浴槽装置1の配管や機器が使用者側に露出されないようにケーシング21内に収納される。よって、浴槽装置1全体の美的外観を保ちつつ内部の電気部品等の保護(水がかかることを防ぐなどの保護)をすることができる。ポンプ4、吸い込み流路6、ポンプ下流側流路10、第1流路12、第2流路14は、ケーシング21(或いは浴室の壁面W)と浴槽2との間の非常に限られた空間において配置されている。
ポンプ4は、浴槽2内の浴槽水を吸い込み且つこの浴槽水を下流側に供給できる。ポンプ4は、吸引した浴槽水に圧力をかけて圧送する機能を有するポンプである。ポンプ4は、電気的に駆動される電動モータ(図示せず)に直結されたインペラ(図示せず)の回転に伴って浴槽2内の浴槽水を吸い込み且つこの浴槽水を下流側に圧送する。ポンプ4は、水面外吐水部22が配置される側の、浴槽2の左右方向の中央よりも外側の側方側端部近傍に配置されている。ポンプ4は、浴槽2の下部且つケーシング21の内側(或いは壁面Wの内側)に設けられている。このようなケーシング21(或いは壁面W)と浴槽2との間の空間においては、ポンプ4、各流路等が比較的狭い空間内に配置されているため、ポンプ4の設置位置や大きさ(サイズ)については多くの制約があり、ポンプ4を安易に大型化することが難しい環境となっている。例えば、ポンプ4は、100L/min~150L/minの流量の浴槽水を下流側に供給するようになっている。
吸い込み流路6は、浴槽2の外側の側方に配置されている。吸い込み流路6は、吸い込み口8から浴槽2の短手方向に向けて比較的短い距離延びた後、浴槽2の長手方向に向けて屈曲して長手方向に向けて延び、浴槽2の中心線Bを超えて延びている。吸い込み流路6は、円管状の配管により形成される。
ポンプ下流側流路10は、ポンプ4から第1流路12と第2流路14との分岐部分まで延びている。ポンプ下流側流路10は、円管状の配管により形成される。
第1流路12は、第2流路14との分岐部分から水中吐水部18まで延び、2つの水中吐水部18に連通するように途中でさらに2つの流路に分岐されている。第1流路12は、円管状の配管により形成される。第1流路12の流路抵抗は、第2流路14の流路抵抗よりも大きくなるように構成されている。
第2流路14は、第1流路12との分岐部分から水面外吐水部22まで延びている。第2流路14は、円管状の配管により形成される。
図2に示すように、捕集部16は、吸い込み流路6上に設けられている。よって、捕集部16は、吸い込み口8から吸い込み流路6が屈曲した後、浴槽2の長手方向に沿って延びる直線部分の前半部分近傍に配置されている。捕集部16は、メンテナンスをしやすくするため、吸い込み流路6上の吸い込み口8に取付けられてもよい。捕集部16は、網状部材により形成され、浴槽水中の汚れ、例えば髪の毛や体の垢等を捕集できるようになっている。よって、捕集部16は、吸い込み流路6を通過する浴槽水の汚れを捕集できる。
浴槽装置1は、さらに、水中吐水部18であって、水中吐水部18は浴槽2に水中吐水口20を形成すると共に、第1流路12から供給された浴槽水を水中吐水口20から浴槽2内の水中に吐水させる、水中吐水部18と、水面外吐水部22であって、水面外吐水部22は上記浴槽の水面よりも上方に水面外吐水口24を形成すると共に、第2流路14から供給された浴槽水を水面外吐水口24から浴槽2内に吐水させる、水面外吐水部22と、ポンプ4を制御する制御装置40と、操作部26とを備えている。
水中吐水部18は、図2において矢印F1により示すように、ポンプ4から供給された浴槽水を浴槽2の上下方向の中央近傍から浴槽2内にブロー吐水するブロー吐水部を形成している。水中吐水部18は、浴槽2の縦壁2bの上下方向の中央近傍の高さ位置に設けられている。本実施形態においては、水中吐水部18は、浴槽2の水面外吐水部22側の縦壁2bにおいて2つの水中吐水部18が設けられている。なお、水中吐水部18の個数は、2つのみならず、1つでもよく、さらに、3つ以上の個数であってもよい。例えば、2つの水中吐水部18は、浴槽2の短手方向(縦壁2bに向かって左右方向)において、並んで配置されている。
水中吐水部18は、浴槽2の縦壁2bにおいて、横向き(例えば水平に近い横向き)に取付けられており、水中吐水部18から浴槽2の水中に浴槽2内の浴槽水を撹拌させる撹拌流を形成するような吐水を行うようになっている。例えば、水中吐水部18は、水中吐水部18から横向きに吐水するようになっている。水中吐水部18は、例えば、縦壁2bから浴槽2の長手方向に向かう向きの流れ方向成分により、浴槽2の長手方向に向かう流れを形成する。水中吐水部18は、例えば、水中吐水部18から浴槽2の水中に向けて斜め上方向き、斜め下方向き、左方向向き、右方向向き等に浴槽水を吐出してもよい。また、水中吐水部18は、例えば、浴槽水の吐出方向を変化させるように構成されていてもよい。水中吐水部18は、例えば、底部2aとほぼ平行に浴槽水を吐出する場合には、底部2aとほぼ平行な水流の流れを形成する。水中吐水部18は、浴槽2の縦壁2bの上下方向の中央近傍の高さ位置、すなわち、一般的な使用者の腰や背中に相当する高さ位置に配置されており、水中吐水部18から使用者に向かって吐水されたブロー吐水が使用者の腰や背中に衝突することにより、使用者の腰や背中を押圧し、マッサージの効果を奏することができる。水中吐水部18は、制御装置40が水中吐水部18が浴槽2の水面下にある状態と判断する場合にブロー吐水を行うことができるようになっており、水中において吐水を行う水中吐水部として構成されている。
また、水中吐水部18は、底部2aとほぼ平行な水流の流れを水中に形成するので、使用者が入浴していない状態で浴槽水を長手方向に攪拌する流れを形成できる。なお、水中吐水部18は、使用者が入浴している状態であっても、一定程度、浴槽水を長手方向に攪拌する流れを形成できる。よって、浴槽2内の浴槽水を水中から全体的に攪拌させ、水中に汚れの澱みを生じることを抑制できる。このように、水中吐水部18は、水面より下の水中において水を全体的に攪拌する水中攪拌機能部として機能する。
水面外吐水部22は、図2において矢印F2により示すように、ポンプ4から供給された浴槽水を浴槽2の上端近傍から浴槽2内に吐水する吐水部を構成している。水面外吐水部22は、浴槽2の上端部2c近傍に配置されている。水面外吐水部22は、水中吐水部18よりも上方に配置されている。水面外吐水部22は、縦壁2bの上下方向の中央部分よりも上方の位置、例えば上端部2c上に配置されている。水面外吐水部22は、浴槽2の溢れ面を形成する部分の上端部2cよりも上方に配置されている。水面外吐水部22は、浴槽2内に貯水される浴槽水の所定の水位の水面、例えば、通常の使用状態における予め設定された入浴用の給水水位WL0(図2参照)の水面、又は浴槽2の物理的な満水水位WL1の水面、よりも上方に位置する。従って、水面外吐水部22は、浴槽水を空中(大気中)に吐水するような空中吐水部を形成している。水面外吐水部22は、浴槽水を、浴槽2内の通常の給水水位WL0の水面より上方の位置から座って入浴している状態の使用者の肩付近の空間に向けて吐水するように、浴槽2の上端部2c近傍から浴槽2内に吐水する。また、水面外吐水部22は、使用者が浴槽2内に入浴していない状態においては、浴槽水を、給水水位WL0の水面より上方の位置から吐水し、水面から水中にもぐりこむような水流を形成させる。また、水面外吐水部22は、浴槽2の上端部2cの高さ位置から上方向に300mm以内且つ前記高さ位置から下方向に300mm以内の範囲内に配置されている。水面外吐水部22は、浴槽2の上端部2cに設けられたヘッドレストの高さ位置又はヘッドレストの高さ位置から上方向に300mm以内且つ下方向に300mm以内の範囲内に配置されていてもよい。
図1に示すように、水面外吐水部22は、横方向に比較的長い幅広の水面外吐水口24を形成している。水面外吐水部22は、浴槽2の中心から左右方向(高さ方向に対する横方向)に広がって形成されている水面外吐水口24から正面側(浴槽2内部側)に向かって滝のように浴槽水を吐水する。水面外吐水口24は、浴槽2の長手方向に向けて底部2aとほぼ平行な横向きに開口する。水面外吐水口24は、具体的には、水面外吐水部22の水面外吐水口24の上下方向(水面外吐水口24を正面から見た場合の上下方向)の高さに対し、水面外吐水口24の左右方向(水面外吐水口を正面から見た場合の左右方向)の長さが大きくなるように形成されている。水面外吐水口24の左右方向の長さは、およそ大人の平均的な肩幅の長さに形成されている。例えば、水面外吐水口24の左右方向の長さは、浴槽2の短辺2eの長さの2分の1、又は浴槽2の短辺2e(図1参照)の長さの3分の2等の長さに形成されていてもよい。また、例えば、水面外吐水口24の左右方向の長さは、300mm~500mmの範囲の長さに形成することができる。図2に示すように、水面外吐水口24から横向きに吐水された浴槽水は、ほぼ一定の幅及び厚みの安定した帯状(水膜状)の流水の流れとして空中に放物線を描いて下方に流下する。
水面外吐水部22は、水面外吐水口24に接続する吐水部内流路底面22aがほぼ平坦に形成されている。水面外吐水部22の奥側の第2流路14の横向き部分には、展開部15が形成されている。展開部15は、水平向きに延びる流路を下流側に向けて左右方向に広げるように形成されている。
浴槽2内に座っている使用者が縦壁2bに背中を当てて座っている姿勢をとる場合に、水面外吐水部22から吐水される浴槽水が、首、肩に当たるようになっている。水面外吐水部22から吐水される浴槽水が、肩から使用者の正面側(胸側)に広がるように流れる、及び/又は肩から使用者の背面側(背中側)に広がるように流れる。従って、浴槽水により首、肩のみならず、胸、腹、背中及び腰等も温めることができる。例えば、上述のように水面外吐水部22から吐水した浴槽水の一部が使用者の肩に向かって吐水されるような吐水状態を肩湯の吐水状態としている。
水面外吐水部22から吐水される浴槽水は、使用者が浴槽2内に入浴していない状態においては、水面外吐水部22から吐水された水流が水面外吐水口24から給水水位WL0の水面までの高さを落下して水中に飛び込むような流れを形成する。よって、水面外吐水部22から吐水される浴槽水は、水面に浮く汚れ等を水中に押し込むような下方向の攪拌の流れを形成する。このように、水面外吐水部22は、水面から水中に水を上下方向に攪拌する水面攪拌機能部として機能する。なお、使用者が浴槽2内に入浴している状態であっても、水面外吐水部22から吐水される浴槽水は、一定程度、水面に浮く汚れ等を水中に押し込むような下方向の攪拌の流れを形成することができる。
浴槽装置1は、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速よりも大きくなるように、水面外吐水部22と水中吐水部18とから同時に吐水されるように構成されている。このような関係を実現するため、後述するように第2流路14に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量が、第1流路12に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量よりも大きくされてもよく、及び/又は、水面外吐水部22又は水中吐水部18の吐水口の形状(吐水口断面積(吐水口開口面積)S1及び吐水口断面積(吐水口開口面積)S2)が決定されてもよい。このような関係を実現する場合には、例えば、第1流路12の流路抵抗は、第2流路14の流路抵抗よりも大きくなるように構成され、水面外吐水部22からの吐水流量Q1が水中吐水部18からの吐水流量Q2よりも大きくされている。図5に示すように、このような関係を実現する場合には、例えば、水面外吐水部22の少なくとも1つの水面外吐水口24における吐水流量Q1をこの吐水口断面積S1で割った値である水面外吐水部22からの吐水流速V1の値が、水中吐水部18の少なくとも1つの水中吐水口20における吐水流量Q2をこの吐水口断面積S2で割った値である水中吐水口20からの吐水流速V2よりも大きい。水面外吐水部22からの吐水流速V1は、例えば、1m/s~10m/sの範囲の流速とされている。水中吐水口20からの吐水流速V2は、例えば、吐水流速V1よりも小さい値に設定されている。吐水口断面積S1は、例えば、500mm2~2500mm2の範囲の断面積とされている。
制御装置40は、使用者の操作する操作部26と電気的に接続されている。また、制御装置40は、ポンプ4、分岐装置30等と、電気的に接続され、電気信号を相互に送受信することができ、上述の各部分を電気的に操作できるようになっている。制御装置40は、浴室内の壁面Wに取付けられている。制御装置40は、浴室外の壁面等に設けることもできる。制御装置40は、インターネットを介して浴室とは物理的に離れた位置に配置されていてもよく、又はインターネットを介したサーバー等の記憶装置上に所定のプログラムが配置されることにより形成されていてもよい。また、制御装置40の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。制御装置40は、CPU等の演算装置及びメモリ等の記憶装置を内蔵し又は使用し、所定の制御プログラム等に基づいて電気的に接続された機器の制御を行うことができる。例えば、制御装置40は、同時吐水モード、吐水流量変化モード、第1変形例の吐水流量変化モード、第2変形例の吐水流量変化モード、水中吐水モード、水面外吐水モードのうちの少なくとも1つを実行可能な制御プログラムを記憶装置に記憶している。
制御装置40は、水中吐水部18及び水面外吐水部22からの吐水を同時に行う同時吐水モードと、吐水流量を変化させる吐水流量変化モードと、第1変形例の吐水流量変化モードと、第2変形例の吐水流量変化モードと、水中吐水モードと、水面外吐水モードとを備えている。
操作部26は、使用者が希望する操作を行うことができる操作パネル等の操作部であり、浴室内の壁面Wに取付けられている。使用者が操作部26を操作した情報が電気信号により制御装置40に送られる。操作部26は、浴室外の壁面等に設けることもできる。
第1流路12は、水中吐水口20より上流側の流路中においてこの流路の断面を絞る絞り部28を備えている。絞り部28は、第1流路12の管径よりも縮径された流路により形成される。絞り部28により、第1流路12の流路抵抗が第2流路14の流路抵抗よりも大きくなり、第1流路12から水中吐水口20に至る浴槽水の流量が絞られる。よって、水中吐水口20を通過する浴槽水の流量が減少され、水中吐水口20から吐水される浴槽水の流速が低下される。
図1、図2及び図4に示すように、浴槽装置1は、さらに、ポンプ下流側流路10から第1流路12と第2流路14とを分岐させるように設けられる分岐装置30を備えている。分岐装置30は、分岐部分において第2流路14側に開口する開口面積が第1流路12側に開口する開口面積よりも大きくなるように第2流路14側に開口する開口面積及び/又は第1流路12側に開口する開口面積を調整する調整部材32と、調整部材32を制御する調整部材制御部34と、を備える
分岐装置30は、ポンプ下流側流路10と、第1流路12と第2流路14との分岐部分に設けられ、分岐する流路を形成している。調整部材32は、分岐装置30のうち第1流路12側に分岐する流路30a上に設けられる。調整部材32は、分岐部分近傍に限られず第1流路12上の他の位置に設けられてもよい。調整部材32は、板状の弁体を形成し、流路30aに対して流路30aの内方又は外方に相対的に移動できるように形成されている。調整部材32は、流路30aの内方に移動することにより第1流路12側に開口する開口面積を減少させ、流路30aの外方に移動することにより第1流路12側に開口する開口面積を増大させるように形成される。調整部材32は、第1流路12側に開口する開口面積と、第2流路14側に開口する開口面積との割合を調整するように形成されている。調整部材32は、流路の開度を変更可能な他の形式の弁体で形成されてもよい。なお、調整部材32は、第2流路14側に開口する開口面積及び/又は第1流路12側に開口する開口面積を調整できるような構造を有していれば、分岐装置30のうち第2流路14側の流路上に設けられてもよく、又は、流路の分岐部分(第1流路12側の流路30aと第2流路14側流路との間の部分)に設けられてもよい。このようにして、調整部材32により、分岐装置30において第2流路14側に開口する流路開口面積が第1流路12側に開口する流路開口面積よりも大きくでき、第2流路14に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量が、第1流路12に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量よりも大きくされる。すなわち、制御装置40は、調整部材32を制御して、水面外吐水口24から吐水流量Q1の吐水をさせ、水中吐水部18から吐水流量Q2の吐水をさせている。このようにして、浴槽装置1は、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速V1が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速V2よりも大きくなるように、水面外吐水部22と水中吐水部18とから同時に吐水されるように構成されている。
分岐装置30の調整部材32は、第1流路12及び第2流路14のうちの両方又はいずれか一方の流路を選択的に開閉できるように構成されていてもよい。従って、分岐装置30は、ポンプ下流側流路10から供給される浴槽水を、第1流路12及び第2流路14のうちの両方又はいずれか一方に選択的に供給できる。同時に第1流路12及び第2流路14を開放している場合には、調整部材32は、流量の分配割合を自由に変更できる。
調整部材制御部34は、調整部材32と電気的に接続されている。調整部材制御部34は、調整部材32を流路30aの内方又は外方に移動させるように制御できる。調整部材制御部34は、制御装置40と電気的に接続されている。よって、調整部材制御部34は、制御装置40の指令により制御され、調整部材32を電気的に開閉操作又は開度の制御をできるようになっている。調整部材制御部34は、制御装置40の機能部として設けられ、制御装置40により構成されてもよい。
次に、図2及び図3により、本実施形態による浴槽装置1による同時吐水モードを説明する。
浴槽装置1による水面外吐水部22からの吐水動作が開始される前において、浴槽水が例えば入浴用の給水水位WL0まで浴槽2内に給水され且つ貯水されている。
浴槽装置1による水面外吐水部22からの吐水動作を開始しようとするとき、使用者は、操作部26を操作して水中吐水部18及び水面外吐水部22からの吐水を同時に行う同時吐水モードを選択する。なお、使用者は、操作部26において水中吐水部18からのみの吐水を行う水中吐水モード又は水面外吐水部22からのみの吐水を行う水面外吐水モードも選択可能である。使用者が操作部26を操作して選択した情報が制御装置40に伝達される。制御装置40は、浴槽2内の水位が水中吐水部18以上の水位となっていると判断する場合には、ポンプ4を作動させる。
制御装置40が、ポンプ4を作動させると、ポンプ4は、矢印C1に示すように、浴槽2内の浴槽水を吸い込み口8から吸い込み流路6を介して吸引する。浴槽水が捕集部16を通過する際に、浴槽水中の汚れが捕集部16により捕集される。そして、ポンプ4は、矢印C2に示すように、吸引した浴槽水を下流側のポンプ下流側流路10に圧送する。制御装置40は、水中吐水部18及び水面外吐水部22からの吐水を同時に行う同時吐水モードを実行している場合、分岐装置30の調整部材制御部34を介して調整部材32を、分岐装置30における第2流路14側に開口する流路の開口面積が第1流路12側に開口する流路の開口面積よりも大きくなるように制御する。このとき、分岐装置30は、ポンプ下流側流路10から第2流路14への流路の連通を開状態とし、且つポンプ下流側流路10から第1流路12への連通を開状態としながら、流量の分配割合を変更する。よって、図4に示すように、分岐装置30から流出する浴槽水のうち、第2流路14に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量G2が、第1流路12に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量G1よりも大きくされる。
第1流路12に供給された浴槽水は、絞り部28を通過し、さらに浴槽水の流量が絞られる。絞り部28を通過した浴槽水の流量が減少されているので、水中吐水口20から吐水される浴槽水の流速V2(図6参照)が低下される。このとき、水中吐水口20から吐水される浴槽水の流速V2は、水中吐水口20における吐水流量Q2をこの吐水口断面積S2で割った値として算定できる。なお、水中吐水口20から吐水される浴槽水の流速V2は、このように理論的に算出される他に、流速を水中吐水口20において実際に測定してもよい。
水中吐水部18の水中吐水口20から吐水された浴槽水は、矢印F1(図2、図3参照)により示すように、水面下の水中において浴槽2内の浴槽水を撹拌させる撹拌流、例えば浴槽2の長手方向に向かう水流を形成する。水中吐水部18は、使用者が浴槽2内に座っている場合には、使用者の背中に当たる水流を形成できる。使用者が浴槽2内に座っていない場合には、矢印F3(図3参照)により示すように、この水流が水中吐水口20と反対側の縦壁2bに衝突して左右に回り込み、側方側から水中吐水口20側に再び戻るような流れを形成する。このような流れが浴槽内の浴槽水を水中から全体的に攪拌させ、水中に汚れの澱みを生じることを抑制できる。
第2流路14に供給された浴槽水は、水面外吐水部22から流速V1(図5参照)で吐水される。このとき、水面外吐水部22の水面外吐水口24から吐水される浴槽水の流速V1は、水面外吐水部22の水面外吐水口24における吐水流量Q1をこの吐水口断面積S1で割った値として算定できる。なお、水面外吐水口24から吐水される浴槽水の流速V1は、このように理論的に算出される他に、流速を水面外吐水部22の水面外吐水口24において実際に測定してもよい。
水面外吐水部22は、幅広の開口を形成しているので、浴槽水は、矢印F1により示すように吐水された後、矢印F4により示すように、水面外吐水部22から左右方向に広がっている帯状で空中に放物線を描くような吐水流を形成する。水面外吐水部22は、使用者が浴槽2内で縦壁2bに背をつけて座っている場合には、使用者の首、肩に当たる水流を形成でき、肩から使用者の正面側(胸側)に広がるような水流を形成できる。一方で、使用者が浴槽2内に座っていない場合には、矢印F5(図2参照)に示すように、空中で弧を描く吐水流は水面に飛び込む流れを形成する。水流は、水面外吐水口24から水面Jまでの落差分だけ、下方向向きに加速される。よって、矢印F6により示すように、水面外吐水部22から吐水される浴槽水は、水面Jに浮く汚れ等を水中に押し込むような下方向の攪拌の流れを形成する。この押し込みの流れは、水面外吐水口24の左右幅にわたって水面Jからスクリーン状に下方に向かう押し込み流を形成する。ここで、水面外吐水部22と水中吐水部18とから同時に吐水されるとき、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速V1が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速V2よりも大きくされている。よって、矢印F5及びF6に示すような、押し込みの流れの流速が比較的大きくなり、水面Jに浮く汚れ等を水中により強く押し込むことができる。
水面外吐水部22と水中吐水部18とから同時に吐水させることにより、水面外吐水部22からの吐水による水面から水中への押し込みの水流と、水中吐水口20から吐水される水中における撹拌流とが相俟って、水面に浮かぶ汚れを水中に押し込むと共に、汚れを水中で澱ませないように撹拌させ、汚れを水中の吸い込み口8から吸引して捕集部16で捕集する効率をさらに向上できる。
次に、図3乃至図7により、本実施形態による浴槽装置1による吐水流量変化モードを説明する。
図7は本発明の第1実施形態による浴槽装置の制御装置が吐水流量変化モードを実行している場合に、流量、流速、分岐装置における流路の開度の動作を示すタイムチャートである。図7において、流量、流速、分岐装置における流路の開度を縦軸に示し、時間を横軸に示している。図7における流量は例示であり、水面外吐水部22からの吐水流量Q1の例示として、吐水流量q1、吐水流量q3が示され、水中吐水部18からの吐水流量Q2の例示として、吐水流量q2、吐水流量0が示されている。
吐水流量変化モードは、水面外吐水部22と水中吐水部18とからの同時吐水が実行された上で、制御装置40により実行される。水面外吐水部22と水中吐水部18とからの同時吐水の実行は、同時吐水モードにより実行されてもよく、又は吐水流量変化モードにおいて実行されるようにしてもよい。水面外吐水部22と水中吐水部18とからの同時吐水の実行は、上述の同時吐水モードにおける動作と同様であるので説明を省略する。
制御装置40は、吐水流量変化モードを実行すると、時刻T0において、吸い込み口からの浴槽水の吸い込みの流量Q3が一定となるようにポンプ4を作動させている状態とさせる。また、時刻T0において、制御装置40は、調整部材32を制御して、水面外吐水口24から吐水流量q1の吐水をさせ、水中吐水部18から吐水流量q2の吐水をさせている。このとき、q3=q1+q2の関係が概ね成立している。このとき、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速V1が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速V2よりも大きくなっている。吐水流量変化モードの実行開始以後、制御装置40は、ポンプ4の回転数を一定に維持し、吸い込みの流量q3を一定に維持している。
時刻T1において、制御装置40は、吐水流量変化モードの実行開始後、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速V1が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速V2よりも大きくなっている状態から、水中吐水部18からの吐水流量q2を低下させる制御を行う。具体的には、制御装置40は、調整部材32を第1流路12内側に移動させて開度0の状態とさせて第1流路12を閉弁させ、第1流路12に供給される浴槽水の水量を0に低下させ、水中吐水部18からの吐水流量q2を0まで低下させる。なお、分岐装置30の第2流路14側は開状態のままとなっている。このとき、制御装置40は、吸い込みの流量q3を一定に維持しているので、水面外吐水口24から吐水流量q1が増大され、吐水流量q3となる。すなわち、制御装置40は、水面外吐水口24から吐水流量の割合を増加させ、水面外吐水口24からの吐水の流速V1をさらに増大させる。
時刻T1乃至T2において、制御装置40は、水面外吐水口24から吐水流量q3の吐水を継続する。このように、所定期間において水面外吐水部22からの吐水流量を増加させることにより、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速V1をさらに増加させ、水面外吐水部22からの吐水により水面に浮遊している汚れを水中に押し込む効果をより強めることができる。よって、水面外吐水口24から吐水流量q1の吐水がなされていた時点では水面から水中に押し込みにくかった汚れや、水面に浮かぶ比較的多くの汚れを水中に押し込むことが可能となる。また、汚れを水中に押し込む速度(除去の速度)を増加させると共に汚れを押し込む深さを深くさせることができ、汚れの除去効率をさらに向上させることができる。時刻T1乃至T2において、制御装置40は、水中吐水部18からの吐水流量q2を0まで低下させた状態、すなわち水中吐水部18からの吐水を一時的に停止している状態としている。このように、制御装置40の制御を受けて、分岐装置30の調整部材32は、吸い込み口8からの浴槽水の吸い込みの流量q3が一定である状態で、所定期間にわたり水中吐水部18からの吐水流量を低下させる制御を行っている。
所定期間は、例えば、時刻T1から時刻T2までの時間である。時刻T1から時刻T2までの時間は、例えば、数秒~数分程度の期間に設定されることにより、水中吐水部18によって当初引き起こされた撹拌流が比較的弱くなる前に、再度、間欠的に、時刻T2以後に水中吐水部18による水中の撹拌流を比較的強く生じさせ、水中に汚れの澱みが生じることを効率的に抑制できる。このような水中の撹拌流と、水面外吐水部22から吐水される比較的強い押し込み流とを合わせることにより、汚れを捕集部16でより効率よく捕集できる。
なお、所定期間は、制御装置40において定められた期間であれば所定期間が時刻T1以後吐水流量変化モードの実行終了まで継続していてもよい。すなわち、1回のみの水面外吐水部22からの吐水流量の増大で吐水流量変化モードが終了してもよい。この場合には、時刻T1以後、浴槽中には時刻T1以前に水中吐水部18によって引き起こされた撹拌流が比較的弱く継続しており、この流れと、水面外吐水部22から吐水される比較的強い押し込み流とを合わせることにより、汚れを捕集部16で捕集できる。
時刻T2において、制御装置40は、調整部材32を第1流路12を開弁させるように第1流路12の外方に移動させ、第1流路12に供給される浴槽水の水量を増加させ、水中吐水部18からの吐水流量を0から吐水流量q2まで増加させる。制御装置40は、吸い込みの流量q3を一定に維持しているので、水面外吐水口24からの吐水流量q3が低下され、吐水流量q1となる。よって、時刻T2以後、水面外吐水部22から吐水される吐水による押し込み流を形成しつつ、水中吐水部18による水中の撹拌流を比較的強く生じさせ、水中に汚れの澱みが生じることを効率的に抑制できる。また、時刻T2乃至時刻T3において、水面外吐水部22からの吐水により水面に浮遊している汚れを水中に押し込む効果も一定程度の効果で継続させる。
時刻T3において、制御装置40は、再び、調整部材32を第1流路12内に移動させて開度0の状態とさせて第1流路12を閉弁させ、第1流路12に供給される浴槽水の水量を0に低下させ、水中吐水部18からの吐水流量q2を0まで低下させる。なお、分岐装置30の第2流路14側は開状態のままとなっている。このとき、制御装置40は、吸い込みの流量q3を一定に維持しているので、水面外吐水口24からの吐水流量q1が吐水流量q3に増大される。よって、水面外吐水口24からの吐水の流速V1がさらに増大される。以後、時刻T3乃至T4において、制御装置40は、水面外吐水口24から吐水流量q3の吐水を継続する。
時刻T4において、制御装置40は、調整部材32を第1流路12を開弁させるように第1流路12の外方に移動させ、水中吐水部18からの吐水流量を0から吐水流量q2まで増加させる。よって、水面外吐水口24からの吐水流量q3が低下され、吐水流量q1となる。このように、制御装置40は、所定期間にわたり、調整部材32を第1流路12の開度0の状態とさせるように制御し、水中吐水部18からの吐水流量q2を0まで低下させ、水面外吐水口24からの吐水流量q1を吐水流量q3に増大させる。制御装置40は、吐水流量変化モードにおいて、このような調整部材32を所定機関にわたり第1流路12の開度0の状態とさせるような制御を少なくとも1回、より好ましくは複数回繰り返して実行する。制御装置40は、一定時間が経過すると吐水流量変化モードの実行を終了し、同時吐水モードに戻る。
次に、図3乃至図8により、本実施形態による浴槽装置1による第1変形例の吐水流量変化モードを説明する。第1変形例の吐水流量変化モードにおける動作は、上述の吐水流量変化モードにおける動作と共通する動作に関する説明については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
図8は本発明の第1実施形態による浴槽装置の制御装置が第1変形例の吐水流量変化モードを実行している場合に、流量、流速、分岐装置における流路の開度の動作を示すタイムチャートである。図8において、流量、流速、分岐装置における流路の開度を縦軸に示し、時間を横軸に示している。図8における流量は例示であり、水面外吐水部22からの吐水流量Q1の例示として、吐水流量q5、吐水流量q7が示され、水中吐水部18からの吐水流量Q2の例示として、吐水流量q4、吐水流量q6が示されている。
制御装置40は、第1変形例の吐水流量変化モードを実行すると、時刻T0において、吸い込み口からの浴槽水の吸い込みの流量q3が一定となるようにポンプ4を作動させている状態とさせる。時刻T0において、制御装置40は、調整部材32を制御して、水中吐水部18から吐水流量q4の吐水をさせている。このときの調整部材32の開度は、上述の吐水流量q2に対する調整部材32の開度よりも大きくなっており、吐水流量q4は吐水流量q2よりも大きくなっている。このとき、本実施形態において調整部材32は第2流路14側の開度を調整していないので、第2流路14側の開度は一定のままとなっている。水中吐水部18から吐水流量q4の吐水がされるので、水面外吐水口24から吐水流量q5の吐水がなされる。このとき、q3=q4+q5の関係が概ね成立している。このとき、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速V3が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速V4よりも大きくなっている。なお、吐水流量q5は、吐水流量q1よりも小さくなっている。このように、吐水流量の割合や流量は変更可能である。
時刻T1において、制御装置40は、吐水流量変化モードの実行開始後、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速V3が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速V4よりも大きくなっている状態から、水中吐水部18からの吐水流量q4を低下させる制御を行う。具体的には、制御装置40は、調整部材32を第1流路12内の3分の2程度の領域を閉じるように移動させて3分の1程度の開度の状態とさせて第1流路12を小開度状態とさせ、第1流路12に供給される浴槽水の水量を低下させ、水中吐水部18からの吐水流量q4を吐水流量q6まで低下させる。流速も吐水流量に応じて流速V4から流速V6に低下される。吐水流量q6は、例えば、吐水流量q4の3分の1程度の流量である。なお、分岐装置30の第2流路14側は開状態のままとなっている。このとき、制御装置40は、吸い込みの流量q3を一定に維持しているので、水面外吐水口24からの吐水流量が吐水流量q5から吐水流量q7に増大される。すなわち、制御装置40は、水面外吐水口24からの吐水流量の割合を増加させ、水面外吐水口24からの吐水の流速を流速V3から流速をさらに流速V5(図示せず)に増大させる。なお、このときも水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速V5が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速V6(図示せず)よりも大きくなっている。
時刻T1乃至T2において、制御装置40は、水面外吐水口24から吐水流量q7且つ流速V5の吐水を継続する。このように、所定期間において水面外吐水部22からの吐水流量を増加させることにより、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速を流速V3から流速V5に増加させ、水面外吐水部22からの吐水により水面に浮遊している汚れを水中に押し込む効果をより強めることができる。また、水中吐水部18からの吐水流量を低下させる制御を行う際に水中吐水部18からの吐水流量を0より大きい値に低下させる制御を行うことで、水面に浮遊している汚れを水中に押し込む効果をより強めつつも水中に汚れの澱みが生じることを抑えることができる。
時刻T2において、制御装置40は、調整部材32を第1流路12をほぼ全開状態まで開弁させるように第1流路12の外方に移動させ、第1流路12に供給される浴槽水の水量を増加させ、水中吐水部18からの吐水流量を吐水流量q6(流速V6)から吐水流量q4(流速V4)まで増加させる。制御装置40は、吸い込みの流量q3を一定に維持しているので、水面外吐水口24からの吐水流量q7(流速V5)が低下され、吐水流量q5(流速V3)となる。よって、時刻T2以後、水面外吐水部22から吐水された流速V5による比較的速い流速の押し込み流により押し込まれた汚れを、再び、水中吐水部18による比較的強い水中の撹拌流により、水中に汚れの澱みが生じることを効率的に抑制しながら、汚れを撹拌できる。
時刻T3において、制御装置40は、再び、調整部材32を第1流路12内の3分の2程度の領域を閉じるように移動させ、第1流路12を小開度状態とさせ、水中吐水部18からの吐水流量q4(流速V4)を吐水流量q6(流速V6)まで低下させる。このとき、制御装置40は、吸い込みの流量q3を一定に維持しているので、水面外吐水口24からの吐水流量q5(流速V3)が吐水流量q7(流速V5)に増大される。以後、同様の処理を繰り返す。制御装置40は、第1変形例の吐水流量変化モードにおいて、このような調整部材32を第1流路12内の開度を所定機関にわたり減少させた状態とさせるような制御を少なくとも1回、より好ましくは複数回繰り返して実行する。制御装置40は、一定時間が経過すると第1変形例の吐水流量変化モードの実行を終了し、同時吐水モードに戻る。
次に、図2及び図9により、本実施形態による浴槽装置1による第2変形例の吐水流量変化モードを説明する。第2変形例の吐水流量変化モードにおける動作は、上述の吐水流量変化モードにおける動作と共通する動作に関する説明については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
図9は本発明の第1実施形態による浴槽装置の制御装置が第2変形例の吐水流量変化モードを実行している場合に、流量、流速、分岐装置における流路の開度の動作を示すタイムチャートである。図9において、流量、流速、分岐装置における流路の開度を縦軸に示し、時間を横軸に示している。図9における流量は例示であり、水面外吐水部22からの吐水流量Q1の例示として、吐水流量q1、吐水流量q3が示され、水中吐水部18からの吐水流量Q2の例示として、吐水流量q2、吐水流量0が示されている。
制御装置40は、第2変形例の吐水流量変化モードを実行すると、時刻T10において、吸い込み口からの浴槽水の吸い込みの流量q3が一定となるようにポンプ4を作動させている状態とさせる。制御装置40は、第2変形例の吐水流量変化モードを実行開始後、調整部材32を第1流路12の開度0の状態とさせて第1流路12を閉弁させ、水中吐水部18からの吐水流量を0とさせる。なお、分岐装置30の第2流路14側は開状態のままとなっている。よって、制御装置40は、水面外吐水口24からの吐水流量を吐水流量q3(流速V3)とさせることになる。このように、第2変形例の吐水流量変化モードを実行中に、一時的に水面外吐水口24からの吐水のみが実行されることができる。
時刻T10乃至T11において、制御装置40は、水面外吐水口24から吐水流量q3(流速V3)の吐水を継続する。このように、所定期間において水面外吐水部22からの吐水流量を増加させることにより、水面外吐水部22から吐水される浴槽水流速を増加された流速V3とし、水面外吐水部22からの吐水により水面に浮遊している汚れを水中に押し込む効果をより強めることができる。よって、水面外吐水口24及び水中吐水部18からの同時吐水がなされていた時点では水面から水中に押し込みにくかった汚れや、水面に浮かぶ比較的多くの汚れを水中に押し込むことが可能となる。また、汚れを水中に押し込む速度(除去の速度)を増加させると共に汚れを押し込む深さを深くさせることができ、汚れの除去効率をさらに向上させることができる。時刻T10乃至T11において、制御装置40は、水中吐水部18からの吐水流量q2を0まで低下させた状態、すなわち水中吐水部18からの吐水を一時的に停止している状態としている。所定期間は、例えば、時刻T10から時刻T11までの時間である。時刻T10から時刻T11までの時間は、後述する時刻T11から時刻T12までの時間よりも長く設定できる。時刻T10から時刻T11までの時間は、時刻T1から時刻T2までの時間よりも長く設定されてもよい。例えば、時刻T10から時刻T11までの時間は、時刻T1から時刻T2までの時間の2倍以上に設定できる。時刻T10から時刻T11までの時間は、例えば、数秒~数十分程度の期間に設定される。
時刻T11において、制御装置40は、調整部材32を第1流路12を開弁させるように第1流路12の外方に移動させ、水中吐水部18からの吐水流量を0から吐水流量q2(流速V2)まで増加させる。制御装置40は、吸い込みの流量q3を一定に維持しているので、水面外吐水口24からの吐水流量q3は低下され、吐水流量q1(流速V1)となる。よって、時刻T2以後、水面外吐水部22から吐水される吐水による押し込み流を形成しつつ、水中吐水部18による水中の撹拌流を比較的強く生じさせ、水中に汚れの澱みが生じることを効率的に抑制できる。また、時刻T11乃至時刻T12において、水面外吐水部22からの吐水により水面に浮遊している汚れを水中に押し込む効果も一定程度の効果で継続させる。
時刻T12において、制御装置40は、再び、調整部材32を第1流路12内に移動させて開度0の状態とさせて第1流路12を閉弁させ、水中吐水部18からの吐水流量q2を0まで低下させる。なお、分岐装置30の第2流路14側は開状態のままとなっている。このとき、制御装置40は、吸い込みの流量q3を一定に維持しているので、水面外吐水口24からの吐水流量q1が吐水流量q3に増大される。よって、水面外吐水口24からの吐水の流速が流速V1から流速V3に増大される。以後、時刻T12以後において、制御装置40は、水面外吐水口24から吐水流量q3の吐水を継続する。制御装置40は、第2変形例の吐水流量変化モードにおいて、時刻T10から時刻T12までにおけるような所定機関における調整部材32の制御を少なくとも1回、より好ましくは複数回繰り返して実行する。制御装置40は、一定時間が経過すると第2変形例の吐水流量変化モードの実行を終了し、同時吐水モードに戻る。
次に、図7及び図10により、本実施形態による浴槽装置1による水面外吐水部22から吐水される浴槽水の浴槽2内の水面Jへの着水位置が、変化されることを説明する。
図10は図2の浴槽装置において、水面外吐水部から吐水される浴槽水の浴槽内の水面への着水位置が変化される様子を説明する図である。
上述のような吐水流量変化モードによれば、図7に示すように、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速が、時刻T0においては流速V1であり、時刻T1においては流速V1から流速V3に増加され、時刻T2においては流速V3から流速V1に低下され、時刻T3においては流速V1から流速V3に増加され、時刻T4においては流速V3から流速V1に低下されている。よって、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の浴槽2内の水面への着水位置が、変化される。例えば、水面外吐水部22から流速V1の吐水がなされている場合、吐水の着水位置は着水位置H1となり、水面外吐水部22から流速V3の吐水がなされている場合、吐水の着水位置は着水位置H2となる。本実施形態においては、時刻T1において、水面外吐水部22からの吐水の流速が流速V1から流速V3に増加されるに伴って、着水位置は着水位置H1から着水位置H2に水面外吐水部22から離れる方向(長手方向で水面外吐水部22から離れる方向)に移動する。よって、水面外吐水部22の吐水幅で着水位置H1から着水位置H2までの領域Iにわたって水面外吐水部22からの吐水が汚れを矢印F7に示すように水面J下に押し込むことができる。よって、水面外吐水部22からの吐水により水面に浮遊している汚れをより広範囲の領域において水中に押し込むことができる。
また、いったん、時刻T1においては流速V1から流速V3に増加された後、時刻T2においては流速V3から流速V1に低下される。このとき、時刻T2において、水面外吐水部22からの吐水の流速が流速V3から流速V1に減少されるに伴って、着水位置は着水位置H2から着水位置H1に水面外吐水部22に近づく方向(長手方向で水面外吐水部22に近づく方向)に移動する。よって、いったん着水位置が着水位置H2まで移動した後に、再び領域Iにわたって戻りながら、水面外吐水部22からの吐水が汚れを水面J下に押し込むことができる。よって、水面外吐水部22からの吐水により水面に浮遊している汚れをより広範囲の領域において水中に押し込むことができると共に、一旦着水位置が通過した位置に戻ってきた着水位置が位置し、汚れを、再度水中に押し込むことができ、より効率よく、水面に浮遊している汚れを水中に押し込むことができる。
さらに、時刻T3においては流速V1から流速V3に増加され、着水位置は、再度着水位置H1から着水位置H2に水面外吐水部22から遠ざかる方向に移動する。よって、着水位置を着水位置H1から着水位置H2に、着水位置H2から着水位置H1に周期的に往復するように移動させ、着水位置を揺動させることができ、領域Iにわたる面の領域で汚れを水中に押し込むことができる。このように、浴槽装置1は、吸い込み口8からの浴槽水の吸い込みの流量が一定である状態で、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の浴槽2内の水面への着水位置が、変化されるように構成されている。なお、浴槽装置1は、吸い込み口8からの浴槽水の吸い込みの流量が一定でない状態でも、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の浴槽2内の水面への着水位置が、変化されるように構成することも可能である。
このような着水位置の変動は、制御装置40により吐水流量変化モードを実行することにより実行可能であるが、着水位置の変動は、水面外吐水部22の水面外吐水口24の吐水の向きを変更することにより実行されてもよい。具体的には、水面外吐水部22の水面外吐水口24の向きを水平向きから下方向き又は上方向きに物理的に首を上下させるように変更させる変更機構を水面外吐水部22に設けてもよい。このような変更機構は制御装置40と電気的に接続され、制御装置40により水面外吐水口24の向きが変更され、着水位置が長手方向の前後方向で変更できる。また、変形例として、水面外吐水口24の向きを長手方向に向けた正面向きから右向き又は左向きに物理的に左右に首をふるように変更させる変更機構を水面外吐水部22に設けてもよい。このときの着水位置は左右方向に弧を描くように変動する。このような変更機構は制御装置40と電気的に接続され、制御装置40により水面外吐水口24の向きが変更され、着水位置が左右方向に変更できる。
上述した本発明の第1実施形態による浴槽装置1によれば、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速よりも大きくなるように、水面外吐水部22と水中吐水部18とから同時に吐水されるように構成されている。これにより、循環流量を増大させて汚れの捕集量を増大させるようにポンプ4を大型のものに変更したり、浴槽2の水中の汚れを捕集する装置と浴槽2の水面の汚れを捕集する装置とをそれぞれ設けたりすることなく、浴槽2の水中及び浴槽2の水面の汚れを捕集できる。
また、上述のような構成によれば浴槽2の且つ水中に引き込みにくい水面に浮かぶ汚れを水面外吐水部22から吐水される比較的高速の水流により、水中に押し込みやすくできる。さらに、浴槽2の水中の汚れを水中吐水部18から吐水される比較的低速の水流により攪拌し、水中に汚れの澱みを生じることを抑制できると共に、比較的低速の水流により攪拌することで、汚れを吸い込み口8から吸い込み流路6に吸い込む流れの形成を阻害しにくくできる。よって、水面に浮かぶ汚れを水中に押し込むことができると共に水中における汚れの澱みを抑制でき、さらに吸い込み流路6への効率的な吸い込みを実現でき、吸い込み流路6における捕集部16による浴槽水中及び浴槽2の水面の汚れの捕集の効率を高めることができる。
また、本発明の第1実施形態による浴槽装置1によれば、第1流路12の流路抵抗が第2流路14の流路抵抗よりも大きくなるように構成され、且つ、水面外吐水部22の少なくとも1つの水面外吐水口24における吐水流量Q1をこの吐水口断面積S1で割った値が、水中吐水部18の少なくとも1つの水中吐水口20における吐水流量Q2をこの吐水口断面積S2で割った値よりも大きい。これにより、水面外吐水部22の少なくとも1つの水面外吐水口24から吐水される浴槽水の流速が、水中吐水部18の少なくとも1つの水中吐水口20から吐水される浴槽水の流速よりも大きくなるように、水面外吐水部22と水中吐水部18とから同時に吐水させることができる。よって、水面に浮かぶ汚れを水中に押し込むことができると共に水中における汚れの澱みを抑制でき、さらに吸い込み流路6への効率的な吸い込みを実現でき、吸い込み流路6における捕集部16による浴槽水中の汚れの捕集の効率を高めることができる。また、水面外吐水口24及び水中吐水口20が1つずつある場合のみならず、水面外吐水口24及び/又は水中吐水口20が複数あるような場合にも、水面外吐水部22の少なくとも1つの水面外吐水口24から吐水される浴槽水の流速が、水中吐水部18の少なくとも1つの水中吐水口20から吐水される浴槽水の流速よりも大きくなるように、水面外吐水部22と水中吐水部18とから同時に吐水させることができる。よって、水面外吐水口24及び/又は水中吐水口20が複数あるような場合にも、比較的簡単に、水面に浮かぶ汚れを水中に押し込むことができると共に水中における汚れの澱みを抑制でき、さらに吸い込み流路6への効率的な吸い込みを実現でき、吸い込み流路6における捕集部16による浴槽水中の汚れの捕集の効率を高めることができる。
さらに、本発明の第1実施形態による浴槽装置1によれば、第1流路12は、水中吐水口20より上流側の流路中においてこの流路の断面を絞る絞り部28を備えている。これにより、第1流路12の絞り部28により、第1流路12から水中吐水口20に至る浴槽水の流量を絞ることができ、水中吐水口20から吐水される浴槽水の流速を低下できる。また、第1流路12が絞り部28を備えるという簡易な構成により、第1流路12の流路抵抗を第2流路14の流路抵抗よりも大きくさせ、第1流路12から水中吐水口20に至る浴槽水の流量を第2流路14から水面外吐水口24に至る浴槽水の流量よりも小さくさせ、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速よりも大きくなる関係を比較的簡易に実現できる。
さらに、本発明の第1実施形態による浴槽装置1によれば、分岐装置30は、調整部材32により、分岐部分において第2流路14側に開口する開口面積を第1流路12側に開口する開口面積よりも大きくできる。これにより、第2流路14から水面外吐水口24に至る浴槽水の流量を第1流路12から水中吐水口20に至る浴槽水の流量よりも大きくさせ、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速よりも大きくなる関係を比較的簡易に実現できる。また、分岐装置30が制御可能な調整部材32を備えることにより、上記関係を比較的簡易に実現しつつ、さらに他の装置を付する又は他の構成を改良することなく、例えば、水面外吐水部22からの吐水のみの吐水パターンや水中吐水部18からの吐水のみの吐水パターン等も実現できる。
さらに、本発明の第1実施形態による浴槽装置1によれば、流量制御部は、吸い込み口8からの浴槽水の吸い込みの流量が一定である状態で、所定期間にわたり水中吐水部18からの吐水流量を低下させる制御を行う。これにより、吸い込み口8からの浴槽水の吸い込みの流量が一定である状態で、所定期間にわたり水中吐水部18からの吐水流量を低下させ、この所定期間において水面外吐水部22からの吐水流量を増加させ、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速を増加させる。よって、水面外吐水部22からの吐水により水面に浮遊している汚れを水中に押し込む効果をより強めることができる。
さらに、本発明の第1実施形態による浴槽装置1によれば、分岐装置30の調整部材32は、吸い込み口8からの浴槽水の吸い込みの流量が一定である状態で、所定期間にわたり水中吐水部18からの吐水流量を低下させる制御を行う。これにより、吸い込み口8からの浴槽水の吸い込みの流量が一定である状態で、所定期間にわたり水中吐水部18からの吐水流量を低下させ、この所定期間において水面外吐水部22からの吐水流量を増加させ、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速を増加させる。よって、水面外吐水部22からの吐水により水面に浮遊している汚れを水中に押し込む効果をより強めることができる。
さらに、本発明の第1実施形態による浴槽装置1によれば、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の浴槽2内の水面への着水位置が、変化されるように構成されている。これにより、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の浴槽2内の水面への着水位置が、着水位置が変化しない場合の変化しない着水領域よりも広範囲の領域において変化できる。よって、水面外吐水部22からの吐水により水面に浮遊している汚れをより広範囲の領域において水中に押し込むことができる。
さらに、本発明の第1実施形態による浴槽装置1によれば、水中吐水部18が第1領域A1に設けられる場合には、吸い込み口8は第2領域A2に設けられ、水中吐水部18が第2領域A2に設けられる場合には、吸い込み口8は第1領域A1に設けられる。これにより、水中吐水部18と、吸い込み口8とは、浴槽2を長手方向に二等分したうちの第1領域A1と、この第1領域A1と反対側の第2領域A2とに離れて配置される。よって、水中吐水部18からの吐水による水流が、吸い込み口8からの浴槽水の吸い込みを阻害しにくくできる。
次に、図11~図14により、本発明の第2実施形態による浴槽装置を説明する。第2実施形態は、本発明による浴槽装置にジェットポンプユニットを適用した例である。第2実施形態による浴槽装置101は、上述した第1実施形態による浴槽装置1と構造がほぼ同じであるため、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。
図11に示すように、本発明の第2実施形態による浴槽装置101は、浴槽水を貯留する浴槽2に設けられる浴槽装置101である。浴槽装置101の浴槽2は、その外側にケーシング21(図1参照)が取付けられている。
第2流路114は、第1流路12との分岐部分から水面外吐水部22まで延びている。第2流路114は、円管状の配管により形成される。第2流路114は、第1流路12との分岐部分から後述する噴射部146までの噴射部側流路148と、後述するジェットポンプ水貯留部142の下流側に延びる浴槽水導入路150とを備えている。
浴槽装置101は、さらに、第2流路114上に設けられるジェットポンプユニット140を備えている。ジェットポンプユニット140は、ジェットポンプ作用により引き込まれる浴槽水が貯留されているジェットポンプ水貯留部142と、浴槽2とジェットポンプ水貯留部142とを接続し、浴槽水をジェットポンプ水貯留部142に導入可能な流路を形成するジェットポンプ用流路144と、ジェットポンプ水貯留部142より上流側における第2流路114の通水路断面積よりも小さな開口面積D1を有し、供給された浴槽水を加速させてジェットポンプ水貯留部142内に噴射する噴射部146とを備えている。ジェットポンプユニット140の各機器は、縦壁2bの裏側(縦壁2bと壁面Wとの間)に配置されている。
ジェットポンプ水貯留部142は、第2流路114の噴射部側流路148と、浴槽水導入路150との間に設けられている。ジェットポンプ水貯留部142は、浴槽2の縦壁2bの裏側の近傍領域に配置され、縦壁2bと壁面Wとの間の比較的狭い領域内に配置されている。ジェットポンプ水貯留部142は、箱型の貯水室を形成し、噴射部146の開口面積D1よりも大きい幅の貯水空間を形成すると共に浴槽水導入路150の開口面積よりも大きい幅の貯水空間を形成している。ジェットポンプ水貯留部142は、浴槽2と連通され、ジェットポンプ水貯留部142には、ジェットポンプ用流路144を介して浴槽2の浴槽水が流入するようになっている。
ジェットポンプ水貯留部142は、浴槽2において予め定められた水面Jよりも下方側の位置、より好ましくは、浴槽2の上端部2cから底部2aまでの中間の高さ位置よりも低い位置に配置されている。従って、浴槽2内に浴槽水が貯水される場合に、浴槽水がジェットポンプ水貯留部142内にも流入して貯水されるようになっている。水面外吐水部22から浴槽水が吐水されていない状態において、浴槽水は、ジェットポンプ水貯留部142と、浴槽2内の貯水領域を行き来できるようになっている。よって、ジェットポンプ水貯留部142と、浴槽2内の入浴する領域の浴槽水の温度はほぼ同様の浴槽水の温度となっている。なお、ジェットポンプ水貯留部142は、水面Jよりも上方側の位置に設けられていてもよい。
なお、ジェットポンプ水貯留部142は、浴槽2とは別の給水源又は給水装置等に連通され且つこの給水源等から給水される浴槽水が流入して浴槽水の貯留室を形成していてもよい。すなわち、ジェットポンプ水貯留部142に浴槽2から浴槽水を供給せず又は供給しながら、外部の別の給水源等から浴槽水をジェットポンプユニット140に供給するようにしてもよい。
ジェットポンプ用流路144は、浴槽2と連通され且つ浴槽2の浴槽水が流入するようになっている。ジェットポンプ用流路144は、浴槽2に形成されるジェットポンプ用吸い込み口152から、浴槽2の側方に沿って延び、縦壁2bの裏側領域を上昇して、ジェットポンプ水貯留部142の底面142aに接続されている。このように、ジェットポンプ用流路144は、ジェットポンプ水貯留部142と浴槽2との間の連通流路を形成している。ジェットポンプ用流路144が設けられているので、ジェットポンプ水貯留部142に浴槽水を供給するための専用の給水源等を別途設けることなく、浴槽2の浴槽水をジェットポンプ水貯留部142に導入することができ、浴槽装置101の全体の構造を簡素化して形成できる。また、ジェットポンプ水貯留部142に浴槽水を浴槽2の外部から供給するための専用の給水源等を別途設けていないので、外部から追加の給水を受けることにより、浴槽2内の水位、すなわち水量が増えることを抑制できる。ジェットポンプ用吸い込み口152は、吸い込み口8と同じ高さに配置され、吸い込み口8と平行な向きに開口されている。ジェットポンプ用吸い込み口152は、浴槽の長辺を2等分する中心線Bに対して反対側の第1領域A1内に設けられる。ジェットポンプ用流路144は、ジェットポンプ水貯留部142までの距離がなるべく短くなるように縦壁2bから奥側に真っ直ぐ延びるように設けられていてもよい。
噴射部146は、ジェットポンプ水貯留部142の底面142aを貫通して、ジェットポンプ水貯留部142の内部に突出するように設けられている。噴射部146は、開口を上方に向けて配置され、浴槽水導入路150に向けて指向されている。噴射部146は、ジェットノズルとして機能し、浴槽水をジェットポンプ水貯留部142を通り且つ浴槽水導入路150に向けて噴射してジェットポンプ作用を誘発させる。噴射部146は、噴射部146の開口面積D1(噴射部146の流路の内径)を、噴射部146の上流側の噴射部側流路148の内径よりも絞るように形成されている。従って、ポンプ4により圧送された浴槽水は、噴射部146内でさらに加速され、噴射部146から高速の浴槽水の流れとして噴出されるようになっている。噴射部146は、ジェットポンプ水貯留部142及び浴槽水導入路150の内方に向けて直線的な指向性を有する高速の噴流を噴射することができるようになっている。噴射部146の出口開口から噴射された高速の噴流は、ジェットポンプ水貯留部142内の浴槽水を引き込むことによりその流量が徐々に増大され且つ流速が徐々に減少する。
噴射部146は、浴槽水を流路径の絞られた開口から噴射してジェットポンプ水貯留部142を通して浴槽水導入路150に流入させるため、所定の大きさの圧力損失を生じている。この圧力損失の大きさは、浴槽水を水中吐水部18から吐水させる際の圧力損失の大きさと比較的近い大きさとすることができ、ジェットポンプユニット140を通る流路の抵抗と、水中吐水部18に至る流路の抵抗とを比較的近づけることにより、浴槽水を共通のポンプ4から両方の流路に同時に流すようにしながら流量及び流速を調整することが可能となっている。
浴槽水導入路150は、噴射部146と対向するジェットポンプ水貯留部142の上面142bにおける開口から上方に延びている。浴槽水導入路150は、噴射部146の開口の向きの延長線上において直線的に延びる流路を形成している。より具体的には、浴槽水導入路150は、ジェットポンプ水貯留部142の上面142bから上方に直線的に延びる円管状の流路を形成している。
第2流路114は、ジェットポンプ水貯留部142の下流側に延びる浴槽水導入路150の開口面積D2が噴射部146の開口面積D1よりも大きくなるように形成されている。よって、浴槽水導入路150は、噴射部146から噴射される浴槽水の流量よりも多くの流量の浴槽水を導入できるような大きさに形成されている。噴射部146、ジェットポンプ水貯留部142及び浴槽水導入路150は、一つの方向に延びる直線的な流路を形成し、噴射部146から噴射される高速の噴流の向きに沿った高速の流れを形成することができる。第2流路14の浴槽水導入路150は、鉛直方向の上端において横向きの展開部15に接続される。浴槽水導入路150により供給される浴槽水が、展開部15において左右方向に広がり、水面外吐水口24から左右方向に比較的均一に吐水される。
捕集部16は、吸い込み流路6及びジェットポンプ用流路144上に設けられている。捕集部16は、吸い込み流路6又はジェットポンプ用流路144のいずれかに設けられるように配置されてもよい。
上述のようにジェットポンプユニット140を第2流路114上に設けた場合においても、縦壁2bに背中を当てて座っている使用者に対し、水面外吐水部22からの吐水を、首、肩に当てることができる。水面外吐水部22から吐水される浴槽水が、肩から使用者の正面側(胸側)に広がるように流れる、及び/又は肩から使用者の背面側(背中側)に広がるように流れる。従って、浴槽水により首、肩のみならず、胸、腹、背中及び腰等も温めることができる。例えば、上述のように水面外吐水部22から吐水した浴槽水の一部が使用者の肩に向かって吐水されるような吐水状態を肩湯の吐水状態としている。
また、水面外吐水部22から吐水される浴槽水は、使用者が浴槽2内に入浴していない状態においては、水面外吐水部22から吐水された水流が水面外吐水口24から給水水位WL0の水面までの高さを落下して水中に飛び込むような流れを形成する。よって、水面外吐水部22から吐水される浴槽水は、水面に浮く汚れ等を水中に押し込むような下方向の攪拌の流れを形成する。このように、水面外吐水部22は、水面から水中に水を上下方向に攪拌する水面攪拌機能部として機能する。なお、使用者が浴槽2内に入浴している状態であっても、水面外吐水部22から吐水される浴槽水は、一定程度、水面に浮く汚れ等を水中に押し込むような下方向の攪拌の流れを形成することができる。
浴槽装置101は、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速よりも大きくなるように、水面外吐水部22と水中吐水部18とから同時に吐水されるように構成されている。このような関係を実現するため、ジェットポンプユニット140を利用して、水面外吐水部22に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量が、水中吐水部18に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量よりも大きくされている。また、ジェットポンプユニット140のみならず、水面外吐水部22及び/又は水中吐水部18の吐水口の形状(吐水口断面積S1及び/又は吐水口断面積S2)によりこのような関係が実現されてもよい。このような関係が実現される場合には、図5に示すように、例えば、水面外吐水部22の少なくとも1つの水面外吐水口24における吐水流量Q1をこの吐水口断面積S1で割った値である水面外吐水部22からの吐水流速V1の値が、水中吐水部18の少なくとも1つの水中吐水口20における吐水流量Q2をこの吐水口断面積S2で割った値である水中吐水口20からの吐水流速V2よりも大きくなる。
制御装置40は、使用者の操作する操作部26と接続されている。また、制御装置40は、ポンプ4、分岐装置30等と、電気的に接続され、電気信号を相互に送受信することができ、上述の各部分を電気的に操作できるようになっている。制御装置40は、浴室内の壁面Wに取付けられている。制御装置40は、浴室外の壁面等に設けることもできる。制御装置40は、インターネットを介して浴室とは物理的に離れた位置に配置されていてもよく、又はインターネットを介したサーバー等の記憶装置上に所定のプログラムが配置されることにより形成されていてもよい。制御装置40の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。制御装置40は、CPU等の演算装置及びメモリ等の記憶装置を内蔵し又は使用し、所定の制御プログラム等に基づいて電気的に接続された機器の制御を行うことができる。例えば、制御装置40は、ジェットポンプユニット140が設けられていることを考慮した上で、同時吐水モード、吐水流量変化モード、第1変形例の吐水流量変化モード、第2変形例の吐水流量変化モード、水中吐水モード、水面外吐水モードのうちの少なくとも1つを実行可能な制御プログラムを記憶装置に記憶している。
浴槽装置101は、さらに、ポンプ下流側流路10から第1流路12と第2流路114とを分岐させるように設けられる分岐装置30を備えている。分岐装置30は、分岐部分において第2流路114側に開口する開口面積が第1流路12側に開口する開口面積よりも大きくなるように第2流路114側に開口する開口面積及び/又は第1流路12側に開口する開口面積を調整する調整部材32と、調整部材32を制御する調整部材制御部34と、を備える。
第2実施形態における分岐装置30は、第1実施形態における分岐装置30と同様の構造を有しているので説明を省略する。
分岐装置30の調整部材32により、分岐部分において第2流路114側に開口する開口面積が第1流路12側に開口する開口面積よりも大きくでき、第2流路114に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量が、第1流路12に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量よりも大きくできる。なお、ジェットポンプユニット140が第2流路114上に設けられているので、ジェットポンプユニット140により、第2流路114を通過する浴槽水の流量が増大される。従って、分岐装置30の調整部材32は、必ずしも第2流路114側に開口する開口面積が第1流路12側に開口する開口面積よりも大きくなるように制御されなくてもよい。例えば、調整部材32は、第2流路14側に開口する開口面積が第1流路12側に開口する開口面積と同じ大きさになるように制御されてもよく、或いは、調整部材32は、第2流路14側に開口する開口面積が第1流路12側に開口する開口面積より小さくなるように制御されてもよい。仮に、第2流路114に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量が、第1流路12に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量よりも小さいか又は同じであったとしても、ジェットポンプユニット140により第2流路114を通過する浴槽水の流量が増大され、水面外吐水部22に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量が、水中吐水部18に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量よりも大きくできる。このように、ジェットポンプユニット140を利用する場合にも、制御装置40は、調整部材32を制御して、水面外吐水口24から吐水流量Q1の吐水をさせ、水中吐水部18から吐水流量Q2の吐水をさせることができる。よって、浴槽装置101は、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速V1が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速V2よりも大きくなるように、水面外吐水部22と水中吐水部18とから同時に吐水されるように構成されている。
なお、分岐装置30を配置せずに省略し、ジェットポンプユニット140により第2流路114を通過する浴槽水の流量が増大され、水面外吐水部22に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量が、水中吐水部18に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量よりも大きくされてもよい。この場合にも、水面外吐水口24から吐水流量Q1の吐水をさせ、水中吐水部18から吐水流量Q2の吐水をさせることができる。よって、分岐装置30は、省略されてもよい。
次に、図11により、本実施形態による浴槽装置101による同時吐水モードを説明する。
第2実施形態における同時吐水モードにおける動作は、第1実施形態における同時吐水モードにおける動作と概ね共通するため、共通する動作に関する説明については説明を省略し、異なる動作について説明する。
浴槽装置101による水面外吐水部22からの吐水動作を開始しようとするとき、使用者は、操作部26を操作して水中吐水部18及び水面外吐水部22からの吐水を同時に行う同時吐水モードを選択する。
制御装置40が、ポンプ4を作動させると、ポンプ4は、矢印C11に示すように、浴槽2内の浴槽水を吸い込み口8から吸い込み流路6を介して吸引する。浴槽水が捕集部16を通過する際に、浴槽水中の汚れが捕集部16により捕集される。そして、ポンプ4は、矢印C12に示すように、吸引した浴槽水を下流側のポンプ下流側流路10に圧送する。制御装置40は、水中吐水部18及び水面外吐水部22からの吐水を同時に行う同時吐水モードを実行している場合、分岐装置30の調整部材制御部34を介して調整部材32を、第2流路114側に開口する開口面積が第1流路12側に開口する開口面積よりも大きくなるように制御する。このとき、分岐装置30は、ポンプ下流側流路10から第2流路114への流路の連通を開状態とし、且つポンプ下流側流路10から第1流路12への連通を開状態としながら、流量の分配割合を変更する。よって、図4に示すように、分岐装置30から流出する浴槽水のうち、第2流路114に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量G2が、第1流路12に供給される浴槽水の単位時間あたりの流量G1よりも大きくされる。
第1流路12に供給される浴槽水の流れについては、第1実施形態と同様であるので以後説明を省略する。
第2流路114の噴射部側流路148に供給された浴槽水は、矢印C13に示すように、噴射部146からジェットポンプ水貯留部142を通って浴槽水導入路150の内方に向けて噴射される。噴射部146から高速で噴射された浴槽水は、噴流(ジェット流)を形成し、噴射部146の開口の向きに高速且つ強力な推進力を有する流れを形成する。このとき、この噴射された浴槽水の流れが、ジェットポンプ作用、すなわちエジェクタ効果により、周囲の浴槽水を引き込む作用を生じる。本実施形態においては、矢印C13に示すような直線的な噴流に対し、ジェットポンプ水貯留部142内の浴槽水が、矢印C14に示すように、引き込まれる。このとき、噴射部146から噴射された浴槽水の流量x1に、浴槽連通部42内から引き込まれる浴槽水の流量x2が加算され、より大流量の浴槽水導入路150内の浴槽水の流量x3となる。このような流量の関係はx1+x2=x3の式により示すことができる。このとき、ジェットポンプ水貯留部142内から引き込まれる浴槽水の流量x2は、噴射部146から噴射された浴槽水の流量x1よりも多い流量に設定されている。浴槽水導入路150内の浴槽水の流量x3は、例えば、噴射部146から噴射された浴槽水の流量x1の2倍~4倍の流量の範囲に設定されている。このように、ジェットポンプユニット140は、ジェットポンプ作用を用いて、噴射部146の下流側のジェットポンプ水貯留部142内の浴槽水を巻き込んで吐水流量を増幅させる技術を実現することができる。
噴射部146から噴射された浴槽水が、ジェットポンプ水貯留部142において、浴槽2内から流入する浴槽水を引き込むことから、噴射部146から噴射される浴槽水に低温の浴槽水(前回使用時のポンプ4等における残水等)が混じっている場合においても、ジェットポンプ水貯留部142内の浴槽水を引き込みながら水面外吐水部22に供給されるので、浴槽2内の浴槽水の温度に比較的近い温度の浴槽水を水面外吐水部22から吐水させることができる。従って、使用者に冷たさを感じさせることをより確実に抑制することができ、ポンプ4の使用開始直後から水面外吐水部22からの吐水を使用することができ、浴槽装置1の始動性を向上させることができる。
上述のように、噴射部146から噴射された浴槽水は、ジェットポンプ水貯留部142において浴槽水を引き込み、浴槽水導入路150に流入する。浴槽水導入路150内の浴槽水は、噴射部146から噴射された浴槽水の水勢及び流速を維持しながら上向きに流れ、展開部15に到達する。浴槽水の流れは、展開部15において左右方向に広げられた流れとなり、水面外吐水部22に到達する。矢印F2(図2等参照)に示すように、浴槽水は、左右方向に長く形成されている水面外吐水口24から正面側(浴槽内部側)に向かって滝のように吐水される。このように、浴槽水は、肩幅程度の幅を持った帯状の流れとして吐水され、使用者の首及び肩に比較的均一に掛かる。水面外吐水部22から吐水される浴槽水は、ほぼ一定の幅及び厚みの安定した流水の流れを形成している。水面外吐水部22から吐水される浴槽水は、使用者の首、肩、胸及び背中などの広範囲にわたって比較的均等に広がるように流れることができ、例えば半身浴の状態の使用者の体が冷えないように温めることができる。水面外吐水部22に供給された浴槽水は、水面外吐水部22から流速V1で吐水される。水面外吐水部22からの吐水及び吐水された浴槽水による流れ等については、第1実施形態と同様であるので以後説明を省略する。
次に、図11及び図12により、第2実施形態による浴槽装置101による吐水流量変化モードを説明する。第2実施形態における吐水流量変化モードにおける動作は、第1実施形態における吐水流量変化モードにおける動作と概ね共通するため、共通する動作に関する説明については説明を省略し、異なる動作について説明する。
図12は、本発明の第2実施形態による浴槽装置の制御装置が吐水流量変化モードを実行している場合に、流量、流速、分岐装置における流路の開度の動作を示すタイムチャートである。図12において、流量、流速、分岐装置における流路の開度を縦軸に示し、時間を横軸に示している。図12における流量は例示であり、水面外吐水部22からの吐水流量Q1の例示として、吐水流量q11、吐水流量q15が示され、水中吐水部18からの吐水流量Q2の例示として、吐水流量q12、吐水流量0が示されている。
吐水流量変化モードは、水面外吐水部22と水中吐水部18とからの同時吐水が実行された上で、制御装置40により実行される。水面外吐水部22と水中吐水部18とからの同時吐水の実行は、同時吐水モードにより実行されてもよく、又は吐水流量変化モードにおいて実行されるようにしてもよい。水面外吐水部22と水中吐水部18とからの同時吐水の実行は、上述の同時吐水モードにおける動作と同様であるので説明を省略する。
制御装置40は、吐水流量変化モードを実行すると、時刻T0において、吸い込み口からの浴槽水の吸い込みの流量q13が一定となるようにポンプ4を作動させている状態とさせる。また、時刻T0において、制御装置40は、調整部材32を制御して、水面外吐水口24から吐水流量q11の吐水をさせ、水中吐水部18から吐水流量q12の吐水をさせている。このとき、浴槽装置101にはジェットポンプユニット140が設けられ、ジェットポンプ用流路144からさらに流量q14が供給されるので、水面外吐水口24からの吐水流量が増大されている。よって、q13+q14=q11+q12の関係が概ね成立している。このとき、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の吐水流量q11が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の吐水流量q12よりも大きくなっている。さらに、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速V11が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速V12よりも大きくなっている。吐水流量変化モードの実行開始以後、制御装置40は、ポンプ4の回転数を一定に維持し、吸い込みの流量q13を一定に維持している。制御装置40は、ジェットポンプ用流路144から流量q14が供給されることを考慮して、水面外吐水口24から吐水される吐水流量q11、及び水中吐水部18から吐水される吐水流量q12を所定の流量に設定している。流量q14は、噴射部146から噴射される浴槽水の流量に応じて決定される。
時刻T1において、制御装置40は、吐水流量変化モードの実行開始後、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速V11が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速V12よりも大きくなっている状態から、水中吐水部18からの吐水流量q12を低下させる制御を行う。具体的には、制御装置40は、調整部材32を第1流路12内に移動させて第1流路12側を開度0の状態とさせて第1流路12を閉弁させ、第1流路12に供給される浴槽水の水量を0に低下させ、水中吐水部18からの吐水流量q12を0まで低下させる。なお、分岐装置30の第2流路114側は開状態のままとなっている。このとき、制御装置40は、吸い込みの流量q13を一定に維持しているので、水面外吐水口24から吐水流量q11が、吐水流量q15(q15=q13+q14+α)に増大される。吐水流量q11が増大されるので、ジェットポンプ用流路144から供給される流量q14がさらに流量q14+αに増大される。すなわち、制御装置40は、水面外吐水口24からの吐水流量の割合を増加させるとともに、水面外吐水口24からの吐水の流速V1を、流速V14にさらに増大させる。
時刻T1乃至T2において、制御装置40は、水面外吐水口24から吐水流量q15の吐水流量の吐水を継続する。このように、所定期間において水面外吐水部22からの吐水流量を増加させることにより、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速V11をさらに増加させた流速V14とし、水面外吐水部22からの吐水により水面に浮遊している汚れを水中に押し込む効果をより強めることができる。よって、水面外吐水口24から吐水流量q11の吐水がなされていた時点では水面から水中に押し込みにくかった汚れや、水面に浮かぶ比較的多くの汚れを水中に押し込むことが可能となる。また、汚れを水中に押し込む速度(除去の速度)を増加させると共に汚れを押し込む深さを深くさせることができ、汚れの除去効率をさらに向上させることができる。時刻T1乃至T2において、制御装置40は、水中吐水部18からの吐水流量q12を0まで低下させた状態、すなわち水中吐水部18からの吐水を一時的に停止している状態としている。所定期間は、例えば、時刻T1から時刻T2までの時間である。時刻T1から時刻T2までの時間は、例えば、数秒~数分程度の期間に設定されることにより、水中吐水部18によって当初引き起こされた撹拌流が比較的弱くなる前に、再度、間欠的に時刻T2以後に水中吐水部18による水中の撹拌流を比較的強く生じさせ、水中に汚れの澱みが生じることを効率的に抑制できる。このような水中の撹拌流と、水面外吐水部22から吐水される比較的強い押し込み流とを合わせることにより、汚れを捕集部16でより効率よく捕集できる。
なお、所定期間は、制御装置40において定められた期間であれば所定期間が時刻T1以後吐水流量変化モードの実行終了まで継続していてもよい。すなわち、1回のみの水面外吐水部22からの吐水流量の増大で吐水流量変化モードが終了してもよい。この場合には、時刻T1以後、浴槽中には時刻T1以前に水中吐水部18によって引き起こされた撹拌流が比較的弱く継続しており、この流れと、水面外吐水部22から吐水される比較的強い押し込み流とを合わせることにより、汚れを捕集部16で捕集できる。
時刻T2において、制御装置40は、調整部材32を第1流路12を開弁させるように第1流路12の外方に移動させ、第1流路12に供給される浴槽水の水量を増加させ、水中吐水部18からの吐水流量を0から吐水流量q12まで増加させる。制御装置40は、吸い込みの流量q13を一定に維持しているので、水面外吐水口24からの吐水流量q15が低下され、吐水流量q11となる。よって、時刻T2以後、水面外吐水部22から吐水される吐水による押し込み流を形成しつつ、水中吐水部18による水中の撹拌流を比較的強く生じさせ、水中に汚れの澱みが生じることを効率的に抑制できる。また、時刻T2乃至時刻T3において、水面外吐水部22からの吐水により水面に浮遊している汚れを水中に押し込む効果も一定程度の効果で継続させる。
時刻T3において、制御装置40は、再び、調整部材32を第1流路12内に移動させて第1流路12側を開度0の状態とさせて第1流路12を閉弁させ、第1流路12に供給される浴槽水の水量を0に低下させ、水中吐水部18からの吐水流量q12を0まで低下させる。なお、分岐装置30の第2流路14側は開状態のままとなっている。このとき、制御装置40は、吸い込みの流量q13を一定に維持しているので、水面外吐水口24からの吐水流量q11が吐水流量q15に増大される。よって、水面外吐水口24からの吐水の流速V11がさらに増大され、流速V14とされる。以後、時刻T3乃至T4において、制御装置40は、水面外吐水口24から吐水流量q13の吐水を継続する。
時刻T4において、制御装置40は、調整部材32を第1流路12を開弁させるように第1流路12の外方に移動させ、水中吐水部18からの吐水流量を0から吐水流量q12まで増加させる。よって、水面外吐水口24からの吐水流量q15が低下され、吐水流量q11となる。
このように、制御装置40は、所定期間にわたり、調整部材32を第1流路12の開度0の状態とさせるように制御し、水中吐水部18からの吐水流量q12を0まで低下させ、水面外吐水口24からの吐水流量q11を吐水流量q15に増大させている。制御装置40は、吐水流量変化モードにおいて、このような調整部材32を所定機関にわたり第1流路12の開度0の状態とさせるような制御を少なくとも1回、より好ましくは複数回繰り返して実行する。制御装置40は、一定時間が経過すると吐水流量変化モードの実行を終了し、同時吐水モードに戻る。
次に、図11及び図13により、第2実施形態による浴槽装置101による第1変形例の吐水流量変化モードを説明する。第1変形例の吐水流量変化モードにおける動作は、上述の吐水流量変化モードにおける動作と共通する動作に関する説明については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
図13は本発明の第2実施形態による浴槽装置の制御装置が第1変形例の吐水流量変化モードを実行している場合に、流量、流速、分岐装置における流路の開度の動作を示すタイムチャートである。図13において、流量、流速、分岐装置における流路の開度を縦軸に示し、時間を横軸に示している。図13における流量は例示であり、水面外吐水部22からの吐水流量Q1の例示として、吐水流量q17、吐水流量q19が示され、水中吐水部18からの吐水流量Q2の例示として、吐水流量q16、吐水流量q20が示されている。
制御装置40は、第1変形例の吐水流量変化モードを実行すると、時刻T0において、吸い込み口からの浴槽水の吸い込みの流量q13が一定となるようにポンプ4を作動させている状態とさせる。時刻T0において、制御装置40は、調整部材32を制御して、水中吐水部18から吐水流量q16の吐水をさせている。このときの調整部材32の開度は、上述の吐水流量q12に対する調整部材32の開度よりも大きくなっており、吐水流量q16は吐水流量q12よりも大きくなっている。このとき、本実施形態において調整部材32は第2流路114側の開度を調整していないので、第2流路114側の開度は一定のままとなっている。水中吐水部18から吐水流量q16の吐水がされるので、水面外吐水口24から吐水流量q17の吐水がなされる。浴槽装置101にはジェットポンプユニット140が設けられ、ジェットポンプ用流路144から流量q18が供給されるので、水面外吐水口24からの吐水流量が増大されている。よって、q13+q18=q16+q17の関係が概ね成立している。このとき、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速V15が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速V16よりも大きくなっている。なお、吐水流量q17は、吐水流量q11よりも小さくなっている。このように、吐水流量の割合や流量は変更可能である。
時刻T1において、制御装置40は、吐水流量変化モードの実行開始後、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速V15が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速V16よりも大きくなっている状態から、水中吐水部18からの吐水流量q16を低下させる制御を行う。具体的には、制御装置40は、調整部材32を第1流路12内の3分の2程度の領域を閉じるように移動させて3分の1程度の開度の状態とさせて第1流路12を小開度状態とさせ、第1流路12に供給される浴槽水の水量を低下させ、水中吐水部18からの吐水流量q16を吐水流量q20まで低下させる。流速も吐水流量に応じて流速V16から流速V17に低下される。吐水流量q20は、例えば、吐水流量q16の3分の1程度の流量である。なお、分岐装置30の第2流路114側は開状態のままとなっている。このとき、制御装置40は、吸い込みの流量q13を一定に維持しているので、水面外吐水口24からの吐水流量が吐水流量q17から吐水流量q19に増大される。吐水流量q19(q19=q13-q20+q18+α)となる。すなわち、制御装置40は、水面外吐水口24からの吐水流量の割合を増加させ、水面外吐水口24からの吐水の流速を流速V15から流速をさらに流速V18に増大させる。なお、このときも水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速V18が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速V17よりも大きくなっている。
時刻T1乃至T2において、制御装置40は、水面外吐水口24から吐水流量q19(流速V18)の吐水を継続する。このように、所定期間において水面外吐水部22からの吐水流量を増加させることにより、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速を流速V18に増加させ、水面外吐水部22からの吐水により水面に浮遊している汚れを水中に押し込む効果をより強めることができる。
時刻T2において、制御装置40は、調整部材32を第1流路12をほぼ全開状態まで開弁させるように第1流路12の外方に移動させ、第1流路12に供給される浴槽水の水量を増加させ、水中吐水部18からの吐水流量を吐水流量q20(流速V17)から吐水流量q16(流速V16)まで増加させる。制御装置40は、吸い込みの流量q13を一定に維持しているので、水面外吐水口24からの吐水流量q19(流速V18)が低下され、吐水流量q17(流速V15)となる。よって、時刻T2以後、水面外吐水部22から吐水された流速V15による比較的速い流速の押し込み流により押し込まれた汚れを、再び、水中吐水部18による比較的強い水中の撹拌流により、水中に汚れの澱みが生じることを効率的に抑制しながら、汚れを撹拌できる。
時刻T3において、制御装置40は、再び、調整部材32を第1流路12内の3分の2程度の領域を閉じるように移動させ、第1流路12を小開度状態とさせ、水中吐水部18からの吐水流量q16(流速V16)を吐水流量q20(流速V17)まで低下させる。このとき、制御装置40は、吸い込みの流量q13を一定に維持しているので、水面外吐水口24からの吐水流量q17(流速V15)が吐水流量q19(流速V18)に増大される。以後、同様の処理を繰り返す。制御装置40は、第1変形例の吐水流量変化モードにおいて、このような調整部材32を第1流路12内の開度を所定機関にわたり減少させた状態とさせるような制御を少なくとも1回、より好ましくは複数回繰り返して実行する。制御装置40は、一定時間が経過すると第1変形例の吐水流量変化モードの実行を終了し、同時吐水モードに戻る。
次に、図11及び図14により、第2実施形態による浴槽装置101による第2変形例の吐水流量変化モードを説明する。第2変形例の吐水流量変化モードにおける動作は、上述の吐水流量変化モードにおける動作と共通する動作に関する説明については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
図14は本発明の第2実施形態による浴槽装置の制御装置が第2変形例の吐水流量変化モードを実行している場合に、流量、流速、分岐装置における流路の開度の動作を示すタイムチャートである。図14において、流量、流速、分岐装置における流路の開度を縦軸に示し、時間を横軸に示している。図14における流量は例示であり、水面外吐水部22からの吐水流量Q1の例示として、吐水流量q11、吐水流量q15が示され、水中吐水部18からの吐水流量Q2の例示として、吐水流量q12、吐水流量0が示されている。
制御装置40は、第2変形例の吐水流量変化モードを実行すると、時刻T10において、吸い込み口からの浴槽水の吸い込みの流量q13が一定となるようにポンプ4を作動させている状態とさせる。制御装置40は、第2変形例の吐水流量変化モードを実行開始後、調整部材32を第1流路12の開度0の状態とさせて第1流路12を閉弁させ、水中吐水部18からの吐水流量を0とさせる。なお、分岐装置30の第2流路114側は開状態のままとなっている。よって、制御装置40は、水面外吐水口24からの吐水流量を吐水流量q15(q15=q13+q14+α)且つ流速V14とさせることになる。このように、第2変形例の吐水流量変化モードを実行中に、一時的に水面外吐水口24からの吐水のみが実行されることができる。
時刻T10乃至T11において、制御装置40は、水面外吐水口24から吐水流量q15(流速V14)の吐水を継続する。このように、所定期間において水面外吐水部22からの吐水流量を増加させることにより、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速を増加された流速V14とし、水面外吐水部22からの吐水により水面に浮遊している汚れを水中に押し込む効果をより強めることができる。よって、水面外吐水口24及び水中吐水部18からの同時吐水がなされていた時点では水面から水中に押し込みにくかった汚れや、水面に浮かぶ比較的多くの汚れを水中に押し込むことが可能となる。また、汚れを水中に押し込む速度(除去の速度)を増加させると共に汚れを押し込む深さを深くさせることができ、汚れの除去効率をさらに向上させることができる。時刻T10乃至T11において、制御装置40は、水中吐水部18からの吐水流量を0まで低下させた状態、すなわち水中吐水部18からの吐水を一時的に停止している状態としている。所定期間は、例えば、時刻T10から時刻T11までの時間である。時刻T10から時刻T11までの時間は、後述する時刻T11から時刻T12までの時間よりも長く設定できる。時刻T10から時刻T11までの時間は、上述の時刻T1から時刻T2までの時間よりも長く設定されてもよい。例えば、時刻T10から時刻T11までの時間は、時刻T1から時刻T2までの時間の2倍以上に設定できる。時刻T10から時刻T11までの時間は、例えば、数秒~数十分程度の期間に設定される。
時刻T11において、制御装置40は、調整部材32を第1流路12を開弁させるように第1流路12の外方に移動させ、水中吐水部18からの吐水流量を0から吐水流量q12(流速V12)まで増加させる。制御装置40は、吸い込みの流量q13を一定に維持しているので、水面外吐水口24からの吐水流量q15(流速V14)は低下され、吐水流量q11(流速V11)となる。よって、時刻T11以後、水面外吐水部22から吐水される吐水による押し込み流を形成しつつ、水中吐水部18による水中の撹拌流を比較的強く生じさせ、水中に汚れの澱みが生じることを効率的に抑制できる。また、時刻T11乃至時刻T12において、水面外吐水部22からの吐水により水面に浮遊している汚れを水中に押し込む効果も一定程度の効果で継続させる。
時刻T12において、制御装置40は、再び、調整部材32を第1流路12内に移動させて開度0の状態とさせて第1流路12を閉弁させ、水中吐水部18からの吐水流量q12を0まで低下させる。なお、分岐装置30の第2流路114側は開状態のままとなっている。このとき、制御装置40は、吸い込みの流量q13を一定に維持しているので、水面外吐水口24からの吐水流量q11が吐水流量q15に増大される。よって、水面外吐水口24からの吐水の流速が流速V11から流速V14に増大される。以後、時刻T12以後において、制御装置40は、水面外吐水口24から吐水流量q15の吐水を継続する。制御装置40は、第2変形例の吐水流量変化モードにおいて、時刻T10から時刻T12までにおけるような所定機関における調整部材32の制御を少なくとも1回、より好ましくは複数回繰り返して実行する。制御装置40は、一定時間が経過すると第2変形例の吐水流量変化モードの実行を終了し、同時吐水モードに戻る。
上述のように、本実施形態による浴槽装置101の制御装置40は、同時吐水モード、吐水流量変化モード等を実行可能である。よって、第2実施形態による浴槽装置101においても、第1実施形態による浴槽装置1における場合と同様に、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の浴槽2内の水面への着水位置が変化されるので、説明を省略する。
上述した本発明の第2実施形態による浴槽装置101によれば、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速よりも大きくなるように、水面外吐水部22と水中吐水部18とから同時に吐水されるように構成されている。これにより、循環流量を増大させて汚れの捕集量を増大させるようにポンプ4を大型のものに変更したり、浴槽2の水中の汚れを捕集する装置と浴槽2の水面の汚れを捕集する装置とをそれぞれ設けたりすることなく、浴槽2の水中及び浴槽2の水面の汚れを捕集できる。また、上述のような構成によれば水中に引き込みにくい水面に浮かぶ汚れを水面外吐水部22から吐水される比較的高速の水流により、水中に押し込みやすくできる。さらに、浴槽2の水中の汚れを水中吐水部18から吐水される比較的低速の水流により攪拌し、水中に汚れの澱みを生じることを抑制できると共に、比較的低速の水流により攪拌することで、汚れを吸い込み口8から吸い込み流路6に吸い込む流れの形成を阻害しにくくできる。よって、水面に浮かぶ汚れを水中に押し込むことができると共に水中における汚れの澱みを抑制でき、さらに吸い込み流路6への効率的な吸い込みを実現でき、吸い込み流路6における捕集部16による浴槽水中及び浴槽2の水面の汚れの捕集の効率を高めることができる。
また、本発明の第2実施形態による浴槽装置101によれば、ジェットポンプユニット140によるジェットポンプ作用により、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の吐水流量が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の吐水流量よりも大きくされ、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の流速が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の流速よりも大きくされる。また、ジェットポンプユニット140により、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の吐水流量を増大させることができるので、ポンプ4をより小型化しても、水面外吐水部22から吐水される浴槽水の吐水流量が、水中吐水部18から吐水される浴槽水の吐水流量よりも大きくできる。これにより、ポンプ4をより小型化することが可能となり、ポンプ4を浴槽2と壁面W又はケーシング21等との間に配置する自由度を向上できると共に、ポンプの配置スペースとして確保すべき領域を小型化できる。
本発明を実施するための形態は上記に限定されるものではなく、さらなる他の変形例を適用することができる。例えば、本発明の第1実施形態及び/又は第2実施形態に適用される浴槽は、上面視で概ね長方形等の四角形に形成される浴槽2のみならず、他の形態の浴槽、例えば楕円形の浴槽、弓張り月形状の浴槽、円形の浴槽等にも変更可能である。例えば、図15に示すように、浴槽は、弓張り月形状の浴槽202にも変更可能である。図15に示すように、上面視で、浴槽202を長手方向に二等分した第1領域A1と第2領域A2とが規定される。浴槽202は、上面視で弓張り月形状であるので、長手方向Lは、弓張り部分の辺202fに沿う方向(紙面の左右方向)となっている。第1領域A1は、浴槽202を長手方向Lに沿って二等分する中心線Bに対して一方側の浴槽202の領域(図15の紙面の左側の領域)である。第2領域A2は、浴槽202を長手方向に沿って二等分する中心線Bに対して他方側の浴槽202の領域(図15の紙面の右側の領域)である。浴槽202において、水中吐水部18及び水面外吐水部22が第2領域A2内に設けられ、吸い込み口8は中心線Bに対して反対側の第1領域A1内に設けられる。なお、水中吐水部18が第1領域A1に設けられる場合には、吸い込み口8は中心線Bに対して反対側の第2領域A2に設けられる。
またさらに例えば、本発明の第1実施形態及び/又は第2実施形態における浴槽装置は、分岐装置30に代えて、少なくとも水中吐水部18からの吐水流量を制御する流量制御部を備えていてもよい。流量制御部は、例えば、第1流路12上に設けられた電磁弁であるが、第1流路12に供給される浴槽水の流量を調整可能な他の流量制御装置であってもよい。流量制御部は、吸い込み口8からの浴槽水の吸い込みの流量が一定である状態で、所定期間にわたり水中吐水部18からの吐水流量を低下させる制御を行う。流量制御部は制御装置40と電気的に接続され、制御装置40による流量制御部の制御により、同時吐水モード、吐水流量変化モード、第1変形例の吐水流量変化モード、第2変形例の吐水流量変化モード等を実行可能である。