JP7365228B2 - 液体吐出具 - Google Patents
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Description
例えば、筆記具では、特許文献1(特開2000-335173号公報)のように、インキ収容管の後方に加圧機構を設け、ノック体の押圧操作に連動させてインキタンク内のインキを加圧できる構造がある。この様な加圧機構を設けた筆記具では、ペン先からのインキの流出量を多くし、筆跡を太くあるいは濃くすることも可能である。
また、インキを収容してあるレフィル(液体収容管)の後方空間の空気に対してのみ、加圧機構による圧縮が行える構造であることから、レフィル内のインキ(液体)が未使用でレフィルの後方空間の空気量が少ない時の圧縮力に比べて、インキが減ってレフィルの後方空間の空気が多くなった時の圧縮力が小さくなるため、結果、レフィルの後方空間の空気量が少なく、空気が圧縮され易いボールペンの使用開始時にはインキが多く吐出され、インキが消費されレフィルの後方空間の空気が多くなり、空気が圧縮され難くなった時にはインキの吐出量が減少することになり、インキの残量に当該インキの吐出量が影響を受け易い構造である。
「1.筒状の吐出具本体と、前記吐出具本体の前方及び後方に着脱可能で一端が開口し他端が閉塞するキャップとを具備し、
前記吐出具本体の前方に設けた先端チップより該吐出具本体の内部に収容した液体を吐出させる液体吐出具であって、
前記吐出具本体の内方に、前記液体を収容する液体収容管を有し、
前記液体収容管の後方部に、該液体収容管に収容された液体の後方に位置する第一空間部を有し、
前記吐出具本体と前記液体収容管との間に、前記第一空間部と連通する第二空間部を有し、
前記キャップの開口端側の内周面に、前記吐出具本体の外周面を摺接する円環状の凸部を有し、
前記吐出具本体の外周面又は前記キャップの内周面にキー突起を有し、
前記キャップの内周面又は前記吐出具本体の外周面に、前記キー突起に係合する軸心方向に沿って異なる長さで該キャップの内周面又は該吐出具本体の外周面の円周上に間隔を設けて形成された複数のキー溝を有し、
前記吐出具本体における、前記液体収容管の後端部より前方位置、且つ前記キャップを前記吐出具本体の後方に装着した際において該キャップの円環状の凸部より後方位置に、前記第二空間部と連通する孔部を有し、
前記キー突起を前記複数のキー溝のいずれかに合わせて前記キャップを前記吐出具本体の後方に装着する際、前記キー突起が前記キー溝を摺動しながら該キー溝の軸心方向における段部に当接するまで前進され、該キャップの円環状の凸部が該吐出具本体の外周面を摺接しながら前進することにより、前記液体が、前記第一空間部と前記第二空間部とで構成される密閉空間内の圧縮された空気を介して加圧される構造の液体吐出具。
2.前記1項に記載の液体吐出具であり、
前記キャップを前記吐出具本体の後方に装着する際に、該キャップと該吐出具本体との間に、前記孔部を介して前記第二空間部と連通する気体収容部が形成され、
前記第一空間部と前記第二空間部と前記気体収容部とで前記密閉空間が構成される構造の液体吐出具。
3.前記1項又は2項に記載の液体吐出具であり、
前記キー突起と前記複数のキー溝との係合が、前記密閉空間の圧縮より前に開始される構造の液体吐出具。
4.前記1項ないし3項のいずれか1項に記載の液体吐出具であり、
前記キャップを前記吐出具本体の後方に装着する際に、前記吐出具本体の少なくとも外周面が軸径方向に変位する構造の液体吐出具。
5.前記1項ないし4項のいずれか1項に記載の液体吐出具であり、
前記吐出具本体が先窄み形状の後方部を有し、
前記後方部に前記孔部が形成され、
前記キャップを前記吐出具本体の後方に装着する際に、該キャップの円環状の凸部が該吐出具本体の外周面を圧接して内方へ変形させながら前進する構造の液体吐出具。
6.前記1項ないし5項のいずれか1項に記載の液体吐出具であり、
前記キャップの他端が平坦面状又は円弧面状である構造の液体吐出具。」である。
したがって、キャップを液体塗布具の後方に装着し、キャップの開口端側の円環状の凸部を吐出具本体の外周面に摺接させながら、キャップを前進させる量を調整することにより、空気を圧縮する力が変化し、例えば、キャップを少しだけ前進させて液体を弱く加圧した場合には、ペン先からのインキの流出量が少し多くなり、筆跡を少し太くしたり濃くすることができ、キャップを大きく前進させて強く加圧した場合には、ペン先からのインキの流出量が多くなり、筆跡を太くしたり濃くしたりすることができる。
尚、キャップを吐出具本体の後方に装着する際に、キャップの開口端側の円環状の凸部が吐出具本体の外周面に当接した時の状態で、それ以上、キャップを前進させない場合には、液体を加圧せずに大気圧での筆記を行うことが可能となる。
つまり本発明の液体吐出具は、キャップを吐出具本体の後方に装着することで、液体が加圧できる構造であり、使用者の目的に応じて、液体への加圧力を調整して、巾広い用途に用いることができ、キー突起を複数のキー溝のいずれかに合わせてキャップを吐出具本体の後方に装着することで、密閉空間の空気を圧縮する量を一定にし易くすることができる。
さらに、構造が簡単であることから、故障リスクが少なく、低コストの液体吐出具を提供することが可能となる。
また、吐出具本体における液体収容管の後端部より前方位置に、第二空間部と外部とを繋げる孔部を設けることから、液体が液体収容管の後端部から漏出した場合でも、液体は吐出具本体の後部内側の方へ流れ易く、液体が吐出具本体の外部には漏出し難いものとなる。
さらに、キャップを吐出具本体の後方に装着する際に、キャップと吐出具本体との間に、孔部を介して第二空間部と連通する気体収容部が形成され、第一空間部と第二空間部と気体収容部とで密閉空間内が構成される構造とすることで、より大きな容積の空気を加圧することができ、液体収容管内の液体が減少して液体収容管内の空気が増加しても、より加圧力の変化が生じ難くなり、液体の吐出量を安定させることができる。
この場合、吐出具本体の材質は、吐出具本体全体又はその表面のみを、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ABS樹脂などの軟質樹脂で成形したり、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどで成形することができる。また、吐出具本体を薄い肉厚で形成することでも、キャップの円環状の凸部で吐出具本体の少なくとも外周面を押圧して変形させることもできる。
また、キャップの材質は、キャップの円環状の凸部で吐出具本体を軸径方向に変位させるために、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、AS樹脂などの硬質樹脂で成形するとよい。
尚、吐出具本体の後方部を先窄み形状にする場合には、その側面を表面に凹凸がない緩やかな傾斜面で構成したり、緩やかな円弧状面で構成するとよい。また、先窄みの外径の変化量は、空気の圧縮を開始する地点から、圧縮を終了する地点までの外径差が0.05mm~1mmとなるようにすれば、吐出具本体の後方にキャップを装着した際にも、吐出具本体からキャップが滑り落ち難いものとなる。
また、キャップの開口端側に設ける円環状の凸部は、キャップと一体で成形してもよく、あるいはキャップの内面にOリング等を固設して設けてもよい。
また、熱変色材料を含有したマイクロカプセル顔料を着色剤として用いた熱変色性インキは、カプセル内に色材を含有することから、一般的に筆跡濃度を高くし難い傾向にあるが、本発明構造の液体吐出具を用いることで、加圧によるインキ流出量の増加で筆跡濃度を高くすることが可能となる。
尚、マイクロカプセル顔料を含有した熱変色性インキの筆跡濃度を高くする方法としては、着色剤となるマイクロカプセル顔料の量を多くする場合や、マイクロカプセル顔料の粒径を大きくする場合もあるが、前記マイクロカプセル顔料の量を多くした場合にはインキの粘度が高くなって流出し難くなり、前記マイクロカプセル顔料の粒径を大きくした場合には当該顔料がインキ流路を通り難くなり、インキの流出がし難くなる虞がある。しかしながらこの様なインキでも、本発明構造の液体吐出具は、インキを加圧することで強制的に当該インキを吐出させることができることから使用可能である。
また、液中に酸化チタンや光輝性顔料などの比重が比較的大きい固形分を含み、その固形分が液中で沈降しないように静置時の粘度を高くしたインキでも、本発明構造の液体吐出具は、前記マイクロカプセル顔料を含有した熱変色性インキと同様に、インキを加圧することで強制的に当該インキを吐出させることができる。
また、修正液や液体糊のように、乾燥した液体が先端チップに付着してしまうような場合でも、液体を加圧して吐出し易くすることができる。
この様に本発明の液体吐出具は様々な液体の吐出具として適した構造である。
本実施形態においては、ペン先がある方を前方と表現し、その反対側を後方と表現する。説明を分かり易くするために、図面中の同様の部材、同様の部分については同じ符号を付してある。
図1に示すように、本実施形態のボールペン1(液体吐出具)は、軸体2(吐出具本体)を、前軸3と該前軸3に螺合した後軸4とで構成してある。軸体3の内方には、ボールペンレフィル5を配設してあり、ボールペンレフィル5には、インキ6(液体)を収容してあり、インキ6の後方にはグリース状のインキ追従体7を収容してある。インキ追従体7は、インキ6の後方への流出を防止し、インキ6の減少に伴い前方へ移動する。
ボールペンレフィル5は、インキタンク5a(液体収容管)の前方に配したボールペンチップ5b(先端チップ)を、前軸3の前端開口3aから突出させており、前軸3の前方内面に形成された縮径部3bと後軸4の後方内面に形成されたリブ4aとで挟持され、軸体2に固定されている。
軸体2には、後軸4におけるインキタンク5aの後端部5cより10mm前方位置に中心がある直径1mmの丸孔状の孔部4dを設けてある。
インキタンク5aの後方部には、インキタンク5aに収容されたインキ6及びインキ追従体7の後方に位置する第一空間部K1を有し、軸体2とインキタンク5aとの間に、第一空間部K1と連通する第二空間部K2を有している。前記孔部4dは、第二空間部K2と外部とを連通させるが、インキ6がインキタンク5aの後端部5cから漏出した場合でも、孔部4dがインキタンク5aの後端部5cより前方に位置していることから、インキ6は、後軸4の後部の内側の方へ流れ易く、筒体2の外部へは漏出し難い構造である。
本実施形態では、後軸4が軟質樹脂であるポリプロピレンで成形され、キャップ8が硬質樹脂であるポリカーボネートで成形されている。また、後軸4及びキャップ8は共に、透明な樹脂で成形されており内部が視認できる。
図2に示すように、本実施形態のボールペン1は、キャップ8を軸体2の後方に装着する際に、キャップ8の円環状の凸部8bが後軸4の外周面に当接することで、後軸4からキャップ8が脱落しないようになる。
図2では、キャップ8のキー突起8kが、軸体2のキー溝41mに位置合わせされるようにして、キャップ8の開口端8aに軸体2の後方部を挿通させている。
図2の状態から図3の状態へと、キャップ8を前進させると、空気の圧縮が行われる前に、キャップ8のキー突起8kが軸体2のキー溝41mに係合して、軸体2に対するキャップ8の位置決めがされる。
また、前述の通り、後軸4が軟らかい樹脂で形成されていることから、軸体4の後方にキャップ8を装着させる際に、キャップ8の円環状の凸部8bが、後軸4の外周面を圧接して内方へ変形させながら嵌合されるように前進するので、密閉空間MKの気密性が高くなると共に、キャップ8が前進して圧縮された密閉空間MKの空気の反発力を強く受ける場合にも、キャップ8と軸体2との嵌合力も増加していることから、該キャップ8が軸体2から脱落することなく、空気の圧縮を確実に行うことができる。
しかしながら本実施形態は、前述の通り、キャップ8を軸体2に装着する際に圧縮される空気が、第一空間部K1と第二空間部K2と気体収容部K3とで構成された密閉空間MKの内部の空気全体であることから、インキ6の残量により容積が変化する第一空間部K1の影響を受け難いようになっている。
具体的には、インキタンク5a内のインキ6が未使用である図3の状態では、第一空間部K1の容積が100mm3であり、図示しないがインキ6が僅かとなった状態では、第一空間部K1の容積が1400mm3となり、容積変化の比率が大きい。これに対し、インキ6が未使用である図3の状態では、密閉空間MKの容積は2100mm3であり、図示しないがインキ6が僅かとなった状態では、密閉空間MKの容積は3400mm3となり、容積変化の比率は小さい。
実際に、大気圧を1000hPaとした場合、図3に示す本実施形態のボールペン1は、インキタンク5a内のインキ6が未使用な状態で、キャップ8を図4に示す位置まで軸体2の後方に装着した際には、密閉空間MK内の空気の気圧を1300hPaに加圧することができ、インキタンク5a内のインキ6が僅かな状態でキャップ8を図4に示す位置まで軸体2の後方に装着した際には、密閉空間MK内の空気の気圧を1200hPaに加圧することができ、加圧量の変化が少ない。
図5では、キャップ8のキー突起8kが軸体2のキー溝42mに係合して、軸体2に対するキャップ8の位置決めがされている。また、図6では、図5の状態、つまり円環状の凸部8bが後軸4の孔部4dの前端を越えた状態から、キー突起8kがキー溝42mの前方段部42mdに当接するまで前進され、キー突起8kが前方段部42mdに当接することで前進が規制されている。この状態で、キャップ8は、L2である2mmだけ前進して、密閉空間MK内の空気が圧縮され、気圧が1100hPaに加圧される。
また、図1に示すように、軸体2からキャップ8が外された状態、あるいは、図2に示すように、軸体2の後方にキャップ8を緩く装着した状態では、インキ6が加圧されておらず、大気圧1000hPaで筆記を行うことができる。
2…軸体(吐出具本体)、
3…前軸、
3a…前端開口、3b…縮径部、3c…嵌合部、3d…圧入部、3e…突起部、
4…後軸、4a…リブ、4b…嵌合受部、4c…圧入受部、4d…孔部、
41m…キー溝、41md…前方段部、
42m…キー溝、42md…前方段部、
5…ボールペンレフィル、5a…インキタンク(液体収容管)、5b…ボールペンチップ(先端チップ)、5c…後端部、
6…インキ(液体)、
7…インキ追従体、
8…キャップ、8a…開口端、8b…円環状の凸部、8c…内キャップ、8d…端面、
8k…キー突起、
K1…第一空間部、K2…第二空間部、K3…気体収容部、MK…密閉空間。
Claims (6)
- 筒状の吐出具本体と、前記吐出具本体の前方及び後方に着脱可能で一端が開口し他端が閉塞するキャップとを具備し、
前記吐出具本体の前方に設けた先端チップより該吐出具本体の内部に収容した液体を吐出させる液体吐出具であって、
前記吐出具本体の内方に、前記液体を収容する液体収容管を有し、
前記液体収容管の後方部に、該液体収容管に収容された液体の後方に位置する第一空間部を有し、
前記吐出具本体と前記液体収容管との間に、前記第一空間部と連通する第二空間部を有し、
前記キャップの開口端側の内周面に、前記吐出具本体の外周面を摺接する円環状の凸部を有し、
前記吐出具本体の外周面又は前記キャップの内周面にキー突起を有し、
前記キャップの内周面又は前記吐出具本体の外周面に、前記キー突起に係合する軸心方向に沿って異なる長さで該キャップの内周面又は該吐出具本体の外周面の円周上に間隔を設けて形成された複数のキー溝を有し、
前記吐出具本体における、前記液体収容管の後端部より前方位置、且つ前記キャップを前記吐出具本体の後方に装着した際において該キャップの円環状の凸部より後方位置に、前記第二空間部と連通する孔部を有し、
前記キー突起を前記複数のキー溝のいずれかに合わせて前記キャップを前記吐出具本体の後方に装着する際、前記キー突起が前記キー溝を摺動しながら該キー溝の軸心方向における段部に当接するまで前進され、該キャップの円環状の凸部が該吐出具本体の外周面を摺接しながら前進することにより、前記液体が、前記第一空間部と前記第二空間部とで構成される密閉空間内の圧縮された空気を介して加圧される構造の液体吐出具。
- 請求項1に記載の液体吐出具であり、
前記キャップを前記吐出具本体の後方に装着する際に、該キャップと該吐出具本体との間に、前記孔部を介して前記第二空間部と連通する気体収容部が形成され、
前記第一空間部と前記第二空間部と前記気体収容部とで前記密閉空間が構成される構造の液体吐出具。 - 請求項1又は2に記載の液体吐出具であり、
前記キー突起と前記複数のキー溝との係合が、前記密閉空間の圧縮より前に開始される構造の液体吐出具。 - 請求項1項ないし3のいずれか1項に記載の液体吐出具であり、
前記キャップを前記吐出具本体の後方に装着する際に、前記吐出具本体の少なくとも外周面が軸径方向に変位する構造の液体吐出具。 - 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液体吐出具であり、
前記吐出具本体が先窄み形状の後方部を有し、
前記後方部に前記孔部が形成され、
前記キャップを前記吐出具本体の後方に装着する際に、該キャップの円環状の凸部が該吐出具本体の外周面を圧接して内方へ変形させながら前進する構造の液体吐出具。 - 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体吐出具であり、
前記キャップの他端が平坦面状又は円弧面状である構造の液体吐出具。
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