JP7407623B2 - 放射性薬剤の移送装置及び放射性薬剤の移送方法 - Google Patents

放射性薬剤の移送装置及び放射性薬剤の移送方法 Download PDF

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Description

本発明は、放射性薬剤の移送装置及び放射性薬剤の移送方法に関する。
現在、放射性薬剤を被術者に投与する投与装置には、複数回投与できる量の放射性薬剤を収容するマルチドーズのバイアルを収容するものがある。このような放射性薬剤投与装置では、バイアルから一人の被術者に投与する分量の放射性薬剤を分注して投与を行っている。このような投与装置は、複数回の投与の実行中にバイアルから放射性薬剤を抽出するための針を含む流路チューブ等をバイアルから取り外して交換する作業が不要である。この点は、放射性薬剤の投与の効率性を高めると共に、放射線をシールドする鉛等により遮蔽されている放射性薬剤の収容空間を操作者が開ける回数を低減して放射線被ばくの可能性を低減することに有利である。複数人分の放射性薬剤を分注して投与する放射性薬液投与装置は、例えば、特許文献1に記載されている。
特開2008-302092号公報
投与装置は、放射性薬剤を収容する収容容器の設置部が予め所定の形状及び大きさを有している。このため、マルチドーズの放射性薬剤用の投与装置においてシングルドーズの放射性薬剤を使用する場合、設置部の形状及び大きさに適合する別の容器に移し替える手間が生じる。収容容器の形状及び大きさはメーカーにより異なるため、異なるメーカーの放射性薬剤を使用する場合においても同様な問題が生じる。本発明は、所望の形状及び大きさの容器に放射性薬剤を容易に移送するための放射性薬剤の移送装置及び放射性薬剤の移送方法に関する。
本発明の放射性薬剤の移送装置は、第一容器を保持可能な第一保持部と、前記第一容器と形状または容量の異なる第二容器を保持可能な第二保持部と、前記第二保持部に前記第二容器が保持されている場合、少なくとも前記第一容器の内部を減圧することによって前記第一容器に収容されている放射性薬剤の全量を直接、または間接的に前記第二容器に移送するための移送機構と、を備える。
また、本発明の放射性薬剤の移送方法は、第一容器を保持可能な第一保持部と、前記第一容器と形状または容量の異なる第二容器を保持可能な第二保持部と、を備える放射性薬剤の移送装置において実行される放射性薬剤の移送方法であって、前記第二保持部に前記第二容器が保持されている場合、少なくとも前記第一容器の内部を減圧することによって前記第一容器に収容されている放射性薬剤の全量を、直接または間接的に前記第二容器に移送するための移送工程を含む。
本発明によれば、所望の形状及び大きさの容器に放射性薬剤を容易に移送することができるため、形状及び大きさの異なる種々の容器に収容された放射性薬剤が入手された場合であっても、所持する投与装置の設置部の形状及び大きさに合わせて使用することが可能になる。好ましくは、複数の容器に収容された放射性薬剤を一つの容器にまとめることができるので、所望の人数分の放射性薬剤を一つの容器に準備することができ、投与装置を取り扱う医療従事者の作業効率を向上させつつ、放射線被曝の機会を低減することが可能になる。また、使用後、または未使用の放射性薬剤においては、複数の収容容器を一つの容器にまとめることができるので、廃棄処理を容易にし、より少ないスペースでの保管が可能になる。
本発明の移送装置の概要を説明するための図である。 第一実施形態の移送装置を説明するための模式図である。 図1に示す針体、導出針体及び供給針体の動作を制御する構成を説明するための図である。 (a)はバイアル瓶において生理食塩水が供給されている状態を示す図である。(b)は導出針体により生理食塩水をマザーボトルの側に導出している状態を示す図である。 第一実施形態の変形例の移送装置を説明するための図である。 第二実施形態の移送装置を説明するための模式図である。
以下、本発明の第一実施形態、第二実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
[概要]
図1は、第一実施形態、第二実施形態の説明に先立って、本発明の移送装置の概要を説明するための図である。なお、第一実施形態及び第二実施を合わせて、以降「本実施形態」とも記す。
本実施形態の放射性薬剤の移送装置(以下、単に「移送装置」とも記す)1は、複数の第一容器を保持可能な第一保持部と、第一容器と形状または容量の異なる第二容器を保持可能な第二保持部と、第二保持部に第二容器が保持されている場合、少なくとも第一容器の内部を減圧することによって複数の第一容器の少なくとも一つに収容されている放射性薬剤の全量を第二容器に移送するための移送機構と、を備えている。図1に示す本実施形態は、例えば、第二容器に適応した投与装置を使って投与するために、第一容器の少なくとも一つに収容されている放射性薬剤を第二容器に移送する例を示している。
本実施形態では、第一容器をバイアル瓶31及びバイアル瓶32とする。また、第二容器をマザーボトル10とする。移送装置1は、バイアル瓶31及びバイアル瓶32を保持する第一載置台71、72、73と、マザーボトル10を保持する第二載置台74とを備えている(図2)。バイアル瓶31、32とマザーボトル10とは、形状と共に容量が相違しており、バイアル瓶31、32は、マザーボトル10よりも容量が少ない容器に一人分から凡そ四、五人分の放射性薬剤を収容するものである。バイアル瓶31、32、33は、シングルドーズに使用されるものであってもよいし、マルチドーズに使用されるものであってもよい。また、マザーボトル10は、バイアル瓶31、32よりもさらに多人数分の放射性薬剤を収容可能な容器であって、マルチドーズを行うことに使用される。また、本実施形態では、真空ポンプ4が移送機構として機能する。
上記の「全量」は、未開封の状態のバイアル瓶31等に収容されている放射性薬剤3の量の実質的な総量をいう。ここで、「実質的」とは、バイアル瓶31から抽出可能であることを指し、バイアル瓶31の内壁や底面に付着して抽出できないものを除くものであってもよい。また、特に本実施形態でいう全量は、少なくとも後述する放射性薬剤3の抽出によって抽出される放射性薬剤3の量であり、さらには後述するバイアル瓶31等の洗浄により抽出される放射性薬剤3の量を含むものであってもよい。
バイアル瓶は、単数であっても複数であってもよく、次に説明する移送装置はバイアル瓶を複数備えている。ただし、本実施形態の移送装置は、後述するように単数のバイアル瓶を使って放射性薬剤を移送するものであってもよい。
図1に示すバイアル瓶31、32及びマザーボトル10は、流路チューブ20によって直列に接続されている。本実施形態でいう「直列」は、分岐路(バイアル瓶31、32及びマザーボトル10に接続される支流路20aを除く)を持たない流路チューブ20によりバイアル瓶31、32及びマザーボトル10が一列に配置されるように接続されて直接または間接的に連通している状態を指す。このとき、流路チューブ20の状態は、線状であってもよいし、環状等の始端と終端とが接続された形になっていてもよい。
また、「少なくともバイアル瓶31、32の内部を減圧する」とは、バイアル瓶31、32の内部の気圧を大気圧よりも低くすることをいい、本実施形態ではマザーボトル10を減圧することによってマザーボトル10と連通する流路チューブ20によりバイアル瓶31、32の内部を間接的に減圧する。このような例は、マザーボトル10及びバイアル瓶31、32の両方を減圧するものである。マザーボトル10を減圧することにより、間接的に減圧されたバイアル瓶31、32内の放射性薬剤が順次マザーボトル10の内部に移送される。
放射性薬剤の移送は、例えばバイアル瓶32の内部を加圧状態にすることにより放射性薬剤をマザーボトル10に向けて噴出させるようにすることによっても可能である。しかし、マザーボトル10の内部を減圧して放射性薬剤を移送する本実施形態は、このような構成に比べて流路チューブ20を含む移送の系統にリーク等があった場合、リーク箇所から放射性薬剤が噴出することをより確実に防ぐことができる。
マザーボトル10内部の減圧は、例えば、マザーボトル10に接続された真空ポンプ4によって行うことができる。
なお、図1に示す移送装置1は、バイアル瓶31、32のいずれか一方に放射性薬剤が収容されていれば使用可能であって、バイアル瓶31、32の両方に薬剤が収容されている状態で使用されることに限定されない。例えば、バイアル瓶31を空の無菌バイアルとした場合、バイアル瓶31からマザーボトル10を流路チューブ20により連通させて、バイアル瓶32に収容されている放射性薬剤をマザーボトル10に移し替えることができる。また、移送装置1のこのような動作は、空のバイアル瓶31を用意せず、図1においてバイアル瓶31に接続されている支流路20aを、より下流の流路チューブ20にバイパスさせることによっても実現することができる。
[第一実施形態]
図2は、第一実施形態の移送装置1を説明するための模式図であって、移送装置1の縦断面を示している。図2に示す移送装置1では、二つのバイアル瓶31、32の他、バイアル瓶33を直列に接続した例を示している。図2中に、放射性薬剤3の移送方向を矢線Tで示す。図2に示す移送装置1は、マザーボトル10が遮蔽壁80の内部に、また、バイアル瓶31、32、33が遮蔽壁70の内部に収容されている。遮蔽壁70は、内部にバイアル瓶31、32、33をそれぞれ保持する第一載置台71、72、73を備えている。また、遮蔽壁80は、内部にマザーボトル10を保持する第二載置台74を備えている。第一載置台71、72、73及び第二載置台74は、いずれもバイアル瓶31、32、33またはマザーボトル10を自在に固定及び取り外し可能な構成である。図2に示す移送装置1では、全ての第一載置台71、72、73にバイアル瓶31、32、33が各々固定されていて、第二載置台74にマザーボトル10が固定されている。また、図2に示す第一実施形態では、バイアル瓶31、32、33に放射性薬剤3が収容されているものとする。
マザーボトル10の内部には、ゴム栓101を挿通したバキュームチューブ102が挿入されている。遮蔽壁80には、バキュームチューブ102を通す孔81が形成されていて、バキュームチューブ102の内部を外部の真空ポンプ4により吸引される空気が通過する。バイアル瓶31、32、33及びマザーボトル10を遮蔽壁70または遮蔽壁80により遮蔽することにより、第一実施形態は、バイアル瓶31、32、33及びマザーボトル10内の放射性薬剤3から放出される放射線が外部に漏れることを防ぐことができる。
さらに、バイアル瓶31、32、33は、各々が放射線の阻止能の高い材料で形成される遮蔽容器311、321、331の内部に収容されている。このような第一実施形態は、より確実にバイアル瓶31、32、33からの放射線の漏れを防ぐことができる。遮蔽壁70、80、バイアル瓶31、32、33の材料には、例えば、鉛(Pb)、あるいはタングステン(W)等の比較的分子量の大きなものが用いられる。
遮蔽壁70の内部において、バイアル瓶31、32、33が配置される側の面を床面75とし、床面75を囲んで立設される複数の面を周面76とする。床面75と対向する面を上面77とする。なお、第一実施形態でいう「上下」は、重力方向に沿って定められる。つまり、第一実施形態では重力のベクトルの始端側を相対的に「上」、始端に対する終端側を「下」とする。
第一載置台71、72、73は、床面75に形成されている。バイアル瓶31、32、33は、各々対応する第一載置台71、72、73により斜めに固定されていて、いずれも一方向に(図2に示す例ではマザーボトル10に向かう方向)傾いている。このため、バイアル瓶31、32、33の内部の放射性薬剤3は、傾き方向の端部において深さが最も深くなる。
図2に示すように、移送装置1は、複数のバイアル瓶31、32、33のそれぞれを直列に接続する第一輸液管である流路部22及び流路部23と、流路部22、23に接続されたバイアル瓶31、32、33のうち、放射性薬剤3の移送方向に沿う最下流に位置するバイアル瓶33とマザーボトル10とを接続する流路部24と、を備えている。
より具体的には、バイアル瓶31には流路部22の一端が挿入されていて、流路部22の他端はバイアル瓶32の内部に挿入されている。バイアル瓶32には流路部22の他端と共に流路部23の一端が挿入され、流路部23の他端がバイアル瓶33の内部に挿入されている。さらに、バイアル瓶33には流路部23の他端と共に、流路部24の一端が挿入され、流路部24の他端はマザーボトル10の内部に挿入されている。第一実施形態では、生理食塩水用流路21及び流路部22から流路部24が流路チューブ20を構成する。
流路チューブ20は、例えば、ポリイミド樹脂、あるいはフッ素樹脂やシリコーン樹脂等を材料にする小径の細管である。このような流路チューブ20は、放射性薬剤3との間に生じる摩擦が小さくて、内面に放射性薬剤3が残り難く、放射性薬剤3を効率的に移送することができる。
さらに、第一実施形態の移送装置1は、放射性薬剤3の移送方向の最上流に位置するバイアル瓶31の内部に、複数のバイアル瓶31、32、33を洗浄する洗浄用液剤を注入する洗浄用液剤注入部を備えることができる。図2に示す移送装置1では、洗浄用の洗浄用液剤に生理食塩水を用いることができる。生理食塩水は、三方活栓8を切り換えてシリンジ5と生理食塩水用流路21を連通させることによってバイアル瓶31に供給される。第一実施形態では、生理食塩水用流路21及びシリンジ5が洗浄用液剤注入部を構成する。なお、生理食塩水としては、例えば、10μmolのマンニトール生理食塩水やエタノール生理食塩水、あるいはグルコース生理食塩水を用いることが、RCP(Radio Chemical Purity:放射化学的純度)低下防止の観点から好ましい。
三方活栓8の切換は、シリンジ5とベントフィルタ(無菌エアフィルタ)9との間で行われる。ベントフィルタ9の三方活栓8と反対の側(以下、「ベント側」とも記す)は大気圧の環境下にある。
上記構成により、第一実施形態は、マザーボトル10の内部を真空ポンプ4により減圧することによってバイアル瓶33、32、31の順で放射性薬剤3をマザーボトル10の内部に移送することができる。また、上記構成によれば、生理食塩水用流路21を介して生理食塩水がバイアル瓶31の内部に供給することにより、生理食塩水を圧力差によりバイアル瓶31、32、33の順でマザーボトル10の内部に移送することができる。
このような第一実施形態は、流路チューブ20によりバイアル瓶31からマザーボトル10を直列に接続しているので、バイアル瓶31からマザーボトル10までの間の流路を短くし、また、分岐部分等の放射性薬剤3が溜まり易い箇所をなくすことができる。このような第一実施形態は、バイアル瓶31等に収容されている放射性薬剤3がマザーボトル10に移送される過程で生じるロスを少なくすることができる。
さらに、第一実施形態は、流路チューブ20内に放射性薬剤3が残ったとしても、残った放射性薬剤3を生理食塩水と共にマザーボトル10内に流し込むことができる。このような第一実施形態は、マザーボトル10への放射性薬剤3の回収効率をいっそう高めることができる。
バイアル瓶31、32、33は、いずれも蓋体31a、32a、33aによりそれぞれ内部が密封されていて、蓋体31a、32a、33aに針体が穿刺されて開封される。第一実施形態の流路部22、23は、バイアル瓶31、32、33の内部を密封している蓋体31a、32a、33aに穿刺される導出針体62、64及び供給針体63、65と接続されている。供給針体63、65は、バイアル瓶32、33に放射性薬剤3の移送方向の上流側から放射性薬剤3を供給するものである。また、導出針体62、64、66は、バイアル瓶31、32、33から下流側に放射性薬剤3を導出するものである。
さらに、移送装置1は、導出針体62、64、66を蓋体31a、32a、33aに向かって上方からバイアル瓶31、32、33の内部にまで移動させる針体駆動部であるドライバ42及びモータ44(図3)を備えている。
より具体的には、流路部22の一端には導出針体62、他端には供給針体63が設けられている。流路部23の一端には導出針体64、他端には供給針体65が設けられている。さらに、移送装置1では、生理食塩水用流路21の先端には、生理食塩水用の針体61が設けられている。また、流路部24の一端には導出針体66が設けられ、他端には供給針体67が設けられている。供給針体67は、バイアル瓶33から放射性薬剤3をマザーボトル10に供給するための針体である。マザーボトル10に挿入されているバキュームチューブ102に設けられた針体68は、真空ポンプ4の図示しない排気路にマザーボトル10を接続し、マザーボトル10内を減圧することに用いられる。
上記構成によれば、針体61、導出針体62、64、66及び供給針体63、65、67を図示しないモータにより下降させて蓋体31a等に穿刺し、その針先を含む部分をバイアル瓶31等の内部にまで挿入することができる。なお、第一実施形態では、以降、針体61、導出針体62、64、66及び供給針体63、65を指す場合、これを総称して単に「針体61から導出針体66」とも記す。
このように、移送装置1は、遮蔽壁70内で自動的に針体61から導出針体66を駆動させることができるので、移送装置1の操作者が放射性薬剤3に近づいて放射線による汚染または暴露を受けることがない。また、第一実施形態は、導出針体62、64、66をバイアル瓶31等における放射性薬剤3が最も深い位置に下降させて放射性薬剤3の全量を抽出するようにしている。上記構成によれば、導出針体62、64、66の下降位置を高い精度で定めることができるので、バイアル瓶31等の内部の放射性薬剤3の残量を最小限に止めることができる。
移送装置1は、バイアル瓶31、32、33の上方に、それぞれ放射性薬剤3の放射線量を検出する放射線検出器51、52、53を備えている。放射線検出器51、52、53は、それぞれ検出した放射線量を示す放射線検出信号Srを出力している。放射線検出信号Srの出力は、例えば一定の時間毎に周期的に行われるものであってもよい。また、操作者等の指示により行われるものであってもよい。
図3は、移送装置1の針体61から導出針体66までの動作を制御する構成を説明するための図である。
図3に示すように、針体61から導出針体66の動作は、例えば、スイッチ41、モータ44及びモータ44を制御するドライバ42によって制御することができる。スイッチ41は、針体61から導出針体66の動作タイミングを示す信号を出力可能なスイッチであればどのようなものであってもよく、例えば、機械的なスイッチやタッチパネル上に形成されたアイコン等であってもよい。図3に示すドライバ42は、タイマ43を有している。また、ドライバ42には、放射線検出器51、52、53のそれぞれから放射線検出信号Srが入力される。
以下、図3に示す構成の動作を、放射性薬剤3の抽出時と、バイアル瓶31、32、33の洗浄時とに分けて説明する。
[放射性薬剤の抽出時]
ドライバ42は、既知の放射性薬剤3の液量から放射性薬剤3を全量抽出するために必要な回転数を示すモータ制御信号Smをモータ44に出力する。モータ44の回転数は、導出針体等の下降高さを決定する。第一実施形態は、放射性薬剤3の全量をバイアル瓶31、32、33から抽出するために、導出針体62、64、66を放射性薬剤3の最も深い位置に下降させる。このとき、ドライバ42は、導出針体62、64、66の下方の先端がバイアル瓶31、32、33の底に当接する、あるいは当接後にわずかに撓る位置まで導出針体62、64、66を下降させる。
導出針体62、64、66の下降後、真空ポンプ4によりバキュームチューブ102からマザーボトル10内部の空気が排気されてマザーボトル10の内部が減圧状態になる。このとき、導出針体66によりバイアル瓶33の内部の放射性薬剤3がマザーボトル10の側に移送される。また、バイアル瓶32の内部の放射性薬剤3は、導出針体64、66及び供給針体65、67によりバイアル瓶33を通過してマザーボトル10に移送される。バイアル瓶31の内部の放射性薬剤3は、導出針体62、64、66、供給針体63、65、67によりバイアル瓶32、33を通過してマザーボトル10に移送される。このような放射性薬剤3の移送は、略同時に行われる。
なお、図2に示す移送装置1においても、移送前に放射性薬剤3がバイアル瓶31、32、33の全てに収容されていて、三つのバイアル瓶に収容されている放射性薬剤3を順次マザーボトル10に移送することに限定されず、一つまたは二つのバイアル瓶に収容されている放射性薬剤3をマザーボトル10に移送することができる。例えば、三つのバイアルのうち、二つのバイアルに放射性薬剤が収容されている場合は、一つのバイアル瓶を空の無菌バイアルとする。そして、上記の全てのバイアル瓶に放射性薬剤3が収容されている場合と同様に移送装置1を動作させることによって二つのバイアル瓶のみからマザーボトル10に放射性薬剤3を移送することができる。
また、第一実施形態の移送装置1は、無菌のバイアル瓶を用意せず、次のようにしてバイアル瓶31、32、33のいずれか二つから放射性薬剤を抽出することができる。例えば、移送装置1では、針体61と導出針体62とを取り外して生理食塩水用流路21と流路部22とをバイパスすることによってバイアル瓶31を省くことができる。また、移送装置1は、供給針体63と導出針体64とを取り外して流路部22と流路部23とをバイパスすることによってバイアル瓶32を省くことができる。また、移送装置1は、供給針体65と導出針体66とを取り外して流路部23と流路部24とをバイパスすることによってバイアル瓶33を省くことができる。
さらに、移送装置1は、バイアル瓶31、32、33のいずれか一つから放射性薬剤を抽出する場合、二つのバイアル瓶に代えて二つの無菌のバイアル瓶を用意する。そして、上記した全てのバイアル瓶に放射性薬剤3が収容されている場合と同様に移送装置1を動作させることによって一つのバイアル瓶のみからマザーボトル10に放射性薬剤3を移送することができる。
また、第一実施形態の移送装置1は、無菌のバイアル瓶を用意せず、次のようにしてバイアル瓶31、32、33のいずれか一つのみから放射性薬剤3をマザーボトル10に放射性薬剤3を移送することができる。例えば、移送装置1では、針体61と導出針体64とを取り外して生理食塩水用流路21と流路部23とをバイパスすることによってバイアル瓶31、32を省くことができる。また、供給針体63と導出針体66とを取り外して流路部22と流路部24とをバイパスすることによってバイアル瓶32、33を省くことができる。また、移送装置1は、生理食塩水用流路21と流路部22とをバイパスし、かつ、流路部23と流路部24とをバイパスすることによってバイアル瓶31、33を省くことができる。
以上のように、第一実施形態の移送装置1は、複数のバイアル瓶を保持可能な第一載置台を有し、このうちの任意のバイアル瓶から放射性薬剤を形状または大きさの異なる容器に移送することができる。このような第一実施形態によれば、以降行われる分注や投与の装置に合わせて放射性薬剤を所望の容器に移し替えることができる。
[バイアル瓶の洗浄時]
上記の抽出に続いて、第一実施形態は、生理食塩水を使ってバイアル瓶31、32、33を洗浄し、バイアル瓶31、32、33及び流路チューブ20等に残った放射性薬剤3を生理食塩水と共にマザーボトル10に移送する。
この動作においては、ドライバ42がモータ44を駆動して各バイアル瓶内において導出針体62、64、66を上昇させる。なお、ドライバ42が導出針体62、64、66を上昇させるタイミングは、操作者がスイッチ41を操作して指示するものであってもよいし、ドライバ42が放射性薬剤の抽出開始からタイマ43による計時を開始し、計時時間が予め設定されている時間に達したときであってもよい。
次に、手動、または自動制御によって三方活栓8がシリンジ5の側に切り換えられる。生理食塩水は、シリンジ5から生理食塩水用流路21に流れ込み、針体61を通してバイアル瓶31に供給される。バイアル瓶31に供給された生理食塩水は、順次バイアル瓶32、33に移送され、バイアル瓶31、32、33の内面に接触して残留している放射性薬剤3を取り込むようになる。つまり、バイアル瓶31、32、33の洗浄では、生理食塩水がバイアル瓶31、32、33の内面の放射性薬剤3を取り込むための時間が必要になる。
しかし、各バイアル瓶において放射性薬剤3の供給と導出が略同時に起きるとすると、生理食塩水は各バイアル瓶の内面と充分に接触しないままマザーボトル10に移送されることが考えられる。このような場合、生理食塩水によるバイアル瓶31、32、33の洗浄の効果は低下する。
充分な洗浄の効果を得るため、第一実施形態は、前述のように洗浄にあたって予め導出針体62、64、66を上昇させている。この後、ドライバ42は、放射性薬剤3の移送方向(矢線Tで示す)の最上流のバイアル瓶31からバイアル瓶31よりも下流に位置するバイアル瓶32、33に向かい、時間間隔を空けて順番に導出針体62、64、66をバイアル瓶の底面に向けて移動(下降)させている。なお、ドライバ42が導出針体62、64、66を順番に下降させるタイミングは、操作者がスイッチ41を操作して指示するものであってもよいし、ドライバ42が例えば直前に行った下降動作からタイマ43による計時を開始し、計時時間が予め設定されている時間に達したときであってもよい。
このようにすることにより、第一実施形態は、バイアル瓶31、32、33において生理食塩水が供給されてから所定の時間が経過するまでの間、生理食塩水及び放射性薬剤3の導出が開始されないようにすることができる。このため、第一実施形態は、バイアル瓶31、32、33内において、生理食塩水が内面に残留している放射性薬剤3を取り込む充分な時間を確保することができる。
より詳細には、ドライバ42及びモータ44は、バイアル瓶32において、少なくとも供給針体63により生理食塩水が供給されている間、導出針体64の放射性薬剤3の液面に向く先端を液面より上方に位置させる。また、ドライバ42及びモータ44は、バイアル瓶33において、少なくとも供給針体65により生理食塩水が供給されている間、導出針体66の放射性薬剤3の液面に向く先端を液面より上方に位置させる。さらに、第一実施形態では、ドライバ42及びモータ44が、バイアル瓶31において、針体61により生理食塩水が供給されている間、導出針体62の放射性薬剤3の液面に向く先端を液面より上方に位置させている。
図4(a)、図4(b)は、バイアル瓶32を例に挙げて上記動作を説明するための図である。図4(a)は、バイアル瓶32において供給針体63により生理食塩水6が供給されている状態を示している。図4(b)は、生理食塩水6の供給完了後、導出針体64により放射性薬剤3を含む生理食塩水がマザーボトル10の側に導出されている状態を示している。
図4(a)に示すように、第一実施形態では、ドライバ42及びモータ44が、生理食塩水6が供給されている間、導出針体64の先端641を生理食塩水6の液面6aよりも上方に固定し、生理食塩水6の導出のタイミングまで待機させている。ドライバ42及びモータ44は、生理食塩水6の導出のタイミングを検出すると、バイアル瓶32における生理食塩水6の深さの最も深い箇所に導出針体64の先端641を下降させる。導出針体64は、生理食塩水6を吸入する。導出針体64によって吸入された生理食塩水6は、供給針体65によりバイアル瓶33内に供給される。
以上の動作において、図4(a)、図4(b)では、供給針体63を移動させずに導出針体64を下降させて生理食塩水6の導出を行っている。
また、上記動作の過程において、ドライバ42及びモータ44は、バイアル瓶31、32、33に収容されている放射性薬剤の全量がマザーボトル10へ移送される間、針体61から導出針体66のバイアル瓶31、32、33の内部に移動している部分を第一容器の内部に留めている。すなわち、第一実施形態では、上記のバイアル瓶31等における放射性薬剤3の移送から洗浄までの間、針体61から導出針体66の一度バイアル瓶31等に挿入された部分がバイアル瓶31等の外部に出ることがない。
このような第一実施形態の移送装置1は、所望の人数分の放射性薬剤が収容された放射性薬剤バイアルを、導出針体や供給針体及び流路チューブを交換することなく効率的に容易に生成することができ、医療従事者の放射線被曝の機会を低減することができる。
また、第一実施形態の移送装置1は、複数の容器に収容された放射性薬剤を一つの容器に収集することができるので、所望の人数分の放射性薬剤を一つの容器に準備することができ、投与装置を取り扱う医療従事者の作業効率を向上させ、また、放射線被曝の機会を低減することができる。
以上説明したように、移送装置1は、放射性薬剤3の移送の後、流路チューブ20及びバイアル瓶31、32、33に残留している放射性薬剤3をも生理食塩水6と共にマザーボトル10に回収することができる。このような第一実施形態は、デリバリバイアルからマルチドーズに好適なより大容量のバイアルを生成し、マルチドーズを普及させることに貢献することができる。放射性薬剤3と共に生理食塩水6が回収されることにより、マザーボトル10における放射性薬剤3の濃度は希釈される。
第一実施形態では、放射線検出器51、52、53のそれぞれからドライバ42に放射線検出信号Srが入力されている。ドライバ42は、例えばマイクロコンピュータ等の小型の演算部を備えていて、複数の放射線検出信号Srから放射線の総量を算出するようにしてもよい。算出された総量に基づいて、ドライバ42は、マザーボトル10に回収された放射性薬剤3の総放射線量を求めることができる。また、バイアル瓶31に供給された生理食塩水6の量は既知である。このことから、ドライバ42は、マザーボトル10内にある液の放射性薬剤3の濃度を算出することができる。マザーボトル10における放射性薬剤3の濃度は、放射性薬剤3を投与する際の投与液量を算出するために用いられる。第一実施形態は、ドライバ42が算出したマザーボトル10における放射性薬剤3の濃度を、記録または出力して投与時に利用するようにしてもよい。
また、第一実施形態は、ドライバ42が、放射線検出器51、52、53から入力された放射線検出信号Srの各々から、バイアル瓶31、32、33の各々における放射性薬剤3の放射線量を得ることができる。さらに、第一実施形態は、ドライバ42が、放射性薬剤3の回収後の放射線検出信号Srから放射性薬剤3がバイアル瓶31等から適正に抽出された否かを確認するようにしてもよい。
また、以上説明した移送装置1は、使用後、または未使用のバイアル瓶の残液を廃棄する場合にも使用することが可能である。移送装置1を残液の廃棄に使用する場合、移送装置1は、上記と同様に動作する。ただし、このとき、移送装置1においては、それぞれ残液が収容された状態のバイアル瓶31、32、33を精製水等により洗浄し、残液をマザーボトル10内に移送する。マザーボトル10は、廃棄用の残液が収容される「廃棄用マザーボトル」として機能する。
上記構成によれば、放射性の薬剤(RI標識化合物)に使用される製品バイアルの残液処理及びクリーン化が可能である。
なお、使用後の移送装置1、または未使用のバイアル瓶の残液を廃棄する場合のベントは、移送装置1またはバイアル瓶内の圧力を降下させる機構であればよく、ベントフィルタ9のようにフィルタを使って圧力調整をするものに限定されるものではない。また、以上説明した移送装置1は、複数の第一載置台を備える構成に限定されるものではなく、一つの第一載置台を備えるものであってもよい。
(変形例)
図5は、第一実施形態の変形例を説明するための図であって、一つの第一載置台を備える移送装置2を示している。なお、図5において、図2と共通する構成については共通の符号を付して示し、その説明を一部略すものとする。
図5に示す移送装置2は、第一載置台72、73がない点で図2に示す移送装置1と相違する。移送装置2では、流路部22が図2に示す流路部24と同様に遮蔽壁70から遮蔽壁80を通過し、供給針体67がマザーボトル10に穿刺される。このような移送装置2によれば、一つのバイアル瓶31から所望の形状及び大きさのマザーボトル10に放射性薬剤3を移送することができる。
また、第一載置台71のみを備える移送装置2は、第一載置台71に複数のバイアル瓶31、32、33を交互に載置して使用するものであってもよい。移送装置2をこのように使用する場合、一つのバイアル瓶31に収容されている放射性薬剤の全量をマザーボトル10に移送させた後、針体61、導出針体62を上昇させてバイアル瓶31から引き抜き、空のバイアル瓶31を第一載置台71から取り除く。次に、移送装置2では、放射性薬剤3が収容された新たなバイアル瓶32を第一載置台71に設置し、針体61、導出針体62を下降させて新たなバイアル瓶32に穿刺する。そして、バイアル瓶32から放射性薬剤3を抽出し、マザーボトル10に移送する。
さらに、第一実施形態では、針体61、導出針体62を上昇させてから引き抜いた上で第一載置台71上のバイアル瓶32をバイアル瓶33に交換し、針体61、導出針体62を下降させてバイアル瓶32に穿刺する。そして、導出針体62で放射性薬剤3を抽出し、流路部22から供給針体67によりマザーボトル10に移送する。
上記の動作により、第一実施形態は、第一載置台71のみを備え、第一載置台72、73を備えていない移送装置2においても、複数のバイアル瓶31、32、33に収容された放射性薬剤を移送してマザーボトル10にまとめることができる。
また、移送装置2においても、一つのバイアル瓶31に収容されている放射性薬剤の全量をマザーボトル10に移送させた後、シリンジ5を用いて洗浄用液剤をバイアル瓶31に注入し、バイアル瓶31及び流路部22を洗浄した後、バイアル瓶31をバイアル瓶32に取り換えてもよい。このような場合、複数本分のバイアル瓶を洗浄するのに十分な量の液剤をシリンジ5に充填しておくことによって、シリンジ5のプランジャーをバネ等によって移動及び停止させることによりシリンジ5を取り外して液剤を追加補充することなく連続してバイアル瓶31、32、33を洗浄することができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態の移送装置1を説明する。
図6は、第二実施形態の移送装置7を説明するための図である。第二実施形態の移送装置7は、第一実施形態の移送装置1及び移送装置2において、真空ポンプ4が移送機構として機能していたのに対し、図6中に示すシリンジ95が移送機構として機能して、放射性薬剤3を間接的に移送する点で第一実施形態と相違する。また、第二実施形態は、シリンジ95がバイアル瓶31を直接減圧することによって放射性薬剤3を移送する点においても第一実施形態と相違する。
シリンジ95の前後には、それぞれ三方活栓953、954が設けられている。また、第二実施形態では、真空ポンプ4に接続されていた針体68と接続するチューブ103が図示しないベントフィルタに接続されている。図6に示す構成では、三方活栓953、954のどちらかに投与ラインを接続することが可能である。また、投与ラインにはバイアル洗浄のための生理食塩水用のシリンジ(図示せず)を備えることができる。この場合、不図示のシリンジを加圧することによってバイアル瓶31内に生理食塩水が液送される。
このような移送装置7は、複数または単数のバイアル瓶に収容されている放射性薬剤3をマザーボトル10に収容するものである。
シリンジ95は、流路部22における導出針体62と供給針体67との間に設けられていて、そのシリンジピストン951がモータ及びドライバによって駆動される。駆動は、シリンジ筒952の長さ方向にシリンジピストン951が並進運動するように行われる。ここでは、シリンジピストン951がシリンジ筒952の内部に入り込むように移動することを「前進」、シリンジ筒952から出るように移動することを「後退」と記す。第二実施形態では、図3に示す針体61から導出針体66を制御するモータ44及びドライバ42がシリンジ95の駆動を行うものとする。ただし、第二実施形態は、このような構成に限定されるものでなく、シリンジ95を針体61等とは別個の駆動部が駆動するようにしてもよい。
ドライバ42は、モータ44に対してモータ制御信号Smを出力し、シリンジピストン951を前進または後退させる。シリンジ95は、シリンジピストン951が後退することによって放射性薬剤3を吸引してシリンジ筒952に収容し、前進することによってシリンジ筒952内の放射性薬剤3をシリンジ筒952の内部から外部に吐出する。第二実施形態において、ドライバ42及びモータ44は、シリンジ95を後退させてバイアル瓶31に収容されている放射性薬剤3の全量を吸引する。また、ドライバ42及びモータ44は、吸引された放射性薬剤をマザーボトル10に吐出するように動作する。第二実施形態では、ドライバ42及びモータ44が吸引機構及び吐出機構として機能する。
ただし、第二実施形態は、上記のように、シリンジ95をドライバ42及びモータ44によって駆動することに限定されるものではない。シリンジ95のシリンジピストン951は、移送装置7の操作者が手動で行うものであってもよく、このような場合、シリンジピストン951が吸引機構及び吐出機構として機能する。
上記の動作において、三方活栓953は、放射性薬剤3の吸引時に流路部22からシリンジ95に向かう流路を開放し、吐出時にはこの流路を閉塞する。一方、三方活栓954は、放射性薬剤の吸引時にはシリンジ95から供給針体67に向かう流路を閉塞し、吐出時にはこの流路を開放する。このようにすることにより、移送装置7は、バイアル瓶31内の放射性薬剤3の全量をシリンジ筒952内に収容し、シリンジ筒952に収容された放射性薬剤3の全量をマザーボトル10に吐出することができる。
放射性薬剤3の吐出後、第二実施形態では、不図示のシリンジからバイアル瓶31に2mlから3mlの生理食塩水が供給される。バイアル瓶31に供給された生理食塩水は、バイアル瓶31の内面に接触して残留している放射性薬剤3を取り込む。ドライバ42及びモータ44は、シリンジピストン951を後退させてバイアル瓶31内の放射性薬剤3を取り込んだ生理食塩水を吸引する。そして、この生理食塩水をマザーボトル10に吐出する。生理食塩水の吸引、吐出にあたっても、放射性薬剤の吸引、吐出と同様に、三方活栓953によって流路部22からシリンジピストン951に向かう流路が開閉され、三方活栓954によってシリンジピストン951から供給針体67に向かう流路が開閉される。以上の動作により、第二実施形態では、吸引された生理食塩水が全量シリンジ筒952またはマザーボトル10に収容されるようにしている。
さらに、第二実施形態では、第一載置台71にあるバイアル瓶31を他のバイアル瓶と交換し、上記の放射性薬剤3または生理食塩水の吸引、吐出を繰り返すことができる。このようにすれば、マザーボトル10に複数のバイアル分の放射性薬剤3を収容することが可能になる。まお、バイアル瓶31の交換は、ドライバ42及びモータ44によって針体61、導出針体62がバイアル瓶31から抜き取られた後に行われる。ドライバ42及びモータ44は、交換された他のバイアル瓶に対する針体61、導出針体62の穿刺をも行うものである。
以上説明した第二実施形態によれば、バイアル瓶31に収容されている放射性薬剤3を任意のマザーボトル10に移送することができる。また、バイアル瓶31の他、他のバイアル瓶に収容されている放射性薬剤3をマザーボトル10に収集することができる。
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)第一容器を保持可能な第一保持部と、前記第一容器と形状または容量の異なる第二容器を保持可能な第二保持部と、前記第二保持部に前記第二容器が保持されている場合、少なくとも前記第一容器の内部を減圧することによって前記第一容器に収容されている放射性薬剤の全量を直接、または間接的に前記第二容器に移送するための移送機構と、を備える、放射性薬剤の移送装置。
(2)複数の第一容器を保持可能な第一保持部と、前記第一容器と形状または容量の異なる第二容器を保持可能な第二保持部と、前記第二保持部に前記第二容器が保持されている場合、少なくとも前記第二容器の内部を減圧することによって複数の前記第一容器の少なくとも一つに収容されている放射性薬剤の全量を前記第二容器に移送するための移送機構部と、を備える、放射性薬剤の移送装置。
(3)複数の前記第一容器のそれぞれを直列に接続する第一輸液管と、当該第一輸液管に接続された複数の前記第一容器のうち、前記放射性薬剤の移送方向に沿う最下流に位置する前記第一容器と前記第二容器とを接続する第二輸液管と、をさらに備える、(1)または(2)の放射性薬剤の移送装置。
(4)前記第一輸液管は、前記第一容器の内部を密封している蓋体に穿刺される針体と接続され、前記針体を前記蓋体に向かって上方から前記第一容器の内部にまで移動させる針体駆動部をさらに備える、(3)の放射性薬剤の移送装置。
(5)前記針体駆動部は、前記第一容器に収容されている前記放射性薬剤の全量が前記第二容器へ移送される間、前記針体の前記第一容器の内部に移動している部分を前記第一容器の内部に留める、(4)の放射性薬剤の移送装置。
(6)前記放射性薬剤の移送方向の最上流に位置する前記第一容器の内部に、複数の前記第一容器を洗浄する洗浄用液剤を注入する洗浄用液剤注入部をさらに備える、(4)または(5)の放射性薬剤の移送装置。
(7)前記針体は、前記第一容器に前記放射性薬剤の移送方向の上流側から前記放射性薬剤を供給する供給針体と、前記第一容器から前記移送方向の下流側に前記放射性薬剤を導出する導出針体と、を含み、前記洗浄用液剤の注入後、前記針体駆動部は、前記放射性薬剤の移送方向の最上流の前記第一容器から前記最上流よりも下流に位置する前記第一容器に向かい、時間間隔を空けて順番に前記導出針体を前記第一容器の底面に向けて移動させる、(6)の放射性薬剤の移送装置。
(8)前記供給針体は、前記第一容器に前記放射性薬剤の移送方向の上流側から前記洗浄用液剤を供給し、前記導出針体は、前記第一容器から前記移送方向の下流側に前記洗浄用液剤を導出し、前記針体駆動部は、少なくとも前記供給針体により前記洗浄用液剤が供給されている間、前記導出針体の前記洗浄用液剤の液面に向く先端を前記液面より上方に位置させる、(7)の放射性薬剤の移送装置。
(9)複数の第一容器を保持可能な第一保持部と、前記第一容器と形状または容量の異なる第二容器を保持可能な第二保持部と、を備える放射性薬剤の移送装置において実行される放射性薬剤の移送方法であって、前記第二保持部に前記第二容器が保持されている場合、少なくとも前記第二容器の内部を減圧することによって複数の前記第一容器の少なくとも一つに収容されている放射性薬剤の全量を前記第二容器に移送する移送工程を含む、放射性薬剤の移送方法。
(10)第一容器を保持可能な第一保持部と、前記第一容器と形状または容量の異なる第二容器を保持可能な第二保持部と、を備える放射性薬剤の移送装置において実行される放射性薬剤の移送方法であって、前記第二保持部に前記第二容器が保持されている場合、少なくとも前記第一容器の内部を減圧することによって前記第一容器に収容されている放射性薬剤の全量を、直接または間接的に前記第二容器に移送するための移送工程を含む、放射性薬剤の移送方法。
1、2、7・・・移送装置
3・・・放射性薬剤
4・・・真空ポンプ
5、95・・・シリンジ
6・・・生理食塩水
6a・・・液面
8、953、954・・・三方活栓
9・・・ベントフィルタ
10・・・マザーボトル
20・・・流路チューブ
20a・・・支流路
21・・・生理食塩水用流路
22、23、24・・・流路部
31、32、33・・・バイアル瓶
31a、32a、33a・・・蓋体
41・・・スイッチ
42・・・ドライバ
43・・・タイマ
44・・・モータ
51、52、53・・・放射線検出器
61、68・・・針体
62、64、66・・・導出針体
63、65、67・・・供給針体
70、80・・・遮蔽壁
71、72、73・・・第一載置台
74・・・第二載置台
75・・・床面
76・・・周面
77・・・上面
81・・・孔
101・・・ゴム栓
102・・・バキュームチューブ
311、321、331・・・遮蔽容器
641・・・先端
951・・・シリンジピストン
952・・・シリンジ筒
Sm・・・モータ制御信号
Sr・・・放射線検出信号

Claims (10)

  1. 第一容器を保持可能な第一保持部と、
    前記第一容器と形状または容量の異なる第二容器を保持可能な第二保持部と、
    前記第二保持部に前記第二容器が保持されている場合、少なくとも前記第一容器の内部を減圧することによって前記第一容器に収容されている放射性薬剤の全量を直接、または間接的に前記第二容器に移送するための移送機構と、
    前記第一容器の内部を密封している蓋体に穿刺される針体と、
    前記針体を当該蓋体に向かって上方から前記第一容器の内部にまで移動させる針体駆動部と、
    前記第一容器を洗浄する洗浄用液剤を前記第一容器に注入する洗浄用液剤注入部と、
    を備え
    前記針体は、前記第一容器に前記放射性薬剤の移送方向の上流側から液体を供給する供給針体と、前記第一容器から前記移送方向の下流側に液体を導出する導出針体と、を含み、
    前記針体駆動部は、前記第一容器において、前記供給針体を介して前記洗浄用液剤が供給されてから時間が経過したタイミングで前記導出針体を前記第一容器の底面に向けて移動させる、放射性薬剤の移送装置。
  2. 前記第一保持部が複数の第一容器を保持可能であり、
    前記移送機構が、複数の前記第一容器の少なくとも一つに収容されている放射性薬剤の全量を前記第二容器に移送する移送機構を備える、請求項1に記載の放射性薬剤の移送装置。
  3. 複数の前記第一容器のそれぞれを直列に接続する第一輸液管と、当該第一輸液管に接続された複数の前記第一容器のうち、前記放射性薬剤の移送方向に沿う最下流に位置する前記第一容器と前記第二容器とを接続する第二輸液管と、をさらに備える、請求項2に記載の放射性薬剤の移送装置。
  4. 前記第一輸液管は、前記第一容器の内部を密封している蓋体に穿刺される針体と接続され、
    前記針体を前記蓋体に向かって上方から前記第一容器の内部にまで移動させる針体駆動部をさらに備える、請求項3に記載の放射性薬剤の移送装置。
  5. 前記針体駆動部は、前記第一容器に収容されている前記放射性薬剤の全量が前記第二容器へ移送される間、前記針体の前記第一容器の内部に移動している部分を前記第一容器の内部に留める、請求項4に記載の放射性薬剤の移送装置。
  6. 前記放射性薬剤の移送方向の最上流に位置する前記第一容器の内部に、複数の前記第一容器を洗浄する洗浄用液剤を注入する洗浄用液剤注入部をさらに備える、請求項4または5に記載の放射性薬剤の移送装置。
  7. 前記針体は、前記第一容器に前記放射性薬剤の移送方向の上流側から前記放射性薬剤を供給する供給針体と、前記第一容器から前記移送方向の下流側に前記放射性薬剤を導出する導出針体と、を含み、前記洗浄用液剤の注入後、前記針体駆動部は、前記放射性薬剤の移送方向の最上流の前記第一容器から前記最上流よりも下流に位置する前記第一容器に向かい、時間間隔を空けて順番に前記導出針体を前記第一容器の底面に向けて移動させる、請求項6に記載の放射性薬剤の移送装置。
  8. 前記供給針体は、前記第一容器に前記放射性薬剤の移送方向の上流側から前記洗浄用液剤を供給し、前記導出針体は、前記第一容器から前記移送方向の下流側に前記洗浄用液剤を導出し、前記針体駆動部は、少なくとも前記供給針体により前記洗浄用液剤が供給されている間、前記導出針体の前記洗浄用液剤の液面に向く先端を前記液面より上方に位置させる、請求項7に記載の放射性薬剤の移送装置。
  9. 前記移送機構は、前記第一容器に収容されている放射性薬剤の全量を吸引する吸引機構と、前記吸引機構によって吸引された前記放射性薬剤を前記第二容器に吐出する吐出機構とを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の放射性薬剤の移送装置。
  10. 第一容器を保持可能な第一保持部と、前記第一容器と形状または容量の異なる第二容器を保持可能な第二保持部と、前記第一容器の内部を密封している蓋体に穿刺される針体と、前記針体を当該蓋体に向かって上方から前記第一容器の内部にまで移動させる針体駆動部と、前記第一容器を洗浄する洗浄用液剤を前記第一容器に注入する洗浄用液剤注入部と、を備える放射性薬剤の移送装置において実行される放射性薬剤の移送方法であって、
    前記針体は、前記第一容器に前記放射性薬剤の移送方向の上流側から液体を供給する供給針体と、前記第一容器から前記移送方向の下流側に液体を導出する導出針体と、を含み、
    前記第二保持部に前記第二容器が保持されている場合、少なくとも前記第一容器の内部を減圧することによって前記第一容器に収容されている放射性薬剤の全量を、直接または間接的に前記第二容器に移送するための移送工程と、
    前記第一容器の内部に前記洗浄用液剤を注入し、前記第一容器に注入された前記洗浄用液剤を、少なくとも前記第一容器の内部を減圧することによって前記第二容器に移送する洗浄工程と、を含み、
    前記洗浄工程では、前記針体駆動部は、前記第一容器において、前記供給針体を介して前記洗浄用液剤が供給されてから時間が経過したタイミングで前記導出針体を前記第一容器の底面に向けて移動させる、放射性薬剤の移送方法。
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