JP7382264B2 - 偏光フィルム及び画像表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、偏光フィルム及び画像表示装置に関する。
液晶表示装置、有機EL表示装置などの画像表示装置は、例えば、その表示原理などの理由から、偏光フィルムを備えている。偏光フィルムは、例えば、偏光子及び透明保護フィルムを含む積層体である。偏光子は、一般的には、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムなどの親水性高分子フィルムに二色性色素を吸着させて、当該フィルムを一軸延伸することによって作製することができる。偏光子の透過率及び偏光度を向上させる観点から、二色性色素としては、ヨウ素が広く用いられる。
特許文献1には、硬化性樹脂組成物の硬化層を介して、偏光子と保護膜とを接着させた光学積層体が開示されている。特許文献1からは、硬化性樹脂組成物における脂環式エポキシ化合物の含有量を適切に調節することによって、光学積層体が高温多湿環境下に置かれた場合であっても、硬化層におけるヨウ素の含有率を低く維持できることが読み取れる。
特開2018-169512号公報
高温多湿環境下において、偏光子に含まれるヨウ素は、偏光子から、透明保護フィルム、又は偏光フィルムを画像表示パネルに貼り合わせるための粘着剤層に移動する傾向がある。特に、偏光子の厚さが小さく、偏光子におけるヨウ素の濃度が高い場合、ヨウ素は、偏光子から透明保護フィルム又は粘着剤層に移動しやすい。透明保護フィルム又は粘着剤層に移動したヨウ素は、透明保護フィルム又は粘着剤層を通じて、偏光フィルムの外部に透過する。偏光子におけるヨウ素の含有率が低下すると、偏光フィルムの偏光度が低下する。
従来の偏光フィルムでは、高温多湿環境下において、偏光子に含まれるヨウ素が偏光フィルムの外部に透過することを十分に抑制することができない。例えば、特許文献1は、光学積層体が高温多湿環境下に置かれた場合に、硬化層におけるヨウ素の含有率を低く維持することに着目している。しかし、特許文献1は、ヨウ素が偏光子から光学積層体の外部に透過することについて考慮していない。
そこで本発明は、高温多湿環境下において、偏光子に含まれるヨウ素の外部への透過を十分に抑制することができる偏光フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、樹脂層を備える偏光フィルムにおいて、樹脂層の引張貯蔵弾性率、樹脂層の線膨張係数、及び、樹脂層に含まれる重合体を形成するためのモノマーの双極子モーメントのそれぞれが、ヨウ素の外部への透過に関する指標として利用できることを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、
ヨウ素を含む偏光子と、
重合体を含む樹脂層と、を備え、
下記の要件(i)~(v)のうち、少なくとも1つが成立する、偏光フィルムを提供する。
(i)水中での65℃における前記樹脂層の引張貯蔵弾性率E1が1×108Pa以上である。
(ii)水中での85℃における前記樹脂層の引張貯蔵弾性率E2が1×108Pa以上である。
(iii)前記樹脂層を25℃から65℃に加熱し、さらに測定雰囲気を10%RHから90%RHに加湿した場合における前記樹脂層の線膨張係数α1が400×10-6/K以下である。
(iv)前記樹脂層を25℃から85℃に加熱し、さらに測定雰囲気を10%RHから85%RHに加湿した場合における前記樹脂層の線膨張係数α2が300×10-6/K以下である。
(v)前記重合体を形成するためのモノマーの双極子モーメントDが2Debye以下である。
本発明によれば、高温多湿環境下において、偏光子に含まれるヨウ素の外部への透過を十分に抑制することができる偏光フィルムを提供できる。
本発明の一実施形態にかかる偏光フィルムの概略断面図である。 偏光フィルムの変形例を示す概略断面図である。 偏光フィルムの別の変形例を示す概略断面図である。 偏光フィルムのさらに別の変形例を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態にかかる画像表示装置の概略断面図である。
以下、本発明の詳細を説明するが、以下の説明は、本発明を特定の実施形態に制限する趣旨ではない。
(偏光フィルムの実施形態)
図1に示すように、本実施形態の偏光フィルム10は、ヨウ素を含む偏光子1と、重合体Pを含む樹脂層2とを備えている。樹脂層2は、例えば、偏光子1よりも視認側に位置し、偏光子1に直接接している。ただし、樹脂層2と偏光子1との間には、本発明の効果を妨げない範囲で、接着剤層、易接着層などの他の層が配置されていてもよい。樹脂層2は、偏光子1よりも後述する画像表示パネル側に位置していてもよい。言い換えると、偏光子1が樹脂層2よりも視認側に位置していてもよい。樹脂層2は、例えば、偏光フィルム10の最も外側に位置している。なお、本明細書において、「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが十分に小さい部材を意味する。
偏光フィルム10は、接着剤層3、透明保護フィルム(第1透明保護フィルム)4及び粘着剤層5をさらに備えていてもよい。透明保護フィルム4は、例えば、接着剤層3を介して、偏光子1に貼り合わされている。粘着剤層5は、例えば、後述する画像表示パネルに偏光フィルム10を貼り合わせるための部材として機能する。そのため、粘着剤層5は、例えば、偏光フィルム10の最も外側で、偏光子1よりも画像表示パネル側に位置する。言い換えると、偏光子1は、例えば、粘着剤層5よりも視認側に位置している。樹脂層2、偏光子1、接着剤層3、透明保護フィルム4及び粘着剤層5は、例えば、積層方向にこの順で並んでいる。
本実施形態の偏光フィルム10では、下記の要件(i)~(v)のうち、少なくとも1つが成立し、好ましくは要件(iii)が成立する。偏光フィルム10において、要件(i)~(v)の全てが成立していてもよい。
(i)水中での65℃における樹脂層2の引張貯蔵弾性率E1が1×108Pa以上である。
(ii)水中での85℃における樹脂層2の引張貯蔵弾性率E2が1×108Pa以上である。
(iii)樹脂層2を25℃から65℃に加熱し、さらに測定雰囲気を10%RHから90%RHに加湿した場合における樹脂層2の線膨張係数α1が400×10-6/K以下である。
(iv)樹脂層2を25℃から85℃に加熱し、さらに測定雰囲気を10%RHから85%RHに加湿した場合における樹脂層2の線膨張係数α2が300×10-6/K以下である。
(v)樹脂層2に含まれる重合体Pを形成するためのモノマーMの双極子モーメントDが2Debye以下である。
まず、要件(i)について説明する。樹脂層2の引張貯蔵弾性率E1は、好ましくは5×108Pa以上であり、より好ましくは10×108Pa以上であり、さらに好ましくは15×108Pa以上である。引張貯蔵弾性率E1の上限値は、特に限定されないが、樹脂層2でのクラックを抑制する観点から、例えば100×108Paであってもよい。
樹脂層2の引張貯蔵弾性率E1は、例えば、次の方法によって測定することができる。まず、評価対象である樹脂層2を幅5mm、長さ30mmの短冊状に切り出して試験片とする。次に、試験片を市販の動的粘弾性測定装置にセットする。このとき、治具として、試験片を溶媒に浸漬させることが可能なものを用いる。試験片を固定するクランプ間の距離は、15mmに設定される。次に、試験片を水中に浸漬させる。試験片の温度が25℃であることを確認してから、試験片について動的粘弾性の測定を開始する。測定は、日本産業規格(JIS) K7244-4:1999に規定された引張振動-非共振法によって行う。振動の周波数は、1Hzに設定する。測定を開始してから、5℃/分の昇温速度で試験片を95℃まで加熱する。試験片の温度が65℃であるときの引張貯蔵弾性率の測定値を樹脂層2の引張貯蔵弾性率E1とみなすことができる。
次に、要件(ii)について説明する。樹脂層2の引張貯蔵弾性率E2は、好ましくは5×108Pa以上であり、より好ましくは10×108Pa以上であり、さらに好ましくは15×108Pa以上である。引張貯蔵弾性率E2の上限値は、特に限定されないが、樹脂層2でのクラックを抑制する観点から、例えば100×108Paであってもよい。樹脂層2の引張貯蔵弾性率E2は、例えば、引張貯蔵弾性率E1と同様の方法によって測定することができる。詳細には、引張貯蔵弾性率E1について上述した方法で、試験片について動的粘弾性の測定を行い、試験片の温度が85℃であるときの引張貯蔵弾性率の測定値を樹脂層2の引張貯蔵弾性率E2とみなすことができる。
次に、要件(iii)について説明する。樹脂層2の線膨張係数α1は、好ましくは200×10-6/K以下であり、より好ましくは180×10-6/K以下であり、さらに好ましくは150×10-6/K以下であり、特に好ましくは120×10-6/K以下である。線膨張係数α1の下限値は、特に限定されないが、樹脂層2でのクラックを抑制する観点から、例えば10×10-6/Kであってもよい。
樹脂層2の線膨張係数α1は、例えば、次の方法によって測定することができる。まず、評価対象である樹脂層2を幅5mm、長さ30mmの短冊状に切り出して試験片とする。次に、試験片を市販の熱機械分析装置にセットする。このとき、試験片を固定するクランプ間の距離は、15mmに設定される。試験片については、25℃10%RHの測定雰囲気に少なくとも10分放置する。次に、60分かけて試験片を65℃まで加熱し、試験片を10分保持する。次に、30分かけて測定雰囲気を10%RHから90%RHに加湿し、試験片を10分保持する。試験前後での試験片の長さの変化量ΔL(mm)に基づいて、下記式(1)から算出された線膨張係数αを樹脂層2の線膨張係数α1とみなすことができる。なお、式(1)において、L0は、25℃での試験片の長さを意味し、ΔTは、試験前後での試験片の温度の変化量を意味する。要件(iii)において、ΔTは、40℃である。
線膨張係数α=ΔL/(L0×ΔT) (1)
次に、要件(iv)について説明する。樹脂層2の線膨張係数α2は、好ましくは200×10-6/K以下であり、より好ましくは170×10-6/K以下であり、さらに好ましくは150×10-6/K以下であり、特に好ましくは100×10-6/K以下である。線膨張係数α2の下限値は、特に限定されないが、樹脂層2でのクラックを抑制する観点から、例えば10×10-6/Kであってもよい。樹脂層2の線膨張係数α2は、例えば、60分かけて試験片を85℃まで加熱すること、及び、30分かけて測定雰囲気を10%RHから85%RHに加湿することを除いて、上記の線膨張係数α1と同じ方法によって測定することができる。要件(iv)において、上記式(1)のΔTは、60℃である。
次に、要件(v)について説明する。重合体Pを形成するためのモノマーMの双極子モーメントDは、好ましくは1.7Debye以下であり、より好ましくは1.5Debye以下であり、さらに好ましくは1.3Debye以下である。双極子モーメントDの下限値は、特に限定されず、例えば、0.5Debyeである。
双極子モーメントDは、例えば、次の方法によって算出することができる。まず、重合体Pを形成するためのモノマーMを特定する。モノマーMについて、分子シミュレーションを行うことによって、双極子モーメントDを算出することができる。分子シミュレーションは、例えば、Materials Studio(BIOVIA社製、ver.8.0.0.843)、WebMO(ver.19.0.009e)などの公知のソフトウェアを用いて行うことができる。
分子シミュレーションによる双極子モーメントDの算出は、例えば、次の方法によって行うことができる。まず、Materials Studioを用いて、モノマーMの分子モデルを作成する。分子モデルについては、COMPASS(Condensed-phase Optimized Molecular Potentials for Atomistic Simulation Studies)IIの力場を採用して、構造を最適化する。次に、モノマーMの分子モデルをWebMOで処理する。詳細には、WebMOにおいて、Gaussianプログラム(Queue:g09)を用いて、モノマーMの分子モデルについて構造最適化計算を行う。このとき、汎関数としてB3LYPを用いてもよく、基底関数として6-31G(d)を用いてもよい。これにより、モノマーMの双極子モーメントDを算出することができる。
重合体Pが複数種類のモノマーMから形成されている場合、次の方法によって双極子モーメントDを特定することができる。まず、複数種類のモノマーMのそれぞれについて、上述の方法によって双極子モーメントを算出する。算出された双極子モーメントについて、各モノマーMのモル比率によって重み付けして加重平均を行う。得られた加重平均値を双極子モーメントDとみなすことができる。複数種類のモノマーMが互いに構造異性体である場合も、算出された双極子モーメントについて、各構造異性体のモル比率によって重み付けして加重平均を行うことにより、双極子モーメントDを算出することができる。
要件(i)及び(ii)の少なくとも1つが成立する場合、樹脂層2に含まれる重合体Pは、高温多湿環境下であっても、分子運動性が低い状態に維持される傾向がある。重合体Pの分子運動性が低いと、樹脂層2において、ヨウ素が侵入できる空間が生じにくい。これにより、ヨウ素が偏光子1から樹脂層2に移動することが抑制され、ヨウ素が偏光フィルム10の外部に透過することを抑制できる。
要件(iii)及び(iv)の少なくとも1つが成立する場合、樹脂層2に含まれる重合体Pは、高温多湿環境下であっても、自由体積が小さい状態に維持される傾向がある。重合体Pの自由体積が小さいと、樹脂層2において、ヨウ素が侵入できる空間が生じにくい。これにより、ヨウ素が偏光子1から樹脂層2に移動することが抑制され、ヨウ素が偏光フィルム10の外部に透過することを抑制できる。
要件(v)が成立する場合、重合体Pとヨウ素との間で静電的な相互作用が生じにくい傾向がある。すなわち、ヨウ素が重合体Pに引き付けられにくい。これにより、ヨウ素が偏光子1から樹脂層2に移動することが抑制され、ヨウ素が偏光フィルム10の外部に透過することを抑制できる。
本実施形態の偏光フィルム10では、下記式(2)によって算出されるyの値が1.3未満であってもよい。
y=(0.279)x1+(-1.51)x2+(0.178)x3+0.386 (2)
式(2)において、x1は、重合体Pを形成するためのモノマーMに含まれる回転可能な結合の数である。x1は、重合体Pの分子運動がどの程度制約されているかを予測するための指標となりうる。本明細書において、「回転可能な結合」とは、重原子間を結ぶ単結合のうち、環構造に含まれる結合、及び、末端に位置する重原子と他の重原子とを結ぶ単結合を除いたものを意味する。重原子とは、水素原子及びヘリウム原子以外の他の原子を意味し、具体的には、窒素原子、酸素原子などのヘテロ原子、及び、炭素原子が挙げられる。重原子間を結ぶ単結合の具体例は、炭素-炭素結合及び炭素-ヘテロ原子結合である。一例として、重合体Pがジメチロール-トリシクロデカンジアクリレートから形成されている場合、x1の値は8である。回転可能な結合の数は、分子記述子を計算するためのソフトウェアを用いて算出してもよい。このようなソフトウェアとしては、Dragon(version7.0)、alvaDescなどが挙げられる。
重合体Pが複数種類のモノマーMから形成されている場合、次の方法によってx1の値を特定することができる。まず、複数種類のモノマーMのそれぞれについて、回転可能な結合の数を算出する。算出された回転可能な結合の数について、各モノマーMのモル比率によって重み付けして加重平均を行う。得られた加重平均値をx1とみなすことができる。本実施形態において、x1の値は、特に限定されず、例えば2~20である。
2は、重合体Pを形成するためのモノマーMに含まれる反応点の数である。x2は、重合体Pについて、低分子化合物が通過できる程度の大きさの隙間がどの程度存在するかを予測するための指標となりうる。本明細書において、「反応点」とは、重合可能な基又は架橋可能な基を意味する。これらの基の具体例としては、(メタ)アクリロイル基などの重合性二重結合を有する基、エポキシ基、オキセタン基などの架橋性官能基が挙げられる。一例として、重合体Pがジメチロール-トリシクロデカンジアクリレートから形成されている場合、x2の値は2である。反応点の数は、上述の分子記述子を計算するためのソフトウェアを用いて算出してもよい。
重合体Pが複数種類のモノマーMから形成されている場合、次の方法によってx2の値を特定することができる。まず、複数種類のモノマーMのそれぞれについて、反応点の数を算出する。算出された反応点の数について、各モノマーMのモル比率によって重み付けして加重平均を行う。得られた加重平均値をx2とみなすことができる。本実施形態において、x2の値は、特に限定されず、例えば1~6である。
3は、重合体Pを形成するためのモノマーMのハンセン溶解度パラメータにおける分極項δP(MPa1/2)である。x3は、重合体Pと水分子又はヨウ素との間に生じる相互作用を予測するための指標となりうる。ハンセン溶解度パラメータとは、Hildebrandによって導入された溶解度パラメータを分散項δD、分極項δP、水素結合項δHの3成分に分割したものである。分極項δPは、分子間の双極子相互作用によるエネルギーを示している。ハンセン溶解度パラメータの詳細は、「Hansen Solubility Parameters; A Users Handbook(CRC Press, 2007)」に開示されている。分極項δPは、例えば、HSPiP(version5)などの公知のソフトウェアを用いて算出することができる。なお、分極項δPの値は、用いるソフトウェアによってわずかに異なることがある。しかし、この誤差は、通常、yの値を算出するにあたって無視できる程度の大きさである。
重合体Pが複数種類のモノマーMから形成されている場合、次の方法によってx3の値を特定することができる。まず、複数種類のモノマーMのそれぞれについて、ハンセン溶解度パラメータにおける分極項δP(MPa1/2)を算出する。算出された分極項δPについて、各モノマーMのモル比率によって重み付けして加重平均を行う。得られた加重平均値をx3とみなすことができる。本実施形態において、x3の値は、特に限定されず、例えば1~10(MPa1/2)である。x3の値は、好ましくは6(MPa1/2)以下であり、より好ましくは5(MPa1/2)以下であり、さらに好ましくは4(MPa1/2)以下である。
式(2)によって算出されるyの値は、好ましくは0.8以下であり、より好ましくは0.7以下であり、さらに好ましくは0.5以下であり、特に好ましくは0.3以下である。
式(2)によって算出されるyの値は、樹脂層2に含まれる重合体Pを形成するためのモノマーMに関する指標である。しかし、本発明者らの検討によると、yの値は、偏光子1に含まれるヨウ素の外部への透過を抑制するのに適した樹脂層2を選択するための指標としても有用である。yの値は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を有する重合体を含む樹脂層の特性を予測する指標として特に適している。
[偏光子]
偏光子1は、ヨウ素を含む限り、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素を吸着させて一軸延伸したものが挙げられる。偏光子1は、ポリビニルアルコール系フィルム及びヨウ素から構成されていることが好ましい。
偏光子1の厚さは、特に限定されず、例えば30μm以下であり、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは18μm以下であり、さらに好ましくは15μm以下であり、特に好ましくは12μm以下であり、とりわけ好ましくは10μm以下である。偏光子1の厚さは、2μm以上であってもよく、4μm以上であってもよく、5μm以上であってもよい。偏光子1の厚さは、7~12μmであってもよく、場合によっては1~7μm、特に4~6μmであってもよい。本明細書では、厚さが10μm以下である偏光子1を薄型偏光子と呼ぶことがある。薄型偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れている傾向がある。さらに、薄型偏光子は、寸法変化が抑制されており、耐久性に優れるという利点も有する。薄型偏光子によれば、偏光フィルム10を薄型化できる。偏光子1が薄型偏光子である場合、偏光フィルム10が実用上十分な偏光度を有するためには、偏光子1におけるヨウ素の濃度を高く調整する必要がある。本実施形態の偏光フィルム10では、偏光子1の厚さが小さく、偏光子1におけるヨウ素の濃度が高い場合であっても、ヨウ素が偏光子1から外部に透過することを十分に抑制することができる。
偏光子1は、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムなどの親水性高分子フィルムをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3~7倍に延伸することによって作製できる。親水性高分子フィルムは、必要に応じて、ホウ酸、ヨウ化カリウムなどを含む水溶液に浸漬させてもよい。さらに、必要に応じて、親水性高分子フィルムについて、染色の前に、水に浸漬させて水洗してもよい。親水性高分子フィルムを水洗することによって、表面に付着した汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができる。親水性高分子フィルムを水洗すると親水性高分子フィルムが膨潤するため、染色のムラなどを抑制できる効果もある。親水性高分子フィルムの延伸は、ヨウ素による染色の後に行ってもよく、染色しながら行ってもよく、ヨウ素による染色の前に行ってもよい。親水性高分子フィルムの延伸は、ホウ酸、ヨウ化カリウムなどを含む水溶液中、又は、水中で行ってもよい。
薄型偏光子としては、代表的には、特開昭51-069644号公報、特開2000-338329号公報、国際公開2010/100917号、特開2014-59328号公報、特開2012-73563号公報などに記載されたものを挙げることができる。これらの薄型偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂(PVA系樹脂)層と延伸用樹脂基材とを含む積層体を延伸する工程と、得られた延伸フィルムを染色する工程とを含む製造方法によって作製できる。この製造方法では、PVA系樹脂層が延伸用樹脂基材に支持されているため、延伸による破断などの欠陥が生じにくい。
薄型偏光子は、高倍率での延伸が可能であり、偏光性能を向上できるという観点から、上記の製造方法の中でも、ホウ酸水溶液中での延伸工程を含む製造方法によって作製されることが好ましく、特に、ホウ酸水溶液中での延伸工程の前に、補助的な空中延伸を実施する工程を含む製造方法によって作製されることが好ましい。ホウ酸水溶液中での延伸工程を含む製造方法は、国際公開2010/100917号、特開2014-59328号公報、特開2012-73563号公報などに開示されている。空中延伸を実施する工程を含む製造方法は、特開2014-59328号公報、特開2012-73563号公報などに開示されている。
[樹脂層]
上述した要件(i)~(v)のうち、少なくとも1つが成立する限り、樹脂層2及び樹脂層2に含まれる重合体Pは、特に限定されない。重合体Pは、例えば、ラジカル重合性モノマー、カチオン重合性モノマー及びアニオン重合性モノマーからなる群より選ばれる1つのモノマーに由来する構造単位を含み、好ましくはラジカル重合性モノマーに由来する構造単位を含む。重合体Pは、ラジカル重合性モノマーに由来する構造単位と、カチオン重合性モノマーに由来する構造単位とを含んでいてもよい。
ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレン系化合物が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
(メタ)アクリル酸エステルは、1つの(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリル酸エステルであってもよく、2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。重合体Pは、多官能(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含むことが好ましい。多官能(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含む重合体Pによれば、偏光子1から樹脂層2にヨウ素が移動することをより抑制できる傾向がある。多官能(メタ)アクリル酸エステルに含まれる(メタ)アクリロイル基の数は、特に限定されず、例えば2~6であり、好ましくは2~4である。多官能(メタ)アクリル酸エステルに含まれる(メタ)アクリロイル基の数が多すぎる場合、重合体P中に未反応の(メタ)アクリロイル基が残存することがある。
(メタ)アクリル酸エステルにおける(メタ)アクリロイル基以外の部分(以下、エステル部分と呼ぶことがある)の炭素数は、特に限定されず、例えば1~18であり、好ましくは4~10である。エステル部分は、環構造を含んでいてもよい。環構造は、窒素原子、酸素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよいが、脂環式炭化水素のみによって構成されていることが好ましい。環構造は、トリシクロデカンなどの縮合環構造であってもよく、シクロヘキサンなどの単環構造であってもよい。エステル部分は、エーテル基などの官能基を含んでいてもよい。
(メタ)アクリル酸エステルは、極性基を含んでいてもよいが、極性基を含まないことが好ましい。本明細書において、極性基は、水素原子と、酸素原子、窒素原子などのヘテロ原子との結合を含む基を意味する。極性基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、1級アミン基及び2級アミン基が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、5-(メタ)アクリルオキシ-2,6-ノルボルナンカルボラクトン、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-t-ブチルフェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-イソプロピル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、4-ビフェニル(メタ)アクリレート、1-ナフチル(メタ)アクリレート、2-ナフチル(メタ)アクリレート、1-アントラセン(メタ)アクリレート、1-アントラセンメチル(メタ)アクリレート、9-アントラセンメチル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリル酸エステル;ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、1,3-アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3,5-アダマンタントリオール-1,5-ジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレンなどの2官能(メタ)アクリル酸エステル;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、1,3,5-アダマンタントリオールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能(メタ)アクリル酸エステル;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能(メタ)アクリル酸エステル;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
スチレン系化合物は、例えば、芳香環及び1つ以上のビニル基を含む。(メタ)アクリル酸エステルと同様に、スチレン系化合物は、極性基を含んでいてもよいが、極性基を含まないことが好ましい。スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルベンジルクロライド、ブトキシスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
重合体Pは、ラジカル重合性モノマーに由来する構造単位を主成分として含むことが好ましく、実質的にラジカル重合性モノマーに由来する構造単位からなることが好ましい。本明細書において、「主成分」は、重合体Pに重量基準で最も多く含まれる構造単位を意味する。特に、重合体Pは、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含むことが好ましく、その含有率は、例えば50重量%以上であり、好ましくは70重量%より高く、より好ましくは80重量%以上であり、さらに好ましくは90重量%以上であり、特に好ましくは95重量%以上であり、とりわけ好ましくは99重量%以上である。
カチオン重合性モノマーとしては、例えば、ビニルエーテル化合物、エポキシ化合物及びオキセタン化合物が挙げられる。ビニルエーテル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどの脂肪族ビニルエーテル;フェニルビニルエーテル、2-フェノキシエチルビニルエーテル、p-メトキシフェニルビニルエーテルなどの芳香族ビニルエーテル;ブタンジオール-1、4-ジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテルなどが挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物及び脂肪族エポキシ化合物が挙げられる。芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノールのジグリシジルエーテル化合物(ビスフェノール型エポキシ樹脂);フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂及びヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルメタン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ポリビニルフェノールなどのポリアルコールのグリシジルエーテル化合物などが挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシド、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、リモネンジオキシド、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジエポキシド、ビシクロノナジエンジエポキサイド、トリシクロペンタジエンジエポキサイド、ドデカヒドロ-2,6-メタノ-2H-オキシラノ[3’,4’]シクロペンタ[1’,2’:6,7]ナフス[2,3-b]オキシランなどが挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物としては、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
オキセタン化合物としては、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、1,4-ビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル〕ベンゼン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、ビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテル、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルオキシメチル)オキセタンなどが挙げられる。
アニオン重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。アニオン重合性モノマーとしての(メタ)アクリル酸エステルは、ラジカル重合性モノマーとして上述したものを用いることができる。
重合体Pは、多官能モノマーに由来する構造単位を含むことが好ましい。多官能モノマーとしては、例えば、上述した多官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能ビニルエーテル化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物などが挙げられる。重合体Pにおける多官能モノマーに由来する構造単位の含有率は、例えば20重量%以上であり、好ましくは40重量%以上であり、より好ましくは50重量%以上であり、場合によっては70重量%以上であってもよい。多官能モノマーに由来する構造単位の含有率の上限値は、特に限定されず、例えば95重量%である。
重合体Pは、極性基を有するモノマーに由来する構造単位を含んでいてもよいが、含まないことが好ましい。重合体Pが極性基を有するモノマーに由来する構造単位を含む場合、偏光子1に含まれるヨウ素が樹脂層2に接近しやすい傾向がある。そのため、重合体Pにおける極性基を有するモノマーに由来する構造単位の含有率は、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下であり、特に好ましくは2重量%以下である。
樹脂層2は、例えば、重合体Pを主成分として含む。樹脂層2における重合体Pの含有率は、例えば50重量%以上であり、好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは90重量%以上であり、さらに好ましくは95重量%以上である。樹脂層2は、好ましくは、実質的に重合体Pのみからなる。ただし、樹脂層2は、重合体P以外に、帯電防止剤、酸化防止剤、無機粒子、レベリング剤などの添加剤を含んでいてもよい。
樹脂層2の厚さは、特に限定されず、例えば10μm以下であり、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは3μm以下である。樹脂層2の厚さは、偏光子1に含まれるヨウ素の外部への透過を十分に抑制する観点から、0.3μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であってもよい。
樹脂層2は、接着剤層又は易接着層を介して、偏光子1に貼り合わされていてもよい。樹脂層2を偏光子1に貼り合わせるための接着剤層としては、例えば、後述する接着剤層3について例示するものが挙げられる。易接着層は、例えば、ポリエステル骨格、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格、ポリウレタン骨格、シリコーン系、ポリアミド骨格、ポリイミド骨格、ポリビニルアルコール骨格などを有するポリマーを含む樹脂により形成することができる。樹脂に含まれるポリマーは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。易接着層は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤などの安定剤などが挙げられる。易接着層の厚さは、特に限定されず、好ましくは0.01~5μmであり、より好ましくは0.02~2μmであり、さらに好ましくは0.05~1μmである。易接着層は、複数の層の積層体であってもよい。
[接着剤層]
接着剤層3は、接着剤を含む層である。接着剤の材料は、特に限定されず、公知の材料を用いることができる。接着剤層3に含まれる接着剤としては、例えば、水系接着剤及び活性エネルギー線硬化型接着剤が挙げられる。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、例えば、特開2019-147865号、特開2016-177248号などに開示されたものを用いることができる。
接着剤層3の厚さは、特に限定されず、例えば3.0μm以下であり、好ましくは0.01~3.0μmであり、より好ましくは0.1~2.5μmであり、さらに好ましくは0.5~1.5μmである。接着剤層3の厚さが小さすぎる場合、接着剤層3の凝集力が不足し、剥離力が低下することがある。接着剤層3の厚さが大きすぎる場合、偏光フィルム10の断面に応力が加わると、接着剤層3にて剥離が起こることがある。すなわち、偏光フィルム10において、衝撃による剥がれ不良が発生することがある。
[透明保護フィルム]
透明保護フィルム4としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。透明保護フィルム4の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマー;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマー;ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル系ポリマー;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマー;ポリカーボネート系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などのオレフィン系ポリマー;ポリノルボルネンなどの環状オレフィン系ポリマー;塩化ビニル系ポリマー;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマー;イミド系ポリマー;スルホン系ポリマー;ポリエーテルスルホン系ポリマー;ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー;ポリフェニレンスルフィド系ポリマー;ビニルアルコール系ポリマー;塩化ビニリデン系ポリマー;ビニルブチラール系ポリマー;アリレート系ポリマー;ポリオキシメチレン系ポリマー;エポキシ系ポリマー;これらのポリマーの混合物などが挙げられる。
透明保護フィルム4は、上述したポリマーのうち、熱可塑性樹脂として機能するポリマーを含むことが好ましい。透明保護フィルム4における熱可塑性樹脂の含有率は、好ましくは50重量%~100重量%であり、より好ましくは50重量%~99重量%であり、さらに好ましくは60重量%~98重量%であり、特に好ましくは70重量%~97重量%である。透明保護フィルム4における熱可塑性樹脂の含有率が50重量%未満である場合、熱可塑性樹脂が本来有する高い透明性などの機能が十分に発現しないことがある。
透明保護フィルムは、添加剤を1種類以上含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などが挙げられる。
透明保護フィルム4は、特開2001-343529号公報、国際公開01/37007号などに記載されたポリマーフィルムであってもよい。このポリマーフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換及び/又は非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換及び/又は非置換フェニル基、並びに、ニトリル基を有する熱可塑性樹脂とを含む樹脂組成物が挙げられる。このポリマーフィルムの具体例としては、イソブチレン及びN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを含む樹脂組成物から形成されたフィルムが挙げられる。このフィルムは、例えば、樹脂組成物を混合押出することによって得られる。このフィルムは、位相差が小さく、光弾性係数が小さいため、偏光フィルム10の歪みによるムラなどの不具合を解消することができる。さらに、このフィルムは、透湿度が小さいため、多湿環境下での耐久性に優れる。
透明保護フィルム4の透湿度は、特に限定されないが、150g/m2/24h以下であることが好ましい。この場合、偏光フィルム10の内部に空気中の水分が侵入することを抑制でき、偏光フィルム10の水分率の変化を抑制できる。これにより、保存時などにおいて、偏光フィルム10のカールや寸法変化の発生を抑制できる。透湿度が低い透明保護フィルム4を形成する材料としては、例えば、ポリエステル系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、アリレート系ポリマー、アミド系ポリマー、オレフィン系ポリマー、環状オレフィン系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。透明保護フィルム4を形成する材料としては、ポリカーボネート系ポリマー、環状オレフィン系ポリマー及び(メタ)アクリル系ポリマーが好ましく、環状オレフィン系ポリマー及び(メタ)アクリル系ポリマーが特に好ましい。
透明保護フィルム4の厚さは、特に限定されないが、強度、取扱性などの観点から、5~100μmが好ましく、10~60μmがより好ましく、13~40μmがさらに好ましい。
透明保護フィルム4の表面には、部材間の密着性を向上させるために、コロナ処理、プラズマ処理等の易接着処理が施されていてもよい。透明保護フィルム4の表面上には、易接着層が配置されていてもよい。易接着層としては、樹脂層2について上述したものを用いることができる。
[粘着剤層]
粘着剤層5は、粘着剤を含む層である。粘着剤の材料は、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系ポリマー、ゴム系ポリマーなどをベースポリマーとして含むものを用いることができる。特に、(メタ)アクリル系ポリマーを含むアクリル系粘着剤は、光学的透明性に優れ、適切な濡れ性、凝集性、接着性などの粘着特性を有し、耐候性、耐熱性等に優れるため、粘着剤層5の材料に適している。
粘着剤層5は、異なる組成を有する複数の層の積層体であってもよい。粘着剤層5の厚さは、使用目的、接着力などに応じて適宜定まり、例えば1~500μmであり、1~200μmが好ましく、1~100μmがより好ましい。粘着剤層5の厚さは、50μm以下であってもよい。
偏光フィルム10が画像表示パネルに貼り合わされる前において、粘着剤層5は、セパレータと貼り合わされていてもよい。セパレータによれば、粘着剤層5の汚染を防止することができる。セパレータとしては、例えば、プラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シート、金属箔及びこれらのラミネート体などの薄膜について、必要に応じて、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデンなどの剥離剤でコート処理したものを用いることができる。
[他の部材]
偏光フィルム10は、上述した部材以外の他の部材をさらに備えていてもよい。偏光フィルム10は、例えば、樹脂層2よりも視認側に位置する透明基板をさらに備えていてもよい。透明基板が偏光フィルム10の最も外側に位置していてもよい。透明基板は、例えば、ガラス又はポリマーで構成されている。透明基板を構成するポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリカーボネートなどが挙げられる。ガラスで構成された透明基板の厚さは、例えば、0.1mm~1mmである。ポリマーで構成された透明基板の厚さは、例えば、10μm~200μmである。
透明基板は、例えば、OCA(optical clear adhesive)層を介して、樹脂層2と貼り合わされる。OCA層としては、例えば、粘着剤層5について上述したものを用いることができる。OCA層の厚さは、150μm以下であることが好ましい。
偏光フィルム10は、反射板、反透過板、位相差フィルム、視野角補償フィルム、輝度向上フィルムなどの光学フィルムをさらに備えていてもよい。位相差フィルムは、例えば、1/2波長板、1/4波長板などを含む。偏光フィルム10において、位相差フィルムは、偏光子1よりも画像表示パネル側(例えば、粘着剤層5と透明保護フィルム4との間)に配置されていてもよく、偏光子1よりも視認側に配置されていてもよい。
偏光フィルム10は、ハードコート層、反射防止層、スティッキング防止層、拡散層、アンチグレア層などの機能層をさらに備えていてもよい。偏光フィルム10において、ハードコート層は、樹脂層2よりも視認側に配置されていてもよい。
[偏光フィルムの製造方法]
偏光フィルム10は、例えば、次の方法によって作製することができる。まず、接着剤層3を介して、偏光子1と透明保護フィルム4とを貼り合わせる。次に、重合体Pを形成するためのモノマーMと、重合開始剤とを含む塗布液を準備する。重合開始剤は、塗布液に含まれるモノマーMに応じて適宜選択できる。一例として、塗布液がラジカル重合性モノマーを含む場合、重合開始剤として、光重合開始剤を用いることができる。塗布液がカチオン重合性モノマーを含む場合、重合開始剤として、光酸発生剤を用いることができる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、α-ヒドロキシ-α,α’-ジメチルアセトフェノン、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどの芳香族ケトン化合物;メトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフエノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オンなどのアセトフェノン系化合物;べンゾインメチルエーテル、べンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、べンゾインブチルエーテル、アニソインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタールなどの芳香族ケタール系化合物;2-ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物;1-フェノン-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物;チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナートなどが挙げられる。
光酸発生剤としては、例えば、下記式(i)によって表される化合物が挙げられる。
+- (i)
式(i)において、L+は、オニウムカチオンであり、X-は、PF6 -、SbF6 -、AsF6 -、SbCl6 -、BiCl5 -、SnCl6 -、ClO4 -、ジチオカルバメートアニオン及びSCN-からなる群より選ばれるカウンターアニオンである。
光酸発生剤の具体例としては、例えば、「サイラキュアーUVI-6992」、「サイラキュアーUVI-6974」(以上、ダウ・ケミカル日本株式会社製)、「アデカオプトマーSP150」、「アデカオプトマーSP152」、「アデカオプトマーSP170」、「アデカオプトマーSP172」(以上、株式会社ADEKA製)、「IRGACURE250」(チバスペシャルティーケミカルズ社製)、「CI-5102」、「CI-2855」(以上、日本曹達社製)、「サンエイドSI-60L」、「サンエイドSI-80L」、「サンエイドSI-100L」、「サンエイドSI-110L」、「サンエイドSI-180L」(以上、三新化学社製)、「CPI-100P」、「CPI-100A」(以上、サンアプロ株式会社製)、「WPI-069」、「WPI-113」、「WPI-116」、「WPI-041」、「WPI-044」、「WPI-054」、「WPI-055」、「WPAG-281」、「WPAG-567」、「WPAG-596」(以上、和光純薬社製)が挙げられる。
塗布液における重合開始剤の含有率は、例えば20重量%以下であり、好ましくは0.01~20重量%であり、より好ましくは0.05~10重量%であり、さらに好ましくは0.1~5重量%である。
次に、塗布液を偏光子1の上に塗布する。これにより、モノマーM及び重合開始剤を含む膜(塗膜)を偏光子1の上に形成できる。次に、塗膜から樹脂層2が形成されるように、モノマーMを重合させる。モノマーMの重合は、公知の方法で行うことができる。例えば、重合開始剤として光重合開始剤又は光酸発生剤を用いる場合、塗膜に活性エネルギー線を照射することによって、モノマーMを重合させることができる。活性エネルギー線としては、例えば、可視光線及び紫外線が挙げられる。本明細書では、塗膜に含まれるモノマーMを重合させることによって作製された樹脂層2を硬化樹脂層と呼ぶことがある。次に、透明保護フィルム4に粘着剤層5を貼り合わせることによって、偏光フィルム10が得られる。
樹脂層2は、次の方法によって作製してもよい。まず、モノマーMを重合させて、重合体Pを得る。得られた重合体Pを溶媒に添加し、塗布液を作製する。溶媒としては、例えば、重合体Pを溶解又は分散させることができる有機溶媒が挙げられる。次に、塗布液を偏光子1の上に塗布することによって塗膜を作製する。塗膜を乾燥させることによって、樹脂層2が得られる。
[偏光フィルムの特性]
本実施形態の偏光フィルム10では、上記の要件(i)~(v)のうち、少なくとも1つが成立するため、高温多湿環境下において、偏光子1に含まれるヨウ素の外部への透過が十分に抑制される。すなわち、高温多湿環境下において、偏光子1におけるヨウ素の濃度がほとんど変化しない。偏光子1におけるヨウ素の濃度の変化は、例えば、偏光フィルム10の単体透過率の変化から読み取ることができる。一例として、粘着剤層5を介して偏光フィルム10を無アルカリガラスに貼り合わせた状態で、偏光フィルム10を65℃90%RHの雰囲気下に24時間置いた場合に、偏光フィルム10の単体透過率の変化ΔY1は、例えば5以下であり、好ましくは4以下であり、より好ましくは2以下であり、さらに好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1以下である。
単体透過率の変化ΔY1は、具体的には、次の方法によって測定できる。まず、粘着剤層5を介して偏光フィルム10を無アルカリガラスに貼り合わせることによって得られた積層体の単体透過率Ts1を測定する。次に、この積層体を65℃90%RHの雰囲気下に24時間置く。この雰囲気下に置いた後の積層体について、単体透過率Ts2を測定する。単体透過率Ts2から単体透過率Ts1を差し引いた値を単体透過率の変化ΔY1とみなす。なお、積層体の単体透過率は、JIS Z8701-1999の2度視野(C光源)により、視感度補正を行なったY値である。単体透過率は、村上色彩技術研究所製のDOT-3などの市販の分光光度計を用いて測定することができる。単体透過率の測定波長は、380~700nm(10nm毎)である。無アルカリガラスは、アルカリ成分(アルカリ金属酸化物)を実質的に含まないガラスであり、詳細には、ガラスにおけるアルカリ成分の重量比率が、例えば1000ppm以下であり、さらには500ppm以下である。無アルカリガラスは、例えば板状であり、0.5mm以上の厚さを有する。
単体透過率Ts1は、特に限定されず、例えば42%~46%であり、好ましくは43%以上であり、より好ましくは44%以上である。単体透過率Ts2は、特に限定されず、例えば42%~48%であり、好ましくは47%以下であり、より好ましくは46%以下である。
(偏光フィルムの変形例)
偏光フィルム10において、樹脂層2は、偏光子1よりも後述する画像表示パネル側に位置していてもよい。図2に示すとおり、本変形例にかかる偏光フィルム11において、樹脂層2は、偏光子1よりも画像表示パネル側に位置する。樹脂層2の位置を除き、偏光フィルム11の構造は、偏光フィルム10の構造と同じである。したがって、偏光フィルム10と変形例の偏光フィルム11とで共通する要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略することがある。すなわち、以下の各実施形態に関する説明は、技術的に矛盾しない限り、相互に適用される。以下の各実施形態は、技術的に矛盾しない限り、相互に組み合わされてもよい。
樹脂層2は、例えば、偏光子1と接着剤層3との間に位置し、偏光子1及び接着剤層3のそれぞれに直接接している。ただし、樹脂層2と偏光子1との間には、接着剤層、易接着層などの他の層が配置されていてもよい。例えば、樹脂層2は、接着剤層又は易接着層を介して、偏光子1に貼り合わされていてもよい。樹脂層2を偏光子1に貼り合わせるための接着剤層及び易接着層としては、偏光フィルム10について上述したものが挙げられる。樹脂層2が偏光子1よりも画像表示パネル側に位置する場合、高温多湿環境下において、偏光子1に含まれるヨウ素が、粘着剤層5に移動し、粘着剤層5を通じて偏光フィルム11の外部に透過することを抑制できる。
(偏光フィルムの別の変形例)
偏光フィルム10は、上述した部材以外の他の部材をさらに備えていてもよい。図3に示すとおり、本変形例にかかる偏光フィルム12は、透明保護フィルム(第2透明保護フィルム)6をさらに有している。第2透明保護フィルム6を除き、偏光フィルム12の構造は、偏光フィルム10の構造と同じである。したがって、偏光フィルム10と変形例の偏光フィルム12とで共通する要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略することがある。
第2透明保護フィルム6は、偏光子1よりも視認側に位置する。偏光子1は、例えば、第1透明保護フィルム4と第2透明保護フィルム6との間に位置する。第2透明保護フィルム6は、例えば、樹脂層2よりも視認側であり、かつ偏光フィルム12の最も外側に位置している。ただし、偏光フィルム12が上述の透明基板を備える場合、第2透明保護フィルム6は、樹脂層2と透明基板との間に位置していてもよい。第2透明保護フィルム6は、例えば、樹脂層2に直接接している。ただし、第2透明保護フィルム6は、接着剤層、ハードコート層などの他の層を介して、樹脂層2に貼り合わされていてもよい。第2透明保護フィルム6を樹脂層2に貼り合わせるための接着剤層としては、例えば、接着剤層3について上述したものが挙げられる。
第2透明保護フィルム6としては、第1透明保護フィルム4について上述したものを用いることができる。第1透明保護フィルム4及び第2透明保護フィルム6は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
第2透明保護フィルム6を備えた偏光フィルム12では、高温多湿環境下において、偏光子1に含まれるヨウ素の外部への透過がより抑制される傾向がある。一例として、粘着剤層5を介して偏光フィルム12を無アルカリガラスに貼り合わせた状態で、偏光フィルム12を65℃90%RHの雰囲気下に120時間置いた場合に、偏光フィルム12の単体透過率の変化ΔY2は、例えば3以下であり、好ましくは2以下であり、より好ましくは1.5以下であり、さらに好ましくは1以下であり、特に好ましくは0.8以下である。
単体透過率の変化ΔY2は、具体的には、次の方法によって測定できる。まず、粘着剤層5を介して偏光フィルム12を無アルカリガラスに貼り合わせることによって得られた積層体の単体透過率Ts3を測定する。次に、この積層体を65℃90%RHの雰囲気下に120時間置く。この雰囲気下に置いた後の積層体について、単体透過率Ts4を測定する。単体透過率Ts4から単体透過率Ts3を差し引いた値を単体透過率の変化ΔY2とみなす。
単体透過率Ts3は、特に限定されず、例えば42%~46%であり、好ましくは43%以上であり、より好ましくは44%以上である。単体透過率Ts4は、特に限定されず、例えば42%~48%であり、好ましくは47%以下であり、より好ましくは46%以下である。
(偏光フィルムのさらに別の変形例)
偏光フィルム10は、2つ以上の樹脂層2を備えていてもよい。図4に示すとおり、本変形例にかかる偏光フィルム13は、2つの樹脂層2a及び2bを備えている。樹脂層2bを除き、偏光フィルム13の構造は、偏光フィルム10の構造と同じである。したがって、偏光フィルム10と変形例の偏光フィルム13とで共通する要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略することがある。
偏光フィルム13において、偏光子1は、2つの樹脂層2a及び2bの間に位置する。詳細には、樹脂層2bは、偏光子1よりも画像表示パネル側(例えば、偏光子1と接着剤層3との間)に位置する。2つの樹脂層2a及び2bの間に偏光子1が配置されている場合、偏光フィルム13において、偏光子1に含まれるヨウ素の外部への透過がより抑制される傾向がある。
樹脂層2bは、偏光子1に直接接していてもよい。ただし、樹脂層2bと偏光子1との間には、接着剤層、易接着層などの他の層が配置されていてもよい。例えば、樹脂層2bは、接着剤層又は易接着層を介して、偏光子1に貼り合わされていてもよい。樹脂層2bを偏光子1に貼り合わせるための接着剤層及び易接着層としては、偏光フィルム10について上述したものが挙げられる。
(画像表示装置の実施形態)
図5に示すように、本実施形態の画像表示装置100は、偏光フィルム10及び画像表示パネル20を備える。画像表示装置100では、偏光フィルム10に代えて、偏光フィルム11、12又は13も使用可能である。画像表示装置100において、偏光フィルム10は、例えば、粘着剤層5を介して画像表示パネル20に貼り合わされている。画像表示パネル20としては、有機EL表示パネル、液晶表示パネルなどが挙げられ、好ましくは有機EL表示パネルである。
画像表示装置100は、例えば、照明システム(図示せず)をさらに備える。一例として、偏光フィルム10、画像表示パネル20及び照明システムがこの順で並んでおり、偏光フィルム10が最も視認側に位置する。照明システムは、例えば、バックライト又は反射板を有し、画像表示パネル20に光を照射する。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
<薄型偏光子>
まず、非晶性ポリエチレンテレフタラート(PET)基材に、厚さ9μmのPVA層が製膜された積層体を準備した。この積層体について、延伸温度130℃で空中補助延伸を行うことによって延伸積層体を作製した。次に、ヨウ素を用いて、延伸積層体を染色し、着色積層体を得た。さらに、着色積層体について、ホウ酸水溶液中、延伸温度65度で延伸することによって、非晶性PET基材とPVA層とが一体に延伸された積層体を得た。積層体において、総延伸倍率は5.94倍であり、PVA層の厚さは5μmであった。上記の2段延伸によって非晶性PET基材に製膜されたPVA層のPVA分子は、高次に配向された。さらに、染色によって吸着されたヨウ素は、ポリヨウ素イオン錯体として一方向に高次に配向された。積層体に含まれるPVA層は、薄型偏光子として機能した。
<透明保護フィルム>
まず、特開2010-284840号公報の製造例1に記載された方法によって、イミド化されたメタクリル酸メチル-スチレン共重合体から構成された樹脂(イミド化MS樹脂)を作製した。次に、2軸混練機を用いて、イミド化MS樹脂100重量部及びトリアジン系紫外線吸収剤(アデカ社製、商品名:T-712)0.62重量部を220℃で混合し、樹脂ペレットを作製した。得られた樹脂ペレットは、100.5kPa、100℃の環境下で12時間乾燥させた。次に、単軸の押出機を用いて、ダイス温度270℃でTダイから樹脂ペレットを押し出すことによって、厚さ160μmのフィルムを作製した。さらに、このフィルムについて、その搬送方向に150℃の雰囲気下で延伸し、厚さを80μmに調節した。次に、水性ウレタン樹脂を含む易接着剤をフィルムに塗布した後に、搬送方向と直交する方向に150℃の雰囲気下でフィルムを延伸することによって、厚さ40μmの透明保護フィルムを得た。この透明保護フィルムの透湿度は、58g/m2/24hであった。
<活性エネルギー線硬化型接着剤組成物>
12重量部のヒドロキシエチルアクリルアミド(KJケミカルズ社製、商品名:HEAA)、24重量部の2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート(東亞合成社製、商品名:ARONIX M-5700)、12重量部のヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールアクリル酸付加物(共栄社化学社製、商品名:ライトアクリレートHPP-A)、38重量部の1,9-ノナンジオールジアクリレート(共栄社化学社製、商品名:ライトアクリレート1,9ND-A)、10重量部のアクリルオリゴマー(東亞合成社製、商品名:ARUFON UP-1190)、3重量部の2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン(IGM Resins社製、商品名:OMNIRAD 907)及び2重量部の2,4-ジエチルチオキサントン(日本化薬社製、商品名:KAYACURE DETX-S)を混合し、3時間撹拌することにより、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を得た。
<透明保護フィルム、接着剤層及び薄型偏光子を含む積層体>
富士機械社製のMCDコーター(セル形状:ハニカム、グラビアロール線数:1000本/inch、回転速度140%/対ライン速)を用いて、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を透明保護フィルムの貼合面に塗工した。得られた塗膜の厚さは、0.7μmであった。次に、ロール機を用いて、透明保護フィルムとPVA層を含む積層体とを貼り合わせた。このとき、塗膜とPVA層とを接触させた。ロール機のライン速度は、25m/minであった。次に、得られた積層体について、透明保護フィルム側から活性エネルギー線を照射した。活性エネルギー線としては、可視光線照射装置(Fusion UV Systems社製Light HAMMER10)から出射された可視光線を用いた。可視光線照射装置の光源は、ガリウム封入メタルハライドランプであった。可視光線照射装置では、バルブとしてVバルブを用いた。可視光線照射装置からの出射光のピーク照度は、1600mW/cm2であった。波長380nm~440nmの範囲において、可視光線照射装置からの出射光の積算照射量は、1000mJ/cm2であった。可視光線照射装置からの出射光の照度は、Solatell社製のSola-Checkシステムを用いて測定した。積層体に活性エネルギー線を照射することによって、塗膜中の活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が硬化した。次に、この積層体について、70℃で3分間熱風乾燥を行うことによって、透明保護フィルム、接着剤層及び薄型偏光子を含む積層体aを得た。
[実施例1]
(偏光フィルムA)
まず、50重量部のジシクロペンタニルアクリレート(日立化成社製、商品名:ファンクリルFA-513AS)、50重量部のジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学社製、商品名:ライトアクリレートDCP-A)、2重量部の2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン(IGM Resins社製、商品名:OMNIRAD 907)及び2重量部の2,4-ジエチルチオキサントン(日本化薬社製、商品名:KAYACURE DETX-S)を混合して塗布液を作製した。
次に、上記の積層体aから、PVA層に隣接している非晶性PET基材を取り除いた。セレクトローラー#0(オーエスジーシステムプロダクツ株式会社製)を用いて、露出したPVA層の上に上記の塗布液を塗工した。得られた塗膜の厚さは、1μmであった。次に、上述した可視光線照射装置を用いて、窒素気流下で可視光線を塗膜に照射することによってモノマーを重合させた。モノマーが重合することによって塗膜が硬化し、樹脂層が形成された。
次に、透明保護フィルムの表面に対して、コロナ処理を行った。この表面に、厚さ20μmの粘着剤層を貼り合わせた。粘着剤層は、アクリル系粘着剤で構成されていた。これにより、樹脂層、偏光子、接着剤層、透明保護フィルム及び粘着剤層をこの順で備えた偏光フィルムAを得た。
(偏光フィルムB)
まず、偏光フィルムAと同じ方法によって塗布液を作製した。富士機械社製のMCDコーター(セル形状:ハニカム、グラビアロール線数:700本/inch、回転速度140%/対ライン速)を用いて、厚さ20μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムの貼合面に塗布液を塗工した。得られた塗膜の厚さは、1μmであった。次に、上記の積層体aから、PVA層に隣接している非晶性PET基材を取り除いた。ロール機を用いて、TACフィルムと積層体aとを貼り合わせた。このとき、塗膜とPVA層とを接触させた。ロール機のライン速度は、25m/minであった。次に、得られた積層体について、TACフィルム側から活性エネルギー線を照射した。活性エネルギー線としては、上述した可視光線照射装置から出射された可視光線を用いた。積層体に活性エネルギー線を照射することによって、塗膜中のモノマーが重合した。モノマーが重合することによって塗膜が硬化した。次に、この積層体について、70℃で3分間熱風乾燥を行った。これにより、樹脂層が形成された。
次に、イミド化MS樹脂を含む透明保護フィルムの表面に対して、コロナ処理を行った。この表面に、厚さ20μmの粘着剤層を貼り合わせた。粘着剤層は、アクリル系粘着剤で構成されていた。これにより、TACフィルム(第2透明保護フィルム)、樹脂層、偏光子、接着剤層、イミド化MS樹脂を含む透明保護フィルム(第1透明保護フィルム)及び粘着剤層をこの順で備えた偏光フィルムBを得た。
[実施例2-10及び比較例1]
樹脂層を形成するための塗布液に含まれるモノマーを表1に記載されたモノマーに変更したことを除き、実施例1と同じ方法によって、実施例2-10及び比較例1の偏光フィルムA及びBを作製した。
[比較例2]
樹脂層を形成するための塗布液として、光硬化性樹脂組成物Bを用いたことを除き、実施例1と同じ方法によって、比較例2の偏光フィルムA及びBを作製した。なお、光硬化性樹脂組成物Bは、12重量部のヒドロキシエチルアクリルアミド(KJケミカルズ社製、商品名:HEAA)、20重量部の2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート(東亞合成社製、商品名:ARONIX M-5700)、12重量部のヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールアクリル酸付加物(共栄社化学社製、商品名:ライトアクリレートHPP-A)、34重量部の1,9-ノナンジオールジアクリレート(共栄社化学社製、商品名:ライトアクリレート1,9ND-A)、10重量部のアクリルオリゴマー(東亞合成社製、商品名:ARUFON UP-1190)、5重量部のジエチルアクリルアミド(KJケミカルズ社製、商品名:DEAA)、3重量部の2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン(IGM Resins社製、商品名:OMNIRAD 907)及び3重量部の2,4-ジエチルチオキサントン(日本化薬社製、商品名:KAYACURE DETX-S)の混合物であった。
[比較例3]
樹脂層を形成するための塗布液として、光硬化性樹脂組成物Aを用いたことを除き、実施例1と同じ方法によって、比較例3の偏光フィルムA及びBを作製した。光硬化性樹脂組成物Aは、43重量部のアクロイルモルホリン(KJケミカルズ社製、商品名:ACMO)、29重量部の1,9-ノナンジオールジアクリレート(共栄社化学社製、商品名:ライトアクリレート1,9ND-A)、14重量部のフェノキシジエチレングリコールアクリレート(共栄社化学社製、商品名:ライトアクリレートP2H-A)、10重量部のアクリルオリゴマー(東亞合成社製、商品名:ARUFON UP-1190)、2重量部の2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン(IGM Resins社製、商品名:OMNIRAD 907)及び2重量部の2,4-ジエチルチオキサントン(日本化薬社製、商品名:KAYACURE DETX-S)の混合物であった。
<単体透過率の変化ΔY1>
実施例及び比較例の偏光フィルムAについて、以下の方法によって、単体透過率の変化ΔY1を測定した。まず、粘着剤層を介して、偏光フィルムAを無アルカリガラスに貼り合わせた。得られた積層体について、単体透過率Ts1を測定した。単体透過率Ts1は、積分球付き分光透過率測定器(村上色彩技術研究所製のDot-3c)を用いて測定した。次に、この積層体を65℃90%RHの雰囲気下に24時間置いた。この雰囲気下に置いた後の積層体について、上記の分光透過率測定器を用いて、単体透過率Ts2を測定した。単体透過率Ts2から単体透過率Ts1を差し引くことによって、単体透過率の変化ΔY1を算出した。
<単体透過率の変化ΔY2>
実施例及び比較例の偏光フィルムBについて、以下の方法によって、単体透過率の変化ΔY2を測定した。まず、粘着剤層を介して、偏光フィルムBを無アルカリガラスに貼り合わせた。得られた積層体について、単体透過率Ts3を測定した。単体透過率Ts3は、積分球付き分光透過率測定器(村上色彩技術研究所製のDot-3c)を用いて測定した。次に、この積層体を65℃90%RHの雰囲気下に120時間置いた。この雰囲気下に置いた後の積層体について、上記の分光透過率測定器を用いて、単体透過率Ts4を測定した。単体透過率Ts4から単体透過率Ts3を差し引くことによって、単体透過率の変化ΔY2を算出した。
<引張貯蔵弾性率E1及びE2>
実施例及び比較例で用いられた樹脂層について、上述した方法によって引張貯蔵弾性率E1及びE2を測定した。動的粘弾性測定装置としては、TAインスツルメント社製の動的粘弾性測定装置RSA-G2を用いた。
<線膨張係数α1及びα2>
実施例及び比較例で用いられた樹脂層について、上述した方法によって線膨張係数α1及びα2を測定した。熱機械分析装置としては、ネッチ社製の熱機械分析装置TMA 4000 SEを用いた。
<双極子モーメントD>
実施例及び比較例で用いられた樹脂層を形成するための塗布液に含まれるモノマーについて、上述した方法によって双極子モーメントDを算出した。双極子モーメントDの算出には、Materials Studio(BIOVIA社製、ver.8.0.0.843)及びWebMO(ver.19.0.009e)を利用した。
Figure 0007382264000001
なお、表1中の略称は以下のとおりである。
FA513AS:ジシクロペンタニルアクリレート、日立化成社製
TBCHA:4-t-ブチルシクロヘキシルアクリレート、KJケミカルズ社製
L-A:ラウリルアクリレート、共栄社化学社製
ACMO:アクリロイルモルホリン、KJケミカルズ社製
DCP-A:ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、共栄社化学社製
TMP-A:トリメチロールプロパントリアクリレート、共栄社化学社製
PE-4A:ペンタエリスリトールテトラアクリレート、共栄社化学社製
DPE-6A:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、共栄社化学社製
1,9ND-A:1,9-ノナンジオールジアクリレート、共栄社化学社製
表1からわかるとおり、要件(i)~(v)のうち、少なくとも1つが成立する実施例の偏光フィルムAでは、単体透過率の変化ΔY1が5以下であり、高温多湿環境下におけるヨウ素の外部への透過が十分に抑制されていた。同様に、実施例の偏光フィルムBでは、単体透過率の変化ΔY2が3以下であり、高温多湿環境下におけるヨウ素の外部への透過が十分に抑制されていた。一方、要件(i)~(v)のいずれも成立しない比較例の偏光フィルムA及びBでは、実施例に比べて、単体透過率の変化が大きく、高温多湿環境下におけるヨウ素の外部への透過を十分に抑制できなかった。
本発明の偏光フィルムは、例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコンなどのモバイル用ディスプレイ;カーナビゲーション装置用パネル、クラスタパネル、ミラーディスプレイなどの車載用ディスプレイに好適に利用できる。
1 偏光子
2 樹脂層
3 接着剤層
4 第1透明保護フィルム
5 粘着剤層
6 第2透明保護フィルム
10,11,12,13 偏光フィルム
20 画像表示パネル
100 画像表示装置

Claims (14)

  1. ヨウ素を含む偏光子と、
    重合体を含む樹脂層と、を備え、
    前記重合体が、単官能(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位、及び、多官能モノマーに由来する構造単位を含み、
    下記の要件(i)~(v)の全てが成立する、偏光フィルム。
    (i)水中での65℃における前記樹脂層の引張貯蔵弾性率E1が1×10 8 Pa以上である。
    (ii)水中での85℃における前記樹脂層の引張貯蔵弾性率E2が1×10 8 Pa以上である。
    (iii)前記樹脂層を25℃から65℃に加熱し、さらに測定雰囲気を10%RHから90%RHに加湿した場合における前記樹脂層の線膨張係数α1が400×10-6/K以下である。
    (iv)前記樹脂層を25℃から85℃に加熱し、さらに測定雰囲気を10%RHから85%RHに加湿した場合における前記樹脂層の線膨張係数α2が300×10 -6 /K以下である。
    (v)前記重合体を形成するためのモノマーの双極子モーメントDが2Debye以下である。
  2. ヨウ素を含む偏光子と、
    重合体を含む樹脂層と、を備え、
    前記重合体が、単官能(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含み、
    前記重合体における極性基を有するモノマーに由来する構造単位の含有率が20重量%以下であり、
    下記の要件(i)~(v)の全てが成立する、偏光フィルム。
    (i)水中での65℃における前記樹脂層の引張貯蔵弾性率E1が1×10 8 Pa以上である。
    (ii)水中での85℃における前記樹脂層の引張貯蔵弾性率E2が1×10 8 Pa以上である。
    (iii)前記樹脂層を25℃から65℃に加熱し、さらに測定雰囲気を10%RHから90%RHに加湿した場合における前記樹脂層の線膨張係数α1が400×10-6/K以下である。
    (iv)前記樹脂層を25℃から85℃に加熱し、さらに測定雰囲気を10%RHから85%RHに加湿した場合における前記樹脂層の線膨張係数α2が300×10 -6 /K以下である。
    (v)前記重合体を形成するためのモノマーの双極子モーメントDが2Debye以下である。
  3. 前記樹脂層の前記線膨張係数α1が180×10-6/K以下である、請求項1又は2に記載の偏光フィルム。
  4. 前記重合体における(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位の含有率が70重量%より高い、請求項1~のいずれか1項に記載の偏光フィルム。
  5. 前記重合体が多官能モノマーに由来する構造単位を含む、請求項2に記載の偏光フィルム。
  6. 前記重合体における前記多官能モノマーに由来する前記構造単位の含有率が20重量%以上である、請求項1又はに記載の偏光フィルム。
  7. 前記重合体における極性基を有するモノマーに由来する構造単位の含有率が20重量%以下である、請求項1に記載の偏光フィルム。
  8. 前記樹脂層は、前記偏光子よりも視認側に位置する、請求項1~のいずれか1項に記載の偏光フィルム。
  9. 前記樹脂層は、前記偏光子に直接接している、請求項1~のいずれか1項に記載の偏光フィルム。
  10. 2つの前記樹脂層を備え、
    前記偏光子は、2つの前記樹脂層の間に位置する、請求項1~のいずれか1項に記載の偏光フィルム。
  11. 接着剤層及び第1透明保護フィルムをさらに備え、
    前記偏光子、前記接着剤層及び前記第1透明保護フィルムが、積層方向にこの順で並んでいる、請求項1~10のいずれか1項に記載の偏光フィルム。
  12. 第2透明保護フィルムをさらに備え、
    前記偏光子は、前記第1透明保護フィルムと前記第2透明保護フィルムとの間に位置する、請求項11に記載の偏光フィルム。
  13. 粘着剤層をさらに備え、
    前記偏光子は、前記粘着剤層よりも視認側に位置する、請求項1~12のいずれか1項に記載の偏光フィルム。
  14. 請求項1~13のいずれか1項に記載の偏光フィルムと、
    画像表示パネルと、
    を備えた、画像表示装置。
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