JP7414685B2 - 解重合されたセルロースエーテルの製造方法 - Google Patents

解重合されたセルロースエーテルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セルロースエーテルを解重合することにより解重合されたセルロースエーテルを得る解重合セルロースエーテルの製造方法に関する。
低重合度セルロースエーテルは、錠剤等の固形製剤におけるフィルムコーティング等に用いられている。このようなフィルムコーティングは、薬物の不快な味をマスキングするとともに、含有される薬物の変性を防いだり、服用後の消化器官中での溶出挙動を制御したりするためのものである。
一般に、低重合度セルロースエーテルは、高重合度セルロースエーテルを解重合することにより得られる。解重合法としては、塩化水素等の酸による解重合法が広く用いられているが、高重合度セルロースエーテルに比べて低重合度セルロースエーテルの黄色度が高くなってしまうことが知られている。
黄色度を抑える方法として、粉末状の高重合度の水溶性セルロースエーテルに対して塩化水素が0.1~1重量%、反応系の水分が3~8重量%となるように、混合機内で塩化水素水溶液を接触させた後、混合物を反応器内に仕込んで40~85℃の温度で反応させた後、塩化水素を除去することを特徴とする低重合度セルロースエーテルの製造方法が報告されている(特許文献1)。混合機の内温は記載されておらず、加熱の記載もないため、接触及び混合は室温で行われていると解される。
特開昭62-025101号公報
しかしながら、塩化水素を0.1~1重量%及び反応系水分を3~8重量%とする塩化水素水溶液の接触方法では、低重合度セルロースエーテルの黄色度は抑えられるが、塩化水素水溶液を添加する際に粗大な凝集物が生成する場合があった。粗大な凝集物は、解重合後も凝集物として残り品質を損なうことがあり、あるいは解重合反応中に過解重合されて黒色化し、解重合反応以降の工程において解砕される結果、得られた低重合度セルロースエーテル中に黒色異物として混入して品質を損なうことがあり、改善の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、酸水溶液を接触させる際の粗大な凝集物の生成を抑え、黄色度を抑えたまま凝集物及び黒色異物量の発生量が少ない解重合されたセルロースエーテルが得られる、セルロースエーテルの製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、セルロースエーテルと酸水溶液を接触させる際の温度を制御することにより、酸水溶液を接触させる際の粗大な凝集物の生成を抑え、黄色度を抑えたまま、凝集物及び黒色異物量の発生量が少ない解重合されたセルロースエーテルを製造できることを見出し、本発明を為すに至った。
本発明の一つの態様によれば、45~95℃のセルロースエーテルを、55~98℃の酸水溶液と接触させて解重合することにより解重合されたセルロースエーテルを得る解重合工程を少なくとも含み、前記解重合工程において存在する解重合反応系の水の質量が、該解重合反応系の全質量に対して1.0~5.0質量%である解重合セルロースエーテルの製造方法が提供される。
なお、解重合(解重合された:depolymerized)セルロースエーテルは、解重合前のセルロースエーテルよりも重合度が低くなり、錠剤等の固形製剤におけるフィルムコーティング等に用いられる低重合度セルロースエーテルも含まれる。
本発明によれば、酸水溶液を接触させる際の粗大な凝集物の生成を抑え、黄色度を抑えたまま凝集物及び黒色異物量の発生量が少ない解重合セルロースエーテルを製造することができる。
解重合セルロースエーテルは、45℃~95℃のセルロースエーテルに、55℃~98℃の酸水溶液を接触させて解重合することにより得られる。
解重合に供する解重合前セルロースエーテルの温度(品温)は、45~95℃、好ましくは60℃~90℃以上、より好ましくは63~87℃、更に好ましくは65~85℃である。45℃未満である場合は、粗大な凝集物及び黒色異物量の発生量が増大する。また、95℃を超えた場合は、黄色度の低い解重合後のセルロースエーテルが得られない。
解重合されるセルロースエーテルの加熱方法としては特に制限されないが、例えば、ジャケット付きの反応機内にセルロースエーテルをいれ、ジャケットに温水や蒸気を通じて加熱する方法、加熱された空気や窒素等をセルロースエーテルに通気して加熱する方法等が挙げられる。
解重合されるセルロースエーテルの温度(品温)の調整は、例えば、解重合を行う反応機のジャケット温度を調節して行うことができる。
セルロースエーテルとしては、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、アルキルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロース等のセルロースエーテルが挙げられる。
ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとしては、ヒドロキシプロポキシ基が好ましくは4.0~13.0質量%、メトキシ基が好ましくは19.0~32.0質量%であるヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、「HPMC」とも記載する。)、ヒドロキシエトキシ基が好ましくは4.0~15.0質量%、メトキシ基が好ましくは20.0~26.0質量%であるヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエトキシ基が好ましくは8.0~20.0質量%、エトキシ基が好ましくは20.0~38.0質量%であるヒドロキシエチルエチルセルロース等が挙げられる。
アルキルセルロースとしては、メトキシ基が好ましくは18.0~36.0質量%であるメチルセルロース(以下、「MC」とも記載する。)、エトキシ基が好ましくは40.0~50.0質量%であるエチルセルロース等が挙げられる。
ヒドロキシアルキルセルロースとしては、ヒドロキシエトキシ基が好ましくは2.0~70.0質量%であるヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロポキシ基が好ましくは2.0~70.0質量%であるヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及びヒドロキシアルキルアルキルセルロースにおけるアルコキシ基及びヒドロキシアルコキシ基の含有率は、第17改正日本薬局方のヒプロメロースに関する分析方法に準じて測定できる。
解重合されるセルロースエーテルの20℃における2質量%水溶液の粘度は、解重合されるセルロースエーテルの洗浄性の観点から、好ましくは400~200,000mPa・s、より好ましくは400~150,000mPa・s、更に好ましくは400~100,000mPa・sである。
セルロースエーテルの20℃における2質量%水溶液の粘度は、粘度が600mPa・s以上の場合においては、第17改正日本薬局方に記載の一般試験法の粘度測定法の回転粘度計に従い、単一円筒型回転粘度計を用いて測定することができる。一方、粘度が600mPa・s未満の場合においては、第17改正日本薬局方に記載の一般試験法の粘度測定法の毛細管粘度計法に従い、ウベローデ型粘度計を用いて測定することができる。
解重合されるセルロースエーテルは、公知の方法で製造することができる。例えば、パルプにアルカリ金属水酸化物溶液を接触させてアルカリセルロースを得る工程と、前記アルカリセルロースとエーテル化剤を反応させて粗セルロースエーテルを得る工程と、前記粗セルロースエーテルを洗浄及び乾燥する工程と、必要に応じて洗浄及び乾燥されたセルロースを粉砕する粉砕工程とを少なくとも含む製造方法により得られる。
アルカリ金属水酸化物溶液としては、特に制限されないが、経済的な観点から、アルカリ金属水酸化物水溶液が好ましい。アルカリ金属水酸化物水溶液としては、特に制限されないが、経済的な観点から、水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
エーテル化剤としては、特に制限されないが、塩化メチル、塩化エチル等のハロゲン化アルキル、酸化エチレン、酸化プロピレン等の酸化アルキレン等が挙げられる。
解重合されるセルロースエーテルの含水率は、同セルロースエーテルの凝集を防ぐ観点から、好ましくは0を超えて2.00質量%以下、より好ましくは0.1~1.50質量%である。
含水率は、{(セルロースエーテルの全質量-セルロースエーテルの絶乾質量)/(セルロースエーテルの全質量)}×100%で定義される。
ここで、「セルロースエーテルの全質量」とは、第17改正日本薬局方の「乾燥減量試験法」に従って乾燥前のセルロースエーテルを精密に量った場合の質量をいう。また、「セルロースエーテルの絶乾質量」とは、第17改正日本薬局方の「乾燥減量試験法」に従ってセルロースエーテルを乾燥させた後の質量をいう。
セルロースエーテルと接触させる際の酸水溶液の温度は、55~98℃、好ましくは60~95℃、より好ましくは63~90℃、更に好ましくは65~85℃である。55℃未満である場合は、粗大な凝集物及び黒色異物量の発生量が増大する。また、98℃を超えた場合は、黄色度の低い解重合後のセルロースエーテルが得られない。
セルロースエーテルと接触させる際の酸水溶液の温度は、例えば、温度計などを用いて測定することができる。
酸水溶液の加熱方法としては、特に制限されないが、ジャケット付きの容器内に酸水溶液をいれ、ジャケットに温水や蒸気を通じて加熱する方法、電気ヒーター付きの容器内に酸水溶液を入れ、電気ヒーターに通電して加熱する方法等が挙げられる。
45℃~95℃のセルロースエーテルと55℃~98℃の酸水溶液の接触方法としては、混合機等を用いてセルロースエーテルを撹拌しながら、酸水溶液を添加する方法、混合機等を用いて酸水溶液を撹拌しながら、セルロースエーテルを添加する方法等が挙げられるが、セルロースエーテルと酸水溶液を均一に接触させる観点から、混合機等を用いてセルロースエーテルを撹拌しながら、酸水溶液を添加する方法が好ましい。このとき、セルロースエーテルを撹拌する速度としては、解重合されるセルロースエーテル及び酸水溶液を均一に混合する観点から、1~1000rpmが好ましく、酸水溶液の添加速度としては、解重合されるセルロースエーテル及び酸水溶液を均一に混合する観点から、0.01%/min~1.0%/minが好ましい。
混合機としては、後述するセルロースエーテルの解重合に用いられる反応機等を用いることができる。
解重合に用いる酸水溶液としては、塩化水素水溶液、臭化水素水溶液、ヨウ化水素水溶液等のハロゲン化水素水溶液等が挙げられるが、解重合後の酸を容易に除去する観点から、塩化水素水溶液(以下、「塩酸」とも記載する。)が好ましい。
酸水溶液の使用量は、使用する酸水溶液の濃度及び酸の使用量に基づいて算出される。
酸水溶液中の酸の濃度は、解重合されたセルロースエーテルの粘度を制御する観点から、好ましくは0を超えて35質量%以下、より好ましくは5~20質量%である。
酸の使用量は、解重合で得られるセルロースエーテルの粘度を制御する観点から、解重合前セルロースエーテルの絶乾質量に、好ましくは0.05~3.00質量%、より好ましくは0.10~1.50質量%を乗じて得られたものである。セルロースエーテルの絶乾質量はセルロースエーテルの質量から、セルロースエーテルの含水量を引くことで求めることができる。セルロースエーテルの含水量は、第17改正日本薬局方の一般試験法の乾燥減量試験法に従って求めることができる。
酸水溶液の添加方法としては、噴霧、シャワー、滴下等が挙げられる。
特に、45~95℃、好ましくは60℃~90℃以上、より好ましくは63~87℃、更に好ましくは65~85℃の解重合されるセルロースエーテルと、55~98℃、好ましくは60~95℃、より好ましくは63~90℃、更に好ましくは65~85℃の酸水溶液とを接触させ、解重合前セルロースエーテルを解重合することにより、より粗大な凝集物及び黒色異物量の発生量を少なくすることができる。
酸水溶液を添加している間においては、解重合されるセルロースエーテルの品温は酸水溶液と接触させる直前に温調した温度を保持していることが好ましい。解重合されるセルロースエーテルの品温が、酸水溶液との接触前後において同じ温度を保持できる点から、酸水溶液と接触するセルロースエーテルと酸水溶液は、同じ温度であることが更に好ましく、例えば65~85℃である。
解重合工程において存在する解重合反応系の水の質量が、該解重合反応系の全質量に対する水分量比は、黄色度の低い解重合後のセルロースエーテルを得る観点から、好ましくは1.0~5.0質量%、より好ましくは1.5~4.0質量%である。解重合系の水分量比が1.0質量%未満であると、黄色度の低い解重合されたセルロースエーテルを得られない可能性がある。また、5質量%以上であると、凝集物の発生量が増大する可能性がある。
ここで、解重合工程において存在する解重合反応系の水分量比は、解重合反応開始時に解重合反応系にセルロースエーテルと酸水溶液のみが存在する場合には、酸水溶液と接触するセルロースエーテルと、酸水溶液の総質量に対する、解重合反応中の水の質量の比、すなわち、[{解重合前セルロースエーテルの含水量(kg)+酸水溶液中の水の質量(kg)}/{解重合前セルロースエーテルと酸水溶液の総質量(kg)}]×100で表される。解重合前セルロースエーテルと酸水溶液の総質量(kg)は、解重合前セルロースエーテルの質量(kg)と酸水溶液の質量(kg)の合計である。解重合反応開始時に解重合反応系にセルロースエーテルと酸水溶液以外の任意成分が存在する場合には、当該成分の含有量と、当該成分を含めた総質量を考慮して解重合工程において存在する解重合反応系の水分量比を算出すればよい。セルロースエーテルと酸水溶液以外の任意成分としては、メタノールやエタノールなどの炭素数2以下のアルコールが挙げられる。
解重合工程は、例えば、反応機を用いて行うことができる。
セルロースエーテルの解重合に用いられる反応機は、特に制限されないが、均一に解重合を行う観点から、セルロースエーテル粒子が反応装置内で均一に撹拌されていることが好ましく、例えば、二重円錐型自転式反応機、斜円筒型自転式反応機、内部撹拌式反応機、流動層反応機等が挙げられる。また、解重合時の反応温度を制御する観点から、セルロースエーテルの解重合に用いられる反応機はジャケット付きであることが好ましい。解重合工程においては、複数の反応機を併用してもよい。
解重合工程における反応温度(品温)は、解重合されたセルロースエーテルの粘度を制御する観点から、好ましくは45~120℃、より好ましくは60~100℃である。なお、解重合反応の速度を制御する観点から、酸水溶液とセルロースエーテルを接触させる際の酸水溶液およびセルロースエーテルの温度と、解重合工程における反応温度は異なってもよい。
解重合工程における解重合時間は、解重合後のセルロースエーテルが所望の粘度になれば特に制限されないが、黄色度の低い解重合後のセルロースエーテルを得る観点から、好ましくは0.1~4.0時間、より好ましくは0.1~2.0時間である。解重合時間とは、解重合前セルロースエーテルと、酸水溶液を接触させ始めた時点から、後述の脱気操作を開始する時点までの時間、もしくは、脱気操作を行わない場合、解重合により得られた解重合セルロースエーテルにアルカリを添加して中和するまでの時間をいう。
なお、黄色度の低い解重合後のセルロースエーテルを得る観点から、酸水溶液の添加時間は、解重合時間の二分の一以下であることが好ましい。
解重合終了後、解重合されたセルロースエーテル中の酸またはその中和塩の残存量を低減するために、系内を減圧して(脱気して)解重合セルロースエーテルから酸を除去しても良い。例えば、酸水溶液が塩化水素水溶液である場合は、解重合工程後、減圧下に、塩化水素を除去する工程を更に含んでもよい。脱気時の反応機の内圧は、酸を効率的に除去する観点から、好ましくは-60~-98kPaGである。
必要に応じて、得られた解重合セルロースエーテルと、アルカリを混合することにより、中和された解重合セルロースエーテルを得る工程を行ってもよい。アルカリとしては、重炭酸ソーダ、炭酸ソーダ等の弱アルカリが挙げられる。アルカリの添加量は、酸が中和されれば、特に制限されない。
中和された解重合セルロースエーテルは、必要に応じて、粉砕及び任意のメッシュサイズの篩にて篩過しても良い。
解重合工程における解重合による粘度低下率は、黄色度の低い解重合後のセルロースエーテルを得る観点から、好ましくは40.0~99.99%、より好ましくは50.0~99.98%、更に好ましくは60.0~99.97%である。
ここで、解重合による粘度低下率とは、解重合前セルロースエーテルの2質量%水溶液の20℃における粘度(解重合前の粘度)に対する、解重合前の粘度と解重合後セルロースエーテルの2質量%水溶液の20℃における粘度(解重合後の粘度)との差の比であり、{(解重合前の粘度-解重合後の粘度)/解重合前の粘度}×100で定義される。
解重合後セルロースエーテルの2質量%水溶液の20℃における粘度は、フィルムコーティングする際の溶液粘度を低く保つ観点から、好ましくは1.0~20.0mPa・s、より好ましくは2.0~20.0mPa・s、更に好ましくは3.0~15.0mPa・sである。
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
黄色度の測定、凝集物の発生量の評価及び黒色異物量の評価は、以下に示す方法にて行った。
<黄色度の測定>
解重合されたセルロースエーテルの20℃の2質量%水溶液を調製し、SMカラーコンピュータ(商品名「SM-4」、スガ試験機社製)により黄色度を測定した。
<凝集物の発生量の評価>
4.7メッシュの篩(有効篩面積0.0314m、目開き4.00mm、関西金網社製)を1段設置したロータップ型篩振とう機(竹田理化工業社製)に解重合されたセルロースエーテル100gを供給した後、回転数250rpm、振とう幅50mm、ハンマーによる衝撃を与えず、1分間篩分けを行う。篩過した際の篩上残分の重量を測定することにより凝集物の発生量を評価した。
<黒色異物量の発生量の評価>
18メッシュの篩(有効篩面積0.0314m、目開き0.85mm、関西金網社製)を1段設置したロータップ型篩振とう機(竹田理化工業社製)に解重合されたセルロースエーテル200gを供給した後、回転数250rpm、振とう幅50mm、ハンマーによる打数67回/分、10分間篩分けを行う。そして、篩通過分として得られた解重合セルロースエーテルから2.5gを採取し、直径10cmのシャーレ上に均一に広げて目視により観察し、大きさ0.1mm以上の大きさの黒色異物の個数を数えた。上記の解重合セルロースエーテルの採取と黒色異物個数の測定を20回繰り返し、合計値の2倍、すなわち100gあたりの黒色異物の個数を黒色異物の発生量とした。
実施例1
HPMC(メトキシ基29.0質量%、ヒドロキシプロポキシ基9.1質量%)1.5kgを内容積10Lのプロシェア型内部撹拌式の反応機(パムアペックスミキサWB、太平洋機工社製)に仕込み、主軸の回転数を150rpm、チョッパーの回転数を1000rpm、ジャケット温度を60℃として15分間撹拌することによりHPMCの温度を50℃に温調した。
次に、撹拌を継続しながら、解重合系の水分が2.29質量%となるように、湯浴を用いて73℃に温調した14質量%塩酸水溶液32.1g(塩化水素としてHPMCの絶乾質量に対して0.30質量%)を30秒間かけて滴下し、滴下後5分間撹拌を継続した。14質量%塩酸水溶液の添加を開始してから終了するまで、HPMCの温度は50~55℃であった。
そして、撹拌終了後、プロシェア型内部撹拌式の反応機内のHPMCと塩酸水溶液の混合物のうち500gを2Lのガラス製反応器(二重円錐型自転式反応機)に移し入れ、内温が80℃になるようにガラス製反応器を水浴中で加熱しながら回転させ60分間反応させた。その後、内圧-96kPaにて脱気して塩酸を除去し、重炭酸ソーダを加えて中和することで解重合されたHPMC500gを得た。
得られた解重合HPMCにつき、凝集物の発生量及び黒色異物数を評価した。解重合前のHPMCの物性、解重合条件、得られた解重合HPMCの物性及び評価結果を表1に示す。
実施例2~6
ジャケット温度や湯浴の温度を変更することにより、表1に記載の解重合前セルロースエーテルの温度及び塩酸の温度に変更した以外は、実施例1と同様に、解重合されたHPMCを製造し、評価した。実施例2~3において、14質量%塩酸水溶液の添加を開始してから終了するまで、HPMCの温度は60~65℃であった。また、実施例4~8において、14質量%塩酸水溶液の添加を開始してから終了するまで、HPMCの温度は67~75℃であった。結果を表1に示す。
実施例9
塩酸水溶液の濃度を14質量%から8質量%に変更することにより、表1に記載の解重合系工程の水分量比を変更した以外は、実施例1と同様に、解重合されたHPMCを製造し、評価した。8質量%塩酸水溶液の添加を開始してから終了するまで、8質量%塩酸水溶液と接触したHPMCの温度は60~65℃であった。
実施例10
HPMCをMC(メトキシ基29.4質量%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、解重合されたMCを製造し、評価した。14質量%塩酸水溶液の添加を開始してから終了するまで、8質量%塩酸水溶液と接触したMCの温度は70~75℃であった。結果を表1に示す。
比較例1~3
ジャケット温度や湯浴の温度を変更することにより、表1に記載の解重合前セルロースエーテルの温度及び塩酸の温度に変更した以外は、実施例1と同様に、解重合されたHPMCを製造し、評価した。結果を表1に示す。
比較例4
塩酸水溶液の濃度を14質量%から8質量%に変更することにより、表1に記載の解重合系工程の水分量比を変更した以外は、実施例9と同様に、解重合されたHPMCを製造し、評価した。結果を表1に示す。
なお、実施例および比較例において得られた解重合HPMCは黒色異物を除いて均一な色の粉末となっており、解重合反応が局所的ではなく、均一に行われたことが推察された。
Figure 0007414685000001
実施例1~9及び比較例1~4の結果により、所定の温度のセルロースエーテルと、酸水溶液とを接触させ、セルロースエーテルを解重合することにより、黄色度を損なうことなく、凝集物及び黒色異物量の発生量が少ない解重合されたセルロースエーテルを製造できることが確認された。
更に、実施例10の結果により、セルロースエーテルの種類を変えても、同様な効果が奏されることが確認された。

Claims (4)

  1. 45~95℃のセルロースエーテルを、55~98℃の酸水溶液と接触させて解重合することにより解重合されたセルロースエーテルを得る解重合工程を少なくとも含み、前記解重合工程において存在する解重合反応系の水の質量が、該解重合反応系の全質量に対して1.0~5.0質量%である解重合セルロースエーテルの製造方法。
  2. 前記酸水溶液と接触させるセルロースエーテル及び前記酸水溶液の温度が、それぞれ65~85℃の範囲にある請求項1に記載の解重合セルロースエーテルの製造方法。
  3. 前記解重合工程において存在する解重合反応系の水の質量が、前記酸水溶液と接触されるセルロースエーテルに含まれる水と、前記酸水溶液に含まれる水との合計質量である請求項1又は請求項2に記載の解重合セルロースエーテルの製造方法。
  4. 前記酸水溶液と接触させるセルロースエーテルが、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及びヒドロキシアルキルアルキルセルロースからなる群から選ばれる請求項1~のいずれか1項に記載の解重合セルロースエーテルの製造方法。
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