JP7409888B2 - 電機子の製造方法および電機子の製造装置 - Google Patents
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Description
(ステータの構造)
図1~図5を参照して、第1実施形態によるステータ100の構造について説明する。なお、ステータ100は、特許請求の範囲の「電機子」の一例である。
図3に示すように、ステータコア10は、複数の電磁鋼板11が、軸方向に積層されることにより形成されている。複数の電磁鋼板11は、たとえば、カシメ加工および溶接の少なくとも一方により互いに固定されている。また、複数の電磁鋼板11の積層方向の隙間には、空気層11aが形成されている。また、電磁鋼板11の軸方向の厚みt1は、空気層11aの軸方向の厚みt2よりも大きい。厚みt1は、たとえば、0.1mm以上1mm以下であり、厚みt2は、たとえば、0.01mm以上0.1mm未満である。また、ステータコア10の軸方向の長さ(Z1方向側の端面10aと、Z2方向側の端面10bとの距離)は、L1である。なお、図3では、説明のために、厚みt1をおよび厚みt2を他の寸法に対して大きく、かつ、積層される電磁鋼板11の枚数を少なく記載している。
図5に示すように、ステータ100は、複数のコイル部20を備える。なお、図5は、複数のコイル部20の一例を示しており、コイル部20の構成は、図示の例に限られない。コイル部20は、たとえば、平角導線21(図4参照)により形成されている。また、コイル部20は、軸方向に延びる直線状の複数の脚部22と、互いに異なるスロット14に配置される複数の脚部22同士を接続する渡り部23とを含む。渡り部23は、ステータコア10よりも軸方向外側に配置されている。そして、コイル部20は、脚部22同士、または、渡り部23同士、または、脚部22と渡り部23とが接合されることにより、電気的に接続されている。
熱硬化性部材30(図2参照)は、たとえば、常温T1(たとえば、日本工業規格に定められる常温)よりも高い温度である硬化温度T2以上に加熱された場合に、液体から固体に硬化する性質を有する。また、熱硬化性部材30は、一旦、硬化された後は、硬化された状態を維持する性質を有する材料により構成されている。また、熱硬化性部材30は、絶縁性を有する材料により構成されている。たとえば、熱硬化性部材30は、ワニスである。また、熱硬化性部材30は、たとえば、コイル部20の渡り部23同士または脚部同士22の隙間、および、コイル部20とステータコア10との隙間に配置されている。
次に、図6~図13を参照して、ステータ100の製造装置200の構成について説明する。
次に、ステータ100の製造方法について説明する。図14には、ステータ100の各製造工程を示すフローチャートが示されている。
まず、ステップS1において、図4に示すように、ステータコア10の各スロット14に、絶縁部材15が配置される。
ステップS2において、ステータコア10の各スロット14に、コイル部20が配置される。たとえば、コイル部20を構成するセグメント導体が、各スロット14に軸方向または径方向に移動されることにより、セグメント導体が、各スロット14に配置される。その後、図5に示すように、セグメント導体同士が接合されて、ステータコア10にコイル部20が配置された状態になる。
ステップS3において、コイル部20および絶縁部材15が配置されたステータコア10の検査(第1の検査)が行われる。たとえば、検査装置230により、熱硬化性部材30が設けられる前のステータコア10の重量が計測される。
ステップS4において、ステータコア10が予備加熱される。たとえば、図7に示すように、ステータコア10が加熱装置210により常温T1以上に加熱される。ここで、予備加熱とは、熱硬化性部材30が設けられる前にステータコア10が加熱されることを意味する。
ステップS5において、熱硬化性部材30がステータコア10に配置される。具体的には、図8に示すように、滴下装置220により、ステータコア10よりも軸方向の一方側から、液状の熱硬化性部材30が滴下されることによって、コイル部20同士の隙間、および、ステータコア10とコイル部20との隙間の少なくとも一部に、液状の熱硬化性部材30が浸透される。
ステップS6において、熱硬化性部材30が設けられたステータコア10が加熱(本加熱)される。たとえば、図7に示すように、ステータコア10が加熱装置210により硬化温度T2以上に加熱される。これにより、ステータコア10およびコイル部20に設けられた熱硬化性部材30が硬化し、熱硬化性部材30がステータコア10およびコイル部20に固定される。
ステップS7において、図11に示すように、複数の気体注入治具252が等角度間隔(たとえば、120度間隔)でバックヨーク部12よりも径方向外側に配置される。具体的には、図9に示すように、加圧気体発生装置251により加圧された気体Gを導入するノズル251aが取り付けられたケース部253と、バックヨーク部12の外周表面12bとの径方向の間に、シール部254が配置されるように、複数の気体注入治具252がバックヨーク部12の外周表面12bに当接するように配置される。これにより、気体注入治具252内に内部空間Sが形成される。
ステップS8において、図13に示すように、ステータコア10が冷却される。まず、気体注入治具252が配置された(取り付けられた)ステータコア10が送風ケース部262に配置される。
ステップS9において、熱硬化性部材30が設けられたステータコア10の検査が行われる。たとえば、検査装置230により、熱硬化性部材30が設けられたステータコア10の重量が計測される。その後、ステータ100が完成される。そして、ステータ100とロータ101とが組み合わされることにより、回転電機102が完成される。
次に、図15および図16を参照して、第2実施形態によるステータ100の製造装置300および製造方法について説明する。この第2実施形態の製造装置300では、ステータコア10の軸方向の端面10aと、気体注入治具352aとの軸方向の間、および、端面10bと、気体注入治具352bとの軸方向の間に、シール部354が設けられている。なお、上記第1実施形態と同一の構造および工程については、同じ符号(ステップ番号)を付し、その説明を省略する。
図15に示すように、第2実施形態によるステータ100の製造装置300は、冷却装置340を備える。そして、冷却装置340は、板間冷却装置350を含む。板間冷却装置350は、軸方向に一対の気体注入治具352aおよび352bを含む。図16に示すように、一対の気体注入治具352aおよび352bは、それぞれ、ステータコア10の軸方向の端面10aと、気体注入治具352aとの軸方向の間、および、端面10bと、気体注入治具352bとの軸方向の間に、シール部354が設けられるように、かつ、バックヨーク部12の外周の全周を覆うように配置される。
次に、第2実施形態によるステータ100の製造方法について説明する。第2実施形態では、図13のフロー図に示すように、ステップS7およびS8の代わりにステップS101およびS102が実行される。
ステップS101において、一対の気体注入治具352aおよび352bがステータコア10に配置される。具体的には、図16に示すように、軸方向に2分割された一対の気体注入治具352aおよび352bのうちの少なくとも一方(たとえば、気体注入治具352aのみ)が、ステータコア10に対して軸方向に移動される。これにより、図15に示すように、一対の気体注入治具352aおよび352bがバックヨーク部12の外周を覆うように配置され、かつ、ステータコア10の軸方向の端面10aおよび10bにシール部354がそれぞれ配置される。
ステップS102において、一対の気体注入治具352aおよび352bがバックヨーク部12の外周を覆うように配置された状態で、かつ、ステータコア10の軸方向の端面10aおよび10bにシール部354が配置された状態で、図16に示すように、電磁鋼板11の隙間の空気層11aに気体Gが注入されることにより、ステータコア10が冷却される。
上記実施形態の製造方法では、以下のような効果を得ることができる。
上記実施形態の製造方法では、以下のような効果を得ることができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、加圧気体発生装置のノズルを、気体注入治具の軸方向の端部の取り付け部に設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図17に示す第1変形例による気体注入治具452のように、ノズル251aが取り付けられる取り付け部453aは、気体注入治具452の径方向の端部(壁部)に設けられていてもよい。
また、第2実施形態では、一対の気体注入治具をそれぞれ、周方向に見て略L字状に形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図18に示す第2変形例による気体注入治具552aおよび552bのように、気体注入治具552aを周方向に見て、略S字状に形成するとともに、気体注入治具552aを周方向に見て、略I字状に形成してもよい。この場合、気体注入治具552aは、たとえば、円盤状に形成される。
また、上記実施形態では、ステータおよびステータの製造方法に、本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ロータおよびロータの製造方法に、本発明を適用してもよい。
11a 空気層(隙間) 12 バックヨーク部(ヨーク部)
12b 外周表面 14 スロット
20 コイル部 100 ステータ
200、300 製造装置 210 加熱装置(加熱部)
240、340 冷却装置(冷却部)
252、352a、352b、452、552a、552b 気体注入治具
253、353a、353b ケース部
254、354 シール部
254a 開口部 260 送風装置
Claims (15)
- コイル部と、前記コイル部が配置されるスロットが設けられており、複数の電磁鋼板が積層されることにより形成された電機子コアとを備える、電機子の製造方法であって、
前記コイル部を前記スロットに配置する工程と、
前記コイル部を配置する工程の後、前記電機子コアを加熱する工程と、
前記電機子コアを加熱する工程の後、前記電機子コアのヨーク部の外周表面に隣接する気体注入治具を介して、前記複数の電磁鋼板同士の積層方向の隙間に、加熱された前記電機子コアの温度よりも低い温度を有する気体を径方向から注入することにより、前記電機子コアを冷却する工程とを備える、電機子の製造方法。 - 前記電機子コアを冷却する工程は、加圧された前記気体を、前記隙間に径方向から注入することにより、前記電機子コアを冷却する工程である、請求項1に記載の電機子の製造方法。
- 前記電機子コアは、環状の前記ヨーク部と、前記ヨーク部から径方向内側に延びる複数のティース部とを含み、
前記電機子コアを冷却する工程は、前記ヨーク部の外周表面に隣接する位置において、前記加圧された気体が導入されることにより、気圧が外部よりも高い内部空間を形成する前記気体注入治具を介して、前記隙間に前記気体を注入することにより、前記電機子コアを冷却する工程である、請求項2に記載の電機子の製造方法。 - 前記気体注入治具は、前記ヨーク部の径方向外側の少なくとも一部を覆うケース部と、前記内部空間からの前記気体の漏れを封止するためのシール部とを含み、
前記電機子コアを冷却する工程は、前記シール部が前記ケース部と前記ヨーク部との径方向の間または軸方向の間に配置された状態で、前記隙間に前記気体を注入することにより、前記電機子コアを冷却する工程である、請求項3に記載の電機子の製造方法。 - 前記電機子コアを冷却する工程は、前記シール部に設けられた開口部を介して、前記隙間に前記気体を注入することにより、前記電機子コアを冷却する工程である、請求項4に記載の電機子の製造方法。
- 前記電機子コアを冷却する工程は、径方向に見て、前記開口部を前記スロットにオーバーラップする位置に配置した状態で、前記開口部を介して、前記隙間に前記気体を注入することにより、前記電機子コアを冷却する工程である、請求項5に記載の電機子の製造方法。
- 前記電機子コアを冷却する工程は、前記開口部からの周方向の長さが、前記ヨーク部の径方向の長さの2分の1よりも大きい、前記シール部を有する前記気体注入治具を介して、前記隙間に前記気体を注入することにより、前記電機子コアを冷却する工程である、請求項5または6に記載の電機子の製造方法。
- 前記電機子コアを冷却する工程は、前記開口部からの周方向の長さが、前記ヨーク部の径方向の長さよりも大きい、前記シール部を有する前記気体注入治具を介して、前記隙間に前記気体を注入することにより、前記電機子コアを冷却する工程である、請求項7に記載の電機子の製造方法。
- 前記電機子コアを冷却する工程は、前記開口部からの周方向の長さが軸方向の長さよりも大きい、前記シール部を有する前記気体注入治具を介して、前記隙間に前記気体を注入することにより、前記電機子コアを冷却する工程である、請求項5~8のいずれか1項に記載の電機子の製造方法。
- 前記電機子コアを加熱する工程の後で、かつ、前記電機子コアを冷却する工程に先立って、複数の前記気体注入治具を等角度間隔で前記ヨーク部よりも径方向外側に配置する工程をさらに備える、請求項4~9のいずれか1項に記載の電機子の製造方法。
- 前記電機子コアを冷却する工程は、前記気体注入治具が前記ヨーク部の外周を覆うように配置された状態で、かつ、前記電機子コアの軸方向端面に前記シール部が配置された状態で、前記隙間に前記気体を注入することにより、前記電機子コアを冷却する工程である、請求項4に記載の電機子の製造方法。
- 前記電機子コアを加熱する工程の後で、かつ、前記電機子コアを冷却する工程に先立って、軸方向に2分割された一対の前記気体注入治具のうちの少なくとも一方が、軸方向に移動されることにより、前記一対の気体注入治具が前記ヨーク部の外周を覆うように配置され、かつ、前記電機子コアの軸方向端面に前記シール部が配置されるように、前記一対の気体注入治具を前記電機子コアに配置する工程をさらに備える、請求項11に記載の電機子の製造方法。
- 前記電機子コアを冷却する工程は、前記隙間に前記気体を注入することに加えて、送風装置により、前記加熱された電機子コアの温度よりも低い温度を有する風を当てることにより、前記電機子コアを冷却する工程である、請求項1~12のいずれか1項に記載の電機子の製造方法。
- コイル部と、前記コイル部が配置されるスロットが設けられており、複数の電磁鋼板が積層されることにより形成された電機子コアとを備える、電機子の製造装置であって、
前記スロットに前記コイル部が配置された状態の前記電機子コアを加熱する加熱部と、
前記電機子コアのヨーク部の外周表面に隣接し、前記複数の電磁鋼板同士の積層方向の隙間に、加熱された前記電機子コアの温度よりも低い温度を有する気体を径方向から注入することにより、前記電機子コアを冷却する冷却部とを備える、電機子の製造装置。 - 前記冷却部は、前記電機子コアの環状のヨーク部に隣接する位置において、加圧された前記気体が導入されることにより、気圧が外部よりも高い内部空間を形成する気体注入治具を含む、請求項14に記載の電機子の製造装置。
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