JP7370821B2 - ペリメータ空調システム - Google Patents

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Description

特許法第30条第2項適用 令和元年度空気調和・衛生工学会大会論文集、337-340頁
本発明は、ペリメータゾーンの空調を行う空調システムに関する。
図11は一般的な空調システムの一例を模式的に示している。空調機1から送り出される空調された空気(給気)A1は、給気ダクト2を通ってオフィス等の室内である対象空間Sへ導かれる。対象空間Sの天井3には複数の吹出口4が設置されており、各空調機1から伸びる給気ダクト2の下流側は、各吹出口4に接続されている。給気ダクト2を流通する空調空気A1は、各吹出口4から対象空間Sへ供給される。
給気ダクト2における各吹出口4の手前の位置には、それぞれ変風量装置5が備えられている。変風量装置5はVAV(Variable Air Volume )等と略称される装置であり、内部に備えたダンパの開度を変更することで、内部を通過する空気の風量を調整するようになっている。給気A1は、対象空間Sへ供給されるにあたり、変風量装置5により風量を調整される。
対象空間Sは、外皮負荷の影響を受けやすい窓際などのペリメータゾーンPと、その内側のインテリアゾーンIに分けることができる。図11には、インテリアゾーンIに面する位置と、ペリメータゾーンPに面する位置にそれぞれ変風量装置5を1台ずつ図示しており、またインテリアゾーンIに面する変風量装置5に対し給気A1を送り出す空調機1(インテリア空調機1a)と、ペリメータゾーンPに面する変風量装置5に対し給気A1を送り出す空調機1(ペリメータ空調機1b)をそれぞれ1台ずつ図示している(尚、これは模式的に簡略化された図であり、実際の空調システムにおいては、変風量装置5や空調機1の数や配置、空調機1に対する変風量装置5の台数等は、対象空間Sの規模や形状、熱状況等に応じて適宜設定されることは言うまでもない)。
天井3には、インテリアゾーンIおよびペリメータゾーンPにあたる位置にそれぞれ吸込口7,16が設けられている。インテリアゾーンI、ペリメータゾーンPに面する各変風量装置5からは、それぞれインテリア空調機1aまたはペリメータ空調機1bから送られた給気A1が、吹出口4を通じて対象空間Sへ供給され、該対象空間S内の空気(室内空気)A2と混合する。
室内空気A2のうち、主にインテリアゾーンIにある一部は、インテリアゾーンIに面する吸込口7から還気A3として取り込まれる。還気A3のうち、一部は還気ダクト8の外へ排気A4として排出され、一部は還気ダクト8から新たに取り込まれる外気A0と混合してインテリア空調機1aに戻り、温度や湿度を調整されたうえで再度、給気A1として送り出される。
室内空気A2のうち、主にペリメータゾーンPにある一部は、ペリメータゾーンPに面する吸込口16から還気A3として取り込まれ、還気ダクト17を通って全量がペリメータ空調機1bに戻り、温度を調整されたうえで再度、給気A1として送り出される。こうして、空調機1と対象空間Sの間を空気が循環するようになっている。
このような空調システムにおいては、例えば変風量方式と呼ばれる空調方式により、対象空間S内における空調負荷の変動に対応するようになっている。対象空間S内の適当な箇所(ここに示した例では、天井3)には、室内空気A2の温度を測定する温度センサ9が設けられている。変風量装置5には、それぞれ制御装置(VAVコントローラ)が設けられており、 温度センサ9における測定値と、変風量装置5における温度設定値の偏差が0になるよう、変風量装置5に対しPI制御等による制御を行い、適当な風量の給気A1を吹出口4から供給するようになっている。例えば、暖房時において、室内温度(室内空気A2の温度)の設定値に対し、温度センサ9の測定値が低い場合には給気A1の供給量を大きくし、設定値と測定値が近い場合には供給量を少なくする、といった制御を行う。
空調システムを構成する各機器の運転状況は、制御装置10によって監視し、操作される。制御装置10は、各空調機1(インテリア空調機1aやペリメータ空調機1b)の動作を制御するコントローラや、中央監視ネットワークと接続するインテリジェントゲートウェイ等を備えており、例えば各変風量装置5における要求風量や、対象空間S内における設定温度といった値を取得し、これらに基づいて、各空調機1から供給される給気A1の温度や風量等を決定するようになっている。
各変風量装置5の制御装置では、各温度センサ9における測定値を取得し、設定温度との偏差に基づいて変風量装置5内のダンパの開度を調整し、適当な風量の給気A1を吹出口4から供給する。すなわち、例えば暖房時において、室内温度(室内空気A2の温度)の設定値に対し、温度センサ9の測定値が著しく低い場合には給気A1の供給量を大きくし、設定値と測定値が近い場合には供給量を少なくする、といった制御を行う。
各空調機1では、変風量装置5から送り出される給気A1を各変風量装置5へ送り出すが、ここで送り出される給気A1の量は、その下流の変風量装置5における要求風量の合計である。そこで、制御装置10では、各変風量装置5における要求風量に基づき、各空調機1における供給風量を決定する。
以上のような風量による制御に加え、実際の空調システムでは、さらに要求風量に応じて給気温度(空調機1から送り出される給気A1の温度)を調整する制御(ロードリセット制御)もあわせて行われる。変風量方式の空調システムでは、原則的に、負荷が大きければ変風量装置5からの要求風量が増え、負荷が小さければ要求風量が減ると言える。そこで、変風量装置5からの要求風量に応じ、空調機1における給気A1の供給風量だけでなく、給気温度をも適宜変更するのである。例えば暖房時において、要求風量が変風量装置5の定格風量に対して小さい場合には、給気温度の設定値を下げる。尚、ロードリセット制御としては種々の方式を採用することができ、例えば変風量装置5の開度情報に基づき、各変風量装置5の開度が所定の開度範囲に収まるよう給気温度の設定値を変更する方式でもよいし、変風量装置5の設定温度と計測温度(空調システム内の適当な箇所における空気の計測温度。例えば、還気A3の温度)の偏差に重みづけを行い、その重みづけに基づいて給気温度の設定値を変更する方式でもよい。
このように、図11に示す如き空調システムにおいては、室内負荷に合わせ、供給風量および給気温度が自動で変更される。
ところで、こうした空調システムでは、室内空気A2の温度を温度センサ9の測定値として把握しているため、対象空間S内にいる人が実際に接している室内空気A2の温度と、制御装置10において把握される室内空気A2の温度が乖離する場合がある。図11に示す例では天井3の高さに温度センサ9が配置されているが、外気条件や、変風量装置5および空調機1といった各機器の制御条件等により、人の位置する床面付近の室内空気A2の温度と、温度センサ9の周辺における室内空気A2の温度に差が生じてしまうのである。
特に、外気温度の低い冬季等においては、ペリメータゾーンPにある室内空気A2が外気によって冷却され、下方に沈み込んで床面に沿って流れるコールドドラフトと呼ばれる冷気の流れが発生し、これにより、ペリメータゾーンPやその近傍に位置する人が不快に感じる状況が生じる場合がある。温かい空気は冷たい空気と比較して比重が小さいため、天井3の吹出口4から暖気が供給されていても、該暖気と冷気の温度差が大きかったり、風量が十分でないと、吹出口4から下方に向かう吹き出し空気の慣性力が上向きの浮力によって打ち消されてしまい、床面付近まで届かないことが想定されるのである。
そこで、ここに示した例では、ペリメータゾーンPの床面付近に、ペリメータゾーンPにおける室内空気A2の温度分布を是正する目的でペリメータファン6が設けられている。ペリメータファン6は、対象空間S内の室内空気A2を窓面に沿って上向きに送り出すようになっている。このペリメータファン6の作動により、ペリメータゾーンPの床面付近から上方へ向かう室内空気A2の流れを形成すれば、外気によって冷却された窓面付近の室内空気A2がコールドドラフトとなってペリメータゾーンPより内側のインテリアゾーンIへ向かうのを妨げ、上方の吸込口16へ送り込むことができる。また、これにあわせ、ペリメータファン6に向けて近傍の変風量装置5から室内空気A2を送り出すようにすれば、ペリメータファン6の動作と相俟って、温度の高い室内空気A2をペリメータゾーンPの外縁付近まで供給することもできる。
この種の空調システムに関連する先行技術文献としては、例えば、下記の特許文献1等がある(ただし、特許文献1に記載されている空調システムの場合、図11のペリメータファン6に相当する部分にはファンコイルユニットを備えており、この位置でも室内空気を加熱できる点で図11に示した例とは異なっている)。
尚、図11では説明の便宜のため、2台の空調機1、1個の対象空間S、2個の吹出口4および2台の変風量装置5、1台のペリメータファン6、計2個の吸込口7,16を簡単に図示したが、実際の空調システムにおいては、空調機1や変風量装置5の設置台数を変更したり、複数の対象空間Sに給気A1を導く構成としてもよい。対象空間Sあたりの吹出口4の設置数も、対象空間Sの広さ等に応じて適宜変更し得る。また、実際の空調システムにおいては、ここに示した機器類の他にも各種の機器やセンサ等が設置されるが、本発明の趣旨と直接関係しない構成については、適宜図示を省略している。
特開2018-136074号公報
上述のように、ペリメータファン6はペリメータゾーンPにおける温度分布を是正するために設けられる。しかしながら、ペリメータファン6近傍の室内空気A2の温度が正しく把握されていなければ、これでも不十分な可能性がある。
すなわち、図11に示す如く、温度センサ9が天井3の位置に設けられていた場合、この位置における計測温度に基づいて近傍の変風量装置5の運転が決定される。このため、変風量装置5からペリメータファン6に十分な量の暖気を供給できていない場合や、室内の上下間で空気に温度差が生じている場合には、ペリメータゾーンPの近傍における床面付近の実際の温度状況が、変風量装置5の運転に反映されず、天井3の位置は快適な温度に維持されたとしても、居住域の温度が低くなってしまうといった事態が生じ得るのである。
尚、特許文献1に記載の技術のように、図11におけるペリメータファン6の位置にファンコイルユニットを設けて室内空気A2を加熱すれば、上述のような温度状況の発生を抑えることは可能であるが、熱交換のためのコイルや、熱媒を流通させる配管等が別途必要であり、建造コストやランニングコストが増大してしまう。
本発明は、斯かる実情に鑑み、ペリメータゾーンにおける空気温度の分布を好適に是正し得る空調システムを提供しようとするものである。
本発明は、給気を送り出す空調機と、
前記空調機から対象空間へ給気を導く給気ダクトと、
対象空間へ給気を吹き出す吹出口と、
前記吹出口から吹き出される給気の風量を調整する変風量装置と、
ペリメータゾーンに設けられ、室内空気を上方へ送り出すペリメータファンと、
前記ペリメータファンの上方に設けられた吸込口とを備え、
前記ペリメータファンに取り込まれる床面近傍の室内空気から少なくとも一部の床近傍温度を測定し、
前記少なくとも一部の床近傍温度であるパラメータと、ペリメータゾーンの床近傍温度に関連するパラメータとに基づき、機械学習により生成された温度推定モデルを用いてペリメータゾーンの各位置における床近傍温度を推定し、推定された床近傍温度に基づき、ペリメータゾーンに面する前記変風量装置の吹出風量を調整するよう構成されていることを特徴とする空調システムにかかるものである。
本発明の空調システムにおいて、前記温度推定モデルは、学習データに基づいて生成され、種々のパラメータを説明変数とし床近傍温度を推定するモデルであり、
前記学習データは、空調システムを実際に運転した際の床近傍温度に関連する複数のパラメータと、床近傍温度の実測値とを記録したデータセットであることができる。
本発明の空調システムにおいて、前記温度推定モデルはニューラルネットワークを用いて生成することができる。
本発明の空調システムにおいて、床面近傍の室内空気から床近傍温度を測定する床近傍温度センサを備え、
前記温度推定モデルは、以下のパラメータから選択される一部または全部のパラメータを説明変数として用いて床近傍温度を推定するよう構成することができる。
・外気温度
・風向
・風速
・降雨量
・日射量
・前記床近傍温度センサの測定値
・前記空調機の運転状態
・前記ペリメータファンの運転状態
・ペリメータゾーンに面する前記変風量装置の運転状態
・対象空間に設置される温度センサの測定値
・日付
・時刻
・曜日
本発明の空調システムにおいては、少なくとも外気温度、日射量、前記床近傍温度センサの測定値、前記温度センサの測定値、前記ペリメータファンの運転状態を説明変数として用いることができる。
本発明の空調システムにおいて、推定された床近傍温度に基づく前記変風量装置の吹出風量の調整は、前記変風量装置における設定温度に温度補正値を加味することによって行われるよう構成することができる。
本発明の空調システムにおいて、前記温度補正値は、推定された床近傍温度と、前記変風量装置における設定温度の偏差に基づいて調整可能に構成することができる。
本発明の空調システムにおいて、前記温度補正値はPI制御を用いて決定されるよう構成することができる。
本発明の空調システムは、外気温度が閾値よりも低い場合に、ペリメータゾーンに面する前記変風量装置における設定温度に対し温度補正値を加味するよう構成することができる。
本発明の空調システムは、外気温度が閾値よりも低い場合に、前記空調機における給気温度の上限値を引き下げるよう構成することができる。
本発明の空調システムによれば、ペリメータゾーンにおける空気温度の分布を好適に是正し得るという優れた効果を奏し得る。
本発明を適用した空調システムの構成の一例を示す概略図である。 本発明を適用した空調システムにおいて、ペリメータゾーンに面して設置される変風量装置および床近傍温度センサの配置の一例を示す概略平面図である。 複数階にわたる建物に対して適用された本発明の空調システムの全体構成の一例を示す概略図である。 本発明を適用した空調システムにおいて、基準階のペリメータゾーンに面して設置される変風量装置および床近傍温度センサの配置の一例を示す概略平面図である。 本発明の実施例において、変風量装置等の運転状況を設定する手順の一例を説明するフローチャートである。 室内空気の上下間における温度差と、その差を踏まえた温度の制御について説明する概念図である。 床近傍温度の推定値に基づいて算出される制御偏差と、温度補正値の関係の一例を説明するグラフである。 外気温度と、給気温度の上限値の関係の一例を説明するグラフである。 図1の空調システムのペリメータゾーン近傍における室内空気の温度分布の一例を説明する概略図である。 本実施例における温度補正値を用いた制御を概念的に説明するブロック図である。 従来における空調システムの構成の一例を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1に示す如く、空調機1から送り出される給気A1は、給気ダクト2を通ってオフィス等の室内である対象空間Sへ導かれ、天井3に設置された複数の吹出口4から吹き出される。各吹出口4の手前の位置には、それぞれ変風量装置5が備えられており、給気A1は、変風量装置5により風量を調整された上で対象空間Sへ供給される。室内空気A2の一部は、上方の天井3に設けた吸込口7,16から還気A3として取り込まれ、還気ダクト8,17を通って再び空調機1に戻される。その際、インテリアゾーンIの吸込口7から還気ダクト8に取り込まれる還気A3は、一部が排気A4として排気され、新たに取り込まれた外気A0と共にインテリア空調機1aに戻されるようになっている。一方、ペリメータゾーンPの吸込口16から還気ダクト17に取り込まれる還気A3は、全量がペリメータ空調機1bに戻されるようになっている。対象空間S内の適当な位置には、天井3の高さに室内空気A2の温度を測定する温度センサ9が設けられ、この位置における室内空気A2の温度が測定される。ペリメータゾーンPにはペリメータファン6が設置され、床面付近の室内空気A2を窓面に沿って上向きに送るようになっている。
このように、本実施例の空調システムは、図11に示した上記従来例と基本的な構成において共通しているが、本実施例の場合、図1、図2に示す如く、ペリメータゾーンPの近傍に位置する変風量装置5のうち、一部の変風量装置5の平面視における近傍に、床近傍温度センサ11を設けている(図1には、側面視における床近傍温度センサ11の位置を破線にて示している)。床近傍温度センサ11は、ペリメータゾーンPにおいて人等の存在する高さである床面またはその近傍に設置され、周囲の空気の温度を計測するセンサである。この床近傍温度センサ11により取得されたペリメータゾーンPの各所における床面近傍の空気温度(以下、簡単のため「床近傍温度」と称する)は、別の位置の床近傍温度の推定に用いられる。推定された床近傍温度は、その位置に面する変風量装置5からの空気の吹出量の設定に使用される。
尚、本明細書でいう「床近傍温度」とは、床面の付近である0cm以上10cm未満、または居住域である10cm以上170cm以下における空気の温度を指す。また、床近傍温度を測定する床近傍温度センサ11は、床面やその付近の温度を測定する場合には0cm以上10cm未満の高さに設ければよいし、居住区の温度を測定する場合には10cm以上170cm以下の高さに設ければよい。
床近傍温度センサ11の平面視における設置位置は、各ペリメータファン6(図1参照)の内側とすると好適である。ペリメータファン6は通常、対象空間Sの内側に面する側から室内空気A2を取り込んで上方へ送り出すように配置される。このため、ペリメータファン6に対して内側に床近傍温度センサ11を設けると、ペリメータファン6に取り込まれる床面付近の室内空気A2が床近傍温度センサ11に対し動きながら接触するので、床近傍温度センサ11において好適に床近傍温度を取得することができる。
このような空調システムは、例えば図3に示す如く、ある建物の全体に対して設置することができ、各階には例えば図2に示す如く、ペリメータゾーンPに面する変風量装置5の一部に関し、平面視におけるその近傍の位置に床近傍温度センサ11が設置される。ここに示した例では、各対象空間SのペリメータゾーンPに関し、平面視における各辺毎に1個ずつ、床近傍温度センサ11を設置している(尚、ここでいう「ペリメータゾーンPに面する変風量装置5」とは、「ペリメータゾーンPに対し空気を供給する変風量装置5」程度の意味である)。ペリメータゾーンPの温度状況は、外気に面した窓面や壁を介して外皮負荷(風向や日照等)の影響を受けやすく、同じ建物あるいは対象空間S内であっても窓面や壁の方位によって大きく異なるが、同じ室内で且つ建物に対する方角が同じであれば、概ね同じような温度状況になると考えられるからである。すなわち、例えばある対象空間Sにおいて、北側の壁に面するペリメータゾーンPの各所における床近傍温度を推定する場合、北側に1個だけ設けられた床近傍温度センサ11の測定値を説明変数の一つとして使用することができる。
つまり、各階の各対象空間SのペリメータゾーンPは、方角によって異なる温度状況上の特性に応じ、原則として大きく4系統に分けることができ、例えば北東に面する窓や壁と、北西に面する窓や壁を有する対象空間Sについては、北東側のペリメータゾーンPと、北西側のペリメータゾーンPの2系統のペリメータゾーンを有していると見なすことができる(尚、特殊な形状の階あるいは対象空間Sについては、無論この限りではなく、より多系統のペリメータゾーンPを有すると見なし得る場合も想定できる)。そして、これら各系統に該当するペリメータゾーンP毎に、後述する温度推定モデルMを生成する。このとき、ペリメータゾーンPの各系統(建物の平面視における各方角に該当する辺)ごとに少なくとも1個の床近傍温度センサ11を設け、それら床近傍温度センサ11の測定値を説明変数の一つとして使用すると、方角の影響を考慮した床近傍温度の推定を行うことが可能となる。
尚、上に説明したような方角によるペリメータゾーンの系統分けや、それによる温度推定モデルの作成はあくまで一例であり、実際に温度推定モデルを生成するにたっては、ペリメータゾーンの分け方や温度推定モデルの作り方は、現場の温度状況等に応じて適宜設定し得る。例えば、同じ室内で且つ同じ方角であっても、温度状況が異なると考えられるような場合には、2個以上の床近傍温度センサ11を設置し、それぞれの測定値を説明変数として使用してもよい(このとき、各床近傍温度センサ11の測定値を使用する温度推定モデルをそれぞれ作成してもよいし、また、複数の床近傍温度センサ11の測定値を説明変数として使用する一個の温度推定モデルを生成してもよい)。
あるいは、例えば北東側のペリメータゾーンと北西側のペリメータゾーンにそれぞれ床近傍温度センサ11を設け、それら複数の床近傍温度センサ11の測定値を説明変数として使用する一個の温度推定モデルを生成して、北東側および北西側のペリメータゾーンの他の位置における床近傍温度を推定する、といった運用も可能である。温度推定モデルの生成数を多くすると、床近傍温度の推定精度は向上する一方、計算量が増大してしまうので、計算量を節約する必要がある場合には、こういった方法は有効である。
尚、図2にはペリメータゾーンPに設置された変風量装置5、および床近傍温度センサ11のみを図示しているが、実際にはインテリアゾーンIにも変風量装置5が適宜配置されているほか、ペリメータファン6や温度センサ9といった機器類も図1に示す通りに配置されていることは勿論である。また、図3には空調システムの全体図として簡略化された建物および空調システムを図示し、また各階に空調機1(ペリメータ空調機1b)や変風量装置5を1台ずつ図示しているが、実際の建物の階数はここに示した階数と異なっていてもよいこと、各階にはより多くの空調機1や変風量装置5が設置されていてもよいことは言うまでもない。むろん、各階の間取りや、各対象空間Sにおける変風量装置5の配置は、図2に示した構成とは異なっていてもよい。
建物を構成する階のうち、一部の階においては、図4に示すように、ペリメータゾーンPに面する変風量装置5の全台に関し、その近傍に床近傍温度センサ11を設置している。後述する温度推定モデルMを生成するための学習データD(図3参照)に使用する、床近傍温度の実測値を採集するためである。
図4に示す如く、ペリメータゾーンPに面する変風量装置5の全台に対して床近傍温度センサ11を設置する階(以下、「基準階」と称する)は、例えば間取りが共通する複数の階のうち特定の一部階とするとよい。間取りが共通していれば、温度状況は概ね同じようになると考えられるからである。つまり、例えば11階から40階までの間取りが同じ建物において、11階~40階を対象とする場合には、25階を基準階と設定し、25階で採集された床近傍温度の実測値を学習データDに使用して温度推定モデルMを生成し、11階から40階までの他の階における床近傍温度の推定に用いればよい。尚、間取りが共通していても、高さが大きく異なればそれに応じて温度状況にも差が生じることも考えられるので、そういった場合は、例えば18階と32階をそれぞれ別の基準階としてもよい。すなわち、18階を第一の基準階として採集した学習データに基づき第一の温度推定モデルを生成し、11階から24階までの他の階における床近傍温度の推定に用い、また、32階を第二の基準階として採集した学習データに基づき第二の温度推定モデルを生成し、25階から40階までの他の階における床近傍温度の推定に用いるのである。あるいは、例えば近傍のビルの影などの影響により特定の階を境に温度状況が大きく変化するような場合、前記特定の階の上下でそれぞれ別の温度推定モデルを適用してもよい。このように、基準階の設定や、ある温度推定モデルを適用する対象は、各種の条件を勘案して適宜決定すればよい。
各階の空調は、図3に示す如く空調機1、変風量装置5、ペリメータファン6、温度センサ9、床近傍温度センサ11および制御装置10によって運転され、各階における空調の運転状況は、各階の制御装置10に接続された中央監視装置12により監視され、統御される。中央監視装置12は、建物全体の空調システムを総合的に監視する装置である。中央監視装置12には、さらに温度推定部13が接続され、温度推定部13にはモデル生成部14が接続される。温度推定部13およびモデル生成部14は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。温度推定部13は、後述するように、各階のペリメータゾーンP(図1、図2参照)における床近傍温度を推定する。モデル生成部14は、温度推定部13が床近傍温度を推定するための温度推定モデルMを生成する。温度推定モデルMは、学習データDに基づいて生成され、床近傍温度センサ11の測定値のほか、種々のパラメータを説明変数とし、ある位置における床近傍温度を推定するモデルである。そして、例えばある階の特定の対象空間Sの北側にあたるペリメータゾーンPの複数箇所における床近傍温度を、北側のペリメータゾーンPに1個だけ備えられた床近傍温度センサ11の測定値、およびその他のパラメータに基づいて推定するようになっている。
温度推定モデルMによる床近傍温度の推定には、例えば以下のパラメータを用いることができる。
・外気温度(複数の高さ(例えば、屋上と高層および低層)にて取得した値を用いてもよい)
・風向(複数の高さ(例えば、屋上と高層および低層)にて取得した値を用いてもよい)
・風速(複数の高さ(例えば、屋上と高層および低層)にて取得した値を用いてもよい)
・降雨量
・日射量
・床近傍温度センサ11の測定値(床近傍温度を推定したい位置とは別の位置に設置された床近傍温度センサ11の測定値。図2における同じ対象空間Sの同じ辺(同じ系統のペリメータゾーンP内)に設置された床近傍温度センサ11の測定値)
・空調機1の運転状態(オフ/冷房/暖房、給気温度の目標値、給気量)
・ペリメータファン6の運転状態(オン/オフ、風量)
・ペリメータゾーンPに面する変風量装置5の運転状態(オン/オフ、設定温度、要求風量)
・対象空間Sに設置される温度センサ9の測定値
・日付(月または日の少なくとも一方)
・時刻(時間または分の少なくとも一方)
・曜日(日月火水木金土、または、休日か平日か)
好適な温度推定モデルMを生成するためのパラメータ選択の一例としては、上記パラメータのうち、少なくとも外気温度、日射量、床近傍温度センサ11の測定値、温度センサ9の測定値、ペリメータファン6の運転状態を特徴量の組として使用することができる。あるいは、外気温度、日射量、床近傍温度センサ11の測定値、温度センサ9の測定値、ペリメータファン6の運転状態に加え、他のパラメータを使用しても良い。
尚、上記パラメータのうち、外気温度、降雨量、日射量については、床近傍温度の予測値に対し、時間遅れで影響することが考えられる。そこで、これらの値については、予測したい時点より前(例えば、10分~30分程度前)の実測値をパラメータとして採用してもよい。
また、対象空間S内の環境はペリメータファン6の運転状態によって大きく変化するため、ペリメータファン6の運転状態を温度推定モデルMに反映させるにあたっては、ペリメータファン6の運転状態を特徴量として使用する代わりに、あるいはペリメータファン6の運転状態を特徴量として使用するのに加えて、ペリメータファン6の運転状態によって温度推定モデルMを使い分けても良い。すなわち、例えばペリメータファン6の運転状態がオンのときの温度推定モデルM(温度推定モデルMONとする)と、オフのときの温度推定モデルM(温度推定モデルMOFFとする)をそれぞれ生成しておき、ペリメータファン6の運転状態に応じて温度推定モデルMON、MOFFを切り替えるのである。
また、各パラメータとしては、ここに例示したものに代えて、単位あるいは定義の異なる同等のパラメータや、関連するパラメータを用いることができる。また、上に例示したパラメータの他に、床近傍温度に関連する何らかの別のパラメータを用いても良い。また、特徴量の規格化や中心化といった処理を適宜行っても良いことは勿論である。
学習データDは、適当な期間(例えば、数日から1年程度)にわたり、各階(特に、基準階)の制御装置10や、その他の図示しないセンサ類等から中央監視装置12に蓄積された空調の運転に関するデータのセットであり、温度推定部13に格納される。モデル生成部14は、学習データDに基づいて温度推定モデルMを生成し、温度推定部13に格納する。また、温度推定部13は、補正値算出部15を備えている。補正値算出部15は、温度推定モデルMを用いて算出された各階のペリメータゾーンPの各所における床近傍温度に基づき、温度補正値を算出する。温度補正値は、ペリメータゾーンPに面する各変風量装置5に関し、設定温度に対して加味される補正値である。この温度補正値の役割については、後に再度説明する。
モデル生成部14による温度推定モデルMの生成について説明する。温度推定モデルMとしては、線形回帰、リッジ回帰、勾配ブースティング、ランダムフォレスト等、各種の形式のモデルを採用することができるが、例えばニューラルネットワークを用いて温度推定モデルMを生成すれば、床近傍温度を精度よく推定することができる。ここで、特に二層線形ニューラルネットワークを用いると、2週間程度の短い学習期間でも過学習を起こすことなく、精度のよい推定が可能である。
温度推定モデルMの生成に用いる学習データDは、図1~図3に示す如き空調システムを実際に運転した際の、様々な時点あるいは位置における床近傍温度に関連する各種のパラメータ(例えば、上に例示したようなパラメータ)と、床近傍温度の実測値とを記録したデータセットである。床近傍温度の実測値は、基準階のペリメータゾーンPの各所に設置された床近傍温度センサ11から取得する。また、床近傍温度に関連するパラメータの一部は、空調機1や温度センサ9、変風量装置5の制御部等から取得することができる。
学習データDには、複数の時点における上記各パラメータと共に、基準階において取得されたその時点の床近傍温度の実測値が記録される。
尚、学習データDの採集は、例えば以下の条件が全て成立していることを条件として実行するとよい。
・暖房運転が行われているか否か。ペリメータゾーンPにおいて、上に説明したような冷気による問題が生じるのは、外気温度が低く暖房運転が行われている時に限られる。つまり、床近傍温度を推定し、それに基づいて温度補正値を算出し、その温度補正値を使用した運転を行う必要があるのは、暖房運転の実行中に限られる。したがって、暖房運転の実行中に記録されたパラメータのみを、学習データDとして使用する。
・外気温度が、予め設定された閾値より低いか否か。上述の問題は、外気温度が室内の空気温度に対してある程度以上低い場合に限って生じるので、床近傍温度の推定や温度補正値の算出も、外気温度が低い場合にのみ必要となる。したがって、外気温度が閾値未満の場合に限り、学習データDの採集を行う。
・変風量装置5が運転状態にあるか否か。変風量装置5自体の運転がオフであれば当然、温度補正値を使用した運転は行われないので、床近傍温度の推定や、温度補正値の算出を行う必要はない。したがって、変風量装置5が運転状態でない場合は、学習データDは採集しない。
モデル生成部14は、学習データDを用いて機械学習を行い、各種のパラメータに基づき、各階のペリメータゾーンP各所の床近傍温度を推定する温度推定モデルMを生成する。ニューラルネットワークを用いて温度推定モデルMを生成する場合、モデル生成部14が、学習データDに記録された上述の各種パラメータから複数のパラメータを適宜取捨選択し、また必要に応じてそれぞれに重み付けをし、選択肢のパターンを形成していく。形成したパターンから推定される床近傍温度と、基準階の床近傍温度センサ11で取得された実際の床近傍温度とを比較しながら、パターンを修正する作業を繰り返し、機械学習によって精度の高い温度推定モデルMを最終的に生成する。生成された温度推定モデルMは、対象の空調システムにおいて、床近傍温度に関連するパラメータから、ある位置の床近傍温度を推定するモデルとなっている。
尚、上に挙げたパラメータのうち、特に「床近傍温度センサ11の測定値」については、これを用いないよう、その他のパラメータから選択されたパラメータのみを説明変数として使用するようにしてもよい。仮に、床近傍温度センサ11の測定値を用いずに十分な精度で床近傍温度を推定できれば、基準階以外の各階のペリメータゾーンPに床近傍温度センサ11を設置する必要がなく、床近傍温度センサ11の設置数を節減することができる。
以上のような空調システムにおいて、推定された床近傍温度、およびこれに基づき算出された温度補正値を用い、ペリメータゾーンPに面する変風量装置5の運転を行う手順の一例を、図5のフローチャートを参照しながら説明する。
温度推定部13(図3参照)では、中央監視装置12を通じ、空調システムの各部の運転状況に関する情報を取得する(ステップS1)。ここで取得される情報は、例えば、各空調機1における給気温度(給気A1の温度)、各階の対象空間Sに設置された温度センサ9によって取得される室内空気A2の温度の実測値、各階の対象空間SのペリメータゾーンPに設置された床近傍温度センサ11によって取得される床近傍温度の実測値、各対象空間Sおよび変風量装置5における設定温度、各変風量装置5の吹出風量(ダンパ開度)、図示しない温度センサにより測定される外気温度、日付や時間、等である(図1~図3参照)。また、温度推定モデルMを用いて推定された、各対象空間SのペリメータゾーンPにおける各部の床近傍温度も、ステップS1において取得される。
続いて、取得した情報に基づき、空調システムを構成する各空調機1に関し、その下流側に位置する変風量装置5で温度補正値を用いた運転を行うか否かを判断し、決定する(ステップS2)。このステップS2において、温度補正値による運転の実行の可否は、例えば、以下の条件を全て満たしているか否かに基づいて判定される(尚、以下に挙げる条件はあくまで一例であって、これ以外の条件を用いることもできる)。
・暖房運転が行われていること。ペリメータゾーンPにおいて、上述の如き冷気による問題が生じるのは、外気温度が低く暖房運転が行われている時に限られるので、暖房運転の実行中のみ、温度補正値を使用した運転を行う。
・外気温度が、予め設定された閾値より低いこと。上述の問題は、外気温度が室内の空気温度に対してある程度低い場合に限って生じるので、外気温度が閾値未満の場合に限り、温度補正値を使用した運転を行う。尚、ここで使用する閾値は例えば2段階を設定し、温度補正値が有効に設定された状態から無効に変更する場合には高い方の閾値を、無効から有効に変更する場合には低い方の閾値を用いると、過度に頻繁なスイッチングを防止できて好適である。
各空調機1について、温度補正値を使用するか否かを決定したら、個別の空調機1毎に、その下流側にあたる各変風量装置5における温度補正値の使用の有無や、具体的な数値を設定していく。まず、1台の空調機1を対象とし、下流側の変風量装置5で温度補正値を使用した運転を行うことが、先のステップS2で決定されていたか否かを、ステップS3で判定する。
対象の空調機1に関し、下流の変風量装置5のいずれでも温度補正値を使用した運転を行わない場合は、その空調機1の下流側にあたる変風量装置5について、それぞれ温度補正値を使用しない設定を行う。ステップS4では、1台の変風量装置5について温度補正値を使用しない設定(温度補正値=0)をする。次のステップS5では、対象の空調機1の下流に位置する変風量装置5の中に、温度補正値の設定が済んでいないものがあるか否かを判定する。未設定の変風量装置5が存在した場合は、別の変風量装置5に移り(ステップS6)、その変風量装置5について温度補正値=0の設定を行う(ステップS4)。これを繰り返し、対象としている空調機1の下流にあたる全ての変風量装置5について温度補正値を設定したら、ステップS7に移る。
ステップS7では、対象の空調機1について、給気温度の上限値の設定を行う。空調機1における給気温度の上限値は、中央監視装置12にて設定されており、通常はこの中央監視装置12における設定値をそのまま使用すればよいが、本実施例では、この上限値の設定を、特定の場合のみ変更する。給気温度の上限値の変更については後のステップS16を説明する際に説明するが、ステップS7においては、中央監視装置12における設定値と同じとする。ステップS7が済んだら、後述するステップS17に移る。
ステップS3において、対象の空調機1の下流側にあたる変風量装置5のうち少なくとも一部で温度補正値を使用した運転を行うことが決定されていたと判断されていた場合は、ステップS8に移る。このステップS8では、対象の空調機1の下流に位置する各変風量装置5について、温度補正値を有効に設定するか否かを個別に決定する。このステップS3における判断は、例えば、以下の条件を全て満たしているか否かに基づいて行う。
・該当の変風量装置5に、故障等が生じていないこと。
・該当の変風量装置5の運転がオンになっていること。
各変風量装置5について、温度補正値の有効・無効が決定されたら、ステップS9に進む。ステップS9では、ある1台の変風量装置5に関し、先のステップS8で温度補正値による運転が有効に設定されたか否かを判断する。該当の変風量装置5の温度補正値を無効にする設定が行われていた場合は、ステップS10に進み、該当の変風量装置5について温度補正値=0の設定を行う。該当の変風量装置5に関し、温度補正値を有効にする設定が行われていたとステップS9で判定された場合は、ステップS11に進み、温度補正値の算出を行う。
以下、この温度補正値の算出について説明するが、先立って、温度補正値の意義について説明する。上述したように、温度補正値とは、ペリメータゾーンPに面する各変風量装置5に関し、設定温度に対して加味される補正値であるが、これはそもそも、温度センサ9の設置位置が床面から離れた位置にあることによるものであり、これによって生じる計測温度と体感温度の差を是正するために設定するものである。図1に示す空調システムにおいては、室内空気A2の実測値を、天井3の高さに設けられた温度センサ9の測定値として把握している。一方、対象空間S内において、人は床面付近に位置しているので、上にも説明したように、特にペリメータゾーンPにおいては、人の体感温度と、温度センサ9の測定値として把握される温度に乖離が生じやすい。
暖房時において、制御装置10や空調機1、変風量装置5により構成される空調システムは、温度センサ9の測定値(天井温度PVとする)が設定値(室内温度設定値SPとする)よりも低い場合、天井温度PVが室内温度設定値SPに近づくよう、各機器の運転を行う。ところが、床面付近における室内空気A2の実際の温度(床近傍温度推定値PVとする)は、多くの場合、天井温度PVよりも低い。このため、仮に天井温度PVが室内温度設定値SPに十分近づいたとしても、床近傍温度推定値PVと天井温度PVの間に差がある結果、床面付近にいる人にとっては満足な暖かさが得られないという状態が生じ得る。これを是正するために、まず床近傍温度推定値PVを算出し(ステップS1)、この値と、室内温度設定値SPとの偏差に応じた温度補正値(βとする)を算出し、これを加味した設定温度値を各変風量装置5に設定するのである(ステップS11)。結果として、天井3付近の室内空気A2の温度に関する設定値(室内温度設定値SP)に温度補正値βの分が上乗せされ、これを目標値として各機器が運転される結果、床面付近における温度状況が是正される。
このような温度補正値βを用いた床近傍温度の管理は、例えば図6に示す如き線図によっても説明することができる。図6中、左の縦線は床近傍温度、右の縦線は天井付近の温度を示している。例えば室内温度設定値SPが23℃であり、これに基づいて空調システムが運転された結果、天井温度PVが23℃となっている場合、天井と床面近傍の上下間における温度差により、床近傍温度は例えば20℃である。これは設定値よりも低いので、室内温度設定値SPに温度補正値βとして3℃を上乗せし、天井側で設定値を26℃まで引き上げる。結果として、床面近傍において温度差分が補われ、快適な温度(23℃)となる。
ただしここで、温度差は一様ではなく、条件に応じて変化し得る。例えばペリメータゾーンPに日射が入れば、床面が暖められて温度差は小さくなる。このとき、仮に上述のように床近傍温度推定値PVと、室内温度設定値SPとの偏差を用いず、温度補正値βを一律(例えば3℃)に設定すると、却って床近傍温度が上がりすぎてしまう。また逆に、温度差が大きく、温度補正値βを設定値に加算しても床近傍温度が不足する場合も考えられる。そこで、上に説明したように、温度補正値βを床近傍温度推定値PVと、室内温度設定値SPとの偏差に基づいて都度算出すれば、床面付近における温度状況を好適に維持できる。つまり、設定値に一律に温度補正値を設定するのではなく、温度補正値を床面近傍における温度状況に応じて調整可能にするのである。
補正値算出部15による温度補正値βの算出手順の一例を説明する。まず、温度補正値βの根拠となる制御偏差(Eとする)を次の数式により算出する。
[数1]
制御偏差E=室内温度設定値SP-床近傍温度推定値PV ......(1)
室内温度設定値SP=中央設定値SP+k・α-γ ......(2)
制御偏差Eは、室内温度設定値SPと床近傍温度推定値PVとの間の偏差であり、これを解消する方向で、空調システムの運転を行う。
室内温度設定値SPは、(2)式にあるように、中央設定値SPやその他の値に基づいて算出することができる。中央設定値SPは、中央監視装置12において決定される、変風量装置5における設定温度値である。αは、対象空間Sにいる人からの操作により、変風量装置5における設定温度に対して加えられる補正値であり、例えば0と1の2値(初期値は1)を取り得る。kは制御偏差Eを算出するにあたって、αの重み付けを決定する係数である。γは、冷暖の切り替えの温度不感帯として設定される値である。
制御偏差Eを算出したら、例えば以下の数式に示す如き関係により、有効制御偏差E2effを求める。
[数2]
2eff=E+δ (E≦-δ)
2eff=0 (-δ<E<δ)
2eff=E-δ (δ≦E
つまり、E=0の点を中心に、-δ<E<δの範囲においてはE2eff=0とし、それ以外の範囲、すなわち制御偏差Eの絶対値が閾値(δ)以上の範囲においては、制御偏差Eの増減に応じてリニアに有効制御偏差E2effを算出する。制御偏差Eの絶対値が小さい範囲で、運転状態の切り替えが頻繁に発生することを防ぐために有効である。
このようにして求めた有効制御偏差E2effを変数とし、例えば図7に示す如き関係によって温度補正値を決定する。ここに示した例ではPI制御を採用しており、有効制御偏差E2effが0℃以上の場合に、有効制御偏差E2effと比例するように(図示例の場合、比例係数=1)温度補正値を決定するようにしている。中央監視装置12において決定される設定値に対し、推定される床近傍温度が低い場合には、対応する位置の変風量装置5における設定温度に温度補正値を加算して設定温度を上げ、吹出量を増すのである。
ここに示した例では、温度補正値の上限は+3℃に設定されており、有効制御偏差E2effが3℃以上であれば、温度補正値は一律+3℃である。尚、上記数1に示した制御偏差Eないし有効制御偏差E2effの算出式や、図7に示した有効制御偏差E2effと温度補正値の関係はあくまで一例であって、別の変数を加味したり、数1や図7の例とは異なる関係を用いて制御偏差Eや有効制御偏差E2eff、温度補正値βを決定してもよい。
対象の変風量装置5に関し、温度補正値の設定が済んだら(ステップS10,S11)、ステップS12に進む。ステップS12では、現在、対象としている空調機1の下流に、温度補正値の設定が済んでいない変風量装置5があるか否かを判定する。未設定の変風量装置5がある場合は、別の変風量装置5に対象を移し(ステップS13)、その変風量装置5に対し温度補正値の設定を行う(ステップS9~S11)。
対象としている空調機1の下流にあたる変風量装置5の全台に関して温度補正値の設定が済んだら、ステップS14に進む。ステップS14では、対象としている空調機1の下流にあたる変風量装置5の中に、現在、温度補正値を有効にした運転を実行しているものがあるか否かを改めて判定する。ここで判定がNOであった場合には、ステップS15に進む。ステップS15では、対象の空調機1に関し、給気温度の上限値を中央監視装置12における設定値と同じとする設定を行う。
ステップS14における判定がYESであった場合、すなわち、対象の空調機1の下流に、温度補正値を有効にした運転を行っている変風量装置5が存在する場合には、ステップS16に進む。ステップS16では、対象の空調機1に関し、中央監視装置12における設定値とは別に給気温度の上限値を設定する。
上にも述べたように、ペリメータゾーンPにおけるコールドドラフトの問題は、外気温度が低い場合に生じ、このため、本実施例においては、外気温度が閾値より低いことを条件の一つとして温度補正値を用いた運転を行うようにしている。一方、図1~図3に示すような空調システムにおいては、対象空間Sに供給される熱量は各変風量装置5における吹出風量と、空調機1からの給気温度によって決まる。すなわち、空調機1における給気温度が高ければ、同じ熱量を供給するための吹出風量はその分だけ少なくなる。ペリメータゾーンPに面する変風量装置5からの吹出風量が小さくなれば、ペリメータゾーンPの空気に温度分布が生じ、コールドドラフトの発生する可能性が高まる。
そこで、温度補正値を用いた運転を行う場合は、ステップS16にて、例えば図8に示すような関係により、外気温度に基づいて給気温度の上限値を設定する。ここに示した例では、外気温度が10℃以下の場合に、給気温度の上限値を引き下げるようにしている。外気温度が10℃以下0℃以上の範囲では、外気温度の変化に対して給気温度はリニアに引き下げられ(図8の場合、比例係数=0.6)、外気温度が0℃以下の場合は、給気温度の上限値は一律25℃に設定される。このようにすれば、外気温度が低い場合に給気温度が上がりすぎないようにし、ペリメータゾーンPに面する変風量装置5からの吹出風量を確保することができる。尚、外気温度が閾値より低いという判定は、先のステップS2で済んでいるので、このステップS16では、給気温度の上限値の具体的な設定を行うのみで足りる。
給気温度の上限値の設定が済んだら(ステップS7,S15またはS16)、ステップS17に移る。ステップS17では、下流の変風量装置5に関し、温度補正値を用いた運転の設定が済んでいない空調機1が残っているか否かを判定する。残っていたら、対象を別の空調機1に移し(ステップS18)、その下流の変風量装置5について、温度補正値を用いた運転の設定をし、給気温度の上限値を設定する(ステップS3~S16)。全部の空調機1について、下流の変風量装置5の設定、および給気温度の上限値の設定が済んだら、ステップS19に移る。ステップS19では、ステップS2~S18で決定された運転状況に関する設定を、中央監視装置12に入力する。中央監視装置12は、記録された設定に基づき、空調システムの各部の運転を行う。
このように、本実施例の空調システムでは、ペリメータゾーンPの各位置における床近傍温度を推定し、ある位置に関して推定された床近傍温度が低い場合には、その位置に面する変風量装置5の設定温度に温度補正値を加え(ステップS11)、設定温度を引き上げて運転を行うようになっている。変風量装置5では、引き上げられた設定温度に応じて吹出風量が適宜調整され、吹出口4からペリメータゾーンPへの送風量が増大する。また、外気温度が低い場合には、空調機1からの給気温度の上限値を引き下げ(ステップS16)、変風量装置5からの吹出風量を確保するようにもなっている。これにより、変風量装置5から供給される室内空気A2(図1参照)が、床面近傍やペリメータファン6へ到達する。こうして、床近傍温度の推定値に基づき、図9に示すように床面付近における温度分布が是正される。すなわち、変風量装置5からペリメータファン6に到達した暖気(室内空気A2)が上方の吸込口16へ送られて排気A4として取り込まれることで上向きの暖気の流れが形成され、これによりペリメータゾーンPの最外周に生じる冷気が遮られ、コールドドラフトが内側へ入り込むことが防がれる。そして、ペリメータゾーンPやそれより内側のインテリアゾーンIにおいては、暖気が床面付近まで満ちて好適な空調状態が実現されるのである。
こうした制御は、例えば、建物の全階の対象空間Sに関し、図4に示すようにペリメータゾーンPの近傍に位置する変風量装置5の全台と対応する位置に床近傍温度センサ11を備え、各所の床近傍温度をそれぞれ実測すれば可能である。しかしながら、建物の各階のペリメータゾーンPの全域に床近傍温度センサ11を設置すれば、床近傍温度センサ11の数が膨大になってしまい、設置費用が嵩むうえ、管理も面倒である。本実施例では、ソフトウェアによってペリメータゾーンPにおける床近傍温度を推定することで、センサの設置に係るコストを減らしつつ、床近傍温度に基づいて変風量装置5からの吹出風量を制御することができる。
ここで、本実施例では上に説明したように、温度補正値を用いた制御方式を採用しているが、このような制御方式は、例えば図10にブロック図として示すような概念として捉えることができる。まず、変風量方式の空調システム(図1参照)において、直接の制御対象は天井3付近の室内空気A2の温度であり(図10中にブロックB1として示す)、これは天井3付近に設けられた温度センサ9の測定値として把握される(ブロックB2)。この測定値と、目標値(ブロックB3)とを比較して(ブロックB4)、これらの間の偏差(制御偏差)を算出し、この制御偏差を解消するよう、変風量装置5(ブロックB5)がダンパ開度(ブロックB6)を調整し、これにより室内空気A2の供給量を調整する。
また、変風量装置5(ブロックB5)に空調された給気A1を供給する空調機1(ブロックB7)では、変風量装置5の要求風量に応じてファンの風量(ブロックB8)を調整し、下流の変風量装置5へ適当な風量の給気A1を送り出す(ブロックB6)。あわせて、空調機1(ブロックB7)では、ロードリセット制御により冷媒流路の開度(ブロックB9)を調整し、給気A1の温度を調整する。
こうして、給気A1の風量および温度を通じ、制御対象である室内空気A2の温度(ブロックB1)が調整される。室内空気A2の温度(ブロックB1)は、さらに外乱(ブロックB10)によって左右されるが、その結果としての室内空気A2の温度(ブロックB1)が温度センサ9により把握され(ブロックB2)、目標値(ブロックB3)と比較され(ブロックB4)、外乱による変動をも解消する方向で制御が行われる。
そして、温度補正値を用いた制御方式は、ブロックB1~B10によって形成されるこのようなループ(マイナーループとする。図10中に破線で囲った領域として示す)を取り囲むように別のループ(破線で囲った領域の外側のループ。メジャーループとする)を付加したカスケード制御であると言える。
すなわち、天井3付近の室内空気A2の温度(ブロックB1)と関連する別の制御対象として床近傍温度(ブロックC1)を設定し、これを温度推定モデルMを用いて推定して、出力された床近傍温度推定値(ブロックC2)を目標値(ブロックC3)と比較する(ブロックC4)。そして、制御偏差に基づいて算出された温度補正値(ブロックC5)を、ブロックB3に設定される目標値に加味するのである。マイナーループ内では、温度補正値を加味された目標値(ブロックB3)に基づいて天井3付近の室内空気A2の温度(ブロックB1)が調整され、これにより、床近傍の室内空気A2の温度(ブロックC1)が調整される。床近傍の室内空気A2の温度(ブロックC1)も外乱(ブロックC6)の影響を受けるが、マイナーループを内包したメジャーループによる制御は、温度補正値を介したPI制御により、この外乱(ブロックC6)を解消する方向に働く。すなわち、外皮負荷の変動によって外乱(ブロックC6)が発生すると、床近傍温度推定値(ブロックC2)が変化し、これによって床近傍温度目標値(ブロックC3)との偏差が生じ、その偏差を打ち消す方向で、操作変数としての温度補正値が変化し、マイナーループへ入力される。
このような制御方式であれば、変風量方式の空調システムとして確立されたシステム(マイナーループ)に対し極力手を加えることなく、床近傍温度に基づいた温度補正値を設定温度の目標値に加味し、床面付近の温度状況を好適に是正することができる。
また、このようなカスケード制御は、制御性の面でも利点を有している。仮に、一個のループにより外乱(ブロックB10,C6)を解消するような制御構成を採用した場合、中央監視装置12におけるデータ取得の周期や、床近傍温度を推定する時間を考慮すると、制御周期が最低でも5分周期となり、ループ中で算出される偏差が大きくなってしまう。そこで、本実施例のように、変風量装置5の風量や空調機1の給気温度を制御するマイナーループと、その外側で床近傍温度推定値を制御するメジャーループからなるカスケード制御を構成する。メジャーループの制御周期は5分程度であるが、マイナーループの制御周期は数秒~数10秒であり、ブロックB4で算出される偏差は小さい。マイナーループに入力される外乱(ブロックB10)はマイナーループ内で制御されるので、メジャーループの制御変数に与える影響は小さい。こうして、外乱の影響を効果的に抑え、制御性を向上させることができる。
尚、ここに説明した空調システムのシステム構成や温度推定モデルMの生成、床近傍温度の推定、温度補正値の算出の手順等はあくまで一例である。床近傍温度に関連する上述の如き各種パラメータから温度推定モデルMを生成し、これを用いて床近傍温度を推定し、変風量装置5の運転を調整し得る限りにおいて、システム構成や各種の手順等は種々変更することができる。
例えば、上記本実施例では、床面の付近である0cm以上10cm未満の高さに床近傍温度センサ11を設け、この高さにおける空気の温度を床近傍温度として推定する場合を例に説明したが、居住域である10cm以上170cm以下における空気の温度を床近傍温度として推定してもよい。またその場合、床近傍温度センサ11は壁面等の高さ10cm~170cmの範囲に設置し、その高さの温度を直接測定してもよいし、あるいは0cm以上10cm未満の高さに床近傍温度センサ11を設置し、例えば天井の温度センサ9における測定値と、床近傍温度センサ11における測定値に基づき、差分を両センサ間の距離で案分し、求める高さの温度を求めてもよい。
また、ここでは中央監視装置12に温度推定部13を接続し、該温度推定部13にモデル生成部14を接続した構成を例示したが、システムを構成する各機器間の接続関係は適宜変更し得る。中央監視装置12を介して各変風量装置5の運転状況を制御する以外にも、例えば各変風量装置5に対し、温度推定部13から温度補正値の設定を直接行ってもよい。また、設定温度を補正する代わりに、吹出風量を直接補正してもよい。
また、変風量装置5からの吹出風量や、空調機1からの給気温度、その他各部の運転状況を制御するにあたっては、上に説明していない別の要素等を適宜加味してもよいことは勿論である。
以上のように、上記本実施例の空調システムは、給気A1を送り出す空調機1と、空調機1から対象空間Sへ給気A1を導く給気ダクト2と、対象空間Sへ給気A1を吹き出す吹出口4と、吹出口4から吹き出される給気A1の風量を調整する変風量装置5と、ペリメータゾーンPに設けられ、室内空気A2を上方へ送り出すペリメータファン6と、ペリメータファン6の上方に設けられた吸込口16とを備え、ペリメータゾーンPの床近傍温度に関連する複数のパラメータに基づき、ペリメータゾーンPの各位置における床近傍温度を推定し、推定された床近傍温度に基づき、ペリメータゾーンPに面する変風量装置5の吹出風量を調整するよう構成されている。このようにすれば、床近傍温度に基づいて吹出口4からペリメータゾーンPへの送風量が適宜増大され、供給される暖気がペリメータファン6に到達して上方の吸込口16へ送られ、これによりペリメータゾーンPの最外周に生じる冷気が遮られ、コールドドラフトが内側へ入り込むことが防がれる。こうして、対象空間Sの床面付近における温度分布を是正することができる。また、床近傍温度はソフトウェアによって推定するので、センサの設置に係るコストを減らしつつ、変風量装置5からの吹出風量を制御することができる。
また、本実施例の空調システムは、機械学習により生成された温度推定モデルMを用いてペリメータゾーンPの床近傍温度を推定するよう構成されている。このようにすれば、ペリメータゾーンPの床近傍温度を精度よく推定することができる。
また、本実施例の空調システムにおいて、温度推定モデルMはニューラルネットワークを用いて生成することができる。
また、本実施例の空調システムにおいて、温度推定モデルMは、以下のパラメータから選択される一部または全部のパラメータを説明変数として用いて床近傍温度を推定するよう構成することができる。
・外気温度
・風向
・風速
・降雨量
・日射量
・床近傍温度センサ11の測定値
・空調機1の運転状態
・ペリメータファン6の運転状態
・ペリメータゾーンPに面する変風量装置5の運転状態
・対象空間Sに設置される温度センサ9の測定値
・日付
・時刻
・曜日
また、本実施例の空調システムにおいては、少なくとも外気温度、日射量、床近傍温度センサ11の測定値、温度センサ9の測定値、ペリメータファン6の運転状態を説明変数として用いることができる。
また、本実施例の空調システムにおいて、変風量装置5の吹出風量の調整は、変風量装置5における設定温度に温度補正値を加味することによって行われる。
また、本実施例の空調システムにおいて、前記温度補正値は、推定された床近傍温度と、変風量装置5における設定温度の偏差に基づいて調整可能に構成されている。
また、本実施例の空調システムにおいて、前記温度補正値はPI制御を用いて決定することができる。
また、本実施例の空調システムは、外気温度が閾値よりも低い場合に、ペリメータゾーンPに面する変風量装置5における設定温度に対し温度補正値を加味するよう構成されている。このようにすれば、引き上げられた設定温度に応じ、変風量装置5の送風量を増大させることができる。
また、本実施例の空調システムは、外気温度が閾値よりも低い場合に、空調機1における給気温度の上限値を引き下げるよう構成されている。このようにすれば、外気温度が低い場合に給気温度が上がりすぎないようにし、ペリメータゾーンPに面する変風量装置5からの吹出風量を確保することができる。
したがって、上記本実施例によれば、ペリメータゾーンにおける空気温度の分布を好適に是正し得る。
尚、本発明の空調システムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 空調機
2 給気ダクト
4 吹出口
5 変風量装置
6 ペリメータファン
9 温度センサ
11 床近傍温度センサ
16 吸込口
A1 給気
A2 室内空気
M 温度推定モデル
P ペリメータゾーン
S 対象空間

Claims (10)

  1. 給気を送り出す空調機と、
    前記空調機から対象空間へ給気を導く給気ダクトと、
    対象空間へ給気を吹き出す吹出口と、
    前記吹出口から吹き出される給気の風量を調整する変風量装置と、
    ペリメータゾーンに設けられ、室内空気を上方へ送り出すペリメータファンと、
    前記ペリメータファンの上方に設けられた吸込口とを備え、
    前記ペリメータファンに取り込まれる床面近傍の室内空気から少なくとも一部の床近傍温度を測定し、
    前記少なくとも一部の床近傍温度であるパラメータと、ペリメータゾーンの床近傍温度に関連するパラメータとに基づき、機械学習により生成された温度推定モデルを用いてペリメータゾーンの各位置における床近傍温度を推定し、推定された床近傍温度に基づき、ペリメータゾーンに面する前記変風量装置の吹出風量を調整するよう構成されていることを特徴とする空調システム。
  2. 前記温度推定モデルは、学習データに基づいて生成され、種々のパラメータを説明変数とし床近傍温度を推定するモデルであり、
    前記学習データは、空調システムを実際に運転した際の床近傍温度に関連する複数のパラメータと、床近傍温度の実測値とを記録したデータセットであることを特徴とする、請求項1に記載の空調システム。
  3. 前記温度推定モデルはニューラルネットワークを用いて生成されることを特徴とする、請求項2に記載の空調システム。
  4. 床面近傍の室内空気から床近傍温度を測定する床近傍温度センサを備え、
    前記温度推定モデルは、以下のパラメータから選択される一部または全部のパラメータを説明変数として用いて床近傍温度を推定するよう構成されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の空調システム。
    ・外気温度
    ・風向
    ・風速
    ・降雨量
    ・日射量
    ・前記床近傍温度センサの測定値
    ・前記空調機の運転状態
    ・前記ペリメータファンの運転状態
    ・ペリメータゾーンに面する前記変風量装置の運転状態
    ・対象空間に設置される温度センサの測定値
    ・日付
    ・時刻
    ・曜日
  5. 少なくとも外気温度、日射量、前記床近傍温度センサの測定値、前記温度センサの測定値、前記ペリメータファンの運転状態を説明変数として用いることを特徴とする請求項4に記載の空調システム。
  6. 推定された床近傍温度に基づく前記変風量装置の吹出風量の調整は、前記変風量装置における設定温度に温度補正値を加味することによって行われることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の空調システム。
  7. 前記温度補正値は、推定された床近傍温度と、前記変風量装置における設定温度の偏差に基づいて調整可能であることを特徴とする請求項6に記載の空調システム。
  8. 前記温度補正値はPI制御を用いて決定されることを特徴とする請求項7に記載の空調システム。
  9. 外気温度が閾値よりも低い場合に、ペリメータゾーンに面する前記変風量装置における設定温度に対し前記温度補正値を加味するよう構成されていることを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の空調システム。
  10. 外気温度が閾値よりも低い場合に、前記空調機における給気温度の上限値を引き下げるよう構成されていることを特徴とする、請求項6~9のいずれか一項に記載の空調システム。
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