JP7390415B2 - ニューロキニン-1受容体アンタゴニストとしての化合物およびその使用 - Google Patents

ニューロキニン-1受容体アンタゴニストとしての化合物およびその使用 Download PDF

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Description

本発明は医薬技術の分野に関連し、具体的にはある特定の化合物、その調製および使用、ならびにそのような化合物を含む医薬組成物に関連する。例示されるように、本発明は、とりわけガン化学療法誘発の嘔吐および掻痒が含まれる患者におけるある特定の障害または所与の疾患を防止するための、処置するための、改善するための医薬品を製造する際に使用され得る可能性を有するある特定の化合物、その調製物、および対応する医薬組成物に関連する。本発明の化合物および/または医薬組成物は、それらの治療上の利益を、数ある中でも、サブスタンスP(SP)およびニューロキニン-1(NK-1)受容体を(例えば、サブスタンスP(SP)およびニューロキニン-1(NK-1)受容体と拮抗して)調節するように作用することによって及ぼすと考えられる。より具体的には、本発明の化合物および/または医薬組成物は、治療上の利益を、とりわけ化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)および/または術後悪心嘔吐(PONV)に苦しむ患者にもたらす可能性があると考えられる。
サブスタンスPとNK-1受容体(神経組織および末梢組織の至る所に分布するNK1Rおよびその変化イソ型)との間での恒常的結合が乱されると、次々に生じる無数の疾患(例えば、うつ病、神経変性、アルコール嗜癖、疼痛、片頭痛、炎症性腸疾患、掻痒、ウイルス感染、細菌感染、ガンおよび嘔吐)が引き起こされることがある(総説:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4573218/pdf/BMRI2015-495704.pdf、2018年5月5日閲覧)。
様々なNK1Rアンタゴニスト(NK1RA)が、これらの疾患のいくつかを処置するための新たないくらかの効力を示している。嘔吐-米国FDAにより、NK1RAの「ピタント(pitant)」部類の3つのピタント、すなわちアプレピタント(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/6918365#section=Top)、ロラピタンント(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/10311306#section=Top)およびネツピタント(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/6451149#section=Top、すべてが2018年5月5日閲覧)の販売が、化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)を処置するために承認されている。NK-1受容体アンタゴニストもまた、術後悪心嘔吐(PONV)を抑制する際の効力が臨床研究で明らかにされている(例えば、Gan TJ,et.al.,Anesth Analg.,112,804-812,2011;Apfel CC,et.al.,Curr Opin Anaesthesiol.,21,427-432,2008)。
掻痒-セルロピタント(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/23653789#section=Top、2018年5月5日閲覧)が、慢性/難治性の掻痒を処置する効力を第2相試験で示した(https://www.jaad.org/article/S0190-9622(18)30315-3/pdf、2018年5月5日閲覧)。
うつ病-有望な第2相臨床試験結果にもかかわらず、第3相試験におけるNK1RAの効力が、様々な理由のために、比較のプラセボ対照参加者に対して統計学的に持続しなかった(p<0.05)(例えば、N.M.J.Rupniak,et.al.,J.Affect.Dis.,223,121-125,2017)。大うつ病については残念ながら、かなりの患者集団(利用したデータベースに依存して約10~55%)が、現在承認されているSSRI/SNRI薬物に対して「処置抵抗性」である/になる(例えば、http://www.valueinhealthjournal.com/article/S1098-3015(14)03177-5/pdfのアブストラクPMH14(2018年5月5日閲覧)を参照のこと)。
ガン-有望な前臨床結果にもかかわらず、いくらかの効力が様々なNK1RAの小規模臨床試験から得られている(http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0004942、2018年5月5日閲覧)。例えば、前臨床試験における様々なNK1RAが、神経膠芽細胞腫、すなわち、ヒトにおいてNK1Rが過剰発現している最も一般的な悪性脳腫瘍を処置する効力を有する(例えば、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28341744、2018年5月5日閲覧)。残念ながら、ヒト神経膠芽細胞腫はまれではあるが、予後が不良である(平均5年生存率が初期診断後において約5%である:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4057143/pdf/nou087.pdf、2018年5月5日閲覧)。
本出願において開示される化合物および医薬製剤は、それらの治療上の利益を、数ある中でも、サブスタンスPおよびNK-1受容体を(例えば、サブスタンスPおよびNK-1受容体と拮抗して)調節するように作用することによって及ぼすと考えられる。結果として、本発明の化合物および/または医薬組成物は、治療上の利益を、とりわけ化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)および/または術後悪心嘔吐(PONV)に苦しむ患者にもたらす可能性があると考えられる。
以下は本発明のいくつかの局面の単なる概略にすぎず、しかし、本発明に対する限定ではない。本明細書のすべての参考文献はその全体が参照によって本明細書中に組み込まれる。本明細書の開示が引用と異なるときには、本明細書の開示が優先されるものとする。本発明は、サブスタンスPおよびNK-1受容体を(例えば、サブスタンスPおよびNK-1受容体と拮抗して)調節する化合物および医薬組成物、それらの調製物、ならびに対応する医薬組成物を提供する。本発明の化合物および/または医薬組成物は、とりわけ化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)および/または術後悪心嘔吐(PONV)が含まれる患者におけるある特定の障害またはNK-1受容体関連の疾患を防止するための、処置するための、改善するための医薬品の製造する際に使用され得る可能性がある。
本発明の1つの局面が、下記式(A)の化合物:

またはその医薬的に許容され得る塩(式中、RはHまたはC~Cアルキルであり、Wは、SF、SCF、S(O)CFおよびS(O)CFからなる群から選択され、Gは置換フェニルまたは非置換フェニルあるいは5員ヘテロアリールまたは6員ヘテロアリールである)を提供することである。
本発明の別の局面が、下記式(B)の化合物:

またはその医薬的に許容され得る塩(式中、RはHまたはC~Cアルキルであり、Yは、H、ハロゲン、C~CアルコキシまたはC~Cアルキルから選択され、qは1~5の整数であり、ただし、qが、2、3、4または5であるときには、YおよびYまたはYまたはYもしくはYは同じであることまたは異なることが可能である)を提供することである。
さらなる局面において、本発明は、式(A)もしくは式(B)の少なくとも1つの化合物または式(A)もしくは(B)の化合物の医薬的に許容され得る塩の有効量をそれぞれが含む様々な医薬組成物に関する。本発明による医薬組成物はさらに、少なくとも1つの医薬的に許容され得る賦形剤、キャリア、補助剤、溶媒、支持体、またはそれらの組み合わせを含む場合がある。
別の局面において、本発明は、ガン化学療法誘発の嘔吐および掻痒がとりわけ含まれる患者におけるある特定の障害またはNK-1受容体関連の疾患にとりわけ罹患している対象を処置する方法であって、そのような処置を必要としている前記対象に、式(A)もしくは(B)の少なくとも1つの化合物または式(A)もしくは(B)の化合物の医薬的に許容され得る塩の有効量を投与することを含む方法、あるいはそのような処置を必要としている前記対象に、式(A)もしくは(B)の少なくとも1つの化合物または式(A)もしくは(B)の化合物の医薬的に許容され得る塩の有効量を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む方法に関する。
本発明の1つの局面が、とりわけガン化学療法誘発の嘔吐および掻痒が含まれる患者におけるある特定の障害またはNK-1受容体関連の疾患の処置、防止、抑制または排除において使用される医薬品を調製するための式(A)または(B)の化合物の使用であって、前記医薬品が治療有効量の1つまたは複数の任意の補助的有効成分をさらに含み、前記補助的有効成分が5-HTアンタゴニスト(例えば、オンダンセトロンおよびグラニセトロン)および/またはグルココルチコイド(例えば、デキサメタゾン)あるいはそれらの組み合わせを含む、使用に関する。
本発明の別の局面が、患者における障害または疾患または医学的状態の処置、防止、抑制または排除を、患者のサブスタンスPおよびNK-1受容体を調節する(例えば、サブスタンスPおよびNK-1受容体と拮抗する)ことによって行う際に使用される医薬品を調製するための式(A)または(B)の化合物の使用であって、前記障害または疾患または医学的状態がとりわけ前記患者における化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)および/または術後悪心嘔吐(PONV)を含む、使用に関する。
本発明のさらに別の局面において、式(A)または(B)の化合物およびその医薬的に許容され得る塩はグルタミン酸伝達の調節因子として有用である。したがって、本発明は、グルタミン酸伝達を対象において調節するための方法であって、前記対象を有効量の式(A)もしくは(B)の少なくとも1つの化合物または式(A)もしくは(B)の化合物の医薬的に許容され得る塩にさらすことを含む方法に関する。
さらに別の局面において、本発明は、式(A)または(B)の化合物およびその医薬的に許容され得る塩を作製する方法に関する。
本発明の化合物、医薬組成物および方法のある特定の実施形態において、式(A)または(B)の化合物は、下記の詳細な説明において記載または例示されるそれらの化学種から選択される化合物であり、あるいはそのような化合物の医薬的に許容され得る塩である。
別の好ましい実施形態、本発明は、式(A)もしくは(B)の少なくとも1つの化合物または式(A)もしくは(B)の化合物の医薬的に許容され得る塩の有効量をそれぞれが含む様々な医薬組成物を調製する方法に関する。本発明による医薬組成物はさらに、少なくとも1つの医薬的に許容され得る賦形剤、キャリア、補助剤、溶媒、支持体、またはそれらの組み合わせを含む場合がある。
固定用量物として配合されるならば、そのような組み合わせ製造物は本発明の化合物を本明細書中に記載される(または当業者に知られているような)投薬量範囲の範囲内で用い、それ以外の医薬活性な薬剤または処置をその投薬量範囲の範囲内で用いる。例えば、CDC2阻害剤のオロモウシン(olomucine)は、アポトーシスを誘導する際において既知の細胞毒性剤と相乗的に作用することが見出されている(J.Cell Sci.,(1995)108,2897)。本発明の化合物はまた、組み合わせ製剤が不適切であるときには既知の抗ガン剤または細胞毒性剤とともに逐次的に投与される場合がある。どのような併用処置においても、本発明は投与順序において限定されず、式(A)または(B)の化合物は既知の抗ガン剤または細胞毒性剤の投与前または投与後のどちらでも投与され得る。例えば、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤のフラボピリドールの細胞毒性活性は抗ガン剤との投与順序によって影響を受ける(Cancer Research,(1997)57,3375)。そのような技術は当業者ならびに主治医の技能の範囲内である。
前述の方法のどれもが、流体(例えば、水など)、ループ利尿剤、化学療法剤または抗新生物剤の1つまたは複数(例えば、ロイコボリンおよびフルオロウラシルなど)、および補助的化学療法剤(例えば、フィルグラスチムおよびエリスロポイエチンなど)、あるいはどのような組み合わせであれそれらの組み合わせを投与することによって増強される場合がある。
さらに別の実施形態が、本発明の化合物をその必要性のある対象(例えば、ヒト)に投与することを、本発明の医薬製剤を該対象に投与することによって行うめの方法である。
さらに別の実施形態が、本発明の少なくとも1つの医薬的に許容され得る化合物と、必要な場合には1つまたは複数の医薬的に許容され得る添加剤または賦形剤とを混合することによって本発明の医薬製剤を調製する方法である。
医薬組成物を本発明によって記載される化合物から調製するために、不活性な医薬的に許容され得るキャリアは固体または液体のどちらもが可能である。固形形態の調製物には、粉末剤、錠剤、分散性顆粒、カプセル剤、ビーズ剤、カシェ剤および坐剤が含まれる。粉末剤および錠剤は約5~約95パーセントの有効成分から構成される場合がある。様々な好適な固体キャリアがこの技術分野では知られており、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖またはラクトースである。錠剤、粉末剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与のために好適である固体投薬形態物として使用することができる。様々な組成物のための医薬的に許容され得るキャリアおよび製造方法の様々な例が、A.Gennaro(編)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版(1990)(Mack Publishing Co.、Easton、PA)において見出され得る。
液体形態の調製物には、溶液、懸濁物および乳濁液が含まれる。例えば、非経口注射用の水または水-プロピレングリコール溶液があり、あるいは経口用の溶液、懸濁物および乳濁液のための甘味料および乳白剤が添加される。液体形態の調製物にはまた、鼻腔内投与用の溶液が含まれる場合がある。
吸入のために好適であるエアロゾル調製物には、医薬的に許容され得るキャリア、例えば、不活性な圧縮ガス(例えば、窒素)などと組み合わされていてもよい溶液および粉末形態での固体が含まれる場合がある。
経口または非経口投与のどちらのためであっても液体形態の調製物に使用直前に転換されることが意図される固体形態の調製物もまた含まれる。そのような液体形態物には、溶液、懸濁物および乳濁液が含まれる。
本発明の化合物はまた、経皮送達可能である場合がある。経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/または乳濁液の形態を取ることができ、この目的のためにこの技術分野では従来的であるようなマトリックスタイプまたはリザーバータイプの経皮パッチに含めることができる。
本発明の化合物はまた、皮下送達可能である場合がある。
好ましくは、化合物は経口投与または静脈内投与される。
好ましくは、医薬調製物は単位投薬形態である。そのような形態において、調製物は、適量の活性成分、例えば、所望の目的を達成するための有効量を含有する好適なサイズの単位服用量物に小分けされる。
調製物の単位服用量物における活性化合物の量は、特定の適用に依存して約1mgから約1000mgにまで、好ましくは約1mgから約500mgにまで、より好ましくは約1mgから約300mgにまで、さらにより好ましくは約1mgから約200mgにまで変化する場合があり、または調節される場合がある。
用いられる実際の投薬量は、処置されている患者の要件および状態の重篤度に依存して変化する場合がある。特定の状況のための適切な投薬計画の決定はこの技術分野の技能の範囲内である。便宜のために、1日の総投薬量が、必要に応じて1日の期間中における複数回分で分割され、投与される場合がある。本発明の化合物および/またはその医薬的に許容され得る塩の投与量および投与頻度は、処置されている患者の年齢、状態およびサイズ、ならびに処置されている症状の重篤度のような要因を考慮して主治医の判断に従って調節されることになる。経口投与のための典型的な推奨される1日の投薬計画は、1~2回分の分割服用量で約1mg/日~約300mg/日の範囲、好ましくは10mg/日~200mg/日の範囲が可能である。
本明細書中に開示される実施形態はどれも、実施形態が本発明の異なる局面のもとで記載されるとしても、互いに矛盾していない限り、他の実施形態と組み合わせることができる。加えて、1つの実施形態における技術的特徴はどれも、実施形態が本発明の異なる局面のもとで記載されるとしても、互いに矛盾していない限り、他の実施形態における対応する技術的特徴に適用することができる。
上記は、本明細書中に開示されるある特定の局面を単に要約しているだけであり、本質的に限定的であることは意図されない。本発明のこれらの局面および他の局面ならびにさらなる実施形態、特徴および利点が、下記の詳細な説明から、また、本発明の実施を通して明らかになるであろう。
化合物IのNK-1受容体結合親和性を示す図である。 化合物IのNK-1/2/3受容体アンタゴニスト活性を示す図である。 ラットにおける化合物IおよびCP-122721の薬物動態学パラメーターを示す図である。 72時間の観察時間におけるシスプラチンによって誘発されるエピソード、吐き気および嘔吐の総数に対する化合物Iおよびアプレピタントの作用を示す図である。 急性期および遅発期の期間中におけるシスプラチンによって誘発されるむかつきおよび/または嘔吐に対する化合物Iおよびアプレピタントの作用を示す図である。
簡略のために、特許および特許出願を含めて本明細書において引用される刊行物の開示は、その全体が参照によって本明細書中に組み込まれる。
ほとんどの化学名が、本明細書中ではIUPAC命名法を使用して得られた。いくつかの化学名が、異なる命名法を使用して得られたもの、あるいはこの技術分野において知られている代替名または商品名であった。名称と構造とが矛盾する場合、構造が優先される。
定義および一般用語
次に、本発明のある特定の実施形態が詳しく参照されることになり、それらの様々な例が添付の構造および式において例示される。本発明は、請求項によって定義されるような本発明の範囲に含まれ得るすべての代替、改変および同等物を包含することが意図される。当業者は、本発明の実施において使用され得るかもしれないが、本明細書中に記載される方法および材料と類似または同等である多くの方法および材料を認識するであろう。本発明は、本明細書中に記載される方法および材料に決して限定されない。組み込まれた文献、特許および類似資料の1つまたは複数が、定義された用語、用語用法または記載された技術など(これらに限定されない)を含めて本出願と異なる場合、または本出願と矛盾する場合には、本出願が優先する。
明確化のためにではあるが、別々の実施形態の状況において記載される本発明のある特定の特徴はまた、ただ1つの実施形態において組み合わされて提供され得ることがさらに理解される。逆に、簡潔化のためにではあるが、ただ1つの実施形態の状況において記載される本発明の様々な特徴はまた、別々に、またはどのような部分組み合わせであれ好適な部分組み合わせで提供され得る。
別途定義される場合を除き、本明細書中で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中で参照されるすべての特許および刊行物はその全体が参照によって組み込まれる。
本明細書中で使用される場合、下記の定義が、別途示されている場合を除き、適用されるものとする。本発明の目的のために、化学元素は、元素周期表(CAS版)、およびHandbook of Chemistry and Physics(第75版、1994)に従って特定される。加えて、有機化学の様々な一般的原理が、“Organic Chemistry”(Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito:1999)および“March’s Advanced Organic Chemistry”(Michael B.SmithおよびJerry March、John Wiley&Sons、New York:2007)に記載される(それらの全内容が本明細書により参照によって組み込まれる)。
上記で使用されるように、また、本開示全体を通して、下記の用語は、別途示されている場合を除き、下記の意味を有することが理解されなければならない。定義が見当たらないならば、当業者に知られているような慣例的な定義が優先する。本明細書中に提供される定義が、どのような刊行物であれ引用された刊行物において提供される定義と矛盾するか、または異なるならば、本明細書中に提供される定義が優先する。
本明細書中で使用される場合、用語“including”(含む)、用語“containing”(含有する)および用語“comprising”(含む)は、それらの閉じていない非限定的な意味で使用される。
本明細書中で使用される場合、“a”、“an”および“the”での単数形態は、文脈が明確に反することを規定する場合を除き、参照物が複数であることを包含する。
より簡潔な記載を提供するために、本明細書中において与えられる量的表現のいくつかは用語「約」により修飾されない。用語「約」が明示的に使用されるか否かにかかわらず、本明細書中において与えられるあらゆる量が、実際の与えられた値を示すことが意味されること、また、そのような与えられた値についての実験条件および/または測定条件に起因する同等値および近似値を含めて、この技術分野における通常の技能に基づいて合理的に推論されるであろう、そのような与えられた値の近似値を示すこともまた意味されることが理解される。収量が百分率として与えられるときは常に、そのような収量は、特定の化学量論的条件のもとで得ることができるであろう同じ実在物の最大量に関して当該収量がもたらされる実在物の質量を示す。百分率として与えられる濃度は、別に示されている場合を除き、質量比を示す。
化学的定義
本明細書中で使用される場合、「アルキル」は、1個から12個までの炭素原子を有する飽和した直鎖炭化水素基または分枝鎖炭化水素基を示す。代表的なアルキル基には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-3-ブチル、2,2-ジメチル-1-プロピル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびn-ヘキシルなど、ならびにより長いアルキル基(例えば、ヘプチルおよびオクチルなど)が含まれるが、これらに限定されない。本明細書中で使用される場合、「低級アルキル」は、1個から6個までの炭素原子を有するアルキルを意味する。
用語「アルキルアミノ」は、本明細書中で使用される場合、アミノ基の1つの水素原子が本明細書中で定義されるようなアルキル基によって置き換えられる本明細書中で定義されるようなアミノ基を意味する。アミノアルキル基は下記の一般式によって定義することができる:-NH-アルキル。この一般式には、下記の一般式の基が含まれる:-NH-C~C10アルキルおよび-NH-C~Cアルキル。アミノアルキル基の例には、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチルが含まれるが、これらに限定されない。
用語「ジアルキルアミノ」は、本明細書中で使用される場合、アミノ基の2つの水素原子が本明細書中で定義されるようなアルキル基によって置き換えられる本明細書中で定義されるようなアミノ基を意味する。ジアミノアルキル基は下記の一般式によって定義することができる:-N(アルキル)、式中、アルキル基は同じであることが可能であり、または異なることが可能であり、本明細書中で定義されるようなアルキルから、例えば、C~C10アルキルまたはC~Cアルキルから選択することができる。
用語「アルコキシ」は、本明細書中で使用される場合、-O-(アルキル)(式中、アルキルは上記で定義される)を含む。
本明細書中で使用される場合、「アルコキシアルキル」は、-(アルキレニル)-O-(アルキル)(式中、それぞれの「アルキル」は独立して、上記で定義されるアルキル基である)を意味する。
用語「アミノ」は、本明細書中で使用される場合、-NH基を示す。
「アリール」は、単環式、二環式または三環式の芳香族基(ただし、基のすべての環が芳香族である)を意味する。二環系または三環系については、個々の芳香族環が互いに縮合している。例示的なアリール基には、フェニル、ナフタレンおよびアントラセンが含まれるが、これらに限定されない。
「アリールオキシ」は、本明細書中で使用される場合、-O-(アリール)基(式中、アリールは上記のように定義される)を示す。
「アリールアルキル」は、本明細書中で使用される場合、-(アルキレニル)-(アリール)基(式中、アルキレニルおよびアリールは上記で定義される通りである)を示す。アリールアルキルの限定されない例には、低級アルキル基が含まれる。好適なアリールアルキル基の限定されない例には、ベンジル、2-フェネチルおよびナフタレニルメチルが含まれる。
「アリールアルコキシ」は、本明細書中で使用される場合、-O-(アルキレニル)-アリール基(式中、アルキレニルおよびアリールは上記で定義される通りである)を示す。
用語「シアノ」は、本明細書中で使用される場合、炭素原子が三重結合によって窒素原子に結合している置換基を意味する。
用語「シアノアルキル」は、アルキル基の水素原子がシアノ(-CN)基によって置き換えられる上記で定義されるようなアルキル基を意味する。シアノアルキル基のアルキル部分が分子の残部に対する接続点を提供する。
用語「重水素」は、本明細書中で使用される場合、1個の陽子と、1個の中性子とを有する水素の安定同位体を意味する。
用語「ハロゲン」は、本明細書中で使用される場合、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を示す。用語「ハロ」は、クロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードを表す。
用語「ハロアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの1つまたは複数(例えば、1つ、2つまたは3つ)がハロゲン原子によって、例えば、フルオロ、ブロモまたはクロロによって、特にフルオロによって置き換えられる上記で定義されるようなアルキル基を意味する。ハロアルキルの例には、モノフルオロ-、ジフルオロ-またはトリフルオロ-メチル、-エチルまたは-プロピル、例えば、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチル、あるいはブロモエチルまたはクロロエチルが含まれるが、これらに限定されない。同様に、用語「フルオロアルキル」は、1つまたは複数のフッ素原子により、例えば、1つ、2つまたは3つのフッ素原子により置換される上記で定義されるようなアルキル基を示す。
用語「ハロアルコキシ」は、本明細書中で使用される場合、-O-(ハロアルキル)基(式中、ハロアルキルは上記のように定義される)を示す。例示的なハロアルコキシ基として、ブロモエトキシ、クロロエトキシ、トリフルオロメトキシおよび2,2,2-トリフルオロエトキシが挙げられる。
用語「ハロスルファニル」は、本明細書中で使用される場合、1つまたは複数のハロゲン置換基を有するイオウ基を示す。例であるハロスルファニル基には、SFなどのペンタハロスルファニル基が含まれる。
用語「ヒドロキシ」は-OH基を意味する。
用語「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1つのヒドロキシ基によって、例えば、1つ、2つまたは3つのヒドロキシ基によって置換されるアルキル基を意味する。ヒドロキシアルキル基のアルキル部分が分子の残部に対する接続点を提供する。ヒドロキシアルキル基の例には、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、1-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシイソプロピルおよび1,4-ジヒドロキシブチルなどが含まれるが、これらに限定されない。
用語「オキソ」は=O基を意味しており、炭素原子またはイオウ原子に結合する場合がある。用語「N-オキシド」は、窒素原子の酸化された形態を示す。
用語「シクロアルコキシ」は-O-(シクロアルキル)基を示す。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアリール」は、炭素、酸素、窒素、セレンおよびイオウから選択される3個から15個までの環原子を有する単環式または縮合多環式の芳香族複素環を示す。好適なヘテロアリール基には、芳香族であるために帯電しなければならない環系(例えば、ピリリウムなど)は含まれない。いくつかの好適な5員ヘテロアリール環(単環式ヘテロアリールとして、または多環式ヘテロアリールの一部としての場合)は、1個の酸素原子、イオウ原子または窒素原子、あるいは1個の窒素原子、それに加えて1個の酸素原子またはイオウ原子、あるいは2個、3個または4個の窒素原子を有する。いくつかの好適な6員ヘテロアリール環(単環式ヘテロアリールとして、または多環式ヘテロアリールの一部としての場合)は、1個、2個または3個の窒素原子を有する。ヘテロアリール基の例には、ピリジニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニルおよびフロピリジニルが含まれるが、これらに限定されない。
当業者は、上記で列挙または例示されるヘテロアリール基およびシクロアルキル基の種が網羅的でないこと、また、これらの定義された用語の範囲に含まれるさらなる種もまた選択され得ることを認識するであろう。
本明細書中に記載されるように、本明細書中に開示される化合物は必要な場合には、1つまたは複数の置換基により置換されることがあり、あるいは本発明の特定のクラス、サブクラスおよび種によって例示されるように置換されることがある。
本明細書中で使用される場合、用語「置換された(される)」は、指定された基または部分が1つまたは複数の好適な置換基を有することを意味する。本明細書中で使用される場合、用語「非置換(の)」は、指定された基が置換基を有していないことを意味する。本明細書中で使用される場合、用語「必要な場合には置換された(される)」は、指定された基が非置換であること、または指定された数の置換基によって置換されている(される)ことを意味する。用語「置換された(される)」が、構造系を記載するために使用される場合、当該置換が、系における結合価許容位置においてどの結合価許容位置でも生じることが意味される。
本明細書中で使用される場合、表現「1つまたは複数の置換基」は、系における結合価許容位置においてどの結合価許容位置でも生じ得る1つから最大可能な数の置換を意味する。ある特定の実施形態において、1つまたは複数の置換基は、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの置換基を意味する。別の実施形態において、1つまたは複数の置換基は、1つ、2つまたは3つの置換基を意味する。
結合価が満たされていない本明細書中に表される原子はどれも、原子の結合価を満たすための十分な数の水素原子を有していると見なされる。
いずれかの変数(例えば、アルキル、アルキレニル、ヘテロアリール、R、RまたはR)が、本明細書中に提供される式または記載においてどのような式または記載であれ2カ所以上のところに現れるとき、それぞれが存在する場合のその変数の定義は他のすべての存在におけるその定義と無関係である。
数値範囲は、本明細書中で使用される場合、連続した整数を含むことが意図される。例えば、「0から4までの」または「0~4」として表される範囲は、0、1、2、3および4を含み、一方、「10~20%」として表される範囲は、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%および20%を含む。同様に、数値範囲はまた、連続した端数整数を含むことが意図される。例えば、「1~2%」として表される範囲は、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%および2.0%を含むであろう。
多官能性成分が示されるときには、コア部に対する結合点が線またはハイフンによって示されている。例えば、アリールオキシ-は、酸素原子がコア分子に対する結合点であり、一方、アリールがこの酸素原子に結合する成分を示す。
さらなる定義
本明細書中で使用される場合、用語「対象」は哺乳動物および非哺乳動物を包含する。哺乳動物の例には、哺乳動物綱のいずれかの動物、例えば、ヒト;非ヒト霊長類、例えば、チンパンジー、ならびに他の類人猿およびサル種など;農場動物、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなど;家庭用動物、例えば、ウサギ、イヌおよびネコなど;ならびに齧歯類(例えば、ラット、マウスおよびモルモットなど)を含む実験動物などが含まれるが、これらに限定されない。非哺乳動物の例には、鳥類および魚類などが含まれるが、これらに限定されない。本発明の1つの実施形態において、哺乳動物はヒトである。
「患者」はヒトおよび動物の両方を含む。
用語「阻害剤」は、特定の生物学的活性を阻止する、または他の場合には妨害する分子(例えば、化合物、薬物、酵素活性化因子またはホルモンなど)を示す。
用語「調節因子」は、所与のタンパク質、受容体および/またはイオンチャネルの活性を増減させる、あるいは他の場合には所与のタンパク質、受容体および/またはイオンチャネルの活性に影響を与える分子(例えば、本発明の化合物など)を示す。
用語「有効量」または用語「治療有効量」は、所望の生物学的結果をもたらすための薬剤の十分な量を示す。その結果は、疾患または医学的状態の兆候、症状または原因の軽減および/または緩和、あるいは、どのような変化であれ生物学的系の他の所望の変化であることが可能である。例えば、治療的使用のための「有効量」は、疾患状態、症状または医学的状態における臨床的に関連した変化をもたらすために要求される化合物の量、または該化合物を含む組成物の量である。どのような場合であれ個々の場合における適切な「有効」量は、日常的な実験を使用して当業者によって決定され得る。したがって、表現「有効量」は一般には、活性物質が治療的に所望される効果を有する当該活性物質についての量を示す。
本明細書中で使用される場合、用語「処置する」または用語「処置」は、「予防的」処置および「治癒的」処置の両方を包含する。「予防的」処置は、疾患、疾患の症状または医学的状態の発症を先延ばしにすること、現れ得る症状を抑制すること、あるいは疾患または症状の発症または再発の危険性を軽減することを示していることが意図される。「治癒的」処置には、存在する疾患、症状または状態の重篤度を軽減すること、あるいはそれらの悪化を抑制することが含まれる。したがって、処置には、存在する疾患症状を改善することまたはその悪化を防止すること、さらなる症状が生じることを防止すること、症状の根底にある代謝的原因を改善することまたは防止すること、障害または疾患を抑制すること、例えば、障害または疾患の発症を停止させること、障害または疾患を緩和すること、障害または疾患の退行を生じさせること、障害または疾患によって引き起こされる状態を緩和すること、あるいは障害または疾患の症状を止めることが含まれる。
本明細書中で使用される場合、化合物「の投与」、および化合物を「投与する」という用語は、本発明の化合物、本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを含む医薬組成物を、それを必要とする個体に与えることを意味することが理解されなければならない。限定されない技術分野の当業者は、神経学的障害および精神医学的障害に目下苦しむ患者を有効量の本発明の化合物により処置することができ、またはそのような障害に苦しむ患者を有効量の本発明の化合物により予防的に処置することができる。
用語「組成物」は、本明細書中で使用される場合、指定された成分を指定された量で含む製造物、同様にまた、指定された量での指定された成分の組み合わせから直接的または間接的にかかわらず生じるどのような製造物も包含することが意図される。医薬組成物に関連してのそのような用語は、有効成分(1つまたは複数)と、キャリアを構成する不活性な成分(1つまたは複数)とを含む製造物、同様にまた、成分のいずれか2つ以上の組み合わせ、複合体化もしくは集成から、あるいは、例えば、成分の1つまたは複数の解離を生じさせるためなどの他のタイプの反応もしくは相互作用から直接的または間接的にかかわらず生じるどのような製造物も包含することが意図される。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と、医薬的に許容され得るキャリアとを混合することによって作製される組成物をどのようなものであれ包含する。
さらなる化学的説明
本明細書中において与えられる式はどれも、構造式によって示される構造を有する化合物、同様にまた、ある特定の変化形または形態を表すことが意図される。例えば、本明細書中において与えられるいずれかの式の化合物は不斉中心またはキラル中心を有する場合があり、したがって、異なる立体異性形態で存在する場合がある。一般式の化合物のすべての立体異性体(その光学異性体、エナンチオマーおよびジアステレオマーを含む)、ならびそれらの混合物は、当該式の範囲に含まれると見なされる。さらに、ある特定の構造が、幾何異性体(すなわち、シス異性体およびトランス異性体)として、互変異性体として、またはアトロプ異性体として存在する場合がある。すべてのそのような異性形態、およびその混合物が、本発明の一部として本明細書中では考慮される。したがって、本明細書中において与えられる式はどれも、ラセミ体、1つまたは複数のエナンチオマー形態、1つまたは複数のジアステレオマー形態、1つまたは複数の互変異性形態またはアトロプ異性形態、およびそれらの混合物を表すことが意図される。
「立体異性体」は、同一の化学的構成を有するが、空間における原子または基の配置に関して異なる化合物を示す。立体異性体には、エナンチオマー、ジアステレオマー、配座異性体(回転異性体)、幾何(シス/トランス)異性体、アトロプ異性体などが含まれる。
「キラル」は、鏡像体パートナーの重ね合わせができないという性質を有する分子を示し、一方、用語「アキラル」は、その鏡像体パートナーに重ね合わせることができる分子を示す。
「エナンチオマー」は、互いに重ね合わせることができない鏡像体である化合物の2つの立体異性体を示す。
「ジアステレオマー」は、2つ以上のキラリティー中心を有し、その分子が互いの鏡像体でない立体異性体を示す。ジアステレオマーは物理的特性(例えば、融点、沸点、スペクトル特性)または生物学的活性が異なる。ジアステレオマーの混合物は、高分解能の分析手法、例えば、電気泳動およびクロマトグラフィー(例えば、HPLCなど)などのもとで分離される場合がある。
本明細書中で使用される立体化学上の定義および慣例は一般に、S.P.Parker編、McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)(McGraw-Hill Book Company、New York)、およびEliel,E.and Wilen,S.、“Stereochemistry of Organic Compounds”(John Wiley&Sons,Inc.、New York、1994)に従う。
多くの有機化合物が光学活性な形態で存在する。すなわち、多くの有機化合物が偏光面を回転させることができる。光学活性な化合物を記載する際には、DおよびLの接頭辞、またはRおよびSの接頭辞が、そのキラル中心の周りにおける分子の絶対的立体配置を示すために使用される。dおよびlの接頭辞、または(+)および(-)の接頭辞が、化合物による平面偏光の回転の符号を指定するために用いられ、(-)またはlは、化合物が左旋性であることを意味する。(+)またはdの接頭辞を有する化合物は右旋性である。特定の立体異性体がエナンチオマーとして示されることがあり、そのような立体異性体の混合物がエナンチオマー混合物と呼ばれる。エナンチオマーの50:50の混合物がラセミ混合物またはラセミ体として示され、これは、化学反応または化学プロセスにおける立体選択または立体特異性がなかった場合に生じることがある。
本明細書中に開示される化合物の不斉原子(例えば、炭素など)はどれも、ラセミ状態であること、またはエナンチオマー濃縮されることが可能であり、例えば、(R)配置、(S)配置または(R,S)配置であることが可能である。ある特定の実施形態において、それぞれの不斉原子が、(R)配置または(S)配置における少なくとも50%のエナンチオマー過剰率、少なくとも60%のエナンチオマー過剰率、少なくとも70%のエナンチオマー過剰率、少なくとも80%のエナンチオマー過剰率、少なくとも90%のエナンチオマー過剰率、少なくとも95%のエナンチオマー過剰率、または少なくとも99%のエナンチオマー過剰率を有する。
出発物質および手法の選択に依存するが、化合物は、不斉炭素原子の数に依存して、可能な立体異性体の1つの形態で、またはそれらの混合物として、例えば、ラセミ体およびジアステレオ異性体混合物などとして存在することができる。光学活性な(R)および(S)異性体が、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製される場合があり、あるいは従来の技術を使用して分割される場合がある。化合物が二重結合を含有するならば、置換基はE配置またはZ配置である場合がある。化合物が二置換のシクロアルキルを含有するならば、1つのシクロアルキル置換基は、同じシクロアルキル骨格の別の置換基に対してシス配置またはトランス配置を有する場合がある。
立体異性体の生じた混合物はどれも、構成成分の物理化学的差異に基づいて、例えば、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶化によって、純粋または実質的に純粋な幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーに分離することができる。最終生成物または中間体の生じたラセミ体はどれも、当業者に知られている方法によって、例えば、そのジアステレオマー塩を分離することによって光学的対掌体に分割することができる。ラセミ生成物もまた、キラルクロマトグラフィーによって、例えば、キラルな吸着剤を使用する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分割することができる。好ましいエナンチオマーがまた、不斉合成によって調製することができる。例えば、Jacquesら、Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience、New York、1981);Principles of Asymmetric Synthesis(第2版、Robert E.Gawley、Jeffrey Aube、Elsevier、Oxford、UK、2012);Eliel,E.L.Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill、NY、1962);Wilen,S.H.Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel編、Univ.of Notre Dame Press、Notre Dame、IN 1972);Chiral Separation Techniques:A Practical Approach(Subramanian,G.編、Wiley-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA、Weinheim、Germany、2007)を参照のこと。
ジアステレオマー混合物が、当業者には広く知られている方法によって、例えば、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶化などによって、その個々のジアステレオマーにそれらの物理化学的差異に基づいて分離される場合がある。エナンチオマーが、エナンチオマー混合物を適切な光学活性化合物(例えば、キラル補助剤(例えば、キラルアルコールまたはモッシャーの酸塩化物など、またはジアステレオマー塩の混合物の形成)との反応によってジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオマーを分離し、個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換すること(例えば、加水分解または脱塩すること)によって分離される場合がある。エナンチオマーはまた、キラルHPLCカラムの使用によって分離される場合がある。
本発明の化合物は、医薬的に許容され得る塩を形成することができ、これもまた本発明の範囲内である。「医薬的に許容され得る塩」は、非毒性であり、生理学的に許容可能であり、当該塩が配合される医薬組成物との適合性があり、かつ、他の場合には配合および/または対象への投与のために好適である式Iの化合物の遊離酸または遊離塩基の塩を示す。本明細書中における化合物への言及は、別途示されている場合を除き、前記化合物の医薬的に許容され得る塩に対する言及を含むことが理解される。
化合物の塩には、無機酸および/または有機酸により形成される酸性塩、同様にまた、無機塩基および/または有機塩基により形成される塩基性塩が含まれる。加えて、所与の化合物が、塩基性部分(例えば、限定されないが、ピリジン部分またはイミダゾール部分など)と、酸性成分(例えば、限定されないが、カルボキシ酸(carboxyic acid)など)との両方を含有する場合、当業者は、該化合物が双性イオン(「内部塩」)として存在することがあることを認識するであろう;そのような塩は、本明細書中で使用されるような用語「塩」に含まれる。本発明の化合物の塩は、例えば、化合物を、塩が沈殿する媒体などの媒体において、または水性媒体において所与量(例えば、当量など)の好適な酸または塩基と反応し、続いて凍結乾燥を行うことによって調製される場合がある。
例示的な塩には、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩(「メシラート」)、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩)である塩が含まれるが、これらに限定されない。医薬的に許容され得る塩は、別の分子(例えば、酢酸イオン、コハク酸イオンまたは他の対イオンなど)を含むことを伴う場合がある。対イオンは、親化合物における電荷を安定化する有機成分または無機成分であればどのようなものでもあり得る。さらに、医薬的に許容され得る塩は1を超える荷電原子をその構造において有する場合がある。多数の荷電原子が医薬的に許容され得る塩の一部である場合は、多数の対イオンを有することができる。したがって、医薬的に許容され得る塩は、1つもしくは複数の荷電原子および/または1つもしくは複数の対イオンを有することができる。
例示的な酸付加塩には、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩およびトルエンスルホン酸塩(これはトシラートとしてもまた知られている)などが含まれる。
例示的な塩基性塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩など)、有機塩基(例えば、有機アミン)との塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン塩、tert-ブチルアミン塩など、ならびにアミノ酸(例えば、アルギニンおよびリジンなど)との塩が含まれる。塩基性窒素含有基は、ハロゲン化低級アルキル(例えば、塩化メチル、塩化エチルおよび塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチルおよび臭化ブチル、ならびにヨウ化メチル、ヨウ化エチルおよびヨウ化ブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチルおよび硫酸ジブチル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化デシル、塩化ラウリルおよび塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリルおよび臭化ステアリル、ならびにヨウ化デシル、ヨウ化ラウリルおよびヨウ化ステアリル)、およびハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)などの薬剤により四級化される場合がある。
加えて、医薬的に有用な塩を医薬化合物から形成するために好適であると一般に見なされる酸および塩基が、例えば、P.Stahlらによって、Camille G.(編)、Handbook of Pharmaceutical Salts.Properties,Selection and Use.(2002)(Zurich:Wiley-VCH)において、S.Bergeらによって、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1-19において、P.Gouldによって、International J.of Pharmaceutics(1986)33 201-217において、Andersonらによって、The Practice of Medicinal Chemistry(1996)(Academic Press、New York)において、また、The Orange Book(Food&Drug Administration、MD、FDAから入手可能)において議論される。これらの開示は、それらに対する参照によって本明細書中に組み込まれる。
加えて、本明細書中に記載される化合物はどれも、そのような化合物のどのような非溶媒和形態も、またはそのような化合物の水和物、溶媒和物もしくは多形体、およびそれらの混合物もまた、そのような形態が明示的に列挙されていなくても示すことが意図される。「溶媒和物」は、本発明の化合物が1つまたは複数の溶媒分子と物理的会合していることを意味する。この物理的会合には、水素結合を含めて様々な程度のイオン結合および共有結合が伴う。ある特定の場合において、例えば、1つまたは複数の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれているときには、溶媒和物は単離することができるであろう。「溶媒和物」は、溶液相の溶媒和物と、単離可能な溶媒和物との両方を包含する。好適な溶媒和物には、医薬的に許容され得る溶媒(例えば、水およびエタノールなど)により形成される溶媒和物が含まれる。いくつかの実施形態において、溶媒は水であり、溶媒和物は水和物である。
本発明の1つまたは複数の化合物が、必要な場合には溶媒和物に転換されることがある。溶媒和物を調製するための様々な方法が一般に知られている。したがって、例えば、M.Caira et al.,J.Pharmaceutical Sci.,93(3),601-611(2004)には、酢酸エチルにおける抗真菌剤フルコナゾールの溶媒和物の調製が、水からの調製と同様に記載される。溶媒和物、ヘミ溶媒和物および水和物などの類似する調製が、E.C.van Tonderらによって、AAPS PharmSciTech.,5(1),article 12(2004)に、また、A.L.Binghamらによって、Chem.Commun.,603-604(2001)に記載される。典型的な限定されないプロセスは、本発明の化合物を周囲温度よりも高い温度で好適な量の溶媒(有機溶媒または水またはそれらの混合物)に溶解すること、および、標準的な方法によって後で単離される結晶を形成させるために十分な速度で溶液を冷却することを伴う。分析技術により、例えば、赤外分光法などにより、溶媒(または水)が溶媒和物(または水和物)として結晶に存在することが示される。
本発明はまた、式(A)または(B)の化合物の医薬的に活性な代謝産物、および本発明の方法におけるそのような代謝産物の使用に関する。「医薬的に活性な代謝産物」は、式(A)もしくは(B)の化合物またはその塩の体内における代謝の薬理学的に活性な生成物を意味する。化合物の活性な代謝産物が、この技術分野において知られている日常的な技術または利用可能である日常的な技術を使用して決定される場合がある。例えば、Bertoliniら、J.Med.Chem.1997、40、2011-2016;Shanら、J.Pharm.Sci.1997、86(7)、765-767;Bagshawe、Drug Dev.Res.1995、34、220-230;Bodor、Adv.Drug Res.1984、13、255-331;Bundgaard、Design of Prodrugs(Elsevier Press、1985);およびLarsen、Design and Application of Prodrugs,Drug Design and Development(Krogsgaard-Larsenら編、Harwood Academic Publishers、1991)を参照のこと。
本明細書中において与えられる式はどれも、化合物の非標識形態ならびに同位体標識された形態を表すこともまた意図される。同位体標識された化合物は、1つまたは複数の原子が、選択された原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられることを除いて、本明細書中において与えられる式によって示される構造を有する。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素およびヨウ素の同位体、例えば、H、H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、36Clおよび125Iなどがそれぞれ含まれる。そのような同位体標識された化合物は、代謝研究(例えば、14Cを用いる)、反応速度論研究(例えば、HまたはHを用いる)、検出技術または画像化技術[例えば、薬物または基質の組織分布アッセイを含めて陽電子放射断層撮影法(PET)または単一光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)など、あるいは患者の放射性処置において有用である。特に、18Fまたは11Cで標識された化合物は、PET研究またはSPECT研究のために特に好適である場合がある。さらに、より重い同位体、例えば、重水素(すなわち、H)などによる置換は、より大きい代謝安定性から生じるある特定の治療上の利点、例えば、増大したインビボ半減期または軽減された投薬量要求をもたらす場合がある。本発明の同位体標識された化合物は一般には、下記で記載されるスキームまたは例および調製において開示される手法を、容易に入手可能な同位体標識された試薬を同位体非標識の試薬の代わりに使用することにより行うことによって調製することができる。
本明細書中に記載される化合物に関しての用語「塩」、用語「溶媒和物」および用語「多形体」などの使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、アトロプ異性体およびラセミ体の塩形態、溶媒和物形態および多形体形態に等しく当てはまることが意図される。
本発明の化合物の説明
本発明は、特定の分子およびその医薬的に許容され得る塩または異性体に関する。本発明はさらに、ニューロキニン-1(NK-1)受容体を調節することにおいて有用である分子、およびその医薬的に許容され得る塩、溶媒和物、エステルまたは異性体に関する。
本開示によって提供される化合物は、ラットにおける経口生物学的利用能(F%)が、例えば、10%超、15%超、20%超または25%超であることを示す。
本開示によって提供される化合物はNK-1アンタゴニストであり、NK-1受容体に対する阻害効力(IC50)が1nM未満であることを示す。
本発明は、本明細書中に記載されるような化合物およびその医薬的に許容され得る塩、溶媒和物、エステルまたは異性体、ならびに本明細書中に記載されるような1つまたは複数の化合物およびその医薬的に許容され得る塩または異性体を含む医薬組成物に関する。本発明の1つの局面が、下記式(A)の化合物:

またはその医薬的に許容され得る塩(式中、RはHまたはC~Cアルキルであり、Wは、SF、SCF、S(O)CFおよびS(O)CFからなる群から選択され、Gは置換フェニルまたは非置換フェニルあるいは5員ヘテロアリールまたは6員ヘテロアリールである)を有する、NK-1受容体を哺乳動物において調節するための化合物、組成物、キットおよび解毒剤を提供することである。
本発明の別の局面が、下記式(B)の化合物:

またはその医薬的に許容され得る塩(式中、RはHまたはC~Cアルキルであり、Yは、H、ハロゲン、C~CアルコキシまたはC~Cアルキルから選択され、qは1~5の整数であり、ただし、qが、2、3、4または5であるときには、YおよびYまたはYまたはYもしくはYは同じであることまたは異なることが可能である)を有する、NK-1受容体を哺乳動物において調節するための化合物、組成物、キットおよび解毒剤を提供することである。
いくつかの実施形態において、一般式(B)を有する化合物について、Rは好ましくは、HおよびC~Cアルキルからなる群から選択される。さらに別の実施形態において、この場合には、一般式(B)を有する化合物について、Rは、H、メチル、エチルまたはイソプロピルである。
さらに他の実施形態において、一般式(B)を有する化合物について、Yは好ましくは、H、フッ素、塩素、C~CアルキルおよびC~Cアルコキシからなる群から選択され、qは好ましくは1である。なおさらに別の実施形態において、この場合には、一般式(B)を有する化合物について、Yは、H、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシまたはイソプロポキシである。
本発明の1つの実施形態が、様々な部分が独立して選択され、Rがメチルであり、Yが、H、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシおよびイソプロポキシからなる群から選択される化合物を提供することである。
本発明の別の実施形態が、様々な部分が独立して選択され、Rがメチルであり、YがHである化合物を提供することである。
本発明の別の実施形態が、様々な部分が独立して選択され、Rがエチルであり、Yが、H、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシおよびイソプロポキシからなる群から選択される化合物を提供することである。
本発明の別の実施形態が、様々な部分が独立して選択され、Rがイソプロピルであり、Yが、H、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシおよびイソプロポキシからなる群から選択される化合物を提供することである。
本発明の別の実施形態が、炭素-水素結合のいずれかが炭素-重水素結合により置き換え得る化合物を提供することである。
本発明のある特定の実施形態において、下記の化合物からなる下記の化合物群によってさらに例示される化合物を有する、NK-1受容体を哺乳動物において調節するための化合物、組成物、キットおよび解毒剤を提供することである:

およびそれらの医薬的に許容され得る塩。
本発明の別の実施形態においては、(2S,3S)-N-(2-メトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミンおよびその医薬的に許容され得る塩である化合物の提供がある。
本発明の1つの局面が、本明細書中に開示される化合物に関する。
本発明の1つの局面が、NK-1受容体の調節因子(アンタゴニスト)である化合物、またはNK-1受容体の調節因子(アンタゴニスト)となり得る化合物に関する。
本発明の1つの局面が、腫瘍の処置、防止、抑制または排除において使用される医薬品を調製するためのNK-1受容体の調節因子(アンタゴニスト)の使用に関する。
本発明の1つの局面が、とりわけ化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)および/または術後悪心嘔吐(PONV)が含まれる患者における障害または疾患または医学的状態の処置、防止、抑制または排除を、前記患者のNK-1受容体を調節する(例えば、NK-1受容体と拮抗する)ことによって行う際に使用される医薬品を調製するためのNK-1受容体の調節因子(アンタゴニスト)の使用であって、前記障害または疾患または医学的状態が患者におけるNK-1受容体に関連づけられる、使用に関する。
本発明はまた、本発明の化合物を合成する1つまたは複数の方法を記載する。
本発明はまた、本発明の化合物の1つまたは複数の使用法を記載する。
本発明はまた、補助剤と一緒での本発明の化合物の1つまたは複数の使用法、例えば、5-HTアンタゴニスト(例えば、オンダンセトロンおよびグラニセトロン)および/またはグルココルチコイド(例えば、デキサメタゾン)と一緒での使用などを記載する。
本発明はまた、本発明の化合物を含む様々な医薬組成物を調製する1つまたは複数の方法を記載する。
本発明はまた、とりわけ化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)および/または術後悪心嘔吐(PONV)が含まれる患者におけるNK-1受容体関連の障害または疾患または医学的状態の処置、防止、抑制または排除を、前記患者のNK-1受容体を調節する(例えば、NK-1受容体と拮抗する)ことによって行う際に使用される医薬品を調製するための本発明の様々な医薬組成物の1つまたは複数の使用法を記載する。
本発明の化合物の医薬組成物ならびに調製および投与
本発明は、治療有効量の本発明の少なくとも1つの化合物、例えば、例化合物およびその医薬的に許容され得る塩を含む医薬組成物を提供する。本発明の具体的な例によれば、医薬組成物はさらに、医薬的に許容され得る賦形剤、キャリア、補助剤、溶媒、およびそれらの組み合わせを含むことができる。
1つの実施形態において、医薬組成物は、治療有効量の1つまたは複数の任意の補助的有効成分を含むことができる。
別の実施形態において、本発明は、NK-1受容体活性に関連する生理学的な障害または疾患を処置するためのものである少なくとも1つの補助的活性化合物の治療有効量を含む医薬組成物を提供する。
本発明はさらに、疾患または障害を処置する、防止する、または改善する方法であって、本発明の化合物を含有する薬物と、1つまたは複数の治療活性な薬剤との組み合わせの安全かつ有効量を投与することを含む方法を提供する。中でも、薬物の組み合わせは、中枢神経系の神経学的および精神医学的な障害および疾患を処置するための1つまたは複数のさらなる薬物を含む。
中枢神経系の神経学的および精神医学的な障害および疾患を処置するための他の薬物には、抗精神病薬、非定型抗精神病薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン病薬、抗筋萎縮性側索硬化症薬、抗疼痛薬、またはどのような組み合わせであれそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
本発明の化合物の1つまたは複数の具体的な使用において、例えば、化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)および/または術後悪心嘔吐(PONV)の併用処置などにおいて関与するなおさらに他の薬物が、5-HT3アンタゴニスト(例えば、オンダンセトロンおよびグラニセトロン)および/またはグルココルチコイド(例えば、デキサメタゾン)などの補助剤である。
本明細書中に開示される医薬組成物の化合物の量は、生物学サンプルのグルタミン酸伝達機能不全また患者におけるグルタミン酸伝達機能不全を調節するための効果的に検出することができる量を示す。有効成分が、投与経路に関して、また、処置の継続期間に関して、最適な薬効(これは所望の治療効果に限定されない)をもたらすことになる投薬量で、そのような処置を必要としている対象に投与される場合がある。投薬量は、疾患の性質および重篤度、患者の体重、その後に患者が従う特別な食事、同時での薬物療法、および当業者が認識することになる他の要因に依存して患者ごとに異なるであろう。調製物の単位服用量物における活性化合物の量は、特定の適用に依存して約1mgから約1000mgにまで、好ましくは約1mgから約500mgにまで、より好ましくは約1mgから約300mgにまで、さらにより好ましくは約1mgから約200mgにまで変化する場合があり、または調節される場合がある。
用いられる実際の投薬量は、処置されている患者の要件および状態の重篤度に依存して変化する場合がある。特定の状況のための適切な投薬計画の決定はこの技術分野の技能の範囲内である。便宜のために、1日の総投薬量が、必要に応じて1日の期間中における複数回分で分割され、投与される場合がある。本発明の化合物および/またはその医薬的に許容され得る塩の投与量および投与頻度は、処置されている患者の年齢、状態およびサイズ、ならびに処置されている症状の重篤度のような要因を考慮して主治医の判断に従って調節されることになる。経口投与のための典型的な推奨される1日投薬計画は、約1mg/日から約300mg/日までの範囲、好ましくは10mg/日から200mg/日までの範囲が可能であり、これが単回または多数回の服用で投与される場合がある。さらに別の実施形態においては、1日につき患者あたり約1mg~50mg。
本発明の化合物のいくつかは、処置のために遊離形態で、または適する場合にはその医薬的に許容され得る誘導体もしくはプロドラッグとして存在し得ることもまた理解されるであろう。医薬的に許容され得る誘導体には、医薬的に許容され得る塩、エステル、そのようなエステルの塩、あるいはその必要性のある患者に投与されたとき、直接的または間接的にかかわらず、別途本明細書中に記載されるような化合物、またはその治療有効代謝産物もしくは残留物をもたらすどのような他の付加物または誘導体もが含まれる。
本発明の医薬組成物は、安全かつ有効量の本明細書中に開示される式(A)の化合物が取り出され、その後、例えば、粉末またはシロップなどにより患者に与えられることが可能であるバルク形態で調製され、包装される場合がある。一般には、1日につき体重1kgあたり0.0001~10mgの間での投薬量レベルが、グルタミン酸伝達機能不全の効果的な調節を得るために患者に投与される。代替において、本発明の医薬組成物は、それぞれの物理的に別個の単位物が本明細書中に開示される式(A)の化合物の安全かつ有効量を含有する単位投薬形態で調製され、包装される場合がある。単位投薬形態で調製されるとき、本発明の医薬組成物は一般に、約0.5mg~1g、または1mg~500mg、または5mg~200mg、またはより好ましくは25mg~100mgの本発明の化合物を含有する。
本発明の医薬組成物が、本発明の化合物に加えて、1つまたは複数の他の有効成分もまた含有するとき、第2の有効成分に対する本発明の化合物の重量比は変化する場合があり、それぞれの成分の有効用量に依存する場合がある。したがって、例えば、本発明の化合物が別の薬剤と組み合わされるとき、本発明の化合物の、他の薬剤に対する重量比は一般には、約1000:1から約1:1000まで(例えば、約200:1から1:200までなど)の範囲となるであろう。本発明の化合物と他の有効成分との組み合わせもまた一般には、前述の範囲に含まれることになり、しかし、それぞれの場合において、組み合わせにおけるそれぞれの有効成分の有効用量が使用されなければならない。
「医薬的に許容され得る賦形剤」は、本明細書中で使用される場合、形態または一貫性を医薬組成物に与えることに関与する医薬的に許容され得る材料、組成物またはビヒクルを意味する。それぞれの賦形剤は、混合されたときには医薬組成物のそれ以外の成分との適合性を有しなければならず、その結果、患者に投与されたとき、本発明の化合物の効力を実質的に低下させることになるであろう、また、医薬的に許容されない組成物をもたらすことになるであろう相互作用。加えて、それぞれの賦形剤は当然のことながら、当該賦形剤を医薬的に許容可能にするために十分な高純度でなければならない。
好適な医薬的に許容され得る賦形剤は、選ばれる特定の投薬形態物に依存して変化するであろう。加えて、好適な医薬的に許容され得る賦形剤は、賦形剤が組成物において果たし得る特定の機能のために選ばれる場合がある。例えば、ある特定の医薬的に許容され得る賦形剤が、均一な投薬形態物の製造を容易にすることができるために選ばれる場合がある。ある特定の医薬的に許容され得る賦形剤が、安定な投薬形態物の製造を容易にすることができるために選ばれる場合がある。ある特定の医薬的に許容され得る賦形剤が、患者に投与されると、本発明の化合物を身体の1つの器官または一部から身体の別の器官または一部に運搬または輸送することを容易にすることができるために選ばれる場合がある。ある特定の医薬的に許容され得る賦形剤が、患者のコンプライアンスを高めることができるために選ばれる場合がある。
好適な医薬的に許容され得る賦形剤には、下記タイプの賦形剤が含まれる:希釈剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑剤、流動促進剤、造粒剤、被覆剤、湿潤化剤、溶媒、共溶媒、懸濁化剤、乳化剤、甘味料、香味矯臭剤、風味マスキング剤、着色剤、固化防止剤、湿潤剤、キレート化剤、可塑剤、粘度増大剤、酸化防止剤、保存剤、安定剤、界面活性剤および緩衝化剤。当業者は、ある特定の医薬的に許容され得る賦形剤が、どのくらい多くの賦形剤が製剤に存在するかに依存して、また、どのような他の成分が製剤に存在するかに依存して、1つを超える機能を果たすことがあること、また、代替機能を果たすことがあることを理解するであろう。
当業者は、好適な医薬的に許容され得る賦形剤を本発明における使用のための適切な量で選択することを可能にするためのこの技術分野における知識および技能を有している。加えて、当業者が利用できる情報源で、医薬的に許容され得る賦形剤が記載され、かつ、好適な医薬的に許容され得る賦形剤を選択することにおいて有用であり得る情報源が存在する。例には、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)、The Handbook of Pharmaceutical Additives(Gower Publishing Limited)、およびThe Handbook of Pharmaceutical Excipients(the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)が含まれる。
Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版(2005、D.B.Troy編、Lippincott Williams&Wilkins、Philadelphia)、およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology(編者:J.SwarbrickおよびJ.C.Boylan、1988-1999、Marcel Dekker、New York)(これらのそれぞれの内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)において、医薬的に許容され得る組成物を配合する際に使用される様々なキャリア、およびその調製のための知られている技術が開示される。従来のキャリア媒体はどれも、例えば、望ましくない生物学的作用をどのような作用であれもたらすこと、またはそうでなければ、医薬的に許容され得る組成物のいずれかの他の成分と有害な様式で相互作用することなどによって、本発明の化合物と不適合である場合を除いて、その使用は、本発明の範囲内であると見なされる。
本発明の医薬組成物は、当業者に知られている技術および方法を使用して調製される。この技術分野において一般に使用される方法のいくつかが、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)に記載される。
したがって、本発明の別の局面が、医薬組成物を調製するための方法に関する。医薬組成物は、本明細書中に開示される化合物と、医薬的に許容され得る賦形剤、キャリア、補助剤、ビヒクル、またはそれらの組み合わせとを含有し、方法は、様々な成分を混合することを含む。本明細書中に開示される化合物を含有する医薬組成物は、例えば、通常の周囲温度および周囲圧力において調製することができる。
本発明の化合物は典型的には、所望の投与経路による患者への投与のために適合化される投薬形態物に配合されるであろう。例えば、投薬形態物には、(1)経口投与のために適合化される投薬形態物、例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、ピル剤、トローチ、粉末剤、シロップ、エリキシル、懸濁物、溶液、乳濁液、サシェ剤およびカシェ剤など、(2)非経口投与のために適合化される投薬形態物、例えば、再構成のための無菌の溶液、懸濁物および粉末など、(3)経皮投与のために適合化される投薬形態物、例えば、経皮パッチなど、(4)直腸投与のために適合化される投薬形態物、例えば、坐剤など、(5)吸入のために適合化される投薬形態物、例えば、エアロゾル、溶液および乾燥粉末など、ならびに(6)局所投与のために適合化される投薬形態物、例えば、クリーム、軟膏、ローション、溶液、ペースト、スプレー剤、フォームおよびゲルなどが含まれる。
本明細書中に提供される医薬組成物は、圧縮錠剤、湿製錠剤、チュアブル口内錠、迅速溶解錠剤、多重圧縮錠剤、または腸溶性被覆錠剤、糖衣錠剤、またはフィルム被覆錠剤として提供される場合がある。腸溶性被覆錠剤は、胃酸の作用に抵抗し、しかし、腸において溶解または崩壊する物質により被覆され、したがって、有効成分を胃の酸性環境から保護する圧縮錠剤である。腸溶性被覆には、脂肪酸、脂肪、サリチル酸フェニル、ワックス、シェラック、アンモニア処理シェラックおよび酢酸フタル酸セルロースが含まれるが、これに限定されない。糖衣錠剤は、糖被覆によって包まれる圧縮錠剤であり、そのため、不快な味覚または臭気を隠すことにおいて、また、錠剤を酸化から保護することにおいて有益である場合がある。フィルム被覆錠剤は、水溶性物質の薄い層またはフィルムにより覆われる圧縮錠剤である。フィルム被覆には、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、および酢酸フタル酸セルロースが含まれるが、これらに限定されない。フィルム被覆は、糖被覆と同じ一般的特性を与える。多重圧縮錠剤は、1回を超える圧縮サイクルによって作製される圧縮錠剤であり、これには、層状錠剤およびプレスコート(press-coated)錠剤またはドライコート(dry-coated)錠剤が含まれる。
錠剤である投薬形態物は、粉末化形態、結晶性形態または顆粒形態での有効成分から単独で、あるいは、結合剤、崩壊剤、徐放性ポリマー、滑剤、希釈剤および/または着色剤を含めて本明細書中に記載される1つまたは複数のキャリアまたは賦形剤との組み合わせで調製される場合がある。香味矯臭剤および甘味料は、チュアブル錠剤および口内錠の形成においてとりわけ有用である。
本明細書中に提供される医薬組成物は、ゼラチン、メチルセルロース、デンプンまたはアルギン酸カルシウムから作製することができる軟カプセル剤または硬カプセル剤として提供される場合がある。硬ゼラチンカプセルは、乾式充填カプセル(DFC)としてもまた知られているものであり、一方が他方の上を滑り、したがって、有効成分を完全に封入する2つの部分からなる。軟質弾性カプセル(SEC)は、グリセリン、ソルビトールまたは同類のポリオールを加えることによって可塑化される柔らかい球状外殻(例えば、ゼラチン外殻)である。軟ゼラチン外殻は、微生物の成長を防止するために防腐剤を含有する場合がある。好適な防腐剤が、メチルパラベンおよびプロピルパラベンならびにアスコルビン酸を含めて本明細書中に記載されるような防腐剤である。本明細書中に提供される液体投薬形態物、半固体投薬形態物および固体投薬形態物は、カプセルに封入される場合がある。好適な液体投薬形態物および半固体投薬形態物には、炭酸プロピレン、植物油またはトリグリセリドにおける溶液および懸濁物が含まれる。そのような溶液を含有するカプセルを、米国特許第4,328,245号、同第4,409,239号および同第4,410,545号に記載されるように調製することができる。カプセルはまた、有効成分の溶解を改変するために、または維持するために、当業者によって知られているように被覆される場合がある。
本明細書中に提供される医薬組成物は、乳濁液、溶液、懸濁物、エリキシルおよびシロップを含めて液体投薬形態物および半固体投薬形態物で提供される場合がある。乳濁液は、一方の液体が別の液体の全体にわたって小さな小球体の形で分散する二相系であり、これは水中油型または油中水型であることが可能である。乳濁液は、医薬的に許容され得る非水性の液体または溶媒、乳化剤および防腐剤を含む場合がある。懸濁物は、医薬的に許容され得る懸濁化剤および防腐剤を含む場合がある。水性アルコール溶液は、医薬的に許容され得るアセタール、例えば、低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタール(例えば、アセトアルデヒドジエチルアセタール)など、および1つまたは複数のヒドロキシ基を有する水混和性溶媒、例えば、プロピレングリコールおよびエタノールなどを含む場合がある。エリキシルは、透明な加糖された水性アルコール溶液である。シロップは糖(例えば、スクロース)の高濃度水溶液であり、防腐剤もまた含有する場合がある。液体投薬形態物については、例えば、ポリエチレングリコールにおける溶液は、投与のために都合よく計量されるために、十分な量の医薬的に許容され得る液体キャリア(例えば、水など)により希釈される場合がある。
他の有用な液体投薬形態物および半固体投薬形態物には、本明細書中に提供される有効成分(1つまたは複数)と、1,2-ジメトキシメタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール-350-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-550-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-750-ジメチルエーテル(これらにおいて、350、550および750は、ポリエチレングリコールのおおよその平均分子量を示す)を含めてジアルキル化されたモノアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールとを含有するものが含まれるが、これらに限定されない。これらの製剤はさらに、1つまたは複数の酸化防止剤(例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン類、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオジプロピオン酸およびそのエステル、ならびにジチオカルバマートなど)を含む場合がある。
適する場合には、経口投与のための投薬単位製剤はマイクロカプセル化することができる。製剤はまた、例えば、粒子状物質をポリマーまたはワックスなどにおいて被覆することによって、あるいはポリマーまたはワックスなどに埋め込むことによって放出を延ばすように、または持続させるように調製することができる。
経口投与のために本明細書中に提供される医薬組成物はまた、リポソーム、ミセル、ミクロスフェアまたはナノシステムの形態で提供される場合がある。ミセル型の投薬形態物を、米国特許第6,350,458号に記載されるように調製することができる。
本明細書中に提供される医薬組成物は、液体投薬形態物に再構成されるための非発泡性または発泡性の顆粒および粉末として提供される場合がある。非発泡性の顆粒または粉末において使用される医薬的に許容され得るキャリアおよび賦形剤には、希釈剤、甘味料および湿潤化剤が含まれる場合がある。発泡性の顆粒または粉末において使用される医薬的に許容され得るキャリアおよび賦形剤には、有機酸および二酸化炭素源が含まれる場合がある。
着色剤および香味矯臭剤をすべての上記投薬形態物において使用することができる。
本明細書中に開示される化合物はまた、標的化された医薬品キャリアとしての可溶性ポリマーに連結することができる。そのようなポリマーには、パルミトイル基によって置換されるポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノールまたはポリエチレンオキシドポリリシンが含まれる場合がある。化合物はさらに、医薬品の制御された放出を達成するために好適である一群の生分解性ポリマーに対して、例えば、ポリ乳酸、ポリ-イプシロン-カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロキシピラン、ポリシアノアクリラート、およびヒドロゲルの架橋ブロックコポリマーまたは両親媒性ブロックコポリマーに対して連結される場合がある。
本明細書中に提供される医薬組成物は、遅延放出形態、持続放出形態、パルス放出形態、制御放出形態、標的化放出形態およびプログラム化放出形態を含めて即時放出型または改変放出型の投薬形態物として配合される場合がある。
本明細書中に提供される医薬組成物は、所望の治療作用を損なわない他の有効成分と共配合される場合があり、または所望の作用を補う物質と共配合される場合がある。
本明細書中に提供される医薬組成物は、局所投与または全身投与のために、注射、注入または埋め込みによって非経口投与される場合がある。本明細書中で使用される場合、非経口投与には、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、クモ膜下腔内投与、脳室内投与、尿道内投与、胸骨内投与、頭蓋内投与、筋肉内投与、滑液包内投与および皮下投与が含まれる。
本明細書中に提供される医薬組成物は、溶液、懸濁物、乳濁液、ミセル、リポソーム、ミクロスフェア、ナノシステム、および注射前の液体における溶液または懸濁物のために好適である固体形態物を含めてどのような投薬形態物においてであれ、非経口投与のために好適である投薬形態物で配合される場合がある。そのような投薬形態物は、製薬科学の当業者には知られている従来の方法に従って調製することができる(Remington:The Science and Practice of Pharmacy(上掲)を参照のこと)。
非経口投与のために意図される医薬組成物は、水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、微生物の成長に対抗する抗菌剤または防腐剤、安定剤、溶解性増強剤、等張剤、緩衝化剤、酸化防止剤、局所麻酔剤、懸濁化剤および分散化剤、湿潤化剤または乳化剤、複合体化剤、封鎖剤またはキレート化剤、凍結保護剤、溶解保護剤(lyoprotectant)、増粘剤、pH調節剤および不活性ガス(これらに限定されない)を含めて1つまたは複数の医薬的に許容され得るキャリアおよび賦形剤を含む場合がある。
好適な水性ビヒクルには、水、生理食塩水、生理的食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロース注射液および乳酸加リンゲル注射液が含まれるが、これらに限定されない。非水系ビヒクルには、植物起源の固定油、ヒマシ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、ペパーミント油、ベニバナ油、ゴマ油、ダイズ油、水素化植物油、水素化ダイズ油、およびココナッツ油の中鎖トリグリセリド、およびパーム核油が含まれるが、これらに限定されない。水混和性ビヒクルには、エタノール、1,3-ブタンジオール、液状ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール300およびポリエチレングリコール400)、プロピレングリコール、グリセリン、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミドおよびジメチルスルホキシドが含まれるが、これらに限定されない。
好適な抗菌剤または防腐剤には、フェノール類、クレゾール類、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、p-ヒドロキシ安息香酸メチルおよびp-ヒドロキシ安息香酸プロピル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム(例えば、塩化ベンゼトニウム)、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、ならびにソルビン酸が含まれるが、これらに限定されない。好適な等張剤には、塩化ナトリウム、グリセリンおよびデキストロースが含まれるが、これらに限定されない。好適な緩衝化剤には、リン酸塩およびクエン酸塩が含まれるが、これらに限定されない。好適な酸化防止剤が、重亜硫酸塩およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含めて本明細書中に記載されるような酸化防止剤である。好適な局所麻酔剤には、プロカイン塩酸塩が含まれるが、これに限定されない。好適な懸濁化剤および分散化剤が、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンを含めて本明細書中に記載されるような懸濁化剤および分散化剤である。好適な乳化剤には、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート80およびトリエタノールアミンオレアートを含めて本明細書中に記載される乳化剤が含まれる。好適な封鎖剤またはキレート化剤には、EDTAが含まれるが、これに限定されない。好適なpH調節剤には、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸および乳酸が含まれるが、これらに限定されない。好適な複合体化剤には、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル7-β-シクロデキストリン(CAPTISOL(登録商標)、CyDex、Lenexa、Kans.)を含めて各種シクロデキストリンが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書中に提供される医薬組成物は、単回投薬または多数回投薬での投与のために配合される場合がある。単回投薬製剤は、アンプル、バイアルまたはシリンジにおいて包装される。多数回投薬の非経口製剤は抗菌剤を静菌的または静真菌的な濃度で含有しなければならない。すべての非経口製剤は、この技術分野では知られているように、かつ実践されるように、無菌でなければならない。
1つの実施形態において、医薬組成物は、すぐに使用できる無菌溶液として提供される。別の実施形態において、医薬組成物は、使用前に無菌ビヒクルにより再構成されるための、凍結乾燥粉末および皮下錠剤を含めて無菌の乾燥した可溶性製造物として提供される。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、すぐに使用できる無菌の懸濁物として提供される。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、使用前にビヒクルにより再構成されるための無菌の乾燥した不溶性製造物として提供される。なおさらに別の実施形態において、医薬組成物は、すぐに使用できる無菌の乳濁液として提供される。
医薬組成物は、埋め込みデポー剤としての投与のために、懸濁物、固体物、半固体物またはチキソトロピー液体として配合される場合がある。1つの実施形態において、本明細書中に提供される医薬組成物は、体液に不溶性であるが、医薬組成物における有効成分が拡散して通り抜けることを許す外側ポリマー膜によって囲まれる固体の内側マトリックスに分散される。
好適な内側マトリックスには、ポリメチルメタクリラート、ポリブチルメタクリラート、可塑化ポリ塩化ビニルまたは非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタラート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカルボナートコポリマー、親水性ポリマー(例えば、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、および架橋された部分加水分解ポリ酢酸ビニルなど)が含まれる。
好適な外側ポリマー膜には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレンとの塩化ビニルコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタラート、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、ならびにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーが含まれる。
他の局面において、本発明の医薬組成物は、例えば、乾燥粉末、エアロゾル、懸濁物または溶液組成物として、患者に吸入によって投与するために適合化される投薬形態物に合わせて調製される。1つの実施形態において、本発明は、患者に乾燥粉末として吸入によって投与するために適合化される投薬形態物に関する。1つの実施形態において、本発明は、患者に乾燥粉末として吸入によって投与するために適合化される投薬形態物に関する。肺に吸入によって送達するための乾燥粉末組成物は典型的には、細かく分割された粉末としての本明細書中に開示される化合物またはその医薬的に許容され得る塩を、細かく分割された粉末としての1つまたは複数の医薬的に許容され得る賦形剤と一緒に含む。乾燥粉末での使用のために特に適する様々な医薬的に許容され得る賦形剤が当業者には知られており、これらには、ラクトース、デンプン、マンニトール、ならびに単糖類、二糖類および多糖類が含まれる。細かく分割された粉末は、例えば、微粉化および粉砕によって調製される場合がある。一般には、サイズ縮小された(例えば、微粉化された)化合物は、(例えば、レーザー回折を使用して測定される場合)約1ミクロン~約10ミクロンのD50値によって定義することができる。
エアロゾルが、本明細書中に開示される化合物またはその医薬的に許容され得る塩を液化噴射剤に懸濁または溶解することによって形成される場合がある。好適な噴射剤には、ハロカーボン、炭化水素および他の液化ガスが含まれる。代表的な噴射剤には、トリクロロフルオロメタン(プロペラント11)、ジクロロフルオロメタン(プロペラント12)、ジクロロテトラフルオロエタン(プロペラント114)、テトラフルオロエタン(HFA-134a)、1,1-ジフルオロエタン(HFA-152a)、ジフルオロメタン(HFA-32)、ペンタフルオロエタン(HFA-12)、ヘプタフルオロプロパン(HFA-227a)、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロペンタン、ブタン、イソブタンおよびペンタンが含まれる。式(A)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含むエアロゾルは典型的には、定量吸入器(MDI)を介して患者に投与されるであろう。様々なそのようなデバイスが当業者には知られている。
エアロゾルは、MDIとともに典型的には使用されるさらなる医薬的に許容され得る賦形剤、例えば、界面活性剤、滑剤、共溶媒および他の賦形剤などを、製剤の物理的安定性を改善するために、バルブ性能を改善するために、溶解性を改善するために、または味覚を改善するために含有する場合がある。
経皮投与のために適合化される医薬組成物は、患者の表皮と長期間にわたって密着してとどまるために意図される個別パッチとして提示される場合がある。例えば、有効成分が、Pharmaceutical Research、3(6)、318(1986)において一般的に記載されるようなイオン導入によってパッチから送達される場合がある。
局所投与のために適合化される医薬組成物は、軟膏、クリーム、懸濁物、ローション、粉末剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー剤、エアロゾルまたはオイルとして配合される場合がある。軟膏、クリームおよびゲルは、例えば、好適な増粘剤および/またはゲル化剤ならびに/あるいは溶媒を加えることにより水性基剤または油性基剤を用いて配合される場合がある。したがって、そのような基剤には、例えば、水および/またはオイル、例えば、流動パラフィまたは植物油(例えば、ラッカセイ油またはヒマシ油など)など、あるいは溶媒、例えば、ポリエチレングリコールなどが含まれる場合がある。基剤の性質に依存して使用され得る増粘剤およびゲル化剤には、軟パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、羊毛脂、蜜ろう、カルボキシポリメチレンおよびセルロース誘導体、ならびに/あるいはモノステアリン酸グリセリル、ならびに/あるいは非イオン性乳化剤が含まれる。
ローションは、水性基剤または油性基剤を用いて配合される場合があり、一般には、1つまたは複数の乳化剤、安定化剤、分散化剤、懸濁化剤または増粘剤もまた含有するであろう。
外用塗布用の粉末剤が、どのような粉末基剤であれ好適な粉末基剤の助けにより、例えば、タルク、ラクトースまたはデンプンの助けにより形成される場合がある。滴剤が、1つまたは複数の分散化剤、可溶化剤、懸濁化剤または防腐剤もまた含む水性基剤または非水性基剤を用いて配合される場合がある。
局所用調製物が、患部への1日あたり1回または複数回の塗布により投与される場合がある;皮膚領域を覆って、密封包帯が都合よく使用される場合がある。連続送達または長期送達が接着性リザーバーシステムにより達成される場合がある。
本発明の化合物および組成物の使用
本明細書中に開示される本発明の化合物または医薬組成物は、障害または疾患を対象において処置するための、防止するための、改善するための、または軽減するための医薬品、同様にまた、サブスタンスP(SP)およびニューロキニン-1(NK-1)受容体を調節する(例えば、サブスタンスP(SP)およびニューロキニン-1(NK-1)受容体と拮抗する)ための他の医薬品を製造する際に使用することができ、本発明の化合物は、優れた薬物動態学特性および薬力学特性、より少ない毒性副作用を有する。
具体的には、本発明の組成物の化合物の量は、サブスタンスP(SP)およびニューロキニン-1(NK-1)受容体を(例えば、サブスタンスP(SP)およびニューロキニン-1(NK-1)受容体と拮抗して)効果的かつ検出可能に調節することができる。本発明の化合物または医薬組成物は、サブスタンスP(SP)およびニューロキニン-1(NK-1)受容体に関連する疾患を防止するために、処置するために、または緩和するために使用される場合があり、ただし、化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)および/または術後悪心嘔吐(PONV)がとりわけ含まれるそのような疾患。
1つの実施形態において、本発明は、化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)および/または術後悪心嘔吐(PONV)を処置するためのものである少なくとも1つの補助的活性化合物の治療有効量を含む医薬組成物を提供し、補助的有効成分は、セロトニン5-HTアンタゴニスト(オンダンセトロンおよびグラニセトロンを含む)、またはデキサメタゾンを含むグルココルチコイドを含む。
別の実施形態において、本発明は、患者における生理学的な障害または疾患の症状の処置または軽減を、NK-1受容体活性を前記患者において調節することによって行うための医薬品の製造における医薬組成物の使用を提供する。
さらに別の実施形態において、本発明は、化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)および/または術後悪心嘔吐(PONV)を含む障害または疾患の症状を処置するための、または軽減するための医薬品の製造における医薬組成物の使用を提供する。
なおさらに別の実施形態において、本発明は、ヒト患者における生理学的な障害または疾患の症状の処置または軽減を、NK-1受容体活性を前記患者において調節することによって行う際に使用されるための医薬品の製造における医薬組成物の使用を提供する。
なおさらに別の実施形態において、本発明は、ヒト患者における生理学的な障害または疾患の症状の処置または軽減を、NK-1受容体活性を前記患者において調節することによって行う際に使用されるための医薬品の製造における医薬組成物の使用であって、前記障害または疾患が化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)および/または術後悪心嘔吐(PONV)である、使用を提供する。
なおさらに別の実施形態において、本発明はさらに、患者における生理学的な障害または疾患の症状の処置または軽減を、NK-1受容体活性を前記患者において調節することによって行うための方法であって、治療有効量の本発明の化合物または前記化合物の医薬組成物を前記患者に投与することを含む方法を提供する。
なおさらに別の実施形態において、本発明はさらに、患者における生理学的な障害または疾患の症状の処置または軽減を、NK-1受容体活性を前記患者において調節することによって行うための方法であって、治療有効量の本発明の化合物または前記化合物の医薬組成物を前記患者に投与することを含み、前記障害または疾患が化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)および術後悪心嘔吐(PONV)である、方法を提供する。
なおさらに別の実施形態において、本発明はさらに、患者における生理学的な障害または疾患の症状の処置または軽減を、NK-1受容体活性を前記患者において調節することによって行うための方法であって、治療有効量の本発明の化合物または前記化合物の医薬組成物を前記患者に投与することを含む方法を提供する。
なおさらに別の実施形態において、前述の障害または疾患は化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)である。
なおさらに別の実施形態において、本発明はさらに、化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法であって、有効量の本発明の少なくとも1つの化合物または前述の医薬組成物を有効量の少なくとも1つのセロトニン5-HT受容体アンタゴニストおよび/または少なくとも1つのグルココルチコイドとの組み合わせで前記患者に投与することを含む方法を提供する。
なおさらに別の実施形態において、本発明はさらに、化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法であって、有効量の本発明の少なくとも1つの化合物または前述の医薬組成物を、セロトニン5-HT受容体アンタゴニスト(これはオンダンセトロンおよび/またはグラニセトロンである)またはグルココルチコイド(これはデキサメタゾンである)または前述のアンタゴニストもしくはグルココルチコイドの医薬的に許容され得る塩と一緒に前記患者に投与することを含む方法を提供する。
本発明の別の局面において、広く知られているように、化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)は、ガン患者の生活の質に対する著しい負の影響を有している。CINVを適切に管理できないことは多くの場合、化学療法計画に関する患者のコンプライアンスに影響し、また、化学療法処置を受けるかどうかについての患者の決定にさえ影響する。CINVを防止するための従来の治療計画は一般には、急性の嘔吐反応を緩和するために通常の場合には履行される、コルチコステロイドと、それに加えての5-HT受容体アンタゴニストとの組み合わせが伴っていた。過去20年において、制吐処置が、NK-1受容体アンタゴニスト(例えば、アプレピタントおよびそのプロドラッグのホスアプレピタント)が利用できることにより大きく進歩している。NK-1受容体アンタゴニストは、サブスタンスPが脳幹の嘔吐中枢においてNK-1受容体に結合することを阻止することによる、コルチコステロイドおよび5-HT受容体アンタゴニストとは異なる作用機構を有しており、したがって、その使用は従来の制吐薬を補完することができ、また、CINVの抑制、とりわけ遅延期のCINVに関連づけられるものの抑制を高めることができる。
本発明のなおさらに別の局面において、知られている制吐指針は化学療法を催吐性リスクの可能性に従って下記の4つのレベルに分類する:高催吐性化学療法(HEC、90%超)、中程度催吐性化学療法(MEC、31~90%)、低催吐性化学療法(10~30%)、および極小催吐性化学療法(10%未満)。現在、コルチコステロイドと、5-HTアンタゴニストと、NK-1受容体アンタゴニストとの組み合わせが、HECまたはMECを受ける患者においてCINVリスクを抑制するための標準的処置として指針によって広く推奨されている。
治療法
1つの実施形態において、本明細書中に開示される治療法は、安全かつ有効量の本発明の化合物または本発明の化合物を含有する医薬組成物を必要性のある患者に投与することを含む。本明細書中に開示されるそれぞれの例が、安全かつ有効量の本発明の化合物または本発明の化合物を含有する医薬組成物を必要性のある患者に投与することを含む、上記の疾患を処置する方法を含む。
1つの実施形態において、本発明の化合物またはその医薬組成物は、全身投与および局所投与の両方を含めて好適な投与経路によってどのような投与経路であれ投与される場合がある。全身投与には、経口投与、非経口投与、経皮投与および直腸投与が含まれる。非経口投与は、経腸的または経皮的ではない投与経路を示し、典型的には注射または注入によるものである。非経口投与には、静脈内、筋肉内および皮下への注射または注入が含まれる。局所投与には、皮膚への塗布、同様にまた、眼内投与、膣内投与、吸入投与および鼻腔内投与が含まれる。1つの実施形態において、本発明の化合物またはその医薬組成物は経口投与される場合がある。別の実施形態において、本発明の化合物またはその医薬組成物は吸入によって投与される場合がある。さらなる実施形態において、本発明の化合物またはその医薬組成物は鼻腔内投与される場合がある。
1つの実施形態において、本発明の化合物またはその医薬組成物は1回投与される場合があり、または、多数回分の服用量が所与の期間にわたって様々な時間間隔で投与される服用計画に従って投与される場合がある。例えば、服用量が、1日あたり1、2、3または4回で投与される場合がある。1つの実施形態において、所与の服用量が1日に1回投与される。さらなる実施形態において、所与の服用量が1日に2回投与される。所望の治療効果が達成されるまで、または所望の治療効果を維持するために無期限に、服用量が投与される場合がある。本発明の化合物またはその医薬組成物のための好適な服用計画は、当業者によって求めることができるその化合物の薬物動態学特性、例えば、その吸収、分布、ならびに代謝および排出の半減期などに依存する。加えて、本発明の化合物またはその医薬組成物のための好適な服用計画は、そのような計画が施される継続期間を含めて、処置されている障害、処置されている障害の重篤度、処置されている患者の年齢および体調、処置される患者の病歴、同時治療の性質、所望の治療効果、ならびに当業者の知識および専門知識に含まれる同様の要因に依存する。好適な服用計画は、服用計画に対する患者個々の寛容性を考慮して、または患者個々の必要性が変化するにつれて時間とともに調節を必要とし得ることが、そのような当業者によってさらに理解されるであろう。
本発明の化合物は、1つまたは複数の他の治療剤と同時に、あるいは1つまたは複数の他の治療剤の前または後にどちらでも投与される場合がある。本発明の化合物は、同じまたは異なる投与経路によってであるが、別々に、あるいは他の薬剤と同じ医薬組成物において一緒に投与される場合がある。
本発明の医薬組成物または組み合わせは、約50~70kgの対象について約1~1000mgの有効成分、好ましくは約1~500mg、または約1~250mg、または約1~150mg、または約0.5~100mg、または約1~50mgの有効成分の単位投薬物であることが可能である。化合物、医薬組成物、またはそれらの組み合わせの治療有効投薬量は、対象の種、体重、年齢および個々の状態、処置されている障害もしくは疾患またはその重篤度に依存している。通常の技能を有する医師、臨床医または獣医は、障害または疾患の進行を防止するために、処置するために、または抑制するために必要である有効成分のそれぞれの有効量を容易に決定することができる。
上記の投薬特性は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、イヌ、非ヒト霊長類(例えば、サルなど))またはその単離された器官、組織および調製物を好都合には使用するインビトロ試験およびインビボ試験と相関させることができる。本発明の化合物はインビトロにおいては溶液の形態で、例えば、好ましくは水溶液の形態で適用することができ、インビボにおいては局所的、吸入的、経腸的または非経口的に、好都合には静脈内に、例えば、懸濁物として、または水溶液で適用することができる。
1つの実施形態において、本明細書中に開示される化合物の治療有効投薬量は1日あたり約0.1mgから約1,000mgまでである。医薬組成物は、約0.1mgから約1,000mgまでの化合物の投薬量を与えなければならない。特別な実施形態において、医薬用の投薬単位形態物は、投薬単位形態物あたり約1mgから約1,000mgまで、約10mgから約500mgまで、約20mgから約200mgまで、約25mgから約100mgまで、または約30mgから約60mgまでの有効成分または必須成分の組み合わせを与えるように調製される。特別な実施形態において、医薬用の投薬単位形態物が、約1mg、5mg、10mg、20mg、25mg、50mg、100mg、250mg、500mg、1000mgの有効成分を与えるように調製される。
本発明の好ましい実施形態
一般的合成手順
下記の例は、本発明がより完全に理解され得るように提供される。しかしながら、これらの実施形態は、本発明を実施する方法を単に提供するにすぎず、本発明はこれらの実施形態に限定されないことが理解されなければならない。
一般に、本明細書中に開示される化合物は、さらに記される場合を除いて、置換基が上記の式(A)について定義される通りである本明細書中に記載される方法によって調製され得る。下記の限定されないスキームおよび例は、本発明をさらに例示するために示される。
当業者は、記載される化学反応が、本明細書中に開示される数多くの他の化合物を調製するために容易に適合化され得ることを認識するであろうし、本明細書中に開示される化合物を調製するための様々な代替方法が、本明細書中に開示される範囲の範囲内であると見なされる。当業者は、下記の例によって明らかにされるように、本発明によって包含される化合物を製造するために、出発物質が変更される場合があること、および、さらなる工程が用いられる場合があることを認識するであろう。場合によっては、ある特定の反応性官能基の保護が、上記変換のいくつかを達成するために必要である場合がある。一般に、保護基についてのそのような必要性、同様にまた、そのような基の結合および除去のために必要である条件は、有機合成の当業者には明らかであろう。例えば、例示されていない化合物の本発明による合成が、当業者には明らかな改変によって、例えば、妨害する基を適切に保護することによって、記載される試薬とは異なるこの技術分野において知られている他の好適な試薬を利用することによって、および/または反応条件の日常的な改変を行うことによって首尾よく実施される場合がある。代替において、知られている反応条件または本発明において開示される反応は、本明細書中に開示される他の化合物を調製するための適用可能性を有しているとして認識されるであろう。
下記で記載される例において、別途示されている場合を除き、すべての温度が摂氏度で示される。試薬を商用供給者から、例えば、Aldrich Chemical Company、Arcos Chemical Company、およびAlfa Chemical Companyなどから購入し、別途示されている場合を除き、さらに精製することなく使用した。
化合物の調製
本発明の化合物は、その塩、エステル、水和物または溶媒和物を含めて、いずれかの知られている有機合成技術を使用して調製することができ、数多くの可能な合成経路のいずれかに従って合成することができる。
本発明の化合物を調製するための反応は好適な溶媒において行うことができ、そのような溶媒は有機合成の当業者によって容易に選択することができる。好適な溶媒は、反応が行われる温度において、例えば、溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度にまで及び得る温度において、出発物質(反応物)、中間体または生成物と実質的に非反応性であり得る。所与の反応を1つの溶媒または1つを超える溶媒の混合物において行うことができる。特定の反応工程に依存するが、特定の反応工程のための好適な溶媒を当業者は選択することができる。
反応は、どのような方法であれこの技術分野において知られている好適な方法に従ってモニターすることができる。例えば、生成物の形成を、分光学的手段によって、例えば、核磁気共鳴分光法(例えば、Hまたは13C)、赤外線分光法、分光光度法(例えば、UV-可視)、質量分析法などによって、あるいはクロマトグラフィー法によって、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフィー-質量分析法(LCMS)または薄層クロマトグラフィー(TLC)などによってモニターすることができる。化合物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(“Preparative LC-MS Purification:Improved Compound Specific Method Optimization”、Karl F.Blom、Brian Glass、Richard Sparks、Andrew P.Combs、J.Combi.Chem.2004、6(6)、874-883、これはその全体が参照によって本明細書中に組み込まれる)および順相シリカクロマトグラフィーを含めて様々な方法によって当業者により精製することができる。
本発明の化合物は、下記で記載される方法を合成有機化学の技術分野において知られている様々な合成方法または当業者によって理解されるようなそれらの変形と一緒に使用して合成することができる。好ましい方法には、下記で記載される様々な方法が含まれるが、これらに限定されない。具体的には、式(A~B)の本発明の化合物は、下記で列挙される例示的な一般的合成スキームにおいて概説される工程に従うことによって合成することができ、反応物についての略語、または合成スキームに含まれる反応物の化学基についての略語は例において定義される。
式(B)を有する化合物に向けた一般的合成スキーム(1~2)が下記のように示される:
スキーム1:式(B)を有する化合物の一般的合成

スキーム1に従って、式(B)を有する化合物に向けた合成を、参考文献(Journal of Organic Chemistry、2014、79、18、8906-8911;Organic Letters、2011、13、6、1466-1469;Journal of Medicinal Chemistry、2017、60、4135-4146;Chimia、2004、58、138-142;Chemistry Letters、2016、45、54-56;米国特許第6436961号B1;国際公開WO2012045290A1)に開示される関連手順に従って行うことができ、しかし、合成はこれらの開示された手順に限定されない。ニトロ誘導体1をナトリウムアルコキシドにより処理して、アルコキシベンゼン誘導体2を形成させる。続く臭素化により、臭化物3を得て、これは、ベンジルアルデヒド5を得るために置換され、さらに還元される。したがって、化合物5のアミン6による還元的アミノ化により、置換ピペリジン化合物(B)が得られる。
スキーム2:中間化合物3の代替合成

代替として、スキーム2に従って、中間化合物3に向けた合成を、参考文献(Tetrahedron Letters、2011、52、4392-4394;Journal of Fluorine Chemistry、2007、128、1449-1453;Chimia、2004、58、138-142;Chemistry Letters、2016、45、54-56;米国特許第6436961号B1)に開示される関連手順に従って行うことができ、しかし、合成はこれらの開示された手順に限定されない。ニトロ誘導体1を酸化して、ヒドロキシ化合物7を形成させ、これをヨウ化アルキルと反応させて、アルコキシベンゼン8を得る。続くFe/HClによる還元により、アニリン9を得る。したがって、化合物9をt-BuONOおよびCuBrにより処理して、中間化合物3を得る。
本開示の様々な実施形態のこれらの局面および利点ならびに他の局面および利点が、添付されたスキームおよび図面を参照してなされる下記の説明から明らかになるであろうし、また、より容易に理解されるであろう。
例示的化合物の調製および特徴づけ
本開示において包含される化合物は種々のスキームにより調製され得る。様々なスキームによる5つの例示的化合物の詳細な調製プロセスが下記において記載され、特徴づけ結果もまた列挙される。
別途明記される場合を除き、すべての試薬を商用供給者から購入し、さらには精製しなかった。標準的方法による溶媒乾燥を必要なときには用いた。薄層クロマトグラフィー(TLC)のために使用されたプレートは、アルミニウムプレートにプレコートされたE.Merck社のシリカゲル60F254(0.24nmの厚さ)であり、その後、UV光(365nmおよび254nm)のもとで、またはエタノールにおける5%のドデカモリブドリン酸による染色、続く加熱により可視化された。カラムクロマトグラフィーを、商用供給者からのシリカゲル(200~400メッシュ)を使用して実施した。H NMRスペクトルを、Agilent 400-MR NMR分光計(1Hについて400.00MHz)で室温において記録した。溶媒シグナルを、H NMRのための参照基準として使用した(CDCl、7.26ppm;CDOD、3.31ppm;DMSO-d6、2.50ppm;DO、4.79ppm)。下記の略語を、多重度を説明するために使用した:s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、br.s.=幅広い一重線、dd=二重の二重線、td=三重の二重線、dt=二重の三重線、dq=二重の四重線、m=多重線。実験の詳細において使用される他の略語は下記の通りである:δ=テトラメチルシランからの低磁場側の100万分率での化学シフト、Ar=アリール、Ac=アシル、Boc=tert-ブチルオキシカルボニル、Bn=ベンジル、DCM=ジクロロメタン、DCE=ジクロロエタン、DMF=N,N’-ジメチルホルムアミド、NMP=N-メチル-2-ピロリドン、DIBAL-H=水素化ジイソブチルアルミニウム、DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン、DMAP=4-(ジメチルアミノ)ピリジン、DMSO=ジメチルスルホキシド、EA=酢酸エチル、Et=エチル、Me=メチル、Hz=ヘルツ、HPLC=高速液体クロマトグラフィー、J=カップリング定数(NMRにおいて)、min=分、h=時間、NMR=核磁気共鳴、prep=分取、PE=石油エーテル、t-Bu=tert-ブチル、iPr=イソプロピル、TBAF=テトラブチルアンモニウムフッ化物、tert=第三級、TFA=トリフルオロ酢酸、THF=テトラヒドロフラン、TLC=薄層クロマトグラフィー。
本発明の局面
下記の局面によってさらに定義される発明。
局面1.下記式(A)の構造を有する化合物:

またはその医薬的に許容され得る塩、ただし、上記式において、
Rは、HおよびC~Cアルキルからなる群から選択され、
Wは、SF、SCF、S(O)CFおよびS(O)CFからなる群から選択され、
Gは、置換フェニル、非置換フェニルおよびC~Cヘテロアリールからなる群から選択される。
局面2.Rが水素である、局面1に記載の化合物。
局面3.RがC1~3アルキルである、局面1に記載の化合物。
局面4.WがSFである、局面1~3のいずれか1つに記載の化合物。
局面5.Gが置換フェニルである、局面1~4のいずれか1つに記載の化合物。
局面6.Gがフェニルである、局面1~4のいずれか1つに記載の化合物。
局面7.GがC~Cヘテロアリールである、局面1~4のいずれか1つに記載の化合物。
局面8.炭素-水素結合のいずれかが炭素-重水素結合により置き換えられ得る、局面1~5のいずれか1つに記載の化合物。
局面9.Rが、メチル、エチルおよびイソプロピルからなる群から選択され、WがSFであり、Gがフェニルである、局面1に記載の化合物。
局面10.Rが、メチル、エチルおよびイソプロピルからなる群から選択され、WがSFであり、かつ、Wがフェニル環の5位において置換され、Gがフェニルである、局面1に記載の化合物。
局面11.Rがメチルであり、WがSFであり、Gがフェニルである、局面1に記載の化合物。
局面12.Rがメチルであり、WがSFであり、かつ、Wがフェニル環の5位において置換され、Gがフェニルである、局面1に記載の化合物。
局面13.下記式(B)の構造:

を有する、局面1に記載の化合物
またはその医薬的に許容され得る塩、ただし、上記式において、Rは、HおよびC~Cアルキルからなる群から選択され、Yは、H、ハロゲン、C~CアルコキシおよびC~Cアルキルからなる群から選択され、qは1~5の整数であり、ただし、qが、2、3、4または5であるときには、YおよびYまたはYまたはYもしくはYは同じであることまたは異なることが可能である。
局面14.Rが、HおよびC~Cアルキルからなる群から選択される、局面13に記載の化合物。
局面15.Yが、H、フッ素、塩素、C~CアルキルおよびC~Cアルコキシからなる群から選択され、qが1である、局面13に記載の化合物。
局面16.Rが、H、メチル、エチルおよびイソプロピルからなる群から選択される、局面13に記載の化合物。
局面17.Yが、H、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシおよびイソプロポキシからなる群から選択され、qが1である、局面13に記載の化合物。
局面18.Rがメチルであり、Yが、H、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシおよびイソプロピルからなる群から選択され、qが1である、請求項13に記載の化合物。
局面19.Rがエチルであり、Yが、H、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシおよびイソプロポキシからなる群から選択される、局面13に記載の化合物。
局面20.Rがイソプロピルであり、Yが、H、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシおよびイソプロポキシからなる群から選択される、局面13に記載の化合物。
局面21.下記の化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)、化合物(IV)、および化合物(V):

または前述のいずれかの医薬的に許容され得る塩
からなる群から選択される、局面1に記載の化合物。
局面22.(2S,3S)-N-(2-メトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミンまたはその医薬的に許容され得る塩である、局面1に記載の化合物。
局面23.治療有効量の局面1~22のいずれか1つに記載の少なくとも1つの化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含む医薬組成物。
局面24.医薬的に許容され得る賦形剤、キャリア、補助剤、溶媒、支持体、または前述のいずれかの組み合わせをさらに含む、局面23に記載の医薬組成物。
局面25.治療有効量の1つまたは複数の任意の補助的有効成分をさらに含む、局面24に記載の医薬組成物。
局面26.前記補助的有効成分が、NK-1受容体活性に関連する生理学的な障害または疾患を処置するために効果的である化合物を含む、局面25に記載の医薬組成物。
局面27.前記補助的有効成分が、化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)および/または術後悪心嘔吐(PONV)を処置するために効果的である化合物を含む、局面26に記載の医薬組成物。
局面28.前記補助的有効成分が、セロトニン5-HTアンタゴニスト、グルココルチコイドまたはそれらの組み合わせを含む、局面26に記載の医薬組成物。
局面29.前記補助的有効成分が、オンダンセトロン、グラニセトロン、デキサメタゾンまたは前述のいずれかの組み合わせを含む、局面26に記載の医薬組成物。
局面30.経口製剤である、局面23~29のいずれか1つに記載の医薬組成物。
局面31.経口剤形である、局面23~30のいずれか1つに記載の医薬組成物。
局面32.静注製剤である、局面23~29のいずれか1つに記載の医薬組成物。
局面33.患者の生理学的な障害または疾患の症状を処置するための、または軽減するための医薬品の製造における局面1~22のいずれか1つに記載の化合物または局面23~32のいずれか1つに記載の医薬組成物の使用。
局面34.前記生理学的な障害または疾患の病因がNK-1受容体活性に関連する、局面33に記載の使用。
局面35.前記生理学的な障害または疾患が化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)または術後悪心嘔吐(PONV)を含む、前記化合物または医薬組成物の局面33に記載の使用。
局面36.ヒト患者のNK-1受容体活性を調節することによる、ヒト患者における生理学的な障害または疾患の症状の処置または軽減における使用のための局面1~22のいずれか1つに記載の化合物または局面23~32のいずれか1つに記載の医薬組成物。
局面37.前記生理学的な障害または疾患が化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)または術後悪心嘔吐(PONV)である、局面36に記載の使用のための化合物または医薬組成物。
局面38.患者のNK-1受容体活性を調節することによって、患者における生理学的な障害または疾患の症状を処置または軽減するための方法であって、治療有効量の局面1~22のいずれか1つに記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩あるいは局面23~32のいずれか1つに記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む方法。
局面39.投与することが経口投与することを含む、局面38に記載の方法。
局面40.投与することが静脈内投与することを含む、局面38に記載の方法。
局面41.前記生理学的な障害または疾患が化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)および術後悪心嘔吐(PONV)である、局面38~40のいずれか1つに記載の方法。
局面42.患者のNK-1受容体活性を調節することによって、患者における生理学的な障害または疾患の症状を処置または軽減するための方法であって、治療有効量の局面22に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩あるいは局面23~32のいずれか1つに記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含み、前記化合物が局面22に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩である、方法。
局面43.投与することが経口投与することを含む、局面42に記載の方法。
局面44.投与することが静脈内投与することを含む、局面42に記載の方法。
局面45.前記障害または疾患が化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)である、局面42~44のいずれか1つに記載の方法。
局面46.化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)の処置を、そのような処置を必要としている患者において行う方法であって、有効量の少なくとも1つの局面1~22のいずれか1つに記載の化合物または局面23~25のいずれか1つに記載の医薬組成物を、有効量の少なくとも1つのセロトニン5-HT受容体アンタゴニストおよび/または少なくとも1つのグルココルチコイドとの併用で前記患者に投与することを含む方法。
局面47.投与することが経口投与することを含む、局面44に記載の方法。
局面48.投与することが静脈内投与することを含む、局面46に記載の方法。
局面49.前記化合物が請求項22に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩である、あるいは前記医薬組成物が請求項23~25のいずれか一項に記載のものであって、前記化合物が請求項22に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩である医薬組成物であり、前記セロトニン5-HT受容体アンタゴニストがオンダンセトロンおよび/またはグラニセトロンあるいはその医薬的に許容され得る塩であり、前記グルココルチコイドがデキサメタゾンまたはその医薬的に許容され得る塩である、局面46~48のいずれか1つに記載の方法。

下記に詳しく記載される本発明の実施形態は、本発明を説明するために例であるにすぎず、本発明を限定するものとして解釈されないことに留意しなければならない。具体的な技術または条件を伴わない例は、この技術分野の文書における技術または条件に従って、あるいは製品説明書に従って実施することができる。製造者を伴わない試薬または機器は従来の購入により入手可能である。当業者は、下記の例によって明らかにされるように、本発明によって包含される化合物を製造するために、出発物質が変更される場合があること、および、さらなる工程が用いられる場合があることを認識するであろう。
例1:(2S,3S)-N-(2-メトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(I)

工程1:1-メトキシ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(11)
1-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(10)(5.0g、20.1mmol)をDMF(50mL)に溶解した25℃での撹拌溶液に、MeONa(5.4g、100.5mmol)を少量ずつ加えた。反応液を25℃で0.5時間にわたって撹拌し、その後、反応を水(200mL)により停止させた。得られた混合物をEAにより抽出した(100mL、2回)。一緒にした有機相をブラインにより洗浄し(100mL、2回)、無水MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE)によって精製して、表題化合物11(3.0g、64%)を無色オイルとして得た。
工程2:2-ブロモ-1-メトキシ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(12)
1-メトキシ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(11)(3.0g、12.8mmol)をHOAc(30mL)に溶解した撹拌溶液に、Br(10.2g、64.1mmol)を25℃で加えた。反応液を60℃で16時間にわたって撹拌した。反応混合物をエバポレーションし、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE)によって精製して、表題化合物12(3.9g、98%)を淡黄色オイルとして得た。
工程3:2-メトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゾニトリル(13)
2-ブロモ-1-メトキシ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(12)(3.9g、12.5mmol)をNMP(40mL)に溶解した撹拌溶液に、CuCN(2.2g、24.9mmol)を25℃で一度に加えた。反応液をN雰囲気のもと4時間にわたって170~180℃に加熱し、その後、25℃に冷却した。得られた混合物を水(100mL)により希釈し、EAにより抽出した(40mL、2回)。一緒にした有機相をブライン(40mL)により洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EA=20:1~5:1)によって精製して、表題化合物13(2.5g、78%)を黄色固体として得た。
工程4:2-メトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンズアルデヒド(14)
2-メトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゾニトリル(13)(2.5g、9.7mmol)をトルエン(25mL)に溶解した溶液に、DIBAL-H(7.7mL、11.6mmol、1.5Mのトルエン溶液)をN雰囲気のもと0℃で滴下して加えた。反応液を25℃で1時間にわたって撹拌し、その後、反応をHCl水溶液(20mL、1M)により停止させた。反応混合物をEAにより抽出し(20mL、2回)、一緒にした有機相をブライン(20mL)により洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EA=100:1~10:1)によって精製して、表題化合物14(2.4g、96%)を淡黄色固体として得た。
工程5:(2S,3S)-N-(2-メトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(I)
2-メトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンズアルデヒド(14)(0.9g、3.4mmol)および(2S,3S)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(6)(0.9g、5.2mmol)をDMF(20mL)に溶解した撹拌溶液に、NaBH(OAc)(3.6g、17.2mmol)を少量ずつ加えた。反応液を25℃で2時間にわたって撹拌し、その後、飽和NaHCO水溶液によりゆっくり反応停止させ、pH>8とした。得られた混合物をEAにより抽出した(40mL、2回)。一緒にした有機相をブラインにより洗浄し(40mL、2回)、無水NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、表題化合物I(0.8g、55%)を白色固体として得た。
例2:(2S,3S)-N-(2-エトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(II)

工程1:2-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)フェノール(16)
MeNH(90mL、180mmol、2MのTHF溶液)におけるt-BuOK(4.2g、36.0mmol)のN雰囲気のもとでの撹拌スラリーに、1-ニトロ-3-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(15)(3.0g、12.0mmol)およびクメンヒドロペルオキシド(2.4g、13.2mmol)を乾燥THF(30mL)に溶解した溶液を-78℃で滴下して加えた。反応液を-50℃で0.5時間にわたって撹拌し、その後、25℃に加温した。反応混合物をHCl水溶液(6M)により反応停止させ、pHを7未満にし、続いてEAにより抽出した(30mL、2回)。一緒にした有機相をブライン(30mL)により洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EA=100%PE~100:1)によって精製して、表題化合物16(3.0g、91%)を黄色オイルとして得た。
工程2:1-エトキシ-2-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(17)
2-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)フェノール(16)(0.5g、1.9mmol)およびヨードエタン(0.6g、3.8mmol)をCHCN(5mL)に溶解した撹拌溶液に、KCO(0.6g、4.7mmol)を加えた。反応液を封管中で16時間にわたって加熱還流し、ろ過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EA=100%PE~50:1)によって精製して、表題化合物17(342mg、62%)を黄色固体として得た。
工程3:2-エトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)アニリン(18)
1-エトキシ-2-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(17)(340mg、1.2mmol)をEtOH(3mL)および濃HCl(3mL)に溶解した撹拌溶液に、Fe粉末(0.2g、3.5mmol)を少量ずつ25℃で加えた。反応液を3時間にわたって加熱還流し、その後、濃縮した。残渣を水(10mL)に溶解し、EAにより抽出した(15mL、2回)。一緒にした有機相をブライン(10mL)により洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して、表題化合物18(0.3g、98%)を灰白色固体として得た。
工程4:2-ブロモ-1-エトキシ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(19)
CHCN(3mL)における2-エトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)アニリン(18)(0.3g、1.1mmol)およびCuBr(255mg、1.1mmol)の撹拌スラリーに、t-BuONO(0.3g、2.9mmol)を25℃で滴下して加えた。反応液を25℃で0.5時間にわたって撹拌し、その後、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EA=100:1)によって精製して、表題化合物19(240mg、64%)を無色オイルとして得た。
工程5:2-エトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゾニトリル(20)
2-ブロモ-1-エトキシ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(19)(180mg、0.55mmol)をNMP(2mL)に溶解した撹拌溶液に、CuCN(0.1g、1.1mmol)を一度に加えた。反応液をN雰囲気のもと160℃に4時間にわたって加熱し、その後、25℃に冷却した。反応混合物を水(5mL)により希釈し、EAにより抽出した(3mL、2回)。一緒にした有機相をブライン(3mL)により洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EA=100:1~5:1)によって精製して、表題化合物20(120mg、80%)を無色オイルとして得た。
工程6:2-エトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンズアルデヒド(21)
2-エトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゾニトリル(20)(120mg、0.44mmol)をトルエン(1mL)に溶解した撹拌溶液に、DIBAL-H(0.4mL、0.6mmol、1.5Mのトルエン溶液)を0℃で滴下して加えた。反応液を撹拌し、1時間にわたって25℃に加温した。反応混合物をHCl水溶液(1mL、6M)により反応停止させ、その後、EAにより抽出した(2mL、2回)。一緒にした有機相をブライン(2mL)により洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EA=100:1~5:1)によって精製して、表題化合物21(77mg、64%)を無色オイルとして得た。
工程7:(2S,3S)-N-(2-エトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(II)
2-エトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンズアルデヒド(21)(40mg、0.1mmol)をDCE(0.5mL)に溶解した撹拌溶液に、(2S,3S)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(6)(31mg、0.18mmol)を加えた。反応混合物を25℃で0.5時間にわたって撹拌した。その後、NaBHCN(11mg、175μmol)、MeOH(0.5mL)およびAcOH(0.1mL)を一度に加えた。得られた混合物を25℃で1時間にわたって撹拌し、その後、濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製して、表題化合物II(23mg、31%)を白色固体として得た。
例3:(2S,3S)-N-(2-イソプロポキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(III)

工程1:1-イソプロポキシ-2-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(22)
2-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)フェノール(16)(0.5g、1.9mmol)および2-ヨードプロパン(0.6g、3.8mmol)をCHCN(5mL)に溶解した封管中の撹拌溶液に、KCO(0.6g、4.7mmol)を加えた。反応液を封管中で16時間にわたって加熱還流し、ろ過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EA=100:0~50:1)によって精製して、表題化合物22(0.2g、35%)を黄色固体として得た。
工程2:2-イソプロポキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)アニリン(23)
1-イソプロポキシ-2-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(22)(0.2g、0.65mmol)をEtOH(2mL)および濃HCl(0.5mL)に溶解した撹拌溶液に、Fe粉末(109mg、2.0mmol)を少量ずつ25℃で加えた。得られた混合物を3時間にわたって加熱還流し、その後、濃縮した。残渣を水(5mL)に溶解し、EAにより抽出した(5mL、2回)。一緒にした有機相をブライン(5mL)により洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して、表題化合物23(0.2g、粗製物)を灰白色固体として得た。この粗生成物をさらに精製することなく次の工程のために使用した。
工程3:2-ブロモ-1-イソプロポキシ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(24)
CHCN(2mL)における2-イソプロポキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)アニリン(23)(0.2g、0.7mmol)およびCuBr(161mg、0.7mmol)の撹拌スラリーに、t-BuONO(186mg、1.8mmol)を25℃で滴下して加えた。反応液を25℃で1時間にわたって撹拌し、その後、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EA=100:1)によって精製して、表題化合物24(150mg、61%)を無色オイルとして得た。
工程4:2-イソプロポキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゾニトリル(25)
2-ブロモ-1-イソプロポキシ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(24)(70mg、0.2mmol)をNMP(1mL)に溶解した撹拌溶液に、CuCN(37mg、0.4mmol)を一度に加えた。反応液をN雰囲気のもと160℃に4時間にわたって加熱し、その後、25℃に冷却した。得られた混合物を水(5mL)により希釈し、EAにより抽出した(2mL、2回)。一緒にした有機相をブライン(2mL)により洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EA=100:1~5:1)によって精製して、表題化合物25(25mg、42%)を無色オイルとして得た。
工程5:2-イソプロポキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンズアルデヒド(26)
2-イソプロポキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゾニトリル(25)(25mg、87μmol)をトルエン(0.5mL)に溶解した撹拌溶液に、DIBAL-H(70μL、0.1mmol、1.5Mのトルエン溶液)を0℃で滴下して加えた。反応液を撹拌し、1時間にわたって25℃にまで加温した。反応をHCl水溶液(2mL、6M)により停止させ、その後、反応液をEAにより抽出した(2mL、2回)。一緒にした有機相をブライン(2mL)により洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EA=100:1~5:1)によって精製して、表題化合物26(18mg、71%)を白色固体として得た。
工程6:(2S,3S)-N-(2-イソプロポキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(III)
2-イソプロポキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンズアルデヒド(26)(18mg、62μmol)をDCE(0.5mL)に溶解した撹拌溶液に、(2S,3S)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(6)(14mg、80μmol)を加えた。反応混合物を25℃で0.5時間にわたって撹拌した。その後、NaBHCN(5mg、80μmol)、MeOH(0.5mL)およびAcOH(0.1mL)を加えた。得られた溶液を25℃で1時間にわたって撹拌し、その後、飽和NaHCO水溶液(2mL)により反応停止させた。得られた混合物をEAにより抽出した(2mL、2回)。一緒にした有機相をブライン(2mL)により洗浄し、無水MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をCHCN(2mL)における濃HCl(0.1mL)により処理した。濃縮後、得られた固体をCHCN(2mL)とともに粉砕し、ろ過して、表題化合物III(15mg、46%)を灰白色固体として得た。
例4:(2S,3S)-N-(2-(メトキシ-d)-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(IV)

工程1:ペンタフルオロ(4-(メトキシ-d)-3-ニトロフェニル)スルファン(27)
2-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)フェノール(16)(2.0g、7.5mmol)およびヨードメタン-d(2.2g、15.1mmol)をCHCN(20mL)に溶解した撹拌溶液に、KCO(2.6g、18.9mmol)を加えた。反応液を封管中で16時間にわたって加熱還流した。その後、反応混合物をろ過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EA=100:1~50:1)によって精製して、表題化合物27(1.8g、71%)を黄色固体として得た。
工程2:2-(メトキシ-d)-5-(ペンタフルオロスルファニル)アニリン(28)
ペンタフルオロ(4-(メトキシ-d)-3-ニトロフェニル)スルファン(27)(1.4g、5.0mmol)をEtOH(15mL)および濃HCl(5mL)に溶解した撹拌溶液に、Fe粉末(0.8g、14.9mmol)を少量ずつ25℃で加えた。得られたスラリーを3時間にわたって加熱還流し、その後、濃縮した。残渣を水(20mL)に溶解し、EAにより抽出した(20mL、2回)。一緒にした有機相をブライン(20mL)により洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して、表題化合物28(1.3g、粗製物)を灰白色固体として得た。この粗生成物をさらに精製することなく次の工程のために使用した。
工程3:(3-ブロモ-4-(メトキシ-d)フェニル)ペンタフルオロスルファン(29)
CHCN(20mL)における2-(メトキシ-d)-5-(ペンタフルオロスルファニル)アニリン(28)(1.3g、5.2mmol)およびCuBr(1.2g、5.2mmol)の撹拌スラリーに、t-BuONO(1.3g、12.9mmol)を25℃で滴下して加えた。反応液を25℃で1時間にわたって撹拌し、その後、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EA=100:1)によって精製して、表題化合物29(1.5g、92%)を無色オイルとして得た。
工程4:2-(メトキシ-d)-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゾニトリル(30)
(3-ブロモ-4-(メトキシ-d)フェニル)ペンタフルオロスルファン(29)(1.5g、4.8mmol)をNMP(20mL)に溶解した撹拌溶液に、CuCN(0.9g、9.5mmol)を一度に加えた。反応液をN雰囲気のもと160℃に4時間にわたって加熱し、その後、25℃に冷却した。得られた混合物を水(40mL)により希釈し、EAにより抽出した(20mL、2回)。一緒にした有機相をブライン(20mL)により洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EA=100:1~5:1)によって精製して、表題化合物30(1.0g、80%)を灰白色固体として得た。
工程5:2-(メトキシ-d)-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンズアルデヒド(31)
2-(メトキシ-d)-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゾニトリル(30)(0.9g、3.4mmol)をDCM(10mL)に溶解した撹拌溶液に、DIBAL-H(6.9mL、6.9mmol、1Mのヘキサン溶液)を0℃で滴下して加えた。反応液を0~25℃で2時間にわたって撹拌し、その後、HCl水溶液(20mL、1M)に注いだ。得られた混合物をEAにより抽出した(10mL、2回)。一緒にした有機相をブライン(10mL)により洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EA=20:1~5:1)によって精製して、表題化合物31(0.7g、54%)を灰白色固体として得た。
工程6:(2S,3S)-N-(2-(メトキシ-d)-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(IV)
2-(メトキシ-d)-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンズアルデヒド(31)(0.49g、1.8mmol)をDCE(7mL)に溶解した撹拌溶液に、(2S,3S)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(6)(0.4g、2.3mmol)を一度に加えた。反応液を25℃で1時間にわたって撹拌し、その後、NaBHCN(242mg、3.9mmol)、MeOH(7mL)およびAcOH(1mL)を加えた。反応液を25℃で2時間にわたって撹拌し、その後、反応を飽和NaHCO水溶液(20mL)により停止させた。得られた混合物をEAにより抽出した(15mL、2回)。一緒にした有機相をブライン(15mL)により洗浄し、無水MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をCHCN(10mL)に溶解し、濃HCl(5mL)により処理した。溶液をエバポレーションして乾固した。得られた固体をCHCN(5mL)とともに粉砕し、ろ過して、表題化合物IV(0.6g、76%)を灰白色固体として得た。
例5:(2S,3S)-N-(2-メトキシ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(V)

工程1:2-ニトロ-5-(ペンタフルオロスルファニル)フェノール(32)
MeNH(30mL、60mmol、2MのTHF溶液)におけるt-BuOK(1.4g、12.0mmol)の撹拌スラリーに、1-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(10)(1.0g、4.0mmol)およびクメンヒドロペルオキシド(0.8g、4.4mmol)を乾燥THF(10mL)に溶解した溶液を-78℃で滴下して加えた。反応液を-50℃で0.5時間にわたって撹拌し、徐々に25℃に加温した。反応混合物を冷却し、-10℃でHCl水溶液(60mL、1M)により反応停止させ、EAにより抽出した(60mL、2回)。一緒にした有機相をブライン(50mL)により洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EA=100:1~3:1)によって精製して、表題化合物32(1.0g、91%)を黄色オイルとして得た。
工程2:2-メトキシ-1-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(33)
2-ニトロ-5-(ペンタフルオロスルファニル)フェノール(32)(0.8g、3.0mmol)およびMeSO(0.5g、3.9mmol)をアセトン(20mL)に溶解した撹拌溶液に、KCO(0.8g、6.0mmol)を一度に加えた。反応液を1時間にわたって加熱還流し、その後、反応を水(40mL)により停止させた。得られた混合物をEAにより抽出した(30mL、2回)。一緒にした有機相をブライン(30mL)により洗浄し、無水MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して、表題化合物33(0.8g、95%)を黄色オイルとして得た。
工程3:2-メトキシ-4-(ペンタフルオロスルファニル)アニリン(34)
2-メトキシ-1-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(33)(1.0g、3.6mmol)をMeOH(20mL)に溶解した撹拌溶液に、Pd/C(0.1g、10%)を加えた。反応物にHバルーンを入れ、反応液を25℃で24時間にわたって撹拌した。その後、反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮して、表題化合物34(0.8g、90%)を灰白色固体として得た。
工程4:1-ブロモ-2-メトキシ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(35)
CHCN(10mL)におけるt-BuONO(1.0g、10.0mmol)およびCuBr(0.9g、4.0mmol)の撹拌スラリーに、2-メトキシ-4-(ペンタフルオロスルファニル)アニリン(34)(1.0g、4.0mmol)を0℃で一度に加えた。反応液を25℃で0.5時間にわたって撹拌し、その後、加熱し、1時間にわたって還流した。得られた混合物を25℃に冷却し、飽和NHCl水溶液(10mL)により反応停止させ、EAにより抽出した(10mL、2回)。一緒にした有機相をブライン(10mL)により洗浄し、無水MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EA=100:1~10:1)で精製して、表題化合物35(1.0g、80%)を白色固体として得た。
工程5:2-メトキシ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンズアルデヒド(36)
1-ブロモ-2-メトキシ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(35)(0.4g、1.3mmol)をEtO(4mL)に溶解した撹拌溶液に、t-BuLi(1.7mL、2.2mmol、1.3Mのペンタン溶液)を-78℃で滴下して加えた。得られた混合物を-78℃で0.5時間にわたって撹拌し、続いてピペリジン-1-カルバルデヒド(217mg、2.0mmol)を-78℃で滴下して加えた。反応液を-78℃で1時間にわたって撹拌し、その後、反応を飽和NHCl水溶液(5mL)により停止させた。反応混合物をMTBEにより抽出した(10mL、2回)。一緒にした有機相を無水MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して、表題化合物36(0.3g、89%)を黄色オイルとして得た。
工程6:(2S,3S)-N-(2-メトキシ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(V)
2-メトキシ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンズアルデヒド(36)(0.3g、1.1mmol)および(2S,3S)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(6)(0.2g、1.1mmol)をDMF(3mL)に溶解した撹拌溶液に、NaBH(OAc)(0.7g、5.7mmol)を少量ずつ25℃で加えた。反応液を25℃で4時間にわたって撹拌し、その後、反応を水(3mL)により停止させた。反応混合物をEAにより抽出した(10mL、2回)。一緒にした有機相をブライン(10mL)により洗浄し、無水MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、表題化合物V(120mg、25%)を白色固体として得た。
例6:薬理学的研究
例において、薬理学特性が、式I~式Vを有する化合物に関して詳しく記載される。
A.結合アッセイを使用するヒトNK-1受容体に対する化合物I~Vの阻害作用
ヒトタキキニンNK-1受容体結合アッセイを、CisBio社のTag-Lite(登録商標)リガンド結合アッセイを使用して行った。この均一結合アッセイは時間分解蛍光エネルギー移動(TR-FRET)技術を用いる。ヒトNK-1受容体に対する化合物Iおよび化合物Vの潜在的阻害作用をTag-Lite(登録商標)タキキニンNK-1受容体結合アッセイによって評価した。結果が下記の表1に示され、一方、化合物Iについての適合する用量応答曲線が図1Aおよび図1Bに示される。
1.Tag-Lite(登録商標)タキキニンNK-1受容体結合アッセイ:
材料:Tag-Lite(登録商標)タキキニンNK-1標識細胞、タキキニンNK-1受容体赤色アゴニスト蛍光リガンド(10μM×50μL)、Tag-Lite緩衝液(TLB)(5倍濃度)(CisBio、Redford、MA、米国)。[Sar9,Met(O2)11]-サブスタンスP-ポリペプチド(Tocris、Bristol、英国)。
飽和結合のための実験手順(K決定):飽和結合アッセイは、平衡条件のもとでの増大する濃度のリガンドの総結合および非特異的結合を測定する。アッセイを行うために、蛍光リガンドを、一定量のTag-Lite(登録商標)タキキニンNK-1標識細胞を含有する溶液に濃度設定する。10μLのタキキニンNK-1受容体赤色アゴニストのストック溶液(10000nM)を240μLの1×Tag-Lite緩衝液(TLB)に対して希釈して、飽和結合曲線のための最大濃度(F1=400nM)を得ることによって、蛍光リガンドを調製する。このF1溶液(400nM)から始めて、1/2の連続希釈液を調製し、200~3.1nMの溶液を得た。この濃度設定から得られる均一時間分解蛍光(HTRF)比が総結合である。蛍光リガンドはまた、一定量の標識細胞と、DMSOにおける100倍モル過剰の非標識リガンド(40uM)([Sar9,Met(O2)11]-サブスタンスP-ポリペプチド)とを含有する溶液に濃度設定した。この濃度設定から得られるHTRF比が非特異的結合である。アッセイをそれぞれのアッセイ点について二連のウエルで行った。すべての試薬を室温で2時間インキュベーションし、シグナル665nmとシグナル620nmとを、Evisionを使用して読み取る。データ分析を、比率を下記の式に従って計算することによって行い、総結合および非特異的結合を、GraphPad Prism 5.0を用いて分析し、K値を計算した。
2.競合的結合(K決定):競合的結合アッセイは解離定数Kを測定する。アッセイを行うために、化合物を、一定濃度の蛍光リガンドと、一定量の細胞とを含有する溶液に濃度設定する。
競合的結合のための実験手順(K決定):CisBio社のTag-Lite(登録商標)タキキニンNK-1結合アッセイを製造者のプロトコルに従って行う。簡単に記載すると、それぞれの試験化合物を8点の濃度で調製する。化合物を1×TLBにより希釈して40nMの初期濃度(C1)にする。このC1溶液(40nM)から始めて、1×TLBにおける1/5の連続希釈液を、10μLのC1を40μLの1×TLBに加えることによって調製し、穏やかに混合し、1/5の連続希釈を繰り返して、C2溶液、C3溶液、C4溶液、C5溶液、C6溶液、C7溶液、C8溶液を調製する。化合物の競合用量応答については、最適な蛍光リガンド濃度は、受容体結合の50%Kを可能にする濃度である。5μLの蛍光リガンドのストック溶液(10000nM)を1245μLの1×TLBに加え、穏やかに混合して、40nMの作業用溶液を得る。競合的結合アッセイをすべてのアッセイ点について二連で行った。10μLの標識細胞をそれぞれのウエルに混ぜ入れ、5μLの化合物希釈液(C1~C8)をそれぞれの適切なウエルに混ぜ入れ、試験されるそれぞれの化合物について繰り返し、5μLの蛍光リガンドをそれぞれのウエルに混ぜ入れる。インキュベーションを室温で2時間行い、シグナル665nmとシグナル620nmとを、Evisionを使用して読み取る。データ分析を、比率を下記の式に従って計算することによって行い、それぞれの化合物についての競合的結合データを、GraphPad Prism 5.0を用いて分析し、IC50値をそれぞれの化合物について計算した。
3.実験結果:
B.カルシウムフラックスFLIPRアッセイによるヒトNK-1、NK-2、NK-3細胞株に対する化合物I~Vのアンタゴニスト活性
ヒトNK-1/2/3受容体に対する化合物IおよびIVの潜在的アンタゴニスト活性をカルシウムフラックスFLIPRアッセイによって評価した。結果が下記の表2に示され、一方、化合物Iおよび化合物IVについてのNK-1の適合する用量応答曲線が図2Aおよび図2Bにそれぞれ示される。
1.NK-1、NK-2およびNK-3のカルシウムフラックスFLIPRアッセイ:
材料:細胞株:NK-1/HEK293、NK-2/HEK293、NK-3/HEK293。培地:DMEM、Invitrogen(カタログ番号11960)、FBS、Corning(カタログ番号35-076-CV)、G418、Invitrogen(カタログ番号10131-027)、およびブラストサイジン、Invitrogen(カタログ番号A11139)。試薬:Fluo-4 Direct、(Invitrogen、カタログ番号F10471)。
NK-1、NK-2およびNK-3のカルシウムフラックスFLIPRアッセイのための実験手順:アッセイを下記の工程で行う:1)細胞調製:それぞれの細胞(NK-1、NK-2およびNK-3)を、穏やかな振とうを行いながら37℃の水浴で解凍し、細胞懸濁物を50mLのコニカルチューブに移し、播種用培地を45mLの印にまで加える。細胞を、ViCellを使用して計数し、濃度を求める。細胞を1mLあたり10×10の濃度で成長培地において再懸濁する。ウエルあたり20uLの細胞懸濁物を384ウエルプレートに加える(20,000細胞/ウエル)。細胞を37℃の5%COインキュベーターにおいて一晩置く。2)カルシウムフラックスFLIPRアッセイ:a)プロベネシド試薬を、1mLのFLIPRアッセイ緩衝液を77mgのプロベネシドに加えて、250mMの溶液を作製することによって調製する。b)アッセイ試薬(2×8uM Fluo-4 Direct(商標)添加用緩衝液)を調製する:1つのバイアルのFluo-4 Direct(商標)結晶を解凍し、10mLのFLIPRアッセイ緩衝液をバイアルに加え、0.2mLのプロベネシドをFluo-Directのそれぞれの10mLバイアルに加える。c)化合物の調製:化合物をEchoによって10個の点について100%のDMSOにおいて1:3で連続希釈する。その後、900nLの化合物を384化合物プレートに分注する。細胞プレートをインキュベーターから取り出し、20uLの2×Fluo-4 Direct(商標)を384ウエル細胞培養プレートに静かに分注する。インキュベーションを37℃ 5%COで50分間行い、室温で10分間行う。細胞プレートをインキュベーターから取り出し、FLIPR(Molecular Devices)に入れる。化合物プレートおよびチップボックスをFLIPRに入れる。用量応答曲線(DRC)プレートについて:a)FLIPRTETRAでのプロトコルを実行する。b)10μLのアッセイ緩衝液を384ウエルプレートから細胞プレートに移す。c)蛍光シグナルを読み取る。d)10μLの化合物をDRCプレートから細胞プレートに移す。e)蛍光シグナルを読み取る。f)読み取り90から始めて許容最大までの「最大-最小」を計算する。EC80値を、FLIPRを使用してそれぞれの細胞株について計算する。g)アゴニスト参照化合物の6×EC80濃度を調製する。アンタゴニスト試験における化合物プレートについて:a)FLIPRTETRAでのプロトコルを実行する。b)10μLの参照物および化合物を化合物プレートから細胞プレートに移す。c)蛍光シグナルを読み取る。d)10μLの6×EC80濃度のアゴニスト参照化合物を細胞プレートに移す。e)蛍光シグナルを読み取る。f)アンタゴニスト試験について、読み取り90から始めて許容最大までの「最大-最小」を計算する。h)データを、GraphPad Prism5.0を使用して分析する。
2.実験結果:
C.薬物動態学研究
ラット薬物動態学研究のために、オスのSprague-Dawleyラットを個別に飼育し、使用前に一晩絶食させた。化合物Iおよび参照化合物CP-122721について、単回用量を2つの群(n=5/群)におけるそれぞれのラットに4mg/kgでの静脈内(iv)投与および20mg/kgの経口(po)投与によりそれぞれ投与した。
参照化合物CP-122721は(2S,3S)-N-[[2-メトキシ-5-(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチル]-2-フェニルピペリジン-3-アミンであり、下記の構造を有する:
i.v.投与のために使用されるビヒクルは10%HP-β-CDであった。p.o.投与のために使用されるビヒクルは生理食塩水における0.5%CMC-Na/0.1%Tween80であった。血液サンプルを、i.v.群内およびp.o.群内の個々のラットへの投与の後の指定された時点で採取した:i.v.群(服用前、10分、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間)およびp.o.群(服用前、15分、0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間)。血液サンプルを直ちに氷上で凝固させ、その後、血漿サンプルを遠心分離によって単離し、さらなる分析まで凍結貯蔵した(-80℃)。化合物IおよびCP-122721の濃度をLC/MS/MSアッセイによって個々に求めた。様々な薬物動態学パラメーターを、Phoenix(商標)WinNonlin(登録商標)ソフトウェアを使用して計算した。循環系における化合物IおよびCP-122721の生物変換効率を定量化するために、p.o.投与後の化合物IおよびCP-122721の生物学的利用能を計算した。結果が、表3、図3Aおよび図3Bに示される。
D.フェレットにおけるシスプラチン誘発嘔吐に関する化合物Iの試験
1.目的
化合物Iの制吐作用能を、フェレットにおけるシスプラチン誘発の急性嘔吐および遅延嘔吐を防止することによって調べること。アプレピタントを本研究では陽性対照として使用した。
2.方法
1)動物
体重が1.2kg~2.3kgの間である40匹の去勢されたオスのフェレットを使用し(これらをWuxi Sangosho Biotechnology Co.Ltd.(Wuxi、Jiangsu、中国)から得た)、50±5%の湿度とともに24±1℃で2匹~3匹の群で飼育した。人工照明を06:00~18:00hの間で施した。水および乾燥したネコ用ペレット化固形飼料を、別途明記される場合を除き、自由に取らせた。すべての実験を、香港特別行政区政府および香港中文大学動物実験倫理委員会の許可を受けて行った。
2)使用薬物
化合物Iおよびアプレピタントは、XW Laboratories,Inc(中国)によって供給され、蒸留水に溶解した。シスプラチン(ロット番号MKBR1947V)をSigma-Aldrich(St.Louis、米国)から得て、0.1N HClによりpH4に調節される0.9%(w/v)生理食塩水に溶解した。用量は、別途明記される場合を除き、遊離塩基として表した。
3)フェレットにおけるシスプラチン誘発の急性嘔吐・遅延嘔吐実験
実験当日、フェレット群に、化合物I(0.1、0.3、1mg/kg、p.o.)、アプレピタント(1mg/kg、p.o.)または蒸留水(ビヒクル対照、1mL/kg、p.o.)を投与した。シスプラチン(5mg/kg、i.p.)の2時間前に、そしてその後、処置を24時間間隔で(シスプラチン後の24時間および48時間で)続けた。嘔吐を、胃腸管からの固形物または液状物の強制的な経口排出を伴う律動的な腹部収縮(すなわち、吐くこと)、または物質の通過を伴わない律動的な腹部収縮(すなわち、むかつき動作)のどちらによってでも特徴づけた。むかつきおよび/または嘔吐の連続したエピソードは、動物が観察ケージにおけるその位置を変えたとき、またはエピソード間の間隔が5秒を超えたときには別個であると見なした。
4)データ分析
GraphPad Prism 8(GraphPad Software、La Jolla、CA、合衆国)を使用して、統計学的比較を行った。むかつきおよび吐くことのような動物の嘔吐行動を、一元配置の分散分析、それに続いてのテューキーの多重比較検定を使用して分析した。結果が平均±SEMとして表される。すべての場合において、処置群の間での違いは、p値が0.05未満であるときには有意であると見なした。
3.結果
1)72時間の観察時間におけるシスプラチンによって誘発されるエピソード、吐き気および嘔吐の総数に対する、アプレピタントとの比較での経口投与された化合物Iの作用。
化合物Iは、72時間の全観察期間の期間中におけるエピソード、吐き気および嘔吐の総数を用量依存的に減少させ、1mg/kgでの最大減少がそれぞれ、59.0(P<0.05)、51.3(P<0.01)および57.3%(P<0.001)であった(図4)。比較すると、1mg/kgでのアプレピタントは、72時間の全観察期間の期間中におけるエピソード、吐き気および嘔吐の総数を、64.0(P<0.0001)、67.9(P<0.0001)、64.6(P<0.0001)%それぞれ減少させ、これは、化合物Iの最低用量(0.1mg/kg)により認められる吐き気の21.9%減少よりも優れていた(46%優れていた)(P<0.05)。しかしながら、アプレピタントは化合物Iの高用量(0.3および1mg/kg)よりも優れていなかった(図4)。
2)急性期および遅発期の期間中におけるシスプラチンによって誘発されるむかつきおよび/または嘔吐に対する、アプレピタントとの比較での経口投与された化合物Iの作用。
化合物Iは、1日目(急性)、2日目および3日目でのむかつき+嘔吐の応答を用量依存的に軽減させた(図5を参照のこと)。1mg/kgでの最大軽減がそれぞれ、64.5(P<0.01)、22.7(非有意、P>0.05)および67.5(P<0.001)%であった。比較すると、1mg/kgでのアプレピタントは、1日目(急性)、2日目および3日目でのむかつき+嘔吐の応答を、76.5(P<0.01)、46.7(非有意、P>0.05)および73.3(P<0.001)%それぞれ軽減させた。
化合物Iは、遅延期全体(24~72時間)の期間中に認められるむかつき+嘔吐の拮抗作用をもたらさず、最大ではあるが、有意でない1mg/kgでの軽減が41.3%であった(P>0.05)。しかしながら、アプレピタントは遅延(24~72時間)期全体を59.4%大幅に軽減させた(P<0.01)。アプレピタントは、遅延期を軽減するために化合物Iよりも優れていなかった(P>0.05)。急性期および遅延期を合わせた総応答(0~72時間)が化合物Iによって用量依存的に弱まり、52.2%の最大軽減が1mg/kgで認められた(P<0.01)。比較すると、1mg/kgでのアプレピタントは、72時間の全観察期間の期間中における吐き気+嘔吐の総数を67.4減少させ(P<0.0001)、これは、化合物Iの最低用量(0.1mg/kg)により認められる吐き気の23.9%減少よりも43.5%優れていた(P<0.01)。しかしながら、アプレピタントは化合物Iの高用量(0.3および1mg/kg)よりも優れていなかった(P>0.05)。
4.結論
化合物Iおよびアプレピタントの両方が制吐作用を有した。1mg/kgでのアプレピタントは、化合物Iの最低用量(0.1 mg/kg)よりも優れているようであり、しかし、0.3または1mg/kgでの化合物Iの高用量よりも優れていなかった。全体として、強力なNK-1受容体アンタゴニストとして、1mg/kgでの化合物Iは、アプレピタントと同等の制吐作用を有した。
最後に、本発明を実施するための他の方法が存在することには留意しなければならない。したがって、本発明の実施形態は、例として記載されるべきものであり、しかし、本発明は記載内容に限定されず、さらなる改変が本発明の範囲内において、または請求項において加えられる同等物の範囲内において行われ得る。
本明細書中に引用されるすべての刊行物または特許が参照により本発明に組み込まれる。
本明細書全体を通して、“an embodiment”(実施形態)、“some embodiment”(いくつかの実施形態)、“one embodiment”(1つの実施形態)、“another example”(別の例)、“an example”(1つの例)、“a specific example”(1つの具体例)または“some examples”(いくつかの例)に対する言及は、その実施形態または例に関連して記載される特定の特徴、構造、材料または特性が、本開示の少なくとも1つ実施形態または例に含まれることを意味する。したがって、“in some embodiments”(いくつかの実施形態において)、“in one embodiment”(1つの実施形態において)、“in an embodiment”(1つの実施形態において)、“in another example”(別の例において)、“in an example”(1つの例において)、“in a specific example”(1つの具体例において)、または“in some examples”(いくつかの例において)などの表現の出現は、本明細書全体を通して様々なところで現れる度に、本開示の同じ実施形態または例を必ずしも示していない。さらに、特定の特徴、構造、材料または特性が、1つまたは複数の実施形態または例においてどのような様式であれ好適な様式で組み合わされる場合がある。
説明のための様々な実施形態が示され、記載されているが、上記実施形態は、本開示を限定するために解釈することはできず、様々な変更、代替および改変を、本開示の精神、原理および範囲から逸脱することなく上記実施形態において行うことができることが、当業者によって理解されるであろう。

Claims (22)

  1. 化学療法誘発性悪心嘔吐、術後悪心嘔吐、うつ病、掻痒、またはNK-1受容体活性を調節することによって治療可能な疾患を治療するための医薬品の製造における、下記式(B)、(V)もしくは(IV)の構造:



    を有する化合物
    またはその医薬的に許容され得る塩の使用であって、
    Rは、C~Cアルキルから選択される、上記使用。
  2. Rが、メチル、エチル、およびイソプロピルからなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
  3. 前記化合物が、(2S,3S)-N-(2-メトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(I)またはその医薬的に許容され得る塩である、請求項1に記載の使用。
  4. 前記化合物が、(2S,3S)-N-(2-エトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(II)またはその医薬的に許容され得る塩である、請求項1に記載の使用。
  5. 前記化合物が、(2S,3S)-N-(2-イソプロポキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(III)またはその医薬的に許容され得る塩である、請求項1に記載の使用。
  6. 前記化合物が、(2S,3S)-N-(2-(メトキシ-d)-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(IV)またはその医薬的に許容され得る塩である、請求項1に記載の使用。

  7. 前記医薬品が経口製剤である、請求項1に記載の使用。
  8. 前記医薬品が静注製剤である、請求項1に記載の使用。
  9. 前記医薬品が、セロトニン5-HTアンタゴニスト、グルココルチコイドまたはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の使用。
  10. 学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)を治療するための医薬品の製造における、請求項1に記載の使用。
  11. 後悪心嘔吐(PONV)を治療するための医薬品の製造における、請求項1に記載の使用。
  12. 化学療法誘発性悪心嘔吐、術後悪心嘔吐、うつ病、掻痒、またはNK-1受容体活性を調節することによって治療可能な疾患を治療するための医薬組成物であって、下記式(B)、(V)もしくは(IV)の構造:



    を有する化合物
    またはその医薬的に許容され得る塩を含み、
    Rは、C~Cアルキルから選択される、上記医薬組成物。
  13. Rが、メチル、エチル、およびイソプロピルからなる群から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 前記化合物が、(2S,3S)-N-(2-メトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(I)またはその医薬的に許容され得る塩である、請求項12に記載の医薬組成物。
  15. 前記化合物が、(2S,3S)-N-(2-エトキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(II)またはその医薬的に許容され得る塩である、請求項12に記載の医薬組成物。
  16. 前記化合物が、(2S,3S)-N-(2-イソプロポキシ-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(III)またはその医薬的に許容され得る塩である、請求項12に記載の医薬組成物。
  17. 前記化合物が、(2S,3S)-N-(2-(メトキシ-d)-5-(ペンタフルオロスルファニル)ベンジル)-2-フェニルピペリジン-3-アミン(IV)またはその医薬的に許容され得る塩である、請求項12に記載の医薬組成物。

  18. 前記医薬組成物が経口製剤である、請求項12に記載の医薬組成物。
  19. 前記医薬組成物が静注製剤である、請求項12に記載の医薬組成物。
  20. 前記医薬組成物が、セロトニン5-HTアンタゴニスト、グルココルチコイドまたはそれらの組み合わせを含む、請求項12に記載の医薬組成物。
  21. 学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)を治療するための、請求項12に記載の医薬組成物。
  22. 後悪心嘔吐(PONV)を治療するための、請求項12に記載の医薬組成物。
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