JP7373351B2 - 高温域で使用されるコンクリート構造物の補修工法 - Google Patents

高温域で使用されるコンクリート構造物の補修工法 Download PDF

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Description

本発明は、コンクリート構造物の補修工法、特に高温域で使用され、比較的温度変化の大きい環境下で使用されて劣化したコンクリートの補修工法に関する。
コンクリート構造物は、経年によって劣化するが、コンクリートの耐用年数よりも早く劣化するケースが少なくない。代表的な劣化現象や要因としては、水分の凍結によって体積膨張を起こすことでコンクリートにひび割れ等を引き起こす凍害、海水等の塩分によって鉄筋に錆が発生し、その膨張によってコンクリートにひび割れ、浮き、剥離等を引き起こす塩害、空気中の炭酸ガスによってpHが低下して鉄筋に錆を発生し、コンクリートにひび割れなどを引き起こす中性化、さらには乾燥収縮、表面摩耗、施工不良などが挙げられる。また、比較的温度変化の大きい環境下で使用されるコンクリート構造物は、温度変化による膨張、収縮の繰り返しに伴う劣化や、コンクリート構造物の表面側などその一部のみが高温となって、裏面側など他の部分の温度は室温又は外気温であるような場合にあっては、コンクリート構造物の内部に温度勾配が生じることによる劣化がある。
劣化したコンクリート構造物の補修は、一般的に健全なコンクリート面が露出するまで劣化部を除去(はつり)し、モルタルなどのセメント系断面修復材を用いて欠損部を埋め戻す方法が知られている。この際には必要により鉄筋の防錆処理やプライマー塗布などが行われる。
セメント系断面修復材は、一般的にはモルタルであり、これはコンクリートとほぼ同質な硬化物を与えることから、補修後のコンクリート構造物は補修部と本体構造物は一体化して挙動するものと設計上は見なされている。したがって、セメント系断面修復材の線膨張係数等についても、当然に同等であるとみなされ、それについては何らの注目はなされていないものであった。
しかし、上記のようにしてセメント系断面修復材を使用して補修を行った場合、高温域で使用されるコンクリート構造物においては、補修部又はその周辺が早期にひび割れ、浮き、脱落等を起こして劣化するという問題が見られた。このような場合は、再補修を頻繁に繰り返すことになるため、高温環境下であっても、長期に亘って劣化を生じない補修工法が望まれていた。
コンクリートの線膨張係数がひび割れ等に関係することは知られており、特許文献1は、コンクリート硬化過程の線膨張係数を9.5×10-6/℃以下に制御することを開示する。特許文献2は、プレキャスト用コンクリート型枠の線膨張係数を2×10-6/℃以下に制御することを開示する。特許文献3は、コンクリートとは異質の材料を使用するコンクリート埋設部材の線膨張係数を7×10-6/℃~11×10-6/℃に制御することを開示する。しかしながら、これらは劣化コンクリートの補修に関係するものではない。
コンクリート構造物の補修については、特許文献4にはコンクリート構造物の劣化部分を鉄筋が露出しない程度まではつりとり、その表面に永久型枠を配置し、空隙部にセメント系充填剤を充填する補修工法を開示する。特許文献5にはコンクリート構造物の補修面の露出した鉄筋に防錆材を塗布し、窪みにセメント系の躯体補修材を充填し、その上にモルタル欠損補修材を積層させ、最後に仕上げ補修材を塗布する補修工法を開示する。しかし、これらはいずれも線膨張係数については何も着目していない。
特開2009-57251号公報 特開2012-111211号公報 特開2016-23119号公報 特開2002-21388号公報 特開平8-26052号公報
本発明の目的は、高温環境又は比較的温度変化の大きい環境下に置かれるコンクリート構造物の補修工法を提供すると共に、補修箇所の耐久性を高めることが可能な補修工法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために各種検討した結果、従来着目されていないコンクリートと断面修復材の線膨張係数を制御することが重要であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、高温環境に曝されたコンクリート構造物の劣化部分を取り除いた補修箇所にセメント及び骨材を含む断面修復材を充填又は被覆して補修するにあたり、補修箇所のコンクリートの線膨張係数を測定又は算定し、その線膨張係数に近似した断面修復材を選定、又は調製し、これを断面修復材として使用することを特徴とする補修工法である。
前記断面修復材の線膨張係数が、補修箇所のコンクリートの線膨張係数の-4×10-6/℃~+5×10-6/℃の範囲とすることが好ましい。
線膨張係数(α)を、ひずみの変化量(Δε)と温度変化(Δt)から、下記式によって算出することが好ましい。
α=Δε/Δt
前記断面修復材の線膨張係数の調整は、骨材料又は/および全材料中の骨材由来SiO含有量によって調整すること、セメント混和材料の種類又は配合量によって調整すること、又はこれらの組み合わせで調整することができる。セメント混和材としては、無機系混和材又はポリマー系混和剤がある。
本発明によれば、高温環境又は比較的温度変化の大きい環境下に置かれるコンクリート構造物の補修後の補修箇所付近のひび割れや補修材とコンクリート境界付近に浮きなどの発生を防止して、早期に再補修が必要となる事態を回避し、長期間に亘り耐久性を維持し、コンクリートの劣化現象を抑制できる。
実施例(及び比較例)で使用したコンクリート補修試験体を示す側面図である。 同じくコンクリート補修試験体を示す図1のA-A断面図である。 実施例(及び比較例)において、超音波伝播速度の低下率を測定する試験における昇降温グラフである。
本発明のコンクリート構造物の補修工法は、高温域で使用されるコンクリート構造物に適用される。かかるコンクリート構造物には、ボイラーや炉などの熱源が付近にある発電所や製鉄所などの建築物、壁、土台などの構造物が挙げられる。
また、道路、鉄道、港湾、橋梁、ダムや、ビル等の建築物などの各種コンクリート構造物においても、直射日光により一時的にでもその表面が50℃以上の高温となるものも対象となる。
一般に、使用される環境が高温であるほど本発明の効果が発揮されるが、50℃以上、好ましくは100℃以上となる場合に本発明の効果が発揮される。また、温度変化が頻繁に起こる環境下ではその温度差が40℃以上、好ましくは50℃以上となる場合にも本発明の効果が発揮される。また、表面が輻射熱で熱せられて、裏面側との温度差が大きくなる環境下ではその温度差が30℃以上、好ましくは50℃以上となる場合にも本発明の効果が発揮される。したがって、高温域で使用されるとは、50℃以上となる環境下で使用されることを含み、これは輻射熱で表面などの一部がこの温度以上となればよい。この温度は継続する必要はなく、一時的にこの温度以上となればよく、むしろこの昇温、冷却のサイクルが繰り返し生じることがよい。
例えば、直射日光による温度上昇は比較的低いが、温度変化は頻繁に生じるので、その表面温度が比較的低い温度であっても、本発明の補修工法の適用対象として適する。また、ボイラーや炉の運転が断続的に行われ、温度変化が大きく、それが日に1回以上起こるようなコンクリート構造物にも適する。また、コンクリート構造物が壁のような場合、外気に触れる外壁表面とボイラーや炉の熱に近い内壁表面との温度差が大きく、且つ温度勾配が大きくなるコンクリート構造物にも適する。
本発明のコンクリート構造物の補修工法では、コンクリート構造物の補修箇所のコンクリートの線膨張係数を測定又は算出する。この線膨張係数は、線膨張係数と相関する係数であってもよく、例えば体積膨張係数又は面積膨張係数であってもよい。
コンクリートの線膨張係数を測定又は算定するには、補修箇所のコンクリートの線膨張係数が既知であるか、計算可能である場合はその値を用いることができる。例えば、コンクリート壁などの大型の構造物のコンクリートは、同一の材料を用いて、同時に作られることが多いので、補修箇所と多少離れた箇所のコンクリートであっても、ほぼ同じ線膨張係数を有するので、離れた箇所のコンクリートの値からその算定が可能である場合がある。しかし、コンクリートの線膨張係数は、外力や熱などの影響により供用中に変化することがあるので、補修箇所付近の値を測定することが好ましい。
線膨張係数が未知の場合においては、コンクリート構造物の補修箇所付近からコアドリルなどでコンクリートを採取し、採取コンクリートの線膨張係数を測定する。コンクリートコアの採取が難しい場合は、コンクリート構造物を供用した状態のまま直接的に線膨張係数を測定することもできる。
コンクリートの線膨張係数はひずみゲージ、ひずみ計、光ファイバセンサ、コンタクトゲージまたはレーザー変位計などを用いて測定することができる。容易に測定できるひずみゲージであることが好ましい。
線膨張係数(α)は、ひずみゲージと熱電対をコンクリートに設置し、測定したひずみの変化量(Δε)と温度変化(Δt)から、下記式によって算出するとよい。
α=Δε/Δt
使用する断面修復材は、補修箇所のコンクリートの線膨張係数(α1)に近似した線膨張係数を示すものとする。断面修復材の線膨張係数(α2)は、コンクリートの線膨張係数(α1)に比べて、4×10-6/℃低い線膨張係数と、5×10-6/℃高い線膨張係数の範囲にあるようにすることがよい。すなわち、線膨張係数(α2)を、「α1 - 4×10-6/℃」と「α1 + 5×10-6/℃」との間とすることがよい。好ましくは、線膨張係数(α2)は、コンクリートの線膨張係数(α1)の±3×10-6/℃の範囲にあるようにする。より好ましくは±2×10-6/℃である。断面修復材の線膨張係数(α2)が上記範囲にあることにより、補修箇所が高温に曝されたとしても、大きな温度変化を受けたとしても、長期に亘って劣化が防止できる。補修箇所又はその周辺の早期劣化の防止が可能である理由は定かではないが、加熱又は冷却時において、断面修復材とコンクリート境界面に生じる引張応力又は圧縮応力が減少して、耐久性が向上すると解される。
断面修復材の線膨張係数の測定は、実施例に記載の方法による。通常は、20℃~80℃間の平均の線膨張係数を採用することがよいが、コンクリート構造物がより高温に曝される場合は、例えば200℃に曝される場合は、20℃~200℃の線膨張係数を採用してもよい。しかし、多くの場合、線膨張係数の温度による変化は少ないので、20℃~80℃間の平均の線膨張係数が適する。
断面修復材は、セメントを含むモルタル類が適する。好ましくは、セメントと砂のような細骨材を主成分として含み、必要に応じて無機系又は有機系のセメント混和材が配合されたセメントモルタルである。セメントと細骨材の配合比は通常、セメント100重量部に対し、細骨材100~400重量部の範囲である。水の量はセメントに対し、20~60重量%程度がよい。
セメントとしては、ポルトランドセメント、高炉セメント、早強ポルトランドセメント等が使用される。
細骨材としては、天然砂、珪砂、石灰石細骨材、高炉水砕スラグ細骨材、人工軽量骨材、再生骨材等が使用される。また、必要により繊維を使用することもできる。
細骨材はその種類によって、異なる線膨張率を示すので、これらの種類と使用割合を変化させることで、線膨張係数を制御することができる。特に、珪砂は他の細骨材に比べて比較的大きな線膨張率を示すので、細骨材に含まれる珪砂分又はシリカ分を変化させることによって線膨張係数を効果的に制御することができる。
セメント混和材料としては、比較的多量に配合される混和材と、比較的少量配合される混和剤がある。セメント混和材料としては、無機系、有機系の混和材料を使用することができる。セメント混和材料としては、例えば、AE剤、減水剤、流動化剤、分離低減剤、界面活性剤、硬化調節剤、防錆剤、防水剤、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフューム、膨張材、急硬材、収縮低減剤、消泡剤や作業性や保水性の向上のためのポリマーがある。
セメント混和材料も、その種類によって異なる線膨張率を示すので、これらの種類を変化させることで、線膨張係数を制御することができる。
上記高炉スラグ粉末、フライアッシュ等の無機系混和材は、硬化性を有するので、セメントの一部と置換可能である。この置換率を変化させることによっても、効果的に線膨張係数を制御することができる。
また、上記ポリマーとしては、スチレンブタジエンゴム、ラテックス、エチレン酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステルエマルションなどがあるが、これらは混和剤としては比較的多量に使用され得る混和剤なので、これらを選択して配合することによっても、効果的に線膨張係数を制御することができる。
断面修復材の線膨張係数の調整は、上記の制御方法の一つ又は二つ以上の組み合わせにより行うことができるが、細骨材の使用量の調整、混和材の置換率の調整、又は上記ポリマー系混和剤の種類、使用量の調整によって行うことがよい。例えば、細骨材の使用量を50~85重量%の範囲で調整したり、混和材の置換率を0~25重量%の範囲で調整したり、混和剤を0.05~2.0重量%の範囲で調整することができる。全材料中の骨材由来SiO含有量は、0~80重量%が望ましい範囲である。
本発明の補修工法は、高温域で使用されるコンクリート構造物の劣化箇所の補修に適用する。劣化箇所の補修は、典型的には、コンクリート劣化部の除去、鉄筋が露出した場合はその除錆又は防錆処理と、プライマー塗布が処理等の前処理が必要により行われる。ついで、本発明の断面修復材で欠損箇所を埋め戻しが行われる。これは、充填又は塗布等により行われる。次いで、必要により表面被覆が行われて完了する。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例において使用したコンクリート補修材、及びコンクリート補修材を調整するための原材料を、次に示す。
(1)コンクリート断面修復材;
NEM-TP(日鉄セメント社製)
(2)コンクリート断面修復材の原材料;
セメント;
普通ポルトランドセメント(日鉄セメント社製)
早強ポルトランドセメント(日鉄セメント社製)
混和材;
高炉スラグ微粉末(スピリッツ6000、日鉄セメント社製)
フライアッシュ(北電興業社製)
シリカフューム(SKWイーストアジア社製)
石灰石粉(道路用、日鉄セメント社製)
混和剤;
マイテイ100(高性能AE減水剤、花王社製)
LDM7300P(アクリル系ポリマー、日本合成化学社製)
骨材
5号珪砂(SiO2含有量93.7%、東北硅砂社製)
高炉スラグ細骨材(SiO2含有量31.8%、日鉄セメント社製)
石灰石細骨材(SiO2含有量1.6%、尻屋産石灰石)
ボトムアッシュ(SiO2含有量59.5%、日本製鉄社製)
実施例1~9
上記原料を表1に示す割合(重量部)で配合して、更に水を、砂60重量部の配合では、セメント100重量部に対して40重量部とし、砂75重量部の配合では、セメント100重量部に対して50重量部とし、砂80重量部の配合では、セメント100重量部に対して55重量部配合し、混練して断面修復材としてのモルタルを調製した。
実施例1~9は、各種の無機系混和材を配合して、セメント置換率を変化することによって、断面修復材の線膨張係数を調整した例である。
コンクリート断面修復材NEM-TP及び上記で調製されたコンクリート断面修復材(モルタル)を、各々、4×4×16cmの角柱供試体に成形した。これを材齢28日経過させて試料とした。
この試料を、室温(20℃)から80℃まで20℃上昇毎に長さの変化をコンタクトゲージで測定し、下記式により線膨張係数(α2)を求めた。
α2=(L80-L20)/L20/60℃
ここで、L80、L20はそれぞれ80℃での長さ、20℃での長さである。
Figure 0007373351000001
実施例10~18
実施例1と同様にして、原料を表2に示す割合で配合して、モルタルを調製した。骨材の種類を変更し全材料中の骨材由来SiO2含有量を変化することによって、断面修復材の線膨張係数を調整した例である。実施例18は、有機系混和剤を添加することによって、線膨張係数を調整した例である。
Figure 0007373351000002
実施例21~22、比較例1、2
図1、図2に示すとおり、中央に120mm×120mm×50mmの凹部がある300mm×300mm×100mmのコンクリート1を材齢28日まで封緘養生した後,中央凹部に断面修復材2を充填し,さらに28日間封緘養生させて試験体とした。また,比較用に300mm×300mm×100mmのコンクリートを、上記同様に材齢56日まで封緘養生させて比較用試験体とした。
上記試験体の断面修復材を充填した表面を除く5面に厚さ10cmのポリスチレンボードを取り付けた後、図3に示すとおり、20℃から80℃に昇温し,その後20℃まで降温する昇降温を1サイクルとして,このサイクルを28回繰り返した。
補修箇所のコンクリートの線膨張係数(α1)も、下記式で求めた。
α1=(L80-L20)/L20/60℃
ここで、L80、L20はそれぞれ80℃での長さ、20℃での長さである。
昇降温前の0サイクル時の超音波伝播速度(V0)と28サイクル時の超音波伝播速度(V28)を測定し,高温環境下における線膨張係数の違いによる超音波伝播速度の低下率を求めた。超音波伝播速度の低下率(%)は、下記の式により求めた。その結果を表3に示す

(V28-V0)/V0×100
なお,昇降温サイクル試験は水分蒸発に伴う乾燥収縮による収縮応力の影響を除外するため,試験体および比較用試験体の全面をポリエチレンフィルムで覆った状態で行った。超音波伝播速度はコンクリートの圧縮強度と正の相関にあり,この測定はコンクリートの圧縮強度を非破壊で推定することができる。また,超音波はひび割れなどの欠陥がある場合はその部位を迂回して進行することから超音波伝播速度は遅くなる。すなわち,超音波伝播速度の低下は圧縮強度の低下や欠陥が発生したことを意味する。
比較例1は、実施例1の断面修復材を使用し、コンクリートの線膨張係数に対して4.6×10-6/℃小さい断面修復材で補修した例である。比較例2は、断面修復材としてNEM-TPを使用し、コンクリートの線膨張係数に対して5.4×10-6/℃大きい断面修復材で補修した例である。断面修復材の線膨張係数がコンクリートの線膨張係数と近似せず、特に-4×10-6/℃~+5×10-6/℃の範囲を超過すると、コンクリートおよび断面修復材の低下率が大きくなることがわかる。
これに対して、実施例21は、断面修復材としてNEM-TPを使用し、コンクリートの線膨張係数に対して0.1×10-6/℃小さい断面修復材で補修した例である。実施例22は、実施例1の断面修復材を使用し、コンクリートの線膨張係数に対して0.9×10-6/℃大きい断面修復材で補修した例である。断面修復材として、その線膨張係数がコンクリートの線膨張係数と近似したもの、特に-4×10-6/℃~+5×10-6/℃の範囲内とすることで、低下率を小さくでき,圧縮強度の低下やひび割れなどの欠陥を抑制することができる。
Figure 0007373351000003
本発明は、コンクリート構造物の補修工法、特に高温域で使用され、比較的温度変化の大きい環境下で使用されて劣化したコンクリートの補修工法として広く利用可能である。
1 コンクリート
2 断面修復材

Claims (5)

  1. 高温環境に曝されたコンクリート構造物の劣化部分を取り除いた補修箇所にセメント及び骨材を含むセメント系断面修復材を埋め戻して補修するにあたり、補修箇所のコクリートの線膨張係数を測定又は算定し、補修箇所のコンクリートの線膨張係数の-4×10-6/℃~+5×10-6/℃の範囲の線膨張係数となるセメント系断面修復材を選定、又は調製し、これを断面修復材として使用することを特徴とする補修工法。
  2. 線膨張係数(α)を、ひずみの変化量(Δε)と温度変化(Δt)から、下記式によって算出する請求項1に記載の補修工法。
    α=Δε/Δt
  3. 前記セメント系断面修復材の線膨張係数を、骨材量又は/および全材料中の骨材由来SiO含有量によって調整する請求項1に記載の補修工法。
  4. 前記セメント系断面修復材がセメント、骨材及びセメント混和材料を含み、その線膨張係数を、セメント混和材料の種類又は配合量によって調整する請求項1に記載の補修工法。
  5. 前記セメント混和材料が、無機系混和材又はポリマー系混和剤である請求項に記載の補修工法。
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