JP7410508B2 - 窒化物半導体素子 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化物半導体素子に関する。
Al組成が厚み方向に減少するAlGaNで形成されたp型クラッド層を有する窒化物半導体発光素子が知られている(例えば、特許文献1及び2)。特許文献1には、p型AlGaNクラッド層のAl組成を組成傾斜することによって、レーザ発振する閾値電流密度及び閾値電圧が低くなることが開示されている。特許文献2には、p型クラッド層のAl組成が、電子ブロック層側からp型コンタクト層側に向かってp型クラッド層の厚み全体に亘って漸減するようにし、かつp型クラッド層のAl組成の厚み方向の減少率を0.01/nm以上0.025/nm以下とすることによって、高い寿命を有するIII族窒化物半導体発光素子を得ることができることが開示されている。
また、窒化物半導体発光素子、例えば発光ダイオード(LED)では、高出力化のために大電流を流すことがある。あるいは、低コスト化のために素子を小型化することがある。また、例えばレーザダイオードにおいては電流密度を増加させるために電極面積を小さくすることがある。いずれの場合にも、より高い電流密度での駆動に耐えうる素子が必要となる。特に波長380nm未満の紫外光でのレーザ発振を実現するためには、それよりも長波長の窒化物半導体レーザダイオードよりも高電流密度での駆動が必須である。これは高品質のAlGaN薄膜の成長が困難であること、光を閉じ込めるのに必要な導電型の高Al組成のAlGaN成長が極めて困難であることにより、レーザ発振に必要な閾値電流密度が高いためである。また、特に326nm以下のレーザ素子の光励起法による閾値(数kW/cmから数10kW/cm)からの推測では、少なくとも1kA/cm以上の電流密度がレーザ発振において必要な最低条件である。発光ダイオードの場合でも、低コスト化による小型化、高電流注入による高出力化を両立するために、1kA/cm以上の電流密度に耐えうる素子開発が望まれている。
特開2018-98401号公報 特開2016-171127号公報
本発明の目的は、高電流密度下での駆動においても素子破壊の無い窒化物半導体素子を提供することにある。
記目的を達成するために、本発明の態様による窒化物半導体素子は、井戸層と、前記井戸層に隣接して設けられた障壁層とを有する活性層と、前記活性層よりも上部に形成された電子ブロック層と、前記電子ブロック層よりも上部に形成され、前記活性層から離れる方向に向かってAl組成比が減少するAlGaNで形成された組成変化層とを備え、前記電子ブロック層のAl組成比は、前記組成変化層のAl組成比の最大値と同じであり、前記組成変化層は、0nmより大きく400nmよりも小さい厚さを有する第一組成変化領域と、前記第一組成変化領域よりも前記活性層から離れた領域であって前記組成変化層の膜厚の厚さ方向におけるAl組成比の変化率が前記第一組成変化領域よりも大きい第二組成変化領域とを有し、前記第一組成変化領域は、膜厚の厚さ方向において連続的にAl組成比が変化し、前記第二組成変化領域は、全領域におけるAl組成比が前記井戸層のAl組成比以上であることを特徴とする。
本発明の態様によれば、高電流密度下の駆動においても素子破壊の無い素子を開発することができる。
本発明の第1実施形態による窒化物半導体素子の概略構成の一例を模式的に示す斜視図である。 本発明の第1実施形態による窒化物半導体素子のエネルギーバンドの一例を模式的に示す図である。 本発明の第1実施形態による窒化物半導体素子に備えられた第一窒化物半導体層のAl組成比に対する導波損失の一例を示すグラフである。 本発明の第1実施形態による窒化物半導体素子に備えられた組成変化層を構成する第一組成変化領域の膜厚に対する導波損失の一例を示すグラフである。 本発明の第1実施形態による窒化物半導体素子に備えられた組成変化層を構成する第一組成変化領域の所定端部のAl組成比に対する導波損失の一例を示すグラフである。 本発明の第1実施形態による窒化物半導体素子に備えられた組成変化層を構成する第二組成変化領域の膜厚に対する導波損失の一例を示すグラフである。 本発明の第1実施形態による窒化物半導体素子に備えられた組成変化層を構成する第二組成変化領域の所定端部のAl組成比に対する導波損失の一例を示すグラフである。 本発明の第1実施形態による窒化物半導体素子に備えられた第二窒化物半導体層の膜厚に対する導波損失の一例を示すグラフである。 本発明の第2実施形態による窒化物半導体素子の概略構成の一例を模式的に示す斜視図である。 本発明の第2実施形態による窒化物半導体素子のエネルギーバンドの一例を模式的に示す図である。
〔第1実施形態〕
本発明の一例である第1実施形態による窒化物半導体素子は、紫外光の電流注入によるレーザ発振が可能である。このため、本実施形態による窒化物半導体素子は、紫外発光が可能なレーザダイオードに適用することができる。本実施形態による窒化物半導体素子は例えば、波長が380nmから320nmのUVAや波長が320nmから280nmのUVB、波長が280nmから200nmのUVCの各領域の発光を得ることができる。
本発明の第1実施形態による窒化物半導体素子について図1から図8を用いて説明する。まず、本実施形態による窒化物半導体素子1の概略構成について図1及び図2を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態による窒化物半導体素子1は、基板11と、基板11の上方に設けられてAlGa(1-x)Nで形成された窒化物半導体活性層(活性層の一例)352を備えている。また、窒化物半導体素子1は、窒化物半導体活性層352よりも上部に形成され、窒化物半導体活性層352から離れる方向に向かってAl組成比x3が減少するAlx3Ga(1-x3)Nで形成された組成変化層32を備えている。組成変化層32は、窒化物半導体活性層352から離れる方向に向かってAl組成比x3が連続的に減少する組成傾斜層でもある。組成変化層32は、0nmより大きく400nmよりも小さい厚さを有する第一組成変化領域321を有している。第一組成変化領域321は、膜厚の厚さ方向において連続的にAl組成比が変化している。第一組成変化領域321には、Mgが含まれていても良い。Mgを含む場合は、例えば1×1018cm-3の不純物濃度で第一組成変化領域321に注入されている。また、組成変化層32は、第一
組成変化領域321よりも窒化物半導体活性層352から離れた領域であって組成変化層32の膜厚の厚さ方向におけるAl組成比x3の変化率が第一組成変化領域321よりも大きい第二組成変化領域322を有している。第二組成変化領域322は、膜厚の厚さ方向において連続的にAl組成比が変化している。
窒化物半導体素子1は、窒化物半導体活性層352の両側のうちの組成変化層32が配置されていない側にAlx1Ga(1-x1)Nで形成された第一窒化物半導体層31を備えている。ここで、窒化物半導体活性層352の両側のうちの組成変化層32が配置されていない側は、例えば基板11が配置されている側である。
窒化物半導体素子1は、第一窒化物半導体層31と窒化物半導体活性層352との間に設けられてAlx4Ga(1-x4)Nで形成された下部ガイド層351と、窒化物半導体活性層352と組成変化層32との間に設けられてAlx4Ga(1-x4)Nで形成された上部ガイド層353とを備えている。下部ガイド層351と、窒化物半導体活性層352と、上部ガイド層353とを合わせて発光部35が構成されている。なお、上部ガイド層353、下部ガイド層351を有する構造は一般的には光をガイド層に閉じ込める目的で用いられ、窒化物半導体素子1はレーザダイオードである。窒化物半導体素子1と類似の構造で、下部ガイド層351、上部ガイド層353の無い素子構造は、一般的には発光ダイオード(LED)である。
窒化物半導体素子1は、第一組成変化領域321と上部ガイド層353との間に設けられた電子ブロック層34を備えている。電子ブロック層34は、例えばAlx6Ga(1-x6)Nで形成されている。電子ブロック層34は、窒化物半導体活性層352と上部ガイド層353との間に設けられていても良い。あるいは、電子ブロック層34は、下部ガイド層351を2分するように挿入されていても良い。
窒化物半導体素子1は、0nmよりも厚く100nm未満の膜厚で第二組成変化領域322に隣接して組成変化層32に積層された第二窒化物半導体層33を備えている。第二窒化物半導体層33は、例えばAlx2Ga(1-x2)Nで形成されている。
窒化物半導体素子1は、第二窒化物半導体層33に接触して設けられた第一電極14と、第一窒化物半導体層31の一部に接触して設けられた第二電極15とを備えている。
窒化物半導体素子1は、組成変化層32に設けられた第一組成変化領域321の一部に形成された突出部321aと、組成変化層32に設けられた第二組成変化領域322と、第二窒化物半導体層33とで構成されたリッジ部半導体層17を備えている。第一電極14は、リッジ部半導体層17上に設けられている。
第一窒化物半導体層31は、基板11上に配置されてAlx1Ga(1-x1)Nで形成された第一積層部311と、第一積層部311上に積層されてAlx1Ga(1-x1)Nで形成された第二積層部312とを有している。第二積層部312は、第一積層部311の上面311aの一部に配置されている。このため、第一積層部311の上面311aには、第二積層部312が形成されていない領域と、第二積層部312が形成されている領域とが存在する。なお、第二積層部312は、第一積層部311の上面311aの全面に積層されていてもよい。第二積層部312は、第二積層部312表面の一部に形成された突出部312aを有している。
窒化物半導体素子1は、第一窒化物半導体層31と基板11との間、すなわち基板11上に形成されたAlN層30を備えている。AlN層30は、第一窒化物半導体層31の形成材料であるAlx1Ga(1-x1)Nが一般的な薄膜成長装置である気相成長装置
を用いた成膜中にクラックが入ることを抑制する目的で下地として配置される。AlN層30を有することにより、上層のAlGaN層には圧縮応力が働き、Alx1Ga(1-x1)Nにクラックが発生することが抑制される。
窒化物半導体素子1は、第二積層部312、発光部35、電子ブロック層34、組成変化層32及び第二窒化物半導体層33の一側面を少なくとも含み光を外部へ出射する方向の側面に設けられた共振器面16aを備えている。より具体的には、共振器面16aは、第二積層部312の一側面と、発光部35の一側面と、電子ブロック層34の一側面と、組成変化層32の一側面と、第二窒化物半導体層33の一側面とによって形成される同一平面で構成されている。また、窒化物半導体素子1は、第二積層部312、発光部35、電子ブロック層34、組成変化層32及び第二窒化物半導体層33の一側面に対向する側面を少なくとも含み共振器面16aで反射した光を反射する側面に設けられた裏側共振器面16bを備えている。なお、図1では、裏側共振器面16bの輪郭の一部が太線によって図示されている。より具体的には、裏側共振器面16bは、第二積層部312の他側面と、発光部35の他側面と、電子ブロック層34の他側面と、組成変化層32の他側面と、第二窒化物半導体層33の他側面とによって形成される同一平面で構成されている。
上述のとおり、窒化物半導体素子1は、基板11と、基板11上に積層されたAlN層30と、AlN層30上に積層された第一窒化物半導体層31と、第一窒化物半導体層31上に積層された発光部35と、発光部35上に積層された電子ブロック層34と、電子ブロック層34に積層された組成変化層32と、組成変化層32上に積層された第二窒化物半導体層33と、第二窒化物半導体層33上に形成された第一電極14と、第一窒化物半導体層31上に形成された第二電極15とを備えている。
AlN層30上には、第一窒化物半導体層31の第一積層部311が配置されている。第一窒化物半導体層31の第二積層部312の突出部312a上には、発光部35の下部ガイド層351が配置され、第二積層部312の突出部312aが形成されていない所定領域に第二電極15が配置されている。発光部35を構成する上部ガイド層353上には、電子ブロック層34が配置されている。組成変化層32の第二組成変化領域322上には、第二窒化物半導体層33が配置されている。
このような積層構造を有する窒化物半導体素子1のバンドギャップ構造について図1を参照しつつ図2を用いて説明する。図2中の上段には、窒化物半導体素子1の伝導帯および価電子帯のエネルギー図が模式的に図示されている。図2中の下段には、窒化物半導体素子1の積層構造が当該バンドギャップ構造に対応付けて模式的に図示されている。図2には、窒化物半導体活性層352を構成する井戸層352a及び障壁層352bが模式的に図示されている。なお、図2では、下部ガイド層351と井戸層352aとの間に設けられた障壁層、及び上部ガイド層353と井戸層352aとの間に設けられた障壁層の図示は省略されている。
図2に示すように、井戸層352aの価電子帯エネルギー準位と、井戸層352aの伝導帯エネルギー準位との準位差に相当するエネルギー差が、発光するために必要な光エネルギーElである。レーザダイオードにおいて、光が共振中に導波するのは発光部35である。窒化物半導体素子1では、発光部35に光を閉じ込めるために、発光部35は、発光部35の上下層である第二積層部312並びに電子ブロック層34および組成変化層32よりも屈折率が高く形成される。窒化物半導体においては、例えばAlGaNであればAl組成比率が高いほど屈折率が低くなるため、窒化物半導体素子1におけるAlGaN積層構造においては、発光部35、特に光の導波を担う下部ガイド層351は、第二積層部312並びに電子ブロック層34および組成変化層32よりもAl組成比率が高く形成される。この際、エネルギー図は、図2に示す通りになり、注入された電子・正孔のキャ
リアも発光部35の上下層の第二積層部312並びに電子ブロック層34および組成変化層32よりエネルギーの低い発光部35に閉じ込められることになる。ここで、組成変化層32の一部、図2では第二組成変化層に相当する第二組成変化領域322は下部ガイド層351よりもAl組成比率が低く配置されている。これは、第一組成変化領域321が十分な膜厚と低い屈折率を有することで、第二組成変化領域322に光が漏れない場合に、電流を注入する目的であえてAl組成比率を低くすることができる。この場合、後述する内部ロスは増加しない。また、特にレーザダイオードにおいて発振の閾値を増加させる要因の一つである内部ロスには、薄膜中での光の吸収、あるいは光が導波路を進行中に導波路外へ漏れてしまう減少が関わる。この構造の場合、発光は発光層である窒化物半導体活性層352を構成する井戸層352aから得られ、その光のエネルギーは光エネルギーElである。窒化物半導体素子1への光の吸収は、光エネルギーElよりもバンドギャップエネルギーが小さい半導体層または光エネルギーElとバンドギャップエネルギーとが同じ半導体層で起こる。光エネルギーElとバンドギャップエネルギーとの関係が図2に示す場合には、第二窒化物半導体層33が光を吸収する層に該当する。つまり、窒化物半導体素子1では、第二窒化物半導体層33が光の吸収層となりうる。
一般的に窒化物半導体においては電子の移動度が正孔の移動度よりも高い。このため、窒化物半導体活性層352側の組成変化層32のAl組成比x3が第一窒化物半導体層31のAl組成比x1よりも高く設計されることにより、電子がp型半導体で構成された組成変化層32側へオーバーフローすることが防止される。同時に電子ブロック層34のAl組成比x6も第一窒化物半導体層31のAl組成比x1より高く設計される。これにより、電子が組成変化層32側へオーバーフローすることが防止される。
窒化物半導体素子1は、窒化物半導体活性層352の配置側と反対側の第一組成変化領域321の端部でのAl組成比x3が上部ガイド層353のAl組成比x4よりも高くなるように構成されている。すなわち、窒化物半導体素子1は、第一組成変化領域321の全体のAl組成比x3が上部ガイド層353のAl組成比x4よりも高くなるように構成されている。このため、組成変化層32の屈折率は上部ガイド層353よりも層全体で低くなり、組成変化層32は、発光部35で発光した光を下部ガイド層351および上部ガイド層353で閉じ込め、吸収層を含む第二窒化物半導体層33および第一電極14まで伝搬させない効果を有する。
窒化物半導体素子1は、膜厚が最適値に調整された第一組成変化領域321を有する組成変化層32を備えることにより、光を発光部35に閉じ込めることと、高電流密度下の駆動でも素子破壊をおこさないことを両立している。
窒化物半導体素子1は、窒化物半導体活性層352の配置側と反対側の組成変化層32の端部(すなわち窒化物半導体活性層352の配置側と反対側の第二組成変化領域322の端部)でのAl組成比x3が窒化物半導体活性層352の井戸層352aのAl組成比x5(上部ガイド層353のAl組成比x4よりも低い)よりも高くなるように構成されている。すなわち、第二組成変化領域322の全領域においてAl組成比x3は、井戸層352aのAl組成比x5(上部ガイド層353のAl組成比x4よりも低い)よりも高くなるように構成されている。このため、図2に示すように、第二組成変化領域322全体のバンドギャップエネルギーは、井戸層352aのバンドギャップエネルギーよりも高くなる。つまり、素子発光の光エネルギーElよりも第二組成変化領域322のバンドギャップエネルギーは大きくなる。これにより、窒化物半導体素子1は、組成変化層32での光吸収の抑制が図られている。
窒化物半導体素子1は、第二窒化物半導体層33のAl組成比x2が窒化物半導体活性層352の配置側と反対側の第二組成変化領域322の端部でのAl組成比x3よりも低
くなるように構成されている。このため、図2に示すように、第二窒化物半導体層33の価電子帯エネルギー準位は、窒化物半導体活性層352の配置側と反対側の第二組成変化領域322の端部の伝導帯エネルギー準位よりも低くなる。これにより、窒化物半導体素子1は、第二窒化物半導体層33と第一電極14(図1参照)とのコンタクト抵抗が低減され、低電圧化が図られている。
次に、窒化物半導体素子1を構成する各構成要件の詳細について図1及び図2を参照しつつ図3から図8を用いて説明する。
(基板)
基板11を形成する材料の具体例としては、Si、SiC、MgO、Ga、Al、ZnO、GaN、InN、AlN、あるいはこれらの混晶等が挙げられる。基板11は、薄板の四角形状を有していることが組立上好ましいが、これに限らない。また、基板のオフ角は高品質の結晶を成長させる観点から0度より大きく2度より小さいことが好ましい。基板11の膜厚は、上層にAlGaN層を積層させる目的であるならば特に制限されないが、50マイクロメートル以上1ミリメートル以下であることが好ましい。基板11は、上層薄膜の支持、および結晶性の向上、外部への放熱を目的として使用される。そのため、AlGaNを高品質で成長させることが出来、熱伝導率の高い材料であるAlN基板を用いることが好ましい。基板11の結晶品質には特に制限はないが、高い発光効率を有する素子薄膜を上層に形成することを目的として貫通転位密度1×10cm-2以下が好ましく、1×10cm-2以下がより好ましい。基板の成長面は一般的に用いられる+c面AlNが低コストなため良いが、-c面AlNであっても、半極性面基板であっても、非極性面基板であっても良い。分極ドーピングの効果を大きくする観点からは、+c面AlNが好ましい。
(AlN層)
AlN層30は、基板11の全面に形成されている。AlN層30は本例においては、数マイクロメートル(例えば1.6μm)の厚さを有しているが、この値には限らない。具体的には、AlN層30の膜厚は、10nmより厚く10μmより薄いことが好ましい。AlN層30の膜厚が10nmより厚いことで、結晶性の高いAlNを作製することができ、AlN層30の膜厚が10μmより薄いことでウェハ全面においてクラックの無い結晶成長が可能である。AlN層30は、より好ましくは50nmより厚く、5μmより薄い膜厚を有しているとよい。AlN層30の膜厚が50nmより厚いことで結晶性の高いAlNを再現良く作製することができ、AlN層30の膜厚が5μmより薄いことでクラック発生確率の低い結晶成長が可能となる。基板11の形成材料としてAlNを用いた場合、AlN層30と基板11との間の差異が同一材料のため、AlN層30と基板11との境界が不明確となる。本実施形態では、基板11がAlNで形成されている場合には、基板11上にAlN層が積層されていなくても、窒化物半導体素子1はAlN層を有していると見做すことにする。AlN層30は、第一窒化物半導体層31よりも薄く形成されているが、これに限らない。第一窒化物半導体層31がAlN層30よりも厚い場合、クラックを抑制する範囲内で第一窒化物半導体層31を出来る限り厚膜化することができるため、第一窒化物半導体層31の薄膜積層の水平方向の抵抗が低減され、低電圧駆動の窒化物半導体素子1を実現することができる。窒化物半導体素子1の低電圧駆動が実願すると、発熱による高電流密度駆動下での破壊をより抑制することが可能となる。AlN層30は、第一窒化物半導体層31との間の格子定数差および熱膨張係数差が小さく、欠陥の少ない窒化物半導体層をAlN層30上に成長できる。さらに、AlN層30は、圧縮応力下で第一窒化物半導体層31を成長させることができ、第一窒化物半導体層31にクラックの発生を抑制することができる。基板11がGaNおよびAlNおよびAlGaN等の窒化物半導体で形成されている場合、上記理由のため欠陥の少ない窒化物半導体層を基板11上に成長できる。このため、基板11がGaNおよびAlNおよびAlGaN等
の窒化物半導体で形成されている場合、AlN層30が設けられていなくてもよい。また、その他の基板上においても、高品質のAlGaNを直接基板上に形成し、AlNを有さなくても良い。AlN層30には、炭素やケイ素、鉄、マグネシウム等の不純物が混入されていてもよい。
(第一窒化物半導体層)
第一窒化物半導体層31を構成する第一積層部311を形成する材料は、Alx1Ga(1-x1)N(0<x1<1)が挙げられる。第一窒化物半導体層のAl組成比率は断面構造のエネルギー分散型X線解析(EDX)により特定することが出来る。断面は集束イオンビーム(FIB)装置を用いてAlGaNのa面に沿う断面を露出させる。断面の観察方法としては、透過型電子顕微鏡を用いる。観察する倍率は、測定する層の膜厚に対してx1000倍/nmとする。例えば、100nmの膜厚の層を観察するには100000倍、1μmの膜厚の層を観察するには1000000倍の倍率で観察する。Al組成比率は、AlとGaのモル数の和に対するAlのモル数の比率と定義でき、具体的にはEDXから分析および定量されたAl、Gaのモル数の値を用いて定義することができる。また、第一積層部311を形成するAlx1Ga(1-x1)Nには、P、As、SbといったN以外のV族元素や、C、H、F、O、Mg、Siなどの不純物が含まれていてもよい。第一積層部311がAlx1Ga(1-x1)Nで形成されることにより、第一積層部311の上面311aは、第二積層部312が形成されていない領域がAlGaNで形成される。第一積層部311は、III族元素としてAl、Ga以外の例えばBやInを含んでいてもよいが、BやInを含む箇所において欠陥の形成や耐久性の変化が生まれることから、Al、Ga以外のIII族元素を含まないことが好ましい。本実施形態では、第一積層部311は例えばn型半導体である。第一積層部311をn型半導体にする場合、例えばSiをドープ(例えば1×1019cm-3)することで第一積層部311をn型化させる。第一積層部311をp型半導体にする場合、例えばMgをドープする(例えば3×1019cm-3)ことで第一積層部311をp型化させる。第一積層部311と第二電極15の間は直接接触していても、トンネル接合のように異なる層を介して接続していても良い。n型半導体で構成された第一窒化物半導体層31が第二電極15とトンネル接合されている場合、第一窒化物半導体層31と第二電極15との間にp型半導体が存在している。このため、第二電極15は、このp型半導体とオーミック接合ができるために、例えばNiとAuの積層電極あるいは合金化した金属であることが好ましい。ここで、後述する組成変化層32はAlが減少するAlGaNを用いるため、例えば基板として+c面サファイアの場合には組成変化層32は分極によりp型半導体となる。-c面サファイアを用いれば組成変化層32は分極によりn型半導体となる。PNダイオードを作製する観点から、第二積層部312は、+c面サファイアを用いる場合はn型半導体であり、-c面サファイアを用いる場合はp型半導体である。
第一窒化物半導体層31を構成する第二積層部312は、第一積層部311の上であって第一積層部311の一部に形成されている。第二積層部312は、第一積層部311の上面311aの全面に形成されていてもよい。第二積層部312は、発光部35へ電子あるいは正孔を供給するために、導電性を有していてもよい。第二積層部312の厚さは、特に制限されない。例えば、第二積層部312の抵抗を低減させるために100nm以上であってもよいし、第二積層部312の形成時のクラックの発生を抑制する観点から10μm以下であってもよい。
第二積層部312を形成する材料は、Alx1Ga(1-x1)N(0≦x1≦1)が挙げられる。第二積層部312を形成するAlx1Ga(1-x1)NのAl組成比x1は、第一積層部311の上面311aのAlx1Ga(1-x1)NのAl組成比x1と同じであってもよいし、上面311aのAlx1Ga(1-x1)NのAl組成比x1よりも小さくてもよい。これにより、第一積層部311と第二積層部312との積層界面で
の欠陥の発生を抑制することが可能となる。また、第二積層部312を形成する材料には、P、As又はSbといったN以外のV族元素や、In又はBといったIII族元素、C、H、F、O、Si、Cd、Zn又はBeなどの不純物が含まれていてもよい。
本実施形態では、第二積層部312は例えばn型半導体である。第二積層部312がn型半導体の場合、例えばSiを1×1019cm-3ドープすることでn型化させることが可能である。第二積層部312がp型半導体の場合、例えばMgを3×1019cm-3ドープすることでp型化させることが可能である。不純物濃度は、層全体で一様であっても、不均一であっても良く、また膜厚方向にのみ不均一でも、基板水平方向にのみ不均一であっても良い。
ここで、第一窒化物半導体層31のAl組成比x1及び膜厚について図3を用いて説明する。図3は、窒化物半導体素子1に設けられた第一窒化物半導体層31のAl組成比x1に対する導波損失の一例を示すグラフである。図3中の横軸は第一窒化物半導体層31のAl組成比x1(%)を示し、縦軸は導波損失(cm-1)を示している。
表1は、図3及び後述する図4から図8に示すグラフを得るための窒化物半導体素子1の電流および発光シミュレーションの基本モデルを示している。このシミュレーションでは、窒化物半導体素子1はレーザダイオードを想定している。表1の1段目に示す「層の名称」は窒化物半導体素子1を構成する各層を示し、「Al組成比(%)」は「層の名称」欄に記載された各層を形成するAlGaNのAl組成比を百分率で示している。表1の1段目に示す「膜厚(nm)」は「層の名称」欄に記載された各層の膜厚(単位はナノメートル(nm))を示している。表1の1段目に示す「ドーピング(cm-3)」は「層の名称」欄に記載された各層に注入された不純物の種類及び濃度を示している。なお、不純物が注入されていない層に対応する「ドーピング(cm-3)」欄には「-」が記載されている。表1の1段目に示す「電子移動度(cm/Vs)」は「層の名称」欄に記載された各層における電子移動度を示し、「正孔移動度(cm/Vs)」は「層の名称」欄に記載された各層における正孔移動度を示している。表1の「Al組成比(%)」欄の第二組成変化領域に対応する箇所に記載された「50→0」は、第二組成変化領域のAl組成比が第一組成変化領域側の端部から第二窒化物半導体層側の端部に向かって50%から0%に変化すること示している。表1の「Al組成比(%)」欄の第一組成変化領域に対応する箇所に記載された「80→50」は、第一組成変化領域のAl組成比が電子ブロック層側の端部から第二組成変化領域側の端部に向かって80%から50%に変化すること示している。シミュレーションには、STR Corporation 社のSiLENSe LD Editionを用いた。
Figure 0007410508000001
図3及び後述する図4から図8に示すグラフを得るために、表1に示す電流シミュレーションの基本モデルに加え、レーザシミュレーションモデルとして次の各パラメータが設定されている。窒化物半導体素子1の共振器幅、すなわちリッジ部半導体層17の幅は3μmに設定されている。また、窒化物半導体素子1の共振器長、すなわち共振器面16a及び裏側共振器面16bとの間の長さは500μmに設定されている。さらに、共振器面16a及び裏側共振器面16bのそれぞれの反射率は18%に設定されている。
共振器(すなわち発光部35)における導波損失をαiとし、共振器の長さ(すなわち共振器面16a及び裏側共振器面16bの間の距離)をLとし、光取り出し側の共振器面16aの反射率をRfとし、光取り出し側ではない裏側共振器面16bの反射率をRrとし、ミラー損失をαmとし、発振閾値利得をgthとすると、ミラー損失は、以下の式(1)で表すことができ、発振閾値利得は、以下の式(2)で表すことができる。
Figure 0007410508000002
Figure 0007410508000003
式(2)に示すように、窒化物半導体素子1は、導波損失αi及びミラー損失αmが小さくなることにより、発振閾値利得gthの低減を図ることができる。窒化物半導体素子1は、利得gが導波損失αiおよびミラー損失αmを合わせた光学損失を上回ることにより発振に至る。発振に至る利得gが発振閾値利得gthである。発振電流密度の閾値(以下、「閾値電流密度」と称する場合がある)Jthは、発振閾値利得gthに加えて、窒
化物半導体素子1に外部電源から注入されたキャリアのうち、光子へとエネルギー変換される効率を表す内部効率、及び窒化物半導体素子1中での基板垂直方向の光強度分布中の井戸層352aとの重なり割合で表される光閉じ込め係数、窒化物半導体活性層352の膜厚にも影響される。しかしながら、窒化物半導体素子1の内部効率、及び光閉じ込め係数は、後述する実施例では一定であることが確認されている。同様に、ミラー損失αmは後述する実施例中では34.3cm-1で一定であることが確認されている。また、活性層の膜厚は当該実施例中では全設計で同一の膜厚を用いている。つまり、発振するための閾値電流密度Jthは、導波損失αiが支配因子となっており、後述する実施例ではαiが低い素子ほど閾値電流密度Jthが低く、好ましい素子であるということが出来る。
図3に示すように、導波損失αiは、第一窒化物半導体層31のAl組成比x1が高くなるほど大きくなる。シミュレーションにおいて、第一窒化物半導体層31のAl組成比が50%未満の領域ではレーザ発振が確認されず、第一窒化物半導体層31のAl組成比が80%以上の領域では電流が流れずレーザ発振は確認できなかった。
窒化物半導体素子1のシミュレーションにおいて、第一窒化物半導体層31のAl組成比x1が、窒化物半導体活性層352の配置側とは反対側の第一組成変化領域321の端部でのAl組成比x3よりも0.05以上0.3未満だけ高いと、窒化物半導体素子1は発振することが確認された。したがって、第一窒化物半導体層31は、例えば窒化物半導体活性層352の配置側とは反対側の第一組成変化領域321の端部よりもAl組成比が高くなるように形成されているとよい。つまり、第一窒化物半導体層31のAl組成比x1は、第一組成変化領域321の両端部のうちの第二組成変化領域322側の端部におけるAl組成比x3よりも高くなっているとよい。第一窒化物半導体層31のAl組成比x1は、より好ましくは0.05以上0.1以下である。第一窒化物半導体層31のAl組成比x1がこの範囲にあることにより、特に発振閾値を低くすることができ、さらに必要以上に第一窒化物半導体層31のAl組成比率を高くする必要がなくなる。これにより、第一窒化物半導体層31と第一電極14との間のコンタクト抵抗、および第一窒化物半導体層31の半導体の抵抗を低減することができるため、窒化物半導体素子1の駆動電圧を低減させることが出来る。窒化物半導体素子1の駆動電圧を低減させることで発熱量を抑えることが出来、より高電流密度を実現することが出来、高出力な発光素子や低閾値のレーザダイオードを実現できる。
第一窒化物半導体層31の形成材料であるAlx1Ga(1-x1)NのAl組成比x1が0.2より大きいことにより、第一窒化物半導体層31と下部ガイド層351との間に組成差をつけることが可能となる。加えて、下部ガイド層351と第二窒化物半導体層33との間に組成差をつけることが容易となる。前述したとおり、下部ガイド層351はAl組成を第一窒化物半導体層31の第二積層部312より小さくする必要があるため、組成差を製造工程において制御性良く形成することは光を閉じ込める観点から必要不可欠である。
第一窒化物半導体層31の形成材料であるAlx1Ga(1-x1)NのAl組成比x1は、1より小さくてもよい。一般的にSiC、サファイア、ZnOなどの異種基板を用いたとしても、あるいはAlN基板を用いたとしても、これらの基板の上層には、基板上に積層させるIII族窒化物半導体と擬似格子整合するAlNを積層させることが紫外受発光素子においては特に一般的である。このため、基板上に積層される当該AlNと、第一窒化物半導体層31との間の格子定数差が小さく、高品質の結晶成長が可能となる。
(下部ガイド層)
下部ガイド層351は、第一窒化物半導体層31の第二積層部312の上に形成されている。下部ガイド層351は、窒化物半導体活性層352で発光した光を発光部35に閉
じ込めるために、第二積層部312と屈折率差をつけている。下部ガイド層351を形成する材料として、AlN、GaNの混晶が挙げられる。下部ガイド層351を形成する材料の具体例は、Alx4Ga(1-x4)N(0<x4<1)である。下部ガイド層のAl組成比率は断面構造のエネルギー分散型X線解析(EDX)により特定することが出来る。Al組成比率は、AlとGaのモル数の和に対するAlのモル数の比率と定義でき、具体的にはEDXから分析および定量されたAl、Gaのモル数の値を用いて定義することができる。下部ガイド層351を形成するAlx4Ga(1-x4)NのAl組成比x4は、第二積層部312を形成するAlx1Ga(1-x1)NのAl組成比x1よりも小さくてもよい。これにより、下部ガイド層351は、第二積層部312よりも屈折率が大きくなり、窒化物半導体活性層352で発光した光を発光部35に閉じ込めることが可能となる。また、下部ガイド層351を形成する材料には、P、As又はSbといったN以外のV族元素や、In又はBといったIII族元素、C、H、F、O、Si、Cd、Zn又はBeなどの不純物が含まれていてもよい。
下部ガイド層351がn型半導体の場合、例えばSiを1×1019cm-3ドープすることでn型化させることが可能である。下部ガイド層351がp型半導体の場合、例えばMgを3×1019cm-3ドープすることでp型化させることが可能である。下部ガイド層351は膜厚方向の一部分にのみドーパントを有していても良い。つまり、下部ガイド層351の膜厚方向の一部分では、n型半導体とアンドープ層や、p型半導体とアンドープ層が組み合わされていても良い。下部ガイド層351は、アンドープ層であってもよい。下部ガイド層351は、組成を傾斜させた構造を有していてもよい。例えば、下部ガイド層351は、Alx4Ga(1-x4)NのAl組成比x4を0.6から0.5に連続的又は階段状に変化させる層構造を有していてもよい。下部ガイド層351の厚さは、特に制限されない。下部ガイド層351の厚さは、窒化物半導体活性層352からの発光を効率よく発光部35へ閉じ込めるために10nm以上であってもよい、また、下部ガイド層351の厚さは、下部ガイド層351の抵抗を低減させる観点から2μm以下であってもよい。下部ガイド層351は、光を発光部35に閉じ込める目的を保持する範囲内でブロック層となるAlGaN層を有していても良い。これは、後述する電子ブロック層34と同様にキャリアをブロックすることを目的とする。
(窒化物半導体活性層)
窒化物半導体活性層352は、窒化物半導体素子1の発光が得られる層である。つまり、窒化物半導体活性層352は、発光層である。窒化物半導体活性層352を形成する材料として、AlN、GaN、およびその混晶が挙げられる。窒化物半導体活性層352を形成する材料の具体例は、AlGa(1-x)N(0≦x≦1)である。窒化物半導体活性層352のAlGa(1-x)NのAl組成比xは、第一電極14および第二電極15から注入したキャリアを効率よく発光部35に閉じ込めるために、下部ガイド層351のAlx4Ga(1-x4)NのAl組成比x4よりも小さくてもよい。例えば、窒化物半導体活性層352は、Al組成比xが0.2≦x<1の関係を満たすAlGa(1-x)Nで形成されていてもよい。また、窒化物半導体活性層352を形成する材料には、P、As又はSbといったN以外のV族元素や、In又はBといったIII族元素、C、H、F、O、Si、Cd、Zn又はBeなどの不純物が含まれていてもよい。
窒化物半導体活性層352がn型半導体の場合、例えばSiを1×1019cm-3ドープすることでn型化させることが可能である。窒化物半導体活性層352がp型半導体の場合、例えばMgを3×1019cm-3ドープすることでp型化させることが可能である。窒化物半導体活性層352は、アンドープ層でもよい。
窒化物半導体活性層352は、例えばAlx5Ga(1-x5)Nで形成された井戸層352a(図2参照)と、井戸層352aに隣接して設けられて例えばAlx4Ga(1
-x4)Nで形成された障壁層352b(図2参照)を有し、井戸層352a(図2参照)及び障壁層352bが1つずつ交互に積層された多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)構造を有していてもよい。井戸層352aのAl組成比x5は、下部ガイド層351および上部ガイド層353のそれぞれのAl組成比x4よりも小さい。また、井戸層352aのAl組成比x5は、障壁層352bのAl組成比x4よりも小さい。本実施形態では、障壁層352bのAl組成比x4は、下部ガイド層351および上部ガイド層353のそれぞれのAl組成比x4と同一であるが、下部ガイド層351および上部ガイド層353のそれぞれのAl組成比x4より高くても低くてもよい。井戸層352aおよび障壁層352bの平均のAl組成比が窒化物半導体活性層352のAl組成比xとなる。窒化物半導体素子1は、多重量子井戸構造の窒化物半導体活性層352を有することにより、窒化物半導体活性層352の発光効率や発光強度の向上を図ることができる。井戸層352aおよび障壁層352bのAl組成比率は断面構造のエネルギー分散型X線解析(EDX)により特定することが出来る。Al組成比率は、AlとGaのモル数の和に対するAlのモル数の比率と定義でき、具体的にはEDXから分析および定量されたAl、Gaのモル数の値を用いて定義することができる。窒化物半導体活性層352は、例えば「障壁層/井戸層/障壁層/井戸層/障壁層」という二重量子井戸構造を有していてもよい。これら井戸層のそれぞれの膜厚は例えば4nmであってよく、これらの障壁層のそれぞれの膜厚は例えば8nmであってよく、窒化物半導体活性層352の膜厚は32nmであってもよい。多重量子井戸層の量子井戸数は1層であっても(つまり、多重量子井戸ではなく単量子井戸)、2層、3層、4層、5層であっても良い。1つの井戸層内のキャリア密度を増加させる目的から、単一井戸層であることが好ましい。
窒化物半導体活性層352を構成する井戸層352aの形成材料のAlx5Ga(1-x5)NのAl組成比x5が0.2≦x5<1の関係を満たすようにすると、上記の本発明の効果が高い。井戸層352aのAl組成比x5が0.2より小さい場合、窒化物半導体素子1の発光効率を高くする観点および駆動電圧を低くする観点から、第一窒化物半導体層31、組成変化層32及び第二窒化物半導体層33のAl組成比x2の最大値は0.2以上でなるべく小さい値を取ることが好ましくなる。これは、窒化物半導体素子1の各層Al組成比が大きくなるとダイオードの駆動に必要な駆動電圧が原理的に大きくなること、並びに第一窒化物半導体層31と第二電極15との間のコンタクト抵抗および第二窒化物半導体層33と第一電極14との間のコンタクト抵抗が大きくなることにより、駆動電圧が大きくなるためである。窒化物半導体素子1の駆動電圧が大きくなると、発熱量が大きくなることにより高電流密度下での素子破壊が起こりやすくなるため好ましくない。しかしながら、Al組成が小さい場合、第一組成変化領域321と第二組成変化領域322との間のAl組成差が小さくなり、Al組成差が大きいほどつきやすいホールガスを生成する観点から不利になる。窒化物半導体活性層352の形成材料のAlGa(1-x)NのAl組成比xが1の場合、窒化物半導体活性層352をAlGaNで井戸構造が作れないため、キャリアおよび光を閉じ込めることが困難で、発光ダイオード(LED)では発光効率が低く、半導体レーザ(LD)ではレーザ発振を実現できない。また、窒化物半導体素子1は、AlN層30を備えているので、第一組成変化領域321のAl組成比x3が0.2より小さい場合、窒化物半導体活性層352での格子緩和を避けるために、窒化物半導体活性層352下の成長中に内部応力に起因する3次元成長させる成長条件で成長させることが好ましい。その3次元成長させる成長条件を用いない場合、窒化物半導体活性層352の成長中に緩和が起こり、ミスフィット転位等の発光を阻害する欠陥が増加するため発光効率が低下しやすくなる。井戸層352aのAl組成比x5が0.2≦x5<1の関係を満たすAlGa(1-x)Nで窒化物半導体活性層352が形成されることにより、窒化物半導体活性層352よりも下層で緩和が起こり、窒化物半導体活性層352中での格子緩和を抑制することで発光効率が低下することを抑制することができ、かつ井戸層352aの形成材料のAl組成比x5を1より小さくすることで窒化物半導体
活性層352にキャリアを輸送しやすくなるので、発光効率の低下が抑制される。
(上部ガイド層)
上部ガイド層353は、窒化物半導体活性層352の上に形成されている。上部ガイド層353は、窒化物半導体活性層352で発光した光を発光部35に閉じ込めるために、第二窒化物半導体層33と屈折率差をつけている。上部ガイド層353を形成する材料として、AlN、GaN、およびその混晶が挙げられる。上部ガイド層353を形成する材料の具体例は、Alx4Ga(1-x4)N(0≦x4≦1)である。上部ガイド層353のAl組成比率は断面構造のエネルギー分散型X線解析(EDX)により特定することが出来る。Al組成比率は、AlとGaのモル数の和に対するAlのモル数の比率と定義でき、具体的にはEDXから分析および定量されたAl、Gaのモル数の値を用いて定義することができる。上部ガイド層353のAlx4Ga(1-x4)NのAl組成比x4は、井戸層352aのAlx5Ga(1-x5)NのAl組成比x5よりも大きくてもよい。これにより、窒化物半導体活性層352へキャリアを閉じ込めることが可能となる。また、上部ガイド層353を形成する材料には、P、As又はSbといったN以外のV族元素や、In又はBといったIII族元素、C、H、F、O、Si、Cd、Zn又はBeなどの不純物が含まれていてもよい。
上部ガイド層353がn型半導体の場合、例えばSiを1×1019cm-3ドープすることでn型化させることが可能である。上部ガイド層353がp型半導体の場合、例えばMgを3×1019cm-3ドープすることでp型化させることが可能である。上部ガイド層353は、アンドープ層でもよい。上部ガイド層353は、Alx4Ga(1-x4)NのAl組成比x4を傾斜させた構造を有していてもよい。例えば、上部ガイド層353は、Alx4Ga(1-x4)NのAl組成比x4を0.5から0.6に連続的又は階段状に変化させる層構造を有していてもよい。上部ガイド層353の厚さは、特に制限されない。上部ガイド層353の厚さは、窒化物半導体活性層352からの発光を効率よく発光部35へ閉じ込めるために10nm以上であってもよい。また、上部ガイド層353の厚さは、上部ガイド層353の抵抗を低減させる観点から2μm以下であってもよい。上部ガイド層353及び下部ガイド層351のそれぞれのAlx4Ga(1-x4)N(0≦x4≦1)のAl組成比x4は、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
(電子ブロック層)
電子ブロック層34は、例えばAlx6Ga(1-x6)Nで形成されている。電子ブロック層34は、第二積層部312がn型半導体、組成変化層32がp型半導体の場合にはp型半導体であることが好ましく、Mgが注入されていることが好ましい。Mgは、例えば1×1018cm-3の不純物濃度で電子ブロック層34に注入されている。これにより、電子ブロック層34は、p型化されてp型半導体に構成される。電子ブロック層34はMgが添加されていなくても良い。電子ブロック層34にMgが添加されていないことにより、電子ブロック層34の導電性は低下するが、特にレーザダイオードにおいては吸収による内部ロスの増加を抑制することができるため、閾値電流密度Jthを下げることが可能である。窒化物半導体素子1が組成変化層32におけるホール濃度が低い場合、第一窒化物半導体層31側から流入する電子の全てが窒化物半導体活性層352に注入されず、一部の電子が組成変化層32側に流れてしまう可能性がある。そうすると、窒化物半導体素子1は、電子の注入効率が低下するので、発光効率を十分に向上させることが困難になる可能性がある。そこで、本実施形態では、発光部35と組成変化層32との間に電子ブロック層34が設けられている。電子ブロック層34は、第一窒化物半導体層31側から流入されて窒化物半導体活性層352に注入されなかった電子を反射して窒化物半導体活性層352に注入することができる。これにより、窒化物半導体素子1は、電子の注入効率が上昇するので、発光効率の向上を図ることができる。
電子ブロック層34は、電子をブロックする観点からはできるだけバリア高さが高いことが要求される。しかしながら、バリア高さを高くしすぎると、素子抵抗が高くなり、窒化物半導体素子1の駆動電圧の増加、窒化物半導体素子1を破壊しない範囲で到達し得る最大電流密度の低下を引き起こす。そのため、電子ブロック層34のバリア高さは最適点を有する。電子ブロック層34のAl組成比x6の好ましい範囲は、窒化物半導体活性層352のAl組成比x4よりもAl組成比率が0.3以上高く0.55未満である。該当箇所の組成差が0.55の場合、素子抵抗の増加がみられ、0.3未満では素子が絶縁化する現象がみられている。0.3未満で絶縁化する理由としては、下部ガイド層351と電子ブロック層34との間のAl組成差により生じる2次元電子ガスと、第一組成変化領域321層中に生じる3次元正孔ガスが、電子ブロック層34を介して相互拡散し、結果としてキャリア消滅を引き起こして電子ブロック層34の周囲に空乏層を形成することによるものと推測される。これは、窒化物半導体活性層352と電子ブロック層34の組成差が0.3より小さいと特に下部ガイド層351側に生じる電子ガスが組成変化層32側へ拡散しやすくなることが原因と考えられる。また、クラックの発生を抑制する観点から、電子ブロック層34のAl組成比x6は、1より小さいことが好ましい。
本実施形態では、電子ブロック層34を形成するAlx6Ga(1-x6)NのAl組成比x6は、組成変化層32を形成するAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3の最大値と同じ値に設定されている。電子ブロック層34のAl組成比率は断面構造のエネルギー分散型X線解析(EDX)により特定することが出来る。Al組成比率は、AlとGaのモル数の和に対するAlのモル数の比率と定義でき、具体的にはEDXから分析および定量されたAl、Gaのモル数の値を用いて定義することができる。また、電子ブロック層34は、窒化物半導体活性層352と上部ガイド層353との間に配置されることもある。また、電子ブロック層34は下部ガイド層351中に下部ガイド層351を分割するように配置される場合もある。また、電子ブロック層34は、下部ガイド層351と窒化物半導体活性層352との間に配置されることもある。また、これらの配置場所に複数の電子ブロック層34が配置されることもある。電子ブロック層34は、単一Al組成で形成されていても、Al組成が高組成と低組成を繰り返す超格子構造であっても良い。電子ブロック層34の厚さは0nm、つまり電子ブロック層34が無くても良い。電子ブロック層34の膜厚範囲としては、0nm以上50nm以下が好ましい。電子ブロック層34の膜厚が50nm以下で素子抵抗が低く低駆動電圧となる。電子ブロック層34の膜厚は、より好ましくは0nm以上30nm以下で、さらに好ましくは2nm以上20nm以下である。電子ブロック層34の膜厚が小さいほど素子抵抗を下げることができるため、窒化物半導体素子1の駆動電圧の増加を抑制できるが、電子ブロック層34の膜厚が2nmより厚いと電子ブロックの効果を発揮し内部効率を向上できるため発光出力向上の観点からは好ましい。
(組成変化層)
組成変化層32の一部は、リッジ部半導体層17の一部を構成している。すなわち、組成変化層32の第一組成変化領域321に形成された突出部321a及び第二組成変化領域322は、リッジ部半導体層17の一部を構成している。本実施形態では、突出部321aは、第一組成変化領域321のうち、第二電極15にできる限り近い距離に配置されている。つまり、リッジ部半導体層17は、第二電極15側に偏らせて配置されていている。リッジ部半導体層17が第二電極15に近付くことによって、窒化物半導体素子1中を流れる電流経路が短くなるので、窒化物半導体素子1中に形成される電流経路の抵抗値を下げることができる。これにより、窒化物半導体素子1の駆動電圧を低くすることができる。しかしながら、突出部321aおよびリッジ部半導体層17は、リソグラフィの再現性の観点から1μm以上メサ端より離れていることが好ましい。中央に配置されている側に片寄らせて形成されていてもよい。
ここで、組成変化層32を構成する第一組成変化領域321について説明する。第一組成変化領域321を構成するAlGaNは、P、As又はSbといったN以外のV族元素や、In又はBといったIII族元素、C、H、F、O、Si、Cd、Zn又はBeなどの不純物が含まれていてもよい。また、第一組成変化領域321を構成するAlGaNは、n型半導体のドーパントとしてSi、p型半導体のドーパントとしてMgを含んでいても良い。第一組成変化領域321は連続的にAl組成比率が減少する領域であり、+c面成長の際には分極により正孔が発生する。この場合、第一組成変化領域321は、ドーパントとしてMgを含んでいても良い。-c面成長の際には分極により電子が発生する。この場合、第一組成変化領域321はドーパントとしてSiを含んでいても良い。第一組成変化領域321はドーパントとしてのSi、Mgを含まないアンドープ層であっても良い。第一組成変化領域321をアンドープ層とすることにより、不純物起因の光の吸収を抑制することができ、レーザダイオードにおいて内部損失を低減することが可能である。また、発光ダイオードにおいても光吸収を抑制することにより光取り出し効率が向上し、発光効率を向上させることが可能である。第一組成変化領域321のAlGaNの電子ブロック層34側のAl組成比率は、電子ブロック層34のAl組成比率と同じであっても、高くても、低くても良い。第一組成変化領域321のAlGaNの電子ブロック層34側のAl組成比率と、電子ブロック層34のAl組成比率とが同じである場合、相間の障壁を抑制する観点から最もダイオードの立ち上がり電圧の低い素子を作製することが出来るため、例えば低電圧で駆動する低消費電力の素子に適している。第一組成変化領域321のAlGaNの電子ブロック層34側のAl組成比率が電子ブロック層34のAl組成比率よりも高い場合には、第一組成変化領域321のAl組成比率の層内変化率を高くすることが出来るので、分極ドーピングによるキャリア密度を高くすることが出来る。この場合、素子抵抗を低くすることが出来るため、例えば大電流において大電圧で駆動する高出力発光素子や閾値電流密度Jthの高いレーザダイオードに適している。第一組成変化領域321のAlGaNの電子ブロック層34側のAl組成比率が電子ブロック層34のAl組成比率よりも低い場合には、電子ブロック層34と第一組成変化領域321との間のAl組成比率差により生じる2次元ホールガスを利用することで、電流値の低い低キャリア密度時においても高い内部効率を実現できるため、低電流でも高い発光特性を必要とする発光ダイオードに適している。組成変化層32の組成変化は断面構造のエネルギー分散型X線解析(EDX)により特定することが出来る。具体的に組成変化層32と考える層の膜厚に対して大きくとも1/10以下の距離の分解能を有する条件において対称とする層内において10点以上の測定点を有する測定を実施する。Al組成比率が膜厚に対して線形である場合、本構造は連続的であると見做す。この際、線形性の定義としては、測定結果として得られるAl組成比率を膜厚に対してプロットしたグラフにおいて、線形回帰を実施した際に、少なくとも3点以上の測定点のAl組成比率に差があり、かつ決定定数が0.95以上である。なお、決定定数をRとすると、決定定数は以下の式(3)で定義できる。
Figure 0007410508000004
式(3)において、yは測定点iにおけるAl組成比率を表し、eは全測定点に対するAl組成比率の平均値を表し、f(x)は回帰直線の位置xにおける予測値を表す。測定点のうち、最も活性層に近い測定点を第一測定点と考え、活性層から離れるに従って順次第二測定点、第三測定点、(以下続く)と定義する。
選択した膜厚内において決定定数が0.7以上かつ0.95未満である場合には第一組成変化領域の定義とは適合しない。その場合は、測定を行うために選択した膜厚内において第一組成変化領域が傾斜率(すなわち変化率)を変えて多段階に積層している可能性があるため、選択膜厚を短くして測定を実施し直す。決定定数が0.95以上となる最大膜厚を第一組成変化領域の膜厚と定義する。同様に、選択した膜厚内において決定定数が0.7以上かつ0.95未満である場合には第一組成変化領域の定義とは適合しない。その場合は、膜厚範囲が小さすぎて第一組成変化領域のAl組成の傾斜率(すなわち変化率)よりも測定誤差や通常の薄膜成長時のAl組成ばらつきを測定している可能性があるため、選択膜厚を長くして測定を実施し直す。測定をし直した場合に、より厚い膜厚において決定定数が0.95以上となる膜厚が存在する場合には、これを第一組成変化領域の膜厚と定義する。この膜厚が0nmより大きく400nmより小さい場合、第一組成変化領域であると見做す。
この定義の場合には、実際にはAl組成の組成差が変化する微小領域とAl組成の組成差が一定である微小領域とを組み合わせた階段状に小さくする階段構造や、Al組成が連続的に変化しかつ傾斜率(すなわち変化率)も連続的に変化する構造も一部、本発明に含まれる。本発明の効果を考慮した場合、これらの構造は、本発明に含まれるべきであるため、本発明における第一組成変化領域と定義する。以下に述べる組成変化層も同様に定義する。
次に、以下に述べる第二組成変化領域との区別について述べる。例えばAl組成比率が0.9から0.5まで連続的に減少する厚さ220nmの第1の層と、Al組成比率が0.5から0.3まで連続的に減少する厚さ30nmの第2の層を組み合わせた構造は当然本発明の第一組成変化領域および第二組成変化領域として定義される。EDXで測定する測定点を例えば第1の層から9点、第2の層から1点抽出した場合、測定点の選択によっては回帰曲線の決定定数が0.95以上となる場合がある。このような場合は、選択した第一組成変化領域の膜厚領域が誤っている。より薄い膜厚において上記定義に従い第一組成変化領域と第二組成変化領域の傾斜率(すなわち変化率)を区別できる場合には、本発明に含まれる第一組成変化領域と第二組成変化領域とを組み合わせた構造であると定義する。第一組成変化領域のAl組成比率の膜厚に対する変化率は、上記により決定した回帰直線の傾きと定義する。
第一組成変化領域321の膜厚について図1及び図2を参照しつつ図4を用いて説明する。図4は、窒化物半導体素子1に設けられた組成変化層32の第一組成変化領域321の膜厚に対する導波損失のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。図4中の横軸は第一組成変化領域321の膜厚(nm)を示し、縦軸は導波損失(cm-1)を示している。また、このシミュレーションの結果では、内部効率、光閉じ込め係数はほぼ変化が無く、窒化物半導体活性層352の膜厚は同一の設計で実施したため、導波損失αiが閾値電流密度Jthの支配因子となっている。
式(2)に示すように、窒化物半導体素子の発振閾値利得gthは、導波損失αiが小さいほど低くなる。このため、窒化物半導体素子1の発振の観点では、第一組成変化領域321の膜厚は、0nmから400nmであってもよい。図4に示すように、このシミュレーション結果から、第一組成変化領域321は150nm以上で導波損失の低減が見られ、400nm以上ではほぼ同等の値となっている。つまり、レーザダイオード特性としては150nm以上が好ましい。また、シミュレーション上は計算が可能であるが、実際には、第一組成変化領域321の膜厚が400nm以上の厚さであると第一組成変化領域321の抵抗が高くなり、駆動電圧の増加による発熱量の増加が生じ、窒化物半導体素子1の破壊が起こりやすくなる。つまり、第一組成変化領域321は400nmより薄い必要がある。また、後述するが、第一組成変化領域321の厚さが0nmより厚く150n
mより薄い領域であっても、1kA/cm以上の高電流密度を実現可能である。光閉じ込めの必要のない例えば発光ダイオード(LED)では、第一組成変化領域321が0nmより厚く150nmより薄い膜厚であっても高電流密度を実現する良好な素子を作製できるため効果がある。レーザダイオードとしては、第一組成変化領域321の膜厚は、さらに150nm以上400nm未満が好ましい。第一組成変化領域321の膜厚は、より導波損失αiを低くする観点から、200nm以上400nm未満がより好ましい。さらに、第一組成変化領域321の膜厚は、導波損失αiを低くする観点から、300nm以上400nm未満がより好ましい。
次に、窒化物半導体素子1の最大電流密度、最大電流時電圧及び電気良品収率の観点に基づく第一組成変化領域321の膜厚について説明する。窒化物半導体素子1の当該観点に基づく第一組成変化領域321の膜厚を検討するために、第一組成変化領域321に対する最大電流密度、最大電流時電圧及び電気良品収率を実際に素子を作製し測定した。なお、この測定の説明の便宜上、測定に用いた窒化物半導体素子及び窒化物半導体素子の構成要素には、本実施形態による窒化物半導体素子1及び窒化物半導体素子1の構成要素の符号を用いることにする。
窒化物半導体素子1の最大電流密度、最大電流時電圧及び電気良品収率の測定にあたり、窒化物半導体素子1と同じ構成を有し、かつ第一組成変化領域321の膜厚を変更した5種類のサンプルをそれぞれ54個作製した。具体的には、第一組成変化領域321の膜厚が40nmのサンプルA1、当該膜厚が75nmのサンプルA2、当該膜厚が245nmのサンプルA3、当該膜厚が374nmのサンプルA4及び当該膜厚が404nmのサンプルA5の5種類である。サンプルA1~A5の窒化物半導体素子1の各層の組成などのパラメータは、上述の表1に示す電流シミュレーションの基本モデルとほぼ同じであるが、第一組成変化領域の膜厚の他に、以下のパラメータが異なっている。
(1)第二組成傾斜層の膜厚:75nm
(2)窒化物半導体活性層の発光層のAl組成比:35%
(3)第一窒化物半導体層の膜厚:3000μm
(4)AlN層の膜厚:1600nm
窒化物半導体素子1における電流密度Jは、第一電極14から第二電極15に向かって窒化物半導体素子1に流れる電流Iと、第一電極14が第二窒化物半導体層33に接触する面積Sとを用いて以下の式(4)のように定義される。なお、式(4)は、電流密度J、電流I及び面積Sの各符号を用いて表されている。
J=I÷S ・・・(4)
窒化物半導体素子1の最大電流密度Jmaxは、第一電極14及び第二電極15の間に印加する印加電圧Vaの電圧値を所定間隔で段階的に増加することによって窒化物半導体素子1に流す電流Iの電流量を増加していき、窒化物半導体素子1が破壊される直前の電流値に基づいて算出される。最大電流密度Jmaxの算出に当たって、窒化物半導体素子1の電圧電流特性が一般的なダイオード曲線から外れた場合に窒化物半導体素子1が破壊されたと判定する。具体的には、最大電流密度Jmaxを得た測定点の次の測定点の測定を実施した際に、電圧が低下し、電流値が極端に高くなる。また、当該ダイオード曲線から外れる直前(1つ前)の測定点の電流Iに基づく電流密度が最大電流密度Jmaxと定義される。さらに、窒化物半導体素子1の電流電圧特性が一般的なダイオード曲線から外れる直前(1つ前)の印加電圧Vaが最大電流時電圧Vmaxと定義される。窒化物半導体素子1の電流電圧特性は、パルス幅が50nsecでありパルス周期が500μsであるパルス信号の印加電圧Vaによるパルス測定によって評価された。
電気良品収率は、サンプルA1~A6のそれぞれについて、54個の窒化物半導体素子1のうち、以下の良品条件を満たす窒化物半導体素子1の割合と定義される。
<良品条件>
電流Iの上限を20mAに設定した状態で第一電極14及び第二電極15の間に0Vから20Vまで電圧掃引するCW(Continuous Wave)測定を行い、3Vでの電流値が1mA以上であり、かつ20mAの電圧値が7V以下であること:
表2は、第一組成変化領域321の膜厚に対する最大電流密度、最大電流時電圧及び電気良品収率の測定結果を示している。表2の1段目に示す「サンプル」は測定に用いられた窒化物半導体素子1のサンプルの種類を示している。表2の1段目に示す「第一組成変化領域の厚さ[nm]」は、測定に用いられた窒化物半導体素子1に設けられた第一組成変化領域321の膜厚(大かっこ内は膜厚の単位)を示している。表2の1段目に示す「最大電流密度[kA/cm]」は、測定に用いられた54個の窒化物半導体素子1のそれぞれの最大電流密度の平均値(大かっこ内は単位)を示している。表2の1段目に示す「最大電流時電圧[V]」は、測定に用いられた54個の窒化物半導体素子1のそれぞれに印加された最大電流時電圧の平均値(大かっこ内は単位)を示している。表2の1段目に示す「電気良品収率[%]」は、測定に用いられたサンプルの種類ごとの電気良品収率(大かっこ内は単位)を示している。
Figure 0007410508000005
表2に示すように、サンプルA1の窒化物半導体素子1は、サンプルA2~A5の窒化物半導体素子1と比較して、第一組成変化領域321の膜厚が最も薄い。このため、サンプルA1の窒化物半導体素子1は、第一組成変化領域321における電子をブロックする効果が少ないので、リーク不良が発生し易い。これは、電子のブロックが電子ブロック層34だけではなく、第一組成変化領域321層も寄与していることを示している。これにより、サンプルA1の窒化物半導体素子1は、高電流注入下でもリーク起因で破壊され高電流が流せず、最大電流密度Jmaxが1.15kA/cmとサンプルA2~A4の窒化物半導体素子1と比較して低くなる。しかし、最大電流密度Jmaxは1kA/cmより高いため、サンプルA1の窒化物半導体素子1もまた本発明の効果がある。また、サンプルA1の窒化物半導体素子1は、電気良品収率が6(%)となり、サンプルA1~A5の窒化物半導体素子1のうち電気良品収率が最も低い。つまり、サンプルA1の窒化物半導体素子1は、サンプルA1~A5の窒化物半導体素子1の中で最もリーク不良が発生しやすい。
サンプルA5の窒化物半導体素子1は、サンプルA1~A4の窒化物半導体素子1と比較して、第一組成変化領域321の膜厚が最も厚い。このため、サンプルA5の窒化物半
導体素子1は、サンプルA1~A4の窒化物半導体素子1よりも高抵抗となるため、通電中の印加電圧Vaが高くなり熱破壊し易くなる。このため、サンプルA5の窒化物半導体素子1は、最大電流密度Jmaxが0.39kA/cmとなって1kA/cm以上の高電流密度を実現し難い。
サンプルA3の窒化物半導体素子1は、サンプルA1~A5の窒化物半導体素子1の第一組成変化領域321の膜厚の範囲の中でほぼ中間の膜厚の第一組成変化領域321を有している。このため、サンプルA3の窒化物半導体素子1は、サンプルA1の窒化物半導体素子1と比較すると、第一組成変化領域321における電子をブロックする効果が高くなり、リーク不良が発生し難い。また、サンプルA3の窒化物半導体素子1は、サンプルA5の窒化物半導体素子1と比較すると、窒化物半導体素子1の抵抗が低いので、通電中の印加電圧Vaが低くなり熱破壊がし難くなる。このように、サンプルA3の窒化物半導体素子1は、第一組成変化領域321における電子をブロックする効果と、窒化物半導体素子1の抵抗値とのバランスが良好となる。その結果、サンプルA3の窒化物半導体素子1は、最大電流密度Jmaxが47kA/cmとなって高電流が流し易く、かつ電気良品収率が93%となってサンプルA1,A2,A4,A5の窒化物半導体素子1と比較して高くなる。
最大電流密度Jmaxが1kA/cmの電流密度に耐える窒化物半導体素子1、すなわち最大電流密度Jmaxが1kA/cmの窒化物半導体素子1は、素子面積を小さくすることができる。また、レーザ発振の閾値から換算すると、レーザ発振には1kA/cm以上の電流密度が必要である。このため、窒化物半導体素子1は、1kA/cm以上の電流密度、例えば電流密度が5kA/cm又は10kA/cmに耐えうることがより好ましい。
このように、窒化物半導体素子1に設けられる第一組成変化領域321には、発振、最大電流密度、最大電流時電圧及び電気良品収率の観点から最適な膜厚が存在する。第一組成変化領域321の膜厚が0nmより、より厚くなることにより、リーク不良が発生する窒化物半導体素子1が減少する。このため、第一組成変化領域321の膜厚は、0nmよりも厚いことが必要となる。また、第一組成変化領域321の膜厚が400nm以上であると、通電破壊不良が発生する窒化物半導体素子1が増加する。このため、第一組成変化領域321の膜厚は、400nmよりも薄いことが必要となる。したがって、本実施形態による窒化物半導体素子1では、第一組成変化領域321は、例えば0nmより大きく400nmよりも小さい厚さを有しているとよい。
また、窒化物半導体素子1の動作シミュレーションによると、第一組成変化領域321の膜厚が150nm以上400nm未満であると、レーザ発振が確認できる。このため、窒化物半導体素子1は、膜厚が150nm以上400nm未満の第一組成変化領域321を有していてもよい。また、窒化物半導体素子1の動作シミュレーションによると、第一組成変化領域321の膜厚が200nm以上400nm未満であると、導波損失αiが低くなるため発振閾値利得gthが低くなることが確認できる。このため、窒化物半導体素子1は、膜厚が200nm以上400nm未満の第一組成変化領域321を有していてもよい。さらに、窒化物半導体素子1の動作シミュレーションによると、第一組成変化領域321の膜厚が300nm以上400nm未満であると、導波損失αiが低くなるため発振閾値利得Jth、かつαiが一定になるため発振閾値利得Jthが一定となることが確認できる。このため、窒化物半導体素子1は、膜厚が300nm以上400nm未満の第一組成変化領域321を有していてもよい。発振閾値利得Jthが一定となると、第一組成変化領域321の膜厚に製造時のバラつきが生じても、窒化物半導体素子1に発振不良が生じにくくなる。これにより、窒化物半導体素子1は、製造歩留まりの向上を図ることができる。なお、第一組成変化領域321の膜厚が150nm未満であると、シミュレーシ
ョン上では窒化物半導体素子1は発光するものの発振することはできない。
次に、第一組成変化領域321のAl組成比x3について図1及び図2を参照しつつ図5を用いて説明する。図5は、窒化物半導体素子1に設けられた組成変化層32の第一組成変化領域321の所定端部のAl組成比に対する導波損失のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。第一組成変化領域321の所定端部は、窒化物半導体活性層352の配置側とは反対側の第一組成変化領域321の端部である。換言すると、第一組成変化領域321の所定端部は、第二組成変化領域322に接触する側の端部である。図5中の横軸は第一組成変化領域321の所定端部のAl組成比(%)を示し、縦軸は導波損失(cm-1)を示している。
図5に示すように、導波損失αiは、第一組成変化領域321の所定端部のAl組成比x3が大きいほど小さくなる。また、このシミュレーションの結果では、内部効率、光閉じ込め係数はほぼ変化無く、ミラー損失αmも34.3cm-1で一定であり、窒化物半導体活性層352の膜厚は同一の設計で実施したため、導波損失αiが発振閾値利得gthの支配因子となっている。
窒化物半導体素子の電流の発振閾値利得gthは、導波損失αiが小さいほど低くなる。このため、本計算では第一組成変化領域321のAl組成比x3は、例えば50%以上であることが必須である。つまり、第一組成変化領域321の所定端部のAl組成比x3の下限値は、例えば50%(0.5)となる。これは、下部ガイド層351および上部ガイド層353のAl組成比x4と一致している。つまり、第一組成変化領域321の所定端部のAl組成比x3の下限値が下部ガイド層351および上部ガイド層353のAl組成比x4より大きくないと、光を効果的に下部ガイド層351および上部ガイド層353に閉じ込めることができず、導波損失αiが大きくなる。第一組成変化領域321の所定端部のAl組成比x3の上限値は、窒化物半導体素子1の導電性を考慮して決定される。本実施形態では、第一組成変化領域321のAl組成比x3の上限値は、例えば80%に設定されている。
また、上述のサンプルA3の薄膜構造に対して電子ブロック層のAl組成比率を1とし、第一組成変化領域のAl組成比率を1から0.5に減少する点のみ変更した薄膜構造を+c面サファイア基板上に成長させたところ、2インチ基板の周囲端から半分に至る領域までクラックが見受けられた。これは、第一組成変化領域のガイド層側のAl組成比率が高いことにより、引っ張り応力によりクラックが生成したものと考えられる。上記を踏まえると、本発明においては第一組成変化領域のガイド層側の端面のAl組成は0.2以上1以下であると良く、好ましくは0.5以上1未満であるとよく、より好ましくは0.5以上0.8以下であとよい。なお、第一組成変化層のガイド層側の端面のAl組成比率は断面構造のエネルギー分散型X線解析(EDX)により特定することが出来る。Al組成比率は、AlとGaのモル数の和に対するAlのモル数の比率と定義でき、具体的にはEDXから分析および定量されたAl、Gaのモル数の値を用いて定義することができる。この場合、第一組成変化領域を定義した膜厚における回帰直線と、その定義した膜厚範囲の領域において最もガイド層側の位置において回帰直線が示すAl組成比率を第一組成変化領域のガイド層側の端面のAl組成比率と定義する。
窒化物半導体活性層352(図1参照)の配置側とは反対側の第一組成変化領域321の端部は、Al組成比x3が上部ガイド層353のAl組成比x4以上であってもよい。窒化物半導体活性層352(図1参照)の配置側とは反対側の第一組成変化領域321の端部は、第一組成変化領域321の膜厚方向における両端部のうちの上部ガイド層353が配置されていない側の端部である。また、窒化物半導体活性層352の配置側とは反対側の第一組成変化領域321の端部は、換言すると、第一組成変化領域321の膜厚方向
における両端部のうちの第二組成変化領域322との境界側の端部である。窒化物半導体活性層352の配置側とは反対側の第一組成変化領域321の端部は、Al組成比x3が上部ガイド層353のAl組成比x4よりも例えば10%以上高くなるように形成されていてもよい。このように、第一組成変化領域321の当該端部のAl組成比x3が上部ガイド層353のAl組成比x4よりも高く設定されることにより、導波損失αiを低減させることができるため窒化物半導体素子1は、発振閾値利得gthをより低減することができる。第一組成変化層の第二組成変化層側の端面のAl組成比率は断面構造のエネルギー分散型X線解析(EDX)により特定することが出来る。Al組成比率は、AlとGaのモル数の和に対するAlのモル数の比率と定義でき、具体的にはEDXから分析および定量されたAl、Gaのモル数の値を用いて定義することができる。この場合、第一組成変化領域を定義した膜厚における回帰直線と、その定義した膜厚範囲の領域において最も第二組成変化領域側の位置において回帰直線が示すAl組成比率を第一組成変化領域の第二組成変化領域側の端面のAl組成比率と定義する。
次に、組成変化層32を構成する第二組成変化領域322について説明する。まず、第二組成変化領域322の膜厚について図1及び図2を参照しつつ図6を用いて説明する。図6は、窒化物半導体素子1に設けられた組成変化層32の第二組成変化領域322の膜厚に対する導波損失のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。図6中の横軸は第二組成変化領域322の膜厚(nm)を示し、縦軸は導波損失(cm-1)を示している。
図6に示すように、導波損失αiは、第二組成変化領域322の膜厚が薄いほど小さくなる。また、このシミュレーションの結果では、内部効率、光閉じ込め係数はほぼ変化無く、ミラー損失αmも34.3cm-1で一定であり、窒化物半導体活性層352の膜厚は同一の設計で実施したため、導波損失αiが発振閾値利得gthの支配因子となっている。
窒化物半導体素子の発振閾値利得gthは、導波損失αiが小さいほど低くなる。このため、窒化物半導体素子1の発振の観点では、第二組成変化領域322の膜厚は、130nm以下であるとよい。
窒化物半導体素子1は、第一電極14から第一組成変化領域321へキャリアを注入するために第二組成変化領域322を必須構成要素としている。第二組成変化領域322を構成するAlGaNは、P、As又はSbといったN以外のV族元素や、In又はBといったIII族元素、C、H、F、O、Si、Cd、Zn又はBeなどの不純物が含まれていてもよい。また、第二組成変化領域322を構成するAlGaNは、n型半導体のドーパントとしてSi、p型半導体のドーパントとしてMgを含んでいても良い。第二組成変化領域321は連続的にAl組成比率が減少する領域であり、+c面成長の際には分極により正孔が発生する。この場合、第二組成変化領域322は、ドーパントとしてMgを含んでいても良い。-c面成長の際には分極により電子が発生する。この場合、第二組成変化領域322は、ドーパントとしてSiを含んでいても良い。第二組成変化領域はドーパントとしてのSi、Mgを含まないアンドープ層であっても良い。第二組成変化領域322をアンドープ層とすることにより、不純物起因の光の吸収を抑制することができ、レーザダイオードにおいて内部損失を低減することが可能である。また、発光ダイオードにおいても光吸収を抑制することにより光取り出し効率が向上し、発光効率を向上させることが可能である。第二組成変化領域322は、第一組成変化領域321と直接接していてもよい。また、第一組成変化領域321と第二組成変化領域322との間に例えば組成が一定のAlNとGaNの混晶であるAlGaN層を含んでいても良い。第二組成変化領域322の第一組成変化領域321側のAl組成比率は、第一組成変化領域321の第二組成変化領域322側のAl組成比率と同じであっても、高くても、低くても良い。第二組成
変化領域322の第一組成変化領域321側のAl組成比率は好ましくは、第一組成変化領域321の第二組成変化領域322側のAl組成比率と同じまたは低いことである。これは、第一組成変化領域321と第二組成変化領域322の間の障壁をなくすことで、ダイオードの立ち上がり電圧が低い素子を作製することが出来るため、低消費電力の素子に適している。第二組成変化領域322の組成変化は、第一組成変化領域321の組成変化と同様に断面構造のエネルギー分散型X線解析(EDX)により特定することが出来る。具体的には第二組成変化領域322と考える層の膜厚に対して大きくとも1/10以下の距離の分解能を有する条件において対称とする層内において10点以上の測定点を有する測定を実施する。Al組成比率が膜厚に対して線形である場合、本構造はAl組成比率の変化が連続的であると見做す。この際、線形性の定義としては、第一組成変化領域321と同様に定義する。
次に、第二組成変化領域322と他の層との区別において述べる。例えばAl組成比率が0.5から0まで連続的に減少する厚さ75nmの第3の層と、Al組成比率が0で一定の厚さ50nmの第4の層とを組み合わせた構造を有する層は、当然本発明の第二組成変化領域322として定義される。EDXで測定する測定点を例えば第3の層から9点、第4の層から1点抽出した場合、測定点の選択によっては回帰曲線の決定定数が0.95以上となる場合がある。このような場合は、選択した第二組成変化領域322の膜厚領域が誤っている。より薄い膜厚において上記定義に従い第二組成変化領域322に該当する層が存在する場合には、当該層は本発明に含まれる第二組成変化領域322と定義する。第二組成変化領域322のAl組成比率の膜厚に対する変化率は、上記により決定した回帰直線の傾きと定義する。
第二組成変化領域322の膜厚に対するAl組成比率の変化率(傾斜率)は第一組成変化領域321の変化率よりも大きいことが必要である。これは、第二組成変化領域322の役割が第一組成変化領域321へ効率的に電流を流すことであり、かつ後述する光の漏れに起因する内部ロスの増加を抑制することだからである。第二組成変化領域322に該当する層が複数存在する場合には、この複数の層うちの1つでも第二組成変化領域322の定義を満たす場合は、本発明の構造であると見做す。
第一組成変化領域321のAl組成比率と第二組成変化領域322のAl組成比率とが連続的に変化する場合、第一組成変化領域321および第二組成変化領域322が接触する界面のAl組成比率の定義としては、上記で定義した第一組成変化領域321の回帰直線と、第二組成変化領域322の回帰直線との交点におけるAl組成比率と定義する。
第二組成変化領域322は下部ガイド層351および上部ガイド層353のAl組成比x4よりも低いAl組成比の層を含む可能性がある。この層は、発光部35で発光した光が第二組成変化領域322、第二窒化物半導体層33および第一電極14へ漏れるリスクを有する。また、第二組成変化領域322は、窒化物半導体活性層352の井戸層352aのAl組成比よりも低いAl組成比の層を含む可能性がある。この層は、発光部35で発光した光を吸収する可能性がある。第二組成変化領域322は、下部ガイド層351および上部ガイド層353のAl組成比x4よりも低いAl組成比の層に起因する光漏れを低減するために、なるべく薄いことが求められる。このため、本発明を実現するためには、第二組成変化領域322は、第一組成変化領域321よりも組成変化率を大きくすることでの薄膜化が必須となる。また、図6に示す特性を得るためのシミュレーションの結果、第二組成変化領域322の膜厚が200nmよりも薄い場合に窒化物半導体素子1における発振が確認された。したがって、窒化物半導体素子1では、第二組成変化領域322は、0nmより厚く200nmより薄い厚さを有していてもよい。窒化物半導体素子1の抵抗を低減させて駆動電圧を低くし、発熱量を小さくして窒化物半導体素子1の破壊を抑制するためには、第二組成変化領域322の膜厚はより薄いことが好ましい。
また、窒化物半導体素子1は、発振閾値利得gthを低くするために、0nmより厚く150nmより薄い膜厚に形成された第二組成変化領域322を有していてもよい。また、窒化物半導体素子1は、発振閾値利得gthを極めて低くするために、0nmより厚く100nmより薄い膜厚に形成された第二組成変化領域322を有していてもよい。さらに、窒化物半導体素子1は、第二組成変化領域322における組成変化(すなわち組成傾斜)の再現性を向上させるために、10nmより厚く100nm以下の膜厚に形成された第二組成変化領域322を有していてもよい。
次に、第二組成変化領域322のAl組成比x3について図1及び図2を参照しつつ図7を用いて説明する。図7は、窒化物半導体素子1に設けられた組成変化層32の第二組成変化領域322の所定端部におけるAl組成比x3に対する導波損失のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。第二組成変化領域322の所定端部は、窒化物半導体活性層352の配置側とは反対側の第二組成変化領域322の端部である。換言すると、第二組成変化領域322の所定端部は、第一組成変化領域321との境界側とは反対側の端部である。さらに換言すると、第二組成変化領域322の所定端部は、第二窒化物半導体層33に接触する側の端部である。図7中の横軸は第二組成変化領域322のまた、このシミュレーションの結果では、内部効率、光閉じ込め係数はほぼ変化無く、ミラー損失αmも34.3cm-1で一定であり、窒化物半導体活性層352の膜厚は同一の設計で実施したため、導波損失αiが発振閾値利得gthの支配因子となっている。
図7に示すように、導波損失αiは、第二組成変化領域322の所定端部でのAl組成比x3が0%から30%の範囲では、Al組成比x3が大きいほど小さくなる。また、導波損失αiは、第二組成変化領域322の所定端部でのAl組成比x3が30%以上の範囲ではほぼ一定値となる。一方、ミラー損失αmは、第二組成変化領域322の所定端部でのAl組成比x3に依存せずに34.3cm-1でほぼ一定となる。導波損失αiは、第二組成変化領域322の所定端部でのAl組成比x3に依存せずに、ミラー損失αmよりも小さくなる。
窒化物半導体素子の発振閾値利得gthは、導波損失αiが小さいほど低くなる。このため、第二組成変化領域322の所定端部でのAl組成比x3は、発振の観点では0よりも大きければよい。しかしながら、第二組成変化領域322の所定端部でのAl組成比x3が0.5以上(すなわち50%以上)になると、組成変化層32と第二窒化物半導体層33との間の抵抗値が高くなり発光部35への電流注入が不可能となる。このため、窒化物半導体活性層352の配置側とは反対側の第二組成変化領域322の端部(すなわち所定端部)は、Al組成比x3が0以上0.5未満であるとよい。また、組成変化層32にキャリアをより注入し電流を流し易くするために、第二組成変化領域322の所定端部でのAl組成比x3は、0より大きく0.3以下(すなわち30%以下)であってもよい。さらに、第二組成変化領域322の所定端部でのAl組成比x3は、0.1以上0.3以下(10%以上30%以下)であってもよい。第二組成変化領域322の所定端部でのAl組成比x3が当該範囲であると、図7に示すように、窒化物半導体素子1の導波損失αiが低くなるので、発振閾値利得gthを低減できる(式(2)参照)。ここで、第二組成変化領域322の所定端部でのAl組成比率の定義としては、上記方法にて定義した膜厚範囲で最も第一組成変化領域から遠い点のAl組成比率と定義する。
次に、窒化物半導体素子1の最大電流密度、最大電流時電圧及び電気良品収率の観点に基づく第二組成変化領域322の所定端部でのAl組成比について説明する。窒化物半導体素子1の当該観点に基づく第二組成変化領域322の所定端部でのAl組成比x3を検討するために、第一組成変化領域321と同様に、第二組成変化領域322に対する最大電流密度、最大電流時電圧及び電気良品収率を測定した。なお、この測定の説明の便宜上、測定に用いた窒化物半導体素子及び窒化物半導体素子の構成要素には、比較例としての
窒化物半導体素子を除き、本実施形態による窒化物半導体素子1及び窒化物半導体素子1の構成要素の符号を用いることにする。
窒化物半導体素子1の最大電流密度、最大電流時電圧及び電気良品収率の測定にあたり、窒化物半導体素子1と同じ構成を有し、かつ第二組成変化領域322のAl組成比x3を変更した2種類のサンプルがそれぞれ54個作製された。具体的には、第二組成変化領域322の膜厚が75nmかつAl組成比x3が50%から0%に変化するサンプルB1、当該膜厚が35nmかつAl組成比x3が50%から30%に変化するサンプルB2の2種類である。さらに、比較例として、第二組成変化領域322を有していないことを除いて窒化物半導体素子1と同じ構成を有するサンプルB3の窒化物半導体素子が54個作製された。サンプルB1及びB2の窒化物半導体素子1並びにサンプルB3の窒化物半導体素子の各層の組成などのパラメータは、上述の表1に示す電流シミュレーションの基本モデルとほぼ同じであるが、第二組成変化領域の膜厚の他に、以下のパラメータが異なっている。
(1)第一組成変化領域の膜厚:75nm
(2)窒化物半導体活性層の発光層のAl組成比:35%
(3)第一窒化物半導体層の膜厚:3000μm
(4)AlN層の膜厚:1600nm
最大電流密度Jmax、最大電流時電圧Vmax及び電気良品収率の算出方法は、上述の第一組成変化領域の膜厚依存の測定と同様であるため、説明は省略する。
表3は、第二組成変化領域322の膜厚に対する最大電流密度、最大電流時電圧及び電気良品収率の測定結果を示している。表3の1段目に示す「サンプル」は測定に用いられた窒化物半導体素子のサンプルの種類を示している。表3の1段目に示す「第二組成変化領域のAl組成比[%]」は、測定に用いられた窒化物半導体素子に設けられた第二組成変化領域のAl組成比を示している。「第二組成変化領域のAl組成比[%]」の欄に記載された「50→0」は、第二組成変化領域のAl組成比が第一組成変化領域側の端部から第二窒化物半導体層側の端部に向かって50%から0%に変化すること示している。したがって、サンプルB1の窒化物半導体素子1では、第二組成変化領域322の所定端部でのAl組成比x3は0%となる。「第二組成変化領域のAl組成比[%]」の欄に記載された「50→30」は、第二組成変化領域のAl組成比が第一組成変化領域側の端部から第二窒化物半導体層側の端部に向かって50%から30%に変化すること示している。したがって、サンプルB2の窒化物半導体素子1では、第二組成変化領域322の所定端部でのAl組成比x3は30%となる。サンプルB3の窒化物半導体素子は、第二組成変化領域を有していないため、サンプルB3に対応する「第二組成変化領域のAl組成比[%]」の欄には「なし」と記載されている。
表3の1段目に示す「第二組成変化領域の厚さ[nm]」は、測定に用いられた窒化物半導体素子に設けられた第二組成変化領域の膜厚(大かっこ内は膜厚の単位)を示している。サンプルB3の窒化物半導体素子は、第二組成変化領域を有していないため、サンプルB3に対応する「第二組成変化領域の厚さ[nm]」の欄には、第二組成変化領域の厚さの概念がないことを示す「-」が記載されている。
表3の1段目に示す「Al組成比の変化率[%/nm]」は、測定に用いられた窒化物半導体素子に設けられた第二組成変化領域におけるAl組成比の変化率(大かっこ内は当該変化率の単位)を示している。Al組成比の変化率は、第二組成変化領域のAl組成比の変化量を第二組成変化領域の膜厚で除算して求められる。より具体的には、Al組成比の変化率は、AlGaN中でのAl及びGaのモル数の合計に対するAlのモル数である
Alの組成比率が組成変化層32の厚さ方向に変化する割合である。サンプルB1の窒化物半導体素子1は、第二組成変化領域のAl組成比の変化量が50%(=50-0)であり、第二組成変化領域の膜厚が75nmであるため、Al組成比の変化率が0.67%/nm(=50/75)となる。サンプルB2の窒化物半導体素子1は、第二組成変化領域のAl組成比の変化量が20%(=50-30)であり、第二組成変化領域の膜厚が35nmであるため、Al組成比の変化率が0.57%/nm(=20/35)となる。サンプルB3の窒化物半導体素子は、第二組成変化領域を有していないため、サンプルB3に対応する「Al組成比の変化率[%/nm]」の欄には、第二組成変化領域の組成変化率の概念がないことを示す「-」が記載されている。また、サンプルB3の窒化物半導体素子は、電気良品収率が0%であり、最大電流密度および最大電流時電圧を測定できるサンプルがなかった。このため、サンプルB3に対応する「最大電流密度[kA/cm]」および「最大電流時電圧[V]」のそれぞれの欄には、最大電流密度および最大電流時電圧を測定できるサンプルがないことを示す「-」が記載されている。
表3の1段目に示す「最大電流密度[kA/cm]」は、測定に用いられた54個の窒化物半導体素子のそれぞれの最大電流密度の平均値(大かっこ内は単位)を示している。表3の1段目に示す「最大電流時電圧[V]」は、測定に用いられた54個の窒化物半導体素子のそれぞれに印加された最大電流時電圧の平均値(大かっこ内は単位)を示している。表3の1段目に示す「電気良品収率[%]」は、測定に用いられたサンプルの種類ごとの電気良品収率(大かっこ内は単位)を示している。
Figure 0007410508000006
第二組成変化領域322の所定端部でのAl組成比x3を小さくすると、当該端部における半導体のエネルギーバンドギャップが小さくなる(図2参照)。井戸層352aよりもバンドギャップエネルギーが小さくなると、窒化物半導体素子1に入射する光が第二組成変化領域322において吸収されてしまう。このため、第二組成変化領域322は、光の吸収を抑制するために、第二組成変化領域322の所定端部でのAl組成比x3が可能な限り大きく形成される。しかしながら、第二組成変化領域322の所定端部でのAl組成比x3が大きくなると、表3に示すように、最大電流密度及び電気良品収率が低下する傾向にある(サンプルB1及びサンプルB2の測定結果参照)。
そこで、最大電流密度及び電気良品収率及び上述の発振の観点を考慮し、本実施形態による窒化物半導体素子1では、窒化物半導体活性層352の配置側とは反対側の第二組成変化領域322の端部(すなわち所定端部)は、例えばAl組成比x3が0以上0.5未満となるように形成される。
このように、組成変化層32は、窒化物半導体活性層352から離れる方向に向かってAl組成比x3が減少するAlx3Ga(1-x3)Nで形成される。本実施形態では、組成変化層32は、第一組成変化領域321及び第二組成変化領域322のいずれにおいてもAl組成比x3が連続的に減少するようになっている(図2参照)。組成変化層32の組成を決定するAl組成比x3は、組成変化層32の厚さ方向において窒化物半導体活
性層352側の領域の方が第二窒化物半導体層33側の領域よりもAl組成比x3の変化率が小さいことを前提に、0以上1以下(0≦x3≦1)の範囲で変化してよい。したがって、組成変化層32は、Al組成比x3が0より大きく1より小さい範囲内で変化してAlx3Ga(1-x3)Nのみで形成される構造、Al組成比x3が0より大きく1以下の範囲で変化してAlN及びAlx3Ga(1-x3)Nで形成される構造、Al組成比x3が0以上1より小さい範囲で変化してAlx3Ga(1-x3)N及びGaNで形成される構造、及びAl組成比x3が0以上1以下の範囲で変化してAlN、Alx3Ga(1-x3)N及びGaNで形成される構造のいずれかの構造を有する。
組成変化層32におけるAl組成比の変化率は、0.1%/nmより大きくなっている。Al組成比の変化率をこの範囲に規定することで、エネルギーの傾斜を緩やかにすると同時に分極ドーピングにより発生するホールを組成変化層32内に分散させることができる。これにより、効率よく窒化物半導体活性層352へホールを輸送することができ、発光効率の高い窒化物半導体素子1を作製できる。組成変化層32の第一組成変化領域321を構成するAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3の最小値をy1、最大値をy2とする。また、組成変化層32の第二組成変化領域322を構成するAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3の最小値をz1、最大値をz2とする。そうすると、組成変化層32は、窒化物半導体活性層352側の端部がAly2Ga(1-y2)Nで形成され、第一組成変化領域321と第二組成変化領域322とが隣り合って形成されている場合には、第一組成変化領域321及び第二組成変化領域322の境界部での第一組成変化領域321における端部がAly1Ga(1-y1)Nで形成される。なお、当該境界部での第一組成変化領域321及び第二組成変化領域322のAl組成比は、上述の方法により特定できる。また、組成変化層32は、第一組成変化領域321及び第二組成変化領域322の境界部での第二組成変化領域322における端部がAlz2Ga(1-z2)Nで形成され、窒化物半導体活性層352側と反対側(すなわち第二窒化物半導体層33側)の端部がAlz1Ga(1-z1)Nで形成される。第一組成変化領域321のAl組成比x3の最小値y1と、第二組成変化領域322のAl組成比x3の最大値z2とは、一致していても良いし、異なっていても良い。エネルギー障壁をなるべく作らない観点から、第一組成変化領域321のAl組成比x3の最小値y1と、第二組成変化領域322のAl組成比x3の最大値z2とは、一致している、あるいは当該最小値y1より当該最大値z2の方が小さい方が良い。
組成変化層32は、窒化物半導体活性層352側の端部と、第一組成変化領域321及び第二組成変化領域322の境界部での第一組成変化領域321における端部との間、すなわち第一組成変化領域321において、窒化物半導体活性層352側から当該境界部の側に向かってAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3が連続的に小さくなるように形成される。また、組成変化層32は、第一組成変化領域321及び第二組成変化領域322の境界部での第二組成変化領域322における端部と、窒化物半導体活性層352側と反対側の端部との間、すなわち第二組成変化領域322において、当該境界部の側から窒化物半導体活性層352側と反対側に向かってAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3が連続的に小さくなるように形成される。第一組成変化領域321におけるAl組成比x3の変化率は、第二組成変化領域322におけるAl組成比x3の変化率よりも小さい。ここで、変化率とは膜厚に対してのAl組成比率の傾斜割合をいう。つまり、変化率の単位の一例は、例えば「Al%/nm」となる。
本実施形態では、第一組成変化領域321と第二組成変化領域322とが隣り合って互いに接触して形成されているが、窒化物半導体素子1は、第一組成変化領域321と第二組成変化領域322との間に中間層を有していても良い。当該中間層は、例えば組成が変化していないAlGa1-wN(0<w<1)、組成が変化していないAlGa1-wNと組成が変化していないAlGa1-vN(0<v<w<1)が積層された構造(
多段の場合超格子構造に該当)などを有していてもよい。当該中間層が積層構造を有する場合、エネルギー障壁を作らない観点からz2≦v<w≦y1の関係を満たすことが好ましいがこの限りではない。当該中間層が積層構造を有する場合、Al組成比w及びAl組成比vの一例として、wが0.6であり、vが0.4であってもよい。また、当該中間層は、p型半導体であっても、n型半導体であっても、アンドープであっても良い。
このように、第一組成変化領域321および第二組成変化領域322の間に中間層が設けられている場合は、図5を用いて説明した第一組成変化領域321の所定端部は、当該中間層に接触する側の端部となる。組成変化層32がこのような中間層を有することにより、第二組成変化領域322を上部ガイド層353からより一層遠ざけることができる。これにより、発光部35で発光した光が第二組成変化領域322に漏れにくくなるので、導波損失を低減することができる。第一組成変化領域321および第二組成変化領域322の間に設けられる中間層は、井戸層352aよりもAl組成比が高いとよい。さらに、第一組成変化領域321および第二組成変化領域322の間に設けられる中間層は、上部ガイド層353よりもAl組成比が高いとよい。第一組成変化領域321と当該中間層との接触面および当該中間層と第二組成変化領域322との接触面は、Al組成比が同一でも異なっていてもよいが、キャリア注入を行うためには、第一組成変化領域321、当該中間層および第二組成変化領域322の順に徐々にAl組成比が高くなっているとよい。
本実施形態では、組成変化層32を構成するAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3の最小値z1は、上述のとおり0以上0.5未満であってもよい。また、組成変化層32を構成するAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3の最小値z1は、窒化物半導体活性層352の井戸層352a(図2参照)のAl組成比以上であってもよい。これにより、井戸層352aからの発光を組成変化層32が吸収することを抑制し、レーザダイオードにおいては内部ロスを低減し、発光ダイオードにおいては光取り出し効率を向上することができる。組成変化層32を構成するAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3の最小値z1は、第二組成変化領域322のAl組成比x3の最小値z1である。このため、第二組成変化領域322のAl組成比x3の最小値z1は、窒化物半導体活性層352の井戸層352aのAl組成比以上であってもよい。つまり、第二組成変化領域322は、全領域におけるAl組成比が窒化物半導体活性層352の井戸層352aのAl組成比以上であってもよい。
組成変化層32を構成するAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3の第一組成変化領域321における最小値y1は、最小値z1よりも大きいという前提で、0.5以上であってもよい。組成変化層32を構成するAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3の第一組成変化領域321における最小値y1は、上部ガイド層353を構成するAlx4Ga(1-x4)NのAl組成比x4以上であってもよい。最小値y1がAlx4Ga(1-x4)NのAl組成比x4以上の値を取ることにより、レーザダイオードにおいては第一組成変化領域を光閉じ込め層として働かせることが可能となり、光が第二組成変化領域側へ漏れることを抑制することができる。さらに、組成変化層32を構成するAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3の第一組成変化領域321における最小値y1は、第一窒化物半導体層31のAl組成比x1よりも小さくてもよい。
発光素子においては、発光層へ効率よくキャリアを輸送し、キャリアを発光層に閉じ込めることが高発光効率を得る設計となる。組成変化層32はAl組成比x3が変化するため、最小値y1を第一窒化物半導体層31のAl組成比x1よりも小さくすることにより、発光層の上下の層で形成されるエネルギー井戸の高さを上下均一又は第一窒化物半導体層31側より組成変化層32側を高くすることが出来る。第一窒化物半導体層31がN型半導体で形成され、組成変化層がp型半導体で形成されている場合には、特に電子のp型半導体側へのオーバーフローを抑制するために、組成変化層32側のバンドギャップエネ
ルギーは第一窒化物半導体層31のバンドギャップエネルギーよりも大きいことが好ましい。また、レーザダイオードにおいては、窒化物半導体活性層352に光を閉じ込め、かつ利得を生む井戸層352aとの光強度分布の重なりを増やすためには、屈折率差による光の閉じ込めを第一窒化物半導体層31と組成変化層32とで作る必要がある。この際、上下層で屈折率のバランスを取るために最小値y1が第一窒化物半導体層31のAl組成比x1よりも小さい方が好ましい。これにより、組成変化層32は組成変化しているにも関わらず、第一窒化物半導体層31と相対的にバランスを保つバンドギャップエネルギー及び屈折率を実現することが出来る。
組成変化層32を構成するAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3における最大値y2は、最小値z1の値よりも大きいことを前提に、0.5よりも大きく1以下の範囲の値となるように制御して組成変化層32を形成することにより、分極ドーピングによる組成変化層32内の正孔密度が向上する。さらに、組成変化層32を構成するAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3における最大値y2が0.5よりも大きく1以下の範囲の値となるように制御して組成変化層32を形成することにより、組成変化層32の屈折率を利用して窒化物半導体活性層352で発光した光を下部ガイド層351及び上部ガイド層353の間に閉じ込める効果が向上する。このように、組成変化層32を構成するAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3の最小値z1及び最大値y2を最適化することにより、分極ドーピングによる組成変化層32内の正孔密度の向上と下部ガイド層351及び上部ガイド層353の光閉じ込め効果の向上の両立を図ることができる。これにより、窒化物半導体素子1は、高出力化およびレーザダイオードの発振閾値の低減を図ることができる。
窒化物半導体素子1は、組成変化層32を有することにより、組成変化層32及び第二窒化物半導体層33における急峻な組成変化を抑制し、格子緩和を伴う結晶性の悪化、あるいは3次元成長を伴うことによる薄膜の平坦性の悪化を抑制する効果がある。
(リッジ部半導体層)
リッジ部半導体層17は、組成変化層32の一部を含んで形成されている。リッジ部半導体層17は、第一組成変化領域321に形成された突出部321aと、第二組成変化領域322と、第二窒化物半導体層33とを有している。リッジ部半導体層17が第一組成変化領域321の一部に形成されることにより、第一電極14から注入されるキャリアがリッジ部半導体層17中で基板11の水平方向に拡散することが抑制される。これにより、窒化物半導体活性層352での発光が、リッジ部半導体層17の下方に位置する領域(すなわち第一組成変化領域321の突出部321aの下方に位置する領域)に制御される。その結果、窒化物半導体素子1は、高電流密度を実現し、レーザ発振の閾値を低減させることが可能になる。リッジ部半導体層17は、発光部35へ電子あるいは正孔を供給するために、導電性を有していてもよい。第一組成変化領域321の突出部321a及び第二組成変化領域322を除いたリッジ部半導体層17の部分、すなわち第二窒化物半導体層33を形成する材料として、AlN、GaN、およびその混晶が挙げられる。第二窒化物半導体層33を形成する材料の具体例は、AlGaNである。第二窒化物半導体層33のAlGaNのAl組成比は、窒化物半導体活性層352側と反対側の第二組成変化領域322の端部におけるAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3(すなわち最小値z1)と同じであってもよいし、大きくてもよい。これにより、第二窒化物半導体層33は、第一電極14から注入されたキャリアを効率よく発光部35へ運搬することができる。また、第二窒化物半導体層33を形成する材料には、P、As又はSbといったN以外のV族元素や、In又はBといったIII族元素、C、H、F、O、Si、Cd、Zn又はBeなどの不純物が含まれていてもよい。また、リッジを形成することでリッジの側面に例えばSiOや空気等の材料を配置することが出来、水平方向の光の閉じ込めを実現することができる。
リッジ部半導体層17の役割は、上記の通り電流の集中と基板水平方向の光の閉じ込めであるため、必ずしも第一組成変化領域321の一部のみに形成される必要は無い。リッジ部半導体層17は、発光層を含んでいても、第一組成変化領域321を含んでいてもよい。さらに、リッジ部半導体層17が存在しなくても良い。なお、リッジ部半導体層17が存在しない場合には、メサ部と同じ面積で組成変化層32が積層されており、電流注入量を抑制するために第一電極14(詳細は後述)の幅と長さを適切な大きさに設計すれば良い。
第二窒化物半導体層33がn型半導体の場合、例えばSiを1×1019cm-3ドープすることでn型化させることが可能である。第二窒化物半導体層33がp型半導体の場合、例えばMgを3×1019cm-3ドープすることでp型化させることが可能である。ドーパントの濃度は基板11の垂直方向に一定であっても、不均一であっても良い。基板11の面内方向に一定であっても、不均一であっても良い。第二窒化物半導体層33は、AlGaNのAl組成比を傾斜させた構造を有していてもよい。例えば、第二窒化物半導体層33は、AlGaNのAl組成比を組成変化層32におけるAl組成比x3の最小値z1から0.3に連続的又は階段状に変化させる層構造を有していてもよい。第二窒化物半導体層33が層構造を有する場合、第二窒化物半導体層33はドーパントを有していなくてもアンドープ層であっても良い。第二窒化物半導体層33は、最上層にドーピング濃度が高い層を更に有している積層構造であっても良い。第二窒化物半導体層33は、二層以上の積層構造であっても良い。その場合、キャリアを窒化物半導体活性層352へ効率よく運搬する目的で、Al組成比率は上層に向かうほど小さくなることが好ましい。
(第二窒化物半導体層)
第二窒化物半導体層33の膜厚について図1及び図2を参照しつつ図8を用いて説明する。図8は、窒化物半導体素子1に設けられた第二窒化物半導体層33の膜厚に対する導波損失のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。図8中の横軸は第二窒化物半導体層33の膜厚(nm)を示し、縦軸は導波損失(cm-1)を示している。また、このシミュレーションの結果では、内部効率、光閉じ込め係数はほぼ変化無く、ミラー損失αmも34.3cm-1で一定で計算しており、窒化物半導体活性層352の膜厚は同一の設計で実施したため、導波損失αiが発振閾値利得gthの支配因子となっている。
図8に示すように、導波損失αiは、第二窒化物半導体層33の膜厚が厚いほど大きくなる。窒化物半導体素子の発振閾値利得gthは、導波損失αiが小さいほど低くなる。また、窒化物半導体素子1の動作シミュレーションにおいて、窒化物半導体素子1は、第二窒化物半導体層33の膜厚が100nm未満であると発振することが確認された。さらに、窒化物半導体素子1は、組成変化層32と第一電極14(図1参照)とを低抵抗で接続するために、第二窒化物半導体層33を備えているとよい。このため、窒化物半導体素子1は、0nmよりも厚く100nm未満の膜厚で第二組成変化領域322に隣接して組成変化層32に積層された第二窒化物半導体層33を備えているとよい。また、第二窒化物半導体層33の膜厚は、0nmより大きく20nmより小さくてもよい。これにより、窒化物半導体素子1は、発振閾値利得gthの低減を図ることができる。また、第二窒化物半導体層33の膜厚をこの範囲にとどめることで、第二窒化物半導体層33の成長中の格子緩和による3次元成長を抑制することが出来、第二窒化物半導体層33の表面を平坦化することが可能となる。つまり、第二窒化物半導体層33と第一電極14との接触を設計通りに行うことができ、再現性の高い駆動電圧の低い窒化物半導体素子1を実現できる。
第二窒化物半導体層33の形成材料のAlx2Ga(1-x2)NのAl組成比x2は、第二窒化物半導体層33に接する側の第二組成変化領域322の端部でのAlx3Ga
(1-x3)NのAl組成比x3(すなわちx3=z1)との関係において、z1>x2+0.2の関係を満たしていてもよい。すなわち、Alx2Ga(1-x2)NのAl組成比x2は、第二組成変化領域322の当該端部でのAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3(z3=z1)に0.2を加算した値より大きくてもよい。これにより、第二窒化物半導体層33の形成材料のAlx2Ga(1-x2)NのAl組成比x2と、第二組成変化領域322の形成材料のAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3との組成差によるホールガスを効率的に生成させることができる。また、窒化物半導体素子1が紫外受発光素子の場合、第二窒化物半導体層33は、低Al組成比で構成されることが多く、目的光を吸収しやすいという阻害効果が生じる。この阻害効果を抑制するために、窒化物半導体活性層352のAl組成比xより第二組成変化領域322のAl組成比x3を高くする方法や、第一電極14とのコンタクト抵抗を下げるために窒化物半導体活性層352のAl組成比xより第二窒化物半導体層33のAl組成比x2を低くする方法が挙げられる。この場合、各層の組成を制御する際の製造バラつきも考慮すると、窒化物半導体活性層352のAl組成比xに対して、第二組成変化領域322のAl組成比x3の最小値z1は0.1大きく、第二窒化物半導体層33のAl組成比x2は0.1小さくする必要がある。この構成を実現するために、第二組成変化領域322と第二窒化物半導体層33との間のAl組成差は、0.2より大きいとよい。
第二窒化物半導体層33は、複数の層を積層した構成を有していてもよい。この場合、第二窒化物半導体層33のAl組成比x2は、最表層、すなわち第一電極14に接する表面での組成比を示す。
第二窒化物半導体層33の形成材料のAlx2Ga(1-x2)NのAl組成比x2は、x2=0の関係を満たしていてもよい。すなわち当該Al組成比x2は0であってもよい。第二窒化物半導体層33の最上層に、Alx2Ga(1-x2)NのAl組成比x2が0であるp型の(p-)GaNを用いることで、第二窒化物半導体層33の上に配置される第一電極14とのコンタクト抵抗を下げることができる。また、第二窒化物半導体層33の最上層に、Alx2Ga(1-x2)NのAl組成比x2が0であるp型の(p-)GaNを用いると、第二組成変化領域322の形成材料のAlx3Ga(1-x3)NのAl組成比x3の範囲を広く設計できるので、窒化物半導体素子1が対応可能な紫外光の波長範囲が広くなる。本実施形態による窒化物半導体素子1では、第二窒化物半導体層33は、p-GaNで構成されている。
このように、窒化物半導体素子1は、組成変化層32の第二組成変化領域322と第二窒化物半導体層33との積層界面にホールガスを発生させることができる。これにより、第二組成変化領域322と第二窒化物半導体層33との間の価電子帯エネルギー準位差に相当するエネルギー差よりも、第一電極14への電圧印加による実効的に小さいエネルギーによって、第二窒化物半導体層33から第二組成変化領域322に電流(正孔)を流すことができる。
(第一電極)
第一電極14は、リッジ部半導体層17上に形成されている。第一電極14がn型電極の場合、第一電極14を形成する材料としては、第一電極14がリッジ部半導体層17に電子を注入する目的で用いられるのであれば、一般的な窒化物半導体発光素子のn型電極に対応する材料を使用することが可能である。例えば、第一電極14がn型電極の場合の形成材料として、Ti、Al、Ni、Au、Cr、V、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Wおよびその合金、又はITO等が適用される。
第一電極14がp型電極の場合、第一電極14を形成する材料としては、第一電極14が窒化物半導体発光素子に正孔(ホール)を注入する目的で用いられるのであれば、一般
的な窒化物半導体発光素子のp型電極層と同じ材料を使用することが可能である。例えば、第一電極14がp型電極の場合の形成材料として、Ni、Au、Pt、Ag、Rh、Pd、Cuおよびその合金、又はITO等が適用される。第一電極14がp型電極の場合は、第一電極14とリッジ部半導体層17とのコンタクト抵抗が小さいNi、Au若しくはこれらの合金、又はITOであってもよい。本実施形態では、第一電極14は、p型電極となるように形成されている。
第一電極14は、第一電極14の全域に電流を均等に拡散させる目的で、上部にパッド電極を有していてもよい。パッド電極を形成する材料としては、例えばAu、Al、Cu、Ag又はWなどが挙げられる。当該パッド電極は、導電性の観点から、これらの材料のうち導電性が高いAuで形成されていてもよい。具体的には、第一電極14の構造として、例えばNi及びAuの合金で形成された第二コンタクト電極をリッジ部半導体層17上に形成し、Auで形成された第二パッド電極を第二コンタクト電極上に形成した構造が挙げられる。第一電極14は、例えば240nmの厚さに形成されている。
第一電極14は、レーザダイオードの場合には短辺の長さが10μm未満であり長辺の長さが1000μm以下の長方形状を有し、第二窒化物半導体層33に積層されているとよい。発光ダイオードの場合には、様々な形状が想定されるが、例えば50μm×200μmの長方形の形状等が想定される。第一電極14とリッジ部半導体層17とが接触する互いの接触面は、ほぼ同じ形状を有している。このため、リッジ部半導体層17は、短辺の長さが10μm未満であり長辺の長さが100μm以下の長方形状を有している。第一電極14とリッジ部半導体層17とが接触する互いの接触面が同じ形状を有することにより、第一電極14から注入されるキャリアがリッジ部半導体層17中で基板11の水平方向に拡散することが抑制され、窒化物半導体活性層352での発光を制御することができる。
(第二電極)
第二電極15は、第一窒化物半導体層31の第二積層部312上に形成されている。第二電極15がn型電極の場合、第二電極15を形成する材料としては、第二電極15が第一窒化物半導体層31に電子を注入する目的で用いられるのであれば、一般的な窒化物半導体発光素子のn型電極に対応する材料を使用することが可能である。例えば、第二電極15がn型電極の場合の形成材料として、Ti、Al、Ni、Au、Cr、V、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Wおよびその合金、またはITO等が適用される。
第二電極15がp型電極の場合、第二電極15を形成する材料としては、第二電極15が窒化物半導体発光素子に正孔(ホール)を注入する目的で用いられるのであれば、一般的な窒化物半導体発光素子のp型電極層と同じ材料を使用することが可能である。例えば、第二電極15がp型電極の場合の形成材料として、Ni、Au、Pt、Ag、Rh、Pd、Cuおよびその合金、またはITO等が適用される。第二電極15がp型電極の場合は、第二電極15と第一窒化物半導体層31の第二積層部312とのコンタクト抵抗が小さいNi、Au若しくはこれらの合金、又はITOであってもよい。本実施形態では、第二電極15は、n型電極となるように形成されている。
第二電極15は、第二電極15の全域に電流を均等に拡散させる目的で、上部にパッド電極を有していてもよい。パッド電極を形成する材料としては、例えばAu、Al、Cu、Ag又はWなどが挙げられる。当該パッド電極は、導電性の観点から、これらの材料のうち導電性が高いAuで形成されていてもよい。具体的には、第二電極15の構造として、例えばTi、Al、Ni及びAuの中から選択された素材の合金で形成された第一コンタクト電極を第一窒化物半導体層31の第二積層部312上に形成し、Auで形成された第一パッド電極を第一コンタクト電極上に形成した構造が挙げられる。第二電極15は、
例えば60nmの厚さに形成されている。本実施形態では、第二電極15は、第一電極14と異なる厚さに形成されているが、第一電極14と同じ厚さに形成されていてももちろんよい。
(共振器面)
窒化物半導体素子1がレーザダイオードに適用される場合、共振器面の形成が必要である。共振器面16aは、第一窒化物半導体層31の第二積層部312、発光部35、電子ブロック層34、組成変化層32及び第二窒化物半導体層33のそれぞれの側面によって形成される同一平面で構成されている。また、裏側共振器面16bは、共振器面16aに対向する側面であって第一窒化物半導体層31の第二積層部312、発光部35、電子ブロック層34、組成変化層32及び第二窒化物半導体層33のそれぞれの側面によって形成される同一平面で構成されている。共振器面16a及び裏側共振器面16bは、発光部35の発光を反射させることを目的として設けられている。共振器面16a及び裏側共振器面16bで反射した光を発光部35に閉じ込めるために、共振器面16a及び裏側共振器面16bは、対を成して備えられている。共振器面16aは、例えば窒化物半導体素子1の光の出射側となる。共振器面16a及び裏側共振器面16bにおいて、発光部35からの発光を反射させるために、共振器面16a及び裏側共振器面16bは、発光部35と上部ガイド層353との接触面に対して垂直かつ平坦であってもよい。しかしながら、共振器面16a及び裏側共振器面16bは、全体にあるいは部分的に傾斜部あるいは凹凸部を有していてもよい。
共振器面16a及び裏側共振器面16bの表面には、誘電体多層膜等の絶縁保護膜、及び反射膜が形成されていてもよい。具体的には、当該絶縁保護膜は、SiOで形成されていてよく、その他にAl、SiN、SnO、ZrO又はHfO等で形成されていてもよい。また、当該絶縁保護膜は、これらの材料が積層された構造を有していてもよい。当該絶縁保護膜は、窒化物半導体素子1の光の出射側となる共振器面16aと、光の出射側にならない反射側の裏側共振器面16bの両方の表面に形成されていてもよい。光の出射側の共振器面16aに形成された絶縁保護膜と、光の反射側の裏側共振器面16bに形成された絶縁保護膜は、同じ構造を有していてもよいし、異なる構造を有していてもよい。
(製法)
組成変化層32は、次のようにして作製することができる。例えば、有機気相成長装置(MOVPE装置)を用いて、原料ガスである、TMG(トリメチルガリウム)の流量を連続的に増加させて、TMA(トリメチルアルミニウム)の流量を連続的に減少させながらアンモニアガスを同時に流してAlGaNを成長させる。これにより、AlGaNのAl組成比が変化した組成変化層を作製することができる。この際、Cp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)をアンモニアガスと同時に流すことで、不純物としてAlGaN中にMgを添加することができる。
(測定方法)
本実施形成における材料特定及び組成は、エネルギー分散型X線分析(Energy dispersive X-ray spectrometry:EDX)で実施する。各層の積層方向と垂直な断面を分割及び研磨あるいは集束イオンビーム(Focused
Ion Beam:FIB)加工し、その断面を透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いて観察することで各層の配置を明確化し、点分析が可能なエネルギー分散型X線分析(Energy dispersive X-ray spectrometry:EDX)で同定する。
また、半導体薄膜の膜厚は、薄膜積層方向と垂直な断面を分割及び研磨あるいは集束イオンビーム加工し、その断面を透過電子顕微鏡観察することによって測長する。
以上説明したように、本実施形態による窒化物半導体素子1は、AlGa(1-x)Nで形成された窒化物半導体活性層352と、窒化物半導体活性層352から離れる方向に向かってAl組成比x3が減少するAlx3Ga(1-x3)Nで形成された組成変化層32とを備えている。組成変化層32は、0nmより大きく400nmよりも小さい厚さを有する第一組成変化領域321と、第一組成変化領域321よりも窒化物半導体活性層352から離れた領域であって組成変化層32の膜厚の厚さ方向におけるAl組成比x3の変化率が第一組成変化領域321よりも大きい第二組成変化領域322とを有している。
当該構成を備えた窒化物半導体素子1は、最大電流密度の向上と最大電流時電圧の低減を図ることができる。これにより、窒化物半導体素子1は、高電流密度下でも素子破壊を抑制することができる。
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態による窒化物半導体素子について図9及び図10を用いて説明する。本実施形態による窒化物半導体素子2は、上記第1実施形態による窒化物半導体素子1に対して、組成変化層の構成が異なる点に特徴を有している。このため、窒化物半導体素子2の構成要素に関し、窒化物半導体素子1の構成要素と同一の作用・機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
図9は、本実施形態による窒化物半導体素子2の概略構成の一例を模式的に示す斜視図である。図10は、窒化物半導体を積層した積層構造を有する窒化物半導体素子2のバンドギャップ構造を説明するための図である。図10中の上段には、窒化物半導体素子2の伝導帯および価電子帯のエネルギー図が模式的に図示されている。図10中の下段には、窒化物半導体素子2の積層構造が当該バンドギャップ構造に対応付けて模式的に図示されている。図10には、窒化物半導体活性層352を構成する井戸層352a及び障壁層352bが模式的に図示されている。なお、図10では、下部ガイド層351と井戸層352aとの間に設けられた障壁層、及び上部ガイド層353と井戸層352aとの間に設けられた障壁層の図示は省略されている。
図9及び図10に示すように、窒化物半導体素子2は、Al組成比の変化率が異なる3つの領域を有する組成変化層36を備えている。組成変化層36は、第一組成変化領域361と第二組成変化領域362との間の領域に、Al組成比x3の変化率が第二組成変化領域362とは異なる第三組成変化領域363を有している。第三組成変化領域363は、第一組成変化領域361よりも平均のAl組成比x3が低く、第二組成変化領域362よりも平均のAl組成比x3が高くなるように構成されている。
図9に示すように、第三組成変化領域363は、第一組成変化領域361に形成された突出部361a上に形成されている。第二組成変化領域322は、第三組成変化領域363上に形成されている。第二組成変化領域362上に第二窒化物半導体層33が形成されている。リッジ部半導体層17は、第一組成変化領域361に形成された突出部361a、第三組成変化領域363、第二組成変化領域362及び第二窒化物半導体層33によって構成されている。ただし、上記第1実施形態において説明した通り、突出部361a(リッジ部)は電流を集中させることが目的となるので、発光層である窒化物半導体活性層352を含んでいても、第一窒化物半導体層31を含んでいてもよい。あるいは、窒化物半導体素子2は、そもそも突出部361aを有さず、メサ部と同じ面積で組成変化層36が形成され、第一電極14の大きさを適切な値に設計することにより電流を集中させる構造を有していても良い。
組成変化層36が第三組成変化領域363を有することにより、第一組成変化領域361、第三組成変化領域363、第二組成変化領域362がこの順で各々隣合う配置のとき、図10に示すように、窒化物半導体活性層352の配置側の第一組成変化領域361の端部と、窒化物半導体活性層352の配置側の第二組成変化領域362の端部との間にAl組成比x3の変化率が変化する境界が生じる。これにより、窒化物半導体素子2は、光閉じ込めの向上を図ることができる。組成変化率は、第二組成変化領域362よりも第三組成変化領域363が大きく、第三組成変化領域363よりも第一組成変化領域361が大きい方が好ましい。これにより、第二組成変化領域362および第三組成変化領域363の平均のAl組成比率を第二組成変化領域362の変化率(傾斜率)で第二組成変化領域362および第三組成変化領域363の層を形成した際よりも高くなり、光の閉じ込め効率が向上する。また、第二組成変化領域362と第三組成変化領域363の変曲面でのAl組成比率は、第三組成変化領域363と第一組成変化領域361の変曲面でのAl組成比率よりも0.1以上大きいことが好ましい。窒化物半導体素子2は、この構造を有することにより、第二組成変化領域362の膜厚を必要以上に厚くすることに起因する駆動電圧の増加や素子破壊率の増加を抑制し、かつ第三組成変化領域363を有することで光閉じ込めと高電流密度の実現を両立することが可能となる。
本実施形態では、第一組成変化領域361および第三組成変化領域363が互いに接触して形成され、第三組成変化領域363および第二組成変化領域362が互いに接触して形成されているが、窒化物半導体素子2は、第一組成変化領域361と第三組成変化領域363との間、および第三組成変化領域636と第二組成変化領域362との間にそれぞれ中間層を有していても良い。当該中間層は、例えば組成が変化していないAlGa1-wN(0<w<1)、あるいは組成が変化していないAlGa1-wNと組成が変化していないAlGa1-vN(0<v<w<1)とが積層した構造(多段の場合超格子構造に該当)などを有していてもよい。Al組成比w及びAl組成比vの一例として、wが0.6であり、vが0.4であってもよい。当該中間層が積層構造を有する場合、エネルギー障壁を作らない観点からAl組成比v及びAl組成比wは、それぞれの組成変化領域の端点のAl組成比の値と同じか差があっても良い。Al組成比の値に差がある場合には、上層ほどAl組成比率が小さくなる構造がキャリアを効率よく発光層へ運ぶ観点から好ましい。当該中間層は、第一組成変化領域361、第三組成変化領域363および第二組成変化領域362と同一の導電型であってもよい。また、当該中間層は、p型半導体であっても、n型半導体であっても、アンドープであっても良い。本実施形態においても、組成変化層36が中間層を有することにより、上記第1実施形態における組成変化層32が当該中間層を有する場合と、同様の作用・効果が得られる。
以上説明したように、本実施形態による窒化物半導体素子2は、AlGa(1-x)Nで形成された窒化物半導体活性層352と、窒化物半導体活性層352から離れる方向に向かってAl組成比x3が減少するAlx3Ga(1-x3)Nで形成された組成変化層36とを備えている。組成変化層36は、0nmより大きく400nmよりも小さい厚さを有する第一組成変化領域361と、第一組成変化領域361よりも窒化物半導体活性層352から離れた領域であって組成変化層36の膜厚の厚さ方向におけるAl組成比x3の変化率が第一組成変化領域361よりも大きい第二組成変化領域362とを有している。
当該構成を備えた窒化物半導体素子2は、最大電流密度の向上と最大電流時電圧の低減を図ることができる。これにより、窒化物半導体素子2は、高電流密度を実現することができる。
さらに、窒化物半導体素子2に備えられた組成変化層36は、第一組成変化領域361と第二組成変化領域362との間の領域に、Al組成比x3の変化率が第二組成変化領域
362とは異なる第三組成変化領域363を有している。第三組成変化領域363は、第一組成変化領域361よりも平均のAl組成比x3が低く、第二組成変化領域362よりも平均のAl組成比x3が高くなるように構成されている。これにより、第一組成変化領域361を必要以上に厚くすることなく、低駆動電圧で素子破壊が無く高電流密度を実現し、かつレーザ発振における閾値を低減することができる。
本発明は、上記第1実施形態および第2実施形態に限らず、種々の変更が可能である。
上記第1実施形態および第2実施形態では、窒化物半導体活性層は、AlGaNで形成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、窒化物半導体活性層は、AlInGaNやBAlGaNで形成されていても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
本発明の技術的範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の技術的範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
1,2 窒化物半導体素子
11 基板
14 第一電極
15 第二電極
16a 共振器面
16b 裏側共振器面
17 リッジ部半導体層
31 第一窒化物半導体層
32,36 組成変化層
33 第二窒化物半導体層
34 電子ブロック層
35 発光部
311 第一積層部
311a 上面
312 第二積層部
321,361 第一組成変化領域
312a,321a,361a 突出部
322,362 第二組成変化領域
351 下部ガイド層
352 窒化物半導体活性層
353 上部ガイド層
352a 井戸層
352b 障壁層

Claims (9)

  1. 井戸層と、前記井戸層に隣接して設けられた障壁層とを有する活性層と、
    前記活性層よりも上部に形成された電子ブロック層と、
    前記電子ブロック層よりも上部に形成され、前記活性層から離れる方向に向かってAl組成比が減少するAlGaNで形成された組成変化層と
    を備え、
    前記電子ブロック層のAl組成比は、前記組成変化層のAl組成比の最大値と同じであり、
    前記組成変化層は、
    0nmより大きく400nmよりも小さい厚さを有する第一組成変化領域と、
    前記第一組成変化領域よりも前記活性層から離れた領域であって前記組成変化層の膜厚の厚さ方向におけるAl組成比の変化率が前記第一組成変化領域よりも大きい第二組成変化領域と
    を有し、
    前記第一組成変化領域は、膜厚の厚さ方向において連続的にAl組成比が変化し、
    前記第二組成変化領域は、全領域におけるAl組成比が前記井戸層のAl組成比以上である
    窒化物半導体素子。
  2. 前記第二組成変化領域は、膜厚の厚さ方向において連続的にAl組成比が変化する
    請求項1に記載の窒化物半導体素子。
  3. 前記組成変化層は、前記第一組成変化領域と前記第二組成変化領域との間の領域に、前記Al組成比の変化率が前記第二組成変化領域とは異なる第三組成変化領域を有し、
    前記第三組成変化領域は、前記第一組成変化領域よりも平均のAl組成比が低く、前記第二組成変化領域よりも前記平均のAl組成比が高い
    請求項1又は2に記載の窒化物半導体素子。
  4. 前記活性層の配置側とは反対側の前記第二組成変化領域の端部は、Al組成比が0以上0.5未満である
    請求項1からまでのいずれか一項に記載の窒化物半導体素子。
  5. 前記活性層の両側のうちの前記組成変化層が配置されていない側にAlGaNで形成された第一窒化物半導体層を備え、
    前記第一窒化物半導体層は、前記活性層の配置側とは反対側の前記第一組成変化領域の端部よりもAl組成比が高い
    請求項1からまでのいずれか一項に記載の窒化物半導体素子。
  6. 前記第一組成変化領域には、Mgが注入されている
    請求項1からまでのいずれか一項に記載の窒化物半導体素子。
  7. 前記活性層と前記組成変化層との間に設けられてAlGaNで形成されたガイド層を備え、
    前記活性層の配置側とは反対側の前記第一組成変化領域の端部は、Al組成比が前記ガイド層のAl組成比以上である
    請求項1からまでのいずれか一項に記載の窒化物半導体素子。
  8. 0nmよりも厚く100nm未満の膜厚で前記第二組成変化領域に隣接して前記組成変化層に積層された第二窒化物半導体層を備える
    請求項1からまでのいずれか一項に記載の窒化物半導体素子。
  9. 前記第二組成変化領域は、0nmより厚く200nmより薄い厚さを有する
    請求項1からまでのいずれか一項に記載の窒化物半導体素子
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