JP7377561B2 - エレクトロポレーションによるプロトプラストまたは藻類への物質導入方法、および、エレクトロポレーター用電源装置 - Google Patents

エレクトロポレーションによるプロトプラストまたは藻類への物質導入方法、および、エレクトロポレーター用電源装置 Download PDF

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Description

本出願における開示は、エレクトロポレーションによるプロトプラストまたは藻類への物質導入方法(以下、単に「物質導入方法」と記載することがある。)、および、エレクトロポレーター用電源装置(以下、単に「電源装置」と記載することがある。)に関する。特に、エレクトロポレーションによるプロトプラストまたは藻類への物質導入の際に、物質の導入効率に優れた物質導入方法、および、当該物質導入方法に用いる電源装置に関する。
ゲノム編集による遺伝子改変は、医学および生物学を含む様々な研究分野において、生物の基本的メカニズムの解明のために、あるいは、ヒトの疾患のモデルとして、使用されている。遺伝子改変には様々な方法が知られているが、CRISPR/Cas9システムを用いるゲノム編集技術が出現して以来、その手軽さと正確性からさまざまな応用例が開発されている。
CRISPR/Cas9等の物質の細胞への導入方法としては、PEG法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法、マイクロインジェクション法等が知られている。例えば、Cas9タンパク質をエレクトロポレーション法により、哺乳動物の受精卵に導入した例が知られている(特許文献1参照)。
また、ゲノム編集による遺伝子改変は、植物細胞でも行われる。植物細胞は硬い細胞壁で覆われている。そのため、植物細胞の遺伝子改変は、細胞壁を取り除いたプロトプラストの状態で、エレクトロポレーションまたはマイクロインジェクションにより、核酸を導入した例が知られている(特許文献2参照)。
特開2017-184639号公報 特表2011-514141号公報
エレクトロポレーション法は、上記のとおり、動物細胞やプロトプラストへの物質導入方法として知られている。ところで、市販のエレクトロポレーターは、電極間に挟んだ細胞と導入物質の混合液に印加する電気条件、例えば、電圧値、電圧印加回数、電圧を印加する時間、パルス間隔(電圧を印加後、次の電圧を印加するまでの休止時間)等の調整ができる。したがって、細胞の種類に応じて、適宜実験条件を選択している。しかしながら、上記特許文献2に記載のとおり、エレクトロポレーション法により、プロトプラストへ核酸等の物質を導入できることは記載されているが、エレクトロポレーション法によるプロトプラストへの物質導入はあまり行われていない。したがって、プロトプラストに対するエレクトロポレーションの望ましい条件はあまり知られていないという問題がある。
本出願の開示は、上記問題点を解決するためになされたものである。そして、新たにエレクトロポレーター用電源装置を開発し、プロトプラストへ物質導入する際のエレクトロポレーションの条件を検討したところ、(1)プラス電圧のポレーションパルスに続きマイナス電圧のポレーションパルスを印加し、且つ、(2)プラス電圧のポレーションパルスを印加後、マイナス電圧のポレーションパルスを印加するまでの間隔を50μsec以下とすると、プロトプラストに対する物質の導入効率が向上すること、を新たに見出した。
すなわち、本出願の開示の目的は、新たな電圧印加条件による物質導入方法、および、当該新たな電圧印加条件を提供するための電源装置を提供することである。
本出願における開示は、以下に示す、エレクトロポレーションによるプロトプラストまたは藻類への物質導入方法、および、エレクトロポレーター用電源装置に関する。
(1)エレクトロポレーションによるプロトプラストまたは藻類への物質導入方法であって、
該物質導入方法は、
一対のエレクトロポレーション用電極の間に、プロトプラストまたは藻類、および、導入する物質を含む混合液を配置する混合液配置工程と、
一対のエレクトロポレーション用電極間に電圧を印加する電圧印加工程と、
を含み、
電圧印加工程が、
一対のエレクトロポレーション用電極の一方に、プラス電圧のポレーションパルスに続きマイナス電圧のポレーションパルスを印加するポレーションパルス印加工程を1以上含み、
プラス電圧のポレーションパルスを印加後、マイナス電圧のポレーションパルスを印加するまでの間隔が50μsec以下である、
物質導入方法。
(2)ポレーションパルス印加工程の後に、ドライビングパルスを印加するドライビングパルス印加工程を含む、
上記(1)に記載の物質導入方法。
(3)導入する物質が、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、および、イオン化もしくは帯電する物質、から選択される、
上記(1)または(2)に記載の物質導入方法。
(4)エレクトロポレーター用電源装置であって、
電源装置は、
ポレーションパルスを出力するためのポレーションパルス直流電源部と、
制御部と、
を含み、
制御部は、
プラス電圧のポレーションパルスに続きマイナス電圧のポレーションパルスを印加し、且つ、
プラス電圧のポレーションパルスを印加後、マイナス電圧のポレーションパルスを印加するまでの間隔が50μsec以下、
となるように、ポレーションパルスの出力を制御する、
エレクトロポレーター用電源装置。
(5)ドライビングパルスを出力するためのドライビングパルス直流電源部を更に含み、
制御部は、ポレーションパルスを出力した後、電圧の絶対値がポレーションパルスより小さいドライビングパルスを出力するように制御する、
上記(4)に記載のエレクトロポレーター用電源装置。
(6)制御部が、ハードタイマーを更に含む、
上記(4)または(5)に記載のエレクトロポレーター用電源装置。
本出願で開示する電源装置を用い、新たなエレクトロポレーション条件により物質導入を行うと、物質の導入効率が向上する。
図1は、第1の実施形態に係る物質導入方法の電圧印加工程で印加されるパルスの波形の一例を示す図である。 図2は、第2の実施形態に係る物質導入方法の電圧印加工程で印加されるパルスの波形の一例を示す図である。 図3は、実施例2で用いたプラスミドのプラスミドマップである。 図4は、図3に示すプラスミドマップの塩基配列である。 図5Aは実施例2においてパルスを印加した際に、オシロスコープで得られたポレーションパルスとドライビングパルスの波形を表す。図5Bは、図5Aの1セット目のポレーションパルスを時間軸方向に拡大した波形を表している。図5Cは比較例2、図5Dは比較例3で得られたポレーションパルスとドライビングパルスの波形を表す 図6は図面代用写真で、図6Aは、実施例2のエレクトロポレーション後、24時間培養後のプロトプラストを、倒立顕微鏡を用いて撮像した蛍光写真である。図6Bは比較例2、図6Cは比較例3の蛍光写真である。 図7は図面代用写真で、図7Aは、実施例3のエレクトロポレーション後、24時間培養後のプロトプラストの蛍光写真で、図7Bは、通常光写真である。 図8は図面代用写真で、図8Aの左側は実施例4で得られた細胞塊の通常の拡大写真、右側は同じ細胞塊の自家蛍光の蛍光写真である。図8Bの左側は比較例4で得られた細胞塊の通常の拡大写真、右側は同じ細胞塊の自家蛍光の蛍光写真である。図8Cの左側は実施例4および比較例4で得られた6.5カ月培養後の細胞塊の写真、右側は同じ細胞塊の自家蛍光の蛍光写真である 図9は図面代用写真で、図9左側は、実施例5で得られたシュートのGFPの蛍光写真である。図9右側は、比較例5で得られたシュートの自家蛍光の蛍光写真である。 図10は、実施例5で用いたプライマーの概略を示す図である。 図11は図面代用写真で、実施例5の電気泳動結果を示す写真である。 図12は、実施例6で作製した電源装置を用いてパルスを印加した際に、オシロスコープで得られた、1セット目のポレーションパルスの波形を表す。
以下、図面を参照しつつ、物質導入方法の実施形態、および、電源装置の実施形態について、詳しく説明する。なお、本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一または類似の符号が付されている。そして、同一または類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
(物質導入方法および電源装置の第1の実施形態)
物質導入方法は、
(1)一対のエレクトロポレーション用電極の間に、プロトプラストまたは藻類、および、導入する物質を含む混合液を配置する混合液配置工程と、
(2)一対のエレクトロポレーション用電極間に電圧を印加する電圧印加工程と、
を含んでいる。
プロトプラストは、植物細胞から酵素を用いた公知の方法で単離することができる。植物の種類は、プロトプラストを作製できれば特に制限はない。また、細胞壁を有しない藻類も、プロトプラストと同様に物質導入方法に用いることができる。なお、藻類は、酸素発生型光合成を行う生物のうち、コケ植物、シダ植物、種子植物を除いた総称であり、例えば、シアノバクテリア(藍藻);珪藻、黄緑藻、渦鞭毛藻などの真核細胞生物;紅藻、褐藻、緑藻などの多細胞生物である海藻類、等が挙げられる。なお、以下において、プロトプラストと藻類を纏める時には「プロトプラスト等」と記載する。
エレクトロポレーション法によりプロトプラスト等に導入する物質としては、プロトプラスト等に導入できる物質であれば特に制限はない。エレクトロポレーションは、一対のエレクトロポレーション用電極間に電気を印加することで物質を導入する。したがって、物質としては、エレクトロポレーション用媒体に添加した時に、電荷を帯びるもの(イオン化もしくは帯電する物質)であれば特に制限はない。例えば、DNAやRNA等の核酸、アミノ酸、アミノ酸が2~49個程度結合したペプチド、アミノ酸が50個以上結合したタンパク質等が挙げられる。なお、核酸の場合、一本鎖であっても2本鎖であってもよい。また、イオン化する物質としては、低分子有機化合物や無機化合物であってもよい。なお、核酸やアミノ酸も帯電する物質である。したがって、重複を避けるため、本明細書において、「イオン化もしくは帯電する物質」と記載した場合、「イオン化もしくは帯電する物質」から「DNAやRNA等の核酸、アミノ酸、アミノ酸が2~49個程度結合したペプチド、アミノ酸が50個以上結合したタンパク質」は除かれる。
媒体は、エレクトロポレーションで一般的に用いられるバッファーや培地等であれば特に制限はない。例えば、Opti-MEMI、PBS、HBS、HBSS、Hanks、HCMFなどの培地またはバッファーが挙げられる。
エレクトロポレーション用電極(以下、単に「電極」と記載することがある。)は、従来からエレクトロポレーション法において使用される電極であれば特に制限はない。例えば、白金、金、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属からなる電極が挙げられる。通常、2本の電極が約0.25mmないし約10mm、例えば約0.5mmないし約4mmまたは約1mmないし約2mmのギャップをあけ、そのギャップに混合液を配置すればよい。電極は、混合物を入れるための容器と組み合わせたキュベット電極であってもよい。エレクトロポレーション用電極は、例えば、BioRad社、BTX社、BEX社、Eppendorf社などから購入できる。
図1を参照して、第1の実施形態に係る物質導入方法の電圧印加工程について、より詳しく説明する。図1は、第1の実施形態に係る物質導入方法の電圧印加工程で印加されるパルスの波形の一例を示す図である。第1の実施形態に係る電圧印加工程のポレーションパルスは、先ず、一対の電極の一方に、矩形状のプラス電圧のポレーションパルス(以下、「プラスPp」と記載することがある。)が印加され(図1のa)、続いて、マイナス電圧のポレーションパルス(以下、「マイナスPp」と記載することがある。)が印加される(図1のb)。そして、第1の実施形態に係る発明では、プラスPp(a)を印加後、マイナスPp(b)を印加するまでの間隔(t1)が、50μsec以下であることが特徴である。なお、電極自体は極性を持たないので、電源装置と電極を接続すれば、一対の電極の一方には、プラスPpが印加され、続いて、マイナスPpが印加される。
市販のエレクトロポレーター、例えば、CUY21EDITII DECAY SQUARE MODE(株式会社ベックス社製)では、プラスPpを印加後、マイナスPpを印加することはできるが、間隔(t1)は50msec~99.9msecとなっている。つまり、市販のエレクトロポレーターでは、ポレーションパルスを印加する場合のパルスの間隔(t1)の下限値は50msecである。
一方、第1の実施形態に係る物質導入方法(電源装置)では、従来のエレクトロポレーターが設定可能な電圧印加条件の範囲を超えて再検討した結果、プラスPpを印加後、マイナスPpを印加する間隔(t1)を、市販装置の1/1000程度にしている。つまり、市販のエレクトロポレーターでは、全く想定していない条件を試したところ、プロトプラスト等への物質の導入効率を高められることを新たに発見した。
プラスPpを印加後、マイナスPpを印加する間隔(t1)を50μsec以下とするためには、電源装置のプログラムと、必要に応じてハードを改良することで実施できる。より具体的には、CUY21EDITII DECAY SQUARE MODE(株式会社ベックス社製)(以下、「従来装置」と記載することがある。)の制御部を、以下のとおり改良することで作製できる。
(1)プログラムで改良
プラスPp印加後、マイナスPpを印加する間隔t1の下限値は、CPU性能に応じて決まる。より具体的には、従来装置では、プログラム上でt1(以下、プログラム上で設定するt1を「プログラムt1」と記載する。)を0秒に設定しても、実際にプログラムの指令に従って、プラスPpからマイナスPpを印加するまでに50μsecのタイムラグが発生することを新たに発見した。従来装置では、プラグラムt1は50msecとなるように作製されていたが、プログラムを改良し、プログラムt1を0秒とすることで、プラスPp印加後、マイナスPp印加までの実際の間隔t1が50μsecの電源装置を作製できる。なお、CPUの性能が上がれば、プログラムt1を0秒とすることで、実際の間隔t1を更に短くすることも可能である。また、上記の50μsecは、プログラムt1を0秒とした時の実際の間隔t1に相当することから、プログラミングする際に、プログラムt1を0秒以上の値とすることで、実際の間隔t1を50μsec以上に設定できる。例えば、従来装置の改良の場合、プログラムt1を50μsecに改良することで、実際の間隔t1を100μsecとすることができる。
(2)プログラムおよびハードを改良
上記のとおり、プログラムt1を0秒に改良しても、実際の間隔t1は50μsecのタイムラグがある。そのため、実際の間隔t1を50μsecより更に短くしたい場合は、プログラムの改良のみでは困難である。したがって、実際の間隔t1を50μsecより短くしたい場合は、プログラムの改良と共に、ハードタイマーを制御部に組み込むことで電源装置を作製できる。より具体的には、ハードタイマーに間隔t1を設定し、ハードタイマーはプラスPpの印加終了を検知すると同時にカウントを開始する。そして、ハードタイマーに設定した間隔t1に到達したと同時にハードタイマーからポレーションパルス直流電源部にマイナスPpを印加する指令を出すことで、上記タイムラグの50μsecより短い時間で、マイナスPpを印加できる。なお、ハードタイマーは、マイナスPpの印加指令に用いられ、マイナスPpの印加終了の指令はプログラムで行う。そのため、プログラムt1を0秒となるように改良すると、ハードタイマーの指令とプログラムの指令との間の誤差が少なくなるので望ましいが、誤差の許容範囲内であればプログラムt1は0秒でなくてもよい。なお、ハードタイマーには、t1として所望の数値を入力できる。そのため、ハードタイマーを用いる場合には、実際の間隔t1を50μsec以下の非常に短い時間で任意に調整が可能となる。したがって、ハードタイマーの設定を0秒にすれば、プラスPpの印加終了と同時にマイナスPpを印加できる。なお、本明細書において、t1の具体的な数値を挙げて説明した場合、厳密に当該数値の一点のみを意味するのではなく、解析の際の誤差を含んでもよい。
上記に示した改良例は、従来装置を基に改良した一例に過ぎない。したがって、上記の改良例は、実施形態に係る電源装置を提供するための一例であって、他の方法を採用してもよい。
なお、上記のとおり、第1の実施形態に係る電源装置(物質導入方法)は、プラスPpを印加後、マイナスPpを印加する間隔(t1)を、市販品から大幅に短くするという新たな視点でなされたものである。後述する実施例では、市販品の下限値である50msecの1/1000(50μsec)となるように電源装置を作製して実験したところ、導入効率が向上したことを確認したが、市販品の導入効率と比較して導入効率が向上すれば、間隔(t1)は50μsecより長くてもよい。例えば、5msec以下、1msec以下、750μsec以下、500μsec以下、400μsec以下、300μsec以下、200μsec以下、100μsec以下、75μsec以下、等としてもよい。
第1の実施形態に係る電源装置(物質導入方法)により、物質の導入効率が向上したのは、プラスPpからマイナスPpを印加する間隔(t1)が短くなることで、プラスPpの電圧の絶対値およびマイナスPpの電圧の絶対値に相当する電圧差があたかも連続して印加されたためと考えられる。したがって、間隔(t1)の下限値は、0としてもよいし、0.01μsec以上、0.1μsec以上、1μsec以上、5μsec以上、10μsec以上等、適宜設定すればよい。
第1の実施形態に係る電源装置(物質導入方法)において、ポレーションパルスのその他の電圧印加条件は、市販品が設定可能な範囲と同じでよい。例えば、ポレーションパルスの波形は、矩形波であってもよいし、減衰波であってもよい。設定電圧範囲は、1~400Vが挙げられる。設定電流範囲は、1~2000mAが挙げられる。設定パルス幅(図1のt2)は、0.05msec~99.9msecが挙げられる。
なお、プラスPpに続きマイナスPpを印加するポレーションパルス印加工程は、一回でもよいし、図1に示すように2回、或いは、3回、4回、5回等、1以上の複数回印加できるようにしてもよい。また、ポレーションパルス印加工程を複数回実施する場合、マイナスPpを印加終了後、次のプラスPpを印加するまでの間隔(t3)は、上記t1と同様に設定してもよいし、従来のとおり、50msec~1000msecとしてもよい。
(物質導入方法および電源装置の第2の実施形態)
次に、図2を参照して、物質導入方法および電源装置の第2の実施形態について説明する。図2は、第2の実施形態に係る物質導入方法の電圧印加工程で印加されるパルスの波形の一例を示す図である。第2の実施形態では、ポレーションパルスを印加後、ドライビングパルスを印加する点で第1の実施形態と異なり、その他の点は第1の実施形態と同様である。したがって、物質導入方法および電源装置の第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第2の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
ドライビングパルスは、ポレーションパルスの印加後、ポレーションパルスで印加する電圧の絶対値より小さい電圧のパルスが印加される。ポレーションパルスに引き続き、ドライビングパルスを印加することで、物質の導入効率を向上できる。
ドライビングパルス(図2のd)は、市販品のドライビングパルスと同じでよい。例えば、ドライビングパルスの波形は、矩形波であってもよいし、減衰波であってもよい。設定電圧範囲は、1~350Vが挙げられる。設定電流範囲は、1~2000mAが挙げられる。設定パルス幅(図2のt4)は、0.05msec~1000msecが挙げられる。設定パルス間隔(図2のt5)は1~1000msecが挙げられる。設定パルス回数は、1~1000回が挙げられる。なお、図2に示す例では、プラス電圧のドライビングパルスを3回印加後、マイナス電圧のドライビングパルスを3回印加した例が示されているが、プラス電圧とマイナス電圧の組み合わせは適宜設定すればよい。例えば、プラス電圧とマイナス電圧を交互に組合わせてもよい。
ドライビングパルスを印加する場合は、ドライビングパルスを出力するためのドライビングパルス直流電源部を電源装置が更に備え、ポレーションパルスを印加後、ドライビングパルスが印加できるように、制御部を制御すればよい。
以下に実施例を掲げ、各実施形態を具体的に説明するが、この実施例は単にその具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は、発明の範囲を限定したり、あるいは制限するものではない。
<実施例1>
[電源装置の作製]
CUY21EDITII DECAY SQUARE MODE(株式会社ベックス社製)の制御部のプログラムを、プログラムt1が0秒となるように改良することで、プラスPpを印加後、マイナスPpを印加するまでの間隔が50μsecとなる電源装置を作製した。なお、その他の電気的条件は、CUY21EDITII DECAY SQUARE MODEと同じである。
<比較例1>
CUY21EDITII DECAY SQUARE MODEを比較例1の電源装置とした。
[物質導入実験1]
<実施例2>
[タバコの葉]
(1)プロトプラストの単離
(a)無菌植物(タバコの葉:Nicotiana benthamiana)からよく展開した葉を切り取り、太い葉脈を除去してシャーレに置いた(1g)。
(b) 約1mlの酵素液を加え、葉を2mm幅くらいとなるように、メスで切り刻んだ。なお、酵素液には、1.5% Cellulase Y-C(キッコーマン社製)、0.25% Macerozyme R200(ヤクルト社製)、700mg/l 塩化カルシウム、0.5M マンニトール(富士フィルム和光純薬社製)、5mM MES(2-モルホリノエタンスルホン酸;2-Morpholinoethanesulfonic acid, monohydrate)(同仁化学研究所社製)を用いた。なお、酵素液のpHは5.6であった。以下において、pHを記載する場合は、個々の試薬のpHではなく、溶液全体のpHを表す。
(c)葉を全て刻んだら、更に9mlの酵素液を加え、シャーレの周りをサージカルテープで密封し、軽く振り混ぜた。
(d)暗黒下25℃で約4時間静置し、その間に数回軽く振り混ぜた。
(e)倒立顕微鏡でプロトプラスト単離されていることを確認した。
(f)パストゥールピペットを使って、プロトプラストを含んだ酵素液を100μmのナイロンメッシュに通した。
(g)ろ液を10mlの遠心管に移し、700rpmで5分間遠心分離した。
(h)上清をパストゥールピペットで除去し、8mlの洗浄液でプロトプラストを懸濁し、700rpmで3分間間遠心分離した。なお、洗浄液には、700mg/l 塩化カルシウム、0.5M マンニトール、5mM MES、pH5.6を用いた。
(i)さらに2回同操作を繰り返した。
(j)その後、プロトプラストを18%ショ糖溶液上に重層し、700rpmで5分間遠心分離して、プロトプラストを精製した。
(2)物質導入の実施
(a)上記(1)で単離したプロトプラストを、1mlのエレクトロポレーション用緩衝液に懸濁した。なお、緩衝液には、70mM KCl、0.5M マンニトール、5mM MES、pH5.6を用いた。
(b)懸濁液の一部を用い、血球計算盤で密度を測定した。
(c)プロトプラストの密度が50万個/mlになるように、エレクトロポレーション用緩衝液で調整し、100μlを0.2cmのキュベット電極(BEX社製,SE-202)に移し、プラスミドDNAの濃度が10μg/100μlとなるように加えた。なお、プラスミドDNAは、GFPタンパク質を発現するように設計されたもので、図3にプラスミドマップを示す。また、配列(配列番号:1)を図4に示す。
(d)実施例1で作製した電源装置を用い、以下の条件でパルスを印加した。
<ポレーションパルス>
・電圧設定:140V
・パルス幅(t2):0.5msec
・プラスPpを印加後、マイナスPpを印加するまでの間隔(t1):50μsec
・マイナスPpを印加終了後、次のプラスPpを印加するまでの間隔(t3):50msec
・パルス印加回数:プラスPp→マイナスPpのセットを2回
・減衰率:10%
<ドライビングパルス>
・電圧設定:25V
・パルス幅(t4):25msec
・パルス間隔(t5):50msec
・パルス印加回数:プラス電圧を印加後、マイナス電圧を5回印加
・減衰率:10%
(e)キュベット内のプロトプラスト溶液を900μlの液体培地に移し、24穴シャーレで25℃、16時間照明、8時間暗黒で培養した。なお、培地は、MS培地、30g/l マルトース、0.5mg/l NAA(ナフタレン酢酸)、0.5mg/l BA(6ベンジルアミノプリ)、0.5M マンニトール、pH5.7を用いた。
(f)2週間毎に、培地の濃度を0.1mol/lずつ下げるよう新しい培地を追加することで、浸透圧を調整した。
(g)コロニーの形成を確認後、再分化用の培地に移した。再分化用の培地には、MS培地、30g/l マルトース、0.1mg/l NAA、0.5mg/l BA、2.5g/l gellan gum、pH5.7を用いた。
図5Aは、上記(d)において、パルスを印加した際に、オシロスコープで得られた、ポレーションパルスとドライビングパルスの波形を表す。図5Bは、図5Aの1セット目のポレーションパルス(図5Aの矢印部分)を時間軸方向に拡大した波形を表している。図5Bの矢印で示す、プラスPpを印加後、マイナスPpを印加するまでの間隔(t1)は50μsecで、設定どおりの間隔であることを確認した。また、図6Aは、エレクトロポレーション後、24時間培養後のプロトプラストを、倒立顕微鏡を用いて撮像した蛍光写真である。
<比較例2>
比較例1の電源装置を用い、プラスPpを印加後、マイナスPpを印加するまでの間隔(t1)を50msecとした以外は、実施例1と同様の手順により物質導入を実施した。図5Cは、オシロスコープで得られた、ポレーションパルスとドライビングパルスの波形を表す。また、図6Bは、エレクトロポレーション後、24時間培養後のプロップラストの蛍光写真である。
<比較例3>
比較例1の電源装置を用い、プラスPpを連続して2回印加後、マイナスPpを連続して2回印加し、夫々のパルス間隔(t1)を50msecとした以外は、実施例1と同様の手順により物質導入を実施した。図5Dは、オシロスコープで得られた、ポレーションパルスとドライビングパルスの波形を表す。また、図6Cは、エレクトロポレーション後、24時間培養後のプロトプラストの蛍光写真である。
図6A乃至図6Cから明らかなように、実施例2の図6Aの蛍光を示すプロトプラストの数は、図6Bおよび図6Cより多かった。そして、比較例2の図6Bと比較して、実施例2の図6Aの写真の同一面積内で蛍光を示すプロトプラストの数は、約1.3倍であった。以上の結果から、プラスPpを印加後、マイナスPpを印加するまでの間隔(t1)を短くするほど、エレクトロポレーションによるプロトプラストへのプラスミドの導入効率が向上することが明らかとなった。
[物質導入実験2]
<実施例3>
[タマネギ]
(1)プロトプラストの準備
タバコの葉から形成したプロトプラストの代え、タマネギのプロトプラストを用いた実験を行った。タマネギのプロトプラストは、タマネギ種子を発芽させ、植物ホルモン0.5mg/l 2,4-D(2,4-ジクロロフェノキシ酢酸)、0.1mg/l TDZ(N-フェニル-N’-(1,2,3-チアジアゾール-5-イル)尿素)で脱分化したカルスを用いた。
(2)物質導入の実施
タバコの葉から形成したプロトプラストの代え、タマネギのプロトプラストを用いた以外は、実施例2と同様の手順で実験を行った。
図7Aは、エレクトロポレーション後、24時間培養後のプロトプラストの蛍光写真である。図7Bは、通常光写真である。図7Aから明らかなように、種類の異なるプロトプラストを用いた場合でも、物質導入ができることを確認した。
[物質導入実験3]
<実施例4>
[タバコの葉のPDS遺伝子のノックアウト]
導入物質として、Cas9タンパク質とgRNAを用いた。ノックアウトのターゲットには、カロテノイド生合成酵素であるフィトエン不飽和化酵素(phytoene desaturase;PDS)遺伝子を選択した。PDSは、植物のカロテノイドの合成に関連しており、PDS遺伝子が欠損すると、カロテノイドが生成できなくなり、葉緑体特有の赤い自家蛍光が消失する。
(1)導入物質の調整
PDS遺伝子をターゲットとするためgRNAのデザインを行い、5’末端側の配列(gRNA_target1)と、3’末端側の配列(gRNA_target2)を決定した。
(a)gRNA_target1
5’-GCCGTTAATTTGAGAGTCCA-3’(配列番号2)
(b)gRNA_target2
5’-GTCAAGATGTTTGCTTGCAA-3’(配列番号3)
上記配列番号2および配列番号3に基づき、Integrated DNA Technologies株式会社(IDT)から、crRNAおよびtracrRNA、並びに、Cas9を購入した。
購入したCas9、crRNAおよびtracrRNAを以下の濃度となるように調整し、IDT社のプロトコルにしたがって、導入物質(Cas9およびgRNA)の調整を行った。
・Cas9:10μg/100μl
・crRNA:10μg/100μl
・tracrRNA:10μg/100μl
(2)物質導入
プラスミドに代え、調整した導入物質(Cas9およびgRNA)を用いた以外は、実施例2と同様の手順で物質の導入を行った。図8Aの左側の写真は、エレクトロポレーション実施後、約2.5カ月培養後の細胞塊の様子を示す写真である。図8Aの左側は細胞塊の通常の拡大写真、右側は同じ細胞塊の自家蛍光の蛍光写真である。また、図8Cの左側は6.5カ月培養後の細胞塊の通常の写真、右側は同じ細胞塊の自家蛍光の蛍光写真である。
<比較例4>
導入物質を用いなかった以外は、実施例4と同様の手順で実験を行った。図8Bの左側の写真は、エレクトロポレーション実施後、約2.5カ月培養後の細胞塊の様子を示す写真である。図8Bの左側は細胞塊の通常の拡大写真、右側は同じ細胞塊の自家蛍光の蛍光写真である。また、図8Cの左側は6.5カ月培養後の細胞塊の通常の写真、右側は同じ細胞塊の自家蛍光の蛍光写真である。
図8Aに示すとおり、ノックアウト物質を導入した実施例4では、〇で囲った細胞塊は自家蛍光が見られなかった。一方、ノックアウト物質を導入しなかった比較例4では、何れの細胞塊も自家蛍光を確認した。
また、図8Cに示すように、6.5カ月培養後の観察でも、実施例4の細胞塊は半透明で植物のカロテノイドが生合成されておらず、自家蛍光も見られなかった。一方、ノックアウト物質を導入しなかった比較例4の細胞塊は、カロテノイドの形成が目視で確認され、自家蛍光も確認できた。
以上の結果より、導入物質としてCas9およびgRNAを用い、標的であるPDS遺伝子をノックアウトできたことを確認した。
[物質導入実験4]
<実施例5>
[タバコの葉のPDS遺伝子のノックインおよびノックアウト]
導入物質として、実施例4のCas9タンパク質とgRNAに加え、GFPを発現するdsDNA(10μg/100μl)を用いた。dsDNAの配列は以下のとおり。
5’-TGTTCAATAAAATGCCCCAATGAGACTTTTCAACAAAGGGTAATATCGGGAAACCTCCTCGGATTCCATTGCCCAGCTATCTGTCACTTCATCGAAAGGACAGTAGAAAAGGAAGGTGGCTCCTACAAATGCCATCATTGCGATAAAGGAAAGGCTATCGTTCAAGATGCCTCTACCGACAGTGGTCCCAAAGATGGACCCCCACCCACGAGGAACATCGTGGAAAAAGAAGACGTTCCAACCACGTCTTCAAAGCAAGTGGATTGATGTGATATCTCCACTGACGTAAGGGATGACGCACAATCCCACTATCCTTCGCAAGACCCTTCCTCTATATAAGGAAGTTCATTTCATTTGGAGAGGACAGGCTTCTTGAGATCCTTCAACAATTACCAACAACAACAAACAACAAACAACATTACAATTACTATTTACAATTACAGTCGACTCTAGAGGATCCATGGTGAGCAAGGGCGAGGAGCTGTTCACCGGGGTGGTGCCCATCCTGGTCGAGCTGGACGGCGACGTAAACGGCCACAAGTTCAGCGTGTCCGGCGAGGGCGAGGGCGATGCCACCTACGGCAAGCTGACCCTGAAGTTCATCTGCACCACCGGCAAGCTGCCCGTGCCCTGGCCCACCCTCGTGACCACCTTCACCTACGGCGTGCAGTGCTTCAGCCGCTACCCCGACCACATGAAGCAGCACGACTTCTTCAAGTCCGCCATGCCCGAAGGCTACGTCCAGGAGCGCACCATCTTCTTCAAGGACGACGGCAACTACAAGACCCGCGCCGAGGTGAAGTTCGAGGGCGACACCCTGGTGAACCGCATCGAGCTGAAGGGCATCGACTTCAAGGAGGACGGCAACATCCTGGGGCACAAGCTGGAGTACAACTACAACAGCCACAACGTCTATATCATGGCCGACAAGCAGAAGAACGGCATCAAGGTGAACTTCAAGATCCGCCACAACATCGAGGACGGCAGCGTGCAGCTCGCCGACCACTACCAGCAGAACACCCCCATCGGCGACGGCCCCGTGCTGCTGCCCGACAACCACTACCTGAGCACCCAGTCCGCCCTGAGCAAAGACCCCAACGAGAAGCGCGATCACATGGTCCTGCTGGAGTTCGTGACCGCCGCCGGGATCACTCACGGCATGGACGAGCTGTACAAGTAAAGCGGCCGCCCGGCTGCAGATCGTTCAAACATTTGGCAATAAAGTTTCTTAAGATTGAATCCTGTTGCCGGTCTTGCGATGATTATCATATAATTTCTGTTGAATTACGTTAAGCATGTAATAATTAACATGTAATGCATGACGTTATTTATGAGATGGGTTTTTATGATTAGAGTCCCGCAATTATACATTTAATACGCGATAGAAAACAAAATATAGCGCGCAAACTAGGATAAATTATCGCGCGCGGTGTCATCTATGTTACTAGATCCCAAGGTAATTCAGCTTATC-3’(配列番号4)
エレクトロポレーション実施時に、上記dsDNAも混合液に添加した以外は、実施例4と同様の手順で実験を行った。図9左側は、エレクトロポレーション実施後、約8カ月培養後のシュートの蛍光写真である。
<比較例5>
導入物質を含まなかった以外は、実施例5と同様の手順で実験を行った。図9右側は、エレクトロポレーション実施後、約8カ月培養後のシュートの蛍光写真である。
図9に示すように、実施例5では、PDS遺伝子上にdsDNAがノックインされたため、dsDNAの発現により形成したGFPの緑色の蛍光が確認できた。一方、物質を導入していない比較例5では、PDS遺伝子が機能していることから、赤い自家蛍光が確認された。以上の結果から、ターゲットであるPDS遺伝子上にdsDNAをノックインできたことを表現型から確認した。
[DNA配列の検討]
次に、実施例5の実験で得られたシュートのDNA配列の確認を行った。実施例5では、PDS遺伝子を切断する機能を有するCas9およびgRNAと、切断した箇所に導入するdsDNAを混合してエレクトロポレーションを行った。したがって、得られたシュートは、PDS遺伝子上にGFPを発現するdsDNAがノックインされたゲノムと、PDS遺伝子がノックアウトされたゲノムのヘテロとなる。実施例5で得られたシュートの中から、図9に示す表現型でノックインが確認されたシュートを含め、6個の細胞塊およびシュートを選択し、以下の手順によりDNA配列を調べた。
(1)プライマーの設計
図10に示すように、ゲノム編集標的部位を含むPDS遺伝子(713bp)をPCRで増幅できるように、フォーワードプライマー、リバースプライマーを設計した。配列は以下のとおり。
(a)フォーワードプライマー
5’-TGTGGGTAACGGCCAAACCACCAC-3’(配列番号5)
(b)リバースプライマー
5’-GAGTACGAATCCTTAACTTATGCC-3’(配列番号6)
選択した6種類の細胞塊もしくはシュートから常法により、DNAを抽出し、上記プライマーを用いてDNAを増幅し、増幅した核酸のポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。マーカー(M)には、1kb DNA Ladder Marker(品番:BRG-1kb-02、品名:DNAラダーマーカー1kb、ワトソン株式会社製)を用いた。また、コントロール(C)には、比較例5で得られた細胞塊から常法により、DNAを抽出し、上記プライマーを用いてDNAを増幅したものを用いた。
図11に電気泳動の結果を示す。レーン番号13が、図9に示すGFPの緑色の蛍光が確認できたシュートである。次に、図11中のノックインの表示のあるバンド、および、ノックアウトの表示のバンドを切り出し、シークエンサーを用いて当該バンドのDNAシークエンスを解析した。
レーン番号13のノックインのDNAを解析したところ、PDS遺伝子の狙った部分にdsDNAがヘテロにノックインされていることを確認した。また、レーン番号10~16番のノックアウトのDNAを解析したところ、何れもDNAの欠損が確認された。また、DNA配列の解析から、レーン番号10番はキメラノックアウト、レーン番号11番はキメラノックアウト、レーン番号12番はヘテロノックアウト、レーン番号13番はヘテロノックアウト、レーン番号15番はヘテロノックアウト、レーン番号16番はホモノックアウトであることも確認した。
以上の結果より、表現型に加え、DNAの配列からも、物質導入によりPDS遺伝子の標的部位のノックインおよびノックアウトを確認した。
<実施例6>
実施例1の電源装置に、ハードタイマーを組み込むことで実施例6の電源装置を作製した。次に、実施例6で作製した電源装置を用い、ハードタイマーの設定を0秒にして、実施例2と同様の手順で物質導入実験を行った。図12は実施例6で作製した電源装置を用いてパルスを印加した際に、オシロスコープで得られた、1セット目のポレーションパルスの波形を表している(図5Bと同じ時間軸)。図12に示すように、プラスPpの印加終了と同時にマイナスPpが印加されたことを確認した。また、図示は省略するが、タバコの葉のプロトプラスにプラスミドが導入できたことも確認した。
本出願で開示する物質導入方法、および、電源装置により、プロトプラストまたは藻類に、物質を効率的に導入できる。したがって、農林水産分野のゲノム編集に有用である。

Claims (5)

  1. エレクトロポレーションによるプロトプラストまたは藻類への物質導入方法であって、
    該物質導入方法は、
    一対のエレクトロポレーション用電極の間に、プロトプラストまたは藻類、および、導入する物質を含む混合液を配置する混合液配置工程と、
    一対のエレクトロポレーション用電極間に電圧を印加する電圧印加工程と、
    を含み、
    電圧印加工程が、
    一対のエレクトロポレーション用電極の一方に、プラス電圧のポレーションパルスに続きマイナス電圧のポレーションパルスを印加するポレーションパルス印加工程を1以上含み、
    プラス電圧のポレーションパルスを印加後、マイナス電圧のポレーションパルスを印加するまでの間隔が50μsee以下である、
    物質導入方法。
  2. ポレーションパルス印加工程の後に、ドライビングパルスを印加するドライビングパルス印加工程を含む、
    請求項1に記載の物質導入方法。
  3. 導入する物質が、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、および、イオン化もしくは帯電する物質、から選択される、
    請求項1または2に記載の物質導入方法。
  4. エレクトロポレーター用電源装置であって、
    電源装置は、
    ポレーションパルスを出力するためのポレーションパルス直流電源部と、
    制御部と、
    を含み、
    制御部は、
    ハードタイマーを含み、
    プラス電圧のポレーションパルスに続きマイナス電圧のポレーションパルスを印加し、且つ、
    プラス電圧のポレーションパルスを印加後、マイナス電圧のポレーションパルスを印加するまでの間隔が、0.01μsec以上、50μsec以下、となるように、ポレーションパルスの出力を制御する、
    エレクトロポレーター用電源装置。
  5. ドライビングパルスを出力するためのドライビングパルス直流電源部を更に含み、
    制御部は、ポレーションパルスを出力した後、電圧の絶対値がポレーションパルスより小さいドライビングパルスを出力するように制御する、
    請求項4に記載のエレクトロポレーター用電源装置。
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