JP7389298B1 - チーズ様食品及びチーズ様食品の製造方法 - Google Patents

チーズ様食品及びチーズ様食品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7389298B1
JP7389298B1 JP2023087675A JP2023087675A JP7389298B1 JP 7389298 B1 JP7389298 B1 JP 7389298B1 JP 2023087675 A JP2023087675 A JP 2023087675A JP 2023087675 A JP2023087675 A JP 2023087675A JP 7389298 B1 JP7389298 B1 JP 7389298B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cheese
weight
food
starch
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2023087675A
Other languages
English (en)
Inventor
黒木 正博
研二 小林
Original Assignee
伊藤ハム米久ホールディングス株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 伊藤ハム米久ホールディングス株式会社 filed Critical 伊藤ハム米久ホールディングス株式会社
Priority to JP2023087675A priority Critical patent/JP7389298B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7389298B1 publication Critical patent/JP7389298B1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Dairy Products (AREA)

Abstract

【課題】十分なシュレッド性及び加熱時の溶融性を備える、チーズ原料の使用量を減じたチーズ様食品を提供する。【解決手段】ナチュラルチーズと水を含むチーズ様食品であって、ナチュラルチーズの含有量が55重量%未満であり、植物油脂を10~30重量%、カゼインを5~15重量%、リン酸架橋でん粉を0.1~5重量%、大豆たん白を0.1~5重量%、溶融塩を0.1~3重量%含む、チーズ様食品を提供する。【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用 〔企業への公開〕 公開日:令和4年12月20日、令和5年3月10日 公開場所:株式会社西友 本社
特許法第30条第2項適用 〔企業への公開〕 公開日:令和5年4月4日 公開場所:株式会社ローソン 本社
本発明は、チーズ原料の使用量を減じた、チーズ様食品及びチーズ様食品の製造方法に関する。
チーズは、喫食用若しくは調理用の単体として、又は、冷凍食品、チルド食品、調理済み食品等の加工食品として、日本国内で広く流通する食材である。一般に、チーズは、ウシ等の原料乳に含まれるタンパク質を、乳酸菌発酵、酵素処理等により固形化したナチュラルチーズと、複数種のナチュラルチーズを加熱溶融して再度固形化したプロセスチーズに大別されるが、いずれのタイプにおいても、ナチュラルチーズの使用が必要となる。現在、日本国内において使用されるナチュラルチーズは、多くが海外からの輸入品であるが、気候変動、国際情勢、為替変動等の影響で、輸入可能な量及び価格が変動するため、安定的な価格で、市場の需要に見合ったチーズの供給を維持することは、必ずしも容易なことではない。
チーズ原料を使用せず、又は、チーズ原料の使用量を減じて、チーズ様の外観、風味等を有する食品を製造する方法が知られる。例えば、特許文献1には、チーズ原料を使用せず、大豆タンパク質及び大豆由来の乳化組成物、植物性油脂等の植物性原料よりチーズ様食品を製造する方法が開示されている。また、特許文献2には、チーズ原料の含有量が10質量%未満であり、乳タンパク質濃縮物、油脂、溶融塩を含む、チーズ様食品及びその製造方法が開示されている。
国際公開第2018/173610号 国際公開第2019/234957号
チーズ様食品は、その用途によって求められる性状が異なる。例えば、ピザのトッピング等に使用するシュレッドチーズに代えてチーズ様食品を使用する場合、シュレッド時に崩れにくく形状が維持されること(以下、「シュレッド性」とも称する)、加熱調理時に表面で溶けて広がること(以下、「加熱時の溶融性」とも称する)等が求められるが、従来のチーズ様食品が必ずしもこれらの特性を十分に備えていたとはいえない。
本発明は、十分なシュレッド性及び加熱時の溶融性を備える、チーズ原料の使用量を減じたチーズ様食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下を提供するものである。
[1]ナチュラルチーズを含むチーズ様食品であって
ナチュラルチーズの含有量が55重量%未満であり、
植物油脂を10~30重量%、カゼインを5~15重量%、リン酸架橋でん粉を0.1~5重量%、大豆たん白を0.1~5重量%、溶融塩を0.1~3重量%含む、
チーズ様食品。
[2]さらに、酸処理でん粉を0.1~5重量%含む、[1]に記載のチーズ様食品。
[3]リン酸架橋でん粉と酸処理でん粉の含有量比(重量比)が1:5~3:1である、[2]に記載のチーズ様食品。
[4]さらに、水あめを0.1~3重量%含む、[1]~[3]のいずれかに記載のチーズ様食品。
[5]前記溶融塩が、クエン酸塩又は重合リン酸塩である、[1]~[4]のいずれかに記載のチーズ様食品。
[6]植物油脂に水を加えて混合し、液状の油脂混合物を生成する工程;
前記油脂混合物にナチュラルチーズ、カゼイン、大豆たん白、リン酸架橋でん粉及び溶融塩を加えて混合する工程;
原料を加熱しながら攪拌する工程;及び
原料を冷却する工程、
を含み、
ナチュラルチーズの添加量を原料全体の50重量%未満として、
植物油脂の添加量を原料全体の10~30重量%、カゼインの添加量を原料全体の5~15重量%、リン酸架橋でん粉の添加量を原料全体の0.1~5重量%、大豆たん白の添加量を原料全体の0.1~5重量%、溶融塩の添加量を原料全体の0.1~3重量%とする、
チーズ様食品の製造方法。
本発明によれば、十分なシュレッド性及び加熱時の溶融性を備える、チーズ原料の使用量を減じたチーズ様食品及びその製造方法を提供することが可能である。
1.チーズ様食品
本発明の第1の実施形態は、チーズ様食品である。本実施形態のチーズ様食品は、ナチュラルチーズを含むチーズ様食品であって、ナチュラルチーズの含有量が55重量%未満であり、植物油脂を10~30重量%、カゼインを5~15重量%、リン酸架橋でん粉を0.1~5重量%、大豆たん白を0.1~5重量%、溶融塩を0.1~3重量%含む、ことを特徴とする。
本実施形態のチーズ様食品は、上記の特徴を備えることで、ナチュラルチーズ100%と比較して、比較的入手容易な原料を多く含むことから、より安定的に市場に供給することが可能であり、かつ、チーズ様の外観、風味、シュレッド性、加熱時の溶融性等を備え、ナチュラルチーズと遜色のない食感、使用感を有する、という利点を有する。
本明細書において「チーズ」とは、ナチュラルチーズ及びプロセスチーズを指す。本明細書において、「ナチュラルチーズ」とは、(1)乳、バターミルク、クリーム又はこれらを混合したもののほとんどすべて又は一部のたんぱく質を酵素その他の凝固剤により凝固させた凝乳から乳清の一部を除去したもの又はこれらを熟成したもの、及び、(2)乳等を原料として、たんぱく質の凝固作用を含む製造技術を用いて製造したものであって、(1)と同等の化学的、物理的及び官能的特性を有するものを指す。ここでいう「乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、生水牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳及び加工乳を指す。ナチュラルチーズには、アボンダンス、エメンタール、エダム、カッテージチーズ、カマンベール、クリームチーズ、ゴーダ、チェダー、パルミジャーノ・レッジャーノ、マスカルポーネ、モッツァレラ、ラクレット、リコッタ等、多くの種類が知られるが、これらのいずれを使用してもよい。特に、ゴーダ、モッツァレラ、チェダー等を好適に使用できる。
「プロセスチーズ」とは、ナチュラルチーズを粉砕し、加熱溶融し、乳化したものであり、かつ、乳固形分が40.0%以上の食品を指す(「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(昭和二十六年厚生省令第五十二号)より)。
本明細書において、「チーズ様食品」は、上記のナチュラルチーズと同等又は類似の化学的、物理的及び官能的特性を有するが、上記「チーズ」に該当しない食品を指す。例えば、ナチュラルチーズ、食品添加物、クリーム、バター及びバターオイル等の通常プロセスチーズの原料として使用される原料に加えて、又はこれらのいずれかに代えて、植物性油脂、植物性タンパク質、塩類、糖類等を加えたものや、一般的なプロセスチーズと比較してナチュラルチーズの含有量が低い食品を指す。本実施形態のチーズ様食品におけるナチュラルチーズの含有量は55重量%未満であり、好ましくは5~45重量%であり、より好ましくは10~35重量%である。
本明細書において「植物油脂」は、通常食用に使用されるものであれば特に限定されず、大豆油、菜種油、キャノーラ油、ひまわり油、オリーブ油、コーン油、綿実油、ヤシ油、ごま油、米油等の液状油脂であってもよく、また、これらの液状油脂の硬化油脂、エステル交換油脂、分別油脂、加工油脂等の固体状油脂であってもよい。それぞれ単独で使用してもよく、また混合して使用してもよい。ここでいう加工油脂とは、植物性の液状油脂に、動物由来ではない調味料等を加え、加熱処理等を行うことで固体状としたものをいう。本実施形態のチーズ様食品における植物油脂の含有量は10~30重量%であり、好ましくは15~25重量%である。
本明細書において「カゼイン」の用語は、特に記載のない限り、(狭義の)カゼイン及び/又はカゼイン塩を指すものとする。すなわち、本実施形態のチーズ様食品は、カゼイン、カゼイン塩又はこれらの混合物を含む。カゼインを構成するタンパク質は、特に限定されず、α-カゼイン、β-カゼイン及びγ-カゼイン、及びこれらの混合物のいずれであってもよい。通常、食品に使用されるカゼイン(カゼイン塩を除く)は、凝固カゼインの形態であり、レンネットカゼイン、酸カゼインが知られる。凝固カゼインを使用する場合、これらのいずれを使用してもよい。また、通常、食品に使用されるカゼイン塩としては、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム等が知られるが、これらのいずれを使用してもよい。本実施形態のチーズ様食品におけるカゼイン(カゼイン及び/又はカゼイン塩)の含有量(複数種を混合する場合はその合計含有量)は、5~15重量%であり、好ましくは、7.5~12.5重量%である。
「大豆たん白」は、大豆を脱脂して製造されるたん白質含有成分を指し、粉末状大豆たん白と組織加工大豆たん白に大別される。本実施形態のチーズ様食品に含まれる大豆たん白は、粉末状大豆たん白とすることが好ましい。粉末状大豆たん白は、さらに、濃縮大豆たん白と分離大豆たん白に大別されるが、本実施形態のチーズ様食品に含まれる粉末状大豆たん白は、濃縮大豆たん白、分離大豆たん白のいずれであってもよい。本実施形態のチーズ様食品に含まれる大豆たん白の含有量は0.1~5重量%であり、好ましくは0.5~4.5重量%であり、より好ましくは1.0~4.0重量%である。本実施形態のチーズ様食品は、大豆たん白を含有することで、他の原料との相乗効果により、シュレッド後のチーズ様食品片同士が付着しにくく、ピザ、グラタン等の加工食品表面にトッピングしやすい(以下、「トッピング性」とも称する)、という利点を有する。
本明細書において「溶融塩」は、通常食用に使用されるものであれば特に限定されないが、クエン酸塩又は重合リン酸塩とすることが好ましい。ここでいう「塩」は、特に限定されないが、例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩等とすることができる。本実施形態のチーズ様食品における溶融塩の含有量は0.1~3重量%であり、好ましくは、1.0~2.5重量%である。
「リン酸架橋でん粉」とは、でん粉をトリメタリン酸ナトリウム又はオキシ塩化リンでエステル化したものを指す。本明細書において「でん粉」は、その原料植物は特に限定されず、通常使用される、馬鈴薯、甘藷、タピオカ(キャッサバ)、トウモロコシ、小麦、コメ、コウリャン、サゴ椰子、葛、ワラビ、レンコン、緑豆、小豆、インゲン、エンドウから得られるでん粉のいずれであってもよい。本実施形態のチーズ様食品におけるリン酸架橋でん粉の含有量は0.1~5重量%であり、好ましくは、0.5~2.5重量%である。
本実施形態のチーズ様食品は、さらに酸処理でん粉を含有させることができる。本実施形態のチーズ様食品における酸処理でん粉の含有量は、0.1~5重量%とすることが好ましく、0.5~3重量%とすることがより好ましい。
加工でん粉として、リン酸架橋でん粉と酸処理でん粉とを使用する場合、これらの合計含有量は、0.5~7重量%、特に1~5重量%とすることが好ましい。また、これらの含有量比(重量比)は、1:5~3:1、特に1:4~2:1とすることが好ましい。上記含有量及び含有量比とすることで、加熱時の溶融性に優れたチーズ様食品とすることができる。
本実施形態のチーズ様食品は、さらに水あめを含んでいてもよい。水あめの原料は時に限定されず、馬鈴薯でん粉、コーンスターチ、玄米等を原料とするものをいずれも使用可能である。また、通常の水あめであってもよく、還元水あめであってもよい。本実施形態のチーズ様食品における水あめの含有量は、0.1~3重量%とすることが好ましく、0.5~2重量%とすることがより好ましい。本実施形態のチーズ様食品は、水あめを含有することで、他の原料との相互作用により、冷凍やけを起こしにくくなり、冷凍食品への使用に適する、という利点を有する。
本実施形態のチーズ様食品は、さらに食物繊維を含んでいてもよい。食物繊維としては、通常食用に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、セルロース等とすることができる。本実施形態のチーズ様食品に食物繊維を含まれる場合、その含有量は0.1~3重量%とすることが好ましく、0.5~1.5重量%とすることがより好ましい。
本実施形態のチーズ様食品は、必要に応じて、さらに、チーズフレーバーの香料、着色料、保存料、酸化防止剤、調味料(食塩、糖類、グルタミン酸塩等)、pH調整剤等を含有していてもよい。
2.チーズ様食品の製造方法
本発明の第2の実施形態は、チーズ様食品の製造方法である。本実施形態の方法は、植物油脂に水を加えて混合し、液状の油脂混合物を生成する工程;前記油脂混合物にナチュラルチーズ、カゼイン、大豆たん白、リン酸架橋でん粉及び溶融塩を加えて混合する工程;原料を加熱しながら攪拌する工程;及び原料を冷却する工程、を含み、ナチュラルチーズの添加量を原料全体の50重量%未満として、植物油脂の添加量を原料全体の10~30重量%、カゼインの添加量を原料全体の5~15重量%、リン酸架橋でん粉の添加量を原料全体の0.1~5重量%、大豆たん白の添加量を原料全体の0.1~5重量%、溶融塩の添加量を原料全体の0.1~3重量%とする、ことを特徴とする。本実施形態の方法で製造されたチーズ様食品は、ナチュラルチーズ100%と比較して、比較的入手容易な原料を多く含むことから、より安定的に市場に供給することが可能であり、かつ、チーズ様の外観、風味、シュレッド性、加熱時の溶融性等を備え、ナチュラルチーズと遜色のない食感、使用感を有する、という利点を有する。本実施形態の方法は、より具体的には、「1.チーズ様食品」の項に記載のチーズ様食品の製造に適した方法である。
2-1 油脂混合物調製工程
本実施形態の方法は、植物油脂に水を加えて混合し、液状の油脂混合物を生成する工程を含む。植物油脂は、液状油脂、固体状油脂及びこれらの混合物のいずれであってもよい。液状油脂を使用する場合は、例えば、水を加えて混合し、必要に応じて加熱又は加温を行うことで、液状の油脂混合物を調製できる。固体状油脂を使用する場合は、例えば、水を加えて加熱することで、液状の油脂混合物を調製できる。液状油脂及び固体状油脂を混合して使用する場合は、例えば、固体状油脂を液状油脂に添加して溶解させた後、水を加え、必要に応じて加熱又は加温を行いながら混合することで、液状の油脂混合物を調製できる。植物油脂の使用量(複数種の植物油脂を使用する場合はその合計使用量)は、原料全体の10~30重量%、好ましくは、15~25重量%とする。油脂混合物の温度は、特に限定されないが、例えば、50~60℃程度とすることができる
2-2 混合工程
本実施形態の方法は、前記油脂混合物にナチュラルチーズ、カゼイン、大豆たん白、リン酸架橋でん粉及び溶融塩の原料を加えて混合する工程を含む。本工程では、必要に応じて、さらにその他原料を加えてもよい。例えば、リン酸架橋でん粉と同時に、酸処理でん粉を添加してもよい。油脂組成物に添加する原料の順番は、特に限定されないが、例えば、(1)ナチュラルチーズ、(2)カゼイン、(3)大豆たん白、(4)リン酸架橋でん粉、溶融塩及びその他原料の順番とすることができる。ナチュラルチーズは、他の材料より先に油脂混合物に予め溶融させてもよく、あるいは他の原料と同時に油脂組成物に投入してもよい。ナチュラルチーズの添加量は原料全体の50重量%未満、好ましくは、5~40重量%、より好ましくは10~30重量%とする。チーズは、例えば、固体状で粉砕したチーズ、又は予め加熱して液状化させたチーズとして添加することができる。
ここでいう「その他原料」には、必要に応じて添加される、酸処理でん粉、水あめ、食物繊維、香料、着色料、保存料、酸化防止剤、調味料(食塩、糖類、グルタミン酸塩等)等が包含される。ここで、カゼインの添加量は、原料全体の5~15重量%、好ましくは7.5~12.5重量%とする。リン酸架橋でん粉の添加量は、原料全体の0.1~5重量%、好ましくは0.5~2.5重量%とする。大豆たん白の添加量は、原料全体の0.1~5重量%、好ましくは0.5~4.5重量%、より好ましくは1.0~4.0重量%とする。溶融塩の添加量は、原料全体の0.1~3重量%、好ましくは1.0~2.5重量%とする。酸処理でん粉を添加する場合、その添加量は、0.1~5重量%とすることが好ましく、0.5~3重量%とすることがより好ましい。水あめを添加する場合、その添加量は、0.1~3重量%とすることが好ましく、0.5~2重量%とすることがより好ましい。
2-3 加熱・攪拌工程
本実施形態の方法は、原料を加熱しながら攪拌する工程を含む。全ての原料を添加、混合した後、加熱条件下で均一になるまで攪拌混合することができる。混合の手法は、特に限定されないが、例えば、乳化機等を用いて、蒸気加熱、混合、カッティング、循環等を組み合わせることができる。加熱温度は、70~95℃、特に、80~90℃とすることができる。加熱条件は、水分蒸発量(重量)が、原料全体の10重量%以下となる条件に調整することが好ましい。
2-4 冷却工程
本実施形態の方法は、混合された原料を冷却する工程を含む。冷却速度や、冷却時の容器は、特に限定されない。冷却温度は特に限定されないが、例えば、常温(15~25℃)又は室温(1~30℃)とすることができる。
2-5 その他の工程
本実施形態の方法は、上記工程を経て生成されたチーズ様食品を、さらに細かく裁断(シュレッド)する工程を含んでいてもよい。また、シュレッド前の、又は、シュレッド後のチーズ様食品を、密封包装する工程を含んでいてもよい。あるいは、ピザ、グラタン等の加工食品の上にトッピングされ、加工食品ごと冷蔵食品又は冷凍食品として密封包装されてもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]ナチュラルチーズ含有量がチーズ様食品の性能に与える影響の評価
表1に示す原料を用いて試験例1~7のチーズ様食品を調製した。まず、パーム油分別油脂を乳化機に投入し、攪拌しながら50℃に加熱して液状とした。融解した油脂を攪拌しながら、水、水で溶いた着色料、リン酸架橋でん粉(アクトボディ(登録商標)KT-10NR(キャッサバ由来でん粉、株式会社J-オイルミルズ))、pH調整剤、ゴーダチーズ及びカゼインナトリウムをこの順に入れて、次いで他の原料(濃縮大豆たん白を含む)を全て入れた。乳化機のカッティング、蒸煮、循環機能を用いて、原料の混合を行った。蒸煮温度は80~90℃、カッティングスピードは1000rpmに設定した。乳化機より原料を取り出し、ケースに充填して5℃で12時間冷却しチーズ様食品を得た。得られたチーズ様食品において、水分蒸発量(重量)の平均は、混合・加熱前の原料の合計重量を100として、9.3であった。得られた各条件のチーズ様食品について、柵取りを行った後、以下の性能評価を行った。
(破断応力)各チーズ様食品を縦40mm、横40mm、厚さ20mmにカットして、レオメーター(RHEONER II CREEP METER RE2-33005C(株式会社山電))を用いて、プランジャー200N、8mm円柱、速度5秒、歪率95%の条件で破断応力を測定した。
(シュレッド性)ブロック状のチーズ様食品を、手動のシュレッド機を用いて、縦40mm、横6mm、厚さ2mmの短冊状に裁断した。以下の基準を用いて評価した。
A:均一の形状で安定的に裁断できる;
B:不均一性はあるものの、ほぼ同様の形状で安定して裁断できる;
C:裁断できるがくっつきがみられ安定的に裁断できない;
D:短冊状に裁断できない。
(トッピング性)ピザ生地にソースを塗った後、シュレッドしたチーズ様食品をトッピングして、トッピングのし易さを以下の基準を用いて評価した。
A:生地全体にチーズ様食品を広げて容易にトッピングできる;
B:広げてトッピングできるが、一部のチーズ様食品にチーズ様食品同士の付着が見られる;
C:トッピング時にチーズ様食品同士の付着がみられ、広げてトッピングすることができない;
D:トッピング前よりチーズ様食品同士の付着が見られ、トッピングができない。
(加熱時の溶融性A)ピザ生地の表面にチーズを広げて焼成した際のチーズ様食品の融け具合を、以下の基準を用いて評価した。
A:チーズ様食品が全て融け広がり、ナチュラルチーズと遜色ない(融け率100%);
B:概ねチーズ様食品が融け広がり、ナチュラルチーズと遜色ない(融け率90%程度);
C:一部のチーズ様食品が融け広がるが、融け残る部分が散見される(融け率80%程度);
D:溶融せず、元の形状をとどめている(融け率75%程度以下)。
(加熱時の溶融性B)チーズ様食品を縦20mm、横20mm、厚さ10mmにカットして焼成し、以下の基準を用いて融け具合を評価した。
A:チーズ様食品が溶融し、高さが5mm以下となる;
B:一部溶融するが、高さは5mm超である;
C:溶融せず、元の形状をとどめている。
(官能評価)各チーズ様食品自体、及び各チーズ様食品をトッピング・焼成したピザを8名のパネルが喫食し、以下の基準で口当たり、食味を評価した。
A:均一でなめらかな口当たりでチーズ様の食味が感じられる;
B:どちらかというと均一でなめらかな口当たりでチーズ様の食味が感じられる;
C:どちらかというとざらつきや粉っぽさがあり、チーズ様の食味が感じられない;
D:ざらつきや粉っぽさがあり、チーズ様の食味が感じられない。
試験例1~7のチーズ様食品の各評価結果を表1に示す。その結果、チーズ添加量を12.5重量%程度まで減らしても、チーズと遜色ない性能のチーズ様食品が得られることが示された。
Figure 0007389298000001
[実施例2]原料の変更がチーズ様食品の性能に与える影響の評価
表2に示す原料を用いて試験例8~10のチーズ様食品を調製し、性能評価を行った。チーズ様食品の製造工程及び性能評価の基準は、原料以外、実施例1と同様とした。アセチル化酸変性でん粉としてはCheese App30(馬鈴薯由来アセチル化酸変性でん粉、王子コーンスターチ株式会社)を、酸処理でん粉としてはNSP-EA(エンドウ由来酸処理でん粉、日澱化學株式会社)を使用した。
表2に、試験例5及び試験例8~10のチーズ様食品の各評価結果を示す。試験例5のリン酸架橋でん粉をアセチル化酸変性でん粉、酸処理でん粉にそれぞれ変更した試験例8、9においては、チーズ様食品の物性は試験例5とほぼ同等であったが、官能評価では、ざらつき、粉っぽさが指摘された。濃縮大豆たん白を除いた試験例10においては、シュレッド性、トッピング性が著しく低下した。これらの結果より、チーズ様食品のシュレッド性、トッピング性の保持には、大豆たん白の使用が必須であること、チーズ様の食感の保持のためには、使用する加工でん粉はリン酸架橋でん粉が優れていることが示された。
Figure 0007389298000002
[実施例3]2種の加工でん粉配合割合がチーズ様食品の性能に与える影響の評価
表3に示す原料を用いて試験例11~16のチーズ様食品を調製し、性能評価を行った。チーズ様食品の製造工程及び性能評価の基準は、原料以外、実施例1及び実施例2と同様とした。
表3に、試験例11~16のチーズ様食品の各評価結果を示す。加工でん粉の合計添加量を2.0重量%として、リン酸架橋でん粉と酸処理でん粉の配合比を変化させた試験例11~13において、いずれもチーズと遜色のない性能を有していたが、特にリン酸架橋でん粉と酸処理でん粉の重量比を1:3とした試験例13で、物性、官能評価ともに良好な結果が得られた。加工でん粉含有量を増やした試験例14~16において、加工でん粉の添加量を増やすほど、官能評価でざらつきや粉っぽさが目立つ傾向が見られた。
Figure 0007389298000003

Claims (6)

  1. ナチュラルチーズを含み、
    ナチュラルチーズの含有量が55重量%未満であり、
    植物油脂を10~30重量%、カゼインを5~15重量%、リン酸架橋でん粉を0.1~5重量%、大豆たん白を0.1~5重量%、溶融塩を0.1~3重量%含む、
    シュレッドチーズ様食品。
  2. さらに、酸処理でん粉を0.1~5重量%含む、請求項1に記載のシュレッドチーズ様食品。
  3. リン酸架橋でん粉と酸処理でん粉の含有量比(重量比)が1:5~3:1である、請求項2に記載のシュレッドチーズ様食品。
  4. さらに、水あめを0.1~3重量%含む、請求項1に記載のシュレッドチーズ様食品。
  5. 前記溶融塩が、クエン酸塩又は重合リン酸塩である、請求項1に記載のシュレッドチーズ様食品。
  6. i)植物油脂に水を加えて混合し、液状の油脂混合物を生成する工程;
    ii)前記油脂混合物にナチュラルチーズ、カゼイン、大豆たん白、リン酸架橋でん粉及び溶融塩を加えて混合する工程;
    iii)工程ii)後の混合物を加熱しながら攪拌する工程;
    iv)工程iii)後の混合物を冷却する工程;及び
    v)工程iv)後の固形化した混合物をシュレッドする工程、
    を含み、
    ナチュラルチーズの添加量を原料全体の50重量%未満として、
    植物油脂の添加量を原料全体の10~30重量%、カゼインの添加量を原料全体の5~15重量%、リン酸架橋でん粉の添加量を原料全体の0.1~5重量%、大豆たん白の添加量を原料全体の0.1~5重量%、溶融塩の添加量を原料全体の0.1~3重量%とする、
    シュレッドチーズ様食品の製造方法。
JP2023087675A 2023-05-29 2023-05-29 チーズ様食品及びチーズ様食品の製造方法 Active JP7389298B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2023087675A JP7389298B1 (ja) 2023-05-29 2023-05-29 チーズ様食品及びチーズ様食品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2023087675A JP7389298B1 (ja) 2023-05-29 2023-05-29 チーズ様食品及びチーズ様食品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP7389298B1 true JP7389298B1 (ja) 2023-11-29

Family

ID=88917884

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023087675A Active JP7389298B1 (ja) 2023-05-29 2023-05-29 チーズ様食品及びチーズ様食品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7389298B1 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010220585A (ja) 2009-03-25 2010-10-07 Fuji Oil Co Ltd プロセスチーズ様食品の製造法
JP2014233270A (ja) 2013-06-04 2014-12-15 不二製油株式会社 大豆蛋白質含有チーズ様食品
WO2018173610A1 (ja) 2017-03-21 2018-09-27 不二製油グループ本社株式会社 植物性チーズ様食品の製造方法
JP2021153578A (ja) 2020-03-26 2021-10-07 森永乳業株式会社 チーズ様食品とその製造方法、及び食品

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010220585A (ja) 2009-03-25 2010-10-07 Fuji Oil Co Ltd プロセスチーズ様食品の製造法
JP2014233270A (ja) 2013-06-04 2014-12-15 不二製油株式会社 大豆蛋白質含有チーズ様食品
WO2018173610A1 (ja) 2017-03-21 2018-09-27 不二製油グループ本社株式会社 植物性チーズ様食品の製造方法
JP2021153578A (ja) 2020-03-26 2021-10-07 森永乳業株式会社 チーズ様食品とその製造方法、及び食品

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
三浦孝之 ほか,イミテーション(アナログ)チーズについて,日本食品科学工学会誌,2019年,Vol.66, No.10,pp.381-386

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Fox et al. Processed cheese and substitute/imitation cheese products
US11089793B2 (en) Dry blend for making analogue cheese
US9681676B2 (en) Curd containing slurry compositions for making soft or firm/semi-hard ripened and unripened cheese
US11419345B2 (en) Dry blend for making extended cheese product
US8642106B2 (en) Blended cheeses and methods for making such cheeses
Masotti et al. Status and developments in analogue cheese formulations and functionalities
WO1998009532A1 (en) Savory cheese fillings and food products including these fillings
US5851577A (en) Processed cheese made with yogurt
US6893674B2 (en) Processed cheese made with soy
US7815957B2 (en) Cheese compositions and related methods
WO2007049981A1 (en) Dairy product and process
JP2965285B2 (ja) チーズ及びその製造方法
JP7389298B1 (ja) チーズ様食品及びチーズ様食品の製造方法
CA2542534C (en) Cheese compositions and related methods
WO2024049876A2 (en) Cheese analogue composition
WO2005107485A2 (en) Soft or firm/semi-hard cheeses and methods for making

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230616

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20230616

A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20230616

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230905

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230927

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231114

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231116

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7389298

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150