JP7392235B1 - 無菌性密閉空間内の除染装置及び当該装置を用いた除染方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】除染後の細胞へのダメージが少なく、吸着・再放出の無い安全性の高いアイソレーター等の密閉空間内を除染する装置と方法。【解決手段】アイソレーターBの密閉空間12と除染装置Aとを第1ダクト7及び第2ダクト8で連結し、前記除染装置Aにはドライフォグ発生機1、温湿度センサー2、ガス回収機3、メイン制御・モニタリング装置4を備え、前記ドライフォグ発生機1では過酢酸混合液から成る除染剤を平均粒径が10μm以下のドライフォグを発生させて、前記第1ダクト7内でドライフォグの濃度が2%以下になるように噴霧し、前記ドライフォグを前記密閉空間12内に充満させ、温湿度センサー2の測定湿度が設定湿度を超えたら、前記ドライフォグ発生機1の運転を止め、前記ガス回収機3の運転を開始し、前記測定湿度が設定湿度をより下がったら、前記ガス回収機3の運転を停止し、ドライフォグ発生機1の運転を開始する。【選択図】図2

Description

この発明は、アイソレーター等の無菌性密閉空間内を少量の過酢酸除染剤で除染を可能にする除染方装置及び当該除染装置を用いた除染方法に関するものである。
主に無菌医薬品や再生医療等の製品の製造環境は、製品の品質と安全性の確保が厳しく義務付けられており、製品の微生物汚染防止は重要要件となっている。アイソレーター内は、外部と完全に隔離され、無菌環境の維持管理ができる設計となっている。また、アイソレーターは、医薬品分野、再生医療分野以外でも病原微生物研究分野、食品開発分野を含むバイオテクノロジー分野でデータの信頼性と作業員の安全確保の観点から広く使用されている。
アイソレーターには定期的な無菌化作業のため、除染機能と除染剤の排出のためのエアレーション機能があり、無菌担保された環境を作る機能がある。
現在、アイソレーターの除染法においては、その有効性、安定性、利便性において蒸気化過酸化水素(VHP: Vaporized Hydrogen Peroxide)が最も使われている。以下の特許文献1及び2はアイソレーター等の密閉性空間内の除染に当該過酸化水素を除染剤として用いている例である。
特許文献1のものは、比較的短時間の間に効果的な滅菌処理を行うことができ、また、比較的限られた範囲の量の過酸化水素ガスを使用することで、効率的かつ効果的な除染方法を提供するもので、除染対象エリア内に、発生させた過酸化水素ガスを供給し、当該除染対象エリアの温度を、過酸化水素ガスから凝縮化する温度に調整する、過酸化水素ガスを使用した除染方法及び除染システムである。
特許文献2は、安全キャビネットやアイソレーター等の小容積筐体中の除染対象空間を過酸化水素ガスによって容易に除染できる過酸化水素ガス除染方法及び装置であって、過酸化水素水が入れられる容器と、この容器を加熱することで当該容器内の過酸化水素水を加熱するヒータと、このヒータを制御して前記過酸化水素水を70~90°Cに加熱制御する温度調節器と、この温度調節器に接続されたタイマーと、このタイマーに接続されて、前記除染対象空間の過酸化水素ガスを中和して分解する機能を有する中和装置とを備えた過酸化水素ガス除染装置を用い、前記ヒータによって前記過酸化水素水を70~90°Cに加熱し、前記除染対象空間における過酸化水素ガスの濃度を200~400ppmとし、前記タイマーによって設定された前記過酸化水素ガスによる除染時間が経過した際に、前記ヒータによる前記過酸化水素ガスの過熱が停止、自動的に前記中和装置が作動して、前記過酸化水素ガスを濃度1ppm以下まで分解する過酸化水素除染方法である。
特開2012-147856号公報 特許第6649417号公報
しかしながら、特許文献1及び2等で広く使用されている過酸化水素は金属、樹脂、セルロース、グラスファイバー(HEPAフィルターの主材料は、グラスファイバーである)等に吸着し、再放出することが分かっている。除染剤のエアレーション後もアイソレーター内部表面とHEPAフィルターから僅かに過酸化水素が再放出される。特に過酸化水素の液体への溶解性は大きい。そのため、液体製剤や細胞を用いる医薬品製造や再生医療等製品製造の場合、培地に溶け込んだ過酸化水素が細胞にダメージを与える。そのためエアレーション時間等、除染後の管理が重要となっている。
一方、過酢酸除染剤は、水、酢酸、過酸化水素、過酢酸の混合液の状態で販売されている。これは、過酢酸は水溶液の単独状態では直ぐに分解し、存在できない物質のため、水、酢酸、過酸化水素を含めた混合液の中で合成と分解を繰り返し、平衡状態を維持することで存在する。ここに含まれる過酸化水素濃度は、除染剤として使う場合の濃度(主に30~60%水溶液)に比べて非常に低く、0.8~10.0%ほどであるため再放出のリスクは非常に小さい。
また、過酢酸を使った除染において、濡れた状態の「湿食」では腐食しやすい金属の鉄、銅、真鍮等を短時間で腐食させる。一方、乾燥した状態の「乾食」では、腐食が非常に遅いので実質的に影響がない。よって結露による金属腐食を防ぐために除染湿度を決めて厳密な湿度コントロールをすることが重要である。また、過酢酸は分解性が高いことから出来るだけ多くの過酢酸除染剤を噴霧するため除染湿度は85~95%RHと高めになる。
過酢酸除染剤はドライフォッグ(中心粒子径10μmほどの液滴で壁に衝突してもそのまま跳ね返り、濡らさないことから乾いた霧と呼ばれている。)状態で噴霧され液滴表面から気化しガス化が進むと直ぐに分解し安全な酢酸と酸素と水に分解する。そして、金属、樹脂、セルロース、グラスファイバーに吸着・再放出の報告はないため細胞に与えるダメージは微小である。
但し、ドライフォグでも過飽和状態や液滴が高濃度状態では、結露や凝集して濡らして「湿食」状態になり腐食させてしまうので湿度管理と濃度管理が重要になってくる。
過酢酸は分解の段階で遊離した活性酸素(ラジカルの一つである)が微生物の酵素にあるSH基やSS結合に作用し、細胞膜を破壊するなどして殺菌作用を示す。また、ラジカルは非常に反応性が高く、寿命が短いため除染作用は長続きしない。更に、分解後も湿度は保たれるため湿度コントロールされた密閉空間では追加の除染剤の噴霧ができない。このため過酢酸による密閉空間の除染は困難と言われている。実際、安全性は高いが過酢酸除染剤でアイソレーターの除染を行っている例は世界的にも見当たらない。
また、過酢酸除染剤の霧化にはフォグ式(サクション方式)、超音波式、ノズル・コンプレッサー式があるが、いずれも希釈した除染剤のタンクがあり、精製水で希釈した状態では消費期限が短いため除染後に残った希釈液はデッドボリューム(不要な量)になり、施設によっては医療廃棄物又は産業廃棄物の対象になりうるため極力デッドボリュームを減らす機構も重要である。同時に、希釈前の濃度が濃い過酢酸の原液は、過酸化水素が6%以上含まれるため医薬用外劇物に指定される。希釈時のヒューマンエラーの防止及び作業者の安全確保のため希釈の自動化が求められている。
また、除染中に湿度センサーが故障すると正確な制御ができなくなるため、緊急停止機構も重要である。さらにアイソレーター内を除染する場合は除染中も外部からの汚染物質が侵入しないように弱陽圧を維持しながら行うのが一般的である。
また、アイソレーターの除染においては、除染装置からアイソレーターへ吹き出しとリターンの2本のダクトで繋げることとなる。ダクト内径は10cm程度の太さのものを使うが、ダクト内ではドライフォグの濃度が大きくなり凝集してミスト粒径が大きくなり濡らす原因となるため濃度を抑える必要がある。
本発明は上記の問題点を解決することを目的とし、除染後の細胞へのダメージが少なく、吸着・再放出の無い安全性の高い過酢酸除染剤を出来るだけデッドボリュームを抑え、希釈などの自動化でヒューマンエラー防止と安全性を保持し、湿度センサー故障時は緊急停止させ、ドライフォグの粒子濃度を2%以下に抑え、アイソレーター等の密閉空間内を弱陽圧で除染する装置と方法を目的としたものである。
この発明は、特許第6285060号の除染装置及び当該除染装置を使用した除染方法(以下、単に「過酢酸サイクル除染法」という)を基本とする。
当該過酢酸サイクル除染法の最大の特徴は、低濃度過酢酸混合液から成る粒子の噴霧と除染エリア(空間)のガス全体の回収(除湿)を繰り返すことでラジカルを生産し続け、ラジカルが多い状態(ラジカルリッチという)を作ることですべての微生物を死滅させることができることである。操作としては除染エリアの測定湿度が予め定めた設定湿度を超えたら、ドライフォグの噴霧を止め、ガス回収機の運転を開始し、測定湿度が設定湿度以下となった際は、ガス回収機の運転を停止、ドライフォグ発生機の運転を開始する、このサイクルを繰り返し、除染する。
そして、この発明の除染装置と無菌性密閉空間装置の密閉空間とは弱陽圧で除染を行うため密閉性を維持しながら除染ミスト及びガスは無菌性密閉空間と除染装置を循環する必要がある。そのため除染対象の密閉空間と本件除染装置とを2本のダクトで連結し、密閉性の高いガス循環空間を除染装置に組み入れた。また、前記除染装置はドライフォグ発生機、湿度センサー、ガス回収機、制御装置から構成される。
具体的には、請求項1の発明は、無菌性密閉空間を有する装置の無菌性密閉空間と除染装置とを2本のダクトで連結し、前記除染装置にはドライフォグ発生機、温湿度センサー、ガス回収機、メイン制御・モニタリング装置を備えた無菌性密閉空間内の除染装置において、前記ドライフォグ発生機は、精製水タンクと過酢酸混合液から成る除染剤タンクを夫々設け、各タンクの出力経路に第1ステッピングモータ及び第2ステッピングモータを夫々設け、前記各出力経路を合流点で接続し、当該合流点にフィルターを設け、当該合流点から導出された合流経路の端部にマイクロノズルを設け、当該マイクロノズル内に圧縮空気を送る小型コンプレッサーを設けて成り、当該ドライフォグ発生機により噴霧されたドライフォグを前記一方のダクトを通して前記無菌性密閉空間内に送る送風ファンを設け、前記無菌性密閉空間内のガスを他方のダクトを通して除染装置内に吸気する吸気ファンを設け、前記ガス回収機は除染装置内のガスを回収し、前記温湿度センサーは除染装置内の温度、湿度を測り、前記メイン制御・モニタリング装置は、前記温湿度センサーの測定値に応じてドライフォグ発生機の作動又は停止、及びガス回収機の作動又は停止をコンピュータ制御する構成とした、無菌性密閉空間内の除染装置とした。
また、請求項2の発明は、前記合流経路にコネクターを介して排液タンクに至る分岐経路を設け、前記出力経路及び合流経路内の液を排液タンクに導く第3ステッピングモータを分岐経路に設けた、請求項1に記載の無菌性密閉空間内の除染装置とした。
また、請求項3の発明は、無菌性密閉空間を有する装置の密閉空間と除染装置とを2本のダクトで連結し、前記除染装置にはドライフォグ発生機、温湿度センサー、ガス回収機、メイン制御・モニタリング装置を備えた無菌性密閉空間内の除染装置を用いて無菌性密閉空間内を除染する方法において、前記ドライフォグ発生機は、精製水タンクと過酢酸混合液から成る除染剤タンクを夫々設け、各タンクの出力経路を第1ステッピングモータ及び第2ステッピングモータを夫々介して合流点に接続し、当該合流点から導出された合流経路にフィルターを設け、当該合流経路端部にマイクロノズルを設け、当該マイクロノズル内に圧縮空気を送る小型コンプレッサーを設けて成なり、当該ドライフォグ発生機により噴霧されたドライフォグを前記一方のダクトを通して前記無菌性密閉空間内に送る送風ファンを設け、前記無菌性密閉空間内のガスを他方のダクトを通して除染装置内に吸気する吸気ファンを設け、前記ガス回収機は除染装置内のガスを回収し、前記温湿度センサーは除染装置内の温度、湿度を測り、前記メイン制御・モニタリング装置は、前記温湿度センサーの測定値に応じてドライフォグ発生機の作動又は停止、及びガス回収機の作動又は停止をコンピュータ制御するように構成され、予め前記除染装置内の設定湿度を設定し、前記ドライフォグ発生機で発生させたドライフォグを一方のダクトを通して無菌性密閉空間を有する装置の密閉空間に充満させ、前記温湿度センサーの測定湿度が設定湿度以上となった時、前記ドライフォグ発生機の作動を止め、前記ガス回収機を作動させて前記無菌性密閉空間内のガスを前記他方のダクトを通して回収し、前記温湿度センサーの測定湿度が設定湿度以下になった時、前記ガス回収機の作動を止めて、前記ドライフォグ発生機を作動させることを繰り返すように前記メイン制御・モニタリング装置でコンピュータ制御する、無菌性密閉空間内を除染する方法とした。
また、請求項4の発明は、前記第1ステッピングモータ及び前記第2ステッピングモータを制御することにより精製水と前記過酢酸混合液から成る除染剤の流量を制御する、請求項3に記載の無菌性密閉空間内を除染する方法とした。
また、請求項5の発明は、前記合流経路にコネクターを介して排液タンクに至る分岐経路を設け、前記出力経路及び合流経路内の液を排液タンクに導く第3ステッピングモータを分岐経路に設け、除染作業開始前に、前記第1ステッピングモータ及び第2ステッピングモータ以降の前記出力経路及び前記合流経路内の液を第3ステッピングモータにより前記排液タンクに吸引する、請求項3又は4のいずれかに記載の無菌性密閉空間内を除染する方法とした。
また、請求項6の発明は、前記温湿度センサーは2個設け、2個の温湿度センサーを常時作動させ、2個の温湿度センサーの測定湿度の差異が閾値を越えた時間が規定時間を超えた際、前記メイン制御・モニタリング装置により装置全体の作動を停止させる、請求項3に記載の無菌性密閉空間内の除染方法とした。
請求項1及びの各発明によれば、アイソレーターのような無菌性密閉空間を有する装置の密閉空間を過酢酸によるサイクル除染法により、迅速かつ確実にアイソレーター内に設置した装置等を腐食させずに除染することができる。また、従来の過酸化水素を除染剤として用いたものと異なり、アイソレーターの密閉空間の内部表面やHEPAフィルター内から除染剤が再放出することが無く、細胞へのダメージは軽微である。
また、従来、過酢酸混合液から成る除染剤は、精製水で希釈して除染剤のタンクに溜め、当該タンクの液を霧化していたが、このように希釈した状態では消費期限が短いため、消費期限が過ぎた希釈液はデッドボリュームとなり、処分していた。請求項1の発明によれば、このようなタンクが不要となり、除染剤や精製水の無駄な使用を抑えることができる。また、除染剤や精製水の使用量及び残量の管理が容易にできる。さらに、除染剤を霧化するコンプレッサーも小型化できる。
上記デッドボリュームの最小化を図るために、マイクロノズルと最高圧力0.2MPaの小型コンプレッサーを用いた場合、具体的には、レーザー回析式粒度分布測定装置HELOS-KRで30cmの飛行距離で測定し、遮光率で求めた測定濃度が2%以下の条件ではダクト内に液滴は見られなかった。
また、請求項2及び5の各発明によれば、除染作業開始前にチューブ(出力経路、合流経路等)内の洗浄のため、前記第1ステッピングモータ及び第2ステッピングモータ以降の前記出力経路及び前記合流経路内の液を第3ステッピングモータにより前記排液タンクに吸引することができ、新たにドライフォグ発生機を作動させる際、期限切れの除染剤や精製水が経路に残っておらず、常に新鮮な除染剤及び精製水を用いて除染作業が行える。
また、請求項4の発明によれば、前記マイクロノズルに送る除染剤の希釈率と希釈液送液量を自動的に設定することが出来る。
また、請求項6の発明によれば、2個の温湿度センサーの測定湿度の差異が閾値を越えた時間が規定時間を超えた際、前記メイン制御・モニタリング装置により装置全体の作動を停止させるため、万一除染中に温湿度サンサーが故障した場合でもアイソレーター内に設置した装置を腐食から守ることが可能である。
この発明の実施の形態例1の無菌性密閉空間の除染装置の概略構成図である。 この発明の実施の形態例1の無菌性密閉空間の除染装置と無菌性密閉空間を有する装置とをダクトで連結した状態を示す、概略構成図である。 この発明の実施の形態例1の無菌性密閉空間の除染装置のドライフォグ発生機を示し構成図である。 この発明の実施の形態例1の無菌性密閉空間の除染装置のドライフォグ発生機のマイクロノズルの送風ファン及びガス回収箇所の吸気ファンの取り付け箇所の構成図である。
(実施の形態例1)
この発明の実施の形態例1の無菌性密閉空間内を除染する除染装置Aについて図1~図4に基づいて説明する。
まず、除染装置Aは図1に示すように、ドライフォグ発生機1と温湿度センサー2とガス回収機3とをメイン制御・モニタリング装置4でコンピュータ制御する構成となっている。前記ドライフォグ発生機1では、低濃度過酢酸、水、酢酸、過酸化水素を含めた過酢酸混合液を除染剤とし、平均粒径10μmの粒子から成るドライフォグを発生させる。また、ガス回収機3は、後述の無菌性密閉空間で前記ドライフォグの粒子の当該過酢酸混合液が分解して生成された酢酸、水、活性酸素から成るガス及び過酢酸混合液のガス全体を回収する除湿器で構成されている。このガス回収機3には、当該ガス回収機3で回収したガスの水分を溜めておく廃液タンク5が設けられている。
また、前記メイン制御・モニタリング装置4では、前記温湿度センサー2の測定温湿度情報に基づいて前記ドライフォグ発生機1及びガス回収機3をコンピュータでオンオフ制御する。また、モニタリング機能を有する。そして当該メイン制御・モニタリング装置4は通信装置6により有線又は無線で外部の制御装置に情報を伝達し、当該外部の制御装置(コンピュータ)でコントロールすることもできる。
当該除染装置Aは無菌性密閉空間を有する装置としてのアイソレーターBの密閉空間内の除染に用いる。具体的には、図2に示すように除染装置AとアイソレーターBとを2本の第1ダクト7及び第2ダクト8で連結する。
第1ダクト7は前記除染装置Aから噴霧されたドライフォグを後述の送風ファン34によりアイソレーターBの上部の予備室9に送る。そして、ドライフォグは当該予備室9からファン10によりHEPAフィルター11を通して密閉空間12に送られ、密閉空間12内の除染を行う。
密閉空間12では過酢酸混合液から成るドライフォグの過酢酸が直ぐに分解し、過酢酸は分解の段階で遊離した活性酸素(ラジカルの一つである)が微生物の酵素にあるSH基やSS結合に作用し、細胞膜を破壊するなどして殺菌が行われる。また、ラジカルは非常に反応性が高く、寿命が短いため除染作用は長続きしない。更に、分解後も湿度は保たれるため湿度コントロールされた密閉空間では追加の除染剤の噴霧ができない。
そこで、前記温湿度センサー2で湿度を測定し、測定湿度が予め定めた設定湿度値以上に達すると、前記メイン制御・モニタリング装置4によりドライフォグ発生機1の運転を止め、前記ガス回収機3の運転を開始させる。また、後述の吸気ファン36も作動させる。これにより密閉空間12、第1ダクト7、第2ダクト8及び除染装置A内の空間から成る密閉循環空間内の湿度を除湿させ、前記温湿度センサー2の測定湿度が下がると、ガス回収機3の運転を止め、再びドライフォグ発生機1の運転を始めさせる。
このサイクル操作を繰り返すことにより、前記密閉空間12はラジカルを生産し続け、ラジカルが多い状態(ラジカルリッチと言う)を作ることで全ての微生物を死滅させることができる。
そして、前記アイソレーターBの密閉空間12内のエアーは下部のグレーチング13を通って、下部通路14に入り、そこで一部のエアーは第2ダクト8内に入り、除染装置A内のガス回収機3に吸収される。また、他の一部のエアーは下部通路14及び縦通路15を通って前記予備室9に達し、再びファン10によりHEPAフィルター11を通って密閉空間12に至る。そしてこの密閉循環空間は弱陽圧で維持される。
次に、前記ドライフォグ発生機1の具体例を図3に示す。ドライフォグ発生機1は精製水タンク18と前記酢酸混合液から成る除染剤タンク19とが設けられ、前記精製水タンク18の出力側経路20に第1ステッピングモータ21、前記除染剤タンク19の出力側経路22に第2ステッピングモータ23が設けられている。これらの出力側経路20及び23は合流点24により合流され、当該合流経路25にインラインフィルタ26が設けられている。
当該合流経路25の先端はマイクロノズル27に接続され、当該マイクロノズル27にコンプレッサー28から圧縮空気が流入し、前記精製水と除染剤との混合液が当該マイクロノズル27から平均粒径10μmのドライフォグが噴霧可能となっている。
そして、前記合流経路25にTコネクター29を設けて、分岐経路30が設けられ、当該分岐経路30に設けられた第3ステッピングモータ31により前記第1ステッピングモータ21、第2ステッピングモータ23以降の出力側経路20、22及び合流経路25に残っている精製水、除染剤及びこれらの混合液を吸い上げて排液タンク32に溜めることができる。なお、前記出力経路20、22、合流経路25、及び分岐経路30は全てチューブや細管で構成されている。
この様に本発明では、デッドボリュームの無い小型ノズル(マイクロノズル27)を用い、希釈液タンクを有しない方法とする。除染剤と精製水は使用する直前に細いチューブ内で合流させ、インラインフィルタ26を通り、夾雑物のろ過と混合を行うことでデッドボリュームを抑えることが可能である。
また、上記コンプレッサー28は圧縮空気用タンクを有しない小型を使用する。小型では実質最高圧0.2MPaほどであるため前記マイクロノズル27から噴霧される粒子径がSMD(表面積からの粒子径の計算値)約11.0±1.0μmのドライフォグだが自然給水では測定濃度は10.9%ほどである。この濃度ではダクト内に液体が溜まり、ラジカルを液面で消費し、除染効果を落としてします。これを解決するために除染剤と精製水の流量を上記第1、第2ステッピングモータ21、23で制御し、正確に噴霧量を制御することで濃度を2%以下で維持でき、低い圧力の圧縮空気でもドライ状態で除染が可能である。
これと同時に、ステッピングモータ21、23で制御することで希釈率と希釈液送液量を自動的に設定することが可能になる。これにより希釈時のヒューマンエラーの防止と作業者の安全性確保が可能となる。また、密閉空間12の除染パラメータとして除染設定湿度に達してからの除染時間の管理の他、温度上昇の影響を加味した精製水及び除染剤の使用量の管理が可能となる。また、精製水及び除染剤の残量管理も可能となり、使用期限を設定することで誤って使用期限切れの使用を防ぐことができる。
また、前記ドライフォグ発生機1の前記マイクロノズル27は、図4に示すように、除染装置Aの送風口管33内に支持、固定されており、当該マイコウロノズル27の後方の送風口管33に送風ファン34が設けられている。そして当該送風口管33の前端部で前記第1ダクト7が接続されている。
また、前記送風口管33と並んで吸気口管35が除染装置Aに設けられており、当該吸気口管35の前端部に前記第2ダクト8が接続され、後端部内には吸気ファン36が接続されている。そして、上記送風ファン34及び吸気ファン36は除染作業中、常に作動し、除染装置Aから第1ダクト7、アイソレーターB、第2ダクト8、そして除染装置Aに戻る、循環経路が形成され、この中をドライフォグやガス、ラジカルが循環している。そして全体的にラジカルを増やしていく。
また、除染装置Aの当該吸気口管35に、当該吸気口管35の内側の温度及び湿度を測る温湿度センサー37、38が設けられている。これらの2個の温湿度センサー37、38は校正済みのセンサーで、誤差が小さく測定値がシンクロする。そこで、これらの温湿度センサーの測定湿度(RH%)の誤差の閾値とその閾値の逸脱時間を予め決めておき、閾値の逸脱時間を超えた場合に、前記温湿度センサーの異常を検出、警報し除染停止する構成としている。
なお、上記実施の形態例では、除染装置AによりアイソレーターBの密閉空間12を除染する例で説明したが、この発明の除染対象はアイソレーターBに限らず、他の無菌性密閉空間を有する装置に適用できる。
また、上記実施の形態例では除染装置AとアイソレーターBをダクトで連結しているが、ダクト以外に送風管等の管を用いこともできる。また、前記除染装置Aは除染対象の無菌性密閉空間を有する装置と独立していてもよく、また前記装置内に除染装置Aが内蔵されていてもよい。
A 除染装置 B アイソレーター
1 ドライフォグ発生機 2 湿度センサー
3 ガス回収機 4 制御装置
5 廃液タンク 6 通信装置
7 第1ダクト 8 第2ダクト
9 予備室 10 ファン
11 HEPAフィルター 12 密閉空間
13 グレーチング 14 下部通路
15 縦通路 18 精製水タンク
19 除染剤タンク 20 出力側経路
21 第1ステッピングモータ 22 出力側経路
23 第2ステッピングモータ 24 合流点
25 合流経路 26 インラインフィルタ
27 マイクロノズル 28 コンプレッサー
29 Tコネクター 30 分岐経路
31 第3ステッピングモータ 32 排液タンク
33 送風口管 34 送風ファン
35 吸気口管 36 吸気ファン
37 温湿度センサー 38 温湿度センサー

Claims (6)

  1. 無菌性密閉空間を有する装置の密閉空間と除染装置とを2本のダクトで連結し、前記除染装置にはドライフォグ発生機、温湿度センサー、ガス回収機、メイン制御・モニタリング装置を備えた無菌性密閉空間内の除染装置において、
    前記ドライフォグ発生機は、精製水タンクと過酢酸混合液から成る除染剤タンクを夫々設け、各タンクの出力経路に第1ステッピングモータ及び第2ステッピングモータを夫々設け、前記各出力経路を合流点で接続し、当該合流点にフィルターを設け、当該合流点から導出された合流経路の端部にマイクロノズルを設け、当該マイクロノズル内に圧縮空気を送る小型コンプレッサーを設けて成り、
    当該ドライフォグ発生機により噴霧されたドライフォグを前記一方のダクトを通して前記無菌性密閉空間内に送る送風ファンを設け、
    前記無菌性密閉空間内のガスを他方のダクトを通して除染装置内に吸気する吸気ファンを設け、
    前記ガス回収機は除染装置内のガスを回収し、前記温湿度センサーは除染装置内の温度、湿度を測り、前記メイン制御・モニタリング装置は、前記温湿度センサーの測定値に応じてドライフォグ発生機の作動又は停止、及びガス回収機の作動又は停止をコンピュータ制御する構成としたことを特徴とする、無菌性密閉空間内の除染装置。
  2. 前記合流経路にコネクターを介して排液タンクに至る分岐経路を設け、前記出力経路及び合流経路内の液を排液タンクに導く第3ステッピングモータを分岐経路に設けたことを特徴とする、請求項1に記載の無菌性密閉空間内の除染装置。
  3. 無菌性密閉空間を有する装置の密閉空間と除染装置とを2本のダクトで連結し、前記除染装置にはドライフォグ発生機、温湿度センサー、ガス回収機、メイン制御・モニタリング装置を備えた無菌性密閉空間内の除染装置を用いて無菌性密閉空間内を除染する方法において、
    前記ドライフォグ発生機は、精製水タンクと過酢酸混合液から成る除染剤タンクを夫々設け、各タンクの出力経路を第1ステッピングモータ及び第2ステッピングモータを夫々介して合流点に接続し、当該合流点から導出された合流経路にフィルターを設け、当該合流経路端部にマイクロノズルを設け、当該マイクロノズル内に圧縮空気を送る小型コンプレッサーを設けて成なり、
    当該ドライフォグ発生機により噴霧されたドライフォグを前記一方のダクトを通して前記無菌性密閉空間内に送る送風ファンを設け、前記無菌性密閉空間内のガスを他方のダクトを通して除染装置内に吸気する吸気ファンを設け、
    前記ガス回収機は除染装置内のガスを回収し、前記温湿度センサーは除染装置内の温度、湿度を測り、前記メイン制御・モニタリング装置は、前記温湿度センサーの測定値に応じてドライフォグ発生機の作動又は停止、及びガス回収機の作動又は停止をコンピュータ制御するように構成され、
    予め前記除染装置内の設定湿度を設定し
    前記ドライフォグ発生機で発生させたドライフォグを一方のダクトを通して無菌性密閉空間を有する装置の密閉空間に充満させ、前記温湿度センサーの測定湿度が設定湿度以上となった時、前記ドライフォグ発生機の作動を止め、前記ガス回収機を作動させて前記無菌性密閉空間内のガスを前記他方のダクトを通して回収し、前記温湿度センサーの測定湿度が設定湿度以下になった時、前記ガス回収機の作動を止めて、前記ドライフォグ発生機を作動させることを繰り返すように前記メイン制御・モニタリング装置でコンピュータ制御することを特徴とする、無菌性密閉空間内を除染する方法。
  4. 前記第1ステッピングモータ及び前記第2ステッピングモータを制御することにより精製水と過酢酸混合液から成る除染剤の流量を制御することを特徴とする、請求項3に記載の無菌性密閉空間内を除染する方法
  5. 前記合流経路にコネクターを介して排液タンクに至る分岐経路を設け、前記出力経路及び合流経路内の液を排液タンクに導く第3ステッピングモータを分岐経路に設け、除染作業開始前に、前記第1ステッピングモータ及び第2ステッピングモータ以降の前記出力経路及び前記合流経路内の液を第3ステッピングモータにより前記排液タンクに吸引することを特徴とする、請求項3又は4のいずれかに記載の無菌性密閉空間内を除染する方法。
  6. 前記温湿度センサーは2個設け、2個の温湿度センサーを常時作動させ、2個の温湿度センサーの測定湿度の差異が閾値を越えた時間が規定時間を超えた際、前記メイン制御・モニタリング装置により装置全体の作動を停止させることを特徴とする、請求項3に記載の無菌性密閉空間内の除染方法。
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