JP7390854B2 - 樹脂組成物、および、成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物、および成形体に関する。
スチレン系樹脂は、軽量であり、また成形が容易である等の特性を有することから、一般に、当該特性を活かして発泡体、シート、筐体等に成形され、様々な産業分野に使用されている。
一方、近年、石油資源枯渇の問題や炭酸ガス排出増加に伴う地球温暖化といった環境問題の観点から、二酸化炭素の低減が求められており、見かけ上二酸化炭素を排出しない「カーボンニュートラル」な材料としてポリ乳酸をはじめとする植物由来の原料を用いた樹脂が注目されている。このような植物由来の低環境負荷の材料をスチレン系樹脂に配合(ポリマーアロイ)して使用することにより、スチレン系樹脂の使用量を削減することが可能であり、また、このようなスチレン系樹脂とのポリマーアロイが近年検討されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2015-86251号公報
ところで、スチレン系樹脂にポリ乳酸を含有させた樹脂組成物においては、含有させたポリ乳酸の吸湿性が高いことから、ポリ乳酸を含有する樹脂組成物の成形加工時に、シルバーストリーク(成形不良)が発生することがあった。
また、当該樹脂組成物より得た成形体の機械的強度は、十分高いとは言えず、さらなる改良が求められている。具体的には、成形体の耐衝撃性や柔軟性等の強度が良好であっても、容器などのように比較的薄肉部を有する成形体を、当該薄肉部が折れ曲がるように強く把持した場合に割れが発生する可能性があり、成形体の実際の使用状況に近い条件下での評価に改良の余地があった。
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであり、成形加工時に発生しうるシルバーストリークを低減し、また、成形体の機械的強度を十分に向上させることが可能な樹脂組成物、および、当該樹脂組成物を成形して得られる成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を進めた結果、スチレン系樹脂に対して、ポリ乳酸と、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体と、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体と、を適切な量で含有させることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記に示すとおりである。
[1]スチレン系樹脂(A)71.0~98.8質量%と、ポリ乳酸(B)1.0~11.5質量%と、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(C)0.1~6.0質量%と、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体(D)0.1~11.5質量%と、を含有することを特徴とする、樹脂組成物。
[2]前記ブロック共重合体(C)がa-b型ブロック共重合体であり、aセグメントがスチレン系単量体から形成され、bセグメントが炭素数1~4のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体から形成されており、かつaセグメントとbセグメントとの割合が質量比で95/5~30/70である、上記[1]の樹脂組成物。
[3]インジェクションブロー成形用である、上記[1]または[2]の樹脂組成物。
[4]上記[1]~[3]のいずれかの樹脂組成物を成形して得られる成形体。
本発明によれば、成形加工時に発生しうるシルバーストリークを低減し、また、成形体の機械的強度を十分に向上させることが可能な樹脂組成物、および、当該樹脂組成物を成形して得られる成形体を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
《樹脂組成物》
本実施形態の樹脂組成物は、スチレン系樹脂(A)71.0~98.8質量%と、ポリ乳酸(B)1.0~11.5質量%と、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(C)0.1~6.0質量%と、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体(D)0.1~11.5質量%と、を含有する。
以下、スチレン系樹脂(A)を成分(A)と、ポリ乳酸(B)を成分(B)と、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(C)を、ブロック共重合体(C)または成分(C)と、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体(D)を水添ブロック共重合体(D)または成分(D)と、も称する。
<スチレン系樹脂(A)>
本実施形態において、スチレン系樹脂(A)としては、スチレン系単量体の単独重合体、または、スチレン系単量体と必要に応じてこれと共重合可能な他の単量体との共重合体とすることができる。
また、スチレン系樹脂(A)としては、スチレン系樹脂のマトリックス中にゴム状重合体の粒子が分散したもの、換言すれば、ゴム状重合体の存在下でスチレン系単量体を重合させて得られるゴム変性スチレン系樹脂とすることもできる。
本実施形態において、スチレン系樹脂(A)は、スチレン系樹脂(A)、ポリ乳酸(B)、ブロック共重合体(C)および水添ブロック共重合体(D)の合計含有量100質量%に対して、71.0~98.8質量%であり、好ましくは80.0~96.7質量%であり、より好ましくは83.5~92.5質量%である。本実施形態において、スチレン系樹脂(A)の含有量を71.0質量%以上にすることにより、樹脂組成物より得た成形体の耐熱性、機械的物性等を確保することができる。一方、当該含有量を98.8質量%以下にすることにより、ポリ乳酸(B)、ブロック共重合体(C)、水添ブロック共重合体(D)の含有量を確保することができ、環境負荷を低減するとともに、優れた耐衝撃性を有する成形体を得ることができる。
ここで、スチレン系樹脂(A)を構成するスチレン系単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、パラメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。特に工業的観点からスチレンが好ましい。スチレン系単量体としては、これらを単独または混合して使用できる。
また、スチレン系単量体と共重合可能な他の単量体の共重合体としては、スチレン系単量体と共重合可能であれば特に限定されず、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸2-エチル-ヘキシル、及び(メタ)アクリロニトリル等のビニル系化合物、並びにジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート、無水マレイン酸、マレイミド、及び核置換マレイミド等が挙げられる。この中でも、ビニル系化合物を含有することが好ましく、より好ましくは、メタクリル酸を含有することである。
スチレン系樹脂(A)中のスチレン系単量体単位の含有量としては、スチレン系樹脂を構成する単量体単位の合計量を100質量%とした際に、70質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上、特に好ましくは97質量%以上である。含有量が70質量%未満では、スチレン系樹脂の特徴である樹脂の成形性、流動性が低下してしまい、好ましくない。
なお、スチレン系樹脂(A)が、スチレン系単量体と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体である場合には、スチレン系樹脂(A)中のスチレン系単量体単位の含有量の上限値は、98質量%であることが好ましく、より好ましくは95質量%である。また、スチレン系樹脂(A)が、ポリスチレン等のスチレン系単量体の単独重合体である場合には、スチレン系樹脂(A)がスチレン系単量体単位からなることが好ましいが、例えば、スチレン系単量体単位以外の単量体単位が5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下で含まれることは許容される。
また、スチレン系樹脂(A)がゴム変性スチレン系樹脂である場合には、ゴム状重合体を除いたスチレン系樹脂中におけるスチレン系単量体単位の含有量を指す。
その他単量体を共重合した際のスチレン系樹脂(A)中のスチレン系単量体単位とその他の単量体単位の含有量は、樹脂を核磁気共鳴測定装置(1H-NMR)で測定したときのスペクトルの積分比から求めることができる。
スチレン系樹脂(A)がゴム変性スチレン系樹脂である場合において、ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、ポリクロロプレン、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体などを使用できる。その中でも、ポリブタジエンまたはスチレン-ブタジエン共重合体が好ましい。ポリブタジエンには、シス含有率の高いハイシスポリブタジエン及びシス含有率の低いローシスポリブタジエンの双方を用いることができる。また、スチレン-ブタジエン共重合体の構造としては、ランダム構造及びブロック構造の双方を用いることができる。これらのゴム状重合体は1種以上用いることができる。また、ブタジエン系ゴムを水素添加した飽和ゴムを用いることもできる。
ゴム変性スチレン系樹脂に含まれるゴム状重合体は、内側にスチレン系樹脂を内包し、かつ、外側にスチレン系樹脂がグラフトされたものであってよい。
このようなゴム変性スチレン系樹脂の例としては、HIPS(高衝撃ポリスチレン)、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル-エチレンプロピレンゴム-スチレン共重合体)等が挙げられる。
ゴム変性スチレン系樹脂中に含まれるゴム成分の含有量は、特に限定されないが、ゴム変性スチレン系樹脂100質量%に対して、2~10質量%が好ましく、更に好ましくは2.5~8質量%である。ゴム成分の含有量が2質量%より少ないと耐衝撃性が低下し、成形体が割れ易くなる。また、ゴム状重合体の含有量が10質量%を超えると機械的強度及び外観が低下する傾向がある。
なお本開示で、ゴム変性スチレン系樹脂中に含まれるゴム成分の含有量は、熱分解ガスクロマトグラフイーを用いて算出される値である。
ゴム変性スチレン系樹脂中に含まれるゴム状重合体分散粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、0.5~5.0μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0~4.0μmである。ゴム状重合体分散粒子の平均粒子径が0.5μmより小さいと樹脂組成物の耐衝撃性が得られにくい傾向があり、5.0μmより大きいと機械的強度及び外観が低下する傾向がある。
なお本開示で、ゴム変性スチレン系樹脂中に含まれるゴム状重合体の分散粒子の平均粒子径は、実施例に記載の通り、デジタルコールター原理を採用した粒度分布測定機(Multisizer III ベックマン・コールター社製)を使った体積基準のメジアン径をいう。
ゴム変性スチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、5~40万の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは8~35万の範囲である。重量平均分子量が5万より小さいと衝撃強度が低下する傾向があり、40万を超えると成形性が悪化する傾向がある。
なお本開示で、ゴム変性スチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される値であり、より詳細には、後述の[実施例]の項で説明する手順で測定される値である。
ゴム変性スチレン系樹脂のメルトマスフローレイトは、特に限定されないが、1.0~20g/10minの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは1.5~16g/10minの範囲である。1.0g/10minより低いと成形性が低下し、20g/10minを超えると成形品の外観不良が生じる傾向がある。
なお本開示で、ゴム変性スチレン系樹脂のメルトマスフローレイトは、JIS K 7210-1に準拠して200℃、5kg荷重の条件で測定した値である。
本実施形態の樹脂組成物に用いることができるゴム変性スチレン系樹脂の製造方法の例を示す。
典型的な態様において、ゴム変性スチレン系樹脂は、スチレン系単量体を、ゴム状重合体の存在下で重合させて、スチレン系重合体中にゴム状重合体が分散している海島構造を形成することを含む方法によって製造できる。スチレン系単量体の重合方法に関しては特に制約はなく、スチレン系単量体にゴムを溶かした溶液を用いて、通常の塊状重合、溶液重合、懸濁重合等を行うことができる。また、メルトフローレート調整のために、溶媒や連鎖移動剤を適宜選択して使用することが好ましい。溶媒としてはトルエン、エチルベンゼン、キシレン等を使用できる。溶媒の使用量は特に限定されるものではないが、重合原料液の全量100質量%に対して、0~50質量%の範囲が好ましい。連鎖移動剤としては、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、α-メチルスチレンダイマー等が用いられ、α-メチルスチレンダイマーが好ましい。連鎖移動剤の使用量は、重合原料液の全量100質量%に対して好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.03~1質量%、さらに好ましくは0.05~0.2質量%の範囲である。重合反応温度は好ましくは80~200℃、さらに好ましくは90~180℃の範囲である。反応温度が80℃以上であれば生産性が良好で、工業的に適当であり、一方200℃以下であれば、低分子量重合体が多量に生成することを回避でき好ましい。スチレン系重合体の目標分子量が重合温度のみで調整できない場合は、開始剤量、溶媒量、連鎖移動剤量等で制御すればよい。反応時間は一般に0.5~20時間、好ましくは2~10時間である。反応時間が0.5時間以上であれば反応が良好に進行し、一方、20時間以下であれば、生産性が良好で工業的に適当である。
上記の製造方法において、ゴム変性スチレン系樹脂中のゴム状重合体の分散粒子の粒子径については、反応器内の撹拌機の回転数により制御が可能であり、トルエン不溶分の量については開始剤量による制御が可能であり、トルエン不溶分のトルエンに対する膨潤指数は回収系の押出機の温度により制御が可能である。
ゴム変性スチレン系樹脂のゴム状重合体の量は、目標とする含有量になるように原材料中のゴム状重合体の含有量や重合率を調整することによって制御することができる。本実施形態において、ゴム変性スチレン系樹脂は、前記製造法により製造できるが、別の方法として、前記の製造方法により得られたゴム変性スチレン系樹脂に、ゴム状重合体を含有しないポリスチレン樹脂等のスチレン系樹脂を混合し希釈することによっても製造することができる。
重合開始剤として用いられる有機過酸化物としては、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類などが挙げられる。
重合溶媒としては、エチルベンゼン、トルエン、キシレン等を用いることが可能である。
本実施形態において、ゴム変性スチレン系樹脂を製造する際の回収工程の前後の任意の段階、又はゴム変性スチレン系樹脂を押出加工、成形加工する段階において、必要に応じ本発明の目的を損なわない範囲で各種添加剤、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、ヒンダートフェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤、滑剤、流動パラフィンなどの可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、各種染料や顔料、蛍光増白剤、光拡散剤、選択波長吸収剤を添加してもよい。
<ポリ乳酸(B)>
本実施形態の樹脂組成物は、ポリ乳酸(B)を含有する。樹脂組成物がポリ乳酸(B)を含有することにより、環境負荷を低減することができる。
本実施形態において、ポリ乳酸(B)は、スチレン系樹脂(A)、ポリ乳酸(B)、ブロック共重合体(C)および水添ブロック共重合体(D)の合計含有量100質量%に対して、1.0~11.5質量%であり、好ましくは2.0~11質量%であり、より好ましくは3~10質量%である。本実施形態において、ポリ乳酸(B)の含有量を1.0質量%以上にすることにより、環境負荷を低減することができる。一方、ポリ乳酸(B)の含有量を11.5質量%以下にすることにより、樹脂組成物の成形加工時に発生しうるシルバーストリークを低減することができる。
本実施形態のポリ乳酸(B)は、特に限定されないが、例えばとうもろこしやイモ類等から得た澱粉を糖化して、更に乳酸菌により乳酸を得、次に、乳酸を環化反応させてラクチドとし、これを開環重合する方法で得られたポリ乳酸を用いることができる。また、石油からラクチドを合成しこれを開環重合して得たポリ乳酸でも、あるいは石油から乳酸を得、これを直接脱水縮合して得たポリ乳酸樹脂を用いてもよい。特に、二酸化炭素排出量削減という観点から、植物由来原料が好ましい。
ポリ乳酸(B)を構成するL-乳酸およびD-乳酸の比率に関しては、特に限定されることなく用いることができる。本実施形態の樹脂組成物の成形性を考慮すると、L-乳酸とD-乳酸の比が100:0~90:10であることが好ましく、より好ましくはL-乳酸とD-乳酸の比が100:0~95:5である。
ポリ乳酸(B)の分子量や分子量分布は、特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)としては、好ましくは1万以上40万以下であり、より好ましくは4万以上30万以下である。分子量が1万より小さいと樹脂組成物の衝撃強度が低下する恐れがあり、40万を超えると樹脂組成物中でのポリ乳酸(B)の分散性が低下し、機械的強度、特に耐折強度が低下する。
ポリ乳酸(B)樹脂のメルトマスフローレイトは、1~30g/10minが好ましく、特に好ましくは、3.8~26.3g/10minである。なお、ポリ乳酸(B)樹脂のメルトマスフローレイトは、JIS K 7210-1に従って、210℃、2.16kg荷重で測定した値である。
<ブロック共重合体(C)>
本実施形態の樹脂組成物は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(C)(以下、(C)成分とも称する)を含有する。樹脂組成物がブロック共重合体(C)を含有することにより、樹脂組成物中のスチレン系樹脂(A)とポリ乳酸(B)との相容性が向上するため、樹脂組成物が均一になる。そして、それに伴い当該樹脂組成物より得た成形体の機械的強度を高いレベルにすることができる。また、後述の水添ブロック共重合体(D)とともに、所定の含有量で樹脂組成物に含まれることにより、当該樹脂組成物より得た、容器などのように比較的薄肉部を有する成形体について、当該成形体の薄肉部が折れ曲がるように強く把持した場合であっても割れの発生を防ぐことができ、成形体の実際の使用状況に近い条件下で求められる強度を含め、成形体の機械的強度を十分に向上させることができる。
なお、ブロック共重合体(C)以外の相容化剤を用いた場合、耐衝撃性の向上幅が小さいか、あるいは各成分の混練時や樹脂組成物の成形時にポリ乳酸(B)を分解させてしまうことがあり、好ましくない。
本実施形態において、ブロック共重合体(C)は、スチレン系樹脂(A)、ポリ乳酸(B)およびブロック共重合体(C)の合計含有量100質量%に対して、0.1~6.0質量%であり、好ましくは0.5~5.5質量%である。当該含有量が0.1質量%未満では、添加しない場合に比べて耐衝撃性や柔軟性等の機械的強度の向上がほとんど認められない。一方、当該含有量が6.0質量%超では、樹脂組成物の成形加工時にシルバーストリークが発生する恐れがある。
ブロック共重合体(C)のスチレン系単量体としては、スチレンの他に、α-メチルスチレン、α-メチル-p-メチルスチレン、ο-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、及びt-ブチルスチレン又はブロモスチレン、クロロスチレン、及びインデン等のスチレン誘導体が挙げられ、特に、スチレンが好ましい。これらのスチレン系単量体は、1種若しくは2種以上使用することができる。
ブロック共重合体(C)の(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、炭素数1~4のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体が挙げられ、具体例としては、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチル、エステル(メタ)アクリル酸イソプロピルエステル、アクリル酸ブチルエステルが挙げられる。中で最も入手しやすいことから、(メタ)アクリル酸エステル系単量体はメタアクリル酸メチルエステルであることが好ましい。
本実施形態においてブロック共重合体(C)は、a-b型ブロック共重合体とすることができ、具体的には、aセグメントがスチレン系単量体により形成し、bセグメントが(メタ)アクリル酸エステル系単量体により形成することができる。当該a-b型ブロック共重合体は、例えばポリメリックペルオキシドを用いて公知の製造プロセスである塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法及び溶液重合法等で製造することができる。
また、上記aセグメントと上記bセグメントとの割合は、質量比で40/60~95/5であることが好ましく、より好ましくは45/55~93/7である。aセグメントとbセグメントの質量比を上記範囲内にすることで、ブロック共重合体(C)を含有させることによる耐衝撃性の向上等がより高まる。上記好適なブロック共重合体(C)は市販されているものを使用してもよい。例としては日本油脂(株)製「モディパーMS10B」等が挙げられる。
<水添ブロック共重合体(D)>
本実施形態の樹脂組成物は、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体(D)(以下、(D)成分とも称する。)を含有する。これにより、樹脂組成物を成形して得た成形体の機械的強度を向上させることができる。また、上記のブロック共重合体(C)とともに、所定の含有量で樹脂組成物に含まれることにより、成形体の実際の使用状況に近い条件下で求められる強度を含め、成形体の機械的強度を十分に向上させることができる。特に、スチレン系樹脂(A)及びポリ乳酸(B)を含む樹脂組成物に対して、上記のブロック共重合体(C)と、水添ブロック共重合体(D)と、を添加することにより、樹脂組成物の全体として、シルバーストリークを低減し、かつ成形体の機械的強度(耐折強度、容器座屈強度等)が向上し、特に薄肉部の耐折強度が向上することが確認された。
本実施形態において、樹脂組成物中の水添ブロック共重合体(D)の含有量は、スチレン系樹脂(A)、ポリ乳酸(B)、ブロック共重合体(C)、および水添ブロック共重合体(D)の合計含有量100質量%に対して、0.1~11.5質量%、好ましくは0.5~11質量%である。当該含有量が0.1質量%以上であることにより、樹脂組成物より得られる成形体の強度をさらに向上させることができ、また、11.5質量%以下であることにより、樹脂組成物より得られる成形体の剛性を維持することができる。
本実施形態において、水添ブロック共重合体(D)とは、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とからなる非水添ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体である。また、共役ジエン化合物とは1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例として1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)が挙げられる。また、ビニル芳香族化合物の例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼンが挙げられる。水添ブロック共重合体として最も一般的なものは1,3-ブタジエンとスチレンからなる水添ブロック共重合体であり、SEBSとも呼ばれる。
本実施形態において、水添ブロック共重合体(D)を製造するための、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とのブロック共重合の方法、および得られたブロック共重合体の水添の方法は公知の方法を用いることができる。
本実施形態において、水添ブロック共重合体(D)におけるビニル芳香族化合物の含有量は好ましくは10質量%以上、70質量%未満、更に好ましくは20質量%以上、60質量%未満である。ビニル芳香族化合物の含有量が10質量%未満では、樹脂組成物の剛性が低下する傾向があり、一方ビニル芳香族化合物の含有量が70質量%超では、耐衝撃性の改善が低くなる傾向がある。
本実施形態において、水添ブロック共重合体(D)の共役ジエン化合物に基づく二重結合の水添率は75~100%が好ましく、更に好ましくは80~100%である。水添率が75%未満では、樹脂組成物の剛性が低下する傾向がある。
本実施形態において、水添ブロック共重合体(D)の重量平均分子量は3~100万が好ましく、更に好ましくは5~80万である。重量平均分子量が3万未満では樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向があり、重量平均分子量が100万を越えると樹脂組成物の成形加工性が劣る傾向がある。
本実施形態において、水添ブロック共重合体(D)は官能基を有する化合物で変性されていてもよい。当該官能基としては、カルボキシル基、酸無水物基、イソシアナート基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシラン基等が挙げられる。
なお、本実施形態において、水添ブロック共重合体(D)は市販品を用いることができる。例として旭化成ケミカルズ(株)製のタフテック(商品名)が挙げられる。
<流動パラフィン>
本実施形態において、樹脂組成物には耐衝撃性のさらなる向上の観点から、流動パラフィンを0.3~5.0質量%含有することが好ましい。好ましくは、0.5~4.5質量%である。当該含有量が5.0質量%を超えると、耐熱性が低下し易くなる。一方、当該含有量が0.3質量%より少ないと、耐衝撃性のさらなる向上が得られにくい。流動パラフィンとしては種々のものが挙げられるが、数平均分子量375~425の範囲にあることが好ましい。このような流動パラフィンはASTMD1160(10mmHg)で測定する2.5質量%初留温度が230~290℃のものである。流動パラフィンの含有量はメタノール可溶分を液体クロマトグラフイーで分析することで求められる。
<その他の成分>
本実施形態の樹脂組成物には、本発明の要旨を超えない範囲で一般的な各種添加剤を、公知の作用効果を達成するために添加することもできる。例えば、離型剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、染料、顔料、帯電防止剤、防曇剤、各種充填剤等を、目的に合った効果を達成するために添加することができる。
なお、樹脂組成物中の上記各種添加剤は、樹脂組成物100質量%に対して1.0質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
これらの添加方法は特に限定される訳では無く、公知の方法、例えば、使用する(A)ゴム変性スチレン系樹脂もしくは(B)ポリ乳酸の重合開始前、重合途中の反応液に対して、または、重合終了後に添加することができる。さらに、後述の樹脂組成物の製造方法に記載の、各成分から樹脂組成物を製造する段階、具体的には各成分を配合する際や、押出機の途中から添加することや、樹脂組成物を成形する際の成形機においても添加することができる。
<樹脂組成物及びそれを用いた成形品の特性>
本実施形態の樹脂組成物を用いた成形品の耐折強度は、実施例に記載の条件で測定した際に、11回以上であることが好ましく、より好ましくは100回以上であり、更に好ましくは1000回以上である。
理由は定かではないが、当該樹脂組成物より得た、容器などのように比較的薄肉部を有する成形体について、当該成形体の薄肉部が折れ曲がるように強く把持した場合の割れの発生の有無と、耐折強度とに相関があることが認められ、当該耐折強度を上記の範囲とすることで、上記割れの発生を防ぐことができ、成形体の機械的強度を十分に向上させることができる。
本実施形態の樹脂組成物を用いた成形品のシャルピー衝撃強度(kJ/m2)は、7.0以上であることが好ましく、より好ましくは8.5以上であり、更に好ましくは10以上である。上記範囲であることにより、十分な耐衝撃性を有する成形体得ることができる。なお、シャルピー衝撃強度は、ISO 179に準拠して、シャルピー衝撃強度(kJ/m2)をノッチ有りで測定する。
本実施形態の樹脂組成物を用いた成形品のシルバーストリーク発生の頻度は、100個当たりの発生個数として、1~2個以下であることが好ましい。
本明細書では成形品の一例として、射出成形又はインジェクションブロー成形により得られた成形品に対して、各種機械的特性の評価を行っているが、本実施形態の樹脂組成物を使用する限り、他の成形方法、例えばブロー成形等を採用した成形品であっても、その機械的特性の傾向は、変わらないと考えられる。
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態において、樹脂組成物の製造方法は、(A)スチレン系樹脂および(B)ポリ乳酸、(C)ブロック共重合体および(D)水添ブロック共重合体を配合、溶融、混練、造粒する方法は特に限定されず、樹脂組成物の製造で常用されている方法を用いることができる。例えば、ドラムタンブラー、ヘンシェルミキサー等で配合(混合)した上記各成分をバンバリーミキサー、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー等を用いて溶融、混練し、ロータリーカッター、ファンカッター等で造粒することによって樹脂組成物を得ることができる。溶融、混練における樹脂温度は180~240℃が好ましい。目標とする樹脂温度にするためには、押出機等のシリンダー温度は樹脂温度よりも10~20℃低い温度に設定することが好ましい。樹脂温度が180℃未満では混合が不十分となり好ましくない。一方、樹脂温度が240℃を超えると(B)ポリ乳酸の熱分解が起こり好ましくない。
《成形体》
本実施形態の成形体は、上記の本発明に係る実施形態の樹脂組成物を成形して得ることができる。本実施形態の成形体は、上記の本発明に係る実施形態の樹脂組成物を成形して得たものであれば特に限定されないが、当該成形体が厚さ1mm以下の部分を有することが好ましい。厚さ1mm以下の部分を有する成形体において、上記の樹脂組成物を好適に用いることができる。
また、本実施形態の成形体は、特に限定されないが、容器やシートであることが好ましい。本実施形態の容器は、樹脂組成物より直接製造(成形)してもよく、または樹脂組成物を成形して得たシートをさらに成形することにより製造してもよい。また、本実施形態のシートは、容器だけでなく他の成形体を製造(成形)するために用いることができる。
本実施形態のシートは、非発泡の押出シートであり、厚さは、特に限定されないが例えば、1.0mm以下とすることができ、好ましくは、0.2~0.8mmである。
また、本実施形態のシートは、通常の低倍率のロール延伸のみで形成したシートとしてもよいが、特に、ロールで1.3倍~7倍程度延伸した後、テンターで1.3~7倍程度延伸したシートが、強度の観点から、好ましい。
本実施形態のシートは、ポリスチレン樹脂等のスチレン系樹脂等と多層化して用いてもよく、また、当該スチレン系樹脂等の層に加えて、又は代えて、該スチレン系樹脂以外の樹脂と多層化して用いてもよい。スチレン系樹脂以外の樹脂としては、PP樹脂、PP/PS系樹脂、PET樹脂、ナイロン樹脂等が挙げられる。
本実施形態の容器は、上記の樹脂組成物を用いてインジェクションブロー成形により得られた容器、または、上記のシートを成形して得られた容器である。
具体的には、本実施形態の、インジェクションブロー成形により得た容器としては、特に限定されないが例えば、乳酸菌飲料等の飲料や発酵乳等の食品などを保存ないし収容する容器が挙げられ、容器は、開口部にフランジ面を有し、開口部を上方に備える円筒竪型とすることができる。当該容器は、高さ50~120mm、直径30~60mm、厚さ0.2~0.8mmの大きさにすることができる。
また、本実施形態の、上記のシートを成形して得られた容器としては、特に限定されず、シート又はこれを含む多層体より成形した、弁当の蓋材又は惣菜等を入れる容器が挙げられる。
<成形体の製造方法>
本実施形態において、樹脂組成物から成形体を得る製造方法は、特に限定されず、公知の成形方法、例えば押出成形加工や射出成形加工により製造することができる。具体的には押出成形加工としては、例えば、押出成形、カレンダ成形、中空成形、押出発泡成形、異形押出成形、ラミネート成形、インフレーション成形、Tダイフィルム成形、シート成形、真空成形、圧空成形、ダイレクトブロー成形などが挙げられる。また、射出成形加工としては、例えば、射出成形、RIM成形、射出発泡成形、インジェクションブロー成形、射出延伸ブロー成形などが挙げられる。
本実施形態において、成形体のなかでもシートの製造方法としては、特に限定されないが例えば、Tダイを取り付けた短軸又は二軸押出機で押し出しし、一軸延伸機又は二軸延伸機でシートを引き取る方法等を挙げることができる。
また、本実施形態において、シートより成形して得る容器の製造方法は、特に限定されず例えば、真空成形が挙げられる。
また、本実施形態において、インジェクションブロー成形により得られた容器の製造方法としては、特に限定するものではなく公知の方法により成形することができる。具体的には、インジェクションブロー成形では、まず射出成形によって樹脂組成物から中間体(例えば有底のパリソン)を成形し、ついで、この中間体を、軟化状態でコア(射出成形の雄金型)に付けたままでブロー成形金型内に移行させ、そして、コアから圧気を送り込んでブロー成形金型内壁面まで膨らませることで、中空成形体(例えば容器)を成形することができる。
上記の成形法において、中間体をブロー成形する段階において、金型温度は20~70℃であることが好ましく、25~65℃であることがより好ましく、30~60℃であることがさらに好ましい。
また、ゴム変性ポリスチレン(A)の温度は、180~280℃であることが好ましく、200~260℃であることがより好ましい。
中間体の体積に対する容器の体積の倍率(体積の延伸倍率)は、1.5~7倍であることが好ましく、2~5倍であることがより好ましい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記例に限定されることは無く、適宜変更を加えることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されると解されるべきでない。
まず、実施例、比較例を評価するために用いた評価方法について以下説明する。
(1)シルバーストリーク発生の評価
本実施例のシルバーストリーク発生(シルバー発生)の評価方法は、射出成形機で成形した厚さ2mmのプレート上に、目視でシルバーストリークが確認されるか否かで行い、観察した結果を下記基準で評価した。厚さ2mmのプレートは、射出成形機(東芝機械株式会社製、EC60N)により、シリンダー温度220℃、金型温度45℃で成形したものを用いた。
◎:シルバーストリークが発生しなかった。
○:シルバーストリークが発生した成形体が1~2個であった。
×:シルバーストリークが発生した成形体が3個以上であった。
(2)容器把持評価
容器を強く把持した際に割れが発生するかを評価した。具体的には、インジェクションブロー成形した容器を約40kgfの力で握り潰した際、容器10個中に割れが何個発生したかを、目視にて確認を行い、その割れ個数をカウントした。
(3)耐折強度の測定
インジェクションブロー成形した容器から長さ120mm、幅15mm、厚み0.35mmの試験片を採取し、測定を実施した。測定にはMIT耐折疲労試験機DA型(株式会社東洋精機製作所製)を使用した。なお、測定条件は135cpm、90℃と、測定結果を下記の基準で評価した。
◎:試験片を100回以上屈折させても割れなかった。
○:試験片を11~99回屈折させることで割れた。
×:試験片を10回以下屈折させることで割れた。
(4)座屈強度の測定
圧縮試験用下部圧盤に固定された、インジェクションブロー成形した容器に対して、圧縮試験機の可動部位に突設された圧縮負荷冶具により、押圧速度200mm/分で負荷をかけた際の圧縮強度を測定した。なお、測定装置として、島津製作所製の卓上型精密万能試験機(オートグラフAGS-5kNX)を使用した。測定した結果を下記の基準で評価した。
○:座屈強度が140N以上であった。
×:座屈強度が140N未満であった。
(5)シャルピー衝撃強度の測定
ISO 179に準拠して、シャルピー衝撃強度(kJ/m2)をノッチ有りで測定した。測定した結果を下記の基準で評価した。
○:7.0KJ/m2以上
×:7.0KJ/m2未満
(6)ゴム状重合体の分散粒子の粒子径
30μm径のアパーチャーチューブを装着したベックマンコールター株式会社製COU
LTER MULTISIZER III (商品名)にて、ゴム変性ポリスチレン0.
05gをジメチルホルムアミド約5ml中に入れ約2~5分間放置した。次にジメチルホ
ルムアミド溶解分を適度の粒子濃度として測定し、体積基準のメジアン径を求めた。
続いて、実施例、比較例で用いた樹脂を説明する。
-スチレン系樹脂-
・スチレン系樹脂(A-1):
スチレン系単量体としてスチレン88.3質量部、ゴム状重合体としてポリブタジエン
ゴム(旭化成株式会社製ジエン55AE)3.2質量部、溶剤としてエチルベンゼン8.
5質量部、重合開始剤として1,1‐ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.
002質量部、連鎖移動剤としてα-メチルスチレンダイマー0.06質量部を混合溶解
した重合液を、攪拌機を備え、3ゾーンで温度コントロール可能な6.2リットルの層流型反応器-1に、3.2リットル/Hrで連続的に仕込み、温度を125℃/130℃/135℃に調整した。撹拌機の回転数は毎分80回転とした。反応器出口の反応率は28%であった。
続いて、層流型反応機-1と直列に接続された、撹拌機を備え、3ゾーンで温度コントロール可能な6.2リットルの層流型反応器に重合液を送った。撹拌機の回転数は毎分20回転とし、温度は137℃/138℃/139℃に設定した。続いて撹拌機を備え、3ゾーンで温度コントロール可能な6.2リットルの層流型反応器-3に重合液を送った。撹拌機の回転数は毎分10回転とし、温度は142℃/143℃/148℃に設定した。
続いて層流型反応器-3からの反応器を220℃、1.0~1.5kPaに調整された2段真空ベント付押し出し機に供給して、未反応のモノマー又は溶媒等を除去した後、ストランドカットにてペレットを得た。このペレット100質量部に対し離型剤としてステアリン酸/ステアリン酸カルシウムの3:1の混合物を0.23質量部混合して、押出機を用いて混練して、ゴム変性スチレン系樹脂組成物を調製した。
得られたスチレン系樹脂(A-1)は、重量平均分子量(Mw)が19万、メルトマスフローレートが3.6g/10分、ゴム成分の含有量が、3.9質量%、ゴム状重合体粒子の平均粒子径は2.8μmであった。
-ポリ乳酸-
・ポリ乳酸(B-1):
D-乳酸成分の比率0.5モル%、重量平均分子量(Mw)20万、メルトマスフローレイト9.6g/10minであるポリ乳酸(Nature Works LLC製、Ingeo2003D)を用いた。
-ブロック共重合体-
・ブロック共重合体(C-1):
スチレンとメタクリル酸メチルとのブロック共重合体であって、組成比(質量比):スチレン/メタクリル酸メチル=90/10であるブロック共重合体(日本油脂株式会社製、モディパー MS10B)を用いた。
-水添ブロック共重合体-
・水添ブロック共重合体(D-1):
タフテック(商品名)H1041(旭化成株式会社製)
水添ブロック共重合体、スチレン成分含有量30質量%
メルトフローレート(200℃,5kgf):3.5g/10分
・水添ブロック共重合体(D-2):
タフテック(商品名)H1043(旭化成株式会社製)
水添ブロック共重合体、スチレン成分含有量67質量%
メルトフローレート(230℃,2.16kgf):2.0g/10分
次いで、実施例、比較例を説明する。
(実施例1~11、比較例1~7)
スチレン系樹脂(A)、ポリ乳酸(B)、ブロック共重合体(C)および水添ブロック共重合体(D)を表1に示す通り計量した。計量した原料をドラムタンブラーで配合し、二軸押出機(東芝機械株式会社製TEM-26SS)でシリンダー設定温度200℃、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し溶融ストランドとして抜き出した。溶融ストランドを水冷しロータリーカッターでストランドをカッティングしてペレット状の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂ペレットを創研株式会社製のスクリュー径30mmのシート押出機に供給した。樹脂溶融ゾーンの温度は180~220℃に設定し、Tダイ(コートハンガーダイ)より吐出量10kg/hで溶融押出した後、80℃に設定したキャストロール、タッチロールに圧着し、幅300mm、厚み0.3mmのシートを得た。
上記得られた樹脂組成物及びシートを上記の方法にて評価し、その結果を表1、2に示す。
Figure 0007390854000001
Figure 0007390854000002
本発明によれば、成形加工時に発生しうるシルバーストリークを低減し、また、成形体の機械的強度を十分に向上させることが可能な樹脂組成物、および、当該樹脂組成物を成形して得られる成形体を提供することができる。

Claims (4)

  1. スチレン系樹脂(A)83.5~92.5質量%と、ポリ乳酸(B)1.0質量%以上9.0質量%未満と、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるa-b型ブロック共重合体(C)0.5質量%超6.0質量%以下と、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体(D)2質量%超9質量%以下と、を含有することを特徴とする、樹脂組成物であって、
    前記スチレン系樹脂(A)は、スチレン系樹脂のマトリックス中にゴム状重合体の粒子が分散したゴム変性スチレン系樹脂であり、かつ前記スチレン系樹脂(A)中のスチレン系単量体単位の含有量は、前記スチレン系樹脂を構成する単量体単位の合計量を100質量%とした際に、70質量%以上である、樹脂組成物。
  2. 前記ブロック共重合体(C)がa-b型ブロック共重合体であり、aセグメントがスチレン系単量体から形成され、bセグメントが炭素数1~4のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体から形成されており、かつaセグメントとbセグメントとの割合が質量比で95/5~30/70である、請求項1の記載樹脂組成物。
  3. インジェクションブロー成形用である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物を成形して得られる成形体。
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