JP7431626B2 - ポリビニルアルコールフィルム、及びパッケージ材料 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリビニルアルコールフィルム、及びポリビニルアルコールフィルムを有するパッケージ材料に関する。
ポリビニルアルコールフィルム(以下、ポリビニルアルコールを単に「PVA」ということがある)は、水溶性を有しており、農薬、薬剤、染料、洗剤、肥料、化粧品、生理用品等の各種物質を収容するためのパッケージ材料として広く使用されている。そのようなパッケージ材料は、PVAフィルムの水溶性を利用して、水性溶媒中へ直接投入してパッケージ材料を分解または溶解させて溶液を得る用途や、使用時に開封したパッケージ材料をそのまま水に流して捨てる用途などに用いられている。また、PVAフィルムは、パッケージ材料として使用される場合、収容される物質を内部に封入した袋状にされることが多い(例えば、特許文献1~3参照)。
特開2003-206380号公報 特開2001-106854号公報 特開2000-109574号公報
PVAフィルムは、水溶性には優れるものの、袋状にする際、折りたたんで、端部をヒートシール処理等により、該処理部分の水溶性が低下する場合がある。この原因は明らかではないが、PVAの結晶化が促進されるために、ヒートシール部分の水溶性が低下して、PVA本来の水溶性が充分発揮されなくなると考えられる。これにより、ヒートシール接着力を充分に確保するためにヒートシール部分を十分に加熱することがあるが、この場合には水溶性の低下を招く恐れがある。したがって、ヒートシール性(ヒートシール部分の接着力)とヒートシール部分の水溶性の両方に優れるPVAフィルムが望まれるところである。
しかしながら、特許文献1に記載されるPVAフィルムのようなカルボキシル基又はその塩で変性したポリビニルアルコール系フィルムはアルカリ物質包装用である。このため、特許文献1に記載されるPVAフィルムを酸性物質包装用として使用した場合には、フィルムの水に対する不溶化が急速に進行するという問題があり、パッケージ材料として使用した場合、水性溶媒中へ直接投入した際に内包物が外部に放出されないなどの問題が発生するおそれがある。
特許文献2には、特定のけん化度を有するスルホン酸変性ポリビニルアルコールに可塑剤および澱粉を配合してなる水溶性フィルムが記載されている。この水溶性フィルムでは、澱粉を配合しているためヒートシール温度を高くする必要がる。このため、ヒートシール部分の水溶性が悪化したり、ヒートシール部周辺環境の温度が高くなりフィルム搬送中にフィルムの軟化で粘着性が増したり、フィルムのコシがなくなり搬送中トラブルを起こしたりし、生産性に問題が発生するおそれがある。
特許文献3には、特定の配合重量比のスルホン酸変性ポリビニルアルコールとポリビニルアルコール系樹脂(スルホン酸変性ポリビニルアルコール系樹脂を除く)からなる水溶性フィルムが記載されている。この水溶性フィルムでは、スルホン酸変性ポリビニルアルコールの比率を高くすると機械特性の低下を起こし、取り扱いに支障をきたす問題がある。
そこで、本発明は、優れた低温ヒートシール性、優れた機械特性、及び良好な水溶性をいずれも満足するPVAフィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、パルスNMRを用いて測定したソフトセグメントの緩和時間及びソフトセグメントの割合を所定の範囲内することで上記課題が解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。
本発明は、次の[1]~[6]を提供するものである。
[1]ビニルアルコール系重合体を含むポリビニルアルコールフィルムであって、
パルスNMRを用いて80℃でSolid Echo法で測定し、1Hのスピン-スピン緩和の自由誘導減衰曲線を、緩和時間の短い順にハードセグメント、中間セグメント、及びソフトセグメントの3成分に由来する3つの曲線に波形分離して得た、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)が0.50ミリ秒以上0.90ミリ秒以下であり、ソフトセグメントの割合(Ss)が40.0%以上60.0%以下である、ポリビニルアルコールフィルム。
[2]前記ビニルアルコール系重合体が、変性ポリビニルアルコールを含む、上記[1]に記載のポリビニルアルコールフィルム。
[3]前記変性ポリビニルアルコールが、スルホン酸基、ピロリドン環基、アミノ基及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する、上記[2]に記載のポリビニルアルコールフィルム。
[4]上記[1]~[3]のいずれかに記載のポリビニルアルコールフィルムを有するパッケージ材料。
[5]粉体が内包される、上記[4]に記載のパッケージ材料。
[6]前記粉体が、亜硫酸水素塩、炭酸水素塩、炭酸塩、シアヌル酸及びその塩、硫酸水素塩、次亜塩素酸塩、塩化塩、過炭酸塩、並びに、クエン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記[5]に記載のパッケージ材料。
本発明では、優れた低温ヒートシール性、優れた機械特性、及び良好な水溶性をいずれも満足するPVAフィルムを提供できる。
以下、本発明について実施形態を参考により詳細に説明する。
[PVAフィルム]
本発明のPVAフィルムは、パルスNMRを用いて80℃でSolid Echo法で測定した、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)が0.50ミリ秒以上0.90ミリ秒以下となり、ソフトセグメントの割合(Ss)が40.0%以上60.0%以下となるものである。
一般的に、PVAフィルムは、パルスNMRにより測定すると、1Hのスピン-スピン緩和の自由誘導減衰曲線が得られる。得られた自由誘導減衰曲線は、緩和時間の短い順に、ハードセグメント、中間セグメント、及びソフトセグメントの3成分に由来する3つの曲線に波形分離することができる。すなわち、実測された自由誘導減衰曲線は、ハードセグメント、中間セグメント、及びソフトセグメントの3成分に由来する自由誘導減衰曲線を重畳したものである。このようなパルスNMRを用いて3成分に分離して解析する手法は、例えば、特開2018-2983号公報などに記載されている。
ハードセグメントは、パルスNMR測定における緩和時間の短い成分であり、分子運動性が低く、硬い成分を意味する。一方、ソフトセグメントは、パルスNMR測定における緩和時間の長い成分であり、分子運動性が高く、柔らかい成分を意味する。中間セグメントは、ハードセグメントとソフトセグメントの間のパルスNMR測定における緩和時間を有し、そのため分子運動性もハードセグメント及びソフトセグメントの間となる成分である。なお、各セグメントの割合とは、ハードセグメント、中間セグメント、及びソフトセグメントの合計量に対する割合である。
本発明では、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)及び割合(Ss)を上記した所定の範囲内にすることで、ヒートシール性が優れており、機械特性が優れており、かつ良好な水溶性を有するPVAフィルムとすることができる。
一方で、ソフトセグメントの割合(Ss)が40.0%未満になると、水溶性が低下して、例えば、薬剤に長期間接触した後において、水などの水性溶媒に溶解するまでに時間を要する不具合が生じることがある。また、ヒートシール強度が低くなり、低温ヒートシール性が不十分になる場合がある。さらに、PVAフィルムの柔軟性が不足して、機械特性が悪くなる場合がある。
ソフトセグメントの割合(Ss)が60.0%を超えた場合も、水溶性が低下して、例えば、薬剤に長期間接触した後において、水などの水性溶媒に溶解するまでに時間を要する不具合が生じることがある。また、ヒートシール強度が低くなり、低温ヒートシール性が不十分になる場合がある。
さらに、緩和時間(Ts)が0.50ミリ秒未満となると、ヒートシール強度が低くなり、低温ヒートシール性が不十分になる場合がある。また、PVAフィルムの柔軟性が不足して、機械特性が悪くなる場合がある。一方で、緩和時間(Ts)が0.90ミリ秒を超えると、柔軟性が高くなりすぎ、PVAフィルムの機械特性が悪くなる場合がある。
ソフトセグメントの割合(Ss)は、水溶性を高める観点、機械特性を改善する観点及び低温ヒートシール性を良好にする観点から、45.0%以上が好ましく、50.0%以上がより好ましい。また、水溶性を高める観点、及び低温ヒートシール性を良好にする観点から、ソフトセグメントの割合(Ss)は、58.0%以下が好ましく、56.0%以下がより好ましい。
ソフトセグメントの緩和時間(Ts)は、0.55ミリ秒以上が好ましく、0.60ミリ秒以上がより好ましく、0.70ミリ秒以上がさらに好ましい。ソフトセグメントの緩和時間(Ts)をこれら下限値以上のように長くすると、密閉性が良好となりとなり、低温ヒートシール性がさらに良好となる。また、柔軟性が高くなり、機械特性が改善される。
また、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)は、0.86ミリ秒以下が好ましく、0.84ミリ秒以下がより好ましい。緩和時間(Ts)は、上記のように短くすると、柔軟性が高くなりすぎて、機械特性が悪くなることを抑制できる。
なお、本発明では、パルスNMR測定において、含水率が変化することによる評価結果のずれを抑制するため、PVAフィルムを23℃、50%RHの恒温室で48時間養生した上で、パルスNMR測定を実施する。
また、PVAフィルムは、単体で養生すると端部の湾曲が発生することがある。湾曲が発生すると、フィルムサンプルを丸めて測定用のNMR管に導入する際、サンプルの均一性が大きく損なわれ、磁場の不均一性による見かけの緩和時間の減少による誤差の発生や測定領域の導入量が少なくなるという問題がある。その問題を回避するため、PVAフィルムは、特定のUV剥離テープ(積水化学工業株式会社製、商品名「SELFA-SE」)で固定したうえで養生する。特定のUV剥離テープに固定した上で養生することで、高い固定性と低糊残り性及び易剥離性が得られ、評価結果のバラつきを抑えることができる。
PVAフィルムとUV剥離テープの固定は、ラミネーターを用いて行うことができる。この際、ラミネーターロールへのPVAフィルム及びUV剥離テープの貼り付きや巻き込みによる破損を防止するため、PVAフィルム及びUV剥離テープを厚み1ミリ以下のSUS板、ボール紙などの硬い基板と、基材に挟みこんでラミネートするとよい。基材としては、PVAフィルム及びUV剥離テープに貼りつかない剥離フィルムなどを用いる。また、固定の際、皺および湾曲を低減する目的のため、UV剥離テープのロールの幅方向とPVAフィルムの長手方向とが垂直になるように貼り合わせる。
なお、含水量の低いフィルムサンプルは、UV剥離テープで固定して養生すると、皺が寄ることがある。養生後に皺が発生した場合はUV剥離テープを照射工程を経てはがした後、一度ラミネーターでPVAフィルムの皺を伸ばし、再度新しいSELFA-SEを用いて貼りあわせて固定し、上記の養生工程を行い、皺がなくなるまでこの操作を繰り返すことで本評価を実施することができる。
なお、ソフトセグメントの緩和時間及び割合の測定方法の詳細は、実施例で説明する。
PVAフィルムにおいては、例えばPVAフィルムの原料及びPVAフィルムの製造条件を調整することで、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)及びソフトセグメントの割合(Ss)を調整できる。具体的には、PVA系重合体のケン化度、重合度、可塑剤の配合の有無、可塑剤の配合量、可塑剤の種類、PVAフィルムの配向性、延伸倍率などを調整することで、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)及びソフトセグメントの割合(Ss)を調整できる。また、製造時において、PVA溶液の加熱後の冷却における降温速度、PVAフィルムの乾燥時間などを調整することで、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)及びソフトセグメントの割合(Ss)をさらに調整できる。
(ポリビニルアルコール)
本発明のPVAフィルムは、ビニルアルコール系重合体(「PVA系重合体」ともいう)を含む。PVA系重合体は、ビニルエステルを含むモノマーを重合してポリマーを得た後、ポリマーをケン化、すなわち加水分解することにより得られる。ケン化には、一般に、アルカリ又は酸が用いられるが、アルカリを用いることが好ましい。PVA系重合体としては、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ絡酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどを用いることができる。これらの中では酢酸ビニルが好ましい。
また、ビニルエステルの重合方法は特に限定されないが、例えば、溶液重合法、塊状重合法及び懸濁重合法等が挙げられる。
PVA系重合体は未変性PVAであってもよい。しかし、重合度、ケン化度等の組合せでは、優れた低温ヒートシール性、優れた機械特性、及び良好な水溶性をいずれも満足することが難しい場合がある。したがって、PVA系重合体は、変性PVAを含むことが好ましい。PVA系重合体が変性PVAを含むことで、優れた低温ヒートシール性、優れた機械特性、及び良好な水溶性をいずれも満足することが容易になる。
PVA系重合体が変性PVAを含む場合、PVA全量に対する変性PVAの含有量は、PVAフィルムの低温ヒートシール性、機械特性及び水溶性の観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、さらにより好ましくは35質量%以上、特に好ましくは45質量%以上である。
また、PVA系重合体が変性PVAを含む場合、PVA全量に対する変性PVAの含有量は、100質量%以下であればよいが、好ましくは90質量%以下である。変性PVAの含有量を90質量%以下にすることで、パッケージ材料として取り扱いし易い水溶性フィルムを得ることができる。このような観点から、PVA系重合体が変性PVAを含む場合、PVA全量に対する変性PVAの含有量は、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、よりさらに好ましくは75質量%以下であり、よりさらに好ましくは65質量%以下であり、特に好ましくは55質量%以下である。
PVA系重合体は、変性PVAに加えて、未変性ポリビニルアルコール(未変性PVA)を含有することが好ましい。未変性PVAは、ポリビニルエステルをケン化したものである。PVA系重合体が未変性PVAをさらに含むことで、PVAフィルムのヒートシール性が良好となりやすい。
PVA系重合体が未変性PVAを含む場合、未変性PVAの含有量は、良好な水溶性などの観点から、PVA系重合体全量基準で、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、よりさらに好ましくは25質量%以上、よりさらに好ましくは35質量%以上、特に好ましくは45質量%以上である。また、変性PVAを一定量以上含有させる観点から、PVA系重合体が未変性PVAを含む場合、未変性PVAの含有量は、PVA系重合体全量基準で、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、よりさらに好ましくは65質量%以下である。
<変性PVA>
以下、変性PVAについてより詳細に説明する。変性PVAは、ポリビニルエステル由来の構成単位以外の構成単位を有する。変性PVAとしては、より具体的には、ビニルエステルと他の不飽和モノマーとの重合体をケン化したものが挙げられる。他の不飽和モノマーとしては、ビニルエステル以外のモノマーであって、ビニル基などの炭素-炭素二重結合を有するモノマーが挙げられる。
具体的には、オレフィン類、(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸以外の不飽和酸類、その塩及びエステル、(メタ)アクリルアミド類、N-ビニルアミド類、ビニルエーテル類、ニトリル類、ハロゲン化ビニル類、アリル化合物、ビニルシリル化合物、酢酸イソプロペニル、スルホン酸基含有化合物、アミノ基含有化合物等が挙げられる。
オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン及びイソブテン等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1以上10以下、好ましくは1以上2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。具体的な(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、及び(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸以外の不飽和酸類、その塩及びエステルとしては、マレイン酸及びその塩、マレイン酸エステル、イタコン酸及びその塩、イタコン酸エステル、メチレンマロン酸及びその塩、メチレンマロン酸エステルなどが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、アクリルアミド、n-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド等が挙げられる。N-ビニルアミド類としては、N-ビニルピロリドン等が挙げられる。ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、i-プロピルビニルエーテル及びn-ブチルビニルエーテル等が挙げられる。
ニトリル類としては、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。ハロゲン化ビニル類としては、塩化ビニル及び塩化ビニリデン等が挙げられる。アリル化合物としては、酢酸アリル及び塩化アリル等が挙げられる。ビニルシリル化合物としては、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
スルホン酸基含有化合物としては、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸などの(メタ)アクリルアミドアルカンスルホン酸及びその塩、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩などが挙げられる。
アミノ基含有化合物としては、アリルアミン、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等が挙げられる。
また、変性PVAとしては、PVAに、グラフト重合等により、カルボキシル基、スルホン酸基、ピロリドン環基を付加したものであってもよい。
優れた低温ヒートシール性、優れた機械強度及び良好な水溶性をさらに高いレベルでいずれも満足させるという観点から、変性PVAとしては、スルホン酸基、ピロリドン環基、アミノ基及びカルボキシル基から選択される少なくとも1種の官能基によって変性されたPVAが好ましい。なお、上記官能基は、これら官能基に加えて、これら官能基のナトリウム、カリウム等の塩も含む。また、カルボキシル基には、カルボキシル基をアルキルエステル化(例えば、メチルエステル化)したものも含んでもよい。
したがって、変性PVAにおいて、ビニルエステル以外のモノマーとして、(メタ)アクリル酸やそれ以外の不飽和酸類及びその塩、(メタ)アクリル酸メチル、N-ビニルピロリドン、アミノ基含有化合物、又は、スルホン酸基含有化合物を使用することが好ましい。また、上記官能基がグラフト重合等によって付加されたものも好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して変性してもよい。
上記した中では、スルホン酸基によって変性されたPVAがより好ましい。スルホン酸基によって変性された変性PVAを用いることにより、PVAフィルムの低温ヒートシール性、機械特性及び水溶性をさらに高いレベルでいずれも満足することができる。
上記のとおり、好適な変性PVAの具体例としては、スルホン酸基変性PVA、ピロリドン環基変性PVA、カルボキシル基変性PVA、及びアミノ変性PVAが挙げられる。これらの中では、スルホン酸基変性PVAがさらに好ましい。
スルホン酸基変性PVAは、変性によってスルホン酸基が導入されたものであればよく、スルホン酸基が連結基を介して高分子主鎖と結合されたものであることが好ましい。上記連結基としては、アミド基、アルキレン基、エステル基、エーテル基等が挙げられる。なかでも、アミド基とアルキレン基の組み合わせが好ましい。連結基をこのようにアミド基とアルキレン基の組み合わせとするためには、不飽和モノマーとして、上記した(メタ)アクリルアミドアルカンスルホン酸又はその塩を使用すればよい。
また、上記スルホン酸基は、スルホン酸塩からなるものであることが好ましく、特にスルホン酸ナトリウム基であることが好ましい。上記変性PVAが、スルホン酸ナトリウム変性PVAである場合、スルホン酸ナトリウム変性PVAとしては、下記式(1)で表される構成単位を有することが好ましい。

(式(1)において、R1は炭素数1以上4以下のアルキレン基を表す。)
ピロリドン環基変性PVAは、変性によってピロリドン環が導入されたものであれば特に限定されないが、下記式(2)で表される構成単位を有することが好ましい。このような構成単位を有するピロリドン環基変性PVAを得るためには、例えば、他の不飽和モノマーとしてN-ビニルピロリドンを使用すればよい。
また、カルボキシル基変性PVAとしては、変性によってカルボキシル基が導入されたものであれば特に限定されないが、下記式(3-1)、(3-2)又は(3-3)で表される構成単位を有することが好ましい。

(上記式(3-1)、(3-2)及び(3-3)中、X、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、金属原子又はメチル基を表す。すなわち、本明細書におけるカルボキシル基には、カルボキシル基の塩及びメチルエステルも含まれる。金属原子として、例えば、ナトリウム原子等が挙げられる。上記式(3-2)中、Rは炭素数1以上10以下のアルキレン基を表す。)
変性PVAは、その変性量が、例えば0.1モル%以上20モル%以下である。したがって、上記したスルホン酸基、ピロリドン環基、アミノ基、及び、カルボキシル基から選択される少なくとも1種の官能基によって変性された変性PVAは、変性PVAの構成単位の全モル数に対する、これら官能基のモル数が0.1モル%以上20モル%以下となる。
スルホン酸基変性PVAのスルホン酸基変性量は、PVAフィルムの優れた低温ヒートシール性、優れた機械特性及び良好な水溶性をさらに高いレベルでいずれも満足させる観点から、好ましくは0.1モル%以上6モル%以下、より好ましくは1モル%以上5モル%以下である。
また、同様の観点から、カルボキシル基変性PVAのカルボキシル基変性量は、好ましくは0.1モル%以上20モル%以下、より好ましくは0.5モル%以上10モル%以下、さらに好ましくは1モル%以上5モル%以下である。
なお、PVAフィルムは、上記のように、PVAとして、スルホン酸基変性PVAを含有することが特に好ましいが、スルホン酸基変性PVAの含有量は、PVA全量に対して、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上さらに好ましくは35質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。
PVAフィルムは、このように、スルホン酸基変性PVAを、所定量以上含有することで、低温ヒートシール性、機械特性、水溶性などがより優れたものとなる。また、上記上限値以下とすることで、フィルムのブロッキングも抑えられ、表面外観、巻回体から繰り出すときの繰り出し性なども改善しやすくなる。
PVA系重合体のケン化度は、好ましくは80モル%以上99.9モル%以下である。ケン化度をこのような範囲とすると、PVAフィルムに必要とされる水溶性を確保しやすくなる。
また、PVA系重合体のケン化度の好適な範囲は、変性の有無、変性基の種類によっても異なる。例えば未変性PVAは、上記したように80モル%以上99.9モル%以下が好ましいが、水溶性、機械特性及び低温ヒートシール性をより高いレベルでいずれも満足させる観点からは、80モル%以上95モル%以下がより好ましく、85モル%以上92モル%以下がさらに好ましい。
一方で、例えば、スルホン酸基変性PVA、カルボキシル基変性PVAなどの変性PVAのケン化度は、上記したように80モル%以上99.9モル%以下が好ましいが、低温ヒートシール性、機械特性及び水溶性をより高いレベルでいずれも満足させる観点からは、85モル%以上99モル%以下がより好ましく、90モル%以上98モル%以下がさらに好ましい。
上記ケン化度は、JIS K6726に準拠して測定される。ケン化度は、ケン化によるビニルアルコール単位に変換される単位のうち、実際にビニルアルコール単位にケン化されている単位の割合を示す。
なお、ケン化度の調整方法は特に限定されない。ケン化度は、ケン化条件、すなわち加水分解条件により適宜調整可能である。
PVA系重合体の重合度は特に限定されないが、好ましくは600以上、より好ましくは800以上、さらに好ましくは900以上である。また、好ましくは1800以下、より好ましくは1500以下、さらに好ましくは1300以下である。重合度を上記範囲内とすることで、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)及び割合(Ss)を所望の範囲内に調整しやすくなる。また、上記下限値以上とすると、柔軟性が高くなりすぎて、長期保管後などに表面にべたつきが生じることを抑制できる。また、上記上限値以下とすると水溶性が向上する。
上記重合度は、JIS K6726に準拠して測定される。また、PVAフィルムは、例えばメタノールでのソックスレー抽出を複数サイクル(例えば、100サイクル)行うことで、可塑剤等を洗浄することでPVA系重合体の重合度を測定できる。したがって、PVAフィルムに含有されるPVA系重合体全体の重合度が上記範囲内となるとよい。
ただし、PVA系重合体が2種以上併用される場合には、各PVA系重合体の重合度が上記範囲内となるとよく、例えば、未変性PVA及び変性PVAの両方が使用される場合には、未変性PVA及び変性PVAの両方が、それぞれ上記範囲内となるとよい。未変性PVA及び変性PVAの両方の重合度が、それぞれ上記範囲内となると、未変性PVAと変性PVAとの相溶性が良好となり、べたつきなどが生じることが防止される。
また、PVAフィルムは、主にPVA系重合体により構成されるものである。PVA系重合体の含有量は、具体的には、PVAフィルム全量基準で、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上である。また、PVA系重合体の含有量は、好ましくは95質量%以下、より好ましく92質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。PVA系重合体の含有量を上記下限以上とすると、柔軟性が高くなりすぎて、長期保管後などに表面にべたつきが生じることを抑制できる。また、PVA系重合体の含有量を上記上限以下とすると、可塑剤などの添加剤を、PVAフィルムに適度に配合させることが可能になる。
(可塑剤)
PVAフィルムは、好ましくは可塑剤を含有する。可塑剤を含有することで、PVAフィルムにおける上記ソフトセグメントの緩和時間(Ts)及び割合(Ss)を上記した下限値以上にしやすくなる。
可塑剤としては、PVAの可塑剤として一般的に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、多価アルコールやポリビニルアルミド類が好適に用いられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、1,3-ブタンジオール、ソルビトール、ポリビニルアミド類としては、ポリビニルピロリドンなどを挙げることができる。ここで、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールとしては、平均分子量200以上600以下、好ましくは平均分子量250以上500以下のものを使用できる。
可塑剤として使用される多価アルコールは1種のみが添加されてもよく、2種以上が添加されてもよい。
PVAフィルムにおける可塑剤の含有量は、PVAフィルム全量基準で、3質量%以上30質量%以下であることが好ましい。可塑剤の含有量を3質量%以上とすることで、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)及び割合(Ss)を上記した下限値以上に調整しやすくなり、ヒートシール性及び水溶性なども良好となりやすい。一方で、可塑剤の含有量を30質量%以下とすることで、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)及び割合(Ss)を上記した上限値以下に調整しやすくなる。さらに、柔軟性が高くなりすぎて、長期保管後などに表面にべたつきが生じルことを抑制できる。
PVAフィルムにおける可塑剤の含有量は、ヒートシール性及び水溶性を良好にしつつ、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)及び割合(Ss)を所望の範囲内に調整しやすくなる観点から、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上であり、また、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
可塑剤は、上記した中では、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、1,3-ブタンジオール及びソルビトールが好ましく、グリセリン、ジグリセリン及びトリメチロールプロパンがより好ましく、ジグリセリン、グリセリン及びトリメチロールプロパンを含有することがさらに好ましい。ジグリセリン、グリセリン、トリメチロールプロパン又はこれらの組み合わせを用いることにより、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)及び割合(Ss)を所望の範囲内に調整しやすくなる。
可塑剤がグリセリンを含有する場合、可塑剤としてグリセリンを単独で使用してもよいが、グリセリン以外の可塑剤と併用してもよい。グリセリン以外の可塑剤と併用することで、低温ヒートシール性がさらに改善され、水溶性も良好にしやすくなる。
可塑剤がグリセリンを含有する場合、PVAフィルムに含有される可塑剤におけるグリセリンの含有率は、10質量%以上100質量%以下であることが好ましい。含有率が上記範囲内であるとソフトセグメントの緩和時間(Ts)及び割合(Ss)を所望の範囲内に調整しやすくなり、低温ヒートシール性、水溶性、表面外観などが良好になる。
可塑剤がグリセリンを含有する場合、可塑剤におけるグリセリンの含有率は、低温ヒートシール性及び水溶性の両方をバランスよく改善する観点から、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。
また、可塑剤がグリセリンを含有する場合、可塑剤におけるグリセリンの含有率は、水溶性を良好にしつつ、柔軟性を確保する観点から、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下、特に好ましくは80質量%以下である。
グリセリン以外の可塑剤は、上記した可塑剤から適宜選択して使用すればよいが、好ましくはジグリセリン及びトリメチロールプロパンが好ましい。
(充填剤)
PVAフィルムは、充填剤を含有してもよい。PVAフィルムは、充填剤を含有することで、長期高温保管した際の耐ブロッキング性などを良好にできる。充填剤としては、無機物粒子が挙げられる。無機物粒子は、特に限定されないが、例えば、シリカ、クレー、カオリン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、サチンホワイト、タルク、酸化アルミニウム、ジルコニアなどが挙げられる。これらの中では、シリカが好ましい。
PVAフィルムにおける充填剤の含有量は、例えば0.1質量%以上5質量%以下、好ましくは0.3質量%以上3質量%以下である。無機物粒子の含有量を0.1質量%以上とすることで、充填剤によって耐ブロッキング性を効果的に発現できる。また、5質量%以下とすることで、充填剤の沈降等を生じさせることなく、含有量に見合った効果を奏することが可能である。
(その他の添加剤)
PVAフィルムは、上記以外にも、界面活性剤、着色剤、香料、消泡剤、剥離剤、紫外線吸収剤等のPVAフィルムに通常使用される添加剤を適宜含有してもよい。
PVAフィルムの厚さは、特に限定されないが、例えば、5μm以上150μm以下である。厚さを上記下限以上とすると、フィルムの強度を高くすることが可能になる。また、上記上限以下とすると、パッケージ材料としてのパッケージング性が良好となり、低い温度での熱接着が可能となるので生産性が向上する。これらの観点から、PVAフィルムの厚さは、好ましくは20μm以上、より好ましくは35μm以上である。また、好ましくは100μm以下、より好ましくは90μm以下である。
PVAフィルムは、必要に応じてロール状に巻回され巻回体とされてもよい。PVAフィルムは、ロール状に巻回されることで、保管や輸送がしやすくなる。
[PVAフィルムの製造方法]
本発明のPVAフィルムは、例えば、上記PVA系重合体、又は上記PVA系重合体に可塑剤などの添加剤を加えたPVA組成物を、成膜することで得ることができる。PVAフィルムは、より具体的には、PVA系重合体又はPVA組成物を溶媒により希釈して得たPVA溶液を、金型から押し出してキャスティングローラで搬送させて乾燥することで得ることができ、また、支持部材上に流延などして、乾燥することで得ることができる。溶媒としては有機溶剤、水が挙げられるが、水であることが好ましい。
また、支持部材にPVA溶液を流延する方法は、キャスト法、ロールコーティング法、リップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法などが挙げられる。
ここで使用する溶媒としては、PVA系重合体を溶解し得る限り特に限定されない。溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどを挙げられる。また、上記した可塑剤として使用される多価アルコールを溶媒として使用してもよい。これら溶媒は、1種単独で用いてもよいし、また2種以上を併用してもよい。
上記PVA溶液におけるPVA系重合体の濃度は、特に限定されないが、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは7質量%以上20質量%以下である。また、下限値以上とすることで、乾燥時間が必要以上に長くなることを防止できたり、機械物性の優れた水溶性フィルムを得ることができる。さらに、上記濃度を上限値以下とすることで、溶液を塗布、流延などしやすくなる。
上記PVA溶液は、PVA系重合体、及び必要に応じて使用される可塑剤などの添加剤を溶媒に配合して加熱させ、その加熱環境下で、一定時間保持することで作製する。作製されたPVA溶液中には、PVA系重合体、及び適宜配合された可塑剤などの添加剤が溶解する。
ここで、加熱された溶液の温度は、溶媒の沸点未満の温度であればよく、例えば、80℃以上100℃未満が好ましく、90℃以上97℃以下が好ましい。また、これら温度にPVA溶液が保持される時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは60分以上であり、また、好ましくは3時間以下、より好ましくは2時間30分以下である。
PVA溶液は、上記のように所定温度で一定時間保持した後冷却される。ソフトセグメントの緩和時間(Ts)及びソフトセグメントの割合(Ss)を所望の範囲内に調節する観点から、冷却する際の降温速度は、好ましくは1.5℃/分以上5℃/分以下、より好ましくは2.5℃/分以上3.5℃/分以下である。なお、降温速度が小さいと、結晶核が多く生成され、これによりソフトセグメントの割合が小さくなり、降温速度が大きいと、結晶核の生成が抑制され、これによりソフトセグメントの割合が大きくなる。PVA溶液は、例えば、20℃以上50℃以下まで、好ましくは20℃以上40℃以下まで、より好ましくは室温まで冷却する。
本発明においては、所定の温度でPVA溶液を一定時間保持することで、PVA系重合体、又はPVA系重合体及び可塑剤が溶媒中に適切に溶解される。そして、その溶液を上記のように比較的速い降温速度で冷却する。
得られたPVA溶液から、溶解していないPVA系重合体を除去するために、PVA溶液をろ過してもよい。また、PVAフィルム中に気泡が残ることを防止するために、ろ過後のPVA溶液を脱泡してもよい。
上記の温度まで冷却されたPVA溶液は、スリットを通じて支持体上に流延するか、又はロールコーター等を用いて支持体上に塗布する。支持体としては、塗布されたPVA溶液を表面に維持し、かつ成膜により得られたPVAフィルムを支持し得る限り特に限定されない。このような支持体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル系樹脂などの樹脂フィルムでもよいし、ガラス板、金属板などの樹脂フィルム以外の支持体でもよい。
支持体の上に塗布されたPVA溶液は、加熱乾燥されることで成膜され、PVAフィルムが得られる。加熱乾燥は、例えば、80℃以上100℃以下の温度で、30分以上1時間40分以下行い、好ましくは85℃以上95℃以下の温度で40分以上1時間20分以下行うとよい。なお、乾燥時間が長いと、結晶成長が大きくなり、これによりソフトセグメントの割合が小さくなり、乾燥時間が短いと、結晶成長が抑制され、これによりソフトセグメントの割合が大きくなる。このような乾燥条件でPVAフィルムを成膜することで、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)及びソフトセグメントの割合(Ss)が所望の範囲内となるPVAフィルムを得やすくなる。支持体上に成膜されたPVAフィルムは、適宜支持体から剥離されるとよい。
PVAフィルムにおいては、PVAフィルムの原料を調整することで、具体的には、PVA系重合体のケン化度、重合度、可塑剤の配合の有無、可塑剤の配合量、可塑剤の種類などを調整することで、本発明のPVAフィルムが得やすくなる。本製造方法は、これらPVAフィルムの原料に加えて、製造条件も調整することで、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)及びソフトセグメントの割合(Ss)が所望の範囲内となるPVAフィルムを得やすくするものである。具体的には、加熱したPVA溶液を比較的速い降温速度で冷却し、PVA溶液を塗布した後に、比較的高温かつ短時間の乾燥条件で乾燥させて、PVAフィルムを得ることで、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)及びソフトセグメントの割合(Ss)が所望の範囲内にあるものとすることができる。
また、本発明のPVAフィルムを溶融押出し方式で製造してもよい。例えば、PVA系重合体又はPVA組成物に可塑剤及び溶媒を加えてペレット化し、得られたペレットを溶解して金型から押し出してキャスティングローラで搬送させて乾燥することで得ることができる。溶媒としては有機溶剤、水が挙げられるが、水であることが好ましい。
ソフトセグメントの緩和時間(Ts)及びソフトセグメントの割合(Ss)が所望の範囲内となるPVAフィルムを得やすいという観点から、本発明のPVAフィルムはキャスティング方式により製造することが好ましい。
製造したPVAフィルムは、支持部材から剥離されてPVAフィルムとして使用されるとよい。また、製膜したPVAフィルムに対しては、エンボス加工、延伸加工などを行ってもよい。
なお、支持部材上に製膜されたPVAフィルムは、支持部材との積層体としてロール状に巻回されてもよい。ロール状に巻回された積層体は、適宜繰り出され、支持部材から剥離されたPVAフィルムに対して適宜エンボス加工、延伸加工などを行ってもよい。
エンボス加工は、公知のエンボスロールを使用して行うとよく、エンボス加工を行うことで、PVAフィルムは凹凸形状を有することになる。凹凸形状を有するPVAフィルムは、水溶性、耐ブロッキング性などを向上させることができる。
PVAフィルムに対する延伸加工は、エンボス加工を行う前に行ってもよいし、エンボス加工後に行ってもよい。エンボス加工前に行う場合には、流延後の乾燥中に行ってもよいし、乾燥後に行ってもよい。延伸は、例えば、ロールを用いた延伸、テンターを用いた延伸、巻取装置を用いた延伸、乾燥収縮を利用した延伸、又は、これらを組み合わせた延伸等の方法が挙げられる。延伸は、例えば延伸倍率1.05倍以上3倍以下程度で行うとよい。また、PVAフィルムには、エンボス加工、延伸加工以外にも、アニール処理など、フィルムに対して行う公知の処理を適宜行ってもよい。
以上の工程を得て得られたPVAフィルムは、必要に応じてロール状に巻回され巻回体にされてもよい。
[パッケージ材料]
本発明のPVAフィルムは、例えば、各種物質を包装するためのパッケージ材料に使用できる。パッケージ材料は、上記PVAフィルムを有する限りその構成は特に限定されず、パッケージ材料で使用されるPVAフィルムが、パッケージ材料の少なくとも一部を構成すればよい。また、PVAフィルムは、上記各種物質を内包するための包材となればよい。PVAフィルムによって構成される包材は、上記物質を内部に封入できるような形態であればよく、例えば、袋とすることが好ましい。
包材を袋とする方法は、特に限定されず、例えば、1枚のPVAフィルムを畳んで周囲を接着して袋としてもよいし、2枚のPVAフィルムを重ね合わせ、かつ周囲を接着して袋としてもよいし、他の方法で袋としてもよい。PVAフィルムの接着方法は、特に限定されず、ヒートシール、接着剤などにより接着するとよいが、ヒートシールが好ましい。ヒートシールは、バーシーラー、インパルスシーラー、高周波シーラーのいずれも使用できる。また、袋などの包材を構成するPVAフィルムは、適宜賦形等されていてもよい。
パッケージ材料は、特に限定されず、農薬、工業薬品、染料、洗剤、消毒剤、殺菌剤、PH調整剤、肥料、化粧品、生理用品、医薬品等などの各種物質を包装するために使用される。
また、パッケージ材料に内包される物質(内包物)は、粉体であることが好ましい。内包物が粉体であると、PVAフィルムの熱接着が不十分である場合、PVAフィルムの包装から多数の粉体が漏れ出る場合がある。しかしながら、本発明のパッケージ材料に用いられるPVAフィルムはヒートシール性が良好であるので、PVAフィルムの包装から粉体が漏れ出ることはない。
上記粉体の具体的な化合物としては、亜硫酸水素ナトリウムなどの亜硫酸水素塩、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ナトリムなどの炭酸水素塩、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩、シアヌル酸及びその塩、硫酸水素ナトリウム、アルキルアンモニウム硫酸水素塩などの硫酸水素塩、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウムなどの次亜塩素酸塩、各種金属の塩化物、各種有機化合物の塩化物、塩化アンモニウムなどの塩化塩、過炭酸塩ナトリウムなどの過炭酸塩、並びに、クエン酸及びその塩などが挙げられる。これら化合物は、1種単独で使用されてもよいし、2種以上併用されてもよいし、これら以外の物質と併用されてもよい。これらの中では亜硫酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの潮解性物質が好ましい。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
本実施例における測定方法及び評価方法は以下の通りである。
(1)ハードセグメント及びソフトセグメントの割合の測定
実施例、比較例で得られたPVAフィルムのフィルムサンプルは、ラミネーター(ラミーコーポレーション製のラミネーターHOTDOG Leon13DX)を用いて、設定温度を60℃、速度5に設定して、UV剥離テープ(積水化学工業株式会社製、商品名「SELFA-SE」)に貼りあわせて固定した。次いで、該固定したPVAフィルムを23℃、50%RHの恒温室で48時間養生した。ラミネーターによるPVAフィルムとUV剥離テープとの固定は、両者を厚み1ミリ以下のSUS板と厚み50μmの離型処理PETフィルムで挟んで実施した。
なお、固定の際、UV剥離テープのロールの幅方向とPVAフィルムの長手方向とが垂直になるように貼り合わせた。PVAフィルムの長手方向は、PVAフィルムをNMR管へ導入する際に筒状に丸めるときのカット方向(筒状のフィルムの長手方向)と同じ方向である。
固定したフィルムサンプルをUV照射装置「株式会社オーク製作所製、装置型式:JL-4300-3、ランプ型式:IML-4000」を用いて照射面でのエネルギーが1000mJ/cmになるように波長365nmの紫外線を照射することで、UV剥離テープをフィルムサンプルから剥離させた。
なお、含水量の低いフィルムサンプルは、UV剥離テープで固定して養生すると、皺が寄ることがある。養生後に皺が発生した場合は一度UV剥離テープを照射工程を経てはがした後、一度ラミネーターでPVAフィルムの皺を伸ばし、再度新しいSELFA-SEを用いて貼りあわせて固定し、上記の養生工程を行い、皺がなくなるまでこの操作を繰り返せばよい。
UV剥離テープから剥離したフィルムサンプルは、約700mgを筒状に丸めて、直径10mmのガラス製のサンプル管(BRUKER製、品番1824511、10mm径長さ180mm、フラットボトム)に高さ15mmになるように導入した。サンプルをパルスNMR装置(BRUKER製「the minispec mq20」)に設置し、25℃(40分保持)、40℃(40分保持)、80℃(40分保持)と段階的に昇温させた。測定は80℃でSolid Echo法を行い、得られた1Hのスピン-スピン緩和の自由誘導減衰曲線を、ハードセグメント、中間セグメント、ソフトセグメントの3成分に由来する3つの曲線に波形分離した。波形分離は、ガウシアン型とエクスポーネンシャル型の両方を用いて、フィッティングさせることで行った。それぞれの測定で得られた3成分に由来する曲線から、各成分の比率を求めた。なお、同種の測定を2回行い、平均値として各成分の比率を求めた。
なお、BRUKER社製の解析ソフトウェア「TD-NMRA(Version 4.3 Rev 0.8)」を用い製品マニュアルに従って、ハードセグメントはガウシアン型、中間セグメントおよびソフトセグメントはエクスポーネンシャル型でフィッティングを行った。また、解析には緩和曲線の0.6msecまでのポイントを用いてフィッティングを行った。
また、フィッティングには以下の式を用いた。
Y=A1*exp(-1/w1*(t/T2A)^w1)+B1*exp(-1/w2*(t/T2B)^w2)+C1*exp(-1/w3*(t/T2C)^w3)
ここで、w1~w3はワイブル係数であり、w1は2、w2およびw3は1の値を取る。A1はハードセグメントの、B1は中間セグメントの、C1はソフトセグメントのそれぞれ割合であり、T2Aはハードセグメントの、T2Bは中間セグメントの、T2Cはソフトセグメントのそれぞれ緩和時間を示す。tは時間である。
ハードセグメント、中間セグメント、ソフトセグメントは、パルスNMR測定における緩和時間の短い順に定義された成分であり、個々の緩和時間の値は特に限定されるものではない。通常の緩和時間はハードセグメントが0.02ミリ秒未満、中間セグメントが0.02ミリ秒以上0.10ミリ秒未満、ソフトセグメントが0.10ミリ秒以上の範囲となる。
<Solid Echo法>
Scans:128times
Recycle Deray:1sec
Acquisition scale:1ms
[低温ヒートシール性試験]
得られた水溶性フィルムを23℃、50%RHの環境下で24時間放置した。その後、ヒートシールテスター(テスター産業株式会社製、型番「TP-701-S」)を用いて、上部圧着部140℃、下部圧着部140℃、圧着力2.8kgf/cm、0.5秒の条件で、水溶性系フィルム2枚をMD方向と垂直になるようにヒートシールした。そして、ヒートシールした水溶性フィルムのヒートシール強度(N/15mm)を測定した。なお、ヒートシール強度測定時の引張速度は、200mm/minとした。そして、以下の基準で評価した。
AA・・・6N/15mm以上
A・・・・4N/15mm以上6N/15mm未満
B・・・・2N/15mm以上4N/15mm未満
C・・・・2N/15mm未満
[耐薬品試験後の水溶性]
得られたPVAフィルムを2つに折り、2つの端部をヒートシールすることで、一端が開放された10cm×12cmの袋を作製した。得られた袋に粉体状の亜硫酸水素ナトリウムを150g入れて、開放端をヒートシールすることにより、内部に粉体状の亜硫酸水素ナトリウムが内包されたパッケージ材料を得た。得られたパッケージ材料をPET/Al/PEの多層体からなる袋(株式会社生産日本社製、商品名「ラミジップ」)に入れて密閉し、40℃で6週間放置し、23℃の環境下で24時間養生した。その後、袋からパッケージ材料を取り出し、パッケージ材料から亜硫酸水素ナトリウムを取り除いて、亜硫酸水素ナトリウムに晒されたPVAフィルムを得た。
PVAフィルムを23℃、50%RHの環境下で24時間放置して充分にフィルムを吸湿させて、耐薬品性評価用フィルムを作製した。得られた耐薬品性評価用フィルムを30mm×30mmのサイズにカットして秤量後、治具に固定した。そして、500mlの23℃の水が入っている500mlビーカーに耐薬品性評価用フィルムを入れて、治具に固定した耐薬品性評価用フィルムを水中に浸漬した。水温を23℃に保ちながら、スターラーにより400mlの印に渦巻の下が到達するように、水を撹拌し、耐薬品性評価用フィルムが溶解させ、残査が視認できなくなった時間を完溶時間として測定した。そして、以下の基準により評価した。
AA・・・20秒未満
A・・・・20秒以上50秒未満
B・・・・50秒以上200秒未満
C・・・・200秒以上
[ヒートシール部の水溶性試験]
得られた水溶性フィルムについて上記と同様にしてヒートシールを行った。ヒートシールした水溶性フィルムのヒートシール部分の一部を試料(3cm×1cm)として用いた。500mlの23℃の水が入っている500mlビーカーに試料を入れた。水温を23℃に保ちながら、スターラーにより400mlの印に渦巻の下が到達するように、水を撹拌し、試料が溶解するまでの時間を目視観察にて調べた。そして、以下の基準で評価した。
AA・・・60秒未満で溶解
A・・・・60秒以上120秒未満で溶解
B・・・・120秒以上180秒未満で溶解
C・・・・180秒以上で溶解、または溶解しない
[機械特性評価試験]
得られた水溶性フィルムを23℃、50%RHの環境下で24時間放置した後、フィルムを100mm×15mmのサイズにカットし、試料を作製した。得られた試料について、JIS K7113に準じて温度23℃、湿度50%及び剥離速度100mm/分の条件で引張試験を行い、破断伸度(%)、破断強度(MPa)、伸度5%時の引張弾性率(MPa)を測定した。引張弾性率については、以下の基準で評価した。
AA・・・1.3MPa以上2.0MPa未満
A・・・・1.0MPa以上1.3MPa未満、又は2.0MPa以上3.0MPa未満
B・・・・0.8MPa以上、1.0MPa未満、又は3.0MPa以上5.0MPa未満
C・・・・0.8MPa未満、又は5MP以上
各実施例、比較例で使用した成分は以下のとおりである。
・PVA(1):スルホン酸基変性PVA、重合度1200、ケン化度95.4モル%、スルホン酸基変性量4モル%
・PVA(2):カルボン酸変性PVA、重合度1700、ケン化度97.5モル%、カルボキシル基変性量1.5モル%、
・PVA(3):ピロリドン環変性PVA、重合度1000、ケン化度95.8モル%、ピロリドン環変性量4モル%、
・PVA(4):未変性PVA、重合度1300、ケン化度88.0モル%
・ジグリセリン:阪本薬品工業株式会社製
・グリセリン:試薬、和光純薬株式会社製
・TMP:トリメチロールプロパン、試薬、和光純薬株式会社製
・澱粉:ヒドロキシエチル化澱粉、TATE & LYLE社製の商品名「Staramic747」
・界面活性剤(1):ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 青木油脂社製、ブラウノンNK-810
・界面活性剤(2):ラウリン酸ジエタノールアミド、試薬、和光純薬株式会社製
シリカ:サイリシア358(商品名.富士シリシア化学株式会社製)
[PVAフィルムの作製]
(実施例1~4及び比較例2、3、5)
表1に示す配合で各成分を水に溶解、分散させてPVA水溶液を調整した。PVA水溶液を95℃まで加熱し、60分間保持した。そして、3℃/分の降温速度で室温までPVA溶液を冷却し、静置した。得られたPVA水溶液を、支持部材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上にリップコーター法により流延した。その後、90℃で1時間乾燥して、支持部材上にPVAフィルム(厚さ40μm)を製膜した。支持部材とPVAフィルムからなる積層体は、内径3インチの紙芯に巻き取った。次いで、積層体を繰り出して、PVAフィルムを支持部材から剥離して、各評価を行った。評価結果を表2に示す。
(比較例1、4)
表1に示す配合で各成分を水に溶解、1℃/分の降温速度で室温までPVA溶液を冷却した点、及び流延したPVA溶液を80℃で2時間乾燥した点を除いて、実施例1のPVAフィルムと同様な方法で、比較例1、4のPVAフィルムを作製し、各評価を行った。評価結果を表2に示す。
以上の実施例で示すように、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)が0.50ミリ秒以上0.90ミリ秒以下であり、ソフトセグメントの割合(Ss)が40.0%以上60.0%以下であると、優れた低温ヒートシール性、優れた機械特性、及び良好な水溶性をいずれも満足できることがわかった。一方、以上の比較例で示すように、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)が上述の範囲内にないと、又はソフトセグメントの割合(Ss)が40.0%よりも低く、もしくは60.0%よりも高いと、優れた低温ヒートシール性、優れた機械特性、及び良好な水溶性をいずれも満足することができないことがわかった。

Claims (6)

  1. ビニルアルコール系重合体を含むポリビニルアルコールフィルムであって、
    パルスNMRを用いて80℃でSolid Echo法で測定し、1Hのスピン-スピン緩和の自由誘導減衰曲線を、緩和時間の短い順にハードセグメント、中間セグメント、及びソフトセグメントの3成分に由来する3つの曲線に波形分離して得た、ソフトセグメントの緩和時間(Ts)が0.50ミリ秒以上0.90ミリ秒以下であり、ソフトセグメントの割合(Ss)が40.0%以上60.0%以下であり、
    前記パルスNMRの測定は、前記ポリビニルアルコールフィルムを23℃、50%RHの恒温室で48時間養生した上で実施され、
    前記1Hのスピン-スピン緩和の自由誘導減衰曲線は、下記の式を用いて前記ハードセグメント、前記中間セグメント、及び前記ソフトセグメントの3成分に由来する3つの曲線に波形分離される、ポリビニルアルコールフィルム。
    Y=A1*exp(-1/w1*(t/T2A)^w1)+B1*exp(-1/w2*(t/T2B)^w2)+C1*exp(-1/w3*(t/T2C)^w3)
    ここで、tは時間であり、w1~w3はワイブル係数であり、w1は2、w2およびw3は1の値であり、A1はハードセグメントの、B1は中間セグメントの、C1はソフトセグメントのそれぞれ割合であり、T2Aはハードセグメントの、T2Bは中間セグメントの、T2Cはソフトセグメントのそれぞれ緩和時間である。
  2. 前記ビニルアルコール系重合体が、変性ポリビニルアルコールを含む、請求項1に記載のポリビニルアルコールフィルム。
  3. 前記変性ポリビニルアルコールが、スルホン酸基、ピロリドン環基、アミノ基及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する、請求項2に記載のポリビニルアルコールフィルム。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のポリビニルアルコールフィルムを有するパッケージ材料。
  5. 粉体が内包される、請求項4に記載のパッケージ材料。
  6. 前記粉体が、亜硫酸水素塩、炭酸水素塩、炭酸塩、シアヌル酸及びその塩、硫酸水素塩、次亜塩素酸塩、塩化塩、過炭酸塩、並びに、クエン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項5に記載のパッケージ材料。
JP2020043316A 2020-03-12 2020-03-12 ポリビニルアルコールフィルム、及びパッケージ材料 Active JP7431626B2 (ja)

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