JP7366342B2 - 電動車両の下部車体構造 - Google Patents
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Description
通常、バッテリユニットは、リチウムイオン等のバッテリセルの集合体からなる複数のバッテリモジュールと、バッテリユニットの骨格を形成するバッテリフレームと、複数のバッテリモジュールを収容するアッパカバー及びロアカバーと、これらを車体に支持する支持部材等によって構成されている。
しかし、特許文献1の技術では、第1アウトリガの衝撃吸収(Energy Absorption:EA)性能以上の衝撃エネルギがサイドシルに入力した場合、第1アウトリガの許容量以上の衝撃エネルギによってフロアフレームの車幅内側方向への移動が懸念される。
即ち、側面衝突時の衝撃エネルギが大きい場合、バッテリユニットの安全性を確保することは容易ではない。
この構成によれば、段落[0010]、段落[0012]と同様の作用、効果を奏する上、ガセット部材によって吸収されない衝撃エネルギを、バッテリフレームに加え、車体側の第1,第2クロスメンバ部材に分散することができる。
この構成によれば、サイドシルに入力した衝撃エネルギを車幅方向に延びる複数のロードパスを用いて効率的に分散させることができる。
本実施例1に係る車両Vは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関(図示略)と車両駆動用の電動機(モータジェネレータ)(図示略)とを駆動源としたハイブリッド自動車である。
以下、図において、矢印F方向を車体前後方向前方とし、矢印L方向を車幅方向左方とし、矢印U方向を車体上下方向上方として説明する。また、この車両Vは、左右対称の構造であるため、以下、特段の説明がない限り、主に右側部材及び右側部分について説明する。
図4,図5に示すように、右側のサイドシル1は、右側壁部を構成するアウタパネル11と、左側壁部を構成するインナパネル12とを備え、両パネル11,12が協働して前後に延びる略矩形状の閉断面を形成している。このサイドシル1の前端部分には、上下に延びるヒンジピラー8が連結され、後端部分には、上下に延びるリヤピラー9が連結されている(図1,図3,図6参照)。尚、この車両Vは、フロントドアが前端部分に形成されたヒンジ中心に開閉され、リヤドアが後端部分に形成されたヒンジ中心に開閉される、所謂観音開きタイプのドア構造であり、センターピラーは省略されている。
第1インナレイン14は、例えば、板厚2.0mmの超高張力鋼板により断面略L字状に構成され、インナパネル12の前端から中間部に亙って形成されている。
第2インナレイン15a~15cは、前後方向に直交するように夫々形成されている。
これらの第2インナレイン15a~15cは、内側壁部12aと上壁部12bと下壁部12cとに夫々接合され、サイドシル1の閉断面を前後に仕切る節部材を構成している。
フロアパネル2は、1対のサイドシル1の間に掛け渡されるように形成されている。
このフロアパネル2の左右両端部分は、1対のサイドシル1の内側壁部12aに夫々接合され、車両Vの車室床面を構成している。フロアパネル2の後端部には、後方上り傾斜状のキックアップ部を形成するリヤフロアパネルが連なっている。
フロアフレーム3は、フロアパネル2の下面と協働して前後に延びる断面矩形状の閉断面を形成している。
図1,図6に示すように、第1クロスメンバ4は、1対のサイドシル1の前側部分の間を連結すると共に、フロアパネル2の上面と協働して左右に延びる断面矩形状の閉断面を形成している。第1クロスメンバ4は、第1中間部4aと、この第1中間部4aの左右両端部から車幅方向外側に夫々延びる左右1対の第1側部4bとを備えている。
1対の第1側部4bは、第1中間部4aよりも靭性が低い、例えば、板厚1.0mmの熱間圧延鋼板により構成され、断面略ハット状に夫々形成されている。これら第1側部4bの下端部に形成されたフランジ部は、フロアパネル2の上面に溶接にて接合され、車幅方向外側端部に形成されたフランジ部は、サイドシル1の内側壁部12aに溶接にて接合されている。
1対の第2側部5bは、第2中間部5aよりも靭性が低い、例えば、板厚2.3mmの熱間圧延鋼板により構成され、断面略ハット状に夫々形成されている。これら第2側部5bの下端部に形成されたフランジ部は、フロアパネル2の上面に溶接にて接合され、車幅方向外側端部に形成されたフランジ部は、サイドシル1の内側壁部12aに溶接にて接合されている。
バッテリユニット6は、複数のバッテリモジュール21を直列接続した高電圧バッテリを収容した状態でフロアパネル2の下方空間にレイアウトされている。それ故、バッテリユニット6は、耐振性及び耐水性を確保するように構成されている。
図5,図7に示すように、車両駆動用電動機に電力を供給するバッテリモジュール21は、規格電圧を有する直方体形状の複数のバッテリセルを積層状に整列させた直方体形状のバッテリ集合体である。バッテリセルは、例えば、2次電池の一種であるリチウムイオンバッテリである。
これらフレーム部材31~34は、例えば、板厚2.0mmの超高張力鋼板により構成されている。
図4,図5に示すように、右側の第2フレーム部材32は、略L字状のロアパネル32aと、略W字状のアッパパネル32bとを有している。
ロアパネル32aとアッパパネル32bは、左方に向けて水平状に延びる左側(車幅方向内側)フランジ同士を接合すると共に上方に向けて鉛直状に延びる右側(車幅方向外側)フランジ同士を接合することにより前後に延びる略扁平形状の閉断面Cを構成している。閉断面Cは、上下寸法よりも左右寸法が大きい略扁平形状に形成され、閉断面Cの上端部とフロアフレーム3の下端部とは所定間隔離隔するように構成されている。
前側に配置された3つのボルトb1は、第2フレーム部材32(閉断面C)を下側から挿通し、フロアフレーム3の閉断面内に固定されたナット部材n1に締結されている。
ロアパネル32aの下壁部に形成されたボルト穴の周辺部分には、部分的に上方に向けて凹入するボルトb1の着座面が形成されている。後端に配置されたボルトb1は、第2フレーム部材32の後側側壁部に接合されて上方に延びるブラケット24を下側から挿通し、フロアフレーム3の閉断面内に固定されたナット部材(図示略)に締結されている。
前側第1フレーム部材31は、2つのボルトb2を介して車体前部に締結固定されている。これらのボルトb2は、前側第1フレーム部材31を下側から挿通し、車体前部に固定されたナット部材(図示略)に夫々締結されている。
アッパカバー23は、その外縁部分が、金属製底板22の外縁部分に重なり合うように配設され、締結部材を用いて内部空間が密封されている。
この第3フレーム部材33は、下方に突出した断面略ハット状に形成され、金属製底板22の下面と協働して左右に延びる断面矩形状の閉断面を形成している。
図4に示すように、第3フレーム部材33の左右両端部分は、ロアパネル32aとアッパパネル32bの車幅方向内側フランジに夫々挟持され、前側から2番目のボルトb1が挿通されることにより固定されている。
第4フレーム部材34の左右両端部分は、第3フレーム部材33と同様に、ロアパネル32aとアッパパネル32bの車幅方向内側フランジに夫々挟持され、前側から3番目のボルトb1が挿通されることにより固定されている。
1対のガセット7は、例えば、板厚2.0mmの高張力鋼板により夫々構成されている。
図2に示すように、1対のガセット7は、第3フレーム部材33の車幅方向外側端部に対応した前後方向位置を含む位置に夫々配置されている。
具体的には、ガセット7の前端部が、第1クロスメンバ4の前壁部の車幅方向外側端部近傍に対応した前後方向位置に配置され、後端部が、第2クロスメンバ5の後壁部の車幅方向外側端部近傍に対応した前後方向位置に配置されている。
ガセット7の前後両端の間の領域に対応した前後領域には、サイドシル1の閉断面を前後に仕切る第2インナレイン15a,15bが配設されている(図6参照)。
これらボルトb4は、サイドシル1の下端部に相当する下壁部12cに固着されたナット部材n4に締結されている。また、フランジ部7cは、第2フレーム部材32の右側(車幅方向外側)端部に相当するロアパネル32aの縦壁部に溶接にて接合されている。
本体部7aには、複数(例えば、7つ)の凸状ビード部7dが形成されている。
図8に示すように、ビード部7dは、本体部7aとフランジ部7bとフランジ部7cに夫々連なり、本体部7aの基準面から右方(外面方向)に突出するように構成されている。
各ビード部7dは、フランジ部7bの隣り合うボルト穴、所謂隣り合う締結部の間に形成されている。
これにより、フロアフレーム3の車幅内側方向への移動を抑制し、1対のフロアフレーム3の間に配設されたバッテリユニット6の安全性を確保している。
実施例1に係る下部車体構造によれば、1対のフロアフレーム3の間に配設されたバッテリユニット6のバッテリフレーム30が、少なくとも、車幅方向に延びる前後1対の第1フレーム部材31と、1対の第1フレーム部材31を連結すると共に前後方向に延びる左右1対の第2フレーム部材32とを有するため、1対のフロアフレーム3の間にバッテリユニット6を強固に配設することができる。
サイドシル1の車幅方向内側端部に相当するインナパネル12と第2フレーム部材32の車幅方向外側端部に相当するロアパネル32aの縦壁部とを連結するガセット7を設けたため、ガセット7のEA性能未満の衝撃エネルギが入力した場合、バッテリユニット6に影響を与えることなくサイドシル1とフロアフレーム3の間における塑性変形で衝撃エネルギを吸収することができる。また、サイドシル1とバッテリフレーム30とがガセット7を介して他の部材を介することなく直接的に連結されているため、ガセット7のEA性能以上の衝撃エネルギが入力した場合、ガセット7によって吸収されない衝撃エネルギをバッテリフレーム30を介して分散することができ、フロアフレーム3の車幅内側方向への移動を抑制することによりバッテリユニット6の損傷を回避することができる。
これにより、ガセット7によって吸収されない衝撃エネルギを、バッテリフレーム30に加え、車体側の第1,第2クロスメンバ4,5に分散することができる。
1〕前記実施形態においては、バッテリユニット6を1対のフロアフレーム3の間に配置した例として、1対のフロアフレーム3の下方に1対の第2フレーム部材32を配置した例を説明したが、少なくとも、主要部であるバッテリモジュール21が平面視にて1対のフロアフレーム3の間に配置されれば良く、バッテリユニット6の大部分が1対のフロアフレーム3の間に配置された構造を含むものである。
例えば、ガセット7を起点としたロードパスのうち第2フレーム部材32に向かうロードパスを伝搬する衝撃エネルギが他のロードパスを伝搬する衝撃エネルギよりも大きい場合、ガセット7が部分的にフロアパネル2やフロアフレーム3に接続される構造であっても良い。
2 フロアパネル
3 フロアフレーム
4 第1クロスメンバ
5 第2クロスメンバ
6 バッテリユニット
7 ガセット
7d ビード部
15a,15b 第2インナレイン
21 バッテリモジュール
30 バッテリフレーム
31 第1フレーム部材
32 第2フレーム部材
V 車両
Claims (3)
- 車体前後方向に延びる左右1対のサイドシルと、これら1対のサイドシル間に掛け渡されたフロアパネルと、前記1対のサイドシル間で且つ前記フロアパネルの下側で車体前後方向に延びる左右1対のフロアフレームと、バッテリモジュールを支持するバッテリフレームを含むバッテリユニットとを備え、前記1対のフロアフレームの間に前記バッテリユニットが配設された電動車両の下部車体構造において、
前記バッテリフレームが、少なくとも、車幅方向に延びる前後1対の第1フレーム部材と、前記1対の第1フレーム部材を連結すると共に車体前後方向に延びる左右1対の第2フレーム部材とを有し、
前記サイドシルの車幅方向内側端部と第2フレーム部材の車幅方向外側端部とを連結するガセット部材を設け、
前記バッテリフレームが、前記1対の第1フレーム部材の間において車幅方向に延びると共に前記1対の第2フレーム部材を連結する第3フレーム部材を有し、
前記ガセット部材が、前記第3フレーム部材の車幅方向外側端部に対応した車体前後方向位置を含む位置に配置され、
前記ガセット部材は、車体前後方向に並ぶ複数の締結部において前記サイドシルに締結され、前記隣り合う締結部の間において外面側に突出した凸状ビード部が形成されたことを特徴とする電動車両の下部車体構造。 - 車体前後方向に延びる左右1対のサイドシルと、これら1対のサイドシル間に掛け渡されたフロアパネルと、前記1対のサイドシル間で且つ前記フロアパネルの下側で車体前後方向に延びる左右1対のフロアフレームと、バッテリモジュールを支持するバッテリフレームを含むバッテリユニットとを備え、前記1対のフロアフレームの間に前記バッテリユニットが配設された電動車両の下部車体構造において、
前記バッテリフレームが、少なくとも、車幅方向に延びる前後1対の第1フレーム部材と、前記1対の第1フレーム部材を連結すると共に車体前後方向に延びる左右1対の第2フレーム部材とを有し、
前記サイドシルの車幅方向内側端部と第2フレーム部材の車幅方向外側端部とを連結するガセット部材を設け、
前記バッテリフレームが、前記1対の第1フレーム部材の間において車幅方向に延びると共に前記1対の第2フレーム部材を連結する第3フレーム部材を有し、
前記ガセット部材が、前記第3フレーム部材の車幅方向外側端部に対応した車体前後方向位置を含む位置に配置され、
前記フロアパネルの上面にフロアパネルと協働して車幅方向に延びる閉断面を形成すると共に前記1対のサイドシル間を連結する第1クロスメンバ部材と、
前記第1クロスメンバ部材の後方において前記フロアパネルの上面にフロアパネルと協働して車幅方向に延びる閉断面を形成すると共に前記1対のサイドシル間を連結する第2クロスメンバ部材とを有し、
前記ガセット部材は、前端部が前記第1クロスメンバ部材の車幅方向外側端部に対応した位置に配設されると共に、後端部が前記第2クロスメンバ部材の車幅方向外側端部に対応した位置に配設され、
前記1対のサイドシルは、車体前後方向に延びる閉断面を夫々構成すると共に前記ガセット部材の前後両端部の間の領域に対応した車体前後方向領域に前記閉断面を前後に仕切る節部材を夫々有することを特徴とする電動車両の下部車体構造。 - 前記第3フレーム部材は、前記第1,第2クロスメンバ部材の間の車体前後方向位置に配設されたことを特徴とする請求項2に記載の電動車両の下部車体構造。
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