JP7350346B2 - 履物 - Google Patents
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Description
この種の履物は、つま先やかかとなどが覆われていないために、履きやすい開放した構造であり、上履きや下履きのいずれにも多く使われている。
そこで、本発明の目的は、長時間歩行しても、疲れにくく、歩行時の安定性と運動性を確保し、運動効果を得易くした、履物を提供することにある。
したがって、足底のアーチを維持して身体の安定性を確保しながら、足の指で地面を掴む動作を行わせ易くし、運動効果をより高めることができる。また、長時間歩行しても、疲れにくいものになる。
図1は、本実施形態に係る鼻緒付きサンダル(履物)1を示す平面図である。
サンダル1は、足を載せるソール本体3と、ソール本体3が足から離れないようにするために設けた紐5と、鼻緒7とを備えている。
ソール本体3と紐5とは一体に形成され、所定の硬度を持った樹脂製であり、ソール本体3と紐5とが鼻緒7で一体に連結されている。本発明は、図示は省略したが、鼻緒7の付いていない、ソール本体とバンドからなる、いわゆる突っかけ式のサンダルや、スリッパなどの履物にも適用が可能である。
立方骨支持凸部80は立方骨18に相当する部分に設けられ、踵骨前部支持凸部90は踵骨結節12Aに相当する部位に設けられる。立方骨支持凸部80及び踵骨前部支持凸部90は中実に形成されている。
表面側突出部100の前方には、前部110が形成され、前部110の厚さは、ソール本体3の厚さのうちで最も肉薄に形成されている。
裏面側突出部200の前方には、前部110が位置しており、前部110の厚さは、ソール本体3の厚さのうちで最も肉薄に形成されている。
図4(C)は、図2のC-C断面図である。ソール本体3の表面3Aには、踵骨12が収まる凹部129が形成されている。
人間の足の裏には、歩行時又は走行時に、自然な状態であれば、アーチ(破線で模式的に示す。)119が形成される。
アーチ119は、足の長手方向に形成された、内側縦アーチ121及び外側縦アーチ122と、足の短手方向に形成された、横アーチ120とを含む。横アーチ120は、図2に示すように、第1~第5中足骨26~34の間に跨って形成される。また、内側縦アーチ121は、踵骨12、距骨14、舟状骨16、三個の楔状骨20~24、及び第1~第3中足骨26~30の間に跨って形成される。外側縦アーチ122は、踵骨12、立方骨18、第4~第5中足骨32,34の間に跨って形成される。
この踵骨12は、使用者の体重Fを支える要となる。踵骨12では、踵骨前側上端12Bが力点P1となり、踵骨下端(踵骨後部)12Cが支点P2となるので、踵骨12には、支点P2を中心としたモーメントが作用する。
本構成では、踵骨前部支持凸部90が、力点P1の略直下の踵骨結節12Aを支持することで、踵骨12を安定させることができる。また、踵骨結節12Aは、支点P2となる踵骨下端12Cから距離があるため、踵骨結節12Aに相当する部位に踵骨前部支持凸部90を設けることで、小さな力で効率良く踵骨12を支持できる。
本構成では、立方骨支持凸部80が、力点P1の略直下の立方骨18を支持することで、立方骨18を安定させることができる。
また、立方骨18は、支点P3となる第1~第5中足骨頭部26A~34Aから距離があるため、立方骨18に相当する部位に立方骨支持凸部80を設けることで、小さな力なで効率良く立方骨18を支持できる。
踵骨12は、内側縦アーチ121及び外側縦アーチ122の両方を同時に構成するため、踵骨12が安定しないと、縦アーチを正常な位置に維持できなくなる。特に、踵骨12の前部の踵骨結節12Aは、図6に示すように、踵骨12の中間部と第2~第5中足骨28~34を繋ぐ長足底靭帯64が重なるように位置している。この長足底靭帯64は縦アーチを維持する働きもしている。
後脛骨筋の停止腱67は、筋膜を第1~第3楔状骨20~24、第2~第3中足骨28,30及び舟状骨16に出している。長腓骨筋、後脛骨筋、これら二つの筋の斜めの走行により、横アーチに加えて縦アーチが保持される。
ソール本体3は、立方骨支持凸部80を中心にして放射方向には表面が下傾して応力を緩和する構成となっているので、踵骨12が構成する関節の運動を許容できる。踵骨前部支持凸部90は、使用者の体重で厚みが最大となる部分が沈み、踵骨結節12Aを支持する。踵骨前部支持凸部90が沈むことで、ソール本体3は、立方骨支持凸部80を中心にして前後左右の放射方向に下傾して、立方骨18を支点に足を支持するとともに、該立方骨支持凸部80を中心に足の運動を許容する。
踵骨前部支持凸部90により、踵骨12を安定的に支持することができて、足底の横アーチ120、内側縦アーチ121、外側縦アーチ122が自然な形状に維持され、足の安定性、運動性を向上させることができる。そして、踵骨前部支持凸部90が、内側縦アーチ121、外側縦アーチ122及び横アーチ120を維持した状態で、表面側突出部100と、裏面側突出部200とが、足の第1中足骨頭部(母趾球)26Aと、第2~第5中足骨頭部(小趾球)28A~34Aと、を支持する。
したがって、踵骨前部支持凸部90が、足のアーチの状態を維持したまま、足の指の拘束が解かれた状態となる。
したがって、前部110が、表面側突出部100よりも一段低くなり、足の第1~第5末節骨54~62の前の、指の自由度がさらに高まる。
足の指が地面を掴む動作は、図2における基節骨36~44、中節骨46~52及び末節骨54~62を含む、いわゆる、足の指が乗る前部110が、母趾球26Aと小趾球34Aが乗る表面側突出部100より柔らかい場合に容易に行える。
本構成では、前部110は、表面側突出部100に比べて薄肉であるため、足の指を容易に動かすことができる。
したがって、足の指で地面を掴むような歩行動作を容易に行うことができ、運動効果を高めることができる。また、足底のアーチの形状を維持して身体の安定性、運動性を確保しながら、運動効果を高めることができる。
このように、本実施形態では、足の指を曲げ易くなると共に足の指に力を入れ易くなり、足の指で地面を掴む動作を容易に行える。
一方で、足の動きを妨げ難いために、歩行時や運動時に母趾球26Aや小趾球34Aの位置がズレる可能性はあるが、表面側突出部100は前後方向に幅広に形成されており、表面側突出部100が母趾球26Aや小趾球34Aを支持可能である。
裏面側突出部200の外形X2は比較的大きくし、平坦な形状とし、樹脂の硬度を高くすることが望ましい。
足の指の屈曲性を考慮した場合、ソール本体3の前後方向において、表面側突出部100がそれぞれ2~3mm出張るように形成し、外形X1が、外形X2よりも4~6mm大きくなるように形成することが望ましい。
足の指の屈曲性を考慮した場合、裏面側突出部200はソール本体3の幅方向に帯状に延びる形態が望ましい。
これに対し、本構成では、表面側突出部100および裏面側突出部200が、母趾球26Aと小趾球34Aとを高い位置に保持するため、サンダル1に支持された足は水平に近づき易く、支点P3(図6参照)よりも前側の爪先側に体重がかかり難くなって、足の指先が動かし易くなる。
したがって、足底のアーチ120~122の形状を自然な状態に維持して身体の安定性、運動性を確保しながら、足の指に地面を掴む動作を行わせ易くし、足の指にトレーニングを行わせることができる。
したがって、足の指に地面を掴む動作を行わせ易くし、トレーニング効果が得られる。また、裏面側突出部200の摩耗を抑制できる。
したがって、母趾、すなわち、第1基節骨36と第1末節骨54に相当する部位のソール本体3を下方に押し込み易くなり、母趾に地面を掴む動作を行わせ易くでき、トレーニング効果が得られる。
サンダル1は室内履き、室外履きの何れでもよい。
室外履きの場合、室内履きに比べて、裏面側突出部200の摩耗が課題になる。この場合には、裏面側突出部200を平坦な形状とし、かつ、ソール本体3の幅方向に帯状に延びる形態とすることが望ましい。
これに対し、本構成では、表面側突出部100および裏面側突出部200が、母趾球26Aと小趾球34Aとを高い位置に保持するため、サンダル1に支持された足は水平に近づき易く、支点P3(図6参照)よりも前側の爪先側に体重がかかり難くなって、足の指先が動かし易くなる。
したがって、足底のアーチ120~122の形状を自然な状態に維持して身体の安定性、運動性を確保しながら、足の指に地面を掴む動作を行わせ易くし、足の指にトレーニングを行わせることができる。
したがって、足の指に地面を掴む動作を行わせ易くし、トレーニング効果が得られる。また、裏面側突出部200の摩耗を抑制できる。
したがって、母趾、すなわち、第1基節骨36と第1末節骨54に相当する部位のソール本体3を下方に押し込み易くなり、母趾に地面を掴む動作を行わせ易くでき、トレーニング効果が得られる。
立方骨支持凸部80を備えるため、立方骨18と踵骨12との踵立方関節を含むアーチ形状を保持した状態、かつ、足の運動を許容した状態で、立方骨18及び踵骨12が安定するので、踵立方関節の歪みが減り、立方骨18及び踵骨12を含む足根骨全体が自然な状態で安定する。足の関節が自由に動くので、足の機能を高めることができる。
例えば、上述の実施形態では、ソール本体3を一体に成型したが、平坦なソール本体素材に、別体の凸状部2や、表面側突出部100や裏面側突出部200を着脱自在に装着しても良い。また、ソール本体3を複数層とし、中間層に凸状部2と表面側突出部100や裏面側突出部200を装着することにより、表面素材に凹凸を形成することは可能である。立方骨支持凸部80、踵骨前部支持凸部90及び表面側突出部100を中実に形成していたが、立方骨支持凸部80、踵骨前部支持凸部90及び表面側突出部100、裏面側突出部200の内部を中空としてもよい。
3 ソール本体
3A 表面(上面)
3B 裏面(下面)
12A 踵骨結節(踵骨前部)
18 立方骨
26A 母趾球
34A 小趾球
36 第1基節骨
38 第2基節骨
44 第5基節骨
80 立方骨支持凸部
90 踵骨前部支持凸部
100 表面側突出部(表面側趾球支持部)
110 前部
111 隙間
120 横アーチ
121 内側縦アーチ
122 外側縦アーチ
200 裏面側突出部(裏面側趾球支持部)
Claims (6)
- 足を載せるソール本体と、前記ソール本体が足から離れないようにするために設けた紐またはベルトと、を備え、
前記ソール本体が、足の内側縦アーチ、外側縦アーチ及び横アーチを維持するために、前記ソール本体の表面に突出し、足の踵骨結節を支持して踵骨を安定させる踵骨前部支持凸部と、前記ソール本体の表面に突出し、足の母趾球と小趾球とを支持する表面側趾球支持部と、前記表面側趾球支持部の前方に薄肉に形成された前部と、前記ソール本体の裏面に突出して、足の母趾球と小趾球とを支持し、前記前部と前記ソール本体の接地面との間に隙間を形成する裏面側趾球支持部と、を備えている履物。 - 前記表面側趾球支持部の外形が、前記裏面側趾球支持部の外形よりも大きく形成されている請求項1に記載の履物。
- 足の踵骨には、踵骨前側上端が力点となり、踵骨後部が支点となって、前記支点を中心としたモーメントが作用し、前記踵骨前部支持凸部は、前記力点の略直下の前記踵骨結節を支持する請求項1または2に記載の履物。
- 前記表面側趾球支持部の前縁部は、足の第1基節骨から第5基節骨を結ぶ線上を延びる請求項1ないし3の何れか一項に記載の履物。
- 前記裏面側趾球支持部は、幅方向に帯状に延びている請求項1ないし4の何れか一項に記載の履物。
- 前記踵骨前部支持凸部に重なり合って立方骨支持凸部が配置され、
前記立方骨支持凸部は、足の立方骨から舟状骨に相当する部位を含んで左右の両側縁に向って下傾して厚みを漸減し、前記立方骨に相当する部位から前後に向って下傾して厚みを漸減し、前後左右の放射方向に厚みを漸減させている請求項1ないし5の何れか一項に記載の履物。
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