JP7346824B2 - プレススルーパック包装体 - Google Patents
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Description
しかしながら、患者、老人及び幼児などの手指の力の弱い者にとっては、錠剤等を押し出す力が不足し、PTPから薬剤を取り出しにくいという難点があった。さらに、押し出した錠剤等が、勢いよく転がり出し、散逸してしまう難点もあった。
少なくともプラスチックフィルム、アルミ箔、接着層がこの順に積層された蓋材と、
前記蓋材の接着層を介して前記蓋材に接合されるフランジ部、及びポケット部を有する
成形シートを備え、
前記プラスチックフィルムには、少なくとも前記ポケット部に対応する領域内に易開封
部を備え、
前記易開封部には切り込み線が設けられており、
前記切り込み線が複数あり、一方の前記切り込み線と隣接する前記切り込み線との最短距離が、2本の前記切り込み線のうち長い方の長さよりも長いこと、
を特徴としている。
また、切り込み線は蓋材のプラスチックフィルムにのみ存在し、アルミ箔は傷が生じないことから、ガスバリア性、遮光性などは保持することができる。
なお、各図においては、分かり易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見やすさの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
本発明のPTP1の蓋材10に用いるプラスチックフィルム14は、厚み6~50μmのプラスチックフィルムを用いることが好ましい。さらに好ましくは厚み6~25μmのプラスチックフィルムを用いるのがよい。厚み6μm未満では、強度が充分でなく、PTP1の輸送や保管の際に破断する虞れがある。他方、50μmを超えると強度が必要以上に大きくなり過ぎ、錠剤等の易開封性を阻害する虞れがある。よってプラスチックフィルム14の厚みを6~50μmの範囲内とすれば、易開封性と強度を併せ持つことができる。プラスチックフィルム14の種類は特に制限されるものではないが、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリアミド(ナイロン)系フィルム、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アセタール系樹脂、その他各種の樹脂のフィルムを使用することができる。これらのプラスチックフィルムは、一軸ないし二軸方向に延伸されているものでもよく、無延伸のものであってもよい。
易開封部について説明する。前記易開封部33は前記プラスチックフィルム14のみに存在し、複数個の微細加工が面状に展開している。前記易開封部33は、微細凹部又は微細孔からなる。微細凹部のみ、あるいは微細孔のみが存在してもよく、微細凹部と微細孔が並存してもよい。前記微細凹部は、前記プラスチックフィルム14の外面(アルミ箔と接合される反対面)に開口部を有するが貫通はしていない。開口部が略円形の場合は、その直径は0.3から1.5mm程度である。開口部が略円形でない場合は、開口部の面積は前記略円形の場合とほぼ同じである。また、開口部は線状でもよく、その場合も貫通しない。
前記微細凹部が貫通していないことにより、前記プラスチックフィルム14と前記アルミ箔13を接着剤にて接合した場合、前記接着剤が前記プラスチックフィルム14の外面側に染み出さない。
前記微細孔が、プラスチックフィルム14を貫通しており、孔加工作業を前記プラスチックフィルム14の厚みの途中で止めることなく、厚み全てを切断することから、孔加工の深さの精密な管理が不要であり、加工速度を上げることができる。
また、前記易開封部33は、前記ポケット部31の領域の内側において、前記ポケット部31の面積よりも小さく存在してもよいが、前記切り込み線16の一部もしくは全部が前記易開封部の領域と重なることが望ましい。
図3は、蓋材10のポケット部31の平面図である。図1、図2及び図3には切り込み線16が記載されており、以下、前記切り込み線16について、説明する。
前記切り込み線16は、プラスチックフィルム14のみに設けられており、アルミ箔13には及んでいない。前記切り込み線16を、蓋材10を積層化する前のプラスチックフィルム14に加工して、その後に積層化してもよい。前記切り込み線16を入れる方法は特に限定されるものではないが、トムソン抜き方式、ロータリーダイカット方式、CADカット方式、レーザーカット方式など公知の抜き方法で抜かれる。前記抜き方法は、生産数量、生産速度、品質要求、コストなどを考慮したうえで、適宜に選定される。
図4(a)は、円形ポケットの場合における、前記切り込み線16の加工領域である。
前記切り込み線16は、前記蓋材10のポケット部31の領域内に設けられる。より望ましくは、前記ポケット部31の中心点24より、前記ポケット部31の外周部23との距離が近い領域である加工領域25にのみに、切り込み線16を加工する。即ち、前記蓋材10のポケット部31の中心点24付近ではなく、外周部23に近い領域に加工する。
また、前記切り込み線16は少なくとも前記易開封部の領域の一部にかかっていればよく、より好ましくは前記切り込み線16の全部が前記易開封部に存在することである。
前記ポケット部31の中心点24と前記切り込み線16の中心点17とを結ぶ線、及び前記切り込み線16とが成す角度θのうち、小さいほうの角度θが45°以上となることが望ましい。小さい方の角度とは、2本の直線が交わった際の鋭角(直角を含む)の角度のことである。即ち上記の2本の直線は、なるべく直交に近い角度で交差することが望ましい。これは、蓋材10の開封時の破断が、前記ポケット部31の中心点24を通る直線と直交方向に破断しやすいためである。
前記切り込み線16が中心点17で折れ曲がる場合は、その中心点17で分断される2つのそれぞれ線と、前記切り込み線16の中心点17と前記ポケット部31の中心点24とを結ぶ直線とが成すそれぞれの角度θのうち、小さい方の角度θが45°以上あればよい。
前記切り込み線16が中心点17で不連続な曲線の場合は、前記切り込み線16の中心点17の接線と、前記ポケット部31の中心点24を通る直線との成す角度θに読み替える。
前記切り込み線16が複数ある場合、一本の切り込み線と他の隣接する切り込み線との最短距離が、上記の2本の切り込み線16のうち長い方の長さよりも長くなっている。
もし、隣接する切り込み線16同士が近いと、錠剤等15の取り出し時に、前記蓋材10の破断が急激に進み、これにより手指での押圧に対するPTP1の抵抗力が急減する。この際に過剰な押圧力が成形シート11の凸部(外側から見て)にかかり、その力が錠剤等15にもかかり、錠剤等15が転がり出して、散逸する虞れがあった。
本発明のような配置にすることで、前記蓋材10の急激な破断を防止できて、錠剤等15が転がり出さずに、散逸しないようにできる。
本発明のPTP1の蓋材10のアルミ箔13は、低コスト、ガスバリア性、易開封性などの観点から多く用いられる。
本発明のPTP1の蓋材10に用いるアルミ箔13は、厚み6~30μm程度のJIS H4160 合金番号1N30材、8021材、8079材などの硬質材を採用することができる。また、JIS等で規定されているアルミ箔以外のアルミ箔、たとえばAl-Mn系アルミ合金箔も採用することができる。なお、アルミ箔13とプラスチックフィルム14の積層方法は特に制限されるものではないが、押し出しラミネート法やドライラミネート法が使用できる。
本発明のPTP1の蓋材10に用いる接着層12は、前記成形シート11のポケット部21の外周部であるフランジ部22にヒートシール(超音波加熱シール、高周波加熱シール、電熱ヒーターヘッド加熱シールなど公知の加熱方法を含む)の可能なポリオレフィン系(ポリエチレン系、ポリプロピレン系)の熱接着性樹脂、又はこれらの無延伸又は延伸されたフィルムが使用できる。
また、前記アルミ箔13にヒートシールラッカーを、グラビア印刷など公知の方法で塗布してもよい。
本発明のPTP1の蓋材10の外面には、印刷や着色を施してもよく、OP(オーバープリント)層、プライマー層、アンカーコート層等を必要に応じて積層してもよく、また防曇剤、滑剤、防滑剤、各種のコート剤を任意の層の表面にコーティングしてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、紙、合成紙等を積層してもよい。各層の積層方法も上記に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。
PTP1が完成した形態において、前記蓋材10の外側から、
〔外側〕 プラスチックフィルム14/アルミ箔13/接着層12 〔成形シート側〕
の構成となる。
前記プラスチックフィルム14は、コストと性能のバランスからポリエチレンテレフタレート(以下、PETと省略することがある。)を用いることが多い。
前記プラスチックフィルム14とアルミ箔13の接合はドライラミネート法で接合する。また、溶融したポリエチレン樹脂などの熱可塑性樹脂を、前記プラスチックフィルム14とアルミ箔13の間に押し出して接合する押し出し法でもよい。
また、溶融したポリエチレン樹脂などの熱可塑性樹脂を、前記プラスチックフィルム14と、前記接着層12となる予め準備されたシーラントフィルムとの間に押し出して接合する押し出し法でもよい。
本発明のPTP1に用いる成形シート11は、フランジ部22に囲まれるように多数のポケット部21を形成した公知の容器であって、例えばポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂シートを用いて、プラグアシスト成形、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、熱プレスなどにより成形できる。前記成形シート11に錠剤等15を収納後、開口部に蓋材10を被せてヒートシールすることにより封緘する。
本発明のPTP1には、上市されているPTPと同じく、蓋材10と成形シート11の接着する領域を貫通するように分離用のミシン目26を設けてもよい。1回当たりの服用量に分離することや、必要量の薬剤を提供する際に前記ミシン目26で分離すればよい。
また、PTP1の周縁の少なくとも一辺には図1に示すような耳部27を設けることができ、薬剤の名称、形式名、ロット番号等を記載することができる。
錠剤等15を前記成形シート11のポケット部21に充填して、上記の蓋材10と位置合わせを行いながら接合し、次に適切なサイズに打ち抜き、所定仕様のPTPが完成する。
蓋材の層構成は以下の通りである。
〔外側〕 ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム12μm(東洋紡株式会社製 型式 T-4102) / 低密度ポリエチレン15μm(日本ポリエチレン株式会社製 ノバテックLC502) / アルミ箔9μm(株式会社UACJ製箔製 JIS H4160 合金番号 1N30) / ポリプロピレンフィルム20μm(プライムポリマー株式会社製 F329RA) 〔成形シート側〕
また、成形シートの成形前の原反はポリプロピレンシート250μm(住友ベークライト株式会社製 型式 NS3450)のシートである。
まず、蓋材のPETフィルムの接合される成形シート側の面に、裏刷りにて絵柄や文字などをグラビア印刷する。
前記微細孔の加工は、グラビア印刷機の内部で実施してもよく、グラビア印刷後に別工程で実施してもよい。グラビア印刷機の内部で実施する場合は、印刷ユニットに孔加工用ロールを取り付けて加工することができる。前記微細孔加工と切り込み線加工は、同一ロールにて微細孔加工と切り込み線加工を行ってもよく、独立したロールにて、別々に加工してもよい。
前記微細孔の直径は約0.3mmであり、約50個/cm2で加工されている。
以前の段落にて記述したように、切り込み線加工及び/又は微細孔加工は、PETフィルムの印刷工程の後に行ってもよい。
上記のいずれの加工工程、加工方法でもよく、切り込み線加工とは微細孔加工とは、別の工程で行ってもよい。
その後に、錠剤が内包された前記成形シートと蓋材がヒートシールされた部材の外形をトリミングして、PTPが完成する。
実施例2は、切り込み線を、前記ポケット部の中心点との距離より、前記ポケット部の外周部との距離の方が近い領域内に4本設けている。前記切り込み線は、その延長線がポケット部の中心点を通り、前記中心点を基準にして円周方向に4等分に均等に配置されている。前記切り込み線の一方の端部は前記ポケット部の外周上にあり、他方の端部は前記中心から半径2.5mmの円上にある。
その他の、材質、形状、加工方法、切り込み線の形状などは、実施例1と同じである。
実施例3は、切り込み線を、前記ポケット部の中心点との距離より、前記ポケット部の外周部との距離の方が近い領域内に4本設けている。前記ポケット部の中心点を通る直線と、前記切り込み線の中心点とを結ぶ線と、前記切り込み線とが成す角度θのうち、小さいほうの角度が60°である。
その他の、材質、形状、加工方法などは、実施例1と同じである。
実施例4は、前記切り込み線を、前記ポケット部の中心点との距離より、前記ポケット部の外周部との距離の方が近い領域内に4本設けている。かつ前記ポケット部の中心点と前記切り込み線の中心点とを結ぶ線、及び前記切り込み線とが成す角度θのうち、小さいほうの角度θが45°である。前記切り込み線の長さは3mmであり、前記ポケット部の中心点と前記切り込み線の中心点の距離は3.5mmである。(図5(d)参照)
その他の、材質、形状、加工方法などは、実施例1と同じである。
プラスチックフィルムのポケット部の全域に微細孔を加工した。但し、切り込み線は形成していない。(図6(a)参照)
その他の材質、形状、加工方法などは、実施例1と同じである。
プラスチックフィルムには、易開封加工を実施していない。切り込み線の形状については実施例4と同じである。(図6(b)参照)
その他の材質、形状、加工方法などは、実施例1と同じである。
錠剤を充填して作製した上記の実施例1から4、及び比較例1と2を用いて、PTPの開封性の評価を行った。各サンプルを10個づつ作製したのち、開封性の評価を実施した。評価については、評価人が手による感触と、目視にて実施した。
その結果を表1に示す。
◎:切り込み線から開封の切っ掛けが生じており、開封抵抗力が充分に小さい。
○:切り込み線から開封の切っ掛けが生じており、開封抵抗力が大きめだが、
許容できる範囲である。
×:開封の切っ掛けがないため、開封抵抗力が大きく、開封が困難である。
◎:開封時の抵抗が適切に増大して、錠剤の押し出し速度が適切にコントロール
されるため、錠剤が飛び出しにくい。
○:開封時の抵抗が徐々に増大して、錠剤の押し出し速度がコントロール
されるため、錠剤がやや飛び出しにくい。◎よりは劣る。
×:開封時には、いきなり開口するので、錠剤の押し出し速度が大きくなり、錠剤が
飛び出す。
錠剤の飛び出し抑制については、実施例4が◎であり、実施例1、2、3と比較例1が○であり、比較例2が×である。
PTPの使い勝手の良さとは、上記の開封のしやすさ及び錠剤の飛び出し抑制が並立することが望ましい。総合評価は、上記2つの評価項目を鑑みて評価している。総合評価の判断基準は、以下の通りである。
◎:とても使いやすいPTPである。
○:使いやすいPTPである。
×:使いにくいPTPである。
総合評価については、実施例4が◎であり、実施例1、2、3が○であり、比較例1と比較例2が×である。
したがって、使用しやすいPTPを提供することにより、患者の服薬が容易になる。
10 蓋材
11 成形シート
12 接着層
13 アルミ箔
14 プラスチックフィルム
15 錠剤等
16 切り込み線
17 切り込み線の中心点
18 ポケット部の中心点と切り込み線の中心点を結ぶ直線
21 成形シートのポケット部
22 成形シートのフランジ部
23 ポケット部の外周部
24 ポケット部の中心点
25 切り込み線の加工領域
26 ミシン目
27 耳部
28 ポケット部の中心を通る直線
31 蓋材のポケット部
32 蓋材のフランジ部
33 蓋材の易開封部
34 ポケット部の中心点と、ポケット部の外周部との距離の半分となる位置を
示す線
θ 切り込み線と、ポケット部の中心点と切り込み線の中心点を結ぶ直線が成す
角度
Claims (4)
- 少なくともプラスチックフィルム、アルミ箔、接着層がこの順に積層された蓋材と、
前記蓋材の接着層を介して前記蓋材に接合されるフランジ部、及びポケット部を有する成形シートを備え、
前記プラスチックフィルムには、少なくとも前記ポケット部に対応する領域内に易開封部を備え、
前記易開封部には切り込み線が設けられており、
前記切り込み線が複数あり、一方の前記切り込み線と隣接する前記切り込み線との最短距離が、2本の前記切り込み線のうち長い方の長さよりも長いこと、
を特徴とするプレススルーパック包装体。 - 前記易開封部は、微細凹部及び/又は微細孔を面状に形成することを特徴とする請求項1に記載のプレススルーパック包装体。
- 前記切り込み線は、前記ポケット部の中心との距離より、前記ポケット部の外周部との距離の方が近い領域である加工領域に存在することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のプレススルーパック包装体。
- 前記ポケット部の中心点と前記切り込み線の中心点とを結ぶ線と、前記切り込み線とが成す角度のうち、小さいほうの角度が45°以上となることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプレススルーパック包装体。
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