JP7407301B2 - 装着品又はスポーツ用品用の防滑部材、装着品及びスポーツ用品 - Google Patents

装着品又はスポーツ用品用の防滑部材、装着品及びスポーツ用品 Download PDF

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Description

本発明は、装着品又はスポーツ用品用の防滑部材、装着品及びスポーツ用品に関し、より詳しくは、ウェットグリップ性が向上した装着品又はスポーツ用品用の防滑部材、並びにその防滑部材を備えた装着品及びスポーツ用品に関する。
スポーツを行う際に、プレイヤーは様々な装着品を装備し、又は、様々なスポーツ用品を使用する。そのような装着品又はスポーツ用品には、濡れた地面やボール、あるいは人の手のような水で濡れた対象物と接触することが想定されるものがある。そのような用品が水で濡れた対象物と接触すると、該用品と対象物との間に介在する水によって、該用品と対象物との直接的な接触が妨げられるため、滑りやすくなるという問題が生じる。
装着品の例として、運動靴は、雨天後又は雨天中の水で濡れた地面上において使用されることがある。水で濡れた地面は滑りやすいため、運動靴の着用者が濡れた地面上で行動する際に滑って転倒する危険性がある。
また、プレイヤーが把持して使用するバットのようなスポーツ用品では、プレイヤーが発する汗がグリップと手との間に生じる又は入り込むことがある。このようなグリップと手との間に存在する汗は、両者の間に滑りを生じさせる原因となるため、プレイヤーがバットを手にしっかりと固定することの妨げとなる。場合によっては、この汗が原因となって、バットが手から滑り出てしまうこともある。
そのため、水に濡れた対象物と接触する装着品又はスポーツ用品に設けることにより、水に濡れた対象物に対する滑りを抑制して十分なグリップ性を発揮可能な、すなわち、ウェットグリップ性の高い防滑部材が求められている。
従来技術において、ウェットグリップ性が高められた装着品又はスポーツ用品用の防滑部材としては、例えば、以下の特許文献1~4に示される靴底が知られている。
特許文献1には、ゴム及び/又は樹脂の靴底用発泡体に、皮革の研磨切削物が配合された靴底用発泡体が開示されている。この靴底用発泡体では、配合された吸水性の高い皮革の研磨切削物によって靴底用発泡体の水の濡れ性を向上させ、それによりウェットグリップ性が高められている。
特許文献2には、ゴムを含む粘弾性体から形成されたアウトソールが開示されている。このアウトソールでは、該粘弾性体の動的粘弾性測定における損失係数及び貯蔵弾性率、並びに引張応力を調整して、該粘弾性体を高粘性化することにより、ウェットグリップ性が高められている。
特許文献3には、熱可塑性エラストマーを含む組成物から形成されたアウターソールが開示されている。このアウターソールは、該組成物の表面自由エネルギーを高くすることにより、組成物の表面と路面との間に液膜が形成されることが抑制されており、それによって、ウェットグリップ性が高められている。
特許文献4には、エラストマーの表面にハイドロゲルが分散されたエラストマー組成物により構成された防滑部材が開示されている。この防滑部材は、防滑部材の表面と対象物との界面に存在する水をハイドロゲルによりトラップすることによって、該表面のエラストマーと対象物との間の接触面積を大きくしており、それによってウェットグリップ性が高められている。
日本国特開第2005-087408号公報 国際公開第2018/193555号 国際公開第2016/076432号 国際公開第2020/178987号
上記のような様々な防滑部材が提案されているものの、様々な装着品又はスポーツ用品に広く適用可能な防滑部材であって、ウェットグリップ性がさらに向上した防滑部材や、ウェットグリップ性がさらに向上した装着品及びスポーツ用品は、常に求められ続けている。
本発明は、上記問題点に鑑み、ウェットグリップ性が向上した装着品又はスポーツ用品用の防滑部材、並びにそのような防滑部材を備えた装着品及びスポーツ用品を提供することを課題とする。
本発明に係る装着品又はスポーツ用品用の防滑部材は、エラストマーと、該エラストマー内に分散された複数の水溶性粒子とを含むエラストマー組成物により構成されている。
また、本発明に係る装着品又はスポーツ用品は、上記防滑部材を備えている。
一実施形態の装着品又はスポーツ用品用の防滑部材の側面断面図。 図1の防滑部材の表面に露出していた水溶性粒子が消失した後の、該防滑部材の側面断面図。 図2の防滑部材が、水で濡れた対象物と接触した後の状態を示した概略図。 一実施形態の装着品としての靴であって、靴底の地面に接触する位置に防滑部材が設けられた靴を示した概略図。 図4の靴における、防滑部材が設けられた靴底の底面図。 一実施形態の装着品としてのラグビーウェアの平面図。 一実施形態の装着品としての手袋の平面図。 実施例の予備的検討における摩擦試験を行い、ゴムと平板状ガラスとの接触部分を観察及び撮像するための装置を示した概略図。 実施例の予備的検討において、ガラスと接触する頂点に平滑面を有するゴム上にて平板状ガラスを5mm滑らせた後における、それらの接触部分を示した写真。 実施例の予備的検討において、ガラスと接触する頂点に約100μmの凹部が形成されたゴム上にて平板状ガラスを5mm滑らせた後における、それらの接触部分を示した写真。 実施例の予備的検討において、ゴム上にて平板状ガラスを5mm滑らせた後における、それらの接触部分の面積を現したグラフ。 実施例の予備的検討において、ゴム上にて平板状ガラスを5mm滑らせた後における、それらの間の静止摩擦係数を現したグラフ。 実施例の摩擦試験において、試験片の表面に露出していた塩化ナトリウムを溶出させた後の、試験片の表面の一部を示した写真。 実施例及び比較例のエラストマー組成物における静止摩擦係数及び動摩擦係数を表したグラフ。 実施例及び比較例のエラストマー組成物における引張強度を表したグラフ。 実施例及び比較例のエラストマー組成物における引裂強度を表したグラフ。 実施例及び比較例のエラストマー組成物における摩耗体積を表したグラフ。 実施例のエラストマー組成物における静止摩擦係数及び動摩擦係数を表したグラフ。 実施例のエラストマー組成物における引張強度を表したグラフ。 実施例のエラストマー組成物における引裂強度を表したグラフ。 実施例のエラストマー組成物における摩耗体積を表したグラフ。 実施例及び比較例のエラストマー組成物における静止摩擦係数及び動摩擦係数を表したグラフ。 実施例及び比較例のエラストマー組成物における静止摩擦係数及び動摩擦係数を表したグラフ。
以下、図面を参照しつつ、本発明の装着品又はスポーツ用品用の防滑部材及びスポーツ用品の一実施形態について説明する。ただし、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
(防滑部材)
まず、本発明の装着品又はスポーツ用品用の防滑部材について、図1~3を参照して説明する。
図1は、本実施形態の装着品又はスポーツ用品用の防滑部材10の側面断面図である。本実施形態の防滑部材10は、エラストマー11と、エラストマー11内に分散された水溶性粒子12とを含むエラストマー組成物により構成されており、水溶性粒子12が、防滑部材10内に分散されている。
本明細書において、装着品とは、使用時において使用者(着用者)に着用又は装着される物品をいい、例えば、運動用、作業用、防寒用又は日用の靴、ウェア、手袋、眼鏡等を含む。また、本明細書において、スポーツ用品とは、使用者が運動を行う際に(特に、使用者に把持されて)使用される用品であって、前述の装着品に含まれないものをいい、例えば、バット、ラケット、ゴルフクラブ等(本発明の防滑部材は、主にこれらのグリップ部に設けられる)や、それらに供されるグリップ、グリップテープ等を含む。なお、本明細書で使用される用語「運動」は、広く人間が体を動かして行う身体活動全般をいい、スポーツ、アスレチック、エクササイズ、レクリエーション等のために行う身体活動を含む。
防滑部材10の表面には、エラストマー11内に分散された水溶性粒子12の一部が露出している。本明細書において、防滑部材の「表面」とは、防滑部材が装着品又はスポーツ用品に備えられた際に、防滑部材を構成するエラストマー組成物が対象物と接触することになる面をいう。例えば、防滑部材が靴の靴底に設けられた場合には、防滑部材の表面とは、防滑部材が地面と接触することになる面のことをいい、防滑部材が靴と接着されている面であって地面と接触することのない面を含まない。
なお、以下では、防滑部材10の表面に露出した水溶性粒子12を含む領域であって、防滑部材10の表面からそのような水溶性粒子12が存在する最も深い位置までの厚み方向の領域のことを、防滑部材10の表層領域と称することがある。
以下、図1~3に示される防滑部材10の例では、図1~3の下方に示される防滑部材10の面を、防滑部材10の表面と定義して説明する。
防滑部材10の表面に露出している水溶性粒子12は、表面が水で濡れると溶解して、該表面から消失する。すると、防滑部材10の表面の水溶性粒子12が存在していた部分に、水溶性粒子12の消失痕として凹部Cが形成される。
図2は、図1に示す防滑部材10の表面に露出していた水溶性粒子12が消失した後の、防滑部材10の側面断面図である。図2に示されるように、防滑部材10の表面の水溶性粒子12が存在していた部分に、凹部Cが形成されている。このようにして防滑部材10の表面に形成された凹部Cは、その内部に微量の空気Aを保持することができる。本実施形態の防滑部材は、この凹部Cの内部に空気Aを保持可能な機能によって、ウェットグリップ性が高められる。そのメカニズムについては、後述する。
なお、本明細書において、用語「水」は、別段の記載がない限り、防滑部材が備えられる装着品又はスポーツ用品と対象物との間に滑りを生じさせる原因となり得る任意の水性の液体(例えば、雨水や汗等)を含む。
図2に示されるように、防滑部材10の表面に露出していた水溶性粒子12が消失している場合には、防滑部材10の表層領域は、水溶性粒子12の消失痕である凹部Cを含む、防滑部材10の表面から凹部Cが存在する最も深い位置までの厚み方向の領域として定義され得る。
なお、防滑部材10の表面に露出していた水溶性粒子12の全てが消失しておらず、防滑部材10の表面に水溶性粒子12と凹部Cとが両方見られる場合には、防滑部材10の表層領域は、防滑部材10の表面からそのような表面に露出した水溶性粒子12又は凹部Cのいずれかが存在する最も深い位置までの厚み方向の領域として定義され得る。
なお、防滑部材10の表面の水溶性粒子12は、水に溶解する以外の要因で該表面から消失してもよく、防滑部材の使用時(水に濡れた時)に凹部Cが形成されてさえいればよい。例えば、防滑部材10の表面の水溶性粒子12は、単に該表面から物理的に脱落する、粉砕される等によって消失していてもよい。
図3は、本実施形態の防滑部材10が、水Wで濡れた対象物Gと接触した後の状態を示した概略図である。ここでは、対象物Gは、水Wで濡れた地面Gとして表されている。また、ここでは、防滑部材10に矢印方向に応力が加わって地面Gとの界面に歪が加わった状態を表している。
前述したように、水Wに濡れて表面の水溶性粒子12が消失した防滑部材10の表面には、内部に空気Aを保持可能な凹部Cが形成されている。この凹部Cに保持されていた空気Aは、地面Gと接触した後の状態において、防滑部材10と地面Gとの界面に歪が加わった際に、凹部Cから該界面へと放出される。この時に放出される空気Aの量は微量ではあるが、弾性が低い防滑部材10と地面Gとの間にはギャップが形成され難いため、該界面の比較的広い範囲に広がることができる。防滑部材10と地面Gとの間に空気Aが介在すると、表面自由エネルギーの総和を最小とするようなドライビングフォースが働くことによって、空気Aが介在する領域において防滑部材10と地面Gとの間に水が追い出され、防滑部材10がその表面に露出するエラストマー11部分において地面Gと直接的に接触できるようになる。このようにして、防滑部材10の表面に露出したエラストマー11と地面Gとが水を介さず直接的に接触する箇所が多数形成されることによって、エラストマー11と対象物Gとの接触面積が大きくなる。
したがって、本実施形態の防滑部材10は、水Wに濡れた地面Gに対しても高いグリップ性を発揮することができ、したがって、ウェットグリップ性が向上する。
なお、防滑部材10の表面は、対象物Gとの接触が繰り返されるにつれ摩耗する可能性がある。そうすると、摩耗前に該表面に形成されていた凹部Cは失われるが、防滑部材10の内部にさらに含まれている水溶性粒子12の一部が、摩耗後の防滑部材10の表面に新たに露出することになる。この該表面に新たに露出した水溶性粒子12が水Wに溶解する等によって消失すると、新たな凹部Cが該表面に形成される。したがって、本実施形態の防滑部材10は、使用により表面が摩耗したとしても、高いウェットグリップ性を維持することができるため、防滑部材としての耐久性が高いという利点も有する。
水溶性粒子12は、防滑部材が使用される装着品又はスポーツ用品において、該防滑部材に接触することが想定される水(例えば、0℃~50℃の雨水又は汗)に濡れた際に溶解し、防滑部材10内から消失する水溶性物質からなる粒子である。そのような水溶性物質としては、以下に限定されないが、例えば、塩化ナトリウム(食塩)、塩化カリウム、塩化亜鉛、塩化銅(II)、塩化鉄(II)、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マンガン(II)等の無機塩、酢酸カルシウム等の有機塩、スクロース(ショ糖)、グルコース、マルトース、ラクトース、デンプン等の糖類等が挙げられる。これらは単独で使用されてもよく、複数種を組み合わせて使用されてもよい。
なお、上記水溶性物質は、防滑部材の使用時に水又は水性液体に溶解して溶出するため、溶出した際に人体や衣類、又はその他の外界に対して害の少ない、望ましくは無害な物質であることが好ましい。
好ましくは、水溶性粒子12は、水溶性物質として無機塩粒子を含む。無機塩は耐熱性が比較的高いため、防滑部材10の製造時における熱(例えば、エラストマー11が加硫ゴムの場合には、ゴムの加硫時に伴う熱)によって化学的に変性し難いという利点がある。特に好ましくは、該無機塩として、塩化ナトリウムが選択される。
水溶性粒子12の粒子径は、防滑部材10の表面と濡れた対象物Gとの界面に空気を効果的に放出可能な大きさの凹部Cを該表面に形成できるよう、適宜調節される。好ましくは、防滑部材10内に含まれる水溶性粒子12の平均粒子径は、1μm以上1000μm以下であり、より好ましくは、10μm以上100μm以下である。
防滑部材10内に含まれる水溶性粒子12の平均粒子径を上記範囲とすることにより、防滑部材10のウェットグリップ性をより効果的に高めることができる。
また、防滑部材10内に含まれる水溶性粒子12の平均粒子径は、防滑部材10の引張強度や引裂強度、耐摩耗性等の機械的強度を十分に保つという観点からも、1000μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。水溶性粒子12の粒子径が大きすぎると、防滑部材10内に存在する水溶性粒子12によって防滑部材10の機械的強度が低下し易く、装着品又はスポーツ用品用の防滑部材に求められる機械的強度が発揮できない可能性がある。
なお、防滑部材10内に含まれる水溶性粒子12の平均粒子径は、防滑部材10の2つ以上の無作為に選択された断面に見られる水溶性粒子12の粒子を各断面につき10個以上を無作為に選択し、それらの粒子を該断面から取り出して長軸径を個々に測定し、それぞれについて得られた測定値を算術平均することによって求めることができる。
防滑部材10に含まれる水溶性粒子12の割合は、以下に限定されないが、1体積%以上5体積%以下が好ましく、2体積%以上4体積%以下がより好ましい。
より適切には、上記割合の水溶性粒子12は、防滑部材10の表層領域を除く内部領域に含まれていることが好ましい。換言すれば、防滑部材10は、水溶性粒子12の消失痕である凹部を備えた表層領域と、該表層領域の内側に設けられた内部領域とを備えており、該内部領域に含まれる水溶性粒子12の割合が1体積%以上5体積%以下であることが好ましく、2体積%以上4体積%以下であることがより好ましい。
防滑部材10に含まれる水溶性粒子12の割合を上記範囲とすることにより、防滑部材10のウェットグリップ性をより効果的に高めることができる。
また、防滑部材10に含まれる水溶性粒子12の割合は、防滑部材10の引張強度や引裂強度等の機械的強度を十分に保つという観点からも、5体積%以下が好ましく、4体積%以下がより好ましい。防滑部材10に含まれる水溶性粒子12の割合が多すぎると、防滑部材10内に存在する水溶性粒子12によって防滑部材10の機械的強度が低下し易く、装着品又はスポーツ用品用の防滑部材に求められる機械的強度が発揮できない可能性がある。
さらに、防滑部材10内の水溶性粒子12の含有量が過剰である場合、防滑部材10内において水溶性粒子12同士が接触する部分が多くなる。この水溶性粒子12同士の接触が多すぎると、防滑部材10の表面に露出した水溶性粒子12が水に濡れて溶解する際に、この濡れた粒子12に直接又は他の水溶性粒子12を介して接触している防滑部材10内部の他の水溶性粒子12もまた連鎖的に溶解してしまう可能性がある。そうすると、一度濡れた防滑部材10の内部において、水溶性粒子12が存在していた領域にスポンジ状の空洞が生じてしまい、防滑部材10の機械的強度が大幅に低下するおそれがある。
なお、防滑部材10に含まれる水溶性粒子12の体積%に基づく割合は、例えば、以下の方法により求めることができる:防滑部材10の無作為に選択された2つ以上の断面に見られる水溶性粒子12の粒子を(例えば、水により溶出することによって)全て消失させた後、顕微鏡を用いた観察等により該断面に見られる、水溶性粒子12の消失痕である凹部全ての面積を測定し、該断面に占める凹部の総面積割合を計算する。この測定及び計算を少なくとも2つ以上の断面において行い、計算されたそれぞれの総面積割合の平均を3/2乗することによって算出された値を、防滑部材10に含まれる水溶性粒子12の体積%とみなすことができる。
また、防滑部材10の表層領域を除く内部領域における水溶性粒子12の含有量を測定するには、防滑部材10の表面を水溶性粒子12の消失痕である凹部が確認されなくなるまで(例えば、表面から100μmの深さまで)均一な厚みで削り取ることによって表層領域を取り除いた後で、該防滑部材10に対して水溶性粒子12の含有量を測定すればよい。
防滑部材10のエラストマー11内に分散された水溶性粒子12は、エラストマー11内に実質的に均一に分散されていることが好ましい。水溶性粒子12がエラストマー11内に均一に分散されていることにより、防滑部材10の表面においても、水溶性粒子12又は凹部Cが、該表面全体にわたってほぼ均一に分散される。これにより、防滑部材10では、防滑部材10の表面全体において、凹部Cから放出される空気を防滑部材10の表面と対象物Gとの間に広く介在させることができる。そのため、防滑部材10の表面全体において、ウェットグリップ性をより効果的に高めることができる。
もっとも、防滑部材10では、必ずしも水溶性粒子12又は凹部Cが防滑部材10の表面全体にわたって分散されていなくてもよい。水溶性粒子12又は凹部Cが防滑部材10の表面の特定の領域に偏在して分散していたとしても、防滑部材10のウェットグリップ性は、高められる。
エラストマー11としては、接触する対象物に対して十分なグリップ性を発揮可能な、耐滑材料として一般的に用いられるエラストマーが使用される。そのようなエラストマーとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、シリコーンゴム(Si)等の加硫ゴム、又は、スチレン系エラストマー(TPS)、オレフィン系エラストマー(TPO)、ウレタン系エラストマー(TPU)、ポリエステル系エラストマー(TPEE)、ポリアミド系エラストマー(TPA)ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらは単独で使用されてもよく、複数種を組み合わせて使用されてもよい。
好ましくは、エラストマー11は、防滑部材が使用される装着品又はスポーツ用品に求められる性質に応じて、適宜選択される。例えば、防滑部材が靴の靴底に使用される場合には、エラストマー11として、引張強度や引裂強度、耐摩耗性に優れたBR、SBR、NR、IRが好適に選択される。
エラストマー11の硬度は、防滑部材の用途に応じて、適宜設定することができる。例えば、防滑部材が靴の靴底用である場合には、エラストマー11の硬度は、JIS K 6253-3:2012に基づくタイプAデュロメータの硬さを55~75の範囲とすることが好ましい。また、防滑部材がバット又はラケットのグリップ用である場合や、手袋又はウェア用である場合には、エラストマー11の硬度は、タイプAデュロメータの硬さを40~60の範囲とすることが好ましい。
なお、防滑部材10内に水溶性粒子12が含まれることによるウェットグリップ性の向上は、エラストマー11の硬度が低いほど顕著になる傾向がある。このような観点から、エラストマー11の硬度は、タイプAデュロメータの硬さを65以下とすることがより好ましい。
また、防滑部材10内に水溶性粒子12が含まれることによるウェットグリップ性の向上は、エラストマー11の初期弾性率(引張弾性率)が低いほど顕著になる傾向がある。このような観点から、エラストマー11の初期弾性率は、20MPa以下であることが好ましく、10MPa以下であることがより好ましい。なお、エラストマー11の初期弾性率は、1MPa以上であることが好ましい。
エラストマー11の初期弾性率は、JIS K6251:2017「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」の引張試験での低歪み領域での応力-歪み曲線の傾き(例えば、ε1=0%、及び、ε2=5%の歪み2点間に対応する応力/歪み曲線の傾き)から求めることができる。
エラストマー11は、水溶性粒子12の消失痕として該水溶性粒子12と略同サイズの凹部Cを表面に形成できる限りにおいて、非発泡体であってもよく、発泡体であってもよい。もっとも、防滑部材10の表面は、水溶性粒子12の消失痕の付近において対象物Gとの接触面積を広く確保するために、対象物Gと接触し得る平滑面を有することが望ましいことから、防滑部材10に含まれるエラストマー11は、非発泡体であることが好ましい。本実施形態では、エラストマー11は、非発泡体として描写されている。
防滑部材10は、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック、グラファイト、タルク、クレーなどの無機フィラーをさらに含んでもよい。防滑部材10は、水溶性粒子12以外の部分を母相として考えた場合、該母相自体は親水性を有していることが好ましい。そのため、防滑部材10には親水性に優れた無機フィラーが好適に含まれる。防滑部材10に含まれる無機フィラーには親水性の官能基であるシラノール基(-Si-OH)を粒子表面に多数有しているシリカが好適に選択される。
上記シリカは、湿式法シリカであっても乾式法シリカであってもよい。湿式法シリカは、沈降法シリカであってもゲル法シリカであってもコロイダルシリカであってもよい。乾式法シリカは、火炎法シリカであってもアーク法シリカであってもよい。該シリカは、湿式法シリカであることが好ましい。該湿式法シリカは、約20nmの一次粒子が複数凝集した凝集粒子を含有することが好ましい。一次粒子に分解し易い凝集粒子を多く含み、取り扱いが容易であるとともに一次粒子のゴムへの分散性に優れた沈降法シリカが好適である。
防滑部材10におけるシリカの含有量は、エラストマー11の100質量部に対し、10質量部以上であることが好ましい。該シリカの含有量は、20質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることがさらに好ましい。防滑部材10における該シリカの含有量は、エラストマー11の100質量部に対して100質量部以下であることが好ましい。前記シリカの含有量は、90質量部以下であることがより好ましく、80質量部以上であることがさらに好ましい。
防滑部材10は、シリカとともにシランカップリング剤を含有することが好ましい。本実施形態でのシランカップリング剤は、分子鎖の末端に加水分解性官能基を有し、該加水分解性官能基以外の有機官能基をさらに有してもよい。加水分解性官能基は、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などであってもよい。有機官能基は、エポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、スルフィド基、メルカプト基などであってもよい。本実施形態でのシランカップリング剤は、スルフィド基を有することが好ましい。即ち、本実施形態でのシランカップリング剤は、スルフィド系シランカップリング剤であることが好ましい。スルフィド系シランカップリング剤は、モノスルフィド系シランカップリング剤であってもポリスルフィド系シランカップリング剤であってもよい。
スルフィド系シランカップリング剤としては、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイル-テトラスルフィド、トリメトキシシリルプロピル-メルカプトベンゾチアゾールテトラスルフィド、トリエトキシシリルプロピル-メタクリレート-モノスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイル-テトラスルフィド、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシランが挙げられ、本実施形態では、ポリスルフィド系シランカップリング剤が好ましい。ポリスルフィド系シランカップリング剤は、ゴムの架橋においても有効に機能する。なかでも、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが好ましい。
上記シランカップリング剤は、防滑部材10におけるシリカの含有量を100質量部としたときに、1質量部以上の割合で防滑部材10に含まれ得る。該シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して6質量部以上であることが好ましく、7質量部以上であることがより好ましい。該シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。
防滑部材10には、さらにポリエチレングリコールのような親水性に優れた化合物を含有させてもよい。ポリエチレングリコールは、質量平均分子量が2,000以上5,000以下であることが好ましい。該質量平均分子量は、GPC法でポリスチレン換算値として求められる。防滑部材10における前記ポリエチレングリコールの含有量は、エラストマー11の100質量部に対して0.1質量部以上であることが好ましい。該ポリエチレングリコールの含有量は、0.2質量部以上であることがより好ましく、0.3質量部以上であることがさらに好ましい。該ポリエチレングリコールの含有量は、10質量部以下であることがより好ましく、2質量部以下であることがさらに好ましい。
防滑部材10は、パラフィンオイル(流動パラフィン)などの可塑剤を含有してもよい。パラフィンオイルなどの疎水性の高い可塑剤は、エラストマー11の100質量部に対して30質量部以下の含有量であることが好ましい。
本実施形態の防滑部材10は、上記成分に加えて、加硫剤、加硫促進剤、架橋促進剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等、さらに他の任意の成分を含んでいてもよい。
防滑部材10は、靴底に求められる特性を発揮する点で、JIS K6251:2017「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に基づいて測定される引張強度が12MPa以上であることが好ましい。防滑部材10は、同JISに基づいて測定される引張破断伸びが350%以上であることが好ましい。JIS K6252-1:2015「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引裂強さの求め方-第1部:トラウザ形,アングル形及びクレセント形」に基づいて求められる引裂強度が、40N/mm以上であることが好ましい。該引裂強度は、アングル形試験片(切込み無し)を用いて測定することができる。
防滑部材10の引張強度は、15MPa以上であることがより好ましく、17MPa以上であることがさらに好ましい。該引張強度は、通常、50MPa以下である。
防滑部材10の引張破断伸びは、400%以上であることがより好ましく、500%以上であることがさらに好ましい。該引張破断伸びは、通常、1000%以下である。
防滑部材10の引裂強度は、50N/mm以上であることがより好ましく、60N/mm以上であることがさらに好ましい。該引裂強度は、通常、120N/mm以下である。
また、防滑部材10の初期弾性率は、20MPa以下であることが好ましく、12MPa以下であることがより好ましい。なお、防滑部材11の初期弾性率は、1MPa以上であることが好ましい。
防滑部材10の初期弾性率もまた、エラストマー11と同様に、JIS K6251:2017の引張試験での低歪み領域での応力-歪み曲線の傾き(例えば、ε1=0%、及び、ε2=5%の歪み2点間に対応する応力/歪み曲線の傾き)から求めることができる。
本実施形態の防滑部材10は、上記各成分、すなわち、エラストマー11と、水溶性粒子12と、任意にシリカ、シランカップリング剤、ポリエチレングリコールなどとを、当業者が通常実施する任意の方法により混練することによって製造することができる。例えば、混練方法としては、オープンロール又はニーダー等により、例えばA練り又はB練り工程により上記各成分を混練する方法を用いることができる。
また、本実施形態の防滑部材10は、上記成分に加えて、加硫剤、加硫促進剤、架橋促進剤、充填剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等、さらに他の任意の成分を含んでいてもよい。
(装着品又はスポーツ用品)
本発明の装着品又はスポーツ用品は、上記防滑部材10を備えている。本発明の装着品又はスポーツ用品としては、使用時において使用者(着用者)に着用若しくは装着される用品、又は、使用者が運動を行う際に使用される用品であれば特に限定されず、例えば、靴、ウェア、手袋、眼鏡、バット、ラケット、ゴルフクラブ等であってもよい。
図4は、一実施形態の装着品としての靴20であって、靴底23の地面に接触する位置に防滑部材10が設けられた靴20を示した概略図である。
該靴20は、足の上面を覆うアッパー材21と、アッパー材21の下側に配置されている靴底としてのミッドソール22及びアウターソール23とを有している。詳細には、該靴20は、地面と接する位置に配され、上記防滑部材10が設けられたアウターソール23と、アッパー材21とアウターソール23との間に配されたミッドソール22とを有している。
なお、本実施形態では、靴20はミッドソール22及びアウターソール23の両方を備えているが、靴20は、必ずしもこれらの両方を備えていなくてもよい。すなわち、靴20は、靴底として防滑部材10が設けられたアウターソール23のみを備え、ミッドソール22を備えていなくてもよい。この場合、アウターソール23は、ミッドソールに求められる緩衝性を確保するために、発泡体で形成されていてもよい。
図5は、靴20における、防滑部材10が設けられた靴底(アウターソール)23の底面図である。
靴底23では、図5に示されるように、靴底23の長さ方向における位置を、爪先側末端を0%位置、踵側末端を100%位置としたとき、靴底23の該長さ方向における0%~60%位置の範囲内の領域(以下、靴底23の前方領域とも称する)と、靴底23の該長さ方向における70%~100%位置の範囲内の領域(以下、靴底23の後方領域とも称する)とに、防滑部材10が設けられ得る。
好ましくは、防滑部材10は、靴底23の前方領域全体の5~100%を占める領域、靴底23の後方領域全体の5~100%を占める領域、又はその両方に設けられる。
なお、本明細書において、靴底23の長さ方向における0%~60%位置の範囲内の領域とは、爪先側末端及び踵側末端を通る長さ方向直線上において60%位置となる点を通り、該直線と垂直に交差する60%位置幅方向直線を規定し、該60%位置幅方向直線よりも爪先側における靴底23の領域をいう。同様に、靴底23の長さ方向における70%~100%位置の範囲内の領域とは、同様に規定される該70%位置幅方向直線よりも踵側における靴底23の領域をいう。また、これらの領域は、靴底23の底面を、図5のようにして正面から見た際の面積により指定される。
特に好ましくは、靴底23では、着用者の踵、中足指節関節及びつま先に対応する位置に、防滑部材10が設けられる。靴底23において、踵、中足指節関節及びつま先に対応する位置は、地面との接触が多くかつ接触面積が比較的大きくなるため、グリップ性が発揮されやすい。そのため、靴底23のこれらの位置に防滑部材10を配置することにより、靴20のウェットグリップ性をより効果的に高めることができる。
もっとも、本発明の靴20の靴底23において、防滑部材10が設けられている位置は、特に限定されない。例えば、防滑部材10は、靴底23において、着用者の踵、中足指節関節又はつま先の少なくとも1箇所に対応する位置に設けられていてもよく、それらの位置とは異なる別の位置に設けられていてもよい。防滑部材10は、靴底23の前方領域のみに設けられていてもよく、後方領域のみに設けられていてもよい。さらに、防滑部材10は、靴底23の表面全体に設けられていてもよく、靴底23全体が防滑部材10により形成されていてもよい。
また、靴20が高いウェットグリップ性を発揮するには、靴底23に設けられた防滑部材10は、地面と接触する際に、防滑部材10のできる限り広い面で地面と接触することが好ましい。そのため、靴底23に備えられた防滑部材10は、従来知られる靴底用の防滑部材とは異なり、表面に大きな凹凸を有していないことが好ましく、平坦な表面を有していることがより好ましい。
本実施形態の靴20は、靴底23に備えられた防滑部材10によって、非舗装面を含む様々な地面に対するウェットグリップ性が高められているが、なかでも、コンクリート、アスファルト等により舗装された路面に対するウェットグリップ性が特に高められている。対照的に、本実施形態の靴20は、そのウェットブリップ性向上メカニズムの都合上、凍結した地面又は氷上ではウェットグリップ性の向上がほぼ見込めないことに注意が必要である。
なお、本実施形態の防滑部材10は、エラストマー11内に水溶性粒子12が分散されたエラストマー組成物により構成されているが、防滑部材10は、このようなエラストマー組成物と、エラストマー11内に水溶性粒子12が分散されていない、表面に一般的な防滑用の凹凸を有する従来の弾性体とが組み合わされたものであってもよい。また、そのような防滑部材10は、水溶性粒子12が分散された内部領域と水溶性粒子12が分散されていない内部領域との両方を備えたエラストマー組成物として、一体に成形されていてもよい。
図6は、本発明の装着品の一実施形態としてのラグビーウェア30を示したものである。ラグビーウェア30では、図6に示されるように、前身頃の胸部付近、並びに肩部及び脇部に、防滑部材10が設けられ得る。
前身頃の胸部付近及び脇部は、ラグビーの試合時にボールを抱え込む際に対象物としてのボールに接触する部位である。そのため、これらの部位に防滑部材10が設けられたラグビーウェア30を着用したラグビープレイヤーは、汗で濡れたボールを滑り落としにくくなるという効果を得られる。
また、肩部は、ラグビーの試合時にスクラムを組む際に、対戦プレイヤーの肩と互いに接触する部位である。そのため、この部位に防滑部材10が設けられたラグビーウェア30を着用したラグビープレイヤーは、スクラムを組む際に滑りにくくなるという効果を得られる。
図7は、本発明の装着品の一実施形態としてのスポーツ用手袋40を示したものである。スポーツ用手袋40では、図7に示されるように、着用者の各指骨における関節と関節との間、並びに中手骨の先端付近に、防滑部材10が設けられ得る。
これらの部位に防滑部材10が設けられたスポーツ用手袋40を着用したプレイヤーは、把持している水や汗に濡れた対象物を滑り落としにくくなるという効果を得られる。
本発明のスポーツ用品の一実施形態では、バット、ラケット又はゴルフクラブのようなスポーツ用品のグリップ部に、防滑部材10が設けられ得る。このようなグリップ部に防滑部材10が設けられたスポーツ用品は、グリップ部が水や汗により滑りにくくなるため、使用者が該スポーツ用品を安定的に保持し易くなるという効果を得られる。
以上のように、本実施形態の装着品又はスポーツ用品用の防滑部材は、エラストマーと、該エラストマー内に分散された複数の水溶性粒子とを含むエラストマー組成物により構成されているため、水で濡れた対象物に対しても高いグリップ性を発揮することができ、したがって、ウェットグリップ性が向上する。
好ましくは、複数の水溶性粒子の平均粒径は、10μm以上100μm以下である。その場合には、防滑部材のウェットグリップ性をより効果的に高めることができる。
好ましくは、防滑部材が、表面に露出した前記水溶性粒子と水溶性粒子の消失痕である凹部とのうち少なくとも一方を備えた表層領域と、該表層領域の内側に設けられた内部領域を備えており、該内部領域に含まれる水溶性粒子の割合が、1体積%以上5体積%以下である。その場合には、防滑部材のウェットグリップ性をより効果的に高めることができる。
より好ましくは、該内部領域に含まれる前記水溶性粒子の割合は、2体積%以上4体積%以下である。
好ましくは、複数の水溶性粒子が、無機塩を含む。その場合には、防滑部材の製造時における熱によって、水溶性粒子が化学的に変性し難いという利点を有する。
より好ましくは、無機塩は、塩化ナトリウムである。
好ましくは、エラストマーの引張弾性率が、10MPa以下である。その場合には、防滑部材のウェットグリップ性をより効率的に高めることができる。
また、本実施形態の装着品又はスポーツ用品は、前記防滑部材を備えているため、ウェットグリップ性が向上した装着品又はスポーツ用品を提供することができる。
上記装着品が靴である場合には、防滑部材は、通常、靴の靴底の地面に接触する位置に設けられる。その場合、防滑部材は、前記靴底において着用者のかかと、中足指節関節又はつま先のうち少なくとも1箇所に対応する位置に設けられていることが好ましい。
なお、本発明に係る装着品又はスポーツ用品用の防滑部材、装着品及びスポーツ用品は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。また、本発明に係る装着品又はスポーツ用品用の防滑部材、装着品及びスポーツ用品は、上記した作用効果によって限定されるものでもない。本発明に係る装着品又はスポーツ用品用の防滑部材、装着品及びスポーツ用品は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
また、ここではこれ以上の詳細な説明を繰り返して行うことをしないが、上記に直接的に記載がされていない事項であっても、装着品又はスポーツ用品用の防滑部材、装着品及びスポーツ用品について従来公知の技術事項については、本発明においても適宜採用可能である。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
(予備的検討)
まず、防滑部材の表面に形成された凹部によるウェットグリップ性への影響を調査するため、表面に凹部が形成されたゴムと、凹部が形成されていないゴムとについて、水で濡れていない及び水で濡れた平板状ガラスとの摩擦試験を行った。
ゴム
摩擦試験に使用されたゴムは、いずれも曲率半径7.6mmの半球状のシリコーンゴムであって、一方は、頂点に凹部等が設けられていない平滑な面を有するゴムSP1であり、他方は、ガラスと接触する頂点に約100μmの凹部が形成されたゴムSP2であった。これらのゴムには、摩擦試験時に平板状との接触状態の観察を容易にするため、蛍光粒子が練り込まれていた。
摩擦試験
図8左に示されるように、各ゴムSP1,SP2を、それらの頂点が平板上ガラスGLの表面に接触するように、乾いた(無潤滑条件)又は水で濡れた(水潤滑条件)平板状ガラスGL上に配置した。その後、図8右に示されるように、ゴムSP1,SP2の頂点の垂直荷重F=0.0981N、滑り速度0.10mm/sで、ゴムSP1,SP2上において平板状ガラスGLを、その表面と平行な方向に5.0mm滑らせた。
この間、無潤滑条件及び水潤滑条件のそれぞれにおいて、ゴムSP1,SP2と平板状ガラスGLとの真実接触部を、図8に示される装置を用いて観察し続け、平板状ガラスGLを5.0mm滑らせた後に、該真実接触部を撮像した。この装置は、該真実接触部を照らすための光源LSと、該真実接触部を撮像するためのCCD素子CDとを備えており、該真実接触部は、全反射法及び光干渉法とを組み合わせることによって観察及び撮像された。
図9及び図10に、無潤滑条件及び水潤滑条件においてそれぞれ撮像された該真実接触部の写真を示す。図9及び図10において、黒くなっている領域が該真実接触部であり、白い領域は、平板状ガラスGLがゴムSP1,SP2と接触していない部分である。また、図10において、グレーの領域は、平板上ガラスGLが水と接触している(濡れている)部分であり、白い領域は、平板状ガラスGLがゴムSP1,SP2とも水とも接触していない(空気が存在する)部分である。
なお、図示されないが、水潤滑条件において平板状ガラスGLを滑らせる前のゴムSP2と平板状ガラスGLとの真実接触部には、空気の存在は凹部が形成された部分にのみ留まっており、平板状ガラスGLを滑らせると、該真実接触部の広範囲に気泡が拡散していく現象が観察されていた。
これらの図9及び図10の写真から導出された黒い領域(真実接触部)の面積(真実接触面積)を導出し、図11に該面積のグラフを示す。
さらに、平板状ガラスGLを5.0mm滑らせた後に、ゴムSP1,SP2と平板状ガラスGLとの間の静止摩擦係数を測定した。図12に、測定された静止摩擦係数を示す。
図9~12から理解されるように、無潤滑条件では、平板上ガラスGLを5.0mm滑らせた後のゴムSP2と平板状ガラスGLとの真実接触面積は、表面に形成された凹部の影響によりゴムSP1に比べて若干の低下が見られたものの、摩擦係数はゴムSP1とほぼ同じであることがわかる。そのため、無潤滑条件におけるグリップ性は、表面に形成された凹部の影響をほとんど受けていないことがわかる。
一方で、水潤滑条件では、平板上ガラスGLを5.0mm滑らせた後のゴムSP2と平板状ガラスGLとの真実接触面積は、ゴムSP1に比べて約38%増加しており、摩擦係数もまた約27%増加していることがわかる。加えて、表面に凹部が形成されたゴムSP2の場合には、水潤滑条件の方が無潤滑条件に比べて摩擦係数が向上していることがわかる。この結果から、表面に凹部が形成されたゴムでは、水潤滑条件におけるウェットグリップ性が、無潤滑条件を上回ることができるほど大きく向上することがわかる。
(エラストマー組成物の検討)
次に、本発明に係る防滑部材を構成する様々なエラストマー組成物についてのウェットグリップ性や耐久性等を調査するため、以下の実施例及び比較例に係る種々のエラストマー組成物について、以下に示す各種試験を行った。
エラストマー組成物に配合されるゴムの材料として、以下の材料を用意した。
・IR:イソプレンゴム(ハイシスタイプ、ムーニー粘度:約82)
・SiO:沈降法シリカ
・CA:シランカップリング剤(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
・PEG:ポリエチレングリコール(質量平均分子量約3000、融点約60℃)
・PO:流動パラフィン(動粘度:約40mm/s、分子量430)
・St:ステアリン酸
・ZnO:活性亜鉛華
・AO:2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール
・OZONOC:無着色、非汚染性オゾン亀裂防止剤
・OA:有機アミン加硫促進剤
これらの材料を、以下の表1に示される配合比率(質量比)により、3度に分けて順に配合及び混練して、ゴム(a)~(e)を調製した。
具体的には、以下の表1に示されるゴム原料の一次混練用材料である各種IRを、ニーダー(装置名:DS3-10MWB、日本スピンドル製造(株)製)を用いて80~130℃条件下で1分混練し、一次混練材を得た。
このようにして得られた一次混練材に、二次混練用材料であるSiO、PO、CA、St及びZnOを、以下の表1に示される配合比率(質量比)により配合し、ニーダー(装置名:DS3-10MWB、日本スピンドル製造(株)製)を用いて80~130℃条件下で5分混練し、二次混練材を得た
これにより得られた二次混練材に、三次混練用材料であるOA、PEG及びAOを、以下の表1に示される配合比率(質量比)により配合して、オープンロール(装置名:KD-M2-8、利拿機械工業股フン有限公司(KNEADERMACHINERY CO., LTD.製)を用いて25~60℃条件下で10分混練し、ゴム(a)~(e)を得た。
Figure 0007407301000001
エラストマー組成物に配合される水溶性粒子として、平均粒子径5μm、10μm、20μm、45μm及び300μmの塩化ナトリウム(NaCl)粒子を用意した。
また、上述のゴム及び塩化ナトリウム粒子に加えて、エラストマー組成物に配合される他の材料として、以下の材料を用意した。
・TiO:酸化チタン
・S:イオウ
・DM:ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド
・TS:テトラメチルチウラムモノスルフィド
比較例1~5及び実施例1~13
上記のようにして調製されたゴムと、塩化ナトリウム粒子及び上記他の材料とを、以下の表2に示される配合比率(質量比)により配合し、オープンロール(装置名:KD-M2-8、利拿機械工業股フン有限公司(KNEADERMACHINERY CO., LTD.製)を用いて25~60℃条件下で10分混練し、エラストマー組成物を得た。
Figure 0007407301000002
硬度の測定
比較例1~5及び実施例1~13のエラストマー組成物の硬度を、JIS K 6253-3:2012に基づくタイプAデュロメータとして高分子計器(株)製「アスカーゴム硬度計A型」を用いて測定した。結果を以下の表3に示す。
表3からわかるように、比較例1~5のゴム(a),(b),(c),(d)及び(e)は、それぞれ硬度55,60,65,70及び75のゴムに対応する。
初期弾性率、引張強度及び破断伸び率の測定
比較例1~5及び実施例1~13のエラストマー組成物をそれぞれ裁断して厚み4mmの平板とした後、JIS K 6251:2017に基づくダンベル状2号形の打抜型を用いて該平板をそれぞれ裁断し、それぞれの樹脂複合体についてダンベル状試験片を得た。
これらの試験片に対し、オートグラフ精密万能試験機((株)島津製作所製、製品名「AG-50kNIS MS型」)を用いて、23℃下で、クロスヘッド速度500mm/分にてJIS K 6251:2017に基づく引張試験を行うことにより、各試験片の引張強度及び破断伸び率を測定した。また、該引張試験におけるε1=0%及びε2=5%の歪み2点間に対応する応力/歪み曲線の傾きに基づき、各試験片の初期弾性率を測定した。これらの結果を以下の表3に示す。
引裂強度の測定
比較例1~5及び実施例1~13のエラストマー組成物を厚さ2mmの平板用モールドを用いて8~12分間160℃加熱することで2mm厚の平板状の試験片をそれぞれ得た。
これらの試験片に対し、抜型を用いて、規格形状の試験片にてJIS K 6252:2007に基づく引裂試験を行うことにより、各試験片の引裂試験を測定した。結果を以下の表3に示す。
耐摩耗性の測定
直径16.0mm、厚さ12mmの円柱状金型を用いて、比較例1~5及び実施例1~13のエラストマー組成物からなる円柱状の試験片をそれぞれ得た。
これらの試験片に対し、JIS K 6264-2:2005に基づくDIN摩耗試験を行うことにより、各試験片の摩耗体積を測定した。結果を以下の表3に示す。
摩擦試験
比較例1~5及び実施例1~13のエラストマー組成物を、平板状の金型内に導入し、装置名:ラム径12”150トン(二名工機(株)製)を用いて160℃条件下で8~12分間(予め求められた適正加硫時間T90+2分間)プレスすることによって、2mm厚の平板状に成型された試験片をそれぞれ得た。得られた試験片をイオン交換水で3回超音波洗浄し、それによって実施例1~13の試験片の表面に露出していた塩化ナトリウム粒子を除去した。
図13に、表面に露出していた塩化ナトリウム粒子が除去された実施例5の試験片の表面の一部の写真を示す。図13では、試験片の表面に露出していた塩化ナトリウム粒子が溶出したことによって、該表面に直径約100μmの凹部が形成されていることが確認できる。
これらの試験片を水で濡らし、試験片上にアルミナ球を滑らせることによって、水潤滑条件における静止摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。具体的には、雰囲気温度24℃、相対湿度75%RHの条件下、平面状に成型された試験片の表面を水で濡らして、水で濡れた試験片の表面上に直径9.5mmのアルミナ球を、試験片の該表面とアルミナ球とが接触するように配置した。その後、該アルミナ球を、垂直荷重4.91N、滑り速度10.0mm/sで試験片の表面上を滑らせて、その際の静止摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。結果を以下の表3に示す。
Figure 0007407301000003
摩擦試験の評価
上記摩擦試験に対する評価を、表3に示される結果及び当該結果に基づく図14~23を用いて以下に説明する。
塩化ナトリウム粒子による効果
表3に示される結果から明らかなように、水溶性粒子として塩化ナトリウム粒子を含む実施例1~13のエラストマー組成物は、塩化ナトリウム粒子を含んでいない比較例1~5のゴム単体に比べて、水潤滑条件における静止摩擦係数及び動摩擦係数に優れていることがわかる。
塩化ナトリウム粒子含有量による影響
図14は、ゴム(c)を含む比較例3及び実施例1~5のエラストマー組成物に関する、上記摩擦試験における静止摩擦係数及び動摩擦係数と塩化ナトリウム粒子含有量との関係を表す図である。図14からわかるように、塩化ナトリウム粒子の含有量が3体積%に至るまででは、塩化ナトリウム粒子の含有量が増加するにつれ、水潤滑条件における静止摩擦係数及び動摩擦係数が増加している一方で、塩化ナトリウム粒子の含有量が3体積%を超えると、塩化ナトリウム粒子の含有量が減少している。すなわち、本実施例では、塩化ナトリウム粒子の含有量が3体積%である実施例3の場合に、エラストマー組成物の水潤滑条件における静止摩擦係数及び動摩擦係数が最も高められている。
図15~17は、比較例3及び実施例1~5のエラストマー組成物に関する、引張強度、引裂強度及び上記摩耗試験における摩耗体積と塩化ナトリウム粒子添加量との関係をそれぞれ表す図である。図15及び図16からわかるように、塩化ナトリウム粒子含有量が増加するにつれ、エラストマー組成物の引張強度及び引裂強度は概ね低下している。また、図17からわかるように、塩化ナトリウム粒子含有量が増加するにつれ、摩耗体積が増加しており、そのためエラストマー組成物の耐摩耗性が低下している。
塩化ナトリウム粒子径による影響
図18は、実施例3及び6~9のエラストマー組成物に関する、上記摩擦試験における静止摩擦係数及び動摩擦係数と塩化ナトリウム粒子径との関係を表す図である。図18からわかるように、塩化ナトリウム粒子径が10~45μmである場合に、水潤滑条件における静止摩擦係数及び動摩擦係数が比較的高くなっている。
図19~21は、実施例3及び6~9のエラストマー組成物に関する、引張強度、引裂強度及び上記摩耗試験における摩耗体積と塩化ナトリウム粒子径との関係をそれぞれ表す図である。図19及び図20からわかるように、塩化ナトリウム粒子径が増加するにつれ、エラストマー組成物の引張強度及び引裂強度は概ね低下している。一方で、図21からわかるように、塩化ナトリウム粒子の含有量が増加するにつれ、摩耗体積が減少しており、そのためエラストマー組成物の耐摩耗性が増加している。
エラストマー組成物の硬度及び弾性率に対する塩化ナトリウム粒子の影響
図22及び23は、比較例1~5並びに実施例3及び10~13のエラストマー組成物に関する、上記摩擦試験における静止摩擦係数及び動摩擦係数とエラストマー組成物の硬度及び弾性率との関係をそれぞれ表す図である。
図22及び図23からわかるように、ゴムの硬度又は弾性率が低いほど、塩化ナトリウム粒子を含むことによる水潤滑条件における静止摩擦係数及び動摩擦係数の増加が顕著であり、特に、硬度が65以下又は弾性率が10MPa以下の場合に、塩化ナトリウム粒子によるウェットグリップ性向上効果が大きくなっている。
以上のように、エラストマーであるゴム内に水溶性粒子である塩化ナトリウム粒子が分散された実施例1~13のエラストマー組成物は、塩化ナトリウム粒子を含まない比較例1~5のエラストマー組成物に比べて、水に濡れた状態における摩擦係数、すなわち、ウェットグリップ性が大幅に高められていることがわかる。
特に、低硬度、低弾性率のゴムに、平均粒子径10~45μmの塩化ナトリウム粒子を3体積%含有させた実施例3,7,8,10及び11のエラストマー組成物は、塩化ナトリウム粒子による機械的特性の低下が比較的抑制されつつ、ウェットグリップ性がより効果的に高められることがわかる。
10:エラストマー組成物、11:エラストマー、12:水溶性粒子

Claims (9)

  1. 装着品又はスポーツ用品用の防滑部材であって、
    前記防滑部材が、エラストマーと、前記エラストマー内に分散された複数の水溶性粒子とを含むエラストマー組成物により構成され
    表面に露出した前記水溶性粒子と前記水溶性粒子の消失痕である凹部とのうち少なくとも一方を備えた表層領域と、前記表層領域の内側に設けられた内部領域を備え、
    該内部領域に含まれる前記水溶性粒子の割合が、1体積%以上5体積%以下で、
    前記複数の水溶性粒子の平均粒径が、10μm以上100μm以下である、防滑部材。
  2. 前記内部領域に含まれる前記水溶性粒子の割合が、2体積%以上4体積%以下である、請求項に記載の防滑部材。
  3. 前記複数の水溶性粒子が、無機塩を含む、請求項1又は2に記載の防滑部材。
  4. 前記無機塩が、塩化ナトリウムである、請求項に記載の防滑部材。
  5. 前記エラストマーの引張弾性率が、10MPa以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の防滑部材。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載の防滑部材を備えた装着品。
  7. 前記装着品が靴であり、
    前記防滑部材が、前記靴の靴底の地面に接触する位置に設けられている、請求項に記載の装着品。
  8. 前記防滑部材が、前記靴底において着用者のかかと、中足指節関節又はつま先のうち少なくとも1箇所に対応する位置に設けられている、請求項に記載の装着品。
  9. 請求項1~のいずれか1項に記載の防滑部材を備えたスポーツ用品。
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