JP7362246B2 - 光学フィルムの通紙方法 - Google Patents
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Description
光学フィルムは、通常、長尺帯状の原反フィルムを用いて製造される。原反フィルムを搬送設備で長手方向に搬送しながら、順次各種の処理を施すことで、製品としての長尺帯状の光学フィルムが製造される。長尺帯状の光学フィルムは、用途に応じたサイズに切断され、画像表示装置等に用いられる。
以下、本明細書では、製品としての光学フィルムのみならず、原反フィルム及び中間製品のフィルムも含めて光学フィルムと称する。
駆動ローラは、モータによって駆動されて回転し、摩擦力によって光学フィルムを長手方向に搬送するためのローラである。従動ローラは、自由に回転し、長手方向に搬送される光学フィルムを案内するためのローラである。
しかしながら、光学フィルムの擦れや切れに起因して、駆動ローラや従動ローラの表面(通常はゴム材料)に凹凸が生じたり、光学フィルムの形成材料や駆動ローラ等の表面のゴム材料からなる異物が発生することによって問題が生じる場合がある。具体的には、駆動ローラ等の表面にいったん凹凸が生じると交換するまで直らないため、通紙作業が完了した後の通常搬送時の光学フィルムに駆動ローラ等の表面の凹凸が転写されることで、光学フィルムに外観不良が生じる場合がある。また、発生した異物は、光学フィルムの搬送設備が設けられた雰囲気中や処理槽中に長時間漂うため、この異物が光学フィルムに付着することで、光学フィルムに外観不良が生じる場合がある。光学フィルムは、例えば、数10μm程度の寸法の凹凸や異物であっても、視認できた場合には外観不良となり、製品の歩留まり低下に通じるおそれがある。このため、通紙作業中に生じる光学フィルムの擦れや切れに起因した光学フィルムの外観不良をできる限り生じさせないことが望まれている。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、ニップローラを構成する駆動ローラ及びこれに対向する従動ローラを有する搬送設備のパスラインに光学フィルムを通紙する方法であって、前記ニップローラを開いた状態で、前記駆動ローラだけに前記光学フィルムを接触させて前記光学フィルムの先端部に張力をかける際に、前記駆動ローラを駆動して前記駆動ローラが回転している状態にする、光学フィルムの通紙方法を提供する。ニップローラは、駆動ローラと従動ローラが対向配置され、各ローラの間で光学フィルムを搬送するローラである。
本発明によれば、光学フィルムの通紙作業中に駆動ローラの駆動を停止するため、通紙作業の安全性を高めることが可能である。また、駆動ローラの駆動を停止しても、通紙作業中には、駆動ローラに光学フィルムを接触させる必要がないため、停止している駆動ローラに対する光学フィルムの滑りに起因した光学フィルムの擦れや切れの発生を抑制可能である。
図1に示す製造設備を用いて偏光版Fを製造するにあたっては、まず、繰出ローラ1に巻回されたポリビニルアルコール系フィルム等の原反フィルムF0を繰り出し、処理槽2内の処理浴に浸漬して、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質で染色すると共に一軸延伸する。次いで、オーブン3で乾燥させることで、偏光フィルムF1が得られる。なお、偏光フィルムF1の厚みは、特に限定されるものではないが、一般的に、1~80μm程度であり、1~20μmが好ましい。
図2に示すように、搬送設備100は、駆動ローラR1及び従動ローラR2を有する。図2に示す駆動ローラR1は、従動ローラR2に対して水平方向(図2の左右方向)に対向配置されており、両者でニップローラRを構成している。
まず、図3(a)に示すように、ニップローラRを開く。具体的には、ニップローラRの駆動ローラR1の駆動を停止した状態で、ニップローラRの従動ローラR2を矢符Aの方向に移動させる。
通紙作業時の駆動ローラR1の回転速度は、周速度に換算して、5~30m/minが好ましく、5~20m/minがより好ましく、10~15m/minがさらに好ましい。
なお、図3に図示しない偏光フィルムF1の搬送方向下流側にも、駆動ローラR1や従動ローラR2が存在する場合には、引き続いて、これらのローラに対する通紙作業を行うことになる。この搬送方向下流側の通紙作業において、人が偏光フィルムF1の先端部を手で引っ張って張力をかける際には、図3に示す駆動ローラR1も駆動して回転させることになる。
しかしながら、本発明は、これに限るものではなく、少なくとも駆動ローラR1に偏光フィルムF1を接触させて偏光フィルムF1の先端部に張力をかける際に、駆動ローラが回転している状態であればよい。例えば、駆動ローラR1に偏光フィルムF1を掛けて接触させた状態であったとしても、偏光フィルムF1を引っ張らない(張力をかけない)限り、必ずしも駆動ローラR1を駆動して回転させる必要はない。
図4に示す搬送設備100Aも、図2に示す搬送設備100と同様に、駆動ローラR1’及び従動ローラR2を有する。ただし、図4に示す駆動ローラR1’は、図2に示す駆動ローラR1と異なり、ニップローラを構成せず、駆動ローラR1’単独で偏光フィルムF1を長手方向に搬送することができる。このような駆動ローラR1’としては、偏光フィルムF1を負圧吸引しながら搬送するサクションローラを例示できる。
また、駆動ローラR1’の回転速度は、通紙後の偏光フィルムF1の通常搬送時(偏光板Fの製造時)の駆動ローラR1’の回転速度以下に設定することが好ましい。
さらに、図4に図示しない偏光フィルムF1の搬送方向下流側にも、駆動ローラR1、R1’や従動ローラR2が存在する場合には、引き続いて、これらのローラに対する通紙作業を行うことになる。この搬送方向下流側の通紙作業において、人が偏光フィルムF1の先端部を手で引っ張って張力をかける際には、図4に示す駆動ローラR1’も駆動して回転させることになる。
図5に示す搬送設備100Bも、図2に示す搬送設備100や図4に示す搬送設備100Aと同様に、駆動ローラR1及び従動ローラR2を有する。図5に示す駆動ローラR1は、従動ローラR2に対して上下方向に対向配置されており、両者でニップローラRを構成している。
R・・・ニップローラ
R1、R1’・・・駆動ローラ
R2・・・従動ローラ
F1・・・偏光フィルム(光学フィルム)
Claims (4)
- ニップローラを構成する駆動ローラ及びこれに対向する従動ローラを有する搬送設備のパスラインに光学フィルムを通紙する方法であって、
前記ニップローラを開いた状態で、前記駆動ローラだけに前記光学フィルムを接触させて前記光学フィルムの先端部に張力をかける際に、前記駆動ローラを駆動して前記駆動ローラが回転している状態にする、光学フィルムの通紙方法。 - 前記駆動ローラに前記光学フィルムを接触させる前から前記駆動ローラを駆動する、請求項1に記載の光学フィルムの通紙方法。
- 前記光学フィルムの通紙時の前記駆動ローラの回転速度を、前記光学フィルムの通紙後の通常搬送時の前記駆動ローラの回転速度以下に設定する、請求項1又は2に記載の光学フィルムの通紙方法。
- 前記光学フィルムが、偏光フィルムである、請求項1から3の何れか一項に記載の光学フィルムの通紙方法。
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