JP7368818B2 - バイオフィルムの形成を阻害するための留置または埋め込み型装置 - Google Patents

Description

本出願は、２０１５年５月１３日出願の「カテーテル、他の留置または埋め込み型装置でのバイオフィルム形成を阻害するためのシステム」と題する米国仮特許出願第６２／１６０６５１号に関連し、共通権利者から優先権を主張するものであり、この出願は、その全体が参照として本文書に組み込まれている。

本発明は、そのいくつかの実施形態において、カテーテル及び他の留置または埋め込み型装置上でのバイオフィルム形成阻害に関する。

バイオフィルムは、固体表面上で成長する微生物の複雑な集合体または地球上に４５億年前に出現したマトリックスである。例えば、バイオフィルムは、典型的には留置カテーテル及び他の留置装置またはインプラントの表面上に形成される。病院で処置される細菌感染の６５％が細菌性バイオフィルムを原因とするものであると推定されている。

バイオフィルムは、典型的には抗生物質抵抗性である。現在のところ、バイオフィルム形成を予防／阻害する有効な方策として立証されたものはない。

バイオフィルムの形成は、規則的なカテーテル留置を必要とする、または、他の埋め込み型装置を有する人々に慢性感染症の原因となる。これは、特に導尿カテーテルによって蔓延する。非特許文献１で報告されているように、埋め込み型導尿カテーテルを使用する患者では、一日の細菌尿捕捉率は３～１０％である。例えば、米国だけで、年間二億以上の導尿カテーテル手術があり、カテーテル関連***（ＣＡＵＴＩ）のケースが１００万以上報告されている。これらのＣＡＵＴＩの多数が埋め込み型導尿カテーテル上に形成されたバイオフィルムに関与し、バイオフィルムは癒着性微生物、それらの細胞外生成物及び宿主構成要素から成り、その全部がカテーテル上に堆積する。これらのバイオフィルムは、抗菌療法に抵抗性のある持続性感染症の原因となり、そのために、ＣＡＵＴＩまたは他のカテーテル留置からのバイオフィルムが原因となる感染症予防の効果的な方策は現在のところ立証されたものがない。

導尿カテーテルをニトラフラゾンのような抗菌剤を導尿カテーテルに含浸させることによって、カテーテルでの細菌の成長を阻害する試みがなされた。しかし、これらの処置をされたカテーテルをは、非特許文献２に報告されているように、慢性的にカテーテル留置を受けた患者では細菌尿の発症を単に遅らせるだけである。したがって、これは短期間のカテーテル留置を受ける患者には細菌尿を予防するために潜在的に有効な解決方法であった。

さらに、カテーテルを含浸された薬剤でコーティングする試みもなされた。しかしながら、これらのコーティングは徐々にすり減る傾向があり、汚れで覆われるようになり、最後には無効になる。カテーテルを殺菌性にするように処置する他の試みは、グロー放電技術を使用してポリマーカテーテルのポリマー表面を変更することや、同様に様々な組み合わせのポリマー材料でカテーテルを形成することを含んでいた。しかし、バイオフィルム細菌に関連する問題は残っている。

バイオフィルム形成は、また、図１６に示すように、配水システムにおける問題である。これらの処理システム１６００は、家庭消費者のような、エンドユーザーの配管システム及び放水口１６１２に入る前に、水源１６０４から処理システム１６０６（多重フィルター１６０７ａ及び殺菌装置１６０７ｂを含む）、貯蔵タンク１６０８、配水システム１６１０まで延びるパイプ１６０２から形成される。バイオフィルムは、また、産業用水及び下水輸送管及び塩水及び排水輸送タンク及び管にも形成されうる。また、貯水槽、水を主成分とする液体食品輸送タンカー、トラック及び船殻でのバイオフィルム形成は、深刻な健康問題を引き起こす可能性がある。

バイオフィルムは、細菌を殺菌剤及び他の抗菌剤に対して保護するので、上水道を汚染するレジオネラ菌をかくまう理想的な培地である。バイオフィルムが都市用水システムにある時、それらは、例えば、細菌、菌類、珪藻、原虫、藻類及び他のいずれかの異物の集合体を含み、それらは、水和された細胞外マトリックスに埋め込まれ、及びパイプ１６０２の固体表面及び処理システム１６０６のフィルターのような固体表面に付着する。これらのバイオフィルムは、生きたまたは死んだ細菌及び有機及び無機物質を含む。

Ｓａｉｎｔ Ｓ，Ｌｉｐｓｋｙ Ｂ，Ｇｏｏｌｄ Ｓ．，"Ｉｎｄｗｅｌｌｉｎｇ ｕｒｉｎａｒｙ ｃｈａｔｈｅｔｅｒｓ：ａ ｏｎｅ－ｐｏｉｎｔ ｒｅｓｔｒａｉｎｔ？"Ａｎｎ．Ｉｎｔｅｒｎ．Ｍｅｄ．，Ｊｕｌｙ ２００２，１３７（２） Ｊｈｏｎｓｏｎ Ｊ，ｅｔ ａｌ．，"Ａｃｔｉｖｉｔｉｅｓ ｏｆ ａｎｉｔｒｏｆｕｒａｚｏｎｅ－ｃｏｎｔａｉｎｉｎｇ ｕｒｉｎａｒｙ ｃｈａｔｈｅｔｅｒ ａｎｄ ａ ｓｉｌｖｅｒ ｈｙｄｏｇｅｌ ｃａｔｈｅｔｅｒ ａｇａｉｎｓｔ ｍｕｌｔｉｄｒｕｇ－ｒｅｓｉｓｔａｎｔ ｂａｃｔｅｒｉａ ｃｈａｒａｔｅｒｉｓｔｉｃ ｏｆ ｃａｔｈｅｔｅｒ－ａｓｓｏｃｉａｔｅｄ ｕｒｉｎａｒｙ ｔｒａｃｔ ｉｎｆｅｃｔｉｏｎ"，Ａｎｔｉｍｉｃｒｏｂ．Ａｇｅｎｔｓ Ｃｈｅｍｏｔｈｅｒ，１９９９ Ｄｅｃ．４３（１２）ｐｐ２９９０－２９９５

これらのバイオフィルムは、食品産業、紙製造業、配水システム、冷却塔に見られるように、パイプ汚染の原因となる。さらに。バイオフィルムは、工業環境に負の影響を与え、腐食及び石灰かすの積層の原因となる。パイプ内での腐食及び石灰かすは、パイプを通過する液体の流量を減少させ、同様に液体からパイプの外殻への熱伝導を減少させる。これによって、パイプを熱交換器として使用する時、パイプ全体の熱効率が低下する。

本発明のいくつかの実施形態によると、カテーテル及びその他の留置装置は、鉱油及び他の油を主成分とする物質（本文書を通して、まとめて「オイル」または「オイル（複数）」と呼ぶ）のようなオイルを保持するために形成された壁と結合される内腔及び／または空洞部を含み、オイルがカテーテルまたは装置の壁を通して、表面に浸出することを可能にし、表面のオイルはゼロ応力でバイオフィルムの形成を阻害及び／または防止する滑らかな表面（例えば、表面上のコーティング）を形成し、したがって、カテーテル及び装置上の、感染症の原因となるバイオフィルム及び／または細菌付着の可能性をかなり低下させる。壁は、様々な厚さで、多孔性の材料製であり、オイルがそれを通して浸出することを許可するようなものである。さらに、バイオフィルムはこれらの表面ではゼロ応力のため、バイオフィルムの成長はそのような滑らかな表面によって阻害される傾向があるので、本発明のカテーテル及び装置は典型的には、滑らかな外側表面を作成する方法を含む。

本発明は、天然及び／または孔隙率の変更されたシリコーンをベースとする、シリコーン壁／導水管／セルの、管、導管、パイプ及び他の装置のような品物を作成し、管／導水管／セルの中から品物の表面にオイルが浸出するのを許可し、それによって、バイオフィルムの形成を防止し、阻害し、または、さもなければ遅らせる。本文書で使用したように、単語「浸出する」は、オイル及び材料の相互作用を含む方法において材料を通るオイルの動きに言及したものである。

本発明は、また、水及び他の物質を輸送する他のシステムと共に、都市用水システムにおいて利用可能である。例えば、本発明は、清潔、安全及び衛生的な上水道を提供し、それは公衆衛生を確保するのに重要である。本発明は、大腸菌、シュードモナスまたはサルモネラのような宿主に有害な病原菌の場所として役立つバイオフィルム蓄積、同様にかすの蓄積を効果的に減少させるのに役立つ。これは、特に公衆衛生を確保するために、水の運搬パイプ及び水タンクにおいて、特に真実である。

本発明は、例えば、液体等を運搬するパイプ及び他の導管において、油性の表面を提供し、それは流速及びバイオフィルムへのせん断応力を増大させ、沈澱を減少させる。結果として、水を主成分とする液体は前記のパイプ及び導管を通して、従来のパイプよりも、効率的に移動し、本発明によって処理または構築される。従って、本発明は、バイオフィルムの形成及び蓄積を引き起こす沈殿物を減少させる。

本発明の実施形態は、例えば、管状または円筒形の、本体を備える管のように、管に関する。管は、例えば、外科及び医学用途で利用可能であるが、非医学用途でもまた利用可能である。内腔は本体の内部を通過して延びる。内腔は本体の外壁によって少なくとも部分的に境界が定められており、本体の外壁は、本体の外壁を通して、本体の外壁の外側面に浸出するオイルを収容するように構成されている。

任意には、内腔は本体の外壁に沿って、延びている。

任意には、内腔は本体の外壁に沿って、縦方向、らせん方向及びジグザグ方向の少なくとも一つに延びている。

任意には、管は、内腔がオイルで充填されているようなものである。

任意には、内腔は、本体を通して延びる中央内腔、及び少なくとも一つの中央内腔に介在する内側内腔及び本体の外壁を含み、中央内腔の一部分は内壁を区画する少なくとも一つの内側内腔に隣接し、内側内腔は内壁を通して、中央内腔の内側表面上に浸出するオイルを収容するように構成されている。

任意には、少なくとも一つの内腔はオイルで充填されている。

任意には、オイルは、オイルを主成分とする物質を含む。

任意には、内壁及び外壁は、多孔性の材料製であり、内腔から内壁を通って、内壁の表面に、及び、外壁を通って、外壁の表面に浸出するオイルを収容する。

本発明の実施形態は、例えば、バイオフィルム形成を防止する装置を目指している。装置は、シリコーン膜で被覆された外側表面を備え、その膜の下はオイルで充填され、シリコーン膜は、そこを通ってシリコーン膜の表面に浸出するオイルを収容するように構成されている。

任意には、装置は、埋め込み型装置または留置装置の少なくとも一つである。

任意には、オイルは、オイルを主成分とする物質を含む。

任意には、シリコーン膜は多孔性であり、そこを通ってシリコーン膜の表面に浸出するオイルを収容する。

本発明の実施形態は、例えば、バイオフィルム形成を防止する装置を目指している。装置は、二重層膜を備え、そこを通ってオイルが浸出するように構成され、オイルは層間を満たしている。

任意には、膜はシリコーンを含む。

任意には、シリコーン膜装置は、埋め込み型装置または留置装置の少なくとも一つである。

任意には、オイルは、オイルを主成分とする物質を含む。

任意には、二重層膜は多孔性であり、そこを通って装置の表面に浸出するオイルを収容する。

本発明の実施形態は、導管を目指している。導管は、外側管状部材及び管状部材に沿って延びる複数の溝を含み、材料の内側表面は溝がオイルで充填された時オイルがそこを通って浸出するように構成されている。

任意には、溝は互いにほとんど平行な方向であり、外側管状部材の長さに沿って延びている。

任意には、溝は、外側管状部材の長さに沿ってらせん状に配向されている。

任意には、らせん状に配向された溝は、らせん状に配向された単一の溝を含む。

任意には、らせん状に配向された溝は、らせん状に配向された複数の溝を含む。

任意には、外側管状部材は、内側表面を区画する内側層と共通の外側層を含む。

任意には、外側管状部材及び内側表面は、共押出される。

任意には、溝はオイルで充填される。

任意には、導管は菅及びパイプの少なくとも一つを含む。

任意には、導管の材料は多孔性で、そこを通って浸出し、内側表面をコーティングするオイルを収容する。

本発明の実施形態は、また、構造内でバイオフィルム形成を阻害する方法を目指している。その方法は、オイルを保持するための少なくとも一つの内腔を含む構造を提供し、構造は少なくとも一つの内腔の側面を区画する少なくとも一つの部材を含み、少なくとも一つの部材は、少なくとも一つの内腔がオイルで充填されている時、オイルが少なくとも一つの部材を通って、その少なくとも一つの部材の外側表面に浸出するように構成された材料製であり、及び、少なくとも一つの内腔をオイルで充填することを含む。

任意には、構造は、埋め込み型医療装置、留置カテーテル、医療用チューブ、医療用導管、非医療用チューブ、非医療用導管及びパイプを含む。

任意には、方法は、また、指定された部位に構造を配備することを含む。

任意には、オイルは、オイルを主成分とする物質を含む。

任意には、オイルは、医療グレード鉱油、鉱油及び植物油の少なくとも一つを含む。

任意には、材料は、多孔性であり、そこを通って材料の外側表面に浸出するオイルを収容する。

他に記載されていない限り、本文書で使用された全ての技術及び／または専門用語は本発明が属する技術分野において普通の技能を持つ人に一般的に理解されるのと同様の意味を有する。本文書に記載された方法及び材料と同様または等価な方法及び材料は、本発明の実施形態の実行及び試験において使用可能であるが、典型的な方法及び／または材料が下記に記載される。不一致の折には、定義を含む特許明細書が支配するであろう。また、材料、方法及び実施例は、単に例示するものであり、必ずしも限定されることを意図していない。

本発明のいくつかの実施形態を、単に例として、添付図面を参照して以下に記載する。添付図面において、同様な参照番号または記号は、一致する、または同様な要素を示している。特に図面を詳細に参照するにあたって、図示された細目は例であり、本発明の実施形態の実例となる議論の目的のためであることが強調される。この観点において、添付図面を参照する説明は、本発明の実施形態がどのように実施されるかを当業者に明らかにする。

図１は本発明の実施形態による留置カテーテルの等角図である。 図２Ａは本発明の実施形態による留置カテーテルの縦断面図である。 図２Ｂは図２Ａの線２Ｂ－２Ｂに沿って示した、図１及び図２Ａのカテーテルの横断面図である。 図２Ｃはカテーテルのベントマニホールドの詳細図である。 図３Ａは図１のカテーテルのコネクタの等角図である。 図３Ｂは図３Ａのカテーテルのコネクタの正面図である。 図４Ａは図１のカテーテルのコネクタの別の実施形態の等角図である。 図４Ｂは図４Ａのカテーテルのコネクタの正面図である。 図５Ａは図１のカテーテル本体の内腔配置の透視図である。 図５Ｂは図１のカテーテル本体の内腔配置の透視図である。 図６Ａは図１のカテーテル本体の別の内腔配置の横断面図である。 図６Ｂは図１のカテーテル本体の別の内腔配置の横断面図である。 図６Ｃは図１のカテーテル本体の別の内腔配置の横断面図である。 図６Ｄは図１のカテーテル本体の別の内腔配置の横断面図である。 図６Ｅは図１のカテーテル本体の別の内腔配置の横断面図である。 図６Ｆは図１のカテーテル本体の別の内腔配置の横断面図である。 図６Ｇは図１のカテーテル本体の別の内腔配置の横断面図である。 図６Ｈは図１のカテーテル本体の別の内腔配置の横断面図である。 図６Ｉは図１のカテーテル本体の別の内腔配置の横断面図である。 図６Ｊは図１のカテーテル本体の別の内腔配置の横断面図である。 図７Ａは図１のカテーテルの別の本体の横断面図である。 図７Ｂは図１のカテーテルの別の本体の横断面図である。 図７Ｃは図１のカテーテルの別の本体の横断面図である。 図８Ａは図１のカテーテルの別の本体の横断面図である。 図８Ｂは図１のカテーテルの別の本体の横断面図である。 図８Ｃは図１のカテーテルの別の本体の横断面図である。 図９Ａは図１のカテーテルの先端の正面図である。 図９Ｂは線９Ｂ－９Ｂに沿って示した、図９Ａの先端の縦方向の横断面図である。 図１０Ａは図１のカテーテルの先端の別の実施形態の正面図である。 図１０Ｂは線１０Ｂ－１０Ｂに沿って示した、図１０Ａの先端の縦方向の横断面図である。 図１１Ａは図１のカテーテルの横断面図であり、オイルがカテーテルの内腔を充填している。 図１１Ｂは図１１Ａのカテーテルのコネクタでのベントを詳細に図示した横断面図である。 図１１Ｃは図１１Ａのカテーテルのチップでのマニホールドを図示した横断面図である。 図１２Ａは図４Ａの別の実施形態のコネクタを有する図１のカテーテルの縦方向の横断面図である。 図１２Ｂは図１２Ａのカテーテルのコネクタでのベントを詳細に図示した横断面図である。 図１２Ｃは図１２Ａのカテーテルのチップでのマニホールドを図示した横断面図である。 図１３はバルーン膨張用の空気流を示す図１のカテーテルの部分断面図である。 図１４Ａは本発明の別の実施形態によるパイプの横断面透視図である。 図１４Ｂは本発明の別の実施形態によるパイプの横断面透視図である。 図１４Ｃは図１４Ａ及び図１４Ｂのインナーチューブへの別のインナーチューブである。 図１４Ｄは図１４Ａ及び図１４Ｂのインナーチューブへの別のインナーチューブである。 図１５は本発明の別の実施形態によるパイプの横断面透視図である。 図１６は排水システムのダイヤグラムである。

本発明の少なくとも一つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その利用において、下記の説明で規定される、及び／または添付図面で示される構造の細部及び構成要素の配置及び／または方法に必ずしも限定されるものではないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実施または実行することが可能である。

図１は、本発明の実施形態による、カテーテル１００の典型的な形態での装置を図示している。本発明は、また、ヒト及び動物の身体用の留置または埋め込み型装置を含む他の装置でも具体化されるので、このカテーテル１００は本発明の典型例である。

カテーテル１００は、例えば、フォーリー（Ｆｏｌｅｙ）カテーテルのような、留置導尿カテーテルである。カテーテル１００は、近位端１００ｐ及び遠位端１００ｄを含む。カテーテル１００の遠位端１００ｄは、また本体１０２の遠位端１０２ｄを規定するが、例えば、必要な本体の内部に、開口部、チューブ、細孔等を位置決定するためであり、一方、近位端１００ｐは、コネクタ１１０を含み、（本体１０２の近位端１０２ｐで）本体１０２に取り付けられ、ヒトまたは動物の身体の外部に留まる。カテーテル１００は本体１０２を含み、本体１０２はバルーン（膨張状態で図示）を含み、先端１０８に、遠位端１００ｄに形成された周囲空気への開口部１０６（それを介して、尿及び他の体液が排水のためカテーテル１００に入る）を含む。本体１０２は、その遠位端１０２ｄで、尖端１０８で終点となり、先端１０８がカテーテル１００の遠位端１００ｄを区画する。

図２Ａに図示したように、尿及び他の体液はカテーテル１００を通って、矢印１１１に従って流れる。液体は尖端１０８の開口部１０６を通ってカテーテル１００に入り、カテーテル１００の本体１０２の中央内腔１４０を通って流れ（図２Ｂに示した）、次にコネクタ１１０の内腔１３０ａを通って流れ、ポート１３０を介してカテーテル１００を離れる。

尖端１０８は典型的にはポリマー材料製であり、下記に詳細に示すように本体１０２用の材料より硬いことがある。本体の近位端１０２ｐはコネクタ１１０で終点となる。

コネクタ１１０は、図３Ａ及び図３Ｂに示したように、ポート１３０～１３３を含み、また、それに注意が向けられる。コネクタ１１０は本体１０２の材料と相溶性のポリマー材料製であり、従来の材料結合技術によって本体１０２に結合される。

ポート１３０～１３３は中央ポート１３０及び中央内腔１３０ａを含み、それを介して本体１０２の中央内腔１４０に接近する。外側ポート１３１～１３３はオイル充填ポート１３１及び内腔１３１ａを含み、それを通して、オイル充填内腔のオイルはカテーテル１００に入り、エアーベント１３２は、ベントを通る空気流出用の上部マニホールド１５０ｂによって内腔１４２に結合する内腔１３２ａ（図２Ｃに図示したように）、バルーンポート１３３及び内腔１３３ａを含み、それを介してバルーン１０４を膨張及び収縮させるためにバルーン内腔１４３に接近する（例えば、器具によって）。

図４Ａ及び４Ｂは、コネクタ１１０’の別の実施形態を図示している。ここでは、上部マニホールド１５０ｂに接続するベント１３２’は、本体１０２のオイル内腔１４２から（ベントポート１３２を通って）周囲環境の方へ延びる（図１２Ｂ）。コネクタ１１０の場合と同様に、ポート１３０は中央ポート１３０及び中央内腔１３０ａを含み、それを介して本体１０２の中央内腔１４０に接近される。外側ポート１３１、１３３はオイル充填ポート１３１及び内腔１３１ａを含み、それを通して、オイル充填内腔のオイルはカテーテル１００に入り、及び、バルーンポート１３３及び内腔１３３ａを含み、それを介してバルーン１０４を膨張及び収縮させるためにバルーン内腔１４３に接近する（例えば、器具によって）。

カテーテル１００内には、例えば、図２Ｂに示したように、内腔１４０、１４１、１４２及び１４３がある。内腔１４０、１４１、１４２、１４３は中央または内側内腔１４０を含み、それを介して体液は排出され、例えば、オイルと組み合わされた外側内腔１４１、１４２、及びバルーン１０４を膨張させるための空気用の内腔１４３を含む。カテーテル１００の壁（内側及び外側）にオイルを保持するシステムがあり、カテーテル１００の対応する内側及び外側表面をオイルがコーティングすることが可能であるならば、複数（数個）の外側内腔１４１、１４２、１４３が図示されているが、いずれの数の外側内腔でも十分である。バルーン１０４を膨張及び収縮させることに組み合わされた内腔１４３がある。内側内腔１４０及び外側内腔１４１、１４２、１４３はカテーテル１００の長さに沿って、互いに少なくともほぼ平行に延びて、直線として図示されているが、内腔１４０～１４３のいずれか一つまたは複数は、例えば、図５Ａ及び５Ｂに示したように、湾曲、環状、うねり、または他の不規則な形状であることがあり得る。

図６Ａ～６Ｊは、本体１０２における様々な異なる内腔配置を示す。これらの異なる配置は全て、体液排出用に、少なくとも一つの中央内腔１４０を含み、少なくとも一つのオイル充填内腔１４１はオイルで充填されるべきである他の内腔に接続され、少なくとも一つの内腔１４３はバルーンを膨張させるための空気または他の物質用である。バルーン構造を欠いたカテーテルでは、全ての内腔はオイル内腔１４１、１４２である。

図６Ｄ及び６Ｅは、浸出オイルで被覆される本体の面積を大きくするために、縦方向のギザギザを有する外側表面を示す。同じ目的で、同様なギザギザが本体の内側表面に沿ってあることもあり得る。

図７Ａ～７Ｃは別の実施形態の、カテーテル１００の本体７０２を示す。外側チューブ７０４は、内部芯７０６を収容する。内部芯７０６は中央内腔１４０及びバルーン膨張内腔１４３を含み、外側チューブ７０４に差し込まれて、オイル充填１４１及びオイル内腔１４２を区画する。

図８Ａ～８Ｃは別の実施形態の、カテーテル１００の本体８０２を示す。外側チューブ８０４は、内部芯８０６を収容する。内部芯８０６は中央内腔１４０を含む。外側チューブ８０４に差し込まれて、芯８０６はオイル充填１４１、オイル内腔１４２及び少なくとも一つのバルーン膨張内腔１４３を含む。

図７Ａ～７Ｃ及び図８Ａ～８Ｃの実施形態の内側芯７０６、８０６及び外側チューブ７０４、８０４は、オイル浸出及び装置の可撓性を制御する同一の材料または異なる材料でもよい。

図９Ａ及び９Ｂは、カテーテル１００の先端１０８を示している。先端１０８は外側部分９０１及び内側部分９０２を含む。内側部分９０２は、全てのオイル内腔を接続するマニホールド１５０ａを含み、それによって、オイル充填内腔（複数）からのオイルはマニホールド１５０ａに到達し、カテーテル本体１０２の一つまたは複数の内腔全部に流入する。先端１０８は単一の、または、複数の開口部を含み、それを通って、排出のため、尿及び／または体液は本体１０２の中央内腔１４０に入り、球状のまたは丸くなったヘッド９０６を有する。

図１０Ａ及び１０Ｂは、カテーテル１００の代替先端１０８’を示している。この代替先端１０８’は、先端１０８‘’が湾曲したヘッド１００６を含むことを除いて、参照番号“１０００”を付した同様な構造を有し、前記に詳細に記載したように、先端１０８に類似している。

本体１０２、７０２、８０２及び外側チューブ７０４、８０４は、例えば、Ｄｏｗ Ｃｏｒｎｉｎｇから入手可能なＳｉｌａｓｔｉｃ（商標登録）Ｅｌａｓｔｏｍｅｒ（例えば、Ｓｉｌａｓｔｉｃ（商標登録）ＭＤＸ４－４２１０ ＢｉｏＭｅｄｉｃａｌ Ｇｒａｄｅ Ｅｌａｓｔｏｍｅｒ）で形成され、それは自然多孔性を有する。外壁１０２ｘ／外側チューブ７０４、８０４の厚さ及び、例えば、自然多孔性及び／または修正多孔性である多孔性、及び材料は、内腔１４１、１４２からのオイルが本体１０２の外側表面１０２’に、及び、各外側チューブ７０４、８０４の外側表面７０４’、８０４’に浸出することを可能にするものである。例えば、本体１０２の外壁１０２ｘ／外側チューブ７０４、８０４の厚さは、全ての材料で、例えば、５０ミクロン（マイクロメーター）から約６００ミクロンであり、例えば、１００ミクロンから約５５０ミクロンである。そのような生体適合性シリコーンは、材料を形成するために使用した蒸発溶媒によって、自然のミクロ多孔性を有する。前記の多孔性／ミクロ多孔性はまた修正多孔性である。

同様に、中央内腔１４０に接するオイル充填内腔１４１及びオイル内腔１４２の他の全部の壁１４０ｙは、前記の本体１０２の外壁１０２ｘ／外側チューブ７０４、８０４に従っており（例えば、材料、厚さ、多孔性）、よって、オイルは壁に浸出または浸透し、中央内腔１４０の内側表面１４０ｘをコーティングする。

内側芯７０６、８０６もまた、例えば、Ｄｏｗ Ｃｏｒｎｉｎｇから入手可能な前記のＳｉｌａｓｔｉｃ（商標登録）Ｅｌａｓｔｏｍｅｒで形成される。外側チューブ７０４、８０４は、従来のポリマー結合技術によって、それらの各々の内側芯７０６、８０６に結合する。カテーテル本体１０２、外側チューブ７０４、８０４及び芯７０６、８０６用の付加材料は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン及び他の外科グレード材料を含む。

付加ミクロ孔は、外壁１０２ｘ／外側チューブ７０４、８０４上に、及び、同様に例えば内側内腔に、オイル内腔１４１、１４２である部分にドリルで形成される。これらの付加孔は、外壁１０２ｘ／外側チューブ７０６、８０６、及び、同様に内側内腔を介したオイル浸出を促進させる。これらの孔は約２ミクロンから約５０ミクロンの範囲にあり、オイルの浸出量を制御することが可能である。

オイル内腔１４１、１４２を充填するのに使用されるオイルは、例えば、Ｓｕｐｅｒｌａ Ｌｉｇｈｔ Ｍｉｎｅｒａｌ Ｏｉｌである。他の医療グレード鉱油または植物油、同様にオイルを主成分とする物質が適している。

カテーテル１００をオイルで予備充填することが可能である。この場合、コネクタ１１０は存在する必要がない。オイル内腔１４１は栓をされ（ロックされ）、オイル内腔１４１を通って、カテーテル１００の近位端１００ｐから漏れることを防ぐ。

図１１Ａ～１１Ｃは、カテーテル１００のオイル充填を示しており、オイル流は矢印１５２によって示されている。オイルはポート１３１を介して充填され、内腔１３１ａを通って、オイル内腔１４１まで移動する。オイルは、先端１０８でマニホールド１５０ａを介して流れる。マニホールド１５０ａで、オイルは一つまたは複数のオイル内腔１４２に入り、そのオイルは各内腔１４２を通って、オイルが上部マニホールド１５０ｂに到達するまで流れ、それによって、全部のオイル内腔１４１、１４２及びポート１３２の空気の換気が可能になる。

図１２Ａ～１２Ｃは、別のコネクタ１１０’及び空気ベント１３２’を有するカテーテル１００のオイル充填を示しており、オイル流は矢印１５２’によって示されている。オイル流は図１１Ａ～１１Ｃのものに類似しており、オイル流はオイル内腔１４２を通る。オイルはポート１３１を介して充填され、内腔１３１ａを通って、オイル内腔１４１まで移動する。オイルは、先端でマニホールド１５０ａを介してオイル内腔１４２に入り、上部マニホールド１５０ｂに到達するまで流れ、それはベントポート１３２”を介した空気の換気を目指している。

図１３は、カテーテル１００のバルーン１０４の膨張を示しており、膨張空気、オイルまたは他のオイルを主成分とする物質を有し、その流れは矢印１５６によって示されている。注射器（図示せず）は、空気をコネクタのポート１３３に導入し、そこで、空気（他のバルーン１０４の膨張物質）はコネクタ内腔１３３ａを通って、次に内腔１４３を通って、バルーン１０４まで流れる。バルーン１０４の膨張用の空気、オイルまたはオイルを主成分とする物質は、開口部１０４ａを介してバルーン１０４の空洞部に入る。

カテーテル１００は、排尿のような、尿に関する用途の導尿カテーテルとして図示したが、カテーテル１００は、他の身体部位及び、他の血管を含む血管、輸胆管及び他の管、脳路及び身体内の他の管状構造での他の手術に使用されるように容易に変更することが可能である。例えば、本発明によって形成されたチューブは、二重または他の多層チューブであることが可能である。また、例えば、装置は、カテーテル本体１０２の外壁１０２ｘのそれに類似した、ポリマー壁を含み、前記に詳細に記載したように、オイルが充填されている内側または外側膜を有するようなものであることが可能である。

本発明は、ヒトの使用として示したが、動物の使用に適している。

図１４Ａ、１４Ｂ、１４Ｃ、１４Ｄ及び１５は、非医療用途の様々な構造を示している。これらの構造は、無害性であり、食物品質材料である材料を使用する。これらの構造は、例えば、チューブ、パイプ及びその他の導管であり、どちらも流体及び液体輸送、配送、貯蔵等に使用されるために、多重横断面の形状を有する。

図１４Ａ及び１４Ｂは本発明の実施形態によるチューブ１４００を図示しているが、それは水及び他の水を主成分とする液体を運搬するためのパイプ、導管等として使用することが可能である。チューブ１４００は、典型的には外側層を区画する外側チューブ１４０２及び、外側チューブ１００２の中にある時、中間層またはチューブ１４０６及び内側層またはチューブ１４０８を区画する内側チューブ１４０４を有する。内側層１４０８は溝１４１０を含み、その溝は、初期の平坦な配向から、内腔１４１０ａがオイルで充填された時の丸くなった形状まで拡張可能である。内側層１４０８、例えば、この内側層１４０８の溝１４１０は、縦方向、チューブ１４０４ｃの単一「ハード」コイル（図１４Ｃ）または、チューブ１４０４ｄの多重らせん溝１４０８（図１４Ｄ）のようならせん（コイル化）、またはジグザグ等の配向に配置される。内側層１４０８は、前記のチューブ７０４、８０４で詳細に記載したのと同様に、オイルが内側層１４０８に浸出または浸透し、チューブ１４００の内側表面１４１０ｘをコーティングすることが可能な厚さ及び多孔性を有する材料製である。

外側チューブ１４０２及び中間チューブ１４０６は、例えば、金属またはポリマー材料製である。溝１４１０を有する内側チューブ１４０８は、例えば、Ｄｏｗ Ｃｏｒｎｉｎｇから入手可能な、前記のＳｉｌａｓｔｉｃ（商標登録）Ｅｌａｓｔｏｍｅｒ製である。使用されるオイルは、例えば、Ｓｕｐｅｒｌａ Ｍｉｎｅｒａｌ Ｏｉｌである。他の医療グレード鉱油または植物油、同様にオイルを主成分とする物質もまた適している。チューブ１４００はオイルで充填されて、展開するか、または、予備充填されるのどちらか、またはその組み合わせである。

図１５は、外側チューブ１５０２及び、前記の図１４Ａ及び１４Ｂに詳細に記載したチューブ１４００の内側層１４０８及び溝１４１０に類似した、内腔１５１０ａを区画する、例えば、縦方向、らせん（コイル化）またはジグザグの溝が形成された内側表面１５０２から形成されたパイプ１５００を図示している。内腔１５１０ａ内の溝１５１０はオイルで充填されるように設計されており、前記のチューブ７０４、８０４について詳細に記載したのと同様に、オイルが内側層１４０８に浸出または浸透して、チューブ１５００の内側表面１５１０ｘをコーティングすることが可能な厚さ及び多孔性を有する材料製である。内側層１５０８は、例えば、平坦な配向であり、内腔１５１０ａがオイルで充填された時丸くなる溝１５１０を有する。

外側チューブ１５０２は、例えば、ポリマー材料製である。溝１５１０を有する内側チューブ１５０８は、例えば、前記の、Ｄｏｗ Ｃｏｒｎｉｎｇから入手可能なＳｉｌａｓｔｉｃ（商標登録）Ｅｌａｓｔｏｍｅｒ製である。外側チューブ１５０２もまた、内側層１５０８の材料と共押出される、ポリマーパイプであり得る。

使用されるオイルは、例えば、Ｓｕｐｅｒｌａ Ｍｉｎｅｒａｌ Ｏｉｌである。他の医療グレード鉱油または植物油、同様にオイルを主成分とする物質もまた適している。チューブ１５００はオイルで充填されて、展開するか、または、予備充填されるのどちらか、またはその組み合わせである。

図１４Ａ、１４Ｂ及び１５は、チューブ及びパイプで図示されているが、また、都市用水システムでの水輸送パイプ、水輸送タンカー及びトラック内、及び液体食品（例えば、牛乳）輸送タンカー、及び塩水及び廃水タンカー内のパイプ及び導管のような、非医療用途でも使用可能である。

本発明の様々な実施形態の説明は、例示する目的で示したものであり、開示された実施態様は網羅されたものではなく、限定されるものではない。本発明が属する技術分野において普通の技能を持つ人には記載した実施形態の範囲及び精神から逸脱することなく、たくさんの修正及び変更が明らかであるだろう。本文書で使用した用語は、実施形態の原理、実際の用途または市場で見られる技術上の改善を最もよく説明し、当技術分野において普通の技能を持つ人が本文書に記載した実施形態を理解できるように選択されている。

単語「任意には」は、本文書では、ある実施形態ではそうであり、他の実施形態ではそうでないことを意味するために使用されている。

本発明のいくつかの特徴は、明らかにするため、別々の実施態様の文脈で記載されているが、一つの実施形態で組み合わせることがありうるのは明らかである。反対に、説明を簡潔にするために、一つの実施形態の文脈で記載された、本発明の様々な特徴は、別個に、または、いずれかの適した副組み合わせにおいて、または、本発明の記載した他のいずれかの実施形態において適したものとして提供されうる。様々な実施形態の文脈で記載した特徴は、実施形態がそれらの要素なしに不作動ではないかぎり、それらの実施形態に必須の特徴とはみなされない。

本発明をその特定の実施形態と併せて記載したが、多くの代替、修正、変更が当業者には明らかであることは明白である。従って、添付の請求項の精神及び範囲内にあるそのような代替、修正及び変更を全て抱合するものとする。

１００ カテーテル
１０２ 本体
１１０ コネクタ
１３０、１３１、１３２、１３３ ポート
１４０、１４１、１４２、１４３ 内腔

Claims (8)

1. 本体の外壁によって少なくとも部分的に境界が定められた内腔を含む本体を備え、前記本体の前記外壁は、前記本体の前記外壁の外側表面上にコーティングを形成するために、オイルが前記本体の前記外壁を通って、前記本体の前記外壁の外側表面に浸出するように選択された多孔性の材料で製造されており、
   前記内腔は、上部マニホールドに接続され、前記上部マニホールドはベントに接続され、前記ベントは、前記上部マニホールドを周囲環境に接続するように構成されることで、前記内腔がオイルで充填された時、前記内腔の中の空気は、前記内腔から前記上部マニホールドを通り、前記ベントへ流れ、前記ベントを通過して周囲環境へと逃され、オイル圧の上昇が防止され、オイルが前記ベントを通って逃げるのが防止される、バイオフィルムの形成を阻害するカテーテルまたはチューブ状のヒト及び動物の身体用の留置または埋め込み型装置。
2. 前記内腔は前記本体の前記外壁に沿って延びている、請求項１に記載のカテーテルまたはチューブ状のヒト及び動物の身体用の留置または埋め込み型装置。
3. 前記内腔は前記本体の前記外壁に沿って、縦方向、らせん方向及びジグザグ方向の少なくとも一つに延びている、請求項２に記載のカテーテルまたはチューブ状のヒト及び動物の身体用の留置または埋め込み型装置。
4. 前記内腔が前記オイルで充填されている、請求項１～３のいずれか一項に記載のカテーテルまたはチューブ状のヒト及び動物の身体用の留置または埋め込み型装置。
5. 前記内腔は、前記本体を通って延びる中央内腔、及び前記中央内腔と前記本体の前記外壁との間に位置する少なくとも一つの外側内腔を含み、前記中央内腔の一部分は、少なくとも一つの前記外側内腔と内壁を挟んで隣接し、前記内壁は、前記中央内腔の前記内側表面上にコーティングを形成するために、前記オイルが前記内壁を通って、前記中央内腔の内側表面上に浸出するように、選択された多孔性の材料で製造されている請求項１に記載のカテーテルまたはチューブ状のヒト及び動物の身体用の留置または埋め込み型装置。
6. 少なくとも一つの前記外側内腔は前記オイルで充填されている、請求項５に記載のカテーテルまたはチューブ状のヒト及び動物の身体用の留置または埋め込み型装置。
7. 前記オイルは、オイルを主成分とする物質を含む、請求項４または６に記載のカテーテルまたはチューブ状のヒト及び動物の身体用の留置または埋め込み型装置。
8. 前記外側内腔は、前記外側内腔から前記内壁を通って、前記内壁の表面に、及び、前記外壁を通って、前記外壁の前記外側表面に浸出する前記オイルを収容する、請求項５に記載のカテーテルまたはチューブ状のヒト及び動物の身体用の留置または埋め込み型装置。

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