JP7388230B2 - 混合物性能最適化装置、混合物性能最適化プログラム、混合物性能最適化方法、及び混合冷媒 - Google Patents

混合物性能最適化装置、混合物性能最適化プログラム、混合物性能最適化方法、及び混合冷媒 Download PDF

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Description

本件は、混合物性能最適化装置、混合物性能最適化プログラム、混合物性能最適化方法、及び混合冷媒に関する。
サーバやネットワーク機器などの電子機器におけるCPU(Central Processing Unit)等の部品は、電子機器の動作時に発熱して高温になる場合がある。CPU等の高発熱部品が、適正温度を超えた温度まで発熱すると、様々な動作不良の原因となるため、電子機器を安定して動作させるためには、CPU等の高発熱部品を適切に冷却することが好ましい。
CPU等の高発熱部品を冷却する方法としては、高発熱部品の熱を冷媒に伝えて移動させる液冷却方式を用いた方法がある。液冷却方式において使用される冷媒としては、水が用いられる場合が多い。
しかしながら、水には電気導電性があるため、冷媒に水を用いる場合には、液冷却方式の冷却システムの外部に水が漏れてしまうと、電子機器の部品がショートして破壊され、電子機器及び電子機器を含むシステムの全体で重大な事故が発生する危険性がある。
このため、電気伝導性がない絶縁性の冷媒の検討が進められており、絶縁性の冷媒については、冷媒の冷却性能を向上させる目的から、複数の物質を混合した混合物で形成された冷媒(混合冷媒)を用いることがある。
混合冷媒の性能評価に関しては、フラッシュ計算(気液平衡計算)により得た混合冷媒のパラメータを用いて目的関数を決定し、この目的関数を遺伝的アルゴリズムで最適化することで、混合冷媒の性能を評価する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、混合冷媒の冷却性能を最適化できるように、混合冷媒における熱物性を指標として、混合する物質の種類と各物質の量の最適な組合せを探索する問題は、組合せ最適化問題と考えることができる。組合せ最適化問題とは、種々の条件や制約を考慮して、膨大な組合せの中から最適な組合せを求める問題である。
しかしながら、上記の混合冷媒の例のように、組合せ最適化問題を求解することにより、複数の物質の混合物の性能を最適化しようとする場合、最適化すべき物性(パラメータ)の数が多いときには、最適な混合物の候補を十分に絞り込めないことがあった。
特表2013-540973号公報
一つの側面では、本件は、混合物における複数の物性ごとに重みづけをして混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式が、多くの物性を含む場合であっても、混合物の性能を計算結果としてだけでなく実性能として最適化できる混合物性能最適化装置、混合物性能最適化プログラム、及び混合物性能最適化方法、並びに、性能が最適化された混合冷媒を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための手段の一つの実施態様は、以下の通りである。
すなわち、一つの実施態様では、混合物性能最適化装置は、複数の物質の混合物の性能を最適化する混合物性能最適化装置であって、
混合物における複数の物性ごとに重みづけをして混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式において、
複数の物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の物性を一の特性としてまとめてエネルギー関数式に取り込み、エネルギー関数式を簡略化するエネルギー関数式簡略化部を備える。
また、一つの実施態様では、混合物性能最適化プログラムは、複数の物質の混合物の性能を最適化する混合物性能最適化プログラムであって、
混合物における複数の物性ごとに重みづけをして混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式において、
複数の物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の物性を一の特性としてまとめてエネルギー関数式に取り込み、エネルギー関数式を簡略化するエネルギー関数式簡略化処理をコンピュータに行わせる。
さらに、一つの実施態様では、混合物性能最適化方法は、複数の物質の混合物の性能を最適化する混合物性能最適化方法であって、
混合物における複数の物性ごとに重みづけをして混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式において、
複数の物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の物性を一の特性としてまとめてエネルギー関数式に取り込み、エネルギー関数式を簡略化するエネルギー関数式簡略化工程を含む。
加えて、一つの実施態様では、混合冷媒は、混合冷媒の全量に対して、メトキシパーフルオロヘプテンを52質量%、n-ペンタンを11質量%、及びメチルアルコールを37質量%含む。
一つの側面では、本件は、混合物における複数の物性ごとに重みづけをして混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式が、多くの物性を含む場合であっても、混合物の性能を計算結果としてだけでなく実性能として最適化できる混合物性能最適化装置、混合物性能最適化プログラム、及び混合物性能最適化方法、並びに、性能が最適化された混合冷媒を提供できる。
図1は、液冷却方式の冷却システムの構成図の一例を示す図である。 図2は、複数の材料を混合して混合物を作製する場合の材料の組合せを選定する様子の一例を示す図である。 図3は、本件で開示する混合物性能最適化装置の構成例を表す図である。 図4は、本件で開示する混合物性能最適化装置の他の構成例を表す図である。 図5は、本件で開示する混合物性能最適化装置の他の構成例を表す図である。 図6は、本件で開示する混合物性能装置の一実施形態としての機能構成例を示す図である。 図7は、本件で開示する技術の比較例に対応する例を用いて、混合物の性能を最適化する際のフローチャートの例である。 図8は、本件で開示する技術の一例を用いて、混合物の性能を最適化する際のフローチャートの例である。 図9は、焼き鈍し法に用いるアニーリングマシンの機能構成の一例を示す図である。 図10は、遷移制御部の動作フローの一例を示す図である。 図11は、実施例における、熱流体シミュレーションにおいて、熱源に接触する受熱器の温度に関するコンター図の一例を示す図である。 図12は、本件で開示する混合冷媒の一例と、オプテオンSF-10の純冷媒における、熱抵抗Rsysの入力熱量依存性の例を示す図である。 図13は、本件で開示する技術の実施例において、混合物の性能を最適化する際の一例を示す図である。
(混合物最適化装置)
本件で開示する混合物最適化装置は、複数の物質の混合物の性能を最適化する装置である。本件で開示する混合物最適化装置は、エネルギー関数式簡略化部を備え、性能最適化部を備えることが好ましく、更に必要に応じてその他の部(手段)を有する。
本件で開示する技術の詳細を説明する前に、従来技術の問題点等について、混合冷媒の性能を最適化する場合を例として説明する。
上述したように、電子機器のCPU等の高発熱部品を冷却する方法としては、例えば、高発熱部品の熱を冷媒に伝えて移動させる液冷却方式を用いた方法が挙げられる。ここで、図1に液冷却方式の冷却システムの構成図の一例を示す。
図1に示した例においては、高発熱部品1は受熱器2に接触し、高発熱部品1が発熱した熱は受熱器2を流れる冷媒に伝わる。ポンプ3が駆動することにより、冷媒は配管4を矢印の向きに循環する。受熱器2で加熱された冷媒は、放熱器5に運ばれ、放熱器5の放熱フィンと空気との熱交換により、冷媒の温度は低下する。その後、冷媒は、受熱器2に再び流入し、高発熱部品1が発熱した熱を奪うため、高発熱部品1の温度を低下させて冷却することができる。
ここで、液冷却方式の冷却システムにおける冷却性能は、使用する冷媒の熱物性に影響を受ける。液冷却方式に用いる冷媒の熱物性としては、例えば、熱伝導率、比熱、粘度、蒸気圧、沸点、表面張力、蒸発潜熱などが挙げられる。また、液冷却方式に用いる冷媒の物性としては、これらの熱物性以外にも、例えば、燃焼性、引火性、発火性、毒性、環境影響などの物性を考慮する場合もある。
上述したように、液冷却方式において冷媒として使用されることが多い水には、電気導電性があるため、冷却システムの外部に水が漏れてしまうと、電子機器の部品がショートして破壊され、電子機器を含むシステムの全体で重大な事故が発生する危険性がある。
このため、電気伝導性がない絶縁性のフッ素を含む冷媒(フッ素系冷媒)の検討が進められている。
しかしながら、フッ素系冷媒は、絶縁性である一方、その熱物性(冷却性能)は水に劣る場合が多い。例えば、通常のフッ素系冷媒においては、熱伝導率は水の約1/10であり、比熱は水の1/4程度である。このため、フッ素系冷媒を用いた液冷却方式の冷却システムの性能は、水と比較して低下してしまう。
そこで、絶縁性のフッ素系冷媒を用いた場合の冷却性能を向上させるために、フッ素系冷媒をベースとして、当該他の複数の材料(たとえば、有機溶剤など)を混合することで、熱伝導率などの冷媒としての熱物性を向上させようとする試みが行われている。このように、複数の物質を混合した混合物で形成された冷媒は、混合冷媒と称されている。
フッ素系冷媒をベースとした混合冷媒を開発する際には、混合冷媒の冷却性能が向上するように、混合冷媒の複数の熱物性を最適化し、混合する材料(物質)及びそれらの混合比を決定することが求められる場合がある。
このように、混合冷媒の冷却性能を最適化できるように、混合冷媒における熱物性を指標として、混合する材料(物質)及びそれらの混合比の最適な組合せを探索する問題は、組合せ最適化問題と考えることができる。組合せ最適化問題を求解することにより、混合する材料(物質)及びそれらの混合比を選択した混合冷媒は、冷媒として求められる熱物性が最適化されており、優れた冷却性能を有するものとなる。
組合せ最適化問題においては、考慮する要因の数が増えると、要因の組合せの数が指数関数的に膨大に増えるため、逐次的に処理を行う従来の計算手法では、考慮する要因の数が多いと実用的な時間内に解くことは難しい。
そこで、組合せ最適化問題を高速に解くことができる技術として、アニーリングマシンなどを用いて、焼き鈍し法(アニーリング)による計算を行う技術が提案されている。組合せ最適化問題の求解を焼き鈍し法により行う手法としては、例えば、組合せ最適化問題における条件や制約に基づいた関数である「エネルギー関数」を用いる手法が挙げられる。なお、エネルギー関数は、目的関数、コスト関数、ハミルトニアンなどと称される場合もある。
エネルギー関数(エネルギー関数式)は、当該エネルギー関数における変数(パラメータ)が、組合せ最適化問題における最適な組合せとなるときに、最小の値をとる関数である。このため、エネルギー関数が最小の値となる変数の組合せを探索することにより、組合せ最適化問題の解を探索することができる。
ここで、混合冷媒における熱物性を指標として、混合する材料(物質)及びそれらの混合比の最適な組合せを求める組合せ最適化問題においては、例えば、各熱物性をパラメータとして定義したエネルギー関数式を用いることができる。図2に示すように、材料1から材料Nの中から、所定数(図2の例では3つ)の材料を、所定の混合比で混合する場合、エネルギー関数式は、例えば、次式のようになる。
E=α・[物性1]+β・[物性2]+γ・[物性3]+・・・+制約項
ただし、Eは、エネルギー関数式であり、α、β、及びγは、各物性に対する重みづけの係数である。なお、制約項は、エネルギー関数式における、材料(物質)の選択数などの制約を表す項である。
また、上記のエネルギー関数式において、[物性1]から[物性N]は、混合冷媒の設計目標となる物性値、即ち、混合冷媒の冷却性能を最大化するために最適化したい熱物性であり、例えば、熱伝導率や比熱などの物性値とすることができる。上記のエネルギー関数式における各物性値には、重みづけの係数が付されており、各物性の重みづけ(係数α、β、γ、・・・)を変更して、組合せ最適化問題の求解を行うことで、どの物性値を重要視するか(重みを重くするか)を設定することができる。このため、各重みづけの係数を適宜適切に設定して、組合せ最適化問題の求解を行うことにより、冷媒として求められる物性が最適化され、優れた冷却性能を有する混合冷媒の材料及びそれらの混合比率(混合冷媒の組成)を探索することができると考えられる。
しかしながら、上述した方法においては、例えば、最適化する物性の種類が多い場合には、全ての物性を最適化することが難しいときがある。言い換えると、上述した方法においては、例えば、最適化する物性の数が多く、各物性をパラメータとして定義したエネルギー関数式のパラメータの数が多い場合に、このエネルギー関数式の全てのパラメータを最適化することは難しい場合がある。つまり、エネルギー関数式のパラメータの数が多いと、これらのパラメータの全てを十分に最適化できる重みづけ係数を特定することは困難であり、エネルギー関数式に最小値を与える組合せであっても、実際には混合冷媒としては適さない組合せとなる場合がある。すなわち、従来技術においては、計算結果としては、エネルギー関数式に最小値を与える(最適化された)物質の組合せであっても、混合物の用途等を考慮すると、混合物としての実際の性能(実性能)としては、最適化されていない不十分な組合せである場合がある。
より具体的には、例えば、混合冷媒の性能を最適化する際に、混合冷媒の物性として、熱伝導率、比熱、引火点、粘度、及び導電率の5つの物性を、エネルギー関数式のパラメータとする場合には、これらの物性が最適化された混合冷媒を特定できないときがあった。この例においては、最適化する物性の数が多いことにより、特定の物性は優れていても、他の物性が実用に適さないような組合せが、組合せ最適化問題の計算結果となることがある。
例えば、熱伝導率が高く、熱を輸送する性能が高いと考えられるものの、粘度が非常に高く、冷却システムの配管を流すことが困難であり、更には、導電率が高く、電気伝導性を有しており絶縁性がない混合冷媒が、最適な混合冷媒として特定されてしまう場合がある。また、エネルギー関数式のパラメータの重みづけ係数を変更して、性能の高い混合冷媒の探索を繰り返したとしても、最適化する物性の数が多いことにより、最適な混合物の候補を十分に絞り込むことは難しい。
このように、従来技術では、混合冷媒などの混合物の性能を最適化する際、最適化する物性の数が多い(エネルギー関数式のパラメータ数が多い)場合、エネルギー関数式を計算結果としてだけではなく実性能としても最適化することは難しく、最適な混合物の候補を十分に絞り込むことができなかった。すなわち、従来技術においては、計算結果としては、エネルギー関数式に最小値を与える(最適化された)組合せであっても、混合物の用途等を考慮すると、混合物としての実際の性能(実性能)としては、最適でない不十分な組合せである場合があった。
そこで、本発明者らは、混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式が、多くの物性を含む場合であっても、混合物の性能を計算結果としてだけでなく実性能として最適化できる装置等について鋭意検討を重ね、以下の知見を得た。
すなわち、本発明者らは、混合物における複数の物性ごとに重みづけをして混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式において、複数の物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の物性を一の特性としてまとめてエネルギー関数式に取り込み、エネルギー関数式を簡略化することにより、エネルギー関数式が多くの物性を含む場合であっても、混合物の性能を計算結果としてだけでなく実性能として最適化できることを知見した。本件で開示する技術は、この知見に基づくものである。
ここで、本件で開示する技術の一例では、混合物における複数の物性ごとに重みづけをして混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式に基づいて、混合物の性能を最適化する。さらに、本件で開示する技術の一例では、エネルギー関数式において、複数の物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の物性を一の特性としてまとめてエネルギー関数式に取り込み、エネルギー関数式を簡略化する。
このように、本件で開示する技術の一例では、例えば、複数の物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の物性を一の特性としてまとめてエネルギー関数式に取り込むことにより、エネルギー関数式に含まれるパラメータの数を減らすことができる。このため、本件で開示する技術の一例では、元のエネルギー関数式が多くの物性を含む場合であっても、エネルギー関数式に含まれるパラメータの数を減らして簡略化することができるので、エネルギー関数式の各パラメータを最適化することができる。言い換えると、本件で開示する技術の一例は、エネルギー関数式に含まれるパラメータの数を減らすことができるため、各パラメータの全てについて適切な重みづけ係数を特定することができ、混合物の性能を計算結果としてだけでなく実性能としても最適化できる。
ここで、本件で開示する技術の一例において、上述したように、エネルギー関数式を簡略化することについてより詳細に説明する。
本件で開示する技術の一例においては、上述したように、例えば、次式に示すようなエネルギー関数式を用いることができる。
E=α・[物性1]+β・[物性2]+γ・[物性3]+・・・+制約項
本件で開示する技術の一例では、例えば、次式に示すような相関式を用いて、複数の物性を1つの特性にまとめる。
[特性1]=α・[物性1]+β・[物性2]
ここで、α及びβは、各物性に対する重みづけの係数である。また、α及びβは、特性1と、物性1及び物性2との相関関係に基づいて求めることができる。
そして、本件で開示する技術の一例では、例えば、上記の相関式を上記のエネルギー関数式に取り込むことで、エネルギー関数式を簡略化する。より具体的には、本件で開示する技術の一例では、例えば、上記の相関式を上記のエネルギー関数式に取り込むことにより、エネルギー関数式を次式のように変形して、エネルギー関数式を簡略化する。
E=δ・[特性1]+γ・[物性3]+・・・+制約項
ここで、δは、特性1に対する重みづけのパラメータを意味する係数である。
上記の簡略化したエネルギー関数式では、物性1と物性2とが、特性1としてまとめて取り込まれており、エネルギー関数式に含まれるパラメータの数が減っている。このため、上記の簡略化したエネルギー関数式における、各パラメータの全てについて適切な重みづけ係数を特定することができ、混合物の性能を計算結果としてだけでなく実性能としても最適化できる。
ここで、本件で開示する技術のより具体的な一例について説明する。
例えば、上述した例と同様に、混合物としての混合冷媒の性能を最適化する際に、混合冷媒の物性として、熱伝導率、比熱、引火点、粘度、及び導電率の5つの物性を、エネルギー関数式のパラメータとする場合を考える。
上記の例において、混合冷媒における冷却性能(冷媒が熱を運ぶ能力)は、混合冷媒における熱の伝わりやすさが影響し、熱の伝わりやすさは、例えば、混合冷媒における熱伝導率と比熱(又は熱容量)とを用いて表すことができる。また、他の側面から考えると、冷却システムにおける冷却性能は、熱の伝わりにくさを表す熱抵抗を用いて表すこともできる。このため、混合冷媒における熱伝導率と比熱とは、冷却システムにおける熱抵抗と相関する関係を有すると考えることができる。
したがって、本件で開示する技術の一例では、混合冷媒における複数の物性の中で、熱抵抗に相関する関係を有する熱伝導率と比熱とを、熱抵抗という1つ特性にまとめてエネルギー関数式に取り込むことにより、エネルギー関数式を簡略化することができる。言い換えると、本件で開示する技術の一例では、混合冷媒における熱伝導率と比熱という2つの物性を、熱抵抗という1つの特性にまとめてエネルギー関数式に取り込むことにより、エネルギー関数式に含まれるパラメータの数を減らして簡略化することができる。
また、本件で開示する技術の一例において、熱伝導率と比熱のような複数の物性を、1つの特性にまとめる際には、例えば、複数の物性に関する相関式を求めて、当該相関式によって複数の物性を1つの特性に置き換えることができる。この場合、例えば、従来技術などを用いて複数の混合冷媒の候補を選定し、選定した混合冷媒の候補に対して、熱流体シミュレーション又は実験を行うことにより、混合冷媒の候補における熱伝導率及び比熱と、熱抵抗との相関関係を求める。この例では、例えば、求めた相関関係に基づいて、熱伝導率と比熱をパラメータとして、熱抵抗を表すことができる相関式を得ることができる。
本件で開示する技術の一例では、複数の物性を1つの特性にまとめた相関式を含むエネルギー関数式を最適化することにより、当該複数の物性の最適化を同時に(一括して)行うことができる。つまり、本件で開示する技術の一例では、上記の相関式を、エネルギー関数式に適用することにより、エネルギー関数式における熱伝導率と比熱とを、熱抵抗として1つの特性にまとめて、エネルギー関数式のパラメータの数(物性の数)を減らして簡略化できる。
上記の混合冷媒の例では、本件で開示する技術の一例を用いることにより、例えば、熱抵抗が低く、熱を輸送する性能(冷却性能)が高いと共に、導電率が低く絶縁性を有しており、更には引火点及び粘度も冷媒として好ましい範囲の混合冷媒の組成を特定できる。
なお、ここまでは性能を最適化する混合物として混合冷媒を例に説明したが、本件で開示する技術は、混合冷媒を対象とすることに限定されるものではない。
このように、本件で開示する技術の一例では、複数の物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の物性を一の特性としてまとめてエネルギー関数式に取り込むことにより、エネルギー関数式に含まれるパラメータの数を減らすことができる。このため、本件で開示する技術の一例では、各パラメータの全てについて適切な重みづけ係数を設定することができ、エネルギー関数式における各物性を最適化することが容易になる。つまり、本件で開示する技術の一例では、エネルギー関数式における各物性を最適化することが容易であるため、エネルギー関数式を最小化したときに、各物性が最適化され、計算結果としてだけでなく実性能としても正しく最適化された混合物を特定することができる。
したがって、本件で開示する技術の一例では、エネルギー関数式が、多くの物性を含む場合であっても、混合物の性能を計算結果としてだけでなく実性能としても最適化できる。
以下では、本件で開示する技術の一例を、図面を参照しながら説明する。なお、本件で開示する技術の一例としての混合物性能最適化装置における、エネルギー関数式の簡略化などの処理(動作)は、例えば、混合物性能最適化装置が有するエネルギー関数式簡略化部により行うことができる。
<エネルギー関数式簡略化部>
本件で開示する技術の一例において、エネルギー関数式簡略化部は、混合物における複数の物性ごとに重みづけをして混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式に基づいて、混合物の性能を最適化する。さらに、本件で開示する技術の一例において、エネルギー関数式簡略化部は、エネルギー関数式において、複数の物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の物性を一の特性としてまとめてエネルギー関数式に取り込み、エネルギー関数式を簡略化する。
<<混合物>>
本件で開示する技術において性能を最適化する混合物としては、複数の物質による混合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。つまり、本件で開示する技術では、混合する物質の種類や量を変更することにより、種々の性能や性質が変化し得る混合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、本件で開示する技術において、混合物に混合する物質(材料)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、混合物に混合する物質の種類の数としては、複数(2以上)であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本件で開示する技術の一例では、混合物に混合する物質(材料)は、例えば、混合物の種類に合わせて、多数の物質について物性等が記録されたデータベースから選択することが好ましい。
さらに、本件で開示する技術において、最適化する混合物の性能としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。本件で開示する技術により最適化する混合物の性能は、例えば、混合物の種類に合わせて、当該混合物に求められる性能に応じて選択することができる。
本件で開示する技術において性能を最適化する混合物としては、例えば、冷媒、洗浄剤、食品などが挙げられる。
冷媒としては、複数の物質(材料)が混合された冷媒(混合冷媒)であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、常温で気体(ガス)である冷媒であってもよいし、常温で液体である冷媒であってもよい。
混合冷媒における物性としては、例えば、熱抵抗、熱伝導率、比熱、粘度、蒸気圧、沸点、表面張力、蒸発潜熱、燃焼性、引火性、発火性、毒性、エネルギー効率、環境影響などが挙げられる。エネルギー効率は、例えば、COP(Coefficient of Performance)などを用いて表すことができる。また、環境影響としては、例えば、地球温暖化係数(GWP;Global Warming Potential)、オゾン破壊係数(ODP;Ozone-Depleting Potential)などが挙げられる。
ここで、本件で開示する技術においては、混合物における各物性のうち、一の物性に対して、相関する関係を有する複数の物性をまとめたものを、「特性」と称する場合がある。
混合冷媒においては、上記の各物性の例のうち、例えば、熱伝導率と比熱とは、熱抵抗に相関する関係を有するとして、熱伝導率と比熱という2つの物性をまとめて、熱抵抗という1つの特性とすることができる。
また、混合冷媒においては、上記の各物性の例のうち、例えば、引火点と比重とは、燃焼性(燃焼速度)に相関する関係を有するとして、引火点と比重という2つの物性をまとめて、燃焼性(燃焼速度)という1つの特性とすることができる。
さらに、混合冷媒においては、上記の各物性の例のうち、例えば、蒸発潜熱と比熱とは、エネルギー効率(COP)に相関する関係を有するとして、蒸発潜熱と比熱という2つの物性をまとめて、エネルギー効率(COP)という1つの特性とすることができる。
混合冷媒としては、例えば、フッ素化合物を含むものが好ましい。混合冷媒が含むフッ素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、絶縁性を有すると共に、地球温暖化係数(GWP)が低いという点から、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)を含むことが好ましい。
洗浄剤としては、複数の物質(材料)が混合された洗浄剤であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。洗浄剤としては、例えば、水系洗浄剤、準水系洗浄剤、炭化水素系洗浄剤、アルコール系洗浄剤、塩素系洗浄剤、フッ素系洗浄剤、臭素系洗浄剤などが挙げられる。
洗浄剤における物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、比熱、粘度、表面張力、蒸発潜熱、燃焼性、引火性、毒性、水素イオン指数(pH)、蒸発速度、浸透性、特定の対象に対する洗浄力、保存性などが挙げられる。
本件で開示する技術においては、上記の物性などから、適宜目的に合わせて選択した複数の物性を、1つの特性にまとめることにより、エネルギー関数式を簡略化することができる。
食品としては、複数の物質(材料)が混合された食品であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。食品としては、例えば、コーヒーなどが挙げられる。最適化する混合物がコーヒーである場合、本件で開示する技術の一例においては、例えば、コーヒーの原料となるコーヒー豆の種類及びそのコーヒー豆の量を求める。つまり、本件で開示する技術の一例では、いわゆるブレンドコーヒーにおける、適切なコーヒー豆の配合比を求めることができる。
コーヒーにおける物性(味の特徴)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、香り、酸味、苦味、コクなどが挙げられる。
本件で開示する技術においては、上記の物性(特徴)などから、適宜目的に合わせて選択した複数の物性を、1つの特性にまとめることにより、エネルギー関数式を簡略化することができる。
<<エネルギー関数式>>
本件で開示する技術の一例においては、混合物における複数の物性ごとに重みづけをして混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式に基づいて、混合物の性能を最適化する。
ここで、エネルギー関数式としては、混合物における物性や、混合物に混合する物質を選択する際の制約などに応じて、適宜選択することができる。エネルギー関数式としては、例えば、混合物における物性の値を変数として、混合物における最適な物質の組合せとなる時に、最小の値をとる関数を用いることができる。このため、エネルギー関数式が最小の値となる変数の組合せを求めることにより、混合物の性能を最適化することができる。
本件で開示する技術の一例では、エネルギー関数式としては、次式で表されるものが好ましい。
E=α・[物性1]+β・[物性2]+γ・[物性3]+・・・+制約項
ただし、Eは、エネルギー関数式であり、α、β、及びγは、各物性に対する重みづけの係数である。なお、制約項は、エネルギー関数式における、材料(物質)の選択数などの制約を表す項である。また、上記のエネルギー関数式における「・・・」は、物性1、物性2、及び物性3以外の物性、並びに、α、β、及びγ以外の重みづけの係数が適宜含まれてもよいことを意味する。
ここで、上記のエネルギー関数式における物性1から物性3などの物性(物性値)は、混合物における物性(混合物性)を意味する。混合物における物性(混合物性)を求める手法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。混合物における物性を求める手法としては、例えば、混合物における各物質(例えば、化合物)の物性に基づいて求める手法が挙げられる。
混合物における各物質の物性に基づいて混合物の物性を求める手法としては、特に制限はなく、求める物性の種類や性質に応じて適宜選択することができる。また、各物質の物性については、文献値、実測値(実際に実験を行うことにより得た値)、物性シミュレーションに基づいて算出した値などを用いることができる。
混合物における各物質の物性に基づいて混合物の物性を求める手法としては、例えば、混合物における、混合する各物質のモル濃度に基づいて、各物質の物性値を重みづけして平均した値を用いる手法が挙げられる。
この手法を用いる場合について、混合物の比熱を求める(推算する)ときに、混合物100モルに対して、物質Aが50モル、物質Bが30モル、物質Cが20モル含まれるときを一例として説明する。この例において、物質Aの比熱が2000J/(kg・K)であり、物質Bの比熱が4000J/(kg・K)であり、物質Cの比熱が1000J/(kg・K)であるとする。このとき、これらの各物質の比熱を用いて、各物質のモル濃度に基づいて混合物比熱を求めると、例えば、次式のようになる。
混合物の比熱=2000×(50/100)+4000×(30/100)+1000×(20/100)=2400J/(kg・K)
このように、本件で開示する技術の一例では、例えば、混合物における、混合する各物質のモル濃度に基づいて、各物質の物性値を重みづけして平均した値を、混合物の物性とすることができる。
また、混合物における各物質の物性に基づいて混合物の物性を求める手法としては、上記の手法に限られるものではなく、例えば、理論的又は経験的な物性推算式により推算する手法を用いることもできる。
理論的又は経験的な物性推算式としては、公知のものを適宜選択して用いることができ、例えば、「物性推算法(大江修造著,データブック出版社)」などの文献で開示されているものなどを用いることができる。物性推算式の具体例等については後述する。
また、上記のエネルギー関数式における制約項は、下記の4つの制約を含むことが好ましい。
混合物に混合する複数の物質の種類の数が所定数であるという制約
混合物における、複数の物質の混合比率の合計が100%であるという制約
混合物に混合する複数の物質として、同一の物質を複数回選択しないという制約
混合物が所定の物質を含むという制約
ここで、まず、上記の4つの制約における「混合物に混合する複数の物質の種類の数が所定数であるという制約」について説明する。
混合物の性能を最適化する際には、混合する物質の数をあらかじめ設定して、混合物に混合する物質を探索する場合がある。このような場合に、上記の「混合物に混合する複数の物質の種類の数が所定数であるという制約」を課すことにより、あらかじめ設定した所定数の物質を混合した混合物に絞り込んで探索を行うことができる。
また、「混合物に混合する複数の物質の種類の数が所定数であるという制約」は、例えば、混合物に混合する物質の種類の数が所定数でない組合せのときに、エネルギー関数式の値を大きくさせるペナルティーの項とすることができる。
次に、上記の4つの制約における「混合物における、複数の物質の混合比率の合計が100%であるという制約」について説明する。
複数の物質の混合物における物質の組合せを探索する際には、混合物の全量に対する、各物質の混合比率(含有量)の合計は100%となることが通常である。このため、上記の「混合物における、複数の物質の混合比率の合計が100%であるという制約」を課すことにより、複数の物質の混合比率の合計が100%となるように絞り込んで探索を行うことができる。
また、「混合物における、複数の物質の混合比率の合計が100%であるという制約」は、例えば、混合物における、複数の物質の混合比率の合計が100%でない組合せのときに、エネルギー関数式の値を大きくさせるペナルティーの項とすることができる。
続いて、上記の4つの制約における「混合物に混合する複数の物質として、同一の物質を複数回選択しないという制約」について説明する。
複数の物質の混合物における物質の組合せを探索する際に、同一の物質を複数回選択した組合せにおいては、多様な物質の組合せを探索することができない場合がある。このため、上記の「混合物に混合する複数の物質として、同一の物質を複数回選択しないという制約」を課すことにより、互いに異なる物質の組合せで形成される混合物に絞り込んで探索を行うことができる。
また、「混合物に混合する複数の物質として、同一の物質を複数回選択しないという制約」は、例えば、混合物に混合する複数の物質として、同一の物質を複数回選択する組合せのときに、エネルギー関数式の値を大きくさせるペナルティーの項とすることができる。
ついで、上記の4つの制約における「混合物が所定の物質を含むという制約」について説明する。
複数の物質の混合物における物質の組合せを探索する際には、混合物のベースとなる物質をあらかじめ設定して、ベースとなる物質が含まれるように、混合物に混合する物質を探索する場合がある。このため、上記の「混合物が所定の物質を含むという制約」を課すことにより、あらかじめ設定したベースとなる物質を含む混合物に絞り込んで探索を行うことができる。
また、「混合物が所定の物質を含むという制約」は、例えば、混合物が所定の物質を含まない組合せのときに、エネルギー関数式の値を大きくさせるペナルティーの項とすることができる。
<<エネルギー関数式の簡略化>>
本件で開示する技術の一例では、エネルギー関数式において、複数の物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の物性を一の特性としてまとめてエネルギー関数式に取り込み、エネルギー関数式を簡略化する。
エネルギー関数式において、複数の物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の物性を一の特性としてまとめてエネルギー関数式に取り込み、エネルギー関数式を簡略化する手法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本件で開示する技術の一例では、エネルギー関数式の簡略化を、複数の物性に関する相関式を求め、当該相関式によって複数の物性を1つの特性に置き換えることにより行うことが好ましい。本件で開示する技術の一例では、複数の物性に関する相関式を、エネルギー関数式に適用することにより、複数の物性を1つの特性にまとめて、エネルギー関数式のパラメータの数(物性の数)を減らして簡略化できる。
複数の物性に関する相関式を求める手法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、複数の物性と、当該複数の物性をまとめた特性との相関関係に基づいて相関式を求める手法が好ましい。
複数の物性と、当該複数の物性をまとめた特性との相関関係に基づいて相関式を求める手法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、重回帰分析を用いた手法が好ましい。言い換えると、本件で開示する技術の一例では、複数の物性をまとめた一の特性が、複数の物性の中で、互いに相関する関係を有するものから重回帰分析により導かれることが好ましい。
こうすることにより、本件で開示する技術の一例では、複数の物性と、当該複数の物性をまとめた特性との相関関係をより正確に求めることができる。
重回帰分析とは、多変量解析の一種である回帰分析において、説明変数が2以上のものを意味し、2以上の説明変数と、1つの目的関数との相関関係を求めることができる解析手法である。本件で開示する技術の一例では、例えば、複数の物性を説明変数とし、特性(一の特性)を目的変数として重回帰分析を行うことにより、複数の物性と、一の特性との相関関係を表す相関式(重回帰式)を求め、当該相関式によりエネルギー関数式を簡略化することができる。
本件で開示する技術の一例では、相関式を求める際に、重回帰分析などの多変量解析を行う場合には、例えば、ある特性(特性値)に対応する複数の物性(物性値)のデータに基づいて解析を行うことが好ましい。つまり、本件で開示する技術の一例では、一の特性の値と、当該一の特性の値に対応した(当該一の特性の値を与える)複数の物性の値とを含むデータに基づいて、重回帰分析を行うことにより、複数の物性と一の特性の相関関係を表す相関式を得ることが好ましい。
一の特性の値と、当該一の特性の値に対応した(当該一の特性の値を与える)複数の物性の値とを含むデータを取得する手法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。一の特性の値と、当該一の特性の値に対応した複数の物性の値とを含むデータの取得手法としては、例えば、ある混合物について、混合する物質、それらの物質の混合比率(組成)、及び当該混合物における各物性の値を特定し、組成及び物性を特定した混合物における一の特性の値を求める手法が挙げられる。
ここで、ある混合物について、混合する物質、それらの物質の混合比率(組成)、及び当該混合物における各物性の値を特定する手法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、適宜設定した重みづけの係数を用い、混合物の性能を計算結果として最適化する手法が挙げられる。つまり、エネルギー関数式における重みづけの係数を適宜設定して、当該エネルギー関数式を最小化することにより、混合物における組成及び特性を特定することができる。
このように、本件で開示する技術の一例では、混合物の性能を最適化するための計算の前に、一の特性の値と、当該一の特性の値に対応した複数の物性の値とを含むデータの取得する目的で、適宜設定した重みづけの係数を用いた計算を行うことが好ましい。
このとき、重回帰分析の精度をより向上させる観点では、重みづけの係数を適宜設定したエネルギー関数式を複数用意して最小化を行い、複数の混合物について、一の特性の値と当該一の特性の値に対応した複数の物性の値とを含むデータの取得することが好ましい。
一の特性の値と当該一の特性の値に対応した複数の物性の値とを含むデータの取得に用いる混合物の組成を特定するためのエネルギー関数式における重みづけの係数を設定する手法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。このようなエネルギー関数式の重みづけの係数は、例えば、エネルギー関数式に含まれる各物性について、各物性を重視した重みづけの係数の組合せを複数用意して、各物性における計算上の最大値及び最小値を絞り込むことができるように設定することが好ましい。
性能を最適化する混合物が混合冷媒である場合は、例えば、熱伝導率を重視した重みづけの係数の組合せ、比熱を重視した重みづけの係数の組合せ、及び引火点及び粘度を重視した重みづけの係数の組合せなど、複数の条件で計算を行うことが好ましい。
本件で開示する技術の一例では、上述したようにして、一の特性の値と当該一の特性の値に対応した複数の物性の値とを含むデータの取得に用いる混合物について、各物性についてのバリエーションを有する複数の混合物の組成を特定することができる。
また、一の特性の値と当該一の特性の値に対応した複数の物性の値とを含むデータの取得に用いる混合物の組成を特定するためのエネルギー関数式における重みづけの係数を設定する手法としては、例えば、乱数を用いて自動的に変化させる手法であってもよい。
上述したようにして組成を特定した混合物における一の特性の値を求める手法としては、例えば、当該混合物についてのシミュレーション(数値計算)を行うことにより求める手法、当該混合物についての実験を行うことにより求める手法などが挙げられる。
組成を特定した混合物についてのシミュレーションを行う手法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、求める一の特性の種類に応じて公知のシミュレーション手法を用いることができる。
本件で開示する技術の一例では、性能を最適化する混合物が混合冷媒である場合に、一の特性として熱抵抗を用いるときには、例えば、熱流体シミュレーションを行うことにより、当該混合冷媒を用いた冷却システムにおける冷却性能を評価する。
ここで、上述したように、混合冷媒における熱伝導率及び比熱は、当該混合冷媒を用いた冷却システムの冷却性能と相関すると考えられる。また、他の側面から考えると、冷却システムにおける冷却性能は、熱抵抗で表すことができる。したがって、熱流体シミュレーションを行うことにより、混合冷媒を用いた冷却システムにおける温度データを取得し、冷却性能として当該混合冷媒を使用した場合の熱抵抗を求めることで、当該混合冷媒における、一の特性としての熱抵抗と、複数の物性としての熱伝導率及び比熱の関係を特定することができる。
また、組成を特定した混合物における一の特性の値を、当該混合物についての実験を行うことにより求める手法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、混合物を実際に作製して、一の特性を測定する手法を用いることができる。
本件で開示する技術の一例では、上述したようにして、一の特性の値と当該一の特性の値に対応した複数の物性の値とを含むデータを取得し、取得したデータに基づいて重回帰分析を行うことにより、複数の物性と一の特性の相関関係を表す相関式を得ることできる。
また、本件で開示する技術では、エネルギー関数式を簡略化する際において、エネルギー関数式に取り込む特性の数としては、1つに限られるものではなく、複数の特性をエネルギー関数式に取り込んでもよい。つまり、本件で開示する技術の一例では、エネルギー関数式簡略化部が、複数の一の特性をエネルギー関数式に取り込み、エネルギー関数式を簡略化してもよい。
ここで、一例として、下記の3つの式に示す例のように、それぞれ異なる複数の物性が、それぞれの特性に相関する場合を考える。
[特性1]=α・[物性1]+β・[物性2]
[特性2]=γ・[物性3]+δ・[物性4]
[特性3]=ε・[物性5]+ζ・[物性6]
なお、α、β、γ、δ、ε、及びζは、相関式における各物性に対する重みづけの係数である。
この場合に、簡略化する前の元のエネルギー関数式が、次式で表されるとする。
E=α・[物性1]+β・[物性2]+γ・[物性3]+δ・[物性4]+ε・[物性5]+ζ・[物性6]+・・・+制約項
なお、α、β、γ、δ、ε、及びζは、エネルギー関数式における各物性に対する重みづけの係数である。
このとき、上記の3つの相関式を、上記のエネルギー関数式に取り込むことにより、エネルギー関数式を簡略化すると、簡略化したエネルギー関数式は、次式のようになる。
E=η・[特性1]+θ・[特性2]+λ・[特性3]+・・・+制約項
ここで、η、θ、及びλは、各特性に対する重みづけの係数である。
この例においては、上記の3つの相関式を、上記のエネルギー関数式に取り込むことにより、当該エネルギー関数式におけるパラメータの数を3つ減らすことができる。
このように、本件で開示する技術の一例では、複数の特性をエネルギー関数式に取り込むことにより、元のエネルギー関数式がより多くの物性を含む場合にも、混合物の性能を計算結果としてだけでなく実性能として最適化できる。
また、上述した例では、それぞれ異なる複数の物性が、それぞれの特性に相関する場合について示したが、本件で開示する技術はこれに限られるものではなく、例えば、1つの物性が複数の特性と相関していてもよい。
ここで、複数の特性をエネルギー関数式に取り込むときの他の一例として、下記の3つの式に示す例のように、1つの物性が複数の特性と相関する場合を考える。
[特性1]=α・[物性1]+β・[物性2]+γ・[物性3]
[特性2]=δ・[物性3]+ε・[物性4]+ζ・[物性5]
[特性3]=η・[物性2]+θ・[物性4]+λ・[物性5]+φ・[物性6]
なお、α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、λ、及びφは、各相関式における各物性に対する重みづけの係数である。
この場合に、簡略化する前の元のエネルギー関数式が、次式で表されるとする。
E=α・[物性1]+β・[物性2]+γ・[物性3]+δ・[物性4]+ε・[物性5]+ζ・[物性6]+・・・+制約項
なお、α、β、γ、δ、ε、及びζは、エネルギー関数式における各物性に対する重みづけの係数である。
このとき、上記の3つの相関式を、上記のエネルギー関数式に取り込むことにより、エネルギー関数式を簡略化すると、簡略化したエネルギー関数式は、次式のようになる。
E=μ・[特性1]+ν・[特性2]+ρ・[特性3]+・・・+制約項
ここで、μ、ν、及びρは、各特性に対する重みづけの係数である。
この例で示したように、本件で開示する技術の一例においては、複数の特性をエネルギー関数式に取り込む際に、1つの物性が複数の特性と相関していてもよい。
つまり、本件で開示する技術では、複数の一の特性のうち、第一の特性に係る、互いに相関する関係を有する混合物の複数の物性の中の少なくとも一つが、第二の特性に係る、互いに相関する関係を有する混合物の複数の物性の中の少なくとも一つであってもよい。
また、本件で開示する技術において、複数の物性をまとめた特性をエネルギー関数式に取り込む回数は、1回に限られるものではなく、複数回取り込むこともできる。言い換えると、本件で開示する技術の一例では、エネルギー簡略化部が、一の特性をエネルギー関数式に複数回取り込み、エネルギー関数式を簡略化することが好ましい。
つまり、本件で開示する技術の一例では、一の特性をエネルギー関数式に取り込むごとに、エネルギー関数式の物性の数を減らすことができ、エネルギー関数式がより多くの物性を含む場合にも、混合物の性能を計算結果としてだけでなく実性能として最適化できる。
<性能最適化部>
本件で開示する技術の一例において、性能最適化部は、エネルギー関数式簡略化部により簡略化されたエネルギー関数式を最小化することにより、混合物の性能を最適化する。本件で開示する技術の一例では、エネルギー関数式を最小化することにより、混合物の組成の組合せに関する組合せ最適化問題を求解して、性能を最適化できる混合物の組成を特定することができる。
ここで、エネルギー関数式を最小化する手法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。エネルギー関数式を最小化する手法としては、エネルギー関数式をQUBO(Quadratic Unconstrained Binary Optimization)形式のイジングモデルに変換し、イジングモデルに変換したエネルギー関数式の値を最小化する手法が好ましい。
イジングモデルに変換したエネルギー関数式としては、例えば、下記の数式(1)で表される数式を用いることが好ましい。言い換えると、本件で開示する技術の一例では、下記式(1)で表されるイジングモデルに変換したエネルギー関数式に基づき、混合物の性能を最適化することが好ましい。
Figure 0007388230000001
ただし、上記式(1)において、Eは、エネルギー関数式である。
ijは、i番目のビットとj番目のビットの間の相互作用を表す数値である。
は、i番目のビットが0又は1であることを表すバイナリ変数であり、xは、j番目のビットが0又は1であることを表すバイナリ変数である。
は、i番目のビットに対するバイアスを表す数値である。
ここで、上記式(1)におけるwijは、例えば、イジングモデルに変換する前のエネルギー関数式における各パラメータの数値などを、xとxの組み合わせ毎に抽出することにより求めることができ、通常は行列となる。
上記式(1)における右辺の一項目は、全回路から選択可能な2つの回路の全組み合わせについて、漏れと重複なく、2つの回路の状態(ステート)と重み値(ウエイト)との積を積算したものである。
また、上記式(1)における右辺の二項目は、全回路のそれぞれのバイアスの値と状態との積を積算したものである。
つまり、イジングモデルに変換する前のエネルギー関数式のパラメータを抽出して、wij及びbを求めることにより、エネルギー関数式を、上記式(1)で表されるイジングモデルに変換することができる。
上記のようにしてイジングモデルに変換したコスト関数の値を最小化は、例えば、アニーリングマシンなどを用いた焼き鈍し法(アニーリング)を行うことにより、短時間で実行することができる。つまり、本件で開示する技術の一例では、性能最適化部が、焼き鈍し法により、エネルギー関数式を最小化することが好ましい。なお、アニーリングマシンを用いた焼き鈍し法の詳細については後述する。
以下では、装置の構成例やフローチャートなどを用いて、本件で開示する技術の一例を更に詳細に説明する。
図3に、本件で開示する混合物性能最適化装置のハードウェア構成例を示す。
混合物性能最適化装置10においては、例えば、制御部11、メモリ12、記憶部13、表示部14、入力部15、出力部16、I/Oインターフェース部17がシステムバス18を介して接続されている。
制御部11は、演算(四則演算、比較演算、焼き鈍し法の演算等)、ハードウェア及びソフトウェアの動作制御などを行う。
制御部11としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CPUであってもよいし、後述する焼き鈍し法に用いる最適化装置(アニーリングマシン)の一部であってもよく、これらの組み合わせでもよい。
本件で開示する混合物性能最適化装置におけるエネルギー関数式簡略化部及び性能最適化部は、例えば、制御部11により実現することができる。
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などのメモリである。RAMは、ROM及び記憶部13から読み出されたOS(Operating System)及びアプリケーションプログラムなどを記憶し、制御部11の主メモリ及びワークエリアとして機能する。
記憶部13は、各種プログラム及びデータを記憶する装置であり、例えば、ハードディスクである。記憶部13には、制御部11が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OSなどが格納される。
また、本件で開示する混合物性能最適化装置プログラムは、例えば、記憶部13に格納され、メモリ12のRAM(主メモリ)にロードされ、制御部11により実行される。
表示部14は、表示装置であり、例えば、CRTモニタ、液晶パネルなどのディスプレイ装置である。
入力部15は、各種データの入力装置であり、例えば、キーボード、ポインティングデバイス(例えば、マウス等)などである。
出力部16は、各種データの出力装置であり、例えば、プリンタなどである。
I/Oインターフェース部17は、各種の外部装置を接続するためのインターフェースである。I/Oインターフェース部17は、例えば、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、MOディスク(Magneto-Optical disk)、USBメモリ〔USB(Universal Serial Bus) flash drive〕などのデータの入出力を可能にする。
図4に、本件で開示する混合物性能最適化装置の他のハードウェア構成例を示す。
図4に示す例は、混合物性能最適化装置をクラウド型にした場合の例であり、制御部11が、記憶部13などとは独立している。図4に示す例においては、ネットワークインターフェース部19、20を介して、記憶部13などを格納するコンピュータ30と、制御部11を格納するコンピュータ40とが接続される。
ネットワークインターフェース部19、20は、インターネットを利用して、通信を行うハードウェアである。
図5に、本件で開示する混合物性能最適化装置の他のハードウェア構成例を示す。
図5に示す例は、混合物性能最適化装置をクラウド型にした場合の例であり、記憶部13が、制御部11などとは独立している。図5に示す例においては、ネットワークインターフェース部19、20を介して、制御部11等を格納するコンピュータ30と、記憶部13を格納するコンピュータ40とが接続される。
図6に、本件で開示する混合物性能最適化装置の一実施形態としての機能構成例を示す。
図6に示すように、混合物性能最適化装置10は、通信機能部101と、入力機能部102と、出力機能部103と、制御機能部104と、記憶機能部108と、を備える。
通信機能部101は、例えば、各種のデータを外部の装置と送受信する。通信機能部101は、例えば、外部の装置から、イジングモデルに変換したエネルギー関数式におけるバイアス及びウエイトのデータを受信してもよい。
入力機能部102は、例えば、混合物性能最適化装置10に対する各種指示を受け付ける。また、入力機能部102は、例えば、イジングモデルに変換したエネルギー関数式におけるバイアス及びウエイトのデータの入力を受け付けてもよい。
出力機能部103は、例えば、性能を最適化した混合物における複数の物質の種類及びそれらの物質の混合比率(組成)などを出力する。
制御機能部104は、エネルギー関数式簡略化部105と、性能最適化部106と、シミュレーション部107とを有する。制御機能部104は、例えば、記憶機能部108に記憶された各種プログラムを実行するとともに、最適化装置10全体の動作を制御する。
エネルギー関数式簡略化部105は、エネルギー関数式を簡略化する処理を行う。
性能最適化部106は、エネルギー関数式簡略化部105により簡略化されたエネルギー関数式を最小化することにより、混合物の性能を最適化する。
シミュレーション部107は、混合物における一の特性と、当該一の特性に相関する関係を有する複数の物性との間の相関関係を求めるための、混合物についてのシミュレーション(数値計算)を行う。
記憶機能部108は、物質データベース(物質DB)109と、物性データベース(物性DB)110を有する。記憶機能部108は、例えば、各種プログラムを記憶する。
物質DB109は、混合物に混合する物質の候補となる物質についての、名称や化学式などの情報を記憶するデータベースである。物質DB109としては、公知の化合物データベースを用いることができる。
物性DB110は、混合物に混合する物質の候補となる物質についての、各物質の物性の情報を記憶するデータベースである。物性DB110としては、公知の化合物データベース、化学便覧、学術文献、特許文献などで開示された物質の物性(物性値)をまとめたものとすることができる。
ここで、図7を参照して、本件で開示する技術の比較例に対応する例における、混合物の性能を最適化する際の流れの一例について説明する。なお、図7に示す例では、性能を最適化する混合物が混合冷媒である場合を例として説明する。
まず、制御機能部104は、ユーザからの入力を受け付け、性能を最適化する混合冷媒における、ベースとする物質(材料)を選択する(S101)。例えば、絶縁性を有する混合冷媒の性能の最適化を行う場合は、ベースとする物質として、絶縁性を有する冷媒材料を選択することが好ましい。
次に、制御機能部104は、混合冷媒に混合する物質の候補を、物質DB109から複数選択する(S102)。このとき、制御機能部104は、物質DB109に記憶されている全ての物質を選択してもよいし、混合冷媒に適すると考えられる物質を選んで選択してもよい。また、制御機能部104は、物性DB110を参照して、物性値が記憶されている物質を物質DB109から選択するようにしてもよい。
続いて、制御機能部104は、混合冷媒における最適化する物性を決定する(S103)。言い換えると、S103において、制御機能部104は、混合冷媒の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式が含む物性(パラメータ)を決定する。混合冷媒においては、例えば、熱伝導率、比熱、引火点、粘度、導電率などを、最適化する物性として選択することが好ましい。なお、S103において、制御機能部104は、各物質における物性から、混合冷媒における物性を推算可能な物性が、最適化する物性に含まれるように選択することが好ましい。
次いで、制御機能部104は、物性DB110から、混合冷媒における最適化する物性に合わせて、混合する物質の候補における物性の情報を取得する(S104)。つまり、S104において、制御機能部104は、混合冷媒に混合する物質の候補として選択した物質について、物性DB110を参照して、各物質における、S103で決定された最適化の対象となる物性の情報(物性値)を取得する。
そして、制御機能部104は、各物質における物性から、混合冷媒における当該物性を推算可能な式を、混合冷媒における最適化する物性について規定する(S105)。言い換えると、S105において、制御機能部104は、混合冷媒に混合する物質の候補として選択した各物質の物性に基づいて、混合冷媒における物性を導出できる関係式を、ユーザの入力などに基づいて規定する。
次に、制御機能部104は、混合冷媒における最適化する各物性を含む(各物性をパラメータとする)エネルギー関数式を定義する(S106)。言い換えると、S106において、制御機能部104は、S105で規定した、混合冷媒における物性を推算可能な式に基づいて、混合冷媒における最適化する各物性をパラメータとするエネルギー関数式を規定する。また、このとき、制御機能部104は、エネルギー関数式を、各物性を意味するパラメータについて重みづけの係数を付すと共に、混合冷媒の組成を探索する上での制約項を含むものとする。
より具体的には、S106において、制御機能部104は、次式で表されるエネルギー関数式を規定する。
E=α・[物性1]+β・[物性2]+γ・[物性3]+・・・+制約項
ただし、Eは、エネルギー関数式であり、α、β、及びγは、各物性に対する重みづけの係数である。
続いて、制御機能部104は、規定したエネルギー関数式を、下記式(1)で表されるイジングに変換する(S107)。言い換えると、S107において、制御機能部104は、規定されたエネルギー関数式におけるパラメータを抽出して、下記式(1)におけるb(バイアス)及びwij(ウエイト)を求めることにより、エネルギー関数式を、下記式(1)で表されるイジングモデルに変換する。
Figure 0007388230000002
ただし、上記式(1)において、Eは、エネルギー関数式である。
ijは、i番目のビットとj番目のビットの間の相互作用を表す数値である。
は、i番目のビットが0又は1であることを表すバイナリ変数であり、xは、j番目のビットが0又は1であることを表すバイナリ変数である。
は、i番目のビットに対するバイアスを表す数値である。
次いで、制御機能部104は、アニーリングマシンを用いて、上記式(1)を最小化する(S108)。言い換えると、S108において、制御機能部104は、上記式(1)についての焼き鈍し法を用いた基底状態探索を実行することにより、上記式(1)の最小エネルギーを算出することで、エネルギー関数式を最小化する混合冷媒の組成を探索する。
そして、制御機能部104は、上記式(1)を最小化した結果に基づいて、エネルギー関数式が最小値となるときの、混合冷媒に含まれる物質の種類、それらの物質の混合比率(混合冷媒の組成)、及び当該混合冷媒における各物性(物性値)を出力する(S109)。そして、制御機能部104は、混合冷媒の組成及び物性を出力すると、処理を終了させる。
ここで、従来技術では、このようにして、エネルギー関数式を最小化することにより、混合冷媒における性能を最適化しようとする場合、上述したように、エネルギー関数式に最小値を与える組合せであっても、実際には混合冷媒としては適さない組合せとなる。つまり、従来技術では、混合冷媒などの混合物の性能を最適化する際、最適化する物性の数が多い場合、エネルギー関数式を計算結果としてだけではなく実性能としても最適化することは難しく、最適な混合物の候補を十分に絞り込むことができなかった。
さらに、従来技術では、図7に示したような流れに従って、エネルギー関数式における重みづけの係数を適宜変更して、複数回計算を行ったとしても、エネルギー関数式を実用の条件を満たすように最適化することは難しく、最適な混合物の候補を十分に絞り込むことができなかった。
図8に、本件で開示する技術の一例を用いて、混合物の性能を最適化する際のフローチャートの例を示す。また、図8に示すフローチャートの例において、S201からS209は、図7に示したフローチャートの例におけるS101からS109と同様の処理とすることができる。
図8の例において、制御機能部104は、S209の後に、他の重みづけ係数の組合せを用いて、他の混合冷媒の候補を探索するか否かを判定する(S210)。言い換えると、S210において、制御機能部104は、後述する重回帰分析に用いる複数の混合冷媒のバリエーションの数に応じて、他の混合冷媒の組成を更に探索するか否かを判定する。
S210において、制御機能部104は、他の重みづけ係数の組合せを用いて、他の混合冷媒の候補の探索を行う場合には、処理をS211に移す。また、S210において、制御機能部104は、他の重みづけ係数の組合せを用いて、他の混合冷媒の候補の探索を行わない場合には、処理をS212に移す。なお、他の重みづけ係数の組合せを用いて、他の混合冷媒の候補を探索するか否かを判定は、例えば、ユーザの入力を受け付けることにより行うことができる。
続いて、制御機能部104におけるシミュレーション部107は、組成を特定した複数の混合冷媒について、熱流体シミュレーションを行う(S212)。言い換えると、S212において、シミュレーション部107は、S209において出力された複数の混合冷媒における物性に基づいて、それぞれの混合冷媒を用いた場合の冷却システムの性能を、熱流体シミュレーションにより解析する。
次に、制御機能部104におけるエネルギー関数式簡略化部105は、熱流体シミュレーションの結果から、混合冷媒ごとの熱抵抗の値を求める(S213)。言い換えると、S213において、エネルギー関数式簡略化部105は、熱流体シミュレーションの結果に基づいて、混合冷媒を用いた冷却システムの冷却性能を求め、冷却システムの冷却性能の分析結果から、当該混合冷媒における熱抵抗の値を計算する。
ここで、上述したように、混合冷媒における熱伝導率及び比熱は、当該混合冷媒を用いた冷却システムの冷却性能と相関すると考えられる。また、他の側面から考えると、冷却システムにおける冷却性能は、冷却システムに混合冷媒を用いた場合の熱抵抗で表すことができる。したがって、熱流体シミュレーションを行うことにより、混合冷媒を用いた冷却システムにおける温度データを取得することにより、当該混合冷媒の熱抵抗の値を求めることができる。
そして、制御機能部104におけるエネルギー関数式簡略化部105は、熱抵抗、熱伝導率、及び比熱のデータを用いて、重回帰分析を行うことにより、熱抵抗を、熱伝導率及び比熱で表す相関式(重回帰式)を求める(S214)。言い換えると、S214において、エネルギー関数式簡略化部105は、熱流体シミュレーションの結果に基づいて算出した熱抵抗の値と、S209において出力した物性の一部ある熱伝導率及び比熱の値を用いて、重回帰分析を行う。そして、S214において、エネルギー関数式簡略化部105は、一の特性としての熱抵抗と、複数の物性としての熱伝導率及び比熱の相関関係を表す相関式を求める。
次いで、制御機能部104におけるエネルギー関数式簡略化部105は、上記のようにして求めた相関式を、エネルギー関数式に取り込み、エネルギー関数式を簡略化する(S215)。言い換えると、S215では、エネルギー関数式簡略化部105は、一の特性としての熱抵抗と、複数の物性としての熱伝導率及び比熱の相関関係を表す相関式を、イジングモデルに変換する前のエネルギー関数式に取り込み、エネルギー関数式を簡略化する。
続いて、制御機能部104における性能最適化部106は、規定したエネルギー関数式を、上記式(1)で表されるイジングに変換する(S216)。言い換えると、S216において、性能最適化部106は、エネルギー関数式におけるパラメータを抽出して、下記式(1)におけるb(バイアス)及びwij(ウエイト)を求めることにより、エネルギー関数式を、上記式(1)で表されるイジングモデルに変換する。
次いで、制御機能部104における性能最適化部106は、アニーリングマシンを用いて、上記式(1)を最小化する(S217)。言い換えると、S217において、性能最適化部106は、上記式(1)についての焼き鈍し法を用いた基底状態探索を実行することにより、上記式(1)の最小エネルギーを算出することで、エネルギー関数式を最小化する混合冷媒の組成を探索する。
そして、制御機能部104は、上記式(1)を最小化した結果に基づいて、エネルギー関数式が最小値となるときの、混合冷媒に含まれる物質の種類、それらの物質の混合比率(混合冷媒の組成)、及び当該混合冷媒における各物性(物性値)を出力する(S218)。そして、制御機能部104は、混合冷媒の組成及び物性を出力すると、処理を終了させる。
図8のフローチャートの例でも示したように、本件で開示する技術の一例では、複数の物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の物性を一の特性としてまとめてエネルギー関数式に取り込むことにより、エネルギー関数式に含まれるパラメータの数を減らすことができる。このため、本件で開示する技術の一例では、各パラメータの全てについて適切な重みづけ係数を設定することができ、エネルギー関数式における各物性を最適化することが容易になる。つまり、本件で開示する技術の一例では、エネルギー関数式における各物性を最適化することが容易であるため、エネルギー関数式を最小化したときに、各物性が最適化され、計算結果としてだけでなく実性能としても正しく最適化された混合物を特定することができる。
したがって、本件で開示する技術の一例では、エネルギー関数式が、多くの物性を含む場合であっても、混合物の性能を計算結果としてだけでなく実性能としても最適化できる。
また、図8においては、本件で開示する技術の一例を用いて、混合物の性能を最適化する際の流れについて、特定の順序に従って説明したが、本件で開示する技術においては、技術的に可能な範囲で、適宜各ステップの順序を入れ替えることができる。また本件で開示する技術においては、技術的に可能な範囲で、複数のステップを一括して行ってもよい。
さらに、本件で開示する技術の一例では、図8のフローチャートの例における、S212からS215などを繰り返して、複数の特性を、エネルギー関数式に取り込んでもよい。
以下に、焼き鈍し法及びアニーリングマシンの一例について説明する。
焼き鈍し法は、乱数値や量子ビットの重ね合わせを用いて確率的に解を求める方法である。以下では最適化したい評価関数の値を最小化する問題を例に説明し、評価関数の値をエネルギーと呼ぶことにする。また、評価関数の値を最大化する場合は、評価関数の符号を変えればよい。
まず、各変数に離散値の1つを代入した初期状態からはじめ、現在の状態(変数の値の組み合わせ)から、それに近い状態(例えば、1つの変数だけ変化させた状態)を選び、その状態遷移を考える。その状態遷移に対するエネルギーの変化を計算し、その値に応じてその状態遷移を採択して状態を変化させるか、採択せずに元の状態を保つかを確率的に決める。エネルギーが下がる場合の採択確率をエネルギーが上がる場合より大きく選ぶと、平均的にはエネルギーが下がる方向に状態変化が起こり、時間の経過とともにより適切な状態へ状態遷移することが期待できる。このため、最終的には最適解又は最適値に近いエネルギーを与える近似解を得られる可能性がある。
もし、これを決定論的にエネルギーが下がる場合に採択とし、上がる場合に不採択とすれば、エネルギーの変化は時間に対して広義単調減少となるが、局所解に到達したらそれ以上変化が起こらなくなってしまう。上記のように離散最適化問題には非常に多数の局所解が存在するために、状態が、ほとんど確実にあまり最適値に近くない局所解に捕まってしまう。したがって、離散最適化問題を解く際には、その状態を採択するかどうかを確率的に決定することが重要である。
焼き鈍し法においては、状態遷移の採択(許容)確率を次のように決めれば、時刻(反復回数)無限大の極限で状態が最適解に到達することが証明されている。
以下では、焼き鈍し法を用いて最適解を求める方法について、順序を追って説明する。
(1)状態遷移に伴うエネルギー変化(エネルギー減少)値(-ΔE)に対して、その状態遷移の許容確率pを、次のいずれかの関数f( )により決める。
ここで、Tは、温度値と呼ばれるパラメータであり、例えば、次のように変化させることができる。
(2)温度値Tを次式で表されるように反復回数tに対数的に減少させる。
ここで、Tは、初期温度値であり問題に応じて、十分大きくとることが望ましい。
(1)の式で表される許容確率を用いた場合、十分な反復後に定常状態に達したとすると、各状態の占有確率は熱力学における熱平衡状態に対するボルツマン分布に従う。
そして、高い温度から徐々に下げていくとエネルギーの低い状態の占有確率が増加するため、十分温度が下がるとエネルギーの低い状態が得られると考えられる。この様子が、材料を焼き鈍したときの状態変化とよく似ているため、この方法は焼き鈍し法(または、疑似焼き鈍し法)と称される。なお、エネルギーが上がる状態遷移が確率的に起こることは、物理学における熱励起に相当する。
図9に焼き鈍し法を行うアニーリングマシンの機能構成の一例を示す。ただし、下記説明では、状態遷移の候補を複数発生させる場合についても述べるが、基本的な焼き鈍し法は、遷移候補を1つずつ発生させるものである。
アニーリングマシン100は、現在の状態S(複数の状態変数の値)を保持する状態保持部111を有する。また、アニーリングマシン100は、複数の状態変数の値のいずれかが変化することによる現在の状態Sからの状態遷移が起こった場合における、各状態遷移のエネルギー変化値{-ΔEi}を計算するエネルギー計算部112を有する。さらに、アニーリングマシン100は、温度値Tを制御する温度制御部113、状態変化を制御するための遷移制御部114を有する。なお、アニーリングマシン100は、上記の混合物性能最適化装置10の一部とすることができる。
遷移制御部114は、温度値Tとエネルギー変化値{-ΔEi}と乱数値とに基づいて、エネルギー変化値{-ΔEi}と熱励起エネルギーとの相対関係によって複数の状態遷移のいずれかを受け入れるか否かを確率的に決定する。
ここで、遷移制御部114は、状態遷移の候補を発生する候補発生部114a、各候補に対して、そのエネルギー変化値{-ΔEi}と温度値Tとから状態遷移を許可するかどうかを確率的に決定するための可否判定部114bを有する。さらに、遷移制御部114は、可となった候補から採用される候補を決定する遷移決定部114c、及び確率変数を発生させるための乱数発生部114dを有する。
アニーリングマシン100における、一回の反復における動作は次のようなものである。
まず、候補発生部114aは、状態保持部111に保持された現在の状態Sから次の状態への状態遷移の候補(候補番号{Ni})を1つまたは複数発生する。次に、エネルギー計算部112は、現在の状態Sと状態遷移の候補を用いて候補に挙げられた各状態遷移に対するエネルギー変化値{-ΔEi}を計算する。可否判定部114bは、温度制御部113で発生した温度値Tと乱数発生部114dで生成した確率変数(乱数値)を用い、各状態遷移のエネルギー変化値{-ΔEi}に応じて、上記(1)の式の許容確率でその状態遷移を許容する。
そして、可否判定部114bは、各状態遷移の可否{fi}を出力する。許容された状態遷移が複数ある場合には、遷移決定部114cは、乱数値を用いてランダムにそのうちの1つを選択する。そして、遷移決定部114cは、選択した状態遷移の遷移番号Nと、遷移可否fを出力する。許容された状態遷移が存在した場合、採択された状態遷移に応じて状態保持部111に記憶された状態変数の値が更新される。
初期状態から始めて、温度制御部113で温度値を下げながら上記反復を繰り返し、一定の反復回数に達する、又はエネルギーが一定の値を下回る等の終了判定条件が満たされたときに動作が終了する。アニーリングマシン100が出力する答えは、終了時の状態である。
図9に示されるアニーリングマシン100は、例えば、半導体集積回路を用いて実現され得る。例えば、遷移制御部114は、乱数発生部114dとして機能する乱数発生回路や、可否判定部114bの少なくとも一部として機能する比較回路や、後述のノイズデーブルなどを含んでもよい。
図9に示されている遷移制御部114に関し、(1)の式で表される許容確率で状態遷移を許容するメカニズムについて、更に詳細に説明する。
許容確率pで1を、(1-p)で0を出力する回路は、2つの入力A,Bを持ち、A>Bのとき1を出力し、A<Bのとき0を出力する比較器の入力Aに許容確率pを、入力Bに区間[0,1)の値をとる一様乱数を入力することで実現することができる。したがって、この比較器の入力Aに、エネルギー変化値と温度値Tにより(1)の式を用いて計算される許容確率pの値を入力すれば、上記の機能を実現することができる。
すなわち、fを(1)の式で用いる関数、uを区間[0,1)の値をとる一様乱数とするとき、f(ΔE/T)がuより大きいとき1を出力する回路により、上記の機能を実現できる。
また、次のような変形を行っても、上記の機能と同じ機能が実現できる。
2つの数に同じ単調増加関数を作用させても大小関係は変化しない。したがって、比較器の2つの入力に同じ単調増加関数を作用させても出力は変わらない。この単調増加関数として、fの逆関数f-1を採用すると、-ΔE/Tがf-1(u)より大きいとき1を出力する回路とすることができることがわかる。さらに、温度値Tが正であることから、-ΔEがTf-1(u)より大きいとき1を出力する回路でよいことがわかる。
図9中の遷移制御部114は、逆関数f-1(u)を実現するための変換テーブルであり、区間[0,1)を離散化した入力に対して次の関数の値を出力するノイズテーブルを含んでもよい。
図10は、遷移制御部114の動作フローの一例を示す図である。図10に示す動作フローは、1つの状態遷移を候補として選ぶステップ(S0001)、その状態遷移に対するエネルギー変化値と温度値と乱数値の積の比較で状態遷移の可否を決定するステップ(S0002)、状態遷移が可ならばその状態遷移を採用し、否ならば不採用とするステップ(S0003)を有する。
(混合物性能最適化方法)
本件で開示する混合物性能最適化方法は、複数の物質の混合物の性能を最適化する混合物性能最適化方法であって、混合物における複数の物性ごとに重みづけをして混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式において、複数の物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の物性を一の特性としてまとめてエネルギー関数式に取り込み、エネルギー関数式を簡略化するエネルギー関数式簡略化工程を含む。
本件で開示する混合物性能最適化方法は、例えば、本件で開示する混合物性能最適化装置により行うことができる。また、本件で開示する混合物性能最適化方法における好適な態様は、例えば、本件で開示する混合物性能最適化装置における好適な態様と同様にすることができる。
(最適化プログラム)
本件で開示する混合物性能最適化プログラムは、複数の物質の混合物の性能を最適化する混合物性能最適化プログラムであって、混合物における複数の物性ごとに重みづけをして混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式において、複数の物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の物性を一の特性としてまとめてエネルギー関数式に取り込み、エネルギー関数式を簡略化するエネルギー関数式簡略化処理をコンピュータに行わせる。
本件で開示する混合物性能最適化プログラムは、例えば、本件で開示する混合物性能最適化方法をコンピュータに実行させるプログラムとすることができる。また、本件で開示する混合物性能最適化プログラムにおける好適な態様は、例えば、本件で開示する混合物性能最適化装置における好適な態様と同様にすることができる。
本件で開示する混合物性能最適化プログラムは、使用するコンピュータシステムの構成及びオペレーティングシステムの種類・バージョンなどに応じて、公知の各種のプログラム言語を用いて作成することができる。
本件で開示する混合物性能最適化プログラムは、内蔵ハードディスク、外付けハードディスクなどの記録媒体に記録しておいてもよいし、CD-ROM、DVD-ROM、MOディスク、USBメモリなどの記録媒体に記録しておいてもよい。
さらに、本件で開示する混合物性能最適化プログラムを、上記の記録媒体に記録する場合には、必要に応じて、コンピュータシステムが有する記録媒体読取装置を通じて、これを直接又はハードディスクにインストールして使用することができる。また、コンピュータシステムから情報通信ネットワークを通じてアクセス可能な外部記憶領域(他のコンピュータなど)に本件で開示する最適化プログラムを記録しておいてもよい。この場合、外部記憶領域に記録された本件で開示する混合物性能最適化プログラムは、必要に応じて、外部記憶領域から情報通信ネットワークを通じてこれを直接、又はハードディスクにインストールして使用することができる。
なお、本件で開示する混合物性能最適化プログラムは、複数の記録媒体に、任意の処理毎に分割されて記録されていてもよい。
(コンピュータが読み取り可能な記録媒体)
本件で開示するコンピュータが読み取り可能な記録媒体は、本件で開示する混合物性能最適化プログラムを記録してなる。
本件で開示するコンピュータが読み取り可能な記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、内蔵ハードディスク、外付けハードディスク、CD-ROM、DVD-ROM、MOディスク、USBメモリなどが挙げられる。
また、本件で開示するコンピュータが読み取り可能な記録媒体は、本件で開示する混合物性能最適化プログラムが任意の処理毎に分割されて記録された複数の記録媒体であってもよい。
本件で開示する技術の一実施例について説明するが、本件で開示する技術は、この実施例に何ら限定されるものではない。
実施例として、本件で開示する混合物性能最適化装置の一例を用いて、混合物としての混合冷媒の性能の最適化を行った。本実施例では、図6に示すような機能構成を有する最適化装置を用いて、図8のフローチャートに示した流れに従って、混合冷媒の性能の最適化を行った。また、エネルギー関数式の最小化(式(1)イジングモデルの最小化)には、デジタルアニーラ(登録商標)を用いた。
本実施例では、混合冷媒のベースとなるフッ素系冷媒として、低GWP(地球温暖化係数)のHFO(ハイドロフルオロオレフィン)冷媒である「オプテオンSF-10(三井・ケマーズ フロロプロダクツ株式会社製)」を選択した。なお、オプテオンSF-10の化合物名は、メトキシパーフルオロヘプテン(C13OCH)である。
混合冷媒における最適化する物性は、熱伝導率、引火点、比熱、粘度、電気導電率の5つの物性とし、混合冷媒に混合する物質(材料)の候補は、化学便覧における有機溶剤リストを参照して、上記5つの物性についての物性値が既知である、38種類の物質(溶剤材料)を選定してリスト化してデータベースとした。
また、混合する物質(材料)の候補の各物性に基づいて、混合冷媒における物性を推算できる関係式を規定した。混合冷媒における引火点、比熱、及び導電率の推算には,混合のモル平均値(混合する各物質のモル濃度に基づいて、各物質の物性値を重みづけして平均した値)を用いた。
混合冷媒における熱伝導率と粘度は、「物性推算法(大江修造著,データブック出版社)」を参考にして、以下に示す物性推算式を用いて推算した。
まず、混合冷媒における熱伝導率(λLm)は、次式で表すことができる。
Figure 0007388230000009
ここで、上記の(1)の式における「λLij」及び「φ」は、次の2つの式で表される。
Figure 0007388230000010
Figure 0007388230000011
「x」は第i成分のモル分率、「φ」は第i成分の容積分率、「V」は第i成分の分子容を意味する。例えば、上記の(1)において、N=2とすることにより、次式で示すように、2成分の混合物の熱伝導率を推算することができる。
Figure 0007388230000012
また、2成分の液体混合物の粘度としての動粘度(v)は、次式により推算できる。
Figure 0007388230000013
ここで、「v」は第i成分の動粘度、「φ」は第i成分の容積分率を意味し、αとαは、それぞれ次の2つの式で表され、「v<v」を満たすとする。
Figure 0007388230000014
Figure 0007388230000015
オプテオンSF-10を含む合計39種類の物質の組み合わせの中から、冷却性能を向上させるために最適な物質の組合せを、オプテオンSF-10を含むように3つの物質を組合せることにより探索した。混合冷媒の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式(E(X))を次式で規定した。
Figure 0007388230000016
また、α、β、γ、δ、及びεは、各物性に対する重みづけの係数である。
上記の(8)の式における制約項としては、下記の4つの制約を含むものを用いた。
混合物に混合する複数の物質の種類の数が所定数であるという制約
混合物における、複数の物質の混合比率の合計が100%であるという制約
混合物に混合する複数の物質として、同一の物質を複数回選択しないという制約
混合物が所定の物質を含むという制約
本実施例では、「混合物に混合する複数の物質の種類の数が所定数であるという制約」における所定数を「3」とし、「混合物が所定の物質を含むという制約」における所定の物質を「オプテオンSF-10」とした。
そして、上記の(8)の式におけるα、β、γ、δ、及びεの重みづけの係数を適宜変更し、上記の(8)の式を、上記の式(1)のイジングモデルに変換し、デジタルアニーラを用いて上記の式(1)のイジングモデルを最小化する計算を繰り返した。
より具体的には、α、β、γ、δ、及びεの重みづけの係数を、例えば、熱伝導率を重視する組合せ、引火点及び粘度を重視する組合せなど、適宜選択した8種類の組合せに変更して、それぞれの条件について、上記の式(1)のイジングモデルに最小値を与える混合冷媒の物性値及び組成を求めた。つまり、実施例1では、種々の物性における重みづけの係数を変更して、合計で8種類の混合冷媒の候補(混合候補)を得た。
続いて、上記の8種類の混合冷媒の候補について、それぞれの混合冷媒の物性の値を用いて、当該混合冷媒を使用した場合の冷却システムの冷却性能を評価するための熱流体シミュレーションを行った。熱流体シミュレーションにおいては、ぞれぞれの混合冷媒における物性として、熱伝導率、比熱、粘度、及び密度の値を利用した。なお、熱流体シミュレーションは、冷却システムにおいて熱源と接する受熱器を3次元モデル(対称モデル)化し、有限体積法により、受熱器における固体の熱伝導と冷媒の流動を解析した。計算には、熱流体シミュレーションソフトANSYS Fluentを使用した。
なお、図11には、熱流体シミュレーションにおける、熱源に接触する受熱器の温度に関するコンター図の一例を示した。図11に示すように、熱流体シミュレーションにおいては、受熱器を半分に切った半分(1/2)の対称モデルを用いた。また、図11の右側のスケールは、受熱器における温度分布のスケールを示す。図11に示す例では、受熱器の底部から熱が加わり、受熱器の断面の溝を、図11の左から右に混合冷媒が流れる条件で熱流体シミュレーションを行った。なお、図11では、熱源(CPU等の発熱部品)は省略されている。
次に、8つの個々の熱流体シミュレーションに基づいて、受熱器の底部の中央部分における温度Tcpのデータを取得した。そして、取得した温度Tcpに基づいて、次式を用いて、それぞれの混合冷媒における熱抵抗Rsysを算出した。
Figure 0007388230000017
ここで、「Tair」は熱流体シミュレーションで設定した環境温度であり、「Qin」は、受熱器に入力される熱量である。
ここで、種々の物性における重みづけの係数を変更して得た8種類の混合冷媒の候補(混合候補)における、選択された物質(材料)の名称及び物質の混合比率を表1に示し、熱伝導率、比熱、粘度、導電率、及び熱抵抗を表2に示す。また、表2において、熱伝導率、比熱、粘度、及び導電率は、8つの混合冷媒の候補(混合候補)の組成に基づいて計算した物性値であり、熱抵抗は、熱流体シミュレーションに基づいて計算した数値である。
Figure 0007388230000018
Figure 0007388230000019
ここで、上述したように、8つの混合冷媒の候補(混合候補)における、各物性のうち、「熱抵抗」は冷媒としての重要な物性(冷却性能に関係する物性)であると考えられる。このため、熱抵抗に密接に関係する「熱伝導率」及び「比熱」の各物性を、重回帰分析を行うことにより、「熱抵抗」という一つの特性にまとめた。具体的には、に熱伝導率、比熱、及び熱抵抗の値を用いて、重回帰式を次式の形式として、yを熱抵抗、xを熱伝導率、xを比熱として、重回帰分析を行った。
Figure 0007388230000020
重回帰分析を行った結果、上記の(10)の式におけるa、b、及びcは、それぞれ下記のように求められた。
a=-0.069214632
b=-0.000100303
c=1.026848908
そして、熱伝導率及び比熱の各物性を熱抵抗という一つの特性にまとめた上記の(10)の式を、上記の(8)のエネルギー関数式に取り込むことにより、上記の(8)のエネルギー関数式を簡略化すると、次式のようになる。
Figure 0007388230000021
続いて、上記の(11)における各物性の項の重みづけの係数(β、δ、ε、及びη)を適切に設定して、上記の(11)の式を、上記の式(1)のイジングモデルに変換し、デジタルアニーラを用いて上記の式(1)のイジングモデルに変換した上記の(11)の式を最小化して、混合冷媒の性能を最適化した。
上述したようにして、混合冷媒の性能を最適化したところ、イジングモデルに変換した上記の(11)の式を最小化する物性及び特性を有する混合冷媒として、下記の組成の混合冷媒が得られた。
オプテオンSF-10/n-ペンタン/メチルアルコール=52.4/10.5/37.1(質量%)
この混合冷媒について、上述した方法と同様にして、当該混合冷媒を用いた冷却システムの冷却性能を評価するための熱流体シミュレーションを行った。熱流体シミュレーションの結果に基づいて、熱抵抗Rsysの入力熱量依存性を解析した。解析結果を図12に示す。図12において、横軸は、受熱部(受熱器)への入熱量であり、部品の発熱量に相当する。また、図12において、縦軸は、熱抵抗であり、値が小さくなるほど,冷却性能が高いことを意味する。
また、オプテオンSF-10の純冷媒(オプテオンSF-10が100質量%の冷媒)についても、上記の混合冷媒と同様にして熱流体シミュレーションを行い、熱抵抗Rsysの入力熱量依存性を解析した。本実施例で特定した混合冷媒と、オプテオンSF-10の純冷媒とを比較すると、本実施例で特定した混合冷媒では、オプテオンSF-10の純冷媒と比べて、熱抵抗Rsysが約24%低下し、冷却性能が向上することを確認できた。
このように、本実施例で性能を最適化した混合冷媒は、従来の冷媒と比べて、冷却性能に対応する熱抵抗が顕著に低下する(冷却性能が顕著に向上)することがわかった。また、本実施例で性能を最適化した混合冷媒は、冷却性能が高いと共に、絶縁性があり、引火性がなく、粘度が低いものであり、冷媒としての実性能が最適化された混合冷媒である。
本実施例で性能を最適化した混合冷媒における、熱伝導率、比熱、粘度、導電率、及び熱抵抗を表3に示す。
Figure 0007388230000022
ここで、上記の8つの混合冷媒の候補(混合候補)と、本実施例で性能を最適化した混合冷媒とについて、対比して説明する。
例えば、混合候補における「No.1」の混合候補は、熱伝導率の項の重みづけの係数を大きくした(熱伝導率を重視した)条件の計算結果であり、熱抵抗が「0.718K/W」となっており、冷却性能は高いものと予想できる。しかしながら、「No.1」の混合候補においては、粘度が「3899.35μPa・s」と非常に高く、冷却システムの配管を流すことが困難であり、更には、導電率が「8.00E-05(8.00×10-5)S/m」と高く、電気伝導性を有しており、冷媒として実用することが難しい物性となっている。また、例えば、「No.2」の混合候補においては、粘度及び導電率は、冷媒として好ましい物性であると考えられるが、熱抵抗は「0.919K/W」となっており、実用上の冷却性能は、非常に低いと考えられる。
このように、上記の8つの混合冷媒の候補(混合候補)は、それぞれのエネルギー関数式に最小値を与える組合せであり、計算結果としては最適化されているが、混合冷媒としの実用上の性能(実性能)が最適化されたものではない。
一方、本実施例で最適化した混合冷媒は、熱抵抗が0.745K/Wと低く、冷却性能が高いと共に、絶縁性があり、引火性がなく、粘度が低いものであり、冷媒としての実性能が最適化された混合冷媒である。このように、本実施例では、エネルギー関数式を簡略化することにより、混合冷媒の性能を計算結果としてだけでなく実性能としても最適化できた。
<本件で開示する混合冷媒>
上述したように、「オプテオンSF-10(メトキシパーフルオロヘプテン)/n-ペンタン/メチルアルコール==52.4/10.5/37.1(質量%)」である混合冷媒は、冷却性能が高いと共に、絶縁性があり、引火性がなく、粘度が低いものであり、冷媒としての実性能が最適化された混合冷媒である。
このように、本件で開示する混合冷媒は、混合冷媒の全量に対して、メトキシパーフルオロヘプテンを52質量%、n-ペンタンを11質量%、及びメチルアルコールを37質量%含む。本件で開示する混合冷媒は、一つの側面では、冷却性能が高いと共に、絶縁性があり、引火性がなく、粘度が低いものであり、冷媒としての実性能が最適化されており、冷媒として好適に用いることができる。
図13は、本件で開示する技術の実施例において、混合物の性能を最適化する際の一例を示す図である。
図13の例に示すように、本実施例では、混合冷媒のベースとして「オプテオンSF-10(三井・ケマーズ フロロプロダクツ株式会社製)」を選択する。そして、本実施例では、混合冷媒に混合する物質(材料)の候補及び物質の候補の物性値を、化学便覧を参照してデータベースとする。
続いて、図13の例に示すように、本実施例では、化学便覧を参照して作成したデータベースから、最適化する物性として、混合冷媒に混合する物質についての熱伝導率、引火点、比熱、粘度、及び導電率の物性値を抽出する。
次に、図13の例に示すように、混合する物質(材料)の候補の各物性に基づいて、混合冷媒における物性を推算できる関係式を規定した後、各物性における重みづけの係数を設定して、エネルギー関数式を規定する。そして、規定したエネルギー関数式をイジングモデルに変換して、アニーリングマシンとしてのデジタルアニーラを用いて、エネルギー関数式を最小化する。本実施例では、各物性における重みづけの係数を適宜変更して、エネルギー関数式の最小化を複数回行うことにより、複数の混合冷媒の候補(混合候補)を得る(1段階目の最適化)。
次いで、1段階目の最適化を行った結果の混合候補の物性の値に基づいて、重回帰分析を行い、混合冷媒における複数の物性(本実施例では、熱伝導率及び比熱)を、1つの特性(本実施例では、熱抵抗)にまとめることができる重回帰式を得る。そして、本実施例では、重回帰式を、エネルギー関数式に取り込むことにより、エネルギー関数式を簡略化する。
続いて、本実施例では、図13の例に示すように、簡略化したエネルギー関数式をイジングモデルに変換して、アニーリングマシンとしてのデジタルアニーラを用いて、簡略化したエネルギー関数式を最小化する(2段階目の最適化)。本実施例では、2回目の最適化により、混合冷媒の性能を計算結果としてだけでなく、システム(装置)の実性能としても最適化でき、冷却性能が高いと共に、絶縁性があり、引火性がなく、粘度が低いものであり、冷媒としての実性能が最適化された混合冷媒を特定することができる。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
複数の物質の混合物の性能を最適化する混合物性能最適化装置であって、
前記混合物における複数の物性ごとに重みづけをして前記混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式において、
複数の前記物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の前記物性を前記一の特性としてまとめて前記エネルギー関数式に取り込み、前記エネルギー関数式を簡略化するエネルギー関数式簡略化部を備えることを特徴とする混合物性能最適化装置。
(付記2)
前記エネルギー関数式が、次式、
E=α・[物性1]+β・[物性2]+γ・[物性3]+・・・+制約項
で表される(ただし、前記Eは、前記エネルギー関数式であり、前記α、前記β、及び前記γは、前記重みづけの係数である)、
付記1に記載の混合物性能最適化装置。
(付記3)
前記制約項が、
前記混合物に混合する複数の前記物質の種類の数が所定数であるという制約と、
前記混合物における、複数の前記物質の混合比率の合計が100%であるという制約と、
前記混合物に混合する複数の前記物質として、同一の前記物質を複数回選択しないという制約と、
前記混合物が所定の前記物質を含むという制約と、
を含む、付記2に記載の混合物性能最適化装置。
(付記4)
前記一の特性が、複数の前記物性の中で、互いに相関する関係を有するものから重回帰分析により導かれる、付記1から3のいずれかに記載の混合物性能最適化装置。
(付記5)
前記エネルギー関数式簡略化部が、複数の前記一の特性を前記エネルギー関数式に取り込み、前記エネルギー関数式を簡略化する、付記1から4のいずれかに記載の混合物性能最適化装置。
(付記6)
複数の前記一の特性のうち、
第一の特性に係る、互いに相関する関係を有する前記混合物の複数の物性の中の少なくとも一つが、
第二の特性に係る、互いに相関する関係を有する前記混合物の複数の物性の中の少なくとも一つでもある、付記5に記載の混合物性能最適化装置。
(付記7)
前記エネルギー関数式簡略化部が、前記一の特性を前記エネルギー関数式に複数回取り込み、前記エネルギー関数式を簡略化する、付記1から6のいずれかに記載の混合物性能最適化装置。
(付記8)
前記エネルギー関数式簡略化部により簡略化された前記エネルギー関数式を最小化することにより、前記混合物の性能を最適化する性能最適化部を備える、付記1から7のいずれかに記載の混合物性能最適化装置。
(付記9)
前記性能最適化部が、下記式(1)で表されるイジングモデルに変換した前記エネルギー関数式に基づき、前記混合物の性能を最適化する、付記8に記載の混合物性能最適化装置。
Figure 0007388230000023
ただし、前記式(1)において、
前記Eは前記エネルギー関数式であり、
前記wijは、i番目のビットとj番目のビットとの間の相互作用を表す数値であり、
前記bは、i番目の前記ビットに対するバイアスを表す数値であり、
前記xは、i番目の前記ビットが0又は1であることを表すバイナリ変数であり、
前記xは、j番目の前記ビットが0又は1であることを表すバイナリ変数である。
(付記10)
前記性能最適化部が、焼き鈍し法により、前記エネルギー関数式を最小化する、付記8又は9に記載の混合物性能最適化装置。
(付記11)
前記混合物が混合冷媒である、付記1から10のいずれかに記載の混合物性能最適化装置。
(付記12)
前記混合冷媒がフッ素化合物を含む、付記11に記載の混合物性能最適化装置。
(付記13)
前記フッ素化合物がハイドロフルオロオレフィンを含む、付記12に記載の混合物性能最適化装置。
(付記14)
複数の物質の混合物の性能を最適化する混合物性能最適化プログラムであって、
前記混合物における複数の物性ごとに重みづけをして前記混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式において、
複数の前記物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の前記物性を前記一の特性としてまとめて前記エネルギー関数式に取り込み、前記エネルギー関数式を簡略化するエネルギー関数式簡略化処理をコンピュータに行わせることを特徴とする混合物性能最適化プログラム。
(付記15)
複数の物質の混合物の性能を最適化する混合物性能最適化方法であって、
前記混合物における複数の物性ごとに重みづけをして前記混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式において、
複数の前記物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の前記物性を前記一の特性としてまとめて前記エネルギー関数式に取り込み、前記エネルギー関数式を簡略化するエネルギー関数式簡略化工程を含むことを特徴とする混合物性能最適化方法。
(付記16)
混合冷媒の全量に対して、メトキシパーフルオロヘプテンを52質量%、n-ペンタンを11質量%、及びメチルアルコールを37質量%含むことを特徴とする混合冷媒。
10 混合物性能最適化装置
11 制御部
12 メモリ
13 記憶部
14 表示部
15 入力部
16 出力部
17 I/Oインターフェース部
18 システムバス
19 ネットワークインターフェース部
20 ネットワークインターフェース部
30 コンピュータ
40 コンピュータ
101 通信機能部
102 入力機能部
103 出力機能部
104 制御機能部
105 エネルギー関数式簡略化部
106 性能最適化部
107 シミュレーション部
108 記憶機能部
109 物質データベース
110 物性データベース

Claims (13)

  1. 複数の物質の混合物の性能を最適化する混合物性能最適化装置であって、
    前記混合物における複数の物性ごとに重みづけをして前記混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式において、
    複数の前記物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の前記物性を前記一の特性としてまとめて前記エネルギー関数式に取り込み、前記エネルギー関数式を簡略化するエネルギー関数式簡略化部を備え
    前記一の特性が、複数の前記物性の中で、互いに相関する関係を有するものから重回帰分析により導かれることを特徴とする混合物性能最適化装置。
  2. 前記エネルギー関数式が、次式、
    E=α・[物性1]+β・[物性2]+γ・[物性3]+・・・+制約項
    で表される(ただし、前記Eは、前記エネルギー関数式であり、前記α、前記β、及び前記γは、前記重みづけの係数である)、
    請求項1に記載の混合物性能最適化装置。
  3. 前記制約項が、
    前記混合物に混合する複数の前記物質の種類の数が所定数であるという制約と、
    前記混合物における、複数の前記物質の混合比率の合計が100%であるという制約と、
    前記混合物に混合する複数の前記物質として、同一の前記物質を複数回選択しないという制約と、
    前記混合物が所定の前記物質を含むという制約と、
    を含む、請求項2に記載の混合物性能最適化装置。
  4. 前記エネルギー関数式簡略化部が、複数の前記一の特性を前記エネルギー関数式に取り込み、前記エネルギー関数式を簡略化する、請求項1からのいずれかに記載の混合物性能最適化装置。
  5. 複数の前記一の特性のうち、
    第一の特性に係る、互いに相関する関係を有する前記混合物の複数の物性の中の少なくとも一つが、
    第二の特性に係る、互いに相関する関係を有する前記混合物の複数の物性の中の少なくとも一つでもある、請求項に記載の混合物性能最適化装置。
  6. 前記エネルギー関数式簡略化部により簡略化された前記エネルギー関数式を最小化することにより、前記混合物の性能を最適化する性能最適化部を備える、請求項1からのいずれかに記載の混合物性能最適化装置。
  7. 前記性能最適化部が、下記式(1)で表されるイジングモデルに変換した前記エネルギー関数式に基づき、前記混合物の性能を最適化する、請求項に記載の混合物性能最適化装置。
    Figure 0007388230000024
    ただし、前記式(1)において、
    前記Eは前記エネルギー関数式であり、
    前記wijは、i番目のビットとj番目のビットとの間の相互作用を表す数値であり、
    前記bは、i番目の前記ビットに対するバイアスを表す数値であり、
    前記xは、i番目の前記ビットが0又は1であることを表すバイナリ変数であり、
    前記xは、j番目の前記ビットが0又は1であることを表すバイナリ変数である。
  8. 前記性能最適化部が、焼き鈍し法により、前記エネルギー関数式を最小化する、請求項又はに記載の混合物性能最適化装置。
  9. 前記混合物が混合冷媒である、請求項1からのいずれかに記載の混合物性能最適化装置。
  10. 前記混合冷媒がフッ素化合物を含む、請求項に記載の混合物性能最適化装置。
  11. 前記フッ素化合物がハイドロフルオロオレフィンを含む、請求項10に記載の混合物性能最適化装置。
  12. 複数の物質の混合物の性能を最適化する混合物性能最適化プログラムであって、
    前記混合物における複数の物性ごとに重みづけをして前記混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式において、
    複数の前記物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の前記物性を前記一の特性としてまとめて前記エネルギー関数式に取り込み、前記エネルギー関数式を簡略化するエネルギー関数式簡略化処理をコンピュータに行わせ
    前記一の特性が、複数の前記物性の中で、互いに相関する関係を有するものから重回帰分析により導かれることを特徴とする混合物性能最適化プログラム。
  13. 複数の物質の混合物の性能を最適化する混合物性能最適化方法であって、
    前記混合物における複数の物性ごとに重みづけをして前記混合物の性能を最適化する計算を行うためのエネルギー関数式において、
    複数の前記物性の中で、一の特性に相関する関係を有する複数の前記物性を前記一の特性としてまとめて前記エネルギー関数式に取り込み、前記エネルギー関数式を簡略化するエネルギー関数式簡略化工程をコンピュータが行うことをみ、
    前記一の特性が、複数の前記物性の中で、互いに相関する関係を有するものから重回帰分析により導かれることを特徴とする混合物性能最適化方法。
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