JP7376771B2 - 高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、加工性と冷間圧延性に優れた高強度熱延鋼板、並びにその製造方法に関するものである。
自動車部材などに用いられる鋼板の強度は近年益々高まってきている。例えば骨格部材では、引張強さが590MPaや780MPaの鋼板はごく当たり前に使用され、980MPaやそれを上回る高強度鋼板の適用も一部では始まっている。
こうした高強度鋼板を製造するには、固溶強化、析出強化、更には変態組織強化など複数の強化機構(手段)を組み合わせることが必要であり、必然的に添加される元素の濃度が高くなって来ている。
その結果、低強度鋼と同様条件で製造すると、熱延鋼板として部品に加工する場合には成形(例えばプレス)に要する荷重が高まって成形工程数が増して生産性が低下したり、成型可能な形状が制約されたりするという問題点が生じる。
また、熱延鋼板を更に冷間圧延して冷延鋼板として使用する場合には、冷間圧延に必要な荷重が高まるので、冷間圧延率に制約が生じたり、中間焼鈍を挟んで再度冷間圧延を行ったりしなくてはならないような事態も散見される。
こうした事態への対処方法の一つとして、熱間圧延後の冷却を緩冷却とし、加えて巻き取り温度を高めに設定することが考えられる。こうすることで、軟質なフェライト相(以下、F相と記載)と硬質組織(パーライト、以下、P組織と記載)から成るミクロ組織が得られ、プレス成型や冷間圧延は相対的には容易になる。
ところが、上記のようなF相とP組織で構成される鋼板では、本来の目的であった成型品や冷延鋼板を均一に高強度化するということが容易ではないという別の課題が残る。
そもそも熱延鋼板の強度が成形性や冷間圧延性に影響するほど添加元素濃度を高めたのは、特に変態組織強化を活用するためである。
変態組織強化を活用するためには、熱延鋼板として使用する場合には成形後の熱処理時に、また高強度の冷延鋼板とする場合には冷延後の熱処理工程において、P組織を含む炭化物を出来るだけ溶解させてオーステナイト相(以下、A相と記載)中の炭素濃度を高める必要があるが、その達成はそれほど容易ではない。加熱する温度を高くするか、その上で長時間保持する必要があるが、設備上の制約や生産性を確保する必要から、加熱温度や保持時間の自由度はそれほど広くない。また仮に、制約なく処理して炭化物を十分に溶解させることが出来たとしても、加熱前にF相であった領域と、P組織や炭化物であった領域との炭素濃度差が大きく、濃度差を減らして均一化を図るためにはかなり長時間の拡散処理を要するので現実的には選択されていない。
一方、炭素濃度の均一化や炭化物の寸法を相対的に小さくして溶解し易くすることを優先して熱延鋼板を製造することも可能である。
上記の方法に替えて、熱間圧延後の冷却速度を高め、巻き取り温度も低めにすることで、ベイナイト組織(以下、B組織と記載)を主体とするミクロ組織を有する鋼板とすれば良い訳であるが、それでは、熱延鋼板としての成形性の確保が難しく、また冷間圧延時の必要荷重が高まってしまう。
以上述べてきたように、熱延鋼板の成形の容易さ、および冷間圧延性(圧延荷重が低いこと)と、炭素濃度の均一性、および炭化物の溶解し易さを両立させるような熱間圧延の圧延後の冷却条件、および巻取り条件は見出されていないのが実情である。
例えば非特許文献1には、熱延コイルを高温で巻取った後、一定時間空冷してフェライト変態を促進させ、その後浸漬水冷する冷間圧延特性が良好な熱延鋼板の試作方法が開示されている。質量%でC:0.17%、Si:1.3%、およびMn:2.0%を有する鋼について、熱間圧延を920℃で終了し、一旦630℃で巻取った後、30分後あるいは60分後に浸水冷却することで、熱延コイルの全長に亘って軟質化が達成出来、また粒界酸化の発生を低減出来たことが示されている。
しかしながら温度履歴から推定されるミクロ組織は、F相、P組織、および低温生成物で構成されるとされていることからA相に加熱された際の炭素濃度の不均一は何ら改善されないものと推定されるし、実際に言及もされていない。
特許文献1には、Ar3変態点以上の温度域において圧下率が50%以上の熱間圧延を行った後、続いて、Ar3以上の温度から冷却速度2℃/秒以上の予備冷却を開始し、その後、Ar3以下Ar3-100℃以上の温度において予備冷却を一旦中断し、所定の時間待機した後、再び3℃/秒以上15℃/秒以下の冷却速度で400~600℃の温度域まで加熱冷却することで、ミクロ組織をF相とB組織あるいはマルテンサイト相(以下、M相と記載)が混在したものとして低降伏比である鋼板を得る製造方法が開示されている。
しかしながら、降伏比以外の材質特性の記述がないため、材質の均一性や、熱処理による高強度化を容易にする炭化物の溶解し易さについては明らかではない。
特許文献2には、所定の化学成分を有する鋼片をAr3変態点以上の温度で圧延を終了し、750~600℃の温度で一旦巻き取り、10~30分保持した後、コイルを払い出ししながら20℃/秒以上の冷却速度で冷却し、550℃以下の温度で再び巻き取る熱延鋼板の製造方法が開示されている。
この方法に依れば、熱延鋼板は軟質で、かつ粒界酸化が抑制されているので冷間圧延での高い歩留まりが達成できるとのことであるが、どのようなミクロ組織が得られ、また、材質の均一性や、加熱や焼鈍による高強度化を容易にする炭化物の溶解し易さについては明らかではない。更に当該技術は、一般的な熱延冷却設備(ランアウトテーブルやホットランテーブルと呼ばれる)の中間に巻き取り装置と巻き戻し装置を配した設備を必要とするものであるから、例え望ましい特性が得られたとしても、工業的に容易には実施出来ないと言う問題点がある。
特開2000-087138号公報 特開2013-253301号公報
小林・土肥・木村・小泉・君島・佐野・赤水・森本・石川:鉄と鋼、vol.100(2014)No.5、616-624
本発明は、上記実情に鑑み、F相とP組織で構成される鋼板の有する良成形性や良冷延性と、B組織を主体とする鋼板の有する材質均一性や加熱・焼鈍による高強度化を容易にする炭化物の溶解し易さとを両立させた鋼板を得ることを目的とする。
本発明者らは、良成形性や良冷延性と、材質均一性や炭化物の溶解し易さとを両立した鋼板を得るべく鋭意検討を行った。
具体的には、ミクロ組織としてはB組織を主体とすることで材質の均一性と炭化物の溶解し易さをまず確保し、その上で、成形性や冷延性に優れるように軟質化させられないか研究を進めた。その結果、ベイナイト変態完了後極短時間以内に再び一定の冷却速度以上の冷却をして所定の温度以下で巻き取ることでそうした鋼板が得られることを見出した。
このようにして完成させた本発明の要旨は、次の通りである。
(1)質量%で、C:0.05~0.50%、Si:0.01~2.0%、Mn:0.5~3.0%を含有し、P:0.03%以下、S:0.02%以下、N:0.05%以下、Al:0.05%以下にそれぞれ制限され、残部がFeおよび不可避的不純物で構成される化学成分を有し、ミクロ組織が、面積率50%以上のベイナイト組織、および同15~30%のフェライト相を含み、フェライト相の平均結晶粒径が30μm以下であり、微細格子マーカー法で求めたフェライト相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上で、引張強さが440MPa以上であることを特徴とする高強度熱延鋼板。
(2)上記鋼板が、更に加えて、質量%で、Ti:0.1%以下、Nb:0.1%以下、B:0.01%以下、Cr:1.5%以下、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(1)に記載の高強度熱延鋼板。
(3)上記鋼板が、更に加えて、質量%で、Mo:0.01~1.0%、W:0.01~0.5%、V:0.01~0.5%のうちの、1種、または2種以上を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の高強度熱延鋼板。
(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載の高強度熱延鋼板を製造する方法であって、上記(1)~(3)のいずれに記載の化学成分を有する鋼を鋳造した後、直接、あるいは1300℃以下に再加熱して熱間圧延し、該熱間圧延において、Ar3点以上で完了する累積圧下率50%以上の仕上げ圧延を行い、熱間圧延後、第1段階の冷却として、15~35℃/秒の平均冷却速度で400~550℃まで冷却し、その後、第2段階の冷却として、15℃/s以下で、(ベイナイト組織が50%以上でオーステナイト相が35%となる時点)~(ベイナイト組織が50%以上でオーステナイト相が20%となる時点から100s経過後の時点)の間のいずれかの時点まで冷却し、更に、第3段階の冷却として、その後、300℃になるまでの平均冷却速度を50℃/秒以上として300℃以下まで冷却して巻き取ることを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方法。
本発明の鋼板を用いれば、低い荷重で成形出来、かつ成形後に熱処理して高強度な部材とすることが容易な熱延鋼板や、低い荷重で冷延出来、冷延後に熱処理して高強度化することが容易な冷延鋼板用原板を得ることが出来る。また汎用的な設備で製造できるので広く産業に寄与出来る。
微細格子マーカーを説明する模式図である。 熱処理後の格子マーカーを示す模式図である。 F相中の局所歪の絶対値の平均と降伏強度の関係を示す図である。
本発明の鋼板及びその製造方法について詳しく説明する。
[鋼板]
まず鋼板の化学成分について説明する。
<C:0.05~0.50%>
Cは、高強度の鋼板を得るために必須の元素である。少なくとも440MPa以上の引張強さを有する鋼板を得るためには0.05%以上を含有させる必要がある。一方、溶接性や溶接部の靭性を確保する必要から0.50%を上限とする。
<Si:0.01~2.0%>
Siは、F相を強化する効果を有するので鋼板の強度設計に有用な元素である。またセメンタイトの生成を抑制する効果も有することから、特に冷延鋼板のミクロ組織設計に対しても有用である。但し、過剰に含有させると酸洗性や化成処理などの表面処理性に悪影響を及ぼす。そのため上限は2.0%とする。一方、0.01%未満に低減することは製鋼工程に過大な負荷となるので下限を0.01%とする。
<Mn:0.5~3.0%>
Mnは、固溶強化の他に、高い焼き入れ性を有することから、変態組織強化を通じた鋼板の高強度化に極めて重要な元素である。そこで明瞭な効果が発現する0.5%を下限とする。一方、3.0%を超えて含有させると、凝固偏析に起因して機械的性質を劣化させる恐れがあるので3.0%を上限とする。
<P:0.03%以下>
Pは不純物であり、熱間加工性に悪影響を及ぼすため0.03%以下に制限されなくてはならない。一方、下限は特に設けないが、必要以上に低減することは製鋼工程に多大な負荷を掛けるので0.001%を目安とすればよい。
<S:0.02%以下>
Sは不純物であり、熱間加工性や、延性、靭性などの機械的性質に悪影響を及ぼすため0.02%以下に制限されなくてはならない。一方、下限は特に設けないが、必要以上に低減することは製鋼工程に多大な負荷を掛けるので0.0001%を目安とすればよい。
<N:0.05%以下>
Nは、Bと窒化物を形成してBの焼き入れ性への寄与を減じてしまったり、Tiと窒化物を形成して機械的性質を劣化させたりするので出来るだけ低減することが望ましいが0.05%以下であれば許容される。一方、必要以上に低減することは製鋼工程に多大な負荷を掛けるので0.0010%を目安とすれば良い。
<Al:0.05%以下>
Alは、脱酸元素として用いるが、その酸化物が表面品位に影響を及ぼす他、酸化被膜が表面処理特性にも影響するので0.05%以下にする必要がある。一方、製鋼工程に多大な負荷を掛けるので0.01%を下限の目安とすればよい。
本発明の鋼板では、以上の、C、Si、Mnを含有し、P、S、N、Alの含有が制限された化学成分を基本とするが、さらに、以下に示す、Ti、Nb、B、Cr、Cu、Niの1種または2種以上を、さらにはMo、W、Vの1種または2種以上を必要に応じて含有できる。
<Ti:0.1%以下>
Tiは、Nと結合して、NがBの焼き入れ性への寄与を減じるのを抑制するので、Bを含有させてその焼き入れ性を高強度化に活用する場合には、0.01%以上を目安として添加することが望ましい。一方、既に述べたようにTiNが機械的性質を損ねる恐れがあり、また過剰な添加は冷延後の再結晶を抑制して生産性を損ねる恐れがある他、Cと結合して有効なCを減少させて焼き入れ性を低下させる恐れがあるので、0.1%を上限とする。
<Nb:0.1%以下>
Nbは、Tiと同様にNと結合して、NがBの焼き入れ性への寄与を減じるのを抑制するので、Bを含有させてその焼き入れ性を高強度化に活用する場合には、0.01%以上を目安として添加することが望ましい。一方、0.1%を超えて添加しても効果は飽和し、更に冷延後の再結晶を抑制して生産性を損ねる恐れがある他、Cと結合して焼き入れ性を低下させる恐れがあるので、0.1%を上限とする。
<B:0.01%以下>
Bは、0.0001%以上添加することで焼き入れ性を高める効果を発するので必要に応じて添加出来る。一方、過剰な添加は熱間加工性の劣化と延性の低下につながるので、0.01%を上限とする。
<Cr:1.5%以下>
Crは焼き入れ性を有する元素であるから適宜活用出来る。その効果を得るためには0.01%以上含有させることが好ましい。しかし、1.5%を超えて添加してもその効果は飽和し、製造コストを高めるだけであるから、1.5%を上限とする。
<Cu:1.0%以下>
Cuは、強度を高める作用を有するので必要に応じて添加出来る。その効果を得るためには0.01%以上含有させることが好ましい。しかし、1.0%を超えると、熱間圧延鋼板の表面品位を損ねるので、1.0%を上限とする。
<Ni:1.0%以下>
Niは、焼入れ性を高める元素であるから必要に応じて添加出来る。その効果を得るためには0.01%以上含有させることが好ましい。一方、高価な元素であるから、添加効果が飽和する1.0%を上限とする。また、Niは、Cuによる熱間圧延鋼板の表面品位の低下を抑制する効果があるので、Cuと同時に含有させることが望ましい。
<Mo:0.01~1.0%>
<W:0.01~0.5%>
<V:0.01~0.5%>
これらの元素は、いずれも、焼入れ性を高める元素である。添加効果を得るため、いずれも、0.01%以上を必要に応じて添加出来る。一方、これらの元素は高価であるので、添加効果が飽和するところを添加する場合の上限とする。Moは1.0%を上限とし、WとVは0.5%を上限とする。
<残部>
本発明において上記以外の成分(残部)はFeとなるが、スクラップなどの溶解原料や耐火物などから混入する不可避的不純物は許容される。
次に本発明の鋼板のミクロ組織やその他の要件について説明する。
<面積率50%以上のベイナイト組織(以下B組織)、および面積率15~30%のフェライト相(以下F相)>
本発明の鋼板はB組織が面積率で最大を占め、次いでF相からなるミクロ組織を有するものとする。
B組織を50%以上とすることで、炭素濃度の均一性が確保され、いわゆるバンド組織と呼ばれるパーライトとフェライトの層状の不均一組織が回避される。この不均一組織が形成されると、割れや破壊の起点となるためB組織を50%以上にする。好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
またB組織に隣接するF相内に、後述するように、絶対値の平均で0.050以上の局所歪を残留させるためには、F相の面積率を30%以下とする必要がある。30%超ではF相内に残留させることが出来る局所歪が分散して小さくなるので好ましくない。F相が15%未満では、ハイテン材として自動車用などに用いる場合、材料の延性が不足する恐れがあるため、F相は15%以上とする。
また、上記以外のミクロ組織として10%以下のマルテンサイト相(以下M相)、および10%以下の残留オーステナイト相(以下A相と記載することがある)は許容される。
なお、各々の面積率は、鋼板の圧延方向と平行な断面を研磨し、ナイタール液で腐食した後、板厚の1/4位置を観察して決定する。
<F相の平均結晶粒径が30μm以下>
F相の平均結晶粒径は鋼板の強度や靭性に大きな影響を及ぼす因子である。一般には、結晶粒径が微細であれば、引張り強度が向上する。このような強度を保つためには、F相の平均結晶粒径を30μm以下とする必要がある。
<微細格子マーカー法で求めたフェライト相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上>
B組織、およびF相からなるミクロ組織を有しながら、F相、およびP組織からなるミクロ組織を有する鋼板と同等の成形性や冷間圧延性を示す鋼板とするには本条件を満足する必要がある。
本発明の鋼板はA相で圧延を完了し、第1段の冷却として15~35℃/sの冷却速度で400℃~550℃まで冷却を行い、さらに第2段の冷却として、(B組織が50%以上でオーステナイト相が35%となる時点)~(B組織が50%以上でオーステナイト相が20%となる時点から100s経過後の時点)の間のいずれかの時点まで、冷却速度が15℃/s以内で冷却または温度保持しベイナイト変態させる。この際、B組織に隣接するF相の結晶粒は、圧縮、または引張の外力を受け、結晶粒内には歪が残存する。そして上記時点から第3段階目の冷却として50℃/s以上の平均冷却速度で室温を含む300℃以下まで冷却することでそれらの歪を残存させ続けることが可能となる。
本発明では、このようにF相の結晶粒内に残存(存在)する歪をそれぞれの結晶粒における局所歪と定義する。
F相中の局所歪は、圧縮、あるいは引張の何れの外力によってもたらされたかに関わらず、鋼板がプレス成型や冷間圧延などの変形を受ける際に、転位の移動を容易にする作用を有するため、成形荷重や冷延荷重の低下として享受出来るものと考えられる。
局所歪はF相の結晶粒毎に異なり、隣接するB組織の大きさや同組織との結晶方位関係、F相の生成温度などによって決定される。そして、その絶対値が大きいほど効果も大きくなる。従って、現実的な範囲で出来るだけ多くのF相について局所歪を測定し、それらの絶対値を平均することで鋼板の成形性や冷間圧延性を評価出来る。一方、そうした効果は、引張試験での降伏強度(の低下)として定量化出来る。
本発明者らの行った実験の結果、局所歪の絶対値の平均が0.050以上の場合に、F相、およびP組織からなるミクロ組織を有する鋼板と同等(またはそれ以下)の降伏強度、すなわち、成形性や冷間圧延性を示す鋼板が得られることが明らかとなった。本規定はこれに基づいて行ったものである。
F相内の局所歪は、微細格子マーカー法によって決定した。その手順を以下に説明する。
まず、鋼板表面に以下のようにして格子マーカーを形成する。
局所歪を測定する鋼板を採取して表面を化学研磨し、更にナイタール液で腐食させてミクロ組織を現出させる。次いで、ポジ型フォトレジスト(感光材料)を塗布する。フォトレジストとしては、例えば日本ゼオン(株)製ZEP520Aなどを用いることが出来る。
鋼板上に成膜したフォトレジストに電子線を走査し、正方格子状に感光(露光)させる。格子の幅は100nm、格子の幅の中央同士の間隔は500nmを狙い値とした(図1参照)。格子は500μm×500μmの領域に作製した。
電子線を照射したフォトレジストを現像処理し、感光させた部分、すなわち格子の辺にあたる部分を除去した。現像には日本ゼオン(株)製のZED-N50などを用いることが出来る。
現像処理した表面に金を蒸着する。金は、現像して除去された部分(格子の辺)では鋼板表面に直接蒸着され、一方、感光せず、除去されていない部分ではレジスト上に蒸着される。
その後、有機溶媒にてフォトレジストを溶解させるとレジスト上の金はレジストと一緒に除去されるので鋼板表面に直接蒸着された金のみが残り、鋼板表面に金の格子(マーカー)が形成される。
次に、格子マーカーを形成した鋼板を300℃に2時間保持する。こうすることで局所歪が解放され、その状況は格子の変形として表面から観察できる。なお、以下の測定を容易にするため、この熱処理は非酸化性雰囲気(例えばArガス雰囲気)で行うことが望ましい。
格子点が4点全てF相内にある格子をSEMで観察し、各々の格子について格子点間の距離(辺の長さ)L1~L4を測定する(図2参照)。そして、それらと500nmとの差の絶対値の最大値ΔLmax(単位nm)を500nmで除した値ΔLmax/500を、その格子の部分に、上記の300℃に2時間保持する熱処理を行う前に存在していた歪と定義する。
このようにして少なくとも500(個)の格子について歪を求め、その平均値を計算してF相中の局所歪の絶対値とした。
一方で、圧延後の冷却条件を変化させた実験を行い、F相中の局所歪の絶対値の平均が異なる鋼板を複数作製した。そしてそれらの降伏強度を、同一の化学成分を有する鋼片から作製したF相、およびP組織からなる鋼板のそれと比較したところ、F相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上の場合に、同等か、低いことを知見した。本発明でF相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上としたのはこのためである(後述の図3参照)。
<機械特性>
本発明の熱延鋼板によれば、高い引張強さ、具体的には440MPa以上の引張強さを達成することができる。引張強さは好ましくは600MPa以上であり、より好ましくは800MPa以上である。引張強度の上限値は、特に限定されないが、一般的には1000MPa以下であってもよい。
<使用形態>
以上のように構成される本発明の熱延鋼板は、必要に応じて表面処理を施して製品板とすることにより、低い荷重で成形出来、かつ成形後に熱処理して高強度な部材とすることが容易な熱延鋼板として、建築、自動車、家電、産業用機械などの種々の用途に使用できる。
また、鋼片を熱間圧延、冷間圧延を経て薄鋼板とするプロセスにおける冷延鋼板用原板とすることにより、低い圧延荷重で冷間圧延でき、冷延後に熱処理して高強度化することが容易な熱延板とすることができる。
[製造方法]
本発明の鋼板の製造方法について説明する。
上記の条件を満たす化学成分を有する鋳片を製造する。製造に当たっては、生産性の観点から連続鋳造が望ましい。
鋳造後直接、あるいは1300℃以下に再加熱後、熱間圧延を行う。熱間圧延では、Ar点以上で完了する仕上げ圧延を行う。圧延前に再加熱する場合の再加熱温度が1300℃を上回ると酸化による歩留まりの低下が看過出来なくなる。一方、再加熱温度の下限は、Ar点以上で仕上げ圧延が完了出来ればどのような温度でも良く、圧延設備の仕様に応じて設定できる。
仕上げ圧延をAr点以上で完了させるのは、冷却後のミクロ組織をベイナイト組織とF相からなる構成にするためである。仕上げ圧延の累積圧下率を50%以上とするのは、フェライトの平均粒径を30μm以下とするためである。本発明において、累積圧下率とは、複数パスの圧延を行う場合、一回毎の公称圧下率(圧下量/入側板厚)を全てのパスについて合計した値である。
熱間圧延後、15~35℃/秒の平均冷却速度で400~550℃まで第一段目の冷却を行って、ベイナイト変態させる。この際の冷却速度が15℃/秒未満ではフェライト変態が優勢になり、F相、およびP組織からなるミクロ組織になる。一方で35℃/秒を上回るとM相主体の鋼板になるので望ましくない。
また、15~35℃/秒の平均冷却速度で冷却する温度を400~550℃とするのは、B組織の占有率を高め、かつM相の生成を極力抑制するためである。
第2段階の冷却として、15℃/s以下で、(ベイナイト組織が50%以上でオーステナイト相が35%となる時点)~(ベイナイト組織が50%以上でオーステナイト相が20%となる時点から100s経過後の時点)の間のいずれかの時点まで冷却する。このようにするためには、成分に応じて予め定められたCCT曲線に基づいて、圧延後の冷却条件を決定すればよい。
第2段階の冷却速度を15℃/秒以下とした理由は15℃超の冷却速度では、B変態の進行の途中でMs点を下回り、M相が優位に生成してしまうためである。
このような相比率としたあと、第3段目の冷却を開始し、冷却開始から300℃までの冷却速度を50℃/秒以上として300℃以下まで冷却を行い、コイルに巻き取る。これにより、微細な応力分布を維持、凍結し、F相中に歪を残存させることができる。
この冷却速度の上限は、F相中に導入された歪の解放を抑制する目的からは特に設けなくともよいが、余りに速いと設備的な負荷が大きいので100℃/秒を上限とすればよい。
ここで、第3段目の冷却を開始する時期を、B組織が50%以上の量になった時点以降としたのは、冷却開始時に少なくともB組織が50%以上でないと、降伏比を低下させるのに必要なひずみが形成されないためであり、冷却を開始する時期をオーステナイト相が35%の量になった時点以降としたのは、オーステナイトが35%を超える時刻に冷却を開始すると、マルテンサイトが多く出やすくなることや、降伏点を下げる効果を持つフェライトの量が減少するためである。また、オーステナイトが20%の時点から100秒経過後の時点としたのは、これ以上経過後に冷却を開始すると、ベイナイト変態時に導入されたひずみが解放されてしまい、目的の効果が得られないためである。
以上の条件を満たすことにより、上記の条件を満たす鋼板が得られる。
本発明について実施例を示して説明する。
<実施例1>
まず、表1に記載の化学成分(残部はFeおよび不可避不純物)を有する鋼片を作製した。この鋼片を950℃に加熱後、1~60℃/秒の間の数水準の冷却速度で冷却を行い、それぞれの冷却速度において、冷却中の種々の温度において試験片を急冷してオーステナイト相の比率を求め、その結果を基に各成分の鋼片のCCT曲線を求めた。
次に、表1に記載の化学成分を有する鋼片を別途作製し、表2に記載の条件(下線付きは本発明の範囲外を示す。他の表でも同様である。)で板厚2.0~3.6mmの熱延鋼板とした。
なお、表2において、鋳片の加熱温度をSRT、圧延終了温度をFT、圧延後の最初の冷却速度をCR1として変態完了温度MTまで冷却し(第1段階)、その後の空冷時間をtACとして、冷却速度をCR2で空冷し(第2段階)、その後、冷却速度をCR3として冷却終点温度(巻取り温度)CTまで冷却した(第3段階)。なお、第3段階で冷却を開始する際のオーステナイト分率をξA、オーステナイト分率が20%となった時点から第3段階の冷却が開始されるまでの時間をtyとする。ここで、オーステナイト分率は、レーザー超音波法による測定で板厚平均値を測定した。また条件iiは、圧延終了後、5℃/秒で600℃まで冷却し、そのまま巻き取ったものである。なお、表1の鋼のAr点は750~830℃であり、表2のFTはすべてAr点以上である。
Figure 0007376771000001
Figure 0007376771000002
得られた鋼板の圧延方向と平行な断面を研磨、ナイタール腐食して板厚の1/4位置のミクロ組織構成を調べた。また、化学研磨後ナイタール腐食した鋼板に格子マーカーを作製し、歪を解放する熱処理を行い、F相内の歪を計測し、絶対値の平均を求めた。
さらに、得られた鋼板からJIS5号型引張試験片を作製した。試験片は引張方向を圧延方向と直交する向きに採取した。試験片について引張試験を行って降伏強度を求めた。上降伏点が認められたものについては上降伏点を、または上降伏点が認められなかったものについては0.2%耐力を以って降伏強度とした。
結果を表3に示す。
Figure 0007376771000003
鋼aを条件iで累積圧下率150%で圧延した鋼板(No.1)は、ミクロ組織の構成が本発明を満たし、かつF相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上であり、条件iiで累積圧下率150%で圧延してF相、およびP組織とした鋼板(No.2)よりも低い降伏強度を示した。なお、以降では、特に記載が無い場合は、累積圧下率は150%で圧延を行うこととする。
鋼bを条件iii、およびivで圧延した鋼板(No.4、および5)は、ミクロ組織の構成が本発明を満たし、かつF相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上であり、条件iiで圧延してF相、およびP組織とした鋼板(No.3)よりも低い降伏強度を示した。
鋼cを条件v、vi、およびviiで圧延した鋼板(No.7、8、および9)は、ミクロ組織の構成が本発明を満たし、かつF相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上であり、条件iiで圧延してF相、およびP組織とした鋼板(No.6)よりも低い降伏強度を示した。
また、鋼cを条件viii、およびixで圧延した鋼板(No.10、および11)は、F相中の局所歪の絶対値の平均が0.050を下回り、No.6よりも高い降伏強度を示した。
鋼dを条件xで圧延した鋼板(No.13)は、ミクロ組織の構成が本発明を満たし、かつF相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上であり、条件iiで圧延してF相、およびP組織とした鋼板(No.12)よりも低い降伏強度を示した。
鋼eを条件xiで圧延した鋼板(No.15)は、ミクロ組織の構成が本発明を満たし、かつF相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上であり、条件iiで圧延してF相、およびP組織とした鋼板(No.14)よりも低い降伏強度を示した。
また、同鋼を条件xii、およびxiiiで圧延した鋼板(No.16、および17)は、ミクロ組織の構成が本発明の範囲を外れ、かつF相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以下であり、No.14よりも高い降伏強度を示した。
e鋼についてF相中の局所歪の絶対値の平均と降伏強度の関係を図3にグラフで示す。F相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上の場合に、F相、およびP組織とした鋼板(No.14)に対する降伏強度の低下が明確である。
鋼fを条件xivで圧延した鋼板(No.19)は、ミクロ組織の構成が本発明を満たし、かつF相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上であり、条件iiで圧延してF相、およびP組織とした鋼板(No.18)よりも低い降伏強度を示した。
鋼gを条件xvで圧延した鋼板(No.21)は、ミクロ組織の構成が本発明を満たし、かつF相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上であり、条件iiで圧延してF相、およびP組織とした鋼板(No.20)よりも低い降伏強度を示した。
また、同鋼を条件xviで圧延した鋼板(No.22)はF相が生成しなかったので以降の評価は行わなかった。
鋼hを条件xviiで圧延した鋼板(No.24)は、ミクロ組織の構成が本発明を満たし、かつF相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上であり、条件iiで圧延してF相、およびP組織とした鋼板(No.23)よりも低い降伏強度を示した。
また、同鋼を条件xviiiで圧延した鋼板(No.25)は、ミクロ組織の構成が本発明の範囲を外れ、かつF相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以下であり、No.23よりも高い降伏強度を示した。
ここで、累積圧下率の影響について調査するため、鋼hを条件xviiで累積圧下率50%で圧延した鋼板を作成した。この鋼板は、F相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上であり、条件iiで圧延してF相、およびP組織とした鋼板(No.23)よりも低い降伏強度650MPaを示すと同時に、フェライト相の平均結晶粒径が30μmであり、良好な引張り強度902MPaを示した。
一方で、同鋼を条件xviiで累積圧下率40%で圧延した鋼板も作成した。この鋼板は、F相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上であり、低い降伏強度632MPaを示したが、フェライト相の平均結晶粒径が35μmとなり、引張り強度も同時に430MPaと低値となった。
<実施例2>
表4に記載の化学成分(残部はFe、および不可避不純物である)を有する鋼片を作製し、表5に記載の条件で板厚2.4~3.0mmの熱延鋼板とした。ただし条件2-iは、圧延終了後、5℃/秒で600℃まで冷却し、そのまま巻き取ったものである。
Figure 0007376771000004
Figure 0007376771000005
得られた熱延鋼板の圧延方向と平行な断面を研磨、ナイタール腐食して板厚の1/4位置のミクロ組織構成を調べた。また、化学研磨後ナイタール腐食した鋼板に格子マーカーを作製し、歪を解放する熱処理を行い、F相内の歪を計測し、絶対値の平均を求めた。
次いで、得られた熱延鋼板を酸洗後冷間圧延に供した。7パスで板厚を1/2とする圧延を行った。各パスの線荷重を計測し、その合計値を求めた。なお潤滑条件は全条件、全パスについて一様となるように潤滑剤のノズル角度、噴霧量を制御した。潤滑剤は合成エステル系(日本パーカライジング(株)製FR-160)を用いた。
結果を表6に示す。
Figure 0007376771000006
鋼2-aを条件2-iで圧延した鋼板(No.2-1)はF相中の局所歪が殆ど認められず、さらにP分率が非常に高かったため、圧延線荷重としては比較的高い値となった。
鋼2-aを条件2-iiで圧延した鋼板(No.2-2)はF相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上であった。条件2-iで圧延してF相、およびP組織とした鋼板(No.2-1)よりも僅かに低い線荷重で冷間圧延することができ、冷間圧延性に優れることが明らかとなった。
一方、条件2-iiiで圧延した鋼板(No.2-3)は、B組織を主としたミクロ組織を呈しているものの、F相中の局所歪の絶対値の平均が0.050に届かず、圧延線荷重はNo.2-1、No.2-2よりも大幅に高くなり、冷間圧延性に劣ることが分かった。CR2が本発明の範囲を外れることが原因の一つと考えられる。
鋼2-bを条件2-ivで圧延した鋼板(No.2-5)はF相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上であった。条件2-iで圧延してF相、およびP組織とした鋼板(No.2-4)よりも僅かに低い線荷重で圧延することができ、冷間圧延性に優れることが明らかとなった。
一方、条件2-vで圧延した鋼板(No.2-6)は、B組織を主としたミクロ組織を呈しているものの、F相中の局所歪の絶対値の平均が0.050に届かず、圧延線荷重はNo.2-4、No.2-5よりも大幅に高くなり、冷間圧延性に劣ることが分かった。CR2が本発明の範囲を外れることが原因の一つと考えられる。
鋼2-cを条件2-viで圧延した鋼板(No.2-8)はF相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上であった。条件2-iで圧延してF相、およびP組織とした鋼板(No.2-7)よりも僅かに低い線荷重で圧延することができ、冷間圧延性に優れることが明らかとなった。
一方、条件2-viiで圧延した鋼板(No.2-9)は、B組織を主としたミクロ組織を呈しているものの、F相中の局所歪の絶対値の平均が0.050に届かず、圧延線荷重はNo.2-7、No.2-8よりも大幅に高くなり、冷間圧延性に劣ることが分かった。CR2が本発明の範囲を外れることが原因の一つと考えられる。
本発明によれば、高い生産性で、鋼板の引張強度を変えずに降伏点のみ下げることを実現でき、さらに、巻き取り温度を下げて、高強度化鋼板としても、低降伏比の鋼板とすることができる。よって、本発明は、産業上の利用可能性が高いものである。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.05~0.50%、
    Si:0.01~2.0%、
    Mn:0.5~3.0%
    を含有し、
    P:0.03%以下、
    S:0.02%以下、
    N:0.05%以下、
    Al:0.05%以下
    にそれぞれ制限され、残部がFeおよび不可避的不純物で構成される化学成分を有し、
    そのミクロ組織が、面積率で、50%以上のベイナイト組織および15~30%のフェライト相を含み、フェライト相の平均結晶粒径が30μm以下であり、
    微細格子マーカー法で求めたフェライト相中の局所歪の絶対値の平均が0.050以上であり、引張強さが440MPa以上であり、前記局所歪の絶対値の平均は300℃、2時間の加熱前後の微細格子マーカーの変化を比較することにより求められた歪の数値に基づいて決定されることを特徴とする高強度熱延鋼板。
  2. 鋼板が、更に加えて、質量%で、
    Ti:0.1%以下、
    Nb:0.1%以下、
    B:0.01%以下、
    Cr:1.5%以下、
    Cu:1.0%以下、
    Ni:1.0%以下
    のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度熱延鋼板。
  3. 鋼板が、更に加えて、質量%で、
    Mo:0.01~1.0%、
    W:0.01~0.5%、
    V:0.01~0.5%
    のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高強度熱延鋼板。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の高強度熱延鋼板を製造する方法であって、請求項1~3のいずれか1項に記載の化学成分を有する鋼を鋳造した後、直接、あるいは1300℃以下に再加熱して熱間圧延し、該熱間圧延において、Ar3点以上で完了する累積圧下率50%以上の仕上げ圧延を行い、熱間圧延後、第1段階の冷却として、15~35℃/秒の平均冷却速度で400~550℃まで冷却し、その後、第2段階の冷却として、平均冷却速度15℃/s以下で、(ベイナイト組織が50%以上でオーステナイト相が35%となる時点)~(ベイナイト組織が50%以上でオーステナイト相が20%となる時点から100s経過後の時点)の間のいずれかの時点まで冷却し、更に、第3段階の冷却として、その後、300℃になるまでの平均冷却速度を50℃/秒以上として300℃以下まで冷却して巻き取ることを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方法。
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