<第1の実施形態>
第1の実施形態について図1から図4を参照して説明する。
(基本構成)
図1に示すように、実施の一形態に係る錠剤印刷装置1Aは、搬送部10と、検出部20と、撮像部30と、印刷部40と、撮像部50と、撮像部60と、撮像部70と、制御部80とを備えている。検出部20は割線有無検出用及び撮像タイミング検出用であり、撮像部30は印刷位置検出用及び割線角度検出用であり、撮像部50は検査用及び割線角度検出用であり、撮像部60は印刷位置検出用であり、撮像部70は検査用である。
搬送部10は、二本の搬送ベルト11、12を有しており、ホッパなどの供給部(図示せず)から搬送ベルト11の端部に供給された錠剤Tを搬送ベルト11により搬送方向A1(図1中の矢印A1の方向)に一列で搬送し、錠剤Tが供給される側と反対側の端部で折り返して搬送ベルト12により搬送方向A2(図1中の矢印A2の方向)に一列で搬送する。
なお、片面に割線(直線状の凹部)が形成されている錠剤Tは、割線が形成されている面を表面、割線が形成されていない面を裏面としたときに、表裏がランダムな状態で搬送される。割線は、表裏判別可能なマークの一例である。
検出部20は、搬送ベルト11における錠剤Tが供給される位置よりも搬送方向A1の下流側に位置付けられ、搬送ベルト11の上方に設けられている。この検出部20は、レーザ光の投受光によって、搬送ベルト11上の錠剤Tの割線の有無を検出し(割線有無検出用)、また、搬送ベルト11上の錠剤Tの搬送方向A1の位置を検出する(撮像タイミング用)。検出部20としては、反射型レーザセンサなど各種のレーザセンサを用いることが可能である。検出部20は制御部80に電気的に接続されており、制御部80に検出信号を送信する。なお、検出部20を割線有無検出と錠剤到来検出に兼用しているが、それぞれ別々の機器を設けても良い。
前述の搬送部10には、反転部13と、反転部14とが設けられている。反転部13は、検出部20が設けられた位置よりも搬送方向A1の下流側に位置付けられ、搬送部10の搬送ベルト11に対して設けられている。反転部14は、搬送部10における折り返し側の端部に搬送ベルト11と搬送ベルト12をつなげる経路として設けられている。
反転部13は、反転チューブ13aと、反転ノズル13bとを有している。反転チューブ13aは錠剤Tを反転させる反転路として機能し、反転ノズル13bは錠剤Tを反転路に移動させる移動部として機能する。
反転チューブ13aは、錠剤Tが前記反転チューブ13aの内部を通過するうちにこの錠剤Tの表裏が反転するように180度曲げられ(ねじられ)、搬送部10の搬送ベルト11に対して設けられている。この反転チューブ13aは、入口(錠剤Tが入る口)H1及び出口(錠剤Tが出る口)H2を有している(図2も参照)。入口H1及び出口H2は、搬送ベルト11により搬送される錠剤Tの側面に対向するように配置され、入口H1及び出口H2の個々の下端は搬送ベルト11の上面(搬送面)の高さ位置に合わされている(例えば、同じ高さ位置とされる。)。また、出口H2は入口H1よりも搬送方向A1の下流側に位置付けられている。錠剤Tが搬送ベルト11から反転チューブ13aに移動して、この反転チューブ13a内を通過すると、錠剤Tは反転して、反転部13に移動する前に存在していた搬送ベルト11上の同じ位置に戻る(詳しくは、後述する)。
反転ノズル13bは、反転チューブ13aの入口H1に向けて気体(例えばエアー)を吹き出す位置に設けられ、搬送ベルト11上の錠剤Tを反転チューブ13aの入口H1に向けて移動させ、反転チューブ13a内を通過させる。気体の吹き出し方向は、搬送ベルト11上の錠剤Tを搬送方向A1に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に移動させる方向である。反転ノズル13bによる気体の吹き出しを制御する弁(図示せず)は制御部80に電気的に接続されており、その駆動が制御部80により制御される。
例えば、割線が形成されていない裏面が上になった状態で錠剤Tが搬送ベルト11により搬送されてきた場合、搬送ベルト11上の錠剤Tが反転ノズル13bに対向すると、反転ノズル13bから気体が吹き出される。搬送ベルト11上の錠剤Tは、図2に示すように、反転ノズル13bにより吹き出された気体によって反転チューブ13aに移動し、図3に示すように、反転チューブ13aを通過して表裏が反転し、図4に示すように、反転チューブ13aから搬送ベルト11上に戻る。これにより、錠剤Tが搬送ベルト11上から反転チューブ13aを通過すると、割線が形成されていない裏面が下になり、すなわち割線が形成された表面が上になった状態で搬送ベルト11上に戻る。
ここで、反転チューブ13aは、搬送ベルト11による錠剤Tの搬送速度に基づき、錠剤Tが搬送ベルト11から反転チューブ13aに移動する搬送ベルト11上の位置(錠剤Tの搬送方向A1の位置)と、反転チューブ13aから搬送ベルト11に戻る搬送ベルト11上の位置とが同じになるように形成されている(図2から図4参照)。つまり、錠剤Tが反転する動作に必要な時間だけ搬送ベルト11は移動するが、この移動距離が考慮され、反転チューブ13aの形状、開口位置等が決定されている。
図1に戻り、反転部14は、反転チューブ14aと、反転ノズル14bとを有している。反転チューブ14aは錠剤Tを反転させる反転路として機能し、反転ノズル14bは錠剤Tを反転路に移動させる移動部として機能する。
反転チューブ14aは、錠剤Tが反転チューブ14aの内部を通過するうちにこの錠剤Tの表裏が反転するように180度曲げられており、錠剤Tの搬送路(反転路でもある)を形成するように搬送部10に対して設けられている。この反転チューブ14aは、前述の反転チューブ13aと同様、入口H1及び出口H2を有している。入口H1は搬送ベルト11の搬送方向A1の下流側の端部に位置付けられており、入口H1の下端は搬送ベルト11の上面の高さ位置に合わされている。また、出口H2は搬送ベルト12の搬送方向A2の上流側の端部に位置付けられており、出口H2の下端は搬送ベルト12の上面の高さ位置に合わされている。
反転ノズル14bは、反転チューブ14aの入口H1に向けて気体(例えばエアー)を吹き出す位置に設けられ、搬送ベルト11上の錠剤Tを反転チューブ14aの入口H1に向けて移動させ、反転チューブ14a内を通過させる。気体の吹き出し方向は、搬送ベルト11上の錠剤Tを搬送方向A1に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に移動させる方向である。反転ノズル14bによる気体の吹き出しを制御する弁(図示せず)は制御部80に電気的に接続されており、その駆動が制御部80により制御される。
例えば、搬送ベルト11上の錠剤Tが反転ノズル14bに対向すると、反転ノズル14bから気体が吹き出される。搬送ベルト11上の錠剤Tは、反転ノズル14bにより吹き出された気体によって反転チューブ14aに移動し、反転チューブ14aを通過して反転し、反転チューブ14aから搬送ベルト12上に移動する。
撮像部30は、反転部13が設けられた位置よりも搬送方向A1の下流側に位置付けられ、搬送ベルト11の上方に設けられている。この撮像部30は、前述の錠剤Tの搬送方向A1の位置情報に基づき、錠剤Tが撮像部30の直下に到達したタイミングで撮像を行い、錠剤Tの上面(本実施形態の場合は錠剤Tの表面)を含む画像を取得し(印刷位置検出用及び割線角度検出用)、取得した画像を制御部80に送信する。撮像部30としては、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの撮像素子を有する各種のカメラを用いることが可能である。撮像部30は制御部80に電気的に接続されており、その駆動が制御部80により制御される。なお、必要に応じて撮像用の照明も設けられている。
印刷部40は、撮像部30が設けられた位置よりも搬送方向A1の下流側に位置付けられ、二本の搬送ベルト11、12の両方の上方に設けられている。この印刷部40は、各搬送ベルト11、12上の両方の錠剤Tに対して印刷を行うことが可能である。印刷部40は、複数のノズル(図示せず)を具備しており、それらのノズルから個別にインクを吐出するインクジェット方式の印刷ヘッドである。この印刷部40は、ノズルが並ぶ整列方向が水平面内で各搬送方向A1、A2と交差するように(例えば直交するように)設けられている。印刷部40としては、圧電素子、発熱素子または磁歪素子などの駆動素子を有する各種のインクジェット方式の印刷ヘッドを用いることが可能である。印刷部40は制御部80に電気的に接続されており、その駆動が制御部80により制御される。
撮像部50は、反転部14が設けられた位置よりも搬送方向A2の下流側であって印刷部40が設けられた位置よりも搬送方向A2の上流側で、搬送ベルト12上の錠剤Tの下面(本実施形態の場合は錠剤Tの表面)を撮像することが可能に設けられている。詳しくは、搬送ベルト12の直下にはミラーM1が傾斜するように設けられており、撮像部50はミラーM1を介して錠剤Tの下面を撮像するように設けられている。なお、搬送部10の搬送ベルト12は透光性を有しており、撮像部50が搬送ベルト12上の錠剤Tの下面を、ミラーM1を介して撮像することが可能になっている。透光性を有する搬送ベルト12としては、例えば、透明なベルト、梯子状のベルト、無数の孔を有するベルトを用いることが可能である。撮像部50は、前述の錠剤Tの搬送方向A1の位置情報に基づき、錠剤TがミラーM1の直上に到達したタイミングで撮像を行い、錠剤Tの下面を含む画像を取得し(検査用及び割線角度検出用)、取得した画像を制御部80に送信する。撮像部50としては、前述の撮像部30と同様のものを用いることが可能であり、また、電気接続や駆動制御も前述の撮像部30と同様である。
撮像部60は、反転部14が設けられた位置よりも搬送方向A2の下流側であって印刷部40が設けられた位置よりも搬送方向A2の上流側に位置付けられ、搬送ベルト12の上方に設けられている。この撮像部60は、前述の錠剤Tの搬送方向A1の位置情報に基づき、錠剤Tが撮像部60の直下に到達したタイミングで撮像を行い、錠剤Tの上面(本実施形態の場合は錠剤Tの裏面)を含む画像を取得し(印刷位置検出用)、取得した画像を制御部80に送信する。撮像部60としては、前述の撮像部30と同様のものを用いることが可能であり、また、電気接続や駆動制御も前述の撮像部30と同様である。
撮像部70は、印刷部40が設けられた位置よりも搬送方向A2の下流側に位置付けられ、搬送ベルト12の上方に設けられている。この撮像部70は、前述の錠剤Tの搬送方向A1の位置情報に基づき、錠剤Tが撮像部70の直下に到達したタイミングで撮像を行い、錠剤Tの上面(本実施形態の場合は錠剤Tの裏面)を含む画像を取得し(検査用)、取得した画像を制御部80に送信する。撮像部70としては、前述の撮像部30と同様のものを用いることが可能であり、また、電気接続や駆動制御も前述の撮像部30と同様である。
制御部80は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、処理情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部(いずれも図示せず)を備えている。この制御部80は、撮像部30、印刷部40、撮像部50、撮像部60、撮像部70などを制御し、また、検出部20から送信される信号、撮像部30、撮像部50、撮像部60、撮像部70からそれぞれ送信される画像などを受信する。
(印刷工程)
次に、前述の錠剤印刷装置1Aが行う印刷工程(印刷処理及び検査処理)について説明する。以下の印刷工程では、片面に割線が形成されている錠剤Tの両面に対して、割線に揃うように(例えば、割線の延伸方向に平行に)識別情報を印刷する両面印刷について説明する。
錠剤Tが搬送部10の搬送ベルト11上に供給されると、錠剤Tは搬送ベルト11によって表裏がランダムな状態で一列に搬送されていく。この搬送ベルト11上の錠剤Tは、検出部20によって検出される。このとき、錠剤Tの割線の有無及び錠剤Tの搬送方向A1の位置が検出され、制御部80に入力される。この制御部80は、錠剤Tの割線の有無情報に基づいて、搬送ベルト11上の錠剤Tの上面が表面であるか否かを判断する。搬送ベルト11上の錠剤Tの上面が表面であると判断した場合には、その対象の錠剤Tが反転ノズル13bに対向しても、反転ノズル13bによる気体の吹き出しが実行されない。一方、搬送ベルト11上の錠剤Tの上面が表面でないと判断した場合には、その対象の錠剤Tが反転ノズル13bに対向すると、反転ノズル13bによる気体の吹き出しが実行される。
反転ノズル13bによる気体の吹き出しが実行されないと、錠剤Tは搬送ベルト11によってそのままの状態で搬送されていく。一方、反転ノズル13bによる気体の吹き出しが実行されると、搬送ベルト11上の錠剤Tは搬送ベルト11から反転チューブ13aに移動し、その反転チューブ13aを通過して反転し、搬送ベルト11に戻る。つまり、割線が形成されていない裏面が上になった状態の錠剤Tは、その裏面が下になり、すなわち割線が形成された表面が上になった状態で搬送ベルト11に戻ることになる。したがって、割線が形成されていない裏面が上になった状態で搬送されている錠剤Tは、反転チューブ13aを通過すると、割線が形成されている表面が上面になるので、反転チューブ13aより搬送方向A1の下流側の搬送ベルト11上の全ての錠剤Tは、表面が上になった状態で搬送されていく。
次に、搬送ベルト11上の錠剤Tが前述の錠剤Tの搬送方向A1の位置情報に基づくタイミング、すなわち錠剤Tが撮像部30の直下に到達したタイミングで、撮像部30によって撮像され(印刷位置検出用及び割線角度検出用)、撮像された画像が制御部80に送信される。撮像部30から送信された画像に基づき、錠剤Tの位置ずれ情報(例えば、X方向、Y方向及びθ方向での錠剤Tの位置ずれ)、割線が形成された角度の情報などに基づく印刷データが制御部80により生成されて保存される。この印刷データに基づき、錠剤Tに対する印刷条件(インクの吐出位置や吐出速度など)が制御部80により設定されて保存される。なお、印刷データは、割線に揃えて識別情報(情報の一例)を印刷するための印刷データである。
次いで、搬送ベルト11上の錠剤Tは、前述の錠剤Tの搬送方向A1の位置情報に基づくタイミング、すなわち錠剤Tが印刷部40の直下に到達したタイミングで、前述の印刷データや印刷条件に基づいて印刷部40により印刷される。印刷部40において各ノズルからインクが適宜吐出され、その錠剤Tの上面(表面)に文字(例えばアルファベット、片仮名、番号)やマーク(例えば記号、図形)などの識別情報が割線に揃えられて(例えば、割線の延伸方向に平行に)印刷される。なお、撮像部30の直下を通過する全ての錠剤Tは、割線が形成された表面が上を向いた状態になるので、搬送ベルト11上の錠剤Tに対しては、表面のみに対する印刷が行われることになる。
その後、識別情報が印刷された錠剤Tが搬送ベルト11の搬送方向A1の下流側の端部に位置する、すなわち、搬送ベルト11上の錠剤Tが反転ノズル14bに対向すると、反転ノズル14bから気体が吹き出される。搬送ベルト11上の錠剤Tは、搬送ベルト11から反転チューブ14aに移動し、その反転チューブ14aを通過して反転し、搬送ベルト12に移動する。つまり、割線が形成されている表面が上になった状態の錠剤Tは、その表面が下になり、すなわち割線が形成されていない裏面が上になった状態で搬送ベルト12に移動することになる。したがって、割線が形成されている表面が上になった状態で搬送されている錠剤Tは、反転チューブ14aを通過すると、割線が形成されていない裏面が上面になるので、反転チューブ14aより搬送方向A2の下流の搬送ベルト12上の全ての錠剤Tは、裏面が上になった状態で搬送されていく。
次に、搬送ベルト12上の錠剤Tは、前述の錠剤Tの搬送方向A1の位置情報に基づく搬送方向A2の位置情報に基づいたタイミング、すなわち錠剤TがミラーM1の直上及び撮像部60の直下に到達したタイミングで、撮像部50によって撮像され(検査用及び割線角度検出用)、また、撮像部60によっても撮像され(印刷位置検出用)、撮像された画像が制御部80に送信される。撮像部50から送信された画像に基づき、錠剤Tの印刷パターンの印刷位置を示す印刷検査情報が制御部80により生成されて保存される。その印刷検査情報に基づき、錠剤Tに対する印刷良否が制御部80により判断され、錠剤Tごとの印刷良否の結果を示す印刷良否結果情報(検査結果)が制御部80により保存される。例えば、印刷パターンが錠剤Tの所定位置に印刷されているか否かが判断される。また、撮像部60や撮像部50から送信された各画像に基づき、錠剤Tの位置ずれ情報(例えば、X方向、Y方向及びθ方向での錠剤Tの位置ずれ)、割線が形成された角度の情報などに基づく印刷データが制御部80により生成されて保存される。この印刷データに基づき、錠剤Tに対する印刷条件が制御部80により設定されて保存される。なお、印刷データは、割線に揃えて識別情報(情報の一例)を印刷するための印刷データである。
次いで、搬送ベルト12上の錠剤Tは、前述の搬送方向A2の位置情報に基づくタイミング、すなわち錠剤Tが印刷部40の直下に到達したタイミングで、前述の印刷データや印刷条件に基づいて印刷部40により印刷される。印刷部40においては、各ノズルからインクが適宜吐出され、その錠剤Tの上面(裏面)に文字やマークなどの識別情報が割線に揃えられて(例えば、割線の延伸方向に平行に)印刷される。なお、搬送ベルト12上の錠剤Tは全て、割線が形成されていない裏面が上を向いた状態で搬送されているため、搬送ベルト12上の錠剤Tに対しては、裏面のみに対する印刷が行われることになる。ただし、前述の検査に合格した錠剤Tに対してのみ印刷が実行され、検査に不合格となった錠剤Tに対しては印刷が実行されない。
次に、搬送ベルト12上の錠剤Tは、前述の錠剤Tの搬送方向A2の位置情報に基づくタイミング、すなわち錠剤Tが撮像部70の直下に到達したタイミングで、撮像部70によって撮像され(検査用)、撮像された画像が制御部80に送信される。撮像部70から送信された画像に基づき、錠剤Tの印刷パターンの印刷位置を示す印刷検査情報が制御部80により生成されて保存される。その印刷検査情報に基づき、錠剤Tに対する印刷良否が制御部80により判断され、錠剤Tごとの印刷良否の結果を示す印刷良否結果情報(検査結果)が制御部80により保存される。例えば、印刷パターンが錠剤Tの所定位置に印刷されているか否かが判断される。その後、良品と不良品の錠剤Tが分けられて回収される。
このような印刷工程によれば、錠剤Tが二本の搬送ベルト11、12で往復移動する間に、一つの印刷部40により錠剤Tの両面への印刷が行われる。錠剤Tは、表裏がランダムな状態で搬送部10により搬送されるが、その搬送途中で錠剤Tの上面が、割線が形成されている表面に揃えられる。つまり、搬送ベルト11上の錠剤Tの上面が表面であるか否かが制御部80によって判断され、上面が表面でないと判断された場合、その判断対象の錠剤Tが反転ノズル13bに対向すると、反転ノズル13bから気体が吹き出される。気体の吹き出しが実行されると、搬送ベルト11上の錠剤Tは搬送ベルト11から反転チューブ13aに移動し、その反転チューブ13aを通過して反転し、搬送ベルト11に戻る。これにより、上面が表面でない、すなわち割線が形成されていない裏面が上になった状態で搬送されている錠剤Tは、反転チューブ13aを通過して表面が上になるので、反転チューブ13aより搬送方向A1の下流側において搬送ベルト11上の全ての錠剤Tは、表面が上になった状態になる。このようにして、錠剤Tは表裏が揃って搬送され、錠剤Tの表面に印刷を行う場合、全ての錠剤Tに対して印刷が実行されるので、表裏を揃えずに錠剤Tを搬送する場合に比べ、印刷効率を向上させることができる。錠剤Tの裏面に印刷を行う場合も、同様に、全ての錠剤Tに対して印刷が実行されるので、表裏を揃えずに錠剤Tを搬送する場合に比べ、印刷効率を向上させることができる。なお、撮像部50が取得した画像に基づく検査に不合格となった錠剤Tに対しては、錠剤Tの裏面への印刷を実行しないようにしても良いことは、先に述べたとおりである。
以上説明したように、第1の実施形態によれば、錠剤Tの割線(マークの一例)の検出結果に応じ、搬送部10により搬送される錠剤Tの表裏を揃えるよう、搬送部10により搬送される錠剤Tを反転チューブ13aに移動させることによって、錠剤Tの表裏を揃えて錠剤Tを搬送することが可能となる。例えば、表裏がランダムな状態で搬送される錠剤Tの全てを表面が上になった状態にして搬送することができる。したがって、表裏を揃えて錠剤Tを搬送することが可能となり、錠剤Tの表面に印刷を行う場合、全ての錠剤Tに対して印刷を実行することが可能となるので、表裏を揃えずに錠剤Tを搬送する場合に比べ、印刷効率を向上させることができる。また、錠剤Tの裏面に印刷を行う場合も、同様に、全ての錠剤Tに対して印刷を実行することが可能となるので、表裏を揃えずに錠剤Tを搬送する場合に比べ、印刷効率を向上させることができる。
なお、上述の錠剤印刷装置1Aは印刷部40が二本の搬送ベルト11、12の両方の上方に設けられているとしたが、錠剤Tの片面に印刷を行う場合には、いずれかの搬送ベルトの上方に設けられていれば良い。例えば錠剤Tの表面のみに印刷を行う場合には、搬送ベルト11の上方に設けられた印刷部40においてすべての錠剤Tの表面に印刷を行うことになる。このとき、錠剤Tは撮像部30よりも上流側においてすべて表面が上面となるように揃えられて搬送される。このため撮像部30において錠剤Tの割線の方向を検出し、印刷部40においてすべての錠剤Tに割線の方向に応じた印刷を行うことが可能になる。さらに、錠剤Tの裏面のみに印刷を行う場合には、搬送ベルト12の上方に設けられた印刷部40においてすべての錠剤Tの裏面に印刷を行うことになる。このとき、錠剤Tは搬送ベルト11に設けられる反転部13において表裏が揃えられた状態で搬送ベルト12に搬送されてくる。このため撮像部50において錠剤Tの割線の方向を検出することができる。搬送ベルト12の印刷部40において、すべての錠剤Tの裏面側に割線の方向に応じた印刷を行うことができる。このように、割線の方向を検出する撮像部よりも上流側において錠剤Tの表裏が揃えられるので、印刷部40は一つ設ければ足り、装置の省スペース、省インクという効果が得られる。
また、錠剤Tを二本の搬送ベルト11、12により往復移動させる以外にも、反転部14による反転後、矢印A1の方向にさらに搬送することも可能である。錠剤Tを往復移動させる場合には、錠剤Tの供給部と回収部を近づけることが可能であり、作業性を向上させることができる。
なお、従来技術においては、表裏がランダムな状態で錠剤Tが搬送されてきたとき、場合によっては、錠剤Tが最初に訪れる印刷ヘッドでの印刷を行わずに、錠剤Tの反転後、別の印刷ヘッドで印刷を行うことがある。しかしながら、錠剤Tが最初に訪れる印刷ヘッドよりも上流側において錠剤Tの表裏が揃っていれば、前述のように印刷を行わないことが無くなるので、印刷効率を向上させることができる。また、吐出を行わないタイミングも無くなり、印刷ヘッドのノズル先端のインク乾燥を抑えることができる。また、片面印刷を行う際には、印刷ヘッド40上流側で錠剤Tの表裏を揃えることにより、印刷ヘッド40を一つにすることができる。また、錠剤Tの表裏で印刷パターンが違う場合、あるいは、錠剤Tの表裏で印刷するインクが違う場合には、印刷前に表裏を揃えることが効果的である。
<第2の実施形態>
第2の実施形態について図5及び図6を参照して説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点(搬送テーブル、二つの排出部、未印刷回収部)について説明し、その他の説明は省略する。
図5に示すように、第2の実施形態に係る錠剤印刷装置1Bの搬送部10には、搬送テーブル15と、排出部16と、未印刷回収部17と、排出部18とが設けられている。
搬送テーブル15は、円板状に形成されており、搬送ベルト11の搬送方向A1の下流側の端部に設けられている。この搬送テーブル15は、回転軸15aを中心として回転可能に形成されており、反転部14の反転チューブ14aから排出された錠剤Tの上面を下面により吸着するように構成されている(図6参照)。搬送テーブル15は、反転チューブ14aの出口H2から排出された錠剤Tの上面を吸着し、回転軸15aを中心として回転し、その後、錠剤Tが搬送ベルト12の上方に位置すると吸着を解除し、反転チューブ14aから排出された錠剤Tを搬送ベルト12に供給する。
なお、撮像部50は、搬送テーブル15により吸着された錠剤Tの下面(本実施形態の場合は錠剤Tの表面)を撮像するように設けられている。この撮像部50は、錠剤Tが撮像部50の直上に到達したタイミングで撮像を行い、錠剤Tの下面を含む画像を取得し(検査用及び割線角度検出用)、取得した画像を制御部80に送信する。
排出部16は、排出チューブ16aと、排出ノズル16bとを有している。排出チューブ16aは錠剤Tを排出する排出路として機能し、排出ノズル16bは排出路に錠剤Tを移動させる移動部として機能する。この排出部16は、制御部80による制御に応じ、撮像部50から送信された画像に基づく検査により不合格となった錠剤Tを排出する。なお、不合格の錠剤Tとは、例えば、印刷部40によって正しい位置に印刷が行われなかったり、印刷されるべき文字やマークとは異なった形状で印刷が行われたりした錠剤(再利用不可の錠剤)のことをいう。制御部80は、撮像部50によって撮像された画像に基づき、印刷部40において錠剤T上に実際に印刷された識別情報と、印刷部40によって印刷する予定であった識別情報のデータとを比較し、錠剤Tの合否を判断する。なお、このとき、制御部80は、錠剤Tに対する印刷の有無も判断し、未印刷の錠剤(再利用可の錠剤)Tを把握する。
排出チューブ16aは、搬送テーブル15が設けられた位置よりも搬送方向A2の下流側であって撮像部60が設けられた位置よりも搬送方向A2の上流側に位置付けられ、搬送ベルト12上の錠剤Tを排出することが可能に設けられている。この排出チューブ16aは入口H1及び出口H2を有している。入口H1の下端は搬送ベルト12の上面の高さ位置に合わされており、出口H2は回収ボックス(図示せず)内に位置付けられている。
排出ノズル16bは、排出チューブ16aの入口H1に向けて気体(例えばエアー)を吹き出す位置に設けられ、搬送ベルト12上の錠剤Tを排出チューブ16aの入口H1に向けて移動させ、排出チューブ16a内を通過させて排出する。気体の吹き出し方向は、搬送ベルト12上の錠剤Tを搬送方向A2に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に移動させる方向である。排出ノズル16bによる気体の吹き出しを制御する弁(図示せず)は制御部80に電気的に接続されており、その駆動が制御部80により制御される。
未印刷回収部17は、回収チューブ17aと、回収ノズル17bとを有している。回収チューブ17aは錠剤Tを回収する回収路として機能し、回収ノズル17bは回収路に錠剤Tを移動させる移動部として機能する。この未印刷回収部17は、制御部80による制御に応じ、前述のように、撮像部50から送信された画像に基づく検査により未印刷(再利用可)と判断された錠剤Tを排出する。
なお、回収チューブ17a及び回収ノズル17bの構成は、排出チューブ16a及び排出ノズル16bと基本的に同じであるため、それらの説明を省略する。ただし、回収チューブ17a及び回収ノズル17b、すなわち未印刷回収部17は、排出部16が設けられた位置よりも搬送方向A2の下流側であって撮像部60が設けられた位置よりも搬送方向A2の上流側に設けられている。
排出部18は、排出チューブ18aと、排出ノズル18bとを有している。排出チューブ18aは錠剤Tを排出する排出路として機能し、排出ノズル18bは排出路に錠剤Tを移動させる移動部として機能する。この排出部18は、制御部80による制御に応じ、撮像部70から送信された画像に基づく検査により不合格となった錠剤Tを排出する。なお、制御部80は、撮像部70によって撮像された画像に基づき、前述と同様の処理を行い、錠剤Tの合否を判断する。
なお、排出チューブ18a及び排出ノズル18bの構成は、排出チューブ16a及び排出ノズル16bと基本的に同じであるため、それらの説明を省略する。ただし、排出チューブ18a及び排出ノズル16b、すなわち排出部18は、撮像部70が設けられた位置よりも搬送方向A2の下流側に設けられている。
このような構成の錠剤印刷装置1Bが行う印刷工程(印刷処理及び検査処理)は、基本的に第1の実施形態と同様である。ただし、錠剤Tの検査結果に応じて、搬送ベルト12上の錠剤Tが排出部16や排出部18により排出され、あるいは、未印刷回収部17によって回収される。前述のように簡略な構成の排出部16や未印刷回収部17、排出部18を設けるだけで、検査に不合格になった錠剤Tを回収することが可能になる。また、不合格になった錠剤T、すなわち再利用できない錠剤Tと、再利用できる錠剤Tを分けて回収することが可能になる。
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、簡略な構成の排出部16や未印刷回収部17、排出部18を設けるだけで、検査に不合格になった錠剤Tを回収することが可能になるので、回収用の複雑な装置を設ける場合に比べ、装置の簡略化を実現することができる。
ここで、第2の実施形態の変形例について説明すると、図6に示すように、搬送ベルト12の高さ位置が搬送ベルト11の高さ位置よりも低くなっている。これにより、高い位置の搬送ベルト11から低い位置の搬送ベルト12に錠剤Tをスムーズに移動させることが可能になるので、反転チューブ14aにおいて錠剤Tの詰まりが発生することなどを抑制することができ、錠剤Tの搬送不良による搬送効率の低下を抑えることができる。
<第3の実施形態>
第3の実施形態について図7を参照して説明する。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態との相違点(シャッタ)について説明し、その他の説明は省略する。ただし、本実施形態に係る符号が他の実施形態に係る符号と同じある部材は、基本的に(すなわち特に説明がない場合)、他の実施形態と同じものである(以降の実施形態も同様である)。
図7に示すように、第3の実施形態に係る錠剤印刷装置1Cには、二つのシャッタS1、S2が設けられている。なお、搬送ベルト11には、供給部11aから錠剤Tが供給される。
シャッタS1は、搬送ベルト11の搬送方向A1の上流側の端部に設けられている。このシャッタS1は、供給部11aから供給される錠剤Tをせき止める位置である閉め位置と、供給部11aから供給される錠剤Tを搬送ベルト11に流す位置である開け位置とに移動可能に形成されている。シャッタS1が前述の閉め位置に移動する、すなわち閉められると、錠剤Tが供給部11aから搬送ベルト11に供給されることが制限される。このシャッタS1は制御部80に電気的に接続されており、その駆動が制御部80により制御される。
シャッタS2は、反転チューブ13aの出口H2を塞ぐように設けられている。このシャッタS2は、反転チューブ13aを移動する錠剤Tをせき止める位置である閉め位置と、反転チューブ13aを移動する錠剤Tを搬送ベルト11に流す位置である開け位置とに移動可能に形成されている。シャッタS2が前述の閉め位置に移動する、すなわち閉められると、錠剤Tが反転チューブ13aを通過することが制限される。このシャッタS2は制御部80に電気的に接続されており、その駆動が制御部80により制御される。
このような構成の錠剤印刷装置1Cにおいて、一定時間が経過するたびに、シャッタS1が閉められると、搬送ベルト11に対する錠剤Tの供給が停止している間にシャッタS2が開かれ、反転チューブ13a内に溜めておいた錠剤Tがまとめて搬送ベルト11に戻される。なお、通常、シャッタS2は閉められている。このため、搬送ベルト11上の錠剤Tが反転ノズル13bから吹き出された気体によって反転チューブ13aに移動すると、反転チューブ13a内に錠剤Tが留まることになる。つまり、反転チューブ13aは、反転チューブ13a内に錠剤Tを留めておき、搬送ベルト11に対する錠剤Tの供給が停止している間に、反転チューブ13aに留めておいた錠剤Tを搬送ベルト11に戻すことになる。反転チューブ13aに留めておいた錠剤Tを搬送ベルト11に戻す際には、反転ノズル13bから気体を吹き出すようにしても良い。
以上説明したように、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、反転チューブ13aから搬送ベルト11上に錠剤Tを戻すタイミングを変えることが可能になるので、反転チューブ13aから搬送ベルト11に錠剤Tを戻す搬送ベルト11上の位置を調整することができる。
なお、上述した第3の実施形態においては、シャッタS2を開いて複数の錠剤Tをまとめて搬送ベルト11に戻すとしたが、シャッタS2の手前側にストッパを設けるようにして、搬送ベルト11に戻す錠剤Tどうしの間隔をあけて搬送ベルト11に戻すようにしても良い。さらには、この間隔が均等になるように調整しても良い。これによれば複数の錠剤Tが間隔をあけて搬送されるため、撮像部30、印刷部40等の下流側の工程において錠剤Tが詰まってしまうことを防止できる。
<第4の実施形態>
第4の実施形態について図8を参照して説明する。なお、第4の実施形態では、第1の実施形態との相違点(搬送部)について説明し、その他の説明は省略する。
図8に示すように、第4の実施形態に係る錠剤印刷装置1Dは、三つの搬送部91、92、93を備えている。各搬送部91、92、93は水平状態で設けられている。図8において、搬送部91は搬送部92の上端部の左側に配置されており、搬送部93は搬送部92の下端部の左側に配置されている。
搬送部91は搬送ベルト91aを有しており、搬送部92は搬送ベルト92aを有しており、搬送部93は搬送ベルト93aを有している。各搬送ベルト92a、93a上には、それぞれ二つの搬送路P1、P2が設けられている。搬送路P1は、図8中の紙面上で奥側であり、ベルト延伸方向に延びている。搬送路P2は、図8中の紙面上で手前側であり、ベルト延伸方向に延びている。これらの搬送路P1、P2は、それぞれ一列に並ぶ複数の吸引孔(不図示)によって形成される。各搬送ベルト91a、92a、93aの個々の内部には吸引チャンバ(不図示)が設けられており、錠剤Tは吸引孔を介して吸引チャンバの吸引により吸着される。なお、各搬送部91、92、93は同期しており、錠剤Tがそれぞれの搬送部間を移動してもエンコーダなどによって場所の特定が可能である。
搬送部91は、表裏がランダムな状態で一列に搬送されている錠剤Tの上面を搬送ベルト91aにより吸着し、錠剤Tを一列で搬送方向A1に搬送し、搬送部92の搬送路P1に供給する。なお、搬送部91は搬送ベルト91aの下側に吊り下げられるように錠剤Tを搬送する。搬送部92は、搬送部91から供給された錠剤Tの下面を搬送ベルト92aにより吸着し、表裏がランダムな状態で搬送路P1に沿って搬送方向A1に錠剤Tを一列で搬送し、反転部13により搬送途中で全ての錠剤Tを表面が上になった状態にする(すなわち、後述する検出部20aの検出結果に基づいて搬送ベルト92a上において錠剤Tの裏面が上になっているものを反転部13に移動させる)。その後すべて表面が上になった錠剤Tは、搬送ベルト92aの回転に伴って下流側へ搬送され、搬送部93の搬送路P1に供給される(搬送路P1の印刷部40における印刷対象は錠剤Tの表面である)。
搬送部93は、搬送部92から供給された錠剤Tを搬送路P1に沿って搬送方向A2に一列で搬送し(このときすべての錠剤Tの裏面が上である)、反転部13により搬送途中で全ての錠剤Tを表面が上になった状態にし、かつ、搬送路P1から搬送路P2に移動させ(反転部13の出口H2を搬送路P2に対向させる)、搬送路P2に沿って搬送方向A2に一列で搬送し、搬送部92の搬送路P2に供給する。搬送部92は、搬送部93から供給された錠剤Tを搬送ベルト92aにより吸着し、搬送路P2に沿って一列で搬送する(搬送路P2の印刷部40における印刷対象は錠剤Tの裏面である)。なお、搬送部92から搬送部93へ錠剤Tが受け渡される際には、錠剤Tが反転する。
搬送部91に対して、検出部20aが設けられている。検出部20aは、搬送部91の下方に位置しており、搬送部91により上面が吸着されて搬送される錠剤Tの下面を撮像するように設けられている。この検出部20aは割線有無検出用である。
搬送部92の搬送路P1に対して、反転部13と、検出部20bと、撮像部30と、印刷部40と、撮像部50aとがその順番で搬送方向A1に並ぶように設けられている。また、搬送部92の搬送路P2には、検出部20bと、撮像部60と、前述の印刷部40と、撮像部70がその順番で搬送方向A1に並ぶように設けられている。反転部13は、第1の実施形態と同じ構成である。検出部20bは撮像タイミング検出用である。撮像部30は印刷位置検出用及び割線角度検出用であり、撮像部50aは検査用であり、撮像部60は印刷位置検出用であり、撮像部70は検査用である。
搬送部93における、搬送路P1から搬送路P2に錠剤Tを反転させて移動させる反転部13が設けられている。この反転部13は、第1の実施形態と同じ構成であるが、反転チューブ13aは搬送路P1から搬送路P2に錠剤Tを反転させて移動させるように形成されている。また、搬送部93の搬送路P2に対して、検出部20bと、撮像部50bとが設けられている。検出部20bは撮像タイミング検出用であり、撮像部50bは割線角度検出用である。
このような構成の錠剤印刷装置1Dにおいて、表裏がランダムな状態で搬送されてきた錠剤Tは搬送部91の搬送ベルト91aにより上面が吸着されて搬送方向A1に一列に搬送され、検出部20aによって割線の有無が検出される。そして、搬送部91の端部において搬送ベルト91aの吸着が解除されることにより、搬送部92の搬送路P1に供給される。搬送部91から搬送部92の搬送路P1に供給された錠剤Tは、搬送部92の搬送ベルト92aにより吸着されて搬送路P1に沿って搬送方向A1に一列で搬送される。反転部13では、検出部20aの検出結果に応じて、裏面が上になった状態で搬送されている錠剤Tが反転され、表面が上になった状態にされる(第1の実施形態参照)。すなわち検出部20aで割線が有りと検出された錠剤Tについて、搬送部92上においては裏面が上を向いた状態となるため、これらの錠剤Tを反転部13にて反転させる。反転部13より搬送方向A1の下流側の搬送路P1において、錠剤Tは全て表面が上を向いた状態で搬送される。
搬送部92の搬送路P1上の錠剤Tが検出部20b(撮像タイミング用)により検出されると、その検出に基づくタイミング、すなわち錠剤Tが撮像部30の直下に到着したタイミングで、搬送路P1上の錠剤Tの上面が撮像部30(印刷位置検出用)により撮像され、その画像に基づいて印刷部40により印刷が行われ、印刷された錠剤Tの上面が撮像部50a(検査用)により撮像され、その印刷の良否が検査される(第1の実施形態参照)。なお、搬送部91の検出部20aを位置検出器としても機能させることにより、搬送部92の検出部20bを省略することもできる。また、搬送部92における反転部13よりも搬送方向上流側に検出部20bを設けることにより、錠剤の検出用と割線の有無検出用を兼ねることができる。
検査後、搬送部92の搬送ベルト92aにより吸着搬送される錠剤Tは、搬送部92の下方で搬送部93の搬送路P1に供給される。搬送部92から搬送部93へ錠剤Tが受け渡される際には、錠剤Tが反転する。搬送部92から搬送部93の搬送路P1に供給された錠剤Tは、搬送部93の搬送ベルト93aにより吸着されて搬送路P1に沿って搬送方向A2に一列で搬送される。反転部13では、すべての錠剤Tが裏面から表面に反転され、表面が上を向いた状態にされ、さらに、搬送路P1から搬送路P2に移動する。搬送路P2に移動した錠剤Tは、搬送部93の搬送ベルト93aにより吸着されて搬送路P2に沿って搬送方向A2に一列で搬送される。
搬送部93の搬送路P2上の錠剤Tが検出部20b(撮像タイミング用)により検出されると、その検出に基づくタイミング、すなわち錠剤Tが撮像部50bの直下に到着したタイミングで、搬送路P2上の錠剤Tの上面が撮像部50b(割線角度検出用)により撮像されて割線の角度が検出され、搬送部92の搬送路P2に供給される。搬送部93から搬送部92へ錠剤Tが受け渡される際には、錠剤Tが反転する。搬送路P2に供給された錠剤Tは、搬送部92の搬送ベルト92aにより吸着されて搬送路P2に沿って一列で搬送される。撮像部50bで得た割線の角度情報は、後工程の印刷で、割線が形成されていない裏面が上になった状態で搬送されている場合において、その裏面に割線に揃えて識別情報を印刷するために用いられる。
搬送部92の搬送路P2上の錠剤Tが検出部20b(撮像タイミング用)により検出されると、その検出に基づくタイミングで搬送路P2上の錠剤Tの上面が撮像部60(印刷位置検出用)により撮像され、その画像に基づいて印刷部40により印刷が行われ、印刷された錠剤Tの上面が撮像部70(検査用)により撮像され、その印刷の良否が検査される(第1の実施形態参照)。その後、良品と不良品の錠剤Tが分けられて回収される。
以上説明したように、第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第5の実施形態>
第5の実施形態について図9から図11を参照して説明する。なお、第5の実施形態では、第1の実施形態との相違点(搬送部)について説明し、その他の説明は省略する。
図9に示すように、第5の実施形態に係る錠剤印刷装置1Eは、三つの搬送部101、102、103を備えている。各搬送部101、102、103は水平状態で設けられている。図9において、搬送部101は搬送部102の上端部の左側に配置されており、搬送部103は搬送部102の下端部の左側に配置されている。これらの搬送部101、102、103は、第4の実施形態と同様であり(同期や速度なども)、例えば、搬送部101は、第4の実施形態に係る搬送部91と同様、搬送ベルト101aの下面に錠剤Tを吸着して搬送する。
搬送部101は、表裏がランダムな状態で四列に搬送されている錠剤Tの上面を搬送ベルト101aにより吸着し、錠剤Tを四列で搬送方向A1に搬送し、搬送部102に供給する。搬送部102は、搬送部101から供給された錠剤Tの下面を搬送ベルト102aにより吸着し、表裏がランダムな状態で錠剤Tを四列で搬送方向A1に搬送し、反転部13Aにより搬送途中で全ての錠剤Tを表面が上になった状態にし、搬送部103に供給する(錠剤Tの表面が印刷対象である)。搬送部103は、搬送部102から供給された錠剤Tの下面を搬送ベルト103aにより吸着し、錠剤Tを四列で搬送方向A2に搬送する(錠剤Tの裏面が印刷対象である)。
搬送部101の錠剤Tが搬送される面と対向する位置に、二つの検出部20aが設けられている。搬送部102の錠剤Tが搬送される面と対向する位置に、反転部13Aと、二つの検出部20bと、二つの撮像部30と、印刷部40と、二つの撮像部50とがその順番で搬送方向A1に並ぶように設けられている。搬送部103に対して、二つの検出部20bと、二つの撮像部60と、印刷部40と、二つの撮像部70とがその順番で搬送方向A2に並ぶように設けられている。また、各搬送部102、103の錠剤Tが搬送される面と対向する位置に、例えば、それぞれの下方に位置付けられて乾燥部90が個別に設けられている。これらの乾燥部90は、錠剤Tに塗布されたインクや錠剤T自体を放射熱や風などにより乾燥させる。各乾燥部90は制御部80に電気的に接続されており、その駆動は制御部80により制御される。
各検出部20aは、搬送部101の下方に位置しており、搬送部101により上面が吸着されて搬送される錠剤Tの下面を撮像するように設けられている。これらの検出部20aは割線有無検出用である。印刷部40は、第1の実施形態に係る印刷部40と同じ構成である。検出部20bは錠剤Tの撮像タイミング検出用である。撮像部30は印刷位置検出用及び割線角度検出用であり、撮像部50は検査用及び割線角度検出用である。撮像部60は印刷位置検出用であり、撮像部70は検査用である。
反転部13Aは、図10及び図11に示すように、四本の反転チューブ13aと、四本の反転ノズル13bと、二本の非反転チューブ13cと、二本の非反転ノズル13dとを有している。反転チューブ13aは錠剤Tを反転させる反転路として機能し、非反転チューブ13cは錠剤Tを反転させずに流す非反転路として機能し、反転ノズル13b及び非反転ノズル13dは錠剤Tを移動させる移動部として機能する。
搬送部102は、錠剤Tを四列で搬送可能なように、搬送路L1~L4の四つの搬送路を有している。反転チューブ13aは、搬送路L1~L4の列ごとに設けられている。搬送ベルト102aの図11中(紙面上)の上端側に位置する搬送路L1、L2に設けられる反転チューブ13aは、図11中の上端側に延びるように形成して設けられており、搬送ベルト102aの図11中の下端側に位置する搬送路L3、L4に設けられる反転チューブ13aは、図11中の下端側に延びるように形成して設けられている。搬送ベルト102aの図11中の上端に延びる二本の反転チューブ13aのうち搬送方向A1の上流側の反転チューブ13aが搬送路L1用であり、下流側の反転チューブ13aが搬送路L2用である。また、搬送ベルト102aの図11中の下端に延びる二本の反転チューブ13aのうち上流側の反転チューブ13aが搬送路L4用であり、下流側の反転チューブ13aが搬送路L3用である。
非反転チューブ13cは、四列の両端の二列において列ごとに設けられている。搬送ベルト102aの図11中の上端に対して一本の非反転チューブ13cが設けられており、この非反転チューブ13cが搬送路L1用である。搬送ベルト102aの図11中の下端に対して一本の非反転チューブ13cが設けられており、この非反転チューブ13cが搬送路L4用である。各非反転チューブ13cは、各反転チューブ13aより搬送方向A1の上流側に設けられており、搬送される錠剤Tを反転させずに搬送方向A1の下流側に移動させる。
ここで、例えば、裏面が上になった状態の搬送路L3に位置する錠剤Ta(図11参照)と、表面が上になった状態の搬送路L4に位置する錠剤Tb(図11参照)とが、搬送方向A1の位置が同じ状態、つまり横に並んだ状態で搬送されている場合には、反転ノズル13bから吹き出される気体により搬送路L3の錠剤Taを反転チューブ13aに移動させようとしても、搬送路L4の錠剤Tbが邪魔になる。このため、搬送路L3の錠剤Taを反転チューブ13aに移動させる前に、非反転ノズル13dから吹き出される気体により搬送路L4の錠剤Tbを非反転チューブ13cに移動させ、裏面が上になった状態の搬送路L3の錠剤Taと表面が上になった状態の搬送路L4の錠剤Tbが並んでいる状態を無くす。これにより、反転ノズル13bから吹き出される気体により搬送路L3の錠剤Taを反転チューブ13aに移動させることが可能になる。なお、搬送路L4の錠剤Tbは、非反転ノズル13dから吹き出される気体によって、表面が上になった状態のまま非反転チューブ13cを通過し、搬送路L4に移動する。
この反転部13Aは、表裏がランダムな状態で錠剤Tが四列に搬送されている場合において、割線の有無(錠剤Tの表裏)に応じ、四列の錠剤Tのうち裏面が上になった状態の錠剤Tを選択的に反転させ、表裏がランダムな状態で四列に搬送されている錠剤Tを全て表面が上になった状態にする。これにより、反転部13Aより搬送方向A1の下流側の搬送ベルト102a上では、全ての錠剤Tが、表面が上になった状態で搬送される。
このような構成の錠剤印刷装置1Eにおいて、表裏がランダムな状態で搬送部101に四列で搬送されてきた錠剤Tは搬送部101の搬送ベルト101aにより吸着されて搬送方向A1に四列で搬送され、搬送部102に供給される。この途中、搬送部101の搬送ベルト101aにより吸着搬送されている錠剤Tの下面の割線の有無が各検出部20a(割線有無検出用)により検出される。搬送部101から搬送部102に供給された錠剤Tは、搬送部102の搬送ベルト102aにより吸着されて搬送方向A1に四列で搬送される。反転部13Aでは、各検出部20aの検出結果に応じて、裏面が上になった状態で搬送されている錠剤Tが反転され、表面が上になった状態にされる。反転部13Aより搬送方向A1の下流側において全ての錠剤Tは表面が上を向いた状態で搬送される。
搬送ベルト102a上の錠剤Tが各検出部20b(撮像タイミング用)により検出されると、それらの検出に基づくタイミング、すなわち錠剤Tが撮像部30の直下に到着したタイミングで、搬送ベルト102a上の錠剤Tの上面が各撮像部30(印刷位置検出用)により撮像され、それらの画像に基づいて印刷部40により印刷が四列一緒に行われ、印刷された錠剤Tの上面が各撮像部50(検査用及び割線角度検出用)により撮像され、その印刷の良否が検査される。
検査後、搬送部102の搬送ベルト102aにより吸着搬送される錠剤Tは、乾燥部90の上方を通過し、搬送部102の下方で搬送部103に四列のまま供給される。搬送部102から搬送部103に供給された錠剤Tは、搬送部103の搬送ベルト103aにより吸着されて搬送方向A2に四列で搬送される。
搬送ベルト103a上の錠剤Tが各検出部20b(撮像タイミング用)により検出されると、それらの検出に基づくタイミング、すなわち錠剤Tが撮像部60の直下に到着したタイミングで、搬送ベルト103a上の錠剤Tの上面が各撮像部60(印刷位置検出用)により撮像され、それらの画像に基づいて印刷部40により印刷が四列一緒に行われ、印刷された錠剤Tの上面が各撮像部70(検査用)により撮像され、その印刷の良否が検査される。その後、良品と不良品の錠剤Tが分別されて回収される。
以上説明したように、第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、四列で搬送される錠剤Tに対する印刷を四列一緒に行うことで、単位時間あたりの印刷量を増やすことが可能になるので、印刷効率を向上させることができる。
なお、本実施形態においても、前述の第4の実施形態と同様、反転部13Aの搬送方向上流側に検出部20bを設けることで、割線の有無検出と、錠剤の位置検出を兼ねることができる。
<第6の実施形態>
第6の実施形態について図12から図14を参照して説明する。なお、第6の実施形態では、第1の実施形態との相違点(搬送部)について説明し、その他の説明は省略する。
図12に示すように、第5の実施形態に係る錠剤印刷装置1Fは、五つの搬送部111、112、113、114、115を備えている。搬送部113は長手方向が鉛直状態で設けられており、各搬送部111、112、114、115は水平状態で設けられている。図12の紙面上において、搬送部111は搬送部113の下端部の左側に配置されており、搬送部112は搬送部113の下端部の右側に配置されている。また、搬送部114は搬送部113の上部の右側に設けられており、搬送部115は搬送部113の上部の左側に設けられている。
搬送部111は、表裏がランダムな状態で錠剤Tを搬送ベルト111aにより吸着して搬送方向A1に二列で搬送し、反転部13Bにより搬送途中で全ての錠剤Tを裏面が上になった状態にし、搬送部113に供給する。また、搬送部112も、搬送部111と同様、表裏がランダムな状態で錠剤Tを搬送ベルト112aにより吸着して搬送方向A2に二列で搬送し、反転部13Bにより搬送途中で全ての錠剤Tを裏面が上になった状態にし、搬送部113に供給する。
搬送部113は、搬送部111から供給された錠剤Tを搬送ベルト113aにより吸着して搬送方向A3に二列で搬送し(錠剤Tの表面が印刷対象である)、搬送部114に供給する。また、搬送部113は、搬送部112から供給された錠剤Tを搬送ベルト113bにより吸着して搬送方向A4に二列で搬送し(錠剤Tの表面が印刷対象である)、搬送部115に供給する。
搬送部114は、搬送部113から供給された錠剤Tを搬送ベルト114aにより吸着して搬送方向A1に二列で搬送し(錠剤Tの裏面が上である)、反転部14Aにより搬送途中で全ての錠剤Tを表面が上になった状態にし、搬送ベルト114bにより吸着して搬送方向A2に二列で搬送し、搬送部113に戻す。また、搬送部115も、搬送部113から供給された錠剤Tを搬送ベルト115aにより吸着して搬送方向A2に二列で搬送し(錠剤Tの裏面が上である)、反転部14Aにより搬送途中で全ての錠剤Tを表面が上になった状態にし、搬送ベルト115bにより吸着して搬送方向A1に二列で搬送し、搬送部113に戻す。
搬送部113は、搬送部114から供給された錠剤Tを搬送ベルト113bにより吸着して搬送方向A4に二列で搬送する(錠剤Tの裏面が印刷対象である)。また、搬送部113は、搬送部115から供給された錠剤Tを搬送ベルト113aにより吸着して搬送方向A3に二列で搬送する(錠剤Tの裏面が印刷対象である)。これらの搬送途中、良品と不良品の錠剤Tが分けられて回収される(回収部は不図示)。
図13に示すように、反転部13Bは、第1の実施形態に係る反転部13(反転チューブ13a及び反転ノズル13b)を二つ有している。一方の反転部13Bが、錠剤Tが搬送される二列のうち一方の列に対応して設けられており、他方の反転部13Bが他方の列に対応して設けられている。
図14に示すように、反転部14Aは、第1の実施形態に係る反転部14(反転チューブ14a及び反転ノズル14b)を二つ有している。一方の反転部14Aが、錠剤Tが搬送される二列のうち一方の列に対応して設けられており、他方の反転部14Bが他方の列に対応して設けられている。
前述の搬送部111において、検出部20a(割線有無検出用)が設けられている。搬送部113の搬送ベルト113aに対して、その右側(図12中)に検出部20b(撮像タイミング検出用)と、撮像部30(印刷位置検出用及び割線角度検出用)と、印刷部40と、撮像部60(印刷位置検出用)とがその順番で搬送方向A3に並ぶように設けられている。搬送部114の搬送ベルト114bに対して、検出部20b(撮像タイミング検出用)と、撮像部50(検査用及び割線角度検出用)とが設けられている。搬送部113の搬送ベルト113bに対して、その右側(図12中)に撮像部70(検査用)が設けられている。
また、前述の配置と同じように、搬送部112に対して、検出部20a(割線有無検出用)が設けられている。搬送部113の搬送ベルト113bに対して、その左側(図12中)に検出部20b(撮像タイミング検出用)と、撮像部30(印刷位置検出用及び割線角度検出用)と、印刷部40と、撮像部60(印刷位置検出用)とがその順番で搬送方向A4に並ぶように設けられている。搬送部115の搬送ベルト115bに対して、検出部20b(撮像タイミング検出用)と、撮像部50(検査用及び割線角度検出用)とが設けられている。搬送部113の搬送ベルト113aに対して、その左側(図12中)に撮像部70(検査用)が設けられている。
このような構成の錠剤印刷装置1Fが行う印刷工程(印刷処理及び検査処理)は、基本的に第1~5などの実施形態と同様である。ただし、第4の実施形態に係る印刷工程が、搬送部113の左側と右側とで同時に実行される。このため、単位時間あたりの印刷量を増やすことが可能であり、印刷効率を向上させることができる。また、搬送部113の左側と右側とで同時に印刷を行うことが可能であるため、どちらか一方の印刷に係る各部をメンテナンスする場合でも、他方の印刷に係る各部により印刷を行うことができ、その結果、印刷効率を向上させることができる。
以上説明したように、第6の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、印刷効率も向上させることができる。
<第7の実施形態>
第7の実施形態について図15を参照して説明する。なお、第7の実施形態では、第6の実施形態との相違点(各部の配置)について説明し、その他の説明は省略する。
図15に示すように、第7の実施形態に係る錠剤印刷装置1Gは、第6の実施形態に係る錠剤印刷装置1Fの各部に加え、第6の実施形態に係る搬送部113を備えている。つまり、搬送部113が二つある。これらの搬送部113は鉛直状態で互いに並列に設けられている。また、図15において、搬送部111及び搬送部112は水平状態で互いに並列に各搬送部113の下端部の左側に設けられており、搬送部114及び115は水平状態で互いに並列に各搬送部113の中央付近の左側に設けられている。
なお、検出部20a(割線有無検出用)、検出部20b(撮像タイミング検出用)、撮像部30(印刷位置検出用及び割線角度検出用)、印刷部40、検出部20b(撮像タイミング検出用)、撮像部50(検査用及び割線角度検出用)、撮像部60(印刷位置検出用)、撮像部70(検査用)は、第6の実施形態と同様、錠剤Tの割線に揃えて錠剤Tの両面に識別情報を印刷する両面印刷が可能に設けられている。
このような構成の錠剤印刷装置1Gが行う印刷工程(印刷処理及び検査処理)は、基本的に第6の実施形態と同様である。ただし、第6の実施形態に比べ、インクが塗布された錠剤Tの表面が次に搬送ベルト114a又は115aに接触するまでに錠剤Tが移動する乾燥距離が長くなる。これにより、錠剤Tに塗布されたインクを確実に乾燥させることが可能になるので、インクの未乾燥による印刷不良の発生を抑制することができる。また、第6の実施形態に比べ、錠剤Tの搬送列数を増やして単位時間あたりの印刷量を増加させることが可能であり、印刷効率を向上させることができる。
以上説明したように、第7の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、インクの未乾燥による印刷不良の発生を抑えることができ、また、印刷効率を向上させることができる。
<第8の実施形態>
第8の実施形態について図16を参照して説明する。なお、第8の実施形態では、第7の実施形態との相違点(各部の配置)について説明し、その他の説明は省略する。
図16に示すように、第8の実施形態に係る錠剤印刷装置1Hは、第7の実施形態に係る錠剤印刷装置1Gと同じ各部を備えている。図16の紙面上において、搬送部111は水平状態で二つの搬送部113のうち奥側の搬送部113の下端部の左側に設けられており、搬送部112は水平状態で手前側の搬送部113の下端部の右側に設けられている。搬送部114は水平状態で前述の奥側の搬送部113の下側付近の左側に設けられており、搬送部115は水平状態で前述の手前側の搬送部113の下側付近の右側に設けられている。
このような構成の錠剤印刷装置1Hが行う印刷工程(印刷処理及び検査処理)は、基本的に第7の実施形態と同様である。ただし、第7の実施形態に比べ、搬送部113の左側と右側とで同時に印刷を行うことが可能であるため、どちらか一方の印刷に係る各部をメンテナンスする場合でも、他方の印刷に係る各部により印刷を行うことができ、その結果、印刷効率を向上させることができる。
以上説明したように、第8の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、インクの未乾燥による印刷不良の発生を抑えることができ、また、印刷効率を向上させることができる。
<第9の実施形態>
第9の実施形態について図17及び図18を参照して説明する。なお、第9の実施形態では、第8の実施形態との相違点(各部の配置)について説明し、その他の説明は省略する。
図17に示すように、第9の実施形態に係る錠剤印刷装置1Iは、五つの搬送部116、117、118、119、120を備えている。搬送部117は長手方向が鉛直状態で設けられており、各搬送部116及び119は水平状態で設けられており、これに加え、ドラム形状の各搬送部118及び120が搬送部117と搬送部119との間に設けられている。図17において、搬送部116は搬送部113の下端部の左側に設けられており、各搬送部118、119及び120は搬送部113の上端部に設けられている。
搬送部116は、表裏がランダムな状態で錠剤Tを搬送ベルト116aにより吸着して搬送方向A1に四列で搬送し、搬送途中に反転部13Aにより全ての錠剤Tを裏面が上になった状態にし、搬送部117に供給する。搬送部117は、搬送部111から供給された錠剤Tを搬送ベルト117aにより吸着して搬送方向A3に四列で搬送し(錠剤Tの表面が印刷対象である)、搬送部118に供給する。搬送部118は、搬送部117から供給された錠剤Tを搬送ベルト118aにより吸着して四列のまま搬送し、搬送部119に供給する。
搬送部119は、搬送部118から供給された錠剤Tを搬送ベルト119aにより吸着して搬送方向A2に四列で搬送し(錠剤Tの表面が上である)、反転部14Bにより搬送途中で全ての錠剤Tを裏面が上になった状態にし、搬送部120に供給する。搬送部120は、搬送部119から供給された錠剤Tを搬送ベルト120aにより吸着して四列のまま搬送する。搬送部117は、搬送部120から供給された錠剤Tを搬送ベルト117aにより吸着して搬送方向A4に四列で搬送する(錠剤Tの裏面が印刷対象である)。これらの搬送途中、良品と不良品の錠剤Tが分けられて回収される。
図18に示すように、反転部14Bは、第1の実施形態に係る反転部14(反転チューブ14a及び反転ノズル14b)を四つ有している。つまり、反転部14は列ごとに設けられている。これにより、表面が上になった状態の錠剤Tは列ごとに反転チューブ14aを通過するため、全ての錠剤Tは裏面が上になった状態となる。なお、反転部13A、反転部14Aの構成は、先に述べた第5の実施形態と同様である。
搬送部116に対して、二つの検出部20a(割線有無検出用)が設けられている。搬送部117に対して、その右側(図17中)に二つの検出部20b(撮像タイミング検出用)、二つの撮像部30(印刷位置検出用及び割線角度検出用)、印刷部40、二つの撮像部50a(検査用)、乾燥部90がその順番で搬送方向A3に並ぶように設けられている。搬送部119に対して、その左側(図17中)に二つの検出部20b(撮像タイミング検出用)が設けられている。搬送部120に対して、その右側(図17中)に二つの撮像部50b(割線角度検出用)が設けられている。搬送部113に対して、その左側(図17中)に二つの検出部20b(撮像タイミング検出用)、二つの撮像部60(印刷位置検出用)、印刷部40、二つの撮像部70(検査用)、乾燥部90がその順番で搬送方向A4に並ぶように設けられている。
このような構成の錠剤印刷装置1Iが行う印刷工程(印刷処理及び検査処理)は、基本的に第1~第8などの他の実施形態と同様である。ただし、乾燥部90が無い場合に比べ、錠剤Tに塗布されたインクを確実に乾燥させることが可能になるので、インクの未乾燥による印刷不良の発生をより抑制することができる。
以上説明したように、第9の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、錠剤Tの両面に印刷を行う錠剤印刷装置の種類を増やすことができ、さらに、インクの未乾燥による印刷不良の発生を抑えることができ、また、印刷効率を向上させることができる。
なお、前述のように、四列搬送に対して二つずつの部材(各部)が設けられている。したがって、二列毎に部材が設けられている(つまり、一つの部材が二列をまとめて処理する)。このことは、第5から第9の実施形態(四列搬送)でも同じであるが、あくまでも一例であって、列毎にすべての部材が設けられていても良い。
<第10の実施形態>
第10の実施形態について図19を参照して説明する。なお、第10の実施形態では、第1の実施形態との相違点(反転部)について説明し、その他の説明は省略する。
図19に示すように、第10の実施形態に係る反転部14Cは、一対の傾斜ドラム14c、14dを備える。
傾斜ドラム14cは、搬送ベルト11の幅方向に対して例えば45度で傾斜する軸を中心とする円錐状の側面14c1を有している。この傾斜ドラム14cは、円錐状の側面14c1の一部が搬送ベルト11の上面と所定距離(例えば、錠剤Tの厚さ程度)だけ離され、搬送ベルト11の上方にモータ14eにより回転可能に設けられている。搬送ベルト11との離間距離は、錠剤Tの厚さに基づき、搬送ベルト11から傾斜ドラム14cへの錠剤Tの受け渡しが可能に設定されている。傾斜ドラム14cは、モータ14eの出力軸(回転軸)に固定されており、モータ14eの回転動作により軸を中心として回転する。モータ14eは制御部80に電気的に接続されており、その駆動が制御部80により制御される。
傾斜ドラム14cの側面14c1には、複数の吸着孔H3が形成されている。これらの吸着孔H3は、傾斜ドラム14cの軸を中心として円環状に等間隔で設けられている。傾斜ドラム14cの内部空間の圧力は、吸引機構(図示せず)により大気圧よりも低い負圧に保たれている。傾斜ドラム14cは、この負圧により、いずれかの吸着孔H3に錠剤Tを保持する。前述の吸引機構は制御部80に電気的に接続されており、その駆動が制御部80により制御される。
傾斜ドラム14dは、傾斜ドラム14cが傾斜する方向と逆に、搬送ベルト12の幅方向に対して例えば45度で傾斜する軸を中心とする円錐状の側面14d1を有している。傾斜ドラム14dの軸と前述の傾斜ドラム14cの軸は、鉛直な平面内において、例えば直交する位置関係である。傾斜ドラム14dは、円錐状の側面14d1の一部が傾斜ドラム14cの側面14c1と所定距離(例えば、錠剤Tの厚さ程度)だけ離され、さらに、円錐状の側面14d1の一部が搬送ベルト12の上面と所定距離(例えば、錠剤Tの厚さ程度)だけ離され、搬送ベルト12の上方にモータ14fにより回転可能に設けられている。傾斜ドラム14cとの離間距離は、錠剤Tの厚さに基づき、傾斜ドラム14cから傾斜ドラム14dへの錠剤Tの受け渡しが可能に設定されている。また、搬送ベルト12との離間距離は、傾斜ドラム14dから搬送ベルト12への錠剤Tの受け渡しが可能に設定されている。傾斜ドラム14dは、モータ14fの出力軸(回転軸)に固定されており、モータ14fの回転動作により軸を中心として回転する。モータ14fは制御部80に電気的に接続されており、その駆動が制御部80により制御される。
傾斜ドラム14dの側面14d1には、複数の吸着孔H4が形成されている。これらの吸着孔H4は、傾斜ドラム14dの軸を中心として円環状に等間隔で設けられている。傾斜ドラム14dの内部空間の圧力は、前述の吸引機構により大気圧よりも低い負圧に保たれている。傾斜ドラム14dは、この負圧により、いずれかの吸着孔H4に錠剤Tを保持する。
傾斜ドラム14cの内部には、ブロー部14gが設けられている。ブロー部14gは、傾斜ドラム14cの各吸着孔H3のうち、傾斜ドラム14dに対向する吸着孔H3に気体を吹き付ける。これにより、気体が吹き付けられた吸着孔H3は大気圧よりも高い陽圧になるため、その吸着孔H3による錠剤Tの吸着が解除され、傾斜ドラム14cから傾斜ドラム14dに錠剤Tが受け渡される。ブロー部14gは制御部80に電気的に接続されており、その駆動が制御部80により制御される。
傾斜ドラム14dの内部にも、ブロー部14hが設けられている。ブロー部14hは、傾斜ドラム14dの各吸着孔H4のうち、搬送ベルト12に対向する吸着孔H4に気体を吹き付ける。これにより、気体が吹き付けられた吸着孔H4は大気圧よりも高い陽圧になるため、その吸着孔H4による錠剤Tの吸着が解除され、傾斜ドラム14dから搬送ベルト12に錠剤Tが受け渡される。ブロー部14hは制御部80に電気的に接続されており、その駆動が制御部80により制御される。
なお、傾斜ドラム14cから傾斜ドラム14dへの錠剤Tの受け渡し時に錠剤Tが脱落することを確実に抑えるためには、傾斜ドラム14dの各吸着孔H4の吸着力を、傾斜ドラム14cの各吸着孔H3の吸着力よりも大きくすることが望ましい。
このような反転部14Cによれば、識別情報が印刷された錠剤Tが搬送ベルト11の搬送方向A1の下流側の端部に位置する、すなわち、搬送ベルト11上の錠剤Tが傾斜ドラム14cに到達すると、錠剤Tは搬送ベルト11から傾斜ドラム14cに受け渡される。傾斜ドラム14cは、搬送ベルト11から受け取った錠剤Tを側面14c1のいずれかの吸着孔H3で吸着保持しつつ、モータ14eにより回転し、ブロー部14gによる気体の吹き付けによって傾斜ドラム14dに受け渡す。傾斜ドラム14dは、傾斜ドラム14cから受け取った錠剤Tを側面14d1のいずれかの吸着孔H4で吸着保持しつつ、モータ14fにより回転し、ブロー部14hによる気体の吹き付けによって搬送ベルト12に受け渡す。これにより、搬送ベルト11上の錠剤Tは搬送ベルト11から搬送ベルト12に移動するとともに、その錠剤Tの表裏は反転する。したがって、割線が形成されている表面が上になった状態で搬送されている錠剤Tは、反転部14Cにより、割線が形成されていない裏面が上になった状態になる。
以上説明したように、第10の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、前述のような反転部14Cを用いることが可能であり、反転部として各種の機構を用いることができる。
<他の実施形態>
前述の説明においては、表裏判別可能なマークとして、錠剤Tの割線(直線状の凹部)を用いることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、錠剤Tに形成された十字状など各種形状の凹部、また、各種形状の凸部、あるいは、印刷や描画によるマークを用いることも可能である。
また、前述の説明においては、錠剤Tの割線に揃えて情報を印刷することを例示したが、これに限るものではなく、印刷データに基づき、割線に応じて情報を印刷すれば良い。
また、前述の説明においては、反転路として反転チューブ13aを、移動部として反転ノズル13bを例示したが、これに限るものではなく、例えば、反転路として断面がU字形状のレールを用いることも可能であり、また、移動部として錠剤Tを打って移動させる部材(例えば、棒状の部材)を用いることも可能である。
また、反転チューブ13aや14a、非反転チューブ13cの途中に気体ノズルを接続することも可能である。気体ノズルは、反転チューブ13aや14a、非反転チューブ13cなどのチューブ内を進む錠剤Tを押す方向に気体(例えば、エアー)を吹き出すように形成されている。この気体ノズルにより吹き出された気体によって錠剤Tが押され、錠剤Tの移動が促進されるので、錠剤Tを確実に通過させることができる。
また、前述の説明においては、印刷部40は1つで二つの搬送路で搬送される錠剤Tに対して印刷することを例示したが、これに限らず、搬送路毎に設けても良い。このように、印刷部40を複数設けることによって、異なるインクを用いて印刷を行うことができる。
ここで、前述の錠剤としては、医薬用、飲食用、洗浄用、工業用あるいは芳香用として使用される錠剤を含めることができる。また、錠剤としては、裸錠(素錠)や糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶錠、ゼラチン被包錠、多層錠、有核錠などがあり、硬カプセルや軟カプセルなど各種のカプセル錠も錠剤に含めることができる。さらに、錠剤の形状としては、円盤形やレンズ形、三角形、楕円形など各種の形状がある。また、印刷対象の錠剤が医薬用や飲食用である場合には、使用するインクとして可食性インクが好適である。この可食性インクとしては、合成色素インク、天然色素インク、染料インク、顔料インクのいずれを使用しても良い。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。