JP7394067B2 - がん患者における腫瘍抗原を検出するための診断アッセイ - Google Patents

がん患者における腫瘍抗原を検出するための診断アッセイ Download PDF

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Description

本発明は概して、細胞培養を用いた診断アッセイに関するものであり、特に、試料(特に患者試料)を分析し、腫瘍抗原の発現を定量化することおよび/またはがん免疫療法に対する臨床応答を予測することによってがんを診断するためのキメラ抗原受容体(CAR)発現レポーター細胞アッセイに関する。本発明のさらなる態様は、例えばがん免疫療法の安全性を改善することである。
がんは、全年齢コーホートを通して死因の代表的なものの一つである。がんは、1つ以上の細胞集団の制御不能な増殖につながる細胞の異常な段階である。最終的に、増殖は、複数の臨床的および非臨床的症状につながる正常な生物学的機能の異常をもたらす。腫瘍細胞は、典型的には、形態、胎児性抗原の発現、接触阻害の欠如および成長因子非依存性のような、腫瘍細胞を正常細胞から区別する1または複数の特性を示す。
残念なことに、ほとんどのがんは疾患の初期段階で無症候性であり、例えば、肺がんについては、初期の限局した段階で発見されるのはわずか15%であるという困難な状況につながっている。ただし、このような早期診断された患者の5年生存率は85%と高いが、がんが他の臓器に広がってから5年生存した患者はわずか2%である。何十年にもわたってがん治療が改善されてきたにもかかわらず、がん治療を成功させるための最も重要な予測因子は、早期発見と疾患の分類であることに変わりはない。
免疫系は、典型的には、腫瘍細胞が「自己」に由来するという性質のために、危険を知らせたり、これら腫瘍細胞の認識の誘因となったりはしない。がん免疫療法は、腫瘍によってのみ発現する独特のタンパク質を認識することと、同時に、例えば、腫瘍細胞の破壊を可能にする抗体依存性細胞傷害性(ADCC)またはT細胞の細胞傷害性を介して、免疫細胞の作用に関与することとにより、免疫系を利用して腫瘍細胞を標的とすることを目的とする。この関与は、古典的ADCCが可能な抗体および/もしくはT細胞二重特異性抗体、または腫瘍抗原もしくは人工キメラ抗原(CAR-T)を認識する天然T細胞受容体(TCR-T)を発現するように操作されたT細胞を介して達成され得る。これらの抗体は、従来の腫瘍表面タンパク質またはMHC複合体(pMHC)との関連で提示されるタンパク質由来ペプチドのいずれかを認識する。いずれのアプローチにおいても、腫瘍細胞表面またはpMHCに発現される腫瘍抗原の密度は全てのがん型にわたって患者間で大きく異なるため、臨床において全ての患者が治療に反応するわけではない。
したがって、腫瘍抗原(表面および/またはpMHC)の量を検出および定量するための有効なツールは、がん患者のより良い診断を保証し、それぞれのがん免疫療法に対する臨床反応の可能性を予測することができるであろう。さらに、がん免疫療法は、ときに正常組織を標的とする望ましくない免疫応答を引き起こし得る。免疫療法の安全性の早期予測は、医師が患者における潜在的な致死的副作用を監視するのに役立つであろう。
多様な体液中の腫瘍抗原の検出は、例えば、リンパまたは血液中のすでに非常に少数の生存可能な腫瘍細胞の存在が疾患進行における重要な特徴を示す可能性があることを考えると、依然として最も重要である。免疫学的診断アッセイは、様々な疾患状態を検出することができる、この目的に向けた重要なツールを提供する。しかしながら、このようなアッセイは、例えばMHC提示されたタンパク質由来ペプチドとの関連において、腫瘍細胞を確実に検出するのに十分な感度および/または特異性を常に有しているとは限らない。
したがって、免疫療法の安全性を向上させ、特定の免疫療法に対する患者(patent)の反応を予測するために、悪性細胞を検出する際の使用に適したがん抗原を検出し、かつ/またはオンターゲットオフ組織の効果を予測する、高感度かつ堅牢な診断アッセイが依然として必要である。
本発明者らは、古典的表面がん抗原とMHC複合体提示タンパク質由来ペプチドの両方に適用可能な、がん患者の腫瘍抗原をスクリーニングするためのハイスループットフォーマットで実行可能な統合的かつ直接的な読み出しを備えた高度に柔軟なアッセイを開発した。本発明は、がん患者の診断、免疫療法に対する臨床応答の予測、および免疫療法の安全性測定に適用される。
本発明は、概して、標的抗原、例えば、試料中(特に患者由来の試料中)の腫瘍標的抗原および/または腫瘍細胞の存在を判定するための診断アッセイに関するものであり、また、標的抗原の検出を腫瘍細胞に応答するレポーター細胞の活性化と組み合わせる。本発明のアッセイは、患者試料をスクリーニングすること、ならびに表面抗原および/またはMHC提示されたタンパク質由来ペプチドとの関連での抗原密度の正確な測定を可能にすることに適している。本発明のアッセイは、がん免疫療法に対する臨床応答の可能性を予測するためにさらに有用である。
したがって、本明細書において提供されるのは、試料中の腫瘍細胞の存在を判定するための診断アッセイであって、以下のステップ:
a)試料を、抗原結合ドメインと認識ドメインとを含む抗原結合分子と接触させるステップであって、抗原結合ドメインが、腫瘍細胞に特異的に結合可能な標的抗原結合部分を含む、接触させるステップ;
b)試料を、キメラ抗原受容体(CAR)発現レポーターT(CAR-T)細胞と接触させるステップであって、レポーターCAR-細胞が、
i.応答エレメントに作動可能に結合されており、認識ドメインに特異的に結合可能なCAR;
ii.応答エレメントの制御下にあるレポーター遺伝子;
を含む、接触させるステップ:および
c)レポーター遺伝子の発現を測定して腫瘍細胞の存在を確認することにより、T細胞の活性化を判定するステップ
を含む診断アッセイである。
一実施態様において、抗原結合ドメインはFab断片であり、認識ドメインはFcドメインである。
一実施態様において、抗原結合分子は、IgGクラス抗体、特にIgG1またはIgG4アイソタイプ抗体である。
一実施態様において、認識ドメインは、変異Fcドメインであり、変異Fcドメインは、非変異親Fcドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、CARは、変異Fcドメインに特異的に結合することはできるが、非変異親Fcドメインには特異的に結合することができない。
一実施態様において、変異体Fcドメインは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基117、118、136、180、193、212、214および318からなる群から選択される位置にアミノ酸置換を含み、特に、変異体ヒトIgG1 Fcは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基117にロイシンからアラニン、残基118にロイシンからアラニン、位置136にイソロイシンからアラニン、残基180にアスパラギンからアラニン、残基193にヒスチジンからアラニン、残基212にプロリンからグリシン、残基214にプロリンからグリシン、および/または残基318にヒスチジンからアラニンへのアミノ酸置換を含む。
一実施態様において、変異体Fcドメインは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基212の位置にアミノ酸置換を含み、特に、変異体Fcドメインは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基212にプロリンからグリシンへのアミノ酸置換を含む。
一実施態様において、認識ドメインはタグを含み、CARはタグを含む認識ドメインに特異的に結合することはできるが、タグを含まない認識ドメインには特異的に結合することができない。
一実施態様において、タグはハプテン分子であり、ハプテン分子は、特に、ビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)およびフルオレセイン(FITC)からなる群から選択される。
一実施態様において、タグはポリペプチドタグであり、ポリペプチドタグは、特に、mycタグ、HAタグ、Aviタグ、FLAGタグ、Hisタグ、GCN4タグおよびNEタグからなる群から選択される。
一実施態様において、CARは、少なくとも1つの細胞内刺激シグナル伝達および/または補助刺激シグナル伝達ドメインを含む。
一実施態様において、細胞内シグナル伝達および/または補助シグナル伝達ドメインの活性化は、応答エレメントの活性化をもたらす。
一実施態様において、応答エレメントの活性化は、レポーター遺伝子の発現をもたらす。
一実施態様において、試料は、疾患に罹患している個人に由来する患者試料であり、特に疾患ががんである。
一実施態様において提供されるのは、試料中の腫瘍細胞の存在を判定するための診断キットであって、
(a)腫瘍細胞に特異的に結合可能な抗原結合分子;および
(b)(i)抗原結合分子に特異的に結合可能なCARと(ii)応答エレメントの制御下にあるレポーター遺伝子とを含む形質導入T細胞であって、CARが応答エレメントに作動的に結合されている、形質導入T細胞
を含む診断キットである。
一実施態様において提供されるのは、がんの診断における使用のための、本明細書に記載されるキットである。
図1は、診断用Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイの模式図を示す。図1Aは、診断用Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイの一実施態様を示す。Fc(認識ドメイン)においてジゴキシゲニニル化(digoxigeninylated)された標的抗原結合IgGは、抗ジゴキシゲニンCAR発現Jurkat NFATレポーターT細胞によって認識され得る。この認識は、発光(cps)を測定することによって検出可能な、細胞の活性化をもたらす。 図1Bは、診断用Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイのもう一つの実施態様を示す。P329G変異を有するTAA結合IgGは、抗P329G CAR発現Jurkat NFATレポーターT細胞によって認識することができる。この認識は、発光(cps)を測定することによって検出可能な、細胞の活性化をもたらす。 図2は、本発明で使用される様々なCARフォーマットの構造を示す。図2AはFabフォーマットの構造を示している。Ig重鎖断片およびIg軽鎖からなる抗原結合部分を含む細胞外ドメインが描かれている。重鎖に結合したリンカーは、抗原認識ドメインと、細胞内補助刺激シグナル伝達ドメイン(CSD)に融合され、ひいては刺激シグナル伝達ドメイン(SSD)に融合されているアンカー型膜貫通ドメイン(ATD)とを接続する。図2Bは、重鎖と軽鎖の交換を伴うFabフォーマットの構造を示す。Ig重鎖断片およびIg軽鎖からなる抗原結合部分を含む細胞外ドメインが描かれている。軽鎖定常ドメインに結合したリンカーは、抗原認識ドメインと、細胞内補助刺激シグナル伝達ドメイン(CSD)に融合され、ひいては刺激シグナル伝達ドメイン(SSD)に融合されているアンカー型膜貫通ドメイン(ATD)とを接続する。図2Cは、scFabフォーマットの構造を示す。描かれているのは、リンカーで接続されたIg重鎖断片とIg軽鎖からなる抗原結合部分を含む細胞外ドメインである。重鎖に結合したリンカーは、抗原認識ドメインと、細胞内補助刺激シグナル伝達ドメイン(CSD)に融合され、ひいては刺激シグナル伝達ドメイン(SSD)に融合されているアンカー型膜貫通ドメイン(ATD)とを接続する。 図2Dは、VH-VL交換を伴うcrossFabフォーマットの構造を示す。描かれているのは、VHドメインとVLドメインが交換されているIg重鎖断片とIg軽鎖からなる抗原結合部分を含む細胞外ドメインである。重鎖定常ドメインに結合したリンカーは、抗原認識ドメインと、細胞内補助刺激シグナル伝達ドメイン(CSD)に融合され、ひいては刺激シグナル伝達ドメイン(SSD)に融合されているアンカー型膜貫通ドメイン(ATD)とを接続する。図2Eは、CH-CL交換を伴うcrossFabフォーマットの構造を示す。描かれているのは、CHドメインとCLドメインが交換されているIg重鎖断片とIg軽鎖からなる抗原結合部分を含む細胞外ドメインである。軽鎖定常ドメインに結合したリンカーは、抗原認識ドメインと、細胞内補助刺激シグナル伝達ドメイン(CSD)に融合され、ひいては刺激シグナル伝達ドメイン(SSD)に融合されているアンカー型膜貫通ドメイン(ATD)とを接続する。図2Fは、リンカーによって接続された可変重鎖および可変軽鎖からなり、細胞外抗原認識ドメインを有する古典的scFvフォーマットの構造を示す。可変軽鎖に結合したリンカーは、抗原認識ドメインと、細胞内補助刺激シグナル伝達ドメイン(CSD)に融合され、ひいては刺激シグナル伝達ドメイン(SSD)に融合されているアンカー型膜貫通ドメイン(ATD)とを接続する。 図3は、本発明により使用されるCARをコードする例示的発現コンストラクトのモジュール成分を示す模式図である。図3Aおよび図3Bは、例示的なFabフォーマットを示す。図3Cは、例示的なscFabフォーマットを示す。図3Dおよび図3Eは、例示的なcrossFabフォーマットを示す。図3Fは古典的なscFvフォーマットを示している。 ジゴキシゲニン(DIG)の構造式を示す。 抗ジゴキシゲニンCARによって特異的に認識され得る例示的なジゴキシゲニニル化IgG1分子を示す。 図6は、抗ジゴキシゲニンCARによって認識される選択的ジゴキシゲニル化(digoxigenylated)抗原結合分子を示す。本実施態様では、標的抗原結合ドメインと認識ドメインは同一のドメインであり、すなわち、ジゴキシゲニンハプテンタグは抗原結合ドメインに結合されており、この場合抗原結合ドメインは認識ドメインの機能も発揮する。図6Aは、抗ジゴキシゲニンCARによって認識され得るジゴキシゲニニル化されたFab分子を示す。図6Bは、抗ジゴキシゲニンCARによって認識され得るジゴキシゲニル化されたscFv分子を示す。 抗CD20標的化抗体GA101のジゴキシゲニル化が成功したことを確認するウエスタンブロットを示す。ジゴキシゲニニル化は、ウエスタンブロット分析で抗ジゴキシゲニン-AP Fab断片により検出した。 Jurkat NFATレポーター細胞上の抗ジゴキシゲニン-ds-scFvの表面検出を示す。 CD20を発現する標的細胞としてのSUDHDL4腫瘍細胞と、10倍モル過剰のジゴキシゲニン-3-O-メチルカルボニル-e-アミノカプロン酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステルでジゴキシゲニニル化された抗CD20 IgG抗体(GA101)とを用いる診断用Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイを示す。この抗体は一方では腫瘍関連抗原を認識し、他方ではJurkat NFATレポーターCAR-T細胞によって認識される。抗ジゴキシゲニン‐ds-scFv-CD28ATDCD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR‐T細胞のソート済みのプールをエフェクター細胞として用いた。 本発明による抗P329G CARによって認識される、FcドメインおけるP329G変異を有する例示的なIgG1分子を示す。 図11は、CD20を発現するSUDHDL4腫瘍細胞を標的細胞として用いる診断用Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイを示す。P329G変異を有する抗CD20 IgG抗体(GA101)が用いられたが、これは一方では腫瘍関連抗原を認識し、他方でJurkat NFATのレポーターCAR-T細胞によって認識される。図11Aにおいて、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR‐T細胞のソート済みのプールをレポーター細胞として用いた。図11Bにおいて、抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR‐T細胞のソート済みのプールをレポーター細胞として用いた。 図12は、CD20腫瘍細胞を標的細胞として用いるJurkat NFATレポーターCAR‐T細胞アッセイを示す。P329G変異を有する抗CD20 IgG抗体(GA101)が用いられたが、これは、腫瘍関連抗原を認識し、本発明に従って使用されるJurkat NFATレポーターCAR-T細胞によって認識されるものである。図12Aにおいて、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の単一クローン5をレポーター細胞として使用し、WSUDLCL2細胞を腫瘍細胞として使用した。図12Bにおいて、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の単一クローン2をレポーター細胞として使用し、WSUDLCL2細胞を腫瘍細胞として使用した。図12Cにおいて、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の単一クローン5をレポーター細胞として使用し、SUDHL4細胞を腫瘍細胞として使用した。図12Dにおいて、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の単一クローン2をレポーター細胞として使用し、SUDHL4細胞を腫瘍細胞として使用した。 図13は、接着性FAPを発現するNIH/3T3-huFAP cl 19腫瘍細胞を標的細胞として用いて実施した診断用Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイを示す。腫瘍関連抗原であり、Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞によって認識される、P329G変異を有する抗FAP IgG抗体クローン4B9を使用した。アイソタイプ対照として、P329G変異を有するIgG DP47/vk3を含めた。図13Aにおいて、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞のソート済みのプールをレポーター細胞として使用した。 図13Bにおいて、抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞のソート済みのプールをレポーター細胞として使用した。 図13Cにおいて、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞のソート済みのプールをレポーター細胞として使用した。 図13Dにおいて、抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞のソート済みのプールをレポーター細胞として使用した。 図14は、接着性CEAを発現するMKN45腫瘍細胞を標的細胞として用いる診断用Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイを示す。腫瘍関連抗原であり、Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞によって認識され、P329G変異をともに有する抗CEA IgGクローンA5B7または抗CEA IgGクローン T84 LCHAのいずれかを使用した。さらに、イソタイプ対照として、P329G変異を伴うIgG DP47/vk3を含めた。図14Aにおいて、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するNFAT T細胞のソート済みのプールをレポーター細胞として使用した。 図14Bにおいて、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するNFAT T細胞のソート済みのプールをレポーター細胞として使用した。 図14Cにおいて、抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するNFAT T細胞のソート済みのプールをレポーター細胞として使用した。 図14Dにおいて、抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するNFAT T細胞のソート済みのプールをレポーター細胞として使用した。 図15は、接着性TNCを発現するCT26TNC cl 19腫瘍細胞を標的細胞として用いる診断用Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイを示す。腫瘍関連抗原を認識し、Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞によって認識される、P329G変異を有する抗TNC IgGクローンA2B10を使用した。さらに、アイソタイプ対照として、P329G変異を伴うIgG DP47/vk3を含めた。図15Aにおいて、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するNFAT T細胞のソート済みのプールをレポーター細胞として使用した。 図15Bにおいて、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するNFAT T細胞のソート済みのプールをレポーター細胞として使用した。 図15Cにおいて、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するNFAT T細胞のソート済みのプールをレポーター細胞として使用した。 図15Dにおいて、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するNFAT T細胞のソート済みのプールをレポーター細胞として使用した。 図16Aと図16Bは、接着性TNCを発現するCT26TNC cl 19腫瘍細胞を標的細胞として用いる診断用Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイを示す。腫瘍関連抗原を認識し、Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞によって認識される、P329G変異を有する抗TNC IgGクローンA2B10を使用した。さらに、アイソタイプ対照として、P329G変異を伴うIgG DP47/vk3を含めた。抗P329G-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞のソート済みのプールをレポーター細胞として使用した。 MHC提示されたペプチドを検出するための診断用レポーターCAR-T細胞アッセイの概略図を示す。 Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞における、HLA-A2/WT1-ペプチド結合IgG(P329G変異を有する)変異体によるRMFまたはVLD-ペプチドパルスT2細胞へのCAR-NFATシグナル伝達の活性化を示す。レポーター細胞として、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞のソート済みのプールを使用した。各図は、特定のバインダー(33F05、11D06、33H09および5E11)の希釈を示す。RMF-ペプチド(標的)上のシグナルとVLD-ペプチド(オフターゲット)上のシグナルの比較は、活性化の特異性を評価するのに役立つ。 Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞におけるCAR-NFATシグナル伝達の活性化を示し、RMF-ペプチドまたはVLD-ペプチドでパルスされたT2細胞とのインキュベーション時の選択されたWT1/HLA-A2-バインダー33F05、33H09、1106および5E11の特異性を評価する。非パルスT2細胞あり、T2細胞なし、またはIgGなしのJurkat NFATレポーターCAR-T細胞を使用した陰性対照が含まれる。その後ルシフェラーゼ基質を添加し、発光を測定することによって活性化(Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞からのルシフェラーゼシグナル)を測定した。 RMF-ペプチドまたはVLD-ペプチドでパルスされたT2細胞を用いたFACSによるWT1/HLA-バインダー5E11および33H09の特異性の評価を示す。 AML患者の骨髄中のWT1陽性細胞を検出するためにJurkat NFATレポーター細胞を形質導入した診断用レポーターCAR-T細胞アッセイの概略図である。 図22Aから図22Cは、結腸癌のCEAおよびFAP陽性ヒト肺転移と、P329G LALA変異を有するヒトIgG1抗CEA T84 LCHAまたは抗FAP(4B9)抗体との接触時の診断用レポーターCAR-T細胞の活性化を示す。図22Aは、結腸癌試料の肺転移のCEAおよびFAP抗原の発現レベルを示すFACSプロットである。 図22Bは、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の活性化を示す。 図22Cは、抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の活性化を示す。
「親和性」は、分子(例えば抗体またはCAR)の単一結合部位とその結合パートナー(例えばリガンド)との間の非共有結合的相互作用の総和の強度を指す。本明細書で使用する場合、特に断らない限り、「結合親和性」は、結合対(例えば、抗原結合部分と抗原および/または受容体とそのリガンド)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は、通常、解離定数(K)によって表され、この解離定数は、解離速度定数と会合速度定数(それぞれ、koff、kon)の比である。したがって、速度定数の比が同じである限り、同等の親和性が異なる速度定数を含むことがある。親和性は、本明細書に記載したものを含む、当技術分野で既知の十分に確立された方法によって測定することができる。親和性の好ましい測定方法は表面プラズモン共鳴(SPR)であり、好ましい測定温度は25℃である。
用語「アミノ酸」(「aa」)は、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸ミメティックを指す。天然に存在するアミノ酸とは、遺伝子コードによってコードされたアミノ酸、および後に修飾されるアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸およびO-ホスホセリンである。アミノ酸アナログとは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基およびR基に結合したα炭素を有する化合物、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。このようなアナログ(例えばノルロイシン)は、改変されたR基または改変されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持する。アミノ酸ミメティックとは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する化学化合物を指す。アミノ酸は、本明細書では、それらの一般的に知られている3文字の記号かIUPAC-IUB生化学命名法委員会によって推奨される1文字の記号のいずれかによって表すことができる。
本明細書で使用される用語「アミノ酸変異」は、アミノ酸の置換、欠失、挿入および修飾を包含することを意図している。最終コンストラクトが所望の特性を有するという条件で、置換、欠失、挿入および修飾の任意の組み合わせを行って、最終コンストラクトに到達することができる。アミノ酸配列の欠失および挿入には、アミノ末端および/またはカルボキシ末端の欠失、ならびにアミノ酸の挿入が含まれる。特定のアミノ酸変異はアミノ酸の置換である。アミノ酸置換には、天然に存在しないアミノ酸による置換、または20種類の標準アミノ酸(例えば4-ヒドロキシプロリン、3-メチルヒスチジン、オルニチン、ホモセリン、5-ヒドロキシリジン)の天然に存在するアミノ酸誘導体による置換が含まれる。アミノ酸変異は、当技術分野で周知の遺伝学的または化学的方法を用いて生成することができる。遺伝学的方法には、部位特異的変異誘発、PCR、遺伝子合成等が含まれ得る。化学修飾のような遺伝子工学以外の方法でアミノ酸の側鎖基を変化させる方法も有用であることが企図されている。
本明細書において「抗体」という用語は最も広い意味で用いられ、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、および、所望の抗原結合活性を示す限り、抗体断片を含むがこれらに限定されない様々な抗体構造を包含する。したがって、本発明の文脈において、抗体という用語は、完全な免疫グロブリン分子およびそのような免疫グロブリン分子の部分に関する。さらに、本明細書で議論されるように、この用語は、修飾および/または改変された抗体分子、特に修飾された抗体分子に関する。この用語はまた、組換えでまたは人工的に生成/合成された抗体にも関する。本発明の文脈において、抗体という用語は、免疫グロブリンという用語と互換的に使用される。
「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合し、インタクトな抗体の一部分から構成されるインタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、限定されないが、Fv、Fab、クロスオーバーFab、Fab’、Fab’-SHは、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、単一ドメイン抗体、単鎖抗体分子(例えばscFv、scFab)、および単一ドメイン抗体が含まれる。特定の抗体断片の総説については、HudsonらNat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。scFv断片の総説については、例えば、PluckthunのThe Pharmacology of Monoclonal Antibodies,113巻,Rosenburg and Moore編,(Springer-Verlag,New York),269-315頁(1994)を参照されたい。また、国際公開第93/16185号;および米国特許第5571894号と同第5587458号も参照されたい。ダイアボディは、2つの抗原結合部位を有する抗体断片であって、二価または二重特異性であり得る。例えば、EP第404097号;国際公開第1993/01161号;Hudsonら,Nat.Med.9:129-134(2003);およびHollingerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444-6448(1993)を参照。トリアボディおよびテトラボディも、Hudsonら,Nat Med 9,129-134(2003)に記載されている。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部もしくは一部または軽鎖可変ドメインの全部もしくは一部を含む抗体断片である(Domantis社、マサチューセッツ州ウォルサム;例えば米国特許第6248516号参照)。抗体断片は、本明細書に記載されるように、インタクトな抗体のタンパク分解、および組換え宿主細胞(例えば大腸菌またはファージ)による生成を含むがこれらに限定されない様々な技術で作製することができる。
本明細書で使用される場合、用語「抗原結合分子」は、その最も広い意味で、抗原決定基に特異的に結合する分子を指す。抗原結合分子の例は、抗体/免疫グロブリンとその誘導体(例えば断片)である。さらに、本明細書で議論されるように、この用語は、修飾および/または改変された抗原結合分子、特に修飾された抗体分子に関する。この用語はまた、組換えでまたは人工的に生成/合成された抗体にも関する。本発明の文脈において、抗原結合分子は、好ましくは、抗体またはその断片である。
本明細書で使用される「抗原結合部分」という用語は、抗原決定基に特異的に結合するポリペプチド分子を指す。一実施態様では、抗原結合部分は、それが付着している実体(例えば免疫グロブリンまたはCAR)を標的部位へ、例えば抗原決定基を有する特定の型の腫瘍細胞または腫瘍間質へ、または腫瘍細胞上の抗原決定基に結合している免疫グロブリンへ誘導することができる。別の実施態様では、抗原結合部分は、その標的抗原を介してシグナル伝達を活性化することができ、例えば、シグナル伝達は、抗原決定基がT細胞上のCARに結合すると活性化される。本発明の文脈において、抗原結合部分は、本明細書でさらに定義されるように、抗体およびその断片、ならびに抗原結合受容体(例えばCAR)およびその断片に含まれ得る。抗原結合部分には、例えば、免疫グロブリン重鎖可変領域および免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む抗原結合ドメインが含まれる。
本発明の文脈において、用語「抗原結合受容体」は、アンカー型膜貫通ドメインと、少なくとも1つの抗原結合部分を含む細胞外ドメインとを含む分子に関する。抗原結合受容体(例えばCAR)は、異なる供給源からのポリペプチド部分から作製することができる。したがって、それは、「融合タンパク質」および/または「キメラタンパク質」としても理解され得る。通常、融合タンパク質は、もともと別々のタンパク質をコードしていた2つ以上の遺伝子(または好ましくはcDNA)が結合することによって作り出されるタンパク質である。この融合遺伝子(または融合cDNA)の翻訳は、好ましくは元のタンパク質のそれぞれに由来する機能的特性を有する単一のポリペプチドを生じる。組換え融合タンパク質は、生物学的研究または治療に使用するための組換えDNA技術によって人工的に作製される。本発明の文脈において、CAR(キメラ抗原受容体)は、例えばCD3zおよびCD28の細胞内シグナル伝達ドメインにスペーサー配列によって融合されるアンカー型膜貫通ドメインに融合される抗原結合部分を含む細胞外部分を含む抗原結合受容体であると理解される。
「抗原結合部位」は、抗原との相互作用を提供する抗原結合分子の部位、すなわち1または複数のアミノ酸残基を指す。天然の免疫グロブリン分子は一般に、2つの抗原結合部位を有し、FabまたはscFv分子は通常、単一の抗原結合部位を有する。
用語「抗原結合ドメイン」は、抗原の一部または全部に特異的に結合し、かつ抗原の一部または全部に相補的な領域を含む抗体または抗原結合受容体(例えばCAR)の部分を指す。抗原結合ドメインは、例えば1または複数の免疫グロブリン可変ドメイン(可変領域とも呼ばれる)により提供され得る。特に、抗原結合ドメインは、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)と免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)とを含む。
用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗原への結合に関与する免疫グロブリン重鎖または軽鎖のドメインを指す。通常、天然抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれVH、VL)は、一般に類似の構造を有し、各ドメインが4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つの超可変領域(HVR)備える。例えば、Kindtら,Kuby Immunology,第6編,W.H.Freeman and Co.,91頁(2007)を参照されたい。抗原結合特異性を付与するには、単一のVHまたはVLドメインで通常は十分である。
本明細書において使用される用語「ATD」は、細胞の細胞膜(複数可)に組み込むことができるポリペプチド伸長部を画定する「アンカー膜貫通ドメイン」を指す。ATDは、これらの細胞外および/または細胞内ポリペプチドドメインも同様に細胞膜に閉じ込められるような、さらなる細胞外および/または細胞内ポリペプチドドメインに融合することができる。本発明で使用される抗原結合受容体の文脈では、ATDは、抗原結合受容体(例えば本発明に従って使用されるCAR)の膜付着および閉じ込めをもたらす。
本発明に従って使用される抗原結合受容体(例えばCAR)および抗体の文脈で使用される「~への結合」という用語は、「抗原相互作用部位」と抗原との互いの結合(相互作用)を表す。用語「抗原相互作用部位」は、特定の抗原または特定の抗原群との特異的相互作用の能力を示すポリペプチドのモチーフを表す。上記結合/相互作用はまた、「特異的認識」を表すとも理解される。「特異的に認識する」という用語は、本発明に従って、抗原結合受容体が認識ドメイン、すなわち本明細書に記載の修飾分子と特異的に相互作用および/または結合することが可能であるが、非修飾分子は認識されないことを意味する。抗原結合受容体(例えばCAR)の抗原結合部分は、同一分子上の異なるエピトープを認識し、それと相互作用し、かつ/またはそれに結合することができる。この用語は、抗原結合受容体の特異性、すなわち、本明細書で記載されているような修飾分子の特定の領域、すなわち修飾されたFcドメインを識別するその能力に関する。抗原相互作用部位とその特異的抗原との特異的相互作用は、例えば、抗原を含むポリペプチドの立体構造の変化の誘導、抗原を含むポリペプチドのオリゴマー化、抗原結合受容体のオリゴマー化等によるシグナルの開始をもたらし得る。このように、抗原相互作用部位のアミノ酸配列中の特定のモチーフと抗原は、それらの一次、二次または三次構造の結果として、および前記構造の二次修飾の結果として、互いに結合する。~に結合するという用語は、線状エピトープに関するだけではなく、立体構造エピトープ(conformational epitope)、構造エピトープ(structural epitope)、または標的分子の2つの領域もしくはその一部からなる不連続なエピトープにも関係し得る。本発明の文脈において、立体構造エピトープは、ポリペプチドが天然タンパク質へと折り畳まれるときに分子の表面上で一緒になる、一次配列では離れていた2つ以上の別個のアミノ酸配列によって決定される(Sela,Science 166(1969),1365およびLaver,Cell 61(1990),553-536)。さらに、「~に結合する」という用語は、本発明の文脈において、「~と相互作用する」という用語と互換的に使用される。抗原結合部分(例えばFabまたはscFVドメイン)の、特定の標的抗原決定基への結合能は、酵素結合免疫吸着法(ELISA)または当業者によく知られた他の技術、例えば表面プラズモン共鳴(SPR)技術(BIAcore計器での解析)(Liljeblad et al.,Glyco J 17,323-329(2000))、および古典的結合アッセイ(Heeley,Endocr Res 28,217-229(2002))により測定することができる。一実施態様では、抗原結合部分の無関係なタンパク質への結合の程度は、特にSPRによって測定した場合、抗原結合部分の標的抗原への結合の約10%未満である。特定の実施態様では、標的抗原に結合する抗原結合分子は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nMまたは≦0.001nM(例えば10-8M以下、例えば10-8Mから10-13M、例えば10-9Mから10-13M)の解離定数(K)を有する。抗原結合部分は、1μM以下のKを有する場合、標的抗原に「特異的に結合」すると言われ、このような相互作用を本明細書では「特異的結合」と呼ぶ。本発明に従って使用される抗原結合受容体(例えばCAR)は、認識ドメイン、例えばFcドメイン、好ましくは修飾されたFcドメインに特異的に結合するか、またはそれと相互作用する。研究中のコンストラクトのパネルの交差反応性は、例えば、従来の条件下での抗原結合部分のパネル(例えば、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1988)and Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1999)を参照のこと)の、対象の認識ドメインへの、例えば修飾Fcドメインおよび親の非修飾Fcドメインへの結合を評価することによって試験され得る。対象のドメインには結合するが、構造的に密接に関連するドメイン、例えば非修飾Fcドメインには本質的に結合しないコンストラクト(すなわちFab断片、scFvsなど)のみが対象の認識ドメインに特異的であると考えられ、本文書で提供する方法に従ってさらなる研究のために選択される。これらの方法は、とりわけ、構造的および/または機能的に密接に関連するドメインを用いた結合研究、遮断および競合研究を含み得る。結合研究はまた、FACS解析、表面プラズモン共鳴(例えばBIAcoreによるSPR)、分析用超遠心法、等温滴定熱量測定、蛍光偏光測定法、蛍光分光法、または放射性標識リガンド結合アッセイによるものを含む。
本明細書で使用される用語「CDR」は、当技術分野でよく知られている「相補的決定領域」をいう。CDRは、上記分子の特異性を決定し、特定のリガンドと接触させる免疫グロブリンまたは抗原結合受容体の一部である。CDRは分子の中で最も可変性の高い部分であり、上記分子の抗原結合の多様性に寄与している。各Vドメインには3つのCDR領域、CDR1、CDR2およびCDR3が存在する。CDR-Hは可変重鎖のCDR領域を示し、CDR-Lは可変軽鎖のCDR領域を指す。VHは可変重鎖を意味し、VLは可変軽鎖を意味する。Ig由来の領域のCDR領域は、「Kabat」(Sequences of Proteins of Immunological Interest”, 5th edit. NIH Publication no. 91-3242 U.S. Department of Health and Human Services (1991); Chothia J. Mol. Biol. 196 (1987), 901-917) )または「Chothia」(Nature 342 (1989), 877-883)に記載の通りに決定され得る。
用語「CD3z」は、「T細胞受容体T3ゼータ鎖」および「CD247」としても知られる、T細胞表面糖タンパク質CD3ゼータ鎖を指す。
用語「キメラ抗原受容体」または「キメラ受容体」または「CAR」は、スペーサー配列によって(例えばCD3zおよびCD28)の細胞内シグナル伝達ドメインに融合された抗原結合部分(例えばscFvまたはFab)の細胞外部分から構成される、抗原結合受容体を指す。
抗体または免疫グロブリンの「クラス」は、その重鎖が有する定常ドメインまたは定常領域の種類を指す。抗体の5つの主要なクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG、IgG、IgG、IgG、IGA、およびIgAに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、μと呼ばれる。
「クロスオーバーFab分子」(「crossFab」または「クロスオーバーFab断片」とも称される)は、Fab重鎖および軽鎖の可変領域または定常領域のいずれかが交換されているFab分子を意味し、すなわちcrossFab断片は、軽鎖可変領域と重鎖定常領域とからなるペプチド鎖および重鎖可変領域と軽鎖定常領域とからなるペプチド鎖を含む。明確性のために、Fab軽鎖とFab重鎖の可変領域が交換されているcrossFab断片における、重鎖定常領域を含むペプチド鎖を、本明細書ではクロスオーバーFab分子の重鎖と呼ぶ。逆に、Fab軽鎖とFab重鎖の定常領域が交換されているcrossFab断片における、重鎖可変領域を含むペプチド鎖を、本明細書ではcrossFab断片の重鎖と呼ぶ。したがって、crossFab断片は、重鎖可変領域および軽鎖定常領域(VH-CL)から構成される重鎖または軽鎖、ならびに軽鎖可変領域および重鎖定常領域(VL-CH1)から構成される重鎖または軽鎖を含む。これに対して、「Fab」または「従来のFab分子」とは、その天然フォーマットのFab分子、すなわち重鎖可変領域と定常領域(VH-CH1)からなる重鎖、および軽鎖可変領域と定常領域(VL-CL)からなる軽鎖を含むFab分子を意味する。
本明細書で使用される用語「CSD」は、補助刺激シグナル伝達ドメインを指す。
用語「エフェクター機能」は、抗体のアイソタイプによって異なる、抗体のFc領域に起因する生物活性を指す。抗体エフェクター機能の例には、C1q結合および補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、サイトカイン分泌、抗原提示細胞による免疫複合体媒介抗原取り込み、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御;ならびにB細胞の活性化が含まれる。
本明細書において使用される「操作する」、「操作された」、「操作」という用語は、ペプチド骨格のいかなる操作、または天然に存在するポリペプチドもしくは組換えポリペプチドもしくはその断片の翻訳後修飾を含むと考えられる。操作には、アミノ酸配列の、グリコシル化パターンの、または個々のアミノ酸の側鎖基の修飾およびこれらの手法の組み合わせが含まれる。
用語「発現カセット」とは、標的細胞内の特定の核酸の転写を可能にする一連の特定の核酸エレメントを用いて、組換えでまたは人工的に生成されたポリヌクレオチドを指す。組換え発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルスまたは核酸断片に組み込むことができる。発現ベクターの組換え発現カセット部分には、数ある配列の中でも特に、転写される核酸配列およびプロモーターが典型的に含まれる。
「Fab分子」は、抗原結合分子の重鎖(「Fab重鎖」)のVHおよびCH1ドメインと軽鎖(「Fab軽鎖」)のVLおよびCLドメインとからなるタンパク質を指す。
本明細書の用語「Fcドメイン」または「Fc領域」は、定常領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を表すのに使用される。この用語は、天然配列Fc領域および変異体Fc領域を含む。IgG重鎖のFc領域の境界はわずかに変動するが、ヒトIgG重鎖のFc領域は通常、重鎖のCys226からまたはPro230から、カルボキシル末端までと定義される。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在してもしてなくてもよい。本明細書中に別途指定のない限り、Fc領域または定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed. Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載されるように、EUインデックスとも呼ばれる「EU番号付けシステム」による。本明細書で使用されるFcドメインの「サブユニット」は、二量体Fcドメインを形成する2つのポリペプチドのうちの1つ、すなわち安定した自己会合が可能な、免疫グロブリン重鎖のC末端定常領域を含むポリペプチドを指す。例えば、IgGFcドメインのサブユニットは、IgG CH2およびIgG CH3定常ドメインを含む。
「フレームワーク」または「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは一般に、FR1、FR2、FR3、FR4の4つのFRドメインからなる。したがって、HVR配列およびFR配列は一般に、VH(またはVL)の配列:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4に現れる。
用語「完全長抗体」は、2つの「完全長抗体重鎖」および2つの「完全長抗体軽鎖」からなる抗体を意味する。「完全長抗体重鎖」は、N末端からC末端方向に、抗体重鎖可変ドメイン(VH)、抗体定常重鎖ドメイン1(CH1)、抗体ヒンジ領域(HR)、抗体重鎖定常ドメイン2(CH2)および抗体重鎖定常ドメイン3(CH3)(略してVH-CH1-HR-CH2-CH3と称される);(サブクラスIgEの抗体の場合には)ならびに抗体重鎖定常ドメイン4(CH4)で構成されるポリペプチドである。好ましくは、「完全長抗体重鎖」は、N末端からC末端方向にVH、CH1、HR、CH2およびCH3で構成されるポリペプチドである。「完全長抗体軽鎖」は、N末端からC末端方向に抗体軽鎖可変ドメイン(VL)および抗体軽鎖定常ドメイン(CL)(略してVL-CL)で構成されるポリペプチドである。抗体軽鎖定常ドメイン(CL)はκ(カッパ)またはλ(ラムダ)であってもよい。2つの完全長抗体鎖は、CLドメインとCH1ドメインとの間、および完全長抗体重鎖のヒンジ領域間のポリペプチド間ジスルフィド結合を介して結合されている。典型的な完全長抗体の例は、IgG(例えばIgG1およびIgG2)、IgM、IgA、IgD、およびIgEのような天然抗体である。本発明により使用される完全長抗体は、単一種、例えばヒト由来であり得るか、またはそれらはキメラ化もしくはヒト化抗体であってもよい。いくつかの実施態様において、本発明に従って使用される完全長抗体は、両方とも同じ抗原に特異的に結合するVHとVLの対によってそれぞれ形成される2つの抗原結合部位を含む。さらなる態様において、本発明に従って使用される完全長抗体は、各々がVHとVLの対によって形成される2つの抗原結合部位を含み、ここで、2つの抗原結合部位は異なる抗原に結合し、例えば、この場合抗体は二重特異性である。上記完全長抗体の重鎖または軽鎖のC末端は、上記重鎖または軽鎖のC末端の最後のアミノ酸を指す。
「融合した」とは、構成要素同士(例えばFabと膜貫通ドメイン)が、ペプチド結合により、直接、または1以上のペプチドリンカーを介し、結合されていることを意味する。
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」および「宿主細胞培養物」は互換的に使用され、外因性の核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞には、「形質転換体」および「形質転換細胞」が含まれ、これらには、初代形質転換細胞と、継代の数に関係なく、それに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸含量が親細胞と完全に同じでなくてもよく、変異を伴っていてもよい。本明細書には、最初に形質転換された細胞でスクリーニングまたは選択されたものと同じ機能または生物活性を有する変異子孫が含まれる。宿主細胞は、本発明に従って使用される抗体を生成するのに使用できる任意の種類の細胞系である。宿主細胞には、いくつか例を挙げると、培養細胞、例えば、CHO細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6細胞またはハイブリドーマ細胞のような哺乳動物の培養細胞;酵母細胞、昆虫細胞、および植物細胞を含み、さらには、トランスジェニック動物、トランスジェニック植物または培養植物もしくは動物の組織の内部に含まれる細胞が含まれる。
本明細書で使用される用語「超可変領域」または「HVR」は、配列が超可変であり、かつ/または構造的に定義されるループ(「超可変ループ」)を形成する抗体可変ドメインの各領域を指す。一般に、天然の4鎖抗体は、VHに3つ(H1、H2、H3)およびVLに3つ(L1、L2、L3)、計6つのHVRを含む。HVRは、超可変ループ由来および/または相補性決定領域(CDR)由来のアミノ酸残基を通常含み、最も高い配列可変性を有し、かつ/または抗原認識に関与している。VHのCDR1を除いて、CDRは一般に超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。超可変領域(HVR)は、「相補性決定領域」(CDR)とも呼ばれ、これらの用語は、抗原結合領域を形成する可変領域の部分に関して本明細書では交換可能に使用される。この特定の領域は、Kabatら,U.S.Dept.of Health and Human Services,Sequences of Proteins of Immunological Interest(1983)and by Chothia et al.,J Mol Biol 196:901-917(1987)に記載されており、そこでの定義には、アミノ酸残基を互いに比較した場合のアミノ酸残基の重複またはサブセットが含まれる。とは言え、抗体および/または抗原結合受容体またはそれらのバリアントのCDRを指すためのいずれかの定義の適用は、本明細書で定義され使用される用語の範囲内にあることが意図されている。上記引用文献の各々により定義されるCDRを包含する適切なアミノ酸残基を、比較のために以下の表Aに示す。特定のCDRを包含する正確な残基数は、CDRの配列および大きさに応じて変化するであろう。当業者であれば、抗体の可変領域アミノ酸配列があれば、どの残基が特定のCDRを含むかを慣用的に決定することができる。
表1:CDRの定義
Figure 0007394067000001
表1のCDR定義の番号付けは全て、Kabatらが定めた番号付け規則に従っている(下記参照)。
表1で使用されている、「b」が小文字の「AbM」は、Oxford Molecularの「AbM」抗体モデリングソフトウエアによって定義されているCDRを指す。
Kabatらは、あらゆる抗体に適用可能な可変領域配列の番号付けシステムも定義した。当業者であれば、配列そのもの以外の実験データに頼らなくとも、このKabat番号付けのシステムを任意の可変領域配列に明確に割り当てることができる。「Kabat番号付け」は、本明細書で使用される場合、Kabatら,U.S.Dept.of Health and Human Services,「Sequence of Proteins of Immunological Interest」(1983)によって定められた番号付けシステムを指す。特に断らない限り、抗原結合部分の可変領域内の特定のアミノ酸残基位置への言及は、Kabat番号付けシステムによる。配列表のポリペプチド配列は、Kabat番号付けシステムに従って番号付けされていない。しかしながら、配列表の配列の番号をKabat番号付けに変換することは、当業者の通常の技術の範囲内である。
「個体」または「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物には、限定されないが、家畜動物(例えばウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウマ)、霊長類(例えばヒト、およびサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、およびげっ歯類(例えばマウスおよびラット)が含まれる。特に、個体または対象はヒトである。
「単離された」核酸分子またはポリヌクレオチドとは、その天然環境から取り出された核酸分子、DNAまたはRNAを意図する。例えば、ベクターに含有されるポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドは、本発明においては単離されたとみなされる。単離されたポリヌクレオチドのさらなる例には、異種宿主細胞内に維持される組換えポリヌクレオチド、または溶液中の(部分的にまたは実質的に)精製されたポリヌクレオチドが含まれる。単離されたポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド分子を通常含む細胞に含まれるポリヌクレオチド分子を含むが、そのポリヌクレオチド分子は、染色体外か、またはその天然の染色体上の位置とは異なる染色***置に存在している。単離されたRNA分子は、本発明のRNA転写物、ならびにプラスおよびマイナス鎖型および二本鎖型をin vivoまたはin vitroで含む。さらに、本発明による単離されたポリヌクレオチドまたは核酸には、人工的に生成された当該分子も含まれる。また、ポリヌクレオチドまたは核酸は、プロモーター、リボソーム結合部位または転写ターミネーターといった調節エレメントを含んでも含まなくてもよい。
本発明の参照ヌクレオチド配列と、例えば、少なくとも95%「同一」であるヌクレオチド配列を有する核酸またはポリヌクレオチドとは、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、参照ヌクレオチド配列の各100ヌクレオチドにつき5つまでの点変異を含み得ること以外は、参照配列と同一であることを意味する。換言すれば、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、参照配列中最大5%のヌクレオチドが欠失しているかまたは別のヌクレオチドで置換されていてもよく、あるいは参照配列中の全ヌクレオチドの最大5%の数のヌクレオチドが参照配列に挿入されてよい。参照配列のこのような変更は、参照ヌクレオチド配列の5’もしくは3’末端位置で、またはこれら末端位置の間のどの位置で起こってもよく、参照配列中の残基の間に個々に散在してもよいし、あるいは参照配列内に1つもしくは複数の連続した群として散在してもよい。実際問題として、特定のポリヌクレオチド配列が本発明のヌクレオチド配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるかどうかは、ポリペプチドについて後述するもの(例えばALIGN-2)などの既知のコンピュータープログラムを用いて慣例的に判定することができる。
「単離されたポリペプチド」またはその変異体もしくは誘導体は、その自然の環境にないポリペプチドであることが意図される。特定の精製度が求められるわけではない。例えば、単離されたポリペプチドは、その天然または自然の環境から除去することができる。宿主細胞に発現される組換え生産ポリペプチドおよびタンパク質は、任意の適切な技術によって分離、分画または部分的もしくは実質的に精製された天然または組換えポリペプチドと同様に、本発明において単離されたものとみなされる。
参照ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列を整列させ、最大の配列同一性パーセントを得るために適宜ギャップを挿入した後、いかなる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした場合の、参照ポリペプチドのアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の割合と定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアライメントは、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような一般に入手可能なコンピューターソフトウェアを使用して、当業者の技量の範囲内にある様々な方法で達成することができる。当業者であれば、比較する配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含めた、配列を整列させるための適切なパラメーターを決定することができる。ただし、本明細書において、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータープログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータープログラムはジェネンテック社によって作成されたもので、そのソースコードは、ユーザー文書と共に米国著作権庁(ワシントンD.C.,20559)に提出されており、ここで米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、ジェネンテック社(カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)から一般に入手可能であり、またはソースコードからコンパイルすることができる。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIXのV4.0Dを含めたUNIXオペレーティングシステムでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメーターは、ALIGN-2プログラムによって設定され、変動しない。アミノ酸配列比較にALIGN-2が用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bとの(またはこれに対する)アミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Aは、所与のアミノ酸配列Bと(またはこれに対して)特定のアミノ酸配列同一性%を有するかまたは含む所与のアミノ酸配列A、ということもできる)は次のように計算される:分数X/Yの100倍(ここで、Xは、配列アライメントプログラムALIGN-2によってAとBのそのプログラムのアライメントにおいて一致(identical match)としてスコア化されたアミノ酸残基の数であり、YはBにおけるアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対するアミノ酸配列同一性%は、BのAに対するアミノ酸配列同一性%とは異なることは理解されるであろう。特に断らない限り、本明細書で使用される全てのアミノ酸配列同一性%値は、ALIGN-2コンピュータープログラムを使用して、直前の段落で説明したように得られる。
用語「核酸分子」は、ポリヌクレオチドによって構成されるプリン塩基およびピリミジン塩基を含む塩基の配列に関連し、ここで、該塩基は核酸分子の一次構造を表す。ここで、核酸分子という用語は、DNA、cDNA、ゲノムDNA、RNA、DNAの合成形態およびこれらの分子の2つ以上を含む混合ポリマーを含む。さらに、核酸分子という用語は、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方を含む。さらに、本明細書に記載の核酸分子は、当業者が容易に認識するように、非天然または誘導体化ヌクレオチド塩基を含むことができる。
本明細書中で使用される「NFAT」は、「活性化T細胞の核内因子」を指し、ほとんどの免疫細胞で発現される転写因子のファミリーである。NFATファミリーの転写因子の活性化は、カルシウムシグナル伝達に依存している。一例として、T細胞シナプスを介するT細胞活性化は、カルシウム流入をもたらす。細胞内カルシウムレベルが上昇すると、カルシウム感受性ホスファターゼであるカルシニューリンが活性化され、NFATタンパク質のアミノ末端のセリンリッチ領域(SRR)とSPリピートを速やかに脱リン酸化する。その結果、核局在化シグナルが露出する立体構造変化が生じ、NFATの核内移行と標的遺伝子の活性化が促進される。
本明細書中で使用される「NFAT経路」とは、転写因子のNFATファミリーのメンバーの活性の調節につながる刺激を指す。NFAT DNAエレメントは、当技術分野で既知であり、本明細書では「NFAT経路の応答エレメント」とも呼ばれる。したがって、「NFAT経路の受容体」とは、NFATの活性の調節を引き起こすことができる受容体を指す。「NFAT経路の受容体」の例は、例えばT細胞受容体およびB細胞受容体である。
本明細書中で使用される「NF-κB」は、「活性化B細胞の核因子カッパ軽鎖エンハンサー」を指し、アポトーシス、ウイルス複製、腫瘍形成、様々な自己免疫疾患および炎症反応のメディエーターをコードする多くの遺伝子の調節に関与する転写因子である。NFκBは、ほとんど全ての真核細胞に存在する。一般には、阻害性カッパB(IκB)タンパク質と複合体を形成することから、不活性な状態で細胞質ゾルに位置している。リガンドが膜内在受容体(「NF-κB経路の受容体」とも呼ばれる)に結合することにより、IκBキナーゼ(IKK)が活性化される。IKKは2つのキナーゼと1つの調節サブユニットからなる酵素複合体である。この複合体は、IκBタンパク質をリン酸化し、それがユビキチン化を導き、したがってプロテアソームによるこれらのタンパク質の分解を導く。最後に、遊離NFκBは、活性状態にあり、核に移行し、κB DNAエレメントに結合し、標的遺伝子の転写を誘導する。
本明細書で使用されるように、「NF-κB経路」とは、NF-κBの活性の調節につながる刺激を意味する。例えば、Toll様受容体シグナル伝達、TNF受容体シグナル伝達、T細胞受容体およびB細胞受容体シグナル伝達の活性化は、リガンドまたは抗体のいずれかの結合を介して、NF-κBの活性化をもたらす。その後、リン酸化されたNF-κB二量体はκB DNAエレメントに結合し、標的遺伝子の転写を誘導する。κB DNAエレメントは、当技術分野で既知であり、本明細書では「NF-κB経路の応答エレメント」とも呼ばれる。したがって、「NF-κB経路の受容体」とは、NF-κBの活性の調節を引き起こすことができる受容体を指す。「NF-κB経路の受容体」の例は、Toll様受容体、TNF受容体、T細胞受容体およびB細胞受容体である。
本明細書中で使用される「AP-1」は、「アクチベータータンパク質1」を指し、分化、増殖およびアポトーシスを含む複数の細胞過程に関与する転写因子である。AP-1機能は、AP-1二量体に寄与する特異的なFosおよびJunサブユニットに依存する。AP-1は、回文構造のDNAモチーフ(5’-TGA G/C TCA-3’)に結合して、遺伝子発現を調節する。
用語「薬学的組成物」とは、中に含まれる活性成分の生物活性が有効になるような形態の調製物であり、かつ、製剤が投与される対象にとって許容できないほど毒性である追加の成分を含まない調製物を指す。薬学的組成物は、通常、1種以上の薬学的に許容される担体を含む。
「薬学的に許容される担体」は、薬学的組成物中の有効成分以外の成分で、対象に対して非毒性である成分を指す。薬学的に許容される担体には、限定されないが、バッファー、賦形剤、安定剤または保存剤が含まれる。
本明細書において使用される用語「ポリペプチド」は、アミノ結合(ペプチド結合としても知られる)により直鎖状に結合したモノマー(アミノ酸)からなる分子を指す。ポリペプチドという用語は、2つ以上のアミノ酸の任意の鎖を指し、特異的な長さの生成物を指すのではない。したがって、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、タンパク質、アミノ酸鎖、または2つ以上のアミノ酸の鎖を指す他のいかなる用語もポリペプチドの定義の範囲内に含まれ、用語ポリペプチドは、これらのいずれの用語の代わりに、またはそれらと互換的に使用することができる。用語ポリペプチドはまた、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質切断、または非天然に発生するアミノ酸による修飾を含むがこれらに限定されないポリペプチドの発現後修飾の産物を指すことが意図されている。ポリペプチドは、天然の生物学的供給源から得られるか、または組換え技術により生成されるが、必ずしも指定の核酸配列から翻訳されるものではない。ポリペプチドは、化学合成を含むあらゆる方法で生成されてよい。本発明のポリペプチドは、約3以上、5以上、10以上、20以上、25以上、50以上、75以上、100以上、200以上、500以上、1000以上、または2000以上の大きさのアミノ酸からなってよい。ポリペプチドは、定義された三次元構造を有することができるが、必ずしもそのような構造を有するとは限らない。定義された三次元構造を有するポリペプチドは、折り畳まれているといい、定義された三次元構造を持たないが、多数の異なる立体構造をとることができるポリペプチドは折り畳まれていないという。
用語「ポリヌクレオチド」は、単離された核酸分子またはコンストラクト、例えばメッセンジャーRNA(mRNA)、ウイルス由来のRNA、またはプラスミドDNA(pDNA)を指す。ポリヌクレオチドは、一般的なホスホジエステル結合または非一般的結合(例えばペプチド核酸(PNA)に見られるようなアミド結合)を含み得る。核酸分子という用語は、ポリヌクレオチド中に存在する、任意の1または複数の核酸セグメント、例えばDNAまたはRNA断片を指す。
用語「内因性蛍光を有するタンパク質」とは、タンパク質内の内部アミノ酸の環化および酸化によって、または蛍光補因子の酵素的付加を介して、高度に蛍光性で内因性発色団を形成することができるタンパク質を指す。用語「内因性蛍光を有するタンパク質」には、野生型の蛍光タンパク質および変化したスペクトルまたは物理的性質を示す変異体が含まれる。この用語には、タンパク質内の非修飾チロシン、トリプトファン、ヒスチジンおよびフェニルアラニン基の蛍光寄与のみによって弱い蛍光を示すタンパク質は含まれない。内因性蛍光を有するタンパク質、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、青色蛍光タンパク質(BFP、Heimら 1994,1996)変異体、CFPとしても知られるシアン蛍光変異体(Heimら 1996;Tsien 1998);YFPとしても知られる黄色蛍光変異体(Ormoら 1996;Wachterら 1998);サファイアとして知られている紫色興奮性緑色蛍光変異体(Tsien 1998;Zapata-Hommerら 2003);および高感度緑色蛍光タンパク質またはEGFPとして知られているシアン興奮性緑色蛍光変異体(Yangら 1996)は、当技術分野で既知であり、例えば生細胞画像化(例、Incucyte)または蛍光分光測光法によって測定することができる。
「結合の低減」、例えばSPRによって測定される、それぞれの相互作用に対する親和性の低下を指す。明確性のために、この用語には、親和性をゼロに(または分析方法の検出限界未満に)下げること、つまり相互作用の完全な消失が含まれる。逆に、「結合の増大」は、それぞれの相互作用に対する結合親和性の上昇を指す。
用語「調節エレメント」とは、ライゲーションされるコード配列の発現に影響を及ぼすために必要なDNA配列を指す。このような制御配列の性質は、生物によって異なる。原核生物では、制御配列には、一般にプロモーター、リボソーム結合部位、およびターミネーターが含まれる。真核生物では一般に、制御配列には、プロモーター、ターミネーター、およびいくつかの例ではエンハンサー、トランスアクチベーターまたは転写因子が含まれる。用語「制御配列」は、少なくとも、その存在が発現に必要である全ての構成要素を含むことが意図されており、また、付加的な有利な構成要素を含むこともできる。
本明細書中で使用される「レポーター遺伝子」は、その発現がアッセイされ得る遺伝子を意味する。1つの好ましい実施態様において、「レポーター遺伝子」は、その産生および検出が、試験される抗体またはリガンドの活性を間接的に検出するための代理として使用されるタンパク質をコードする遺伝子である。レポータータンパク質は、レポーター遺伝子によってコードされるタンパク質である。好ましくは、レポーター遺伝子は、レポーター遺伝子の発現を最小限の試料調製を必要とする簡単かつ迅速なアッセイで検出できるように、触媒活性が簡単なアッセイ法によって検出できる酵素、または内因性蛍光もしくは発光などの性質を有するタンパク質をコードする。触媒活性が検出され得る酵素の非限定的な例は、ルシフェラーゼ、ベータガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼである。ルシフェラーゼは、分子量(MW)61kDaの単量体酵素である。それは、触媒物質として作用し、アデノシン三リン酸(ATP)およびMg2+の存在下でD-ルシフェリンをルシフェリルアデニル酸に変換することができる。また、副産物としてピロリン酸(PPi)およびアデノシン一リン酸(AMP)が生成される。その後、中間体のルシフェリルアデニル酸は、酸化されてオキシルシフェリン、二酸化炭素(CO)および光になる。オキシルシフェリンは、反応から放出される光によってルミノメーターで定量的に測定できる生物発光産物である。ルシフェラーゼレポーターアッセイは、市販されており、当技術分野で既知であり、例えばルシフェラーゼ1000アッセイシステムおよびONE-GloTMルシフェラーゼアッセイシステムがある。
「応答エレメント」とは、特定の転写因子結合エレメント、または特定の転写因子の結合時に活性化またはサイレンシングされ得るシス作用性エレメントを指す。一実施態様において、応答エレメントは、転写因子結合時にレポーター遺伝子の発現を促進する、最小限プロモーター(例えばTATAボックスプロモーター)の上流に位置するシス作用性エンハンサーエレメントである。
本明細書において使用される用語「単鎖」は、ペプチド結合により直鎖状に結合したアミノ酸モノマーを含む分子を指す。特定の実施態様において、抗原結合部分の1つは、scFv断片、すなわちペプチドリンカーによって接続されたVHドメインおよびVLドメインである。特定の実施態様では、抗原結合部分の1つは、単鎖Fab分子、すなわちFab軽鎖とFab重鎖がペプチドリンカーにより接続されて一本のペプチド鎖を形成しているFab分子である。このような特定の実施態様では、単鎖Fab分子においてFab軽鎖のC末端がFab重鎖のN末端に接続している。
本明細書で使用される用語「SSD」は、刺激シグナル伝達ドメインを指す。
本明細書で用いられる場合、「治療」(および「治療する」または「治療すること(treating)」などの文法的変形)は、治療されている個体の疾患の自然経過を変えようと試みる臨床的介入を指し、予防のために、または臨床病理の過程の中で実施され得る。治療の望ましい作用には、限定されないが、疾患の発生または再発の防止、症状の緩和、疾患の直接的または間接的病理学的帰結の縮小、転移の防止、疾患進行の減速、病態の改善もしくは緩和、および寛解または予後の改善が含まれる。
本発明の文脈において、「タグ」という用語は、タンパク質、特に抗原結合分子のような生体分子に付着または生着した分子を指す。タグの機能は、「タグ付き」タンパク質(例えば免疫グロブリンまたはその断片)を、タグに結合することはできるがタグのないタンパク質には結合することができない特異的抗原結合部分が認識することができるように、標識することである。この用語は、「分子タグ」と同義であり、蛍光タグ、タンパク質タグ、アフィニティータグ、可溶化タグ、クロマトグラフィータグ、エピトープタグ、および小分子タグ(ハプテンタグなど)を包含するが、これらに限定されない。低分子タグ、例えばハプテンは、生体分子に共有結合または非共有結合で化学的に結合することができるが、一方、「タンパク質タグ」または「ポリペプチドタグ」は、タンパク質上に遺伝的に移植することができ、タグに結合することはできるがタグのないタンパク質には結合することができない特異的抗原結合部分がその後認識することが可能なペプチド配列である。ハプテンタグは、担体タンパク質に付着すると免疫応答を誘発することができ、したがって、タンパク質などの担体上のタグを認識することが可能な特異的な抗原結合部分を生成するのに適している。本発明の好ましい実施態様では、タグはハプテンタグまたはポリペプチドタグである。
本明細書で使用される用語「抗原決定基」は、「標的抗原」、「標的エピトープ」および「標的細胞抗原」と同義であり、抗体が結合し、抗原結合部分-抗原複合体を形成するポリペプチド巨大分子上の部位(例えば、アミノ酸の連続ストレッチまたは非連続アミノ酸の様々な領域から形成される立体構造上の構成(conformational configuration))を指す。有用な抗原決定基は、例えば、腫瘍細胞(例、「腫瘍標的抗原」)の表面上に、ウイルス-感染細胞の表面上に、その他の疾患細胞の表面上に、免疫細胞の表面上に、血清中に遊離して、および/または細胞外マトリックス(ECM)中に、見出すことができる。特に断らない限り、本明細書において抗原と呼ばれるタンパク質(例えばCD20、CD38、CD138、CEA、EGFR、FolR1、HER2、LeY、MCSP、STEAP1、TYRP1およびWT1)は、霊長類(例えばヒト)およびげっ歯類(例えばマウスおよびラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来のタンパク質の任意の天然型を指す。特定の実施態様では、標的抗原は、ヒトタンパク質である。本明細書において特定の標的タンパク質に言及する場合、その用語は、「完全長」、未処理の標的タンパク質だけではなく、標的細胞内でのプロセシングから生じる標的タンパク質の任意の型を包含する。この用語はまた、標的タンパク質の天然に存在する変異体、例えばスプライスバリアントまたは対立遺伝子変異体を包含する。抗原として有用な例示的なヒト標的タンパク質には、CD20、CD38、CD138、CEA、EGFR、FolR1、HER2、LeY、MCSP、STEAP1、TYRP1およびWT1が含まれるが、これらに限定されない。
抗体は、1つ、2つ、3つ以上の結合ドメインを有していてもよく、単一特異性、二重特異性または多重特異性であってもよい。抗体は、単一種からの完全長であってもよく、またはキメラ化もしくはヒト化されていてもよい。3つ以上の抗原結合ドメインを有する抗体の場合、いくつかの結合ドメインが同一であり、かつ/または同じ特異性を有し得る。
本明細書で使用する「T細胞活性化」とは、増殖、分化、サイトカイン分泌、細胞傷害性エフェクター分子放出、細胞傷害活性および活性化マーカーの発現から選択される、Tリンパ球、特に細胞傷害性Tリンパ球の1または複数の細胞応答を指す。T細胞活性化を測定するための適切なアッセイは、当技術分野で既知であり、本明細書に記載される。
本発明によれば、用語「T細胞受容体」または「TCR」は、当技術分野で一般的に知られている。特に、本明細書において、用語「T細胞受容体」は、以下の3つの基準が満たされることを条件として、任意のT細胞受容体を意味する:(i)腫瘍特異性、(ii)(大部分の)腫瘍細胞の認識、すなわち、抗原または標的が(大部分の)腫瘍細胞において発現されるはずであること、および(iii)TCRが治療対象のHLA型と一致することを意味する。この文脈において、上記の3つの基準を満たす適切なT細胞受容体は、NY-ESO-1を認識する受容体(配列情報については、例えばPCT/イギリス特許出願第2005/001924号参照)および/またはHER2neu(配列情報については、国際公開第2011/0280894号参照)など、当技術分野において既知である。主要組織適合複合体(MHC)クラスI分子は、内因性抗原からCD8+細胞傷害性T細胞にペプチドを提示し、したがって、MHC‐ペプチド複合体は、免疫療法アプローチに適した標的である。MHC-ペプチド複合体は、組換えT細胞受容体(TCR)によって標的化することができる。しかし、ほとんどのTCRは免疫療法には低すぎる親和性を持っている可能性があるが、TCR特異性を有する高親和性結合部分は有益であろう。このため、TCR様特異性を有する高親和性可溶性抗体分子は、例えば、ファージディスプレイライブラリー(例、コンビナトリアルライブラリー)を作製し、本明細書で詳述されるようなライブラリーをスクリーニングすることによって生成され得る。本明細書中に記載されるようなTCR様特異性を有するこれらの可溶性抗原結合部分、例えばscFvまたはFabは、「T細胞受容体様抗原結合部分」または「TCRL抗原結合部分」と称される。
薬剤、例えば薬学的組成物の「治療的有効量」とは、所望の治療的または予防的結果を得るのに必要な用量および期間での有効な量を指す。薬剤の治療的有効量は、疾患の有害作用を、例えば排除し、低下させ、遅延させ、最小化し、または防止する。
用語「ベクター」または「発現ベクター」は、「発現コンストラクト」と同義であり、DNA分子であって、それが標的細胞内で作動可能に結合する特定の遺伝子の発現を導入し、指示するために使用されるDNA分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造物としてのベクター、および導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。本発明の発現ベクターは、発現カセットを含む。発現ベクターは、大量の安定なmRNAの転写を可能にする。発現ベクターが標的細胞内部に入ると、遺伝子によってコードされるリボ核酸分子またはタンパク質が、細胞転写および/または翻訳機構によって生成される。一実施態様では、本発明の発現ベクターは、本発明の抗原結合受容体をコードするポリヌクレオチド配列またはその断片を含む発現カセットを含む。
この文脈において、本明細書で提供されるのは、試料における細胞、特に腫瘍細胞上の標的抗原(すなわち腫瘍標的抗原)を検出するための診断方法、特にin vitro法である。好ましい実施態様では、この試料は、例えば、生検または異常細胞を検出する必要がある体液から得られる患者試料である。本発明のアッセイは、抗原結合部分、特にscFvおよび/またはFab断片を含むキメラ抗原受容体(CAR)の高い特異性と、レポーターシグナルの発光検出の感度とを組み合わせる。本明細書に記載の診断方法およびアッセイにおいて、本明細書に記載される標的抗原結合分子は、標的細胞(特にがん細胞)とレポーター細胞(特にT細胞)との間の接触を媒介する。この文脈において、本明細書に記載の方法は、抗原結合分子と抗原結合分子と特異的に相互作用可能なCARとの結合の特異性に基づいてがん細胞を検出するのに有用であり、ここでCARは、適切なレポーター細胞、好ましくはレポーターT細胞、例えばJurkat細胞に導入される。
したがって、一実施態様において提供されるのは、試料中の腫瘍細胞の存在を判定するための診断アッセイであって、以下のステップ:
a)試料を、抗原結合ドメインと認識ドメインとを含む抗原結合分子と接触させるステップであって、抗原結合ドメインが、腫瘍細胞に特異的に結合可能な標的抗原結合部分を含む、接触させるステップ;
b)試料を、キメラ抗原受容体(CAR)発現レポーターT(CAR-T)細胞と接触させるステップであって、レポーターCAR-T細胞が、
i.応答エレメントに作動可能に結合されており、認識ドメインに特異的に結合可能なCAR;
ii.応答エレメントの制御下にあるレポーター遺伝子;
を含む、接触させるステップ:および
c)レポーター遺伝子の発現を測定して腫瘍細胞の存在を確認することにより、T細胞の活性化を判定するステップ
を含む診断アッセイである。
さら提供されるのは、本明細書に記載のCAR分子の発現が可能な形質導入T細胞を提供する。形質導入されたT細胞は、応答エレメントの制御下にあるレポーター遺伝子をさらに含み、ここでCARは、本明細書に記載されるように応答エレメントと作動的に結合されている。標的抗原結合部分が標的細胞、例えば腫瘍細胞に結合し、CARが認識ドメインに結合すると、レポーターCAR-T細胞は活性化され、レポーター遺伝子が発現される。したがって、レポーター遺伝子の発現は、例えば腫瘍細胞上の標的抗原へのT細胞の相互作用によって誘導されるT細胞活性化の文脈において、標的抗原結合部分を含む抗原結合分子の(特異的)結合の指標となる。
レポーターCAR-T細胞の標的細胞への結合は、標的細胞に特異的に結合可能な抗原結合分子によって媒介され、ここで、抗原結合分子は、レポーターCAR-T細胞によって特異的に検出することができる。この文脈で詳述され、本発明の診断アッセイに使用されるのは、抗原結合分子に特異的に結合することができるCARである。一実施態様では、抗原結合分子は、抗原結合ドメインと認識ドメインを含み、ここで抗原結合ドメインは標的抗原結合部分を含み、CARは認識ドメインに特異的に結合することができる。この文脈で詳述され、本発明の診断アッセイに使用されるのは、標的抗原結合部分を含む抗原結合分子の認識ドメインに特異的に結合することができるCARである。認識ドメインは、分子タグ(例えばハプテンタグ)またはポリペプチドタグによってタグ付けされ得るタンパク質ドメインへの安定な折り畳みが可能な任意のポリペプチドドメインであり得る。あるいは、認識ドメインは、抗原結合部分によって特異的に検出される変異を含むことができる。例えばハプテンタグまたはポリペプチドタグによるタグ付けし、認識ドメインを変異させると、認識ドメインを非修飾ドメインとは異なるものにし、したがって、抗原結合部分による検出のための同定可能なエピトープを提供する。同定可能なエピトープは、標的細胞が特異的に認識される必要がある試料においては自然には生じない。
特定の実施態様において、認識ドメインは、免疫グロブリンドメインである。免疫グロブリンは、典型的には、安定な折り畳みが可能な可変および定常ドメインを含み、ここで可変ドメインは、標的抗原に対する免疫グロブリン分子の特異性を付与する。したがって、可変ドメインは、最も高度な配列変化をもつ免疫グロブリンの部分である。一方、定常ドメインは、同クラスの免疫グロブリンの中で変化が最小限の部分であり、したがって、本発明の方法のための認識ドメインとして、本発明の分脈では特に適している。しかしながら、可能な限り抗原結合分子の大きさを小さくすることも好ましい場合があり、そのような実施態様では、標的抗原に特異性を付与する免疫グロブリンの可変ドメインは認識ドメインの機能も発揮することができ、すなわち、抗原結合ドメインと認識ドメインは同一ドメインとなり得、例えば、可変ドメインは、例えばハプテンタグまたはポリペプチドタグと結合することができるか、または代替的に、ハプテンタグはFab断片の定常領域と結合することができる。一実施態様において、抗原結合部分は、Fcドメイン、特にIgG Fcドメイン、とりわけIgG1 Fcドメインを含む。一実施態様において、抗原結合分子は、修飾されたFabドメイン、特に、CARによる特異的認識のためのタグ(例えばハプテンタグまたはポリペプチドタグ)を含むFabドメインを含む。
別の実施態様において、抗原結合分子は、修飾されたFab領域、例えば変異したFc領域、またはCARによる特異的認識のためのタグ(例えばハプテンタグまたはポリペプチドタグ)を含むFc領域を含む。このような実施態様では、本発明に従って使用されるCARは、修飾されたFc領域に特異的に結合することができる。
一実施態様では、修飾されたFc領域は、変異したFcである。特定の実施態様では、変異Fcドメインは、EU番号付けによるL234、L235、I253、H310、P331、P329およびH435からなる群から選択される位置に少なくとも1つのアミノ酸変異を含み、特にアミノ酸変異がL234A、L235A、I253A、N297A、H310A、P329G、P331Gおよび/またはH435Aである。さらに、本明細書で提供されるのは、変異Fcドメインに特異的に結合することはできるが非変異親Fcドメインには特異的に結合することができない抗原結合部分の使用である。抗原結合分子は、好ましくは、IgGクラス抗体、特にIgG1もしくはIgG4アイソタイプ抗体またはその断片である。ある特定の実施態様では、抗原結合分子は、IgG1 Fcドメインを含むIgG1クラス抗体である。一実施態様において、IgG1 Fcドメインは、ヒトIgG1 Fcドメインである。
したがって、一実施態様では、ヒトIgG1 Fcドメインは、変異している。一実施態様では、変異ヒトIgG1 Fcドメインは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基117、118、136、180、193、212、214および318からなる群から選択される位置にアミノ酸置換を含む。一実施態様では、変異体ヒトIgG1 Fcは、ヒトIgG1 Fcの残基(配列番号132)117にロイシンからアラニンへの、残基118にロイシンからアラニンへの、位置136にイソロイシンからアラニンへの、残基180にアスパラギンからアラニンへの、残基193にヒスチジンからアラニンへの、残基212にプロリンからグリシンへの、残基214にプロリンからグリシンへの、および/または残基318にヒスチジンからアラニンへのアミノ酸置換を含む。一実施態様では、変異体ヒトIgG1 Fcドメインは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基212の位置にアミノ酸置換を含む。一実施態様では、変異体ヒトIgG1 Fcドメインは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基212にプロリンからグリシンへのアミノ酸置換を含む。
別の実施態様では、修飾されたFcドメインは、ハプテンタグを含む。特定の実施態様では、ハプテンタグは、ビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)およびフルオレセイン(FITC)から選択される。
別の実施態様では、修飾されたFcドメインは、ポリペプチドタグを含む。一実施態様において、ポリペプチドタグは、1‐30アミノ酸、1‐25アミノ酸、1‐20アミノ酸、1‐15アミノ酸または1‐10アミノ酸の長さを有する。特定の実施態様では、ポリペプチドタグは、mycタグ、HAタグ、Aviタグ、FLAGタグ、Hisタグ、GCN4タグおよびNEタグからなる群から選択される。
本発明は、本明細書に記載のレポーターシステムおよび本明細書に記載のCAR(複数可)を導入するためのT細胞(CD8+ T細胞、CD4+ T細胞、CD3+ T細胞、γδT細胞またはナチュラルキラー(NK)T細胞、および不死化細胞株(例:Jurkat細胞)等)の形質導入および使用、ならびに、標的抗原結合部分と認識ドメイン(好ましくはFcドメインまたはFabドメイン、例えば、本明細書に記載の修飾FcドメインまたはFab断片)とを含む抗原結合分子を介するそれらの標的化動員を詳述する。一実施態様において、抗原結合分子、例えば修飾IgG1抗体またはタグ付きFab断片は、標的細胞、例えばがん細胞の表面に自然に存在する腫瘍特異的抗原に特異的に結合することができる。代替実施態様では、本明細書に記載されるCARは、標的細胞の表面、例えば腫瘍細胞の表面の標的抗原に直接結合することができる。
したがって、本発明は汎用診断プラットフォームを提供し、ここで、CARは免疫細胞(例えばT細胞)のためのガイダンスとして使用することができ、特に、T細胞が、本明細書に記載されるように、CARおよび抗原結合分子によって腫瘍細胞に特異的に標的化される。(抗原結合分子によって媒介される)腫瘍細胞の表面の標的抗原にCARを結合させた後、レポーターT細胞が活性化され、ここで、活性化を、例えば蛍光または発光シグナルの読み出しによって測定することができる。このプラットホームは、多様な既存または新たに開発された標的抗原結合部分の使用、または異なる抗原特異性を有するが同一の認識ドメインを含む複数の抗体の共投与を可能にすることによって、フレキシブルかつ特異的である。
標的抗原、例えば腫瘍抗原または認識ドメイン、例えば修飾されたFcドメインに特異的に結合することができる抗原結合部分は、例えば哺乳動物免疫系の免疫化によって生成することができる。このような方法は当技術分野で既知であり、例えば、分子生物学における方法における熱傷295:1-12(2005)に記載されている。代替的には、所望の活性を有する抗原結合部分は、所望の活性(複数可)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって単離することができる。コンビナトリアルライブラリーをスクリーニングするための方法は、例えば、Lernerら Nature Reviews 16:498-508(2016)に概説がある。例えば、ファージディスプレイライブラリーを作製して所望の結合特性を有する抗原結合部分の当該ライブラリーをスクリーニングするための様々な方法が、当技術分野で知られている。当該方法は、例えばFrenzelらmAbs 8:1177-1194(2016);Bazanら Human Vaccines and Immunotherapeutics 8:1817-1828(2012)およびZhaoら Critical Reviews in Biotechnology 36:276-289(2016)、ならびにHoogenboomら Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)に概説があり、また、例えばMcCaffertyら,Nature348:552-554;Clacksonら,Nature 352:624-628(1991);Marksら,J.Mol.Biol.222:581-597(1992)およびMarks and Bradbury Methods in Molecular Biology 248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003);Sidhuら,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004);Leeら.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004);Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004);およびLeeら,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004)に詳述されている。特定のファージディスプレイ法において、VHおよびVL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により個別にクローン化し、ファージライブラリーにランダムに再結合させ、その後、WinterらAnnual Review of Immunology 12:433-455(1994)に記載されているように、抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは通常、抗体断片を、単鎖Fv(scFv)断片またはFab断片のいずれかとして提示する。免疫源からのライブラリーは、ハイブリドーマの構築を必要とせずに、免疫原に高親和性抗原結合部分を提供する。代替的に、ナイーブレパートリーを(例えばヒトから)クローン化し、GriffithsらEMBO Journal 12:725-734(1993)に記載されているように、免疫化することなく、広範囲の非自己および自己抗原に抗原結合部分の単一の供給源を提供することができる。ナイーブライブラリーは、HoogenboomおよびWinter,Journal of Molecular Biology 227:381-388(1992)によって記載されているように、幹細胞由来の再配列されていないV遺伝子セグメントをクローン化し、ランダム配列を含むPCRプライマーを用いて可変性に富むCDR3領域をコードし、in vitroでの再配列を達成することにより、人工的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリーについて記載している特許公開には、例えば:米国特許第5750373号;同第7985840号;同第7785903号および同第8679490号、ならびに米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2007/0117126号、同第2007/0237764号および同第2007/0002360号が含まれる。コンビナトリアルライブラリーを所望の活性(複数可)を有する抗原結合部分についてスクリーニングするための当技術分野で既知の方法のさらなる例には、リボソームおよびmRNAディスプレイ、ならびに細菌、哺乳動物細胞、昆虫細胞または酵母細胞でのための方法が含まれる。酵母表面ディスプレイのための方法は、例えばSchollerら,Methods in Molecular Biology 503:135-56(2012)およびCherfら,Methods in Molecular biology 1319:155-175(2015)、ならびにZhaoら,Methods in Molecular Biology 889:73-84(2012)に総説されている。リボソームディスプレイのための方法は、例えばHeら Nucleic Acids Research 25:5132-5134(1997)およびHanesら PNAS 94:4937-4942(1997)に記載されている。
本発明の第1の例示的な実施態様では、概念実証として、少なくとも1つの抗原結合部分を含む細胞外ドメインを含むCARが提供され、ここで、該少なくとも1つの抗原結合部分は、変異免疫グロブリンドメイン(例えばFcドメインまたはFabドメイン)に特異的に結合することはできるが非変異免疫グロブリンドメインには特異的に結合することができず、該変異免疫グロブリンドメインは1つ以上のアミノ酸置換を含む。一実施態様において、変異免疫グロブリンは、Fcドメイン、特にヒトIgG1 Fcドメインである。変異Fcドメインは、非変異親Fcドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、ここでCARは、変異Fcドメインに特異的に結合することはできるが、非変異親Fcドメインには特異的に結合することができない。
特定の実施態様において、変異Fcドメインは、P329G変異を含む。P329G変異は、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基212におけるプロリンからグリシンへのアミノ酸置換に対応する。P329G変異を含む変異Fcドメインは、非変異Fcドメインに比べて親和性が低下また消失した状態でFcγ受容体に結合する。
特定の実施態様において、P329G変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号1、配列番号2および配列番号3の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号4、配列番号5および配列番号6の軽鎖CDRとを含む。
好ましい実施態様において、P329G変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なCARは、
(a)RYWMNの重鎖相補性決定領域(CDR H)1アミノ酸配列(配列番号1);
(b)EITPDSSTINYTPSLKDのCDR H2アミノ酸配列(配列番号2);
(c)PYDYGAWFASのCDR H3アミノ酸配列(配列番号3);
を含む重鎖可変領域と、
(d)RSSTGAVTTSNYANの軽鎖(CDR L)1アミノ酸配列(配列番号4);
(e)GTNKRAPのCDR L2アミノ酸配列(配列番号5);および
(f)ALWYSNHWVのCDR L3アミノ酸配列(配列番号6)
を含む軽鎖可変領域とを含む。
一実施態様では、P329G変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
一実施態様において、P329G変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
一実施態様において、該少なくとも1つの抗原結合部分は、scFv、Fab、crossFabまたはscFab断片である。一実施態様において、P329G変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なCARは、Fab断片を含む。
一実施態様において、P329G変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なCARは、Fab断片を含む。好ましい実施態様では、P329G変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号31の重鎖と配列番号33の軽鎖とを含むFab断片を含む。
一実施態様において、P329G変異を含むFcドメインに特異的に結合可能な抗原結合部位は、配列番号31のアミノ酸配列を含むかそれからなる重鎖と配列番号33のアミノ酸配列を含むかそれからなる軽鎖とを含むFab断片である。
特定の実施態様では、抗原結合部分は、P329G変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なFab断片であり、ここで抗原結合受容体は、配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖融合ポリペプチドと、配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドとを含む。
好ましい実施態様において、抗原結合部分は、P329G変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なFabであり、ここで抗原結合受容体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖融合ポリペプチドと配列番号33のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドとを含む。
一実施態様において、P329G変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なCARは、scFv断片を含む。scFv断片は、重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)およびリンカーからなるポリペプチドであり、ここで、該可変ドメインと該リンカーは、N末端からC末端方向に、a)VH-リンカー-VLまたはb)VL-リンカー-VHのいずれかの構成を有する。好ましい実施態様では、scFv断片は、VH-リンカー-VLの構成を有する。
好ましい実施態様において、P329G変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号10のアミノ酸配列を含むscFv断片を含む。
特定の実施態様において、抗原結合部分は、P329G変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なscFv断片であり、ここで抗原結合受容体は、配列番号7のアミノ酸配列と約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。好ましい実施態様において、抗原結合部分は、P329G変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なscFv断片であり、ここで抗原結合受容体は、配列番号7のアミノ酸配列(配列番号19のヌクレオチド配列によってコードされる)を含むポリペプチドを含む。
本発明によるさらなる実施態様では、細胞外ドメインに含まれる抗原結合部分は、単鎖Fab断片またはscFabである。
別の特定の実施態様では、変異Fcドメインは、I253A、H310AおよびH435A(「AAA」)変異を含む。AAA変異は、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の位置136におけるイソロイシンからアラニンへの、残基193におけるヒスチジンからアラニンへの、および残基318のヒスチジンからアラニンへのアミノ酸置換に対応する。AAA変異は、新生児Fc受容体(FcRn)への結合を減少させる。したがって、AAA変異を含む変異Fcドメインは、非変異Fcドメインに比べて親和性が低下また消失した状態でFcRnに結合する。
一実施態様において、AAA変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号44、配列番号45および配列番号46の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号47、配列番号48および配列番号49の群から選択される少なくとも1つの軽鎖CDRとを含む。
好ましい実施態様において、I253A、H310AおよびH435A変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なCARは、
(a)SYGMSの重鎖相補性決定領域(CDR H)1アミノ酸配列(配列番号44);
(b)SSGGSYのCDR H2アミノ酸配列(配列番号45);
(c)LGMITTGYAMDYのCDR H3アミノ酸配列(配列番号46)
を含む重鎖可変領域と、
(d)RSSQTIVHSTGHTYLEの軽鎖(CDR L)1アミノ酸配列(配列番号47);
(e)KVSNRFSのCDR L2アミノ酸配列(配列番号48);および
(f)FQGSHVPYTのCDR L3アミノ酸配列(配列番号49)
を含む軽鎖可変領域とを含む。
一実施態様では、I253A、H310AおよびH435A変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
一実施態様において、I253A H310AI253A変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号52のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号53のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
一実施態様において、該少なくとも1つの抗原結合部分は、scFv、Fab、crossFabまたはscFab断片である。一実施態様において、I253A、H310AおよびH435A変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なCARは、Fab断片を含む。特定の実施態様では、抗原結合受容体の細胞外ドメインは、I253A、H310AおよびH435A変異を含むFcドメインに特異的に結合可能な抗原結合部分を含み、ここでFab断片は配列番号55の重鎖と配列番号56の軽鎖とを含む。
特定の実施態様では、抗原結合部分は、AAA変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なFab断片であり、ここで抗原結合受容体は、配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖融合ポリペプチドと、配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドとを含む。
好ましい実施態様において、抗原結合部分は、AAA変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なFabであり、ここで抗原結合受容体は、配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖融合ポリペプチドと配列番号56のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドとを含む。
一実施態様において、I253A、H310AおよびH435A変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なCARは、scFv断片を含む。好ましい実施態様において、AAA変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号51のアミノ酸配列を含むscFv断片を含む。
特定の実施態様において、抗原結合部分は、AAA変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なscFv断片であり、ここで抗原結合受容体は、配列番号50のアミノ酸配列と約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。好ましい実施態様において、抗原結合部分は、AAA変異を含むFcドメインに特異的に結合可能なscFvであり、ここで抗原結合受容体は、配列番号50のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
本発明によるさらなる実施態様では、細胞外ドメインに含まれる抗原結合部分は、単鎖Fab断片またはscFabである。
本発明のさらなる例示的な実施態様では、概念実証として、少なくとも1つの抗原結合部分を含む細胞外ドメインを含むCARが提供され、ここで、該少なくとも1つの抗原結合部分は、修飾された免疫グロブリンドメイン(例えばFcドメインまたはFabドメイン)に特異的に結合することはできるが非修飾免疫グロブリンドメインには特異的に結合することができず、該修飾免疫グロブリンドメインはハプテンタグを含む。
本発明の例示的な実施態様では、概念実証として、ハプテンタグジゴキシゲニン(DIG)を含む修飾免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARが提供される。DIG分子の構造を図4に示す。
一実施態様において、ハプテンタグDIGを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号57、配列番号58および配列番号59の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号60、配列番号61および配列番号62の軽鎖CDRとを含む。
一実施態様において、ハプテンタグDIG含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、
(a)RYWMNの重鎖相補性決定領域(CDR H)1アミノ酸配列(配列番号57);
(b)EITPDSSTINYTPSLKDのCDR H2アミノ酸配列(配列番号58);
(c)PYDYGAWFASのCDR H3アミノ酸配列(配列番号59);
を含む重鎖可変領域と、
(d)RSSTGAVTTSNYANの軽鎖(CDR L)1アミノ酸配列(配列番号60);
(e)GTNKRAPのCDR L2アミノ酸配列(配列番号61);および
(f)ALWYSNHWVのCDR L3アミノ酸配列(配列番号62)
を含む軽鎖可変領域とを含む。
一実施態様では、ハプテンタグDIG含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
一実施態様において、ハプテンタグDIG含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号65のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
一実施態様において、該少なくとも1つの抗原結合部分は、scFv、Fab、crossFabまたはscFab断片である。一実施態様において、ハプテンタグDIG含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、Fab断片を含む。好ましい実施態様では、ハプテンタグDIG含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号68の重鎖と配列番号69の軽鎖とを含むFab断片を含む。
一実施態様において、ハプテンタグDIG含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)およびリンカーからなるポリペプチドであるscFv断片を含み、ここで、該可変ドメインと該リンカーは、N末端からC末端方向に、a)VH-リンカー-VLまたはb)VL-リンカー-VHのいずれかの構成を有する。好ましい実施態様では、scFv断片は、VH-リンカー-VLの構成を有する。
好ましい実施態様において、ハプテンタグDIG含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号66のアミノ酸配列を含むscFv断片を含む。
本発明の別の例示的な実施態様では、概念実証として、ハプテンタグフルオレセインイソチオシアネート(FITC)を含む修飾免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARが提供される。
一実施態様において、ハプテンタグFITCを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号72、配列番号73および配列番号74の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号75、配列番号76および配列番号77の軽鎖CDRとを含む。
一実施態様において、ハプテンタグFITCを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、
(a)RYWMNの重鎖相補性決定領域(CDR H)1アミノ酸配列(配列番号72);
(b)EITPDSSTINYTPSLKDのCDR H2アミノ酸配列(配列番号73);
(c)PYDYGAWFASのCDR H3アミノ酸配列(配列番号74);
を含む重鎖可変領域と、
(d)RSSTGAVTTSNYANの軽鎖(CDR L)1アミノ酸配列(配列番号75);
(e)GTNKRAPのCDR L2アミノ酸配列(配列番号76);および
(f)ALWYSNHWVのCDR L3アミノ酸配列(配列番号77)
を含む軽鎖可変領域とを含む。
一実施態様では、ハプテンタグFITCを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号80のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号81のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
一実施態様において、ハプテンタグFITCを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号80のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号81のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
一実施態様において、該少なくとも1つの抗原結合部分は、scFv、Fab、crossFabまたはscFab断片である。
一実施態様において、ハプテンタグFITCを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)およびリンカーからなるポリペプチドであるscFv断片を含み、ここで、該可変ドメインと該リンカーは、N末端からC末端方向に、a)VH-リンカー-VLまたはb)VL-リンカー-VHのいずれかの構成を有する。好ましい実施態様では、scFv断片は、VH-リンカー-VLの構成を有する。
好ましい実施態様において、ハプテンタグFITCを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号78のアミノ酸配列を含むscFv断片を含む。
本発明のさらなる例示的な実施態様では、概念実証として、少なくとも1つの抗原結合部分を含む細胞外ドメインを含むCARが提供され、ここで、該少なくとも1つの抗原結合部分は、修飾された免疫グロブリンドメイン(例えばFcドメインまたはFabドメイン)に特異的に結合することはできるが非修飾免疫グロブリンドメインには特異的に結合することができず、該修飾免疫グロブリンドメインはポリペプチドタグを含む。
本発明のある例示的な実施態様では、概念実証として、インフルエンザヘマグルチニン(HA)糖タンパク質からのポリペプチドタグを含む修飾免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARが提供される。一実施態様では、HAタンパク質からのポリペプチドタグは、YPYDVPDYAのアミノ酸配列(配列番号103)を含む。
一実施態様において、HAタグを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号82、配列番号83および配列番号84の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号85、配列番号86および配列番号87の軽鎖CDRとを含む。
ある好ましい実施態様において、HAタグを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、
(a)RYWMNの重鎖相補性決定領域(CDR H)1アミノ酸配列(配列番号82);
(b)EITPDSSTINYTPSLKDのCDR H2アミノ酸配列(配列番号83);
(c)PYDYGAWFASのCDR H3アミノ酸配列(配列番号84);
を含む重鎖可変領域と、
(d)RSSTGAVTTSNYANの軽鎖(CDR L)1アミノ酸配列(配列番号85);
(e)GTNKRAPのCDR L2アミノ酸配列(配列番号86);および
(f)ALWYSNHWVのCDR L3アミノ酸配列(配列番号87)
を含む軽鎖可変領域とを含む。
一実施態様では、HAタグを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号90のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号91のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
一実施態様において、HAタグを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
一実施態様において、該少なくとも1つの抗原結合部分は、scFv、Fab、crossFabまたはscFab断片である。一実施態様において、HAタグを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、Fab断片を含む。
一実施態様において、HAタグを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)およびリンカーからなるポリペプチドであるscFv断片を含み、ここで、該可変ドメインと該リンカーは、N末端からC末端方向に、a)VH-リンカー-VLまたはb)VL-リンカー-VHのいずれかの構成を有する。好ましい実施態様では、scFv断片は、VH-リンカー-VLの構成を有する。
好ましい実施態様において、HAタグを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号89のアミノ酸配列を含むscFv断片を含む。
本発明の別の例示的な実施態様では、概念実証として、ヒトc-mycタンパク質からのポリペプチドタグを含む修飾免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARが提供される。一実施態様では、ヒトc-mycタンパク質からのポリペプチドタグは、EQKLISEEDLのアミノ酸配列(配列番号104)を含む。
一実施態様において、mycタグを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号92、配列番号93および配列番号94の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号95、配列番号96および配列番号97の軽鎖CDRとを含む。
ある好ましい実施態様において、mycタグを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、
(a)RYWMNの重鎖相補性決定領域(CDR H)1アミノ酸配列(配列番号92);
(b)EITPDSSTINYTPSLKDのCDR H2アミノ酸配列(配列番号93);
(c)PYDYGAWFASのCDR H3アミノ酸配列(配列番号94);
を含む重鎖可変領域と、
(d)RSSTGAVTTSNYANの軽鎖(CDR L)1アミノ酸配列(配列番号95);
(e)GTNKRAPのCDR L2アミノ酸配列(配列番号96);および
(f)ALWYSNHWVのCDR L3アミノ酸配列(配列番号97)
を含む軽鎖可変領域とを含む。
一実施態様では、mycタグを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号101のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号102のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
一実施態様において、mycタグを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号102のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
一実施態様において、該少なくとも1つの抗原結合部分は、scFv、Fab、crossFabまたはscFab断片である。一実施態様において、mycタグを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、Fab断片を含む。好ましい実施態様では、mycタグを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、配列番号99の重鎖と配列番号100の軽鎖とを含むFab断片を含む。
特定の実施態様では、抗原結合部分は、mycタグを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なFab断片であり、ここで抗原結合受容体は、配列番号98のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖融合ポリペプチドと、配列番号100のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドとを含む。
好ましい実施態様において、抗原結合部分は、mycタグを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なFabであり、ここで抗原結合受容体は、配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖融合ポリペプチドと配列番号100のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドとを含む。
一実施態様において、mycタグを含む免疫グロブリンドメインに特異的に結合可能なCARは、重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)およびリンカーからなるポリペプチドであるscFv断片を含み、ここで、該可変ドメインと該リンカーは、N末端からC末端方向に、a)VH-リンカー-VLまたはb)VL-リンカー-VHのいずれかの構成を有する。好ましい実施態様では、scFv断片は、VH-リンカー-VLの構成を有する。
FabおよびscFab断片は、CLドメインとCH1ドメインとの間の天然のジスルフィド結合によって安定化されている。重鎖可変ドメイン(VH)と軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗原結合部位分、例えば、本明細書に記載されているようなFab、crossFab、scFvおよびscFab断片は、VHドメインとVLドメインとの間に鎖間ジスルフィド架橋を導入することによって、さらに安定化されてもよい。したがって、一実施態様では、本発明による抗原結合受容体に含まれるFab断片(複数可)、crossFab断片(複数可)、scFv断片(複数可)および/またはscFab断片(複数可)は、システイン残基の挿入を介した鎖間ジスルフィド結合の生成によってさらに安定化されていてもよい(例えば、Kabat番号付けによる可変重鎖の44位および可変軽鎖の100位)。そのような安定化された抗原結合部位は、本明細書では「ds」という用語で呼ばれる。
ハプテンは、当技術分野で知られている方法に従って、認識ドメインに共有結合的または非共有結合的に結合することができる。例えば、ビオチン化は、ハプテンビオチンをポリペプチド、例えば免疫グロブリンに結合させるために当技術分野で広く用いられている。ビオチンは、典型的には、第一級アミン(例えばリジン)を介してタンパク質にコンジュゲートされる。IgG抗体の場合は通常、抗体分子当たり3から6の間のビオチン分子がコンジュゲートされる。代替的に、炭水化物は、当技術分野で知られている方法に従ってビオチン化することができる。
一実施態様では、ハプテン分子は、部位特異的結合を用いて認識ドメインに結合される。一実施態様では、抗原結合分子へのポリペプチドタグの導入は、ハプテン分子のポリペプチドタグへの部位特異的結合と組み合わされる。本発明のそのような実施態様において、抗原結合分子に結合されたハプテン分子の数は、例えば、ポリペプチドタグ中に定められた数の結合部位を提供することによって制御され得る。部位特異的結合技術の例は、当技術分野で知られているAviTagシステムである。GLNDIFEAQKIEWH配列番号106)のポリペプチドタグAviTagは、BirAビオチン-タンパク質リガーゼを用いて選択的にビオチン化することができる天然のビオチン化部位を含む。一実施態様では、認識ドメインは、定めらされた数のハプテン分子を含む。一実施態様では、認識ドメインは、1、2、3または4以上のハプテン分子を含まない。好ましい実施態様では、認識ドメインは、2つのハプテン分子を含み、例えば、認識ドメインは、それぞれが1つのハプテン分子を含む2つのポリペプチド分子から構成されるFcドメインである。別の好ましい実施態様において、認識ドメインは、1つのハプテン分子を含み、例えば、認識ドメインは、重鎖または軽鎖断片のいずれかに結合されたハプテン分子を含むFab断片である。
本明細書で提供され、使用されるCARは、認識ドメインに特異的に結合可能な抗原結合部分、アンカー型膜貫通ドメイン、ならびに少なくとも1つの細胞内シグナル伝達および/または少なくとも1つの補助刺激シグナル伝達ドメインを含む細胞外ドメインを含む。アンカー型膜貫通ドメインは、レポーター細胞、例えばT細胞の細胞膜へのCARの閉じ込めを媒介する。細胞内シグナル伝達および/または少なくとも1つの補助刺激シグナル伝達ドメインは、CARの細胞内シグナルとの結合、例えば、レポーター遺伝子発現を測定することによって評価することができるT細胞活性化を伝達する。本発明の文脈において、本明細書に記載されているようなレポーター遺伝子の発現は、本明細書に記載されているような標的抗原結合部分の標的抗原への結合、およびその結果として生じるT細胞活性化の指標となる。
CARのアンカー型膜貫通ドメインは、哺乳動物プロテアーゼに対する切断部位を持たないことによって特徴付けることができる。プロテアーゼとは、プロテアーゼの切断部位を含む膜貫通ドメインのアミノ酸配列を加水分解することができるタンパク質分解酵素を指す。プロテアーゼという用語には、エンドペプチダーゼとエキソペプチダーゼの両方が含まれる。本発明の文脈において、とりわけCD命名法によって定められた膜貫通タンパク質の任意のアンカー型膜貫通ドメインを使用して、本明細書に従った適切なCARを生成することができ、このCARは、例えば、本明細書に定義されている標的細胞または修飾免疫グロブリンドメインに結合すると、T細胞を活性化する。
したがって、本発明の文脈において、アンカー型膜貫通ドメインは、ラット(murine)/マウス、または好ましくはヒト膜貫通ドメインの一部を含み得る。このようなアンカー型膜貫通ドメインの例は、例えば、(配列番号23に示されるDNA配列によってコードされる)本明細書の配列番号11に示されるアミノ酸配列を有する、CD28の膜貫通ドメインである。本発明の文脈において、CARの膜貫通ドメインは、(配列番号23に示されるDNA配列によってコードされる)配列番号11に示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
あるいは、とりわけCD命名法によって提供されるような、膜貫通ドメインを有する任意のタンパク質を、本発明において提供され、使用されるCARのアンカー型膜貫通ドメインとして使用してもよい。上述のように、CARは、(配列番号111に示されるcDNAによりコードされる)配列番号112に示されるように、ヒト完全長CD28タンパク質のアミノ酸153‐179、154‐179、155‐179、156‐179、157‐179、158‐179、159‐179、160‐179、161‐179、162‐179、163‐179、164‐179、165‐179、166‐179、167‐179、168‐179、169‐179、170‐179、171‐179、172‐179、173‐179、174‐179、175‐179、176‐179、177‐179または178‐179に位置するCD28のアンカー型膜貫通ドメインを含み得る。したがって、本発明の文脈において、アンカー型膜貫通ドメインは、(配列番号23に示されるDNA配列によってコードされる)配列番号11に示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
本明細書に記載されるように、本発明に従って使用されるCARは、少なくとも1つの刺激シグナル伝達および/または補助刺激シグナル伝達ドメインを含む。刺激シグナル伝達および/または補助刺激シグナル伝達ドメインは、標的抗原結合部分を含む抗原結合分子のレポーターCAR-T細胞内の細胞内シグナルへの結合を伝達する。したがって、CARは、好ましくは、T細胞活性化を提供する刺激シグナル伝達ドメインを含む。好ましい実施態様では、標的抗原結合部分の標的抗原への結合および/またはレポーターCAR-T細胞の標的抗原結合部分を含む抗原結合分子への結合は、細胞内シグナル伝達および/または補助シグナル伝達ドメインの活性化をもたらす。特定の実施態様において、本明細書で提供されるCARは、ラット/マウスもしくはヒトCD3z(ヒトCD3zのUniProtエントリーはP20963(配列番号2のバージョン番号177)である;ラット/マウスCD3zのUniProtエントリーはバージョン番号143および配列番号1のP24161(一次引用可能なアクセッション番号)またはQ9D3G3(二次引用可能なアクセション番号)である)、Fcgr3A(ヒトFCGR3AのUniProtエントリーはP08637(配列番号2のバージョン番号178)である)、またはNKG2D(ヒトNKG2DのUniProtエントリーはP26718(配列番号1のバージョン番号151)である;ラット/マウスNKG2DのUniProtエントリーはO5470(配列番号2のバージョン番号132)である)の断片/ポリペプチド部分である刺激シグナル伝達ドメインを含む。したがって、CARに含まれる刺激シグナル伝達ドメインは、CD3z、Fcgr3AまたはNKG2Dの全長の断片/ポリペプチド部分であり得る。ラット/マウス全長CD3zのアミノ酸配列は、本明細書中では、配列番号109(配列番号110に示されるDNA配列によってコードされるラット/マウス)として示される。ヒト全長CD3zのアミノ酸配列は、本明細書中では、配列番号107(配列番号108に示されるDNA配列によってコードされるヒト)として示される。本発明に従って提供され、使用されるCARは、少なくとも1つのシグナル伝達ドメインが含まれていることを条件に、刺激ドメインとしてCD3z、Fcgr3AまたはNKG2Dの断片を含み得る。特に、CD3z、Fcgr3AまたはNKG2Dの任意の部分/断片は、少なくとも1つのシグナル伝達モチーフ(motive)が含まれる限り、刺激ドメインとして適している。しかし、より好ましくは、CARは、ヒト材料に由来するポリペプチドを含む。好ましくは、CARは、配列番号107(CD3z)(配列番号108(CD3z)に示されるDNA配列によってコードされるヒト)として本明細書に示されるアミノ酸配列を含む。例えば、CARに含まれ得るヒトCD3zの断片/ポリペプチド部分は、(配列番号25に示されるDNA配列によってコードされる)配列番号13に示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなっていてもよい。したがって、一実施態様において、CARは、配列番号13に示される配列を含むか、または配列番号13と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、23、24、25、26、27、28、29もしくは30までの置換、欠失もしくは挿入を有し、刺激シグナル伝達活性を有することによって特徴付けることができる配列を含む。刺激シグナル伝達ドメインを含むCARの特定の構成が、本明細書の以下に、および実施例と図に提供される。刺激シグナル伝達活性は、例えば、ELISA(IL-2、IFNγ、TNFα)によって測定されるサイトカイン放出の増強、(増強された細胞数によって測定される)増殖活性の増強、またはLDH放出アッセイによって測定される溶解活性の増強によって判定することができる。
CARは、レポーターCAR-T細胞にさらなる活性を提供する少なくとも1つの補助刺激シグナル伝達ドメインを好ましくは含む。CARは、ラット/マウスもしくはヒトCD28(ヒトCD28のUniProtエントリーはP10747(配列番号1のバージョン番号173)である;ラット/マウスCD28のUniProtエントリーはP31041(配列番号2のバージョン番号134)である)、CD137(ヒトCD137のUniProtエントリーはQ07011(配列番号1のバージョン番号145)である;ラット/マウスCD137のUniProtエントリーはP20334(配列番号1のバージョン番号139)である)、OX40(ヒトOX40のUniProtエントリーはP23510(配列番号1のバージョン番号138)である;ラット/マウスOX40のUniProtエントリーはP43488(配列番号1のバージョン番号119)である)、ICOS(ヒトICOSのUniProtエントリーはQ9Y6W8(配列番号1のバージョン番号126)である);ラット/マウスICOSのUniProtエントリーは、バージョン番号102および配列バージョン2のQ9WV40(一次引用可能なアクセッション番号)またはQ9JL17(二次引用可能なアクセッション番号)である)、CD27(ヒトCD27のUniProtエントリーはP26842(配列番号2のバージョン番号160)である;ラット/マウスCD27のUniProtエントリーはP41272(配列バージョン1のバージョン番号137)である)、4-1-BB(ラット/マウス4-1-BBのUniProtエントリーはP20334(配列バージョン1のバージョン番号140)である;ヒト4-1-BBのUniProtエントリーはQ07011(配列バージョンのバージョン番号146)である)、DAP10(ヒトDAP10のUniProtエントリーはQ9UBJ5(配列番号1のバージョン番号25)である;ラット/マウスDAP10のUniProtエントリーはバージョン番号101および配列番号1についてのQ9QUJ0(一次引用可能なアクセッション番号)またはQ9R1E7(二次引用可能なアクセッション番号)である)、またはDAP12(ヒトDAP12のUniProtエントリーはO43914(バージョン番号146および配列番号1)である;ラット/マウスDAP12のUniProtエントリーはバージョン番号123および配列番号1についてのO054885(一次引用可能なアクセッション番号)またはQ9R1E7(二次引用可能なアクセッション番号)である)の断片/ポリペプチド部分である補助刺激シグナル伝達ドメインを含んでもよい。特定の実施態様では、CARは、本明細書で定義される補助刺激シグナル伝達ドメインの1つ以上、すなわち1、2、3、4、5、6または7つを含み得る。したがって、本発明の文脈において、CARは、第1の補助刺激シグナル伝達ドメインとしてラット/マウスCD28か好ましくはヒトCD28の断片/ポリペプチド部分を含むことができ、第2の補助刺激シグナル伝達ドメインは、ラット/マウスか好ましくはヒトのCD27、CD28、CD137、OX40、ICOS、DAP10およびDAP12、またはこれらの断片からなる群から選択される。好ましくは、CARは、ヒト材料に由来する補助刺激シグナル伝達ドメインを含む。したがって、より好ましくは、CARに含まれる補助刺激シグナル伝達ドメイン(複数可)は、(配列番号24に示されるDNA配列によってコードされる)配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなっていてもよい。
したがって、CARに場合によって含まれる補助刺激シグナル伝達ドメインは、全長CD27、CD28、CD137、OX40、ICOS、DAP10およびDAP12の断片/ポリペプチド部分である。ラット/マウス全長CD28のアミノ酸配列は、本明細書中では、配列番号114(配列番号113に示されるDNA配列によってコードされるラット/マウス)として示される。とはいえ、本明細書の文脈ではヒト配列が最も好ましいため、CARタンパク質に場合によって含まれる補助刺激シグナル伝達ドメインは、ヒト全長CD27、CD28、CD137、OX40、ICOS、DAP10およびDAP12の断片/ポリペプチド部分である。ヒト全長CD28のアミノ酸配列は、本明細書中では、配列番号112(配列番号111に示されるDNA配列によってコードされるヒト)として示される。
ある好ましい実施態様では、CARは、補助刺激シグナル伝達ドメインとしてCD28またはその断片を含む。CARは、CD28の少なくとも1つのシグナル伝達ドメインが含まれるという条件で、補助刺激シグナル伝達ドメインとしてCD28の断片を含み得る。特に、CD28のシグナル伝達モチーフ(motives)の少なくとも1つが含まれている限り、CD28の任意の部分/断片がCARに適している。例えば、CARに含まれ得るCD28ポリペプチドは、(配列番号24に示されるDNA配列によってコードされる)配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなっていてもよい。本発明において、補助刺激シグナル伝達ドメインとして機能するCD28の細胞内ドメインは、配列YMNM(配列番号115)および/またはPYAP(配列番号116)を有するCD28ポリペプチドの細胞内ドメインに由来する配列を含み得る。好ましくは、CARは、ヒト材料に由来するポリペプチドを含む。例えば、CARに含まれ得るヒトCD28の断片/ポリペプチド部分は、(配列番号24に示されるDNA配列によってコードされる)配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなっていてもよい。したがって、一実施態様において、CARは、配列番号12に示される配列を含むか、または配列番号13と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10までの置換、欠失もしくは挿入を有し、補助刺激シグナル伝達活性を有することによって特徴付けることができる配列を含む。補助刺激シグナル伝達ドメイン(CSD)を含むCARの特定の構成が、本明細書の以下に、および実施例と図に提供される。補助刺激シグナル伝達活性は、例えば、ELISA(IL-2、IFNγ、TNFα)によって測定されるサイトカイン放出の増強、(増強された細胞数によって測定される)増殖活性の増強、またはLDH放出アッセイによって測定される溶解活性の増強によって判定することができる。
上記のように、本発明の一実施態様では、CARの補助刺激シグナル伝達ドメインは、ヒトCD28遺伝子(Uni Protエントリー番号:P10747(配列のエントリーバージョン:173およびバージョン1についてのアクセッション番号)に由来するものであってもよく、形質導入されたT細胞のような、本明細書に記載されている形質導入細胞のサイトカイン産生、増殖および溶解活性として定義されるCD28活性を提供する。CD28活性は、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)もしくはインターロイキン2(IL-2)のようなサイトカインのELISAもしくはフローサイトメトリーによって、サイトカインの放出で、例えばki67測定やフローサイトメトリーでの細胞定量により測定可能なT細胞の増殖で、または(例えば、Thakur et al., Biosens Bioelectron. 35(1) (2012), 503-506; Krutzik et al., Methods Mol Biol. 699 (2011), 179-202; Ekkens et al., Infect Immun. 75(5) (2007), 2291-2296; Ge et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 99(5) (2002), 2983-2988; Duwell et al., Cell Death Differ. 21(12) (2014), 1825-1837, Erratum in: Cell Death Differ. 21(12) (2014), 161等に記載のICELLligence装置の使用により)標的細胞のリアルタイムインピーダンス測定によって評価される溶解活性で、測定可能である。補助刺激シグナル伝達ドメインPYAPおよびYMNMは、CD28ポリペプチドの機能および先に列挙した機能的効果に有益である。YMNMドメインのアミノ酸配列は配列番号115に示され、PYAPドメインのアミノ酸配列は配列番号116に示されている。したがって、本明細書で提供され、使用されるCARにおいて、CD28ポリペプチドは、好ましくは、YMNM(配列番号115)および/またはPYAP(配列番号116)の配列を有するCD28ポリペプチドの細胞内ドメインに由来する配列を含む。これらのシグナル伝達モチーフ(motive)は、CARの細胞内ドメイン内の任意の部位に存在してよい。
認識ドメインに特異的に結合可能な少なくとも1つの抗原結合部分を含む細胞外ドメイン、哺乳動物プロテアーゼの切断部位を持たないアンカー型膜貫通ドメイン、補助刺激シグナル伝達ドメイン、および刺激シグナル伝達ドメインは、単鎖多機能性ポリペプチドであってもよい。単鎖融合コンストラクトは、例えば、少なくとも1つの抗原結合部分を含む細胞外ドメイン(複数可)と、アンカー型膜貫通ドメイン(複数可)と、補助刺激シグナル伝達ドメイン(複数可)および/または刺激シグナル伝達ドメイン(複数可)とを含むポリペプチド(複数可)からなっていてもよい。代替実施態様では、CARは、単鎖融合コンストラクトではない抗原結合部分を含み、すなわち、抗原結合部分はFabまたはcrosFab断片である。当該実施態様では、CARは、1つのポリペプチド鎖のみを含む単鎖融合コンストラクトではない。好ましくは、そのようなコンストラクトは、免疫グロブリン軽鎖と組み合わされた単鎖重鎖融合ポリペプチドを含み、例えば重鎖融合ポリペプチドは、免疫グロブリン重鎖(複数可)と、アンカー型膜貫通ドメイン(複数可)と、補助刺激シグナル伝達ドメイン(複数可)および/または刺激シグナル伝達ドメイン(複数可)を含み、免疫グロブリン軽鎖(複数可)と組み合わされる。したがって、細胞外ドメイン、アンカー型膜貫通ドメイン、補助刺激シグナル伝達ドメインおよび刺激シグナル伝達ドメインは、1以上の同じかまたは異なるペプチドリンカーによって接続され得る。例えば、認識ドメインに特異的に結合可能な少なくとも1つの抗原結合部分を含む細胞外ドメインとアンカー型膜貫通ドメインとの間のリンカーは、配列番号17に示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなっていてよい。したがって、アンカー型膜貫通ドメイン、補助刺激シグナル伝達ドメインおよび/または刺激ドメインは、ペプチドリンカーによって、または代替的に、ドメインの直接融合によって、互いに接続され得る。
いくつかの実施態様では、細胞外ドメインに含まれる抗原結合部分は、10から約25のアミノ酸の短いリンカーペプチドにより接続した、抗体の重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)との融合タンパク質である単鎖可変断片(scFv)である。リンカーは通常、柔軟性のためにグリシンに、溶解度のためにセリンまたはスレオニンに富み、VHのN末端をVLのC末端に接続することができ、あるいはその逆も可能である。例えば、リンカーは、配列番号16に示されるアミノ酸およびアミノ酸配列を有していてもよい。scFv抗原結合部分は、定常領域の除去およびリンカーの導入にもかかわらず、元の抗体の特異性を保持する。scFv抗体は、例えばHouston,J.S.,Methods in Enzymol.203(1991)46-96に記載されている。
CARまたはその一部は、シグナルペプチドを含み得る。このようなシグナルペプチドは、タンパク質をT細胞膜の表面に運ぶことになる。例えば、シグナルペプチドは、(配列番号118に示されるDNA配列によってコードされる)配列番号117に示されるアミノ酸配列を有していてもよい。
CARの構成要素は、様々な構成で互いに融合して、T細胞活性化CARを生成することができる。いくつかの実施態様において、CARは、アンカー型膜貫通ドメインに接続された、重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)から構成される細胞外ドメインを含む。いくつかの実施態様において、VHドメインは、C末端においてVLドメインのN末端に、場合によってはペプチドリンカーを介して、融合される。他の実施態様では、CARは、刺激シグナル伝達ドメインおよび/または補助刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む。特定のこのような実施態様では、CARは、1以上のペプチドリンカーによって接続された、VHドメインおよびVLドメインと、アンカー型膜貫通ドメインと、場合によっては刺激シグナル伝達ドメインとから本質的になり、ここで、VHドメインは、C末端においてVLドメインのN末端に融合され、VLドメインは、C末端においてアンカー型膜貫通ドメインのN末端に融合され、アンカー型膜貫通ドメインは、C末端において刺激シグナル伝達ドメインのN末端に融合される。場合によっては、CARは、補助刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む。そのような特定の実施態様の1つでは、抗原結合受容体は、1以上のペプチドリンカーによって接続された、VHドメインおよびVLドメインと、アンカー型膜貫通ドメインと、刺激シグナル伝達ドメインおよび補助刺激シグナル伝達ドメインとから本質的になり、ここで、VHドメインは、C末端においてVLドメインのN末端に融合され、VLドメインは、C末端においてアンカー型膜貫通ドメインのN末端に融合され、アンカー型膜貫通ドメインは、C末端において刺激シグナル伝達ドメインのN末端に融合され、刺激シグナル伝達ドメインは、C末端において補助刺激シグナル伝達ドメインのN末端に融合される。代替実施態様では、補助刺激シグナル伝達ドメインは、刺激シグナル伝達ドメインの代わりに、アンカー型膜貫通ドメインに接続される。好ましい実施態様では、CARは、1以上のペプチドリンカーによって接続された、VHドメインおよびVLドメインと、アンカー型膜貫通ドメインと、補助刺激シグナル伝達ドメインおよび刺激シグナル伝達ドメインとから本質的になり、ここで、VHドメインは、C末端においてVLドメインのN末端に融合され、VLドメインは、C末端においてアンカー型膜貫通ドメインのN末端に融合され、アンカー型膜貫通ドメインは、C末端において補助刺激シグナル伝達ドメインのN末端に融合され、補助刺激シグナル伝達ドメインは、C末端において刺激シグナル伝達ドメインのN末端に融合される。
好ましい実施態様では、結合部分の1つは、Fab断片またはcrossFab断片である。一実施態様では、抗原結合部分は、FabまたはcrossFab重鎖のC末端においてアンカー型膜貫通ドメインのN末端に、場合によってはペプチドリンカーを介して、融合している。代替実施態様では、抗原結合部分は、FabまたはcrossFab軽鎖のC末端においてアンカー型膜貫通ドメインのN末端に、場合によってはペプチドリンカーを介して、融合している。他の実施態様では、CARは、刺激シグナル伝達ドメインおよび/または補助刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む。特定のこのような実施態様では、CARは、1以上のペプチドリンカーによって接続された、FabまたはcrossFab断片と、アンカー型膜貫通ドメインと、場合によっては刺激シグナル伝達ドメインとから本質的になり、ここで、FabまたはcrossFab断片は、重鎖または軽鎖のC末端においてアンカー型膜貫通ドメインのN末端に融合され、VLドメインは、C末端においてアンカー型膜貫通ドメインのN末端に融合され、アンカー型膜貫通ドメインは、C末端において刺激シグナル伝達ドメインのN末端に融合される。好ましくは、CARは、補助刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む。特定のこのような実施態様では、CARは、1以上のペプチドリンカーによって接続された、FabまたはcrossFab断片と、アンカー型膜貫通ドメインと、刺激シグナル伝達ドメインおよび補助刺激伝達ドメインとから本質的になり、ここで、FabまたはcrossFab断片は、重鎖または軽鎖のC末端においてアンカー型膜貫通ドメインのN末端に融合され、刺激伝達ドメインは、C末端において補助刺激伝達ドメインのN末端に融合される。好ましい実施態様では、補助刺激シグナル伝達ドメインは、刺激シグナル伝達ドメインの代わりに、アンカー型膜貫通ドメインに接続される。最も好ましい実施態様では、CARは、FabまたはcrossFab断片と、アンカー型膜貫通ドメインと、補助刺激シグナル伝達ドメインおよび刺激シグナル伝達ドメインとから本質的になり、ここで、FabまたはcrossFab断片は、重鎖のC末端においてアンカー型膜貫通ドメインのN末端に、ペプチドリンカーを介して融合され、アンカー型膜貫通ドメインは、C末端において補助刺激シグナル伝達ドメインのN末端に融合され、補助刺激シグナル伝達ドメインは、C末端において刺激シグナル伝達ドメインのN末端に融合される。
抗原結合部分、アンカー型膜貫通ドメイン、ならびに刺激シグナル伝達ドメインおよび/または補助刺激シグナル伝達ドメインは、直接、または1つ以上のアミノ酸、典型的には約2-20アミノ酸を含む1以上のペプチドリンカーを介して互いに融合していてもよい。ペプチドリンカーは当技術分野において既知であり、本明細書に記載される。適切な非免疫原性ペプチドリンカーには、例えば、(GS)、(SG、(GS)またはG(SGペプチドリンカーが含まれ、ここで「n」は通常、1から10の間、典型的には2から4の間の数である。抗原結合部分とアンカー型膜貫通部分とを接続するのに好ましいペプチドリンカーは、配列番号20によるGGGGS(GS)である。可変重鎖(VH)と可変軽鎖(VL)を接続するのに適した例示的なペプチドリンカーは、配列番号19によるGGGSGGGSGGGSGGGS(GS)である。
加えて、リンカーは免疫グロブリンヒンジ領域(の一部)を含むことができる。抗原結合部分は、特にアンカー型膜貫通ドメインのN末端に融合している場合には、追加のペプチドリンカーの有無に関わらず、免疫グロブリンヒンジ領域またはその一部を介して融合することができる。
本明細書中に記載されるように、本発明に従って提供され使用されるCARは、少なくとも1つの抗原結合部分を含む細胞外ドメインを含む。単一の抗原結合部分を有するCARは、特にCARの高発現が必要な場合に有用であり、好適である。このような場合、複数の抗原結合部分の存在は、CARの発現効率を制限する可能性がある。しかしながら、他の場合には、例えば標的部位への標的化を最適化するため、または標的細胞抗原の架橋を可能にするために、2つ以上の抗原結合部分を含むCARを有することが有利であろう。
本発明による方法の文脈では、表面に標的抗原を含む標的細胞(例えば腫瘍細胞)と結合する標的抗原結合部分を含む標的抗原結合分子とレポーターCAR-T細胞を接触させることが、本明細書に記載のレポーター遺伝子の発現をもたらす。したがって、一実施態様において、本明細書に記載の細胞内シグナル伝達および/または補助シグナル伝達ドメインの活性化は、本明細書に記載の応答エレメントの活性化をもたらす。好ましい実施態様では、応答エレメントはレポーター遺伝子の発現を制御する。好ましい実施態様では、応答エレメントの活性化は、レポーター遺伝子の発現をもたらす。したがって、レポーター細胞(例えばレポーターCAR-T細胞)中のレポーター遺伝子は、標的抗原結合部分が標的に結合すると発現される。一実施態様では、レポーター遺伝子の発現は、標的抗原結合部分の標的抗原への結合の指標となる。この文脈において、CARのその標的への結合は、直接、または細胞シグナル伝達のカスケードを介して、応答エレメントの活性の調節につながる細胞応答を誘発する。応答エレメントは、転写因子等によってサイレンシングまたは活性化される得るDNAエレメントである。応答エレメントは当技術分野で既知であり、例えばレポーターベクター中のものなど、一般に入手可能である。通常、応答エレメントは、DNA反復エレメントを含み、転写因子結合時にレポーター遺伝子の発現を促進する最小限プロモーターの上流に位置するシス作用性エンハンサーエレメントである。
認識ドメイン、例えば修飾されたFcドメインまたはFab断片へのCARの結合は、応答エレメントを活性化する。一実施態様では、応答エレメントは、細胞の核内に位置する核応答エレメントである。別の実施態様では、前記応答エレメントは、レポーター細胞内のプラスミド上に位置する。一実施態様では、アッセイは、応答エレメントの制御下で、レポーター遺伝子をコードするDNA配列を含む発現ベクターを用いてレポーター細胞、例えばCAR-T細胞をトランスフェクションするという予備ステップを含む。さらに、レポーター細胞は、CARをコードするDNA配列を含む発現ベクターを用いてトランスフェクトすることができる。レポーター細胞は、シグナル伝達カスケードの全エレメントを含む発現ベクターを用いて、または異なる構成要素を個別に発現する異なるベクターをも用いて、トランスフェクトすることができる。一実施態様では、レポーター細胞は、レポーター遺伝子をコードする応答エレメントの制御下のDNA配列と、CARをコードするDNA配列とを含む。
したがって、本明細書に記載のように、CARは、応答エレメントに機能的に結合されている。一実施態様では、応答エレメントはレポーター遺伝子の発現を制御する。一実施態様では、応答エレメントは、NFAT経路、NF-κB経路またはAP-1経路、好ましくはNFAT経路の一部である。
一実施態様では、レポーター遺伝子は、発光タンパク質をコードする遺伝子または触媒活性を検出することができる酵素をコードする遺伝子から選択される。一実施態様では、レポーター遺伝子は、発光タンパク質をコードする遺伝子であるさらなる実施態様では、蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、青色蛍光タンパク質(BFP、Heimら 1994,1996)、CFPとしても知られるシアン蛍光変異体(Heimら 1996;Tsien 1998);YFPとしても知られる黄色蛍光変異体(Ormoら 1996;Wachterら 1998);サファイアとして知られている紫色興奮性緑色蛍光変異体(Tsien 1998;Zapata-Hommerら 2003);および高感度緑色蛍光タンパク質またはEGFPとして知られているシアン興奮性緑色蛍光変異体(Yangら 1996)からなる群から選択され、例えば生細胞画像化(例、Incucyte)または蛍光分光測光法によって測定することができる。一実施態様では、触媒活性が検出され得る酵素は、ルシフェラーゼ、ベータガラクトシダーゼおよびアルカリホスファターゼからなる群から選択される。一実施態様では、レポーター遺伝子は、GFPをコードする。好ましい実施態様では、レポーター遺伝子は、ルシフェラーゼをコードする。ルシフェラーゼの活性は、市販のアッセイ、例えばルシフェラーゼ1000アッセイシステムまたはONE-GloTMルシフェラーゼアッセイシステム(両方ともPromega)によって検出することができる。ルシフェラーゼ1000アッセイシステムは、基質としてルシフェリンに加えて補酵素A(CoA)を含み、少なくとも1分間続く強い光強度をもたらす。細胞内ルシフェラーゼをアッセイするには、検出前に細胞を溶解する必要がある。反応の副産物として生成される光は、可視スペクトル全体からルミノメーターによって収集される。本明細書に示された例では、シグナルは産生されたルシフェラーゼの量に比例し、したがってNFATプロモーターの活性化の強さに比例していた。別の実施態様では、ルシフェラーゼが細胞から分泌されるルシフェラーゼアッセイが使用される。したがって、アッセイは、細胞を溶解することなく行うことができる。
本明細書に記載されているように、レポーター遺伝子の発現は、標的抗原結合部位が標的細胞上の標的抗原に結合し、その結果としてレポーター細胞、例えばJurkat細胞が活性化されることと直接相関させることができる。例えば、ルシフェラーゼをコードする遺伝子をレポーター遺伝子として使用する場合、細胞から検出される光の量は、標的抗原結合と直接相関し、適切な対照の状況と比較した場合、標的抗原結合の指標となる。一実施態様では、標的抗原結合部位を含む抗原結合分子を異なる濃度で適用し、レポーター遺伝子活性化の半数効果濃度(EC50)を決定する。EC50とは、抗原結合分子(例えば抗体)またはリガンドの濃度であって、抗原結合分子が、ベースラインと指定された曝露時間後の最大値との中間に、レポーター遺伝子を活性化または阻害するときの濃度を指す。したがって、用量応答曲線のEC50は、標的抗原に対する最大活性化または阻害効果の50%が観察される標的抗原結合部分の濃度を表す。
一実施態様では、標的抗原結合部分は、腫瘍細胞の表面上の腫瘍標的抗原に特異的に結合することができる。一実施態様では、腫瘍標的抗原は、CD20、CD38、CD138、CEA、EGFR、FolR1、HER2、LeY、MCSP、STEAP1、TYRP1およびWT1、またはこれらの断片からなる群から選択される。しかしながら、標的抗原は、主にまたは排他的に細胞表面に位置するタンパク質に限定されず、一時的または恒久的に細胞内に位置するポリペプチドまたはタンパク質に由来する場合もある。このような場合、細胞内ポリペプチドまたはタンパク質に由来する標的抗原は、主要組織適合複合体(MHC)の1または複数の分子によって(腫瘍)細胞表面に提示され得る。一実施態様では、腫瘍標的抗原は、MHCの分子に結合したペプチドである。一実施態様では、MHCはヒトMHCである。一実施態様では、MHCの分子に結合したペプチドは、全長が8から100の間、好ましくは8から30の間、より好ましくは8から16の間のアミノ酸である。一実施態様では、腫瘍標的抗原は、腫瘍組織において排他的または主に発現されるタンパク質に由来する。一実施態様では、タンパク質は細胞内タンパク質であり、ペプチドは、MHC-IまたはMHC-II経路によって生成され、MHCクラスIまたはMHCクラスII複合体によって提示される。一実施態様では、ペプチドは、MHC-I経路によって生成され、MHCクラスI複合体によって提示される。一実施態様において、標的抗原結合部分はT細胞受容体様(TCRL)抗原結合部分である。TCRL抗原結合部分は、腫瘍組織において排他的または主に発現されるペプチド抗原に特異的に結合することができ、ペプチド抗原は、標的細胞、特にがん細胞の表面に位置するMHCの分子に結合する。この文脈において、本発明の方法は、確立されたまたは新規のTCRL標的抗原結合部分を使用して、標的細胞の表面上の特定のペプチド/MHC複合体の存在に基づいて、標的細胞、例えば腫瘍細胞の存在を検出するのに特に適している。実際、現在利用可能な診断アッセイフォーマットは、腫瘍特異的なペプチド/MHC複合体を特異的に検出する能力が制限されている。本発明は、TCRL抗原結合部分によるペプチド/MHC複合体の特異的検出を伴う、ペプチド/MHC複合体の特異的かつ高感度のアッセイフォーマットを提供する。本発明のそのような実施態様では、少なくとも1つのTCRL抗原結合部分は、認識ドメイン(例えば修飾または変異Fcドメイン)を含む抗原結合分子に含まれる。
標的抗原結合部分を含む抗原結合分子の標的抗原への結合は、定性的または定性的(qualitatively or qualitatively)に、すなわちレポーター遺伝子の発現の有無によって判定することができ、蛍光または発光がない場合は、結合していないことを示す。結合と活性化を定量的に測定するために、レポーター遺伝子活性化の量を基準と比較することができる。したがって、本明細書に記載の診断アッセイは、レポーター遺伝子の発現レベルを基準と比較するステップをさらに含み得る。適切な基準は通常、アッセイまたは方法の1または複数の必須構成要素を省略した、基準となるアッセイと実質的に同一である陰性対照を含む。本発明の方法の場合、省略される構成要素は、例えば、抗原結合分子の付加を省略したり、標的細胞を省略したりすることであり得る。あるいは、抗原結合分子の標的細胞および/または認識ドメインに結合することができないレポーターCAR-T細胞を使用することもできる。一実施態様では、基準は、抗原結合分子の非存在下でのレポーター遺伝子の発現である。別の実施態様において、基準は、標的細胞の非存在下、特に腫瘍細胞の非存在下でのレポーター遺伝子の発現である。特定の実施態様では、レポーター遺伝子の発現は、基準の存在下でのレポーター遺伝子の発現の少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、100倍、1000倍、または10000倍である。
あるいは、レポーター遺伝子発現の非存在は、特定の閾値によって、すなわちバックグラウンドシグナルを差し引いた後に、定義され得る。バックグラウンドシグナルは通常、全ての試薬を使用してアッセイを行うが、抗原結合分子を使用せずに、または標的細胞が存在しない状態でアッセイを行うことによって決定される。標的細胞の非存在下でのレポーター遺伝子の発現に対する標的細胞の存在下でのレポーター遺伝子の発現のレベルが予め定められた閾値よりも高い場合に、本発明による診断アッセイからの陽性シグナルが与えられる。特定の実施態様では、閾値は、2、3、4、5、10、100、1000、または100000である。
本明細書に記載の新規の診断アッセイは、堅牢で、ハイスループットフォーマットでの使用に適しており、アッセイを達成するために必要なハンズオン時間の点で効率的である。さらに、本発明の診断アッセイは、分析される試料中の死細胞の存在を許容する。これは、抗原結合分子の結合および機能性が細胞生存率または細胞死を測定することによって判定される細胞アッセイとは対照的である。
本明細書に記載の新規診断アッセイのさらなる利点の1つは、洗浄ステップが不要なことである。試験されるレポーター細胞および/または抗原結合分子は、標的細胞、例えば腫瘍細胞に、いずれかの順序で、または同時に添加することができる。一実施態様では、レポーターCAR-T細胞と腫瘍試料は、適当な細胞培養フォーマットで、例えば、24ウェルプレートのウェル内または96ウェルプレートのウェルに、希釈した抗原結合分子を含有し得る細胞培養培地に添加される。好ましくは、試験培地は、細胞が最大48時間生存するための条件を提供する培地である。一実施態様において、診断アッセイは、マイクロタイタープレートで実施される。一実施態様において、マイクロタイタープレートは、ハイスループットスクリーニングに適している。本発明の診断アッセイは、複数の反応の迅速な調製、処理および分析を可能にする任意のフォーマットで行うことができる。これは、例えば、マルチウェルアッセイプレート(例えば、24ウェル、96ウェルまたは384ウェル)において行うことができる。様々な薬剤のための原液は手動またはロボットで作ることができ、その後のピペッティング、希釈、混合、分配、洗浄、インキュベーション、試料の読み取り、データ収集および分析は全て、蛍光および/または発光シグナルを検出することが可能な市販の分析ソフトウェア、ロボット、および検出機器を使用して、ロボット制御で行うことができる。
一実施態様において、ステップc)では、24ウェルプレートの1ウェル当たり約100000から約1000000のレポーターCAR-T細胞が提供される。一実施態様において、ステップc)では、24ウェルプレートの1ウェル当たり約300000から約700000、または約400000から約600000のレポーターCAR-T細胞が提供される。一実施態様において、ステップc)では、24ウェルプレートの1ウェル当たり約500000のレポーターCAR-T細胞が提供される。一実施態様において、ステップc)では、96ウェルプレートの1ウェル当たり約10000から約100000のレポーターCAR-T細胞が提供される。好ましい実施態様において、ステップc)では、96ウェルプレートの1ウェル当たり約30000から約70000のレポーターCAR-T細胞、または約40000から約60000のレポーターCAR-T細胞が提供される。一実施態様において、ステップc)では、96ウェルプレートの1ウェル当たり約50000のレポーターCAR-T細胞が提供される。一実施態様において、ステップc)では、384ウェルプレートの1ウェル当たり約3000から約30000のレポーターCAR-T細胞が提供される。一実施態様において、ステップc)では、384ウェルプレートの1ウェル当たり約5000から約15000、または約8000から約12000のレポーターCAR-T細胞が提供される。一実施態様において、ステップc)では、384ウェルプレートの1ウェル当たり約10000のレポーターCAR-T細胞が提供される。一実施態様において、ステップc)では、細胞培地1ml当たり約200000から約2000000のレポーターCAR-T細胞が提供される。好ましい実施態様において、ステップc)では、細胞培地1ml当たり約800000から約1200000のレポーターCAR-T細胞が提供される。一実施態様において、ステップc)では、細胞培地1ml当たり約1000000のレポーターCAR-T細胞が提供される。
一実施態様では、抗原結合分子は、約0.1fg/mlから約10μg/mlの最終濃度になるように、ステップb)で提供される。さらなる実施態様では、抗原結合分子は、約1fg/mlから約1μg/ml、または約1pg/mlから約1μg/mlの最終濃度になるように、ステップb)で提供される。さらなる実施態様では、抗原結合分子は、約0.1ng/mlの最終濃度になるように、ステップb)で提供される。一実施態様では、抗原結合分子は、約1nMから約100nMの最終濃度になるように、ステップb)で提供される。さらなる実施態様では、抗原結合分子は、約5nMから約200nM、または約10nMから約100nMの最終濃度になるように、ステップb)で提供される。さらなる実施態様では、抗原結合分子は、約50nMの最終濃度になるように、ステップb)で提供される。抗原結合分子は、細胞培地で希釈することができる。本明細書に記載の最終濃度に希釈された抗原結合分子は、レポーター細胞を添加する前または後に標的細胞に添加される。一実施態様では、本明細書に記載の最終濃度に希釈された抗原結合分子は、レポーター細胞を添加する前に標的細胞に添加される。
さらに提供されるのは、本明細書に記載のCARを発現することが可能な形質導入されたT細胞、すなわちレポーターCAR-T細胞(例えばJurkat細胞)、および本発明による診断アッセイにおけるそれらの使用である。CARは、T細胞内および/またはその表面に天然には含まれず、かつ、正常な(形質導入されていない)T細胞内またはT細胞上に(内因的に)発現しない分子をいう。したがって、T細胞内でおよび/またはT細胞上で使用される本明細書におけるCARは、人工的にT細胞に導入される。人工的に導入され、前記T細胞(例えばレポーターCAR-T細胞)内および/またはその表面上にその後提示されるCAR分子は、抗原および/または(Ig由来の)免疫グロブリン、好ましくは抗体、例えば本発明に従って使用される抗原結合分子のFcドメインまたはFabフラグメントに(in vitroまたはin vivoで)アクセス可能な1つ以上の抗原結合部分を含むドメインを含む。この文脈において、これらの人工的に導入された分子は、以下に記載の形質導入の後、前記T細胞内および/またはその表面上に提示される。したがって、形質導入後、本開示によるT細胞は、標的抗原および/または免疫グロブリンによって活性化され得る。
本明細書において提供されるのはまた、本明細書に記載のCARをコードする核酸分子(複数可)によってコードされるCARを発現する形質導入されたT細胞である。したがって、本発明の文脈において、形質導入された細胞は、本明細書で提供および使用されるCARをコードする核酸分子を含み得る。
本発明の文脈において、「形質導入されたT細胞」という用語は、遺伝子改変T細胞(すなわち、核酸分子が意図的に導入されたT細胞)をいう。特に、本明細書に記載のCARをコードする核酸分子は、レトロウイルスまたはレンチウイルスの形質導入を用いることにより、T細胞のゲノムに安定して組み込まれ得る。CARの細胞外ドメインは、本明細書に記載の抗原結合部分の完全な細胞外ドメイン含んでもよいが、その一部を含んでもよい。必要とされる最小サイズは、CARの抗原結合部分の抗原結合部位である。CARの細胞外部分(すなわち、抗原結合部分を含む細胞外ドメイン)は細胞表面上で検出することができ、細胞内部分(すなわち、補助刺激シグナル伝達ドメイン(複数可)および刺激シグナル伝達ドメイン)は細胞表面上で検出することができない。CARの細胞外ドメインの検出は、この細胞外ドメインに特異的に結合する抗体を用いて、または細胞外ドメインが結合可能な認識ドメイン、例えば修飾免疫グロブリンドメインによって、行うことができる。細胞外ドメインは、これらの抗体、抗原または認識ドメインを用いて、フローサイトメトリーまたは顕微鏡法により検出することができる。
形質導入された細胞は、任意の免疫細胞であってよい。これらには、B細胞、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラー(NK)T細胞、γδT細胞、自然リンパ球、マクロファージ、単球、樹状細胞、または好中球および不死化細胞株が含まれるが、これらに限定されない。優先的には、上記免疫細胞は、リンパ球、優先的にはNKもしくはT細胞またはこれらに由来する不死化細胞株であろう。上記T細胞には、CD4 T細胞およびCD8 T細胞が含まれる。白血球表面でのCARのトリガリングにより、上記細胞は、その起源となる系列に関係なく、細胞標的細胞に対して反応するようになる。活性化は、CARに対して選択された刺激シグナル伝達ドメインまたは補助刺激シグナル伝達ドメインに関係なく起こり、追加のサイトカインの外因性供給には依存しない。
形質導入された細胞は、さらなる核酸分子、例えば、本明細書に記載の応答エレメントをコードする核酸分子と同時形質導入されてもよい。
形質導入された細胞は、好ましくは、それらの自然環境の外で、制御された条件下で増殖される。特に、「培養する」という用語は、細胞(例えば形質導入された細胞)がin vitroであることを意味する。細胞を培養することは、元の組織源から分離された細胞を生きたまま維持するための実験技術である。本明細書において、本発明に従って用いられる形質導入細胞は、導入された遺伝子の上記形質導入細胞内または上記形質導入細胞上での発現を可能にする条件下で培養される。導入遺伝子の発現を可能にする条件は、当技術分野で一般的に知られている。
本明細書でさらに提供されるのは、本発明に従って使用される1または複数のCARをコードする核酸およびベクターである。核酸分子は、調節エレメントの制御下にあってもよい。例えば、プロモーター、転写エンハンサー、および/またはCARの誘導発現を可能にする配列を使用することができる。本発明の文脈において、核酸分子は、構成的または誘導性プロモーターの制御下で発現される。適切なプロモーターは、例えば、CMVプロモーター(Qin et al.,PLoS One 5(5)(2010),e10611)、UBCプロモーター(Qin et al.,PLoS One 5(5)(2010),e10611)、PGK(Qin et al.,PLoS One 5(5)(2010),e10611)、EF1Aプロモーター(Qin et al.,PLoS One 5(5)(2010),e10611)、CAGGプロモーター(Qin et al.,PLoS One 5(5)(2010),e10611)、SV40プロモーター(Qin et al.,PLoS One 5(5)(2010),e10611)、COPIAプロモーター(Qin et al.,PLoS One 5(5)(2010),e10611)、ACT5Cプロモーター(Qin et al.,PLoS One 5(5)(2010),e10611)、TREプロモーター(Qin et al.,PLoS One.5(5)(2010),e10611)、Oct3/4プロモーター(Chang et al.,Molecular Therapy 9(2004),S367-S367(doi:10.1016/j.ymthe.2004.06.904))、またはNanogプロモーター(Wu et al.,Cell Res.15(5)(2005),317-24)である。本明細書において、ベクターという用語は、それが導入された細胞(すなわち、形質導入細胞)において自律的に複製することができる環状または直鎖状の核酸分子をいう。多くの適切なベクターが分子生物学の当業者に知られており、その選択は、所望の機能に依存し、プラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージ、および遺伝子工学で従来から使用されている他のベクターを含む。様々なプラスミドおよびベクターを構築するために、当業者に周知の方法を使用することができる。例えば、Sambrookら(loc cit.)およびAusubel,Current Protocols in Molecular Biology,Green Publishing Associates and Wiley Interscience,N.Y.(1989),(1994)に記載されている技術を参照されたい。あるいは、ポリヌクレオチドおよびベクターは、標的細胞への送達のためにリポソームに再構成することができる。関連する配列は、特定のポリペプチドの発現が必要とされる発現ベクターに移すことができる。典型的なクローニングベクターには、pBluescript SK、pGEM、pUC9、pBR322、pGA18およびpGBT9が含まれる。典型的な発現ベクターには、pTRE、pCAL-n-EK、pESP-1、pOP13CATが含まれる。ベクターは、ポリシストロニックであり得る。そのような調節エレメント(制御エレメント)は当業者に知られており、プロモーター、スプライスカセット、翻訳開始コドン、およびベクター(複数可)にインサートを導入するための翻訳および挿入部位を含み得る。本発明の文脈において、上記核酸分子(複数可)は、真核細胞または原核細胞での発現を可能にする上記発現制御配列に作動可能に結合している。上記ベクター(複数可)は、本明細書に記載のCARをコードする核酸分子を含む発現ベクターであることが想定される。作動可能に結合しているとは、そのように記載されている構成要素が意図されたように機能することを可能にする関係にある並置を指す。コード配列に作動可能に結合した制御配列は、コード配列の発現が制御配列に適合する条件下で達成されるような方法でライゲーションされる。制御配列がプロモーターである場合、二本鎖核酸が好ましく使用されることは当業者にとって明らかである。
本発明の文脈において、記載のベクター(複数可)は、発現ベクターである。発現ベクターは、選択された細胞を形質転換するために使用することができるコンストラクトであって、選択された細胞におけるコード配列の発現を提供するコンストラクトである。発現ベクター(複数可)は、例えば、クローニングベクター(複数可)、バイナリーベクター(複数可)、または組み込みベクター(複数可)であり得る。発現は、好ましくは核酸分子を翻訳可能なmRNAに転写することを含む。原核生物および/または真核細胞における発現を確実にする調節エレメントは、当業者によく知られている。真核細胞の場合、それらは通常、転写の開始を確実にするプロモーターと、転写の終了および転写物の安定化を確実にする任意選択のポリAシグナルとを含む。原核生物宿主細胞での発現を可能にする、考えらえる調節エレメントとしては例えば、大腸菌のPL、lac、trpまたはtacプロモーターが含まれ、真核生物宿主細胞での発現を可能にする調節エレメントの例は、酵母のAOX1もしくはGAL1プロモーター、または哺乳類および他の動物細胞のCMVプロモーター、SV40、RSVプロモーター(ラウス肉腫ウイルス)、CMVエンハンサー、SV40エンハンサーもしくはグロビンイントロンである。
このような調節エレメントは、転写の開始に関与するエレメントの他に、ポリヌクレオチドの下流に、SV40-ポリ-A部位またはtk-ポリ-A部位などの転写終止シグナルを含んでいてもよい。さらに、使用される発現系によっては、ポリペプチドを細胞区画に誘導するか、または培地中に分泌することができるシグナルペプチドをコードするリーダー配列が、引用された核酸配列のコード配列に付加されてもよく、当技術分野でもよく知られている。例えば、別記の実施例も参照されたい。
リーダー配列(複数可)は、翻訳、開始および終止配列と適切な段階で組み合わされ、好ましくは、翻訳されたタンパク質またはその一部を細胞周辺腔または細胞外培地に分泌するように指示することができるリーダー配列である。任意選択的に、異種配列は、所望の特性、例えば、発現された組換え産物の安定化または簡略化された精製を与えるN末端同定ペプチドを含むCARをコードすることができる。この文脈において、適切な発現ベクターは、当技術分野で知られており、例えば、Okayama-Berg cDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(Invitrogene)、pEF-DHFR、pEF-ADAまたはpEF-neo(Raum et al. Cancer Immunol Immunother 50 (2001), 141-150)またはpSPORT1(GIBCO BRL)である。
T細胞またはその前駆細胞に導入される記載の核酸分子(複数可)またはベクター(複数可)は、細胞のゲノムに組み込まれるか、または染色体外に維持され得る。
例示的な実施態様
1.試料中の腫瘍細胞の存在を判定するための診断アッセイであって、以下のステップ:
a)試料を、抗原結合ドメインと認識ドメインとを含む抗原結合分子と接触させるステップであって、抗原結合ドメインが、腫瘍細胞に特異的に結合可能な標的抗原結合部分を含む、接触させるステップ;
b)試料を、キメラ抗原受容体(CAR)発現レポーターT(CAR-T)細胞と接触させるステップであって、レポーターCAR-T細胞が、
i.応答エレメントに作動可能に結合されており、認識ドメインに特異的に結合可能なCAR;
ii.応答エレメントの制御下にあるレポーター遺伝子;
を含む、接触させるステップ:および
c)レポーター遺伝子の発現を測定して腫瘍細胞の存在を確認することにより、T細胞の活性化を判定するステップ
を含む診断アッセイである。
2.CARが、認識ドメインに特異的に結合可能な抗原結合部分を含む、実施態様1の診断アッセイ。
3.抗原結合分子が抗原結合ドメインと認識ドメインとを含み、抗原結合ドメインが標的抗原結合部分を含み、CARが、認識ドメインに特異的に結合することができる、実施態様1または2の診断アッセイ。
4.抗原結合ドメインおよび認識ドメインが免疫グロブリンドメインまたはその断片である、実施態様1から3のいずれか1つに記載の診断アッセイ。
5.抗原結合ドメインおよび認識ドメインが、抗体、Fcドメイン、Fab断片、クロスオーバーFab断片、単鎖Fab断片、Fv断片、scFv断片、単一ドメイン抗体、VH、またはこれらの断片からなる群から個別に選択される、実施態様1から4のいずれか1つの診断アッセイ。
6.抗原結合ドメインがFab断片であり、認識ドメインがFcドメインである、実施態様1から5のいずれか1つの診断アッセイ。
7.抗原結合分子が、IgGクラス抗体、特にIgG1またはIgG4アイソタイプ抗体である、実施態様1から6のいずれか1つの診断アッセイ。
8.認識ドメインが変異Fcドメインであり、変異Fcドメインが、非変異親Fcドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、CARが、変異Fcドメインに特異的に結合することはできるが、非変異親Fcドメインには特異的に結合することができない、実施態様1から7のいずれか1つの診断アッセイ。
9.変異Fcドメインが、EU番号付けによるL234、L235、I253、H310、P331、P329およびH435からなる群から選択される位置に少なくとも1つのアミノ酸変異を含み、特にアミノ酸変異がL234A、L235A、I253A、N297A、H310A、P329G、P331Gおよび/またはH435Aである、実施態様8の診断アッセイ。
10.変異体Fcドメインは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基117、118、136、180、193、212、214および318からなる群から選択される位置にアミノ酸置換を含み、特に、変異体ヒトIgG1 Fcは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基117にロイシンからアラニン、残基118にロイシンからアラニン、位置136にイソロイシンからアラニン、残基180にアスパラギンからアラニン、残基193にヒスチジンからアラニン、残基212にプロリンからグリシン、残基214にプロリンからグリシン、および/または残基318にヒスチジンからアラニンへのアミノ酸置換を含む、実施態様8または9の診断アッセイ。
11.変異体Fcドメインは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基212の位置にアミノ酸置換を含み、特に、変異体Fcドメインは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基212にプロリンからグリシンへのアミノ酸置換を含む、実施態様8から10のいずれか1つの診断アッセイ。
12.変異Fcドメインが、EU番号付けによるアミノ酸変異P329Gを含む、実施態様8から11のいずれか1つの診断アッセイ。
13.抗原結合ドメインと認識ドメインが同じドメイン、特にFab断片である、実施態様1から5のいずれか1つの診断アッセイ。
14.認識ドメインがタグを含む、実施態様1から13のいずれか1つの診断アッセイ。
15.CARが、タグを含む認識ドメインに特異的に結合することはできるが、タグを含まない認識ドメインには特異的に結合することができない、実施態様14の診断アッセイ。
16.タグがハプテン分子である、実施態様14または15の診断アッセイ。
17.ハプテン分子が認識ドメインに結合されている、実施態様16の診断アッセイ。
18.ハプテン分子が認識ドメインに共有結合的に結合されている、実施態様16の診断アッセイ。
19.ハプテン分子が認識ドメインに非共有結合的に結合されている、実施態様16の診断アッセイ。
20.ハプテン分子が、ビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)およびフルオレセイン(FITC)からなる群から選択される、実施態様16の診断アッセイ。
21.タグがポリペプチドタグである、実施態様14または15の診断アッセイ。
22.ポリペプチドタグは、1‐30アミノ酸、1‐25アミノ酸、1‐20アミノ酸、1‐15アミノ酸または1‐10アミノ酸の長さを有する、実施態様21の診断アッセイ。
23.ポリペプチドタグが、C末端において認識ドメインのN末端に、場合によりペプチドリンカーを介して、接続されている、実施態様21または22の診断アッセイ。
24.ポリペプチドタグが、N末端において認識ドメインのC末端に、場合によりペプチドリンカーを介して、接続されている、実施態様21または22の診断アッセイ。
25.ポリペプチドタグは、mycタグ、HAタグ、Aviタグ、FLAGタグ、Hisタグ、GCN4タグおよびNEタグからなる群から選択される、実施態様22から24のいずれか1つの診断アッセイ。
26.CARが、少なくとも1つの細胞内刺激シグナル伝達および/または補助刺激シグナル伝達ドメインを含む、実施態様1から25のいずれか1つの診断アッセイ。
27.標的抗原結合部分の標的抗原への結合および抗原結合部分の認識ドメインへの結合が、細胞内シグナル伝達および/または補助シグナル伝達ドメインの活性化をもたらす、実施態様26の診断アッセイ。
28.細胞内シグナル伝達および/または補助シグナル伝達ドメインの活性化が応答エレメントの活性化をもたらす、実施態様26または27の診断アッセイ。
29.応答エレメントがレポーター遺伝子の発現を制御する、実施態様1から28のいずれか1つの診断アッセイ。
30.応答エレメントの活性化がレポーター遺伝子の発現をもたらす、実施態様1から29のいずれか1つの診断アッセイ。
31.応答エレメントがNFAT経路、NF-κB経路またはAP-1経路の一部である、実施態様1から30のいずれか1つの診断アッセイ。
32.レポーター遺伝子が発光タンパク質をコードしている、実施態様1から31のいずれか1つの診断アッセイ。
33.レポーター遺伝子が緑色蛍光タンパク質(GFP)またはルシフェラーゼをコードしている、実施態様1から32のいずれか1つの診断アッセイ。
34.標的抗原結合部分が、腫瘍細胞の表面上の腫瘍標的抗原に特異的に結合することができる、実施態様1から33のいずれか1つの診断アッセイ。
35.腫瘍標的抗原が細胞表面抗原および/または細胞表面受容体である、実施態様34の診断アッセイ。
36.腫瘍標的抗原が、CD20、CD38、CD138、CEA、EGFR、FolR1、HER2、LeY、MCSP、STEAP1、TYRP1およびWT1、またはこれらの断片からなる群から選択される、実施態様34または35の診断アッセイ。
37.腫瘍標的抗原が、ヒト主要組織適合複合体(MHC)の分子に結合したペプチドである、実施態様34から36のいずれか1つの診断アッセイ。
38.標的抗原結合部分がT細胞受容体様(TCRL)抗原結合部分である、実施態様37の診断アッセイ。
39.試料が、疾患に罹患している個体に由来する患者試料であり、特に疾患ががんである、実施態様1から38のいずれか1つの診断アッセイ。
40.以下のステップ:
c)レポーター遺伝子の発現を基準と比較するステップ
をさらに含む、実施態様1から39のいずれか1つの診断アッセイ。
41.基準が基準試料の存在下でのレポーター遺伝子の発現であり、基準試料が腫瘍細胞を含まない、実施態様40の診断アッセイ。
42.レポーター遺伝子の発現は、基準試料の存在下でのレポーター遺伝子の発現の少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、100倍、1000倍、または10000倍である、実施態様41の診断アッセイ。
43.試料が患者試料である、実施態様1から42のいずれか1つの診断アッセイ。
44.以下のステップ:
d)基準の存在下でのレポーター遺伝子の発現に対する患者試料の存在下でのレポーター遺伝子の発現が予め定められた閾値よりも高い場合に、腫瘍細胞の存在を確認するステップ
をさらに含む、実施態様43の診断アッセイ。
45.基準が基準試料の存在下でのレポーター遺伝子の発現であり、基準試料が腫瘍細胞を含まない、実施態様44の診断アッセイ。
46.閾値が2、3、4、5、10、100、1000または100000である、実施態様44または45の診断アッセイ。
47.患者が哺乳動物であり、特に患者がヒトである、実施態様1から46のいずれか1つの診断アッセイ。
48.
(a)腫瘍細胞に特異的に結合可能な抗原結合分子;および
(b)(i)抗原結合分子に特異的に結合可能なCARと(ii)応答エレメントの制御下にあるレポーター遺伝子とを含む形質導入T細胞であって、CARが応答エレメントに作動的に結合されている、形質導入T細胞
を含む診断キット。
49.抗原結合分子が、腫瘍細胞の表面上の腫瘍標的抗原に特異的に結合可能な標的抗原結合部分を含む、実施態様48の診断キット。
50.腫瘍標的抗原が細胞表面抗原および/または細胞表面受容体である、実施態様49の診断キット。
51.腫瘍標的抗原が、CD20、CD38、CD138、CEA、EGFR、FolR1、HER2、LeY、MCSP、STEAP1、TYRP1およびWT1、またはこれらの断片からなる群から選択される、実施態様49または50の診断キット。
52.腫瘍標的抗原が、ヒト主要組織適合複合体(MHC)の分子に結合したペプチドである、実施態様49から51のいずれか1つの診断キット。
53.標的抗原結合部分がT細胞受容体様(TCRL)抗原結合部分である、実施態様52の診断キット。
54.抗原結合分子が、IgGクラス抗体、特にIgG1もしくはIgG4アイソタイプ抗体またはその断片である、実施態様48から53のいずれか1つの診断キット。
55.抗原結合分子が変異Fcドメインを含み、変異Fcドメインが、非変異親Fcドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、CARが、変異Fcドメインに特異的に結合することはできるが、非変異親Fcドメインには特異的に結合することができない、実施態様48から54のいずれか1つの診断キット。
56.変異Fcドメインが、EU番号付けによるL234、L235、I253、H310、P331、P329およびH435からなる群から選択される位置に少なくとも1つのアミノ酸変異を含み、特にアミノ酸変異がL234A、L235A、I253A、N297A、H310A、P329G、P331Gおよび/またはH435Aである、実施態様55の診断キット。
57.変異体Fcドメインは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基117、118、136、180、193、212、214および318からなる群から選択される位置にアミノ酸置換を含み、特に、変異体ヒトIgG1 Fcは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基117にロイシンからアラニン、残基118にロイシンからアラニン、位置136にイソロイシンからアラニン、残基180にアスパラギンからアラニン、残基193にヒスチジンからアラニン、残基212にプロリンからグリシン、残基214にプロリンからグリシン、および/または残基318にヒスチジンからアラニンへのアミノ酸置換を含む、実施態様55または56の診断キット。
58.変異体Fcドメインは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基212の位置にアミノ酸置換を含み、特に、変異体Fcドメインは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基212にプロリンからグリシンへのアミノ酸置換を含む、実施態様55から57のいずれか1つの診断キット。
59.変異Fcドメインが、EU番号付けによるアミノ酸変異P329Gを含む、実施態様55から58のいずれか1つの診断キット。
60.抗原結合分子がタグを含み、CARが、タグを含む抗原結合分子に特異的に結合することはできるが、タグを含まない抗原結合分子には特異的に結合することができない、実施態様48から54のいずれか1つの診断キット。
61.タグがハプテン分子である、実施態様60の診断キット。
62.ハプテン分子が、ビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)およびフルオレセイン(FITC)からなる群から選択される、実施態様61の診断キット。
63.タグがポリぺプチドタグである、実施態様62の診断キット。
64.ポリペプチドタグが、1‐30アミノ酸、1‐25アミノ酸、1‐20アミノ酸、1‐15アミノ酸または1‐10アミノ酸の長さを有する、実施態様63の診断キット。
65.ポリペプチドタグが、mycタグ、HAタグ、Aviタグ、FLAGタグ、Hisタグ、GCN4タグおよびNEタグからなる群から選択される、実施態様63または64の診断キット。
66.がんの診断における使用のための、実施態様48から65のいずれか1つの診断キット。
67.抗腫瘍治療の有効性をモニタリングするための方法であって、抗腫瘍治療を受けた対象から試料を提供することと、実施態様1から47のいずれか1つの診断アッセイまたは実施態様48から66のいずれか1つの診断キットを用いて腫瘍細胞の存在を判定することとを含む、方法。
68.腫瘍に罹患している患者へのT細胞活性化抗原結合分子の投与による抗腫瘍治療の有効性を予測するための方法であって、対象から試料を提供することと、実施態様1から47のいずれか1つの診断アッセイまたは実施態様48から66のいずれか1つの診断キットを用いてレポーター遺伝子の発現を判定することとを含む方法であって、T細胞活性化抗原結合分子がアッセイまたはキットにおいて抗原結合分子として使用され、レポーター遺伝子の発現が抗腫瘍治療の有効性を予測するための指標となる、方法。
69.実施例のいずれかまたは添付の図面のいずれか1つを参照して前述した本明細書の診断アッセイおよび方法。
以下は本発明の方法および組成物の例である。上に提供された一般的な説明を前提として、他の様々な実施態様が実施され得ることが理解される。
組換えDNA技術
Sambrookら,Molecular cloning:A laboratory manual;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989に記載されているように、標準的な方法を使用してDNAを操作した。分子生物学的試薬を製造者の指示書に従って使用した。ヒト免疫グロブリン軽鎖および重鎖のヌクレオチド配列に関する一般的な情報は、Kabat,E.A.ら,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版,NIH Publication No91-3242に示されている。
DNAシークエンシング
DNA配列は、二本鎖シークエンシングにより決定された。
遺伝子合成
所望の遺伝子セグメントは、適切なテンプレートを用いるPCRによって生成されたか、または遺伝子自動合成による合成オリゴヌクレオチドおよびPCR産物からGeneart社(ドイツ、レーゲンスブルク)によって合成された。単一の制限エンドヌクレアーゼ切断部位に隣接する遺伝子セグメントを、標準的なクローニング/シークエンシングベクターにクローニングした。形質転換した細菌からプラスミドDNAを精製し、UV分光法により濃度を決定した。サブクローニングされた遺伝子断片のDNA配列を、DNAシークエンシングによって確認した。遺伝子セグメントは、それぞれの発現ベクターへのサブクローニングを可能にする適切な制限部位を用いて設計された。全てのコンストラクトは、真核細胞における分泌のためのタンパク質を標的とするリーダーペプチドをコードする、5’末端DNA配列を含むように設計された。
タンパク質の精製
標準的なプロトコールを参照して、ろ過された細胞培養上清からタンパク質を精製した。簡潔には、抗体を、プロテインA-セファロースカラム(GEヘルスケア)に適用し、PBSで洗浄した。抗体の溶出はpH2.8で達成され、その直後に試料を中和した。凝集したタンパク質を、PBS中または20mMヒスチジン、150mM NaCl(pH6.0)中でのサイズ排除クロマトグラフィー(Superdex200,GEヘルスケア)により、単量体抗体から分離させた。単量体抗体画分をプールし、(必要な場合)例えばMILLIPORE Amicon Ultra(30MWCO)遠心濃縮機を使用して濃縮し、-20℃または-80℃で凍結保存した。これらの試料の一部が、例えばSDS-PAGEおよびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるその後のタンパク質解析および分析的特徴付けのために提供された。
SDS-PAGE
NuPAGE(登録商標)Pre-Castゲルシステム(Invitrogen)を製造者の指示書に従って使用した。特に、10%もしくは4-12%のNuPAGE(登録商標)Novex(登録商標)Bis-TRIS Pre-Castゲル(pH6.4)およびNuPAGE(登録商標)MES(還元ゲル、NuPAGE(登録商標)抗酸化剤ランニングバッファー添加剤を含む)またはMOPS(非還元ゲル)ランニングバッファーを使用した。
分析用サイズ排除クロマトグラフィー
抗体の凝集およびオリゴマー状態の決定のためのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を、HPLCクロマトグラフィーによって実施した。簡潔には、プロテインA精製抗体を、Agilent HPLC 1100システムでの300mM NaCl、50mM KHPO/KHPO(pH7.5)のTosoh TSKgel G3000SWカラムに、またはDionex HPLC-システムでの2xPBSのSuperdex200カラム(GEヘルスケア)に適用した。UV吸光度とピーク面積の積分により、溶出したタンパク質を定量化した。バイオ・ラッドのゲルろ過スタンダード151-1901が標準としての役割を果たした。
抗体産生
それぞれの抗体は、ポリエチレンイミンを使用して、HEK293-EBNA細胞を哺乳動物発現ベクターでコトランスフェクトすることによって産生され
た。細胞に、重鎖と軽鎖に1:1の割合で対応する発現ベクターをトランスフェクトした。
Jurkat NFATCAR-T細胞のレンチウイルス形質導入
レンチウイルスベクターを作製するために、構成的に活性なヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(CMV)下で、CARの正確なアセンブリのためのそれぞれのDNA配列を、インフレームでレンチウイルスポリヌクレオチドベクターにクローニングした。レトロウイルスベクターは、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)、中心ポリプリン路(cPPT)エレメント、pUC複製起点、および細菌における増殖と選択を促進する抗生物質耐性をコードする遺伝子を含んでいた。
機能性ウイルス粒子を作製するために、60-70%のコンフルエントなHek293Tセル(ATCC CRL3216)、ならびにCARを含むベクターおよびpCMV-VSV-G:pRSV-REV:pCgpV転写ベクターを3:1:1:1の割合で用いて、リポフェクタミンLTXTMベースのトランスフェクションを行った。48時間後に上清を採取し、250gで5分間遠心分離して細胞破片を除去し、0.45μmまたは0.22μmのポリエーテルスルホンフィルターを通してろ過した。Jurkat NFAT細胞(Signosis)の形質導入には濃縮ウイルス粒子(Lenti-xConcentrator,Takara)を用いた。陽性形質導入細胞を、FACS-ARIAソーター(BD Bioscience)を用いてプールまたは単一クローンとしてソートした。適切な密度まで細胞を増殖させた後、Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞を実験に用いた。
実施例1
抗CD20抗体GA101をジゴキシゲニル化し、ジゴキシゲニン(DIG)分子組み込みをウエスタンブロット解析で検証した。抗体とジゴキシゲニンのカップリング反応のために、20mM His 140mM NaCl(pH6)に溶解した抗体をまず脱塩し、ZebaTMスピン脱塩カラム(ThermoFisher カタログ#89889)を用いてバッファーを0.1M重炭酸ナトリウム(pH8)バッファーに交換した。抗体とジゴキシゲニン-3-O-メチルカルボニル-e-アミノカプロン酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(Sigma Aldrich カタログ#11333054001)の等モル以上(1:3の割合)の量を、シェーカーで室温で1時間、300rpmでインキュベートした。抗体-ジゴキシゲニンコンジュゲートを再び脱塩し、バッファーを20mM His 140mM NaCl(pH6)に交換した。非コンジュゲートDig‐NHSを同じステップで除去した(カットオフ7kDa)。
ジゴキシゲニニル化を、ウエスタンブロットにおいて抗ジゴキシゲニン‐AP Fab断片(Sigma Aldrich カタログ#11093274910)により検出した。それぞれの(非)コンジュゲート抗体1μgを総量20μlのNuPAGETMLDSサンプルバッファー(4X(ThermoFisher カタログ#NP0007)と混合し、95℃で5分間煮沸した。10μlをNuPAGETM4-12%Bis-Trisタンパク質ゲル1.0mm、10ウェル(ThermoFisher カタログ#NP0321)にロードし、1xNuPAGETMMES SDSランニングバッファー(カタログ#NP0002)中で170Vで1時間泳動させた。その後、トランスブロット(登録商標)TurboTM転写システム(バイオ・ラッド,カタログ#1704150、混合分子量標準プロトコール)を用いて、0,2μm PVDF膜(トランスブロット(登録商標)TurboTMパック,バイオ・ラッド カタログ#1704156)上にゲルをブロットした。1xTBS-Tバッファー中5%ミルクで膜を室温で1時間、オービタルシェーカーでブロックした。抗ジゴキシゲニン-AP Fab断片を5%ミルク/TBS-Tに1:2000で希釈し、オービタルシェーカーで室温で1時間インキュベートした。膜を1xTBS-Tで各10分間3回洗浄した。その後、BCIP(登録商標)/NBT-Blue膜用液体基質システム(Sigma Aldrich カタログ#B3804)2ml中で膜を1分間インキュベートした。再蒸留水で3回洗浄した後、膜を乾燥させ、記録した(図7)。
実施例2
Jurkat NFATレポーターCAR‐T細胞における抗ジゴキシゲニン‐ds‐scFv‐CD28ATD‐CD28DCD3zSSDの発現とジゴキシゲニン‐Cy5のCARへの結合をFACSにより確認した。抗ジゴキシゲニン-ds-scFv-CD28ATD-CD28DCD3zSSD導入Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞を300gで3分間室温でペレット化し、新鮮なRPMI-1640+10%FCS+1%Glutamax(増殖培地)に適量再懸濁させた。その後、3x10個の細胞を96ウェルプレートの各ウェルに添加し、一度300gで5分間スピンダウンし、2%FCSを含むPBS中の100μlに再懸濁させた。Dig‐Cy5を最終濃度20nMになるまで加え、氷上で45分間インキュベートした。その後、細胞をペレット化し、氷冷PBSに再懸濁させた。洗浄ステップをさらに2回繰り返した。その後、フローサイトメトリーにより細胞のCy5シグナル(APCチャネル)を解析した(図8)。陰性対照として、非形質導入Jurkat NFAT細胞を同様に処理し、解析した。
実施例3
ここに記載されているのは、CD20を発現するSUDHDL4腫瘍細胞を標的細胞として、および抗ジゴキシゲニン-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSDCD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞のソート済みのプールをレポーター細胞として用いる、レポーターCAR-T細胞アッセイである(図9)。ジゴキシゲニル化(Digoxygeninylated)GA101IgG(抗体:Dig-NHS比1:10)をIgGとして使用したが、これは、一方では腫瘍抗原を認識し、他方では形質導入されたJurkat NFATレポーターCAR-T細胞によって認識される。陽性対照として、96ウェルプレート(Cellstar Greiner-bio-one、カタログ#655185)に、CD3抗体(Biolegend(登録商標)から)を10μg/ml含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を一晩4℃で、または37℃で少なくとも1時間コーティングした。CD3でコーティングされたウェルをPBSで2回洗浄し、最後の洗浄ステップの後、PBSを完全に除去した。レポーター細胞またはJurkat NFAT野生型細胞を計数し、Cedex HiResを用いてその生存率をチェックした。細胞数は、1x10生細胞/mlに調整した。したがって、細胞懸濁液の適切なアリコートを210gで5分間、室温(RT)でペレット化し、新鮮なRPMI-1640+10%FCS+1%Glutamax(増殖培地)に再懸濁させた。目的の抗原を発現する標的細胞を計数し、それらの生存率についてもチェックした。細胞数は、増殖培地中、1x10生細胞/mlに調整した。標的細胞とレポーター(エフェクター)細胞を、96ウェル懸濁培養プレート(Greiner-bio one)に、E(エフェクター細胞):T(標的細胞)比5:1で3連で蒔いた(ウェル当たり合計110.000細胞)。次のステップとして、目的の抗原を標的とするジゴキシゲニニル化GA101抗体の段階希釈液を、2mlのディープウェルプレート(Axygen(登録商標))を用いて増殖培地で調製した。ウェル当たり200μlの最終体積で1μg/ml‐0.01pg/mlの範囲の最終濃度を得るために、50μlアリコートの異なる希釈物をそれぞれのウェルにピペットで移した。96ウェルプレートを190gおよび室温で2分間遠心分離した。Parafilm(登録商標)で密封し、湿度雰囲気中、37℃および5%COでプレートをインキュベートした。20時間のインキュベーション後、マルチチャンネルピペットを用いて10回上下にピペッティングすることより、各ウェルの内容物を混合した。100μl細胞懸濁液を新しい白色フラットクリアボトム96ウェルプレート(Greiner‐bio‐one)に移し、100μlのONE‐GloTMルシフェラーゼアッセイ(Promega)を加えた。ロータリーシェーカーで300rpm、室温暗所で15分インキュベートした後、Tecan(登録商標)Spark10Mプレートリーダーを用いてウェル当たり1秒の検出時間で発光を測定した。標的細胞とレポーター細胞を5:1の比率で20時間共培養すると(灰色の丸)、ジゴキシゲニル化GA101 IgGを抗体として用いた場合、グラフは抗ジゴキシゲニン-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSDCD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の用量依存的な活性化を示す(図9)。ジゴキシゲニニル化を伴わないGA101 IgGを用いた場合(図9、灰色の四角形で描画)、形質導入されたJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の活性化は検出できなかった。1μg/mlのジゴキシゲニニル化GA101とインキュベートしたが標的細胞なしでインキュベートしたさらなるJurkat NFAT野生型細胞は、いかなる活性化も示さなかった(図9黒い四角形)。対照的に、抗ジゴキシゲニン-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSDCD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞を、標的細胞なしで、1μg/mlのジゴキシゲニニル化GA101 IgGとインキュベートしたところ、活性化を示した(図9黒い三角)。
ポイントは各々、3反復の技術的反復実験(technical triplicates)の平均値を表す。値は全て、ベースライン補正したものとして描いている。標準偏差はエラーバーで表示している。
実施例4
ここに記載されているのは、CD20を発現するSUDHDL4腫瘍細胞を標的細胞として、および抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞のソート済みのプール(図11A)または抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞のプール(図11B)をレポーター細胞として用いる、Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイである。P329G LALA変異を伴うGA101IgGをIgGとして使用したが、これは、一方では腫瘍抗原を認識し、他方では形質導入されたJurkat NFATレポーターCAR-T細胞によって認識される。陽性対照として、96ウェルプレート(Cellstar Greiner-bio-one、カタログ#655185)に、CD3抗体(Biolegend(登録商標)から)10μg/mlを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を一晩4℃で、または37℃で少なくとも1時間コーティングした。CD3でコーティングされたウェルをPBSで2回洗浄し、最後の洗浄ステップの後、PBSを完全に除去した。レポーター細胞またはJurkat NFAT野生型細胞を計数し、Cedex HiResを用いてその生存率をチェックした。細胞数は、1x10生細胞/mlに調整した。したがって、細胞懸濁液の適切なアリコートを210gで5分間、室温(RT)でペレット化し、新鮮なRPMI-1640+10%FCS+1%Glutamax(増殖培地)に再懸濁させた。目的の抗原を発現する標的細胞を計数し、それらの生存率についてもチェックした。細胞数は、レポーター細胞について記載したのと同様に、増殖培地中、1x10生細胞/mlに調整した。標的細胞とレポーター細胞を、96ウェル懸濁培養プレート(Greiner-bio one)に、E:T比5:1または1:1のおのおので3連ずつ蒔いた(ウェル当たり合計110.000細胞)。次のステップとして、目的の抗原を標的とするP329G LALA変異を伴うGA101の段階希釈液を、2mlのディープウェルプレート(Axygen(登録商標))を用いて増殖培地で調製した。ウェル当たり200μlの最終体積で1μg/ml‐0.0001μg/mlの範囲の最終濃度を得るために、50μlアリコートの異なる希釈物をそれぞれのウェルにピペットで移した。96ウェルプレートを190gおよび室温で2分間遠心分離した。Parafilm(登録商標)で密封し、湿度雰囲気中、37℃および5%COでプレートをインキュベートした。20時間のインキュベーション後、マルチチャンネルピペットを用いて各ウェルの内容物を10回上下にピペッティングすることより混合した。100μl細胞懸濁液を新しい白色フラットクリアボトム96ウェルプレート(Greiner‐bio‐one)に移し、100μlのONE‐GloTMルシフェラーゼアッセイ(Promega)を加えた。ロータリーシェーカーで300rpm、室温暗所で15分インキュベートした後、Tecan(登録商標)Spark10Mプレートリーダーを用いてウェル当たり1秒の検出時間で発光を測定した。
標的細胞とレポーター細胞を5:1(丸)または1:1(四角形)の比で20時間共培養すると、P329G LALA変異を伴うGA101 IgGを抗体として使用した場合(図11AおよびB、黒で描画)、グラフは、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞および抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の用量依存的な活性化を示す。P329G LALA変異を伴わないGA101 IgG(図11AおよびB、灰色で描画)を用いた場合、形質導入されたJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の活性化は検出できなかった。ポイントは各々、各2反復の技術的反復実験として実施された、2反復の生物学的反復実験(biological duplicates)の平均値を表す。値は全て、ベースライン補正したものとして描いている。標準偏差はエラーバーで表示している。
実施例5
ここに記載されているのは、CD20を発現するSUDHDL4(図12Cおよび12D)またはWSUDLCL2(図12Aおよび12B)腫瘍細胞を標的細胞として、および抗P329G-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現する単一クローンJurkat NFAT細胞をレポーター細胞として用いる、Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイである。P329G LALA変異を伴うGA101IgGをIgGとして使用したが、これは、一方では腫瘍抗原を認識し、他方ではJurkat NFATレポーターCAR-T細胞によって認識される。レポーター細胞またはJurkat NFAT野生型細胞を計数し、Cedex HiResを用いてその生存率をチェックした。細胞数は、1x10生細胞/mlに調整した。したがって、細胞懸濁液の適切なアリコートを210gで5分間、室温(RT)でペレット化し、新鮮なRPMI-1640+10%FCS+1%Glutamax(増殖培地)に再懸濁させた。目的の抗原を発現する標的細胞を計数し、それらの生存率についてもチェックした。細胞数は、レポーター細胞について記載したのと同様に、増殖培地中、1x10生細胞/mlに調整した。標的細胞とレポーター細胞を、96ウェル懸濁培養プレート(Greiner-bio one)にE:T比10:1、5:1または1:1のいずれかで3連ずつ蒔いた(ウェル当たり合計110.000細胞)。次のステップとして、目的の抗原を標的とするP329G LALA変異を伴うGA101の段階希釈液を、2mlのディープウェルプレート(Axygen(登録商標))を用いて増殖培地で調製した。ウェル当たり200μlの最終体積で1μg/ml‐0.0001μg/mlの範囲の最終濃度を得るために、50μlアリコートの異なる希釈物をそれぞれのウェルにピペットで移した。96ウェルプレートを190gおよび室温で2分間遠心分離した。Parafilm(登録商標)で密封し、湿度雰囲気中、37℃および5%COでプレートをインキュベートした。20時間のインキュベーション後、マルチチャンネルピペットを用いて各ウェルの内容物を10回上下にピペッティングすることより混合した。100μl細胞懸濁液を新しい白色フラットクリアボトム96ウェルプレート(Greiner‐bio‐one)に移し、100μlのONE‐GloTMルシフェラーゼアッセイ(Promega)を加えた。ロータリーシェーカーで300rpm、室温暗所で15分インキュベートした後、Tecan(登録商標)Spark10Mプレートリーダーを用いてウェル当たり1秒の検出時間で発光を測定した。
10:1(丸)、5:1(四角形)または1:1(三角形)の割合で標的細胞とレポーター細胞を20時間共培養すると、グラフは、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の、P329G LALAを伴うGA101 IgG(図12A-D、黒で描画)用量依存的な活性化を示す。P329G LALA変異を伴わないGA101 IgGが使用された場合(図12A-D、灰色で描画)、形質導入されJurkat NFATレポーターCAR-T細胞のわずかな活性化のみが、1μg/mlの最も高い抗体濃度で検出された。ポイントは各々、2反復の技術的反復実験の平均値を表す。値は全て、ベースライン補正したものとして描いている。標準偏差はエラーバーで表示している。
実施例6
ここに記載されているのは、接着性FAPを発現するNIH/3T3-huFAP cl 19腫瘍細胞を標的細胞として用いて実施した、Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイである。レポーター細胞として、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞(図13A)または抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞(図13C)のソート済みのプールを使用した。P329G LALA変異を伴うFAP 4B9 IgGをIgGとして使用したが、これは、一方では腫瘍抗原を認識し、他方ではJurkat NFATレポーターCAR-T細胞によって認識される。アイソタイプ対照として、P329G LALA変異を伴うIgG DP47/vk3を含めた。陽性対照として、96ウェルプレート(Cellstar Greiner-bio-one、カタログ#655185)のウェルに、CD3抗体(Biolegend(登録商標)から)10μg/mlを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を37℃で少なくとも1時間コーティングした。CD3でコーティングされたウェルをPBSで2回洗浄し、最後の洗浄ステップの後、PBSを完全に除去した。接着性NIH/3T3‐huFAP cl 19標的細胞をPBSで1回洗浄し、トリプシンで剥離させた。剥離した細胞をDMEM+4.5g LD-グルコース+L-グルタミン+25mM HEPES+10%FCSおよび1%Glutamaxに再懸濁させた。レポーター細胞またはJurkat NFAT野生型細胞を計数し、Cedex HiResを用いてその生存率をチェックした。細胞数は、1x10生細胞/mlに調整した。したがって、細胞懸濁液の適切なアリコートを210gで5分間、室温(RT)でペレット化し、新鮮なRPMI-1640+10%FCS+1%Glutamax(増殖培地)に再懸濁させた。目的の抗原を発現する標的細胞を計数し、それらの生存率についてもチェックした。細胞数は、レポーター細胞について記載したのと同様に、増殖培地中、1x10生細胞/mlに調整した。標的細胞とレポーター細胞を、96ウェル懸濁培養プレート(Greiner-bio one)にE:T比5:1で3連で蒔いた(ウェル当たり合計110.000細胞)。次のステップとして、目的の抗原を標的とするP329G LALA変異を伴うGA101の段階希釈液を、2mlのディープウェルプレート(Axygen(登録商標))を用いて増殖培地で調製した。ウェル当たり200μlの最終体積で1μg/ml‐0.0001μg/mlの範囲の最終濃度を得るために、50μlアリコートの異なる希釈物をそれぞれのウェルにピペットで移した。96ウェルプレートを190gおよび室温で2分間遠心分離した。Parafilm(登録商標)で密封し、湿度雰囲気中、37℃および5%COでプレートをインキュベートした。20時間のインキュベーション後、マルチチャンネルピペットを用いて各ウェルの内容物を10回上下にピペッティングすることより混合した。100μl細胞懸濁液を新しい白色フラットクリアボトム96ウェルプレート(Greiner‐bio‐one)に移し、100μlのONE‐GloTMルシフェラーゼアッセイ(Promega)を加えた。ロータリーシェーカーで300rpm、室温暗所で15分インキュベートした後、Tecan(登録商標)Spark10Mプレートリーダーを用いてウェル当たり1秒の検出時間で発光を測定した。
図13Bおよび13Dは、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞(図13D)または抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞(図13B)のいずれも標的細胞および1μg/mlのFAP 4B9抗体と共培養し、様々な対照条件と比較したデータを示す。
Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞(図13Bおよび13D黒い三角形)および標的細胞のみ(図13Bおよび13D黒い逆三角形)は、1μg/mlのFAP 4B9 P329G LALAとインキュベートすると、検出可能な発光信号を示さない。
また、Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞は、標的細胞と1μg/mlのFAP 4B9抗体との共培養で発光シグナルを示さない(図13Bおよび図13D黒い菱形)。一方、標的細胞および1μg/mlのFAP 4B9抗体と共培養されたJurkat NFAT細胞のCD3依存性活性化は、検出可能な発光シグナルによりその機能性を証明している(白丸(withe dots))。
いずれも標的細胞および1μg/mlのFAP 4B9抗体と共培養した、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞のCD3依存性活性化(図13B 白い四角形)および抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の活性化(図13D 白い四角形で描画)は、CARが媒介する活性化とCD3が媒介する活性化との組み合わせであることから、全ての中で最も高い発光シグナルを示す。CARを標的細胞および1μg/mlのDP47/vk3抗体とインキュベートすると、CD3媒介発光シグナルも見える(図13Bおよび図13D、白い逆三角形)。ポイントは各々、3反復の技術的反復実験の平均値を表す。値は全て、ベースライン補正したものとして描いている。標準偏差はエラーバーで表示している。
実施例7
ここに記載されているのは、接着性CEAを発現するMKN45腫瘍細胞を標的細胞として用いるJurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイである。レポーター細胞として、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞(図14A)または抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞(図14C)のソート済みのプールを使用した。P329G LALA変異を伴うCEA A5B7 IgGまたはP329G LALA変異を伴うCEA T84 LCHA IgGのいずれかが使用された。さらに、アイソタイプ対照として、P329G LALA変異を伴うIgG DP47/vk3を含めた。
陽性対照として、96ウェルプレート(Greiner-bio-one、カタログ#655185)のウェルに、CD3抗体(Biolegend(登録商標)から)10μg/mlを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を37℃で1時間コーティングした。CD3でコーティングされたウェルをPBSで2回洗浄し、最後の洗浄ステップの後、PBSを完全に除去した。
接着性MKN45標的細胞をPBSで1回洗浄し、トリプシンで剥離させた。剥離した細胞をDMEM+4.5gLD-グルコース+L-グルタミン+25mM HEPES+10%FCSおよび1%Glutamaxに再懸濁させた。
レポーター細胞またはJurkat NFAT野生型細胞を計数し、Cedex HiResを用いてその生存率をチェックした。細胞数は、1x10生細胞/mlに調整した。したがって、細胞懸濁液の適切なアリコートを210gで5分間、室温(RT)でペレット化し、新鮮なRPMI-1640+10%FCS+1%Glutamax(増殖培地)に再懸濁させた。
目的の抗原を発現する標的細胞を計数し、それらの生存率についてもチェックした。細胞数は、レポーター細胞について記載したのと同様に、RPMI-1640+10%FCS+1%Glutamax中、1x10生細胞/mlに調整した。
標的細胞とレポーター細胞を、96ウェル懸濁培養プレート(Greiner-bio one)にE:T比5:1で3連で蒔いた(ウェル当たり合計110.000細胞)。
次のステップとして、目的の抗原を標的とするP329G LALA変異を伴う抗体の段階希釈液を、2mlのディープウェルプレート(Axygen(登録商標))を用いて増殖培地で調製した。ウェル当たり200μlの最終体積で1μg/ml‐0.0001μg/mlの範囲の最終濃度を得るために、50μlアリコートの異なる希釈物をそれぞれのウェルにピペットで移した。96ウェルプレートを190gおよび室温で2分間遠心分離した。Parafilm(登録商標)で密封し、湿度雰囲気中、37℃および5%COでプレートをインキュベートした。
20時間のインキュベーション後、マルチチャンネルピペットを用いて各ウェルの内容物を10回上下にピペッティングすることより混合した。100μl細胞懸濁液を新しい白色フラットクリアボトム96ウェルプレート(Greiner‐bio‐one)に移し、100μlのONE‐GloTMルシフェラーゼアッセイ(Promega)を加えた。ロータリーシェーカーで300rpm、室温暗所で15分インキュベートした後、Tecan(登録商標)Spark10Mプレートリーダーを用いてウェル当たり1秒の検出時間で発光を測定した。
標的細胞とレポーター細胞を5:1の比で20時間共培養すると(図14Aおよび14C、丸)、P329G LALA変異を伴う CEA A5B7を抗体として使用した場合(図14Aおよび14C、灰色の丸)、グラフは、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞および抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の用量依存的な活性化を示す。P329GLALA変異を伴うCEAT84 LCHAの使用は、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞に対してのみ用量依存的な活性化を示した(図14A黒い丸)。一方、P329G LALA変異を持つ抗体を使用した場合、抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の活性化は、1μg/mlの最も高い抗体濃度でのみ検出された。
P329G LALA変異を伴う対照抗体DP47/vk3 IgG(図14Aおよび14C、黒い三角形)を使用した場合、抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDJurkat NFATレポーターCAR-T細胞または抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の活性化は検出できなかった。ポイントは各々、3反復の技術的反復実験の平均値を表す。標準偏差はエラーバーで表示している。
図14Bおよび14Dは、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞(図14B)または抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞(図14D)のいずれも標的細胞および1μg/mlのCEA T8 LCHA P329G LALAもしくはCEA A5B7 P329G LALA抗体と共培養し、様々な対照条件と比較したデータを示す。
Jurkat NFATレポーターCAR T細胞のみ(図14Bおよび14D 黒い菱形)および標的細胞のみ(図14Bおよび14D 白い丸)は、1μg/mlのCEA T8 LCHA P329G LALAとインキュベートすると、検出可能な発光信号を示さない。
また、Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞は、標的細胞と1μg/mlのIgGとの共培養で発光シグナルを示さない(図14Bおよび図14D 白い四角形および白い菱形)。一方、標的細胞および1μg/mlのIgGと共培養されたJurkat NFATレポーターCAR-T細胞のCD3依存性活性化は、検出可能な発光シグナルによりその機能性を証明している(図14BおよびD 灰色の十字形)。
いずれも標的細胞および1μg/mlのIgGと共培養した、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDJurkat NFATレポーターCAR-T細胞のCD3依存性活性化(図14B 黒い星形と灰色の星形)および抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するNFAT T細胞の活性化(図14D 黒い星形と灰色の星形)は、CARが媒介する活性化とCD3が媒介する活性化との組み合わせであることから、全ての中で最も高い発光シグナルを示す。CARを標的細胞および1μg/mlのDP47/vk3抗体とインキュベートすると、CD3媒介発光シグナルも見える(図14Bおよび図14D、灰色のプラス)。ポイントは各々、3反復の技術的反復実験の平均値を表す。標準偏差はエラーバーで表示している。
実施例8
ここに記載されているのは、接着性TNCを発現するCT26TNC cl 19腫瘍細胞を標的細胞として用いるJurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイである。レポーター細胞として、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞(図15C)または抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞(図15A))のソート済みのプールを使用した。IgGとして、P329G LALA変異を伴うTNCA2B10を使用した。さらに、アイソタイプ対照として、P329G LALA変異を伴うIgG DP47/vk3を含めた。
陽性対照として、96ウェルプレート(Greiner-bio-one、カタログ#655185)のウェルに、CD3抗体(Biolegend(登録商標)から)10μg/mlを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を37℃で1時間コーティングした。CD3でコーティングされたウェルをPBSで2回洗浄し、最後の洗浄ステップの後、PBSを完全に除去した。
接着性CT26TNC cl 19標的細胞をPBSで1回洗浄し、トリプシンで剥離させた。剥離した細胞をRPMI-1630+10%FCSおよび1%Glutamax+15μg/mlピューロマイシンに再懸濁させた。
レポーター細胞またはJurkat NFAT野生型細胞を計数し、Cedex HiResを用いてその生存率をチェックした。細胞数は、1x10生細胞/mlに調整した。したがって、細胞懸濁液の適切なアリコートを210gで5分間、室温(RT)でペレット化し、新鮮なRPMI-160+10%FCS+1%Glutamax(増殖培地)に再懸濁させた。
目的の抗原を発現する標的細胞を計数し、それらの生存率についてもチェックした。細胞数は、レポーター細胞について記載したのと同様に、RPMI-1640+10%FCS+1%Glutamax中、1x10生細胞/mlに調整した。
標的細胞とレポーター細胞を、96ウェル懸濁培養プレート(Greiner-bio one)に3連で、E:T比5:1で蒔いた(ウェル当たり合計110.000細胞)。
次のステップとして、目的の抗原を標的とするP329G LALA変異を伴う抗体の段階希釈液を、2mlのディープウェルプレート(Axygen(登録商標))を用いて増殖培地で調製した。ウェル当たり200μlの最終体積で1μg/ml‐0.0001μg/mlの範囲の最終濃度を得るために、50μlアリコートの異なる希釈物をそれぞれのウェルにピペットで移した。96ウェルプレートを190gおよび室温で2分間遠心分離した。Parafilm(登録商標)で密封し、湿度雰囲気中、37℃および5%COでプレートをインキュベートした。
20時間のインキュベーション後、マルチチャンネルピペットを用いて各ウェルの内容物を10回上下にピペッティングすることより混合した。100μl細胞懸濁液を新しい白色フラットクリアボトム96ウェルプレート(Greiner‐bio‐one)に移し、100μlのONE‐GloTMルシフェラーゼアッセイ(Promega)を加えた。ロータリーシェーカーで300rpm、室温暗所で15分インキュベートした後、Tecan(登録商標)Spark10Mプレートリーダーを用いてウェル当たり1秒の検出時間で発光を測定した。
標的細胞とレポーター細胞を5:1の比で20時間共培養すると(図15Aおよび16C、黒い丸)、P329G LALA変異を伴うTNC A2B10を抗体として使用した場合、グラフは、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞および抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の用量依存的な活性化を示す。P329G LALA変異を伴う対照抗体DP47/vk3 IgGを使用した場合(図15Aおよび15C、黒い丸)、抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞または抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の活性化は、いずれも検出できなかった。ポイントは各々、3反復の技術的反復実験の平均値を表す。値は全て、ベースライン補正したものとして描いている。標準偏差はエラーバーで表示している。
図15Bおよび15Dは、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞(図15D)または抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞(図15B)のいずれも標的細胞および1μg/mlのTNC A2B10と共培養し、様々な対照条件と比較したデータを示す。
Jurkat NFATレポーターCAR-T細胞は、標的細胞と1μg/mlのIgGとの共培養では検出可能な発光シグナルを全く示さない(図15Bおよび図15D 白い三角形)。一方、標的細胞および1μg/mlのIgGと共培養されたJurkat NFAT細胞のCD3依存性活性化は、検出可能な発光シグナルによりその機能性を証明している(図15BおよびD 白色の四角形)。
いずれも標的細胞および1μg/mlのIgGと共培養した、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞のCD3依存性活性化(図15B 白い丸)および抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞(図15D 白い丸)の活性化は、CARが媒介する活性化とCD3が媒介する活性化との組み合わせであることから、最も高い発光シグナルを示す。CARを標的細胞および1μg/mlのDP47/vk3抗体とインキュベートすると、CD3媒介発光シグナルも見える(図15Bおよび図15D、黒色の菱形)。ポイントは各々、3反復の技術的反復実験の平均値を表す。標準偏差はエラーバーで表示している。
実施例9
ここに記載されているのは、接着性TNCを発現するCT26TNC cl 19腫瘍細胞を標的細胞として用いるJurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイである。レポーター細胞として、抗P329G-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞のソート済みのプール(図16A)を使用した。IgGとして、P329G LALA変異を伴うTNCA2B10を使用した。さらに、アイソタイプ対照として、P329G LALA変異を伴うIgG DP47/vk3を含めた。
陽性対照として、96ウェルプレート(Greiner-bio-one、カタログ#655185)のウェルに、CD3抗体(Biolegend(登録商標)から)10μg/mlを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を37℃で1時間コーティングした。CD3でコーティングされたウェルをPBSで2回洗浄し、最後の洗浄ステップの後、PBSを完全に除去した。
接着性CT26TNC cl 19標的細胞をPBSで1回洗浄し、トリプシンで剥離させた。剥離した細胞をRPMI-1630+10%FCSおよび1%Glutamax+15μg/mlピューロマイシンに再懸濁させた。
レポーター細胞またはJurkat NFAT野生型細胞を計数し、Cedex HiResを用いてその生存率をチェックした。細胞数は、1x10生細胞/mlに調整した。したがって、細胞懸濁液の適切なアリコートを210gで5分間、室温(RT)でペレット化し、新鮮なRPMI-1640+10%FCS+1%Glutamax(増殖培地)に再懸濁させた。
目的の抗原を発現する標的細胞を計数し、それらの生存率についてもチェックした。細胞数は、レポーター細胞について記載したのと同様に、RPMI-1640+10%FCS+1%Glutamax中、1x10生細胞/mlに調整した。
標的細胞とレポーター細胞を、96ウェル懸濁培養プレート(Greiner-bio one)に3連で、E:T比5:1で蒔いた(ウェル当たり合計110.000細胞)。
次のステップとして、目的の抗原を標的とするP329G LALA変異を伴うGA101の段階希釈液を、2mlのディープウェルプレート(Axygen(登録商標))を用いて増殖培地で調製した。ウェル当たり200μlの最終体積で1μg/ml‐0.0001μg/mlの範囲の最終濃度を得るために、50μlアリコートの異なる希釈物をそれぞれのウェルにピペットで移した。96ウェルプレートを190gおよび室温で2分間遠心分離した。Parafilm(登録商標)で密封し、湿度雰囲気中、37℃および5%COでプレートをインキュベートした。
20時間のインキュベーション後、マルチチャンネルピペットを用いて各ウェルの内容物を10回上下にピペッティングすることより混合した。100μl細胞懸濁液を新しい白色フラットクリアボトム96ウェルプレート(Greiner‐bio‐one)に移し、100μlのONE‐GloTMルシフェラーゼアッセイ(Promega)を加えた。ロータリーシェーカーで300rpm、室温暗所で15分インキュベートした後、Tecan(登録商標)Spark10Mプレートリーダーを用いてウェル当たり1秒の検出時間で発光を測定した。
標的細胞とレポーター細胞を5:1の比率で20時間共培養すると(図16A 黒い丸)、グラフは、P329G LALA変異を伴うTNC A2B10 0.01μg/mlで始まる、抗P329G-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の用量依存的な活性化を示す。P329G LALA変異を伴う対照抗体DP47/vk3 IgGを使用した場合(図16Aおよび17C、灰色の丸)、抗P329G-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の活性化は検出できなかった。ポイントは各々、3反復の技術的反復実験の平均値を表す。値は全て、ベースライン補正したものとして描いている。標準偏差はエラーバーで表示している。
図16Bは、抗P329G-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞を、標的細胞および1μg/mlのTNC A2B10抗体と共培養し、様々な対照条件と比較したデータを示す。
標的細胞とインキュべートしたが標的細胞とはしていない抗P329G-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞(図16B 黒い四角形、ならびに標的細胞および1μg/mlのTNC A2B10抗体とインキュベートしたJurkat NFAT細胞(図16B 白い丸)は、検出可能な発光シグナルを示さなかった。一方、CD3でコーティングされたウェルに播種し標的細胞および1μg/mlのTNC A2B10と共培養したJurkat NFAT細胞は、明確な発光シグナルを示した。
さらに、CD3でコーティングされたウェル中で、標的細胞と1μg/mlのTNC A2B10抗体または1μg/mlのDP47/vk3抗体のいずれかとインキュベートした、抗P329G--CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSD Fabを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞は、高い発光シグナルを示す。ポイントは各々、3反復の技術的反復実験の平均値を表す。標準偏差はエラーバーで表示している。
実施例10
ここに記載されるのは、HLA-A2/WT1-ペプチドバインダー33F05(配列番号139および140)、11D06(配列番号141および142)、33H09(配列番号143および144)および5E11(配列番号145および146)の特異性を評価するために、ペプチドパルスT2細胞を標的細胞として使用したJurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイである。レポーター細胞として、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の選別プールを使用した。IgGとして、P329G LALA変異を伴うHLA-A2/WT1-ペプチドバインダーを用いた。HLA-A2/WT1-ペプチド結合抗体およびレポーター細胞とのインキュベーションの前に、T2細胞を、それぞれ10-5Mのペプチドを37℃で2時間パルスするか、またはパルスせずに放置した。標的細胞とレポーター細胞を、5:1のE:T比(ウェル当たり2000標的細胞当たり10.000エフェクター細胞)で、384ウェル白色フラットクリアボトムプレート(Greiner-bio one)に蒔いた。次のステップとして、問題のIgGの段階希釈液を増殖培地で調製した。レポーター細胞、T2細胞およびIgGを37℃で16時間インキュベートした後、ウェル当たり6μlのONE-GloTMルシフェラーゼ基質(Promega)を添加し、TECAN社製インフィニットM1000Proプレートリーダーを使用して発光を直接測定した。
結果として得られたグラフ(図18Aから図18D)は、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の用量依存的な活性化を示す。重要なことに、この活性化は、バインダー11D06および33H09についてRMF-ペプチドパルスT2細胞(RMF-peptide-pulsed T2 cell)上にのみ選択的に現れるが、バインダー33F05および5E11についてはRMF-ペプチドパルスT2細胞上とVLD-ペプチドパルスT2細胞上に非特異的に現れ、これら後者の2つの抗体についてのT細胞活性化の非選択的な性質を示す。
実施例11
ここに記載されるのは、レポーター細胞として抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFAT CAR-T細胞のソート済みのプールを用いたJurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイである。レポーター細胞は、P329G LALA変異を伴うIgGフォーマットのHLA-A2/WT1-ペプチドバインダーに結合し、これにより、試験したHLA-A2/WT1ペプチド(それぞれRMFまたはVLD)を異なる程度に認識する。
問題の4つの異なる抗体(33F05(配列番号139および140)、11D06(配列番号141および142)、33H09(配列番号143および144)および5E11(配列番号145および146))はそれぞれ、10nMで存在した。Jurkat NFATレポーター細胞およびIgGとの共インキュベーションの前に、T2細胞は、実施例10に記載されるように、それぞれRMF-ペプチドもしくはVLD-ペプチドでパルスされたか、またはペプチドなしで放置された。Jurkat NFATレポーター細胞および標的細胞を、384ウェルプレート(白色フラットクリアボトム384ウェルプレート(Greiner bio-one))のウェルあたり20μl、IgG濃度10nMで10000から2000個の細胞と37℃で6時間、E:T比5:1で共インキュベートした後、続いてONE-GloTMルシフェラーゼ基質(Promega)をウェルあたり6μl添加し、TECAN社製インフィニートM1000Proプレートリーダーを使用して発光を直接測定した。それぞれの実験設定の3回の測定からのCAR-NFATシグナル伝達の活性化を、標準偏差を示すエラーバー付きの棒グラフ(図19)として表す。RMF-ペプチド(標的)上のシグナルとVLD-ペプチド上のシグナル(オフターゲット)上のシグナルの比較は、それぞれのバインダーの活性化の特異性を評価するのに役立つ。ペプチドを含まないT2細胞のシグナル強度は、候補バインダー35F05および05E11に対する非特異的結合を示す。候補バインダー33H09および11D06は、オフターゲットペプチドVLDのシグナルが、特に評価したバックグラウンド(「ペプチドなしT2」、「T2なし」エフェクター細胞、ならびに「IgGの添加なし」のエフェクターおよび標的細胞の共インキュベーション)に対して低いため、HLA-A2/WT1-ペプチドRMFに対してのみ特異的かつ選択的であることを証明する。
実施例12
ここに記載されるのは、RMF-ペプチドまたはVLD-ペプチドでパルスされたT2細胞を用いたフローサイトメトリーによるHLA-A2/WT1-ペプチドバインダー5E11(配列番号102および103)および33H09(配列番号100および101)の特異性の評価である。HLA-A2/WT1-ペプチド結合抗体とのインキュベーションの前に、T2細胞を、それぞれの10-5Mのペプチドを37℃で2時間パルスするか、またはパルスせずに放置した。問題の抗体の異なる濃度の100000細胞の細胞アリコートへのそれぞれのIgGの結合を氷上で1時間行い、続いてPBSで2回洗浄し、Fortesssaアナライザー(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーで90nMの濃度で抗huFc検出(Jackonson ImmunoResicationからの抗ヒトF(ab)2_AF647)によって評価した。バインダー5E11および33H09の両方とも、RMF-ペプチドパルスT2細胞上には明確な濃度依存性結合シグナルを与えるが、VLD-ペプチドパルスT2細胞上には与えない(図20Aおよび図20B)。このフローサイトメトリーに基づく評価によれば、両抗体候補は、RMF-ペプチドパルスT2細胞には特異的に結合するが、VLD-ペプチドパルスT2細胞には結合しないようである。
実施例13
ここに記載されるのは、患者由来の腫瘍の一次試料(結腸癌の肺転移)を使用するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞アッセイである。腫瘍試料を、CEAおよびFAP抗原レベルの発現を示す蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)によって特徴付けた。FACS分析は、CD45陽性細胞の約80%がCEAを発現し、約16%が表面にFAPを発現することを示した(図22A)。レポーター細胞として、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞のソート済みのプール(図22B)または抗P329G-ds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞のソート済みのプール(図22C)を使用した。P329G LALA変異を伴う、ヒトIgG1抗CEA T84 LCHAまたは抗FAP(4B9)抗体をIgGとして使用した。腫瘍細胞とレポーター細胞を、5:1のE:T比(ウェル当たり200.000標的細胞当たり20.000エフェクター細胞)で、96ウェル白色フラットクリアボトムプレートに2連で蒔いた。次のステップとして、問題のIgGの段階希釈液1μg/mlを増殖培地で調製した。レポーター細胞、標的細胞およびIgGを37℃で8時間インキュベートした後、ウェル当たり50μlのONE-GloTMルシフェラーゼ基質(Promega)を添加し、TECAN社製インフィニットM1000Proプレートリーダーを使用して発光を直接測定した。
結果として得られたグラフ(図22Bと図22C)はそれぞれ、抗P329G-ds-Fab-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDまたはds-scFv-CD28ATD-CD28CSD-CD3zSSDを発現するJurkat NFATレポーターCAR-T細胞の抗原依存的な活性化を示す。重要なことに、この活性化は、提供された試料に存在する腫瘍抗原を認識するそれぞれの抗体の存在下でのみ現れる。
例示的配列
表2:抗P329G-ds-scFvアミノ酸配列:
Figure 0007394067000002
Figure 0007394067000003
表3:抗P329G-ds- scFv DNA配列:
Figure 0007394067000004
Figure 0007394067000005
Figure 0007394067000006
Figure 0007394067000007
Figure 0007394067000008
Figure 0007394067000009
表4 8:抗P329G-Fabアミノ酸配列:
Figure 0007394067000010
Figure 0007394067000011
表5 9:抗P329G-Fab DNA配列:
Figure 0007394067000012
Figure 0007394067000013
Figure 0007394067000014
Figure 0007394067000015
Figure 0007394067000016
Figure 0007394067000017
Figure 0007394067000018
表6 10:抗AAA-scFv アミノ酸配列
Figure 0007394067000019
Figure 0007394067000020
表7 11:抗AAA-Fabアミノ酸配列
Figure 0007394067000021
Figure 0007394067000022
表8 8:抗DIG-ds-scFvアミノ酸配列:
Figure 0007394067000023
Figure 0007394067000024
表9 9:抗DIG-Fabアミノ酸配列:
Figure 0007394067000025
Figure 0007394067000026
表10 10:抗FITC-scFvアミノ酸配列
Figure 0007394067000027
Figure 0007394067000028
表11 11:抗HA-scFアミノ酸配列
Figure 0007394067000029
Figure 0007394067000030
表12 12:抗myc-Fabアミノ酸配列
Figure 0007394067000031
Figure 0007394067000032
表13 13:ポリペプチドタグ配列
Figure 0007394067000033
表 14 14
Figure 0007394067000034
Figure 0007394067000035
Figure 0007394067000036
Figure 0007394067000037
Figure 0007394067000038
Figure 0007394067000039
Figure 0007394067000040

Claims (9)

  1. 試料中の腫瘍細胞の存在を判定するためのアッセイであって、
    a)試料を、抗原結合ドメインと認識ドメインとを含む抗原結合分子と接触させるステップであって、抗原結合ドメインが、腫瘍細胞に特異的に結合可能な標的抗原結合部分を含む、接触させるステップ;
    b)試料を、キメラ抗原受容体(CAR)発現レポーターT(CAR-T)細胞と接触させるステップであって、レポーターCAR-T細胞が、
    i.応答エレメントに作動可能に結合されており、認識ドメインに特異的に結合可能なCAR;
    ii.応答エレメントの制御下にあるレポーター遺伝子;
    を含む、接触させるステップ:および
    c)レポーター遺伝子の発現を測定して腫瘍細胞の存在を確認することにより、T細胞の活性化を判定するステップ
    を含み、
    認識ドメインが変異Fcドメインであり、変異Fcドメインが、非変異親Fcドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、CARが、変異Fcドメインに特異的に結合することはできるが、非変異親Fcドメインには特異的に結合することができない、
    ッセイ。
  2. 抗原結合ドメインがFab断片であり、認識ドメインがFcドメインである、請求項1に記載のアッセイ。
  3. 抗原結合分子が、IgGクラス抗体、特にIgG1またはIgG4アイソタイプ抗体である、請求項1または2に記載のアッセイ。
  4. 変異体Fcドメインは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基117、118、136、180、193、212、214および318からなる群から選択される位置にアミノ酸置換を含み、特に、変異体ヒトIgG1 Fcは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基117にロイシンからアラニン、残基118にロイシンからアラニン、残基136にイソロイシンからアラニン、残基180にアスパラギンからアラニン、残基193にヒスチジンからアラニン、残基212にプロリンからグリシン、残基214にプロリンからグリシン、および/または残基318にヒスチジンからアラニンへのアミノ酸置換を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のアッセイ。
  5. 変異体Fcドメインは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基212の位置にアミノ酸置換を含み、特に、変異体Fcドメインは、ヒトIgG1 Fc(配列番号132)の残基212にプロリンからグリシンへのアミノ酸置換を含む、請求項4に記載のアッセイ。
  6. CARが、少なくとも1つの細胞内刺激シグナル伝達および/または補助刺激シグナル伝達ドメインを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のアッセイ。
  7. 細胞内シグナル伝達および/または補助シグナル伝達ドメインの活性化が応答エレメントの活性化をもたらす、請求項6に記載のアッセイ。
  8. 応答エレメントの活性化がレポーター遺伝子の発現をもたらす、請求項1から7のいずれか一項に記載のアッセイ。
  9. 試料が、疾患に罹患している個体に由来する患者試料であり、特に疾患ががんである、請求項1から8のいずれか一項に記載のアッセイ。
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