JP7372662B2 - 洗浄剤組成物及び洗浄剤組成物用原液 - Google Patents

洗浄剤組成物及び洗浄剤組成物用原液 Download PDF

Info

Publication number
JP7372662B2
JP7372662B2 JP2019172044A JP2019172044A JP7372662B2 JP 7372662 B2 JP7372662 B2 JP 7372662B2 JP 2019172044 A JP2019172044 A JP 2019172044A JP 2019172044 A JP2019172044 A JP 2019172044A JP 7372662 B2 JP7372662 B2 JP 7372662B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cleaning composition
cleaning
glycol
ether
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019172044A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021050254A (ja
Inventor
薫夫 堀
悠紀 赤松
慧太 石原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaken Tech Co Ltd
Original Assignee
Kaken Tech Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaken Tech Co Ltd filed Critical Kaken Tech Co Ltd
Priority to JP2019172044A priority Critical patent/JP7372662B2/ja
Publication of JP2021050254A publication Critical patent/JP2021050254A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7372662B2 publication Critical patent/JP7372662B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Detergent Compositions (AREA)
  • Electric Connection Of Electric Components To Printed Circuits (AREA)

Description

本発明は、洗浄剤組成物及び洗浄剤組成物用原液に関する。
従来から、カメラモジュール部品、集積回路(IC)及びコンデンサ等の電子部品をプリント基板等にはんだ付けする際に、ソルダペーストからフラックスが飛散し、電極の周囲に残渣として付着することが知られている(以下、上述のフラックスの残渣を「フラックス残渣」という場合がある。)。
フラックス残渣は、はんだ接合部における腐食等の原因となるほか、ワイヤボンディングを行う工程での接合不良及び、樹脂封止をする工程におけるモールド樹脂との密着不良等の原因となりうる。そのため、フラックス残渣は洗浄剤で除去する必要があり、従来から種々の洗浄剤が提案されている。
特開2018-021093号公報
近年、比較的多量の水を含むことにより環境安全性に優れる一方、洗浄性を発揮できる洗浄剤組成物が提案されている。例えば、特開2018-021093号公報(特許文献1)には、25℃の水100gに対する溶解度が10g未満であるアミン(成分A)又はその塩、25℃の水100gに対する溶解度が0.02g以上10g未満である溶剤(成分B)、及び水を含み、前記成分Aが、炭素数が6以上26以下の、1級アミン、2級アミン及び3級アミンから選ばれる少なくとも1種である、スクリーン版用洗浄剤組成物が開示されている。
しかし、特許文献1に記載のスクリーン版用洗浄剤組成物は、銅などの金属に対する腐食性を有しており、洗浄対象物が金属からなる場合、当該洗浄対象物が腐食される。
一方で、樹脂に対する反応性(例えば、溶解性、分解性等)を有する洗浄剤組成物が知られている。
このような事情から、洗浄対象物の材料によって適切な洗浄剤組成物を選ぶ必要があるため、洗浄剤組成物の更なる改善が求められている。
さらに、上記電子部品の製造過程において、樹脂又は金属を加工する際に微細な異物(パーティクル)が発生し、上記電子部品に付着することが知られている。例えば、カメラモジュール部品においては、上述の微細な異物がレンズ又はイメージセンサーに付着するとカメラモジュール部品の性能に大きく影響する。このような事情から、洗浄対象物を洗浄する際に上述の微細な異物も除去することが求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、洗浄性に優れ、かつ金属及び樹脂に対する反応性が抑制された洗浄剤組成物及び洗浄剤組成物用原液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を進めた結果、グリコールエーテル化合物と、疎水性の第三級アミン化合物と、親水性のカルボン酸と、水とを含む洗浄剤組成物が、洗浄性に優れ、かつ金属及び樹脂に対する反応性が抑制されていることを見いだし、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]グリコールエーテル化合物と、疎水性の第三級アミン化合物と、親水性のカルボン酸と、水とを含む洗浄剤組成物であって、
上記グリコールエーテル化合物は、その含有割合が上記洗浄剤組成物の全体に対して、4.9~90質量%であり、
上記疎水性の第三級アミン化合物は、その含有割合が上記洗浄剤組成物の全体に対して、0.1~10質量%であり、
上記親水性のカルボン酸は、その含有割合が上記洗浄剤組成物の全体に対して、0.01~10質量%であり、
上記水は、その含有割合が上記洗浄剤組成物の全体に対して、9.9~94.99質量%である、洗浄剤組成物。
[2]上記グリコールエーテル化合物は、式(1)で表される化合物又は式(6)で表される化合物である、[1]に記載の洗浄剤組成物。
Figure 0007372662000001

(式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基を示し、Rは、炭素数1~11の鎖状又は環状の炭化水素基を示し、上記炭化水素基に含まれる-CH-は、-O-に置き換わっていてもよく、式(6)中、R12及びR13は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。)
[3]上記グリコールエーテル化合物は、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルプロピレンジグリコール、ジメチルジグリコール、ベンジルグリコール、フェニルグリコール、フェニルジグリコール、フェニルプロピレングリコール、ヘキシルグリコール、ヘキシルジグリコール、2-エチルヘキシルグリコール、2-エチルヘキシルジグリコール、プロピルプロピレンジグリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチルブタノール、2-メトキシブタノール、3-メトキシブタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルブチルエーテル、及びトリエチレングリコールエチルブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、[2]に記載の洗浄剤組成物。
[4]上記疎水性の第三級アミン化合物は、式(2)で表される化合物である、[1]~[3]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
Figure 0007372662000002

(式(2)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の鎖状の炭化水素基を示し、R、R及びRの炭素数の和が8~24である。)
[5]上記疎水性の第三級アミン化合物は、N,N’-ジメチルデシルアミン、N,N’-ジメチルオクチルアミン、トリオクチルアミン、トリプロピルアミン、トリアリルアミン及びジイソプロピルエチルアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、[4]に記載の洗浄剤組成物。
[6]上記親水性のカルボン酸は、式(3)又は式(4)で表される化合物である、[1]~[5]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
Figure 0007372662000003

(式(3)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~3の鎖状の炭化水素基又はカルボキシメチル基を示し、式(4)中、R10及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~3の鎖状の炭化水素基又はカルボキシメチル基を示し、炭素-炭素二重結合に直接結合している2つのカルボキシル基はシス型又はトランス型である。)
[7]上記親水性のカルボン酸は、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、アコニット酸、シトラコン酸、フマル酸及びメサコン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、[6]に記載の洗浄剤組成物。
[8]上記疎水性の第三級アミン化合物を含む有機相と、上記親水性のカルボン酸及び上記水を含む水相とを含み、
洗浄対象物を洗浄する温度において静置時に、上記有機相からなる第一層と上記水相からなる第二層とを含む少なくとも2層以上に分離している、[1]~[7]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
[9]親水性のアミン化合物の含有割合が上記洗浄剤組成物の全量に対して0質量%を超えて0.1質量%未満である、[1]~[8]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
[10]フラックス洗浄用、又は微細な異物の洗浄用である、[1]~[9]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
[11]グリコールエーテル化合物と、疎水性の第三級アミン化合物と、親水性のカルボン酸とを含む洗浄剤組成物用原液であって、
上記グリコールエーテル化合物は、その含有割合が上記洗浄剤組成物用原液の全体に対して、60~99.8質量%であり、
上記疎水性の第三級アミン化合物は、その含有割合が上記洗浄剤組成物用原液の全体に対して、0.1~20質量%であり、
上記親水性のカルボン酸は、その含有割合が上記洗浄剤組成物用原液の全体に対して、0.1~20質量%であり、
洗浄対象物を洗浄する際に、水で1.1~20倍に希釈して用いられる、洗浄剤組成物用原液。
本発明によれば、洗浄性に優れ、かつ金属及び樹脂に対する反応性が抑制された洗浄剤組成物及び洗浄剤組成物用原液を提供することが可能になる。
図1は、本実施形態の一態様に係る洗浄装置の模式図である。 図2は、本実施形態の他の態様に係る洗浄装置の模式図である。
以下、本発明の一実施形態(以下「本実施形態」と記す。)について説明する。ただし、本実施形態はこれに限定されるものではない。本明細書において「X~Y」という形式の表記は、範囲の上限下限(すなわちX以上Y以下)を意味する。Xにおいて単位の記載がなく、Yにおいてのみ単位が記載されている場合、Xの単位とYの単位とは同じである。
≪洗浄剤組成物≫
本実施形態に係る洗浄剤組成物は、グリコールエーテル化合物と、疎水性の第三級アミン化合物と、親水性のカルボン酸と、水とを含む洗浄剤組成物であって、
上記グリコールエーテル化合物は、その含有割合が上記洗浄剤組成物の全体に対して、4.9~90質量%であり、
上記疎水性の第三級アミン化合物は、その含有割合が上記洗浄剤組成物の全体に対して、0.1~10質量%であり、
上記親水性のカルボン酸は、その含有割合が上記洗浄剤組成物の全体に対して、0.01~10質量%であり、
上記水は、その含有割合が上記洗浄剤組成物の全体に対して、9.9~94.99質量%である。
上記洗浄剤組成物は、上述の構成を備えることで、洗浄性に優れ、かつ金属及び樹脂に対する反応性が抑制されたものとなる。ここで、「金属及び樹脂に対する反応性」とは、金属に対する腐食性(金属腐食性)及び樹脂に対する溶解性(樹脂溶解性)を意味する。
上記洗浄剤組成物は、洗浄対象物の表面に付着した汚れ(例えば、フラックス残渣(ロジン系フラックス、水溶性フラックス等)及び微細な異物)を除去するために用いられる。本実施形態において、「微細な異物」とは、サイズが1~100μmである異物を意味する。「異物」とは、上記洗浄対象物に付着すると上記洗浄対象物の機能を損ねるような不要な物を意味する。上述の微細な異物は、例えば、有機化合物からなる異物(樹脂の摩耗粉、動物の皮脂等)、無機化合物からなる異物、金属からなる異物(金属の摩耗粉等)が挙げられる。上記洗浄対象物の材料としては、通常用いられる材料であればどのようなものであってもよい。上記材料としては、例えば、鉄、SUS、銅及びアルミニウム等の金属、シリカ及びアルミナ等の無機物、並びに、ポリアミド(ナイロン)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びエポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
<グリコールエーテル化合物>
上記洗浄物組成物は、グリコールエーテル化合物を含む。本実施形態において「グリコールエーテル化合物」とは、二価アルコールのエーテル化合物を意味する。上記グリコールエーテル化合物は、疎水性のグリコールエーテル化合物であってもよいし、親水性のグリコールエーテル化合物であってもよい。本実施形態において、「疎水性」とは、水に対する溶解度が50質量%以下である性質を意味する。「親水性」とは、水に対する溶解度が50質量%を超える性質を意味する。上記グリコールエーテル化合物は、公知の出発物質から公知の方法によって合成してもよい。上記グリコールエーテル化合物は、市販品をそのまま用いてもよい。
本実施形態において、上記グリコールエーテル化合物は、式(1)で表される化合物又は式(6)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007372662000004
上記式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基を示す。Rは、炭素数1~11の鎖状又は環状の炭化水素基を示す。上記炭化水素基に含まれる-CH-は、-O-に置き換わっていてもよい。上記炭化水素基に含まれる-CH-が-O-に置き換わっている場合、置き換わる前の炭素数を当該炭化水素基の炭素数とする。
本実施形態の一側面において、Rは水素原子であることが好ましい。すなわち、上記グリコールエーテル化合物は、式(5)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007372662000005
における鎖状の炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよい。当該炭化水素基は、直鎖状の炭化水素基であってもよいし、分岐鎖状の炭化水素基であってもよい。Rにおける鎖状の炭化水素基は、炭素数が4~6であることが好ましい。Rにおける鎖状の炭化水素基は、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、メトキシエチル基等が挙げられる。
における環状の炭化水素基は、飽和の脂環式炭化水素基であってもよいし、不飽和の脂環式炭化水素基であってもよいし、芳香族炭化水素基であってもよい。Rにおける環状の炭化水素基は、炭素数が6~9であることが好ましい。Rにおける環状の炭化水素基は、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェノキシエチル基等が挙げられる。
式(6)中、R12及びR13は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。本実施形態の一側面において、R12は水素原子であり、R13はメチル基であることが好ましい。本実施形態の他の一側面において、R12はメチル基であり、R13はメチル基であることが好ましい。
上記グリコールエーテル化合物は、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PFG)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(BFG)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(BFDG)、ジメチルプロピレンジグリコール(DMFDG)、ジメチルジグリコール(DMDG)、ベンジルグリコール(BzG)、フェニルグリコール(PhG)、フェニルジグリコール(PhDG)、フェニルプロピレングリコール(PhFG)、ヘキシルグリコール(HeG)、ヘキシルジグリコール(HeDG)、2-エチルヘキシルグリコール(EHG)、2-エチルヘキシルジグリコール(EHDG)、プロピルプロピレンジグリコール(PFDG)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(PS)、エチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル(ETB)、3-メトキシ-3-メチルブタノール(MMB)、2-メトキシブタノール(2MB)、3-メトキシブタノール(3MB)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(iPG)、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル(IPDM)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(MEDG)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(DMTG)、ジエチレングリコールメチルイソプロピルエーテル(iPDGMe)、ジエチレングリコールエチルイソプロピルエーテル(iPDGEt)、ジエチレングリコールエチルブチルエーテル(BDGEt)、及びトリエチレングリコールエチルブチルエーテル(BTGEt)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。上記グリコールエーテル化合物は、プロピレングリコールモノブチルエーテル、2-エチルヘキシルグリコール、2-エチルヘキシルジグリコール、ジメチルプロピレンジグリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル又は、3-メトキシ-3-メチルブタノールを含むことがより好ましい。上述したグリコールエーテル化合物の構造式を以下に示す。
Figure 0007372662000006
Figure 0007372662000007
Figure 0007372662000008
上記グリコールエーテル化合物は、その含有割合が上記洗浄剤組成物の全体に対して、4.9~90質量%であり、7~70質量%であることが好ましく、10~50質量%であることがより好ましい。このようにすることで、フラックス残渣に対する洗浄性が更に優れる洗浄剤組成物となる。上記グリコールエーテル化合物は、ガスクロマトグラフィーによる分析で求めることができる。ガスクロマトグラフィーによる分析の条件は以下の通りである。
装置:ガスクトマログラフ GC-14B(株式会社島津製作所製)
検出器:熱伝導度型検出器(TCD)
カラム:Thermon-3000(信和化工株式会社製)
気化室温度:160℃
検出器温度:160℃
<疎水性の第三級アミン化合物>
上記洗浄物組成物は、疎水性の第三級アミン化合物を含む。ここで「第三級アミン化合物」とは、アンモニアの3つの水素原子が炭化水素基で置換された化合物を意味する。本実施形態において、「疎水性」とは、水に対する溶解度が50質量%以下である性質を意味する。上記疎水性の第三級アミン化合物は、公知の出発物質から公知の方法によって合成してもよい。上記疎水性の第三級アミン化合物は、市販品をそのまま用いてもよい。
本実施形態において、上記疎水性の第三級アミン化合物は、式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007372662000009
上記式(2)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の鎖状の炭化水素基を示す。また、R、R及びRの炭素数の和は、8~24である。
、R及びRそれぞれにおける鎖状の炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよい。当該炭化水素基は、直鎖状の炭化水素基であってもよいし、分岐鎖状の炭化水素基であってもよい。当該鎖状の炭化水素基は、炭素数が3~8であることが好ましい。当該鎖状の炭化水素基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アリル基、オクチル基等が挙げられる。R、R及びRの炭素数の和は、9~12であることが好ましい。
上記疎水性の第三級アミン化合物は、N,N’-ジメチルデシルアミン(DMDA)、N,N’-ジメチルオクチルアミン(DMOA)、トリオクチルアミン(TOA)、トリプロピルアミン(TPA)、トリアリルアミン(TAA)及びジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。上記疎水性の第三級アミン化合物は、N,N’-ジメチルデシルアミン又はN,N’-ジメチルオクチルアミンを含むことが好ましい。上述した疎水性の第三級アミン化合物の構造式を以下に示す。
Figure 0007372662000010
上記疎水性の第三級アミン化合物は、その含有割合が上記洗浄剤組成物の全体に対して、0.1~10質量%であり、0.1~3質量%であることが好ましく、0.1~2質量%であることがより好ましい。このようにすることで、フラックス残渣に対する除去性(洗浄性)、及び微細な異物に対する除去性が更に優れる洗浄剤組成物となる。上記疎水性の第三級アミン化合物は、ガスクロマトグラフィーによる分析で求めることができる。ガスクロマトグラフィーによる分析の条件は上述の条件が用いられる。
<親水性のカルボン酸>
上記洗浄物組成物は、親水性のカルボン酸を含む。本実施形態において「親水性」とは、水に対する溶解度が50質量%を超える性質を意味する。また「カルボン酸」とは、カルボキシル基を有する有機化合物を意味する。上記親水性のカルボン酸は、公知の出発物質から公知の方法によって合成してもよい。上記親水性のカルボン酸は、市販品をそのまま用いてもよい。
本実施形態において、上記親水性のカルボン酸は、式(3)又は式(4)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007372662000011
式(3)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~3の鎖状の炭化水素基又はカルボキシメチル基を示す。式(4)中、R10及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~3の鎖状の炭化水素基又はカルボキシメチル基を示す。式(4)中、炭素-炭素二重結合に直接結合している2つのカルボキシル基はシス型又はトランス型である。
、R、R10及びR11それぞれにおける鎖状の炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよい。当該炭化水素基は、直鎖状の炭化水素基であってもよいし、分岐鎖状の炭化水素基であってもよい。当該鎖状の炭化水素基は、炭素数が1であることが好ましい。当該鎖状の炭化水素基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アリル基等が挙げられる。
上記親水性のカルボン酸は、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、アコニット酸、シトラコン酸、フマル酸及びメサコン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことがより好ましい。上記親水性のカルボン酸は、クエン酸、リンゴ酸、又は乳酸を含むことが好ましい。上述した親水性のカルボン酸の構造式を以下に示す。
Figure 0007372662000012
Figure 0007372662000013
上記親水性のカルボン酸は、その含有割合が上記洗浄剤組成物の全体に対して、0.01~10質量%であり、0.05~3質量%であることが好ましく、0.1~2質量%であることがより好ましい。このようにすることで、フラックス残渣に対する除去性(洗浄性)、及び微細な異物に対する除去性が更に優れる洗浄剤組成物となる。上記親水性のカルボン酸は、電位差滴定法による分析で求めることができる。電位差滴定法による分析の条件は以下の通りである。
装置:電位差自動滴定装置 Model AT-710M(京都電子工業株式会社)
測定温度:20℃
<水>
上記洗浄剤組成物は、水を含む。上記水は、各種工業製品の原料として用いられる水、水道水等であれば特に制限はない。上記水は、蒸留水であってもよいし、イオン交換水であってもよい。本実施形態の一側面において、上記水は、その電気伝導率が1~300μS/cmであってもよいし、1~100μS/cmであってもよい。
上記水は、その含有割合が上記洗浄剤組成物の全量に対して9.9~94.99質量%であり、13~90質量%であることが好ましく、15~90質量%であることがより好ましく、20~85質量%であることが更に好ましい。このようにすることで、作業安全性及び環境安全性に優れる洗浄剤組成物となる。上記水の含有割合は、カールフィッシャー水分計による分析で求めることができる。カールフィッシャー水分計による分析の条件は以下の通りである。
カールフィッシャー水分計の分析条件
装置:カールフィッシャー水分計 MKS-500(京都電子工業株式会社製)
測定方法:容量滴定法
測定温度:20℃
<親水性のアミン化合物>
本実施形態の一側面において、上記洗浄剤組成物は、親水性のアミン化合物の含有割合が上記洗浄剤組成物の全量に対して0質量%を超えて0.1質量%未満であることが好ましい。親水性のアミン化合物の含有割合を上述の範囲にすることによって、洗浄対象物における金属への変色及び腐食等の影響を低減することが可能になる。本実施形態の一側面において、上記洗浄剤組成物は、上記親水性のアミン化合物を含まないことがより好ましい。
本実施形態において上記親水性のアミン化合物としては、2-(エチルアミノ)エタノール(MEM)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-シクロヘキシルアミン(CHE-20)、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ジアミノヘキサン(TMHDA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)等が挙げられる。すなわち、上記洗浄剤組成物は、MEM、CHE-20、TMHDA、MEA、DEA及びTEAを含まないことが好ましい。
本実施形態の一側面において、上記洗浄剤組成物は、MEM、CHE-20、TMHDA、MEA、DEA及びTEAからなる群より選ばれる少なくとも一種の親水性のアミン化合物を含まないことが好ましい。
<その他の成分>
本実施形態に係る洗浄剤組成物は、本発明の効果が奏される限り、その他の成分が更に含まれていてもよい。上記その他の成分としては、例えば、界面活性剤、防錆剤、pH調整剤、キレート剤、増粘剤、湿潤剤、蒸発遅延剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、香料及び防腐剤等が挙げられる。
<洗浄剤組成物の特性>
本実施形態の一側面において、上記洗浄剤組成物は上記疎水性の第三級アミン化合物を含む有機相と、上記親水性のカルボン酸及び上記水を含む水相とを含むと把握することができる。上記洗浄剤組成物は、洗浄対象物を洗浄する温度において静置時に、上記有機相からなる第一層と上記水相からなる第二層とを含む少なくとも2層以上に分離していることが好ましい。ここで「洗浄対象物を洗浄する温度」とは、洗浄処理において洗浄対象物から汚れ(例えば、フラックス残渣等)を除去しうる、洗浄剤組成物の温度を意味する。当該温度は、例えば、20~70℃であってもよいし、30~60℃であってもよいし、40~50℃であってもよい。「静置時」とは、上記洗浄剤組成物が、重力以外の外力を受けていない状態を4時間維持した時を意味する。より具体的には、上記「静置時」は上記洗浄剤組成物が、振動、回転及び撹拌されていない状態を4時間維持した時と把握することもできる。なお、上記グリコールエーテル化合物は、有機相に含まれていてもよいし、水相に含まれていてもよいし、両相共に含まれていてもよい。
本実施形態の一側面において、上記洗浄剤組成物は、洗浄対象物を洗浄する温度において静置時に、3層以上に分離してもよい。
アミン化合物による金属の腐食を抑制するために、上記アミン化合物と酸(例えば、有機酸)とを共に配合する洗浄剤組成物は、従来から知られていた。しかし、アミン化合物と酸とで塩が形成されてしまうため、従来の洗浄剤組成物は洗浄性が低下する傾向があった。
本実施形態に係る洗浄剤組成物は、疎水性の第三級アミン化合物が有機相に存在し、かつ親水性のカルボン酸が水相に存在する。このように塩を形成する成分がそれぞれ異なる相に存在するため、両成分が接触する機会が制限される。その結果、当該洗浄剤組成物は塩の形成が抑制され洗浄性の低下が抑制されると、本発明者らは考えている。
≪洗浄剤組成物用原液≫
本実施形態に係る洗浄剤組成物用原液は、グリコールエーテル化合物と、疎水性の第三級アミン化合物と、親水性のカルボン酸とを含む洗浄剤組成物用原液であって、
上記グリコールエーテル化合物は、その含有割合が上記洗浄剤組成物用原液の全体に対して、60~99.8質量%であり、
上記疎水性の第三級アミン化合物は、その含有割合が上記洗浄剤組成物用原液の全体に対して、0.1~20質量%であり、
上記親水性のカルボン酸は、その含有割合が上記洗浄剤組成物用原液の全体に対して、0.1~20質量%であり、
洗浄対象物を洗浄する際に、水で1.1~20倍(好ましくは、1.5~10倍、より好ましくは2.5~10倍)に希釈して用いられる。上記洗浄剤組成物用原液を上述の倍率(体積比率)で希釈することで、上記洗浄剤組成物を得ることができる。
≪洗浄剤組成物の製造方法≫
本実施形態に係る洗浄剤組成物の製造方法は、上記グリコールエーテル化合物と、上記疎水性の第三級アミン化合物と、上記親水性のカルボン酸と、上記水とを準備する工程と、上記グリコールエーテル化合物と、上記疎水性の第三級アミン化合物と、上記親水性のカルボン酸とを上記水に添加する工程を含む。当該添加する工程は、どのような手法を用いてもよい。添加する工程としては、例えば、フラスコに上記グリコールエーテル化合物、上記疎水性の第三級アミン化合物、上記親水性のカルボン酸及び上記水を加えること、及び化学プラント等において、工業的規模で上記グリコールエーテル化合物、上記疎水性の第三級アミン化合物、上記親水性のカルボン酸及び上記水を加えること等が挙げられる。
≪洗浄対象物の洗浄方法≫
本実施形態に係る洗浄対象物の洗浄方法は、
洗浄対象物の洗浄方法であって、上記洗浄剤組成物を上記洗浄対象物の表面に接触させることを含む。
上記洗浄剤組成物を上記洗浄対象物の表面に接触させる方法は特に制限されない。当該方法は、例えば、浸漬、塗布、及びスプレー又はシャワーによる噴霧などの方法によって、大気中、減圧下、または加圧下で常温下又は加熱下で接触させることが挙げられる。浸漬によって上記洗浄剤組成物を上記洗浄対象物の表面に接触させる場合、必要に応じて、超音波処理、バブリング処理、揺動等の操作を行ってもよい。当該方法は、加温した上記洗浄剤組成物が投入された洗浄剤槽に、上記洗浄対象物を浸漬して、洗浄することが好ましい。このとき、上記洗浄剤組成物を撹拌して上記水相と上記有機相とが均一に分散した状態とすることが好ましい。浸漬する時間は、1分間~60分間であることが好ましい。
本実施形態の洗浄対象物の洗浄方法は、上記洗浄剤組成物の温度を20~70℃とすることが好ましく、30~60℃とすることがより好ましく、40~50℃とすることが更に好ましい。
その後、水又は含水アルコールによるリンスを行って、乾燥で洗浄剤組成物を、上記洗浄対象物から除去すればよい。
本実施形態の一側面において、上記洗浄対象物の洗浄方法を行うにあたり、例えば、図1及び図2に示されるような洗浄装置を用いてもよい。図1及び図2に示す洗浄装置10は、超音波洗浄するための超音波振動子29を備えた洗浄槽12と、リンス槽14と、乾燥槽16と、を備えている。
洗浄槽12は、筐体12aと、洗浄対象物23の収容部20と、超音波振動子29と、洗浄剤組成物21の攪拌装置(図示せず)と、サーモスタット付きのヒーター19とを備えている。上記洗浄槽12はこのような構成を備えることで、攪拌および循環している洗浄剤組成物21に対して、超音波振動子29が、超音波振動を付与し、洗浄対象物23を効率的に洗浄することができる。
また、図2に示すように、洗浄槽12は洗浄剤組成物21を循環させるための循環路22を更に備えていてもよい。循環経路22は、その経路の途中に、洗浄剤組成物21を循環するためのポンプ24と、洗浄剤組成物21中に含まれる汚染物(フラックス残渣及び微細な異物等)を除去するためのフィルタ28及び塩形成化合物収容部26とが配置されている。すなわち、循環経路22中に設けられているポンプ24によって、一部汚染された洗浄剤組成物21を循環させ、フィルタ28及び塩形成化合物収容部26において、汚染物を除去することで洗浄剤組成物21を再生することができる。
リンス槽14にはリンス液15が貯留されている。リンス液15ですすぐことで、洗浄対象物23から洗浄剤組成物21を除去する。さらに乾燥用ヒーター17を備えている乾燥槽16において、リンス液15等を蒸発させて、洗浄対象物23を乾燥させる。
リンス液15の組成としては、特に制限はないが、以下のリンス剤が好ましく用いられる。すなわち、少なくとも水溶性グリコールエーテル化合物及び水を含み、ベンジルアルコールの溶解度が10vol%以上であるリンス剤であって、上記水溶性グリコールエーテル化合物100重量部に対して、上記水の配合量が50~1000重量部である、リンス剤が好ましく用いられる。本実施形態の他の側面において、グリコールエーテル化合物と、疎水性の第三級アミン化合物と、水とを含むリンス剤であって、上記グリコールエーテル化合物は、その含有割合が上記リンス剤の全体に対して、4.9~90質量%であり、上記疎水性の第三級アミン化合物は、その含有割合が上記リンス剤の全体に対して、0.1~10質量%であり、上記水は、その含有割合が上記リンス剤の全体に対して、9.9~95質量%であるリンス剤が好ましく用いられる。
このような洗浄装置10を使用することにより、本発明の洗浄剤組成物を用いて、はんだ処理された電子部品及び基板を洗浄し、それらに付着しているフラックス残渣及び微細な異物等を効率的に除去することができる。
本実施形態に係る洗浄剤組成物は、フラックス残渣及び微細な異物を除去するために好適に用いることができる。すなわち、上記洗浄剤組成物は、フラックス洗浄用、又は微細な異物の洗浄用であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
≪原料≫
本実施例において使用した原料となる化合物の名称等を以下に示す。
N,N’-ジメチルオクチルアミン(DMOA) :富士フイルム和光純薬株式会社製
N,N’-ジメチルデシルアミン(DMDA) :富士フイルム和光純薬株式会社製
ジ-n-ブチルアミン(DBA) :広栄化学工業株式会社製
n-オクチルアミン :富士フイルム和光純薬株式会社製
2-(エチルアミノ)エタノール(MEM) :日本乳化剤株式会社製
N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ジアミノヘキサン(TMHDA) :富士フイルム和光純薬株式会社製
N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-シクロヘキシルアミン(CHE-20) :新日本理化株式会社製
エチレングリコールモノイソブチルエーテル(i-BG) :日本乳化剤株式会社製
トリエチレングリコールものブチルエーテル(BTG) :日本乳化剤株式会社製
エチレングリコール-t-ブチルエーテル(ETB) :丸善石油化学株式会社製
ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEDG) :日本乳化剤株式会社製
ジメチルプロピレンジグリコール(DMFDG) :日本乳化剤株式会社製
2-エチルヘキシルグリコール(EHG) :日本乳化剤株式会社製
2-エチルヘキシルジグリコール(EHDG) :日本乳化剤株式会社製
プロピレングリコールモノブチルエーテル(BFG) :日本乳化剤株式会社製
デカヒドロナフタリン(DHNA) :新日鉄住金化学株式会社製
ヘプタノール :東洋合成工業株式会社製
N-メチル-2-ピロリドン(NMP) :三菱ケミカル株式会社製
酢酸 :富士フイルム和光純薬株式会社製
クエン酸 :富士フイルム和光純薬株式会社製
リンゴ酸 :富士フイルム和光純薬株式会社製
乳酸 :富士フイルム和光純薬株式会社製
p-トルエンスルホン酸 :富士フイルム和光純薬株式会社製
ラウリン酸 :富士フイルム和光純薬株式会社製
ピロメリット酸 :東京化成工業株式会社製
サリチル酸 :富士フイルム和光純薬株式会社製
トリオクチルアミン(TOA) :富士フイルム和光純薬株式会社製
3-メトキシ-3-メチルブタノール(MMB) :株式会社クラレ製
エチレングリコールモノプロピルエーテル(PS) :ダウ・ケミカル日本株式会社製
ヘキシルジグリコール(HeDG) :日本乳化剤株式会社製
フェニルプロピレングリコール(PhFG) :日本乳化剤株式会社製
≪実験1:従来の洗浄剤組成物との性能の比較≫
<洗浄剤組成物の作製>
まず、表1に示される配合組成に基づいて試料番号11、試料番号12、及び試料番号101~試料番号104の洗浄剤組成物を作製した。表1の「配合組成」において「-」で示されている成分は、当該試料において加えなかったことを意味する。
<洗浄剤組成物の性能評価>
(金属に対する反応性評価)
(テストピースの準備)
金属に対する反応性(金属腐食性)の評価に用いるためのテストピースとして、アルミニウム板(A1050p、20×50×t3mm)及び、銅板(20×50×t0.5mm)を準備した。
(金属腐食性の評価試験)
以下の手順で、試料番号11、試料番号12、及び試料番号101~試料番号104における洗浄剤組成物の金属腐食性を評価した。まず、ビーカー(500ml)に上記洗浄剤組成物を400ml加えて、60℃になるまで加温した。次に加温された洗浄剤組成物を750rpmで撹拌して水相と有機相とが分散するようにした。上述の分散した状態を維持しながら上記洗浄剤組成物にテストピースを浸漬した。テストピースを上記洗浄剤組成物に浸漬してから10分毎に上記テストピースを取り出し、水洗、送風乾燥後、目視によって上記テストピースの表面における色調の変化を観察した。当該表面の色調が変化(例えば、黒変、白化等)していた場合、テストピースが腐食したと判定した。テストピースの腐食が認められるまでの浸漬時間に応じて以下の基準で評価を行った。評価結果を表1に示す。試料番号11及び試料番号12は、実施例に相当する。試料番号101~試料番号104は、従来から用いられている洗浄剤組成物であり、比較例に相当する。
評価ランクの基準
Sランク :90分間浸漬後にテストピースの表面における色調変化が認められない。
Aランク :60分間浸漬後にテストピースの表面における色調変化が見られないが、90分浸漬後に当該色調変化が認められる。
Bランク :30分間浸漬後にテストピースの表面における色調変化が見られないが、60分浸漬後に当該色調変化が認められる。
Cランク :10分間浸漬後にテストピースの表面における色調変化が見られないが、30分浸漬後に当該色調変化が認められる。
Dランク :10分後にテストピースの表面における色調変化が認められた。
(樹脂に対する反応性評価)
(テストピースの準備)
樹脂に対する反応性(樹脂溶解性)の評価に用いるためのテストピースとして、ポリプロピレン製の樹脂板(20×50×t2mm)を準備した。
(樹脂溶解性の評価試験)
以下の手順で、試料番号11、試料番号12、及び試料番号101~試料番号104の洗浄剤組成物の樹脂溶解性を評価した。まず、ビーカー(500ml)に上記洗浄剤組成物を400ml加えて、60℃になるまで加温した。次に加温された洗浄剤組成物を750rpmで撹拌して水相と有機相とが分散するようにした。上述の分散した状態を維持しながら上記洗浄剤組成物にテストピースを浸漬した。テストピースを上記洗浄剤組成物に浸漬してから10分後に上記テストピースを取り出し、水洗、送風乾燥後、当該テストピースの質量変化率及び体積変化率を以下の式で求めた。テストピースの体積は、ノギスでテストピースの縦、横及び厚みの寸法を計測して算出した。また、当該テストピースの外観を目視で観察した。求めた質量変化率及び体積変化率並びにテストピースの外観に応じて以下の基準で評価を行った。結果を表1に示す。
テストピースの質量変化率(%)=100×{(洗浄剤組成物に浸漬してから10分後のテストピースの質量)-(洗浄剤組成物に浸漬する前のテストピースの質量)}/(洗浄剤組成物に浸漬する前のテストピースの質量)
テストピースの体積変化率(%)=100×{(洗浄剤組成物に浸漬してから10分後のテストピースの体積)-(洗浄剤組成物に浸漬する前のテストピースの体積)}/(洗浄剤組成物に浸漬する前のテストピースの体積)
評価ランクの基準
Sランク :質量変化率及び体積変化率が±1%以内
Aランク :質量変化率及び体積変化率が±1%を超えて±3%以内
Bランク :質量変化率及び体積変化率が±3%を超えて±5%以内
Cランク :質量変化率及び体積変化率が±5%を超えて±10%以内
Dランク :質量変化率及び体積変化率が±10%を超える、又はクラック、溶解等の外観変化が生じた。
(ロジン系フラックス残渣の洗浄性の評価)
(テストピースの準備)
以下の手順で洗浄性を評価するためのテストピースを準備した。まず、JIS2形くし形電極基板(株式会社サトーセン製)を用意した。上記くし形基板にメタルマスクをかぶせ、その上からソルダペースト(千住金属工業株式会社社製、商品名M705-GRN360-K2-V、又は株式会社弘輝製、商品名S3X58-M500-2)を印刷した。その後、当該くし形電極基板を250℃で3分間ホットプレート上で静置することでリフローを行った。以上の手順で、ソルダペーストがそれぞれ異なる2種類のテストピースを作製した。
(洗浄性の評価試験)
以下の手順で、試料番号11、試料番号12、及び試料番号101~試料番号104の洗浄剤組成物の洗浄性を評価した。まず、ビーカー(500ml)に上記洗浄剤組成物を400ml加えて、50℃になるまで加温した。次に加温された洗浄剤組成物を750rpmで撹拌して水相と有機相とが分散するようにした。上述の分散した状態を維持しながら上記洗浄剤組成物にテストピースを浸漬した。テストピースを上記洗浄剤組成物に浸漬してから所定時間経過後に上記テストピースを取り出し、水洗及び乾燥を行った後、実体顕微鏡(倍率40倍)を用いて表面観察し、フラックス残渣が完全に除去することが可能な時間を測定するとともに、以下の基準に照らして、洗浄性評価を行った。評価結果を表1に示す。
評価ランクの基準
Sランク :洗浄時間が20分未満である。
Aランク :洗浄時間が20分以上30分未満である。
Bランク :洗浄時間が30分以上45分未満である。
Cランク :洗浄時間が45分以上60分未満である。
Dランク :洗浄時間が60分以上である。
(洗浄剤組成物の外観評価)
試料番号11、試料番号12、及び試料番号101~試料番号104の洗浄剤組成物を常温(20℃)で静置した。その後、各洗浄剤組成物の外観を観察した。評価結果を表1に示す。表中「2層分離」と表記されているものは、水相と有機相の2層に分離していたことを意味する。一方「均一」と表記されているものは、水相と有機相とが一体となって観察されたことを意味する。「2層分離」の洗浄剤組成物は、「均一」の洗浄剤組成物と比べて洗浄性に優れていると本発明者らは考えている。
Figure 0007372662000014
表1の結果から、グリコールエーテル化合物と、疎水性の第三級アミン化合物と、親水性のカルボン酸と、水とを含む洗浄剤組成物(試料番号11及び試料番号12)は、樹脂溶解性及び金属腐食性がぞれぞれSランクを示していた。また、試料番号11及び試料番号12の洗浄剤組成物は、洗浄性がSランクであった。以上の結果から、試料番号11及び試料番号12の洗浄剤組成物は、洗浄性に優れ、かつ金属及び樹脂に対する反応性が抑制されていることが分かった。
一方、試料番号101~試料番号104の洗浄剤組成物は、洗浄性が不十分であった(Cランク又はDランク)。また試料番号104の洗浄剤組成物は、銅に対して腐食性を有していた。
≪実験2:グリコールエーテル化合物の検討≫
洗浄剤組成物に含まれるグリコールエーテル化合物として、BFG以外の化合物を用いて性能の比較を行った。また、併せてグリコールエーテル化合物の代わりに炭化水素化合物を用いた場合の性能も評価した。
<洗浄剤組成物の作製>
表2-1、表2-2及び表2-3に示される配合組成に基づいて試料番号21~試料番号28及び試料番号201~試料番号210の洗浄剤組成物を作製した。表2-1~表2-3の「配合組成」において「-」で示されている成分は、当該試料において加えなかったことを意味する。
<洗浄剤組成物の性能評価>
「実験1」と同様の方法によって、金属に対する反応性、樹脂に対する反応性、洗浄性、洗浄剤組成物の外観、及び洗浄剤組成物の曇点を評価した。結果を表2-1~表2-3に示す。試料番号21~試料番号28は、実施例に相当する。試料番号201~試料番号210は、比較例に相当する。
Figure 0007372662000015
Figure 0007372662000016
Figure 0007372662000017
表2-1及び2-3の結果から、グリコールエーテル化合物と、親水性のカルボン酸とを共に用いた試料番号21~試料番号28の洗浄剤組成物は、樹脂溶解性及び金属腐食性がぞれぞれSランクを示していた。また、試料番号21~試料番号28の洗浄剤組成物は、洗浄性がAランク又はSランクであった。以上の結果から、試料番号21~試料番号28の洗浄剤組成物は、洗浄性に優れ、かつ金属及び樹脂に対する反応性が抑制されていることが分かった。
表2-2及び2-3の結果から、親水性のカルボン酸であるクエン酸が洗浄剤組成物に含まれない場合(試料番号201~試料番号210)、疎水性のグリコールエーテル化合物、親水性のグリコールエーテル化合物及び炭化水素化合物のいずれの場合も洗浄性が不十分であった(Bランク~Eランク)。
≪実験3:有機酸の検討≫
洗浄剤組成物に含まれる親水性のカルボン酸として、モノカルボン酸(乳酸)、ジカルボン酸(リンゴ酸)及びトリカルボン酸(クエン酸)をそれぞれ用いて性能の比較を行った。また、併せて親水性のカルボン酸の代わりに、スルホン酸及び疎水性の有機酸を用いた場合の性能も評価した。
<洗浄剤組成物の作製>
表3に示される配合組成に基づいて試料番号31~試料番号33及び試料番号301~試料番号305の洗浄剤組成物を作製した。表3の「配合組成」において「-」で示されている成分は、当該試料において加えなかったことを意味する。
<洗浄剤組成物の性能評価>
「実験1」と同様の方法によって、金属に対する反応性、樹脂に対する反応性、洗浄性、洗浄剤組成物の外観、及び洗浄剤組成物の曇点を評価した。結果を表3に示す。試料番号31~試料番号33は、実施例に相当する。試料番号301~試料番号305は、比較例に相当する。
Figure 0007372662000018
表3の結果から、親水性のカルボン酸を用いた試料番号31~試料番号33の洗浄剤組成物は、樹脂溶解性及び金属腐食性がぞれぞれSランクを示していた。また、試料番号31~試料番号33の洗浄剤組成物は、フラックス残渣の除去率が90%以上(それぞれSランク、Aランク)であった。以上の結果から、試料番号31~試料番号33の洗浄剤組成物は、洗浄性に優れ、かつ金属及び樹脂に対する反応性が抑制されていることが分かった。
一方、スルホン酸又は疎水性の有機酸を用いた試料番号301~試料番号304の洗浄剤組成物は、樹脂溶解性及び金属腐食性に優れるものの(それぞれSランク)、洗浄性がDランクであった。なお、酸成分を含んでいない試料番号305の洗浄剤組成物は、洗浄性がCランクであった。
≪実験4:疎水性のアミン化合物の検討≫
洗浄剤組成物に含まれる疎水性のアミン化合物として、第一級アミン化合物、第二級アミン化合物及び第三級アミン化合物をそれぞれ用いて性能の比較を行った。また、併せて疎水性のアミン化合物の代わりに親水性のアミン化合物を用いた場合の性能も評価した。
<洗浄剤組成物の作製>
表4-1及び表4-2に示される配合組成に基づいて試料番号41、試料番号42及び試料番号401~試料番号412の洗浄剤組成物を作製した。表4-1及び表4-2の「配合組成」において「-」で示されている成分は、当該試料において加えなかったことを意味する。
<洗浄剤組成物の性能評価>
「実験1」と同様の方法によって、金属に対する反応性、樹脂に対する反応性、洗浄性、洗浄剤組成物の外観、及び洗浄剤組成物の曇点を評価した。結果を表4-1及び4-2に示す。試料番号41及び試料番号42は、実施例に相当する。試料番号401~試料番号412は、比較例に相当する。
Figure 0007372662000019
Figure 0007372662000020
表4-1の結果から、疎水性の第三級アミン化合物及び親水性のカルボン酸を用いた試料番号41及び試料番号42の洗浄剤組成物は、樹脂溶解性及び金属腐食性がそれぞれSランクを示していた。また、試料番号41及び試料番号42の洗浄剤組成物は、洗浄性がSランクであった。以上の結果から、試料番号41及び試料番号42の洗浄剤組成物は、洗浄性に優れ、かつ金属及び樹脂に対する反応性が抑制されていることが分かった。
一方、疎水性の第二級アミン化合物及び親水性のカルボン酸を用いた試料番号401の洗浄剤組成物は、洗浄性がCランクであった。疎水性の第一級アミン化合物及び親水性のカルボン酸を用いた試料番号402の洗浄剤組成物は、洗浄性がBランクまたはCランクであった。
親水性の第三級アミン化合物を用いた試料番号403及び試料番号404の洗浄剤組成物は、洗浄性がCランク又はDランクであった。試料番号403の洗浄剤組成物は、金属腐食性がBランク又はCランクであった。親水性の第二級アミン化合物を用いた試料番号405の洗浄剤組成物は、洗浄性がCランク又はDランクであり、金属腐食性を有していた(Cランク)。また、親水性のカルボン酸を含まない試料番号406~試料番号411の洗浄剤組成物は、洗浄性がBランク~Dランクであった。試料番号408~試料番号412の洗浄剤組成物は、金属腐食性を有していた(特にアルミニウム)。
≪実験5:水分の含有量の検討≫
洗浄剤組成物に含まれる水分の含有量を変化させた場合、洗浄剤組成物の性能がどのようになるか比較検討を行った。
<洗浄剤組成物の作製>
表5に示される配合組成に基づいて試料番号51~試料番号55及び試料番号501~試料番号505の洗浄剤組成物を作製した。また、表6に示される配合組成に基づいて試料番号61~試料番号65及び試料番号601~試料番号605の洗浄剤組成物を作製した。表5及び表6の「配合組成」において「-」で示されている成分は、当該試料において加えなかったことを意味する。
<洗浄剤組成物の性能評価>
「実験1」と同様の方法によって、金属に対する反応性、樹脂に対する反応性、洗浄性、洗浄剤組成物の外観、及び洗浄剤組成物の曇点を評価した。結果を表5及び表6に示す。試料番号51~試料番号55及び試料番号61~試料番号65は、実施例に相当する。試料番号501~試料番号505及び試料番号601~試料番号605は、比較例に相当する。
Figure 0007372662000021
Figure 0007372662000022
表5及び表6の結果から、グリコールエーテル化合物と、疎水性の第三級アミン化合物と、親水性のカルボン酸と、水とを含む洗浄剤組成物は、上記水分の含有割合が10~90質量%の範囲において、洗浄性に優れ、かつ金属及び樹脂に対する反応性が抑制されていることが確認された。
≪実験6:水溶性フラックス残渣の洗浄性の評価≫
(テストピースの準備)
以下の手順で洗浄性を評価するためのテストピースを準備した。まず、JIS2形くし形電極基板(株式会社サトーセン製)を用意した。上記くし形基板にメタルマスクをかぶせ、その上から水溶性ソルダペースト(Heraeus社製、商品名SnAg3Cu0.5-P4-WL449-8)を印刷した。その後、当該くし形電極基板を160℃で45秒その後260℃で3分間ホットプレート上で静置することでリフローを行った。以上の手順で、テストピースを作製した。
(洗浄性の評価試験)
以下の手順で、試料番号21、試料番号26~28及び試料番号208~210の洗浄剤組成物の洗浄性を評価した。まず、ビーカー(500ml)に上記洗浄剤組成物を400ml加えて、50℃になるまで加温した。次に加温された洗浄剤組成物を750rpmで撹拌して水相と有機相とが分散するようにした。上述の分散した状態を維持しながら上記洗浄剤組成物にテストピースを浸漬した。テストピースを上記洗浄剤組成物に浸漬してから所定時間経過後に上記テストピースを取り出し、水洗及び乾燥を行った後、実体顕微鏡(倍率40倍)を用いて表面観察し、フラックス残渣が完全に除去することが可能な時間を測定するとともに、以下の基準に照らして、洗浄性評価を行った。評価結果を表7に示す。
評価ランクの基準
Sランク :洗浄時間が5分未満である。
Aランク :洗浄時間が5分以上10分未満である。
Bランク :洗浄時間が10分以上15分未満である。
Cランク :洗浄時間が15分以上30分未満である。
Dランク :洗浄時間が30分以上である。
Figure 0007372662000023
表7の結果から、親水性のカルボン酸を用いた試料番号21及び26~28の洗浄剤組成物は、水溶性フラックス残渣に対する洗浄性が、Aランク又はSランクであった。一方、親水性のカルボン酸を含まない試料番号208~210の洗浄剤組成物は、水溶性フラックス残渣に対する洗浄性が、Cランクであった。
≪実験7:異物除去性の評価≫
(テストピースの準備)
1.シリカ懸濁液の調製
シリカを0.2質量%含有するアセトン懸濁液を100g調製した。ここで、上記シリカは、高純度合成球状シリカ(シリカアドマテックス製、商品名:アドマファイン SC6500-SED、平均粒子径 1.9μm)を用いた。以上の手順でシリカ懸濁液を調製した。
2.テストピースの作製
上述のシリカ懸濁液を室温において400rpmで撹拌したままの状態で、スライドガラスを上記シリカ懸濁液に3分間浸漬した。その後、当該スライドガラスを上記シリカ懸濁液から取り出し、100℃で3分間乾燥させた。以上の手順でテストピースを作製した。
(異物除去性の評価試験)
ビーカー(500ml)に試料番号21、試料番号26~28及び試料番号208~210の洗浄剤組成物を400ml加えて、60℃になるまで加温した。次に加温された洗浄剤組成物を750rpmで撹拌して水相と有機相とが分散するようにした。上述の分散した状態を維持しながら上記洗浄剤組成物にテストピース(各5枚)を浸漬した。テストピースを上記洗浄剤組成物に浸漬してから5分後に上記テストピースを取り出し、水洗及び乾燥を行った。その後、デジタルマイクロスコープ(オリンパス(株)製 DSX510)を用いて、テストピースの表面を観察(倍率;200倍)して所定視野内において残存した球状シリカの数をカウントした。洗浄前に観察したテストピースの所定視野内に存在する球状シリカの数と、上述の残存した球状シリカの数とを用いて以下の式から球状シリカ(微細な異物)の除去率を算出した。5枚分のテストピースで求められた除去率の平均値を当該洗浄剤組成物の除去率とした。また、以下の基準に照らして、異物除去性の評価を行った。評価結果を表7に示す。試料番号21及び試料番号26~28は実施例に相当し、試料番号208~210は比較例に相当する。
除去率(%)=100×{(洗浄前に存在する球状シリカの数)-(洗浄後に残存した球状シリカの数)}/(洗浄前に存在する球状シリカの数)
評価ランクの基準
Sランク :除去率90%以上
Aランク :除去率80%以上90%未満
Bランク :除去率70%以上80%未満
Cランク :除去率50%以上70%未満
Dランク :除去率50%未満
表7の結果から、親水性のカルボン酸を用いた試料番号21及び26~28の洗浄剤組成物は、異物除去性がぞれぞれSランクを示していた。一方、親水性のカルボン酸を含まない試料番号208~210の洗浄剤組成物は、異物除去性がそれぞれAランク又はDランクであり、Sランクには至らなかった。以上の結果から、親水性のカルボン酸と疎水性の第三級アミン化合物とを含む洗浄剤組成物は、微細な異物に対する除去性に優れることが分かった。
以上のように本発明の実施形態及び実施例について説明を行なったが、上述の各実施形態及び各実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態及び実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態及び実施例ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 洗浄装置
12 洗浄槽
12a 筐体
14 リンス槽
15 リンス液
16 乾燥槽
17 ヒーター
19 ヒーター
20 収容部
21 洗浄剤組成物
22 循環路
23 洗浄対象物
24 ポンプ
26 塩形成化合物収容部
28 フィルタ
29 超音波振動子。

Claims (8)

  1. グリコールエーテル化合物と、疎水性の第三級アミン化合物と、親水性のカルボン酸と、水とを含む洗浄剤組成物であって、
    前記疎水性の第三級アミン化合物は、N,N’-ジメチルデシルアミン、N,N’-ジメチルオクチルアミン及びトリオクチルアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含み、
    前記グリコールエーテル化合物は、その含有割合が前記洗浄剤組成物の全体に対して、4.9~90質量%であり、
    前記疎水性の第三級アミン化合物は、その含有割合が前記洗浄剤組成物の全体に対して、0.1~10質量%であり、
    前記親水性のカルボン酸は、その含有割合が前記洗浄剤組成物の全体に対して、0.01~10質量%であり、
    前記水は、その含有割合が前記洗浄剤組成物の全体に対して、9.9~94.99質量%であり、
    フラックス洗浄用である、洗浄剤組成物。
  2. 前記グリコールエーテル化合物は、式(1)で表される化合物又は式(6)で表される化合物である、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
    Figure 0007372662000024

    (式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基を示し、Rは、炭素数1~11の鎖状又は環状の炭化水素基を示し、前記炭化水素基に含まれる-CH-は、-O-に置き換わっていてもよく、式(6)中、R12及びR13は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。)
  3. 前記グリコールエーテル化合物は、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルプロピレンジグリコール、ジメチルジグリコール、ベンジルグリコール、フェニルグリコール、フェニルジグリコール、フェニルプロピレングリコール、ヘキシルグリコール、ヘキシルジグリコール、2-エチルヘキシルグリコール、2-エチルヘキシルジグリコール、プロピルプロピレンジグリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチルブタノール、2-メトキシブタノール、3-メトキシブタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルブチルエーテル、及びトリエチレングリコールエチルブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、請求項2に記載の洗浄剤組成物。
  4. 前記親水性のカルボン酸は、式(3)又は式(4)で表される化合物である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
    Figure 0007372662000025

    (式(3)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~3の鎖状の炭化水素基又はカルボキシメチル基を示し、式(4)中、R10及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~3の鎖状の炭化水素基又はカルボキシメチル基を示し、炭素-炭素二重結合に直接結合している2つのカルボキシル基はシス型又はトランス型である。)
  5. 前記親水性のカルボン酸は、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、アコニット酸、シトラコン酸、フマル酸及びメサコン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、請求項4に記載の洗浄剤組成物。
  6. 前記疎水性の第三級アミン化合物を含む有機相と、前記親水性のカルボン酸及び前記水を含む水相とを含み、
    洗浄対象物を洗浄する温度において静置時に、前記有機相からなる第一層と前記水相からなる第二層とを含む少なくとも2層以上に分離している、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
  7. 親水性のアミン化合物の含有割合が前記洗浄剤組成物の全量に対して0質量%を超えて0.1質量%未満である、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
  8. グリコールエーテル化合物と、疎水性の第三級アミン化合物と、親水性のカルボン酸とを含む、フラックス洗浄用洗浄剤組成物用原液であって、
    前記疎水性の第三級アミン化合物は、N,N’-ジメチルデシルアミン、N,N’-ジメチルオクチルアミン及びトリオクチルアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含み、
    前記グリコールエーテル化合物は、その含有割合が前記洗浄剤組成物用原液の全体に対して、60~99.8質量%であり、
    前記疎水性の第三級アミン化合物は、その含有割合が前記洗浄剤組成物用原液の全体に対して、0.1~20質量%であり、
    前記親水性のカルボン酸は、その含有割合が前記洗浄剤組成物用原液の全体に対して、0.1~20質量%であり、
    洗浄対象物を洗浄する際に、水で1.1~20倍に希釈して用いられる、フラックス洗浄用洗浄剤組成物用原液。
JP2019172044A 2019-09-20 2019-09-20 洗浄剤組成物及び洗浄剤組成物用原液 Active JP7372662B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019172044A JP7372662B2 (ja) 2019-09-20 2019-09-20 洗浄剤組成物及び洗浄剤組成物用原液

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019172044A JP7372662B2 (ja) 2019-09-20 2019-09-20 洗浄剤組成物及び洗浄剤組成物用原液

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021050254A JP2021050254A (ja) 2021-04-01
JP7372662B2 true JP7372662B2 (ja) 2023-11-01

Family

ID=75157096

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019172044A Active JP7372662B2 (ja) 2019-09-20 2019-09-20 洗浄剤組成物及び洗浄剤組成物用原液

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7372662B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024080204A1 (ja) * 2022-10-11 2024-04-18 日油株式会社 洗浄剤組成物およびペーストの洗浄方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001513139A (ja) 1997-03-07 2001-08-28 ザ、プロクター、エンド、ギャンブル、カンパニー キシラン分解アルカリ性酵素および非植物細胞壁分解酵素を含んでなる洗浄組成物
JP2018021093A (ja) 2016-08-01 2018-02-08 花王株式会社 スクリーン版用洗浄剤組成物
JP2019052277A (ja) 2017-09-19 2019-04-04 荒川化学工業株式会社 洗浄剤組成物原液、及び該洗浄剤組成物原液を含む洗浄剤組成物

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001513139A (ja) 1997-03-07 2001-08-28 ザ、プロクター、エンド、ギャンブル、カンパニー キシラン分解アルカリ性酵素および非植物細胞壁分解酵素を含んでなる洗浄組成物
JP2018021093A (ja) 2016-08-01 2018-02-08 花王株式会社 スクリーン版用洗浄剤組成物
JP2019052277A (ja) 2017-09-19 2019-04-04 荒川化学工業株式会社 洗浄剤組成物原液、及び該洗浄剤組成物原液を含む洗浄剤組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021050254A (ja) 2021-04-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9085751B2 (en) Liquid concentrate for cleaning composition, cleaning composition and cleaning method
JP5428859B2 (ja) 鉛フリーハンダフラックス除去用洗浄剤組成物、および鉛フリーハンダフラックスの除去方法
JP4776710B2 (ja) 半田フラックス除去用洗浄剤および半田フラックスの洗浄方法
JP6487630B2 (ja) 洗浄剤組成物用原液、洗浄剤組成物および洗浄方法
TW474989B (en) Detergent, method of cleaning
TWI250206B (en) Cleaning agent, cleaning method and cleaning apparatus
TWI734816B (zh) 網版用洗淨劑組合物
JP5152816B2 (ja) 被洗浄物の洗浄方法
TWI437094B (zh) A detergent composition for removing lead-free flux flux and a flux-free flux flux removal system
JP5565939B2 (ja) 洗浄剤組成物用原液、洗浄剤組成物、および洗浄方法
JP6544237B2 (ja) リサイクル可能な工業用共沸洗浄剤、物品の洗浄方法、工業用共沸洗浄剤の再生方法、当該再生方法により再生された工業用共沸洗浄剤、並びに洗浄再生装置
JPWO2011027673A1 (ja) 鉛フリーハンダ水溶性フラックス除去用洗浄剤、除去方法及び洗浄方法
JPH03146597A (ja) プリント基板の洗浄用組成物
JP7372662B2 (ja) 洗浄剤組成物及び洗浄剤組成物用原液
KR101847208B1 (ko) 평판표시장치용 세정제 조성물
JP4286021B2 (ja) 精密部品用洗浄剤組成物
JP6822440B2 (ja) 鉛フリーはんだフラックス用洗浄剤組成物、鉛フリーはんだフラックスの洗浄方法
TWI756511B (zh) 清洗劑及清洗劑之使用方法
JP7372661B2 (ja) 洗浄剤組成物及び洗浄剤組成物用原液
CN108431197B (zh) 清洗剂组合物和清洗方法
JP2013181060A (ja) フラックス残渣除去用洗浄剤
JP2004285354A (ja) 洗浄用組成物
JP6612413B2 (ja) 洗浄剤組成物用原液、洗浄剤組成物および洗浄方法
JP2022072721A (ja) 洗浄剤組成物及び洗浄剤組成物用原液
JP2003033730A (ja) 循環式洗浄方法および洗浄装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220729

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230524

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230627

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230809

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231003

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231013

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7372662

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150