JP7361388B2 - センサ、センサの製造方法、圧力または温度の測定システムおよび測定方法 - Google Patents

センサ、センサの製造方法、圧力または温度の測定システムおよび測定方法 Download PDF

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Description

本開示は、センサ、その製造方法、圧力または温度の測定システムおよび測定方法に関し、より特定的には、対象物に印加される圧力または対象物の温度を測定するための技術に関する。
金属ナノ粒子を用いたセンシング技術が提案されている。たとえば特開2007-170932号公報(特許文献1)は、金属微粒子-クロモジェニック複合材料を開示する。この複合材料は、金属微粒子を、クロモジェニック材料となるマトリックスと接触または接近させて配置した構造を有する。複合材料は、クロモジェニック材料の光学変化を可逆的に制御することにより、金属微粒子の表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)、または、光吸収もしくは光散乱のピーク値の波長シフトを可逆的に制御できる。
特開2007-170932号公報 特開2012-137485号公報
金属ナノ粒子を用いたセンサ(具体的には圧力センサまたは温度センサ)の実用化に向けて、より簡易な構成を有するセンサが求められている。また、そのような簡易な構成のセンサを、できるだけ容易に製造可能であることが好ましい。
本開示は上記課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、金属ナノ粒子を用いた簡易な構成を有するセンサを提供することである。また、本開示の他の目的は、金属ナノ粒子を用いたセンサを容易に製造可能な技術を提供することである。
(1)本開示のある局面に従うセンサは、圧力または温度を測定するためのセンサである。このセンサは、螺旋構造を有する液晶と金属ナノ粒子とを含む光応答材料と、光応答材料の少なくとも一部を覆い、光応答材料に照射される光に対して光透過性を有する光透過層とを備える。
(2)液晶は、コレステリック液晶、スメクティック液晶およびTGB(Twisted Grain Boundary)液晶のうちの少なくとも1つを含む。
(3)液晶の螺旋構造は、光応答材料への照射光の波長を光応答材料の屈折率で除した螺旋ピッチを有する。(4)光応答材料への照射光の波長は、可視域に含まれる。液晶の螺旋構造の螺旋ピッチは、サブマイクロメートルオーダーである。(5)光応答材料への照射光の波長は、赤外域に含まれる。液晶の螺旋構造の螺旋ピッチは、マイクロメートルオーダーである。
(6)本開示の他の局面に従うセンサの製造方法は、圧力または温度を測定するためのセンサの製造方法である。この製造方法は、金属ナノ粒子が分散した金属ナノ粒子分散液を還元法により準備するステップと、螺旋構造を有する液晶を作製可能な材料を金属ナノ粒子分散液に導入することで金属ナノ粒子ドープ液晶を調製するステップとを含む。
(7)金属ナノ粒子分散液における金属ナノ粒子の平均粒子間距離は、ナノメートルオーダーからマイクロメートルオーダーの範囲である。(8)金属ナノ粒子分散液における金属ナノ粒子の平均粒子間距離は、サブマイクロメートルオーダーからシングルマイクロメートルオーダーの範囲である。
(9)本開示のさらに他の局面に従う測定システムは、対象物に設置されたセンサを用いて、対象物に印加される圧力または対象物の温度を測定する。センサは、螺旋構造を有する液晶と金属ナノ粒子とを含む光応答材料を有する。測定システムは、センサに照射された光を検出する光検出器と、光検出器からの信号に所定の信号処理を施すことにより、対象物の圧力または温度を算出する演算装置とを備える。
(10)光検出器は、センサを撮影するカメラを含む。演算装置は、カメラにより撮影された画像の色情報に基づいて、対象物の圧力または温度を算出する。
(11)光検出器は、センサの透過光または反射光を分光する分光器を含む。演算装置は、分光器により取得された吸光度スペクトルまたは反射スペクトルのピーク波長に基づいて、対象物の圧力または温度を算出する。
(12)本開示のある局面に従う測定方法は、対象物に設置されたセンサを用いて、対象物に印加される圧力または対象物の温度を測定するための測定方法である。センサは、螺旋構造を有する液晶と金属ナノ粒子とを含む光応答材料を有する。測定方法は、センサに照射された光を光検出器により検出するステップと、光検出器からの信号に所定の信号処理を施すことにより、対象物の圧力または温度を算出するステップとを含む。
(13)光応答材料の屈折率に液晶の螺旋構造の螺旋ピッチを乗じた波長の光を光応答材料に照射するステップをさらに含む。
本開示によれば、金属ナノ粒子を用いた簡易な構成を有するセンサ(圧力センサまたは温度センサ)を提供できる。また、本開示によれば、金属ナノ粒子を用いたセンサを容易に製造できる。
実施の形態1に係る圧力測定システムの全体構成を概略的に示す図である。 測定治具の構成例をより詳細に示す図である。 実施の形態1における圧力センサ5の構成例を示す図である。 圧力センサの画像を示す図である。 光応答材料に用いられる液晶を説明するための図である。 圧力変化に伴うコレステリック液晶の変化の様子を説明するための概念図である。 金ナノ粒子ドープ液晶の金ナノ粒子の様子を説明するための概念図である。 実施の形態1に係る圧力センサの製造手順を示すフローチャートである。 金ナノ粒子ドープ液晶の外観の時間変化を示す図である。 圧力センサの外観を比較するための図である。 圧力印加時の測定治具および圧力センサの画像を示す図である。 実施の形態1における圧力測定処理を示すフローチャートである。 金ナノ粒子フリーサンプルにおけるスペクトル測定結果の例を示す図である。 希釈サンプルにおけるスペクトル測定結果の例を示す図である。 基準サンプルにおけるスペクトル測定結果の例を示す図である。 濃縮サンプルにおけるスペクトル測定結果の例を示す図である。 様々な圧力印可時における吸光度スペクトルの測定結果を示す図である。 吸光度スペクトルから求められたピーク波長と圧力との間の関係を示す図である。 様々な圧力印可時における反射スペクトルの測定結果を示す図である。 反射スペクトルから求められたピーク波長と圧力との間の関係を示す図である。 圧力印加時にカメラにより撮影された透過像を示す図である。 圧力印加時にカメラにより撮影された反射像を示す図である。 実施の形態2に係る圧力測定システムの全体構成を概略的に示す図である。 圧力測定システム2における測定の様子を示す図である。 対象物の一例を示す図である。 実施の形態2における圧力測定処理を示すフローチャートである。
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
<用語の定義>
本開示およびその実施の形態において、「金属ナノ粒子」とは、ナノメートルオーダーの粒径を有する金属粒子である。「金属ナノ粒子集合体」とは、複数の金属ナノ粒子が凝集することによって形成された集合体である。「金属ナノ粒子集積構造体」とは、複数の金属ナノ粒子が相互作用部位を介してビーズの表面に固定され、互いに隙間を設けて、金属ナノ粒子の直径以下の間隔で配置された構造体である。
本開示およびその実施の形態において、「ナノメートルオーダー」には、1nmから1000nm(=1μm)までの範囲が含まれる。「ナノメートルオーダー」は、典型的には1~100nmの範囲であり、好ましくは1~50nmの範囲である。
本開示およびその実施の形態において、「マイクロメートルオーダー」には、1μmから1000μm(=1mm)までの範囲が含まれる。「サブマイクロメートルオーダー」には、0.1μm(=100nm)から1μmまでの範囲が含まれる。「シングルマイクロメートルオーダー」には、1μmから10μmまでの範囲が含まれる。したがって、「サブマイクロメートルオーダーからシングルマイクロメートルオーダーまでの範囲」とは、0.1μm~10μmまでの範囲を意味する。
本開示およびその実施の形態において、「金属ナノ粒子に誘起される局在表面プラズモン共鳴の波長域」とは、たとえば、金属ナノ粒子の局在表面プラズモン共鳴のピークの半値全幅に対応する波長域である。この波長域は、典型的には400nm~700nmの可視域に含まれる。
本開示およびその実施の形態において、紫外域とは、200nm~360nmの波長委器を意味する。可視域とは、360nm~700nmの波長域を意味する。赤外域とは、700nm~5μmの波長域を意味する。「白色光」とは、紫外域から近赤外域までの波長域(たとえば200nm~1100nmの波長域)の光を意味する。白色光は、連続光であってもよいしパルス光であってもよい。
本開示およびその実施の形態において、「光透過性を有する」とは、物質を通過する光の強度がゼロよりも大きい性質を意味する。光が物質を通過する場合、残りの光のエネルギーはその物質によって吸収、散乱または反射されてもよい。また、その光の波長領域は、紫外域、可視域および近赤外域のいずれかの領域、これら3つの領域のうちの2つの領域にまたがる領域、3つの領域のすべての領域にまたがる領域のいずれでもよい。光透過性は、たとえば透過率の範囲によって定義できる。この場合、透過率の範囲の下限は0よりも大きければよく、特に限定されない。
[実施の形態1]
<圧力測定システムの全体構成>
図1は、実施の形態1に係る圧力測定システムの全体構成を概略的に示す図である。以下、x方向およびy方向は水平方向を表す。x方向とy方向とは互いに直交する。z方向は鉛直方向を表す。重力の向きはz方向下方である。
図1を参照して、圧力測定システム1は、対象物9の表面に印加される圧力(荷重)を測定する。後述する実施例では、圧力測定システム1は、対象物9の表面に錘により印加される圧力の分布を測定するための実験システムである。圧力測定システム1は、光源11と、測定治具12と、ステージ13と、対物レンズ14と、光学部品15と、分光器16と、カメラ17と、コントローラ18とを備える。
光源11は、測定治具12に設置された圧力センサ5(図2~図4参照)を照らす光を発する。この照射光は白色光であることが好ましい。後述する実施例ではハロゲンランプが光源11として用いられる。しかし、光源11はLED(Light Emitting Diode)または蛍光灯などであってもよい。
ただし、光源11は、白色光以外を発する光源であってもよい。詳細は後述するが、光源11は、液晶の反射波長域のうちの少なくとも一部と、金属ナノ粒子に誘起される局在表面プラズモン共鳴の波長域のうちの少なくとも一部とを含むのであれば、白色光の波長域よりも狭い波長域の光を発する光源であってもよい。
測定治具12は、対象物9上に配置される圧力センサ5に所望の圧力を印加することが可能に構成されている。また、測定治具12は、光源11からの光を圧力センサ5に照射することが可能に構成されている。測定治具12の構成例については図2にて説明する。
ステージ13は測定治具12を保持する。ステージ13は、たとえば、ステージ13上に載置された物体(この例では測定治具12)をx方向、y方向およびz方向に移動可能なXYZ軸ステージである。XYZ軸ステージの採用により、光源11からの光を圧力センサ5の狙った位置に照射できる。
対物レンズ14は、光源11から圧力センサ5に照射された光を取り込む。図1では、圧力センサ5を透過した光が対物レンズ14に取り込まれる光学系が示されているが、圧力センサ5により反射した光を対物レンズ14に取り込んでもよい。対物レンズ14に取り込まれた光は光学部品15に達する。
光学部品15は、ミラー、ダイクロイックミラー、プリズム、光ファイバなどの中から適宜選択される。この実施例では、ダイクロイックミラーが光学部品15として用いられる。圧力測定システム1の光学系は、対物レンズ14に取り込まれた光が光学部品15により分光器16およびカメラ17へと導かれるように調整されている。
分光器16は、コントローラ18からの指令に従って圧力センサ5のスペクトル(吸光度スペクトルまたは反射スペクトル)を測定し、その測定結果をコントローラ18に出力する。分光器16は、紫外域から近赤外域までの波長域でスペクトルを測定可能な分光器(紫外可視赤外分光光度計)であることが好ましい。分光器16に代えて、波長情報を取得可能なカメラ(マルチスペクトルカメラまたはハイパースペクトルカメラ)を採用してもよい。分光器16の波長分解能は、より小さいほど好ましい。分光器16の波長分解能は、たとえば10nm以下、5nm以下、2nm以下または1nm以下であるが、これに限定されない。なお、分光器16は、本開示に係る「光検出器」に相当する。
カメラ17は、コントローラ18からの指令に従って圧力センサ5を撮影し、撮影した画像をコントローラ18に出力する。実施の形態1において、カメラ17は圧力センサ5の変化の様子を観察するための補助的な機器であり、圧力測定には用いられない(図20および図22参照)。よって、カメラ17は省略可能である。
コントローラ18は、たとえばパーソナルコンピュータであって、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ181と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリ182と、入出力ポート(図示せず)とを含む。コントローラ18は、分光器16およびカメラ17を制御する。また、コントローラ18は、分光器16により測定されたスペクトルから所定の情報(後述)を抽出することによって、対象物9の表面の圧力分布を算出する。さらに、コントローラ18は、カメラ17により撮影された画像(圧力印加時の圧力センサ5の透過像)を記録するようにも構成されている。なお、コントローラ18は、本開示に係る「演算装置」に相当する。
<測定治具の構成>
図2は、測定治具12の構成例をより詳細に示す図である。図2を参照して、測定治具12は、スライドガラス121,122と、錘123,124とを含む。
スライドガラス121,122は、平らな直方体形状(平板形状)を有するガラス板である。スライドガラス121は圧力センサ5の上面に配置し、スライドガラス122は対象物9の下面に配置している。スライドガラス121とスライドガラス122とは、その間に圧力センサ5と対象物9と挟み込む。ただし、後述する実施例では、圧力センサ5自身の性能を評価するため、対象物9がない状態(圧力センサ5単独の状態)での圧力測定結果が示されている。なお、スライドガラス121,122も圧力印加を容易にするための構成要素に過ぎず、必須ではない。
錘123は、スライドガラス121の長辺両端のうちの一端の近傍に設置されている。錘124は、スライドガラス121の長辺両端のうちの他端の近傍に設置されている。このように錘123,124をスライドガラス121の両端に配置することで、圧力センサ5および対象物9に圧力を均等に印加できる。なお、後述する実施例では、錘123,124の各々は、50g、100g、150gまたは200g相当の枚数のコインであった。
<圧力センサの構成>
図3は、実施の形態1における圧力センサ5の構成例を示す図である。図3を参照して、圧力センサ5は、基板51と、透明フィルム52と、光応答材料53と、スペーサ54とを含む。
基板51は光応答材料53およびスペーサ54の下面に配置し、透明フィルム52は光応答材料53およびスペーサ54の上面に配置している。これにより、基板51と透明フィルム52とは、光応答材料53およびスペーサ54を上下から挟み込む。基板51は、圧力センサ5に機械的強度を与える。透明フィルム52は、光源11からの照射光(たとえば白色光)に対して光透過性を有する材料により形成されている。透明フィルム52は、本開示に係る「光透過層」に相当する。
この例では、基板51および透明フィルム52の材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート等の透明樹脂または透明ポリマーである。しかし、基板51および透明フィルム52の材料は、樹脂またはポリマーに限定されず、ガラス、石英などであってもよい。
なお、基板51が光透過性を有することは必須ではない。光源11から光が照射される側に位置する透明フィルム52が光透過性を有せば、基板51が光透過性を有することは要求されない。
光応答材料53は、光応答材料53に印加される圧力に応じて色が変化するゲル材料である。光応答材料53は、液晶と金属ナノ粒子とを含む。光応答材料53の構成については後に詳細に説明する。
スペーサ54は、基板51と透明フィルム52との間において、光応答材料53を取り囲むように設けられている。これにより、スペーサ54は、光応答材料53を保持する空間を基板51と透明フィルム52との間に確保するとともに、圧力センサ5からの光応答材料53の流出を防ぐ。たとえば両面テープをスペーサ54として用いることができる。なお、スペーサ54は圧力センサ5に必須の構成ではなく省略可能である。
以下に説明する実施例では、基板51および透明フィルム52は、いずれも帝人株式会社製の透明導電性フィルム(型番:PFC100-D150)を用いた。スペーサ54として、ニチバン株式会社製の両面テープ(厚さ:約0.12mm)を用いた。スライドガラス121,122のサイズは、26mm×76mm×1mmであった。
図4は、圧力センサ5の画像を示す図である。図4には、圧力センサ5の性能評価のために圧力センサ5がスライドガラス121,122の間に挟まれた状態を上方から撮影した画像が示されている。
<圧力測定メカニズム>
図5は、光応答材料53に用いられる液晶を説明するための図である。本実施の形態では、光応答材料53として、金ナノ粒子がドープ(添加)されたコレステリック液晶が用いられる。以下、この材料を「金ナノ粒子ドープ液晶」とも称する。なお、光応答材料53に使用可能な金属ナノ粒子は、金ナノ粒子に限られず、たとえば銀ナノ粒子であってもよい。
図5に示すように、コレステリック液晶は螺旋構造を有する。より詳細には、コレステリック液晶は、液晶分子が軸周りに螺旋状に配列した層状構造を有する。各層状構造内での液晶分子は同一方向に配向している。以下、液晶分子の層状構造が軸周りに一周するときの軸方向の長さを「螺旋ピッチ」と言い、pで表す。隣接する層状構造は、軸周りに一定方向に一定角度ずつねじれている(ねじれ角)。一般に、ねじれ角は数分から数度まで様々であり、それにより螺旋ピッチpもサブマイクロメートルオーダーから、より大きなオーダー(たとえばミリメートルオーダー)まで幅広く分布し得る。
光源11からの光照射下で圧力センサ5に印加される圧力が変化した場合、コレステリック液晶の作用と金ナノ粒子の作用との両方の影響により圧力センサ5の色が変化する。
図6は、圧力変化に伴うコレステリック液晶の変化の様子を説明するための概念図である。図6には、コレステリック液晶が有する5つの液晶層61~65が模式的に示されている。金ナノ粒子7は各液晶層上に分布している。
コレステリック液晶は、螺旋ピッチpに媒体(ゲル材料)の屈折率を乗算した波長の光を選択的に反射する。少量のコレステリック液晶分子を水(超純水)に加える場合、そのゲル材料の屈折率nは、水の屈折率に等しいと近似可能である(n≒1.33)。したがって、コレステリック液晶による反射光の波長λは、下記式(1)のように表される。この関係式から、螺旋ピッチpが狭まるに従って反射光の波長λが短くなる(短波長シフトが起こる)ことが分かる。
λ=np ・・・(1)
一例として、螺旋ピッチp=480nmであるとき、波長λ≒640nmであるため、反射光は赤色である。螺旋ピッチp=300nmになると、波長λ≒400nmとなり、反射光は紫色に変化する。このように、コレステリック液晶からは螺旋ピッチpに応じた特定波長の反射光が得られる。
圧力センサ5に印加される圧力が上昇すると、コレステリック液晶が収縮し、螺旋ピッチpが狭まる。そうすると、コレステリック液晶の反射特性に起因して反射光の波長が短くなる。逆に、圧力センサ5に印加される圧力が低下すると、コレステリック液晶が膨張し、螺旋ピッチpが広がる。そうすると、コレステリック液晶の反射特性に起因して反射光の波長が長くなる。
なお、可視域での反射光の波長変化を測定する場合(かつ、コレステリック液晶の媒体が水である場合)、螺旋ピッチpは、サブマイクロメートルオーダー(上の例では480nm、300nmなど)である。しかし、螺旋ピッチpを1μm以上(マイクロメートルオーダー)にすることで、赤外域での反射光の波長変化を測定することも可能である。また、反射光を例に説明したが、吸収光においても同様の波長変化が観察される。
図7は、金ナノ粒子ドープ液晶の金ナノ粒子の様子を説明するための概念図である。図7を参照して、金ナノ粒子がドープされたコレステリック液晶中では、上記の関係式(1)は以下のように修正される(下記式(2)参照)。
λ=(n+ΔnGNP)p ・・・(2)
式(2)では、金ナノ粒子のドープによる屈折率の変化をΔnGNPで表している。式(2)より、屈折率(n+ΔnGNP)が高くなるに従って反射光の波長λが長くなることが分かる。
金ナノ粒子濃度が低い場合(図中の「希釈」参照)、屈折率に対する金ナノ粒子の寄与ΔnGNPが無視できるほど小さい(ΔnGNP≒0)。しかし、図中「基準」や「濃縮」に示すように金ナノ粒子の濃度がある程度の高濃度になると、金ナノ粒子間の相互作用が強まり、ΔnGNP(>0)が大きくなる。その結果、屈折率(n+ΔnGNP)が高くなり、反射光の波長λが長くなる。
一方、金ナノ粒子間の相互作用(局在表面プラズモンの協力効果)の強さは、金ナノ粒子の粒子間距離に応じて異なる。そして、局在表面プラズモンの協力効果の強さに応じて、吸光度スペクトルまたは反射スペクトルにおけるピーク波長のシフトの向きおよび大きさ(シフト量)が変化する(波長シフトに関する原理的説明の詳細については特許文献2を参照)。より詳細には、金ナノ粒子の粒子間距離が十分に近くなると(たとえば螺旋ピッチp以下になると)、金ナノ粒子の局在表面プラズモンの協力効果により、ピーク波長が長波長シフトする。このシフト量は、金ナノ粒子の粒子間距離が近いほど大きい。詳細は後述するが、金ナノ粒子の局在表面プラズモン由来のピークの長波長シフトは、コレステリック液晶由来のピークの短波長シフトを弱める方向に作用し得る。
このように、圧力センサ5に印加される圧力に応じて、コレステリック液晶による波長シフトの向きおよび大きさが変化する。また、金ナノ粒子の濃度に応じて、局在表面プラズモンの協力効果に起因するピーク波長シフトの向きおよび大きさが定まる。したがって、圧力センサ5のスペクトルを解析し、スペクトルと圧力との間の対応関係を予め求める。そして、その解析結果を、マップまたは関係式等としてコントローラ18のメモリ182に格納しておく。この対応関係を参照することで、圧力センサ5のスペクトルに基づいて、圧力センサ5に印加された圧力を算出できる。
一般に、コレステリック液晶は、ネマティック液晶とキラル性の添加剤(カイラル材)とを特定範囲の比率で混合することで作製される。螺旋ピッチpは、カイラル材の種類および/または含有率を変更することにより調整可能である。たとえばカイラル材の含有率を高めることで螺旋ピッチpを狭めることができる。
また、金ナノ粒子の粒子間距離は、金ナノ粒子の粒径および/または含有率(濃度)を変更することにより調整可能である。金ナノ粒子の粒径を大きくしたり、金ナノ粒子の濃度を高めたりすることで、金ナノ粒子の粒子間距離を近くすることができる。
コレステリック液晶および金ナノ粒子のいずれか一方のみを圧力センサに用いることも考えられる。これに対し、本実施の形態に係る圧力センサ5は、コレステリック液晶と金ナノ粒子との両方を含む光応答材料53を採用した、いわばハイブリッド型の圧力センサである。このようなハイブリッド型の圧力センサは、以下に説明するように、上記複数のパラメータの組合せを適宜設定することによって、所望の波長域で測定用途に応じた適切な度合いの色変化を起こすように光応答材料53を調製できる点に利点の1つを有する。
まず、コレステリック液晶の螺旋ピッチpを適切な値に設定することで、圧力印加前の反射光の波長(基準波長)を調整したり、圧力印加に伴って変化する反射光のおおよその波長域(変化波長域)を調整したりすることができる。具体的には、螺旋ピッチpをサブマイクロメートルオーダーにすることにより、反射光の波長域を可視域にすることができる。特に、基準波長または変化波長域が可視域の中でも人間の目の感度(比視感度)が高い波長域内に位置するように調整することにより、圧力センサ5の視認性を高めることができる。さらに、前述のように、圧力印加に伴い螺旋ピッチpが狭まるに従って反射光の波長は短くなる。そのため、圧力印加前の基準波長を赤色または赤外の波長域に位置するように調整することで、変化波長域の全部または大部分が可視域に入るようにすることができる。すなわち、可視カメラや人間の目で色変化を観察可能な圧力範囲を広くすることができる。
一方、金ナノ粒子の粒径または濃度を適切な値に設定することで、圧力変化に対する色変化の敏感性(分解能と呼んでもよい)を測定用途に応じて調整できる。微小な圧力変化を測定したい場合には色変化の敏感性を高くすることができ、逆に比較的大きな圧力変化を測定したい場合には色変化の敏感性を敢えて低くすることができる。このように、本実施の形態によれば、光応答材料53をコレステリック液晶と金ナノ粒子とのハイブリッド型とすることで、比視感度が高い範囲において、測定対象とする圧力変化量に適した敏感性を有する圧力センサ5を実現できる。
なお、光応答材料53に使用可能な液晶の種類はコレステリック液晶だけではない。液晶は、分子構造により、コレステリック液晶、ネマティック液晶、スメクティック液晶に大きく分類される。これら液晶のうち、スメクティック液晶も層ごとに液晶分子が回転する螺旋状のモード(スメクティックC*相)を有するので、光応答材料53に使用できる。また、TGB(Twisted Grain Boundary)相と呼ばれる欠陥構造を有する液晶も螺旋構造を有するので光応答材料53に使用可能である。
また、ここでは光応答材料53を対象物9の圧力測定に適用する例について説明したが、対象物9の温度変化についても光応答材料53を用いて測定可能である。コレステリック液晶は、温度上昇に伴って膨張し、温度低下に伴って収縮する。温度変化の測定メカニズムは圧力変化時のメカニズムと同様であるため、詳細な説明は繰り返さない。
<センサ製造フロー>
図8は、実施の形態1に係る圧力センサ5の製造手順を示すフローチャートである。図8を参照して、ステップS11において、金属ナノ粒子を分散媒に分散させた金属ナノ粒子分散液を準備する。後述する実施例では、金属ナノ粒子は金ナノ粒子であり、分散媒は超純水である。
金ナノ粒子分散液の調製には、金イオン(金錯体イオン)含有溶液および還元剤を用いた溶液内還元方法(いわゆる還元法)を採用することが望ましい。たとえば、四塩化金酸をクエン酸還元することができる。金ナノ粒子分散液の調整法としてスパッタ法も知られているが、スパッタ法は採用できない。スパッタ法では、金ナノ粒子が液晶層上に均一に分布した状態が形成されないためである。
ステップS12において、ステップS11にて準備した金ナノ粒子分散媒に液晶分子を導入することによって金ナノ粒子ドープ液晶(光応答材料53)を調製する。本実施例では、コレステリック液晶分子として、セルロース誘導体の一種であるヒドロキシプロピルセルロース(HPC:Hydroxypropyl Cellulose)が用いられる。しかし、コレステリック液晶の原材料として公知の他の材料(コレステリル炭酸エステル、コレステリルエステルなど)を用いてもよい。
ステップS11とステップS12との順序を逆にし、先に超純水にコレステリック液晶分子を導入してから金ナノ粒子を分散させることも考えられる。しかし、その場合にも金ナノ粒子が液晶層上に均一に分布した状態が形成されない。よって、圧力センサ5の製造には適当ではない。
ステップS13において、金ナノ粒子ドープ液晶を基板51上に塗布する。さらに、塗布した金ナノ粒子ドープ液晶をスペーサ54を用いて固定する。
ステップS14において、基板51上に塗布された金ナノ粒子ドープ液晶を透明フィルム52により被覆する。なお、図3では金ナノ粒子ドープ液晶(光応答材料53)の全面が透明フィルム52により覆われているが、金ナノ粒子ドープ液晶の少なくとも一部が透明フィルム52により覆われていればよい。
ステップS15において、基板51と透明フィルム52とを接合する。接合態様は特に限定されず、接着または溶着であってもよいし、機械的固定であってもよい。これにより圧力センサ5が完成する。
以上のように、実施の形態1に係る圧力センサ5は、コレステリック液晶等の螺旋構造を有する液晶分子を金ナノ粒子分散液に導入した基板51と透明フィルム52との間に挟んだだけの簡易な構成を有する。特許文献2には、金属ナノ粒子集積構造体を用いた圧力センサおよび温度センサが開示されている。しかし、金属ナノ粒子集積構造体の作製には、チオール基などの相互作用部位を介して金属ナノ粒子をビーズの表面に固定するステップを要する(たとえば特許文献2の段落[0036]参照)。これに対し、本実施の形態においては、コレステリック液晶分子を金ナノ粒子分散液に導入すればよく、金ナノ粒子集積構造体の作製を要さない。したがって、金ナノ粒子を用いた圧力センサまたは温度センサを、より容易に製造できる。
なお、圧力センサ5に使用可能な金ナノ粒子分散液として、すべての金ナノ粒子が分散していることは要求されず、一部の金属ナノ粒子が凝集していてもよい。言い換えると、金ナノ粒子分散液は、複数の金属ナノ粒子が凝集した金属ナノ粒子集合体を含んでもよい。
<外観観察>
上記のような製造手順に従って製造された金ナノ粒子ドープ液晶および圧力センサ5の外観を観察した。まず、粒径30nmの金ナノ粒子を用いて濃度1.059nMの金ナノ粒子分散液を準備した。0.65gの金ナノ粒子分散液に1.0gのコレステリック液晶分子(HPC)を導入し、金ナノ粒子ドープ液晶を調製した。以下、この原液を用いたサンプルを「基準サンプル」と呼ぶ。
原液と比べて金ナノ粒子が10倍高濃度(10.59nM)である金ナノ粒子分散液を準備した。同量(0.65g)の10倍高濃度の金ナノ粒子分散液に同量(1.0g)のHPCを導入し、金ナノ粒子ドープ液晶を調製した。このサンプルを「濃縮サンプル」と呼ぶ。反対に、原液と比べて金ナノ粒子が10倍低濃度(0.1059nM)である金ナノ粒子分散液を準備した。同量(0.65g)の10倍低濃度の金ナノ粒子分散液に同量(1.0g)のHPCを導入し、金ナノ粒子ドープ液晶を調製した。このサンプルを「希釈サンプル」と呼ぶ。
通常、金ナノ粒子分散液を濃縮する際には、遠心分離を行って上澄み液を除去し、底に残った金ナノ粒子を用いる。金ナノ粒子は小さいため、遠心分離によっても沈降し切らない場合がある。紫外可視赤外分光光度計(UV-vis)を用いて分光測定を行うと、濃縮サンプルにおける金ナノ粒子の濃度は、3.752nM程度(すなわち3.543倍濃縮)であると考えられる。一方、金ナノ粒子分散液を希釈する場合には遠心分離は行わないので、想定濃度に近い濃度が得られる。UV-visの結果から、希釈サンプルにおける金ナノ粒子の濃度は、0.111nM程度(すなわち9.522倍希釈)であると考えられる。
さらに比較のため、金ナノ粒子を含有しないサンプルを準備した。より詳細には、0.65gの超純水に同量(1.0g)のHPCを導入した。このサンプルについては「金ナノ粒子フリー(非含有)サンプル」と記載する。
図9は、金ナノ粒子ドープ液晶の外観の時間変化を示す図である。図9では左から右に濃縮サンプル、基準サンプル、希釈サンプル、金ナノ粒子フリーサンプルの順に並べられている。なお、各サンプルは保存容器(スクリュー管)に保存した。
調製直後および調製から1日経過後では、希釈サンプルおよび金ナノ粒子フリーサンプルが白色であった。一方、基準サンプルは淡赤紫色であり、濃縮サンプルは濃赤紫色であった。いずれのサンプルにも色ムラは、ほとんど確認されなかった。これに対し、調製から数日が経過すると、各サンプルの色が変化した。具体的には、各サンプルの色が部分的に(まだらに)青色~橙色に変化した。
図10は、圧力センサ5の外観を比較するための図である。図10では左から右に、金ナノ粒子フリーサンプル、希釈サンプル、基準サンプル、濃縮サンプルをそれぞれ用いて作製された圧力センサが示されている。金ナノ粒子フリーサンプルの中心部が橙色であり、周辺部は緑色であった。一方、それ以外の金ナノ粒子を含むサンプルの色は、橙色~赤色であった。
各サンプルにおける金ナノ粒子の平均粒子間距離(粒子密度または粒子間隔と呼んでもよい)dは、金ナノ粒子分散液における金ナノ粒子の濃度をc(c=0.111nM、1.059nM、3.752nM)とし、アボガドロ数をN(NA≒6.02×1023)とする場合、下記式(3)に従って見積ることができる。
d={1/(c×N)}1/3 ・・・(3)
希釈サンプルにおける平均粒子間距離d1は、d1=2.46μmであった。基準サンプルにおける平均粒子間距離d2は、d2=1.16μmである。濃縮サンプルにおける平均粒子間距離d3は、d3=0.761μmである。このように、平均粒子間距離d1~d3は、サブマイクロメートルオーダーからシングルマイクロメートルオーダーまでの範囲である。
なお、ここで算出した平均粒子間距離d1~d3は、金ナノ粒子が分散媒(超純水)中に分散した状態での距離である。金ナノ粒子が液晶層上に分布している状態での平均粒子間距離は上記d1~d3よりも短くなっている、すなわち、金ナノ粒子は、より高密度に分布していると考えられる。
図11は、圧力印加時の測定治具12および圧力センサ5の画像(反射像)を示す図である。図11の下半分には、基準サンプルを用いた圧力センサ5を測定治具12に設置した状態での「圧力なし」(錘123,124なし)での画像と「圧力あり」(錘123,124あり)での画像とが示されている。また、図11の上半分には、比較のため、金ナノ粒子フリーサンプルを用いた圧力センサ5を測定治具12に設置した状態での画像が示されている。
「圧力あり」において圧力センサ5に印加される圧力P[単位:Pa]は、下記式(4)に従って算出できる。
P=αW/S ・・・(4)
式(4)において、Wは錘の質量[単位:kg]である。Sは、周囲のスペーサ54を含めた金ナノ粒子ドープ液晶(光応答材料53)の面積[単位:cm]である。αは、単位面積当たりの質量[単位:kg/cm]を単位面積当たりの力[単位:N/m=Pa]に単位換算するための係数であり、α=9.8×10と算出される。
上記式(4)に基づき、錘が50gである場合の圧力Pは、P=1396[Pa]と算出される。錘が100gである場合の圧力Pは、P=2792[Pa]と算出される。錘が150gである場合の圧力Pは、P=4188[Pa]と算出される。錘が200gである場合の圧力Pは、P=5584[Pa]と算出される。
実施の形態2にて説明する模擬実験(水洞実験)では、最大100kPa程度の圧力を測定可能であることが求められる。上記の圧力Pの範囲で圧力変化を圧力センサ5により測定できれば、模擬実験に要求される圧力範囲の少なくとも半分以上をカバーできると評価できる。後述するが、金ナノ粒子ドープ液晶の組成を変更することで、模擬実験に要求される全圧力範囲をカバーすることも可能である。なお、模擬実験では、10Pa程度の圧力差を区別できる(すなわち圧力分解能が10Paである)ことが望ましい。
<圧力測定フロー>
図12は、実施の形態1における圧力測定処理を示すフローチャートである。図12および後述する図26に示すフローチャートは、たとえば、測定者がコントローラ18を操作する(たとえば測定開始ボタンを押す)などして測定開始条件が成立した場合にメインルーチン(図示せず)から呼び出されて実行される。これらのフローチャートに含まれる各ステップは、基本的にはコントローラ18によるソフトウェア処理によって実現されるが、コントローラ18内に作製された専用のハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
図12を参照して、ステップS21において、コントローラ18は、圧力センサ5(対象物9)への光照射を開始するように光源11を制御する。この光照射はスペクトル測定が完了するまで継続される。なお、光源11からの照射光は、金ナノ粒子ドープ液晶の屈折率(n+ΔnGNP)にコレステリック液晶の螺旋ピッチpを乗じた波長を含む(上記式(2)参照)。
ステップS22において、コントローラ18は、圧力センサ5のスペクトル(吸光度スペクトルまたは反射スペクトル)を取得するように分光器16を制御する。
ステップS23において、コントローラ18は、ステップS22にて取得したスペクトルを解析し、圧力センサ5が表す圧力を算出する。このスペクトル解析については後述する。
ステップS24において、コントローラ18は、ステップS23での圧力の算出結果を出力する。たとえば、コントローラ18は、対象物9の表面の圧力分布を図示しないモニタに表示させることができる。
ステップS25において、コントローラ18は、測定終了条件が成立したかどうかを判定する。ユーザが所定操作(測定終了ボタンの押下など)を行ったり、スペクトルが所定時間または所定回数だけ取得されたりした場合に、測定終了条件が成立したと判定される。測定終了条件が成立していない場合(ステップS25においてNO)、コントローラ18は、処理をS22に戻す。これにより対象物9の撮影が継続される。測定終了条件が成立すると(ステップS25においてYES)、コントローラ18は、対象物9への光照射を停止させ(ステップS26)、処理をメインルーチンに戻す。これにより一連の処理が終了する。
<吸光度スペクトルと反射スペクトルとの比較>
図13は、金ナノ粒子フリーサンプルにおけるスペクトル測定結果の例を示す図である。図14は、希釈サンプルにおけるスペクトル測定結果の例を示す図である。図15は、基準サンプルにおけるスペクトル測定結果の例を示す図である。図16は、濃縮サンプルにおけるスペクトル測定結果の例を示す図である。図13~図16の各図では、吸光度スペクトルが上に示され、反射スペクトルが下に示されている。同一条件下で3回のスペクトル測定を実施した。
図13~図16を参照して、いずれのサンプルにおいても、吸光度スペクトルのピーク波長と反射スペクトルのピーク波長とは、ほぼ等しかった。具体的に、金ナノ粒子フリーサンプルにおける両スペクトルのピーク波長λpは、614nmであった。希釈サンプルにおける両スペクトルのピーク波長λpは、630nmであった。基準サンプルにおける両スペクトルのピーク波長λpは、641nmであった。濃縮サンプルにおける両スペクトルのピーク波長λpは、620nmであった。このことから、吸光度スペクトルを測定しても反射スペクトルを測定してもよいことが分かる。
<ピーク波長vs圧力>
図17は、様々な圧力印可時における吸光度スペクトルの測定結果を示す図である。図17および図18(後述)では上から順に、金ナノ粒子フリーサンプル、希釈サンプル、基準サンプルおよび濃縮サンプルでの測定結果が示されている。図17において、横軸は波長を表し、縦軸は吸光度を表す。
図17より、圧力センサ5に印加される圧力に応じて吸光度スペクトルに著しい変化が起こることが分かる。これらの吸光度スペクトルからピーク波長λpを読み取り、ピーク波長λpと圧力との間の相関関係を別グラフに整理した。
図18は、吸光度スペクトルから求められたピーク波長λpと圧力との間の関係を示す図である。図18において、横軸は圧力センサ5への印加圧力[単位:kPa]を表し、縦軸は吸光度スペクトルのピーク波長λpを表す。
図18を参照して、図17に示した測定結果を当該グラフ上にプロットすると、圧力とピーク波長λpとの間の関係を直線近似することが可能であった。この近似直線の傾きをサンプル間で比較すると、基準サンプルにおける傾きの絶対値が最も大きかった。このことから、4つのサンプルの中で圧力変化がピーク波長λpのシフト量に最も反映されやすい(すなわち最も高感度である)のが基準サンプルであることが分かる。この解析結果から、単に金ナノ粒子分散液の濃度を濃くすれば圧力変化に対する感度が向上するわけではなく、金ナノ粒子分散液の濃度には適切な範囲(あるいは最適な濃度)が存在することが示唆される。
続いて、圧力センサ5の局所的な反射スペクトルから同様の手順でピーク波長と圧力との間の関係を求めた結果について説明する。
図19は、様々な圧力印可時における反射スペクトルの測定結果を示す図である。図20は、反射スペクトルから求められたピーク波長λpと圧力との間の関係を示す図である。図19および図20では、金ナノ粒子フリーサンプルの測定結果が上に示され、基準サンプルでの測定結果が下に示されている。
図19および図20に示すように、反射スペクトルの解析結果が吸光度スペクトルの解析結果と同様であることが確認された。つまり、反射スペクトルにおいても、圧力とピーク波長λpとの間の関係の直線近似が可能であった。また、基準サンプルにおける近似直線の傾き(絶対値)の方が金ナノ粒子フリーサンプルにおける近似直線の傾きよりも大きかった。
後に実施の形態2にて説明する模擬実験に要求されるような広範囲の圧力変化(最大100kPa程度の圧力変化)を測定するためには、色変化の敏感性を意図的に低くすることが望ましい。つまり、近似直線の傾きを小さくすることが望ましい。たとえば、ピーク波長が波長700nmを起点として400nmまでシフトすることを想定した場合、近似直線の傾きを-3[nm/kPa]程度にすればよい。金ナノ粒子ドープ液晶の組成(金ナノ粒子の粒径、金ナノ粒子のドープ量および/または超純水の量など)を適宜調整することで、近似直線の傾きを上記のような小さな値に設定できる。
より詳細には、金ナノ粒子をより高濃度にすれば、金ナノ粒子の平均粒子間距離をシングルマイクロメートルオーダー以下(ナノメートルオーダー)にすることも可能である。金ナノ粒子の局在表面プラズモン間の相互作用が顕著になるのは平均粒子間距離がナノメートルオーダー程度の場合である。平均粒子間距離がナノメートルオーダーである場合、金ナノ粒子の局在表面プラズモン由来のピークとコレステリック液晶由来のピークとが接近する。そうすると、金ナノ粒子中の局在表面プラズモン由来のピークの長波長シフトと、コレステリック液晶由来のピークの短波長シフトとが互いに弱め合うことで(キャンセレーション)、色変化の敏感性が低下する。その結果、広範囲な圧力変化を測定可能な圧力センサ5を実現できる。
一方、金ナノ粒子の平均粒子間距離をシングルマイクロメートルオーダー以上(マイクロメートルオーダー)にしてもよい。本実施例では粒径30nmの金ナノ粒子を用いたが、金ナノ粒子の粒径がより大きい(たとえば数百nm)場合には、平均粒子間距離をマイクロメートルオーダーとすることができる。平均粒子間距離がマイクロメートルオーダーであっても圧力変化に応じたスペクトル変化が起こる。このように、金ナノ粒子の平均粒子間距離は、ナノメートルオーダーからマイクロメートルオーダーまでの範囲であればよい。
<圧力印加時の透過像>
図21は、圧力印加時にカメラ17により撮影された透過像を示す図である。図21では、上から下に順に、金ナノ粒子フリーサンプル、希釈サンプル、基準サンプルおよび濃縮サンプルの透過画像を表す。左から右に行くほど印加圧力が高くなっている。図22は、圧力印加時にカメラ17により撮影された反射像を示す図である。図22では、上から下に、金ナノ粒子フリーサンプルおよび基準サンプルの透過画像を表す。
錘123,124を使用しない場合(0g)の測定結果を示す左端画像に記載された白円は、図13~図16等にて説明したスペクトルの測光領域を表す。本実施の形態によれば、白円で囲まれた直径25μm程度の微小領域の圧力を測定できる。対物レンズ14の倍率を上げ、たとえば100倍にすると、直径10μm程度のさらに微小な領域の圧力を測定することもできる。なお、原理的には光の回折限界である波長程度の大きさ(1μm以下)の領域の圧力測定も可能である。
図21および図22のいずれからも、圧力の変化に伴い色が変化する(詳細には薄青色から薄紫色に変化する)ことが分かる。なお、各画像中の黒い影は金ナノ粒子ドープ液晶中に発生したマイクロバブルである。
以上のように、実施の形態1によれば、金ナノ粒子を用いた簡易な構成を有する圧力センサ5を、より容易に製造できる。このセンサは、温度センサとしても使用可能である。実施の形態1においては、圧力センサ5の分光測定により得られるスペクトルが解析される。スペクトルの種類は、吸光度スペクトルであってもよいし反射スペクトルであってもよい。スペクトルのピーク波長のシフトに基づき、対象物9に印加される圧力を算出できる。さらに、ピーク波長のシフトを連続的または断続的に取得することで、対象物9に印加される圧力の時間変化を追跡することも可能である。
[実施の形態2]
実施の形態1では、分光により取得される圧力センサ5のスペクトル変化に基づいて、圧力センサ5に印加される圧力を測定する構成について説明した。実施の形態2においては、圧力センサ5を撮影することで取得される画像の色変化に基づき圧力を測定する構成について説明する。圧力センサ5自体の構成は、実施の形態1にて説明した構成(図3および図4参照)と基本的に同等である。
<圧力測定システムの構成>
図23は、実施の形態2に係る圧力測定システムの全体構成を概略的に示す図である。図23を参照して、圧力測定システム2は、対象物9の表面に流体媒体が作用することで対象物9に印加される圧力を測定するための実験システムである。より詳細には、圧力測定システム2は、流体媒体が対象物9に衝突することにより生じる対象物9の表面の圧力分布を測定する。対象物9は、たとえば小型の構造物(建物模型)である。
このような模擬実験は一般に、流体媒体が空気である場合には「風洞実験」と呼ばれる。一方、本実施の形態における流体媒体は、水または水溶液などの液体である。したがって、圧力測定システム2を「水洞実験システム」と呼ぶこともできる。ただし、流体媒体は気体(空気など)であってもよい。
圧力測定システム2は、光源21と、水槽22と、カメラ23と、コントローラ24とを備える。
光源21は、対象物9に照射するための光を発する。実施の形態1と同様に、この照射光は、ハロゲンランプ等からの白色光であることが好ましいが、光源21の種類は特に限定されるものではない。対象物9に照射される光は、たとえば、実験室の天井に設けられた照明からの光であってもよいし日光であってもよい。このように、光源21は、圧力測定システム2の外部に設けられていてもよいので、圧力測定システム2に必須の構成要素ではない。
水槽22は、回流型水槽であって、ポンプ221と、第1主要部222と、整流部223と、測定部224と、第2主要部225とを含む。なお、ポンプ221を除く水槽22の大きさは、幅1245mm、奥行き500mm程度である。
ポンプ221は、液体を吐出することによって液体の流れを発生させる。図中矢印で示すように、ポンプ221から吐出した液体は、第1主要部222-整流部223-測定部224-第2主要部225の順に流れてポンプ221へと戻る。ポンプ221は、コントローラ24からの指令に従って動作してもよいし、測定者による手動操作に従って動作してもよい。ポンプ221からの吐出量を変更することによって、所望の流速の液体が測定部224を流れるように調整できる。
第1主要部222および第2主要部225は、液体が回流する流路の主要部分である。第1主要部222は、ポンプ221と整流部223とを接続する。第2主要部225は、測定部224とポンプ221とを接続する。この例では、第1主要部222および第2主要部225における流路の断面形状は、100mm×100mmの正方形である。
整流部223は、第1主要部222と測定部224との間に設けられている。整流部223は、第1主要部222からの液体を整流し、整流した液体を測定部224に供給する。具体的には、整流部223は、ハニカム部223Aと、くびれ部223Bとを含む。ハニカム部223Aは、ハニカム状に配置された多数の流通孔(メッシュ)を有する。くびれ部223Bは、ハニカム部223Aよりも下流に設けられ、液体の流れ方向に断面積が縮小する形状を有する。液体がハニカム部223Aを流通することで整流されて液体の均一性が向上する。さらに、液体がくびれ部を流通する際に収縮する(縮流が発生する)ことで液体の均一性を一層向上させることができる。
測定部224は、整流部223と第2主要部225との間に設けられている。測定部224は、対象物9を設置可能に構成されている。測定部224の上流に単数または複数の抵抗体に配置してもよい。これにより、目標とする乱流構造を有する流れを発生させ、その流れを対象物9に作用させることができる。なお、この例では、測定部224の断面形状は、30mm×30mmの正方形である。測定部224の長さは335mmである。
図24は、圧力測定システム2における測定の様子を示す図である。図24では、煩雑さを避けるため水槽22等の図示を省略し、対象物9が露出した状態が示されている。
図23および図24を参照して、カメラ23は、コントローラ24からの指令に従って光照射下の対象物9を撮影し、撮影した画像をコントローラ24に出力する。カメラ23は、たとえば動画を撮影可能なビデオカメラである。動画を撮影することで、対象物9の表面における圧力分布の時間変化を追跡できる。ただし、カメラ23は、静止画を撮影するスチールカメラであってもよい。なお、カメラ17は、本開示に係る「光検出器」に相当する。
なお、この例では対象物9を実寸大で撮影するので、実施の形態1と異なり、対物レンズ14(図1参照)は設けられていない。しかし、対象物9を遠方から撮影することも可能である。その場合には望遠レンズ(図示せず)を設けることができる。
コントローラ24は、たとえばパーソナルコンピュータであって、CPUなどのプロセッサ241と、ROMおよびRAMなどのメモリ242と、入出力ポート(図示せず)とを含む。コントローラ24はカメラ23を制御する。また、コントローラ24は、カメラ23により撮影された画像に所定の画像処理を施すことによって、対象物9の表面の圧力分布を算出する。コントローラ24による画像処理については後述する。
図25は、対象物9の一例を示す図である。図25を参照して、対象物9は、前述のように構造物であって、外壁91および屋根92を含む。外壁91には、複数の圧力センサ5が配置されている。屋根92にも同様に、複数の圧力センサ5が配置されている。
図24では隣接する圧力センサ5の間に間隔が空けられているが、このような間隔は任意選択的である。間隔を空けずに複数の圧力センサ5を配置してもよい。あるいは、外壁91または屋根92の全面を覆うように単一の圧力センサ5を設けてもよい。また、圧力センサ5の形状は平面状に限定されるものではない。たとえば図24に示すように屋根92が曲面形状を有する場合、圧力センサ5も屋根92の形状に合致する曲面形状を有してもよい。
<圧力測定フロー>
図26は、実施の形態2における圧力測定処理を示すフローチャートである。図26を参照して、ステップS31において、コントローラ24は、光源21に対象物9への光照射を開始させる。なお、光源21がコントローラ24に制御されるものではない場合(光源21が手動操作である場合、光源21が太陽である場合など)にはステップS21の処理はスキップされる。
ステップS32において、コントローラ24は、対象物9の表面に設置された圧力センサ5を光照射下で撮影するようにカメラ17を制御する。
ステップS33において、コントローラ24は、ステップS22にて撮影された画像に所定の画像処理を実施し、圧力センサ5が表す圧力を算出する。より詳細には、圧力センサ5に印加される圧力と圧力センサ5が表現する色との間の対応関係が、たとえばマップとしてコントローラ24のメモリ242に予め格納されている。コントローラ24は、この対応関係を参照することによって、圧力センサ5を撮影した画像から抽出された色情報(たとえばRGB値)に基づき、圧力センサ5に印加された圧力を算出できる。
残りのS34~S36の処理は、実施の形態1におけるS24~S26の処理(図12参照)と同等であるため、説明は繰り返さない。
以上のように、実施の形態2においては、圧力センサ5を撮影した画像の色情報に基づいて圧力が算出される。これ手法は、実施の形態1にて説明したスペクトル解析の手法と比べて、より広範囲の圧力をリアルタイムで追跡するのに、より適している。たとえば、高層建築物の頂上付近に大面積の圧力センサ5を設置することで、圧力センサ5を風圧計として利用できる。
実施の形態2では、液体(または気体)が対象物9に作用する状況下での圧力測定に圧力センサ5を使用する例について説明した。圧力センサ5は、固体同士の接触面における圧力分布の測定にも使用できる。一例として、現在、タイヤのグリップ性能の評価には感圧シートが使用されている。既存の感圧シートの色は、圧力(負荷)の印加に伴って一旦変化すると、その後、圧力を取り除いても変化したままである。すなわち、既存の感圧シートでは圧力の痕跡が累積していく。これに対し、本実施の形態に係る圧力センサ5は可逆的であり、圧力センサ5の色は、印加される圧力に応じて時々刻々変化し得る。よって、圧力センサ5を使用することで、圧力の時間変化のより詳細な情報が得ることができる。他の例として、スポーツ科学、ロボット工学等の分野において、歩行に伴う体重移動の際に足裏に作用する圧力の時間変化を測定することも可能である。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 圧力測定システム、11 光源、12 測定治具、121,122 スライドガラス、123,124 錘、13 ステージ、14 対物レンズ、15 光学部品、16 分光器、17 カメラ、18 コントローラ、181 プロセッサ、182 メモリ、5 圧力センサ、51 基板、52 透明フィルム、53 光応答材料、54 スペーサ、61~65 液晶層、7 金ナノ粒子、9 対象物、91 外壁、92 屋根、2 圧力測定システム、21 光源、221 ポンプ、22 水槽、222 第1主要部、223 整流部、223A ハニカム部、223B くびれ部、224 測定部、225 第2主要部、23 カメラ、24 コントローラ、241 プロセッサ、242 メモリ。

Claims (13)

  1. 圧力または温度を測定するためのセンサであって、
    螺旋構造を有する液晶と金属ナノ粒子とを含む光応答材料と、
    前記光応答材料の少なくとも一部を覆い、前記光応答材料に照射される光に対して光透過性を有する光透過層とを備える、センサ。
  2. 前記液晶は、コレステリック液晶、スメクティック液晶およびTGB(Twisted Grain Boundary)液晶のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のセンサ。
  3. 前記液晶の螺旋構造は、前記光応答材料への照射光の波長を前記光応答材料の屈折率で除した螺旋ピッチを有する、請求項2に記載のセンサ。
  4. 前記光応答材料への照射光の波長は、可視域に含まれ、
    前記液晶の螺旋構造の螺旋ピッチは、サブマイクロメートルオーダーである、請求項3に記載のセンサ。
  5. 前記光応答材料への照射光の波長は、赤外域に含まれ、
    前記液晶の螺旋構造の螺旋ピッチは、マイクロメートルオーダーである、請求項3に記載のセンサ。
  6. 圧力または温度を測定するためのセンサの製造方法であって、
    金属ナノ粒子が分散した金属ナノ粒子分散液を還元法により準備するステップと、
    螺旋構造を有する液晶を作製可能な材料を前記金属ナノ粒子分散液に導入することで金属ナノ粒子ドープ液晶を調製するステップとを含む、センサの製造方法。
  7. 前記金属ナノ粒子分散液における前記金属ナノ粒子の平均粒子間距離は、ナノメートルオーダーからマイクロメートルオーダーの範囲である、請求項6に記載のセンサの製造方法。
  8. 前記金属ナノ粒子分散液における前記金属ナノ粒子の平均粒子間距離は、サブマイクロメートルオーダーからシングルマイクロメートルオーダーの範囲である、請求項7に記載のセンサの製造方法。
  9. 対象物に設置されたセンサを用いて、前記対象物に印加される圧力または前記対象物の温度を測定する測定システムであって、
    前記センサは、螺旋構造を有する液晶と金属ナノ粒子とを含む光応答材料を有し、
    前記測定システムは、
    前記センサに照射された光を検出する光検出器と、
    前記光検出器からの信号に所定の信号処理を施すことにより、前記対象物の圧力または温度を算出する演算装置とを備える、圧力または温度の測定システム。
  10. 前記光検出器は、前記センサを撮影するカメラを含み、
    前記演算装置は、前記カメラにより撮影された画像の色情報に基づいて、前記対象物の圧力または温度を算出する、請求項9に記載の圧力または温度の測定システム。
  11. 前記光検出器は、前記センサの透過光または反射光を分光する分光器を含み、
    前記演算装置は、前記分光器により取得された吸光度スペクトルまたは反射スペクトルのピーク波長に基づいて、前記対象物の圧力または温度を算出する、請求項9に記載の圧力または温度の測定システム。
  12. 対象物に設置されたセンサを用いて、前記対象物に印加される圧力または前記対象物の温度を測定する測定方法であって、
    前記センサは、螺旋構造を有する液晶と金属ナノ粒子とを含む光応答材料を有し、
    前記測定方法は、
    前記センサに照射された光を光検出器により検出するステップと、
    前記光検出器からの信号に所定の信号処理を施すことにより、前記対象物の圧力または温度を算出するステップとを含む、圧力または温度の測定方法。
  13. 前記光応答材料の屈折率に前記液晶の螺旋構造の螺旋ピッチを乗じた波長の光を前記光応答材料に照射するステップをさらに含む、請求項12に記載の圧力または温度の測定方法。
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