JP7368648B1 - 不焼成塩基性れんがの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐食性に優れた不焼成塩基性れんが及びその製造方法を提供する。【解決手段】粒径75μm未満のマグネシア及び粒径75μm未満のマグクロのうち少なくとも一種を合計で0.2質量%以上30質量%以下、並びに粒径75μm未満のシリカを0.3質量%以上2.5質量%以下含有する耐火原料配合物に、水を添加して混練し、プレス成形後、60℃以上1000℃以下の温度で熱処理を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄鋼分野等において溶融金属容器の内張材等として使用される不焼成塩基性れんがの製造方法に関する。
鉄鋼分野等で使用される溶融金属容器には、内張材として、マグクロれんが、マグネシアれんが、マグネシアカーボンれんが等の塩基性れんが汎用されている。これらのうちマグネシアカーボンれんがは、黒鉛等の炭素質原料を含有しフェノール樹脂等の有機バインダーを結合剤とした不焼成れんがが一般的であるが、酸化や還元による損耗が大きな用途ではマグクロれんがやマグネシアれんが等の焼成塩基性れんがが多用されている。なかでも、焼成マグクロれんがは1700℃以上で焼成することによってクロムを含むスピネルが発達し、強いボンドを形成することで高い耐食性を有する。一方で焼成マグクロれんがの製造には1700℃以上の超高温焼成が必要であり、CO排出やコスト増などのデメリットもある。そこで、これまでも高温での焼成を必要としない不焼成塩基性れんがの製造方法が検討されてきた。
例えば特許文献1には、MgO成分が50質量%を超える範囲に調整された骨材100重量部に対して、結合剤としてLiO/Pの重量比が2.5/7.5~1.5/8.5の範囲にある縮合りん酸リチウムを0.5~5重量部使用することを特徴とする耐火物の製造方法が開示されている。しかし、特許文献1の製造方法で得られたれんがは、縮合りん酸リチウム中のLiが使用中にSiOやAl成分と反応して液相生成温度を低下させ、耐食性低下の原因になる懸念とリチウム成分がマグクロれんが中のクロム成分と反応し6価クロムを含有する二クロム酸リチウムを生成する懸念がある。また、縮合りん酸リチウムは値段が高く、製造コストに見合った耐用性が得られないといった問題もある。
また特許文献2には、マグネシア質原料とクロミア質原料を含む耐火組成物100重量部にアルミン酸ソーダを0.5~3.5重量部配合し、混練後、加圧成形し、100~500℃で乾燥する不焼成マグクロれんがの製造方法が開示されている。そして、特許文献2には「アルミン酸ソーダは、比較的低温から結合部に配合されたマグネシア、クロム鉱、酸化クロム等と反応焼結し、複合スピネルを生成し強度を発生させる作用がある。このため使用中の温度域においても稼動面から背面まで大きな強度変化がなく、耐熱スポールによる亀裂や剥離も発生せず、さらにより多くの耐食性の高い複合スピネルが生成されるため耐食性は高い。」との記載がある(段落0018)。しかし、アルミン酸ソーダ中のNaは使用中にSiOやAl成分と反応して液相生成温度を低下させ、珪酸ソーダ(2NaO・SiO,NaO・SiO,NaO・2SiO)や曹長石(NaAlSi)を始めとした低融物も生成するため耐食性低下の原因になる問題と、マグクロれんが中のクロム成分と反応して6価クロムを生成する問題がある。
更に特許文献3には、マグネシアとヒュームドシリカを含有する耐火物骨材に水を加えて混合物とし、物品を形成後、養生、乾燥する耐火物品の製造方法が開示されている。しかし、この特許文献3の製造方法で製造された塩基性れんがは耐食性が不十分な問題があった。
特公昭63-24944号公報 特開平11-157917号公報 特開2015-44734号公報
本発明が解決しようとする課題は、耐食性に優れた不焼成塩基性れんがの製造方法を提供することにある。
本発明の要旨は次の通りである。
1.
粒径75μm未満のマグネシア及び粒径75μm未満のマグクロのうち少なくとも一種を合計で0.2質量%以上30質量%以下、並びに粒径75μm未満のシリカを0.3質量%以上2.5質量%以下含有する耐火原料配合物に、水を添加して混練し、プレス成形後、60℃以上1000℃以下の温度で熱処理を行う、不焼成塩基性れんがの製造方法。
2.
粒径75μm未満のマグネシアとして軽焼マグネシア、粒径75μm未満のシリカとしてシリカフラワーを使用する、1に記載の不焼成塩基性れんがの製造方法。
3.
前記熱処理が加温養生を含む、1又は2に記載の不焼成塩基性れんがの製造方法。
本発明の製造方法によって得られた不焼成塩基性れんがは、Li、K、Naなどのアルカリ成分を含まないため、耐食性に優れの溶融金属容器の寿命を長くすることができる。また、使用時の受熱による6価クロムの生成を抑制することができる。また、600~1000℃の熱間強度が高く、溶融金属容器の内張材として使用した場合には、れんが組織の脆弱化に起因する稼働面の剥離を抑制する効果が大きい。
本発明の不焼成塩基性れんがの組織の一例を示すSEM写真。
本発明者らは、マグネシア微粉及びマグクロ微粉のうち少なくとも一種、並びにシリカ微粉を含有する耐火原料配合物に、水を添加して混練し、プレス成形後、60℃以上1000℃以下の温度で熱処理することで、十分な強度と耐食性を有する不焼成塩基性れんがが得られることを知見した。
そのメカニズムは以下の通りと考えられる。すなわち、マグネシア微粉及びマグクロ微粉のうち少なくとも一種並びにシリカ微粉は、水の存在下でゲル状のケイ酸マグネシウム水和物を形成するため、60℃以上の熱処理でもれんが中の水分が減少することで、れんがのマトリクス部でバインダーとして機能する。その後れんがの温度が上昇してケイ酸マグネシウム水和物が脱水しても非晶質のケイ酸マグネシウムボンドを形成するため強度を維持し、更に熱を受けると非晶質のケイ酸マグネシウムがフォルステライトとなるため使用温度まで強度の低下を抑制することができる。そして、このケイ酸マグネシウムのボンドは特に600~1000℃の熱間強度が高いことが特徴で、溶融金属容器の内張材として使用した場合には、れんが組織の脆弱化に起因する稼働面の剥離を抑制する効果が大きい。
本発明においてケイ酸マグネシウム水和物を生成するためのマグネシア成分としてマグネシア微粉及びマグクロ微粉のうち少なくとも一種を、耐火原料配合物100質量%中に占める割合において合計で0.2質量%以上30質量%以下の含有率で使用する。マグネシア微粉及びマグクロ微粉の粒径は小さいほど水の存在下で水和物を形成しやすいことから、具体的な粒度としては粒径75μmm未満のものを使用する。すなわち、本発明において耐火原料配合物は、粒径75μm未満のマグネシアであるマグネシア微粉及び粒径75μm未満のマグクロであるマグクロ微粉のうち少なくとも一種を合計で0.2質量%以上30質量%以下含有する。マグネシア微粉及びマグクロ微粉の合計含有率が0.2質量%未満ではれんが組織中の結合組織が不足し低強度となり、30質量%を超えると微粉が多くなりすぎて成形性が低下し、ラミネーションや耐食性低下の原因となる。
本発明においてマグネシア微粉としては、軽焼マグネシアを使用することができる。軽焼マグネシアは、マグネサイト、水酸化マグネシウムなどを例えば1400℃以下、通常1000~1400℃の比較的低温で焼成して得られ、一般には活性マグネシアあるいは仮焼マグネシアとも称され、平均粒径は1μm以下である。この軽焼マグネシアは比表面積が大きく、高活性であるため焼結マグネシアや電融マグネシアと比較して水に溶解しやすいため、れんが組織中でケイ酸マグネシウムのボンドがよく発達しれんがの強度を高めることができる。この軽焼マグネシアは、耐火原料配合物100質量%中に占める割合において0.2質量%以上5質量%以下の含有率で使用することができる。
また本発明では、ケイ酸マグネシウム水和物を生成するためのシリカ成分として、粒径75μm未満のシリカであるシリカ微粉を、耐火原料配合物100質量%中に占める割合において0.3質量%以上2.5質量%以下の含有率で使用する。シリカ微粉の含有率が0.3質量%未満ではれんが組織の結合強度が不十分となり、2.5質量%を超えるとれんが組織中のフラックス成分が増加し、耐食性が低下する。
シリカ微粉としては、シリカフラワー、溶融シリカ、シリカゾル、あるいは珪石の微粉を使用することができる。なお、シリカゾルは液状になっているため、その含有率はSiOに換算したものとする。
また、本発明においてシリカフラワーとは、平均粒径が10μm以下の微粒子シリカのことであり、シリカヒューム、ヒュームドシリカ、ホワイトカーボンを総称して指す。シリカヒュームはフェロシリコン、金属シリコン、電融ジルコニアなどの精錬過程で発生する排ガスを集塵して得られる副産物であり、比較的安価に入手が可能である。ヒュームドシリカは四塩化ケイ素を始めとしたケイ素化合物を原料として酸素と水素の火炎中で加水分解して製造される。また、ホワイトカーボンは珪酸ナトリウムの酸又はアルカリを用いた分解によって得られる。これらのシリカフラワーは、マグネシア微粉が一部溶解したアルカリ性の水に溶解しやすいため、れんが組織中でケイ酸マグネシウムのボンドがよく発達しれんがの強度を高めることができる。
本発明の塩基性れんがの製造方法では、従来の焼成マグクロれんが及び焼成マグネシアれんがの耐火原料配合物において、マグクロ微粉及びマグネシア微粉のうち少なくとも一種の合計含有率を0.2質量%以上30質量%以下、シリカ微粉の含有率を0.3質量%以上2.5質量%以下とすることを特徴の一つとし、更にこの耐火原料配合物に水を添加して混練し、プレス成形後、60℃以上1000℃以下の温度で熱処理を行うことを特徴とするものである。すなわち、耐火原料配合物において上記耐火原料以外の耐火原料は、従来の耐火原料配合物と同様のものを使用することができる。例えば、不焼成マグネシアれんがとする場合、耐火原料配合物の残部は粒径75μm以上のマグネシアとすることができる。また不焼成マグクロれんがとする場合、耐火原料配合物の残部は粒径75μm以上のマグネシア及び粒径75μm以上のマグクロのうち少なくとも一種を含むものとすることができ、また、クロム源としてクロム鉱及び酸化クロムのうち少なくとも一種を更に含むものとすることができる。なお、不焼成マグクロれんがの場合の耐火原料配合物において、粒径75μm以上のマグネシア及び粒径75μm以上のマグクロの合計含有率は30質量%以上80質量%以下とすることができる。
ここで、本発明でいう粒径とは、耐火原料粒子を篩いで篩って分離したときの篩い目の大きさのことであり、例えば粒径75μm未満のマグネシアとは、篩い目が75μmの篩いを通過するマグネシアのことで、粒径1mm以上のマグネシアとは、篩い目が75μmの篩い目を通過しないマグネシアのことである。
また、本発明でいう平均粒径とは、レーザ回折散乱式粒度分布計で測定された累積曲線の中央累積値(D50)にあたる体積平均粒径をいう。
本発明で使用するマグクロは、マグネシアとクロム鉱等とをアーク炉で溶融して得られる合成原料であり、電融マグクロクリンカー、電融マグネシアクロム、溶融マグクロなどとも称されており、耐火物の原料として一般的に使用されているものを使用できる。
また、本発明で使用するマグネシアも、耐火物の原料として一般的に使用されているものを使用することができ、例えば電融マグネシア、焼結マグネシア等である。
また上述の通り、マグクロれんがのクロム源としてクロム鉱及び酸化クロムのうち少なくとも一種を使用することができ、この場合、クロム鉱の含有率は40質量%以下、酸化クロムの含有率は10質量%以下とすることができる。クロム鉱としては、天然に産出するクロム鉱を使用することができる。
なお、本発明の耐火原料配合物は、上記以外に、金属粉、炭化珪素、黒鉛、ピッチ、カーボンブラック、炭化硼素、スピネル、アルミナ及びジルコニアのうち一種以上を5質量%以下の含有率で含有することができる。
本発明の塩基性れんがの製造方法では、上述の耐火原料配合物に水を添加して混練し、プレス成形する。基本的には水のみの添加でプレス成形後に十分な強度が得られるが、特殊な形状などで成形体の強度が要求される場合にはフェノール樹脂などの通常の耐火物の製造で使用されている有機バインダーを併用することができる。また、バインダーの溶媒中に水を含む、いわゆる含水バインダーを単独で使用することもできる。すなわち、本発明において「水」とは含水バインダー中の水を含む概念であり、本発明において「水を添加する」とは水及び含水バインダーのうち少なくとも一種を添加するということである。なお、含水バインダーの例としては、水と相溶性のある有機バインダーと水の混合物が挙げられる。
本発明の塩基性れんがの製造方法においてプレス成形後の成形体中には、上述の通りマグネシアとシリカとからなる非晶質の化合物としてゲル状のケイ酸マグネシウム水和物が含まれている。そのため、プレス成形後の熱処理では、60℃の熱処理から成形体中の水分が減少することで、れんが組織のマトリクス部においてバインダーとして機能する。熱処理の温度は高くすることで強度が高くなるため用途に応じて熱処理温度を設定することができ、一般的な溶融金属容器の内張用としては600℃未満の熱処理で十分な強度を得ることができる。ただし、使用条件が厳しくより高い強度が必要な場合には、600℃以上で熱処理することができる。600℃未満の熱処理ではケイ酸マグネシウム水和物は非晶質になっているが、600℃以上で熱処理をすることで非晶質のケイ酸マグネシウム水和物からマグネシアとシリカとからなる結晶質の化合物としてフォルステライトに変化し始める。その結果、より結合強度の強いボンドとなりれんがの強度が向上する。ただし、1000℃超の温度で熱処理しても熱処理コストの増加に見合った強度向上効果が得られないため、熱処理温度は1000℃以下で十分である。
また、本発明の塩基性れんがの製造方法では、プレス成形後に加温養生を行うことにより、ケイ酸マグネシウム水和物の生成を促進してれんがの強度を更に高くすることができる。加温養生の条件としては、60~180℃で1時間以上保持とすることができる。なお、本発明において「加温養生」は熱処理の一種であり、熱処理の概念に含まれるものとする。すなわち、加温養生を行う場合には改めて熱処理を行わなくてもよい。加温養生のみでも必要な強度を得ることができるからである。ただし、強度を更に高くしたい場合には、加温養生後に改めて熱処理を行ってもよい。
以上の製造方法で得られる不焼成塩基性れんがを「物」として特定すると、「マグクロ及びマグネシアのうち少なくとも一種を合計で56質量%以上99.7質量%以下含有し、マトリクス部にマグネシアとシリカとの化合物を含有する、不焼成塩基性れんが。」である。ここで、不焼成塩基性れんが中のマグクロ及びマグネシアの含有率は、耐火原料配合物の組成等から計算で求めることができる。
上述の通り熱処理温度が600℃未満の場合、不焼成塩基性れんがはそのマトリクス部にマグネシアとシリカとからなる非晶質の化合物を含む。この非晶質の化合物は、ケイ酸マグネシウム水和物であり、マトリクス部に存在することで粒子どうしのバインダーとして機能する。ケイ酸マグネシウム水和物は、一般的にはxMgO・ySiO・nHOと表記でき、条件によってさまざまな形態が存在する。
ケイ酸マグネシウム水和物は、Na、K、Liなどのアルカリ成分を含まないため、使用時に低融物を生成することがなく耐食性が低下する原因になることはなく、また、6価クロムを生成する原因にもならない。
そして熱処理の温度を600℃~1000℃とすると、このケイ酸マグネシウム水和物の一部又は全部がフォルステライト(2MgO・SiO)になる。フォルステライトは融点が1880℃であり、600℃付近から使用温度の1600℃前後までの温度範囲で十分な強度を発揮する。
ここで、不焼成塩基性れんがの組織は、骨材からなる骨材部と、その骨材どうしを結合する結合組織であるマトリクス部とからなる。そして本発明の不焼成塩基性れんがにおいて、骨材とは粒径75μm以上の粒子であり、マトリクス部とは骨材と骨材の間に存在する粒径75μmの粒子が連続した組織の部分である(図1参照)。
表1に、本発明の実施例及び比較例における耐火原料配合物の組成、及び得られたれんがの評価結果を示す。
Figure 0007368648000002
耐火原料のうち、マグネシアとしてはMgO純度が98質量%の電融マグネシア及び軽焼マグネシアを、マグクロとしてはMgOが74質量%、Crが16質量%の電融マグネシアクロムを、クロム鉱としてはCrが55質量%、Feが14質量%、MgOが16質量%、Alが11質量%のものを使用した。また、粒径75μmシリカ未満のシリカであるシリカ微粉としては、SiO成分が98%のシリカフラワー、SiO成分が98%の珪石微粉、及びSiO成分が40%のシリカゾルを使用した。なお、表1に示すシリカゾルの含有率は、上述の通りSiO換算値である。フェノール樹脂は溶媒としてエチレングリコールを含有するものを使用した。
1750℃で焼成した焼成れんがである比較例10及び比較例11以外について、耐火原料配合物に、水、フェノール樹脂、フルフラールを表1に記載の添加率で添加して混練し、オイルプレスによって230mm×114mm×100mmの形状に成形後、250℃で5時間保持の熱処理を行うことで不焼成塩基性れんがを作製した。また実施例2~5については、熱処理の温度を変化させたもの、80℃で加温養生したもの、及び80℃で加温養生後に110℃で熱処理を行ったものも作製した。これらのれんがから物性測定用試料を切り出して、常温での曲げ強さ及び600℃での曲げ強さを測定すると共に耐食性試験を行った。
常温での曲げ強さは3点曲げで測定した。具体的には、20×20×80mmの短冊試料を作製し、1.65kN/sの加圧速度で曲げ強さを測定した。
600℃での熱間曲げ強さの測定は、熱処理温度を250℃として得た各例のれんがについて3点曲げで実施した。具体的には、20×20×80mmの短冊試料を作製し、予熱炉にて600℃に加熱した後、試験炉に移し、600℃に到達後20分間保持し、0.05mm/sのクロスヘッド速度で曲げ強さを測定した。
耐食性は回転侵食試験にて評価した。回転侵食試験では、水平の回転軸を有するドラム内面を供試れんがでライニングし、スラグを投入、加熱して、れんが表面を侵食させた。加熱源は酸素-プロパンバーナー、試験温度は1700℃、スラグ組成はCaO:30質量%、SiO:30質量%、Al:20質量%、FeO+Fe:20質量%とし、スラグの排出、投入を30分毎に10回繰り返した。試験終了後、各れんがの最大溶損部において試験前後の厚さの差異(mm)から侵食量(mm)を求めた。そして表1に記載の「比較例1」のれんがの侵食量(mm)を100とする溶損指数を求めた。この溶損指数は数値が小さいものほど耐食性が優れていることを示す。
熱処理温度を250℃として得た各例のれんがのカット面を顕微赤外分光及び顕微ラマン分光法で観察したところ、比較例3、比較例7、比較例10及び比較例11を除き、マトリクス部にマグネシアとシリカとからなる非晶質の化合物の存在を示すスペクトルを確認することができた。そして、これら非晶質の化合物の存在が確認されたれんがを更に800℃で熱処理した後には、粉末X線回折による分析によってフォルステライトの生成を確認することができ、走査型電子顕微鏡及びエネルギー分散型X線分光法(EDS)によってマトリクス部にフォルステライト組成の化合物が存在することを確認した。このように、800℃熱処理後のれんがのマトリクス部にはフォルステライトが生成していることが確認された。
実施例1~6は、粒径75μm未満のマグネシアであるマグネシア微粉の含有率が異なる場合であるが、本発明の範囲内であり良好な結果となった。また、熱処理条件を変えた実施例2~5の結果より、熱処理温度が高くなるほど強度が高くなる傾向にあることがわかる。更に熱処理として加温養生を行うことより、熱処理温度が低くても高い強度を得ることができることもわかる。
これに対して比較例1は、マグネシア微粉を含有しない場合であり、低強度となり耐食性も不十分であった。また比較例2は、マグネシア微粉の含有率が本発明の上限値を上回っており、耐食性が低下した。
実施例7~11は、粒径75μm未満のシリカであるシリカ微粉の含有率が異なる場合であるが、本発明の範囲内であり良好な結果となった。これに対して比較例3は、シリカ微粉を含有しない場合であり、低強度となり耐食性も不十分であった。また比較例4は、シリカ微粉の含有率が本発明の上限値を上回っており、耐食性が低下した。
実施例12~14は、粒径75μm未満のマグクロであるマグクロ微粉の含有率が異なる場合であるが、本発明の範囲内であり良好な結果となった。これに対して比較例5は、マグクロ微粉を含有しない場合であり、低強度となり耐食性も不十分であった。また比較例6は、マグクロ微粉の含有率が本発明の上限値を上回っており、耐食性が低下した。
実施例15は、マグネシア微粉とマグクロ微粉を併用した場合であるが、本発明の範囲内であり良好な結果となった。
実施例16は、耐火原料配合物に水及びフェノール樹脂を添加した場合であるが、熱間強度も高い値を示しており、耐食性も良好な結果となった。これに対して比較例7は、耐火原料配合物に水を含まないフルフラールを添加した場合であり、熱間強度が低くなり耐食性も不十分であった。
実施例17は不焼成マグネシアれんがの場合であり、直接溶鋼やスラグと直接接することがほとんどないパーマれんが用に想定されたものである。他の不焼成マグクロれんがと耐食性について比較することができないため、耐食性試験は行っていないが、曲げ強さの結果から実炉で十分使用可能な範囲であると判断された。
比較例10及び比較例11は、1750℃で焼成した従来のマグクロれんがである。本発明の実施例はいずれも従来のマグクロれんがと同等の耐食性を有していた。

Claims (3)

  1. 粒径75μm未満のマグネシア及び粒径75μm未満のマグクロのうち少なくとも一種を合計で0.2質量%以上30質量%以下、並びに粒径75μm未満のシリカを0.3質量%以上2.5質量%以下含有する耐火原料配合物に、水を添加して混練し、プレス成形後、60℃以上1000℃以下の温度で熱処理を行う、不焼成塩基性れんがの製造方法。
  2. 粒径75μm未満のマグネシアとして軽焼マグネシア、粒径75μm未満のシリカとしてシリカフラワーを使用する、請求項1に記載の不焼成塩基性れんがの製造方法。
  3. 前記熱処理が加温養生を含む、請求項1又は請求項2に記載の不焼成塩基性れんがの製造方法。
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