JP7364817B1 - ビニル重合体製造装置およびビニル重合体の製造方法 - Google Patents

ビニル重合体製造装置およびビニル重合体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7364817B1
JP7364817B1 JP2023080294A JP2023080294A JP7364817B1 JP 7364817 B1 JP7364817 B1 JP 7364817B1 JP 2023080294 A JP2023080294 A JP 2023080294A JP 2023080294 A JP2023080294 A JP 2023080294A JP 7364817 B1 JP7364817 B1 JP 7364817B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vinyl monomer
raw material
section
bio
supply section
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2023080294A
Other languages
English (en)
Inventor
英則 角谷
陽一 安富
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2023080294A priority Critical patent/JP7364817B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7364817B1 publication Critical patent/JP7364817B1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】エネルギー消費を低減しつつ、低コストでビニル重合体を製造する。【解決手段】ビニル重合体製造装置1は、ビニル重合体組成物を得るための重合反応槽10と、非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部22と原料ビニルモノマー供給ポンプ24とを備える原料ビニルモノマー供給部20と、液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとを分離するための脱揮部30であって、ビニル重合体組成物導入口32とビニル重合体排出口34と第1の未反応ビニルモノマー排出口36および第2の未反応ビニルモノマー排出口38とを有する脱揮部と、不純物成分を分離して除去するための精製器40と、未反応ビニルモノマーを原料ビニルモノマー供給部に循環させる循環部50とを備え、原料ビニルモノマー供給部、重合反応槽、精製器、循環部、および第3の配管73からなる群から選ばれる少なくとも1つに再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が接続されている。【選択図】図1

Description

本発明は、ビニル重合体製造装置およびビニル重合体の製造方法に関し、より具体的にはマスバランス方式を採用したビニル重合体の製造に特に好適に適用できるビニル重合体製造装置およびビニル重合体の製造方法に関する。
いわゆるビニルモノマーに含まれる(メタ)アクリル酸エステルの代表的な例としては、(メタ)アクリル酸メチル(MMA)が挙げられる。(メタ)アクリル酸メチルを重合したビニル重合体であるポリ(メタ)アクリル酸メチル(PMMA)は透明性に優れており、さらには耐候性にも優れている。よって、ポリ(メタ)アクリル酸メチルは、自動車用部品、看板標識、表示装置等を構成する部材の材料として、広く用いられている。
このようなポリ(メタ)アクリル酸メチルを製造するにあたり、(メタ)アクリル酸メチルを主成分とするモノマー混合物を一基の完全混合型反応器を用い、かつ溶媒を用いることなく連続してバルク重合するに際して、任意のモノマー転化率に調整しつつ安定した運転を達成することを目的として、モノマー混合物中の溶存酸素を1ppm以下にした後、特定の半減期を有する開始剤を用いて、特定の消費動力で撹拌して、特定の温度及び滞留時間において特定のモノマー転化率で反応させる態様が知られている(特許文献1参照。)。
また、ポリ(メタ)アクリル酸メチルを製造するにあたり、未反応の(メタ)アクリル系単量体を自己重合しない状態で回収・再利用可能とすることを目的として、(A)メタクリル酸メチルを50質量%以上含有する(メタ)アクリル系単量体と、ラジカル重合開始剤と、連鎖移動剤とを含有する原料組成物とを重合釜に連続的に供給する工程と、(B)重合釜で、(メタ)アクリル系単量体の少なくとも一部を重合させて、(メタ)アクリル系単量体の少なくとも一部が重合した(メタ)アクリル系重合体を含む反応混合物とする工程と、(C)反応混合物を重合釜から連続的に抜き出し、メタクリル酸メチル二量体並びに未反応の(メタ)アクリル系単量体を含む揮発成分を分離除去する脱揮処理をして、(メタ)アクリル系重合体を得る工程とを有する(メタ)アクリル系重合体の製造方法において、さらに(D)分離除去された前記揮発成分を蒸留塔に導入し、揮発成分に含まれるメタクリル酸メチル二量体の少なくとも一部と、揮発成分に含まれる未反応の(メタ)アクリル系単量体の少なくとも一部とを含む回収成分を、回収成分におけるメタクリル酸メチル二量体の含有量が0.1~1.0質量%となる条件で回収する工程を実施する態様が知られている(特許文献2参照。)。
そして、近年の資源価格の高騰、さらには環境問題に対する意識の高まりに伴って、上記のとおりの種々の用途に用いられたポリ(メタ)アクリル酸メチルを含む製品(成形体)は回収されてリサイクル(再資源化)が図られている。
ポリ(メタ)アクリル酸メチルのリサイクルの方法としては、例えば、回収された成形体に対し、再度、成形工程を実施して新たな成形体を製造するマテリアルリサイクル、回収された成形体を熱処理して、ポリ(メタ)アクリル酸メチルを熱分解(解重合)することにより(メタ)アクリル酸メチルを回収し、回収された(メタ)アクリル酸メチル(再生MMAという場合がある。)を用いて新たな成形体を製造するケミカルリサイクル、および回収された成形体を燃料として燃焼させ、燃焼エネルギーを直接的に熱源として、さらには燃焼エネルギーを用いて発電して利用するサーマルリサイクルが挙げられる。
ポリ(メタ)アクリル酸メチルは、300℃程度の比較的低い温度で加熱することによって、(メタ)アクリル酸メチルを高収率で回収することができ、不純物の低減が可能であるため、ケミカルリサイクルによりリサイクルされることが好ましい。
また、例えば環境負荷低減の観点から、上記のようなケミカルリサイクルによる熱分解、またはバイオマス資源を原料として微生物による発酵を利用して、ビニルモノマーである(メタ)アクリル酸メチルを得る(再生する)方法、さらにはこのようにして得られた(再生された)ビニルモノマーである(メタ)アクリル酸メチル(再生/バイオ原料ビニルモノマーという場合がある。)と、従来、一般的に用いられている、例えば、化石燃料を原料として製造された化石燃料由来のビニルモノマー(バージンビニルモノマー)である(メタ)アクリル酸メチルであって上記再生/バイオ原料ビニルモノマーに該当しない(メタ)アクリル酸メチル(非再生/非バイオ原料ビニルモノマーという場合がある。)とを所定の割合で混合して、ビニル重合体であるポリ(メタ)アクリル酸メチルを製造する態様が知られている。
特開平3-111408号公報 特開2005-82687号公報
しかしながら、上記特許文献1および2にかかる技術、さらには再生/バイオ原料ビニルモノマーと非再生/非バイオ原料ビニルモノマーとを用いる従来のビニル重合体の製造方法によっては、ビニル重合体を製造する前に、再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマーそれぞれについて複雑な工程を必要とする精製工程などの実施が要求される場合があり、これらの実施には莫大なエネルギーを要することから、さらなるコストを負担する必要が生じる場合がある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を進めたところ、所定の構成を備えるビニル重合体製造装置および当該ビニル重合体製造装置を用いるビニル重合体の製造方法により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記〔1〕~〔14〕を提供する。
〔1〕 再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを含む原料ビニルモノマーを塊状重合または溶液重合して、ビニル重合体と、未反応ビニルモノマーとが混合したビニル重合体組成物を得るための重合反応槽と、
前記重合反応槽に前記ビニルモノマーを供給するための原料ビニルモノマー供給部であって、一端側が前記重合反応槽に接続されており、他端側が該原料ビニルモノマー供給部に接続されている第1の配管により前記重合反応槽に接続されており、前記非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを供給するための非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部と前記ビニルモノマーを前記重合反応槽に導出するための原料ビニルモノマー供給ポンプとを備える原料ビニルモノマー供給部と、
前記重合反応槽から導出された前記ビニル重合体組成物を脱揮して、液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとを分離するための脱揮部であって、一端側が前記重合反応槽に接続されており、他端側が該脱揮部に接続されている第2の配管により前記重合反応槽に接続されており、前記ビニル重合体組成物を導入するためのビニル重合体組成物導入口と前記ビニル重合体を排出するためのビニル重合体排出口と前記未反応ビニルモノマーを排出するための第1の未反応ビニルモノマー排出口および該第1の未反応ビニルモノマー排出口よりも下流側に配置されている第2の未反応ビニルモノマー排出口とを有する脱揮部と、
前記脱揮部から導出された前記未反応ビニルモノマーから不純物成分を分離して除去するための精製器であって、一端側が前記第1の未反応ビニルモノマー排出口に接続されており、他端側が該精製器に接続されている第3の配管により前記脱揮部に接続されており、一端側が前記第2の未反応ビニルモノマー排出口に接続されており、他端側が該精製器に接続されている第4の配管により前記脱揮部に接続されている精製器と、
前記精製器により前記不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを前記原料ビニルモノマー供給部に循環させる循環部であって、一端側が前記精製器に接続されており、他端側が前記原料ビニルモノマー供給部に接続されている第5の配管に設けられている循環部とを備え、
前記原料ビニルモノマー供給部、前記重合反応槽、前記精製器、前記循環部、および前記第3の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つに、再生/バイオ原料ビニルモノマーを供給するための再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が接続されている、ビニル重合体製造装置。
〔2〕 前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が、前記第3の配管に接続されている、〔1〕に記載のビニル重合体製造装置。
〔3〕 前記脱揮部が脱揮押出機である、〔1〕または〔2〕に記載のビニル重合体製造装置。
〔4〕 前記再生/バイオ原料ビニルモノマー投入部が接続された前記第3の配管のうちの当該再生/バイオ原料モノマー投入部よりも前記脱揮部の近傍の領域に設けられている第1の冷却部をさらに備え、
前記第1の冷却部が、気体状の未反応ビニルモノマーを液化するための冷却部である、〔2〕に記載のビニル重合体製造装置。
〔5〕 前記第5の配管のうちの前記原料ビニルモノマー供給部の近傍の領域に設けられているか、または前記原料ビニルモノマー供給部に接続されており、前記重合反応槽に供給される原料ビニルモノマーの組成を調節するための原料ビニルモノマー調合槽をさらに備える、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載のビニル重合体製造装置。
〔6〕 前記第4の配管のうちの前記精製器の近傍の領域に設けられており、前記脱揮部から導出された未反応ビニルモノマーを液体状の未反応ビニルモノマーとして貯留するための第1の貯留タンクと、
前記第5の配管のうちの前記原料モノマー供給部の近傍の領域に設けられており、前記精製器から導出された未反応ビニルモノマーを液体状の未反応ビニルモノマーとして貯留するための第2の貯留タンクと
をさらに備える、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載のビニル重合体製造装置。
〔7〕 前記原料ビニルモノマーおよび未反応ビニルモノマーが、(メタ)アクリル酸エステルである、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載のビニル重合体製造装置。
〔8〕 〔1〕~〔7〕のいずれか1つに記載のビニル重合体製造装置を用いるビニル重合体の製造方法において、
非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを供給するための非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部から供給された非再生/非バイオ原料ビニルモノマーと前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部から供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーとを含みうる原料ビニルモノマーを、前記原料ビニルモノマー供給部が備える前記原料ビニルモノマー供給ポンプにより、前記第1の配管を介して前記重合反応槽に導出する導出工程と、
前記原料ビニルモノマー供給部から供給された原料ビニルモノマーを、前記重合反応槽において塊状重合または溶液重合して、ビニル重合体と、未反応ビニルモノマーとが混合したビニル重合体組成物を得る調製工程と、
得られたビニル重合体組成物を前記重合反応槽から導出し、該ビニル重合体組成物を前記第2の配管を介して前記ビニル重合体組成物導入口から前記脱揮部に導入し、次いで前記脱揮部により脱揮して、液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとを分離する分離工程と、
前記脱揮部の第1の未反応ビニルモノマー排出口および前記第3の配管を介して、未反応ビニルモノマーを排出し、前記精製器に導入して精製することにより、未反応ビニルモノマーから不純物成分をさらに分離して除去する除去工程と、
不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを前記精製器から導出して、当該未反応ビニルモノマーを、前記循環部により前記第5の配管を介して前記原料ビニルモノマー供給部に循環させ、次いで前記導出工程を再度実施する循環工程と、
前記脱揮部の前記ビニル重合体排出口から、未反応ビニルモノマーが分離されたビニル重合体を排出してビニル重合体を得る排出工程と
を含む、ビニル重合体の製造方法。
〔9〕 前記原料ビニルモノマー供給部、前記重合反応槽、前記精製器、前記循環部、および前記第3の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つに、再生/バイオ原料ビニルモノマーを供給するための再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が接続されており、
前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が前記原料ビニルモノマー供給部に接続されている場合には、前記導出工程が、前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部から前記原料ビニルモノマー供給部に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われる工程であり、
前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が前記重合反応槽に接続されている場合には、前記調製工程が、前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部から前記重合反応槽に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われる工程であり、
前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が前記精製器に接続されている場合には、前記除去工程が、未反応ビニルモノマーに加えて、前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部から前記精製器に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われる工程であり、
前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が前記循環部に接続されている場合には、前記循環工程が、未反応ビニルモノマーに加えて、前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部から前記循環部に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われる工程であり、
前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が前記第3の配管に接続されている場合には、前記除去工程が、前記脱揮部から導出された未反応ビニルモノマーに加え、前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部から前記第3の配管に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われる工程である、〔8〕に記載のビニル重合体の製造方法。
〔10〕 前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が、前記第3の配管に接続されており、
前記除去工程が、前記脱揮部から導出された未反応ビニルモノマーに加え、前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部から前記第3の配管供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われる工程である、〔9〕に記載のビニル重合体の製造方法。
〔11〕 前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が接続された前記第3の配管のうちの当該再生/バイオ原料モノマー供給部よりも前記脱揮部の近傍の領域に設けられている第1の冷却部をさらに備えており、
前記分離工程の後であって前記除去工程の前に、前記脱揮部から導出された気体状の未反応ビニルモノマーを前記第1の冷却部に導入して、冷却することにより液化する冷却工程をさらに含む、〔10〕に記載のビニル重合体の製造方法。
〔12〕 前記第5の配管のうちの前記原料ビニルモノマー供給部の近傍の領域に設けられているか、または前記原料ビニルモノマー供給部に接続されている前記原料ビニルモノマー調合槽をさらに備え、
前記循環工程が、不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを前記精製器から導出した当該未反応ビニルモノマーを、前記循環部により前記原料ビニルモノマー調合槽に導入して原料ビニルモノマーの組成を調節した後に、組成が調節された原料ビニルモノマーを前記原料ビニルモノマー供給部に循環させ、次いで前記導出工程を再度実施する工程である、〔8〕~〔11〕のいずれか1つに記載のビニル重合体の製造方法。
〔13〕 前記第4の配管のうちの前記精製器の近傍の領域に設けられた第1の貯留タンクと、前記第5の配管のうちの前記原料ビニルモノマー供給部の近傍の領域に設けられた第2の貯留タンクとをさらに備え、
前記分離工程の後であって前記除去工程の前に、前記脱揮部から導出された未反応ビニルモノマーを液体状の未反応ビニルモノマーとして前記第1の貯留タンクに貯留する工程をさらに含み、
前記循環工程が、不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを前記精製器から導出して、前記第2の貯留タンクに液体状の未反応ビニルモノマーとして貯留し、次いで前記原料ビニルモノマー供給部に循環させ、次いで前記導出工程を再度実施する工程である、〔8〕~〔12〕のいずれか1つに記載のビニル重合体の製造方法。
〔14〕 前記原料ビニルモノマーおよび未反応ビニルモノマーが、(メタ)アクリル酸エステルである、〔8〕~〔13〕のいずれか1つに記載のビニル重合体の製造方法。
本発明のビニル重合体製造装置および当該ビニル重合体製造装置を用いるビニル重合体の製造方法によれば、簡便な工程で、エネルギー消費を低減しつつ、効率よく再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマーに由来するビニル重合体、特にマスバランス方式が適用されるビニル重合体を製造することができ、ビニル重合体の製造コストをより低減することができる。
図1は、第1実施形態のビニル重合体製造装置の構成例を示す概略的な図である。 図2は、第2実施形態のビニル重合体製造装置の構成例を示す概略的な図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。なお、各図面は、発明が理解できる程度に、構成要素の形状、大きさ及び配置が概略的に示されているに過ぎない。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、それぞれの構成要素は本発明の要旨から逸脱しない範囲で改変可能である。複数の図面において、同一の構成要素に用いられる符号については重複する説明を省略する場合がある。
<第1実施形態>
1.ビニル重合体製造装置
図1を参照して、第1実施形態のビニル重合体製造装置について説明する。図1は、第1実施形態のビニル重合体製造装置の構成例を示す概略的な図である。
図1に示されるように、第1実施形態のビニル重合体製造装置1は、
再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを含む原料ビニルモノマーを塊状重合または溶液重合して、ビニル重合体と、未反応ビニルモノマーとが混合したビニル重合体組成物を得るための重合反応槽10と、
前記重合反応槽10に前記ビニルモノマーを供給するための原料ビニルモノマー供給部20であって、一端側が前記重合反応槽10に接続されており、他端側が該原料ビニルモノマー供給部20に接続されている第1の配管に71より前記重合反応槽10に接続されており、前記非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを供給するための非再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部22と前記ビニルモノマーを前記重合反応槽10に導出するための原料ビニルモノマー供給ポンプ24とを備える原料ビニルモノマー供給部20と、
前記重合反応槽10から導出された前記ビニル重合体組成物を脱揮して、液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとを分離するための脱揮部30であって、一端側が前記重合反応槽10に接続されており、他端側が該脱揮部30に接続されている第2の配管72により前記重合反応槽10に接続されており、前記ビニル重合体組成物を導入するためのビニル重合体組成物導入口32と調製された前記ビニル重合体を排出するためのビニル重合体排出口34と前記未反応ビニルモノマーを排出するための第1の未反応ビニルモノマー排出口36および該第1の未反応ビニルモノマー排出口36よりも下流側に配置されている第2の未反応ビニルモノマー排出口38とを有する脱揮部30と、
前記脱揮部30から導出された前記未反応ビニルモノマーから不純物成分を分離して除去するための精製器40であって、一端側が前記第1の未反応ビニルモノマー排出口36に接続されており、他端側が該精製器40に接続されている第3の配管73により前記脱揮部30に接続されており、一端側が前記第2の未反応ビニルモノマー排出口38に接続されており、他端側が該精製器40に接続されている第4の配管74により前記脱揮部30に接続されている精製器40と、
前記精製器40により前記不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを前記原料ビニルモノマー供給部20に循環させる循環部であって、一端側が前記精製器40に接続されており、他端側が前記原料ビニルモノマー供給部20に接続されている第5の配管75に設けられている循環部50とを備え、
前記原料ビニルモノマー供給部20、前記重合反応槽10、前記精製器40、前記循環部50、前記第3の配管73、および前記第4の配管74からなる群から選ばれる少なくとも1つに、再生/バイオ原料ビニルモノマーを供給するための再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60が接続されている。
用語の説明
ここで、まず本明細書において用いられる用語について説明する。
「ビニルモノマー」とは、ビニル基を有するモノマー(単量体)である。ビニルモノマーの例としては、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸モノグリセロールなどのメタクリル酸エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸モノグリセロール等のアクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸又はこれらの酸無水物;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等の窒素含有モノマー;アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有単量体;スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン系単量体が挙げられる。
「ビニル重合体」とは、ビニル基を有する上記モノマーに由来するモノマー単位(残基)を含む重合体である。
「ビニル重合体組成物」とは、上記ビニル重合体を主成分として含み、さらにその他の成分を含みうる組成物である。
「(メタ)アクリル系重合体」とは、(メタ)アクリル基を有するモノマーに由来する単量体単位を有する重合体である。
「(メタ)アクリル」には、アクリル、メタクリルおよびこれらの組み合わせが含まれる。
「(メタ)アクリル系重合体組成物」は、(メタ)アクリル系重合体を主成分として含み、さらにその他の成分を含みうる組成物である。
「(メタ)アクリル酸エステル」には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸(2-エチルヘキシル)、(メタ)アクリル酸(tert-ブチルシクロヘキシル)、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸(2,2,2-トリフルオロエチル)が含まれる。
「(メタ)アクリル系重合体」とは、(メタ)アクリル基を有するモノマーに由来するモノマー単位を有する重合体である。
ここで、(メタ)アクリル系重合体としては、例えば、炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルに由来する単量体単位のみを含む(メタ)アクリル単独重合体;炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルに由来する単量体単位を、85質量%以上100質量%未満と、炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルに由来する単量体単位と共重合可能な他のビニル単量体に由来する単量体単位を0質量%を超えて15質量%以下とを有する(メタ)アクリル共重合体が挙げられる。
炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル」とは、例えばCH=C(CH)COOR(Rは炭素原子数1~4のアルキル基である。)で表される化合物である。
炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルと共重合可能なビニル単量体とは、炭素原子数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルと共重合可能であり、かつビニル基を有するモノマーである。
炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸sec-ブチル、およびメタクリル酸イソブチルが挙げられる。炭素原子数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルは、好ましくはメタクリル酸メチルである。
炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルと共重合可能なビニル単量体としては、例えば、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸モノグリセロールなどのメタクリル酸エステル(ただし、炭素原子数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルを除く。);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸モノグリセロール等のアクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸またはこれらの酸無水物;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等の窒素含有モノマー;アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有モノマー;スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン系モノマーが挙げられる。
ビニル重合体((メタ)アクリル系重合体)の製造方法としては、例えば、炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルと、必要に応じて、炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルと共重合可能なその他のビニルモノマーとを重合する、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、および乳化重合が挙げられる。
ビニル重合体組成物((メタ)アクリル系重合体組成物)が含みうる「その他の成分」には、例えば、所定の特性を有する成形体を製造するために添加されうる従来公知の任意好適な、離型剤、重合調節剤、重合開始剤、紫外線吸収剤および着色剤が挙げられる。
「スクラップ」とは、通常、ビニル重合体組成物を従来公知の任意好適な射出成形工程などにより種々の形状に成形して製造され、所定の用途に使用された後に廃材として回収された使用済みの成形体であって、本発明において原料として用いることができる形状、サイズに調整された成形体である。また、「スクラップ」は、成形時の不良品を回収し、本発明において原料として用いることができる形状、サイズに調整された成形体であってもよいし、成形時や研磨加工など後工程で発生する端材を回収し、原料として用いることができる形状、サイズに調整された成形体であってもよい。
「不純物成分」とは、例えば、低沸点不純物、高沸点不純物を含みうる不純物を主成分とする成分を意味している。
「低沸点不純物」とは、用いられるビニルモノマーより沸点の低い不純物を主成分とする不純物であって、例えば、ビニルモノマーが(メタ)アクリル酸メチルである場合には、大気圧における沸点の範囲が例えば50℃~100℃である化合物を含む不純物を意味している。低沸点不純物には、具体的には例えばメタノール、アクリル酸メチル、イソ酪酸メチルおよびプロピオン酸メチルが含まれる。
「高沸点不純物」とは、用いられるビニルモノマーより沸点の高い不純物を主成分とする不純物であって、大気圧における沸点の範囲が例えば102℃~450℃である化合物を含む不純物を意味しており、高沸点不純物には、例えば、染料、熱分解されたビニルモノマーの二量体、および熱分解されたビニル単量体の三量体が含まれうる。ここで、高沸点不純物は、主として、スクラップに含まれる着色成分に由来する成分であって、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが(メタ)アクリル酸メチルである場合には、具体的には高沸点不純物には、例えば、スチレン、トルエン、1-ブタノール、2-メチレン-5-メチルヘキサン二酸ジメチルおよび2-メトキシメチル-2,4-ジメチルグルタル酸ジメチルが含まれる。
以下、本実施形態のビニル重合体製造装置1を構成しうる構成要素について具体的に説明する。
(1)重合反応槽
重合反応槽10は、再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマー、さらには回収された未反応ビニルモノマーを含む原料ビニルモノマーを塊状重合または溶液重合して、ビニル重合体と、未反応ビニルモノマー、すなわち再生/バイオ原料ビニルモノマー、非再生/非バイオ原料ビニルモノマーおよび回収された未反応ビニルモノマーのいずれにも由来しうる未反応ビニルモノマーとが混合したビニル重合体組成物を調製するための機能部である。
重合反応槽10としては、例えば、図示しない攪拌部を備えた槽型反応装置または管型反応装置を用いることができ、この攪拌部は重合反応槽10に供給された原料ビニルモノマーおよび反応物を均一に混合することができる性能を有する機能部であることが好ましい。
また、重合反応槽10は、必要に応じて冷却、または加熱することにより重合反応槽10内の温度(重合温度)を所定の温度に調節することができる、図示しない温度調節部を備えていてもよい。この温度調節部による温度の調節範囲は、例えば、用いられる原料モノマーの種類、配合比、その他の成分等を勘案して決定された任意好適な範囲とすることができる。
この温度調節部による温度の調節は、従来公知の任意好適な方法によって行うことができる。重合反応槽10が備えうる温度調節部としては、従来公知の任意好適な構成を適用することができる。このような温度調節部としては、具体的には、内部に媒体(熱媒体、冷媒体)を流通させることができる、ジャケット、二重管熱交換器、電気ヒーターおよび保温材からなる群から選ばれる少なくとも1つを適用することができる。
(2)原料ビニルモノマー供給部
原料ビニルモノマー供給部20は、非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを重合反応槽10に供給することができる機能部である。なお、詳細は後述するが、原料ビニルモノマー供給部20は、再生/バイオ原料ビニルモノマー、さらには未反応ビニルモノマーをも非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを重合反応槽10に供給することができるように構成されている。
原料ビニルモノマー供給部20は、非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部22と当該非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部22に設けられている原料モノマー供給ポンプ24を含んでいる。非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部22と原料モノマー供給ポンプ24とは一体的に構成されていてもよい。
非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部22は、外部から導入された非再生/非バイオ原料ビニルモノマー(バージンビニルモノマー)を原料モノマー供給ポンプ24に供給することができる機能部である。非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部22としては、従来公知の任意好適なタンク、塔、槽、ベッセル等を含む機器を用いることができる。
原料モノマー供給ポンプ24は、非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部22から供給された非再生/非バイオ原料ビニルモノマー、さらには後述する再生/バイオ原料ビニルモノマー、さらには未反応ビニルモノマーを重合反応槽10に供給することができる機能部である。原料モノマー供給ポンプ24としては、ブランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの定量ポンプといった従来公知の任意好適な構成を採用することができる。
原料ビニルモノマー供給部20(原料モノマー供給ポンプ24)は、一端側が重合反応槽10に接続されており、他端側が原料ビニルモノマー供給部20に接続されている第1の配管71により重合反応槽10に接続されている。
第1の配管71としては、例えば、従来公知の任意好適なステンレス鋼製の配管を適用することができる。
ここで、本発明において用いられる原料ビニルモノマーおよび未反応ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルであることがより好ましい。
図1に示されるように、ビニル重合体製造装置1は、既に説明した原料モノマー供給ポンプ24に接続されている、重合開始剤供給部26および連鎖移動剤供給部28をさらに含みうる。
重合開始剤供給部26は、選択されたビニルモノマーに対応した従来公知の任意好適な重合開始剤を、既に説明した原料モノマー供給ポンプ24を介して、重合反応槽10に供給することができる機能部である。
重合開始剤供給部26としては、従来公知の任意好適なタンク、塔、槽、ベッセル、ブランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの定量ポンプ等を含む機器を用いることができる。
ビニル重合体製造装置1が重合開始剤供給部26を備える場合には、原料モノマー供給ポンプ24は、非再生/非バイオ原料ビニルモノマー、再生/バイオ原料ビニルモノマー、未反応ビニルモノマーに加えて、重合開始剤をも重合反応槽10に供給することができる機能部として構成される。
図示例では重合開始剤供給部26が原料モノマー供給ポンプ24に接続されている構成例を説明したが、重合開始剤供給部26は重合反応槽10に直接的に、重合反応槽10に重合開始剤を供給できるように、接続されていてもよい。
ビニル重合体製造装置1が原料モノマー供給ポンプ24に接続される重合開始剤供給部26を備える場合には、重合開始剤を供給するにあたり、ビニルモノマー(原料ビニルモノマーおよび未反応ビニルモノマー)の原料モノマー供給ポンプ24における重合を防止する観点から、ビニルモノマーが重合しない条件、すなわち例えば重合温度未満の温度条件となるように調整して供給することが好ましい。
連鎖移動剤供給部28は、選択されたビニルモノマーに対応した従来公知の任意好適な連鎖移動剤を、既に説明した原料モノマー供給ポンプ24を介して、重合反応槽10に供給することができる機能部である。
連鎖移動剤供給部28としては、従来公知の任意好適なタンク、塔、槽、ベッセル、ブランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの定量ポンプ等を含む機器を用いることができる。
ビニル重合体製造装置1が連鎖移動剤供給部28を備える場合には、原料モノマー供給ポンプ24は、非再生/非バイオ原料ビニルモノマー、再生/バイオ原料ビニルモノマー、未反応ビニルモノマーに加えて、連鎖移動剤をも重合反応槽10に供給することができる機能部として構成される。
図示例では連鎖移動剤供給部28が原料モノマー供給ポンプ24に接続されている構成例を説明したが、連鎖移動剤供給部28は重合反応槽10に直接的に、重合反応槽10に連鎖移動剤を供給できるように、接続されていてもよい。
(3)脱揮部
ビニル重合体製造装置1は、脱揮部30を含んでいる。脱揮部30は、既に説明した重合反応槽10から導出されたビニル重合体組成物を脱揮して、液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマー(他に不純物成分を含みうる。)とを分離する機能を有する機能部である。脱揮部30としては、上記の機能を有することを条件として、従来公知の任意好適な構成を有する装置等を適用することができる。
脱揮部30の例としては、脱揮押出機を含む押出機、薄膜式蒸発機、蒸発缶、多管式熱交換器、特殊熱交換器が挙げられる。
脱揮部30は、脱揮押出機であることが好ましい。脱揮部30である脱揮押出機の好適な例としては、二軸同方向回転押出機および二軸異方向回転押出機などの二軸押出機が挙げられる。脱揮押出機の具体例としては、日本製鋼所製のTEX(商品名)等のベントエスクトルーダ型の脱揮押出機が挙げられる。
以下、脱揮部30の構成例について、二軸押出機の構成を例にとって説明する。
二軸押出機である場合の脱揮部30は、重合反応槽10にて調製されたビニル重合体組成物を二軸押出機内における延在方向(略水平方向)に移動させつつ内部において加熱処理を行うためのシリンダと、シリンダの内部に配置されたスクリューとを備えている。
図1に示されるように、脱揮部30には、ビニル重合体組成物を脱揮部30の内部に供給するためのビニル重合体組成物導入口32が設けられている。ビニル重合体組成物導入口32は二軸押出機におけるフィーダーに相当する構成である。ビニル重合体組成物導入口32であるフィーダーは、通常、シリンダの上流側の端部近傍において、シリンダ内にビニル重合体組成物を供給できるように設けられている。
脱揮部30には、脱揮処理により、液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとに分離されることにより生成した未反応ビニルモノマーと不可避的に含まれうる不純物成分を含むガスを脱揮部30外に抜き出すための1以上の未反応ビニルモノマー排出口が設けられている。1以上の未反応ビニルモノマー排出口の配置(位置)は特に限定されず、設計に対応した任意好適な配置とすることができる。未反応ビニルモノマー排出口は、例えば、脱揮部30で生成したガスの抜き出し効率を向上させる観点から、既に説明したビニル重合体組成物導入口32とは反対側の脱揮部30の下流側の端部近傍であって、脱揮部30の上端側に設けられていることが好ましい。未反応ビニルモノマー排出口が2以上設けられる場合には、脱揮部30の上端側に所定の間隔(例えば等間隔)で整列するように配置することが好ましい。
脱揮部30には、調製されたビニル重合体を脱揮部30外に排出するためのビニル重合体排出口34が設けられている。ビニル重合体排出口34は、通常、脱揮部30の下流側の末端部近傍に設けられている。
以下、図1に示されるように、脱揮部30が第1の未反応ビニルモノマー排出口36およびこの第1の未反応ビニルモノマー排出口36よりも下流側に配置されている第2の未反応ビニルモノマー排出口38を備える態様を例にとって説明する。
第1の未反応ビニルモノマー排出口36は、脱揮部30の上流側、すなわちビニル重合体排出口34が設けられている下流側の末端部とは反対側の末端部寄りに配置されている。なお、第1の未反応ビニルモノマー排出口36を上流側未反応ビニルモノマー排出口36という場合がある。
第2の未反応ビニルモノマー排出口38は、脱揮部30の下流側、すなわちビニル重合体排出口34寄りに配置されている。なお、第2の未反応ビニルモノマー排出口38を上流側未反応ビニルモノマー排出口38という場合がある。
ここで、より上流側に配置される第1の未反応ビニルモノマー排出口36から導出される未反応ビニルモノマーを含むガスには、不純物成分として、より低沸点である低沸点不純物が多く含まれうる。一方で、より下流側に配置される第2の未反応ビニルモノマー排出口38から導出される未反応ビニルモノマーを含むガスには、不純物成分として、より高沸点である高沸点不純物が多く含まれうる。
脱揮部30は、一端側が重合反応槽10に接続されており、他端側が脱揮部30に接続されている第2の配管72により、重合反応槽10に接続されている。第2の配管72はは、重合反応槽10にて調製されたビニル重合体組成物を、重合反応槽10から導出し、さらに脱揮部30に導入するための配管である。
第2の配管72は、上記の機能を実現できることを条件として、その形状、サイズ、構成材料等は特に限定されない。第2の配管72は、通常、ビニル重合体組成物を確実に流通させるために、図示されていない従来公知の任意好適なポンプ、開閉弁、流量計、予熱器など構成を備えていてもよい。第2の配管72としては、例えば、従来公知の任意好適なステンレス鋼製の配管を適用することができる。
(4)精製器
ビニル重合体製造装置1は、精製器40を備えている。精製器40は、既に説明した脱揮部30から導出された未反応ビニルモノマーから未反応ビニルモノマー以外の不純物成分(特に高沸点不純物)を分離して除去するための機能部である。脱揮部30から導出された未反応ビニルモノマーは、未反応ビニルモノマーに加えて、および不可避的に不純物成分を含みうる。
精製器40としては、従来公知の任意好適な構成を有する精留塔(蒸留塔)を適用することができる。精製器40である好適な精留塔の例としては、多段式精留塔が挙げられる。
精製器40である精留塔の形状、サイズ、材料は特に限定されない。精留塔の形状、サイズ、材料は、例えば、処理対象である脱揮部30から導出された未反応ビニルモノマーの成分、量、精製能力を勘案して選択することができる。精留塔の好ましい材料の例としてはステンレス鋼が挙げられる。
精製器40は、一端側が脱揮部30の第1の未反応ビニルモノマー排出口36に接続されており、他端側が精製器40に接続されている第3の配管73と、一端側が第2の未反応ビニルモノマー排出口38に接続されており、他端側が精製器40に接続されている第4の配管74により、脱揮部30に接続されている。
第3の配管73および第4の配管74は、脱揮部30から未反応ビニルモノマーを導出して、精製器40に導入することができることを条件として、その形状、サイズ、構成材料等は特に限定されない。
第3の配管73および第4の配管74は、上記の機能を発揮するために、図示されていない従来公知の任意好適なポンプ、開閉弁、流量計など構成を備えていてもよい。第3の配管73および第4の配管74としては、例えば、従来公知の任意好適なステンレス鋼製の配管を適用することができる。
ここで、精製器40により除去されうる不純物成分の例としては、ビニルモノマーの二量体、ビニルモノマーの三量体、用いられうる連鎖移動剤、不活性溶媒、さらにはビニルモノマーの反応物や分解物などに由来する高沸点不純物が挙げられる。
(5)循環部
ビニル重合体製造装置1は、循環部50を備えている。循環部50は、既に説明した精製器40により不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを、既に説明した原料ビニルモノマー供給部20(原料モノマー供給ポンプ24)に循環させる機能部である。
循環部50は、上記の機能を発揮することができることを条件として特に限定されず、従来公知の任意好適な構成を採用することができる。循環部50としては、例えば、従来公知の任意好適なタンク、さらにはブランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの定量ポンプ、開閉弁、流量計、温度計、冷却器などの温度調節器等を含む機器を用いることができる。
循環部50は、一端側が精製器40に接続されており、他端側が循環部50に接続されている第5の配管75に設けられている。第5の配管75としては、例えば、従来公知の任意好適なステンレス鋼製の配管を適用することができる。第5の配管75は、既に説明した第1の冷却部73aおよび第2の冷却部74aと同様の図示しない冷却部を備えていてもよい。
(6)再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部
再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60、すなわち第1再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60a、第2再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60b、第3再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60c、第4再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60d、第5再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60e、および第6再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60fは、外部から導入された再生/バイオ原料ビニルモノマーを後段に接続されている各構成、すなわち第1再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60aが接続されている原料モノマーポンプ24、第2再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60bが接続されている重合反応槽10、第3再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60cが接続されている第3の配管73、第4再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60dが接続されている第4の配管74、第5再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60eが接続されている精製器40、第6再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60fが接続されている循環部50に供給することができる機能部である。
ビニル重合体製造措置1においては、第1再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60a、第2再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60b、第3再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60c、第4再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60d、第5再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60e、および第6再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60fからなる群から選択される少なくとも1つが設けられていればよい。
再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60は、不純物を精製機にて除去できるという観点から、第3の配管73および第4の配管74のうちのいずれか一方または両方に接続されていることが好ましく、第4の配管74に接続されていることが好ましい。換言すると、ビニル重合体製造装置1は、第3再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60cおよび/または第4再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60dを備えていることが好ましく、第4再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60dを備えることがより好ましい。
また、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60として、第5再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60eを備えれば、脱揮部30に接続される第4の配管74に冷却部74aを設けることなく、より簡易な構成で脱揮部30と精製器40との連続運転を行うことができる。
再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60としては、例えば、従来公知の任意好適なタンク、さらにはブランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの定量ポンプ、開閉弁、流量計、温度計、圧力計などの計器類、冷却器、ヒーター、熱交換器などの温度調節器等を含む機器を用いることができる。
再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60は、例えば、従来公知の任意好適なステンレス鋼製の配管により後段の所定の機能部に接続すればよい。
なお、ビニル重合体製造装置1に適用される再生/バイオ原料ビニルモノマーが、例えばケミカルリサイクルにより再生された再生原料ビニルモノマーである場合には、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60には、再生原料ビニルモノマーを製造(再生)して供給することができる熱分解装置が、例えばステンレス鋼製の配管等を介して接続される(熱分解装置の詳細については後述する。)。
他方、ビニル重合体製造装置1に適用される再生/バイオ原料ビニルモノマーが、例えばバイオ原料ビニルモノマーである場合には、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60には、従来公知の任意好適なバイオ原料ビニルモノマー製造プラントにおいて製造されたバイオ原料ビニルモノマーを供給すればよく、このバイオビニルモノマー製造プラントと再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60とを、例えばステンレス鋼製の配管等により接続して、バイオビニルモノマー製造プラントから導出されたバイオ原料ビニルモノマーを直接的に再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60に供給する態様としてもよい。
(7)貯留タンク(第1の貯留タンク、第2の貯留タンク)
本実施形態において、ビニル重合体製造装置1は、貯留タンク90(第1の貯留タンク92および/または第2の貯留タンク94)を備えている。
貯留タンク90は、導入された未分解モノマー等の所定量の成分を一時的に貯留し、必要に応じて、さらに後段の機能部に導出することができる機能部である。具体的には、第1の貯留タンク92は、脱揮部30から導出され、必要に応じて第2の冷却部74aにより液化された原料ビニルモノマー、さらには第4再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60dが設けられている場合には、当該第4再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60dから供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーをさらに貯留することができる機能部であり、第2の貯留タンク94は、精製器40から導出され、第5の配管75および循環部50により導入された未分解モノマーを貯留することができる機能部である。
図2に示されるとおり、本実施形態においては、第1の貯留タンク92は、第4の配管74の第2の冷却部74aよりも精製器40側(下流側)の領域に設けられている。また、第2の貯留タンク94は、第5の配管75のうちの原料ビニルモノマー供給部20(原料モノマー供給ポンプ24)の近傍の領域であって、第1原料ビニル調合槽80aよりも精製器40寄りに設けられている。
貯留タンク90の構成、材料、サイズ等は、上記の機能を発揮できることを条件として特に限定されない。貯留タンク90としては、例えば、従来公知の任意好適なステンレス鋼製のタンク、さらにはブランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの定量ポンプ、開閉弁、流量計、温度計、圧力計などの計器類、冷却器、ヒーター、熱交換機などの温度調節器等を含む機器によって構成することができる。
ここで、第4の配管74としては、例えば、従来公知の任意好適なステンレス鋼製の配管を適用することができる。
(8)その他の機器
(i)後処理用機器
脱揮部30のビニル重合体排出口34には、製造され、排出されたビニル重合体をストランド(フィラメント)状、シート状、平板状またはペレット状などの任意好適な態様とし、乾燥させ、保存して製品化するためのストランドカッター、乾燥器、サイロなどの従来公知の任意好適な機器等を含みうる図示されていない後処理用機器が設けられている。
(ii)排ガス処理装置
精製器40には、図示しない排ガス抜出部が設けられており、精製器40において未分解モノマーから分離された後に抜き出された排ガスを処理して無害化するための図示されていない排ガス処理装置が、例えば、ステンレス鋼製の配管等を介して接続されうる。排ガス処理装置の例としては、酸処理機、アミン処理機、脱水脱硫機からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む排ガス処理装置を適用することが好ましい。
(iii)熱分解装置
ビニル重合体製造装置1に適用される再生/バイオ原料ビニルモノマーが再生原料ビニルモノマーである場合には、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60には、再生原料ビニルモノマーを製造(再生)して供給することができる図示しない熱分解装置が、例えばステンレス鋼製の配管等を介して接続される。以下、本発明のビニル重合体製造装置1に好適に適用できるケミカルリサイクルのための熱分解装置について説明する。
本発明のビニル重合体製造装置1の再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60に再生/バイオ原料ビニルモノマーである再生原料ビニルモノマーを直接的に供給しうる熱分解装置は、熱分解部を含む。
熱分解部は、ビニル重合体を含むビニル重合体組成物を成形した成形体のスクラップを熱分解して、(メタ)アクリル酸エステルなどのビニルモノマーを含むガス(さらに不純物成分を含みうる)を生成することができることを条件として、従来公知の任意好適な構成を有する装置を適用することができる。
熱分解部の例としては、押出機、ニーダー、および流動床加熱器が挙げられる。
熱分解部は、押出機であることが好ましい。熱分解部である押出機の好適な例としては、二軸同方向回転押出機および二軸異方向回転押出機などの二軸押出機が挙げられる。
熱分解部として好適に適用できるニーダーとしては、例えば、米国特許第10301235号明細書に記載の装置が挙げられる。
熱分解部として好適に適用できる流動床加熱器としては、例えば、特開2009-112902号公報に記載の装置が挙げられる。
以下、熱分解部の構成例について、二軸押出機の構成を例にとって説明する。
二軸押出機である場合の熱分解部は、導入された原料であるスクラップを二軸押出機内における延在方向に移動させつつ内部において加熱処理を行うためのシリンダと、シリンダの内部に配置されたスクリューとを備えている。
熱分解部には、原料であるスクラップを熱分解部の内部に供給するためのホッパー(フィーダー)に相当する投入部が設けられている。また、熱分解部には、熱分解されて生成したガスを抜き出すための1以上のガス抜き出し部(ベント)が設けられている。
熱分解装置は、熱分解部により熱分解されて生成したビニルモノマーを含むガスを導入してビニルモノマーと当該ビニルモノマーより沸点の高い不純物(化合物)を主成分とする高沸点不純物とを分離することができる分縮器を備えている。
分縮器は、具体的には、分別凝縮により熱分解部において発生したビニルモノマーを含むガスからビニルモノマーより沸点の高い高沸点不純物を凝縮して液化することにより除去し、結果としてビニルモノマーを精製して導出することができる。
分縮器としては、導入されるビニルモノマーを含むガスの流量、組成等に対応した従来公知の任意好適な構成を備える分縮器を採用することができる。
ここで、熱分解部によるビニルモノマーの再生、すなわち再生/バイオ原料ビニルモノマーの製造にかかる熱分解工程と分縮工程について簡単に説明する。
二軸押出機を用いる熱分解工程の実施条件(例えば、シリンダ温度(℃)、スクリュー回転数(rpm)、スクラップ供給量(原料供給速度)(kg/時間))は特に限定されない。熱分解工程の実施条件は、例えば、処理対象のスクラップの性状、組成等を考慮して、任意好適な実施条件とすることができる。
熱分解工程におけるシリンダ温度は、通常400℃~500℃とすればよく、例えばスクラップが純粋なポリ(メタ)アクリル酸メチルからなる場合には、好ましくは450℃~470℃である。
熱分解工程におけるスクリュー回転数は、通常500rpm~1500rpmとすればよく、例えばスクラップが純粋なポリ(メタ)アクリル酸メチルからなる場合には、好ましくは500rpm~1000rpmである。
熱分解工程におけるスクラップ供給量は、熱分解部のシリンダー径に応じて適宜変更すればよく、通常10kg/時間~5000kg/時間とすればよく、例えばシリンダー径が47mmである場合には、好ましくは40kg/時間~90kg/時間である。
具体的には、分縮工程は、ビニルモノマーを含むガスを、主成分であるビニルモノマーの沸点以上、かつ、高沸点不純物の沸点未満、融点以上の温度に調節することにより、ビニルモノマーと高沸点不純物とを分別凝縮する工程である。
分縮工程における温度は、分別凝縮されるビニルモノマー、高沸点不純物の種類等、熱分解により生じたガスの組成に対応した任意好適な温度とすることができる。
本発明の熱分解装置1によれば、エネルギー消費を低減しつつ、高い収率で効率よく再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマーに由来するビニル重合体、特にマスバランス方式が適用されるビニル重合体を低コストで製造することができる。
2.ビニル重合体の製造方法
第1実施形態のビニル重合体の製造方法は、既に説明したビニル重合体製造装置1を用いるビニル重合体の製造方法であって、
非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを供給するための非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部22から供給された非再生/非バイオ原料ビニルモノマーと再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60から供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーとを含みうる原料ビニルモノマーを、原料ビニルモノマー供給部20が備える原料ビニルモノマー供給ポンプ24により、第1の配管71を介して重合反応槽10に導出する導出工程と、
原料ビニルモノマー供給部20から供給された原料ビニルモノマーを、重合反応槽10において塊状重合または溶液重合して、ビニル重合体と、未反応ビニルモノマーとが混合したビニル重合体組成物を得る調製工程と、
得られたビニル重合体組成物を重合反応槽10から導出し、該ビニル重合体組成物を第2の配管72を介してビニル重合体組成物導入口32から脱揮部30に導入し、次いで脱揮部30により脱揮して、液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとを分離する分離工程と、
脱揮部30の第1の未反応ビニルモノマー排出口36および第3の配管73を介して、ならびに第2の未反応ビニルモノマー排出口38および第4の配管74を介して未反応ビニルモノマーを排出し、精製器40に導入して精製することにより、未反応ビニルモノマーから不純物成分をさらに分離して除去する除去工程と、
不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを精製器40から導出して、当該未反応ビニルモノマーを、循環部50により第5の配管75を介して原料ビニルモノマー供給部20に循環させ、次いで導出工程を再度実施する循環工程と、
前記脱揮部30のビニル重合体排出口34から、未反応ビニルモノマーが分離されたビニル重合体を排出してビニル重合体を得る排出工程と
を含む。
以下、ビニル重合体の製造方法に含まれうる各工程について具体的に説明する。
(1)導出工程
導出工程は、非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを供給するための非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部22から供給された非再生/非バイオ原料ビニルモノマーと再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60から供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーとを含みうる原料ビニルモノマーを、原料ビニルモノマー供給部20が備える原料ビニルモノマー供給ポンプ24により、第1の配管71を介して重合反応槽10に導出する工程である。
導出工程における原料ビニルモノマーの導出量、導出速度等の条件は、選択された原料ビニルモノマーの種類、成分等を勘案して、任意好適な条件とすることができる。
なお、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60が原料ビニルモノマー供給部20に接続されている場合には、導出工程は、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60から原料ビニルモノマー供給部20に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われることとなる。
(2)調製工程
調製工程は、原料ビニルモノマー供給部20から供給された原料ビニルモノマーを、重合反応槽10において塊状重合または溶液重合して、ビニル重合体と、未反応ビニルモノマーとが混合したビニル重合体組成物を得る工程である。
調製工程におけるビニルモノマーの重合(ビニル重合体(部分的に重合したビニル重合体を含みうるビニル重合体組成物)の調製)における条件(重合温度、重合圧力、ビニルモノマーの濃度、添加剤等の濃度、重合時間等)は、目的とするビニル重合体の構造、特性等を勘案して適宜決定すればよい。
なお、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60が重合反応槽10に接続されている場合には、調製工程は、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60から重合反応槽10に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われることとなる。
(3)分離工程
分離工程は、調製されたビニル重合体組成物を重合反応槽10から導出し、ビニル重合体組成物を第2の配管72を介してビニル重合体組成物導入口32から脱揮部30に導入し、次いで脱揮部30により脱揮して、液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとを分離する工程である。
具体的には、分離工程においては、脱揮部30によりビニル重合体組成物が脱揮されることにより生じた気体状の未反応ビニルモノマー(さらに、二量体、連鎖移動剤、不活性溶媒、メタノール、プロピオン酸メチル、イソ酪酸メチル、アクリル酸メチル、α-ヒドロキシイソ酪酸メチル等の不純物成分を含みうる。)を主成分であるビニルモノマーの沸点以上、かつ、ビニル重合体の熱分解温度未満の温度に調節することにより、ビニルモノマーと不純物成分とが分離される。
例えば、未反応ビニルモノマーが(メタ)アクリル酸メチルである場合には、「(メタ)アクリル酸メチルの「沸点以上、かつ、ビニル重合体の熱分解温度未満」に調整された後の(メタ)アクリル酸メチルを含むガスの温度は、具体的には、例えば100℃~300℃とすることが好ましく、150℃~300℃とすることがより好ましく、200℃~290℃とすることがさらに好ましい。
脱揮部30における脱揮処理は、好ましくは、例えば、第1の未反応ビニルモノマー排出口36におけるベント圧力をゲージ圧表記で-0.01~-0.04MPaに調整し、第2の未反応ビニルモノマー排出口38におけるベント圧力を-0.09~-0.1MPaに調整しつつ、温度を200~290℃とすることにより、未反応ビニルモノマーを連続的に分離除去することで実施できる。
(4)除去工程
除去工程は、脱揮部30の第1の未反応ビニルモノマー排出口36および第3の配管73を介して、ならびに第2の未反応ビニルモノマー排出口38および第4の配管74を介して未反応ビニルモノマーを排出し、精製器40に導入して精製することにより、未反応ビニルモノマーから不純物成分をさらに分離して除去する工程である。
まず、脱揮部30において脱揮された未反応ビニルモノマーが精製器40に導出される。脱揮部30から未反応ビニルモノマーが導出されるにあたり、第1の未反応ビニルモノマー排出口(上流側未反応ビニルモノマー排出口)36からは、未反応ビニルモノマーに加えて既に説明した低沸点不純物などの比較的沸点が低い不純物が導出される傾向があり、第2の未反応ビニルモノマー排出口(下流側未反応ビニルモノマー排出口)38からは、既に説明した高沸点不純物などの比較的沸点が高い不純物が導出される傾向がある。
次いで、第1の未反応ビニルモノマー排出口36および第2の未反応ビニルモノマー排出口38から排出された未反応ビニルモノマーは精製器40に導入されて精製される。
具体的には、既に説明した精製器40に導入された不純物成分を含みうる未反応ビニルモノマーからは、精製器40において低沸点不純物および高沸点不純物を含む不純物成分が分離され、除去される。
なお、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60が精製器40に接続されている場合には、除去工程は、未反応ビニルモノマーに加えて、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60から精製器40に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われることとなる。
また、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60が第3の配管73および第4の配管74のうちのいずれか一方または両方に接続されている場合には、除去工程は、脱揮部30から導出された未反応ビニルモノマーに加え、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60から第3の配管73および第4の配管74のうちのいずれか一方または両方に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われることとなる。
除去工程の実施条件は特に限定されない。精製器40における温度、流速、圧力などの条件は、製造されるビニル重合体の構造、特性、不純物成分の性状等を勘案して任意好適な条件とすることができる。
(5)循環工程
循環工程は、不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを精製器40から導出して、未反応ビニルモノマーを、循環部50により第5の配管75を介して原料ビニルモノマー供給部20に循環させ、次いで既に説明した導出工程(さらに調製工程、分離工程および除去工程)を再度(繰り返して)実施する工程である。
具体的には、循環部50が備える定量ポンプ等を用いて、精製器40により精製された精製器40から導出された不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを、配管75を介して既に説明した原料ビニルモノマー供給部20(原料モノマー供給ポンプ24)に循環させて既に説明した導出工程、さらには調製工程、分離工程および除去工程を繰り返して実施することにより、回収された未反応ビニルモノマーをリサイクルしつつビニル重合体を製造する。
なお、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60が循環部50に接続されている場合には、循環工程は、未反応ビニルモノマーに加えて、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60から循環部50に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われることとなる。
(6)排出工程
排出工程は、脱揮部30のビニル重合体排出口34から、未反応ビニルモノマー(および不純物成分)が分離されたビニル重合体を排出してビニル重合体を得る工程である。
具体的には、脱揮部30により未反応ビニルモノマーおよび不純物成分が分離され、除去されることにより製造されたビニル重合体は、脱揮部30のビニル重合体排出口34から導出される。次いで、既に説明した後処理用機器に処理されて、ストランド(フィラメント)状、シート状、平板状またはペレット状などの所定の任意好適な態様とし、乾燥させ、必要ならば一時的に保存して、包装するなどして製品化される。
本発明のビニル重合体の製造方法によれば、簡便な工程で、エネルギー消費を低減しつつ、高い収率で効率よく再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマーに由来するビニル重合体、特にマスバランス方式が適用されるビニル重合体を低コストで製造することができる。
<第2実施形態>
1.ビニル重合体製造装置
図2を参照して、第2実施形態のビニル重合体製造装置について説明する。なお、既に説明した第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明については省略する。図2は、第2実施形態のビニル重合体製造装置の構成例を示す概略的な図である。
(1)重合反応槽
重合反応槽10は、再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマー、さらには回収された未反応ビニルモノマーを含む原料ビニルモノマーを塊状重合または溶液重合して、ビニル重合体と、(再生/バイオ原料ビニルモノマー、非再生/非バイオ原料ビニルモノマーおよび回収された未反応ビニルモノマーのいずれにも由来しうる)未反応ビニルモノマーとが混合したビニル重合体組成物を調製するための機能部である。
(2)原料ビニルモノマー供給部
原料ビニルモノマー供給部20は、非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを重合反応槽10に供給することができる機能部である。なお、詳細は後述するが、原料ビニルモノマー供給部20は、再生/バイオ原料ビニルモノマー、さらには未反応ビニルモノマーをも非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを重合反応槽10に供給することができるように構成されている。
原料ビニルモノマー供給部20は、非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部22と当該非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部22に設けられている原料モノマー供給ポンプ24を含んでいる。
原料モノマー供給ポンプ24は、非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部22から供給された非再生/非バイオ原料ビニルモノマー、さらには後述する再生/バイオ原料ビニルモノマー、さらには未反応ビニルモノマーを重合反応槽10に供給することができる機能部である。
原料ビニルモノマー供給部20(原料モノマー供給ポンプ24)は、一端側が重合反応槽10に接続されており、他端側が原料ビニルモノマー供給部20に接続されている第1の配管71により重合反応槽10に接続されている。
(3)脱揮部
ビニル重合体製造装置1は、脱揮部30を含んでいる。脱揮部30は、既に説明した重合反応槽10から導出されたビニル重合体組成物を脱揮して、液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマー(他に不純物成分を含みうる。)とを分離する機能を有する機能部である。
脱揮部30の例としては、脱揮押出機を含む押出機、薄膜式蒸発機、蒸発缶、多管式熱交換器、特殊熱交換器が挙げられる。
脱揮部30は、脱揮押出機であることが好ましい。脱揮部30である脱揮押出機の好適な例としては、二軸同方向回転押出機および二軸異方向回転押出機などの二軸押出機が挙げられる。脱揮押出機としては、例えば、日本製鋼所製のTEX(商品名)等のベントエスクトルーダ型の脱揮押出機が挙げられる。
図2に示されるように、脱揮部30には、ビニル重合体組成物を脱揮部30の内部に供給するためのビニル重合体組成物導入口32が設けられている。
脱揮部30には、脱揮処理により、液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとに分離されることにより生成した未反応ビニルモノマーと不可避的に含まれうる不純物成分を含むガスを脱揮部30外に抜き出すための1以上の未反応ビニルモノマー排出口が設けられている。
脱揮部30には、調製されたビニル重合体を脱揮部30外に排出するためのビニル重合体排出口34が設けられている。ビニル重合体排出口34は、通常、脱揮部30の下流側の末端部近傍に設けられている。
第1の未反応ビニルモノマー排出口36は、脱揮部30の上流側、すなわちビニル重合体排出口34が設けられている下流側の末端部とは反対側の末端部寄りに配置されている。
第2の未反応ビニルモノマー排出口38は、脱揮部30の下流側、すなわちビニル重合体排出口34寄りに配置されている。
脱揮部30は、一端側が重合反応槽10に接続されており、他端側が脱揮部30に接続されている第2の配管72により、重合反応槽10に接続されている。
(4)精製器
ビニル重合体製造装置1は、精製器40を備えている。精製器40は、既に説明した脱揮部30から導出された未反応ビニルモノマー(未反応ビニルモノマーに加えて、不可避的に不純物成分を含みうる。)から未反応ビニルモノマー以外の不純物成分を分離して除去するための機能部である。
精製器40としては、従来公知の任意好適な構成を有する精留塔(蒸留塔)を適用することができる。精製器40である好適な精留塔の例としては、多段式精留塔が挙げられる。
精製器40は、一端側が脱揮部30の第1の未反応ビニルモノマー排出口36に接続されており、他端側が精製器40に接続されている第3の配管73と、一端側が第2の未反応ビニルモノマー排出口38に接続されており、他端側が精製器40に接続されている第4の配管74により、脱揮部30に接続されている。
(5)循環部
ビニル重合体製造装置1は、循環部50を備えている。循環部50は、既に説明した精製器40により不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを、既に説明した原料ビニルモノマー供給部20(原料モノマー供給ポンプ24)に循環させる機能部である。
循環部50は、一端側が精製器40に接続されており、他端側が循環部50に接続されている第5の配管75に設けられている。
(6)再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部
再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60、すなわち第1再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60a、第2再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60b、第3再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60c、第4再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60d、第5再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60e、および第6再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60fは、外部から導入された再生/バイオ原料ビニルモノマーを後段に接続されている各構成、すなわち第1再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60aが接続されている原料モノマーポンプ24、第2再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60bが接続されている重合反応槽10、第3再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60cが接続されている第3の配管73、第4再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60dが接続されている第4の配管74、第5再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60eが接続されている精製器40、第6再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60fが接続されている循環部50に供給することができる機能部である。
ビニル重合体製造措置1においては、第1再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60a、第2再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60b、第3再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60c、第4再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60d、第5再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60e、および第6再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60fからなる群から選択される少なくとも1つが設けられていればよい。
ビニル重合体製造装置1は、第3再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60cおよび/または第4再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60dを備えていることが好ましく、第4再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60dを備えることがより好ましい。
また、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60として、第5再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60eを備えれば、脱揮部30に接続される第4の配管74に冷却部74aを設けることなく、より簡易な構成で脱揮部30と精製器40との連続運転を行うことができる。
なお、ビニル重合体製造装置1に適用される再生/バイオ原料ビニルモノマーが、例えばケミカルリサイクルにより再生された再生原料ビニルモノマーである場合には、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60には、再生原料ビニルモノマーを製造(再生)して供給することができる既に説明した熱分解装置が、例えばステンレス鋼製の配管等を介して接続される。
他方、ビニル重合体製造装置1に適用される再生/バイオ原料ビニルモノマーが、例えばバイオ原料ビニルモノマーである場合には、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60には、従来公知の任意好適なバイオ原料ビニルモノマー製造プラントにおいて製造されたバイオ原料ビニルモノマーを供給すればよく、このバイオビニルモノマー製造プラントと再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60とを、例えばステンレス鋼製の配管等により接続して、バイオビニルモノマー製造プラントから導出されたバイオ原料ビニルモノマーを直接的に再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60に供給する態様としてもよい。
(7)温度調節部
図2に示されるように、第2実施形態においては、第2の配管72は、その外表面に接触するように、または内部を貫通するように設けられている温度調節部72aをさらに備えている。
温度調節部72aは、重合反応槽10から導出されたビニル重合体組成物の温度を調節するための機能部である。
本実施形態において、温度調節部72aは、ビニル重合体組成物に主として含まれるビニル重合体の軟化点以上かつ熱分解温度未満の温度に、第2の配管72内を流通するビニル重合体組成物の温度を調節することができる機能部である。
温度調節部72aとしては、従来公知の任意好適な構成を適用することができる。温度調節部72aとしては、具体的には、内部に媒体(熱媒体、冷媒体)を流通させることができる、ジャケット、二重管熱交換器、電気ヒーターおよび保温材からなる群から選ばれる少なくとも1つを適用することができる。
なお、例えば二重管熱交換器および保温材の組み合わせといった2種以上の部材により温度調節部72aが構成される場合には、少なくとも1種の部材が第2の配管72の外表面に接触していればよく、換言すると、2種以上の部材は、第2の配管72の外表面に積層するように設けられていてもよい。温度調節部72aは、例えば第2の配管72の外周を一周して途切れなく覆うように設けることができる。
温度調節部72aの設置態様は、第2の配管72内を流通するビニル重合体組成物の温度を効果的に調節できることを条件として特に限定されない。
本実施形態において、温度調節部72aとしては、二重管熱交換器を用いることが好ましい。当該二重管熱交換器としては、水蒸気を熱媒体として用いる二重管熱交換器であるか、または水を冷媒体として用いる二重管熱交換器であることが好ましい。
また、温度調節部72aが保温材を含む場合には、当該保温材が、ロックウール、グラスウール、珪酸カルシウムおよび撥水性パーライトからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
本実施形態のビニル重合体製造装置1によれば、第2の配管72が温度調節部72aを備えるので、脱揮工程での蒸発潜熱による温度低下分を温度調節部で補填することができる。その結果として、温度低下による脱揮工程での装置負荷が抑制することができ、後段の脱揮部30における脱揮処理をより効率的に実施することができる。
(8)第1の冷却部および第2の冷却部
第2実施形態において、第3の配管73は、その外表面に接触するように、または内部を貫通するように設けられている第1の冷却部73aをさらに備えている。第1の冷却部73aは、第3再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60cが第3の配管73に接続されている場合には、第3の配管73のうちの当該第3再生/バイオ原料モノマー供給部60cよりも脱揮部30の近傍の領域に設けることが好ましい。
冷却部73aは、脱揮部30から導出されたガス(気体状の未反応ビニルモノマー)を冷却して液化するための機能部である。
第1の冷却部73aとしては、二重管熱交換器を用いることが好ましい。当該二重管熱交換器としては、例えば水を冷媒体として用いる二重管熱交換器であることが好ましい。
また、第1の冷却部73aが保温材を含む場合には、当該保温材が、ロックウール、グラスウール、珪酸カルシウムおよび撥水性パーライトからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
第2実施形態において、第4の配管74は、その外表面に接触するように、または内部を貫通するように設けられている第2の冷却部74aをさらに備えている。第2の冷却部74aは、第4再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60dが第4の配管74に接続されている場合には、第4の配管74のうちの当該第4再生/バイオ原料モノマー供給部60dよりも脱揮部30の近傍の領域に設けることが好ましい。
第2冷却部74aの機能および態様等については、既に説明した第1冷却部73aと同様であるので、これらの説明については省略する。
第2実施形態のビニル重合体製造装置1によれば、第1冷却部73aおよび/または第2冷却部74aを備えるので、精製器40に液化した未反応ビニルモノマーを供給することができ、結果として、精製器40における精製をより効率的に実施することができる。
(9)原料ビニルモノマー調合槽
第2実施形態において、ビニル重合体製造装置1は、原料ビニルモノマー調合槽80(第1原料ビニルモノマー調合槽80aおよび/または第2原料ビニルモノマー調合槽80b)を備えている。
原料ビニルモノマー調合槽80は、重合反応槽10に供給される原料ビニルモノマーの組成、特性等が好適な範囲内となるように、例えば、所定のビニルモノマーをさらに追加したり、既に説明した重合開始剤、連鎖移動剤に加えて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤などの添加剤をさらに添加するなどして調合することができる機能部である。
図2に示されるとおり、第1原料ビニルモノマー調合槽80aは、第5の配管75に、循環部50により循環された未反応ビニルモノマーを導入することができ、さらには上記添加剤などを導入して混合(調合)し、混合物を原料ビニルモノマー供給部20(原料モノマー供給ポンプ24)に導入することができるように設けられており、第2原料ビニルモノマー調合槽80bは、従来公知の任意好適なステンレス鋼製の配管などにより原料ビニルモノマー供給部20(原料モノマー供給ポンプ24)に供給できるように設けられてる。
ここで、用いられうる連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン類、特にブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、およびドデシルメルカプタンが挙げられる。
また、開始剤としては、例えば、2,2-アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルパレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物、および1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、tert-ブチルパーオキシイソブチレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。
図2に示されるとおり、本実施形態においては、第1原料ビニルモノマー調合槽80aは、第5の配管75のうちの原料ビニルモノマー供給部20(原料モノマー供給ポンプ24)の近傍の領域に設けられている。また、第2原料ビニルモノマー調合槽80bは、原料ビニルモノマー供給部20に接続されている。
原料ビニルモノマー調合槽80の構成、材料、サイズ等は、上記の機能を発揮できることを条件として特に限定されない。原料ビニルモノマー調合槽80としては、例えば、従来公知の任意好適なステンレス製のタンク、当該タンク内に設けられる撹拌翼、さらにはブランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの定量ポンプ、開閉弁、流量計、温度計、圧力計などの計器類、冷却器、ヒーター、熱交換器などの温度調節器等を含む機器によって構成することができる。
原料ビニルモノマー調合槽80における調合は、具体的には、例えば、原料ビニルモノマー供給部20に供給され、かつ重合反応槽10に供給される前の原料モノマーのうちの一部を外部に取り出し、取り出された原料モノマーの成分、特性等を従来公知の任意好適な方法により分析して原料モノマーの組成、特性等が好適な範囲内にあるか否か評価し、当該評価の結果、例えば、特定の成分が不足していたり、所定の特性を充足していなかったりした場合には、不足している成分や特性を改善するための添加剤等が原料ビニルモノマー調合槽80により調合され、原料ビニルモノマー供給部20において原料モノマーの組成、特性等を好適な範囲内に調整することにより行うことができる。
第2実施形態のビニル重合体製造装置1によれば、原料ビニルモノマー調合槽80を備えるので、所望の成分、重合率、分子量といった所望の性状、耐候性などの所望の特性を有するビニル重合体をより正確かつ効率的に製造することができる。
(10)貯留タンク(第1の貯留タンク、第2の貯留タンク)
第2実施形態において、ビニル重合体製造装置1は、貯留タンク90(第1の貯留タンク92および/または第2の貯留タンク94)を備えている。
貯留タンク90は、導入された未分解モノマー等の所定量の成分を一時的に貯留し、必要に応じて、さらに後段の機能部に導出することができる機能部である。具体的には、第1の貯留タンク92は、脱揮部30から導出され、必要に応じて第2の冷却部74aにより液化された原料ビニルモノマー、さらには第4再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60dが設けられている場合には、当該第4再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60dから供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーをさらに貯留することができる機能部であり、第2の貯留タンク94は、精製器40から導出され、第5の配管75および循環部50により導入された未分解モノマーを貯留することができる機能部である。
図2に示されるとおり、本実施形態においては、第1の貯留タンク92は、第4の配管74の第2の冷却部74aよりも精製器40側(下流側)の領域に設けられている。また、第2の貯留タンク94は、第5の配管75のうちの原料ビニルモノマー供給部20(原料モノマー供給ポンプ24)の近傍の領域であって、第1原料ビニル調合槽80aよりも精製器40寄りに設けられている。
貯留タンク90の構成、材料、サイズ等は、上記の機能を発揮できることを条件として特に限定されない。貯留タンク90としては、例えば、従来公知の任意好適なステンレス鋼製のタンク、さらにはブランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの定量ポンプ、開閉弁、流量計温度計、圧力計などの計器類、冷却器、ヒーター、熱交換器などの温度調節器等を含む機器によって構成することができる。
ここで、第4の配管74としては、例えば、従来公知の任意好適なステンレス鋼製の配管を適用することができる。
第2実施形態のビニル重合体製造装置1によれば、貯留タンク90を備えるので、第4の配管74に設けられる場合には、高沸点不純物を含むため特に液化しやすい第4の配管74を流通する未反応ビニルモノマーを第1の貯留タンク92に一旦貯留して、より容易に効率的に精製器40に導入して精製を行うことができ、また第5の配管75に設けられる場合には、原料ビニルモノマー調合槽80、原料ビニルモノマー供給部20、さらには重合反応槽10に原料ビニルモノマーを導入する前に、例えば、第2の貯留タンク94に一旦貯留された未反応ビニルモノマーおよび原料ビニルモノマーを含む組成物の一部を抜き出してその組成、性状等を確認することができ、例えば、原料ビニルモノマー調合槽80により、不足している成分を補充するなどできるので、所望の成分、性状、特性を有するビニル重合体をより正確かつ効率的に製造することができる。
(11)その他の機器
第2実施形態のビニル重合体製造装置1が備えうる(i)後処理用機器、(ii)排ガス処理装置および(iii)熱分解装置については、既に説明した第1実施形態の機器、装置と同様であるため具体的な説明については省略する。
2.ビニル重合体の製造方法
第2実施形態のビニル重合体の製造方法は、既に説明した第2実施形態のビニル重合体製造装置1を用いる製造方法である。第2実施形態のビニル重合体の製造方法にかかる導出工程、調製工程、分離工程、除去工程、循環工程および排出工程は、既に説明した第1実施形態の製造方法と同様であるので、以下、異なる点について具体的に説明する。
(1)ビニル重合体製造装置1が、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60が接続された第3の配管73のうちの当該再生/バイオ原料モノマー供給部60よりも脱揮部30の近傍の領域に設けられている第1の冷却器73a、および/または再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60が接続された第4の配管74のうちの当該再生/バイオ原料モノマー供給部60よりも脱揮部30の近傍の領域に設けられた第2の冷却部74aをさらに備えている場合には、分離工程の後であって除去工程の前に、脱揮部30から導出された気体状の未反応ビニルモノマーを第1の冷却部73aおよび/または第2の冷却部74aに導入して、冷却することにより液化する冷却工程をさらに含む。
ビニル重合体の製造方法が冷却工程を含む場合には、精製器40に液化した未反応ビニルモノマーを供給することができるので、精製器40における精製、未反応ビニルモノマーのリサイクル、ひいてはビニル重合体の製造をより効率的かつ効果的に実施することができる。
(2)ビニル重合体製造装置1が、第5の配管75のうちの原料ビニルモノマー供給部20の近傍の領域に設けられているか、または原料ビニルモノマー供給部20に接続されている原料ビニルモノマー調合槽80をさらに備える場合には、既に説明した循環工程は、不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを精製器40から導出した当該未反応ビニルモノマーを、循環部50により原料ビニルモノマー調合槽80に導入して原料ビニルモノマーの組成を調節した後に、組成が調節された原料ビニルモノマーを原料ビニルモノマー供給部60に循環させ、次いで導出工程を再度実施する工程である。
循環工程を、原料ビニルモノマー調合槽80を用いて上記のとおりの工程とすれば、所望の成分、性状、特性を有するビニル重合体をより正確かつ効率的に製造することができる。
(3)ビニル重合体製造装置1が、第4の配管74のうちの精製器40の近傍の領域に設けられた第1の貯留タンク92と、第5の配管75のうちの原料ビニルモノマー供給部20の近傍の領域に設けられた第2の貯留タンク94とをさらに備える場合には、分離工程の後であって除去工程の前に、脱揮部30から導出された未反応ビニルモノマーを液体状の未反応ビニルモノマーとして第1の貯留タンク92に貯留する工程をさらに含み、循環工程が、不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを精製器40から導出して、第2の貯留タンク94に液体状の未反応ビニルモノマーとして貯留し、次いで原料ビニルモノマー供給部20に循環させ、次いで導出工程を再度実施する工程である。
ビニル重合体の製造方法において、貯留タンク90が第4の配管74に設けられる場合には、高沸点不純物を含むため特に液化しやすい第4の配管74を流通する未反応ビニルモノマーを一旦貯留して、より容易に効率的に精製器40に導入して精製を行うことができ、また第5の配管75に設けられる場合には、原料ビニルモノマー調合槽80、原料ビニルモノマー供給部20、さらには重合反応槽10に原料ビニルモノマーを導入する前に、例えば、一旦貯留された未反応ビニルモノマーおよび原料ビニルモノマーを含む組成物の一部を抜き出してその組成、性状等を確認することができ、例えば、原料ビニルモノマー調合槽80により、不足している成分を補充するなどできるので、所望の成分、性状、特性を有するビニル重合体をより正確かつ効率的に製造することができ、簡便な工程で、エネルギー消費を低減しつつ、高い収率で効率よく再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマーに由来するビニル重合体、特にマスバランス方式が適用されるビニル重合体を低コストで製造することができる。
1 ビニル重合体製造装置
10 重合反応槽
20 原料ビニルモノマー供給部
22 非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部
24 原料ビニルモノマー供給ポンプ
26 重合開始剤供給部
28 連鎖移動剤供給部
30 脱揮部
32 ビニル重合体組成物導入口
34 ビニル重合体排出口
36 第1の未反応ビニルモノマー排出口(上流側未反応ビニルモノマー排出口)
38 第2の未反応ビニルモノマー排出口(下流側未反応ビニルモノマー排出口)
40 精製器
50 循環部
60 再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部
60a 第1再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部
60b 第2再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部
60c 第3再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部
60d 第4再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部
60e 第5再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部
60f 第6再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部
71 第1の配管
72 第2の配管
72a 温度調節部
73 第3の配管
73a 第1の冷却部
74 第4の配管
74a 第2の冷却部
75 第5の配管
80 原料ビニルモノマー調合槽
80a 第1原料ビニルモノマー調合槽
80b 第2原料ビニルモノマー調合槽
90 貯留タンク
92 第1の貯留タンク
94 第2の貯留タンク

Claims (12)

  1. 再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを含む原料ビニルモノマーを塊状重合または溶液重合して、ビニル重合体と、未反応ビニルモノマーとが混合したビニル重合体組成物を得るための重合反応槽と、
    前記重合反応槽に前記ビニルモノマーを供給するための原料ビニルモノマー供給部であって、一端側が前記重合反応槽に接続されており、他端側が該原料ビニルモノマー供給部に接続されている第1の配管により前記重合反応槽に接続されており、前記非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを供給するための非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部と前記ビニルモノマーを前記重合反応槽に導出するための原料ビニルモノマー供給ポンプとを備える原料ビニルモノマー供給部と、
    前記重合反応槽から導出された前記ビニル重合体組成物を脱揮して、液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとを分離するための脱揮部であって、一端側が前記重合反応槽に接続されており、他端側が該脱揮部に接続されている第2の配管により前記重合反応槽に接続されており、前記ビニル重合体組成物を導入するためのビニル重合体組成物導入口と前記ビニル重合体を排出するためのビニル重合体排出口と前記未反応ビニルモノマーを排出するための第1の未反応ビニルモノマー排出口および該第1の未反応ビニルモノマー排出口よりも下流側に配置されている第2の未反応ビニルモノマー排出口とを有する脱揮部と、
    前記脱揮部から導出された前記未反応ビニルモノマーから不純物成分を分離して除去するための精製器であって、一端側が前記第1の未反応ビニルモノマー排出口に接続されており、他端側が該精製器に接続されている第3の配管により前記脱揮部に接続されており、一端側が前記第2の未反応ビニルモノマー排出口に接続されており、他端側が該精製器に接続されている第4の配管により前記脱揮部に接続されている精製器と、
    前記精製器により前記不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを前記原料ビニルモノマー供給部に循環させる循環部であって、一端側が前記精製器に接続されており、他端側が前記原料ビニルモノマー供給部に接続されている第5の配管に設けられている循環部とを備え、
    前記原料ビニルモノマー供給部、前記重合反応槽、前記精製器、前記循環部、および前記第3の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つに、再生/バイオ原料ビニルモノマーを供給するための再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が接続されており
    前記原料ビニルモノマーおよび未反応ビニルモノマーが、(メタ)アクリル酸エステルである、ビニル重合体製造装置。
  2. 前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が、前記第3の配管に接続されている、請求項1に記載のビニル重合体製造装置。
  3. 前記脱揮部が脱揮押出機である、請求項1または2に記載のビニル重合体製造装置。
  4. 前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が接続された前記第3の配管のうちの当該再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部よりも前記脱揮部の近傍の領域に設けられている第1の冷却部をさらに備え、
    前記第1の冷却部が、気体状の未反応ビニルモノマーを液化するための冷却部である、請求項2に記載のビニル重合体製造装置。
  5. 前記第5の配管のうちの前記原料ビニルモノマー供給部の近傍の領域に設けられているか、または前記原料ビニルモノマー供給部に接続されており、前記重合反応槽に供給される原料ビニルモノマーの組成を調節するための原料ビニルモノマー調合槽をさらに備える、請求項1または2に記載のビニル重合体製造装置。
  6. 前記第4の配管のうちの前記精製器の近傍の領域に設けられており、前記脱揮部から導出された未反応ビニルモノマーを液体状の未反応ビニルモノマーとして貯留するための第1の貯留タンクと、
    前記第5の配管のうちの前記原料ビニルモノマー供給部の近傍の領域に設けられており、前記精製器から導出された未反応ビニルモノマーを液体状の未反応ビニルモノマーとして貯留するための第2の貯留タンクと
    をさらに備える、請求項1または2に記載のビニル重合体製造装置。
  7. 請求項1または2に記載のビニル重合体製造装置を用いるビニル重合体の製造方法において、
    非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを供給するための非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部から供給された非再生/非バイオ原料ビニルモノマーと前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部から供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーとを含みうる原料ビニルモノマーを、前記原料ビニルモノマー供給部が備える前記原料ビニルモノマー供給ポンプにより、前記第1の配管を介して前記重合反応槽に導出する導出工程と、
    前記原料ビニルモノマー供給部から供給された原料ビニルモノマーを、前記重合反応槽において塊状重合または溶液重合して、ビニル重合体と、未反応ビニルモノマーとが混合したビニル重合体組成物を得る調製工程と、
    得られたビニル重合体組成物を前記重合反応槽から導出し、該ビニル重合体組成物を前記第2の配管を介して前記ビニル重合体組成物導入口から前記脱揮部に導入し、次いで前記脱揮部により脱揮して、液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとを分離する分離工程と、
    前記脱揮部の第1の未反応ビニルモノマー排出口および前記第3の配管を介して、未反応ビニルモノマーを排出し、前記精製器に導入して精製することにより、未反応ビニルモノマーから不純物成分をさらに分離して除去する除去工程と、
    不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを前記精製器から導出して、当該未反応ビニルモノマーを、前記循環部により前記第5の配管を介して前記原料ビニルモノマー供給部に循環させ、次いで前記導出工程を再度実施する循環工程と、
    前記脱揮部の前記ビニル重合体排出口から、未反応ビニルモノマーが分離されたビニル重合体を排出してビニル重合体を得る排出工程と
    を含
    前記原料ビニルモノマーおよび未反応ビニルモノマーが、(メタ)アクリル酸エステルである、ビニル重合体の製造方法。
  8. 前記原料ビニルモノマー供給部、前記重合反応槽、前記精製器、前記循環部、および前記第3の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つに、再生/バイオ原料ビニルモノマーを供給するための再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が接続されており、
    前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が前記原料ビニルモノマー供給部に接続されている場合には、前記導出工程が、前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部から前記原料ビニルモノマー供給部に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われる工程であり、
    前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が前記重合反応槽に接続されている場合には、前記調製工程が、前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部から前記重合反応槽に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われる工程であり、
    前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が前記精製器に接続されている場合には、前記除去工程が、未反応ビニルモノマーに加えて、前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部から前記精製器に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われる工程であり、
    前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が前記循環部に接続されている場合には、前記循環工程が、未反応ビニルモノマーに加えて、前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部から前記循環部に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われる工程であり、
    前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が前記第3の配管に接続されている場合には、前記除去工程が、前記脱揮部から導出された未反応ビニルモノマーに加え、前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部から前記第3の配管に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われる工程である、請求項に記載のビニル重合体の製造方法。
  9. 前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が、前記第3の配管に接続されており、
    前記除去工程が、前記脱揮部から導出された未反応ビニルモノマーに加え、前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部から前記第3の配管供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われる工程である、請求項に記載のビニル重合体の製造方法。
  10. 前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が接続された前記第3の配管のうちの当該再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部よりも前記脱揮部の近傍の領域に設けられている第1の冷却部をさらに備えており、
    前記分離工程の後であって前記除去工程の前に、前記脱揮部から導出された気体状の未反応ビニルモノマーを前記第1の冷却部に導入して、冷却することにより液化する冷却工程をさらに含む、請求項に記載のビニル重合体の製造方法。
  11. 前記第5の配管のうちの前記原料ビニルモノマー供給部の近傍の領域に設けられているか、または前記原料ビニルモノマー供給部に接続されている原料ビニルモノマー調合槽をさらに備え、
    前記循環工程が、不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを前記精製器から導出した当該未反応ビニルモノマーを、前記循環部により前記原料ビニルモノマー調合槽に導入して原料ビニルモノマーの組成を調節した後に、組成が調節された原料ビニルモノマーを前記原料ビニルモノマー供給部に循環させ、次いで前記導出工程を再度実施する工程である、請求項に記載のビニル重合体の製造方法。
  12. 前記第4の配管のうちの前記精製器の近傍の領域に設けられた第1の貯留タンクと、前記第5の配管のうちの前記原料ビニルモノマー供給部の近傍の領域に設けられた第2の貯留タンクとをさらに備え、
    前記分離工程の後であって前記除去工程の前に、前記脱揮部から導出された未反応ビニルモノマーを液体状の未反応ビニルモノマーとして前記第1の貯留タンクに貯留する工程をさらに含み、
    前記循環工程が、不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを前記精製器から導出して、前記第2の貯留タンクに液体状の未反応ビニルモノマーとして貯留し、次いで前記原料ビニルモノマー供給部に循環させ、次いで前記導出工程を再度実施する工程である、請求項に記載のビニル重合体の製造方法。
JP2023080294A 2023-05-15 2023-05-15 ビニル重合体製造装置およびビニル重合体の製造方法 Active JP7364817B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2023080294A JP7364817B1 (ja) 2023-05-15 2023-05-15 ビニル重合体製造装置およびビニル重合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2023080294A JP7364817B1 (ja) 2023-05-15 2023-05-15 ビニル重合体製造装置およびビニル重合体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP7364817B1 true JP7364817B1 (ja) 2023-10-18

Family

ID=88328422

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023080294A Active JP7364817B1 (ja) 2023-05-15 2023-05-15 ビニル重合体製造装置およびビニル重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7364817B1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7484001B1 (ja) 2023-10-13 2024-05-15 住友化学株式会社 ビニル重合体製造装置およびビニル重合体の製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002363203A (ja) 2001-06-05 2002-12-18 Toagosei Co Ltd マクロモノマーの製造方法
JP2008540752A (ja) 2005-05-11 2008-11-20 バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ ポリオレフィンブレンドを製造するための重合方法
US20140251139A1 (en) 2011-06-06 2014-09-11 Wacker Chemie Ag Method for processing wastewater and exhaust gas condensates from the polymerization of vinyl acetate and ethylene in an aqueous medium
JP2016506446A (ja) 2012-12-27 2016-03-03 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー エチレン系ポリマーを製造するための重合法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002363203A (ja) 2001-06-05 2002-12-18 Toagosei Co Ltd マクロモノマーの製造方法
JP2008540752A (ja) 2005-05-11 2008-11-20 バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ ポリオレフィンブレンドを製造するための重合方法
US20140251139A1 (en) 2011-06-06 2014-09-11 Wacker Chemie Ag Method for processing wastewater and exhaust gas condensates from the polymerization of vinyl acetate and ethylene in an aqueous medium
JP2016506446A (ja) 2012-12-27 2016-03-03 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー エチレン系ポリマーを製造するための重合法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7484001B1 (ja) 2023-10-13 2024-05-15 住友化学株式会社 ビニル重合体製造装置およびビニル重合体の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5249366B2 (ja) 連続重合装置および重合体組成物の製造方法
TWI529179B (zh) 連續聚合裝置及製造聚合物組成物的方法
KR100427376B1 (ko) 중합체의 제조방법
JP3395291B2 (ja) メタクリル系重合体の製造方法
JP7364817B1 (ja) ビニル重合体製造装置およびビニル重合体の製造方法
CN108424479B (zh) 生产聚合物组合物的连续聚合设备和方法
JP5431376B2 (ja) 連続重合装置および重合体組成物の製造方法
CN1128159C (zh) 聚合物溶液组合物的脱挥方法
WO2011125980A1 (ja) メタクリル系重合体を製造する装置および製造方法
WO2009107765A1 (ja) 熱可塑性共重合体の製造方法
CN102101898B (zh) 一种连续制备聚合物的方法及其装置
US6100366A (en) Cyclic imino ether group containing polymer and production process therefor
CN106188400B (zh) 一种苯乙烯系多元共聚高分子材料的制备工艺
CN112724296A (zh) 一种5万吨级产能规模以上的透明聚苯乙烯及其生产设备、工艺
EP0319622B1 (en) Method for the polymerization of acrylics
JP4676687B2 (ja) (メタ)アクリル系重合体の製造方法
JP3937111B2 (ja) 重合体の製造方法
JP7484001B1 (ja) ビニル重合体製造装置およびビニル重合体の製造方法
CN114891147A (zh) 一种甲基丙烯酸甲酯共聚物及其制备方法与应用
WO2011142384A1 (ja) メタクリル系重合体の製造方法
JP5716266B2 (ja) メタクリル系樹脂の製造方法
JP3636554B2 (ja) 連続溶液重合法における不純物の除去方法
CN101338001B (zh) 光学级聚甲基丙烯酸甲酯连续式溶液聚合工艺及所用设备
JP3628124B2 (ja) 連続塊状重合法における不純物の除去方法
JP3779777B2 (ja) メタクリル系樹脂の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230515

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20230515

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230704

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230815

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230821

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230905

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231005

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7364817

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150