JP7356637B2 - 変速機システム - Google Patents

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Description

本発明は、変速機システムに関し、特に、運転者の変速操作に基づいて変速を実行する変速機システムに関する。
特開2008-37312号公報(特許文献1)には、自動変速機のシフト切換装置が記載されている。このシフト切換装置は、有段変速機のギア段を、車両の走行状態に応じて自動的に切り替えるように構成されている。また、特許文献1記載のシフト切換装置にはマニュアルモードが備えられており、マニュアルモードに設定されている場合には、運転者はパドルシフト等を操作することにより、必要に応じて低速側または高速側にギア段を切り替えることができる。
このように、自動変速機に備えられたマニュアルモードでは、一般に、運転者によりパドルシフトやマニュアルモード用ポジションのフロアシフト等が操作されると、制御ユニットは、まず、変速機をニュートラルの状態に切り替える。次いで、制御ユニットは、エンジン回転数を、切り替え後のギア段に適した回転数に自動的に調整し、その後、変速機を、運転者の操作に基づくギア段に切り替える。例えば、運転者がブレーキをかけながら、パドルシフトやフロアシフト等により変速機を低速側に切り替える操作を行った場合、制御ユニットは、まず、変速機をニュートラルにし、次いで、エンジン回転数を上昇させた後、実際に変速機を低速側に切り替える。このため、自動変速機のマニュアルモードでは、一般に、運転者はエンジン回転数等を考慮することなく、パドルシフトやフロアシフト等により変速機を低速側または高速側に切り替えることができる。
特開2008-37312号公報
ここで、車両の運転中に、走行状態やエンジン回転数に応じて適切なギア段を選択して変速機を切り替え、車両を自在に操ることは運転者の楽しみの一つである。たとえば、高速段での走行中に交差点を左折し、左折後スムーズに加速を行うために、変速機を予め低速側に切り替える操作を行う場合がある。自動変速機では、上述したマニュアルモードで、それ自体のシフト操作は可能である。
一方、そのような場合、マニュアルトランスミッションを搭載した車両では、運転者は、ブレーキペダルをつま先で踏みながら、クラッチを切り、かかとでアクセルペダルを踏むことでエンジン回転数を上げ、変速機を低速側に切り替えた後、クラッチを接続する。これにより、エンジン回転数を、切り替え後の低速側の変速機の回転数に合わせた状態で、スムーズにシフトダウンすることができると共に、左折後の速やかな加速が可能になる。マニュアルトランスミッションの車両を運転する運転者は、このヒールアンドトゥのような様々な運転技術を習得しながら車両を自在に操ることができるようになり、これが運転の楽しみになっている。
しかしながら、自動変速機を搭載した車両では、利便性や快適性の高い自動変速での走行が可能である一方、マニュアルモードに設定した場合でも上述したような運転技術は不要となり、その分、運転者は車両を操る感覚を感じることができないという問題がある。
従って、本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、自動変速式の変速機であっても、運転者に車両を操る感覚をより感じさせることができる変速機システムを提供することを目的としている。
上述した課題を解決するために、本発明は、運転者の変速操作に基づいて変速を実行する変速機システムであって、エンジンの駆動力を車輪に伝達する動力伝達系であって、駆動力の断接機構および変速機を含む動力伝達系と、運転者が変速操作を行う変速操作部と、運転者による変速操作部の変速操作の操作量を検知する変速操作検知部と、この変速操作検知部によって検知された変速操作量に基づいて、変速機の変速および断接機構による駆動力の断接切り替えを実行する変速制御部と、を有し、変速制御部はマニュアル回転同期モードを実行可能に構成され、マニュアル回転同期モードは、変速操作部の変速操作の操作量が所定の第1操作量に達したことが変速操作検知部により検知されると、動力伝達系の断接機構に制御信号を送り、駆動力の伝達を停止させる第1ステップと、変速操作部の変速操作の操作量が第1の操作量より大きい所定の第2操作量に達したことが変速操作検知部により検知されると、断接機構に制御信号を送り、変速機が低速側に切り替えられた状態で駆動力の伝達を再開させる第2ステップと、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、変速操作の操作量が所定の第1操作量に達したことが検知されると、動力伝達系の断接機構に制御信号を送り、駆動力の伝達を停止させる第1ステップと、変速操作の操作量が第1の操作量より大きい所定の第2操作量以上であることが検知されると、断接機構に制御信号を送り、変速機が低速側に切り替えられた状態で駆動力の伝達を再開させる第2ステップと、によって変速機の低速側への切り替えが完了する。このとき、駆動力の伝達が停止される第1ステップの実行時から、駆動力の伝達が再開される第2ステップの実行時までの間に、運転者は、自ら、エンジンの回転数を低速側の変速機の回転数に合わせるためにアクセルペダル等の操作を行うことができ、これにより、運転者に車両を操る感覚をより感じさせることができるのである。また、運転者に、手動運転スキルの向上という楽しみも感じさせることができる。
また、本発明において、好ましくは、さらに、変速操作部の運転者の変速操作量に対して所定の操作反力を与える操作反力発生装置を有し、操作反力発生装置は、運転者が第1操作量の操作位置に変速操作部を保持するときの操作力に対して、運転者が第1操作量の操作位置から第2操作量の操作位置に向けて変速操作部を操作し始めるときの操作力が大きくなるように変速操作部に操作反力を与える。
このように構成された本発明によれば、運転者による駆動力の切断操作(第1操作量位置への操作およびその第1操作量位置での保持)と、運転者によるエンジン回転数合わせ操作後の変速操作および駆動力の伝達の再開操作(保持していた第1操作量位置から第2操作量位置に向けた変速操作)とを適切に区別して感じるようにさせ、これにより、より的確に各操作を行わせることができる。
また、本発明において、好ましくは、変速操作検知部は、変速操作部の変速操作の操作量を、第1操作量と第2操作量とをそれぞれ検出可能な2つのポジションセンサの信号、または、第1操作量および第2操作量を検出可能な1つのストロークセンサの信号に基づいて検知する。
このように構成された本発明によれば、より確実に、変速操作の操作量を検知することができる。
また、本発明において、好ましくは、変速モード設定操作部を有し、この変速モード設定操作部により、マニュアル回転同期モードと、第1操作量の操作または第2操作量の操作のみで変速機の低速側への変速が完了する自動回転同期モードとを選択可能である。
このように構成された本発明によれば、運転者が、変速モード設定操作部により、自動回転同期モードも選択することができるので、自らの意思によるタイミングで素早く的確にシフトダウンを行いたい、または、複雑な操作を行わずにシフトダウンを行いたいという要望にも応えることができる。
また、本発明において、好ましくは、変速制御部は、路面状態センサにより所定の路面状態が検出されている場合には、マニュアル回転同期モードが選択されている場合であっても、自動回転同期モードを実行する。
このように構成された本発明によれば、所定の路面状態が検出されている場合には、マニュアル回転同期モードが選択されている場合でも、自動回転同期モードが実行される。このため、第1ステップの実行時から第2ステップの実行時までの間、駆動力の伝達が停止されていることに起因する危険な状態を回避することができる。
また、本発明において、好ましくは、変速制御部は、第1操作量の変速操作が検知された後、所定時間以内に第2操作量の変速操作が検知されない場合には、車速またはエンジン回転数に基づいて、変速段を自動的に選択する。
このように構成された本発明によれば、第1操作量の変速操作が行われた後、所定時間以内に第2操作量の変速操作が行われない場合には、車速またはエンジン回転数に基づいて、変速段を自動的に選択するので、第1ステップの実行により駆動力の伝達が停止された状態で車両が長時間走行するのを回避すると共に、車両の走行状態に応じた適切な変速段を選択することができる。
また、本発明において、好ましくは、変速制御部は、マニュアル回転同期モードの実行中において、第2操作量の変速操作を検知した時点におけるエンジン回転数が所定の回転数閾値未満である場合には、低速側への変速を実行せず、第1操作量の変速操作を検知した時点における変速段を維持する。
このように構成された本発明によれば、第2操作量の変速操作を検知した時点におけるエンジン回転数が所定の回転数閾値未満である場合には、変速段が維持されるので、エンジン回転数が低い状況での低速側への変速による予期せぬエンジン停止や過度なショックが発生したりするのを防止することができる。
また、本発明において、好ましくは、さらに、報知装置、および報知制御部を有し、報知制御部は、第1操作量の変速操作を検知した時点における変速段を維持した場合には、報知装置に信号を送り、変速操作が不適切であった旨を運転者に報知する。
このように構成された本発明によれば、第2操作量の変速操作を行ったときのエンジン回転数が低く、変速段が維持された場合には、報知装置により報知されるので、運転者は自己の変速操作が不適切であったことを認識できる。また、変速段の維持が報知されることにより、変速操作を行ったにも関わらず変速が実行されなかったという誤解を運転者に与えるのを防止することができる。
また、本発明において、好ましくは、さらに、加速度センサ、報知装置、および報知制御部を有し、報知制御部は、第2ステップ実行時に所定の加速度閾値以上の加速度変動が加速度センサによって検出された場合には、報知装置に信号を送り、変速操作が不適切であった旨を運転者に報知する。
このように構成された本発明によれば、第2ステップ実行時に所定値以上の加速度変動が検出された場合には、変速操作が不適切であった旨が報知されるので、運転者は自己の変速操作の適否を客観的に認識することができ、運転スキルの向上に役立てることができる。
本発明の変速機システムによれば、自動変速式の変速機であっても、運転者に車両を操る感覚をより感じさせることができる。
本発明の実施形態による変速機システムを搭載した車両の駆動系を示すブロック図である。 本発明の実施形態による変速機システムを搭載した車両の車室前部を示す模式図である。 本発明の実施形態による変速機システムを搭載した車両の車室前部に設けられたシフトレバー装置(図3(a))、シフトレバーの操作位置および操作量(図3(b))、パドルシフトレバーの操作位置および操作量(図3(c))をそれぞれ示す模式図である。 本発明の実施形態による変速機システムのシフトレバー装置の操作力とシフトストロークとの関係を示す線図である。 図4に示す操作反力特性を得るための本実施形態によるシフトレバー装置が備える操作反力発生装置の概略構成を示す模式図であり、シフトレバーがMポジション(図5(a))、Nポジション(図5(b))にそれぞれ位置している模式図である。 本発明の実施形態による変速機システムのブロック図である。 本発明の実施形態による変速機システムにおいてマニュアル回転同期モードが設定された場合における処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態による変速機システムのマニュアル回転同期モードにおける作用の一例を示すタイムチャートである。 本発明の実施形態による変速機システムのマニュアル回転同期モードにおける作用の一例を示すタイムチャートである。 本発明の実施形態による変速機システムのマニュアル回転同期モードにおける作用の一例を示すタイムチャートである。 本発明の実施形態による変速機システムのマニュアル回転同期モードにおける作用の一例を示すタイムチャートである。 本発明の実施形態による変速機システムのマニュアル回転同期モードにおける作用の一例を示すタイムチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による変速機システムを説明する。
まず、図1乃至図5により、本発明の実施形態による変速機システムの概略構成を説明する。図1は、本発明の実施形態による変速機システムを搭載した車両の駆動系を示すブロック図であり、図2は、本発明の実施形態による変速機システムを搭載した車両の車室前部を示す模式図であり、図3(a)は、本発明の実施形態による変速機システムを搭載した車両の車室前部に設けられたシフトレバー装置を示す模式図であり、図3(b)は、シフトレバーの操作位置(シフトポジション)および操作量(ストローク)を示す模式図であり、図3(c)は、パドルシフトレバーの操作位置(シフトポジション)および操作量(ストローク)を示す模式図であり、図4は、本発明の実施形態による変速機システムのシフトレバー装置のシフトレバーの操作力とシフトストロークとの関係を示す線図であり、図5は、図4に示す操作反力特性を得るための本実施形態によるシフトレバー装置が備える操作反力発生装置の概略構成を示す模式図であり、シフトレバーがMポジション(図5(a))、Nポジション(図5(b))にそれぞれ位置している模式図である。
まず、図1に示すように、本発明の実施形態による変速機システムを搭載した車両1は、原動機であるエンジン2と、エンジン2の出力軸の回転数を減速すると共に動力を伝達する自動変速機6と、エンジン2と自動変速機6の間の動力の接続/非接続を切り替える断接機構であるクラッチ4と、自動変速機6の出力軸の動力を伝達するプロペラシャフト8およびドライブシャフト10と、車輪12と、を有する。これらのうち、クラッチ4、自動変速機6、プロペラシャフト8、および、ドライブシャフト10は、エンジン2から出力される動力を駆動力として車輪12に伝達する動力伝達系として機能する。
次に、図2および図3を参照して、本実施形態による車両1の車室前部に設けられている各操作部の配置、自動変速機6の変速モード、および、シフトレバーの基本操作を説明する。
まず、図2に示すように、本実施形態の変速機システムを搭載した車両1の車室前部には、運転者が変速操作を行う変速操作部として、運転席の側方側に設けられ、シフトレバー14を備えるシフトレバー装置15と、ステアリングホイール装置16に設けられ、左右のパドルシフトレバー(パドルスイッチ)16a、16bを備えるパドルシフトレバー装置17とが設けられている。
運転者は、シフトレバー14により、自動変速機6を、パーキングレンジ(Pレンジ)、リバースレンジ(Rレンジ)、ニュートラルレンジ(Nレンジ)、および、ドライブレンジ(Dレンジ)の各変速レンジに切り替えることができる(図3(a)参照)。
ここで、本実施形態において、自動変速機6は、「自動変速モード」または「マニュアルモード」を設定可能に構成されている。
「自動変速モード」は、Dレンジにおいて、自動変速機6の変速タイミングおよび変速段の選択を自動で制御するモードである。一方、「マニュアルモード」は、自動変速機6の変速タイミングおよび変速段を運転者が任意に選択可能にするモードである。
さらに、本実施形態では、「マニュアルモード」において、運転者が、自動変速機6の「自動回転同期モード」または「マニュアル回転同期モード」を選択可能に構成されている。この選択のため、図2に示すように、シフトレバー14の近傍には、運転者が「自動回転同期モード」または「マニュアル回転同期モード」を選択するための変速モード設定操作部14aが設けられている。
ここで、「自動回転同期モード」は、運転者が選択した変速段へ変速する際、その変速段に合ったエンジン回転数となるようにエンジン2の回転数の同期が自動で実行されるモードである。一方、「マニュアル回転同期モード」は、後述するように、運転者が選択した低速側の変速段へ変速する際、その変速段に合わせるためのエンジン2の回転数の同期を運転者のアクセルペダル操作で行えるようにするモードである。
次に、図3(a)に示すように、本実施形態の変速機システムでは、シフトレバー装置15のシフトレバー14が、Pレンジ位置(Pポジション)、Rレンジ位置(Rポジション)、Nレンジ位置(Nポジション)またはDレンジ位置(Dポジション)の各位置に保持されるステーショナリー式のシフト機構となっている。また、本実施形態では、Dポジションの側方にマニュアルモードポジション(Mポジション)が設けられ、運転者がシフトレバー14をMポジションに移動させると、上述した自動変速機6のマニュアルモードが選択され、このMポジションを中立位置としたモーメンタリ式のシフト機構に切り替えられる。
本実施形態では、「マニュアル回転同期モード」が選択されている場合、運転者が、図3(b)に示すように、シフトレバー14の第1の操作量(第1ストローク量)でNポジションに移動させ、さらに、シフトレバー14の第2の操作量(第2ストローク量)により「-」ポジションに移動させる2段階の操作で、低速側への変速(シフトダウン)を行えるようになっている。
一方、運転者が、シフトレバー14を「+」ポジションに移動させると、高速側への変速(シフトアップ)を行えるようになっている。
なお、このマニュアルモードでは、モーメンタリ式のシフト機構により、運転者がNポジション、「-」ポジション、または、「+」ポジションでシフトレバー14から手を離すなどして操作力を0にすると、シフトレバー14は、中立位置であるMポジションに復帰する。
本実施形態では、運転者が、シフトダウンするために動力を切断したいタイミングでシフトレバー14をNポジションに移動させると、クラッチ4が作動して動力伝達が切断されると共に、変速段がニュートラル状態となる。運転者は、この状態で、アクセルペダルを操作してエンジン回転数の同期操作が可能となる。さらに、運転者が、低速側の変速段で動力伝達を再開したいタイミングで「-」ポジションに移動させると、後述する所定の場合を除き、低速側への変速段の切り替えが実行される。
一方、「自動回転同期モード」が選択されている場合、運転者が、図3(a)および図3(b)に示すNポジションまたは「-」ポジションへのシフトレバー14のいずれの操作でも、エンジン2の回転数を自動で同期させると共に、低速側の変速段へのシフトダウンが実行される。
同様に、本実施形態では、左右のパドルシフトレバー16a、16bでも、「マニュアル回転同期モード」による変速が可能となるよう構成されている。すなわち、シフトレバー14がMポジション(図3(a)参照)に操作され、自動変速機6のマニュアルモードが選択されている場合、図3(c)に示すように、運転者が、左側パドルシフトレバー16aの第1の操作量によりNポジションに移動させ、さらに、第2の操作量により「-」ポジションに移動させる2段階の操作で、上述したように、エンジン回転数の同期を運転者のアクセルペダル操作で行う、低速側の変速段へのシフトダウンを行えるようになっている。また、運転者が、右側のパドルシフトレバー16bを「+」ポジションに移動させると、高速側への変速(シフトアップ)を行えるようになっている。
一方、「自動回転同期モード」が選択されている場合、図3(c)に示すNポジション、または、「-」ポジションへのパドルシフトレバー16aのいずれの操作でも、エンジン2の回転数が自動で同期されると共に、低速側の変速段へのシフトダウンが実行される。
なお、本実施形態では、シフトレバー14がDポジションに保持され、自動変速モードが実行されている場合でも、運転者が左右のパドルシフトレバー16a、16bを操作すると、一時的に、マニュアルモードが介入可能に構成されている。このマニュアルモードの介入では、上述した「マニュアル回転同期モード」または「自動回転同期モード」のいずれのモードも実行可能となっている。なお、パドルシフトレバー16a、16bの誤操作防止のために、所定の操作部でこのような介入を禁止してもよい。
なお、本実施形態においては、シフトレバー14およびパドルシフトレバー16a、16bにより変速段の切り替えを可能としているが、変形例として、そのようなシフトレバーの他、任意の変速操作部を使用して変速段の切り替えができるように本発明を構成することができる。また、本実施形態においては、変速モード設定操作部14aとして、独立した1つの操作部が設けられているが、変速モード設定操作部14aを他の押しボタン(図示せず)などと兼用にすることもできる。この場合には、押しボタンの「長押し」等の特殊操作により、「自動回転同期モード」と「マニュアル回転同期モード」を切り替え可能に構成することもできる。
次に、図4を参照して、本実施形態によるシフトレバーの操作力特性を説明する。
図4に示すように、本実施形態では、上述したシフトレバー14のマニュアルモードにおいて、運転者が、中立位置であるMポジションから、Nポジションおよび「-」ポジションの各位置へシフトレバー14を操作する際に、操作力がストロークに対して非線形に変化する特性が得られるようにしている。
すなわち、図4に示すように、操作力特性として、まず、運転者が中立位置(Mポジション)からシフトレバー14を操作する際、そのストローク量に対して操作力が線形的に立ち上がり、これにより、運転者が一定の操作反力を感じるようにしている。
その後、第1操作量(1段階目)のNポジション近傍で、ストローク量に対する操作力変化を一定とし、運転者がシフトレバー14をNポジションに保持し易くなるようにしている。
さらに、Nポジションを超え、かつ、Nポジションの近傍の所定のストローク範囲(図4において、この所定のストローク範囲を符号Aで示す)では、ストロークに対して操作力が所定の傾きで線形的に立ち上げるようにして、運転者の操作に対し一定の操作反力が得られるようにしている。この所定の傾きは、運転者が、シフトレバー14をNポジションに保持する際、意図的に力を増大させない限り、シフトレバー14がNポジションから移動しないような操作反力が得られるような傾きである。これにより、運転者は、シフトレバー14をNポジションに保持しやすくなる。
本実施形態では、図4のような操作力特性により、運転者が、シフトレバー14のMポジションからNポジションへの操作と、Nポジションでの保持操作と、Nポジションから「-」ポジションへの2段階目の操作とを適切に区別して感じるようにさせ、これにより、的確に各操作を行わせるようにしている。
さらに、図4に示すように、符号Aで示すストローク範囲を超えると、操作力が低下するようにして、運転者がシフトレバー14を「-」ポジションに操作しやすくしている。「-」ポジションを超えると、ストロークに対して線形的に操作力を立ち上げて、運転者のシフトレバー14のストローク範囲を規制するようにしている。
本実施形態では、上述した図4に示すような操作力特性を、シフトレバー装置15に設けた図5に示すような操作反力発生機構18により得るようにしている。
図5に示すように、シフトレバー装置15のシフトレバー14は、回動軸15aまわりに回動するようになっており、操作反力発生機構18により、運転者によるシフトレバー14の操作に伴う回動量(ストローク量)に対して、図4に示すような操作反力を発生させるようになっている。
操作反力発生機構18は、ディテント18aおよびバネ18b備え、本実施形態では、主に、このディテント18aの幅、高さ、傾きをそれぞれ設定することで、図4に示すような操作力特性を得るようにしている。
バネ18bは、その固定点18cおよびディテント18aとの作用点18d(ディテント18aとの間での滑り抵抗を減少させるための軸受体18d)との間で作用し、シフトレバー14をNポジションからMポジションへ戻し、また、「-」ポジションからMポジションへ戻す方向へ力を作用させる。
運転者がシフトレバー14を操作すると、シフトレバー14は、図5(a)に示す位置から、図5(b)に示す位置に移動し(ストロークし)、その際、Nポジションを超え、かつ、Nポジションの近傍の位置Aで、ディテント18aの主に傾きが大きくなるように設定している。これにより、上述したように、ストロークに対して操作力が所定の傾きで線形的に立ち上げるようにして(図4の符号A)、運転者の操作に対し一定の操作反力が得られるようにしている。
また、パドルシフトレバー16a、16bも、図4と同様の操作力特性が得られるよう、図5と同様の操作反力発生機構を備えている。なお、運転者は、パドルシフトレバー16a、16bを基本的に指で操作するので、操作力特性は同じものの、操作力自体は小さくなるよう設定されている。
次に、図6を参照して、本発明の実施形態による変速機システム20を説明する。
図6に示すように、変速機システム20は、ECU(電気制御ユニット/コントローラ)22と、これに信号を入力するシフトレバー装置15、変速モード設定操作部14a、パドルシフトレバー装置17、アクセル開度センサ24、車速センサ26、勾配センサ28、および、加速度センサ30を備えている。さらに、変速機システム20は、ECU22からの制御信号が入力される自動変速機6、クラッチ4、および、報知装置である表示装置32およびスピーカ34を備えている。また、ECU22には、エンジン2も接続されており、制御信号により制御される。
シフトレバー装置15には、シフトレバー14の各ポジションとして、自動変速モードの「P」、「R」、「N」、「D」の各ポジションをそれぞれ検出する複数のポジションセンサと、マニュアルモードのMポジション、Nポジション、「-」ポジション、「+」ポジションをそれぞれ検知する複数のポジションセンサとが設けられ、それらのポジションセンサの各信号がECU22に入力されるよう構成されている。
なお、変形例として、シフトレバー14の中立位置(Mポジション)に対する移動距離を1つのストロークセンサ(リニアセンサなど)で検出し、その信号をECU22に入力するように構成してもよい。
このようなシフトレバー装置15の各ポジションセンサまたはストロークセンサにより、シフトレバー14が、上述した第1操作量または第2操作量(図3(b)参照)に達したことが検知可能となる。
また、パドルシフトレバー装置17には、パドルシフトレバー16a、16bのNポジション、「-」ポジション、「+」ポジションをそれぞれ検知する複数のポジションセンサが設けられ、それらのポジションセンサの各信号がECU22に入力されるよう構成されている。なお、左側パドルシフトレバー16aの中立位置(Mポジション)に対するNポジションおよび「-」ポジションへの移動距離を1つのストロークセンサ(リニアセンサなど)で検出し、その信号をECU22に入力するように構成してもよい。
このようなパドルシフトレバー装置17の各ポジションセンサまたはストロークセンサにより、左側パドルシフトレバー16aが、上述した第1操作量または第2操作量(図3(b)参照)に達したことが検知可能となる。
また、アクセル開度センサ24は、変速機システム20が搭載されている車両1のアクセルペダル(図示せず)の踏込量を検出し、検出信号をECU22に入力するように構成されている。
車速センサ26は、変速機システム20が搭載されている車両1の車速を検出し、検出信号をECU22に入力するように構成されている。
勾配センサ28は、変速機システム20を搭載した車両1が走行している路面の勾配を検出し、検出信号をECU22に入力するように構成されている。
加速度センサ30は、変速機システム20が搭載されている車両1の前後方向加速度を検出し、検出信号をECU22に入力するように構成されている。
ECU22は、具体的には、マイクロプロセッサ、メモリ、インターフェイス回路、およびこれらを作動させるプログラム等(以上、図示せず)から構成されている。ECU22は、これらのハードウェア、ソフトウェアにより、変速制御部22a、変速操作検知部22b、報知制御部22c等の機能を実現している。
変速制御部22aは、自動変速機6に制御信号を送り、変速段を切り替えるように構成されている。変速制御部22aによる具体的な制御内容は後述する。
変速操作検知部22bは、変速操作部であるシフトレバー14およびパドルシフトレバー16a、16bの、運転者による変速操作を検知するように構成されている。
特に、変速操作検知部22bは、シフトレバー装置15の各ポジションセンサからの入力信号に基づいて、シフトレバー14が、マニュアルモードのNポジション、「-」ポジション、「+」ポジションに操作されたことを検知する。
また、変速操作検知部22bは、パドルシフトレバー装置17の各ポジションセンサからの入力信号に基づいて、左側パドルシフトレバー16aについてはNポジション、「-」ポジションに操作されたことを検知し、また、右側パドルシフトレバー16bについては「+」ポジションに操作されたことを検知する。
特に、本実施形態では、変速操作検知部22bは、シフトレバー14のマニュアルモードのNポジションと、「-」ポジションとを検知することにより、シフトレバー14が上述した第1操作量または第2操作量(図3(b)参照)に達したことを検知するよう構成されている。
また、変速操作検知部22bは、左側パドルシフトレバー16aのNポジションと、「-」ポジションとを検知することにより、左側パドルシフトレバー16aが上述した第1操作量または第2操作量(図3(c)参照)に達したことを検知するよう構成されている。
変形例としてのストロークセンサを用いた場合は、変速操作検知部22bは、その検出されたストローク量に基づいて、シフトレバー14の第1操作量または第2操作量(図3(b)参照)、および、左側パドルシフトレバー16aの第1操作量または第2操作量(図3(c)参照)を検知するよう構成される。
報知制御部22cは、ECU22に接続されている表示装置32およびスピーカ34に制御信号を送り、変速機システム20の作動状況等を運転者に報知するように構成されている。
表示装置32は、図2に示すように、変速機システム20が搭載されている車両1のインストルメントパネルに設けられたディスプレイであり、車両1の運転者や乗員に対し、種々の情報を提示するように構成されている。ECU22に内蔵された報知制御部22cは、表示装置32に制御信号を送り、表示装置32に種々の情報を表示させる。また、表示装置32をタッチパネルとし、表示装置32により種々の情報の表示および入力を可能にすることもできる。例えば、変速モード設定操作部14aを、タッチパネル上に表示されるコマンドボタン(図示せず)によって構成することもできる。
スピーカ34は、図2に示すように、車両1の運転者や乗員に対し、音声により種々の情報を伝達する音声発生装置である。また、ECU22に内蔵された報知制御部22cは、スピーカ34に音声信号を送り、種々の音声、報知音、警告音等を発生させるように構成されている。
次に、ECU22の変速制御部22aの制御内容を説明する。
変速制御部22aは、自動変速機6が「自動モード」に設定されている場合には、車速センサ26やアクセル開度センサ24によって検出された検出信号に基づいて適切な変速段を選択し、自動変速機6の変速段を切り替える。本実施形態において、自動変速機6は、遊星歯車機構による動力伝達経路を、変速用クラッチ6aである複数のクラッチ、ブレーキの断接により切り替える有段式の変速機である。変速制御部22aは、所定のタイミングでクラッチ4および変速用クラッチ6aを断接し、変速段を切り替えるように構成されている。
自動変速機6が「マニュアルモード」に設定されている場合には、変速制御部22aは、運転者によるシフトレバー14またはパドルシフトレバー16a、16bの操作に基づいて、自動変速機6の変速段を切り替える。本実施形態の変速機システム20では、自動変速機6の「マニュアルモード」において、運転者が変速モード設定操作部14aを操作することにより、「自動回転同期モード」または「マニュアル回転同期モード」を選択することができる。
本実施形態においては、自動変速機6が「マニュアルモード」に設定され、かつ、「自動回転同期モード」に設定されている場合は、運転者による1回のシフトレバー14、16a、16bの操作により、自動変速機6の変速段を切り替えることができる。具体的には、シフトレバー14がMポジションからNポジション側(Nポジションまたは「-」ポジション)に操作され、または、左側パドルシフトレバー16aがMポジションからNポジション側(Nポジションまたは「-」ポジション)に操作されると、自動変速機6を低速側の変速段に変速するための操作が行われたことが変速操作検知部22bによって検知される。
また、シフトレバー14がMポジションから「+」ポジションにシフトレバー14が操作され、または、右側パドルシフトレバー16bが操作されると、自動変速機6を高速側の変速段に変速するための操作が行われたことが変速操作検知部22bによって検知される。
これらの運転者の変速操作が変速操作検知部22bによって検知されると、変速制御部22aは、変速操作に応じて自動変速機6を低速側または高速側の変速段に切り替える。
「自動回転同期モード」において、運転者がシフトダウンをするためにシフトレバー14またはパドルシフトレバー16aを操作すると、ECU22の変速制御部22aは、まず、クラッチ4に制御信号を送り、これを切断させる。次いで、変速制御部22aは、自動変速機6に制御信号を送り、自動変速機6をニュートラルに切り替える。さらに、変速制御部22aは、エンジン2に制御信号を送り、変速後の変速段(1段階低速側の変速段)に相当する回転数になるよう、エンジン2を制御する。次いで、変速制御部22aは、自動変速機6に制御信号を送って変速段を1段階低速側に切り替えた後、クラッチ4に制御信号を送ってクラッチ4を接続し、変速を完了する。
このように、「自動回転同期モード」においては、変速制御部22aが、自動的に、エンジン2の回転数を変速後の変速段の回転数に同期させる。このため、運転者はエンジン2の回転数を考慮することなく、シフトレバー14、16aの1回の操作で、自動変速機6の変速段を切り替えることができる。なお、運転者がシフトアップをするためにシフトレバー14、16bを操作した場合にも、同様の処理が行われ、自動変速機6の変速段が高速側に切り替えられる。
次に、自動変速機6が「マニュアルモード」に設定され、かつ、「マニュアル回転同期モード」に設定されている場合は、運転者が、上述したシフトレバー14、16aの第1操作量および第2操作量(図3(b)、図3(c)参照)を区別して2段階操作することで、自動変速機6の変速段を1段階低速側に切り替えることができる。
具体的には、「マニュアル回転同期モード」において、運転者がシフトダウンをするために動力を切断したいタイミングで、シフトレバー14またはパドルシフトレバー16aをNポジションに操作すると、すなわち、第1操作量位置まで操作すると、ECU22の変速制御部22aは、まず、クラッチ4に制御信号を送り、これを切断させる。次いで、変速制御部22aは、自動変速機6に制御信号を送り、自動変速機6をニュートラルに切り替える。運転者は、このとき、アクセルペダルを操作してエンジン回転数の同期操作をすることができる。
さらに、変速制御部22aは、運転者が、低速側の変速段で動力伝達を再開したいタイミングで、シフトレバー14またはパドルシフトレバー16aを「-」ポジションに操作すると、すなわち、第2操作量位置まで操作すると、変速制御部22aは、後述する所定の場合を除き、自動変速機6に制御信号を送って変速段を1段階低速側に切り替えた後、クラッチ4に制御信号を送ってクラッチ4を接続し、変速を完了する。
なお、シフトレバー14、16bによる高速側への切り替えについては、変速モード設定操作部14aが「マニュアル回転同期モード」に設定されている場合においても1回の操作で自動変速機6の変速段を切り替えることができる。
次に、図7乃至図12を参照して、本発明の実施形態による変速機システム20の、マニュアル回転同期モードにおける制御処理内容およびその作用を説明する。
図7は、本発明の実施形態による変速機システム20においてマニュアル回転同期モードが設定された場合における処理を示すフローチャートであり、図8乃至図12は、本発明の実施形態による変速機システム20のマニュアル回転同期モードにおける作用の一例を示すタイムチャートである。図7において、Sは各ステップを示す。
図7に示すフローチャートは、変速モード設定操作部14aにより「マニュアル回転同期モード」が設定されている場合において、ECU22の変速制御部22aにより所定の時間間隔で繰り返し実行される。なお、図8乃至図12に示すタイムチャートは、上段から順に、ブレーキスイッチ信号、シフトレバー14またはパドルシフトレバー16aの操作に基づく、上述したNポジションに相当する第1のシフトダウン信号および「-」ポジションに相当する第2のシフトダウン信号、自動変速機6の変速段、アクセル開度センサ24の検出信号、エンジン2の回転数を示し、横軸は時間を表している。
まず、図7のS1において、各種信号がECU22に読み込まれる。すなわち、S1においては、シフトレバー装置15からの運転者のシフトレバー14の操作に関する信号、変速モード設定操作部14aからの回転モード設定信号、パドルシフトレバー装置17からの運転者のパドルシフトレバー16a、16bの操作に関する信号、アクセル開度センサ24からのアクセル開度の信号、車速センサ26からの車両1の速度に関する信号、勾配センサ28からの走行中の路面の勾配に関する信号、および、加速度センサ30からの車両1の前後方向加速度に関する信号が含まれる。
次に、S2において、所定の路面状態が検出されているか否かが判断される。具体的には、S2においては、路面状態センサである勾配センサ28によって検出された走行路面の勾配が所定の勾配閾値以上であるか否か、走行路面の路面摩擦が所定の摩擦閾値以下であるか否かが判断される。所定の勾配閾値以上である場合、または、所定の摩擦閾値以下である場合には、S3以下の処理が実行されることなく、図7に示すフローチャートの1回の処理を終了する。この場合においては、変速モード設定操作部14aによりマニュアル回転同期モードが設定されていても、自動回転同期モードが実行される。このように、本実施形態の変速機システム20においては、所定の路面状態が検出されている場合には、マニュアル回転同期モードが選択されている場合であっても、自動回転同期モードが実行される。
即ち、急な勾配の路面や、路面摩擦の小さい路面においてマニュアル回転同期モードが実行されると、運転者の変速操作が不適切であった場合には、車両が危険な挙動を示したり、運転者や乗員に強い不快感を与える可能性もある。たとえば、急勾配の路面では、変速段がニュートラルの間に車両が意図せず加速する状況、あるいは、低μ路において車輪に駆動力が与えられないことに起因する横滑りなど、危ない状況になり得る。本実施形態においては、このような路面状態においてマニュアル回転同期モードが実行され、車両が危険な挙動となることを回避して、運転者や乗員の安全をより確実に確保するようにしている。このように、マニュアル回転同期モードが選択されているにも関わらず、自動回転同期モードが実行された場合には、表示装置32やスピーカ34によって、運転者にその旨を報知しても良い。
なお、走行路面の路面摩擦は、エンジン2の駆動力と、車輪12の車輪速の関係から推定することができる。即ち、路面摩擦が小さく、車輪12にスリップが発生している場合には、エンジン2が発生する駆動力に対して車輪速が大きくなる。従って、この場合には、エンジン2の駆動力を検出するセンサ、車輪速を検出するセンサ、および駆動力と車輪速から路面摩擦を推定する演算装置(以上、図示せず)が、路面状態センサとして機能する。
次に、S3において、運転者により、第1のシフトダウン要求操作があったか否かが判断される。本実施形態では、この第1のシフトダウン要求操作は、運転者が、シフトダウンするために動力を切断したいという操作であり、運転者がシフトレバー14またはパドルシフトレバー16aをNポジションに移動させ、保持する操作である。このS3では、変速操作検知部22bが、シフトレバー14、16aの操作量が第1操作量(図3(b)、図3(c)参照)に到達したか否かを判定する。
第1のシフトダウン要求があったと判定された場合にはS4に進み、第1のシフトダウン要求がないと判定された場合には、図7に示すフローチャートの1回の処理を終了する。このように、図7に示すフローチャートにおけるS4以下の処理は、運転者により、シフトレバー14、16aによるシフトダウン要求操作がなされた場合に実行され、シフトレバー14、16bによるシフトアップ要求操作がなされた場合には実行されない。
ここで、図8に示す例においては、運転者は、車両1を減速させながら自動変速機6を3速段から2速段へシフトダウンを行うべく、時刻t1において、車両1のブレーキペダル(図示せず)を踏み込んでいる。次いで、運転者は、時刻t2において、第1のシフトダウン要求操作としてシフトレバー14またはパドルシフトレバー16aをNポジションに操作している(シフトダウン信号1=ON)。なお、以下では、このような運転者によるシフトレバー14またはパドルシフトレバー16aのMポジションからNポジションへの操作(Mポジションからの第1操作量の操作)を「第1のシフトダウン要求操作」と言う。
シフトレバー14またはパドルシフトレバー16aの第1のシフトダウン要求操作が変速操作検知部22bによって検知されると、図7に示すフローチャートにおける処理はS4に進む。S4において、変速制御部22aは、マニュアル回転同期モードの第1ステップとして、クラッチ4に制御信号を送ってクラッチ4を切断させ、駆動力の伝達を停止させる。さらに、S4において、変速制御部22aは、自動変速機6に制御信号を送って自動変速機6をニュートラルの状態に切り替える。
ここで、図8に示す例では、時刻t3において、クラッチ4が切断されると共に、自動変速機6がニュートラルにされている。さらに、運転者は、時刻t2においてシフトレバー14、16aをMポジションからNポジションへ操作した後、図8の実線に示すように、時刻t4~t5の間、アクセルペダル(図示せず)を踏み込んでいる。これにより、時刻t1からのブレーキペダルの踏み込みにより低下していたエンジン2の回転数が上昇する。
次に、図7のS5において、運転者により、第2のシフトダウン要求操作があったか否かが判断される。本実施形態では、この第2のシフトダウン要求操作は、運転者が、低速側の変速段で動力伝達を再開したいという操作であり、運転者がシフトレバー14またはパドルシフトレバー16aをNポジションから「-」ポジションに移動させる操作である。このS5では、変速操作検知部22bが、シフトレバー14、16aの操作量が第2操作量(図3(b)、図3(c)参照)に到達したか否かを判定する。
第2のシフトダウン要求操作があったと判定された場合にはS6に進み、第2のシフトダウン要求操作がないと判定された場合にはS10に進む。S10においては、第1のシフトダウン要求操作が行われた(図8の時刻t2)後、所定時間が経過したか否かが判断される。所定時間が経過した場合にはS11に進み、経過していない場合にはS5に戻る。従って、第1のシフトダウン要求操作の後、シフトレバー14、16aが操作されていない場合には、S5→S10→S5の処理が所定時間繰り返される。本実施形態においては、第1のシフトダウン要求操作後の所定時間として、3秒が設定されている。
ここで、図8のタイムチャートに示す例では、時刻t2において第1のシフトダウン要求操作が行われた後、所定時間が経過する前の時刻t6において第2のシフトダウン要求操作として、シフトレバー14、16aを「-」ポジションに移動させる第2操作量の操作が行われている(シフトダウン信号2=ON)。これにより、図7に示すフローチャートにおける処理は、S5からS6に進む。なお、以下では、運転者によるシフトレバー14またはパドルシフトレバー16aのNポジションから「-」ポジションへの操作(Mポジションからの第2操作量の操作)を「第2のシフトダウン要求操作」と言う。
S6においては、エンジン2の回転数が所定の回転数閾値以上であるか否かが判断され、回転数閾値以上である場合にはS7へ進み、回転数閾値未満である場合にはS12へ進む。図7のタイムチャートに示す例では、時刻t2における第1のシフトダウン要求操作の後、運転者は、時刻t4~t5の間、アクセルペダル(図示せず)を踏み込んでいるので、エンジン2の回転数は所定の回転数閾値以上に上昇されており、S7に進んでいる。
S7において、変速制御部22aは、自動変速機6に制御信号を送り、自動変速機6の変速段を1段階低速側に切り替える。さらに、変速制御部22aは、マニュアル回転同期モードの第2ステップとして、クラッチ4に制御信号を送って、クラッチ4を接続させ、エンジン2の駆動力の伝達を再開させる。図8に示す例においては、時刻t7において、自動変速機6が3速段から2速段に切り替えられ、自動変速機6が低速側に切り替えられた状態でクラッチ4が接続され、駆動力の伝達が再開されている。
なお、時刻t6において第2のシフトダウン要求操作がなされ、運転者がシフトレバー14、16aをそのまま「-」ポジションに保持している場合、シフトダウン信号2のON信号が継続される(図8の一点鎖線)が、このような場合も、時刻t6において第2のシフトダウン要求操作(シフトダウン信号2=ON)に基づいて、自動変速機6が3速段から2速段に切り替えられ、自動変速機6が低速側に切り替えられた状態でクラッチ4が接続され、駆動力の伝達が再開される。
次に、S8においては、自動変速機6の切り替え時において、加速度センサ30によって検出された車両1の前後方向加速度が、所定の加速度閾値以上であったか否かが判断される。前後方向加速度が所定の加速度閾値以上であった場合にはS9に進む。一方、所定の加速度閾値未満であった場合には、図7に示すフローチャートの1回の処理を終了し、シフトレバー14、16aの操作によるシフトダウンを完了する。
即ち、図8の実線に示すように、第1のシフトダウン要求操作の後、運転者が適切にアクセルペダル(図示せず)を操作し、エンジン2が適切な回転数にされている場合には、第2のシフトダウン要求操作によりクラッチ4が接続された時も、車両1はスムーズに走行する。この場合には、S8の後、そのまま図7に示すフローチャートの1回の処理を終了する。このように、運転者は、シフトレバー14、16aを「N」ポジションへ操作した後、アクセルペダル(図示せず)を操作し、その後、シフトレバー14、16aを「-」ポジションへ操作することによりシフトダウンを行って、車両1をスムーズに走行させることにより、運転者はマニュアル式の車両を運転しているような車両を操る感覚を、自動変速機を搭載した車両でも感じさせることができる。
一方、図8の一点鎖線に示すように、時刻t2において第1のシフトダウン要求操作の後、運転者がアクセルペダル(図示せず)の操作を行っていない場合には、エンジン回転数が低いままとなる。このため、第2のシフトダウン要求操作によりクラッチ4が接続される時点で、エンジン回転数が自動変速機6の2速相当の回転数とは大きく異なってしまう。このような場合には、時刻t7において自動変速機6が切り替えられ、クラッチ4が接続された際、ショックが発生し、これが加速度センサ30により、前後方向の加速度変動として検出される。
図7のS8において、クラッチ4の接続時(図6の時刻t7)における加速度変動が、所定の加速度閾値以上であると判定された場合には、S9に進む。S9において、ECU22の報知制御部22cは、報知装置である表示装置32およびスピーカ34に信号を送り、変速操作が適切でなかった旨を運転者に報知し、図7に示すフローチャートの1回の処理を終了する。このように、変速制御部22aは、第2のシフトダウン要求操作時に所定の加速度閾値以上の加速度変動が加速度センサ30によって検出された場合には、表示装置32およびスピーカ34に信号を送り、変速操作が不適切であった旨を運転者に報知する。これにより、運転者は、自己の変速操作が適切でなかったために、車両1の走行にショックが発生したことを認識することができ、運転スキルの向上に役立てることができる。
ここで、図9により、シフトレバー14、16aの中立位置(Mポジション)に対する操作量をリニアセンサなど1つのストロークセンサで検出する変形例の場合の作用を説明する。図9に示すタイムチャートは、シフトダウン信号以外は図8と同一であり、ここでは、図8に示すタイムチャートと異なる点のみ説明する。
図9では、本実施形態の変形例として、ストロークセンサが、シフトレバー14またはパドルシフトレバー16aのストローク量に対して線形に変化するシフトダウン信号(電圧)を出力する場合を示す。この変形例では、このようなシフトダウン信号に対して、2つのシフトダウン信号閾値1、2を用いて、上述した第1のシフトダウン要求操作および第2のシフトダウン要求操作を検知する。すなわち、ECU22の変速操作検知部22bは、図9に示すように、シフトダウン信号が第1の閾値を超えた時点(時刻t2)を、第1のシフトダウン要求操作がなされた時点と検知し、その後、シフトダウン信号が第2の閾値に達した時点(時刻t6)を、第2のシフトダウン要求操作がなされた時点と検知する。
次に、図10を参照して、車両1を加速させるために自動変速機6を3速段から2速段へシフトダウンする際の変速操作の一例を説明する。
まず、図10に示す例では、時刻t11において、第1のシフトダウン要求操作を行っている。これにより、図7に示すフローチャートにおける処理は、S3からS4に進む。S4では、変速制御部22aは、マニュアル回転同期モードの第1ステップとして、クラッチ4に信号を送り、駆動力の伝達を停止させる。さらに、変速制御部22aは自動変速機6に信号を送り、図10の時刻t12において、自動変速機6がニュートラルに切り替えられる。
次いで、運転者は、エンジン2の回転数を上昇させるべく、図10の実線に示すように、時刻t13においてアクセルペダル(図示せず)の踏み込みを開始し、時刻t14において一旦アクセルペダルの踏み込みを緩めた後、時刻t15において再びアクセルペダルの踏み込みを行う。さらに、運転者は、時刻t16において、第2のシフトダウン要求操作を行う。これにより、図7に示すフローチャートにおける処理は、S5からS6に進む。
さらに、運転者は、エンジン2の回転数を上昇させているので、フローチャートにおける処理は、S6からS7に進む。S7において、変速制御部22aは、自動変速機6に信号を送り、自動変速機6の変速段を2速段に切り替える。さらに、変速制御部22aは、マニュアル回転同期モードの第2ステップとして、クラッチ4に信号を送り、これを接続して駆動力の伝達を再開させ、図10の時刻t17において、変速が完了する。この際、エンジン2の回転数は、自動変速機6の2速段に相当する回転数まで上昇されているので、車両1にショックが発生することなく、スムーズにシフトダウンが完了する(図7のS8→リターン)。また、時刻t15の後、運転者は、さらにアクセルペダルを踏み込んでいるので、エンジン回転数はさらに上昇し、それに伴い、車両1は加速する。
一方、図10の一点鎖線に示す例では、時刻t11において、運転者が第1のシフトダウン要求操作を行った後(図7のS3→S4)、アクセルペダル(図示せず)の踏み込みを行わないまま、時刻t16において、第2のシフトダウン要求操作を行っている(図7のS5→S6)。この場合には、時刻t17において、自動変速機6が2速段に切り替えられ、クラッチ4が接続される際のエンジン回転数が、自動変速機6の2速段に相当する回転数とは大きく異なっているので、クラッチ4の接続時にショックが発生する。この場合には、加速度センサ30によって検出される加速度が所定の加速度閾値以上となる(図7のS8→S9)ので、S9において、変速操作が不適切であった旨が運転者に報知される。
次に、図11を参照して、運転者が変速操作を誤った場合における変速機システム20の作用の一例を説明する。
まず、図11に示す例では、時刻t21において、運転者はブレーキペダル(図示せず)を踏み込み、車両1を減速させている。次いで、時刻t22において、第1のシフトダウン要求操作を行っている。これにより、図7に示すフローチャートにおける処理は、S3からS4に進む。S4では、変速制御部22aはクラッチ4および自動変速機6に信号を送り、図11の時刻t23において、自動変速機6をニュートラルに切り替える。S4の後、図7に示すフローチャートにおける処理は、S5→S10→S5の処理を繰り返し、運転者による第2のシフトダウン要求操作を待っている。
一方、運転者は、エンジン2の回転数を上昇させるべく、時刻t24~t25においてアクセルペダル(図示せず)の踏み込みを行い、エンジン回転数を上昇させているが、第2のシフトダウン要求操作を行っていない。たとえば、図11にケース1で示すシフトダウン信号で示されるように、運転者は、シフトレバー14、16aをNポジションに保持して、動力の切断を維持しているが、本来、第2のシフトダウン要求操作(「-」ポジションへの操作)を行って動力の接続を再開させるべきタイミングである時刻t26において、「-」ポジションへの操作を行わず(シフトダウン信号2=OFF)、Nポジションの保持を解除してしまっている(シフトダウン信号1=OFF)。また、たとえばケース2では、運転者は、時刻t25において空吹かし中にNポジションの保持を解除し、ケース3では、Nポジションの保持し続ける一方、「-」ポジションへの操作を行っていない。これらのような場合、時刻t22において第1のシフトダウン要求操作を行った後、所定時間が経過した時刻t26において、図7のフローチャートにおける処理は、S11に移行する。
S11において、ECU22の変速制御部22aは、車速センサ26によって検出された車速およびエンジン回転数に基づいて適切な変速段を選択し、選択した変速段に自動変速機6を自動的に切り替える。さらに、S11において、変速制御部22aは、クラッチ4に制御信号を送って、クラッチ4を接続させ、エンジン2の駆動力の伝達を再開させる。図11に示す例では、時刻t24~t25において運転者がエンジン2の回転数を上昇させているので、変速制御部22aによって2速段が選択され、時刻t26において、自動変速機6が2速段に切り替えられ、さらに、クラッチ4が接続され、駆動力の伝達が再開されている。このように、第1のシフトダウン要求操作が検知された後、第2のシフトダウン要求操作が所定時間以内に検知されない場合には、変速制御部22aが自動的に変速段を選択して自動変速機6を切り替える。
これにより、自動変速機6がニュートラルに切り替えられた状態で、車両1が長時間走行するのを防止することができる。また、変速制御部22aは、車速およびエンジン回転数に基づいて、変速段を自動的に選択する。なお、車速およびエンジン回転数の何れか一方のみに基づいて、変速段が選択されるように本発明を構成することもできる。
また、変形例として、図7のフローチャートにおけるS11の後、第2のシフトダウン要求操作が行われなかった旨を、表示装置32やスピーカ34により、運転者に報知するように本発明を構成することもできる。なお、図11に示す例では、時刻t26におけるエンジン回転数が高いので、変速制御部22aにより2速段が選択されているが、所定時間経過時における車速やエンジン回転数によっては、第1のシフトダウン要求操作前の変速段が維持され、あるいは、他の変速段が選択される。
次に、図12を参照して、運転者の操作が不適切であり、エンジン回転数が極度に低下した場合における変速機システム20の作用の一例を説明する。
まず、図12に示す例では、時刻t31において、運転者はブレーキペダル(図示せず)を踏み込み、車両1を減速させている。次いで、時刻t32において、第1のシフトダウン要求操作を行っている。これにより、図7に示すフローチャートにおける処理は、S3からS4に進む。S4では、変速制御部22aはクラッチ4および自動変速機6に信号を送り、図12の時刻t33において、自動変速機6をニュートラルに切り替える。
ここで、図12に示す例においては、運転者は、第1のシフトダウン要求操作を行った後、アクセルペダル(図示せず)の踏み込みを行っていない。また、図12に示す例においては、運転者によるブレーキペダル(図示せず)の踏み込みが強いため、エンジン2の回転数は極度に低下している。
次いで、時刻t34において、第2のシフトダウン要求操作を行うと、図7に示すフローチャートにおける処理は、S5からS6に進む。S6においては、エンジン回転数が所定の回転数閾値以上であるか否かが判断される。図12に示す例においては、時刻t34においてエンジン2の回転数が極度に低下し、所定の回転数閾値未満になっているため、フローチャートにおける処理は、S12に移行する。
S12において、変速制御部22aは変速を実行せず、自動変速機6をニュートラルの状態から第1のシフトダウン要求操作時の変速段(図12の例では3速段)に切り替え、さらに、クラッチ4を接続し、駆動力の伝達を再開する。即ち、図12に示す例では、第2のシフトダウン要求操作が行われたにも関わらず、変速制御部22aはシフトダウンを実行せず、自動変速機6の変速段を、第1のシフトダウン要求操作が行われた時点における変速段に維持している。これは第2のシフトダウン要求操作が行われた時点におけるエンジン回転数が極端に低く、運転者の操作に従ってシフトダウンを行うとエンジン2が停止してしまうおそれがあるためである。このため、第2のシフトダウン要求操作が行われた時点におけるエンジン回転数が所定の回転数閾値未満である場合には、低速側への変速が実行されず、第1のシフトダウン要求操作を検知した時点における変速段が維持される。これにより、運転者の不適切な変速操作による、エンジン停止を回避することができる。
次に、S13において、ECU22の報知制御部22cが、表示装置32およびスピーカ34に信号を送り、シフトダウンが可能なエンジン回転数を下回ったため、変速を実行しなかった旨を運転者に報知し、図7に示すフローチャートの1回の処理を終了する。このように、変速制御部22aは、第1のシフトダウン要求操作を検知した時点における変速段を維持した場合には、報知制御部22cに信号を送り、変速操作が不適切であった旨を運転者に報知する。これにより、運転者は、自己の変速操作が不適切であったことを認識することができ、運転スキルの向上に役立てることができる。
次に、本発明の実施形態による変速機システムの主な作用効果を説明する。
本発明の実施形態の変速機システム20によれば、運転者によるシフトレバー14、16aの変速操作の操作量が所定の第1操作量(図3(b)、図3(c)、図7の時刻t2等)に達したことが検知されると、動力伝達系の断接機構であるクラッチ4に制御信号を送り、駆動力の伝達を停止させる第1ステップと、変速操作の操作量が第1の操作量より大きい所定の第2操作量(図3(b)、図3(c)、図7の時刻t2等))に達したことが検知されると、クラッチ4に制御信号を送り、変速機6が低速側に切り替えられた状態で駆動力の伝達を再開させる第2ステップと、によって変速機6の低速側への切り替えが完了する。このとき、駆動力の伝達が停止される第1ステップの実行時から、駆動力の伝達が再開される第2ステップの実行時までの間に、運転者は、自ら、エンジン2の回転数を低速側の変速機の回転数に合わせるためにアクセルペダル等の操作(図7の実線、時刻t4~t5等)を行うことができる。これにより、運転者に車両を操る感覚をより感じさせることができ、また、手動運転スキルの向上という楽しみも感じさせることができる。
また、本実施形態の変速機システム20によれば、運転者のシフトレバー14、16aの変速操作量に対して所定の操作反力(図4)を与える操作反力発生装置18を有し、操作反力発生装置18は、運転者が第1操作量の操作位置(図3に示すNポジション)に変速操作部を保持するときの操作力に対して、運転者が第1操作量の操作位置(図3に示すNポジション)から第2操作量の操作位置(図3に示す「-」ポジション)に向けてシフトレバー14、16aを操作し始めるときの操作力が大きくなるようにシフトレバー14、16aに操作反力を与える。このような構成により、本実施形態では、運転者による駆動力の切断操作(第1操作量位置への操作およびその第1操作量位置での保持)と、運転者によるエンジン回転数合わせ操作後の変速操作および駆動力の伝達の再開操作(保持していた第1操作量位置から第2操作量位置に向けた変速操作)とを適切に区別して感じるようにさせ、これにより、より的確に各操作を行わせることができる。
また、本実施形態の変速機システム20によれば、変速操作検知部22bは、運転者によるシフトレバー14、16aの操作量を、第1操作量と第2操作量とをそれぞれ検出可能な2つのポジションセンサの信号、または、第1操作量および第2操作量を検出可能な1つのストロークセンサの信号に基づいて検知するので、より確実に、変速操作の操作量を検知することができる。
また、本実施形態の変速機システム20によれば、変速モード設定操作部14aにより、マニュアル回転同期モードと、第1操作量の操作または第2操作量の操作のみで変速機の低速側への変速が完了する自動回転同期モードとを選択可能であるので、運転者は、自らの意思によるタイミングで素早く的確にシフトダウンを行いたい、または、複雑な操作を行わずにシフトダウンを行いたいという要望にも応えることができる。
また、本実施形態の変速機システム20によれば、変速制御部22aは、勾配センサ28により所定の路面状態が検出されている場合(図6のS2でNO)には、マニュアル回転同期モードが選択されている場合であっても、自動回転同期モードを実行するので、駆動力を切断する第1ステップの実行時から、駆動力を再接続する第2ステップの実行時までの間、駆動力の伝達が停止されていることに起因する危険な状態を回避することができる。たとえば、急勾配の路面では、駆動力切断の間に車両が意図せず加速してしまい、あるいは、低μ路の路面では、駆動力が路面に加えられないことに起因する不安定な車両挙動を示す状態となり得るが、本実施形態によれば、このような状況を回避することができる。
また、本実施形態の変速機システム20によれば、変速制御部22aは、第1操作量の変速操作が検知された後、所定時間以内に第2操作量の変速操作が検知されない場合(図6のS10でYES)には、車速またはエンジン回転数に基づいて、変速段を自動的に選択する(図6のS11)ので、第1ステップの実行により駆動力の伝達が停止された状態で車両が長時間走行するのを回避すると共に、車両の走行状態に応じた適切な変速段を選択することができる。
また、本実施形態の変速機システム20によれば、変速制御部22aは、マニュアル回転同期モードの実行中において、第2操作量の変速操作を検知した時点におけるエンジン回転数が所定の回転数閾値未満である場合(図6のS6でNO)には、低速側への変速を実行せず、第1操作量の変速操作を検知した時点における変速段を維持する(図6のS12)ので、エンジン回転数が低い状況での低速側への変速による予期せぬエンジン停止や過度なショックが発生したりするのを防止することができる。たとえば、エンジン回転数がアイドリング回転数まで低下した状態で駆動力の伝達を再開するとき、低速側の変速段で断接機構4を接続すると、エンジン2が動力伝達系から抵抗力を受けて予期せず停止したり、過度なショックが発生するが、このような状態を回避することができる。
また、本実施形態の変速機システム20によれば、第2操作量の変速操作を行ったときのエンジン回転数が低く、変速段が維持された場合には、報知装置である表示装置32およびスピーカ34により報知される(図6のS13)ので、運転者は自己の変速操作が不適切であったことを認識できる。また、変速段の維持が報知されることにより、変速操作を行ったにも関わらず変速が実行されなかったという誤解を運転者に与えるのを防止することができる。
また、本実施形態の変速機システム20によれば、第2ステップ実行時に所定値以上の加速度変動が検出された場合(図6のS8でYES)には、変速操作が不適切であった旨が報知される(図6のS9)ので、運転者は自己の変速操作の適否を客観的に認識することができ、運転スキルの向上に役立てることができる。すなわち、不適切なエンジン回転数で駆動力の伝達が再開されると、エンジン回転数と変速機側の回転数との差に起因するショックが発生し、車両には加速度変動が生じるので、このような加速度変動に基づいて変速操作の適否を報知することができるのである。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、変速機として、動力を伝達するギアを、内蔵されたクラッチおよびブレーキの断接により切り替える自動変速機が備えられていた。これに対し、変形例として、クラッチを2枚にしてシームレスな変速を可能にしたデュアルクラッチトランスミッション(DCT)や、一時的に2組のギアを同時に噛み合わせることによってシフトアップを行うシームレストランスミッション等、種々の形式の変速機を備えた変速機システムに本発明を適用することができる。
また、上述した実施形態においては、マニュアル回転同期モードの第1ステップにおける駆動力伝達の停止、および第2ステップにおける駆動力伝達の再開が、自動変速機とは別に設けられた断接機構であるクラッチにより、実行されている。これに対し、変形例として、変速機の内部に設けられた断接機構により、駆動力伝達の停止および再開を行うように本発明を構成することもできる。また、変速機の外部に断接機構を備えていない動力伝達系を備えた変速機システムに本発明を適用することもできる。
1 車両
2 エンジン
4 クラッチ(断接機構)
6 自動変速機(変速機)
6a 変速用クラッチ
8 プロペラシャフト
10 ドライブシャフト
12 車輪
14 シフトレバー(変速操作部)
14a 変速モード設定操作部
16 ステアリングホイール
16a、16b パドルシフトレバー(変速操作部)
18 操作反力発生機構(操作反力発生装置)
20 変速機システム
22 ECU
22a 変速制御部
22b 変速操作検知部
22c 報知制御部
24 アクセル開度センサ
26 車速センサ
28 勾配センサ(路面状態センサ)
30 加速度センサ
32 表示装置(報知装置)
34 スピーカ(報知装置)

Claims (9)

  1. 運転者の変速操作に基づいて変速を実行する変速機システムであって、
    エンジンの駆動力を車輪に伝達する動力伝達系であって、駆動力の断接機構および変速機を含む動力伝達系と、
    運転者が変速操作を行う変速操作部と、
    運転者による上記変速操作部の変速操作の操作量を検知する変速操作検知部と、
    この変速操作検知部によって検知された変速操作量に基づいて、上記変速機の変速および上記断接機構による駆動力の断接切り替えを実行する変速制御部と、を有し、
    上記変速制御部はマニュアル回転同期モードを実行可能に構成され、
    上記マニュアル回転同期モードは、
    上記変速操作部の変速操作の操作量が所定の第1操作量に達したことが上記変速操作検知部により検知されると、上記動力伝達系の断接機構に制御信号を送り、駆動力の伝達を停止させる第1ステップと、
    上記変速操作部の変速操作の操作量が上記第1の操作量より大きい所定の第2操作量に達したことが上記変速操作検知部により検知されると、上記断接機構に制御信号を送り、上記変速機が低速側に切り替えられた状態で駆動力の伝達を再開させる第2ステップと、を有することを特徴とする変速機システム。
  2. さらに、上記変速操作部の運転者の変速操作量に対して所定の操作反力を与える操作反力発生装置を有し、
    上記操作反力発生装置は、運転者が上記第1操作量の操作位置に上記変速操作部を保持するときの操作力に対して、運転者が上記第1操作量の操作位置から上記第2操作量の操作位置に向けて上記変速操作部を操作し始めるときの操作力が大きくなるように上記変速操作部に操作反力を与える、請求項1に記載の変速機システム。
  3. 上記変速操作検知部は、上記変速操作部の変速操作の操作量を、上記第1操作量と上記第2操作量とをそれぞれ検出可能な2つのポジションセンサの信号、または、上記第1操作量および上記第2操作量を検出可能な1つのストロークセンサの信号に基づいて検知する、請求項1または請求項2に記載の変速機システム。
  4. さらに、変速モード設定操作部を有し、この変速モード設定操作部により、上記マニュアル回転同期モードと、上記第1操作量の操作または上記第2操作量の操作のみで上記変速機の低速側への変速が完了する自動回転同期モードとを選択可能である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の変速機システム。
  5. 上記変速制御部は、路面状態センサにより所定の路面状態が検出されている場合には、上記マニュアル回転同期モードが選択されている場合であっても、上記自動回転同期モードを実行する、請求項4に記載の変速機システム。
  6. 上記変速制御部は、上記第1操作量の変速操作が検知された後、所定時間以内に上記第2操作量の変速操作が検知されない場合には、車速またはエンジン回転数に基づいて、変速段を自動的に選択する、請求項1乃至5の何れか1項に記載の変速機システム。
  7. 上記変速制御部は、上記マニュアル回転同期モードの実行中において、上記第2操作量の変速操作を検知した時点におけるエンジン回転数が所定の回転数閾値未満である場合には、低速側への変速を実行せず、上記第1操作量の変速操作を検知した時点における変速段を維持する、請求項1乃至6の何れか1項に記載の変速機システム。
  8. さらに、報知装置、および報知制御部を有し、上記報知制御部は、上記第1操作量の変速操作を検知した時点における変速段を維持した場合には、上記報知装置に信号を送り、変速操作が不適切であった旨を運転者に報知する、請求項7記載の変速機システム。
  9. さらに、加速度センサ、報知装置、および報知制御部を有し、上記報知制御部は、上記第2ステップ実行時に所定の加速度閾値以上の加速度変動が上記加速度センサによって検出された場合には、上記報知装置に信号を送り、変速操作が不適切であった旨を運転者に報知する、請求項1乃至8の何れか1項に記載の変速機システム。
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